JP4169174B2 - 車両用走行状態検出センサの異常検出装置及び車両の挙動制御装置 - Google Patents
車両用走行状態検出センサの異常検出装置及び車両の挙動制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、走行中の車両の横滑りやスピンを抑制するための車両の姿勢制御に用いられるヨーレートセンサや横方向加速度センサ等の車両用走行状態検出センサの異常検出装置と車両の挙動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、走行中の車両のヨーレートやステアリング舵角等の車両状態量を検出して、コーナリング時や緊急の障害物回避時や路面状況急変時等に車両の横滑りやスピンを抑制する姿勢制御装置が数多く提案されている。
【0003】
この姿勢制御装置は、ヨーレートやステアリング舵角等のセンサ出力値から車両の走行姿勢を検出するが、制御サイクルが8msecと高速であるためセンサの信頼性が姿勢制御に直接影響することになる。
【0004】
そこで、従来のセンサの故障診断(フェイルセーフ)では、センサの生値を常時比較してセンサの異常を検出し、センサ異常と判定した場合に、その異常が性能上、安全上大きな問題とならないように徐々に姿勢制御を抑制するという考え方が一般的である。
【0005】
また、特開平10−10152号公報には、ヨーレート以外のステアリング舵角等の運動パラメータにより算出される基準ヨーレートの変動率と、実ヨーレートの変動率との比較に基づいて、ヨーレートセンサの異常原因(例えば、固着や断線)を判定する手法が開示されている。
【0006】
更に、本願発明者は、特願平10−219402号にて、窓関数を用いたセンサの異常検出手法として、車両のヨーレート、横方向加速度、車速等のセンサ出力値からなる車両横滑り角βの演算式に関して、その速度成分(1次微分)と加速度成分(2次微分)から表される横滑り角βのパワー変化ΔPを演算し、このパワー変化ΔPを観察することによりセンサ異常を検出するものを提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のセンサの故障診断では、故障判定に数秒から数十秒の時間がかかるため、センサ異常の発見の遅れなどに対して余裕が少ない車両の姿勢制御の場合には、センサ異常により車両挙動が急変して不安定状態に陥る場合がある。
【0008】
また、本願発明者の提案では、パワー変化ΔPの大きな変化によりセンサ異常が素早く、敏感に予測できるものの、センサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障では、パワー変化ΔPが大きく変化した後にパワー変化ΔPが変化しないと、それがセンサ故障によるものなのか、他の外的要因によるものなのか判別できないという不都合がある。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高める車両用走行状態検出センサの異常検出装置と車両の挙動制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の車両用走行状態検出センサの異常検出装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを具備する。
【0011】
また、好ましくは、前記第2推定手段は、前記第1検出センサの出力値の変化量が前記第1期間より短い第2期間に亘って所定値以下の時、前記第1検出センサが異常であると推定する。
【0012】
また、好ましくは、前記第1検出センサ以外に車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第2検出センサを有し、前記第2推定手段は該第2検出センサの出力値と、前記第1検出センサの変化成分とに基づいて該第1検出センサが異常であると判定する。
【0013】
また、好ましくは、前記第2推定手段は、少なくとも前記第1及び第2検出センサに関連する関連度合に基づいて該第1検出センサが異常であると推定する。
【0014】
また、好ましくは、前記第1推定手段は、前記第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、該時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、該第1及び第2関数により求まる値に基づいて該第1検出センサが異常であると推定する。
【0015】
本発明の車両用走行状態検出センサの異常検出装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを備え、前記第2推定手段は、前記第1検出センサの出力値の変化量が第2期間に亘って所定値以下の時、前記第1検出センサが異常であると推定し、前記第1推定手段は、前記第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、該時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、該第1及び第2関数により求まる値に基づいて該第1検出センサが異常であると推定する。
【0016】
本発明の車両の挙動制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
車両の走行姿勢が目標姿勢から逸脱した時に、該走行姿勢を目標姿勢に収束させる姿勢制御を実行する車両の挙動制御装置において、車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを備え、前記姿勢制御中ならば、前記第1推定手段による異常推定後から前記判定手段による異常の有無判定がなされるまで該姿勢制御を抑制又は保持する。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、第1推定手段による異常推定後、変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において第2推定手段により第1検出センサの異常が推定されると、第1センサが異常であると判定することにより、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、第2推定手段は、第1検出センサの出力値の変化量が前記第1期間より短い第2期間に亘って所定値以下の時、第1検出センサが異常であると推定することにより、時間を要する第2推定を第1推定の後に行うので特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、第2推定手段は、第2検出センサの出力値と、第1検出センサの変化成分とに基づいて第1検出センサが異常であると推定することにより、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、第2推定手段は、少なくとも前記第1及び第2検出センサに関連する関連度合に基づいて該第1検出センサが異常であると推定することにより、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、第1推定手段は、第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、第1及び第2関数により求まる値に基づいて第1検出センサが異常であると推定することにより、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、第2推定手段は、第1検出センサの出力値の変化量が第2期間に亘って所定値以下の時、第1検出センサが異常であると推定し、第1推定手段は、第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、該時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、該第1及び第2関数により求まる値に基づいて該第1検出センサが異常であると推定することにより、センサ出力値を監視しながら故障診断を常時行ない、センサ異常を素早く検出でき、特にセンサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障の検出精度を高めることができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、第1推定手段による異常推定後、変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において第2推定手段により第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定し、姿勢制御中ならば、第1推定手段による異常推定後から判定手段による異常の有無判定がなされるまで該姿勢制御を抑制又は保持することにより、センサ異常を誤って判定することにより姿勢制御が不安定になるのを防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
[姿勢制御装置の全体構成]
図1は、本実施形態の車両の姿勢制御装置(Stability Control System:以下、SCSと略称する)を適用した車両を示す図である。
【0025】
図1において、1は車体、2は前後4輪の車輪21FR,21LF,21RR,21RLに個別に配設された4組の液圧式のブレーキ、3はこれらの各ブレーキ2に圧液を供給するための加圧ユニット、4はこの加圧ユニット3から供給される圧液を上記各ブレーキ2に分配供給するハイドロリック・ユニット(以下、単にHUという)であり、これらのブレーキ2、加圧ユニット3及びHU4により制動手段が構成されている。また、5は上記加圧ユニット3及びHU4を介して上記各ブレーキ2の作動制御を行う姿勢制御手段としてのSCSコントローラ、6は上記各車輪21の車輪速を検出する車輪速センサ、7は上記車体1に作用している左右方向の加方向速度ysを検出する横方向加速度センサ、8は上記車体1に作用しているヨーレートrsを検出するヨーレート検出手段としてのヨーレートセンサ、9はステアリング舵角θsを検出する操舵量検出手段としての舵角センサである。なお、10はマスタシリンダ、11はエンジン、12はオートマチックトランスミッション(AT)、13は上記エンジン11の回転数や吸入空気量等に応じて燃料の噴出量を調整するEGIコントローラである。
【0026】
上記ブレーキ2は、図2に示すように、右側前輪21FRのブレーキ2と左側後輪21RLのブレーキ2とが第1液圧管路22aによりマスタシリンダ10に接続される一方、左側前輪21FLのブレーキ2と右側後輪21RRのブレーキ2とが上記第1液圧管路22aとは異なる第2液圧管路22bにより上記マスタシリンダ10に接続されており、これにより、いわゆるX配管タイプの互いに独立した2つのブレーキ系統が構成されている。そして、ドライバによるブレーキペダル14の踏み操作に応じて上記車輪21FR,21FL,21RR,21RLに制動力が付与されるようになっている。
【0027】
上記加圧ユニット3は、上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ接続された液圧ポンプ31a,31bと、これらの液圧ポンプ31a,31bと上記マスタシリンダ10とを断接可能なよう上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ配設されたカットバルブ32a,32bと、これらのカットバルブ32a,32bと上記マスタシリンダ10との間の液圧を検出する液圧センサ33とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記カットバルブ32a,32bが閉状態にされ、これにより、ドライバによるブレーキ操作とは無関係に、上記液圧ポンプ31a,31bから吐出される圧液がHU4を介してブレーキ2に供給されるように構成されている。また、上記HU4は、図2に示すように、第1液圧管路22a又は第2液圧管路22bを介して供給される圧液により各ブレーキ2を加圧する加圧バルブ41と、上記各ブレーキ2をリザーバダンク42に接続して減圧する減圧バルブ43とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記各加圧バルブ41及び各減圧バルブ43の開度が増減変更調整されることにより、上記各ブレーキ2に加わる液圧が増減されて制動力が増減変更されるように構成されている。
【0028】
上記SCSコントローラ5は、加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うことにより、前後左右の各車輪2に対し独立に制動力を付与して車体1に所要のヨーモーメントを付与し、これにより、車体姿勢を目標走向方向に向かって収束するように制御するものである。具体的には、上記SCSコントローラ5は、図3に示すように、車体横滑り角決定手段、路面摩擦係数検出手段及び操舵量変化率検出手段としての状態量演算部51と、目標状態量演算部52と、制御介入判定部53と、切換制御部54と、ヨーレート制御部55と、第1、第2及び第3変更設定部としての変更設定部56と、横滑り角制御部57とを備えており、車輪速センサ6、横方向加速度センサ7、ヨーレートセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づいて車体姿勢を判定し、この判定結果に応じて加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うように構成されている。さらに、上記SCSコントローラ5は、液圧センサ33からの入力信号に基づいてドライバのブレーキ操作を検出し、このブレーキ操作に対応して上記加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うようになっている。
【0029】
上記状態量演算部51は、上記車輪速センサ6、横方向加速度センサ7、ヨーレートセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づき、車両の走向方向に対する車体姿勢を表す車両状態量を演算するように構成されており、また、上記目標状態量演算部52は、同様に、目標走向方向に対応する目標状態量を演算するように構成されている。上記制御介入判定部53は、上記車両状態量と目標状態量との間の偏差に基づいてSCSの制御介入判定を行うように構成されており、また、上記切換制御部54は、上記車両状態量と目標状態量との間の偏差に基づいて車体姿勢の崩れを判定し、その車体姿勢が比較的安定している間は上記ヨーレート制御部55による後述のヨーレート制御を行う一方、上記車体姿勢が崩れて不安定になったときには、上記横滑り角制御部57による後述の横滑り角制御へ切換るようになっている。
【0030】
上記ヨーレート制御部55は、後述するように、車体1に対し比較的小さなヨーモーメントを作用させることにより車体姿勢をドライバの運転操作(主にステアリングの操舵)に追従するように滑らかに変更させるヨーレート制御を行うように構成されており、この際、そのヨーレート制御に起因する車体姿勢の変化が過大にならないよう、制限制御部55aにより制御量に制限が加えられている。そして、上記変更設定部56は、上記状態量演算部51により検出された車両状態量に応じて上記ヨーレート制御の制御量の上限を変更設定するように構成されている。上記横滑り角制御部57は、後述するように、車体1に比較的大きなヨーモーメントを作用させることにより、車両の旋回姿勢を迅速に修正する横滑り角制御を行うように構成されている。
【0031】
なお、上記SCSコントローラ5は、SCSの制御以外にも従来周知のABS(Anti-Skid Brake System)及びトラクションコントロールシステムの制御をも行うものであり、このABSは、車輪21FR,21FL,21RR,21RLのブレーキロックを防止するためにこれら車輪21FR,21FL,21RR,21RLに付与される制動力を制限するシステムで、また、トラクションコントロールシステムは、上記車輪21FR,21FL,21RR,21RLを駆動する駆動トルクを制限してそれらのスリップを防止するシステムである。
[窓関数を用いたセンサの異常検出]
先ず、本実施形態でのセンサの異常検出として窓関数を用いたセンサの異常検出手法について説明する。
【0032】
この手法は、例えば車両のヨーレート、横方向加速度、車速等のセンサ出力値からなる車両横滑り角βの演算式に関して、その速度成分(1次微分)と加速度成分(2次微分)から表される横滑り角βのパワー変化ΔPβを演算し、このパワー変化ΔPβを観察することによりセンサ異常を検出するものである。
【0033】
この手法に適用される車両モデルとしては、ヨーレートと横滑り角の2自由度モデルを用い、タイヤ特性は車両のスピンを考慮するため非線形性とし、車両に搭載されるセンサは、ヨーレートセンサ、横方向加速度センサ及びステアリング舵角センサの3種類とし、車速は既知と設定する。
【0034】
上記車両モデルにおいて、前輪及び後輪の横滑り角βf、βrは下記式1、2により定義する。
【0035】
【数1】
また、前輪及び後輪の横力Ff、Frは下記式3、4により定義する。
【0036】
【数2】
上記式1〜4からヨーレートr及び横滑り角βに関して下記式5、6の微分方程式が得られる。
【0037】
【数3】
更に、ステアリング舵角センサ出力値θs、ヨーレートセンサ出力値rs及び横方向加速度センサ出力値ysは下記式7〜9として表される。
【0038】
【数4】
但し、上記各式に用いるパラメータは下記の通りとする。
【0039】
【数5】
上述のように定義される車両モデルに対して、図11に示すような前輪位置の操舵角δfを入力する。但し、ステアリング舵角の変化速度はステアリング位置において最大で180deg/secとし、車速は100km/hとする。また、ステアリング舵角の角速度は便宜上不連続的に変化するものとする。また、図12、13は図11の操舵角を入力した場合のヨーレートと横方向加速度を示し、ヨーレートセンサの出力値は、図14に示すように6sec付近でセンサ故障が発生し、出力値(ゲイン)が突然2倍に増加するものとする。
【0040】
また、ヨーレートセンサ出力値rsと横方向加速度センサ出力値ysから下記式10により横滑り角βが定義され、この横滑り角βから算出されるパワーPを時間微分したパワー変化ΔPβを下記式11として定義する。
【0041】
【数6】
ここで、fv(β)は横滑り角βを時間で1次微分した速度成分を表わす窓関数であり、fa(β)3は横滑り角βを時間で2次微分した加速度成分を表わす窓関数である。同様に、ヨーレートrのパワー変化ΔPrと横方向加速度のパワー変化ΔPyについても下記式12、13から算出される。
【0042】
【数7】
尚、窓関数については周知であり、例えば「ウェーブレット解析−誕生・発展・応用 共立出版1997 芦野隆一、山本鎮男著」の第5章に定義されている。
【0043】
上記条件において、上記式11から演算される横滑り角βのパワー変化ΔPβを図15に示す。図15からわかるように、図11での急操舵によるパワー変化(0〜5sec)に比べて、図14でのヨーレートセンサ出力値が2倍に変動した時の横滑り角のパワー変化(6sec)がより大きく現れている。また、図16に参考に示すように、ヨーレートのパワー変化もヨーレートセンサ出力値の変動を受けて大きなピークが観測されるが、3secから4sec付近のノイズを比較すると、図15の場合よりも若干S/N比が小さくなっており、図16の場合の方がノイズが大きく現れている。この理由として、車両横滑り角βは車両の横車速成分/前後車速成分の傾きにより定義されるが前後車速を略一定と考えれば、車両横滑り角βは横車速成分により変化する関数と考えられ、横車速成分は前後車速成分に比べて変化量が小さくノイズ量も小さいからである。
【0044】
以上のように、例えば、ヨーレートセンサ出力値の変動が2倍程度に急変したセンサ異常の状態を、そのセンサ出力値に関連するパワー変化を観測することで検出できる。尚、この手法では、センサ出力値の時間的なパワー変化を直接的に検出しているため、時間的変化がなく静的に発生するセンサ異常に対しては検出精度が鈍くなることが考えられる。
【0045】
また、センサ異常が発生した後、定常的にセンサ出力値が変動するような場合には、その発生時点では大きな変化が観測できるが、その後にセンサ出力値の変動が一定値(0)に収束する場合には継続的な異常検出は難しい。
<窓関数の演算>
次に、窓関数の演算手法について説明する。
【0046】
図17は窓関数の演算手法を説明するフローチャートである。尚、図中のv(i)は1次微分した速度成分fv(β)、fv(rs)、fv(ys)に、a(i)は2次微分した加速度成分fa(β)、fa(rs)、fa(ys)に、y(i)はヨーレートセンサ出力値rs又は横加速度センサ出力値ysに相当し、x(i)はy(i)に所定時間幅Nでローパスフィルタをかけて平均化した量、iはサンプリング数を表している。
【0047】
図17に示すように、ステップS2では、x、v、a、iを初期化する。ステップS4ではセンサ出力値yを入力する。ステップS6ではサンプリング数iが所定時間幅N以下ならば(ステップS6でYES)ステップS8において下記式14によりx(i)を演算し、その後ステップS22でサンプリング数iをインクリメントして、上記ステップS6からの処理を実行する。ここで、所定時間幅Nは評価すべきセンサに応じて適正値に設定される。
【0048】
【数8】
一方、ステップS6でサンプリング数iが所定時間幅N以上でないならば(ステップS6でNO)、ステップS10で下記式15によりx(i)を演算し、ステップS12に進む。
【0049】
【数9】
ステップS12ではサンプリング数iが所定時間幅Nの2倍以下ならば(ステップS12でYES)、ステップS14で下記式16、17によりv(i)、a(i)を演算し、その後ステップS22でサンプリング数iをインクリメントして、上記ステップS6からの処理を実行する。
【0050】
【数10】
ステップS16ではサンプリング数iが所定時間幅Nの3倍以下ならば(ステップS16でYES)、ステップS18で下記式18、19によりv(i)、a(i)を演算し、その後ステップS22でサンプリング数iをインクリメントして、上記ステップS6からの処理を実行する。
【0051】
【数11】
ステップS20では下記式20、21によりv(i)、a(i)を演算し、その後ステップS22でサンプリング数iをインクリメントして、上記ステップS6からの処理を実行する。
【0052】
【数12】
以上のように、サンプリング数iが所定時間幅Nの4倍に達する前には式15〜19を用いて窓関数v(i)、a(i)が演算され、所定時間幅Nの4倍に達した後は式20、21を用いて窓関数が演算される。
<センサの異常検出フロー>
次に、窓関数を用いたセンサの異常検出手法について説明する。
【0053】
図9は窓関数を用いたセンサの異常検出手法を説明するフローチャートである。図10は図9を時系列で概略的に示す図である。
【0054】
このセンサの異常検出手法では、図10に示すように、各パワー変化ΔPβ、ΔPr、ΔPyが所定閾値ΔPβ0、ΔPr0、ΔPy0を超えたことによりセンサ異常と推定し、この異常推定後の所定時間T10内において、更にパワー変化ΔPβ,r,yの各演算に関与しないセンサ生値(センサから直接出力され、ノイズ除去のために大きな遅れ要素を持たない簡単なフィルタ処理のみが施されている出力値)の変化量が所定値未満の状態(或いは無変化の状態)が所定期間T20継続したときに、センサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障であると判定して、センサ異常の誤検出を防止している。
【0055】
(パワー変化ΔPβとセンサ生値とによる異常検出)
尚、以下では、横滑り角のパワー変化ΔPβと、センサ生値としてヨーレートrsと舵角θsとを用いたヨーレートセンサの異常検出について説明するが、横方向加速度センサ等の他のセンサ異常も同様の手法により検出できることは言うまでもない。
【0056】
図9に示すように、ステップT30では、ヨーレートセンサと横方向加速度センサの各出力値を読み込む。ステップT32では、図17で説明したように窓関数v(i)、a(i)を演算する。
【0057】
ステップT34では、上記式11から横滑り角のパワー変化ΔPβを演算する。ステップT36では、横滑り角のパワー変化の絶対値|ΔPβ|が所定閾値ΔPβ0以上か否か判定する。ステップT36で横滑り角のパワー変化の絶対値|ΔPβ|が所定閾値ΔPβ0以上ならば(ステップT36でYES)、ステップT38に進んでフラグF1をセットする。ステップT36で横滑り角のパワー変化の絶対値|ΔPβ|が所定閾値ΔPβ0未満ならば(ステップT36でNO)、ステップT37に進む。
【0058】
ステップT38では、ヨーレートセンサ及び/又は横方向加速度センサが故障していると推定できるのでフラグF1をセットする。このフラグF1は、横滑り角のパワー変化の絶対値|ΔPβ|が所定閾値Pβ0より大きいことによりヨーレートセンサ及び/又は横方向加速度センサが故障していると推定された時にセットされる。
【0059】
ステップT40では、カウンタ値T1をインクリメントする。ステップT42では、ヨーレートセンサのセンサ生値(出力値)の変化量Δrsを、例えば移動平均値として演算する。ステップT44では、センサ生値の変化量の絶対値|Δrs|が所定閾値Δr0未満か否かを判定する。
【0060】
ステップT44でセンサ生値の変化量の絶対値|Δrs|が所定閾値Δr0未満ならば(ステップT44でYES)、センサ出力値が一方向に略一定値に固着している状態とされ、ステップT46でカウンタ値T2をインクリメントする。
【0061】
ステップT48では、カウンタ値T2が第2期間としての所定期間T20(例えば、400-500msec)以上となったか否かを判定する。この所定期間T20は、車両の振動等によりセンサ生値にノイズ等が含まれ、固着しているにもかかわらず故障でないと判定されることを避けるために、所定期間T10以内で固着している期間の積算値として演算される。
【0062】
ステップS48でカウンタ値T2が所定期間T20以上ならば(ステップT48でYES)、ステップT36でのパワー変化ΔPβによるセンサ異常が推定された後から所定期間T20に亘って|Δrs|<Δrs0の状態が継続したので、ステップT50でヨーレートセンサの出力値が固着した故障であることを確定(判定)する。続いて、ステップT52ではフラグF2をセットし、ステップT54ではワーニングランプを点灯して乗員にセンサ故障を報知すると共に、ヨーレートセンサが故障していることを記憶しておく。一方、ステップS48でカウンタ値T2が所定期間T20に満たないならば(ステップT48でNO)、ステップT56でカウンタ値T1が第1期間としての所定期間T10(例えば、500msec-1sec)以上経過したか否かを判定する。但し、窓関数のサンプリング期間<T20≦T10とする。
【0063】
ステップT56で所定期間T10経過したならば(ステップT56でYES)、ステップT36でパワー変化ΔPβによりセンサ異常が推定された後から所定期間T10以内にヨーレートセンサの出力値の固着が所定期間T20に亘って継続しなかったので固着故障ではないと判定し、ステップT58でカウンタ値T1、T2、フラグF1をリセットしてからステップT30にリターンする。また、ステップT56で所定期間T10未経過ならば(ステップT56でNO)、ステップT30にリターンする。
【0064】
(センサ生値だけによる異常検出)
続いて、ヨーレートとステアリング舵角の各センサ生値だけによる異常検出について説明する。
【0065】
まず、ステップT37では、フラグF1がセットされているか否か判定する。ステップT37でフラグF1がセットされているならば(ステップS37でYES)、前回のステップST36でパワー変化の絶対値|ΔPβ|が所定閾値ΔPβ0を超えてから所定期間T10経過していない状態なので、ステップT40に進んで上述の固着異常の判定を行う。
【0066】
また、ステップT37でフラグF1がセットされていないならば(ステップS37でNO)センサ生値だけで異常検出を行うステップS60以降に進む。
【0067】
ステップS60では、舵角センサのセンサ生値の変化量Δθsを、例えば移動平均値として演算する。ステップT62では、ヨーレートセンサのセンサ生値の変化量Δrsを、例えば移動平均値として演算する。ステップT64では、センサ生値の変化量の絶対値|Δrs|が所定閾値Δr0未満か否かを判定する。
【0068】
ステップT64でセンサ生値の変化量の絶対値|Δrs|が所定閾値Δr0未満ならば(ステップT64でYES)、ヨーレートが小さい車両の走行状態とされ、ステップT66でカウンタ値T3をインクリメントする。
【0069】
ステップT68では、舵角センサの変化量の絶対値|Δθs|が現在までの最大値θmax以上か否かを判定する。ここで、舵角センサのセンサ生値θsを用いるのは、舵角センサは非常に信頼性の高く故障が発生しにくいからである。ステップT68で舵角センサの変化量の絶対値|Δθs|が現在までの最大値θmax以上ならば(ステップT68でYES)、ステップT70で最大値θmaxを|Δθs|に更新し、ステップT68で舵角センサの変化量の絶対値|Δθs|が現在までの最大値θmax未満ならば(ステップT68でNO)、ステップT72に進む。
【0070】
ステップT72では、カウンタ値T3が所定期間T20より長い所定期間T30(例えば、2-3min)以上となったか否かを判定する。
【0071】
ステップT72でカウンタ値T3が所定期間T30に満たないならば(ステップT72でNO)、ステップT30にリターンし、カウンタ値T3が所定期間T30以上ならば(ステップT72でYES)、ステップT74に進む。
【0072】
ステップT74では、舵角センサの現在までの最大値θmaxが舵角センサの変化量の所定閾値Δθs0以上か否かを判定する。ステップT74で舵角センサの現在までの最大値θmaxが舵角センサの変化量の所定閾値Δθs0以上ならば(ステップT74でYES)、ステップT50に進む。
【0073】
ステップT64からT74では、パワー変化ΔPβが小さくセンサ故障と判定されない状態であっても、ヨーレートセンサの変化量|Δrs|が小さい状態(或いは無変化の状態)が検出されている所定期間T30に亘って舵角センサの変化量|Δθs|が大きかったならば(ステップT74でYES)、舵角センサの変化量|Δθs|が大きいにもかかわらず、ヨーレートセンサの変化量|Δrs|が小さいので、ステップT50に進んでヨーレートセンサの出力値が固着した故障であると判定する。
【0074】
尚、上記期間T10、T20、T30は、ノイズ等のセンサ特性等に応じて適宜決められる。また、センサとしてヨーレートセンサ以外にも横方向加速度センサ等を用いて横方向加速度センサの異常判定も可能である。
【0075】
更に、図9において、窓関数を用いた場合センサ異常を早急かつ確実に検出できて好ましいが、センサ生値がT20に亘って固着しているか否かを判定する代わりに、旋回運動を検出する少なくとも2つ以上のセンサ生値によりセンサ異常を検出する手法パラメータ同定やディテクションフィルタの手法や、T10よりも短い期間のサンプリング値で移動平均処理した値を用いることもできる。
【0076】
つまり、ステアリング舵角とヨーレートの関係を車速等に応じて予め実験等で求め、記憶部に記憶しておき、実際のステアリング舵角と実際のヨーレートとの関係と、予め求められた上記関係とを比較し、それらの関係が大きく相異していればステアリング舵角かヨーレートのうち少なくとも一方のセンサが異常であると判定してもよい。
【0077】
ディテクションフィルタとは、このディテクションフィルタによる異常検出は、車両モデル関するオブザーバ(状態推定器)を設計し、実際のセンサ出力値と車両モデルによる推定値とを比較することによりセンサの異常検出を行なうと共に、センサ等の故障による影響(オフセット)がセンサ毎に固有の方向性(固有ベクトル)を持って互いに独立して現れるように車両モデルへの入力に補正値(ゲイン)を加えていく手法である。即ち、図18に示すように、車両の実際のセンサ出力値と車両モデルによる推定値との差(推定誤差ε)と、実際のセンサ出力値と車両モデルの推定値との差に重みをつけて演算した推定誤差ξとからセンサの異常判定を行ない、故障したセンサに載ったフェイル信号がその大きさに比例して推定誤差に現れるようにオブザーバゲインを車両モデルに入力していくことによりオフセットの載ったセンサを異常と検出するものである。また、車両モデル及びオブザーバゲインは路面摩擦係数μ等の変化を考慮して補正される。
[SCS制御について]
<制御系の概要>
図4はSCSコントローラ5による基本制御の概要を示し、この基本制御においては、まず、ドライバが車両に乗り込んでイグニッションキーをオン状態にすると、ステップSA1でSCSコントローラ5やEGIコントローラ13の初期設定を行って前回の処理で記憶している演算値等をクリアする。ステップSA2では、車輪速センサ6等の原点補正を行った後に、これらの各センサから上記SCSコントローラ5に対する信号入力を受け、これらの入力信号に基づき、ステップSA3において上記車両の車体速、車体減速度、各輪位置での車体速等の共通車両状態量を演算する。
【0078】
続いて、ステップSA4でSCSの制御演算を行う。すなわち、ステップSA41で、車両状態量として、SCS用車体速VSCS、車体横滑り角β、各輪の車輪スリップ率及びスリップ角、各輪の垂直加重、タイヤの負荷率、路面摩擦係数μを演算し、ステップSA42では、目標状態量として、目標ヨーレートψ’TR、目標横滑り角βTRを演算する。そして、ステップSA43で上記演算結果に基づきヨーレート制御又は横滑り角制御への介入判定を行い、制御介入が必要と判定した場合にはステップSA44に進む。このステップSA44では、制動力を付与する車輪21FR,21FL,21RR,21RLを選択するとともに、選択した各車輪21FR,21FL,21RR,21RLに付与する制動力を演算する。そして、この演算された制動力に基づいてステップSA45で加圧ユニット3及びHU4への制御出力量、すなわち、各ブレーキ2の加圧バルブ41及び減圧バルブ43のそれぞれのバルブ開度等を演算する。
【0079】
さらに、ステップSA5でABSの制御に必要な制御目標値や制御出力量の演算を行い、ステップSA6でトラクション制御に必要な制御目標値や制御出力量の演算を行い、その後、ステップSA7で、このABSの制御、トラクションの制御及び上記SCSの制御の各演算結果を所定の方法により調停して上記加圧ユニット3及びHU4への制御出力量を決定する。そして、ステップSA8出上記加圧ユニット3及びHU4を作動させて各加圧バルブ41及び減圧バルブ43の開度を制御することにより、車輪21FR,21FL,21RR,21RLのそれぞれのブレーキ2に供給する液圧を制御してそれらの車輪21FR,21FL,21RR,21RLに所要の制動力を付与する。最後に、ステップSA9で車輪速センサ6や加圧ユニット3等が正常に作動しているか否かのフェイルセーフ判定を行い、その後、ステップSA1にリターンする。
【0080】
なお、上記フローチャートにおいてステップSA41が状態量演算部51に、SA42が目標状態量演算部52に、また、ステップSA43が制御介入判定部53及び制御切換え部54に、それぞれ対応しており、ステップSA44がヨーレート制御部55、変更設定部56及び横滑り角制御部57に対応している。
<SCSの制御>
以下に、SCSの制御の詳細について図5及び図6に基づいて説明する。なお、ステップSA5のABS制御演算及びステップSA6のトラクション制御演算については周知であるので、その説明を省略する。
【0081】
図5は、図4のステップSA41における、車体速VSCS、車体横滑り角β、各車輪の垂直荷重、各車輪のスリップ率、各車輪のスリップ角、各車輪の負荷率及び路面摩擦係数μの演算、及び、同図のステップSA42における、目標横滑り角βTR及び目標ヨーレートrTRの演算を示す。すなわち、ステップSB2では、車輪21FRの車輪速v1、車輪21FLの車輪速v2、車輪21FRの車輪速v3、車輪21RLの車輪速v4と、車体1の横方向加速度ysと、車体1のヨーレートrsと、ステアリングの操舵角θsとの入力を受ける。ステップSB4では、上記車輪速v1-v4に基づいて車体速VSCSを演算し、ステップSB6では、上記車輪速v1-v4と上記横加速度ysとに基づいて各車輪の垂直加重を演算する。また、ステップSB8では、上記車体速VSCSと、上記車輪速v1-v4と、上記横加速度ysと、上記ヨーレートrsと、上記ステアリング舵角θsとに基づき車体横滑り角βを演算する。
【0082】
続いて、ステップSB10では、上記車輪速v1-v4と、上記車体速VSCSと、車体横滑り角βと、ヨーレートrsと、操舵角θsとに基づいて各車輪21FR,21FL,21RR,21RLのスリップ率及びスリップ角を演算し、ステップSB12では、上記各車輪の垂直加重と上記スリップ率及びスリップ角とに基づき、車輪21FR,21FL,21RR,21RLのそれぞれについて、タイヤ23の発揮し得る全グリップ力に対する現在のグリップ力の割合である負荷率を演算する。そして、ステップSB14では、その負荷率と上記横方向加速度ysとに基づいて路面摩擦係数μを演算し、ステップSB16では、その路面摩擦係数μと、上記車体速VSCSと、上記操舵角θsとに基づいて目標ヨーレートrTRと目標横滑り角βTRとを演算する。
【0083】
なお、図5に示す上記のフローチャートにおいて、ステップSB2からステップSB14までが、状態量演算部51に対応し、ステップSB16が目標状態量演算部52に対応している。
【0084】
図6は、図4のステップSA43におけるSCSの制御介入判定以降のSCSの制御を示し、ステップSB18で、ヨーレートrsと目標ヨーレートrTRとの間のヨーレート偏差量(|rTR−rs|)、及び、車体横滑り角βと目標横滑り角βTRとの間の横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、それぞれ、SCSのヨーレート制御の介入判定のために予め設定された介入判定しきい値K1及びK2と比較する。そして、上記ヨーレート偏差量が介入判定しきい値K1以上であるか、又は、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2以上である場合に、目標走向方向に対する車体姿勢のずれが大きくなりつつありSCSの制御介入が必要であると判定してステップSB20に進み一方、上記ヨーレート偏差量が介入判定しきい値K1よりも小さい値であり、かつ、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2よりも小さい値である場合には、SCSの制御介入の必要なしと判定してリターンする。
【0085】
そして、ステップSB20では、横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、SCSの横滑り角制御への切り換えの判定のために予め設定された第1設定量としての切換判定しきい値K3と比較する。そして、上記横滑り角偏差量が切換判定しきい値K3よりも小さい場合には、ステップSB22に進んで目標ヨーレートrTRをSCSの制御目標値として設定し、その後ステップSB24に進み、ヨーレート制御における制御量としてのSCS制御量ramtをヨーレート偏差量(|rTR−rs|)に基づいて演算する。すなわち、車体姿勢の変化が比較的小さく安定した状態にあると判定される間(SB20)は、車体1のヨーレートrsがドライバの運転操作に対応する目標ヨーレートrTRに収束するよう、車体1に比較的小さなヨーモーメントを作用させるようにし(SB22,24)、これにより、車体姿勢をドライバの運転操作に追従するように滑らかに変更させるヨーレート制御を行うようになっている。
【0086】
一方、上記ステップSB20で、横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3以上である場合には、ステップSB26に進んで目標横滑り角βTRをSCSの制御目標値として設定し、その後ステップSB28に進んで、SCSの制御に実際に用いられるSCS制御量βamtを横滑り角偏差量(|βTR−β|)に基づいて演算する。すなわち、車体姿勢が大きく崩れていると判定された(SB20)ときには、車体横滑り角βが目標横滑り角βTRに収束するよう、車体に比較的大きなヨーモーメントを作用させるようにし(SB26,28)、これにより、車体姿勢を迅速に修正する横滑り角制御を行うようになっている。
【0087】
そして、上記ステップSB24又はステップSB28に続くステップSB30において、フラグF1がセットされているか否かを判定する。このフラグF1は、図9で説明した窓関数を用いたセンサの異常検出において用いられ、横滑り角のパワー変化ΔPβが所定値Pβ0より大きいことによりヨーレートセンサ及び/又は横方向加速度センサが故障していると推定できる状態でセットされる。
【0088】
ステップSB30でフラグF1がセットされているならばステップSB31に進み、フラグF1がセットされていないならばステップSB32に進む。
【0089】
ステップSB31では、SCS制御量βamtの絶対値から所定値β1を減算し、SCS制御量ramtの絶対値から所定値r1を減算することにより、SCS制御量βamt,ramtを低下又は保持方向に補正して、SCS制御量を抑制又は保持させる。また、ステップSB32では、フラグF2がセットされているか否かを判定する。このフラグF2は、図9で説明した窓関数を用いたセンサの異常検出において用いられ、ヨーレートセンサ及び/又は横方向加速度センサが故障していると推定された状態で、ヨーレートセンサ又は横方向加速度センサのセンサ出力値rs,ysの移動平均値が所定値より大きい状態が所定期間継続するとセンサ故障を確定してセットされる。
【0090】
ステップSB32でフラグF2がセットされているならばステップSB34に進み、フラグF2がセットされていないならばステップSB33に進む。
【0091】
ステップSB33では、センサ故障と判定されているのでSCSの制御を中止してリターンする。
【0092】
ステップSB34では、ステップSB30でセンサ故障が推定された状態であったならばステップSB31でSCS制御量βamt,ramtを低下又は保持方向に補正してSCS制御量を抑制又は保持させ、ステップSB32でフラグF2がセットされてセンサ故障が確定した状態でないならば上記SCSの制御、ABSの制御及びトラクション制御の各演算結果を所定の方式により調停する。この調停の概要について説明すると、SCSの制御を行おうとする際にABSの制御が行われている場合には、そのABSの制御量をSCS制御量ramt又はβamtに基づいて補正することにより、ABSの制御を優先しつつSCSの制御を行うようになっており、また、SCSの制御を行おうとする際にトラクション制御が行われている場合には、そのトラクション制御のための加圧ユニット3及びHU4の作動を中止してSCSの制御を行うようになっている。
【0093】
続いて、ステップSB36において、SCS制御量ramt又はβamtに基づき、SCSの制御のために制動力を付与する車輪21FR,21FL,21RR,21RLを選択するとともに、これらの車輪21FR,21FL,21RR,21RLにそれぞれ付与する制動力を演算する。この車輪の選択及び制動力の演算について概説すれば、ヨーレート制御において車体1のヨーレートrsを右周りに加増する場合、及び、横滑り角制御において車両の旋回姿勢を右側寄りに修正しようとする場合には、右側前輪21FRもしくは右側前後輪21FR,21RRに対し、上記SCS制御量ramt又はβamtに対応する制動力を付与することにより車両に右回りのヨーモーメントを作用させるようにするものである。反対に、車体1のヨーレートrsを左回りに加増する場合、及び、車両の旋回姿勢を左側寄せに修正しようとする場合には、左側前輪21FLもしくは左側前後輪21FL,21RLに対し、上記SCS制御量ramt又はβamtに対応する制動力を付与することにより車両に左回りのヨーモーメントを作用させるようにするものである。
【0094】
そして、上記ステップSB36に続くステップSB38において、上記ステップSB36で選択された車輪21FR,21FL,21RR,21RLに対しそれぞれ所要の制動力を付与するための加圧ユニット3及びHU4への制御出力量、すなわち、ブレーキ2の加圧バルブ41及び減圧バルブ43のそれぞれのバルブ開度等を演算し、ステップSB40でこれらの演算された制御出力を上記加圧ユニット3及びHU4に対し出力してSCSの制御を実行し、その後リターンする。
【0095】
なお、図6に示す上記のフローチャートにおいて、ステップSB18が制御介入判定部53に、ステップSB20が切換制御部54に、それぞれ対応しており、ステップSB22及びSB24がヨーレート制御部55及び変更設定部56に、ステップSB26及びSB28が横滑り角制御部57に、それぞれ対応している。
【0096】
<ヨーレート制御における制御量の演算>
以下、ヨーレート制御(SB22、SB24)におけるSCS制御量ramtの演算について、図7及び図8を参照して説明する。
【0097】
図7は、図6のステップSB24におけるSCS制御量ramtの演算の際に、ヨーレート制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制するために、制限制御部55aにより、上記SCS制御量ramtに上限を設定するための具体的なフローを示す。同図において、ステップSC2では、車体1のヨーレートrsが目標ヨーレートrTRに収束するように車体1にヨーモーメントを作用させるような仮のSCS制御量rxを、ヨーレート偏差量(|rTR−rs|)に基づいて演算する。続いて、ステップSC4では、上記ステップSC2で演算された仮のSCS制御量rxと、車体速VSCS、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θs及び操舵速度θs'とに基づき、ヨーレート制御が行われた場合の車体横滑り角の推定変化量Δβを推定演算する。また、ステップSC6では、切換判定しきい値K3よりも小値側の範囲において、車体速VSCS、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θs、及び、この操舵角θsを微分演算して状態量演算部51により算出される操舵角θsの変化率としての操舵速度θs'に基づき、車体横滑り角の変化量の第2設定量としての上限値Δβ1imを設定する。なお、この上限値Δβ1imの設定については後述する。
【0098】
そして、ステップSC8において、上記ステップSC4で演算された車体横滑り角の推定変化量Δβと上記ステップSC6で設定された上限値Δβ1imとを比較し、推定変化量Δβが上限値Δβ1im以下であればステップSC10に進み、このステップSC10で仮のSCS制御量rxをSCS制御量ramtとした後リターンする。一方、上記ステップSC8において推定変化量Δβが上限値ΔB1imよりも大きければステップSC12に進み、このステップSC12において、上記推定変化量Δβと上限値Δβ1imとの間の偏差に応じて、上記仮のSCS制御量rxを補正する。そして、ステップSC14で上記仮の制御量rxの補正値をSCS制御量ramtとし、その後リターンする。つまり、ヨーレート制御による車体横滑り角の変化量Δβが上限値Δβ1im以下になるような範囲内においてSCS制御量ramtを演算するようにしており、これにより、ヨーレート制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制してヨーレート制御から横滑り角制御への切り換えを抑制するようにしている。
【0099】
次に、上記ステップSC6における、変更設定部56による、車体横滑り角βの変化量Δβの上限値Δβ1imの設定について説明する。上記変更設定部56による車体横滑り角βの変化量Δβの上限値Δβ1imの設定は、図8に示すように、車体速VSCSに対応する基本上限値Δβ0を、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θs及び操舵速度θs'に対応して増減変更することにおり行うようにする。すなわち、先ず、ステップSD2において、車体速VSCSとの関係により予め設定された基本マップから基本上限値Δβ0を読み取るようにする。この基本マップにおいて、上記基本上限値Δβ0は車体速VSCSが高いほど減少するように設定されており、これにより、車体速VSCSが高いほど車両の姿勢変化が抑制されて安全性が高まるようになっている。続いて、ステップSD4において、路面摩擦係数μとの関係により予め設定された変更設定マップから係数m2を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m2は路面摩擦係数μが低いときには小さめに設定される一方、その路面摩擦係数μが高いときには大きめに設定されるようになっている。
【0100】
そして、ステップSD6において、ステアリングの操舵角θsとの関係により予め設定された変更設定マップから係数m3を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m3はステアリングの操舵角θsの増大に応じて減少するようになっている。さらに、ステップSD8において、ステアリングの操舵速度θs'との関係により予め設定された変更設定マップから係数m4を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m4は、操舵速度θs'の増大に応じて減少するようになっている。最後に、ステップSD10において、上記基本上限値Δβ0に上記係数m2、m3及びm4を乗算して求めた値を上限値Δβ1imとして設定するようにする。このようにして設定された上限値ΔB1imは、路面摩擦係数μが低いほど減少設定されるとともに、ステアリングの操舵角θs及びその操舵速度θs'の増大に応じて減少設定される一方、上記路面摩擦係数μが高いほど増大設定されるとともに、上記ステアリングの操舵角θs及びその操舵速度θs'の減少に応じて増大設定されるようになっている。
【0101】
次に、上記実施形態に係る車両の姿勢制御装置による作用・効果を説明する。
【0102】
上記実施形態によれば、車体姿勢が比較的安定しており横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3よりも小さい間はヨーレート制御が行われ、このヨーレート制御により、車体1に対しそのヨーレートrsが目標ヨーレートrTRに収束するよう比較的小さなヨーモーメントを作用させることができ、これにより、車体姿勢をドライバの運転操作に追従するよう滑らかに変更させることができる。従って、車体姿勢が比較的安定しておりドライバが余裕をもって運転操作を行える状態では、このドライバは違和感のない自然な運転フィーリングを得ることができる。一方、車体姿勢が崩れそうな不安定な状態になって上記横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3以上になったときには、車体横滑り角βが目標横滑り角βTRに収束するよう車体姿勢を修正する横滑り角制御が行われる。この横滑り角制御により、比較的大きなヨーモーメントを作用させて車体姿勢を迅速に修正することができ、これにより、車両のスピンやコースアウト等を防止する。
【0103】
また、上記ヨーレート制御においては、このヨーレート制御による車体横滑り角βの変化量Δβが、切換判定しきい値K3よりも小値側に設定された上限値Δβ1im以下になるようにSCS制御量ramtに上限を設定しており、このため、ヨーレート制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制することができる。これにより、ヨーレート制御に起因するこのヨーレート制御から横滑り角制御への切換えを防止することができるため、ドライバがヨーモーメントの逆転によるショックや違和感を感じる頻度を低減させることができる。
【0104】
さらに、上限値Δβ1imが、路面摩擦係数μ、ステアリング操舵角θH及びその操舵速度θs'に応じて変更設定され、これに応じてSCS制御量ramtの上限が変更されるようになっているため、ヨーレート制御に起因する車体姿勢の崩れの抑制とこのヨーレート制御による車体姿勢の制御とを両立させるようにすることができる。すなわち、車両が滑り易い路面を走行しているときであっても、路面摩擦係数μが低いほどSCS制御量ramtの上限が低められるため車体姿勢の変化を抑制することができ、一方、路面摩擦係数μが高く滑りにくい路面においては、路面摩擦係数μが高いほどSCS制御量ramtの上限が高まるため車体姿勢の制御を十分に行うことができる。
【0105】
また、ステアリングの操舵角θsが大きく車輪21FR,21FL,21RR,21RLの車輪横滑り角が大きいときには、そのステアリングの操舵角θsの増大に応じてSCS制御量ramtの上限を低めることができるため、上記車輪横滑り角の増大に伴う車輪の前後方向のグリップ力の低下に対応してこれらの車輪に寄与される制動力を減少させることができ、これにより、上記車輪21がロック状態になって車体姿勢が崩れることを防止することができる。一方、上記ステアリングの操舵角θsの減少に応じてSCS制御量ramtの上限を高めることにより、車輪のグリップ力に余裕がある間はヨーレート制御によって十分に車体姿勢を制御することができる。
【0106】
同様に、ステアリングの操舵速度θs'が高い場合には、操舵輪である左右の前輪21FR,21FLが急速に転舵されているためトレッドゴムの捩れ変形によりグリップ力が低下するところ、上記操舵速度θs'の増大に応じてSCS制御量ramtの上限を低めることにより、上記左右の前輪21FR,21FLがロック状態になることによる車体姿勢の崩れを防止することができる一方、上記操舵速度θs'の減少に応じてSCS制御量ramtの上限を高めることにより、上記左右の前輪21FR,21FLのグリップ力に余裕がある間はヨーレート制御によって十分に車体姿勢を制御することができる。
【0107】
以上のように、窓関数とセンサ生値とを用いたセンサの異常検出によれば、先ずパワー変化ΔPβによりセンサ異常と推定し、更にパワー変化ΔPβが演算されないセンサ生値の変化量が所定値未満の状態(或いは無変化の状態)が所定期間継続したときに、センサ出力値が一方向に略一定値に固着してしまうような故障であると判定して、センサ異常の誤検出を防止できる。
【0108】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変形したもの、例えばヨーレートや横方向加速度を検出して制御するABSやトラクションシステム等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両の姿勢制御装置を適用した車両を示す概略構成図である。
【図2】ブレーキの液圧系統を示す図である。
【図3】本実施形態のSCSコントローラのブロック図である。
【図4】基本制御の概要を示すフローチャートである。
【図5】状態量演算部及び目標状態量演算部における処理を示すフローチャートである。
【図6】制御介入判定以降のSCS制御を示すフローチャートである。
【図7】ヨーレート制御におけるSCS制御量の演算を示すフローチャートである。
【図8】車体横滑り角の変化量の上限値を設定する処理を示すフローチャートである。
【図9】窓関数を用いたセンサの異常検出の他の手法を説明するフローチャートである。
【図10】図9の手順を説明する図である。
【図11】窓関数を用いたセンサの異常検出における前輪舵角の入力状態を示す図である。
【図12】図11の前輪舵角入力時のヨーレートの変化を示す図である。
【図13】図11の前輪舵角入力時の横方向加速度の変化を示す図である。
【図14】ヨーレートセンサ故障時の出力値の変化を示す図である。
【図15】横滑り角のパワー変化を示す図である。
【図16】ヨーレートのパワー変化を示す図である。
【図17】窓関数を用いたセンサの異常検出における窓関数の演算手法を説明するフローチャートである。
【図18】ディテクションフィルタのブロック図である。
【符号の説明】
1…車体
2…ブレーキ
3…加圧ユニット
4…ハイドロリックユニット
5…SCSコントローラ
8…ヨーレートセンサ
9…ステアリング舵角センサ
21FR,FL,RR,RL…車輪
Claims (7)
- 車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、
前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、
前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、
前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを具備することを特徴とする車両用走行状態検出センサの異常検出装置。 - 前記第2推定手段は、前記第1検出センサの出力値の変化量が前記第1期間より短い第2期間に亘って所定値以下の時、前記第1検出センサが異常であると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行状態検出センサの異常検出装置。
- 前記第1検出センサ以外に車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第2検出センサを有し、前記第2推定手段は、該第2検出センサの出力値と、前記第1検出センサの変化成分とに基づいて該第1検出センサが異常であると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行状態検出センサの異常検出装置。
- 前記第2推定手段は、少なくとも前記第1及び第2検出センサに関連する関連度合に基づいて該第1検出センサが異常であると推定することを特徴とする請求項3に記載の車両用走行状態検出センサの異常検出装置。
- 前記第1推定手段は、前記第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、該時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、該第1及び第2関数により求まる値に基づいて該第1検出センサが異常であると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行状態検出センサの異常検出装置。
- 車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、
前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、
前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、
前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを備え、
前記第2推定手段は、前記第1検出センサの出力値の変化量が第2期間に亘って所定値以下の時、前記第1検出センサが異常であると推定し、
前記第1推定手段は、前記第1検出センサの出力値の時間的変化成分を表わす第1関数と、該時間的変化成分の微分成分を表わす第2関数とを算出し、該第1及び第2関数により求まる値に基づいて該第1検出センサが異常であると推定することを特徴とする車両用走行状態検出センサの異常検出装置。 - 車両の走行姿勢が目標姿勢から逸脱した時に、該走行姿勢を目標姿勢に収束させる姿勢制御を実行する車両の挙動制御装置において、
車両の旋回度合を示す運動量に関する値を検出する第1検出センサと、
前記第1検出センサによる出力値の変化成分を順次算出する変化成分算出手段と、
前記変化成分に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第1推定手段と、
前記第1検出センサの出力値に基づいて前記第1検出センサの異常を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段による異常推定後、前記変化成分算出手段のサンプリング期間より長い第1期間において前記第2推定手段により前記第1検出センサの異常が推定されると、該第1センサが異常であると判定する判定手段とを備え、
前記姿勢制御中ならば、前記第1推定手段による異常推定後から前記判定手段による異常の有無判定がなされるまで該姿勢制御を抑制又は保持することを特徴とする車両の挙動制御装置。
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