JP3843804B2 - 車輌用自動操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌の操舵装置に係り、更に詳細には必要に応じて操舵輪を自動的に操舵する自動操舵装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平11−73597号公報に記載されている如く、走行車線に対する車輌の横ずれ量に基づき操舵用制御トルクを発生させて操舵輪を自動操舵し、これにより車輌が走行車線より逸脱することを防止する所謂レーンキープアシストを行う自動操舵装置であって、走行車線に対する車輌の横ずれ量について走行車線のカーブ状況に基づいて不感帯を設定し、車輌の横ずれ量が不感帯内であるときには操舵用制御トルクを0にし自動操舵を行なわないよう構成された自動操舵装置が従来より知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の先の提案にかかる自動操舵装置に於いては、不感帯は走行車線のカーブ状況に基づいて設定され、車輌のカーブ走行時に車輌の横ずれ量が不感帯内であるときにはレーンキープアシストの制御が行なわれないので、レーンキープアシストの制御による操舵反力がステアリングホイールに作用せず、レーンキープアシストの制御に起因して運転者が煩わしさを感じることを防止できるが、通常の直進走行時等に於いては走行車線に対する車輌の横ずれ量が僅かであってもレーンキープアシストの制御が実行されるので、その際の操舵反力が逐一ステアリングホイールに作用することに起因して運転者が煩わしさを感じるという問題がある。
【0004】
またかかる問題を解消すべく、通常の直進走行時等に於いても比較的広い不感帯を設定することが考えられるが、その場合には車輌の横ずれ量が比較的大きい値であってもそれが不感帯内である限りレーンキープアシストの制御が実行されなくなるため、レーンキープアシストの制御の有効性が低下し、そのためレーンキープアシストの制御が効果的に行われなくなるという問題がある。
【0005】
またこれらの問題を解消すべく、レーンキープアシストの制御自体の不感帯を広く設定することなく操舵用制御トルクの反力がステアリングホイールに与えられないようにすることが考えられるが、その場合には車輌の横ずれ量が大きくなりレーンキープアシストの制御が実行されても、操舵用制御トルクの反力が全くステアリングホイールに作用しないため、レーンキープアシストの制御が実行されていることを示す情報がステアリングホイールを介して運転者に全く伝達されず、そのため運転者が違和感や不安感を感じるという問題がある。
【0006】
本発明は、自動操舵装置に於ける如上の如き問題、特に走行車線に対する車輌の横ずれ量について走行車線のカーブ状況に基づいて不感帯を設定し、車輌の横ずれ量が不感帯内であるときには操舵用制御トルクを0にするよう構成された上述の従来の自動操舵装置に於ける如上の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、操舵輪に対する自動操舵量の大きさが小さいときには操舵輪の操舵量に対するステアリングホイールの回転若しくはトルクの比を低減することにより、自動操舵の有効性を損なうことなく、また運転者が自動操舵を認知できないことに起因して違和感や不安感を感じることを防止しつつ、自動操舵時にステアリングホイールが不必要に回転したりそのトルクが変動することに起因して運転者が煩わしさを感じることを防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ちステアリングホイールに対する運転者の操舵操作に依存せずに操舵輪を転舵する自動転舵手段と、前記操舵輪の目標転舵量を演算する目標転舵量演算手段と、前記目標転舵量に基づき前記自動操舵手段を制御し前記操舵輪を自動操舵する制御手段と、前記自動操舵による前記操舵輪の転舵状況に応じて前記ステアリングホイールに回転若しくはトルクを付与し運転者に前記自動操舵を認知させる認知手段とを有し、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには前記目標転舵量の大きさが基準値を越えるときに比して前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールの回転若しくはトルクの比を低減することを特徴とする車輌用自動操舵装置によって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには前記自動操舵による前記操舵輪の転舵状況に応じて前記ステアリングホイールに付与する回転若しくはトルクを0に低減するよう構成される(請求項2の構成)。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記認知手段は前記自動操舵による前記操舵輪の転舵速度の大きさが大きいほど前記基準値を小さく設定するよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記認知手段は車輌走行上の危険性を判定し、前記危険性が高いほど前記基準値を小さく設定するよう構成される(請求項4の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、前記自動操舵装置は前記自動操舵手段の一部として操舵系に組み込まれ前記ステアリングホイールに対し相対的に前記操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、前記認知手段の一部として操舵系に組み込まれ前記操舵輪の転舵を補助する補助転舵トルクを発生する補助転舵トルク発生手段とを有するセミステアバイワイヤ式の自動操舵装置であり、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが前記基準値以下であるときには前記補助転舵トルクを増大することにより前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールのトルクの比を低減するよう構成される(請求項5の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、前記自動操舵装置は前記自動操舵手段の一部として前記操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、前記認知手段の一部としてステアリングホイールに反力トルクを付与する反力トルク付与手段とを有するステアバイワイヤ式の自動操舵装置であり、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが前記基準値以下であるときには前記反力トルクを低減することにより前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールのトルクの比を低減するよう構成される(請求項6の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、前記転舵駆動手段はステアリング用ギヤ比可変装置であり、前記補助転舵トルク発生手段はパワーステアリング装置であるよう構成される(請求項7の構成)。
【0014】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには目標転舵量の大きさが基準値を越えるときに比して操舵輪の転舵量に対するステアリングホイールの回転若しくはトルクの比が低減されるので、自動操舵による操舵輪の転舵量の大きさが大きいときには、ステアリングホイールに確実に回転若しくはトルクを付与し、これにより運転者に自動操舵による操舵輪の転舵状況を確実に認知させることができ、また自動操舵による操舵輪の転舵量の大きさが小さいときにはステアリングホイールに不必要に回転若しくはトルクが付与されることを防止し、これにより自動操舵によりステアリングホイールが回転したりトルクが変動したりすることに起因して運転者が煩わしさを感じることを確実に防止することができる。
【0015】
また上記請求項1の構成によれば、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときに自動操舵自体が行われなくなる訳ではなく、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときにも自動操舵は実行されるので、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには自動操舵自体が実行されない構成の場合に比して、自動操舵の有効性を確保しつつ自動操舵に起因して運転者が煩わしさを感じることを効果的に防止することができる。
【0016】
また上記請求項2の構成によれば、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときにはステアリングホイールに付与する回転若しくはトルクが0に低減されるので、自動操舵による操舵輪の転舵量の大きさが小さい状況に於いて、運転者が自動操舵に起因して煩わしさを感じることを一層確実に防止することができる。
【0017】
また上記請求項3の構成によれば、自動操舵による操舵輪の転舵速度の大きさが大きいほど基準値が小さく設定されるので、自動操舵により速やかに操舵輪が転舵される場合には、操舵輪の転舵量の大きさが小さい領域に於いてもステアリングホイールに確実に回転若しくはトルクを付与し、これにより運転者に自動操舵の状況を確実に認知させることができ、逆に自動操舵によりゆっくりと操舵輪が転舵される場合には、操舵輪の転舵量の大きさが比較的大きい領域に於いてもステアリングホイールに不必要に回転若しくはトルクが付与されることを防止し、これにより運転者が自動操舵に起因して煩わしさを感じることを効果的に防止することができる。
【0018】
また上記請求項4の構成によれば、車輌走行上の危険性が判定され、該危険性が大きいほど基準値が小さく設定されるので、危険性が低い状況に於いては運転者が自動操舵に起因して煩わしさを感じることを効果的に防止することができると共に、危険性が高い状況に於いてはステアリングホイールに確実に回転若しくはトルクを付与し、これにより運転者に自動操舵の状況を確実に認知させ、運転者に危険回避動作を促すことができる。
【0019】
また上記請求項5の構成によれば、自動操舵装置は自動操舵手段の一部として操舵系に組み込まれステアリングホイールに対し相対的に操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、認知手段の一部として操舵系に組み込まれ操舵輪の転舵を補助する補助転舵トルクを発生する補助転舵トルク発生手段とを有するセミステアバイワイヤ式の自動操舵装置であるので、転舵駆動手段及び補助転舵トルク発生手段を有するセミステアバイワイヤ式の自動操舵装置が搭載された車輌に本発明を容易に適用することができ、また目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには補助転舵トルクを増大することにより操舵輪の転舵量に対するステアリングホイールのトルクの比が低減されるので、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときにはステアリングホイールに付与されるトルクを確実に低減し、これにより運転者が自動操舵に起因して煩わしさを感じることを確実に防止することができる。
【0020】
また上記請求項6の構成によれば、自動操舵装置は自動操舵手段の一部として操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、認知手段の一部としてステアリングホイールに反力トルクを付与する反力トルク付与手段とを有するステアバイワイヤ式の自動操舵装置であるので、転舵駆動手段及び反力トルク付与手段を有するステアバイワイヤ式の自動操舵装置が搭載された車輌に本発明を容易に適用することができ、また目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには反力トルクを低減することにより操舵輪の転舵量に対するステアリングホイールのトルクの比が低減されるので、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときにはステアリングホイールに付与されるトルクを確実に低減し、これにより運転者が自動操舵に起因して煩わしさを感じることを確実に防止することができる。
【0021】
また上記請求項7の構成によれば、転舵駆動手段はステアリング用ギヤ比可変装置であり、補助転舵トルク発生手段はパワーステアリング装置であるので、ステアリング用ギヤ比可変装置及びパワーステアリング装置を有する自動操舵装置が搭載された車輌に本発明を容易に適用することができる。
【0022】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、認知手段は目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには目標転舵量の大きさが小さいほど操舵輪の転舵量に対するステアリングホイールの回転若しくはトルクの比を小さくするよう構成される(好ましい態様1)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、認知手段は目標転舵量の大きさが第一の基準値以下であり且つ第一の基準値よりも小さい第二の基準値以上であるときには目標転舵量の大きさが第一の基準値を越えるときに比して操舵輪の転舵量に対するステアリングホイールの回転若しくはトルクの比を低減し、目標転舵量の大きさが第二の基準値未満であるときには自動操舵による操舵輪の転舵状況に応じてステアリングホイールに付与する回転若しくはトルクを0に低減するよう構成される(好ましい態様2)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、操舵輪の目標転舵量は前記車輌の実ヨーレートと車輌の目標ヨーレートとの偏差を低減するための目標転舵量であるよう構成される(好ましい態様3)。
【0025】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、操舵輪の目標転舵量は車輌を走行車線に沿って走行させるための目標転舵量であるよう構成される(好ましい態様4)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには少なくとも運転者によるステアリングホイールの回転操作位置に応じた反力トルクがステアリングホイールに付与されるよう構成される(好ましい態様5)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、目標転舵量演算手段は車輌前方の障害物を検出し、障害物を回避するための転舵量として操舵輪の目標転舵量を演算し、認知手段は目標転舵量演算手段により障害物が検出されたときには、車速が高く障害物までの距離が小さいほど危険性が高いと判定するよう構成される(好ましい態様6)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項7の構成に於いて、パワーステアリング装置は電動式パワーステアリング装置であるよう構成される(好ましい態様7)。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0030】
第一の実施形態
図1はギヤ比可変装置及び電動式パワーステアリング装置を備えたセミステアバイワイヤ式の車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【0031】
図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置16によりラックバー18及びタイロッド20L及び20Rを介して転舵される。
【0032】
ステアリングホイール14はアッパステアリングシャフト22A及びロアステアリングシャフト22Bによりステアリングギヤボックス24に駆動接続されており、アッパステアリングシャフト22Aとロアステアリングシャフト22Bとの間にはギヤ比可変装置26が介装されている。ロアステアリングシャフト22Bには歯車減速機構28によりパワーユニット30が駆動接続されており、パワーユニット30は電気モータ32を有している。
【0033】
かくしてラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置16、歯車減速機構28、パワーユニット30等は互いに共働して操舵アシスト力を発生することにより運転者による左右の前輪10FL及び10FRの操舵を補助する操舵アシスト機構を構成している。またギヤ比可変装置26は自動操舵時に左右の前輪を転舵する自動転舵手段として機能し、パワーユニット30等は自動操舵時に於けるギヤ比可変装置26による左右前輪の転舵を補助するための補助転舵トルクを発生する補助転舵トルク発生手段として機能する。
【0034】
また図には示されていないが、ギヤ比可変装置26はアッパステアリングシャフト22Aに対し相対的にロアステアリングシャフト22Bを回転駆動する電気モータを含む一般的な構成のものであり、運転者による通常の操舵時にはアッパステアリングシャフト22Aの回転角度に対するロアステアリングシャフト22Bの回転角度の比(単に可変ギヤ比という)を1:1に維持するが、自動操舵時には電気モータによりアッパステアリングシャフト22Aに対し相対的にロアステアリングシャフト22Bを積極的に回転させ、これにより運転者の操舵操作に依存せずに左右の前輪10FL及び10FRを自動操舵する。
【0035】
図示の第一の実施形態に於ては、アッパステアリングシャフト22Aには該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θsとして検出する操舵角センサ34及び操舵トルクTを検出するトルクセンサ36が設けられており、ロアステアリングシャフト22Bには該ロアステアリングシャフトの回転角度を左右前輪の実操舵角θaとして検出する操舵角センサ38が設けられており、これらのセンサの出力は電子制御装置40へ供給される。電子制御装置40には車速センサ42により検出された車速Vを示す信号及びヨーレートセンサ44により検出された車輌のヨーレートγを示す信号も入力される。
【0036】
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置40はCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また操舵角センサ34及び38、トルクセンサ36、ヨーレートセンサ44はそれぞれ車輌の左旋回方向への操舵の場合を正として操舵角θs及びθa、操舵トルクT、ヨーレートγを検出する。
【0037】
後述の如く、電子制御装置40は運転者による通常操舵時にはギヤ比可変装置26の可変ギヤ比を1:1に維持すると共に、操舵トルクT及び車速Vに応じてアシストトルクTaを演算し、アシストトルクTaに基づき電動式パワーステアリング装置16のパワーユニット30を制御することにより運転者の操舵負荷を軽減する操舵アシストを行う。
【0038】
また電子制御装置40は車輌の目標ヨーレートγtを演算すると共に、目標ヨーレートγtとヨーレートセンサ44により検出された車輌のヨーレートγとの偏差Δγを低減するための左右前輪の目標転舵量Δδtを演算し、目標転舵量Δδtに基づきギヤ比可変装置26の電気モータを制御することにより左右前輪の転舵量Δδが目標転舵量Δδtになるよう操舵し、これによりヨーレートの偏差Δγを低減して車輌の旋回時の安定性を向上させる。
【0039】
特に電子制御装置40は、上記自動操舵を実行するに際し、目標転舵量Δδtの大きさが基準値δoを越えているときには、操舵角θs及び車速Vに基づき目標反力トルクTtを演算すると共に、目標反力トルクTtと実際のトルクTとの偏差に基づきアシストトルクTaを演算し、アシストトルクTaに基づき電動式パワーステアリング装置16のパワーユニット30を制御することにより、自動操舵時には目標反力トルクTtに対応する反力をステアリングホイール14へ伝達させ、これにより自動操舵が実行されていることを示す情報を運転者に与える。
【0040】
これに対し電子制御装置40は、上記自動操舵を実行するに際し、目標転舵量Δδtの大きさが基準値δo以下であるときには、目標反力トルクTtと実際のトルクTとの偏差に加えてギヤ比可変装置26の電気モータの慣性等をも考慮して上記の場合に比して増大されたアシストトルクTaを演算し、該アシストトルクTaに基づき電動式パワーステアリング装置16のパワーユニット30を制御することにより、自動操舵の反力としてステアリングホイール14に与えられるトルクを低減し、これにより目標転舵量Δδtの大きさが基準値δoを越えている場合に比して、目標転舵量Δδtに対する自動操舵の反力トルクの比を低減する。
【0041】
更に電子制御装置40は、上記自動操舵の実行中には、自動操舵による左右前輪の転舵速度δdを演算し、左右前輪の転舵速度δdの絶対値が大きいほど基準値δoが小さくなるよう左右前輪の転舵速度δdの絶対値に応じて、換言すれば自動操舵による左右前輪の転舵の速さに応じて基準値δoを可変制御する。
【0042】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の第一の実施形態に於ける自動操舵制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0043】
まずステップ10に於いては操舵角θsを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては操舵角θsに基づき前輪の実舵角δが演算されると共に、Hを車輌のホイールベースとし、Khをスタビリティファクタとして下記の式1に従って車輌の目標ヨーレートγtが演算される。
γt=V・δ/(1+Kh・V2)H ……(1)
【0044】
ステップ30に於いては目標ヨーレートγtと検出ヨーレートγとの偏差Δγ(=γt−γ)が演算されると共に、ヨーレート偏差Δγに基づき図3に示されたグラフに対応するマップより前輪の目標転舵量Δδtが演算される。尚目標転舵量Δδtはヨーレート偏差Δγに比例する値として演算されてもよい。
【0045】
ステップ40に於いては車速V及び操舵角θsに基づき図4に示されたグラフに対応するマップよりステアリングホイール14に与えられるべき目標反力トルクTtが演算される。この場合図4より解る如く、同一の操舵角θsについて見て目標反力トルクTtの大きさは車速Vが高いほど大きくなるよう演算される。
【0046】
ステップ50に於いてはヨーレート偏差Δγの絶対値が基準値γo(正の定数)以上であるか否かの判別、即ちヨーレート偏差の大きさを低減するための自動操舵が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ140へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ50へ進む。尚基準値γoは車速Vが高いほど小さくなるよう、車速Vに応じて可変設定されてもよい。
【0047】
ステップ60に於ては例えば操舵角θaに基づき前輪の実舵角δが演算されると共に、実舵角δの時間微分値として転舵速度δdが演算され、ステップ70に於いては転舵速度δdの絶対値に基づき図5に示されたグラフに対応するマップより基準値δoが演算される。この場合図5より解る如く、基準値δoは転舵速度δdの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算される。
【0048】
ステップ80に於ては目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるか否かの判別、即ちアシストトルクを増大させることによって自動操舵の反力を低減する必要があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0049】
ステップ90に於てはK1及びK2をそれぞれ正の一定の係数とし、(Tt−T)′を(Tt−T)の微分値として、下記の式2に従って自動操舵時の通常のアシストトルクTaが演算される。
Ta=K1(Tt−T)+K2(Tt−T)′ ……(2)
【0050】
ステップ100に於てはIをギヤ比可変装置26の電気モータ等の慣性モーメントとし、Cをギヤ比可変装置26の減衰係数とし、αを電動式パワーステアリング装置16のギヤ比とし、θsd及びθstdをそれぞれ操舵角θsの微分値及び二階微分値として、下記の式3に従って自動操舵時の増大されたアシストトルクTaが演算される。尚下記の式3に於ける(Iθstd+Cθsd−αT)は主としてギヤ比可変装置26の電気モータの反力を補償するためのトルクである。
【0051】
ステップ120に於ては目標転舵量Δδtに基づきギヤ比可変装置26が制御されることにより、左右前輪の転舵量が目標転舵量Δδtになるよう左右前輪が転舵され、ステップ130に於てはアシストトルクTaが発生されるようパワーユニット30が制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0052】
ステップ150に於てはギヤ比可変装置26の可変ギヤ比が1:1に維持され、ステップ160に於ては操舵トルクTに基き図6に示されたグラフに対応するマップより基本アシストトルクTabが演算され、ステップ170に於ては車速Vに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算され、ステップ180に於ては車速係数Kvと基本アシストトルクTabとの積としてアシストトルクTaが演算され、ステップ190に於てはアシストトルクTaに対応する制御信号がモータ32へ出力され、これにより運転者に必要な操舵力を軽減するパワーアシストが実行される。
【0053】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20及び30に於いて車輌のヨーレートγを目標ヨーレートγtにして車輌を安定的に旋回させるための左右前輪の目標転舵量Δδtが演算されるが、ヨーレート偏差Δγが基準値γo未満であるときにはステップ50に於いて否定判別が行われ、ステップ150〜190が実行されることにより、自動操舵が行われることなく操舵アシストが行われ、これにより運転者の操舵負担が軽減される。
【0054】
これに対しヨーレート偏差Δγが基準値γo未満であるときにはステップ50に於いて肯定判別が行われ、ステップ60に於て前輪の実舵角δの時間微分値として自動操舵による左右前輪の転舵速度δdが演算され、ステップ70に於いて転舵速度δdの絶対値に基づき転舵速度δdの絶対値が大きいほど小さくなるよう基準値δoが演算される。
【0055】
そしてステップ80に於て目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるか否かの判別によりアシストトルクを増大させることによって自動操舵の反力を低減する必要があるか否かの判別が行われ、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δoを越えているときにはステップ80に於いて否定判別が行われることにより、ステップ90に於いて上記式2に従って通常のアシストトルクTaが演算され、ステップ120に於いて左右前輪の転舵量が目標転舵量Δδtになるよう左右前輪が転舵され、ステップ130に於てアシストトルクTaが発生されるようパワーユニット30が制御される。
【0056】
従って車輌のヨーレートγが目標ヨーレートγtになるよう自動操舵を実行することによって車輌を安定的に旋回させることができると共に、自動操舵の反力をステアリングホイール14に与え、これにより自動操舵が行われていることを示す情報を反力トルクとして確実に運転者に与えることができ、運転者に適正な操舵操作を行うことを積極的に促すことができる。
【0057】
これに対し目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときにはステップ80に於いて肯定判別が行われ、ステップ100に於いて上記式3に従って増大されたアシストトルクTaが演算されるので、車輌のヨーレートγが目標ヨーレートγtになるよう自動操舵を実行し車輌を安定的に旋回させることができると共に、不必要な操舵反力がステアリングホイール14に与えられることを抑制し、これにより運転者が不必要なステアリングホイールのトルク変動を感じることに起因して煩わしさを感じることを確実に防止することができる。
【0058】
特に図示の第一の実施形態によれば、ステップ60に於いて自動操舵による左右前輪の転舵速度δdが演算され、左右前輪の転舵速度δdの絶対値が大きいほど基準値δoが小さくなるよう左右前輪の転舵速度δdの絶対値に応じて基準値δoが可変設定されるので、自動操舵による左右前輪の転舵が比較的穏やかに行われるときには基準値δoを比較的大きい値に設定し、これにより運転者が不必要なステアリングホイールのトルク変動を感じることに起因して煩わしさを感じることを確実に防止することができ、逆に自動操舵による左右前輪の転舵が比較的速やかに行われるときには基準値δoを比較的小さい値に設定し、これにより自動操舵の反力を積極的にステアリングホイール14に与えて自動操舵が行われていることを運転者に確実に認知させることができ、運転者に適正な操舵操作を行うことを積極的に促すことができる。
【0059】
第二の実施形態
図8はステアバイワイヤ式の車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。尚図8に於いて図1に示された部材と実質的に同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0060】
この第二の実施形態に於いては、ステアリングホイール14に連結されたステアリングシャフト22及び電動式パワーステアリング装置16のピニオンシャフト46は相互に連結されておらず、ステアリングシャフト22は電気モータ48により図8には示されていない減速歯車機構を介してピニオンシャフト46とは完全に独立して回転駆動され、ピニオンシャフト46はステアリングシャフト22とは完全に独立してパワーユニット30により回転駆動される。
【0061】
また操舵角センサ34及びトルクセンサ36はそれぞれステアリングシャフト22について操舵角θs及び操舵トルクTを検出し、操舵角センサ38はピニオンシャフト46について操舵角θpを検出する。そして電子制御装置40は通常時には運転者の操舵操作による操舵角を示す操舵角θsに基づきパワーユニット30を制御することにより左右前輪の転舵を行い、その際に操舵角θs及び車速Vに基づき電気モータ48を制御してステアリングホイール14に操舵反力トルクを付与する。
【0062】
これに対し自動操舵時には、電子制御装置40は第一の実施形態の場合と同様目標転舵量Δδtに基づきパワーユニット30を制御することにより左右前輪を転舵して自動操舵を行い、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δoを越えるときには自動操舵の操舵角を示す操舵角θp及び車速Vに基づき電気モータ48を制御してステアリングホイール14に自動操舵の反力トルクを付与するが、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときには運転者の操舵操作による操舵角を示す操舵角θs及び車速Vに基づき電気モータ48を制御し、ステアリングホイール14に自動操舵の反力トルクを付与せず、運転者によるステアリングホイール14の操舵位置に応じた反力トルクを付与する。
【0063】
次に図9に示されたフローチャートを参照して図示の第二の実施形態に於ける自動操舵制御について説明する。尚図9に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。また図9に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0064】
この第二の実施形態に於いては、ステップ10〜80は第一の実施形態の場合と同様に実行されるが、ステップ50に於いて否定判別が行われたときには、即ちヨーレート偏差Δγの絶対値が基準値γo未満である旨の判別が行われたときにはステップ200に於いてステアリングホイール14の反力トルクTrが操舵角θs及び車速Vに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより演算され、しかる後ステップ230へ進む。
【0065】
またステップ80に於いて肯定判別が行われたときには、即ち目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下である旨の判別が行われたときにはステップ210へ進み、否定判別が行われたときにはステップ110に於いてステアリングホイール14の反力トルクTrが操舵角θp及び車速Vに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより演算され、ステップ120に於いて第一の実施形態の場合と同様に自動操舵が行われ、ステップ140に於いてステアリングホイール14に反力トルクTrが与えられるよう電気モータ48が制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0066】
更にステップ210に於いては上述のステップ200の場合と同様ステアリングホイール14の反力トルクTrが操舵角θs及び車速Vに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより演算され、ステップ220に於いては左右前輪の転舵量が目標転舵量Δδtになるよう左右前輪が転舵され、ステップ230に於ては反力トルクTrが発生されるよう電気モータ48が制御される。
【0067】
かくしてこの第二の実施形態によれば、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δoを越えているときにはステップ80に於いて否定判別が行われ、ステップ110〜140が実行されることにより操舵角θp及び車速Vに基づき自動操舵の反力トルクがステアリングホイール14に与えられるので、自動操舵が行われているときにはそのことを確実に運転者に認知させることができる。
【0068】
また目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときにはステップ80に於いて肯定判別が行われ、ステップ210〜230が実行されることにより、運転者により操舵操作が行われる場合と同様、ステアリングホイール14には運転者の操舵操作による操舵角θs及び車速Vに応じた反力トルクがステアリングホイール14に与えられるので、自動操舵の反力トルクがステアリングホイール14に与えられることを防止して運転者が煩わしさを感じることを確実に防止することができる。
【0069】
またこの第二の実施形態によれば、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときには操舵角θp及び車速Vに基づく自動操舵の反力トルクが0に設定されステアリングホイール14に反力トルクが全く与えられなる訳ではなく、操舵角θs及び車速Vに応じた反力トルクがステアリングホイール14に与えられるので、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下である状況に於いて運転者がステアリングホイール14より感じるトルクがなくなることに起因して運転者が違和感を覚えることを確実に防止することがてきる。
【0070】
尚この第二の実施形態に於いても左右前輪の転舵速度δdの絶対値が大きいほど基準値δoが小さくなるよう左右前輪の転舵速度δdの絶対値に応じて基準値δoが可変設定されるので、自動操舵による左右前輪の転舵が比較的穏やかに行われるときには基準値δoを比較的大きい値に設定し、これにより運転者が不必要なステアリングホイールのトルク変動を感じることに起因して煩わしさを感じることを確実に防止することができ、逆に自動操舵による左右前輪の転舵が比較的速やかに行われるときには基準値δoを比較的小さい値に設定し、これにより自動操舵の反力を積極的にステアリングホイール14に与えて自動操舵が行われていることを運転者に確実に認知させることができ、運転者に適正な操舵操作を行うことを積極的に促すことができる。
【0071】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0072】
例えば上述の第一の実施形態に於いては、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δoを越えているときにはアシストトルクTaが上記式2に従って演算され、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときにはアシストトルクTaが上記式3に従って演算されるようになっているが、K3を1よりも小さい正の係数として、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときにはアシストトルクTaが下記の式4に従って演算され、目標転舵量Δδtの絶対値が小さいほど係数K3が小さくなるよう修正されてもよい。
Ta=K3(Iθstd+Cθsd−αT)
+K1(Tt−T)+K2(Tt−T)′ ……(4)
【0073】
また目標転舵量Δδtの絶対値が第一の基準値δ1以下であり且つ第一の基準値δ1よりも小さい第二の基準値δ2以上であるときには目標転舵量Δδtの絶対値が小さいほど係数K3が小さくなるようアシストトルクTaが上記の式4に従って演算され、目標転舵量Δδtの絶対値が第二の基準値δ2未満であるときにはアシストトルクTaが上記式3に従って演算されるよう修正されてもよい。
【0074】
同様に上述の第二の実施形態に於いても、目標転舵量Δδtの絶対値が基準値δo以下であるときには、操舵角θs及び車速Vに応じた反力トルクと操舵角θp及び車速Vに基づく自動操舵の反力トルクとの和として反力トルクTrが演算され、目標転舵量Δδtの絶対値が小さいほど自動操舵の反力トルクの加算率が小さくなるよう修正されてもよい。
【0075】
また上述の第二の実施形態に於いても、目標転舵量Δδtの絶対値が第一の基準値δ1以下であり且つ第二の基準値δ2以上であるときには目標転舵量Δδtの絶対値が小さいほど自動操舵の反力トルクの加算率が小さくなるよう反力トルクTrが演算され、目標転舵量Δδtの絶対値が第二の基準値δ2未満であるときには反力トルクTrが操舵角θs及び車速Vに応じて演算されるよう修正されてもよい。
【0076】
また上述の各実施形態に於いては、操舵輪の目標転舵量は車輌の実ヨーレートと車輌の目標ヨーレートとの偏差を低減するための目標転舵量であるが、例えば前述の特開平11−73597号公報に記載されている如く、車輌を走行車線に沿って走行させるための目標転舵量や、例えば特開平10−31799号公報に記載されている如く、レーザレーダ等により車輌前方の障害物が検出される場合には、車輌前方の障害物を回避するための目標転舵量であってよく、更にはこれら以外の任意の目標転舵量であってもよい。
【0077】
また上述の各実施形態に於いては、基準値δoは転舵速度δdの絶対値が大きいほど小さくなるよう転舵速度δdの絶対値に応じて可変設定されるようになっているが、例えばレーザレーダ等により車輌前方の障害物が検出される場合には、車輌前方に障害物が検出された状況に於ける車速Vが高いほど、また障害物までの距離が小さいほど、即ち車輌走行上の危険性が高いほど基準値δoが小さくなるよう、転舵速度δdの絶対値及び車輌走行上の危険性に応じて可変設定されてもよい。
【0078】
また上述の如く基準値δoが車輌走行上の危険性にも応じて可変設定される場合には、車輌走行上の危険性は車輌前方の障害物に限定されるものではなく、車輌の旋回挙動の不安定度合、例えば本願出願人の出願にかかる特開平9−3391号公報に記載されている如く、車輌のスピンの程度を示すスピンバリュー(スピン状態量)や車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトバリュー(ドリフトアウト状態量)が高いほど危険性が高いと判定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ギヤ比可変装置及び電動式パワーステアリング装置を備えたセミステアバイワイヤ式の車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態に於ける自動操舵制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】ヨーレート偏差Δγと左右前輪の目標転舵量Δδtとの間の関係を示すグラフである。
【図4】操舵角θsと目標反力トルクTtとの間の関係を示すグラフである。
【図5】転舵速度δdの絶対値と基準値δoとの間の関係を示すグラフである。
【図6】操舵トルクTと基本アシストトルクTabとの間の関係を示すグラフである。
【図7】車速Vと車速係数Kvとの間の関係を示すグラフである。
【図8】ステアバイワイヤ式の車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。
【図9】第二の実施形態に於ける自動操舵制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】操舵角θs及びθpと反力トルクTrとの間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪
16…電動式パワーステアリング装置
22…ステアリングシャフト
22A…アッパステアリングシャフト
22B…ロアステアリングシャフト
26…ギヤ比可変装置
30…パワーユニット
34、38…操舵角センサ
36…トルクセンサ
40…電子制御装置
42…車速センサ
44…ヨーレートセンサ
46…ピニオンシャフト
48…操舵角センサ
Claims (7)
- ステアリングホイールに対する運転者の操舵操作に依存せずに操舵輪を転舵する自動転舵手段と、前記操舵輪の目標転舵量を演算する目標転舵量演算手段と、前記目標転舵量に基づき前記自動操舵手段を制御し前記操舵輪を自動操舵する制御手段と、前記自動操舵による前記操舵輪の転舵状況に応じて前記ステアリングホイールに回転若しくはトルクを付与し運転者に前記自動操舵を認知させる認知手段とを有し、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには前記目標転舵量の大きさが基準値を越えるときに比して前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールの回転若しくはトルクの比を低減することを特徴とする車輌用自動操舵装置。
- 前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが基準値以下であるときには前記自動操舵による前記操舵輪の転舵状況に応じて前記ステアリングホイールに付与する回転若しくはトルクを0に低減することを特徴とする請求項1に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記認知手段は前記自動操舵による前記操舵輪の転舵速度の大きさが大きいほど前記基準値を小さく設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記認知手段は車輌走行上の危険性を判定し、前記危険性が高いほど前記基準値を小さく設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記自動操舵装置は前記自動操舵手段の一部として操舵系に組み込まれ前記ステアリングホイールに対し相対的に前記操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、前記認知手段の一部として操舵系に組み込まれ前記操舵輪の転舵を補助する補助転舵トルクを発生する補助転舵トルク発生手段とを有するセミステアバイワイヤ式の自動操舵装置であり、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが前記基準値以下であるときには前記補助転舵トルクを増大することにより前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールのトルクの比を低減することを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記自動操舵装置は前記自動操舵手段の一部として前記操舵輪を転舵駆動する転舵駆動手段と、前記認知手段の一部としてステアリングホイールに反力トルクを付与する反力トルク付与手段とを有するステアバイワイヤ式の自動操舵装置であり、前記認知手段は前記目標転舵量の大きさが前記基準値以下であるときには前記反力トルクを低減することにより前記操舵輪の転舵量に対する前記ステアリングホイールのトルクの比を低減することを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記転舵駆動手段はステアリング用ギヤ比可変装置であり、前記補助転舵トルク発生手段はパワーステアリング装置であることを特徴とする請求項5に記載の車輌用自動操舵装置。
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