JP4201149B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チルトストッパーが設けられている船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、船外機のチルトストッパーは、ピンで構成され、ピンを取付ブラケットに差し込んで、スイベルブラケットの傾動を阻止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、チルトストッパーをピンで構成すると、使用していない際に紛失する可能性がある。また、操作性も良くない。さらに、片持ち支持となり、強度の確保が難しくなる。
【0004】
本発明は、以上の様な課題を解決するためのもので、操作性の良好なチルトストッパーが設けられている船外機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の船外機(1)は、小型船舶に取り付けられる左右一対の取付ブラケット(2)と、この左右の取付ブラケットの上部間にかけ渡して設けられている略水平な回動軸(6)と、この回動軸を中心として回動可能に設けられているスイベルブラケット(11)と、このスイベルブラケットに左右方向に揺動可能に取り付けられている船外機本体(24)と、スイベルブラケットを傾動させるパワーチルト装置(13)とを備えている。
【0006】
そして、前記課題を解決するために、パワーチルト装置は左右の取付ブラケットの間に配置されているとともに、下部が取付ブラケットの下部に回動可能に取り付けられ、かつ、上部がアッパー軸(10)を介してスイベルブラケットに回動可能に取り付けられており、チルトストッパー(41)の取付軸(42)が、略同軸かつ回動可能な状態で、前記 アッパー軸に挿入され、このチルトストッパーの取付軸の左右両端部は各々、アッパー軸から突出しているとともにレバー(43)が固定されており、前記左右の取付ブラケットには各々、チルトストッパーのレバーを係止する係止部(56)が設けられ、チルトダウンした際には、前記チルトストッパーのレバーはスイベルブラケットと取付ブラケットとの間に収納可能であるとともに、チルトアップした際には、取付軸を回動させて左側のレバーを左側の取付ブラケットの係止部に、また、右側のレバーを右側の取付ブラケットの係止部に係合することにより、チルトダウンを防止している。
【0007】
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における船外機の参考例について図1ないし図8を用いて説明する。図1は本発明における船外機の側面図である。図2は船体側から見た船外機の正面図である。図3は船外機の内部の平面図である。図4は取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの右側面図である。図5は取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。図6はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの説明図で、(a)が右側面図、(b)がスイベルブラケットにおける位置保持部付近の断面図である。図7はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。図8はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの左側面図である。なお、図1ないし図5においては、チルトストッパーに関する部分の図示が省略されている。
【0009】
船外機1の左右一対の取付ブラケット2は、小型船舶の船尾のトランサム3に取り付けられている。この所謂クランプブラケットである取付ブラケット2は、互いに間隔を有して配置されている。そして、取付ブラケット2は、上端部同士が回動軸6で、また、下端部同士が支持軸7で連結されている。この回動軸6および支持軸7は略水平に配置されているとともに、取付ブラケット2に対して回動不能に固定されている。取付ブラケット2の回動軸6は、スイベルブラケット11の軸受部12に挿入されており、スイベルブラケット11は、左右の取付ブラケット2間に配置されているとともに、取付ブラケット2に対して回動軸6を中心として回動可能となっている。
【0010】
また、スイベルブラケット11を取付ブラケット2に対して傾動させるパワーチルト装置13は、シリンダ14、このシリンダ14内を摺動するピストン17、シリンダ14に液圧である油圧を供給するポンプ15及び、このポンプ15を駆動する電動モーター16を具備している。パワーチルト装置13のピストン17はピストンロッド17aを具備し、このピストンロッド17aの上端部はスイベルブラケット11のアッパー軸10に回動可能に取り付けられている。一方、シリンダ14の下端は、ロワー軸としての取付ブラケット2の支持軸7に回動可能に取り付けられている。ポンプ15およびモーター16は、シリンダ14のサイドである右側(すなわち右舷側で、かつ、図5においては左側)に突出して取り付けられている。また、右側の取付ブラケット2には、モーター用開口としてのモーター用孔18が形成されている。そして、パワーチルト装置13は、モーター16が取付ブラケット2のモーター用孔18に挿入された状態で、取付ブラケット2間に配置されている。すなわち、モーター16は先端部が外側に突出した状態でモーター用孔18に嵌まっている。さらに、ピストンロッド17aがシリンダ14側に引き込まれている状態、すなわち、パワーチルト装置13が縮んだ状態においては、モーター用孔18の開口の中心は、モーター16の軸心よりも少し後方に位置している。
【0011】
スイベルブラケット11には、上下方向に延在する細長いパイプ状の軸受け19が形成されており、この軸受け19には、図1に図示する様にピボット軸21が回動可能に挿入されている。このピボット軸21の上端にはステアリングブラケット22が固定されている。さらに、ピボット軸21にはステアリングブラケット22などを介して船外機本体24が固定されており、船外機本体24はスイベルブラケット11に対して左右方向に揺動可能となっている。この船外機本体24は、重心Gが図1に示されている位置にあるとともに、上側から順番にアッパーカウリング26、ロワーカウリング27、アッパーケーシング28およびロワーケーシング29からなるハウジングで覆われており、アッパーカウリング26およびロワーカウリング27からなるカウリング内にエンジン31が設けられている。また、船外機本体24の下部の後端部には、プロペラ32が回転可能に設けられ、カウリング26,27内のエンジン31で駆動される。このエンジン31はL型2気筒4サイクルエンジンであり、エンジン31に空気を供給する吸気管33やスロットルバルブ34は、右側に配置されている。
【0012】
そして、前述のモーター16が正転すると、従来の船外機と同様にポンプ15が稼働してピストン17が上方に移動して、ピストンロッド17aがスイベルブラケット11を上方に押し上げる。すると、図8の矢印aで図示する様に、スイベルブラケット11が回動軸6を中心として反時計方向に回動し、スイベルブラケット11と共に船外機本体24が傾動してプロペラ32が上方にはね上がり、チルトアップの状態となる。一方、モーター16が逆転すると、ピストン17が下方に移動して、ピストンロッド17aがシリンダ14側に引き込まれ、スイベルブラケット11が、図8において時計方向に回動し、プロペラ32が下方に移動し、チルトダウンの状態となる。この様にして、パワーチルト装置13により、スイベルブラケット11や船外機本体24は傾動する。また、チルトアップの際には、シリンダ14は支持軸7を中心として後側に回動する。このシリンダ14の回動に伴って、シリンダ14に固定されているモーター16は、後方に移動する。そして、取付ブラケット2のモーター用孔18は、モーター16よりも大きく、かつ、中心がモーター16の軸心よりも後方に位置しているので、モーター16の後方への移動を妨げることはない。
【0013】
また、吸気管33、スロットルバルブ34およびパワーチルト装置13のモーター16は、同じ側(右舷側)に配置されており、船外機1を地面などに横倒しにする際には、吸気管33、スロットルバルブ34およびモーター16が上側となる様にする。この様にすると、吸気管33やスロットルバルブ34に燃料やオイルなどが溜まることを防止することができるとともに、モーター16が地面などに接触して損傷することを極力防止することができる。
【0014】
ところで、スイベルブラケット11には、図6ないし図8に図示するチルトストッパー41が左右方向にスライド可能に設けられている。このチルトストッパー41は、スイベルブラケット11に左右方向にスライド可能に、かつ、軸心を中心として回動可能に設けられている取付軸42と、この取付軸42の両端部に各々設けられているレバー43と、取付軸42を左側(図7においては右側)に付勢する付勢手段としてのバネ44と、操作用の把手46とからなっている。また、レバー43の先端は折り曲げられて、係合部43aが形成されている。そして、図6に図示する様に、スイベルブラケット11の右側面には、チルトストッパー41のレバー43を位置決めする上側位置決部51、中央位置決部52および下側位置決部53が突出して設けられている。一方、スイベルブラケット11の左側面には、図8に図示する様に、チルトストッパー41のレバー43を位置決めする上側位置決部51および下側位置決部53が突出して設けられている。レバー43が上側位置決部51と中央位置決部52との間にある場合がストッパー作動位置であり、一方、レバー43が中央位置決部52と下側位置決部53との間にある場合がストッパー解除位置である。そして、スイベルブラケット11がチルトアップするとともに、レバー43がストッパー作動位置にある際には、レバー43の係合部43aは、各取付ブラケット2の内側の面に窪んだ状態で形成されている係止部56に係止される。また、レバー43がストッパー解除位置にある状態で、スイベルブラケット11はチルトアップやチルトダウンするが、取付ブラケット2の内側の面は、チルトアップやチルトダウンの際にレバー43の係合部43aが接触しないように、レバー43の先端の係合部43aの移動軌跡に沿って、窪んだ状態となっている。
【0015】
この様に構成されているチルトストッパー41は、図6に図示するチルトダウンしている際には、レバー43はストッパー解除位置にあるとともに、スイベルブラケット11と取付ブラケット2との間に収納されている。そして、パワーチルト装置13を作動させて、チルトアップすると、チルトストッパー41の把手46を掴んで、チルトストッパー41をバネ44の付勢力に抗して右側(図6(b)および図7においては左側)にスライドさせて、図6(b)に図示する様に、レバー43を中央位置決部52よりも外側に移動させる。ついで、取付軸42を回動させて、レバー43を上側位置決部51側に移動させた後に、左側にスライドさせて、レバー43をストッパー作動位置にする。そして、スイベルブラケット11を少しチルトダウン側に移動させて、レバー43の係合部43aをスイベルブラケット11の係止部56に係合させる。この様にしてチルトストッパー41で、スイベルブラケット11をチルトアップの状態に維持することができる。なお、チルトダウンする際には、チルトストッパー41の把手46を掴んで、チルトアップとは略逆の操作を行う。
【0016】
この様に、ストッパー作動用位置決部である上側位置決部51および中央位置決部52が、ストッパー作動位置にあるレバー43を位置決めしており、また、ストッパー解除用位置決部である中央位置決部52および下側位置決部53が、ストッパー解除位置にあるレバー43を位置決めしている。さらに、付勢手段(バネ44)がレバー43を位置決部51,52,53で位置決めされる方向にレバー43を付勢している。そして、把手46を操作して、レバー43をバネ44の付勢力に抗して移動させて位置決めを解除し、ついで、取付軸42を中心として回動することにより、レバー43をストッパー作動位置からストッパー解除位置へ、また、ストッパー解除位置からストッパー作動位置へ移動させることができる。
【0017】
次に、本発明における船外機の実施の形態について説明する。図9は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの右側面図である。図10は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。図11は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの左側面図である。なお、この実施の形態の説明において、前記参考例の構成要素に対応する構成要素には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0018】
参考例においては、チルトストッパー41はアッパー軸10とは別の箇所に設けられているが、実施の形態においては、チルトストッパー41の取付軸42は、アッパー軸10に回転およびスライド可能に挿入されているとともに、取付軸42の左右両端部が、アッパー軸10から突出している。なお、取付軸42とアッパー軸10とは略同軸となっている。そして、取付軸42の両端部には各々、参考例と同様にレバー43が固定されている。チルトストッパー41の取付位置が、参考例と少し異なるので、それに伴って、上側位置決部51および係止部56の位置が参考例とは少し異なっている。また、中央位置決部52および下側位置決部53は設けられていない。それ以外の構成および作用は参考例と略同じである。
【0019】
前述のように、実施の形態においては、取付軸42がアッパー軸10と略同軸に配置されているので、取付軸42とアッパー軸10とが別の箇所に配置されている場合と比してコンパクトとすることができる。
【0020】
この様にして、チルトストッパー41は、スイベルブラケット11の回動軸6から離れているとともに、船外機本体24の重心Gに極力近い位置に配置されている。また、位置決部51,52,53は、スイベルブラケット11の側面の突出部で形成されており、部品点数の増大や、製造コストの上昇を招くことが少ない。同様に、取付ブラケット2の係止部56も、取付ブラケット2の内側の側面を窪ませることにより形成されており、部品点数の増大や、製造コストの上昇を招くことが少ない。
【0021】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)船外機1における左右の配置は、反対にすることができる。
(2)取付ブラケットの係止部の構造は、チルトストッパーのレバーを係止することができるならば、適宜変更可能である。また、チルトストッパー41のレバー43を位置決めする位置決部51,52,53は、レバー43を位置決めすることができるならば、その構成、数量や配置などは、適宜選択可能である。
(3)チルトストッパー41を付勢する手段(バネ44)は、構成、数量や配置などは、適宜選択可能である。
(4)実施の形態において、中央位置決部52、下側位置決部53を設けることも可能である。
(5)チルトストッパー41のレバー43の数量は適宜選択可能である。ただし、取付軸42の両端部に各々設けることが好ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、スイベルブラケットに回動可能に設けられているチルトストッパーのレバーを、取付ブラケットの係止部に係合することにより、チルトダウンを防止することができるので、ピンを差し込む場合に比して、操作性が良好となるとともに、レバーなどの部品を紛失することを防止することができる。しかも、チルトダウンした際には、前記チルトストッパーのレバーはスイベルブラケットと取付ブラケットとの間に収納可能であるので、コンパクトとすることができる。
【0023】
また、チルトストッパーのレバーが、取付軸の両端に各々設けられており、両レバーにより両持ち支持となるので、チルトストッパーの支持強度を向上させることができる。
【0024】
さらに、パワーチルト装置の上部がアッパー軸を介してスイベルブラケットに回動可能に取り付けられており、そして、チルトストッパーの取付軸がこのアッパー軸に略同軸かつ回転可能に挿入されているので、取付軸とアッパー軸とが互いに別の箇所に配置されている場合に比して、よりコンパクトとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明における船外機の側面図である。
【図2】 図2は船体側から見た船外機の正面図である。
【図3】 図3は船外機の内部の平面図である。
【図4】 図4は取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの右側面図である。
【図5】 図5は取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。
【図6】 図6はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの説明図で、(a)が右側面図、(b)がスイベルブラケットにおける位置保持部付近の断面図である。
【図7】 図7はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。
【図8】 図8はチルトストッパーが設けられている状態での取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの左側面図である。
【図9】 図9は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの右側面図である。
【図10】 図10は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの正面図である。
【図11】 図11は実施の形態における取付ブラケットおよびスイベルブラケットなどの左側面図である。
【符号の説明】
1 船外機
2 取付ブラケット
6 回動軸
10 アッパー軸
11 スイベルブラケット
13 パワーチルト装置
24 船外機本体
41 チルトストッパー
42 チルトストッパーの取付軸
43 チルトストッパーのレバー
56 取付ブラケットの係止部
Claims (1)
- 小型船舶に取り付けられる左右一対の取付ブラケットと、
この左右の取付ブラケットの上部間にかけ渡して設けられている略水平な回動軸と、
この回動軸を中心として回動可能に設けられているスイベルブラケットと、
このスイベルブラケットに左右方向に揺動可能に取り付けられている船外機本体と、
スイベルブラケットを傾動させるパワーチルト装置とを備えた船外機であって、
前記パワーチルト装置は左右の取付ブラケットの間に配置されているとともに、下部が取付ブラケットの下部に回動可能に取り付けられ、かつ、上部がアッパー軸を介してスイベルブラケットに回動可能に取り付けられており、
チルトストッパーの取付軸が、略同軸かつ回動可能な状態で、前記アッパー軸に挿入され、
このチルトストッパーの取付軸の左右両端部は各々、アッパー軸から突出しているとともにレバーが固定されており、
前記左右の取付ブラケットには各々、チルトストッパーのレバーを係止する係止部が設けられ、
チルトダウンした際には、前記チルトストッパーのレバーはスイベルブラケットと取付ブラケットとの間に収納可能であるとともに、チルトアップした際には、取付軸を回動させて左側のレバーを左側の取付ブラケットの係止部に、また、右側のレバーを右側の取付ブラケットの係止部に係合することにより、チルトダウンを防止していることを特徴とする船外機。
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