JP4204419B2 - 電極及び電気化学素子並びに電極の製造方法及び電気化学素子の製造方法 - Google Patents
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Description
活物質含有層に電気的に接触した状態で配置される導電性の集電体と、
を少なくとも有しており、
複合粒子は、電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と結着剤とを密着させて一体化させる造粒工程を経て形成されており、かつ、
活物質含有層は、
造粒工程により得られる複合粒子を少なくとも含む粉体に加圧処理を施してシート化し、複合粒子を少なくとも含むシートを得る乾式シート化工程と、
シートを活物質含有層として集電体の活物質含有層を形成すべき部位に配置する活物質含有層配置工程と、
を経て形成されており、
活物質含有層において、電極活物質と導電助剤とが孤立せずに電気的に結合していること、
を特徴とする電極を提供する。
結着剤と導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
流動槽中に電極活物質からなる粒子を投入し、電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
電極活物質からなる粒子を含む流動層中に原料液を噴霧することにより、原料液を電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、電極活物質からなる粒子の表面に付着した原料液から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子と導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
を含んでいることが好ましい。
100μm≦T≦2000μm ・・・(1)
上記Tの値が100μm未満であると、電池等の電気化学素子を構成した際に、電気化学素子の全体積に対して、電気化学素子の容量に寄与しない構成部材(金属箔等の集電体、セパレータ、外装体等)の体積の割合が増大し、従来の電気化学素子に比較して高いエネルギー密度を得ることができなくなる傾向が大きくなる。
10μm≦d≦2000μm ・・・(2)
式(2)の条件を満たさない場合、すなわち、式(2)のdが10μm未満である場合には、複合粒子を製造する際の核となる粒子(電極活物質からなる粒子など)が小さすぎて、十分に複合化を行なうことができなくなる傾向が大きくなる。先に述べたように造粒工程を、流動槽を用いて行なう場合には、流動槽中で核となる粒子が凝集して安定した流動層を形成することが困難となる傾向が大きくなる。
(1/20)≦(T/d)≦200 ・・・(3)
式(3)の(T/d)が(1/20)未満である場合には、活物質含有層を形成する際に複合粒子からなる層を圧延する際の圧力が高くなり、先に述べた複合粒子中の良好な電子伝導ネットワークを維持することが困難になる傾向が大きくなる。
電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と、電極活物質と導電助剤とを結着させることが可能な結着剤とを密着させて一体化することにより、電極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む複合粒子を形成する造粒工程と、
造粒工程により得られる複合粒子を少なくとも含む粉体に加圧処理を施してシート化し、複合粒子を少なくとも含むシートを得る乾式シート化工程と、
シートを活物質含有層として集電体の活物質含有層を形成すべき部位に配置する活物質含有層配置工程と、
を有しており、
造粒工程は、
結着剤と導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
流動槽中に電極活物質からなる粒子を投入し、電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
電極活物質からなる粒子を含む流動層中に原料液を噴霧することにより、原料液を電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、電極活物質からなる粒子の表面に付着した原料液から溶媒を除去し、結着剤により電極活物質からなる粒子と導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
を含むこと、
を特徴とする電極の製造方法を提供する。
100μm≦T≦2000μm ・・・(1)
更に、本発明の電極の製造方法においては、先に述べた構造を有する活物質含有層をより容易かつより確実に形成する観点から、活物質含有層に含有される複合粒子の平均粒子径dが下記式(2)で表される条件を満たしていることが好ましい。
10μm≦d≦2000μm ・・・(2)
また、本発明の電極の製造方法においては、先に述べた構造を有する活物質含有層をより容易かつより確実に形成する観点から、活物質含有層の厚さTと、活物質含有層に含有される複合粒子の平均粒子径dとが下記式(3)で表される条件を満たしていることが好ましい。
(1/20)≦(T/d)≦200 ・・・(3)
また、本発明においては、先に述べた構造を有する複合粒子をより容易かつより確実に形成する観点から、造粒工程は、流動槽中の温度を50℃以上で、結着剤の融点を大幅に越えない温度に調節することが好ましく、流動槽中の温度を50℃以上で、結着剤の融点以下に調節することがより好ましい。この結着剤の融点とは、その結着剤の種類にもよるが、例えば200℃程度である。流動槽中の温度が50℃未満となると、噴霧中の溶媒の乾燥が不十分となる傾向が大きくなる。流動槽中の温度が結着剤の融点を大幅に越えると、結着剤が溶融し粒子の形成に大きな支障をきたす傾向が大きくなる。流動槽中の温度が結着剤の融点よりも若干上回る程度の温度であれば、条件により上記の問題の発生を十分に防止することができる。また、流動槽中の温度が結着剤の融点以下であれば、上記の問題は発生しない。
アノード2の活物質含有層22及びカソード3の活物質含有層32は、上述した造粒工程を経て製造した複合粒子P10を使用し、溶媒又は分散媒を用いない乾式法により電極を形成する。
100μm≦T≦2000μm ・・・(1)
1μm≦d≦2000μm ・・・(2)
(1/20)≦(T/d)≦200・・・(3)
以上説明した乾式法により形成された活物質含有層(活物質含有層22又は活物質含有層32)中においては、図5に模式的に示す内部構造が形成されている。すなわち、活物質含有層(活物質含有層22又は活物質含有層32)においては、結着剤からなる粒子P3が使用されているにもかかわらず、電極活物質からなる粒子P1と導電助剤からなる粒子P2とが孤立せずに電気的に結合した構造が形成されている。
(1)複合粒子の作製
先ず、以下に示す手順により、リチウムイオン2次電池のカソードの活物質含有層の形成に使用可能な複合粒子を先に述べた造粒工程を経る方法により作製した。ここで、複合粒子P10は、カソードの電極活物質(92質量%)、導電助剤(4.8質量%)及び結着剤(3.2質量%)から構成した。
電極(カソード)は先に述べた乾式法により作製した。先ず、図4に示したものと同様の構成を有する熱ロールプレス機を用いて、これに、複合粒子P10(平均粒子径:200μm)を投入し、活物質含有層となるシート(幅:10cm)を作成した(乾式シート化工程)。なお、このときの加熱温度は、120℃とし、加圧条件は線圧500kgf/cmとした。次にこのシートを打ち抜いて、円板状の活物質含有層を得た(直径:15mm)。
(1)複合粒子の作製
先ず、以下に示す手順により、リチウムイオン2次電池のアノードの活物質含有層の形成に使用可能な複合粒子を造粒工程を経る方法により作製した。ここで、複合粒子P10は、アノードの電極活物質(90質量%)、導電助剤(5質量%)及び結着剤(5質量%)から構成した。
電極(アノード)は先に述べた乾式法により作製した。先ず、図4に示したものと同様の構成を有する熱ロールプレス機を用いて、これに、複合粒子P10(平均粒子径:200μm)を投入し、活物質含有層となるシート(幅:10cm)を作成した(乾式シート化工程)。なお、このときの加熱温度は、120℃とし、加圧条件は線圧300kgf/cmとした。次にこのシートを打ち抜いて、円板状の活物質含有層を得た(直径:15mm)。
以下の従来の電極作成手順(湿式法)により電極(カソード)を作成した。なお、この電極の構成材料である、電極活物質、導電助剤及び結着剤は、それぞれ実施例1で使用したものと同じものを使用し、電極活物質の質量:導電剤の質量:結着剤の質量が実施例1と同一となるように調節した。また、使用する集電体(ホットメルト層を設けたもの)もそれぞれ実施例1で使用したものと同様のものを使用した。
以下の従来の電極作成手順(湿式法)により電極(アノード)を作成した。なお、この電極の構成材料である、電極活物質、導電助剤及び結着剤は、それぞれ実施例1で使用したものと同じものを使用し、電極活物質の質量:導電剤の質量:結着剤の質量が実施例2と同一となるように調節した。また、使用する集電体(ホットメルト層を設けたもの)もそれぞれ実施例2で使用したものと同様のものを使用した。
実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2の各電極を「試験極(作用極)」、リチウム金属箔(直径:15mm,厚さ:100μm)を対極とする電気化学セルを作製し、以下の特性評価試験を行い、各電極(試験極)の電極特性を評価した。なお、評価試験の結果を表1に示した。
電解質層となる電解質溶液を以下の手順により調製した。すなわち、LiClO4をその体積モル濃度が1mol/Lとなるように、溶媒{エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合したもの}中に溶解した。
先ず、各試験極及び対極を互いに対向させ、その間にポリエチレン多孔膜からなるセパレータ(直径:21mm、厚さ:30μm)を配置し、アノード、セパレータ及びカソードがこの順で順次積層された積層体(素体)を形成した。この積層体のアノード及びカソードのそれぞれにリード(幅:10mm、長さ:25mm、厚さ:0.50mm)を超音波溶接により接続した。そして、電気化学セルの金型となる密閉容器中にこの積層体を入れ、調製した電解質溶液を注入した。そして、積層体のアノード及びカソードの両側から一定の圧力をかけた状態とした。このようにして、各試験極毎に電気化学セルを作製した。
試験極がカソードの場合(実施例1の電極及び比較例1の電極の場合)、試験極の電位を、対極のリチウム金属のレドックスポテンシャルを基準として、+2.5V〜+4.3Vの電位範囲(定電流−定電圧)で分極させた。なお、測定評価試験は25℃で行なった。
先ず、実施例1の電極(カソード)と同様の構成を有する電極(以下、「電極C1」という)を実施例1と同様の手順及び条件で1つ作製した。また、実施例1の電極のものと同様の活物質含有層及びホットメルト導電層を集電体の両面に形成したこと以外は実施例1の電極(カソード)同様の構成を有する電極を実施例1と同様の手順及び条件で4つ(以下、「電極C2」、「電極C3」、「電極C4」、「電極C5」という)作製した。なお、これらの電極の大きさ及び形状は、全て1.7cm×3.1cmの矩形状とした。
先ず、比較例1の電極(カソード)と同様の構成を有する電極(以下、「電極C10」という)を比較例1と同様の手順及び条件(湿式法)で1つ作製した。また、比較例1の電極のものと同様の活物質含有層及びホットメルト導電層を集電体の両面に形成したこと以外は比較例1の電極(カソード)同様の構成を有する電極を比較例1と同様の手順及び条件(湿式法)で4つ(以下、「電極C20」、「電極C30」、「電極C40」、「電極C50」という)作製した。なお、これらの電極の大きさ及び形状は、全て1.7cm×3.1cmの矩形状とした。
先ず、活物質含有層の活物質担持量:20mg/cm2、空孔率:33体積%としたこと以外は比較例1の電極(カソード)と同様の構成を有する電極(以下、「電極C100」という)を比較例1と同様の手順及び条件(湿式法)で1つ作製した。
実施例3、比較例3及び比較例4の各電池について、放電電流を70mA、175mA、350mAとした場合の容量及び体積エネルギー密度を測定した。その結果を表2〜表4に示す。
(1)電極の作製
以下の手順により分極性電極(電気二重層キャパシタ用の電極)を作製した。先ず、電極の形成方法を説明する。電極活物質となる、賦活処理を施した繊維状の活性炭素材料(比表面積:2500m2/g、アスペクト比:1〜1.5)と、結着剤{フッ素系樹脂、デュポン社製、商品名:「Viton-GF」}と、導電助剤(アセチレンブラック、電気化学工業社製、商品名:「DENKABLACK」)とを、これらの質量比が炭素材料:結着剤:導電助剤=90:5:5となるように使用したこと以外は、実施例1と同一の手順及び条件で、活物質含有層の厚さ140μm、活物質担持量:80mg/cm2、空孔率:65体積%である分極性電極を得た。
実施例3の分極性電極と同一の構成材料を使用し、溶媒にメチルイソブチルケトンを使用したこと以外は、比較例1と同一の手順及び条件で、活物質含有層の厚さ130μm、活物質担持量:5.5mg/cm2、空孔率:75体積%である分極性電極を得た。
活物質含有層に含有される電極活物質として賦活処理した繊維状の活性炭素材料(比表面積:2500m2/g、アスペクト比:1〜1.5)を使用したこと以外は、比較例5と同一の手順及び条件で、活物質含有層の厚さ130μm、活物質担持量:5.5mg/cm2、空孔率:75体積%である分極性電極を得た。
実施例4及び比較例5の各電極について以下の電極特性評価試験を行った。先ず、実施例4の電極を2枚作製し、これらを多孔質のセルロースセパレータを介して対向させた積層体とした。次に、この積層体中(特にセルロースセパレータ中)に、電解液{トリエチルメチルアンモニウムテトラフロロボレート(TEMA+・BF4 -)を1.2mol/Lの濃度でプロピレンカーボネートに溶解させたもの}を注入し、セル素体を作製した。このセル素体に2C(18mA)の電流を流し、電気二重層キャパシタとしての静電容量及びエネルギー密度を算出した。その結果、静電容量が2.4Fで、エネルギー密度が3.0Wh・L-1であった。
以下の手順により、実施例4、比較例5及び比較例6の電極の活物質含有層の断面のSEM写真又はTEM写真を撮影し、それぞれの活物質含有層の内部構造を観察した。
Claims (11)
- 電極活物質を含む導電性の活物質含有層と、前記活物質含有層に電気的に接触した状態で配置される導電性の集電体と、を少なくとも有する電極の製造方法であって、
電極活物質からなる粒子に対し、導電助剤と、前記電極活物質と前記導電助剤とを結着させることが可能な結着剤とを密着させて一体化することにより、前記電極活物質と、前記導電助剤と、前記結着剤とを含む複合粒子を形成する造粒工程と、
前記造粒工程により得られる前記複合粒子を少なくとも含む粉体に加圧処理を施してシート化し、前記複合粒子を少なくとも含むシートを得る乾式シート化工程と、
前記シートを前記活物質含有層として前記集電体の前記活物質含有層を形成すべき部位に配置する活物質含有層配置工程と、
を有しており、
前記造粒工程は、
前記結着剤と前記導電助剤と溶媒とを含む原料液を調製する原料液調製工程と、
流動槽中に前記電極活物質からなる粒子を投入し、前記電極活物質からなる粒子を流動層化させる流動層化工程と、
前記電極活物質からなる粒子を含む前記流動層中に前記原料液を噴霧することにより、前記原料液を前記電極活物質からなる粒子に付着、乾燥させ、前記電極活物質からなる粒子の表面に付着した前記原料液から前記溶媒を除去し、前記結着剤により前記電極活物質からなる粒子と前記導電助剤からなる粒子とを密着させる噴霧乾燥工程と、
を含むこと、
を特徴とする電極の製造方法。 - 前記乾式シート化工程において、加圧処理を施す際に加熱処理を更に施すこと、を特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
- 前記流動層化工程において、前記流動槽中に気流を発生させ、該気流中に前記電極活物質からなる粒子を投入し、前記電極活物質からなる粒子を流動層化させること、を特徴とする請求項1又は2に記載の電極の製造方法。
- 前記乾式シート化工程において使用する前記複合粒子を少なくとも含む粉体が、前記複合粒子のみからなる粉体であること、を特徴とする請求項3に記載の電極の製造方法。
- 前記乾式シート化工程において使用する前記複合粒子を少なくとも含む粉体には、前記導電助剤及び/又は前記結着剤が更に含有されていること、を特徴とする請求項3又は4に記載の電極の製造方法。
- 前記活物質含有層の厚さTが下記式(1)で表される条件を満たしていること、を特徴とする請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法。
100μm≦T≦2000μm ・・・(1) - 前記活物質含有層に含有される前記複合粒子の平均粒子径dが下記式(2)で表される条件を満たしていること、を特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法。
10μm≦d≦2000μm ・・・(2) - 前記活物質含有層の厚さTと、前記活物質含有層に含有される前記複合粒子の平均粒子径dとが下記式(3)で表される条件を満たしていること、を特徴とする請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法。
(1/20)≦(T/d)≦200 ・・・(3) - 前記造粒工程において、前記流動槽中の温度を50℃以上で、前記結着剤の融点以下に調節すること、を特徴とする請求項1〜8のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法。
- 前記造粒工程において、前記流動槽中に発生させる前記気流は、空気、窒素ガス、又は、不活性ガスからなる気流であること、を特徴とする請求項1〜9のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法。
- アノードと、カソードと、イオン伝導性を有する電解質層とを少なくとも備えており、前記アノードと前記カソードとが前記電解質層を介して対向配置された構成を有する電気化学素子の製造方法であって、
前記アノード及び前記カソードの少なくとも一方の電極として、請求項1〜10のうちの何れか1項に記載の電極の製造方法により製造された電極を使用すること、を特徴とする電気化学素子の製造方法。
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