JP2012212634A - 活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法 - Google Patents

活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 放電レート特性に優れた活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供すること。
【解決手段】 粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子と、第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子と、炭素膜と、を含み、第一のLiVOPO粒子の表面が、第二のLiVOPO粒子及び炭素膜によって覆われている、活物質。
【選択図】 図1

Description

本発明は、活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法に関する。
構造式LiVOPOで表される結晶においては、リチウムイオンが可逆的に挿入脱離することが知られている。構造式LiVOPOで表される結晶は、α型、β型等の異なる結晶構造を有し、α型はβ型に比して熱力学的に安定な構造であるといわれている。特許文献1には、β型結晶構造(斜方晶)のLiVOPOに比べて、α型結晶構造(三斜晶)のLiVOPOは放電容量が小さいことが報告されている。
非特許文献1には、VOPOとLiCOとを炭素の存在下で加熱し、炭素によりVOPOを還元して、β型結晶構造のLiVOPOを作製する方法(カーボサーマルリダクション法(CTR法))が開示されている。非特許文献2には、4価のバナジウムを用いることにより、β型結晶構造のLiVOPOを作製する方法が開示されている。
特開2004−303527号公報
J.Baker et al.,J.Electrochem.Soc.,151,A796(2004) J.Solid State Chem.,95,352(1991)
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1、2に記載された方法により得られたLiVOPOを含む活物質は、十分な放電レート特性を得られるものではなかった。
そこで、本発明は、放電レート特性に優れた活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子と、第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子と、炭素膜と、を含み、第一のLiVOPO粒子の表面が、第二のLiVOPO粒子及び炭素膜によって覆われている、活物質を提供する。
理由は必ずしも明らかではないが、粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子の表面が炭素膜及び、第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子によって覆われていることにより、本発明に係る活物質は良好な放電レート特性が得られるものと考えられる。
ここで、上記複数の第二のLiVOPO粒子は凝集体を複数形成し、複数の凝集体は第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい径を有していてもよい。
また、上記複数の第二のLiVOPO粒子は、0.01〜0.10μmの粒子径を有することが好ましい。複数の第二のLiVOPO粒子の粒子径が上記範囲内の値であると、リチウムイオンの拡散能が向上するためか、放電レート特性がより向上する。
また、上記炭素膜は、0.005〜0.03μmの膜厚を有していてもよい。炭素膜の膜厚が上記範囲内の値であると、リチウムイオンの拡散能を高い状態に維持しつつ、活物質に高い電子導電性を付与することができ、放電レート特性がより向上する。
また、本発明は、集電体と、上記活物質を含み上記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極を提供する。これにより、放電レート特性に優れた電極が得られる。
また、本発明は、上記電極を備えるリチウム二次電池を提供する。これにより、放電レート特性に優れたリチウム二次電池を得られる。
さらに本発明は、リチウム源、5価のバナジウム源、リン酸源、水、及び、有機物を含む混合物を、加圧下で200℃以上に加熱することにより、LiVOPO及び有機物を含む生成物を得る水熱合成工程と、当該生成物を、400℃〜650℃において焼成する焼成工程と、を備え、有機物は、水に不溶であり、かつ、上記加圧及び上記加熱状態で溶融状態となるものである、活物質の製造方法を提供する。
必ずしも明らかではないが、本発明者らは、放電レート特性に優れた活物質を製造できる理由について、以下のように推察する。すなわち、上記水熱合成工程においては、リチウム源、5価のバナジウム源、リン酸源、水、及び、有機物を含む混合物中、当該有機物が、水に不溶であり、かつ、加圧下で200℃以上に加熱された状態で溶融状態となるため、水相と有機物相とが混在した状態となっている。水相には、リチウム源、5価のバナジウム源、及びリン酸源が多量に含まれており、これらの化合物からLiVOPOの結晶核が析出し、結晶成長が生じて第一のLiVOPO粒子の前駆体が形成されることとなる。一方、有機物相には、リチウム源、5価のバナジウム源、及びリン酸源が少量含まれており、LiVOPOの結晶核が析出するものの結晶成長が抑制され、多数の第二のLiVOPO粒子の前駆体が形成されることとなる。多数の第二のLiVOPO粒子の前駆体を含む有機物相は、高温高圧の水熱合成中に又は冷却後に、結晶成長した第一のLiVOPO粒子の前駆体を取り囲むような状態となり、焼成工程において、有機物相における有機物が分解して炭素膜が形成されると、第一のLiVOPO粒子表面が、多数の第二のLiVOPO粒子及び炭素膜によって覆われ、上記の活物質が形成されることになると考えられる。
本発明によれば、放電レート特性に優れた活物質、これを含む電極、当該電極を備えるリチウム二次電池、及び活物質の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る活物質の一例を示す模式断面図である。 (a)は、本実施形態に係る活物質の走査透過型電子顕微鏡写真の明視野像であり、(b)は暗視野像である。 (a)は、図2(a)の拡大像であり、(b)は、図2(b)の拡大像である。 (a)は、図2に示す活物質の走査透過型電子顕微鏡観察におけるエネルギー分散X線分光法による、炭素原子のマッピングを示す図であり、(b)は、酸素原子のマッピングを示す図であり、(c)は、リン原子のマッピングを示す図であり、(d)は、バナジウム原子のマッピングを示す図である。 (a)は、図3に示す活物質の走査透過型電子顕微鏡観察におけるエネルギー分散X線分光法による、炭素原子のマッピングを示す図であり、(b)は、酸素原子のマッピングを示す図であり、(c)は、リン原子のマッピングを示す図であり、(d)は、バナジウム原子のマッピングを示す図である。 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明の活物質は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<活物質>
まず、本実施形態に係る活物質について説明する。図1は、本実施形態に係る活物質の一例を示す模式断面図である。図2、3は、本実施形態に係る活物質を示す走査透過型電子顕微鏡写真である。図2(a)は、本実施形態に係る活物質の走査透過型電子顕微鏡写真の明視野像であり、(b)は暗視野像である。図3(a)及び(b)は、それぞれ図2(a)及び(b)の拡大像である。図4は、図2に示す活物質の走査透過型電子顕微鏡観察におけるエネルギー分散X線分光法(EDX)による、各種元素のマッピングを示す図であり、(a)は、炭素原子のマッピングを示す図であり、(b)は、酸素原子のマッピングを示す図であり、(c)は、リン原子のマッピングを示す図であり、(d)は、バナジウム原子のマッピングを示す図である。図5は、図3に示す活物質の走査透過型電子顕微鏡観察におけるエネルギー分散X線分光法(EDX)による、各種元素のマッピングを示す図であり、(a)は、炭素原子のマッピングを示す図であり、(b)は、酸素原子のマッピングを示す図であり、(c)は、リン原子のマッピングを示す図であり、(d)は、バナジウム原子のマッピングを示す図である。図1〜5に示すように、本実施形態に係る活物質5は、粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子1と、第一のLiVOPO粒子1の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子2と、炭素膜3と、を含む。炭素膜3及び複数の第二のLiVOPO粒子2は、第一のLiVOPO粒子1の表面を覆っている。炭素膜3には、複数の第二のLiVOPO粒子2が含まれている場合がある。
LiVOPO粒子は、粒子全量を基準として、LiVOPOを80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上含む。ここで、LiVOPOは、α型結晶構造のLiVOPOやβ型結晶構造のLiVOPO等の異なる結晶構造を含む。これらの結晶構造は、通常、X線回折法により同定することができる。通常、β型結晶構造のLiVOPOは2θ=27.0度にピークが現れ、α型結晶構造のLiVOPOは2θ=27.2度にピークが現れる。第1のLiVOPO粒子1又は第2のLiVOPO粒子2は、α型結晶構造のLiVOPO及びβ型結晶構造のLiVOPOのいずれを主成分として含有していてもよいが、高い放電容量が得られる観点から、β型の結晶構造がα型の結晶構造よりも多く含まれているとよい。第1のLiVOPO粒子1又は第2のLiVOPO粒子2は、β型結晶構造のLiVOPO及びα型結晶構造のLiVOPO以外にも、未反応の原料成分等を微量含んでもよい。
第一のLiVOPO粒子1の粒子径は、以下のように測定する。高分解能走査型電子顕微鏡で観察したイメージに基づいて、第一のLiVOPO粒子1の投影面積から投影面積円相当径を測定する。投影面積円相当径とは、第一のLiVOPO粒子1の投影面積と同じ投影面積を持つ球を想定し、その球の直径(円相当径)を粒子径(第一のLiVOPO粒子1の粒子径)として表したものである。20個の第一のLiVOPO粒子1に対してそれぞれ投影面積円相当径を測定し、その平均値を第一のLiVOPO粒子1の粒子径とする。
第一のLiVOPO粒子1の粒子径は、0.3〜10μmであることが好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。
第一のLiVOPO粒子1の表面は、炭素膜3で覆われている。炭素膜3の膜厚は、第二のLiVOPO粒子2が含まれていない部分では、第一のLiVOPO粒子1の表面から炭素膜3の表面までの長さのことであり、第二のLiVOPO粒子2が含まれている部分では、第二のLiVOPO粒子2のうち、最も炭素膜3の表面に近い粒子の表面から、炭素膜3の表面までの長さのことである。当該膜厚は、0.005〜0.03μmであってもよく、0.007〜0.020μmであることが好ましく、0.009〜0.015μmであることがより好ましい。炭素膜の膜厚が上記範囲内の値であると、リチウムイオンの拡散能を高い状態に維持しつつ、活物質5に高い電子導電性を付与することができ、サイクル特性がより向上する。炭素膜3の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、活物質5の断面を観察することによって測定する。
複数の第二のLiVOPO粒子2は凝集体4を複数形成し、凝集体4は第一のLiVOPO粒子1の粒子径よりも小さい径を有していることが好ましい。凝集体4の径は、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであることがより好ましい。ここで、「凝集体3の径」とは、凝集体を構成する複数の第二のLiVOPO粒子2全体に外接する円の直径の20個当たりの平均値である。
第二のLiVOPO粒子2の粒子径は、第一のLiVOPO粒子1の粒子径よりも小さく、0.01〜0.10μmであることが好ましい。第二のLiVOPO粒子2の粒子径が上記範囲内の値であると、リチウムイオンの拡散能が向上するためか、放電レート特性がより向上する。第二のLiVOPO粒子2の粒子径は、0.02〜0.08μmであることが好ましく、0.03〜0.05μmであることがより好ましい。ここで、「第二のLiVOPO粒子2の粒子径」とは、上述の第一のLiVOPO粒子1の粒子径と同様に、20個の第二のLiVOPO粒子2に対してそれぞれ測定した投影面積円相当径の平均値である。
<活物質の製造方法>
本実施形態に係る活物質の製造方法について説明する。本実施形態に係る活物質の製造方法は、下記の原料調整工程と、水熱合成工程と、焼成工程と、を備える。
[原料調整工程]
原料調整工程は、リチウム源と、5価のバナジウム源と、リン酸源と、水と、有機物とを含む混合物を調整する工程である。
(混合物)
リチウム源としては、例えば、LiNO、LiCO、LiOH、LiCl、LiSO及びCHCOOLi等のリチウム化合物が挙げられる。これらの中でも、LiOH、LiNO、LiCOが好ましい。
5価のバナジウム源としては、V及びNHVO等のバナジウム化合物が挙げられる。
リン酸源としては、例えば、HPO、NHPO、(NHHPO及びLiPO等のPO含有化合物が挙げられる。これらの中でも、HPO、(NHHPOが好ましい。
リチウム源は、5価のバナジウム原子のモル数に対するリチウム原子のモル数の割合が0.95〜1.2となるように配合することが好ましい。また、リン酸源は、5価のバナジウム原子のモル数に対するリン原子のモル数の割合が0.95〜1.2となるように配合することが好ましい。リチウム原子及びリン原子の少なくとも一方の配合比率が0.95より少ないと、得られる活物質の放電容量は減少する傾向があり、放電レート特性は低下する傾向がある。リチウム原子及びリン原子の少なくとも一方の配合比率が1.2よりも多いと、得られる活物質の放電容量は減少する傾向がある。
有機物は、水に不溶であって、後述する水熱合成の温度及び圧力条件下で溶融状態となるものである。例えば、水熱合成温度よりも低い融点を持つ有機物が挙げられる。当該有機物は、常温で液体であっても固体であってもよい。常温で固体の場合、水への分散のし易さの観点から粒子状であることが好ましい。有機物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の主鎖に炭素原子を含む高分子化合物、エイコサン等の飽和アルカン、流動パラフィン等の油脂が挙げられる。この有機物を、混合物に、混合物全量を基準として1〜20質量%、好ましくは2〜8質量%加えるとよい。
得られた活物質5を用いて電極の活物質含有層を作製する場合、さらに導電性を高めるべく、この活物質の表面に炭素材料等の導電材を接触させてもよい。この方法として、活物質の製造後に活物質と導電材とを混合して活物質含有層を形成してもよいが、例えば、水熱合成の原料となる混合物中に、炭素材料を導電材として添加して活物質に炭素を付着させることもできる。
混合物中における水の量は水熱合成が可能であれば特に限定されないが、混合物中の水以外の物質の割合は35質量%以下となることが好ましい。
混合物を調整する際の原料の投入順序は特に制限されない。例えば、上記混合物に含まれる原料をまとめて混合してもよく、また、最初に、水とPO含有化合物とを混合し、その後、5価のバナジウム化合物、リチウム化合物、及び有機物を加えてもよい。水熱合成直前の混合物は、十分に混合させ、リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、及びPO含有化合物を十分に水に分散させておいても、また、完全に水に溶解させておいてもよいが、リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、及びPO含有化合物を水に完全に溶解させておくことが特に好ましい。有機物は、水に不溶な性質を有するため、リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、及びPO含有化合物を多量に含む水相とは分離するが、攪拌等により水相に十分に分散させておくことが好ましい。
[水熱合成工程]
水熱合成工程では、まず、内部を加熱、加圧する機能を有する反応容器(例えば、オートクレーブ等)内に、上述した混合物(リチウム化合物、5価のバナジウム化合物、PO含有化合物、水、有機物等)を投入する。なお、反応容器内で、混合物を調整してもよい。
次に、反応容器を密閉して、混合物を加圧しながら200℃以上に加熱することにより、混合物の水熱反応を進行させる。これにより、LiVOPO及び有機物を含む物質が生成する。
LiVOPO及び有機物を含む物質は、通常、粘性の高いペースト状になっており、例えば、このペーストに水を加えて粘度を低下させ、その後乾燥させる。
水熱合成工程において、混合物に加える圧力は、0.1〜30MPaとすることが好ましい。混合物に加える圧力が低すぎると、得られるLiVOPOの結晶性が低下し、活物質の容量密度が減少する傾向がある。混合物に加える圧力が高すぎると、反応容器に高い耐圧性が求められ、活物質製造コストが増大する傾向がある。混合物に加える圧力を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。
水熱合成工程における混合物の温度は、200〜300℃とすることが好ましく、得られた活物質の放電容量を向上させる観点から、220〜280℃とすることがより好ましい。混合物の温度が低すぎると、得られるLiVOPOの結晶性が低下し、活物質の容量密度が減少する傾向がある。混合物の温度が高すぎると、反応容器に高い耐熱性が求められ、活物質の製造コストが増大する傾向がある。混合物の温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向も抑制できる。
[焼成工程]
本実施形態に係る活物質の製造方法は、水熱合成により得られた材料を加熱する工程をさらに備える。この工程においては、水熱合成工程を経て得られた生成物(LiVOPO及び有機物を含む物質)の表面に付着した有機物が分解する。
焼成工程では、上述の水熱合成工程を経て得られた生成物を400℃〜650℃に加熱すればよい。加熱温度が高すぎると、活物質の粒成長が進み粒子径が増大する結果、活物質におけるリチウムの拡散が遅くなり、活物質の容量密度が減少する傾向がある。一方、加熱温度が低すぎると、焼成の効果が得られない。加熱温度を上記の範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。加熱時間は特に限定されないが、3〜8時間とすることが好ましい。
焼成工程の雰囲気は特に限定されないが、有機物の分解、すなわち、水素原子、酸素原子等炭素原子以外の原子の除去と、炭素膜の形成と、を行い易くするために、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。ただし、大気雰囲気としてもよい。
本実施形態に係る活物質の製造方法によれば、粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子1と、第一のLiVOPO粒子1の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子2と、炭素膜3と、を含み、第一のLiVOPO粒子1の表面が、複数の第二のLiVOPO粒子2、及び、炭素膜3によって覆われている活物質5を得ることができる。そして、このような活物質5を用いた電極、及び当該電極を用いたリチウム二次電池は、放電レート特性に優れる。
<電極及び当該電極を用いたリチウム二次電池>
次に、本実施形態に係る活物質を用いた電極、及び当該電極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。本実施形態に係る電極は、集電体と、上記活物質を含み上記集電体上に設けられた活物質層と、を備える電極である。図6は、当該電極を用いた本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の模式断面図である。
リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60,62を備えている。
積層体30は、一対の正極10、負極20がセパレータ18を挟んで対向配置されたものである。正極10は、板状(膜状)の正極集電体12上に正極活物質層14が設けられたものである。負極20は、板状(膜状)の負極集電体22上に負極活物質層24が設けられたものである。正極活物質層14及び負極活物質層24がセパレータ18の両側にそれぞれ接触している。正極集電体12及び負極集電体22の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極10及び負極20を総称して、電極10、20といい、正極集電体12及び負極集電体22を総称して集電体12、22といい、正極活物質層14及び負極活物質層24を総称して活物質層14、24という。
まず、電極10、20について具体的に説明する。
(正極10)
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層14は、本実施形態に係る活物質、結合剤、必要に応じた量の導電材を含むものである。
結合剤は、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体12とを結合している。
結合剤の材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、結合剤として、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
更に、上記の他に、結合剤として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、結合剤として電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、結合剤が導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr、Li(CFSON、LiN(CSOリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
正極活物質層14に含まれる結合剤の含有率は、活物質層の質量を基準として0.5〜6質量%であることが好ましい。結合剤の含有率が0.5質量%未満となると、結合剤の量が少なすぎて強固な活物質層を形成できなくなる傾向が大きくなる。また、結合剤の含有率が6質量%を超えると、電気容量に寄与しない結合剤の量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向が大きくなる。また、この場合、特に結合剤の電子伝導性が低いと活物質層の電気抵抗が上昇し、十分な電気容量が得られなくなる傾向が大きくなる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極20)
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質は特に限定されず、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出(インターカレート・デインターカレート、或いはドーピング・脱ドーピング)可能な黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
結合剤、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
次に、本実施形態に係る電極10,20の製造方法について説明する。
(電極10,20の製造方法)
本実施形態に係る電極10,20の製造方法は、電極活物質層14,24の原料である塗料を、集体上に塗布する工程(以下、「塗布工程」ということがある。)と、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」ということがある。)と、を備える。
(塗布工程)
塗料を集電体12、22に塗布する塗布工程について説明する。塗料は、上記活物質、結合剤、及び溶媒を含む。塗料には、これらの成分の他に、例えば、活物質の導電性を高めるための導電材が含まれていてもよい。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
活物質、結合剤、溶媒、導電材等の塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。例えば、まず、活物質、導電材及び結合剤を混合し、得られた混合物に、N−メチル−2−ピロリドンを加えて混合し、塗料を調整する。
上記塗料を、集電体12、22に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
(溶媒除去工程)
続いて、集電体12、22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体12、22を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層14、24が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、本実施形態に係る電極を作製することができる。
本実施形態に係る電極によれば、正極活物質として本実施形態に係る活物質を用いるため、十分な放電容量の電極が得られる。
ここで、上述のように作製した電極を用いたリチウムイオン二次電池100の他の構成要素を説明する。
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
なお、本実施形態において、電解質は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)が含有されていてもよい。
セパレータ18は、電気絶縁性の多孔体であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
ケース50は、その内部に積層体30及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図6に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接し、正極10の正極活物質層14と負極20の負極活物質層24との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以上、本発明の活物質、それを用いた電極、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池、及び、それらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の活物質を用いた電極は、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子にも用いることができる。電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(カソードとして本発明の活物質を用い、アノードに金属リチウムを用いたもの)等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[水熱合成]
0.5Lのオートクレーブのガラス製の円筒容器内に、23.06g(0.20mol)のHPO(ナカライテスク社製、純度85%)、及び、200gの蒸留水(ナカライテスク社製、HPLC用)、18.37g(0.10mol)のV(ナカライテスク社製、純度99%)、8.48g(0.20mol)のLiOH・HO(ナカライテスク社製、純度99%)、3.00gポリエチレン(PE)多孔シート(厚み2mm)の粗粉砕粒子(融点:約130℃;旭化成ケミカルズ社製、AQ−800(商品名))をこの順に入れた。その後、容器を密閉し、ヒータのスイッチをオンして、250℃で16時間、強力マグネチックスターラで攪拌を続けた。容器内の温度が室温になるまで放冷し、約300mlの蒸留水を加え、橙茶色と緑色の斑状のペーストを得た。この物質のpHを測定したところ、pHは3であった。この物質をバットに広げ、90℃で23.5時間かけてオーブンで蒸発乾固させ、緑黄色の乾固物を得た。粉砕し、黄土色の粉体36.73gを得た。
[焼成]
黄土色の粉体3.00gを30mlのアルミナ坩堝に入れて、大気雰囲気にて、常温から600℃まで60分かけて昇温し、600℃で4時間加熱し、温度が室温になるまで放冷し、茶色の斑を含む黄緑色の粉体を得た。乳鉢にて粉砕してくすんだ緑色の粉体2.445gを得た。加熱後の重量残存率は81.5%であった。
[X線回折測定による活物質の同定]
得られた活物質のX線回折測定を行った。複数のピークのうち、2θ=27.0°、27.5°、28.4°において、強度が相対的に高いピークが得られ、活物質は、主にβ型の結晶構造を有するLiVOPOを含有することを確認した。
[活物質の状態の観察]
走査透過型電子顕微鏡(日本電子社製社製,装置名:JEM−2100F)により活物質の形状を観察した。得られた活物質は、図2及び3に示すように、第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子が、第一のLiVOPO粒子の表面に存在していた。また、走査透過型電子顕微鏡観察におけるエネルギー分散X線分光法(EDX)により、四種類の元素(C,O,P,V)のマッピングを行ったところ、図4及び5に示すように、炭素膜が第一のLiVOPO粒子及び第二のLiVOPO粒子全体を覆っていた。
[粒子径の測定]
得られた第一のLiVOPO粒子1及び第二のLiVOPO粒子2について、高分解能走査型電子顕微鏡(日本電子社製、装置名:JEM−2100F)で観察したイメージに基づいた投影面積(20個)から求められる投影面積円相当径をそれぞれ算出した。求めた第一のLiVOPO粒子1及び第二のLiVOPO粒子2に対する投影面積円相当径の平均値を算出し、第一のLiVOPO粒子1の粒子径、及び第二のLiVOPO粒子2の粒子径を算出した。結果を表1に示す。
[放電容量の測定及び放電レート特性の算出]
実施例1の活物質と、結合剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電材であるアセチレンブラックと、を混合したものを、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。なお、スラリーにおいて活物質とアセチレンブラックとPVDFとの重量比が84:8:8となるように、スラリーを調製した。このスラリーを集電体であるアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させた後、圧延を行い、実施例1の活物質を含む活物質層が形成された電極(正極)を得た。
次に、得られた電極と、その対極であるLi箔とを、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで積層し、積層体(素体)を得た。この積層体を、アルミラミネートパックに入れ、このアルミラミネートパックに、電解液として1MのLiPF溶液を注入した後、真空シールし、実施例1の評価用セルを作製した。
実施例1の評価用セルを用いて、放電レートを0.1C(25℃で定電流放電を行ったときに10時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。また、放電レートを1C(25℃で定電流放電を行ったときに1時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量(単位:mAh/g)を測定した。
0.1Cでの放電容量に対する、1Cでの放電容量の百分率を算出し、放電レート特性として評価した。実施例1の評価用セルの放電レート特性は、87%であった。
(実施例2)
ポリエチレン粒子に代えて、ポリプロピレン(PP)粒子(融点:約165℃;アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
(実施例3)
焼成工程における加熱温度を450℃とした以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエチレン粒子に代えて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA))粒子(融点:約160℃;アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエチレン粒子に代えて、ポリスチレン(PS)粒子(融点:約230℃;アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエチレン粒子を用いなかった以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエチレン粒子に代えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子(融点:約330℃;アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、活物質、電極、及び評価用セルを作製した。
また、実施例1と同様にして、第一のLiVOPO粒子の粒子径、第二のLiVOPO粒子の粒子径、並びに、0.1C及び1Cにおける放電容量(単位:mAh/g)を測定し、放電レート特性を算出した。結果を表1に示す。
実施例1〜5によれば、有機物として、水に不溶であり、かつ、加圧下で200℃以上に加熱された状態で溶融状態となる材料を用いると、粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子1と、第一のLiVOPO粒子1の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子2と、炭素膜3と、を含む活物質が得られることが明らかとなった。炭素膜3及び複数の第二のLiVOPO粒子2は、第一のLiVOPO粒子1の表面を覆っており、複数の第二のLiVOPO粒子2の一部は炭素膜3に含まれていると考えられる。
また、比較例1及び2によれば、有機物を用いない場合や、有機物として、加圧下で200℃以上に加熱された状態で溶融状態とならない材料を用いる場合に、第一のLiVOPO粒子の粒子径が2μmよりも大きく、かつ、第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さな粒子径を有する第二のLiVOPO粒子が得られないことがわかった。
表1より、実施例1〜5は、比較例1、2に比べて放電レート特性に優れることは明らかである。
1…第一のLiVOPO粒子、2…第二のLiVOPO粒子、3…炭素膜、4…凝集体、5…活物質、10…正極、20…負極、12…正極集電体、14…正極活物質層、18…セパレータ、22…負極集電体、24…負極活物質層、30…積層体、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。

Claims (7)

  1. 粒子径が0.2〜2.0μmである第一のLiVOPO粒子と、
    前記第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい粒子径を有する複数の第二のLiVOPO粒子と、
    炭素膜と、を含み、
    前記第一のLiVOPO粒子の表面が、前記第二のLiVOPO粒子及び前記炭素膜によって覆われている、活物質。
  2. 前記複数の第二のLiVOPO粒子は凝集体を複数形成し、前記複数の凝集体は前記第一のLiVOPO粒子の粒子径よりも小さい径を有する、請求項1に記載の活物質。
  3. 前記複数の第二のLiVOPO粒子は、0.01〜0.10μmの粒子径を有する、請求項1又は2に記載の活物質。
  4. 前記炭素膜は、0.005〜0.03μmの膜厚を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の活物質。
  5. 集電体と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の活物質を含み、前記集電体上に設けられた活物質層と、
    を備える電極。
  6. 請求項5に記載の電極を備えるリチウム二次電池。
  7. リチウム源、5価のバナジウム源、リン酸源、水、及び、有機物を含む混合物を、加圧下で200℃以上に加熱することにより、LiVOPO及び有機物を含む生成物を得る水熱合成工程と、
    前記生成物を、400℃〜650℃において焼成する焼成工程と、
    を備え、
    前記有機物は、水に不溶であり、かつ、前記加圧及び前記加熱状態で溶融状態となるものである、活物質の製造方法。
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