JP4205254B2 - 粘着式クリーニングシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非粘着部を有する粘着式クリーニングシートに関し、例えばリライトカードのリーダー・ライター機、磁気カード式公衆電話機などの各種磁気カード対応機器の磁気読み取り部や磁気カード搬送部、その他熱転写方式の印刷用サーマルヘット部などのクリーニング、さらに感熱記録機器および新聞・雑誌などの印刷機、OA機器のプリンター、写真処理機などの各種記録機器の加熱ヘッド及び/又は搬送ローラなどのクリーニングに有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、磁気カード対応の読み取り機器においては、磁気カードに付着した手指の油脂、埃、ゴミ等で磁気読み取り部や磁気カード搬送部(ベルト及びローラー)が次第に汚れていき、遂には読み取り不能に至ることがあるので、その磁気読み取り部や磁気カード搬送部を定期的にクリーニングしている。
また、熱転写方式のプリンターでは、インクリボンによりサーマルヘッド部が汚れて印字のかすれなどが起こることがあるので、そのサーマルヘッド部を定期的にクリーニングしている。
【0003】
また、ワープロ、ファクシミリ、バーコードプリンターなどのプリンターなど
の画像形成装置には、インクリボン・トナーなどの画像形成材料が用いられており、例えばインクリボンを用いた画像形成装置では、加熱ヘッド(サーマルヘッド)をインクリボンに接触させる必要があり、この接触回数が多くなるにしたがって加熱ヘッドの発熱部に異物が付着し、画像形成に支障をきたすようになる。また、感熱記録媒体を用いた画像形成装置でも同様の支障をきたしている。
【0004】
さらに、写真処理機では、ネガフィルムや印画紙の搬送路に沿って、多数の駆動側搬送ローラ及びこれら駆動側搬送ローラに圧接する従動側搬送ローラから成る搬送ローラ対が設けられ、これら搬送ローラ対を介してネガフィルムや印画紙を搬送路に沿って搬送するようにしているが、以上の写真処理機において、搬送ローラがその搬送面に塵埃等が付着するなどして汚れると、これら搬送ローラが写真感光材料に対して滑って、写真感光材料の搬送が正確に行えなくなる。
【0005】
上記問題に対して従来よりとられている対策としては、異常の発生時に装置を停止し分解掃除したり、また支持シートの片面または両面に単に粘着剤層を設けた各種カードサイズのクリーニングシートを磁気カード対応機器に挿入し、上記磁気読み取り部や磁気カード搬送部に付着している埃等を粘着面に転写させる方法、支持シートの片面または両面に粘着剤層を介して布や不織布等の吸液性層を設けたクリーニングシートを、その吸液性層にアセトンやアルコール等の溶剤や水を含浸したうえで磁気カード対応機器に挿入し、上記磁気読み取り部やカード搬送部に付着している埃等をこのカードの溶剤含浸層で拭き取る方法(例えば実開平5−90608号公報)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記溶剤含浸タイプのクリーニングカードによるクリーニングでは、溶剤蒸気による作業環境の悪化、溶剤による磁気読み取り部や搬送部の損傷等の不具合が懸念される。
これに対し、上記粘着式クリーニングシートによるクリーニングでは、かかる不具合は排除できるが、クリーニング効率を高めるために強粘着性の粘着剤を使用すると、被クリーニング面への粘着剤の転写(所謂、糊移り)や搬送ローラへの巻き込まれなどが生じやすい、磁気カード対応機器の磁気カード挿入口や取り出し口にクリーニングシートが粘着捕捉されやすく、スムーズなクリーニングが困難である等の問題がある。一方、粘着剤に弱粘着性のものを使用すると、埃等の除去効率の低下が余儀なくされ、粘着式クリーニングシートの挿入回数を多くする必要があり、クリーニング作業の能率低下が避けられない。
【0007】
また上記粘着式クリーニングシートによるクリーニング作業の抱える課題を解決する方法として、支持体の片面または両面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層にポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートが考案されている(例えば特開平10−097710)。すなわち、該クリーニングシート表面が非加圧状態に保たれるときは、上記ポーラススクリーンが粘着剤層の表面から突出してクリーニングシートが実質的に非粘着性を示し、かつ上記クリーニングシート表面が加圧状態に保たれるときは、上記粘着剤層がポーラススクリーンのポーラス部から表出して、粘着剤層表面とポーラススクリーン表面とがほぼ面一となってクリーニングシートが粘着性を発現するようになることを特徴としている。
【0008】
上記ポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートは、非加圧状態では実質的に非粘着性であり、加圧によって粘着性を発現し、その加圧の解除により実質的に非粘着性もしくは難粘着性に戻るから、磁気カード対応機器にスムーズに挿入することができ、磁気読み取り部及び磁気カード搬送部通過中の加圧状態でこれら部位を十分に強力な粘着力で効率よくクリーニングでき、さらに搬送部通過に伴う加圧開放で実質的に非粘着性に戻り、スムーズに取り出しが可能で、例えば磁気読み取り部や磁気カード搬送部、各種プリンターなどの印字部などのクリーニングに極めて有用であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートにおいても、シートの先端部では糊面が露出しているため、装置内部に曲がり通路部が存在する場合、ガイド部に接触する際に引っ掛かって詰まったり、あるいは糊残りを起こし、使用できないケースが生じていた。
【0010】
同様に、シートの位置決めのためにガイド部によって搬送路が狭まり、シート側面がガイド部と接触するような装置の場合、シートの先端部と同じく側面も糊面が露出しているために、詰まりや糊残りを起こす場合があった。
【0011】
この対策として、例えば最初から粘着剤を支持体の端部だけ塗布せず、その上にポーラススクリーンを貼り付けて非粘着部を設けることで挿入性、搬送性、糊残り性などが改善されると考えられる。しかしこの場合、外周部のポーラススクリーンは支持体に接着されておらず、若干の隙間が開いた状態になっており、結果的にクリーニング操作の際、挿入部や装置内部で引っかかる恐れがある。
【0012】
また、上記不具合を解決するため、部分的に塗布された粘着剤層に重なるようにポーラススクリーンを貼り合わせる方法も検討されたが、特に薄い編み物やネット等の形の定まらないポーラススクリーンを正確に粘着剤層に貼り合わせるのは技術的に容易ではなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために種々検討した結果、以下の方法で課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は支持体の片面または両面の全面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層の全面にポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートにおいて、該粘着剤層の端部が実質的に非粘着部となっていることを特徴とする粘着式クリーニングシートを提供するものである。
【0014】
詳しくは支持体の片面または両面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層にポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートにおいて、該ポーラススクリーンの上に熱可塑性フィルムを積層して非粘着部を形成したことを特徴とする粘着式クリーニングシートに関する。
【0015】
また、支持体の片面または両面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層にポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートにおいて、該粘着剤層の一部を架橋して非粘着部を形成したことを特徴とする粘着式クリーニングシートに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実例を図面にもとづいて説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
図1の(イ)は、本発明に係る粘着式クリーニングシートを示す平面説明図、図1の(ロ)は、図1の(イ)におけるロ−ロ断面説明図である。
図1の(イ)及び(ロ)において、1はシート状の支持体を示し、後述する使用中での曲げに対してほぼ完全にもとの平坦形状に復元され得る曲げ弾性を有している。このシート状支持体1には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどのプラスチックシート、紙(特に、樹脂含浸紙)、合成紙、あるいはこれらの積層体などを使用でき、そのシート厚みは、特に限定されず機器の挿入口などの厚さにより適宜決定すればよく、通常12μm〜2.0mm程度、好ましくは機器の挿入口および作業性における硬さなどの点から50μm〜1.0mm程度が望ましい。
【0017】
またクリーニングシートの形状は特に限定されるものではなく、使用される装置の形状や用途によって適宜選択され、例えば、カード状、シート状、テープ状等に加工して用いられる。
【0018】
2は、支持体1の少なくとも片面に設けられた粘着剤層を示し、該粘着剤層は支持体全面を覆っている。かかる粘着剤層2としては、特に限定されないが例えばアクリル系、スチレン系、シリコーン系などの合成ゴム系、天然ゴム系等を使用でき、その厚みは後述のポーラススクリーンの厚さより薄いのが好ましく、特に10〜50%程度薄いのが望ましい。粘着剤層の厚みが厚すぎると、ポーラススクリーン上に粘着剤がはみ出してしまう恐れがあるからである。
【0019】
3は、粘着剤層2の表面に設けられたポーラスなスクリーンを示し、粘着剤層2全面を覆っている。またポーラススクリーンの材質も織布、不織布、紙、プラスチックネット、編み物等を使用でき、特に繊維の交差した部分により厚さ方向の弾性が得られるという観点から、図2(イ)及び(ロ)に示すような編み物(例えば平均繊維太さ10〜300μm)が好ましく用いられる。
【0020】
またその材質は特に限定されず、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0021】
10は、粘着剤層の端部の非粘着部を示し、該非粘着部は、その用途に合わせクリーニングシートのどの端部に形成しても構わないが、少なくともガイド部との接触が多い先端部に形成されることが好ましい。またその幅は1mm以上、好ましくは3mm以上とされ、これ以上は使用される装置の形状によって形成することができる。
【0022】
粘着剤層を非粘着化する方法として、ポーラススクリーン上に熱可塑性フィルムを貼り付ける方法が用いられる。かかる熱可塑性フィルムは、特に限定はされないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を使用できる。
【0023】
本発明において用いられる該熱可塑性フィルムの厚みは、5μmから100μmであり、好ましくは5〜50μmである。5μm未満では貼り合わせが困難なため作業性が悪化し、また100μmを超えるとクリーニングシート上に段差が生じてしまい、挿入性や搬送性がかえって悪化してしまうため好ましくない。
【0024】
ポーラススクリーン上に熱可塑性フィルムを貼り付ける方法は、特に限定されないが、熱ロールにより加熱圧着する方法、適当な粘着剤あるいは接着剤を用いてラミネートする方法などを用いることができる。
【0025】
また粘着剤層を非粘着化する方法として、該粘着剤層を架橋し接着力を低下させる方法も用いることができる。粘着剤層を架橋する方法としては、粘着剤層に架橋剤を塗布する方法が好適に用いられ、かかる架橋剤は、粘着剤と架橋反応を行うものであれば特に限定はされないが、粘着剤層がアクリル系粘着剤の場合、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を使用する事ができる。
【0026】
これらの架橋剤は直接粘着剤層上に塗布しても構わないが、トルエンや酢酸エチル等の適当な溶媒で希釈して用いることもできる。例えばイソシアネート系架橋剤の場合、その濃度を5〜20%程度に調整すると作業性が向上することから望ましい。
【0027】
該粘着剤に架橋剤を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば 刷毛塗り、スプレー、浸漬等の方法が用いられる。また、必要時応じて加熱、乾燥等の後処理を施すこともできる。
【0028】
図1の(イ)及び(ロ)において、20はポーラススクリーン3のポーラス部分から表出する粘着剤層露出表面を示し、これらの粘着剤層露出表面20の面積S1 とポーラススクリーン3が設けられた粘着剤層表面の面積S2 との比S1 /S2 が、50/1〜1/10、好ましくは20/1〜1/5、さらに好ましくは10/1〜1/3とされている。S1 /S2 が50を超える場合は、後述する非加圧状態での実質的な非粘着性を保証し難く、一方1/10未満では、後述する加圧状態での粘着性を発現し難い。
【0029】
本発明の粘着式クリーニングシートは、図3の(イ)に示すように、ポーラススクリーン3が被クリーニング物4に接触しても、その接触圧が実質上0であれば、ポーラススクリーン3が粘着剤層2の表面から突出しているために、被クリーニング物4の粘着剤層露出表面20への接触が阻止されて実質的に非粘着性を示す。ここで実質的に非粘着性とは、指で軽くふれた程度ではタックを感じない程度をいう。
【0030】
これに対して、図3の(ロ)に示すように、ポーラススクリーン3に被クリーニング物4が十分な接触圧で接触するとクリーニングシート表面が加圧状態に保たれ、クリーニングシートが変形して粘着剤層2がポーラススクリーン3のポーラス部から表出して、粘着剤層露出表面20とポーラススクリーン3の表面とがほぼ面一となって、この粘着剤層露出表面20が被クリーニング物4に接触するようになるため、クリーニングシートが粘着性を発現する。
【0031】
この際のクリーニングシートの粘着力はあまり強粘着であると、機器に使用されている搬送用ゴムローラー等の表面をキズ付けたりのり移りが起こる恐れがあるので好ましくなく、通常5kg/20mm以下、好ましくは2kg/20mm〜200g/20mm程度が望ましい。ここで粘着力は、ポーラススクリーンを設けない状態で、荷重2kgのローラーを1往復でステンレス板に貼り付け後すぐに300mm/分の剥離速度で180°ピーリングした場合の値である。
【0032】
図3の(ロ)に示すように、加圧により被クリーニング物4と粘着剤層露出表面20とが接触されたのち、この粘着剤層露出表面20から被クリーニング物4が分離される際、被クリーニング物4表面の付着埃などが粘着剤層露出表面20側に転写され、この転写作用により被クリーニング物4の表面がクリーニングされていく。この場合、粘着剤層露出表面20と被クリーニング物4との間が分離される際にその界面に作用する引っ張り力に対し、粘着剤層露出表面20の周囲がポーラススクリ−ン3のメッシュ周りで押さえされて粘着剤層露出表面20と支持体1との粘着界面に作用する引っ張り応力fがそれだけ低減されるから、粘着剤層露出表面20が支持体1から分離して被クリーニング物4側に転写するのを(所謂、のり移りを)良好に防止できる。
【0033】
上記加圧状態での被クリーニング物4と粘着剤層露出表面20との界面の粘着後、粘着剤層露出表面20から被クリーニング物4が分離されると、クリーニングシートへの加圧が解除される。本発明のクリーニングシートの構成部材である支持体、粘着剤層及びポーラススクリーン3は、適度の弾性を有するので、変形されたクリーニングシートが加圧状態解除により復元されるから、図3の(イ)に示すように、ポーラススクリーン3が粘着剤層露出表面20より再び突出して再び実質的に非粘着性となる。
【0034】
特に被クリーニング部がカード搬送部における搬送ローラやベルトの場合、これらは一般にゴム弾性体でできているため、上下の搬送部は加圧接触しており、クリーニングシートはこの加圧されている隙間を通過するため、その加圧によりシートが変形し、同時に搬送用ゴム弾性体も変形して粘着剤層露出面が被クリーリング部と接触する。そして、搬送部通過後は、主に支持体の剛性によりシートはもとの形状に復元される。
また、被クリーニング部が磁気読み取り部やサーマルヘッド部の場合、挿入されたクリーニングシートは押さえローラにより被クリーニング部に押しつけられて加圧状態となるが、このローラーもゴム弾性体でできているため、クリーニングカードが変形して上記と同様に粘着剤層露出面が被クリーリング部と接触するのである。
また、本発明においては、上記効果に加えて被クリーニング部4がポーラススクリーン3の表面でこすられることにより、よごれがこすりおとされ、それが粘着剤層2により捕捉されるという効果もある。これは、特にクリーニングシートが厚くて(例えばキャッシュカードタイプ)変形しにくい場合に効果的である。
【0035】
本発明に係る粘着式クリーニングシートの全体の厚みは、クリーニングする機器の挿入口の大きさに応じて適宜決定すればよく、例えばリライトカードのリーダー・ライター機の磁気読み取り部や磁気カード搬送部のクリーニングに使用する場合、通常200〜320μm程度とされる。
【0036】
本発明に係る粘着式クリーニングシートを用いて例えばリライトカードのリーダー・ライター機の磁気読み取り部や磁気カード搬送部、あるいは熱転写印刷用サーマルヘッド部をクリーニングするには、まずカード型粘着式クリーニングシート(以下クリーニングカードという)をカード挿入口に差し込む。この段階において、カードの先端部に非粘着部が形成されているため、その差し込みはいたってスムーズに行われ得る。
この差し込んだクリーニングカードは、引取りロールで引き取られて磁気カード搬送部を通過して行く。この間、搬送部と接触しているポーラススクリーン面が加圧されてカード表面が上記したように粘着性を発現するから、磁気カード搬送部がクリーニングカードの通過に伴いクリーニングされていく。次いで、クリーニングカードは磁気読み取り部の表面と接触し、ポーラススクリーンとこすられてよごれをこすりおとし、さらに粘着剤層露出表面と接触されてよごれがとられる。
【0037】
その後、このクリーニングカードは、引取りロールの回転力でカード取り出し口に送られていく。この場合、磁気カード搬送部及び磁気読み取り部あるいはサーマルヘッド部とクリーニングカードとの粘着界面が粘着剤の糊移りなく分離される。
上記において、クリーニングカードが引取ロールを通過すると実質的に非加圧状態とされて、カード表面が再び実質的に非粘着性にもどる結果、クリーニングカードがカード取り出し口にスムーズに出現されるに至る。さらに、端部に非粘着部が形成されているため、その取り出しはいたってスムーズに行われ得る。
【0038】
上記において、カード挿入口からカード取り出し口に至る間に曲がり通路部が存在する機器もあるが、このクリーニングカードはシート状支持体が50〜350μm程度のものであれば高弾性のためにその曲がり通路部を通過すると、直ぐに平坦形状に戻るから、曲がり通路部以後の走行もスムーズに行われ得る。
【0039】
さらに、本発明のクリーニングカードは先端に非粘着部が形成されているため、曲がり通路部のガイド部に接触する際に引っ掛かって詰まったり、あるいは糊残りを起こすことはない。
【0040】
本発明においては、シート状支持体の両面に粘着剤層を設け、各粘着剤層にポーラススクリーンを設けてなる粘着式クリーニングシートとして構成することもでき、かかるシートの場合、例えば一回目の挿入でA面を使用し、二回目の挿入でB面を使用してクリーニングすることも可能である。
【0041】
本発明に係る粘着式クリーニングシートは、上記で例示したリライトカードのリーダー・ライター機の磁気読み取り部や磁気カード搬送部のクリーニングの他、各種磁気カード対応機器、例えば、公衆電話機、自動改札機、オレンジカードなどのカード式自動切符販売機、ICカード読み取り機、キャシュ・ディスペンサー、プリペイドカード機などの磁気読み取り部、磁気カード搬送部などのクリーニングに使用することができ、更に熱転写方式などの各種プリンター、コピー機などの印字部、引き込みロールなどの搬送部のクリーニングや写真処理機の搬送ローラのクリーニングにも使用できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る粘着式クリーニングシートは、非加圧状態では実質的に非粘着性であり、加圧によって粘着性を発現し、その加圧の解除により実質的に非粘着性もしくは難粘着性に戻り、さらに先端部に非粘着部を設けたことにより挿入性、搬送性、糊残り性が良好であるから、磁気カード対応機器にスムーズに挿入することができ、磁気読み取り部及び磁気カード搬送部通過中の加圧状態でこれら部位を十分に強力な粘着力で効率よくクリーニングでき、さらに搬送部通過に伴う加圧開放で実質的に非粘着性に戻り、スムーズに取り出しが可能で、例えば磁気読み取り部や磁気カード搬送部、各種プリンターなどの印字部などのクリーニングに極めて有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例1
厚み125μm、幅が約35mm、全長が約390mmのポリエチレンテレフタレートシートの片面に、厚み(塗布乾燥後の厚み)30μmのアクリル系粘着剤層(2−エチルヘキシルアクリレート90重量部とアクリル酸10重量部と酢酸エチル300重量部とを混合し、共重合させたもの)を設け、ポーラススクリーンとして図2(イ)の編み物(ポリエステル製、平均繊維太さ45μm)を上記粘着剤層に、温度130℃にて鉄製ロールによる加圧で接着した。さらにシートの長さ方向の前後約70mmに厚さ25μmのポリエチレンフィルムをロール表面温度100℃のラミネーターで貼り合わせた。
このクリーニングシートのポーラススクリーンから表出した粘着剤層露出表面の面積S1 とポーラススクリーンが接着された粘着剤層表面の面積S2 との比S1 /S2 は、3.8/1であった。
また、前記〔0031〕で測定した粘着力は、850g/20mmであった。
【0044】
実施例2
実施例1において、ポリエチレンフィルムをラミネートする代わりに、イソシアネート系架橋剤の20重量%トルエン溶液を刷毛塗りし、100℃で3分間乾燥させて架橋処理を行った以外は、実施例1と同様にして粘着式クリーニングシートを得た。
このクリーニングシートのポーラススクリーンから表出した粘着剤層露出表面の面積S1 とポーラススクリーンが接着された粘着剤層表面の面積S2 との比S1 /S2 は、3.8/1であった。
また、前記と同様に測定した粘着力は、850g/20mmであった。
【0045】
比較例1
実施例1において、ポリエチレンフィルムのラミネートを省略した以外は実施例1と同様にして粘着式クリーニングシートを得た。
【0046】
実施例3
実施例1において、粘着剤として合成ゴム系粘着剤(スチレンーイソプレン−スチレン系ポリマー(シェルケミカル株式会社製クラトン1107)の50重量%トルエン溶液に、固形分100重量部に対し、150重量部のタッキファイヤー(丸善石油化学株式会社製マルカレッツH700M)を混合し、さらに老化防止剤を3重量部添加したもの)を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着式クリーニングシートを得た。
このクリーニングシートのポーラススクリーンから表出した粘着剤層露出表面の面積S1 とポーラススクリーンが接着された粘着剤層表面の面積S2 との比S1 /S2 は、3.8/1であった。
また、前記と同様に測定した粘着力は、1800g/20mmであった。
【0047】
比較例2
実施例3において、ポリエチレンフィルムのラミネートを省略した以外は実施例1と同様にして粘着式クリーニングシートを得た。
【0048】
これらの実施例および比較例で得た粘着式クリーニングシートの性能を比較するために、写真処理機のシート送り構造を模作し、曲がり通路部を含む搬送ローラを人口的に汚し、実施例品及び比較例品を用いてその引取ロールをクリーニングする試験を行ったところ、いずれの実施例品においても、シート挿入前での指感触は非粘着性であり、シート挿入口での粘着は全くなくスムーズに挿入でき、装置内部のターン部での引っ掛かりや詰まりはなく、更に、機器通過後での感触は、挿入前に比べてほぼ同程度の非接着性を示し、シート取り出し口での粘着もなく、取り出しもスムーズに行うことができた。
【0049】
これに対し、いずれの比較例品においても、装置内部のターン部での引っ掛かりや詰まりが発生し、取り出し不能が比較例1で約78%、比較例2で約89%にも達した。
また、取り出した粘着式クリーニングシートの汚れ状態から、実施例品についても、十分なクリーニング効果を確認できた(比較例品中、シート取り出し口を通過したものと比べ、さして遜色は観られなかった。)
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は本発明の粘着式クリーニングシートの実例を示す平面説明図、(ロ)は(イ)におけるロ−ロ断面説明図である。
【図2】本発明の粘着式クリーニングシートの他例の表面における繊維の形状を示す顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図3】本発明の粘着式クリーニングシート使用時の各段階の状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 シート状支持体
2 粘着剤層
10 非粘着部
20 粘着剤層露出表面
3 ポーラススクリーン
Claims (6)
- 支持体の片面または両面の全面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層の全面にポーラススクリーンが設けられた粘着式クリーニングシートにおいて、該粘着剤層の端部が実質的に非粘着部となっていることを特徴とする粘着式クリーニングシート。
- 該ポーラススクリーンの上に熱可塑性フィルムを積層して非粘着部を形成したことを特徴とする請求項1記載の粘着式クリーニングシート。
- 熱可塑性フィルムの厚さが5μmから100μmであることを特徴とする請求項2記載の粘着式クリーニングシート。
- 粘着剤層の全面にポーラススクリーンを設けた後に、該粘着剤層の一部を架橋して非粘着部を形成したことを特徴とする請求項1記載の粘着式クリーニングシート。
- 架橋剤により粘着剤層を部分的に架橋し、非粘着部を形成した請求項4記載の粘着式クリーニングシート。
- 請求項1〜5記載の粘着式クリーニングシートを磁気読み取り部、磁気カード搬送部、熱転写印刷のサーマルヘッド部、写真処理機の搬送ローラなどの被クリーニング体に加圧接触させて、クリーニングすることを特徴とする粘着式クリーニングシートの使用方法。
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