JP2012022995A - 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な放電容量を得られる活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤と、を含む混合物を、密閉容器内で、25℃から110℃まで昇温速度T1で昇温し、その後、110℃から、200℃以上の所定の温度まで昇温速度T2で昇温する昇温工程を備え、T1>T2であり、T1=0.5〜10℃/minであり、T2=0.1〜2.2℃/minである、活物質の製造方法である。
【選択図】図3
【解決手段】リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤と、を含む混合物を、密閉容器内で、25℃から110℃まで昇温速度T1で昇温し、その後、110℃から、200℃以上の所定の温度まで昇温速度T2で昇温する昇温工程を備え、T1>T2であり、T1=0.5〜10℃/minであり、T2=0.1〜2.2℃/minである、活物質の製造方法である。
【選択図】図3
Description
本発明は、活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法に関する。
リン酸系正極材料の中でも4V級の充放電電圧を実現し得る化合物として、LiVOPO4が知られている。しかし、LiVOPO4を用いたリチウムイオン二次電池においても、十分な可逆容量やレート特性が得られていない。上記の正極材料は、例えば、下記特許文献1,2及び下記非特許文献1〜4に記載されている。構造式LiVOPO4で表される結晶においては、リチウムイオンが可逆的に挿入脱離することが知られている。特許文献1によれば、非水電解質二次電池の放電容量は、α型結晶構造(三斜晶)のLiVOPO4に比べ、β型結晶構造のLiVOPO4の方が大きい。
J.Solid State Chem.,95,352(1991)
N.Dupre et al.,Solid State Ionics, 140 pp.209−221(2001)
N. Dupre et al.,J. Power Sources, 97−98,pp.532−534 (2001)
J.Baker et al.,J.Electrochem. Soc.,151,A796(2004)
しかしながら、従来の方法により得られたβ型結晶構造のLiVOPO4を含む活物質は、十分な放電容量を得られるものではなかった。
そこで、本発明は、十分な放電容量を得られる活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水熱合成における昇温速度を、最初は速く、後は遅くなるように制御すると、形状の異なる二つのβ型結晶構造の微小粒子が混合された活物質が得られ、この活物質の放電容量が十分に高くなることを見出した。
本発明に係る活物質の製造方法は、リチウム源と、バナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤と、を含む混合物を25℃から110℃まで昇温速度T1で昇温し、その後、110℃から、200℃以上の所定の温度まで昇温速度T2で昇温する昇温工程を備え、T1>T2であり、T1=0.5〜10℃/minであり、T2=0.1〜2.2℃/minである。
本発明にかかる活物質は、アスペクト比が1〜0.7であり平均粒径0.4〜1μmのβ型LiVOPO4粒子と、アスペクト比0.3以下であり長軸の平均粒径0.2〜0.9μmのβ型LiVOPO4粒子と、を含む。
このような活物質は、上述の活物質の製造方法により得られるものであり、放電容量が高い。
このような活物質は、上述の活物質の製造方法により得られるものであり、放電容量が高い。
本発明にかかる電極は、集電体と、上述の活物質を含み前記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極である。
本発明に係る活物質は、上述の電極を備えるリチウム二次電池である。
ここで、本発明の活物質の製造方法は、上述の工程で得られたβ型結晶構造のLiVOPO4を焼成する工程をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、十分な放電容量を得られる活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<活物質>
まず、本実施形態に係る活物質について説明する。図1は、本実施形態に係る活物質の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。本実施形態に係る活物質30は、棒状粒子10と、球状粒子20との混合物であり、通常これらが混合状態で凝集している。棒状粒子10とは、アスペクト比が0.3以下の粒子であり、長軸の平均粒径が0.2〜0.9μmであり、β型LiVOPO4を主成分とする。球状粒子20とは、アスペクト比が1〜0.7のものであり、平均粒径が0.4〜1μmであり、β型LiVOPO4を主成分とする。
粒子のアスペクト比は、SEM写真において、各粒子を、各粒子に外接する最小面積の長方形で囲んだ場合の、(短辺/長辺)により計算できる。棒状粒子10と、球状粒子20との混合比率は特に限定されないが、個数割合で、10:1〜1:10とすることができる。
まず、本実施形態に係る活物質について説明する。図1は、本実施形態に係る活物質の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。本実施形態に係る活物質30は、棒状粒子10と、球状粒子20との混合物であり、通常これらが混合状態で凝集している。棒状粒子10とは、アスペクト比が0.3以下の粒子であり、長軸の平均粒径が0.2〜0.9μmであり、β型LiVOPO4を主成分とする。球状粒子20とは、アスペクト比が1〜0.7のものであり、平均粒径が0.4〜1μmであり、β型LiVOPO4を主成分とする。
粒子のアスペクト比は、SEM写真において、各粒子を、各粒子に外接する最小面積の長方形で囲んだ場合の、(短辺/長辺)により計算できる。棒状粒子10と、球状粒子20との混合比率は特に限定されないが、個数割合で、10:1〜1:10とすることができる。
本実施形態において、球状粒子の平均粒子径は、SEM写真において、予め定められたA方向における最大距離、すなわち、A方向と直交する平行外接線ではさんだ場合の線間距離(いわゆるFeret径)で表される。棒状粒子の長軸の平均粒径は、SEM写真における上述の長方形の長辺の長さとしてより容易に測定できる。これらは、例えば、100個程度の粒径を平均すればよい。
ここで、「β型結晶構造のLiVOPO4を主成分とする」とは、β型結晶構造のLiVOPO4を、β型結晶構造のLiVOPO4とα型結晶構造のLiVOPO4との総和に対して80質量%以上含むことを意味する。ここで、活物質におけるβ型結晶構造のLiVOPO4やα型結晶構造のLiVOPO4等の量は、例えば、X線回折法により測定することができる。通常、β型結晶構造のLiVOPO4は2θ=27.0度にピークが現れ、α型結晶構造のLiVOPO4は2θ=27.2度にピークが現れる。なお、活物質1は、β型結晶構造のLiVOPO4及びα型結晶構造のLiVOPO4以外にも、未反応の原料成分等を微量含んでもよい。
<活物質の製造方法>
本実施形態に係る活物質の製造方法について説明する。本実施形態に係る活物質の製造方法は、以下の昇温工程を備える。
[昇温工程]
昇温工程は、リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤とを含む混合物を、密閉容器内で加熱する工程である。密閉容器を用いることにより、加熱と共に容器内が加圧状態となる。
本実施形態に係る活物質の製造方法について説明する。本実施形態に係る活物質の製造方法は、以下の昇温工程を備える。
[昇温工程]
昇温工程は、リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤とを含む混合物を、密閉容器内で加熱する工程である。密閉容器を用いることにより、加熱と共に容器内が加圧状態となる。
(混合物)
リチウム源としては、例えば、LiNO3、Li2CO3、LiOH、LiCl、Li2SO4及びCH3COOLi等のリチウム化合物が挙げられる。これらの中でも、LiNO3、Li2CO3が好ましい。
5価のバナジウム源としては、V2O5及びNH4VO3等のバナジウム化合物が挙げられる。
リン酸源としては、例えば、H3PO4、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4及びLi3PO4等のPO4含有化合物が挙げられる。これらの中でも、H3PO4、(NH4)2HPO4が好ましい。
リチウム源としては、例えば、LiNO3、Li2CO3、LiOH、LiCl、Li2SO4及びCH3COOLi等のリチウム化合物が挙げられる。これらの中でも、LiNO3、Li2CO3が好ましい。
5価のバナジウム源としては、V2O5及びNH4VO3等のバナジウム化合物が挙げられる。
リン酸源としては、例えば、H3PO4、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4及びLi3PO4等のPO4含有化合物が挙げられる。これらの中でも、H3PO4、(NH4)2HPO4が好ましい。
リチウム源の濃度は特に限定されないが、5価のバナジウム原子のモル数に対するリチウム原子のモル数の割合が0.95〜1.2となるように配合することが好ましい。また、リン酸源の濃度も特に限定されないが、5価のバナジウム原子のモル数に対するリン原子のモル数の割合が0.95〜1.2となるように配合することが好ましい。リチウム原子及びリン原子の少なくとも一方の配合比率が0.95より少ないと、得られる活物質の放電容量は減少する傾向があり、レート特性は低下する傾向がある。リチウム原子及びリン原子の少なくとも一方の配合比率が1.2よりも多いと、得られる活物質の放電容量は減少する傾向がある。
還元剤は、特に限定されないが、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸等の有機酸、ヒドラジン、過酸化水素等が挙げられる。還元剤の配合量は特に限定されないが、還元剤は、混合物全量を基準として、0.1〜1mol/Lであることが好ましい。また、5価のバナジウム原子のモル数に対して還元剤のモル数の割合は10〜100mol%であることが好ましい。
ところで、得られた活物質を用いて電極の活物質含有層を作製する場合、導電性を高めるべく、通常この活物質の表面に炭素材料等の導電材を接触させることが多い。この方法として、活物質の製造後に活物質と導電材とを混合して活物質含有層を形成してもよいが、例えば、水熱合成の原料となる混合物中に、炭素材料を導電材として添加して活物質に炭素を付着させることもできる。
混合物中に炭素材料である導電材を添加する場合の導電材としては、例えば、活性炭、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。これらの中でも水熱合成時に炭素粒子を混合物に容易に分散させることができる、活性炭を用いることが好ましい。ただし、導電材は必ずしも水熱合成時に混合物に全量混合されている必要はなく、少なくとも一部が水熱合成時に混合物に混合されることが好ましい。これにより、活物質含有層を形成する際の結合剤を低減して容量密度を増加させることができる場合がある。
水熱合成工程における混合物中の炭素粒子等の上記導電材の含有量は、炭素粒子を構成する炭素原子のモル数Cと、例えば5価のバナジウム化合物に含まれるバナジウム原子のモル数Mとの比C/Mが、0.04≦C/M≦4を満たすように調製することが好ましい。導電材の含有量(モル数C)が少なすぎる場合、活物質と導電材により構成される電極活物質の電子伝導性及び容量密度が低下する傾向がある。導電材の含有量が多すぎる場合、電極活物質に占める活物質の重量が相対的に減少し、電極活物質の容量密度が減少する傾向がある。導電材の含有量を上記の範囲内とすることにより、これらの傾向を抑制できる。
混合物中における水の量は水熱合成が可能であれば特に限定されないが、混合物中の水以外の物質の割合は35質量%以下となることが好ましい。
混合物を調整する際の、原料の投入順序は特に制限されない。例えば、上記混合物の原料をまとめて混合してもよく、また、最初に、水とPO4含有化合物の混合物に対して5価のバナジウム化合物を添加し、その後、還元剤を添加し、さらにその後、リチウム化合物を加えてもよい。さらに、混合物を十分に混合させ、添加成分を十分に分散させておくことが好ましく、リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、及びPO4含有化合物の少なくとも一部は、水に溶解しておらず、混合物は懸濁液であることが好ましい。
昇温工程では、まず、密閉容器内で水分を含む混合物を加熱することによって内部を高温加圧にできる機能を有する反応容器(例えば、オートクレーブ等)内に、上述した混合物(リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、PO4含有化合物、水、還元剤等)を投入する。なお、反応容器内で、混合物を調整してもよい。
次に、反応容器を密閉し、混合物を25℃から110℃になるまで昇温速度T1で昇温し、その後、110℃から、200℃以上の所定の最終温度まで昇温速度T2で昇温する。
ここで、T1>T2である。T1−T2≧1℃/minが好ましく、T1−T2≧2℃/minがより好ましく、T1−T2≧3℃/minがさらに好ましい。また、T1=0.5〜10℃/minであり、好ましくはT1=3〜5℃/minである。25℃以下の温度では特に水熱合成反応は殆ど起こらないので、25℃以下における昇温速度は特に限定されない。T2=0.1〜2.2℃/minであり、好ましくは、T2=0.1〜0.5℃/minである。なお、昇温速度は、変動することがあるが、その場合の昇温速度Tは各温度区間における時間平均値である。この場合、各温度区間における温度の最大値、最小値は、上述の各温度範囲に入ることが好ましい。反応容器内の温度が上がるにつれ、水の蒸気圧により反応容器内が加圧される。
ここで、T1>T2である。T1−T2≧1℃/minが好ましく、T1−T2≧2℃/minがより好ましく、T1−T2≧3℃/minがさらに好ましい。また、T1=0.5〜10℃/minであり、好ましくはT1=3〜5℃/minである。25℃以下の温度では特に水熱合成反応は殆ど起こらないので、25℃以下における昇温速度は特に限定されない。T2=0.1〜2.2℃/minであり、好ましくは、T2=0.1〜0.5℃/minである。なお、昇温速度は、変動することがあるが、その場合の昇温速度Tは各温度区間における時間平均値である。この場合、各温度区間における温度の最大値、最小値は、上述の各温度範囲に入ることが好ましい。反応容器内の温度が上がるにつれ、水の蒸気圧により反応容器内が加圧される。
所定の最終温度は特に限定されないが、200〜300℃とすることが好ましく、得られた活物質の放電容量を向上させる観点から、220〜280℃とすることがより好ましい。所定の最終温度が低すぎると、得られるβ型結晶構造のLiVOPO4の結晶性が低下し、活物質の容量密度が減少する傾向がある。所定の最終温度が高すぎると、反応容器に高い耐熱性が求められ、活物質の製造コストが増大する傾向がある。混合物の温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向も抑制できる。
この場合、反応容器内の圧力は、0.1〜30MPaとすることが好ましい。混合物に加える圧力が低すぎると、得られるβ型結晶構造のLiVOPO4の結晶性が低下し、活物質の容量密度が減少する傾向がある。混合物に加える圧力が高すぎると、反応容器に高い耐圧性が求められ、活物質製造コストが増大する傾向がある。混合物に加える圧力を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
そして、このような昇温工程により、混合物の水熱反応が進行し、上述の活物質が形成されるものと考えられる。
そして、このような昇温工程により、混合物の水熱反応が進行し、上述の活物質が形成されるものと考えられる。
(維持工程)
引き続いて、必要に応じて、所定の最終温度を維持する工程を行なうことが好ましい。維持時間は特に限定されないが、1〜30時間が好ましい。維持を行なうことにより、結晶の成長が進むと言う効果がある。
引き続いて、必要に応じて、所定の最終温度を維持する工程を行なうことが好ましい。維持時間は特に限定されないが、1〜30時間が好ましい。維持を行なうことにより、結晶の成長が進むと言う効果がある。
(冷却工程)
その後、反応物を冷却する。冷却速度は特に限定されず、加熱をやめて常温付近まで得冷却すればよい。
得られた活物質は、通常、水熱合成後の液中に固体として沈殿する。そして、水熱合成後の液を、例えば、ろ過して固体を捕集し、捕集された固体を水やアセトン等で洗浄し、その後乾燥させることにより、上述のような、β型結晶構造のLiVOPO4を主成分とし、球状粒子と棒状粒子とを両方含む活物質を効率よく得ることができる。
その後、反応物を冷却する。冷却速度は特に限定されず、加熱をやめて常温付近まで得冷却すればよい。
得られた活物質は、通常、水熱合成後の液中に固体として沈殿する。そして、水熱合成後の液を、例えば、ろ過して固体を捕集し、捕集された固体を水やアセトン等で洗浄し、その後乾燥させることにより、上述のような、β型結晶構造のLiVOPO4を主成分とし、球状粒子と棒状粒子とを両方含む活物質を効率よく得ることができる。
[焼成工程]
本実施形態に係る活物質の製造方法は、水熱合成により得られた活物質を加熱する工程をさらに備えていてもよい(以下、「焼成工程」という場合がある。)。この工程においては、水熱合成工程を経て得られた活物質に残留した不純物等が除去される現象が起こるものと考えられる。
本実施形態に係る活物質の製造方法は、水熱合成により得られた活物質を加熱する工程をさらに備えていてもよい(以下、「焼成工程」という場合がある。)。この工程においては、水熱合成工程を経て得られた活物質に残留した不純物等が除去される現象が起こるものと考えられる。
ここで、焼成工程では、上述の活物質を400℃〜600℃に加熱すればよい。加熱温度が高すぎると、活物質の粒成長が進み粒径(一次粒子径)が増大する結果、活物質におけるリチウムの拡散が遅くなり、活物質の容量密度が減少する傾向がある。一方、加熱温度が低すぎると、焼成の効果が得られない。加熱温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。加熱時間は特に限定されないが、3〜8時間とすることが好ましい。
焼成工程の雰囲気は特に限定されないが、還元剤の除去を行い易くするためには、大気雰囲気であることが好ましい。一方、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気中で行うこともできる。
本実施形態に係る活物質の製造方法によれば、上述の、β型結晶構造のLiVOPO4を主成分として含有する棒状粒子及び球状粒子の混合物である活物質を得ることができる。そして、このような活物質を用いた電極、及び当該電極を用いたリチウム二次電池は、大きな放電容量を得ることができる。このような知見は従来得られておらず、このような効果は、従来技術と比較して顕著な効果である。このような結果が得られる原因は不明であるが、水熱合成条件の特定により、結晶性が高く、粒径の小さい粒子が得られることが一因と考えられる。
<電極及び当該電極を用いたリチウム二次電池>
次に、本実施形態に係る活物質を用いた電極、及び当該電極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。本実施形態に係る電極は、集電体と、上記活物質を含み上記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極である。図2は、当該電極を用いた本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の模式断面図である。
次に、本実施形態に係る活物質を用いた電極、及び当該電極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。本実施形態に係る電極は、集電体と、上記活物質を含み上記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極である。図2は、当該電極を用いた本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の模式断面図である。
リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60,62を備えている。
積層体30は、一対の正極10、負極20がセパレータ18を挟んで対向配置されたものである。正極10は、板状(膜状)の正極集電体12上に正極活物質層14が設けられたものである。負極20は、板状(膜状)の負極集電体22上に負極活物質層24が設けられたものである。正極活物質層14及び負極活物質層24がセパレータ18の両側にそれぞれ接触している。正極集電体12及び負極集電体22の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極10及び負極20を総称して、電極10、20といい、正極集電体12及び負極集電体22を総称して集電体12、22といい、正極活物質層14及び負極活物質層24を総称して活物質層14、24という。
まず、電極10、20について具体的に説明する。
(正極10)
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層14は、本実施形態に係る活物質、結合剤、必要に応じた量の導電材を含むものである。
(正極10)
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層14は、本実施形態に係る活物質、結合剤、必要に応じた量の導電材を含むものである。
結合剤は、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体12とを結合している。
結合剤の材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、結合剤として、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
更に、上記の他に、結合剤として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、結合剤として電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、結合剤が導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、LiBr、Li(CF3SO2)2N、LiN(C2F5SO2)2リチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
正極活物質層14に含まれる結合剤の含有率は、活物質層の質量を基準として0.5〜6質量%であることが好ましい。結合剤の含有率が0.5質量%未満となると、結合剤の量が少なすぎて強固な活物質層を形成できなくなる傾向が大きくなる。また、結合剤の含有率が6質量%を超えると、電気容量に寄与しない結合剤の量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向が大きくなる。また、この場合、特に結合剤の電子伝導性が低いと活物質層の電気抵抗が上昇し、十分な電気容量が得られなくなる傾向が大きくなる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極20)
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質は特に限定されず、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート・デインターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
結合材、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質は特に限定されず、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート・デインターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
結合材、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
次に、本実施形態に係る電極10,20の製造方法について説明する。
(電極10,20の製造方法)
本実施形態に係る電極10,20の製造方法は、電極活物質層14,24の原料である塗料を、集体上に塗布する工程(以下、「塗布工程」ということがある。)と、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」ということがある。)と、を備える。
(電極10,20の製造方法)
本実施形態に係る電極10,20の製造方法は、電極活物質層14,24の原料である塗料を、集体上に塗布する工程(以下、「塗布工程」ということがある。)と、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」ということがある。)と、を備える。
(塗布工程)
塗料を集電体12、22に塗布する塗布工程について説明する。塗料は、上記活物質、結合剤、及び溶媒を含む。塗料には、これらの成分の他に、例えば、活物質の導電性を高めるための導電材が含まれていてもよい。溶媒としては、溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗料を集電体12、22に塗布する塗布工程について説明する。塗料は、上記活物質、結合剤、及び溶媒を含む。塗料には、これらの成分の他に、例えば、活物質の導電性を高めるための導電材が含まれていてもよい。溶媒としては、溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
活物質、結合剤、溶媒、導電材等の塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。例えば、まず、活物質、導電材及び結合剤を混合し、得られた混合物に、N−メチル−2−ピロリドンを加えて混合し、塗料を調整する。
上記塗料を、集電体12、22に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
(溶媒除去工程)
続いて、集電体12、22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体12、22を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
続いて、集電体12、22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体12、22を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層14、24が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、本実施形態に係る電極を作製することができる。
本実施形態に係る電極によれば、正極活物質として本実施形態に係る活物質を用いるため、十分な放電容量の電極が得られる。
ここで、上述のように作製した電極を用いたリチウムイオン二次電池100の他の構成要素を説明する。
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3CF2CO)2、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
なお、本実施形態において、電解質は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)が含有されていてもよい。
セパレータ18は、電気絶縁性の多孔体であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
ケース50は、その内部に積層体30及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図2に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接し、正極10の正極活物質層14と負極20の負極活物質層24との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以上、本発明の活物質、それを用いた電極、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池、及び、それらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の活物質を用いた電極は、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子にも用いることができる。電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(カソードとして本発明の活物質を用い、アノードに金属リチウムを用いたもの)等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[水熱合成工程]
500mLのオートクレーブのガラス内筒に、18.38g(0.10mol)のV2O5(ナカライテスク社製、純度99%)、200gの蒸留水(ナカライテスク社製、HPLC用)、及び23.06g(0.20mol)のH3PO4(ナカライテスク社製、純度85%)をこの順に入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。続いて、還元剤としてヒドラジン1水和物2.55g(0.05mol)を加えた。pHは3であった。続いて、ガラス内筒を密閉し、攪拌しながらオートクレーブ内で16時間95℃に維持した。その後室温まで冷却してからガラス内筒を開放したところ、水色の流動性のないペーストであった。このとき、液のpHは3であった。
得られたペースト状の物質に、8.48g(0.20mol)のLiOH・H2O(ナカライテスク社製、純度99%)を加えた。LiOH・H2Oは、ペーストの上に乗ったままであり、色相の変化もなかった。投入直後のpHは11であった。
ガラス内筒を密閉し、攪拌しながら、開始温度(25℃)から110℃まで4℃/minで昇温し、その後、110℃から250℃まで0.5℃/minで昇温した。温度パターンを、図3にしめす。250℃に到達後、250℃に10時間維持した。
[水熱合成工程]
500mLのオートクレーブのガラス内筒に、18.38g(0.10mol)のV2O5(ナカライテスク社製、純度99%)、200gの蒸留水(ナカライテスク社製、HPLC用)、及び23.06g(0.20mol)のH3PO4(ナカライテスク社製、純度85%)をこの順に入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。続いて、還元剤としてヒドラジン1水和物2.55g(0.05mol)を加えた。pHは3であった。続いて、ガラス内筒を密閉し、攪拌しながらオートクレーブ内で16時間95℃に維持した。その後室温まで冷却してからガラス内筒を開放したところ、水色の流動性のないペーストであった。このとき、液のpHは3であった。
得られたペースト状の物質に、8.48g(0.20mol)のLiOH・H2O(ナカライテスク社製、純度99%)を加えた。LiOH・H2Oは、ペーストの上に乗ったままであり、色相の変化もなかった。投入直後のpHは11であった。
ガラス内筒を密閉し、攪拌しながら、開始温度(25℃)から110℃まで4℃/minで昇温し、その後、110℃から250℃まで0.5℃/minで昇温した。温度パターンを、図3にしめす。250℃に到達後、250℃に10時間維持した。
ヒータのスイッチをオフにした後、容器内の温度が常温になるまで放冷し、茶色の沈殿を含む懸濁溶液を得た。この物質のpHを測定したところ、pHは7であった。上澄みを除去した後、約200mlの蒸留水を加え、攪拌しながら容器内の沈殿物を洗浄した(pH7)。その後、吸引濾過を行った(水洗)。その後、約700mlのアセトンを加え、上記水洗と同様にして沈殿物の洗浄を行った。濾過後の物質を乾燥させて、31.78gの茶色の固体を得た。収率は、LiVOPO4換算で94.1%(粗大粒子0.97gを含めると97%)であった。
[焼成工程]
上記アセトンを用いて洗浄した後の物質のうち3.00gをアルミナ坩堝に入れ、大気雰囲気中、室温から450℃まで45分かけて昇温し、450℃で4時間熱処理することにより、2.96gの粉体を得た。
上記アセトンを用いて洗浄した後の物質のうち3.00gをアルミナ坩堝に入れ、大気雰囲気中、室温から450℃まで45分かけて昇温し、450℃で4時間熱処理することにより、2.96gの粉体を得た。
(実施例2,3,4,5,6)
110℃から250℃までの昇温速度を、それぞれ、0.1、0.2、0.3、0.8、2.2℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
110℃から250℃までの昇温速度を、それぞれ、0.1、0.2、0.3、0.8、2.2℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7,8)
25℃から110℃までの昇温速度を、それぞれ、3、10℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
25℃から110℃までの昇温速度を、それぞれ、3、10℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(実施例9,10)
ヒドラジンの仕込み量を、実施例1に比して、それぞれ15/25倍、35/25倍して、還元剤濃度をそれぞれ0.15mol/L、0.35mol/Lとする以外は、実施例1と同様とした。
ヒドラジンの仕込み量を、実施例1に比して、それぞれ15/25倍、35/25倍して、還元剤濃度をそれぞれ0.15mol/L、0.35mol/Lとする以外は、実施例1と同様とした。
(実施例11、12)
還元剤として、ヒドラジンに代えて、クエン酸、アスコルビン酸を同モル加える以外は実施例1と同様とした。
還元剤として、ヒドラジンに代えて、クエン酸、アスコルビン酸を同モル加える以外は実施例1と同様とした。
(実施例13)
25℃から110℃までの昇温速度を、0.5℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
25℃から110℃までの昇温速度を、0.5℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
110℃から250℃までの昇温速度を、3℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
110℃から250℃までの昇温速度を、3℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
25℃から110℃までの昇温速度を、12℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
25℃から110℃までの昇温速度を、12℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
25℃から110℃までの昇温速度を、0.4℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
25℃から110℃までの昇温速度を、0.4℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(比較例4)
110℃から250℃までの昇温速度を、0.05℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
110℃から250℃までの昇温速度を、0.05℃/minとする以外は、実施例1と同様にした。
(評価)
[結晶構造の確認]
各実施例の活物質に対して、X線回折測定を行った。複数のピークのうち、2θ=26.966°、27.582°、28.309°において、強度が相対的に高いピークが得られ、活物質は主にβ型結晶構造のLiVOPO4から構成されることが確認された。
[結晶構造の確認]
各実施例の活物質に対して、X線回折測定を行った。複数のピークのうち、2θ=26.966°、27.582°、28.309°において、強度が相対的に高いピークが得られ、活物質は主にβ型結晶構造のLiVOPO4から構成されることが確認された。
[活物質の形状の観察]
走査型電子顕微鏡を用いて、各実施例、比較例の活物質の形状を観察した。実施例1の活物質の電子顕微鏡写真を図1に示す。各実施例の活物質は、棒状粒子10、及び、球状粒子20の混合物であった。SEM写真に基づいて各実施例の棒状粒子の平均長軸径と、球状粒子の平均粒径を測定した。比較例では、不定形の粒子が得られた。
走査型電子顕微鏡を用いて、各実施例、比較例の活物質の形状を観察した。実施例1の活物質の電子顕微鏡写真を図1に示す。各実施例の活物質は、棒状粒子10、及び、球状粒子20の混合物であった。SEM写真に基づいて各実施例の棒状粒子の平均長軸径と、球状粒子の平均粒径を測定した。比較例では、不定形の粒子が得られた。
[放電容量の測定]
各実施例及び比較例の活物質と、結合剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電材であるアセチレンブラックと、を混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて活物質とアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、活物質を含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
各実施例及び比較例の活物質と、結合剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電材であるアセチレンブラックと、を混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて活物質とアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、活物質を含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
次に、得られた電極と、その対極であるLi箔とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(素体)を得た。この積層体を、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF6溶液を注入した後、真空シールし、各実施例及び比較例の評価用セルを作製した。
各評価用セルを用いて、25℃で、放電レートを1C(定電流放電を行ったときに1時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。結果を表1に示す。
30…活物質、正極(電極)…10、12…集電体、14…活物質層、100…リチウムイオン二次電池。
Claims (6)
- リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、還元剤と、を含む混合物を、密閉容器内で、25℃から110℃まで昇温速度T1で昇温し、その後、110℃から、200℃以上の所定の温度まで昇温速度T2で昇温する昇温工程を備え、
T1>T2であり、
T1=0.5〜10℃/minであり、
T2=0.1〜2.2℃/minである、活物質の製造方法。 - 前記昇温工程の後に、前記所定の温度を維持する工程をさらに備える、請求項1記載の活物質の製造方法。
- 前記昇温工程で得られたβ型結晶構造のLiVOPO4を焼成する焼成工程をさらに備える、請求項1又は2記載の活物質の製造方法。
- アスペクト比が1〜0.7であり平均粒径が0.4〜1μmのβ型LiVOPO4を主成分とする粒子と、アスペクト比が0.3以下であり長軸の平均粒径が0.2〜0.9μmのβ型LiVOPO4を主成分とする粒子と、を含む活物質。
- 集電体と、請求項4に記載の活物質を含み前記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極。
- 請求項5に記載の電極を備えるリチウムイオン二次電池。
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