JP2000264238A - 車輌の操舵制御装置 - Google Patents
車輌の操舵制御装置Info
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Abstract
起因する悪影響を受けることなく補正操舵を適切に行
う。 【解決手段】 車輌の目標ヨーレートγtが演算され
(S100)、車輌モデルに基づくオブザーバの演算に
より車輌の推定ヨーレートγhが演算されると共にフィ
ードバックにより補正され(S150、200)、推定
ヨーレートγhに基づき第一の補正操舵角θaが演算され
ると共に目標ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの偏
差に基づき第二の補正操舵角θbが演算され(S25
0)、第一の補正操舵角θa及び制限処理された第二の
補正操舵角θbに基づき補正操舵角θafsが演算され(S
300、350)、補正操舵角θafsに基づき補正操舵
装置24が制御され、これにより前輪が補正操舵角θaf
sにて補正操舵される(S400)。
Description
置に係り、更に詳細には補正操舵、即ち運転者の操舵に
対する介入操舵により車輌の旋回性能を向上させる操舵
制御装置に係る。
して、例えば特開平7−186988号公報に記載され
ている如く、車輌のヨーレート(運動状態量検出値)を
検出すると共に、運転者による旋回操作量に基づき車輌
の目標ヨーレート(運動状態量推定値)を演算し、検出
されたヨーレートと目標ヨーレートとの偏差に基づき補
正操舵角を演算し、補正操舵角に基づき補正操舵を行う
よう構成された操舵制御装置が従来より知られている。
よれば、車輌の旋回時の安定性を向上させることができ
るが、一般に、車輌のヨーレートを検出するヨーレート
センサは例えば操舵角センサや車速センサなどに比して
ノイズの影響を受け易く、そのため検出されたヨーレー
トに基づき演算される補正操舵角もノイズの影響を受け
易く、従って補正操舵が不適切に行われることに起因し
て車輌の運転者が異和感を感じることがあるという問題
がある。
目標ヨーレートとの偏差に基づき補正操舵角を演算し、
補正操舵角に基づき補正操舵を行うよう構成された従来
の操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされ
たものであり、本発明の主要な課題は、車輌のヨーレー
トを検出する手段にノイズやゲイン異常の如き異常が生
じても実質的にこれらの影響を受けない補正操舵角を演
算することにより、実質的にヨーレートを検出する手段
の異常に起因する悪影響を受けることなく補正操舵を適
切に行うことである。
発明によれば、請求項1の構成、即ち車輌のヨーレート
を検出する手段と、運転者による旋回操作量に基づき車
輌の推定ヨーレート及び目標ヨーレートを演算する手段
と、前記検出されたヨーレートと前記推定ヨーレートと
の偏差に基づく補正量にて前記推定ヨーレートを補正す
る推定ヨーレート補正手段と、前記目標ヨーレートと補
正後の推定ヨーレートとの偏差に応じて補正操舵角を演
算する手段と、前記補正操舵角に基づき補正操舵を行う
手段とを有する車輌の操舵制御装置によって達成され
る。
る旋回操作量に基づき車輌の推定ヨーレート及び目標ヨ
ーレートが演算されるので、推定ヨーレートは検出され
るヨーレートに比してノイズ等の影響を受け難く、また
推定ヨーレートは検出されたヨーレートと推定ヨーレー
トとの偏差に基づく補正量にて補正されることによって
検出されたヨーレートによりフィードバック制御される
ので、推定ヨーレートの推定精度が向上され、更に補正
操舵角は目標ヨーレートと補正後の推定ヨーレートとの
偏差に応じて演算されるので、補正操舵角が目標ヨーレ
ートと検出されたヨーレートとの偏差に応じて演算され
る場合に比して検出手段のノイズ等の影響の少ない補正
操舵角が演算される。
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記推定ヨーレート補正手段は前記検出されたヨーレート
と前記推定ヨーレートとの偏差の大きさが第一の基準値
以下のときには前記補正量を0とするよう構成される
(請求項2の構成)。
ヨーレートと推定ヨーレートとの偏差の大きさが第一の
基準値以下のときには補正量が0とされるので、検出さ
れたヨーレートがノイズ等の影響を受けることにより検
出されたヨーレートと推定ヨーレートとの偏差の大きさ
が或る大きさになっても、その大きさが第一の基準値以
下であるときには補正量が0とされることにより推定ヨ
ーレートが検出されたヨーレートにより不必要にフィー
ドバック制御されることが回避される。
効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於い
て、前記推定ヨーレート補正手段は前記検出されたヨー
レートと前記推定ヨーレートとの偏差の大きさが第二の
基準値以上のときには前記補正量を所定値に制限するよ
う構成される(請求項3の構成)。
ヨーレートと推定ヨーレートとの偏差の大きさが第二の
基準値以上のときには補正量が所定値に制限されるの
で、例えばヨーレート検出手段に故障の如き異常が生じ
ても、その影響により補正量の大きさが過剰になること
が確実に防止され、これにより推定ヨーレートが検出さ
れたヨーレートにより不適切にフィードバック制御され
ることが確実に防止される。
効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構
成に於いて、前記操舵制御装置は更に少なくとも前記検
出されたヨーレートと前記推定ヨーレートとの偏差に基
づく補正量にて前記補正操舵角を補正する補正操舵角補
正手段を含み、前記補正操舵を行う手段は補正後の補正
操舵角に基づき補正操舵を行うよう構成される(請求項
4の構成)。
検出されたヨーレートと推定ヨーレートとの偏差に基づ
く補正量にて補正操舵角が補正され、補正後の補正操舵
角に基づき補正操舵が行われるので、かかる補正が行わ
れない場合に比して補正操舵角が適正な値に演算され
る。
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、車輌の
推定ヨーレート及び目標ヨーレートを演算する手段は少
なくとも操舵角を入力パラメータとするオブザーバによ
り推定ヨーレートを演算するよう構成される(好ましい
態様1)。
ば、上記好ましい態様1の構成に於いて、推定ヨーレー
ト補正手段は検出されたヨーレートと推定ヨーレートと
の偏差に基づきオブザーバをフィードバック制御するこ
とにより検出されたヨーレートと推定ヨーレートとの偏
差に基づく補正量にて推定ヨーレートを補正するよう構
成される(好ましい態様2)。
ば、上記好ましい態様1の構成に於いて、オブザーバは
車輪の横力も推定し、推定ヨーレート補正手段は検出さ
れたヨーレートと推定ヨーレートとの偏差に基づく第一
の補正量と、推定された車輪の横力に基づき演算される
推定ヨーレートに基づく第二の補正量とにより推定ヨー
レートを補正するよう構成される(好ましい態様3)。
れば、上記請求項3の構成に於いて、所定値は第二の基
準値に対応する値であるよう構成される(好ましい態様
4)。
れば、上記請求項4の構成に於いて、補正操舵角を演算
する手段は目標ヨーレートと補正後の推定ヨーレートと
の偏差に基づき基本補正操舵角を演算し、補正操舵角補
正手段は基本補正操舵角を目標ヨーレートと補正後の推
定ヨーレートとの偏差に基づきフィルタ処理した後の第
一の補正操舵角と、基本補正操舵角を補正後の推定ヨー
レートに基づく車輌の推定横加速度に基づきフィルタ処
理した後の第二の補正操舵角とを演算し、第一及び第二
の補正操舵角のうちの大きさが大きい方の値を補正後の
補正操舵角に設定するよう構成される(好ましい態様
5)。
れば、上記好ましい態様5の構成に於いて、第二の補正
操舵角は補正操舵が切り増し方向であるときには大きさ
が制限されるよう構成される(好ましい態様6)。
発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
えた車輌に適用された本発明による車輌の操舵制御装置
の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれ
ぞれ車輌の駆動輪である左右の後輪を示している。従動
輪であり操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは
運転者によるステアリングホイール14の操舵に応答し
て駆動されるラック・アンド・ピニオン式の電動式パワ
ーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び1
8R を介して操舵される。
テアリング装置16は操舵トルクアシスト式のパワース
テアリング装置であり、ステアリングホイール14とパ
ワーステアリング装置16のギヤボックスとを連結する
アッパシャフト20とロアシャフト22との間には補正
操舵装置24が介装されている。補正操舵装置24は例
えばモータ及び歯車機構を含み、アッパシャフト20に
対し相対的にロアシャフト22を回転させることにより
補正操舵を行うようになっている。
装置24は後に詳細に説明する如く補正操舵により車輌
の旋回時の安定性を向上させるべく電気式制御装置26
により制御される。尚パワーステアリング装置16は補
正操舵に起因する操舵反力の変動を是正すべく補正操舵
が行われるときには補正操舵に応じて補正されたアシス
トトルクを発生するよう電気式制御装置26により制御
されるようになっていてよい。
パシャフト20に設けられた操舵角センサ28により検
出された操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ30に
より検出された車輌のヨーレートγを示す信号、車速セ
ンサ32により検出された車速Vを示す信号、横加速度
センサ34により検出された車輌の横加速度Gyを示す
信号、トルクセンサ36により検出された操舵トルクT
sを示す信号が入力される。
合の値を正として操舵角θ等を検出する。また図1には
詳細に示されていないが、電気式制御装置26は例えば
CPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、
これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された
一般的な構成のマイクロコンピュータと駆動回路とより
なるものであってよい。
示されたフローチャートに従い、操舵角θ及び車速Vを
入力パラメータとするオブザーバにより車輌の推定ヨー
レートγhを演算し、操舵角θ及び車速Vに基づき車輌
の目標ヨーレートγtを演算し、目標ヨーレートγtと推
定ヨーレートγhとの偏差に基づき前輪の補正操舵角θa
fsを演算し、補正操舵角θafsに基づき補正操舵装置2
4を制御し、これにより前輪を補正操舵する。
ていないルーチンに従い、トルクセンサ34により検出
された操舵トルクTsに基づき目標アシストトルクを演
算し、目標アシストトルクに基づき電動式パワーステア
リング装置16を制御することにより操舵トルクのアシ
スト制御を行う。
トを参照して図示の実施形態に於ける補正操舵制御につ
いて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる
補正操舵制御は図には示されていないイグニッションス
イッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実
行される。
28により検出された操舵角θを示す信号等の読み込み
が行われ、ステップ100に於いては図3に示されたル
ーチンに従って車輌の目標ヨーレートγtが演算され、
ステップ150に於いては図4に示されたルーチンに従
って路面の摩擦係数の推定値μが演算され、ステップ2
00に於いては図5に示されたルーチンに従って車輌モ
デルに基づくオブザーバの演算により車輌の推定ヨーレ
ートγhが演算される。
ルーチンに従って第一の補正操舵角θa及び第二の補正
操舵角θbが演算され、ステップ300に於いては図7
乃至図9に示されたルーチンに従って第二の補正操舵角
θbが制限され、ステップ350に於いては図10に示
されたルーチンに従って補正操舵角θafsが演算され、
ステップ400に於いては補正操舵角θafsに基づき補
正操舵装置24が制御され、これにより左右前輪10FL
及び10FRが補正操舵角θafsにて補正操舵される。
ヤレシオ装置が搭載されている場合には、バリアブルギ
ヤレシオ装置にもその作動角に補正操舵角θafsが加算
された値に対応する指令信号が出力される。
演算ルーチンのステップ105に於いては、θoを操舵
角の零点(車輌の直進位置)とし、Nをステアリングギ
ア比とし、Lを車輌のホイールベースとし、Vcを特性
車速(スタビリテイファクタKhの平方根の逆数)とし
て下記の式1に従って車輌の目標ヨーレートの基本値γ
toが演算される。尚操舵角θ及びステアリングギヤ比N
はバリアブルギヤレシオ装置が搭載されている場合には
そのギヤ比にて補正される。 γto=(θ−θo)V/{3.6NL(1−V2/Vc2)} ……(1)
図11に示されたグラフに対応するマップより時定数T
(v)が演算され、ステップ115に於いてはΔTを図2
に示されたフローチャートのサイクルタイムとして下記
の式2に従ってフィルタ係数Ryが演算される。 Ry=ΔT/T(v) ……(2)
処理後の目標ヨーレートγtの前回値として下記の式3
に従ってフィルタ処理後の目標ヨーレートγtが演算さ
れ、しかる後ステップ150へ進む。 γt=(1−Ry)γtf+Ryγto ……(3)
演算ルーチンのステップ155に於いては、図には示さ
れていない異常判定ルーチンにより横加速度センサ34
若しくはヨーレートセンサ30が異常である旨の判定が
行われているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われ
たときにはステップ190へ進み、否定判別が行われた
ときにはステップ160に於いて下記の式4に従ってヨ
ーレート偏差Δγが演算される。 Δγ=NL(1−V2/Vc2)(γt−γ)/V ……(4)
Δγに基づき図12に示されたグラフに対応するマップ
より路面の摩擦係数の推定値μを車輌の安全側(高摩擦
係数側)に設定するためのμbiasが演算される。
Δγに基づき図13に示されたグラフに対応するマップ
より時定数Tmが演算され、ステップ175に於いては
下記の式5に従ってフィルタ係数Rmが演算される。尚
図13のΔγ3及びΔγ4はそれぞれ図12のΔγ1及び
Δγ2よりも大きい。 Rm=ΔT/Tm ……(5)
って路面の摩擦係数μの基本値μtmpが演算され、ステ
ップ185に於いてはμfをフィルタ処理後の路面の摩
擦係数の推定値μの前回値として下記の式7に従ってフ
ィルタ処理後の路面の摩擦係数の推定値μが演算され、
しかる後ステップ200へ進む。 μtmp=|Gy|+μbias……(6) μ=(1−Rm)μf+Rmμtmp……(7)
2秒程度の一定の値として下記の式8に従ってフィルタ
係数Rmが演算され、ステップ195に於いてはμmaxを
例えば0.9程度の正の定数として下記の式9に従って
フィルタ処理後の路面の摩擦係数の推定値μが演算さ
れ、しかる後ステップ200へ進む。 Rm=ΔT/Tfail ……(8) μ=(1−Rm)μf+Rmμmax ……(9)
演算ルーチンのステップ205に於いては、車速Vが基
準値Vo(例えば15km/h程度の定数)未満であるか否
かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステッ
プ215へ進み、否定判別が行われたときにはステップ
210へ進む。ステップ210に於いては図には示され
ていない操舵角θの零点補正ルーチンによる零点補正が
完了しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われ
たときにはステップ215に於いて車輌の横速度Vy及
び推定ヨーレートγhがそれぞれ車輌の定常モデルの値
に設定された後ステップ250へ進み、肯定判別が行わ
れたときにはステップ220へ進む。
き前輪の実舵角δが演算されると共に、後述のステップ
235及び245に於いて前回演算された車輌の推定ス
リップ角βh、推定ヨーレートγh等に基づき車輌モデル
に基づく下記の式10及び式11に従って前輪の推定ス
リップ角βf及び後輪の推定スリップ角βrが演算され
る。尚式10に於いてLfは車輌の重心と前輪車軸との
間の距離であり、式11に於いてLrは車輌の重心と後
輪車軸との間の距離である。 βf=−β+δ−Lfγh/V ……(10) βr=−β+Lrγh/V ……(11)
の推定値μに基づき図14及び図15に示されたグラフ
に対応するマップが特定されると共に、特定されたマッ
プより前輪の推定スリップ角βf及び後輪の推定スリッ
プ角βrに基づき前輪の横力Ff及び後輪の横力Frが演
算される。
速度Vyの前回値とし、Mを車体の質量として下記の式
12に従って車輌の横速度Vyが演算され、ステップ2
35に於いては下記の式13に従って車輌の推定スリッ
プ角βhが演算される。 Vy=Vyf+{(Ff+Fr)/M+γhV}ΔT ……(12) βh=Vy/V ……(13)
のヨーレートγと推定ヨーレートγhの前回値との偏差
γ−γhに基づき図16に示されたグラフに対応するマ
ップよりヨーレートフィードバック制御量γfbが演算さ
れ、ステップ245に於いてはIzを車輌のヨー慣性モ
ーメントとし、Tfbをフィードバック時定数(例えば
0.1秒の如き定数)として下記の式14に従って車輌
の推定ヨーレートγhが演算され、しかる後ステップ2
50へ進む。尚図16に於いて、マップの傾斜部の角度
は1である。 γh=γhf+(LfFf−LrFr)ΔT/Iz+γfbΔT/Tfb ……(14 )
第二の補正操舵角θb演算ルーチンのステップ255に
於いては、max{ }を{ }内の数値のうちの最大値
とする下記の数15に従ってVmが車速V及びV1(例え
ば60km/h程度の定数)の大きい方の値に設定され、
ステップ260に於いては下記の式16に従ってヨーレ
ート偏差Δγhが演算される。 Vm=max{V,V1} ……(15) Δγh=NL(1−V2/Vc2)(γt−γh)/Vm ……(16)
ーレートγhとの積として車輌の推定横加速度Gyhが演
算されると共に、推定横加速度Gyhに基づき図17に示
されたグラフに対応するマップより基本制御ゲインGat
mpが演算され、ステップ270に於いてはヨーレート偏
差Δγhに基づき図18に対応するマップより基本制御
ゲインGbtmpが演算される。
0.1秒の如き定数とし、Raをフィルタ定数(=ΔT
/Ta)とし、Gafを第一の制御ゲインGaの前回値とし
て下記の式17に従って第一の制御ゲインGaが演算さ
れる。 Ga=max{Gatmp,(1−Ra)Gaf+RaGatmp} ……(17)
0.1秒程度の定数とし、Rbをフィルタ係数(=ΔT
/Tb)とし、Gbfを第二の制御ゲインGbの前回値とし
て下記の式18に従って第二の制御ゲインGbが演算さ
れる。 Gb=max{Gbtmp,(1−Rb)Gbf+RbGbtmp} ……(18)
ムΔTは数十msec程度であり、従ってフィルタ定数Ra
及びRbは1よりも遥かに小さい値であるので、上記式
17及び18のフィルタ処理はそれぞれ第一の制御ゲイ
ンGa及び第二の制御ゲインGbを増加し易く且つ減少し
難いようにするフィルタ処理である。
図19に示されたグラフに対応するマップより係数Gg
が演算されると共に、下記の式19に従ってフィルタ処
理後の目標ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの偏差
と係数Ggとの積として基本補正操舵角θgが演算され
る。 θg=(γt−γh)Gg ……(19)
θgと第一の制御ゲインGaとの積に基づき図20に示さ
れたグラフに対応するマップより通常旋回時の補正操舵
角としての第一の補正操舵角θaが演算され、ステップ
295に於いては下記の式20に従って車輌が限界を超
えた場合の補正操舵角としての第二の補正操舵角θbが
基本補正操舵角θgと第二の制御ゲインGbとの積として
演算され、しかる後ステップ300へ進む。 θb=θgGb ……(20)
ルーチンのステップ305に於いては、第二の補正操舵
角θbが上限値θlimuを越えているか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ320ヘ進
み、肯定判別が行われたときにはステップ310に於い
て図8に示されたルーチンに従って下限値θlimlが演算
され、ステップ315に於いて第二の補正操舵角θbが
上限値θlimuに設定された後ステップ350へ進む。
角θbが下限値θliml未満であるか否かの判別が行わ
れ、肯定判別が行われたときにはステップ325に於い
て図9に示されたルーチンに従って上限値θlimuが演算
され、ステップ330に於いて第二の補正操舵角θbが
下限値θlimlに設定された後ステップ350へ進み、否
定判別が行われたときにはステップ335に於いて図8
に示されたルーチンに従って上限値θlimuが演算され、
ステップ340に於いて図9に示されたルーチンに従っ
て下限値θlimlが演算された後ステップ350へ進む。
θliml演算ルーチンのステップ311に於いては、車輌
の推定横加速度Gyh(=Vγh)が基準値Gyo(正の定
数)を越えているか否かの判別、即ち車輌が左旋回状態
にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ312に於いて下記の式21に従って下限
値θlimlが演算され、否定判別が行われたときにはステ
ップ313に於いてmin{ }を{ }内の数値のうち
の最小値として下記の式22に従って下限値θlimlが演
算される。 θliml=max{θliml−Δθm,−θmax} ……(21) θliml=min{θliml+Δθp,−θmin} ……(22)
4に於いて、θpは操舵輪である前輪の切り増し側の制
限値であり、θmは前輪の切り戻し側の制限値であり、
Δθpは制限値θlimu及びθlimlの大きさの増加率であ
り、Δθmは制限値θlimu及びθlimlの大きさの減少率
である。またθp、θm、Δθp、Δθmは全て正の定数で
あり、特にθp<θm、Δθp>Δθmである(後述の図2
2参照)。
限値θlimu演算ルーチンのステップ326に於いては、
車輌の推定横加速度Gyhが基準値−Gyo未満であるか否
かの判別、即ち車輌が右旋回状態にあるか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはステップ327に
於いて下記の式23に従って上限値θlimuが演算され、
否定判別が行われたときにはステップ328に於いて下
記の式24に従って上限値θlimuが演算される。 θlimu=min{θlimu+Δθp,θmax} ……(23) θlimu=max{θlimu−Δθm,θmin} ……(24)
ーチンのステップ355に於いては、上述のステップ2
85に於いて演算された基本補正操舵角θgが正である
か否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはス
テップ360に於いて補正操舵角θafsが下記の式25
に従って設定され、否定判別が行われたときにはステッ
プ365に於いて補正操舵角θafsが下記の式26に従
って設定され、しかる後ステップ400へ進む。 θafs=max{θa,θb} ……(25) θafs=min{θa,θb} ……(26)
プ100に於いて車輌の目標ヨーレートγtが演算さ
れ、ステップ150に於いて路面の摩擦係数の推定値μ
が演算され、ステップ200に於いて車輌モデルに基づ
くオブザーバの演算により車輌の推定ヨーレートγhが
演算されると共にフィードバックにより補正され、ステ
ップ250に於いて推定ヨーレートγhに基づき第一の
補正操舵角θaが演算されると共に目標ヨーレートγtと
推定ヨーレートγhとの偏差に基づき第二の補正操舵角
θbが演算され、ステップ300に於いて第二の補正操
舵角θbが制限され、ステップ350に於いて第一の補
正操舵角θa及び制限処理された第二の補正操舵角θbに
基づき補正操舵角θafsが演算され、ステップ400に
於いて補正操舵角θafsに基づき補正操舵装置24が制
御され、これにより左右前輪10FL及び10FRが補正操
舵角θafsにて補正操舵される。
定ヨーレートγhはヨーレートセンサ30に比してノイ
ズ等の影響を受け難い操舵角センサ28により検出され
た操舵角θ及び車速センサ32により検出された車速V
に基づき演算され、また補正操舵角θafsは目標ヨーレ
ートγtと推定ヨーレートγhとの偏差に基づき演算され
るので、補正操舵角が目標ヨーレートγtと検出ヨーレ
ートγとの偏差に基づき演算される従来の操舵制御装置
の場合に比してノイズ等の影響の少ない補正操舵角にて
適正に補正操舵を行うことができる。
づく前輪の実舵角δ及び車速Vに基づき前輪の推定スリ
ップ角βf及び後輪の推定スリップ角βrが演算され、ス
テップ225に於いて前輪の推定スリップ角βf及び後
輪の推定スリップ角βrに基づき前輪の横力Ff及び後輪
の横力Frが演算され、ステップ230〜245に於い
て車輌の推定ヨーレートγhが演算される。
検出ヨーレートγと推定ヨーレートγhの前回値との偏
差γ−γhに基づきヨーレートフィードバック制御量γf
bが演算され、ステップ245に於いてヨーレートフィ
ードバック制御量γfbにて補正された車輌の推定ヨーレ
ートγhが演算されるので、ヨーレートフィードバック
制御により推定ヨーレートγhの推定精度を向上させる
ことができ、これによりヨーレートフィードバック制御
が行われない場合に比して適正に目標ヨーレートγtと
推定ヨーレートγhとの偏差に基づく補正操舵を行うこ
とができる。
き係数Ggが演算されると共に、フィルタ処理後の目標
ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの偏差と係数Gg
との積として基本補正操舵角θgが演算され、ステップ
290に於いて基本補正操舵角θgと第一の制御ゲイン
Gaとの積に基づき通常旋回時の補正操舵角としての第
一の補正操舵角θaが演算され、ステップ295に於い
て車輌が限界を超えた場合の補正操舵角としての第二の
補正操舵角θbが基本補正操舵角θgと第二の制御ゲイン
Gbとの積として演算され、ステップ300に於いて第
二の補正操舵角θbが必要に応じて制限され、ステップ
350に於いて第一の補正操舵角θa及び制限処理後の
第二の補正操舵角θbのうち大きさが大きい方の値が補
正操舵角θafsに設定される。
角θafsが例えばこの実施形態に於ける基本補正操舵角
θgと同様目標ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの
偏差に比例する値として演算される場合に比して、補正
操舵角θafsを適正に演算することができ、これにより
車輌の状況に応じて適正に補正操舵を行うことができ
る。
の補正操舵角としての第一の補正操舵角θaは、ステッ
プ265、275、285、290に於いて車速Vと推
定ヨーレートγhとの積である車輌の推定横加速度Gyh
に基づく基本制御ゲインGatmp及び目標ヨーレートγt
と推定ヨーレートγhとの偏差に基づく基本補正操舵角
θgに基づき演算され、また車輌が限界を超えた場合の
補正操舵角としての第二の補正操舵角θbは、ステップ
260、270、280、285、295に於いて車輌
の目標ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの偏差Δγ
hに基づき演算される基本制御ゲインGbtmp及び基本補
正操舵角θgの積として演算されるので、車輌の通常の
旋回時及び車輌が限界を越えた状況での旋回時の何れの
場合にも補正操舵を適正に行うことができる。
操舵角θbが左旋回方向の制限値θlimuを越えていると
きには補正操舵角θbが制限値θlimuに設定され、第二
の補正操舵角θbが右旋回方向の制限値θliml未満であ
るときには補正操舵角θbが制限値θlimlに設定される
だけでなく、それぞれ制限値θlimu及びθlimlは一定に
維持されるので、車輌が限界を越えた状況に於いて制限
値θlimu、θlimlが変化し第二の補正操舵角θbが変化
することに起因して車輌の乗員が異和感を感じることを
確実に防止することができる。
するためには、前輪の実舵角δ及び車輌の実ヨーレート
γが図21に於いてハッチングが施された領域にあるこ
とが好ましく、従って補正操舵による前輪の切り増しは
切り戻しよりも制限されなければならない。
の切り増し側の制限値θminは前輪の切り戻し側の制限
値θmaxよりも小さいので、第二の補正操舵角θbが前輪
の切り増し方向に大きい値に演算されることが確実に防
止され、従って例えば前輪のスリップ角が限界スリップ
角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合にも、
前輪の実舵角が切り増し方向に大きく増大され前輪のス
リップ角が更に増大することに起因して前輪の横力が更
に低下することを確実に防止することができる。
θlimu及びθlimlは基本的にθmin及び−θmaxとの組合
せとθmax及び−θminとの組合せとの間に切り替わるの
で、ステップ311〜313及びステップ326〜32
8の徐変演算が行われない場合には、車輌の旋回方向が
切り替わると制限値θlimu及びθlimlが段差的に変化
し、制限値θlimu及びθlimlの段差的変化に対応して第
二の補正操舵角θbが段差的に変化し、そのため車輌の
実舵角δも段差的に変化することに起因して車輌の安定
性が悪化すると共に車輌の乗員が異和感を感じる虞れが
ある。
ップ311〜313及びステップ326〜328の徐変
演算により制限値θlimu及びθlimlの大きさの増加率及
び減少率がそれぞれ増加率Δθp及び減少率Δθmに規制
されるので、図22に示されている如く、制限値θlimu
及びθlimlの大きさが段差的に変化することを確実に防
止することができ、これにより補正操舵により却って車
輌の安定性が悪化したり車輌の乗員が異和感を感じたり
することを確実に防止することができる。
よりも小さく、従って制限値θlimu及びθlimlの大きさ
の減少変化は制限値θlimu及びθlimlの大きさの増大変
化よりも穏やかであるので、第二の補正操舵角θbの大
きさが制限値θlimu又はθlimlにより規制されることに
よる減少変化も増大変化より穏やかであり、従って車輌
の旋回方向が切り替わった直後に補正操舵により車輌の
安定性が悪化されることを確実に防止することができ
る。
激な操舵が行われた場合に於ける操舵角θ、検出ヨーレ
ートγ、推定ヨーレートγh、補正操舵角θafsの変化の
一例を示している。図23のA部より解る如く、オブザ
ーバの演算により求められる推定ヨーレートγhはヨー
レートセンサ30により検出されるヨーレートγに比し
てノイズの影響が少ない。
バの演算により求められる推定ヨーレートγhはヨーレ
ートセンサ30により検出されるヨーレートγに比して
操舵角θに対する追従性がよい。尚図23のC部はオブ
ザーバの車輌モデルが実際の車輌に対しまだ十分に対応
しきれていないことを示しており、かかる部分の是正は
図23の如く実験的に得られるデータに基づき前述の各
式の定数等を修正することにより達成される。
ついて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の
実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであ
ろう。
推定ヨーレートγhは車輌モデルに基づくオブザーバの
演算によりステップ205〜245に従って演算される
ようになっているが、車輌の推定ヨーレートγhは運転
者の旋回操作量を検出するセンサであってヨーレートセ
ンサに比してノイズ等の影響を受け難いセンサの検出結
果に基づき演算される限り、当技術分野に於いて公知の
任意の態様にて演算されてよい。
255〜280に於いて第一の制御ゲインGaが推定ヨ
ーレートγhに基づく車輌の推定横加速度Gyhに基づき
演算されると共に、第二の制御ゲインGbが車輌の目標
ヨーレートγtと推定ヨーレートγhとの偏差Δγhに基
づき演算されるようになっているが、これらのゲインは
他の態様にて演算されてもよく、またそれらの一方又は
両方が定数に設定されてもよい。
が操舵輪であり、補正操舵は前輪についてのみ行われる
ようになっているが、本発明は四輪操舵装置を備えた車
輌に適用されてもよく、その場合には前輪及び後輪の両
方について補正操舵が行われるよう修正されてよい。
ステアリング装置はラック・アンド・ピニオン式の電動
式パワーステアリング装置16であり、補正操舵装置2
4はアッパシャフト20に対し相対的にロアシャフト2
2を回転させることにより補正操舵を行うようになって
いるが、前輪のステアリング装置及び補正操舵装置は当
技術分野に於いて公知の任意の構造のものであってよ
い。
項1の構成によれば、補正操舵角が目標ヨーレートと検
出されたヨーレートとの偏差に応じて演算される場合に
比して検出手段のノイズ等の影響の少ない補正操舵角を
演算することができ、これにより実質的にヨーレートを
検出する手段の異常に起因する悪影響を受けることなく
補正操舵を適切に行うことができる。
ヨーレートと推定ヨーレートとの偏差の大きさが第一の
基準値以下のときには補正量が0とされるので、検出さ
れたヨーレートがノイズ等の影響を受けることにより検
出ヨーレートと推定ヨーレートとの偏差の大きさが或る
大きさになっても、その大きさが第一の基準値以下であ
るときには補正量が0とされることにより推定ヨーレー
トが検出ヨーレートにより不必要にフィードバック制御
されることを回避することができ、これにより実質的に
検出ヨーレートのノイズ等に起因する悪影響を受けるこ
となく補正操舵を適切に行うことができる。
ートと推定ヨーレートとの偏差の大きさが第二の基準値
以上のときには補正量が所定値に制限されるので、例え
ばヨーレート検出手段に故障の如き異常が生じても、そ
の影響により補正量の大きさが過剰になることを確実に
防止することができ、これにより推定ヨーレートが検出
ヨーレートにより不適切にフィードバック制御されるこ
とを確実に防止することができる。
検出ヨーレートと推定ヨーレートとの偏差に基づく補正
量にて補正操舵角が補正され、補正後の補正操舵角に基
づき補正操舵が行われるので、かかる補正が行われない
場合に比して補正操舵角を適正な値に演算することがで
き、これによりヨーレートを検出する手段の異常に起因
する悪影響を受ける虞れを一層低減して補正操舵を更に
一層適切に行うことができる。
適用された本発明による車輌の操舵制御装置の一つの好
ましい実施形態を示す概略構成図である。
すゼネラルフローチャートである。
γt演算ルーチンを示すフローチャートである。
値μ演算ルーチンを示すフローチャートである。
γh演算ルーチンを示すフローチャートである。
及び第二の補正操舵角θb演算ルーチンを示すフローチ
ャートである。
制限ルーチンを示すフローチャートである。
チンを示すフローチャートである。
チンを示すフローチャートである。
算ルーチンを示すフローチャートである。
である。
値μのバイアス値μbiasとの関係を示すグラフである。
示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
偏差とフィードバック制御量γfbとの関係を示すグラフ
である。
atmpとの関係を示すグラフである。
pとの関係を示すグラフである。
グラフである。
の積と第一の補正操舵角θaとの関係を示すグラフであ
る。
しい車輌の実舵角δと車輌の実ヨーレートγとの関係を
示すグラフである。
bの制限値θlimu及びθlimlの変化の一例を示すグラフ
である。
行われた場合に於ける操舵角θ、検出ヨーレートγ、推
定ヨーレートγh、補正操舵角θafsの変化の一例を示す
グラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】車輌のヨーレートを検出する手段と、運転
者による旋回操作量に基づき車輌の推定ヨーレート及び
目標ヨーレートを演算する手段と、前記検出されたヨー
レートと前記推定ヨーレートとの偏差に基づく補正量に
て前記推定ヨーレートを補正する推定ヨーレート補正手
段と、前記目標ヨーレートと補正後の推定ヨーレートと
の偏差に応じて補正操舵角を演算する手段と、前記補正
操舵角に基づき補正操舵を行う手段とを有する車輌の操
舵制御装置。 - 【請求項2】前記推定ヨーレート補正手段は前記検出さ
れたヨーレートと前記推定ヨーレートとの偏差の大きさ
が第一の基準値以下のときには前記補正量を0とするこ
とを特徴とする請求項1に記載の車輌の操舵制御装置。 - 【請求項3】前記推定ヨーレート補正手段は前記検出さ
れたヨーレートと前記推定ヨーレートとの偏差の大きさ
が第二の基準値以上のときには前記補正量を所定値に制
限することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌の
操舵制御装置。 - 【請求項4】前記操舵制御装置は更に少なくとも前記検
出されたヨーレートと前記推定ヨーレートとの偏差に基
づく補正量にて前記補正操舵角を補正する補正操舵角補
正手段を含み、前記補正操舵を行う手段は補正後の補正
操舵角に基づき補正操舵を行うことを特徴とする請求項
1乃至3の何れかに記載の車輌の操舵制御装置。
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