JPH1044954A - 車両の旋回制御装置 - Google Patents

車両の旋回制御装置

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JPH1044954A
JPH1044954A JP8207281A JP20728196A JPH1044954A JP H1044954 A JPH1044954 A JP H1044954A JP 8207281 A JP8207281 A JP 8207281A JP 20728196 A JP20728196 A JP 20728196A JP H1044954 A JPH1044954 A JP H1044954A
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wheel
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回制御をより適正に実施可能な車両の旋回
制御装置を提供する。 【解決手段】 旋回制御装置は、車速Vと操舵角δとに
基づき車両に作用する基準ヨーレイトγtを演算する基
準ヨーレイト演算手段(102)、車両に作用する実ヨーレ
イトγを検出するヨーレイト検出手段(30)、車両状態量
(GY)に基づき推定ヨーレイトγgyを演算する推定ヨ
ーレイト演算手段(116)、車両に設けられた複数の車輪
に独立に制動力を付与可能な制動手段(HU,CVU)
を備えており、さらに、基準ヨーレイトγtと実ヨーレ
イトγとに基づいて対応する車輪に制動力を与え車両の
旋回制御を行う制御手段(104,108,112)、及び、実ヨー
レイトと推定ヨーレイトとの偏差に基づき制御手段によ
る旋回制御を中止する制御中止手段(110,118)を備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の旋回制御
装置に係り、より詳しくはヨーレイト検出手段により検
出されるヨーレイト情報を用いて旋回制御を行う車両の
旋回制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】車両の旋回走行中においては、車
両のステアリング特性や車速等に応じて車両がアンダス
テア状態になったり、また、オーバステア状態になった
りする。このように、車両がアンダステア状態或いはオ
ーバステア状態のままに旋回走行を継続すると、アンダ
ステア状態の場合にあっては車両がドリフトアウトし、
一方、オーバステア状態の場合にあっては車両がスピン
する虞がある。
【0003】そこで、車両の旋回走行中において、車両
に作用するヨーモーメントのヨー角速度、即ち実ヨーレ
イトをヨーレイトセンサ等のヨーレイト検出手段により
検出し、この実ヨーレイトを車速や操舵角から求まる基
準ヨーレイトと比較することで、車両が適正な旋回状態
となるよう車輪の制動制御を行い車両姿勢を修正する旋
回制御装置が開発され、実用化されている。
【0004】ところで、通常このような旋回制御装置に
使用されるヨーレイトセンサは、ジャイロ機構等を含ん
でおり、故に、精密で且つその感度が高いものとされて
いる。このことから、ヨーレイトセンサは、振動の激し
い車両上では故障等の発生する可能性が高く、異常作動
する虞がある。これを解決すべく、ヨーレイトセンサの
他に車両のヨーレイトを検出する手段、例えば、各車輪
速に基づいてヨーレイトを擬似的に求める手段を併せて
設け、この擬似ヨーレイトとヨーレイトセンサからの実
ヨーレイトとを比較することでヨーレイトセンサの異常
を検出し、これに応じて運動制御(旋回制御)を停止処
理する構成の制御装置が特開平4−133825号公報
等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
開示されている制御装置では、ヨーレイトセンサの故
障、断線等のヨーレイトセンサの異常については検出で
きるが、ヨーレイトセンサが正常でありながら、旋回制
御が誤って作動するような状況に対しては、対処できる
ような構成とはなっていない。
【0006】通常、実ヨーレイトと基準ヨーレイトとの
比較により旋回制御を行うような上記旋回制御装置にあ
っては、車速と操舵角とから求まる上記基準ヨーレイト
は、平地走行時の車両の運動モデルに対応したものとさ
れている。従って、例えば、走行路面の傾斜により車両
が横に傾いた状態でバンク走行しているような状況で
は、正しい基準ヨーレイトが得られず、故に、このよう
な状況で旋回制御が行われると、誤った旋回制御が実施
されてしまう虞がある。
【0007】つまり、上記旋回制御装置に対して上記公
報に開示された制御を付加したとしても、ヨーレイトセ
ンサの異常は検出できるものの、旋回制御の誤制御、つ
まり不正確な制御までは抑制できないのである。故に上
記公報に開示された技術では、制御の正確さに欠け、実
用上好ましいものではない。本発明は、上述した事情に
基づいてなされたもので、その目的とするところは、旋
回制御をより適正に実施可能な車両の旋回制御装置を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、車両の走行時、車速と操舵角
とに基づき車両に作用する基準ヨーレイトを演算する基
準ヨーレイト演算手段と、車両に作用する実ヨーレイト
を検出するヨーレイト検出手段と、車両状態量に基づき
推定ヨーレイトを演算する推定ヨーレイト演算手段と、
車両に設けられた複数の車輪に独立に制動力を付与可能
な制動手段と、前記基準ヨーレイトと前記実ヨーレイト
とに基づき、前記複数の車輪のうちの対応する車輪に制
動力を与え車両の旋回制御を行う制御手段と、前記実ヨ
ーレイトと前記推定ヨーレイトとの偏差に基づき、前記
制御手段による前記旋回制御を中止する制御中止手段と
を備えたことを特徴としている。
【0009】従って、車両の走行中、通常は、基準ヨー
レイトと実ヨーレイトとに基づいて車両の旋回制御が行
われることになるが、実ヨーレイトと推定ヨーレイトと
の偏差に基づき、制御中止手段により、旋回制御が中止
される。例えば、車両が平地走行をしていないようなと
きには、基準ヨーレイトが正しく計算されないために不
正確な旋回制御が実施されてしまう可能性があるのであ
るが、このようなときには、実ヨーレイトと推定ヨーレ
イトとの偏差に基づいて旋回制御は中止され、旋回制御
がより適正なものとされる。
【0010】また、請求項2の発明では、車両に作用す
る横加速度を検出する横加速度検出手段をさらに有し、
前記車両状態量は前記横加速度であることを特徴として
いる。従って、比較的容易にして検出可能な横加速度に
基づいて推定ヨーレイトが好適に演算され、旋回制御の
中止の判別が容易且つ確実であって、旋回制御がより適
正なものとされる。
【0011】また、請求項3の発明では、前記制御中止
手段は、前記実ヨーレイトと前記推定ヨーレイトとの偏
差に基づき前記制御手段の誤制御を予測し、前記誤制御
が予測されたとき前記制御手段による前記旋回制御を中
止することを特徴としている。従って、車両の走行中、
実ヨーレイトと推定ヨーレイトとの偏差に基づき、制御
手段の誤制御が予測されるときには、制御中止手段によ
って旋回制御が中止される。つまり、例えば、車両が傾
斜路面で横に傾いてバンク走行しているような場合に
は、基準ヨーレイトが正しく計算されないために、不正
確な旋回制御の実施が予測されることになるのである
が、実ヨーレイトと推定ヨーレイトとの偏差に基づき旋
回制御は中止され、旋回制御がより適正なものとされ
る。
【0012】また、請求項4の発明では、前記制御中止
手段は、前記操舵角が小で前記基準ヨーレイトが規定値
より小でありながら前記偏差が第1の所定値より大であ
るとき、前記誤制御を予測して前記旋回制御を中止する
ことを特徴としている。従って、操舵角が小で基準ヨー
レイトが規定値より小であって車両が略直線走行してい
るにも拘わらず、実ヨーレイトと推定ヨーレイトとの偏
差が第1の所定値より大であるときには、例えば車両が
傾斜路面で横に傾いて走行していると判定されて誤制御
が予測され、旋回制御が好適に中止される。これによ
り、車両が傾斜路面で横に傾いてバンク走行しているよ
うなときの旋回制御が確実に制限され、旋回制御がより
適正なものとされる。
【0013】また、請求項5の発明では、前記制御中止
手段は、前記偏差が第2の所定値より大となった後所定
時間経過したときには、前記ヨーレイト検出手段が異常
と判定し前記旋回制御を中止することを特徴としてい
る。従って、偏差が第2の所定値より大となった後所定
時間経過したときにも旋回制御が中止される。故に、制
御中止手段は、基準ヨーレイト演算手段による演算が不
正確である場合に限られず、ヨーレイト検出手段そのも
のに異常がある場合にも好適に旋回制御を中止すること
になり、やはり誤制御が防止されて旋回制御がさらに適
正なものとされる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、車両のブレー
キシステム(制動手段)が概略的に示されている。この
ブレーキシステムはタンデム型のマスタシリンダ1を備
えており、マスタシリンダ1は真空ブレーキブースタ2
を介してブレーキペダル3に接続されている。
【0015】マスタシリンダ1の一対の圧力室はリザー
バ4にそれぞれ接続されている一方、これらの圧力室か
らはメインブレーキ管路5、6が延びている。メインブ
レーキ管路5,6は液圧ユニット(HU)7内を延び、
そして、これらメインブレーキ管路5,6は一対の分岐
ブレーキ管路にそれぞれ分岐されている。
【0016】メインブレーキ管路5からの分岐ブレーキ
管路8,9は左前輪WFL及び右後輪WRRのホイールブレ
ーキ(図示しない)にそれぞれ接続されており、メイン
ブレーキ管路6からの分岐ブレーキ管路10,11は右
前輪WFR及び左後輪WRLのホイールブレーキ(図示しな
い)にそれぞれ接続されている。従って、各車輪のホイ
ールブレーキはクロス配管形式でタンデムマスタシリン
ダ1に接続されている。尚、以下、車輪をW(i)で示
し、左前輪WFLをW(1)で、右前輪WFRをW(2)で、左後
輪WRLをW(3)で、右後輪WRRをW(4)で示す。特に断ら
ない限り、以降の参照符号に付した添え字(i)は、(1)が
左前輪WFLに、(2)が右前輪WFRに、(3)が左後輪WRL
に、(4)が右後輪WRRに対応している。
【0017】各分岐ブレーキ管路8,9,10,11に
は電磁弁がそれぞれ介挿されており、各電磁弁は入口バ
ルブ12と出口バルブ13とから構成されている。な
お、後輪のホイールブレーキとその対応する電磁弁、即
ち、入口バルブ12との間にはプロポーショナルバルブ
(PV)がそれぞれ介挿されている。分岐ブレーキ管路
8,9側において、その一対の電磁弁はその出口バルブ
13が戻り経路14を介してリザーバ4に接続されてお
り、また、分岐ブレーキ管路10,11側においても、
その一対の電磁弁の出口バルブ13が戻り経路15を介
してリザーバ4に接続されている。従って、各車輪のブ
レーキ圧はそのホイールブレーキ内の圧力を入口バルブ
及び出口バルブの開閉により給排することで制御され
る。
【0018】メインブレーキ管路5,6のそれぞれには
その途中にポンプ16,17の吐出口が逆止弁を介して
接続されており、これらポンプ16,17は共通のモー
タ18に連結されている。一方、ポンプ16,17の吸
い込み口は逆止弁を介して戻り経路14、15にそれぞ
れ接続されている。更に、メインブレーキ管路5、6に
は、ポンプ16,17との接続点よりも上流部分に電磁
弁からなるカットオフバルブ19,20が介挿されてお
り、また、これらカットオフバルブ19,20をバイパ
スするようにしてリリーフバルブ21がそれぞれ配設さ
れている。ここで、カットオフバルブ19,20はカッ
トオフバルブユニット(CVU)22を構成している。
【0019】ECU(電子制御ユニット)23は、マイ
クロプロセッサ、RAM,ROMなどの記憶装置及び入
出力インターフェースなどから構成されており、ECU
23の出力インタフェースには、前述した入口及び出口
バルブ12,13やカットオフバルブ19,20及びモ
ータ18が電気的に接続されている。一方、ECU23
の入力インタフェースには、各車輪に設けた車輪速セン
サ24や、モータ18の回転速度を検出する回転速度セ
ンサ25が電気的に接続されている。なお、図1におい
ては作図上の都合から、モータ18とECU23との間
の接続及び回転速度センサ25とECU23との間の接
続等は省略してある。
【0020】さらに、図2に示されているように、EC
U23のインターフェースには、上記車輪速センサ24
や回転速度センサ25以外に、ハンドル角センサ26、
横Gセンサ(横加速度検出手段)29及びヨーレイトセ
ンサ(ヨーレイト検出手段)30が電気的に接続されて
いる。車輪速センサ24は各車輪(W(1),W(2),W
(3),W(4))の回転速度、即ち車輪速VW(1),VW(2),
VW(3),VW(4)を検出するものであり、ハンドル角セン
サ26は車両のステアリングホイール(図示せず)の操
舵量、即ち操舵角δを検出するものである。また、横G
センサ29は車両の横方向に作用する横加速度、即ち横
G(GY)を検出するものであり、ヨーレイトセンサ3
0は車両の上下方向を軸とするヨー角速度、即ち実ヨー
レイトγを検出するものである。通常、ヨーレイトセン
サ30ではジャイロ機構が使用されており、その検出精
度は非常に高いものとされている。従って、検出感度の
点では、ヨーレイトセンサ30は横Gセンサ29よりも
高い感度を有している。
【0021】ECU23は、上記各種センサからの入力
信号に基づき種々の車両運動制御に従い、HU7及びC
VU20の作動を制御する。車両運動制御としては、図
2中、ECU23のブロック内に示されているような、
車両が旋回中にあるときの制御、即ちヨーモーメント制
御の他、トラクションコントロール(TCL)制御やア
ンチスキッド(ABS)制御(ともに図示せず)等があ
るが、以下、本発明に係るヨーモーメント制御について
説明する。
【0022】図3を参照すると、ヨーモーメント制御の
制御ブロック図が示されており、以下、図3に基づいて
ヨーモーメント制御の制御手順を説明する。上述の各種
センサからのセンサ信号がECU23に入力されると、
先ず、車速演算部100において、各車輪速センサ24
からの車輪速情報VW(i)(VW(1),VW(2),VW(3),V
W(4))に基づき車速Vを演算により求める。
【0023】車速Vが求められたら、次に目標ヨーレイ
ト演算部(基準ヨーレイト演算手段)102が実行され
る。この目標ヨーレイト演算部102では、上記車速V
とハンドル角センサ26からの操舵角情報δに基づい
て、目標ヨーレイト(基準ヨーレイト)γtが次式(1)か
ら算出される。 γt=V/(1+A×V2)×(δ/L) …(1) ここに、Aはスタビリティファクタであり、Lはホイー
ルベースを示している。
【0024】この目標ヨーレイトγtは、車速Vと操舵
角δに基づいて車両に発生するはずのヨーレイトであ
り、ヨーレイトの基準値を示している。目標ヨーレイト
γtが求められたら、要求ヨーモーメント演算部(制御
手段)104が実行される。この要求ヨーモーメント演
算部104では、ヨーレイトセンサ30からのヨーレイ
ト情報γに基づいて、要求ヨーモーメントγdが算出さ
れる。
【0025】要求ヨーモーメントγdの算出にあたって
は、図4の要求ヨーモーメント計算ルーチンが実行され
る。ここでは、先ず、図4のステップS10において、
上記目標ヨーレイトγt及びヨーレイトセンサ30から
のヨーレイト情報γを読み込む。そして、次のステップ
S12において、目標ヨーレイトγtと検出した実ヨー
レイトγとの間のヨーレイト偏差Δγが算出される(Δ
γ=γt−γ)。
【0026】ここに、Δγの符号が正(+)であれば、
車両はアンダステア状態にあり、回頭方向のモーメン
ト、即ち回頭モーメントを必要としているとみなせ、一
方、Δγの符号が負(−)であれば、車両はオーバステ
ア状態にあり、復元方向のモーメント、即ち復元モーメ
ントを必要としているとみなすことができる。ヨーレイ
ト偏差Δγが算出されたら、次にステップS14に進
み、ヨーレイト偏差Δγの微分値、即ちヨーレイト偏差
微分値Δγsを算出する。
【0027】次のステップS16では、ヨーレイト偏差
Δγ及びヨーレイト偏差微分値Δγsの各フィードバッ
クゲインKp,Kiが算出される。詳しくは、ヨーレイト
偏差ΔγのフィードバックゲインKpは比例ゲインであ
り、ヨーレイト偏差微分値Δγsのフィードバックゲイ
ンKiは積分ゲインである。そして、ステップS18に
おいて、これらフィードバックゲインKp,Kiがそれぞ
れヨーレイト偏差Δγ、ヨーレイト偏差微分値Δγsに
乗算され、要求ヨーモーメントγdが次式(2)から算出さ
れる。
【0028】 γd=(Δγs×Kp+Δγ×Ki)×Cpi …(2) ここに、Cpiは補正値であり、車両が制動状態にあると
きには、その値は例えば1.0とされ、車両が非制動状
態のときには、例えば1.5とされる。また、図3中、
旋回判定部106では、操舵角δとヨーレイト情報γと
に基づいて、車両の旋回方向が判別される。
【0029】ここでは、先ず、操舵角δに基づいて操舵
角ベースの旋回方向フラグFds(図示せず)が決定され
る。具体的には、操舵角δが例えば10degを正の方向
に越えると、旋回方向フラグFdsが値1にセットされ、
この場合、車両が右旋回していることを示す。これに対
し、操舵角δが例えば−10degを負の方向に越える
と、旋回方向フラグFdsが値0とされ、この場合、車両
が左旋回していることを示す。
【0030】一方、実ヨーレイトγに基づいて、ヨーレ
イトベースの旋回方向フラグFdy(図示せず)が決定さ
れる。具体的には、実ヨーレイトγが例えば2deg/sを
正の方向に越えると、旋回方向フラグFdyが値1にセッ
トされ、この場合、車両が右旋回していることを示す。
これに対し、実ヨーレイトγが例えば−2degを負の方
向に越えると、旋回方向フラグFdyが値0とされ、この
場合、車両が左旋回していることを示す。
【0031】そして、上記ブレーキペダル3の操作の有
無等に基づいて上記操舵角ベースの旋回方向フラグFds
とヨーレイトベースの旋回方向フラグFdyとの採用切換
が行われる。例えば、ブレーキペダル3が操作されると
操舵角ベースの旋回方向フラグFdsが採用され、ブレー
キペダル3が操作されていないときにはヨーレイトベー
スの旋回方向フラグFdyが採用される。そして、採用さ
れた旋回方向フラグFdy或いは旋回方向フラグFdsが最
終的に図示する旋回フラグFdに置き換えられ、これに
より、旋回方向が判定される。旋回フラグFdが値1で
あれば、車両は右旋回しており、一方、旋回フラグFd
が値0であれば、車両は左旋回しているとみなすことが
できる。
【0032】このようにして要求ヨーモーメントγdが
算出され、車両の旋回方向、即ち旋回フラグFdが判定
されたら、次にヨーモーメント制御部(制御手段)10
8が実行される。図5を参照すると、ヨーモーメント制
御部108の詳細を示すブロック図が示されており、以
下、図5に基づいてヨーモーメント制御部108で実施
されるヨーモーメント制御について説明する。
【0033】先ず、図5中、制御開始終了判定部120
では要求ヨーモーメントγdに基づき、制御開始終了フ
ラグFymcが決定される。具体的には、制御開始終了フ
ラグFymcは、図示しない判定回路にて決定される。こ
の判定回路において、制御開始終了フラグFymcは、要
求ヨーモーメントγdに応じて設定される。
【0034】詳しくは、要求モーメントγdがオーバス
テア側での閾値γos(例えば-100kgm/s)よりも小のと
き、及び、要求モーメントγdがアンダステア側での閾
値γus(例えば200kgm/s)よりも大のとき制御開始終了
フラグFymcに値1がセットされ(Fymc=1)、これに
より、ヨーモーメント制御が開始される。図5に示され
ているように、制御開始終了判定部120の出力、即
ち、制御開始終了フラグFymcはブレーキ圧制御モード
判定部122に供給され、この制御モード判定部122
では、制御開始終了フラグFymcの値が1である場合、
要求ヨーモーメントγdと旋回フラグFdとに基づいて、
各車輪のブレーキ圧制御モードM(i)を判定する。
【0035】詳しくは、先ず、要求モーメントγdに基
づき、アンダステア時及びオーバステア時毎のブレーキ
圧制御の制御実行フラグFcus,Fcosがそれらの閾値と
の大小関係に基づき以下のようにして設定される。 アンダステア時:γd>γdus1(例えば、100kgm/s)の場合、Fcus=1 γd<γdus0(例えば、80kgm/s)の場合、Fcus=0 オーバステア時:γd<γdos1(例えば、−80kgm/s)の場合、Fcos=1 γd>γdos0(例えば、−60kgm/s)の場合、Fcos=0 次に、制御実行フラグFcus,Fcosと、上記旋回フラグ
Fdの組み合わせに基づき各車輪毎のブレーキ圧制御の
制御モードM(i)(M(1),M(2),M(3),M(4))が選
択される。
【0036】そして、車両が右旋回しており、制御実行
フラグFcusの値が1である場合には、旋回時における
車両のアンダステア傾向が強く、要求モーメントγdが
閾値γdus1以上の大きな値であって、車両が回頭モーメ
ントを要求していることを意味している。この場合に
は、左前輪W(1)の制御モードM(1)は減圧モードに設定
されるのに対し、右後輪W(4)の制御モードM(4)は増圧
モードに設定され、そして、右前輪W(2)及び左後輪W
(3)の制御モードM(2),M(3)は非制御モードに設定さ
れる。
【0037】制御実行フラグFcosの値が1である場合
には、旋回時における車両のオーバステア傾向が強く、
要求モーメントγdが閾値γdos1未満の小さな値であっ
て、車両が復元モーメントを要求していることを意味し
ている。この場合には、左前輪W(1)の制御モードM(1)
は増圧モードに設定されるのに対し、右後輪W(4)の制
御モードM(4)は減圧モードに設定され、そして、右前
輪W(2)及び左後輪W(3)の制御モードM(2),M(3)は非
制御モードに設定される。
【0038】制御実行フラグFcus,Fcosが共に値1で
はない場合には、その旋回時、車体のアンダステア傾向
及びオーバステア傾向は共に強くないので、この場合、
左前輪W(1)及び右後輪W(4)の制御モードM(1),M(4)
は共に保持モードに設定され、そして、右前輪W(2)及
び左後輪W(3)の制御モードM(2),M(3)は非制御モー
ドに設定される。
【0039】一方、車両が左旋回しており、制御実行フ
ラグFcusの値が1である場合には、上述した右旋回の
場合と同様に車両が回頭モーメントを要求していること
を意味している。しかしながら、この場合には上記右旋
回の場合とは逆に、右前輪W(2)の制御モードM(2)が減
圧モードに設定されるのに対し、左後輪W(3)の制御モ
ードM(3)が増圧モードに設定され、そして、左前輪W
(1)及び右後輪W(4)の制御モードM(1),M(4)は非制御
モードに設定される。
【0040】制御実行フラグFcosの値が1である場合
には、やはり右旋回の場合と同様に車両は復元モーメン
トを要求しているので、右前輪W(2)の制御モードM(2)
が増圧モードに設定されるのに対し、左後輪W(3)の制
御モードM(3)が減圧モードに設定され、そして、左前
輪W(1)及び右後輪W(4)の制御モードM(1),M(4)は非
制御モードに設定される。
【0041】そして、制御実行フラグFcus,Fcosが共
に値1ではない場合には、やはり右旋回の場合と同様
に、右前輪W(2)及び左後輪W(3)の制御モードM(2),
M(3)は共に保持モードに設定され、そして、左前輪W
(1)及び右後輪W(4)の制御モードM(1),M(4)は非制御
モードに設定される。上述した制御モードM(i)の選択
設定は、以下の表1に纏めて示されている。
【0042】
【表1】
【0043】上述したようにして各車輪に対する制御モ
ードM(i)が選択されると、次のバルブ制御信号計算部
124では、制御モードM(i)、要求ヨーモーメントγd
とに基づき、各車輪のホイールブレーキのブレーキ圧を
制御する電磁弁、即ち、入口及び出口バルブ12,13
に対する駆動制御信号が計算される。具体的には、要求
ヨーモーメントを得るためのホイールシリンダ内の液
圧、つまり、ブレーキ圧に対する増減圧レート(増減圧
の勾配)が算出され、この増減圧レートに従い実際のブ
レーキ圧を1回当たり一定の増減圧量ΔP(例えば±5k
g/cm2)でもって変化させるよう、その増減圧量ΔPを
実現する上での入口又は出口バルブ12,13の駆動パ
ルス、つまり、バルブ制御信号のパルス周期Tpls及び
パルス幅Wpls(i)が算出される。そして、前述の制御モ
ードM(i)とパルス周期Tplsとに基づいて駆動モードM
pls(i)が設定される。なお、パルス幅Wpls(i)としては
実験等により予め設定された値が用いられる。
【0044】より詳しく述べると、制御モードM(i)が
非制御である場合には、駆動モードMpls(i)に非制御モ
ードが設定される。そして、制御モードM(i)が保持モ
ードである場合には、駆動モードMpls(i)に保持モード
が設定される。また、制御モードM(i)が増圧モードで
ある場合には、駆動モードMpls(i)は所定周期毎に増圧
モードに設定される。一方、制御モードM(i)が減圧モ
ードである場合には、増圧モードの場合と同様にして、
駆動モードMpls(i)は所定周期毎に減圧モードに設定さ
れる。
【0045】このようにして駆動モードMpls(i)及びパ
ルス幅Wpls(i)が計算されると、次の増減圧禁止補正部
126では、ドライバによるカウンタステア時やスリッ
プの過大時及び制御のオーバシュート発生時においてブ
レーキ圧の増減圧を禁止すべく、パルス幅Wpls(i)が補
正されてパルス幅Wpls1(i)とされる。なお、増減圧禁
止補正部126の実行内容については、本発明と直接関
わりがないため、ここでは、その詳細説明を省略する。
【0046】増減圧禁止補正が行われると、次に制御信
号の強制変更部128が実行される。この強制変更部1
28では、上記パルス幅Wpls1(i)及び駆動モードMpls
(i)が種々の状況に応じて強制的に変更可能とされる。
そして、これらパルス幅Wpls1(i)及び駆動モードMpls
(i)は、この強制変更部128を通過すると、パルス幅
Wy(i)及び駆動モードMy(i)とされ、これらパルス幅W
y(i)及び駆動モードMy(i)は、上記HU7の入口又は出
口バルブ12,13に向けて出力される。なお、この強
制変更についても、ここでは、その詳細については説明
を省略する。
【0047】ところで、駆動制御信号の強制変更部12
8からの出力、即ち、駆動モードMy(i)は、駆動判定部
130にも供給されている。この駆動判定部130で
は、駆動モードMy(i)に応じ、各車輪のホイールシリン
ダ毎にCVU22のカットオフバルブ19,20の駆動
を要求するフラグFvd1,Fvd2及びHU7のモータ18
の駆動を要求するフラグFmtrが設定される。
【0048】具体的には、例えば、モータ18の駆動を
要求する車輪毎の要求フラグFmon(i)のうちのいずれか
一つが駆動モードMy(i)に応じて値1とされると、フラ
グFmtrが値1とされてモータ18が駆動する。同時
に、カットオフバルブ19,20の駆動を要求する要求
フラグFcov(i)のうち、上記要求フラグFmon(i)=1の
iに対応した要求フラグFcov(i)の値が1として出力さ
れ、これに応じてフラグFvd1,Fvd2がそれぞれ値1と
される。そして、フラグFvd1が値1とされると、カッ
トオフバルブ19が閉弁され、一方、フラグFvd2が値
1とされるとカットオフバルブ20が閉弁される。
【0049】このようにして、ヨーモーメント制御にお
いて、駆動モードMy(i)、パルス幅Wy(i)が設定され、
カット駆動フラグFvd1,Fvd2及びモータ駆動フラグFm
trが設定されると、図3中の切換部(制御中止手段)1
10を経てブレーキ制御部(制御手段)112が実行さ
れる。このブレーキ制御部112では、設定された駆動
モードMy(i)及びパルス幅Wy(i)のiに対応した車輪W
(i)の入口バルブ12と出口バルブ13に対して作動信
号が供給され、さらに、駆動モードMy(i)に対応してカ
ットオフバルブ19,20にそれぞれ駆動信号が供給さ
れる。これにより、モータ18が駆動させられ、所望の
車輪W(i)にのみ液圧が供給されて制動が実施される。
【0050】例えば、旋回フラグFdが値1で車両が右
旋回にあり、さらにアンダステア傾向であるような場合
には、旋回フラグFdと要求ヨーモーメントγdとに基づ
き、ブレーキ圧制御モード判定部122において制御実
行フラグFcusが値1とされる(表1参照)。そして、
この場合には、左前輪(外前輪)W(1)の制御モードM
(1)は減圧モードに設定されるとともに、右後輪(内後
輪)W(4)の制御モードM(4)は増圧モードに設定され、
そして、他の2輪の制御モードM(2),M(3)はそれぞれ
非制御モードに設定される(表1参照)。
【0051】この後、各車輪の制御モードM(i)及び要
求ヨーモーメントγdに基づき、バルブ制御信号計算部
124において駆動モードMpls(i)が設定され、また、
各車輪毎のパルス幅Wpls(i)が設定される。そして、こ
れら駆動モードMpls(i)及びパルス幅Wpls(i)は、増圧
禁止補正部126及び制御信号の強制変更部128を経
て、駆動モードMy(i)及びパルス幅Wy(i)とされる。こ
のとき、駆動モードMy(i)は上記制御モードM(i)に対
応しており、つまり、駆動モードMy(1)は減圧モードで
ある一方、駆動モードMy(4)は増圧モードであり、他の
駆動モードMy(2),My(3)はそれぞれ非制御モードであ
る。
【0052】そして、駆動モードMy(4)が増圧モードで
あることから、駆動判定部130において、モータ18
の駆動を要求する車輪毎の要求フラグFmon(4)、また、
カットオフバルブ19,20の駆動を要求する車輪毎の
要求フラグFcov(4)がそれぞれ1にセットされ、モータ
駆動フラグFmtrがFmtr=1として出力されるととも
に、カット駆動フラグFvd1がFvd1=1として出力され
る。一方、要求フラグFcov(2)=Fcov(3)=0であるか
ら、カット駆動フラグFvd2に関してはFvd2=0とな
る。
【0053】これにより、ブレーキ制御部112から、
左前輪W(1)及び右後輪W(4)の入口バルブ12と出口バ
ルブ13に向けて駆動モードMy(1),My(4)及びパルス
幅Wy(1),Wy(4)に応じた作動信号が供給され、さら
に、駆動モードMy(i)に対応してモータ18、カットオ
フバルブ19,20にそれぞれ駆動信号が供給される。
即ち、この場合、左前輪W(1)及び右後輪W(4)のホイー
ルブレーキと組をなすカットオフバルブ19のみが閉弁
されるとともに、右前輪W(2)及び左後輪W(3)のホイー
ルブレーキと組をなすカットオフバルブ20は開弁状態
に維持されたままとなる。そして、モータ18が駆動さ
れ、ポンプ16,17から圧液が吐出される。これによ
り、右後輪W(4)のホイールブレーキは分岐ブレーキ管
路8から入口バルブ12を通じて圧液の供給を受け、こ
の結果、右後輪W(4)のブレーキ圧は増加されて右後輪
W(4)のみの制動力が増加させられる。一方、左前輪W
(1)のホイールブレーキからは出口バルブ13を介して
圧液が抜け、左前輪W(1)のブレーキ圧は減少させら
れ、左前輪W(1)の制動力は減少させられる。
【0054】このように、左前輪W(1)の制動力が減少
させられ、右後輪W(4)の制動力が増加させられると、
左前輪W(1)のコーナリングフォースが増加する一方、
右後輪W(4)のコーナリングフォースは減少する。この
結果、左前輪W(1)に関してはその制動力が減少するこ
とに加えてコーナリングフォースが強く働き、一方、右
後輪W(4)に関してはその制動力が増加することに加え
てコーナリングフォースが減少することになり、車両に
はその旋回方向と同一方向に回頭モーメントが発生す
る。これにより、車両がアンダステア状態にあっても、
車両の旋回状態が適正な状態に修正されることになり、
ドリフトアウトが防止されて良好な旋回走行性が得られ
ることになる。
【0055】また、例えば、旋回フラグFdが値1で車
両が右旋回にあり、さらにオーバステア傾向であるよう
な場合には、旋回フラグFdと要求ヨーモーメントγdと
に基づき、ブレーキ圧制御モード判定部122において
制御実行フラグFcosが値1とされる(表1参照)。そ
して、この場合には、左前輪(外前輪)W(1)の制御モ
ードM(1)は増圧モードに設定されるとともに、右後輪
(内後輪)W(4)の制御モードM(4)は減圧モードに設定
され、そして、他の2輪の制御モードM(2),M(3)はそ
れぞれ非制御モードに設定される(表1参照)。
【0056】この後、バルブ制御信号計算部124にお
いて駆動モードMpls(i)が設定され、また、各車輪毎の
パルス幅Wpls(i)が設定され、これらは、増圧禁止補正
部126及び制御信号の強制変更部128を経て、駆動
モードMy(i)及びパルス幅Wy(i)とされる。このとき、
駆動モードMy(1)は制御モードM(1)に対応して増圧モ
ードである一方、駆動モードMy(4)は制御モードM(4)
に対応して減圧モードであり、他の駆動モードMy(2),
My(3)はそれぞれ非制御モードである。
【0057】そして、駆動モードMy(1)が増圧モードで
あることから、駆動判定部130において、モータ18
の駆動を要求する車輪毎の要求フラグFmon(1)、また、
カットオフバルブ19,20の駆動を要求する車輪毎の
要求フラグFcov(1)がそれぞれ1にセットされ、モータ
駆動フラグFmtrがFmtr=1として出力されるととも
に、カット駆動フラグFvd1がFvd1=1として出力され
る。一方、要求フラグFcov(2)=Fcov(3)=0であるか
ら、カット駆動フラグFvd2に関してはFvd2=0とな
る。
【0058】これにより、上記アンダステア状態のとき
と同様に、ブレーキ制御部112から、左前輪W(1)及
び右後輪W(4)の入口バルブ12と出口バルブ13に向
けて駆動モードMy(1),My(4)及びパルス幅Wy(1),W
y(4)に応じた作動信号が供給され、さらに、駆動モード
My(i)に対応してモータ18、カットオフバルブ19,
20にそれぞれ駆動信号が供給される。即ち、左前輪W
(1)及び右後輪W(4)のホイールブレーキと組をなすカッ
トオフバルブ19のみが閉弁されるとともに、右前輪W
(2)及び左後輪W(3)のホイールブレーキと組をなすカッ
トオフバルブ20は開弁状態に維持されたままとなる。
そして、モータ18が駆動され、ポンプ16,17から
圧液が吐出される。そして、この場合には、左前輪W
(1)のホイールブレーキが分岐ブレーキ管路8から入口
バルブ12を通じて圧液の供給を受け、この結果、左前
輪W(1)のブレーキ圧は増加されて左前輪W(1)のみの制
動力が増加させられる。一方、右後輪W(4)のホイール
ブレーキからは出口バルブ13を介して圧液が抜け、右
後輪W(4)のブレーキ圧は減少させられ、右後輪W(4)の
制動力は減少させられる。
【0059】このように、左前輪W(1)の制動力が増加
させられ、右後輪W(4)の制動力が減少させられると、
右後輪W(4)のコーナリングフォースが増加する一方、
左前輪W(1)のコーナリングフォースは減少する。この
結果、右後輪W(4)に関してはその制動力が減少するこ
とに加えてコーナリングフォースが強く働き、一方、左
前輪W(1)に関してはその制動力が増加することに加え
てコーナリングフォースが減少することになり、車両に
はその旋回方向と逆方向に復元モーメントが発生する。
これにより、車両がオーバステア状態にあっても、車両
の旋回状態が適正な状態に復元されることになり、タッ
クインに起因した車両のスピンが防止されて良好な旋回
走行性が得られることになる。
【0060】なお、旋回フラグFdが値0で車両が左旋
回にある場合についても上記右旋回と同様であるため、
ここでは説明を省略する。図3を再び参照すると、当該
旋回制御装置には、推定ヨーレイト演算部(推定ヨーレ
イト演算手段)116が設けられている。この推定ヨー
レイト演算部116では、推定ヨーレイトγgyが演算さ
れる。
【0061】同図を参照すれば、推定ヨーレイト演算部
116には、上記車速演算部100からの車速情報Vと
横Gセンサ29からの横加速度、即ち横G(GY)とが
入力するようにされている。従って、推定ヨーレイトγ
gyは、これら車速Vと横G(GY)とに基づいて次式(3)
から算出される。 γgy=GY/V …(3) この推定ヨーレイトγgyは、上記ヨーレイトセンサ30
から検出された実ヨーレイトγとは必ずしも一致しては
いないものの、平地走行時にあってはその値は実ヨーレ
イトγと略同一とみなすことができる。
【0062】推定ヨーレイトγgyが演算されたら、次に
ヨーモーメント制御中止判定部(制御中止手段)118
が実行される。このヨーモーメント制御中止判定部11
8では、ヨーモーメント制御を中止するか否かの判定を
行う。ヨーレイトセンサ30は精密機械であるため、車
両の振動等によって故障し異常作動する可能性がある。
また一方で、車速Vと操舵角δとから求められる目標ヨ
ーレイトγtは、一般に平地走行時の運動モデルに対応
するものであるため、車両が平地走行していないとき、
例えば車両がバンク路を傾いた状態で直線バンク走行し
ているようなときには、正確に演算されず、誤った不正
確なヨーモーメント制御(誤制御)が実施されてしまう
可能性がある。
【0063】このように、ヨーレイトセンサ30が異常
であったり、或いは車両がバンク走行して誤った不正確
なヨーモーメント制御が実施されると、ヨーモーメント
制御はもはや適正なものではなくなり、車両の旋回走行
安定性が損なわれることになる。そこで、本発明の旋回
制御装置では、比較的耐振動性の高い横Gセンサ29か
らの情報を用いることで、ヨーレイトセンサ30の異常
作動或いは車両のバンク走行等を的確に検出するように
し、ヨーレイトセンサ30の異常作動時或いは車両のバ
ンク走行等の検出時においてヨーモーメント制御を中止
するようにしている。
【0064】図6を参照すると、ヨーモーメント制御中
止検出部118において実行される、ヨーモーメント制
御中止処理ルーチンのフローチャートが示されており、
以下、このフローチャートに基づいてヨーモーメント制
御中止処理の処理手順を説明する。先ず、ステップS2
0では、ヨーレイトセンサ30からのヨーレイト情報γ
と横Gセンサ29からの横G(GY)に基づく上記推定
ヨーレイトγgyとの差の絶対値(|γ−γgy|)を求
め、この絶対値(|γ−γgy|)が所定値(第2の所定
値)γ1(例えば、3deg/s)より大きいか否かを判別す
るとともに、この状態が所定時間t1(例えば、1sec)
以上継続したか否かを判別する。なお、所定値γ1(例
えば、3deg/s)は、ヨーレイトセンサ30の精度に応
じて設定された値である。
【0065】上述したように、推定ヨーレイトγgyは、
平地走行時にはヨーレイトセンサ30から検出される実
ヨーレイトγと本来略一致している。従って、ヨーレイ
トセンサ30が正常に作動しているような状況では、実
ヨーレイトγと推定ヨーレイトγgyとの差はゼロに等し
い。故に、実ヨーレイトγと推定ヨーレイトγgyとの差
の絶対値(|γ−γgy|)がゼロ値近傍の所定値γ1
(例えば、3deg/s)以下であるような場合には、ステ
ップS20の判別結果は偽(No)であって、ヨーレイ
トセンサ30は正常に作動していると判定でき、この場
合には、次にステップS22に進む。
【0066】一方、ステップS20の判別結果が真(Y
es)で、絶対値(|γ−γgy|)が所定値γ1(例え
ば、3deg/s)を越えているような場合には、推定ヨー
レイトγgyを衝としてヨーレイトセンサ30が正常に作
動していないと判定することができ、この場合には、次
にステップS24に進む。ステップS24では、センサ
異常フラグFeに値1を設定し、これにより、ヨーレイ
トセンサ30が正常に作動していないことを記憶する。
そして、ステップS22に進む。
【0067】ステップS22では、今度は、ヨーレイト
情報γと推定ヨーレイトγgyとの差の絶対値(|γ−γ
gy|)が所定値γ1(例えば、3deg/s)より小さいか否
かを判別するとともに、この状態が所定時間t1(例え
ば、1sec)以上継続したか否かを判別する。上記ステ
ップS24が実行された場合には、ステップS22の判
別結果は偽(No)であり、この場合には次にステップ
S28に進む。一方、ステップS22の判別結果が真
(Yes)で、実ヨーレイトγと推定ヨーレイトγgyと
の差の絶対値(|γ−γgy|)が所定値γ1(例えば、
3deg/s)以下であって且つ所定時間t1(例えば、1se
c)以上継続しているような場合には、ヨーレイトセン
サ30は正常に作動していると判定でき、この場合に
は、次にステップS26に進む。
【0068】このステップS26では、センサ異常フラ
グFeに値0を設定し、これにより、ヨーレイトセンサ
30が正常に作動していることを記憶する。そして、ス
テップS28に進む。ステップS28では、ステップS
24が実行され、センサ異常フラグFeが値1に設定さ
れた場合において、このFe=1が所定時間t2(例え
ば、5min)以上に亘って継続されたか否かを判別す
る。つまり、ヨーレイトセンサ30が正常に作動してい
ないような状態が比較的長い所定時間t2(例えば、5m
in)以上継続したか否かを判別する。
【0069】ステップS28の判別結果が真であるよう
なときには、ヨーレイトセンサ30に何らかの故障等の
異常があると判定でき、このような場合には、次にステ
ップS30に進む。ヨーレイトセンサ30に何らかの異
常があるにも拘わらずヨーモーメント制御をこのまま継
続することは、もはや車両の旋回走行性を良好に維持で
きないことになり、好ましいことではない。故に、この
場合、ステップS30において、ヨーモーメント制御中
止の指令を発する。
【0070】具体的には、ステップS30からのヨーモ
ーメント制御中止指令は、図3中の切換部110に供給
され、切換部110に設けられた切換スイッチをオフ状
態とする(図3はオン状態を示している)。これによ
り、ヨーモーメント制御部108からの各出力信号、即
ち、駆動モードMy(i)、パルス幅Wy(i)、カット駆動フ
ラグFvd1,Fvd2及びモータ駆動フラグFmtrがブレーキ
制御部112に供給されなくなり、故に、ヨーモーメン
ト制御が中止される。これにより、ヨーレイトセンサ3
0異常時の車両の旋回走行性の悪化が好適に防止され
る。
【0071】ステップS32では、ヨーレイトセンサ3
0に何らかの異常があってヨーモーメント制御を中止し
たことを運転者に知らせるべく警告表示を行う。具体的
には、図2中に示したように、ECU23には警告灯5
0が接続されており、ステップS32から警告表示指令
が出力されると、この警告灯50が点灯し、これによ
り、運転者がヨーレイトセンサ30の異常を認知可能と
なる。警告灯50は、例えば、運転席前方のインストル
メントパネル(図示せず)上に設けられている。
【0072】一方、ステップS28の判別結果が偽で、
センサ異常フラグFeが値0である場合や、センサ異常
フラグFeが値1に設定されたものの、Fe=1が所定時
間t2(例えば、5min)継続されていないような場合に
は、ヨーレイトセンサ30の異常とは判定せず、次にス
テップS34に進む。上述したように、目標ヨーレイト
γtは、一般に平地走行時の運動モデルに対応するもの
であるため、車両が平地走行していないとき、例えば、
車両がバンク路を傾いた状態で直線バンク走行している
ようなときには、正確に演算されず、誤った不正確なヨ
ーモーメント制御が実施されてしまう可能性がある。
【0073】そこで、このステップS34においては、
実ヨーレイトγと推定ヨーレイトγgyとの差から車両が
バンク走行していることを検出し、これにより、バンク
走行時の不正確なヨーモーメント制御の実施を防止する
ようにしている。通常、バンク角度が極めて小さく(例
えば、0°〜5°)、車両が略平地走行をしているよう
な場合には、横Gセンサ29の出力値である横G(G
Y)は殆どゼロであり、推定ヨーレイトγgyは略値0と
される。従って、推定ヨーレイトγgyとヨーレイトセン
サ30からの実ヨーレイトγとの差は殆ど無いといえ
る。
【0074】しかしながら、バンク角度が大きくなるに
つれて、実ヨーレイトγが略値0である一方、推定ヨー
レイトγgyはバンク角度に応じた値とされ、実ヨーレイ
トγと推定ヨーレイトγgyとの間には差(γ−γgy)が
生じる。そこで、上記ヨーレイトセンサ30の異常判別
の場合と同様にして、ここでは、この差の絶対値(|γ
−γgy|)と所定値(第1の所定値)γ2とを比較する
ようにし、これにより、車両がバンク走行していること
を判別するようにしている。
【0075】具体的には、ステップS34では、ヨーレ
イト情報γと推定ヨーレイトγgyとの差の絶対値(|γ
−γgy|)がバンク角度に基づく所定値γ2より小さい
か否かを判別する。この所定値γ2は、次式(4)によって
算出される。 γ2=9.8・sinα/V …(4) ここに、αは、車両の横方向での走行路の傾斜角度、即
ちバンク角度の所定値であり、ここでは、例えば、実験
結果に基づきα=5°とされる。
【0076】バンク角度が所定値α(例えば、5°)以
下であるような場合には、走行路は略平坦路とみなさ
れ、この場合には、ヨーモーメント制御の実施を通常の
平地走行時の場合と同様に許容する。従って、ステップ
S34の判別結果が偽の場合には、車両は略平地走行を
しているとみなすことができ、ヨーモーメント制御を中
止することなくヨーモーメント制御を実施可能に保持し
て当該ルーチンを抜ける。
【0077】一方、ステップS34の判別結果が真で、
絶対値(|γ−γgy|)が所定値γ2よりも大きいと判
定される場合には、車両がバンク走行していると判定で
き、次にステップS36に進む。ステップS36では、
上述のように求めた目標ヨーレイトγtの絶対値|γt|
が所定値γ3(例えば、10deg/s)未満であって且つ操
舵角δの変化速度dδ/dtの絶対値|dδ/dt|が所定
値δ1(例えば、100deg/s)未満であるか否かを判別
する。この判別は、つまり、平地においてステアリング
ホイールが大きく操作され、車両が限界走行状態となっ
たときの重心スリップ角βの増大に基づく絶対値(|γ
−γgy|)の増大要素を除外することを目的としてい
る。
【0078】ステップS36の判別結果が偽で、絶対値
|γt|が所定値γ3(例えば、10deg/s)以上であり
且つ絶対値|dδ/dt|が所定値δ1(例えば、100d
eg/s)以上である場合には、運転者がステアリングホイ
ールを操作し、車両が限界走行状態で旋回走行を実施し
ている状況と判定でき、この場合には、やはり、ヨーモ
ーメント制御を中止することなく有効にしたまま当該ル
ーチンを抜ける。
【0079】一方、ステップS36の判別結果が真で、
絶対値|γt|が所定値γ3(例えば、10deg/s)未満
であり且つ絶対値|dδ/dt|が所定値δ1(例えば、
100deg/s)未満である場合には、車両は限界走行状
態になく純粋にバンク走行しているとみなすことがで
き、この場合には、次のステップS38に進み、上記ス
テップS30の場合と同様にしてヨーモーメント制御を
中止する。
【0080】これにより、車両がバンク走行していると
きのヨーモーメント制御の実施が好適に中止され、誤っ
た不正確なヨーモーメント制御が防止されることにな
る。なお、この場合には、ヨーレイトセンサ30に故障
等の異常があるわけではないため、警告表示は実施しな
い。以上、詳細に説明したように、本発明の旋回制御装
置では、通常、車両が旋回走行状態とされると、車輪速
センサ24からの車輪速情報VW(i)に基づいて車速Vを
求め、さらに、この車速Vとハンドル角センサ26から
の操舵角情報δとに基づいて目標ヨーレイトγtを演算
し、この目標ヨーレイトγtとヨーレイトセンサ30か
らのヨーレイト情報γとに基づいて要求ヨーモーメント
γdを求めてヨーモーメント制御を行うようにしてい
る。そして、ヨーモーメント制御の制御結果に基づいて
ブレーキ制御を行い、旋回制御を実現するようにしてい
る(図3参照)。
【0081】しかしながら、本発明の旋回制御装置で
は、さらに、横Gセンサ29からの横G情報GYに基づ
いて推定ヨーレイトγgyを推定し、この推定ヨーレイト
γgyとヨーレイトセンサ30からのヨーレイト情報γと
の差に応じてヨーモーメント制御の制御結果を出力しな
いように切換えるようにしている。従って、ヨーレイト
センサ30が誤信号を出力しておりヨーレイトセンサ3
0に異常があることを推定ヨーレイトγgyを基準として
容易に検出でき、これに応じてヨーモーメント制御を好
適に中止するようにできる(図6中ステップS30)。
特に、当該旋回制御装置では、ヨーレイトセンサ30の
接続線の断線検出の他、ヨーレイトセンサ30内部の各
素子の異常を容易且つ良好に検出可能であり、異常の検
出精度が高い。故に、ヨーレイトセンサ30の異常によ
るヨーモーメント制御の制御性の悪化をより確実に防止
することができる。
【0082】また、通常、目標ヨーレイトγtは平地走
行時の運動モデルに対応するものであることから、車両
がバンク走行しているようなときには正確に演算されず
誤ったヨーモーメント制御が実施されてしまう可能性が
あるが、当該旋回制御装置では、ヨーレイト情報γと推
定ヨーレイトγgyとの差が所定バンク角度α(例えば、
5°)に相当する所定値γ2を越えて車両がバンク走行
していると判定される場合にあっては、ヨーモーメント
制御を中止するようにしている。従って、本発明の旋回
制御装置では、ヨーレイトセンサ30の異常時のみなら
ず、バンク走行時にもヨーモーメント制御を好適に中止
するようにでき(図6中ステップS38)、バンク走行
時において不正確なヨーモーメント制御が実施されるこ
とを好適に防止できる。これにより、全体としてより適
正な旋回制御を行うことが可能となる。
【0083】なお、上記実施例では、推定ヨーレイトγ
gyを横Gセンサ29からの横G(GY)情報に基づいて
算出するようにしたが、後車輪WRL,WRRの車輪速VW
(3),VW(4)の車輪速差とリヤトレッドとの積に基づい
て推定ヨーレイトγgyを算出するようにしても同様の効
果が得られる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両の
旋回制御装置によれば、車両の走行時、車速と操舵角と
に基づき車両に作用する基準ヨーレイトを演算する基準
ヨーレイト演算手段と、車両に作用する実ヨーレイトを
検出するヨーレイト検出手段と、車両状態量に基づき推
定ヨーレイトを演算する推定ヨーレイト演算手段と、車
両に設けられた複数の車輪に独立に制動力を付与可能な
制動手段と、基準ヨーレイトと実ヨーレイトとに基づ
き、複数の車輪のうちの対応する車輪に制動力を与え車
両の旋回制御を行う制御手段と、実ヨーレイトと推定ヨ
ーレイトとの偏差に基づき、制御手段による旋回制御を
中止する制御中止手段とを備えるようにしたので、通常
は、基準ヨーレイトと実ヨーレイトとに基づいて車両の
旋回制御が行われることになるが、実ヨーレイトと推定
ヨーレイトとの偏差に基づき、制御中止手段により旋回
制御を好適に中止でき、旋回制御を適正なものにでき
る。
【0085】例えば、車両が平地走行をしていないよう
なときには、基準ヨーレイトが正しく計算されないため
に誤った不正確な旋回制御が実施されてしまう可能性が
あるのであるが、このようなときには、実ヨーレイトと
推定ヨーレイトとの偏差に基づいて旋回制御を好適に中
止でき、旋回制御をより適正なものにすることができ
る。
【0086】また、請求項2の車両の旋回制御装置によ
れば、車両に作用する横加速度を検出する横加速度検出
手段をさらに有し、車両状態量は横加速度であるので、
比較的容易にして検出可能な横加速度に基づいて推定ヨ
ーレイトを好適に求め、旋回制御の中止の判別を容易且
つ確実に行うことができ、旋回制御をより適正なものに
することができる。
【0087】また、請求項3の車両の旋回制御装置によ
れば、制御中止手段は、実ヨーレイトと推定ヨーレイト
との偏差に基づき制御手段の誤制御を予測し、誤制御が
予測されたとき制御手段による旋回制御を中止するの
で、車両の走行中、実ヨーレイトと推定ヨーレイトとの
偏差に基づいて制御手段の誤制御が予測されるときに
は、制御中止手段により旋回制御を好適に中止すること
ができる。従って、例えば車両が傾斜路面で横に傾いて
バンク走行しているような場合には、基準ヨーレイトが
正しく計算されないために誤った不正確な旋回制御の実
施が予測されることになるのであるが、このようなとき
には、実ヨーレイトと推定ヨーレイトとの偏差に基づい
て旋回制御を中止でき、旋回制御をより適正なものにす
ることができる。
【0088】また、請求項4の車両の旋回制御装置によ
れば、制御中止手段は、操舵角が小で基準ヨーレイトが
規定値より小でありながら偏差が第1の所定値より大で
あるとき、誤制御を予測して旋回制御を中止するので、
操舵角が小で基準ヨーレイトが規定値より小であって車
両が略直線走行しているにも拘わらず、実ヨーレイトと
推定ヨーレイトとの偏差が第1の所定値より大であると
きには、例えば車両が傾斜路面で横に傾いてバンク走行
していると判定し誤制御を予測して旋回制御を好適に中
止するようにできる。従って、車両が傾斜路面で横に傾
いてバンク走行しているようなときの旋回制御を確実に
制限でき、旋回制御をより適正なものにすることができ
る。
【0089】また、請求項5の車両の旋回制御装置によ
れば、制御中止手段は、偏差が第2の所定値より大とな
った後所定時間経過したときには、ヨーレイト検出手段
が異常と判定し旋回制御を中止するので、偏差が第2の
所定値より大となった後所定時間経過したときにも旋回
制御を中止することができ、基準ヨーレイト演算手段に
よる演算が不正確である場合に限られず、ヨーレイト検
出手段に異常がある場合にも好適に旋回制御を中止する
ことができ、やはり誤制御を防止して旋回制御をさらに
適正なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヨーモーメント制御を実行するブレーキシステ
ムを示した概略図である。
【図2】図1中、ECU(電子制御ユニット)に対する
各種センサ及びHU(ハイドロユニット)等の接続関係
を示したブロック図である。
【図3】ECUのヨーモーメント制御機能を概略的に説
明する機能ブロック図である。
【図4】図3中の要求ヨーモーメント演算部で実行され
る要求ヨーモーメントの算出ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図5】図3中のヨーモーメント制御部の詳細を示すブ
ロック図である。
【図6】図3中のヨーモーメント制御中止判定部で実行
されるヨーモーメント制御中止処理ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
22 HU(ハイドロユニット) 23 ECU(電子制御ユニット) 24 車輪速センサ 26 ハンドル角センサ 29 横Gセンサ(横加速度検出手段) 30 ヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段) 50 警告灯 102 目標ヨーレイト演算部(基準ヨーレイト演算手
段) 104 要求ヨーモーメント演算部(制御手段) 108 ヨーモーメント制御部(制御手段) 110 切換部(制御中止手段) 112 ブレーキ制御部(制御手段) 116 推定ヨーレイト演算部(推定ヨーレイト演算手
段) 118 ヨーモーメント制御中止判定部(制御中止手
段)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行時、車速と操舵角とに基づき
    車両に作用する基準ヨーレイトを演算する基準ヨーレイ
    ト演算手段と、 車両に作用する実ヨーレイトを検出するヨーレイト検出
    手段と、 車両状態量に基づき推定ヨーレイトを演算する推定ヨー
    レイト演算手段と、 車両に設けられた複数の車輪に独立に制動力を付与可能
    な制動手段と、 前記基準ヨーレイトと前記実ヨーレイトとに基づき、前
    記複数の車輪のうちの対応する車輪に制動力を与え車両
    の旋回制御を行う制御手段と、 前記実ヨーレイトと前記推定ヨーレイトとの偏差に基づ
    き、前記制御手段による前記旋回制御を中止する制御中
    止手段と、 を備えたことを特徴とする車両の旋回制御装置。
  2. 【請求項2】 車両に作用する横加速度を検出する横加
    速度検出手段をさらに有し、 前記車両状態量は、前記横加速度検出手段により検出さ
    れる前記横加速度であることを特徴とする、請求項1記
    載の車両の旋回制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御中止手段は、前記実ヨーレイト
    と前記推定ヨーレイトとの偏差に基づき前記制御手段の
    誤制御を予測し、前記誤制御が予測されたとき前記制御
    手段による前記旋回制御を中止することを特徴とする、
    請求項1または2記載の車両の旋回制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制御中止手段は、前記操舵角が小で
    前記基準ヨーレイトが規定値より小でありながら前記偏
    差が第1の所定値より大であるとき、前記誤制御を予測
    して前記旋回制御を中止することを特徴とする、請求項
    3記載の車両の旋回制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御中止手段は、前記偏差が第2の
    所定値より大となった後所定時間経過したときには、前
    記ヨーレイト検出手段が異常と判定し前記旋回制御を中
    止することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか記
    載の車両の旋回制御装置。
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