JP4204380B2 - 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法 - Google Patents

電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4204380B2
JP4204380B2 JP2003136270A JP2003136270A JP4204380B2 JP 4204380 B2 JP4204380 B2 JP 4204380B2 JP 2003136270 A JP2003136270 A JP 2003136270A JP 2003136270 A JP2003136270 A JP 2003136270A JP 4204380 B2 JP4204380 B2 JP 4204380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
active material
particles
binder
electrode active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003136270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004348975A (ja
Inventor
鈴木  忠
雅人 栗原
哲 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2003136270A priority Critical patent/JP4204380B2/ja
Priority to PCT/JP2004/006879 priority patent/WO2004102597A2/ja
Priority to CNB2004800130955A priority patent/CN100355124C/zh
Priority to US10/556,567 priority patent/US20070003836A1/en
Publication of JP2004348975A publication Critical patent/JP2004348975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4204380B2 publication Critical patent/JP4204380B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Primary Cells (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次電池、2次電池(特に、リチウムイオン2次電池)、電気分解セル、キャパシタ(特に、電気化学キャパシタ)等の電気化学素子に使用可能な電極の構成材料となる電極用複合粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯機器の発展には目覚しいものがあり、その大きな原動力としては、これらの機器の電源として広く採用されているリチウムイオン2次電池をはじめとする高エネルギー電池の発展が挙げられる。
【0003】
リチウムイオン2次電池をはじめとする高エネルギー電池は、主として、カソードと、アノードと、カソードとアノードとの間に配置される電解質層(例えば、液状電解質又は固体電解質からなる層)とから構成されている。従来から、上記カソード及び/又はアノードは、それぞれの電極活物質と、結着剤(合成樹脂等)と、導電助剤と、分散媒及び/又は溶媒とを含む電極形成用の塗布液(例えば、スラリー状或いはペースト状のもの)を調製し、この塗布液を集電部材(例えば、金属箔等)の表面に塗布し、次いで乾燥させることにより、電極活物質を含む層(以下、「活物質含有層」という。)を集電部材の表面に形成する工程を経て製造されている。
【0004】
なお、この方法(湿式法)においては、塗布液に導電助剤を添加しない場合もある。また、塗布液のかわりに、分散媒及び溶媒を使用せず、電極活物質と、結着剤と、導電助剤とを含む混練物を調製し、この混練物を熱ロール機及び/又は熱プレス機を用いてシート状に成形する場合もある。更に、塗布液に導電性高分子を更に添加し、いわゆる「ポリマー電極」を形成する場合もある。また、電解質層が固体の場合には、塗布液を電解質層の表面に塗布する手順の方法を採用する場合もある。
【0005】
そして、上記高エネルギー電池は、今後の携帯機器の発展に対応すべく電池特性の更なる向上(例えば、高容量化、安全性の向上、エネルギー密度の向上等)を目指して様々な研究開発が進められている。
【0006】
例えば、二酸化マンガン(カソードの活物質)粒子と、当該二酸化マンガン粒子の表面に固定化された炭素材料粉末(導電助剤)とからなる複合粒子をカソードの電極材料に使用して、カソードに起因する電池の充放電容量の低下の防止を図ることにより、電池特性の更なる向上を意図したリチウム2次電池用正極及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、正極活物質(カソードの活物質)、導電剤(導電助剤)、結着剤及び溶媒からなる、固形分20〜50重量%、該固形分の平均粒径10μm以下のスラリーを調製し、該スラリーを噴霧乾燥方式(spray drying)で造粒することにより、放電特性及び生産性等の特性の更なる向上を意図した有機電解液電池用正極合剤の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−262243号公報
【特許文献2】
特開2000−40504号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の複合粒子は、機械的な強度が弱く電極形成中において二酸化マンガン粒子の表面に固定化された炭素材料粉末が剥離し易いため、得られる電極中の炭素材料粉末の分散性が不十分となり易く、期待される電極特性の向上を確実かつ十分に図ることができていないことを本発明者らは見出した。
【0010】
また、特許文献2に記載の有機電解液電池用正極合剤は、溶媒からなるスラリーを熱風中に噴霧乾燥(spray drying)することにより正極活物質、導電剤及び結着剤からなる塊(複合粒子)として製造される。この場合、正極活物質、導電剤及び結着剤が溶媒中に分散した状態で乾燥及び固化が進行するため、乾燥中に結着剤同士の凝集及び導電剤の凝集が進行し、得られる塊(複合粒子)を構成する各正極活物質からなる粒子の表面に、導電剤及び結着剤がそれぞれ効果的な導電ネットワークを保ち十分に分散した状態で密着していないことを本発明者らは見出した。
【0011】
より詳しくは、特許文献2に記載の技術では、図5に示すように、得られる塊(複合粒子)P100を構成する各正極活物質からなる粒子の中には、大きな結着剤からなる凝集体P33のみに囲まれて、該塊(複合粒子)P100中に電気的に孤立して利用されないものP11が多く存在することことを本発明者らは見出した。また、乾燥中に導電剤からなる粒子が凝集体となると、得られる塊(複合粒子)P100中で、導電剤からなる粒子が凝集体P22として偏在してしまい、該塊(複合粒子)P100中十分な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)を構築できず、十分な電子伝導性を得ることができていないことを本発明者らは見出した。更に、導電剤からなる粒子の凝集体P22が大きな結着剤からなる凝集体P33のみに囲まれて電気的に孤立することもあり、この観点からも該塊(複合粒子)P100中十分な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)を構築できず、十分な電子伝導性を得ることができていないことを本発明者らは見出した。
【0012】
また、上述の特許文献1及び特許文献2に記載の複合粒子をはじめとする従来の電極では、電極の形状安定性を確保する観点から絶縁性或いは電子伝導性の低い結着剤(バインダー)を電極活物質及び導電助剤とともに使用するため、この観点からも電極の電子伝導性を確保することが十分にできていなかった。更に、上述の特許文献1及び特許文献2に記載の複合粒子を使用して電極を作成する場合においても結着剤を使用しているため、上記の問題が発生することを本発明者らは見出した。
【0013】
更に、上記のリチウムイオン2次電池の他の種類の1次電池及び2次電池においても、先に述べた従来一般の製造方法(湿式法)、即ち、電極活物質、導電助剤及び結着剤を少なくとも含む塗布液又は混練物を用いる方法により製造した電極を有するものについては、上述と同様の問題があった。
【0014】
更に、電池における電極活物質のかわりに電子伝導性の材料(炭素材料又は金属酸化物)を用い、これと導電助剤及び結着剤を少なくとも含む塗布液又は混練物を用いる方法により製造した電極を有するキャパシタ(電気二重層キャパシタとはじめとする電気化学キャパシタ等)及び電気分解セルにおいても、上述と同様の問題があった。
【0015】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、電極の構成材料に結着剤を使用した場合であっても、優れた電極特性を有する電極を容易かつ確実に形成することのできる電極用複合粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、上記電極用複合粒子を容易かつ確実に得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来の電極形成方法では、電極形成の際に先に述べた電極活物質、導電助剤及び結着剤を少なくとも含む塗布液(スラリー)又は混練物を用いる方法を採用しているため、得られる電極の活物質含有層中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態が効果的な導電ネットワークを構築できていない状態、例えば、この分散状態が不均一となっていることが上述の問題の発生に対して大きな影響を及ぼしていることを見出した。
【0017】
すなわち、特許文献1に記載の複合粒子をはじめとする従来の塗布液又は混練物を用いる方法では、塗布液又は混練物を集電部材の表面に塗布して当該表面に塗布液又は混練物からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させて溶媒を除去することにより活物質含有層を形成する。本発明者らは、この塗膜の乾燥の過程において、比重の軽い導電助剤及び結着剤が塗膜表面付近まで浮き上がってしまい、その結果、塗膜中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態が効果的な導電ネットワークを構築できていない状態、例えば、この分散状態が不均一となり、電極活物質、導電助剤及び結着剤の三者間の密着性が充分に得られず、得られる活物質含有層中に良好な電子伝導パスが構築されなくなっていることを見出した。
【0018】
更に、特許文献2に記載の複合粒子をはじめとする従来のスラリーを噴霧乾燥方式(spray drying)で造粒する方法では、同一のスラリー中に、正極活物質(カソードの活物質)、導電剤(導電助剤)、及び、結着剤を含ませているために、得られる造粒物(複合粒子)中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態は、スラリー中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態(特に、スラリーの液滴の乾燥が進行する過程での電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態)に依存するため、先に述べた、結着剤の凝集とその偏在、及び、導電助剤の凝集とその偏在が起こり、得られる造粒物(複合粒子)中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態が効果的な導電ネットワークを構築できていない状態、例えば、この分散状態が不均一となり、電極活物質、導電助剤及び結着剤の三者間の密着性が充分に得られず、得られる活物質含有層中に良好な電子伝導パスが構築されなくなっていることを見出した。
【0019】
また、本発明者らは、この場合、導電助剤及び結着剤を電解液に接触し、電極反応に関与できる電極活物質の表面に選択的にかつ良好に分散させることができず、反応場で発生する電子を効率よく伝導させる電子伝導ネットワークの構築に寄与しない無駄な導電助剤が存在したり、単に電気抵抗を増大させるだけの存在となる無駄な結着剤が存在していることことを見出した。
【0020】
更に、本発明者らは、特許文献1及び特許文献2の複合粒子をはじめとする従来技術では、塗膜中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態が不均一となるため、集電体に対する電極活物質及び導電助剤の密着性も充分に得られていないことも見出した。特に、塗膜及びこれより得られる電極中の電極活物質、導電助剤及び結着剤の分散状態が不均一となり、これらの成分がそれぞれ電極中で偏在してしまう問題は、電極の厚さを大きくする場合に顕著となる。
【0021】
そして本発明者らは、結着剤を用いた場合には電極の内部抵抗が増大する傾向にあるということが当業者の一般的な認識であったにも拘わらず、以下のことを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明者らは、電極活物質、導電助剤及び結着剤を含む粒子を以下の造粒工程を経て予め形成し、これを構成材料として電極の活物質含有層を形成すれば、結着剤が含まれているにも拘わらず、比抵抗値(或いは、みかけの体積でノーマライズした場合の内部抵抗値)が電極活物質そのものの値よりも十分に低い活物質含有層を構成できることを見出し、本発明に到達した(実施例参照)。
【0022】
すなわち、本発明は、電極活物質と、電子伝導性を有する導電助剤と、電極活物質と導電助剤とを結着させることが可能な結着剤と、を含む電極用複合粒子であって、
電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と結着剤とを密着させて一体化させる造粒工程を経て形成されており、
造粒工程は、
結着剤と導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
流動槽中に気流を発生させ、該気流中に電極活物質からなる粒子を投入し、電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
電極活物質からなる粒子を含む流動層中に原料液を噴霧することにより、原料液を電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、電極活物質からなる粒子の表面に付着した原料液から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子と導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
を含んでいること、
を特徴とする電極用複合粒子を提供する。
【0023】
ここで、本発明において、電極用複合粒子の構成材料となる「電極活物質」とは、形成すべき電極により以下の物質を示す。すなわち、形成すべき電極が1次電池のアノードとして使用される電極の場合には「電極活物質」とは還元剤を示し、1次電池のカソードの場合には「電極活物質」とは酸化剤を示す。また、「電極活物質よりなる粒子」中には、本発明の機能(電極活物質の機能)を損なわない程度の電極活物質以外の物質が入っていてもよい。
【0024】
また、形成すべき電極が2次電池に使用されるアノード(放電時)の場合には、「電極活物質」とは還元剤であって、その還元体及び酸化体の何れの状態においても化学的安定に存在可能な物質であり、酸化体から還元体への還元反応及び還元体から酸化体への酸化反応が可逆的に進行可能である物質を示す。更に、形成すべき電極が2次電池に使用されるカソード(放電時)の場合には、「電極活物質」とは酸化剤であって、その還元体及び酸化体の何れの状態においても化学的安定に存在可能な物質であり、酸化体から還元体への還元反応及び還元体から酸化体への酸化反応が可逆的に進行可能である物質を示す。
【0025】
また、上記以外にも、形成すべき電極が1次電池及び2次電池に使用される電極の場合、「電極活物質」は、電極反応に関与する金属イオンを吸蔵又は放出(インターカレート、又は、ドープ・脱ドープ)することが可能な材料であってもよい。この材料としては、例えば、リチウムイオン2次電池のアノード及び/又はカソードに使用される炭素材料や、金属酸化物(複合金属酸化物を含む)等が挙げられる。
【0026】
なお、説明の便宜上、本明細書においては、アノードの電極活物質を「アノード活物質」といい、カソードの電極活物質を「カソード活物質」という。この場合の「アノード活物質」という場合の「アノード」とは、電池の放電時の極性を基準とするもの(負極活物質)であり、「カソード活物質」という場合の「カソード」は、電池の放電時の極性を基準とするもの(正極活物質)である。アノード活物質及びカソード活物質の具体的な例示については後述する。
【0027】
また、形成すべき電極が電気分解セルに使用される電極又はキャパシタ(コンデンサ)に使用される電極の場合には、「電極活物質」とは、電子伝導性を有する、金属(金属合金を含む)、金属酸化物又は炭素材料を示す。
【0028】
上述の造粒工程では、流動槽中において、電極活物質からなる粒子に、導電助剤と結着剤とを含む原料液の微小な液滴を直接噴霧するため、先に述べた従来の複合粒子の製造方法の場合に比較して、複合粒子を構成する各構成粒子の凝集の進行を十分に防止でき、その結果、得られる複合粒子中の各構成粒子の偏在化を十分に防止できる。また、導電助剤及び結着剤を電解液に接触し、電極反応に関与できる電極活物質の表面に選択的にかつ良好に分散させることができる。
そのため、本発明の電極用複合粒子は、導電助剤、電極活物質及び結着剤のそれぞれを極めて良好な分散状態で互いに密着せしめた粒子となる。また、本発明の電極用複合粒子は、造粒工程において、流動槽中の温度、流動槽中に噴霧する原料液の噴霧量、流動槽中に発生させる気流中に投入する電極活物質の投入量、流動槽中に発生させる気流の速度、気流の流れ(循環)の様式(層流、乱流等)等を調節することにより、その粒子サイズを調節することができる。そして、この電極用複合粒子は、電極を製造する際の塗布液又は混練物の構成材料に使用される。
【0029】
この電極用複合粒子内部には、極めて良好な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)が3次元的に構築されている。この電子伝導パスの構造は、この粒子を含む塗布液又は混練物を調製した後においても、調製条件を調節すること(例えば、塗布液を調製する際の分散媒又は溶媒の選択等)によりほぼ当初の状態を保持させることが容易にできる。
【0030】
そのため、集電部材表面に、電極用複合粒子を含む塗布液又は混練物からなる液膜を形成し、次いで、液膜を固化させる過程(例えば、液膜を乾燥させる等の過程)において、従来のような導電助剤、電極活物質及び結着剤の間の密着性の低下、並びに、集電部材表面に対する導電助剤及び電極活物質の密着性の低下を充分に防止することができる。
【0031】
その結果、本発明者らは、本発明において得られる電極の活物質含有層内には従来の電極に比較して極めて良好な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)が3次元的に構築されていると推察している。
【0032】
また、電極の活物質含有層を比較的厚くする場合(例えば、150μm以上とする場合)であっても、本発明の電極用複合粒子を用いることにより、従来よりも良好な電極特性を得ることができる。すなわち、電池等の電気化学素子の容量当りのエネルギー密度を従来よりも容易かつ確実に向上させることができる。更に、電極の活物質含有層を比較的薄くする場合(例えば、100μm以下とする場合)であっても、優れた電子伝導性を有する本発明の電極用複合粒子を用いることにより、内部抵抗の低い電極を形成できるので、この電極を備える電気化学素子は、従来のものよりも比較的高い電流密度(例えば、活物質含有層の厚さを100μmとしたときに3mA/cm2以上)での速やかでありかつ再現性のよい充放電(ただし電気化学素子が1次電池の場合は放電のみ)が可能となる。
【0033】
なお、(A)電極用複合粒子を形成する際に構成材料としてイオン伝導性を有する導電性高分子を更に添加するか、(B)電極形成用塗布液又は電極形成用混練物を調製する際に、イオン伝導性を有する導電性高分子を電極用複合粒子以外の構成成分として添加するか、(C)イオン伝導性を有する導電性高分子を、電極用複合粒子の構成材料、及び、電極形成用塗布液又は電極形成用混練物の構成成分として何れにも添加するかのいずれかの手法をおこなうことによっても、電極の活物質含有層内に極めて良好なイオン伝導パスを容易に構築することができる。
【0034】
また、電極用複合粒子の構成材料となる結着剤としてイオン伝導性を有する導電性高分子を使用可能な場合には、イオン伝導性を有する導電性高分子を使用してもよい。イオン伝導性を有する結着剤も活物質含有層内のイオン伝導パスの構築に寄与すると考えられる。この電極用複合粒子を用いることにより先に述べたポリマー電極を形成することができる。また、電極用複合粒子の構成材料となる結着剤として、電子伝導性を有する高分子電解質を使用してもよい。
【0035】
このような構成とすることにより、本発明では、従来の電極よりも優れた電子伝導性及びイオン伝導性を有する電極を容易かつ確実に形成することができる。本発明の電極用複合粒子を用いて形成される電極は、活物質含有層内で進行する電荷移動反応の反応場となる導電助剤、電極活物質及び電解質(固体電解質又は液状電解質)との接触界面が、3次元的にかつ充分な大きさで形成されており、なおかつ、活物質含有層と集電部材との電気的接触状態も極めて良好な状態にある。
【0036】
また、本発明においては、導電助剤、電極活物質及び結着剤のそれぞれの分散状態が極めて良好な電極用複合粒子を予め形成するため、導電助剤及び結着剤の添加量を従来よりも充分に削減できる。
【0037】
なお、本発明において、導電性高分子を用いる場合、導電性高分子は、先に述べた電極用複合粒子の構成要素となる導電性高分子と同種であっても異種であってもよい。
【0038】
更に、本発明においては、電極活物質が1次電池又は2次電池のカソードに使用可能な活物質であってもよい。また、本発明においては、電極活物質が1次電池又は2次電池のアノードに使用可能な活物質であってもよい。更に、本発明においては、電極活物質が電気分解セル又はキャパシタを構成する電極に使用可能な電子伝導性を有する炭素材料又は金属酸化物であってもよい。なお、本発明においては、電気分解セル又はキャパシタは、第1の電極(アノード)と、第2の電極(カソード)と、イオン伝導性を有する電解質層とを少なくとも備えており、第1の電極(アノード)と第2の電極(カソード)とが電解質層を介して対向配置された構成を有する電気化学セルを示す。また、本明細書において、「キャパシタ」は「コンデンサ」と同義とする。
【0039】
ここで、本明細書において、「電気化学素子」とは、互いに対向する第1の電極(アノード)及び第2の電極(カソード)とを少なくとも有しており、これら第1の電極と第2の電極との間に配置されるイオン伝導性を有する電解質層を少なくとも備えた構成を有するものを示す。また、「イオン伝導性を有する電解質層」とは、(1)絶縁性材料から形成された多孔質のセパレータであって、その内部に電解質溶液(或いは電解質溶液にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状の電解質)が含浸されているもの、(2)固体電解質膜(固体高分子電解質からなる膜又はイオン伝導性無機材料を含む膜)、(3)電解質溶液にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状の電解質からなる層、(4)電解質溶液からなる層を示す。
【0040】
なお、上記(1)〜(4)の構成の何れの場合にも、第1の電極及び第2の電極の内部にもそれぞれに使用される電解質が含有されている構成を有していてもよい。
【0041】
また、本明細書においては、(1)〜(3)の構成において、第1の電極(アノード)、電解質層、第2の電極(カソード)からなる積層体を、必要に応じて「素体」という。更に、素体は、上記(1)〜(3)の構成のように、3層構造のものの他に、上記電極と電解質層とが交互に積層された5層以上の構成を有していてもよい。
【0042】
また、上記(1)〜(4)の構成の何れの場合にも、電気化学素子は、複数の単位セルを1つのケース内に直列或いは並列に配置させたモジュールの構成を有していてもよい。
【0043】
電極用複合粒子を含む電極を、アノード及びカソードのうちの少なくとも一方、好ましくは両方として備えることにより、優れた充放電特性を得ることのできる電気化学素子を容易かつ確実に構成することができる。
【0044】
本発明は、電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と、電極活物質と導電助剤とを結着させることが可能な結着剤とを密着させて一体化することにより、電極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む複合粒子を形成する造粒工程を有しており、
造粒工程は、
結着剤と導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
流動槽中に気流を発生させ、該気流中に電極活物質からなる粒子を投入し、電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
電極活物質からなる粒子を含む流動層中に原料液を噴霧することにより、原料液を電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、電極活物質からなる粒子の表面に付着した原料液から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子と導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
を含むこと、
を特徴とする電極用複合粒子の製造方法を提供する。
【0045】
上述の造粒工程を経ることにより、先に述べた構造を有する本発明の電極用複合粒子を容易かつ確実に形成することができる。そのため、この製造方法により得られる電極用複合粒子を用いることにより、優れた分極特性を有する電極をより容易かつ確実に形成することができ、ひいては優れた充放電特性を有する電気化学素子を容易かつ確実に構成することができる。
【0046】
ここで、本発明の電極用複合粒子の製造方法における造粒工程において、上述の「電極活物質からなる粒子に導電助剤と結着剤とを密着させて一体化すること」とは、電極活物質からなる粒子の表面の少なくとも一部分に、導電助剤からなる粒子と結着剤からなる粒子とをそれそれ接触させた状態とすることを示す。すなわち、電極活物質からなる粒子の表面は、導電助剤からなる粒子と結着剤からなる粒子とによりその一部が覆われていれば十分であり、全体が覆われている必要は無い。なお、本発明の電極用複合粒子の製造方法の造粒工程において使用する「結着剤」は、これとともに使用される電極活物質と導電助剤とを結着させることが可能なものを示す。
【0047】
また、本発明においては、先に述べた構造を有する電極用複合粒子をより容易かつより確実に形成する観点から、造粒工程は、流動槽中の温度を50℃以上で、結着剤の融点を大幅に越えない温度に調節することが好ましく、流動槽中の温度を50℃以上で、結着剤の融点以下に調節することがより好ましい。この結着剤の融点とは、その結着剤の種類にもよるが、例えば200℃程度である。流動槽中の温度が50℃未満となると、噴霧中の溶媒の乾燥が不十分となる傾向が大きくなる。流動槽中の温度が結着剤の融点を大幅に越えると、結着剤が溶融し粒子の形成に大きな支障をきたす傾向が大きくなる。流動槽中の温度が結着剤の融点よりも若干上回る程度の温度であれば、条件により上記の問題の発生を十分に防止することができる。また、流動槽中の温度が結着剤の融点以下であれば、上記の問題は発生しない。
【0048】
更に、本発明の電極用複合粒子の製造方法においては、先に述べた構造を有する電極用複合粒子をより容易かつより確実に形成する観点から、造粒工程において、流動槽中に発生させる気流は、空気、窒素ガス、又は、不活性ガスからなる気流であることが好ましい。更に、造粒工程において、流動槽中の湿度(相対湿度)は、上記の好ましい温度範囲において30%以下とすることが好ましい。
【0049】
また、本発明の電極用複合粒子の製造方法においては、造粒工程において、原料液に含まれる溶媒は結着剤を溶解可能又は分散可能であるとともに導電助剤を分散可能であることが好ましい。これによっても、得られる電極用複合粒子中の結着剤、導電助剤及び電極活物質の分散性をより高めることができる。電極用複合粒子中の結着剤、導電助剤及び電極活物質の分散性をより高める観点から、原料液に含まれる溶媒は結着剤を溶解可能であるとともに導電助剤を分散可能であることがより好ましい。
【0050】
更に、本発明の電極用複合粒子の製造方法は、結着剤として導電性高分子を使用することを特徴としていてもよい。これにより、得られる電極用複合粒子には、導電性高分子が更に含有されることになる。そして、この電極用複合粒子を用いることにより先に述べたポリマー電極を形成することができる。上記の導電性高分子はイオン伝導性を有するものであってもよく、電子伝導性を有するものであってもよい。導電性高分子がイオン伝導性を有するものである場合には、電極の活物質含有層内に極めて良好なイオン伝導パス(イオン伝導ネットワーク)をより容易かつより確実に構築することができる。導電性高分子が電子伝導性を有するものである場合には、電極の活物質含有層内に極めて良好な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)をより容易かつより確実に構築することができる。
【0051】
また、本発明の電極用複合粒子の製造方法においては、造粒工程において、原料液には、導電性高分子が更に溶解されていてもよい。この場合にも、得られる電極用複合粒子には、導電性高分子が更に含有されることになる。そして、この電極用複合粒子を用いることにより先に述べたポリマー電極を形成することができる。上記の導電性高分子はイオン伝導性を有するものであってもよく、電子伝導性を有するものであってもよい。導電性高分子がイオン伝導性を有するものである場合には、電極の活物質含有層内に極めて良好なイオン伝導パス(イオン伝導ネットワーク)をより容易かつより確実に構築することができる。導電性高分子が電子伝導性を有するものである場合には、電極の活物質含有層内に極めて良好な電子伝導パス(電子伝導ネットワーク)をより容易かつより確実に構築することができる。
【0052】
上述の本発明の電極用複合粒子の製造方法により得られる電極用複合粒子を用いることにより、優れた分極特性を有する電極を容易かつ確実に得ることができる。更に、この電極をアノード及びカソードのうちの少なくとも一方、好ましくは両方に用いることにより優れた充放電特性を有する電気化学素子を容易かつ確実に構成することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
図1は、本発明の電極用複合粒子の好適な一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【0055】
図1に示すように、電極用複合粒子P10は、電極活物質からなる粒子P1と、導電助剤からなる粒子P2と、結着剤からなる粒子P3とから構成されている。この電極用複合粒子P10の平均粒子径は特に限定されない
【0056】
電極用複合粒子P10を用い、電気化学素子としてリチウムイオン2次電池のアノード(放電時)の活物質含有層を構成する場合、アノードに含まれる電極用複合粒子P10を構成する電極活物質は特に限定されず公知の電極活物質を使用してよい。例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li3Ti512)等が挙げられる。
【0057】
アノードに含まれる電極用複合粒子P10を構成する導電助剤は特に限定されず公知の導電助剤を使用してよい。例えば、カーボンブラック類、高結晶性の人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、上記炭素材料及び金属微粉の混合物、ITOのような導電性酸化物が挙げられる。
【0058】
アノードに含まれる電極用複合粒子P10を構成する結着剤は、上記の電極活物質の粒子と導電助剤の粒子とを結着可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、この結着剤は、上記の電極活物質の粒子と導電助剤の粒子とを結着のみならず、箔(集電部材24)と電極用複合粒子P10との結着に対しても寄与している。
【0059】
また、上記の他に、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
【0060】
更に、上記の他に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。また、先に述べた導電性高分子を用いてもよい。
【0061】
なお、電極用複合粒子P10には、導電性高分子からなる粒子を当該電極用複合粒子P10の構成成分として更に添加してもよい。また、電極用複合粒子P10を用いて電極を形成する際に、電極用複合粒子P10を含む塗布液又は混練物を調製する際に、導電性高分子からなる粒子を当該塗布液又は混練物の構成材料として添加してもよい。
【0062】
例えば、電極用複合粒子P10を用い、電気化学素子としてリチウムイオン2次電池のアノードの活物質含有層を構成する場合、導電性高分子は、リチウムイオンの伝導性を有していれば特に限定されない。例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr、Li(CF3SO22N、LiN(C25SO2)2リチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
【0063】
また、電気化学素子が金属リチウム2次電池の場合には、そのアノードは、集電部材を兼ねた金属リチウム又はリチウム合金のみからなる電極であってもよい。リチウム合金は特に限定されず、例えば、Li−Al,LiSi,LiSn等の合金(ここでは、LiSiも合金として取り扱うものとする)があげられる。この場合、カソードは後述する構成の電極用複合粒子P10を用いて構成する。
【0064】
電極用複合粒子P10を用い、電気化学素子としてリチウムイオン2次電池のカソード(放電時)の活物質含有層を構成する場合、電極用複合粒子P10を構成する電極活物質は特に限定されず公知の電極活物質を使用してよい。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn24)、及び、一般式:LiNixMnyCoz2(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物、V25、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム((Li3Ti512)等が挙げられる。
【0065】
更に、カソードに含まれる電極用複合粒子P10を構成する電極活物質以外の各構成要素は、アノードに含まれる電極用複合粒子P10を構成するものと同様の物質を使用することができる。また、このカソードに含まれる電極用複合粒子P10を構成する結着剤も、上記の電極活物質の粒子と導電助剤の粒子とを結着のみならず、集電部材と電極用複合粒子P10との結着に対しても寄与している。
【0066】
次に、本発明の電極用複合粒子P10の製造方法の好適な一実施形態について説明する。
【0067】
電極用複合粒子P10は、電極活物質からなる粒子P1に導電助剤と結着剤とを密着させて一体化することにより、電極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む複合粒子を形成する造粒工程を経て形成される。この造粒工程について説明する。
【0068】
図2を用いて造粒工程をより具体的に説明する。図2は、電極用複合粒子を製造する際の造粒工程の一例を示す説明図である。
【0069】
造粒工程は、結着剤と前記導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、流動槽中に気流を発生させ、該気流中に電極活物質からなる粒子を投入し、電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、電極活物質からなる粒子を含む流動層中に原料液を噴霧することにより、原料液を電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、電極活物質からなる粒子の表面に付着した原料液から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子と導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、とを含む。
【0070】
先ず、原料液調製工程では、結着剤を溶解可能な溶媒を用い、この溶媒中に結着剤を溶解させる。次に得られた溶液に、導電助剤を分散させて原料液を得る。なお、この原料液調製工程では、結着剤を分散可能な溶媒(分散媒)であってもよい。
【0071】
次に、流動層化工程においては、図2に示すように、流動槽5内において、気流を発生させ、該気流中に電極活物質からなる粒子P1を投入することにより、電極活物質からなる粒子を流動層化させる。
【0072】
次に、噴霧乾燥工程では、図2に示すように、流動槽5内において、原料液の液滴6を噴霧することにより、原料液の液滴6を流動層化した電極活物質からなる粒子P1に付着させ、同時に流動槽5内において乾燥させ、電極活物質からなる粒子P1の表面に付着した原料液の液滴6から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子P1と導電助剤からなる粒子P2とを密着させ、電極用複合粒子P10を得る。
【0073】
より具体的には、この流動槽5は、例えば、筒状の形状を有する容器であり、その底部には、温風(又は熱風)L5を外部から流入させ、流動槽5内で電極活物質からなる粒子を対流させるための開口部52が設けられている。また、この流動槽5の側面には、流動槽5内で対流させた電極活物質からなる粒子P1に対して、噴霧される原料液の液滴6を流入させるための開口部54が設けられている。流動槽5内で対流させた電極活物質からなる粒子P1に対してこの結着剤と導電助剤と溶媒とを含む原料液の液滴6を噴霧する。
【0074】
このとき、電極活物質からなる粒子P1の置かれた雰囲気の温度を、例えば温風(又は熱風)の温度を調節する等して、原料液の液滴6中の溶媒を速やかに除去可能な所定の温度{好ましくは、50℃から結着剤の融点を大幅に超えない温度、、より好ましくは50℃から結着剤の融点以下の温度(例えば、200℃)}に保持しておき、電極活物質からなる粒子P1の表面に形成される原料液の液膜を、原料液の液滴6の噴霧とほぼ同時に乾燥させる。これにより、電極活物質からなる粒子の表面に結着剤と導電助剤とを密着させ、電極用複合粒子P10を得る。
【0075】
ここで、結着剤を溶解可能な溶媒は、結着剤を溶解可能であり導電助剤を分散可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0076】
次に、電極用複合粒子P10を用いた電極の形成方法の好適な一例として、電極用複合粒子P10を含む電極形成用塗布液を調製し、これを用いて電極を形成する場合について説明する。
【0077】
先ず、作製した電極用複合粒子P10と、電極用複合粒子P10を分散可能な液体と、必要に応じて添加される導電性高分子とを混合した混合液を作製し、混合液から上記液体の一部を除去して、塗布に適した粘度に調節することにより電極形成用塗布液を得ることができる。
【0078】
より具体的には、導電性高分子を用いる場合には、図3に示すように、例えば、スターラー等の所定の撹拌手段(図示せず)を有する容器8内において、電極用複合粒子P10を分散可能な液体と、導電性高分子又は該導電性高分子の構成材料となるモノマーとを混合した混合液を調製しておく。次に、この混合液に電極用複合粒子P10を添加して充分に撹拌することにより、電極形成用塗布液7を調製することができる。
【0079】
次に、電極形成用塗布液を、集電部材(図示せず)の表面に塗布し、当該表面上に、塗布液の液膜を形成する。次に、この液膜を乾燥させることにより、集電部材上に活物質含有層を形成し電極の作製を完了する。ここで、電極形成用塗布液を集電部材の表面に塗布する際の手法は特に限定されるものではなく、集電体の材質や形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0080】
また、電極形成用塗布液の液膜から活物質含有層を形成する際の手法としては、乾燥以外に、塗布液の液膜から活物質含有層を形成する際に、液膜中の構成成分間の硬化反応(例えば、導電性高分子の構成材料となるモノマーの重合反応)を伴う場合があってもよい。例えば、紫外線硬化樹脂(導電性高分子)の構成材料となるモノマーを含む電極形成用塗布液を使用する場合、先ず、集電部材上に、電極形成用塗布液を上述の所定の方法により塗布する。次に、塗布液の液膜に、紫外線を照射することにより活物質含有層を形成する。
【0081】
この場合、導電性高分子(導電性高分子からなる粒子)を予め電極形成用塗布液に含有させておく場合に比較して、集電部材上に電極形成用塗布液の液膜を形成した後、液膜中でモノマーを重合させて導電性高分子を生成させることにより、液膜中での電極用複合粒子P10の良好な分散状態をほぼ保持したまま、電極用複合粒子P10間の間隙に導電性高分子を生成させることができるので、得られる活物質含有層中の電極用複合粒子P10と導電性高分子との分散状態をより良好にすることができる。
【0082】
すなわち、得られる活物質含有層中に、より微細で緻密な粒子(電極用複合粒子P10と導電性高分子からなる粒子)が一体化したイオン伝導ネットワーク及び電子伝導ネットワークを構築することができる。そのためこの場合、比較的低い作動温度領域においても電極反応を充分に進行させることが可能な優れた分極特性を有するポリマー電極をより容易かつより確実に得ることができる。
【0083】
更にこの場合、紫外線硬化樹脂の構成材料となるモノマーの重合反応は、紫外線照射により進行させることができる。
【0084】
更に、得られる活物質含有層を、必要に応じて、熱平板プレスや熱ロールを使用して熱処理し、シート化する等の圧延処理を施してもよい。
【0085】
また、ここでは、電極用複合粒子P10を用いた電極の形成方法の一例として、電極用複合粒子P10を含む電極形成用塗布液を調製しこれを用いて電極を形成する場合について説明したが、電極用複合粒子P10を用いた電極の形成方法はこれに限定されない。例えば、塗布液に使用する電極用複合粒子P10を分散又は溶解可能な液体を使用せずに、電極用複合粒子P10単体又は電極活物質含有層の構成成分からなる混練物を調製し、これらを熱ロールや熱プレス等の乾式プロセスにより電極化してもよい。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0087】
例えば、本発明の電極用複合粒子により形成される電極は、活物質含有層が本発明の電極用複合粒子を用いて形成されるものであればよく、それ以外の構造は特に限定されない。また、電気化学素子も本発明の電極をアノード及びカソードのうちの少なくとも一方の電極として備えていればよく、それ以外の構成及び構造は特に限定されない。
【0088】
また、上述の実施形態の説明では、電気化学素子として2次電池の構成を有するものについて説明したが、例えば、本発明の電極用複合粒子により形成される電極を備えた電気化学素子は、1次電池であってもよい。電極用複合粒子の電極活物質としては上述の例示物質の他に、既存の1次電池に使用されているものを使用してよい。導電助剤及び結着剤は上述の例示物質と同様であってよい。
【0089】
更に、本発明の電極用複合粒子により形成される電極は電池用の電極に限定されず、例えば、電気分解セル、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、擬似容量キャパシタ、アルミ電解コンデンサ等)、又は、電気化学センサに使用される電極であってもよい。例えば、電気二重層キャパシタ用電極の場合、電極用複合粒子P10を構成する電極活物質としては、ヤシガラ活性炭、ピッチ系活性炭、フェノール樹脂系活性炭等の電気二重層容量の高い炭素材料を使用することができる。
【0090】
更に、例えば、食塩電解に使用されるアノードとして、例えば、酸化ルテニウム(或いは酸化ルテニウムとこれ以外の金属酸化物との複合酸化物)を熱分解したものを本発明における電極活物質として、電極用複合粒子P10の構成材料として使用し、得られる電極用複合粒子P10を含む活物質含有層をチタン基体上に形成した電極を構成してもよい。
【0091】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0092】
(実施例1)
以下に示す手順により、リチウムイオン2次電池のカソードの活物質含有層の形成に使用可能な電極用複合粒子を先に述べた造粒工程を経る方法により作製した。ここで、電極用複合粒子P10は、カソードの電極活物質(90質量%)、導電助剤(6質量%)及び結着剤(4質量%)から構成した。
【0093】
カソードの電極活物質としては、一般式:LixMnyNizCo1-x-ywで表される複合金属酸化物のうち、x=1、y=0.33、z=0.33、w=2となる条件を満たす複合金属酸化物の粒子(BET比表面積:0.55m2/g、平均粒子径:12μm)を用いた。また、導電助剤としては、アセチレンブラックを用いた。更に、結着剤としてはポリフッ化ビニリデンを用いた。
【0094】
先ず、原料液調製工程において、ポリフッ化ビニリデンをN,N−ジメチルホルムアミド{(DMF):溶媒}に溶解させた溶液にアセチレンブラックを分散させた「原料液」(アセチレンブラック3質量%、ポリフッ化ビニリデン2質量%)を調製した。
【0095】
次に、流動層化工程において、図2示した流動槽5と同様の構成を有する容器内で空気からなる気流を発生させ、複合金属酸化物の粉体を投入しこれを流動層化させた。次に、噴霧乾燥工程において、上記の原料液を流動層化した複合金属酸化物の粉体に噴霧し、当該粉体表面に溶液を付着させた。なお、この噴霧を行う際の粉体の置かれる雰囲気中の温度を一定に保持することにより、噴霧とほぼ同時に当該粉体表面からN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。このようにして粉体表面にアセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンを密着させ、電極用複合粒子P10(平均粒子径:150μm)を得た。
【0096】
なお、この造粒処理において使用する電極活物質、導電助剤及び結着剤のそれぞれの量は、最終的に得られる電極用複合粒子P10中のこれらの成分の質量比が上述の値となるように調節した。
【0097】
(実施例2)
以下に示す手順により、リチウムイオン2次電池のアノードの活物質含有層の形成に使用可能な電極用複合粒子を先に述べた造粒工程を経る方法により作製した。ここで、電極用複合粒子P10は、アノードの電極活物質(85質量%)、導電助剤(5質量%)及び結着剤(10質量%)から構成した。
【0098】
アノードの電極活物質としては、人造黒鉛(BET比表面積:1.0m2/g、平均粒子径:30μm)を用いた。また、導電助剤としては、アセチレンブラックを用いた。更に、結着剤としてはポリフッ化ビニリデンを用いた。
【0099】
先ず、原料液調製工程において、ポリフッ化ビニリデンをN,N−ジメチルホルムアミド{(DMF):溶媒}に溶解させた溶液にアセチレンブラックを分散させた「原料液」(アセチレンブラック2質量%、ポリフッ化ビニリデン4質量%)を調製した。
【0100】
次に、噴霧乾燥工程において、上記の原料液を図2に示した流動槽5と同様の構成を有する容器内で流動層化させた人造黒鉛の粉体に噴霧し、当該粉体表面に溶液を付着させた。なお、この噴霧を行う際の粉体の置かれる雰囲気中の温度を一定に保持することにより、噴霧とほぼ同時に当該粉体表面からN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。このようにして粉体表面にアセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンを密着させ、電極用複合粒子P10(平均粒子径:300μm)を得た。
【0101】
なお、この造粒処理において使用する電極活物質、導電助剤及び結着剤のそれぞれの量は、最終的に得られる電極用複合粒子P10中のこれらの成分の質量比が上述の値となるように調節した。
【0102】
(実施例3)
以下に示す手順により、電気二重層キャパシタの電極の活物質含有層の形成に使用可能な電極用複合粒子を先に述べた造粒工程を経る方法により作製した。ここで、電極用複合粒子P10は、アノードの電極活物質(80質量%)、導電助剤(10質量%)及び結着剤(10質量%)から構成した。
【0103】
電極活物質としては、活性炭(BET比表面積:2500m2/g、平均粒子径:20μm)を用いた。また、導電助剤としては、アセチレンブラックを用いた。更に、結着剤としてはポリフッ化ビニリデンを用いた。
【0104】
先ず、原料液調製工程において、ポリフッ化ビニリデンをN,N−ジメチルホルムアミド{(DMF):溶媒}に溶解させた溶液にアセチレンブラックを分散させた「原料液」(アセチレンブラック2質量%、ポリフッ化ビニリデン2質量%)を調製した。
【0105】
次に、噴霧乾燥工程において、上記の原料液を図2に示した流動槽5と同様の構成を有する容器内で流動層化させた人造黒鉛の粉体に噴霧し、当該粉体表面に溶液を付着させた。なお、この噴霧を行う際の粉体の置かれる雰囲気中の温度を一定に保持することにより、噴霧とほぼ同時に当該粉体表面からN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。このようにして粉体表面にアセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンを密着させ、電極用複合粒子P10(平均粒子径:100μm)を得た。
【0106】
なお、この造粒処理において使用する電極活物質、導電助剤及び結着剤のそれぞれの量は、最終的に得られる電極用複合粒子P10中のこれらの成分の質量比が上述の値となるように調節した。
【0107】
(比較例1)
以下の従来の電極作成手順により電極を作成した。先ず、電極活物質、導電剤及び結着剤として、それぞれ実施例1で使用したものと同じものを使用し、電極活物質の質量:導電剤の質量:結着剤の質量=90:6:4となるようにこれらを混合し、混練物を得た。
【0108】
より具体的には、電極活物質、導電剤及び結着剤を、プラネタリーミル及びホモジナイザを用いて電極活物質、導電剤及び結着剤からなる混合物の撹拌混合を行なった。次に、熱ロール装置を用いてこの混練物をシート化し、実施例1の電極用複合粒子P10と同様の電極活物質の担持量(50mg/cm2)及び空隙率(空孔率)(25%)を有する活物質含有層をアルミ箔(集電体)上に作製した。
【0109】
(比較例2)
以下の従来の電極作成手順により電極を作成した。先ず、電極活物質、導電剤及び結着剤として、それぞれ実施例2で使用したものと同じものを使用し、電極活物質の質量:導電剤の質量:結着剤の質量=85:5:10となるようにこれらを混合し、混練物を得た。
【0110】
より具体的には、電極活物質、導電剤及び結着剤を、プラネタリーミル及びホモジナイザを用いて電極活物質、導電剤及び結着剤からなる混合物の撹拌混合を行なった。次に、熱ロール装置を用いてこの混練物をシート化し、実施例2の電極用複合粒子P10と同様の電極活物質の担持量(32mg/cm2)及び空隙率(空孔率)(35%)を有する活物質含有層を銅箔(集電体)上に作製した。
【0111】
(比較例3)
以下の従来の電極作成手順により電極を作成した。先ず、電極活物質、導電剤及び結着剤として、それぞれ実施例3で使用したものと同じものを使用し、電極活物質の質量:導電剤の質量:結着剤の質量=80:10:10となるようにこれらを混合し、混練物を得た。
【0112】
より具体的には、電極活物質、導電剤及び結着剤を、プラネタリーミル及びホモジナイザを用いて電極活物質、導電剤及び結着剤からなる混合物の撹拌混合を行なった。次に、熱ロール装置を用いてこの混練物をシート化し、実施例2の電極用複合粒子P10と同様の電極活物質の担持量(10mg/cm2)及び空隙率(空孔率)(50%)を有する活物質含有層をアルミ箔(集電体)上に作製した。
【0113】
[複合粒子の内部抵抗(インピーダンス)測定試験用の測定セルの作製]
実施例1の複合粒子P10の内部抵抗(インピーダンス)測定するために、図4に示す測定セルを作成した。図4は、実施例1の電極用複合粒子の内部抵抗(インピーダンス)の測定方法を示す説明図である。
【0114】
測定セル20について説明する。図4に示すように、測定セル20は、グローブボックス9内に配置した。そして、このグローブボックス9内を、アルゴンガスで満たした。図4に示すように、測定セル20は、主として、互いに対向するカソードC及びアノードAと、アノードAとカソードCとの間に配置された電解質溶液の層Eとから構成した。
【0115】
図4に示すように、アノードAは、金属リチウム箔A2(膜厚:200μm、電極面積:直径15mmの円形)と、金属リチウム箔A2の背面(電解質溶液の層Eに接触しない側の面)に接続された白金線からなる端子A1とから構成した。また、図4に示すように、カソードCは、実施例1の電極用複合粒子P10と、電極用複合粒子P10に電気的に接続された白金線からなる端子C1とから構成した。
【0116】
なお、電極用複合粒子P10と白金線からなる端子C1とは両者の接触抵抗が最小値となる状態で電気的に接続した。また、金属リチウム箔A2と電極用複合粒子P10との距離が一定(1cm)となるように、カソードCの電極用複合粒子P10を電解質溶液の層E中に含浸させ、その位置を固定した。
【0117】
電解質溶液の層Eは、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを3:1の体積比で混合した溶媒にLiClO4をその濃度が1mol/Lとなるように溶解した電解質溶液から構成した。
【0118】
[複合粒子の内部抵抗(インピーダンス)測定試験]
実施例1の電極用複合粒子P10を電極に使用した各測定セルについて、測定温度を室温(25℃)とした場合の内部抵抗(インピーダンス)を測定した。
【0119】
なお、内部抵抗(インピーダンス)の測定は、以下のようにして行なった。すなわち、実施例1の電極用複合粒子P10の1つ(1粒)についてサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、これに基づいて電極用複合粒子P10の平衡容量値を算出した。次に、実施例1の電極用複合粒子P10の1つ(1粒)についてインピーダンス測定を行い、得られる複素インピーダンスプロットのデータから電極用複合粒子P10の電荷移動抵抗値をインピーダンス値として算出した。次に、上記インピーダンス値を上記平衡容量値で除して、平衡容量値で規格化されたインピーダンス値{=(上記インピーダンス値)/(上記平衡容量値)}を得た。この結果を表1に示す。このときの値は、後述する比較例1の値を1とした場合の相対値である。
【0120】
[比較例1の電極の内部抵抗(インピーダンス)測定試験]
比較例1の電極について、測定温度を室温(25℃)とした場合の内部抵抗(インピーダンス)を測定した。
【0121】
なお、内部抵抗(インピーダンス)の測定は、以下のようにして行なった。すなわち、比較例1の電極の活物質含有層についてサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、これに基づいて活物質含有層の平衡容量値を算出した。次に、活物質含有層についてインピーダンス測定を行い、得られる複素インピーダンスプロットのデータから活物質含有層の電荷移動抵抗値をインピーダンス値として算出した。次に、上記インピーダンス値を上記平衡容量値で除して、平衡容量値で規格化されたインピーダンス値{=(上記インピーダンス値)/(上記平衡容量値)}を得た。この結果を表1に示す。このときの値を1として、他の例との比較を行った。
【0122】
[実施例1の電極用複合粒子に含まれる電極活物質の内部抵抗(インピーダンス)測定試験]
実施例1の電極用複合粒子P10に含まれる電極活物質からなる粒子について、測定温度を室温(25℃)とした場合の内部抵抗(インピーダンス)を測定した。
【0123】
なお、内部抵抗(インピーダンス)の測定は、以下のようにして行なった。すなわち、実施例1の電極用複合粒子P10電極活物質からなる粒子の1つ(1粒)についてサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、これに基づいて電極活物質からなる粒子の平衡容量値を算出した。次に、実施例1の電極用複合粒子P10に含まれる電極活物質粒子の1つ(1粒)についてインピーダンス測定を行い、得られる複素インピーダンスプロットのデータから電極活物質からなる粒子の電荷移動抵抗値をインピーダンス値として算出した。次に、上記インピーダンス値を上記平衡容量値で除して、平衡容量値で規格化されたインピーダンス値{=(上記インピーダンス値)/(上記平衡容量値)}を得た。この結果を表1に示す。なお、表1の値は、比較例1の値を1(基準)として算出しているため無次元の値である。
【0124】
【表1】
Figure 0004204380
【0125】
表1に示した結果から明らかなように実施例1〜3の複合粒子により電極を作成した場合、その活物質含有層の内部抵抗は、従来の製造方法で作成した電極の活物質含有層の内部抵抗に比較して十分に低くなることが確認された。
【0126】
また、表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3の複合粒子は結着剤が含まれているにも拘わらず、その内部抵抗値が、使用されている電極活物質そのものの内部抵抗値よりも低いことが確認された。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電極の構成材料に結着剤を使用した場合であっても、優れた電極特性を有する電極を容易かつ確実に形成することのできる電極用複合粒子P10を提供することができる。また、本発明によれば、上記の本発明の電極用複合粒子P10を容易かつ確実に得ることのできるの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極用複合粒子の好適な一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【図2】電極用複合粒子を製造する際の造粒工程の一例を示す説明図である。
【図3】電極用複合粒子を用いて電極形成用塗布液を調製する工程の一例を示す説明図である。
【図4】実施例1の電極用複合粒子の内部抵抗(インピーダンス)の測定方法を示す説明図である。
【図5】従来の電極用複合粒子の部分的な基本構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
5・・・流動槽、6・・・原料液の液滴、7・・・電極形成用塗布液、9・・・グローブボックス、20・・・測定セル、52・・・開口部、54・・・開口部、P1・・・電極活物質からなる粒子、P2・・・導電助剤からなる粒子、P3・・・結着剤からなる粒子、P10・・・電極用複合粒子、A…アノード、A1・・・アノード端子、A2リチウム箔、C…カソード、C1…カソード端子、E・・・電解質溶液。

Claims (10)

  1. 電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と、前記電極活物質と前記導電助剤とを結着させることが可能な結着剤とを密着させて一体化することにより、前記電極活物質と、前記導電助剤と、前記結着剤とを含む複合粒子を形成する造粒工程を有しており、
    前記造粒工程は、
    前記結着剤と前記導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
    流動槽中に気流を発生させ、該気流中に前記電極活物質からなる粒子を投入し、前記電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
    前記電極活物質からなる粒子を含む前記流動層中に前記原料液を噴霧することにより、前記原料液を前記電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、前記電極活物質からなる粒子の表面に付着した前記原料液から前記溶媒を除去し、前記結着剤により前記電極活物質からなる粒子と前記導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする電極用複合粒子の製造方法。
  2. 前記造粒工程において、前記流動槽中の温度を50℃以上で、前記結着剤の融点以下に調節すること、
    を特徴とする請求項に記載の電極用複合粒子の製造方法。
  3. 前記造粒工程において、前記流動槽中に発生させる前記気流は、空気、窒素ガス、又は、不活性ガスからなる気流であること、
    を特徴とする請求項又はに記載の電極用複合粒子の製造方法。
  4. 前記原料液に含まれる前記溶媒は、前記結着剤を溶解又は分散可能であるとともに前記導電助剤を分散可能であること、
    を特徴とする請求項又はに記載の電極用複合粒子の製造方法。
  5. 前記結着剤として導電性高分子を使用することを特徴とする請求項の何れか1項に記載の電極用複合粒子の製造方法。
  6. 前記原料液には、導電性高分子が更に溶解されていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の電極用複合粒子の製造方法。
  7. 前記導電性高分子がイオン伝導性を有することを特徴とする請求項又はに記載の電極用複合粒子の製造方法。
  8. 前記導電性高分子が電子伝導性を有することを特徴とする請求項又はに記載の電極用複合粒子の製造方法。
  9. 前記電極活物質が1次電池又は2次電池のカソード及びアノードのうちの少なくとも一方に使用可能な活物質であることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の電極用複合粒子の製造方法。
  10. 前記電極活物質が電気化学キャパシタを構成する電極に使用可能な電子伝導性を有する炭素材料又は金属酸化物であることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の電極用複合粒子の製造方法。
JP2003136270A 2003-05-14 2003-05-14 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法 Expired - Fee Related JP4204380B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003136270A JP4204380B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法
PCT/JP2004/006879 WO2004102597A2 (ja) 2003-05-14 2004-05-14 電極用複合粒子及びその製造方法、電極及びその製造方法、並びに電気化学素子及びその製造方法
CNB2004800130955A CN100355124C (zh) 2003-05-14 2004-05-14 电极用复合颗粒及其制造方法、电极及其制造方法、以及电化学元件及其制造方法
US10/556,567 US20070003836A1 (en) 2003-05-14 2004-05-14 Composite particle for electrode and method for producing same, electrode and method for producing same, and electrochemical device and method for producing same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003136270A JP4204380B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004348975A JP2004348975A (ja) 2004-12-09
JP4204380B2 true JP4204380B2 (ja) 2009-01-07

Family

ID=33526291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003136270A Expired - Fee Related JP4204380B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4204380B2 (ja)
CN (1) CN100355124C (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006115272A1 (ja) * 2005-04-26 2006-11-02 Zeon Corporation 電気化学素子電極用複合粒子
JP4839669B2 (ja) * 2005-04-28 2011-12-21 日本ゼオン株式会社 電気化学素子電極用複合粒子
CN101164128B (zh) * 2005-04-28 2011-02-09 日本瑞翁株式会社 电化学元件电极
JP4978467B2 (ja) * 2005-05-26 2012-07-18 日本ゼオン株式会社 電気化学素子電極材料および複合粒子
JP2006339184A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Nippon Zeon Co Ltd 電気化学素子電極用複合粒子の製造方法
JP4839726B2 (ja) * 2005-08-19 2011-12-21 日本ゼオン株式会社 電気二重層キャパシタ用電極
WO2007032374A1 (ja) * 2005-09-16 2007-03-22 Zeon Corporation 電気化学素子電極用複合粒子、その製造方法、電気化学素子電極材料及び電気化学素子電極
JP5015579B2 (ja) * 2006-12-22 2012-08-29 デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会社 蓄電器電極用バインダー
KR100866744B1 (ko) * 2007-03-28 2008-11-03 지에스칼텍스 주식회사 유동화 코팅 공정을 이용한 연료전지용 분리판 원재료 분말제조 장치 및 이를 이용한 연료전지용 분리판 원재료 분말제조 방법
WO2012081543A1 (ja) 2010-12-14 2012-06-21 協立化学産業株式会社 電池電極又はセパレーター表面保護剤組成物、これで保護された電池電極又はセパレーター及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
JP5699592B2 (ja) * 2010-12-22 2015-04-15 日立化成株式会社 リチウムイオン二次電池用負極材の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池
WO2014142045A1 (ja) * 2013-03-14 2014-09-18 日本ゼオン株式会社 電気化学素子電極用複合粒子の製造方法
JP6007942B2 (ja) * 2014-05-19 2016-10-19 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池およびその製造方法
JP6137217B2 (ja) * 2015-02-12 2017-05-31 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池用負極の製造方法
JP2017073462A (ja) * 2015-10-07 2017-04-13 太陽誘電株式会社 電気化学デバイス
JP6599222B2 (ja) * 2015-12-15 2019-10-30 Jx金属株式会社 リチウムイオン電池用正極活物質、リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池
JP6443421B2 (ja) * 2016-10-12 2018-12-26 トヨタ自動車株式会社 電極の製造方法
CN108615849B (zh) * 2016-12-13 2021-05-07 上海硅酸盐研究所中试基地 一种具有多孔陶瓷结构的水系离子电池极片的量产方法
CN108232195B (zh) * 2016-12-13 2021-08-31 上海硅酸盐研究所中试基地 一种基于聚四氟乙烯粘结剂的水系离子电池的极片成型方法
DE102018221017A1 (de) 2018-12-05 2020-06-10 Robert Bosch Gmbh Verfahren zum Herstellen eines Präkursormaterials für eine elektrochemische Zelle
CN111146401A (zh) * 2019-12-17 2020-05-12 惠州亿纬锂能股份有限公司 电池极片的制备方法及电池
CN114902038A (zh) * 2020-01-10 2022-08-12 希森美康株式会社 电极及制造方法、离子传感器、活体成分测定装置及方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6083644A (en) * 1996-11-29 2000-07-04 Seiko Instruments Inc. Non-aqueous electrolyte secondary battery
FR2822296A1 (fr) * 2001-03-19 2002-09-20 Atofina Elements de batteries lithium-ion fabriques a partir d'une poudre microcomposite a base d'une charge et d'un fluoropolymere
CN100438142C (zh) * 2001-09-26 2008-11-26 三星Sdi株式会社 电极材料、制备电极材料方法、电极和包括该电极的电池

Also Published As

Publication number Publication date
CN100355124C (zh) 2007-12-12
JP2004348975A (ja) 2004-12-09
CN1788373A (zh) 2006-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4204380B2 (ja) 電極用複合粒子及び電極用複合粒子の製造方法
JP4552475B2 (ja) 電極用複合粒子、電極及び電気化学素子、並びに、電極用複合粒子の製造方法、電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法
JP4184057B2 (ja) 電極形成用塗布液、電極及び電気化学素子、並びに、電極形成用塗布液の製造方法、電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法
JP4173870B2 (ja) 電気化学デバイス用電極の製造方法
JP4077432B2 (ja) 電気化学素子
JP5961922B2 (ja) 二次電池用負極およびその製造方法
KR100683440B1 (ko) 전극용 복합 입자 및 이의 제조방법, 전극 및 이의제조방법, 및 전기화학 소자 및 이의 제조방법
JP5223281B2 (ja) リチウムイオン二次電池又はリチウム二次電池の正極用複合粒子、及びリチウムイオン二次電池又はリチウム二次電池
JP4204407B2 (ja) 電極及び電気化学素子並びに電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法
JP5699754B2 (ja) 活物質、電極、リチウムイオン二次電池、及び、活物質の製造方法
US20050064289A1 (en) Electrode, electrochemical device, method for manufacturing electrode, and method for manufacturing electrochemical device
US20050241137A1 (en) Electrode, electrochemical device, and method of making electrode
JP3785408B2 (ja) 電極用複合粒子の製造方法、電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法、並びに、電極用複合粒子製造装置、電極製造装置及び電気化学素子製造装置
JP4150331B2 (ja) 電極及び電気化学素子、並びに電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法
JP3785407B2 (ja) 電極用複合粒子の製造方法、電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法、並びに、電極用複合粒子製造装置、電極製造装置及び電気化学素子製造装置
US20070003836A1 (en) Composite particle for electrode and method for producing same, electrode and method for producing same, and electrochemical device and method for producing same
JP2012022995A (ja) 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法
JP4204419B2 (ja) 電極及び電気化学素子並びに電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法
JP4256741B2 (ja) 電極用複合粒子及びその製造方法、電極及びその製造方法、並びに、電気化学素子及びその製造方法
JP2011049102A (ja) 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法
JP4347631B2 (ja) 電気化学キャパシタの電極用複合粒子の製造方法、電極の製造方法、並びに、電気化学キャパシタの製造方法
JPH09306546A (ja) 非水電解質二次電池用正極板及び非水電解質二次電池
JP5609300B2 (ja) 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法
JP2012212634A (ja) 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法
JP2012212635A (ja) 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080603

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080801

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081014

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees