JP4187510B2 - 被測定物計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばミカンやリンゴ、トマト、柿、胡瓜、茄子、人参、芋、ネギなどの農作物(果菜物を含む)、魚介類、球技用ボール、食品、部品等の被測定物の所定項目を計測する作業に用いられる被測定物計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の農作物を計測する装置としては、例えば上流側コンベア装置から下流側コンベア装置に移載される農作物の下面を、その乗換え区間下部に配設した撮像カメラで下方から撮像し、何れか一方のコンベア装置に配設した撮像カメラで農作物の上面を撮像する特許文献1の農産物の選別装置と、受皿に載置された農作物の上面及び複数枚の鏡面体により反射される農作物の両側面を1台の撮像カメラで上方から撮像する特許文献2の農産物選別装置がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平2000−140770号公報。
【0004】
【特許文献2】
特開平10−146570号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許文献1の選別装置は、農作物の下面及び上面を撮像カメラで上下方向から撮像するが、農作物の側面を正確に撮像することが難しく、農作物全体の所定項目を正確且つ確実に計測することができない。且つ、農作物を、上流側コンベア装置から下流側コンベア装置に移動するとき、例えば表皮や油分、水滴、汁、紙屑、塵埃、ゴミ等の異物が撮像カメラのレンズ面に付着しやすく、異物の付着量が多くなるほど、撮像カメラの計測能力及び計測精度が低下するため、計測条件を常時一定に保つことができない。且つ、撮像カメラのレンズ面に付着した異物を定期的に除去しなければならず、除去作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、選別装置の選別能力が低下するという問題点を有している。
【0006】
また、特許文献2の農産物選別装置は、複数枚の鏡面体により反射される農作物の両側面を1台の撮像カメラで撮像するが、農作物の前後面を撮像することが不可能であり、農作物全体の所定項目を正確且つ確実に計測することができない。且つ、鏡面体を、撮像カメラの撮像領域内に移動される農作物側面と対向して定位置に配設しているので、特許文献1の選別装置と略同様に、上述のような異物が鏡面体に付着しやすく、その異物を定期的に除去しなければならないという問題点を有している。
【0007】
或いは、農作物の側面を、複数台の撮像カメラで略水平方向から撮像する方法も一般的にあるが、撮像カメラの設置台数が多くなるほど、装置全体の構成が複雑となり、撮像カメラの設置作業に手間及び時間が掛かるだけでなく、撮像カメラの設置台数分だけ、装置全体の製作費が高くなるという問題点を有している。
【0008】
この発明は上記問題に鑑み、撮像カメラを、被測定物外面の所定項目を撮像するのに適した姿勢に変更することにより、被測定物全体の所定項目を、一つの撮像カメラにより正確且つ確実に計測することができる被測定物計測装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、被測定物を搬入する被測定物搬入部から、受渡し装置に当該被測定物を乗換える第1乗換え装置と、上記受渡し装置から、該被測定物を搬出する被測定物搬出部に当該被測定物を乗換える第2乗換え装置と、上記受渡し装置と上記被測定物搬出部の間に設けられ、上記第2乗換え手段で乗換えられる被測定物外面の所定項目を、上記受渡し装置から被測定物搬出部への乗換え途中において撮像する撮像カメラと、上記第2乗換え装置により乗換えられる被測定物を水平回転する被測定物回転手段と、上記撮像カメラを、上記被測定物下面を撮像する略上向き状態の下面計測姿勢及び該被測定物側面を撮像する略横向き状態の側面計測姿勢に略90度回転して変更する向き変更手段と、上記撮像カメラから出力される撮像情報に基づいて、上記被測定物の所定項目を個々に評価及び判定する判定手段とを備え、上記向き変更手段は、上記第2乗換え装置による上記被測定物の乗換え途中において、被測定物が下面計測姿勢の撮像カメラ上方を通過するとき該被測定物下面を撮像し、被測定物が側面計測姿勢の撮像カメラと対向する高さのとき該被測定物側面を撮像するよう上記撮像カメラを下面計測姿勢から側面計測姿勢に変更し、かつ、上記被測定物回転手段は、該撮像カメラが側面計測姿勢のときに被測定物を水平回転させる被測定物計測装置であることを特徴とする。
【0010】
上述の被測定物は、例えばミカンやリンゴ、トマト、柿、梨、桃、胡瓜、茄子、人参、芋、ネギなどの農作物(果菜物を含む)、魚介類、球技用ボール、食品、部品等で構成することができる。また、被測定物搬入部は、例えば所定数の農作物が収容された容器(コンテナや段ボール箱等)を搬送する容器搬送装置及び搬送コンベア、所定数(1列分=6個或いは6個以下又は以上の個数)の農作物が載置される受渡し装置及び搬送コンベア等で構成することができる。また、被測定物搬出部は、例えばトレイ搬送装置及び搬送コンベア等で構成することができる。また、被測定物回転手段は、例えば農作物を保持する保持手段を回転するギャやラック、カム機構、クランク機構及びその機構を駆動するモータやエアーシリンダ、ソレノイド等で構成することができる。
【0011】
また、撮像カメラは、例えばモノクロ又はカラーの撮像カメラやビデオカメラ、ディジタルカメラ、画像素子等の光学的計測手段で構成することができる。また、判定手段は、例えばパーソナルコンピューターやCPU、ROM、RAMを備えた判定制御装置等で構成することができる。
【0012】
つまり、単数又は複数の被測定物を、第1乗換え手段により被測定物搬入部から受渡し装置へ乗換える乗換え途中において、その乗換え途中の被測定物外面を撮像カメラで撮像する。被測定物を、第2乗換え手段により受渡し装置から被測定物搬出部へ乗換える乗換え途中において、向き変更手段により撮像カメラを略90度回転して、被測定物下面を撮像する略上向き状態の下面計測姿勢から被測定物側面を撮像する略横向き状態の側面計測姿勢に変更する。かつ、撮像カメラが側面計測姿勢に変更された際に被測定物回転手段によって被測定物を水平回転する。被測定物の略外面全体の所定項目を一つの撮像カメラにより計測するとともに、撮像カメラから出力される撮像情報に基づいて、被測定物の所定項目を判定手段により個々に評価及び判定する。
【0013】
【作用及び効果】
この発明によれば、撮像カメラを、被測定物外面の所定項目を撮像するのに適した姿勢に向き変更するので、被測定物全体の所定項目を一つの撮像カメラにより正確且つ確実に計測することができ、被測定物を項目別に仕分け及び選別する作業が適確に行え、仕分け精度の向上を図ることができる。且つ、撮像カメラの配置数が少なくて済み、装置の設置作業が簡単且つ容易に行えると共に、装置全体の構成が簡素化されるため、一つの装置を安価に製作することができる。
【0014】
また、被測定物側面を撮像するとき、撮像カメラを被測定物側面と対向する側面計測姿勢に向き変更して、被測定物下部から退避させた状態で計測作業を行うので、例えば表皮や油分、水滴、汁、紙屑、塵埃、ゴミ等の異物が撮像カメラに付着しにくく、その異物の付着量が少なくなるため、撮像カメラの計測能力及び計測精度が損なわれず、計測条件を常時一定に保つことができ、被測定物の所定項目を計測する作業が安定して行える。
【0015】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0016】
図面は、被測定物の一例である農作物全体の所定項目を計測するときに用いられる被測定物計測装置を示し、図1及び図2に於いて、この被測定物計測装置10は、所定数(例えば24個)の農作物A…が整列して収容された容器B(例えばコンテナや段ボール箱等)を、搬送路上に設定した供給区間aに搬送する容器搬送装置20と、容器Bから取り出される複数列の農作物A…を1列分だけ一旦載置する受渡し装置30と、1列分の農作物A…と略対応する個数のトレイC…を、搬送路上に設定した移載区間bに搬送するトレイ搬送装置40と、容器Bに収容された農作物A…を受渡し装置30に対して1列ずつ乗換える第1乗換え装置50と、受渡し装置30に乗換えられた1列分の農作物A…を、移載区間bに搬送されたトレイC…に乗換える第2乗換え装置60と、受渡し装置30上方からトレイ搬送装置40上方に移動される農作物A…の略外面全体(下面及び側面全周)を撮像し、その撮像した画像情報に基づいて農作物Aの所定項目を個々に評価及び判定する項目計測装置70とを備えている。
【0017】
上述の容器搬送装置20は、図10にも示すように、所定数の農作物A…を、容器B内部に敷設された緩衝部材Baの凹部Bb…に対して所定間隔に隔てて個々に収容して、搬送路上に設定した供給区間aに搬送する搬送コンベア21と、農作物A…が整列収容された容器Bを個々に載置する容器載置台23,23とを併設し、供給区間aに搬送された容器Bを、搬送コンベア21から容器載置台23,23に移載する移載装置22と、後述する第1乗換え装置50により農作物A…が取り除かれた容器Bを回収工程に搬送する返還コンベア24とを、搬送路下部に配設している。また、農作物A…を、例えばベルトコンベアやローラコンベア等の搬送手段により直接搬送してもよい。
【0018】
且つ、移載装置22は、搬送コンベア21上に突出するプッシャー22aを、供給区間aに搬送された容器B側面に対して当接回避される待機位置と、その容器Bが容器載置台23に対して移載される移載位置とに、例えばエアーシリンダやソレノイド等の回動装置22bで回動する。つまり、供給区間aに搬送された容器Bを搬送方向と略直交する方向(幅方向)に水平移動して、容器Bを搬送方向(縦方向)に搬送するよりも短い時間で移載作業を行い、移載に要する時間を短縮する。
【0019】
且つ、容器載置台23を、上段側の搬送コンベア21の搬送面に対して略水平となる上昇位置と、下段側の回収コンベア24の搬送面よりも下方に降下した降下位置とに、例えばエアーシリンダやチェーン機構等の昇降装置23aで上下動する。且つ、容器載置台23に載置される容器Bの前後端部と対向して配設した一対の支持板23bを、容器Bの前後端部が略水平に支持される閉位置と、その支持が解除される開位置とに、例えばエアーシリンダやソレノイド等の進退装置23cで前後移動する。
【0020】
前述の受渡し装置30は、図3、図4にも示すように、後述する第1乗換え装置50により保持された一列分の農作物A…が載置される一対の載置板31を、容器搬送装置20及びトレイ搬送装置40の略中間部に配設すると共に、上述の容器載置台23に載置された容器Bと略水平となる高さに架設している。且つ、載置板31,31を、農作物Aが載置される閉角度と、その農作物Aが略下方に向けて放出される開角度とに、例えばエアーシリンダやソレノイド、モータ等の開閉装置32で連動して回動する。
【0021】
且つ、後述する吸着子62aの吸着ミス或いは吸着子62aから脱落する等して、1個又は2個の農作物Aが載置板31,31に取り残された場合、その載置板31,31から放出される農作物Aを受け止める受け板33を、載置板31,31の放出側下部に配設し、その移載不良の農作物Aを、後述する搬送コンベア43により搬送される未載置のトレイCに対して移載する移載不良補充工程に搬送する返還コンベア34を、受け板33の放出側下部に配設している。
【0022】
且つ、受け板33は、例えばオイルダンパーや減速機等の制動手段により載置板31,31から放出される農作物Aの落下速度よりも遅い速度で下方に回動し、載置板31,31から放出される農作物Aを受け止める受け角度と、その農作物Aを返還コンベア34に放出する略垂直及び略斜め下向きとなる放出角度とに回動され、載置板31,31から返還コンベア34に移載される農作物Aの落下速度を減衰して、落下時に付与される衝撃を軽減する。
【0023】
前述のトレイ搬送装置40は、後述する第2乗換え装置60により吸着保持した農作物Aが載置されるフリーのトレイCを搬送路上に設定した移載区間bに搬送する搬送コンベア41と、その農作物Aが載置されたトレイCを次工程(例えば仕分け工程)に搬送する搬送コンベア43とを併設し、農作物Aが載置されたトレイCを、搬送コンベア41から搬送コンベア43に移載する移載装置42を搬送路側部に配設している。且つ、仕分け工程(図示省略)から回帰搬送される農作物Aが取り除かれたトレイC…は、移載装置42の移載動作及び第2乗換え装置60の乗換え動作に略対応して、搬送コンベア41,43に対して振分け供給される。
【0024】
且つ、搬送コンベア41上の移載区間bには、後述する第2乗換え装置60を構成する移載ユニット62の吸着子62a…により吸着保持される農作物A…の吸着数(例えば12個)よりも所定個数(例えば1個及び2個)だけトレイC…が余分に配列される。
【0025】
且つ、搬送コンベア41,43の対向縁部間に配設したストッパー44,45及び搬送コンベア41,43の移載区間b前後に配設したストッパー46,47を、移載装置42の移載動作及び第2乗換え装置60の乗換え動作に略対応して、例えばエアーシリンダやソレノイド等の進退手段で搬送面上に出没動作させ、農作物Aが載置されたトレイC…を搬送コンベア41から搬送コンベア43に移載する作業と、未載置のトレイCを搬送コンベア41の搬送路上に設定した移載区間bに搬送する作業とを行う。
【0026】
且つ、移載装置42は、搬送コンベア41側部に配設したプッシャー42aを、移載区間bに搬送された全トレイC…側面に対して当接回避される待機位置と、その全トレイC…が搬送コンベア43に対して一括して移載される移載位置とに、例えばエアーシリンダやソレノイド等の進退装置42bで前後移動する。つまり、移載区間bに搬送された全トレイC…を搬送方向と略直交する方向(幅方向)に水平移動して、1列分のトレイC…を搬送方向(縦方向)に搬送するよりも短い時間で移載作業を行い、移載に要する時間を短縮する。
【0027】
前述の第1乗換え装置50は、図5、図6にも示すように、可動枠51を、容器搬送装置20の容器載置台23上方及び受渡し装置30の載置板31,31上方に水平移動可能に架設し、一対の移載ユニット52を、可動枠51下面側に対して上下動可能に取り付けると共に、供給区間aに搬送される容器B,Bと対応して配設している。且つ、可動枠51に連結したループ状の無端帯53を減速機付きモータ(図示省略)で正逆回転して、移載ユニット52を、容器載置台23上方及び一対の載置板31上方に往復移動する。
【0028】
且つ、移載ユニット52は、可動枠51上部に立設した昇降シリンダ54を昇降動作及びネジ軸55を減速機付きモータ56及びギャ56a,56bで正逆回転し、後述する吸着子52aが容器Bに収容された農作物A上面に押圧され、その吸着子52aで吸着保持した農作物Aが載置板31,31に載置される高さに垂直降下する。また、容器載置台23上方及び載置板31,31上方に移動するとき、容器B自体及び容器Bに収容された農作物Aと、載置板31,31に載置された農作物Aとに対して当接回避される高さに垂直上昇する。
【0029】
且つ、移載ユニット52の吸着子52aは、容器Bに収容された1列分の農作物Aと略対応して上下動可能に複数垂設(例えば6個)され、吸着子52aを、容器Bに収容された農作物A上面に密着したとき、負圧発生装置により発生される負圧で農作物Aを吸着保持し、吸着子52aで吸着保持した農作物Aを載置板31,31に移載したとき吸着解除する。
【0030】
且つ、吸着子52a…は、容器Bに収容された1列分(例えば6個)の農作物A…上面に対して押し付けられる近接状態と、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されるトレイC…に対して農作物A…が個々に載置される離間状態とに、例えばエアーシリンダやソレノイド、ネジ軸等の拡縮装置52b及びパンタグラフ式のリンク機構52cを介して拡縮動作する。
【0031】
前述の第2乗換え装置60は、図7、図8にも示すように、可動枠61を、受渡し装置30の載置板31,31上方及びトレイ搬送装置40の搬送コンベア41上方に水平移動可能に架設し、移載ユニット62を、可動枠61下面側に対して上下動可能に取り付けている。且つ、可動枠61に連結したループ状の無端帯63を減速機付きモータ(図示省略)で正逆回転して、移載ユニット62を、載置板31,31上方及び搬送コンベア41上方に往復移動する。
【0032】
且つ、移載ユニット62は、可動枠61上部に立設した昇降シリンダ64を昇降動作及びネジ軸65を減速機付きモータ66及びギャ66a,66bで正逆回転して、後述する吸着子62aが載置板31,31に載置された農作物A上面に押圧され、その吸着子62aで吸着保持した農作物AがトレイCに載置される高さに垂直降下する。また、載置板31,31上方及び搬送コンベア41上方に移動するとき、後述する項目計測装置70の撮像カメラ71及び照光装置72に対して接触回避される距離を保ちながら水平及び上下に移動する。
【0033】
且つ、移載ユニット62の吸着子62a…は、載置板31,31上に載置される農作物A上面に対して個々に押し付けられ、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されたトレイC…に対して農作物Aが1個ずつ載置される間隔に隔てて上下動可能に複数垂設(例えば12個)され、吸着子62aを、載置板31,31に載置された農作物A上面に密着したとき、負圧発生装置により発生される負圧で農作物Aを吸着保持し、吸着子62aで吸着保持した農作物AをトレイCに移載したとき吸着解除する。
【0034】
且つ、吸着子62aは、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されたトレイC上方に移動したとき、例えばモータやエアーシリンダ、ソレノイド等の回転装置62bでギャ62c,62e及びラック62dを介して水平回転(例えば略270度回転)する。また、吸着子62aの回転角度を、例えば略270度以上及び以下の角度に変更してもよい。
【0035】
なお、前述の吸着子52a,62aは、例えば吸気ブロワや真空ポンプ等の負圧発生装置(図示省略)に接続され、吸着子52a,62a外周部に取り付けた平面から見て略環状の規制枠57,67は、農作物Aが吸着保持された吸着子52a,62aを略垂直姿勢に向き規制して、横揺れを防止する。
【0036】
また、農作物Aの配列数に応じて吸着子52a,62aの垂設数や配列数を変更してもよく、例えば農作物Aを1個ずつ移載するか、複数列(例えば前後2列)の農作物A…をトレイC…に対して一括移載することもでき、5個の農作物Aを移載する場合、何れか一つの吸着子52a,62aを退避又は休止する。
【0037】
前述の項目計測装置70は、図1、図3、図4にも示すように、上述の吸着子62a…により吸着保持された農作物A外面を撮像する撮像カメラ71及びその農作物A外面に対して所定項目を検出するのに適した光を照射する照光装置72を、吸着子62a…により吸着保持された農作物A…と略対向する間隔に隔てて、載置板31,31及び搬送コンベア41の略中間部下方に配設している。
【0038】
且つ、撮像カメラ71を、可動枠73の略上面側中央部に取り付け、照光装置72を、撮像カメラ71の撮像範囲に移動される農作物A外面と対向して可動枠73の両端部に取り付け、可動枠73を、載置板31,31及び搬送コンベア41の略中間部下方に軸架した支軸74に取り付けている。
【0039】
つまり、吸着子62aで吸着保持した農作物Aを、載置板31,31上方から搬送コンベア41上方に移動するとき、支軸74を、例えばエアーシリンダ、ソレノイド、モータ等の回転装置75で上下回転(例えば略90度回転)して、撮像カメラ71を、吸着子62aにより吸着保持された農作物A下面を撮像する略上向き状態の下面計測姿勢及びその農作物A側面を撮像する略横向き状態の側面計測姿勢に回動する。また、撮像カメラ71を農作物A直下から退避させ、レンズ面を略垂直に向き変更するので、例えば農作物の表皮や油分、汁又は紙屑、塵埃、ゴミ等の異物がレンズ面に付着するのを防止及び少なくすることができる。
【0040】
且つ、撮像カメラ71に接続された画像処理装置76は、撮像カメラ71から出力される画像情報を、農作物Aの所定項目を評価及び判定するのに適した情報形態に変換処理(例えば2値化処理)して、判定制御装置77に出力する。
【0041】
且つ、画像処理装置76に接続された判定制御装置77(例えばパーソナルコンピューター)は、画像処理装置76から出力される画像情報と、予め記憶した基準情報とを比較及び演算して、農作物A全体の所定項目(例えば色相や損傷、成熟度、大きさ、形状、高さ、幅、体積、偏平度、腐り具合、浮き皮具合、規格外等の等階級)を個々に総合判定し、その判定結果の仕分け情報(例えば階級、等階、糖酸度等)を、RAMに対して計測順に記録及び随時更新する。
【0042】
且つ、例えば送気用ブロワやコンプレッサー等のエアー供給源に接続された吐出ノズル79を、撮像カメラ71のレンズ面と対向して可動枠73に取り付け、吐出ノズル79から吐出される気体(例えばエアーやガス、揮発性液体等)を撮像カメラ71のレンズ面に対して吹き付け、そのレンズ面に付着する異物を除去する。また、吐出ノズル79を、レンズ面に付着する付着物を除去するのに適した個数や角度、位置に変更してもよい。
【0043】
一方、図10は、被測定物計測装置10の制御回路ブロック図を示し、判定制御装置77(例えばパーソナルコンピューター)に内蔵されたCPUは、ROM(又はPROM)に格納されたプログラムに沿って、容器搬送装置20と、受渡し装置30と、トレイ搬送装置40と、乗換え装置50,60と、撮像カメラ71と、回転装置75と、画像処理装置76と、情報通信装置78の駆動及び停止を制御し、RAMには、所定の判定基準に基づいて判定された仕分け情報及び不適合情報を計測順又は番地順に記録する。
【0044】
上述のRAMには、撮像カメラ71…で撮像した農作物Aの画像情報を、予め設定された吸着子62a…毎の識別情報及び搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されるトレイC…毎の識別情報と対応させて記憶する。且つ、撮像カメラ71から出力される画像情報に基づいて判定した判定結果を、後述する情報通信装置78で読取ったトレイCの識別情報(又は固有情報)と対応させて記憶する。
【0045】
且つ、搬送コンベア41下部に配設した情報通信装置78は、移載区間bに搬送されるトレイCの記録媒体Caに対峙され、上述の判定制御装置77による判定結果(仕分け情報)を記録媒体Caに対して読取り可能及び書込み可能に記録し、記録媒体Caに記録された情報を消去又は新しい情報を書き込む等して、初期状態にリセットする。また、上述の記録媒体Caの代わりに、例えばトレイCに付設したバーコード情報を読取るか、判定と対応する仕分け区間にトレイCが搬送されるまでのタイムラグを計時する等してもよい。
【0046】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、被測定物計測装置10により農作物A全体の所定項目を計測する方法を説明する。
【0047】
先ず、図1、図2に示すように、所定数の農作物A…が整列及び収容された容器B,Bを、容器搬送装置20の搬送コンベア21上に設定した供給区間aに搬送及び停止した後、供給区間aに搬送された容器B,Bを、移載装置22のプッシャー22aで搬送方向と略直交する方向に一括して水平移動させ、搬送コンベア21側部の容器載置台23,23に移載する。
【0048】
次に、容器B,Bに収容された1列目(例えば6個)の農作物A…を、図5、図6にも示すように、第1乗換え装置50を構成する移載ユニット52の吸着子52a…で吸着保持して持ち上げる。且つ、容器載置台23上方から載置板31,31上方に移動するとき、吸着子52a…で吸着保持した農作物A…を、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されるトレイC…に対して個々に載置される間隔に離間して、受渡し装置30の載置板31,31に移載する。
【0049】
且つ、載置板31,31に載置された農作物A…を、図3、図7、図8にも示すように、第2乗換え装置60を構成する移載ユニット62の吸着子62a…で吸着保持して持ち上げ、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されたトレイC…上方に移動する。上述と同様にして、移載ユニット52を、容器載置台23上方及び載置板31,31上方に往復移動させ、容器Bに収容された2列目〜4列目の農作物A…を、受渡し装置30の載置板31,31に移載する。
【0050】
且つ、容器Bに収容された最終列の農作物A…を移載ユニット52の吸着子52a…で吸着保持して持ち上げたとき、支持板23b,23bによる支持を解除し、容器載置台23,23を降下して、全農作物A…が取り除かれた容器B,Bを回収コンベア24に移載して回収工程に搬送する。
【0051】
且つ、吸着子62aの吸着ミス或いは吸着子62aから脱落する等して、1個又は2個の農作物Aが載置板31,31に取り残された場合、載置板31,31を開放して返還コンベア34に放出すると共に、その農作物Aを受け板33で受け止めたままゆっくりと下方に降下して、返還コンベア34に移載するときに付与される衝撃を軽減する。この後、受け板33は待機度に回動復帰する。
【0052】
一方、返還コンベア34により搬送される農作物Aを移載不良補充工程に搬送し、搬送コンベア43により搬送される未載置のトレイCに対して人為的作業及び機械的作業で補充移載する。
【0053】
次に、未載置のトレイC…を、トレイ搬送装置40の搬送コンベア41上に設定した移載区間bに搬送すると共に、載置板31,31に載置された所定数(例えば12個)の農作物A…を、第2乗換え装置60を構成する移載ユニット62の吸着子62a…で吸着保持して持ち上げる。
【0054】
且つ、吸着子62a…で吸着保持した農作物A…を、載置板31,31上方から搬送コンベア41上方に移動する途中及び下面計測姿勢の撮像カメラ71…上方を通過(又は停止)するとき、図3、図4にも示すように、農作物A…下面を、項目計測装置70の撮像カメラ71…で略真下及び略斜め下方から撮像すると共に、その撮像した農作物A…下面の画像情報を、予め設定された吸着子62a…毎の識別情報と対応させて判定制御装置77に出力及び記憶する。
【0055】
次に、吸着子62a…で吸着保持した農作物A…を、搬送コンベア41上の移載区間bに搬送されたトレイC…上方に移動すると共に、撮像カメラ71…を回転装置75で略90度回転して、吸着子62a…で吸着保持した農作物A…を、側面計測姿勢の撮像カメラ71…と対向する高さに一旦停止する。
【0056】
略同時に、吸着子62a…で吸着保持した農作物A…側面を撮像カメラ71…で撮像し、吸着子62a…を回転装置62bで略270度水平回転して、農作物A…の側面全周(例えば前後及び左右の4面)を撮像カメラ71…で連続的及び断続的に撮像すると共に、その撮像した農作物A…側面の全周画像情報を、予め設定された吸着子62a…毎の識別情報と対応させて判定制御装置77に出力及び記憶する。
【0057】
一方、撮像カメラ71…から出力される農作物Aの画像情報に基づいて、農作物A…の所定項目を判定制御装置77により個々に総合判定し、情報通信装置78をトレイCの記録媒体Caに対峙して、判定制御装置77による判定結果(仕分け情報)を記録媒体Caに記録する。
【0058】
且つ、搬送コンベア43により搬送される農作物A…及びトレイC…を、記録媒体Caに記録された仕分け情報に基づいて項目別に仕分け処理し、その項目別に仕分けられる農作物A…を機械的作業及び人為的作業により箱詰め処理した後、仕分け工程から回帰搬送される農作物Aが取り除かれたトレイC…を、搬送コンベア41,43に振分け供給する。以下同様にして、農作物Aを容器BからトレイCに移載する作業と、その農作物Aの略外面全体(下面及び側面全周)を撮像する作業とを継続して行い、農作物A…を項目別に仕分け処理する。
【0059】
且つ、吸着子62aが押し付けられた農作物A上面を撮像カメラ71で撮像することができない為、トレイCに載置された農作物A上面及び内部を、移載区間b後段に配設した撮像カメラ(図示省略)で撮像すると共に、その撮像した農作物Aの上面及び内部の画像情報を、先に撮像した画像情報及びトレイCの識別情報と対応させて判定制御装置77に記憶し、農作物Aの所定項目を個々に総合判定する。
【0060】
以上のように、撮像カメラ71を、第2乗換え装置60により乗換えられる農作物Aの下面及び側面と対向する姿勢に向き変更するので、吸着子62aが押し付けられた部分を除く農作物A全体(略外面全体)の所定項目を一つの撮像カメラ71で正確且つ確実に撮像することができ、その撮像した画像情報に基づいて、農作物Aを項目別に仕分け及び選別する作業が適確に行え、仕分け精度の向上を図ることができる。且つ、撮像カメラ71の配置数が少なくて済み、装置の設置作業が簡単且つ容易に行えると共に、装置全体の構成が簡素化されるため、一つの装置を安価に製作することができる。
【0061】
且つ、農作物Aの側部周面を撮像カメラ71で撮像するとき、その撮像カメラ71を農作物Aの側部周面と対向する側面計測姿勢に向き変更及びレンズ面を略垂直に向き変更して、農作物A下部から退避させた状態で撮像作業を行うので、例えば表皮や油分、水滴、汁、紙屑、塵埃、ゴミ等の異物が撮像カメラ71のレンズ面に付着しにくく、その異物の付着量が少なくなるため、撮像カメラ71の撮像能力及び計測精度が損なわれず、撮像カメラ71による計測条件を常時一定に保つことができ、農作物Aの所定項目を計測する作業が安定して行える。また、透光性を有する透明板(図示省略)を撮像カメラ71前面に配設して、撮像カメラ71のレンズ面に異物が付着するのを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 被測定物計測装置による農作物の計測方法を示す側面図。
【図2】 農作物及び容器、トレイの搬送経路を示す平面図。
【図3】 項目計測装置による農作物下面の計測動作を示す側面図。
【図4】 項目計測装置による農作物側面の計測動作を示す側面図。
【図5】 第1の乗換え装置による農作物の拡縮動作を示す正面図。
【図6】 吸着子を拡縮可能に取り付けた状態を側面図。
【図7】 第2の乗換え装置による農作物の拡縮動作を示す正面図。
【図8】 吸着子を回転可能に取り付けた状態を側面図。
【図9】 農作物が整列及び収容された容器を示す斜視図。
【図10】 被測定物計測装置の制御回路ブロック図。
【符号の説明】
A…農作物
B…容器
C…トレイ
10…被測定物計測装置
20…容器搬送装置
30…受渡し装置
40…トレイ搬送装置
50…第1乗換え装置
60…第2乗換え装置
52,62…移載ユニット
52a,62a…吸着子
62b…回転装置
62c,62e…ギャ
62d…ラック
70…項目計測装置
71…撮像カメラ
75…回転装置
77…判定制御装置
79…吐出ノズル
Claims (1)
- 被測定物を搬入する被測定物搬入部から、受渡し装置に当該被測定物を乗換える第1乗換え装置と、
上記受渡し装置から、該被測定物を搬出する被測定物搬出部に当該被測定物を乗換える第2乗換え装置と、
上記受渡し装置と上記被測定物搬出部の間に設けられ、上記第2乗換え手段で乗換えられる被測定物外面の所定項目を、上記受渡し装置から被測定物搬出部への乗換え途中において撮像する撮像カメラと、
上記第2乗換え装置により乗換えられる被測定物を水平回転する被測定物回転手段と、
上記撮像カメラを、上記被測定物下面を撮像する略上向き状態の下面計測姿勢及び該被測定物側面を撮像する略横向き状態の側面計測姿勢に略90度回転して変更する向き変更手段と、
上記撮像カメラから出力される撮像情報に基づいて、上記被測定物の所定項目を個々に評価及び判定する判定手段とを備え、
上記向き変更手段は、
上記第2乗換え装置による上記被測定物の乗換え途中において、
被測定物が下面計測姿勢の撮像カメラ上方を通過するとき該被測定物下面を撮像し、
被測定物が側面計測姿勢の撮像カメラと対向する高さのとき該被測定物側面を撮像するよう上記撮像カメラを下面計測姿勢から側面計測姿勢に変更し、
かつ、上記被測定物回転手段は、
該撮像カメラが側面計測姿勢のときに被測定物を水平回転させることを特徴とする
被測定物計測装置。
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