JP3591421B2 - 車輌用自動操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌の操舵装置に係り、更に詳細には操舵輪を自動的に操舵する自動操舵装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の自動操舵装置は従来より知られており、例えば特開平4−55168号公報に記載されている如く、自動操舵装置は一般に、操舵輪を操舵する操舵手段と、実操舵角を検出する手段と、例えば車輌の現在位置及び車輌の目標停止位置に基づき目標操舵角を演算する手段と、目標操舵角と実操舵角との偏差に基づく目標操舵トルクにて操舵手段により操舵輪を操舵する制御手段とを有している。
【0003】
かかる自動操舵装置によれば、例えば車庫入れ等に於いて実操舵角が目標操舵角になるよう操舵輪が自動的に操舵されるので、運転者の煩わしい運転操作を要することなく駐車位置の如き所望の停止位置に車輌を自動的に誘導し停止させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、操舵輪の操舵は操舵輪タイヤの操舵運動に対するタイヤと路面との間の抵抗に打ち勝つ操舵トルクを操舵輪に与えることにより行われるが、タイヤと路面との間の抵抗は操舵輪タイヤの操舵運動に伴うタイヤと路面との間の摩擦力により変化し、この摩擦力は路面及びタイヤの性状や車速等により変化するため、例えば車速が低く且つ据え切りや前進後退が繰り返し行われる車庫入れの如き特殊な運転状況や摩擦係数が低い路面を走行するような状況に於いては、必要な操舵トルクに対するタイヤと路面との摩擦の影響が車輌の通常走行時に比して極めて高く、そのため目標操舵角と実操舵角との偏差に基づくフィードバック制御(目標操舵角追従制御)が行われる上述の如き従来の自動操舵装置には、以下の如き問題がある。
【0005】
例えば通常路面での車庫入れ制御の終期の如く操舵に対するタイヤと路面との間の抵抗が大きく且つ実操舵角が目標操舵角に近い状況に於いては、目標操舵角と実操舵角との偏差が小さいので、操舵に対するタイヤと路面との間の抵抗に比してフィードバック制御量が相対的に小さくなり、そのため目標操舵角への実操舵角の到達が遅くなったり、自動操舵のトルクがタイヤと路面との間の抵抗に打ち勝つことができないことに起因して実操舵角を目標操舵角に制御することができない場合がある。
【0006】
また上述の問題を解消すべくフィードバック制御のゲインが高く設定されると、例えば低摩擦係数路面での自動操舵制御の初期の如く操舵に対するタイヤと路面との間の抵抗が小さく且つ実操舵角が目標操舵角とは大きく異なる状況に於いて、フィードバック制御量が大きい値になり、そのため自動操舵の操舵角速度が過大になることに起因する車輌の挙動やステアリングホイールの動きに対して運転者が違和感を感じることがあり、また路面の摩擦係数が非常に小さい状況に於いて操舵角の変化が急激過ぎることに起因して過剰操舵や操舵制御のハンチングが生じ易くなる。
【0007】
本発明は、目標操舵角と実操舵角との偏差に基づくフィードバック制御が行われるよう構成された従来の自動操舵装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、適正な操舵角速度にて自動操舵を実行することにより、自動操舵の操舵角速度に過不足が生じたり自動操舵が行われなくなることを防止し、路面状況や車輌の状態に拘わらず常に適正な自動操舵を可能ならしめることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ちに操舵輪を操舵する操舵手段と、実操舵角を求める手段と、目標操舵角を設定する手段と、実操舵角が前記目標操舵角に対し所望の関係になるよう前記操舵手段により所定の操舵角速度にて前記操舵輪を操舵する制御手段とを有することを特徴とする車輌用自動操舵装置よって達成される。
【0009】
上記請求項1の構成によれば、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になるよう操舵手段により所定の操舵角速度にて操舵輪が操舵されるので、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係にない限り操舵輪は路面状況や車輌の状態に拘わらず必ず所定の操舵角速度にて操舵され、これにより自動操舵の操舵角速度に過不足が生じたり、制御量不足に起因して自動操舵が行われず実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係にならなくなることが防止される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制御手段は操舵に対する前記操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす路面状態を検出する手段と、検出された路面状態に応じて前記所定の操舵角速度を変更する第一の操舵角速度変更手段とを有するよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
請求項2の構成によれば、操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす路面状態が検出され、検出された路面状態に応じて所定の操舵角速度が変更されるので、路面状態に拘わらず所定の操舵角速度が一定である場合に比して操舵輪は確実に路面状態に応じた適正な操舵角速度にて操舵される。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制御手段は操舵に対する前記操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす車輌状態を検出する手段と、検出された車輌状態に応じて前記所定の操舵角速度を変更する第二の操舵角速度変更手段とを有するよう構成される(請求項3の構成)。
【0013】
請求項3の構成によれば、操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす車輌状態が検出され、検出された車輌状態に応じて所定の操舵角速度が変更されるので、車輌状態に拘わらず所定の操舵角速度が一定である場合に比して操舵輪は確実に車輌状態に応じた適正な操舵角速度にて操舵される。
【0014】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、前記制御手段は実操舵角が前記目標操舵角に対し所望の関係になると前記所定の操舵角速度を0に設定するよう構成される(請求項4の構成)。
【0015】
請求項4の構成によれば、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になると所定の操舵角速度が0に設定されるので、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になった段階で操舵輪は操舵されなくなり、これにより操舵輪は実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になるよう制御される。
【0016】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、制御手段は実操舵角に基づき実操舵角速度を演算する手段を含み、実操舵角速度が所定の操舵角速度になるよう操舵輪を操舵するよう構成される(好ましい態様1)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、制御手段は実操舵角速度と所定の操舵角速度との偏差に基づき実操舵角速度をフィードバック制御するよう構成される(好ましい態様2)。
【0018】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、所望の関係は実操舵角が実質的に目標操舵角と同一の関係であるよう構成される(好ましい態様3)。
【0019】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、所定の操舵角速度は少なくとも実操舵角と目標操舵角との偏差の大きさが基準値以上の範囲に於いては実質的に一定であるよう構成される(好ましい態様4)。
【0020】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様4の構成に於いて、所定の操舵角速度は少なくとも実操舵角と目標操舵角との偏差の大きさが基準値よりも小さい範囲に於いて前記偏差の大きさの減少につれて所定の操舵角速度の大きさが漸次小さくなるよう前記偏差に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様5)。
【0021】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、第一の操舵角速度変更手段は路面状態に基づき推定される操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗が小さいほど大きさが小さくなるよう所定の操舵角速度を変更するよう構成される(好ましい態様6)。
【0022】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は好ましい態様6の構成に於いて、路面状態は操舵輪に対する路面の摩擦係数であるよう構成される(好ましい態様7)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、第二の操舵角速度変更手段は車輌状態に基づき推定される操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗が小さいほど大きさが小さくなるよう所定の操舵角速度を変更するよう構成される(好ましい態様8)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は好ましい態様6の構成に於いて、車輌状態は車速を含むよう構成される(好ましい態様9)。
【0025】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様4又は5の構成に於いて、基準値は操舵輪に対する路面の摩擦係数が低いほど大きくなるよう操舵輪に対する路面の摩擦係数に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様10)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様4又は5の構成に於いて、基準値は車速が低いほど小さくなるよう車速に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様11)。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は電動式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【0029】
図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置16によりラックバー18及びタイロッド20L及び20Rを介して操舵される。
【0030】
ステアリングホイール14はステアリングシャフト22によりステアリングギヤボックス24に接続されており、ステアリングシャフト22には歯車減速機構26によりパワーユニット28が駆動接続されている。パワーユニット28はモータ30と、歯車減速機構26とモータ30とを選択的に駆動接続する電磁クラッチ32とを有している。
【0031】
図示の実施形態に於ては、ステアリングシャフト22には操舵角θsを検出する操舵角センサ34及び操舵トルクTを検出するトルクセンサ36が設けられており、これらのセンサの出力は電子制御装置38へ供給されるようになっている。また電子制御装置38には車速センサ40により検出された車速Vを示す信号、摩擦係数センサ42より路面の摩擦係数μを示す信号及び自動操舵スイッチ(SW)44より該スイッチがオン状態にあるか否かを示す信号も入力されるようになっている。
【0032】
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置38は中央処理ユニット(CPU)とリードオンリメモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(RAM)と入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また操舵角センサ34及びトルクセンサ36はそれぞれ車輌の左旋回方向への操舵の場合を正として操舵角θs及び操舵トルクTを検出する。更に摩擦係数センサ42は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて操舵輪のタイヤと路面との間の摩擦係数μを検出するものであってよい。
【0033】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける自動操舵制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0034】
まずステップ10に於いては操舵角θsを示す信号等の読み込みが行われる。尚制御の開始時にはステップ10に先立ち電磁クラッチ32へ制御信号が出力されることによりクラッチが接続される。
【0035】
ステップ20に於いては自動操舵スイッチ44がオン状態にあるか否かの判別、即ち運転者が自動操舵を望んでいるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進み、否定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0036】
ステップ30に於ては操舵トルクTに基き図4に示されたグラフに対応するマップより基本アシスト量Tabが演算され、ステップ40に於ては車速Vに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算され、ステップ50に於ては車速係数Kvと基本アシスト量Tabとの積としてアシストトルクTaが演算され、ステップ60に於てはアシストトルクTaに対応する制御信号がモータ30へ出力され、これにより運転者に必要な操舵力を軽減するパワーアシストが実行され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0037】
ステップ70に於いては例えば本願出願人の出願にかかる出願公開前の特願平10−293159号明細書及び図面に記載されている如き駐車支援装置に於ける如く目標操舵角θtが演算され、ステップ80に於いては操舵角θsに基づき左右前輪の実操舵角θが演算されると共に、下記の式1に従って目標操舵角θtと実操舵角θとの偏差として操舵角偏差Δθが演算される。尚目標操舵角θtの演算自体は本発明の要旨をなものではなく、目標操舵角θtは自動操舵の目的に応じて当技術分野に於いて公知の任意の要領にて演算されてよい。
Δθ=θt−θ ……(1)
【0038】
ステップ90に於いては路面の摩擦係数μに基づき図3に示されたグラフに対応するマップが選択され、ステップ100に於いては操舵角偏差Δθに基づきステップ90に於いて選択されたマップより所定の操舵角速度としての目標操舵角速度θvtが演算される。尚ステップ90に於いては、図3に示されている如く、路面の摩擦係数μが低いほど目標操舵角速度θvtの大きさが漸次小さくなるようマップが選択される。
【0039】
また目標操舵角速度θvtは、図3に示されている如く、操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθo以上の範囲に於いては一定(最大値目標操舵角速度θvtm)であり、操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθoよりも小さい範囲に於いては操舵角偏差Δθの大きさが小さいほど小さく、操舵角偏差Δθが0であるときには0であるよう設定される。
【0040】
ステップ110に於いては車速Vが高いほど大きさが小さくなるよう車速Vに基づき目標操舵角速度θvtが補正され、ステップ120に於いては例えば実操舵角θの時間微分値として実操舵角速度θvが演算され、ステップ130に於いては下記の式2に従って目標操舵角速度θvtと実操舵角速度θvとの偏差として操舵角速度偏差Δθvが演算される。
Δθv=θvt−θv ……(2)
【0041】
ステップ140に於いては操舵角速度偏差Δθvに基づき該操舵角速度偏差を0にするための目標操舵トルクTsが演算され、ステップ150に於いては目標操舵トルクTsに基づき該目標操舵トルクに対応する操舵トルクを発生するに必要な目標モータ駆動電流Imtが演算され、該目標モータ駆動電流に対応する駆動電流がモータ30へ出力され、これにより自動操舵が実行され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0042】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いて自動操舵スイッチ44がオン状態にあり、運転者が自動操舵を望んでいる旨の判別が行われると、ステップ70に於いて目標操舵角θtが演算され、ステップ80に於いて目標操舵角θtと実操舵角θとの偏差Δθが演算される。
【0043】
そしてステップ90〜110に於いて操舵角偏差Δθ、路面の摩擦係数μ、車速Vに応じて操舵角偏差Δθを0にするための最適の目標操舵角速度θvtが演算され、ステップ120〜150に於いて目標操舵角速度θvtに対応する操舵角速度にて左右の前輪10FL及び10FRが操舵されることにより実操舵角θが目標操舵角θtに制御される。
【0044】
従って図示の実施形態によれば、目標操舵角速度θvtが操舵角偏差Δθに応じて設定され、操舵角偏差Δθが0でない限り左右の前輪10FL及び10FRは必ず目標操舵角速度θvtに対応する所定の操舵角速度にて操舵されるので、操舵に対する左右の前輪タイヤと路面との間の抵抗の如何に拘わらず操舵角速度が過剰になったり過剰に不足したりすることなく適正な操舵速度にて左右前輪を操舵しそれらの実操舵角を目標操舵角に制御することができる。
【0045】
例えば通常路面での車庫入れ制御の終期の如く操舵に対するタイヤと路面との間の抵抗が大きく且つ実操舵角θが目標操舵角θtに近い状況に於いて、目標操舵角への実操舵角の到達が遅くなったり、自動操舵のトルクがタイヤと路面との間の抵抗に打ち勝つことができないことに起因して実操舵角を目標操舵角に制御することができなくなることを確実に防止することができる。
【0046】
また例えば低摩擦係数路面での自動操舵制御の初期の如く操舵に対するタイヤと路面との間の抵抗が小さく且つ実操舵角θが目標操舵角θtとは大きく異なる状況に於いて、自動操舵の操舵角速度θvが過大になることに起因して運転者が違和感を感じることを防止し、また路面の摩擦係数が非常に小さい状況に於いて操舵角の変化が急激過ぎることに起因するステアリングホイールの動きの違和感や過剰操舵や操舵制御のハンチングが生じることを効果的に防止することができる。
【0047】
特に図示の実施形態によれば、目標操舵角速度θvtは路面の摩擦係数μが低いほど大きさが小さくなるよう設定されるので、路面の摩擦係数μに応じて目標操舵角速度θvtを最適に可変設定することができ、これにより摩擦係数の高い路面に於ける自動操舵を効率的に行いつつ、摩擦係数の高い路面に於ける過剰の実操舵角変化及びこれに起因するステアリングホイールの動きの違和感や過剰操舵や操舵制御のハンチングを一層効果的に防止することができる。
【0048】
また図示の実施形態によれば、目標操舵角速度θvtは操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθo以上の範囲に於いては、操舵角偏差Δθの大きさに拘わらず一定に設定されるので、操舵角偏差Δθの大きさが大きい領域に於いて実操舵角の変化が過大になることを確実に防止することができる。
【0049】
また図示の実施形態によれば、目標操舵角速度θvtは操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθoよりも小さい範囲に於いては、操舵角偏差Δθの大きさが小さいほど大きさが小さくなるよう設定されるので、操舵角偏差Δθの大きさが小さくなるにつれて実操舵角の変化が穏やかになり、従って操舵角偏差Δθの大きさに拘わらず目標操舵角速度θvtが一定である場合に比して、操舵角偏差Δθの大きさが小さい領域に於ける操舵速度を好ましい速度に制御することができる。
【0050】
また図示の実施形態によれば、目標操舵角速度θvtは車速Vが高いほど大きさが小さくなるよう設定されるので、車速Vが高いほど実操舵角の変化が穏やかになり、従って車速に拘わらず目標操舵角速度θvtが一定である場合に比して、低車速域に於ける効率的な自動操舵を確保しつつ高車速域に於ける実操舵角の急激な変化を防止して車輌の安定性を向上させることができる。
【0051】
また図示の実施形態によれば、操舵角速度θvは目標操舵角速度θvtと実操舵角速度θvとの偏差Δθvに基づき該偏差が0になるようフィードバック制御されるので、操舵角速度θvを確実に目標操舵角速度θvtに制御することができ、また操舵角偏差Δθの大きさが0のときに目標操舵角速度θvtが0に設定され、実操舵角θが目標操舵角θtになるよう制御されることと併せて、二重のフィードバックループにて実操舵角θを目標操舵角θtに制御することができる。
【0052】
また図示の実施形態によれば、自動操舵のためのトルクの付与は車輌の通常走行時に於ける運転者の操舵負担を軽減するパワーアシストを行う電動式パワーステアリング装置16により達成されるので、電動式パワーステアリング装置16を有効に利用して自動操舵を実現することができる。
【0053】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0054】
例えば上述の実施形態に於いては、目標操舵角速度θvtは操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθo以上の範囲に於いては一定値θvtmであり、操舵角偏差Δθの大きさが基準値Δθoよりも小さい範囲に於いては操舵角偏差Δθの大きさに比例する値に設定されるようになっているが、それぞれ図6乃至図8に示されている如く第二乃至第四の例の何れかに従って設定されてもよい。
【0055】
また上述の実施形態に於いては、ステップ90に於いて路面の摩擦係数μに基づき目標操舵角速度θvtを演算するためのマップが選択されるようになっているが、例えば図9に第五の例として示されている如く、車速Vが高いほど大きさが小さくなるようステップ90に対応するステップに於いて車速Vに基づき目標操舵角速度θvtを演算するためのマップが選択され、ステップ110に対応するステップに於いて路面の摩擦係数μが低いほど目標操舵角速度θvtの大きさが漸次小さくなるよう補正されてもよい。
【0056】
同様に、目標操舵角速度θvtは、路面の摩擦係数μが低いほど目標操舵角速度θvtの大きさが漸次小さくなり且つ車速Vが高いほど大きさが小さくなるよう、ステップ90に対応するステップに於いて路面の摩擦係数μ及び車速Vに基づき目標操舵角速度θvtを演算するためのマップが選択され、ステップ110に対応するステップが省略されてもよく、更にはステップ90に対応するステップに於いて図3の実線にて示されたグラフに対応するマップより目標操舵角速度θvtが演算され、ステップ110に対応するステップに於いて目標操舵角速度θvtの大きさが漸次小さくなり且つ車速Vが高いほど大きさが小さくなるよう目標操舵角速度θvtが補正されてもよい。
【0057】
また上述の実施形態に於いては、目標操舵角速度θvtは、操舵角偏差Δθの大きさが増大過程にあるか減少過程かに拘わらず操舵角偏差Δθの大きさに応じて一義的に設定されるようになっているが、操舵角偏差Δθの大きさが同一であっても操舵角偏差Δθの大きさが増大過程にあるか減少過程かに応じて異なる値に設定されるよう修正されてもよい。
【0058】
また上述の実施形態に於いては、操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす車輌状態として車速Vが選択され、目標操舵角速度θvtが車速Vに応じて補正されるようになっているが、操舵に対する操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす車輌状態として車速に加えて車輌の積載荷重等が選択され、目標操舵角速度θvtはこれらに基づき操舵輪の支持荷重が低いほど大きさが漸次小さくなるよう可変設定されてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係にない限り路面状況や車輌の状態に拘わらず操舵輪を必ず所定の操舵角速度にて操舵し、これにより自動操舵の操舵角速度が過剰になったり遅すぎたりすることを確実に防止することができ、また制御量不足に起因して自動操舵が行われず実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係にならなくなることを確実に防止することができる。
【0060】
また請求項2の構成によれば、確実に路面状態に応じた適正な操舵角速度にて操舵輪を操舵することができ、請求項3の構成によれば、確実に車輌面状態に応じた適正な操舵角速度にて操舵輪を操舵することができ、請求項4の構成によれば、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になった段階で操舵輪は操舵されなくなるので、実操舵角が目標操舵角に対し所望の関係になるよう操舵輪の操舵を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌用自動操舵装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける自動操舵制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】操舵角偏差Δθと目標操舵角速度θvtとの間の関係を示すグラフである。
【図4】操舵トルクTと基本アシスト量Tabとの間の関係を示すグラフである。
【図5】車速Vと車速係数Kvとの間の関係を示すグラフである。
【図6】操舵角偏差Δθと目標操舵角速度θvtとの間の関係の第二の例を示すグラフである。
【図7】操舵角偏差Δθと目標操舵角速度θvtとの間の関係の第三の例を示すグラフである。
【図8】操舵角偏差Δθと目標操舵角速度θvtとの間の関係の第四の例を示すグラフである。
【図9】操舵角偏差Δθと目標操舵角速度θvtとの間の関係の第五の例を示すグラフである。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪
16…電動式パワーステアリング装置
28…パワーユニット
34…操舵角センサ
36…トルクセンサ
38…電子制御装置
40…車速センサ
42…摩擦係数センサ
44…自動操舵スイッチ
Claims (4)
- 操舵輪を操舵する操舵手段と、実操舵角を求める手段と、目標操舵角を設定する手段と、実操舵角が前記目標操舵角に対し所望の関係になるよう前記操舵手段により所定の操舵角速度にて前記操舵輪を操舵する制御手段とを有することを特徴とする車輌用自動操舵装置。
- 前記制御手段は操舵に対する前記操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす路面状態を検出する手段と、検出された路面状態に応じて前記所定の操舵角速度を変更する第一の操舵角速度変更手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記制御手段は操舵に対する前記操舵輪と路面との間の抵抗に影響を及ぼす車輌状態を検出する手段と、検出された車輌状態に応じて前記所定の操舵角速度を変更する第二の操舵角速度変更手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の車輌用自動操舵装置。
- 前記制御手段は実操舵角が前記目標操舵角に対し所望の関係になると前記所定の操舵角速度を0に設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車輌用自動操舵装置。
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