JP3183113B2 - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

車輌の制動力制御装置

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JP3183113B2
JP3183113B2 JP21110095A JP21110095A JP3183113B2 JP 3183113 B2 JP3183113 B2 JP 3183113B2 JP 21110095 A JP21110095 A JP 21110095A JP 21110095 A JP21110095 A JP 21110095A JP 3183113 B2 JP3183113 B2 JP 3183113B2
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善樹 深田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
制動力制御装置に係り、更に詳細には車輌の通常状態時
にはホイールシリンダがマスタシリンダに接続され、車
輌の所定状態時にはホイールシリンダが高圧源又はリザ
ーバに接続されることにより制動力を制御する制動力制
御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌に於いて実車輪速が目標
車輪速になるよう制動力を制御する制動力制御装置の一
つとして、例えば特開平2−70561号公報に記載さ
れている如く、車輌の旋回時に於ける車体の実ヨーレー
トと目標ヨーレートとの偏差よりステア状態を推定し、
ステア状態に応じて左右の車輪の制動力の差を制御し、
これにより旋回時の車輌の安定性を向上させるよう構成
された制動力制御装置が従来より知られている。
【0003】かかる挙動制御装置によれば、旋回時にス
テア状態が過剰にオーバステア状態になったり過剰にア
ンダステア状態になったりすることを防止することがで
き、これにより車輌のスピンやドリフトアウト等の好ま
しからざる旋回挙動を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載されて
いる如き制動力制御装置に於いて、各輪の制動力を運転
者のブレーキペダルに対する踏力に対応するマスタシリ
ンダ圧よりも高くする必要があるときには、ホイールシ
リンダを高圧源に接続して制動圧を制御し、各輪の制動
力の制御が終了した段階でホイールシリンダをマスタシ
リンダに接続する必要がある。しかし制動力の制御が終
了した段階に於けるホイールシリンダ圧とマスタシリン
ダ圧との間の差圧が大きい場合には、ホイールシリンダ
がマスタシリンダに接続される際にマスタシリンダ等に
衝撃が発生することがある。
【0005】本発明は、従来の制動力制御装置に於ける
上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の
主要な課題は、制動力制御の終了時にはホイールシリン
ダ圧とマスタシリンダ圧との間の差圧が小さくなった段
階でホイールシリンダをマスタシリンダに接続すること
によりマスタシリンダ等に衝撃が発生することを防止す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車輌の通常状態時にはホイールシ
リンダがマスタシリンダに接続され、車輌の所定状態時
には前記ホイールシリンダが高圧源又はリザーバに接続
されることにより制動力を制御する車輌の制動力制御装
置に於いて、車輌が所定状態より通常状態になる際には
ホイールシリンダ圧Pwとマスタシリンダ圧Pmとの偏差
が所定の範囲内になった段階に於いて前記ホイールシリ
ンダを前記マスタシリンダに接続する手段を有し、前記
接続手段は前記偏差が所定の範囲外であり且つPw <P
m であるときには前記ホイールシリンダを前記高圧源に
接続して前記ホイールシリンダ圧を増圧するよう構成さ
ていることを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求
項1の構成)、又は車輌の通常状態時にはホイールシリ
ンダがマスタシリンダに接続され、車輌の所定状態時に
は前記ホイールシリンダが高圧源又はリザーバに接続さ
れることにより制動力を制御する車輌の制動力制御装置
に於いて、ホイールシリンダ圧Pw を検出する手段と、
マスタシリンダ圧Pm を検出する手段と、車輌が所定状
態より通常状態になる際に前記ホイールシリンダ圧Pw
と前記マスタシリンダ圧Pm との偏差を求める偏差算出
手段と、前記偏差が所定の範囲外であり且つPw <Pm
であるときには前記ホイールシリンダを前記高圧源に接
続して前記ホイールシリンダ圧を増圧し、前記偏差が所
定の範囲外であり且つPw >Pm であるときには前記ホ
イールシリンダを前記リザーバに接続して前記ホイール
シリンダ圧を減圧する第一の接続手段と、前記偏差が所
定の範囲内であるときには前記ホイールシリンダを前記
マスタシリンダに接続する第二の接続手段とを有し、前
記第二の接続手段は前記ホイールシリンダ圧を保持する
保持状態と前記ホイールシリンダを前記マスタシリンダ
に接続する接続状態とに繰り返し切換わると共に保持状
態の時間的割合を漸次低減するよう構成されていること
を特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項2の構成)
によって達成される。
【0007】上述の請求項1の構成によれば、車輌が所
定状態より通常状態になる際にはホイールシリンダ圧と
マスタシリンダ圧との偏差が所定の範囲内になった段階
に於いてホイールシリンダがマスタシリンダに接続され
るので、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との間
の差圧に起因してマスタシリンダ等に衝撃が発生するこ
とが確実に防止され、特に車輌が所定状態より通常状態
になる際のホイールシリンダ圧Pw とマスタシリンダ圧
Pm との偏差が所定の範囲外であり且つPw <Pm であ
るときには、接続手段によってホイールシリンダが高圧
源に接続されることによりホイールシリンダ圧が増圧さ
れるので、車輌が所定状態より通常状態になる際のホイ
ールシリンダ圧がマスタシリンダ圧よりも低くこれらの
圧力の偏差が所定の範囲外であるときにも確実に且つ比
較的早く圧力の偏差が所定の範囲内に収められ、これに
よりホイールシリンダが確実に且つ比較的早くマスタシ
リンダに接続される。
【0008】また上述の請求項2の構成によれば、車輌
が所定状態より通常状態になる際のホイールシリンダ圧
Pw とマスタシリンダ圧Pm との偏差が所定の範囲外で
あり且つPw <Pm であるときには第一の接続手段によ
ってホイールシリンダが高圧源に接続されることにより
ホイールシリンダ圧が増圧され、偏差が所定の範囲外で
あり且つPw >Pm であるときには第一の接続手段によ
ってホイールシリンダがリザーバに接続されることによ
りホイールシリンダ圧が減圧され、偏差が所定の範囲内
であるときには第二の接続手段によりホイールシリンダ
がマスタシリンダに接続され、第二の接続手段はホイー
ルシリンダ圧を保持する保持状態とホイールシリンダを
マスタシリンダに接続する接続状態とに繰り返し切換わ
ると共に保持状態の時間的割合を漸次低減するので、車
輌が所定状態より通常状態になる際のホイールシリンダ
圧とマスタシリンダ圧との偏差が所定の範囲外であると
きにも確実に且つ比較的早く圧力の偏差が所定の範囲内
に収められ、これによりホイールシリンダが確実に且つ
比較的早くマスタシリンダに接続され、また圧力の偏差
が所定の範囲内になってもホイールシリンダとマスタシ
リンダとの接続度合が漸次大きくなるよう制御され、こ
れによりマスタシリンダ等に衝撃が発生することが確実
に防止される。
【0009】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項1又は2の構成に於いて、
前記ホイールシリンダ圧Pw を検出する手段は前記第一
及び第二の接続手段の作動状況に基づき前記ホイールシ
リンダ圧を推定するよう構成される(請求項3の構
成)。
【0010】この請求項3の構成によれば、第一及び第
二の接続手段の作動状況に基づきホイールシリンダ圧が
推定されるので、各輪のホイールシリンダ圧を検出する
圧力センサ等を要することなくホイールシリンダ圧が求
められる。
【0011】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、請求項3の構成に於いて、前記第
二の接続手段を瞬間的に作動させる手段と、前記第二の
接続手段が瞬間的に作動されたときの前記マスタシリン
ダ圧Pm の変動に基づき前記推定された前記ホイールシ
リンダ圧を補正するよう構成される(請求項4の構
成)。
【0012】この請求項4の構成によれば、第二の接続
手段によりホイールシリンダがマスタシリンダに瞬間的
に接続されたときのマスタシリンダ圧Pm の変動に基づ
きホイールシリンダ圧の推定値が補正されるので、かか
る補正が行われない場合に比してホイールシリンダ圧が
正確に求められる。
【0013】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の課題解決手段
の一つの好ましい態様によれば、請求項1又は2の構成
に於いて、車輌の旋回挙動が不安定な状態が所定状態と
判定され、車輌の旋回挙動が安定な状態が通常状態と判
定される。
【0014】また本発明の課題解決手段の他の一つの好
ましい態様によれば、請求項1の構成に於いて、ホイー
ルシリンダ圧とマスタシリンダ圧との偏差が所定の範囲
内になった段階に於いてホイールシリンダをマスタシリ
ンダに接続する手段はホイールシリンダ圧を保持する保
持状態とホイールシリンダをマスタシリンダに接続する
接続状態とに繰返し切換わると共に保持状態の時間的割
合を漸次低減するよう構成される。
【0015】更に本発明の課題解決手段の他の一つの好
ましい態様によれば、請求項4の構成に於いて、ホイー
ルシリンダ圧はホイールシリンダがマスタシリンダに瞬
間的に接続される前のマスタシリンダ圧、ホイールシリ
ンダがマスタシリンダに瞬間的に接続された直後のマス
タシリンダ圧又はホイールシリンダがマスタシリンダに
瞬間的に接続されたときのマスタシリンダ圧の最大値、
ホイールシリンダがマスタシリンダに瞬間的に接続され
た時点より所定時間経過後のマスタシリンダ圧に基づき
補正されるよう構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を実施形態について詳細に説明する。
【0017】図1は本発明による制動力制御装置の一つ
の実施形態の油圧回路及び電気制御装置を示す概略構成
図である。
【0018】図1に於て、制動装置10は運転者による
ブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキ
オイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシリ
ンダ14を有し、第一のポートは前輪用のブレーキ油圧
制御導管16により左右前輪用のブレーキ油圧制御装置
18及び20に接続され、第二のポートは途中にプロポ
ーショナルバルブ22を有する後輪用のブレーキ油圧制
御導管24により左右後輪用のブレーキ油圧制御装置2
6及び28に接続されている。また制動装置10はリザ
ーバ30に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧の
オイルとして高圧導管32へ供給するオイルポンプ34
を有している。高圧導管32は各ブレーキ油圧制御装置
18、20、26、28に接続され、またその途中には
アキュムレータ36が接続されている。
【0019】各ブレーキ油圧制御装置18、20、2
6、28はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御
するホイールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RR
と、3ポート2位置切換え型の電磁式の制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRと、リザーバ30に接続された
低圧導管42と高圧導管32との間に設けられた常開型
の電磁式の開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び
常閉型の電磁式の開閉弁46FL、46FR、46RL、46
RRとを有している。それぞれ開閉弁44FL、44FR、4
4RL、44RRと開閉弁46FL、46FR、46RL、46RR
との間の高圧導管32は接続導管48FL、48FR、48
RL、48RRにより制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRに接続されている。
【0020】制御弁40FL及び40FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管16とホイールシリンダ38FL
及び38FRとを連通接続し且つホイールシリンダ38FL
及び38FRと接続導管48FL及び48FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管16と
ホイールシリンダ38FL及び38FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ38FL及び38FRと接続導管48FL
及び48FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。同様に40RL及び40RRはそれぞれ後
輪用のブレーキ油圧制御導管24とホイールシリンダ3
8RL及び38RRとを連通接続し且つホイールシリンダ3
8RL及び38RRと接続導管48RL及び48RRとの連通を
遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管2
4とホイールシリンダ38RL及び38RRとの連通を遮断
し且つホイールシリンダ38RL及び38RRと接続導管4
8RL及び48RRとを連通接続する第二の位置とに切替わ
るようになっている。
【0021】制御弁40FL、40FR、40RL、40RRが
第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、44FR、4
4RL、44RR及び開閉弁46FL、46FR、46RL、46
RRが図示の状態に制御されると、ホイールシリンダ38
FL、38FR、38RL、38RRは制御弁40FL、40FR、
40RL、40RR及び接続導管48FL、48FR、48RL、
48RRを介して高圧導管32と連通接続され、これによ
りホイールシリンダ内の圧力が増圧される。逆に制御弁
が第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、44FR、
44RL、44RRが閉弁され開閉弁46FL、46FR、46
RL、46RRが開弁されると、ホイールシリンダは制御弁
及び接続導管を介して低圧導管42と連通接続され、こ
れによりホイールシリンダ内の圧力が減圧される。更に
制御弁が第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、4
4FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、46FR、46
RL、46RRが閉弁されると、ホイールシリンダは高圧導
管32及び低圧導管42の何れとも遮断され、これによ
りホイールシリンダ内の圧力がそのまま保持される。
【0022】かくして制動装置10は、制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRが第一の位置にあるときにはホ
イールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RRにより
運転者によるブレーキペダル12の踏み込み量に応じた
制動力を発生し、制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRの何れかが第二の位置にあるときには当該車輪の開閉
弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、
46FR、46RL、46RRを開閉制御することにより、ブ
レーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動力に
拘わりなくその車輪の制動力を制御し得るようになって
いる。
【0023】制御弁40FL、40FR、40RL、40RR、
開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46
FL、46FR、46RL、46RRは後に詳細に説明する如く
電気式制御装置50により制御される。電気式制御装置
50はマイクロコンピュータ52と駆動回路54とより
なっており、マイクロコンピュータ52は図1には詳細
に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)
と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセ
スメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、こ
れらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一
般的な構成のものであってよい。
【0024】マイクロコンピュータ52の入出力ポート
装置には車速センサ56より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ58より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ60より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ62より
操舵角θを示す信号、車輪速センサ64FL〜64RRより
それぞれ左右前輪及び左右後輪の車輪速VFL〜VRRを示
す信号、圧力センサ66及び68よりそれぞれマスタシ
リンダ14内の圧力Pm 及びアキュムレータ内の圧力P
a を示す信号が入力されるようになっている。
【0025】またマイクロコンピュータ52のROMは
後述の制御フロー及びマップを記憶しており、CPUは
上述の種々のセンサにより検出されたパラメータに基づ
き後述の如く種々の演算を行って車輌の旋回挙動を判定
するためのスピンバリューSVを求め、スピンバリュー
に基づき車輌の旋回挙動を推定し制御すると共に、旋回
挙動制御の終了時には各車輪のホイールシリンダ内の圧
力を実質的にマスタシリンダ内の圧力に等しい値に制御
するようになっている。
【0026】次に図2に示されたフローチャートを参照
して実施形態に於ける車輌の旋回挙動制御について説明
する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図
には示されていないイグニッションスイッチの閉成によ
り開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。またス
テップ120〜220は左右前輪について時系列的に実
行される。
【0027】まずステップ10に於いては車速センサ5
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ20に於いては横加速度Gy と車速V及び
ヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横
加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、この横加速度の偏差Vydが積分されることにより車
体の横すべり速度Vy が演算され、車体の前後速度Vx
(=車速V)に対する車体の横すべり速度Vy の比Vy
/Vx として車体のスリップ角βが演算される。また車
体のスリップ角βの微分値として車体のスリップ角速度
βd が演算される。
【0028】ステップ30に於いてはa及びbをそれぞ
れ正の定数として車体のスリップ角β及びスリップ角速
度βd の線形和a*β+b*βd としてスピンバリュー
SVが演算され、ステップ40に於いてはスピンバリュ
ーSVの絶対値に基づき図3に示されたグラフに対応す
るマップより旋回外側前輪の目標スリップ率Rsfo が演
算される。ステップ50に於いては図4に示されたフロ
ーチャートに従って左右前輪のホイールシリンダ38F
L、38FR内の圧力Pwi(i=FL、FR)が推定され、ス
テップ60に於いては図5に示されたフローチャートに
従って左右前輪のホイールシリンダ内の圧力Pwiが補正
される。
【0029】ステップ80に於いては目標スリップ率R
sfo が0であるか否かの判別、即ち車輌の旋回挙動が安
定な状態にあり挙動制御が不要であるか否かの判別が行
われ、肯定判別が行われたときにはステップ120へ進
み、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
ステップ90に於いてはVb を基準車輪速、即ち旋回内
輪側前輪の車輪速として下記の数1に従って旋回外輪側
前輪の目標車輪速Vwtが演算される。
【数1】Vwt=Vb *(1−Rsfo )
【0030】ステップ100に於いてはデューティ比D
r が下記の数2に従って演算される。尚下記の数2に於
いて、Vout は旋回外側前輪の車輪速であり、Kp 及び
Kdは車輪速フィードバック制御に於ける比例項及び微
分項の比例定数である。
【数2】Dr =Kp *(Vout −Vwt)+Kd *d(V
out −Vwt)/dt
【0031】ステップ110に於いては旋回外側前輪の
制御弁50FL又は50FRに対し制御信号が出力されるこ
とによってその制御弁が第二の位置に切換え設定される
と共に、同じく旋回外側前輪の開閉弁に対しデューティ
比Dr に対応する制御信号が出力されることにより旋回
外側前輪のホイールシリンダ48FL又は48FRに対する
アキュームレータ圧の給排が制御され、これにより旋回
外側前輪の制動圧が制御される。
【0032】この場合デューティ比Dr が負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには旋回外側前輪の上
流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定され且つ下流側
の開閉弁が第一の位置に保持されることにより、対応す
るホイールシリンダ内の圧力が保持され、デューティ比
が正の基準値以上のときには旋回外側前輪の上流側及び
下流側の開閉弁が図1に示された位置に制御されること
により、対応するホイールシリンダへアキュームレータ
圧が供給されることによって該ホイールシリンダ内の圧
力が増圧され、デューティ比が負の基準値以下であると
きには旋回外側前輪の上流側及び下流側の開閉弁が第二
の位置に切換え設定されることにより、対応するホイー
ルシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管52へ排出さ
れ、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が減圧され
る。
【0033】ステップ120に於いては前回の指令値
(目標スリップ率)が0であるか否かの判別が行われ、
否定判別が行われたときにはステップ130に於いてフ
ラグFe が1にセットされる。ステップ140に於いて
はフラグFe が1であるか否かの判別が行われ、肯定判
別が行われたときにはステップ160へ進み、否定判別
が行われたときにはステップ150に於いて制御弁40
FL、40FR及び開閉弁44FL、44FR、46FL、46FR
が図1に示された位置に設定されることにより、ホイー
ルシリンダ38FL、38FRがマスタシリンダ14に接続
される。
【0034】ステップ160に於いてはホイールシリン
ダ内の圧力Pwiがマスタシリンダ内圧力Pm よりも高い
か否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはス
テップ170に於いて圧力の偏差Pm −Pwiが基準値P
e1(正の定数)未満であるか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ180に於いてデュー
ティ比Dr が1に設定された状態にて制御弁40FL、4
0FRが第二の位置に切換えられホイールシリンダがアキ
ュムレータ36に接続されることによりホイールシリン
ダ内の圧力が増圧され、肯定判別が行われたときにはス
テップ190に於いて図4に示されたルーチンに従って
接続制御が行われる。
【0035】ステップ160に於いて肯定判別が行われ
たときには、ステップ200に於いて圧力の偏差Pwi−
Pm が基準値Pe2(正の定数)未満であるか否かの判別
が行われ、否定判別が行われたときにはステップ210
に於いてデューティ比Dr が1に設定された状態にて制
御弁40FL、40FR、開閉弁44FL、4FR、開閉弁46
FL、46FRが第二の位置に切換えられることによりホイ
ールシリンダ内の圧力が減圧され、肯定判別が行われた
ときにはステップ220に於いて図4に示されたルーチ
ンに従って接続制御が行われる。
【0036】尚基準値Pe2は基準値Pe1と同一であって
もよいが、マスタシリンダに於いて発生する衝撃はPwi
<Pm の場合よりもPwi>Pm の場合の方が高いので、
基準値Pe2は基準値Pe1よりも小さい値に設定されるこ
とが好ましい。
【0037】上述のステップ190又は220に於ける
接続制御のステップ300に於いてはフラグFm が1で
あるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときに
はステップ320へ進み、否定判別が行われたときには
ステップ310に於いてタイマが0にリセットされると
共にフラグFm が1にセットされる。
【0038】ステップ320に於いてはTr を正の定数
としてタイマのカウント値Tが5*Tr を越えているか
否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステ
ップ330に於いてフラグFe 及びFm がリセットされ
ると共にホイールシリンダをマスタシリンダに接続する
ためのデューティ比Dm が1にセットされ、否定判別が
行われたときにはタイマのカウント値Tがサンプリング
タイムTs だけインクリメントされると共にデューティ
比Dm が下記の数3に従って設定される。ステップ35
0に於いてはデューティ比Dm にてホイールシリンダを
マスタシリンダに接続するための制御信号が制御弁及び
開閉弁へ出力される。
【数3】Dm =1− exp(−T/Tr )
【0039】次にそれぞれ図6及び図7に示されたフロ
ーチャートを参照してステップ50及び60のホイール
シリンダ内の圧力推定ルーチン及び圧力補正ルーチンに
ついて説明する。
【0040】図6に示されたフローチャートのステップ
51に於いてはマスタシリンダ圧Pm 導入状態であるか
否かの判別、即ちホイールシリンダがマスタシリンダに
接続された状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別
が行われたときにはステップ53へ進み、肯定判別が行
われたときにはステップ52に於いてTn を正の定数と
してフィルタ係数Rが下記の数4に従って設定されると
共に、ホイールシリンダ内の圧力Pwiが下記の数5に従
って補正される。
【0041】
【数4】R=(Ts /Tn )*Dm
【数5】Pwi=(1−R)*Pwi+Pm *R
【0042】ステップ53に於いてはホイールシリンダ
内の圧力が増圧されているか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ55へ進み、肯定判別
が行われたときにはステップ54に於いてTu を正の定
数としてフィルタ係数Rが下記の数6に従って設定され
ると共に、ホイールシリンダ内の圧力Pwiが下記の数7
に従って補正される。
【0043】
【数6】R=(Ts /Tu )*Dr
【数7】Pwi=(1−R)*Pwi+Pa *R
【0044】ステップ55に於いてはホイールシリンダ
内の圧力が減圧されているか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ60へ進み、肯定判別
が行われたときにはステップ56に於いてTd を正の定
数としてフィルタ係数Rが下記の数8に従って設定され
ると共に、ホイールシリンダ内の圧力Pwiが下記の数9
に従って補正される。
【0045】
【数8】R=(Ts /Td )*Dr
【数9】Pwi=(1−R)*Pwi
【0046】図7に示されたフローチャートのステップ
61に於いてはホイールシリンダがマスタシリンダ14
に接続されていないか否かの判別が行われ、否定判別が
行われたときにはステップ68へ進み、肯定判別が行わ
れたときにはステップ62に於いてタイマのカウント値
C1 がサンプリングタイムTs インクリメントされる。
ステップ63に於いてはタイマのカウント値C1 が基準
値C1a(正の定数)を越えているか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ69へ進み、
肯定判別が行われたときにはステップ64に於いてパル
ス状接続指令出力前のマスタシリンダ圧Pm0が検出済み
であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたとき
にはステップ65に於いてマスタシリンダ圧Pm0が検出
される。
【0047】ステップ66に於いてはホイールシリンダ
圧Pwiとマスタシリンダ圧Pm0との偏差の絶対値が基準
値Pth(正の定数)未満であるか否かの判別が行われ、
肯定判別が行われたときにはステップ67に於いてホイ
ールシリンダをマスタシリンダにパルス状に接続するた
めの指令信号が出力されると共に、タイマのカウント値
C1 が0にリセットされ、フラグFm が1にセットさ
れ、否定判別が行われたときにはステップ68に於いて
タイマのカウント値C1 が0にリセットされると共にマ
スタシリンダ圧Pm0がクリアされる。
【0048】ステップ69に於いてはフラグFm が1で
あるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときに
はステップ70に於いてタイマのカウント値C2 がサン
プリングタイムTs インクリメントされ、否定判別が行
われたときにはステップ71に於いてタイマのカウント
値C2 が0にリセットされる。
【0049】ステップ72に於いてはタイマのカウント
値C2 が基準値C2a(正の定数)を越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ7
5へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ73に
於いてホイールシリンダがマスタシリンダにパルス状に
接続された直後のマスタシリンダ圧Pm1が検出済である
か否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはス
テップ74に於いてマスタシリンダ圧Pm1が検出され
る。
【0050】ステップ75に於いてはタイマのカウント
値C2 が基準値C2b(正の定数)を越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままス
テップ80へ進み、肯定判別が行われたときにはステッ
プ76に於いてマスタシリンダ圧Pm2が検出されると共
に、タイマのカウント値C2 及びフラグFm が0にリセ
ットされる。ステップ77に於いてはホイールシリンダ
内圧力の補正値Pc が下記の数10に従って演算され、
ステップ78に於いてはKc を補正係数として下記の数
11に従ってホイールシリンダ内圧力Pwiが演算され、
ステップ79に於いては圧力Pm0〜Pm2がクリアされ、
しかる後ステップ80へ進む。
【0051】
【数10】Pc =Pm1−(Pm0+Pm2)/2
【数11】Pwi=Pwi+Kc *Pc
【0052】かくして図示の実施形態に於いては、ステ
ップ20に於いて車体のスリップ角β及びスリップ角速
度βd が演算され、ステップ30に於いてこれらの線形
和としてスピンバリューSVが演算され、ステップ40
に於いてスピンバリューSVの絶対値に応じて制動力制
御輪である旋回外側前輪の目標スリップ率Rsfo が演算
され、ステップ50に於いてホイールシリンダ内の圧力
Pwiが推定され、ステップ60に於いて圧力Pwiが補正
され、ステップ80に於いて車輌の旋回挙動が安定であ
るか否かの判別が行われる。
【0053】車輌の旋回挙動がスピンの如き不安定な状
態にあるときにはステップ80に於いて否定判別が行わ
れ、ステップ90に於いて旋回外側前輪の目標車輪速V
wtが演算され、ステップ100に於いて目標車輪速Vwt
を達成するためのデューティ比Dr が演算れ、ステップ
110に於いて旋回外側前輪の車輪速が目標車輪速Vwt
になるようその制動力が制御され、これにより車輌にア
ンチスピンモーメントが与えられることによって車輌の
旋回挙動が安定化される。
【0054】車輌の旋回挙動が安定な状態になると、ス
テップ80に於いて肯定判別が行われることによりステ
ップ120〜220が実行される。特に車輌の旋回挙動
が不安定な状態より安定な状態になった直後に於いて
は、ステップ120に於いて否定判別が行われ、ステッ
プ140に於いて肯定判別が行われ、ホイールシリンダ
圧Pwiとマスタシリンダ圧Pm との大小関係に応じてス
テップ170〜190又はステップ200〜220が実
行される。
【0055】例えばホイールシリンダ圧Pwiがマスタシ
リンダ圧Pm よりPe1以上低いときには、ステップ17
0に於いて否定判別が行われ、ステップ180に於いて
ホイールシリンダがアキュムレータ36と接続されるこ
とによりホイールシリンダ圧が増圧される。この制御に
よりホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との偏差が
Pe1未満になると、ステップ170に於いて肯定判別が
行われ、ステップ190に於いて図4に示されたルーチ
ンに従って接続制御が行われる。
【0056】またホイールシリンダ圧Pwiがマスタシリ
ンダ圧Pm よりPe2以上高いときには、ステップ200
に於いて否定判別が行われ、ステップ210に於いてホ
イールシリンダがリザーバ30と接続されることにより
ホイールシリンダ圧が減圧される。この制御によりホイ
ールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との偏差がPe2未満
になると、ステップ200に於いて肯定判別が行われ、
ステップ220に於いて図4に示されたルーチンに従っ
て接続制御が行われる。
【0057】またステップ190又は220の接続制御
ルーチンに於いては、まずステップ300に於いて否定
判別が行われ、ステップ310が実行された後ステップ
300に於いて否定判別が行われ、ステップ320に於
いて肯定判別が行われるまで、換言すれば図8(A)に
示されている如くデューティ比Dm が実質的に1になる
までステップ340及び350が繰返し実行され、これ
により制御弁40FL、40FR及び開閉弁44FL、44FR
は図8(B)に解図的に示されている如くホイールシリ
ンダ圧を保持する状態とホイールシリンダをマスタシリ
ンダに接続する接続状態とに繰返し切換わると共に、保
持状態の時間的割合を漸次低減するよう制御され、従っ
てホイールシリンダとマスタシリンダとの接続度合が漸
次増大される。
【0058】そしてステップ320に於いて肯定判別が
行われると、ステップ330に於いてデューティ比Dm
が1にセットされると共にフラグFe が0にリセットさ
れ、これによりステップ120及び140に於いて否定
判別が行われ、ステップ150に於いて各制御弁及び開
閉弁が図示の状態に維持される。
【0059】従って図示の実施形態によれば、マスタシ
リンダ圧Pm を横軸としホイールシリンダ圧Pwiを縦軸
とする図9のグラフに於いて、ホイールシリンダ圧が直
線Pwi=Pm −Pe1よりも下方にあるときには、まずホ
イールシリンダがアキュムレータに接続されることによ
って増圧され、直線Pwi=Pm −Pe1より上方になった
段階で接続度合が漸次増大するようホイールシリンダが
マスタシリンダに接続される。逆に図9のグラフに於い
て、ホイールシリンダ圧が直線Pwi=Pm +Pe2よりも
上方にあるときには、まずホイールシリンダがリザーバ
に接続されることによって減圧され、直線Pwi=Pm +
Pe2より下方になった段階で接続度合が漸次増大するよ
うホイールシリンダがマスタシリンダに接続される。
【0060】尚車輌の旋回挙動が安定な状態を継続する
場合には、ステップ120に於いて肯定判別が行われる
と共にステップ140に於いて否定判別が行われ、従っ
てこの場合にはステップ90〜110による挙動制御は
実行されず、ホイールシリンダはマスタシリンダに接続
された状態に維持され、これにより各車輪の制動圧は運
転者によるブレーキペダル12の踏込み量に応じて制御
される。
【0061】また図示の実施形態に於いては、ホイール
シリンダ内圧力Pwiが、図6の推定ルーチンにより、ホ
イールシリンダにマスタシリンダ圧Pm が導入されてい
る状態にあるときにはステップ52に於いて数4及び数
5に従ってデューティ比Dm及びマスタシリンダ圧Pm
に応じて演算され、ホイールシリンダ内の圧力が増圧さ
れているときにはステップ54に於いて数6及び数7に
従ってデューティ比Dr 及びアキュムレータ内の圧力P
a に応じて演算され、ホイールシリンダ内の圧力が減圧
されているときはステップ56に於いて数8及び数9に
従ってデューティ比Dr に応じて演算される。従って各
ホイールシリンダ内の圧力はそれらを検出する圧力セン
サを要することなく推定により求められる。
【0062】更に図示の実施形態に於いては、ホイール
シリンダ内の圧力補正ルーチン(図7)により、図10
に示されている如く、ホイールシリンダがマスタシリン
ダにパルス状に接続される前のマスタシリンダ圧Pm0、
ホイールシリンダがマスタシリンダにパルス状に接続さ
れた直後のマスタシリンダ圧Pm1、ホイールシリンダが
マスタシリンダにパルス状に接続された時点より所定時
間経過後のマスタシリンダ圧Pm2が検出され、それらの
値に基づき数10及び数11に従ってホイールシリンダ
内圧力Pwiが補正される。
【0063】従って図6の推定ルーチンに従って推定さ
れるホイールシリンダ内圧力の推定誤差が低減され、こ
れによりホイールシリンダ内圧力が正確に推定され、ま
たこの場合ホイールシリンダとマスタシリンダとの接続
はパルス状に瞬間的に行われるので、この接続によりマ
スタシリンダに衝撃が与えられることが確実に回避され
る。
【0064】尚上述の実施形態に於ては、左右前輪の制
動力のみが車輌の旋回挙動に応じて制御されるようにな
っているが、四輪全ての制動力が車輌の旋回挙動に応じ
て制御されてもよく、その場合にはステップ50、60
及びステップ120〜220は四輪全てについて例えば
左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の順に時系列的に実行
されてよく、またその場合には四輪全てについてホイー
ルシリンダ内圧力を検出する圧力センサが設けられる場
合に比して、圧力センサやワイヤハーネスの数を低減す
ることができ、これにより制動力制御装置の構造を簡略
化しコストを低減することができる。
【0065】また上述の実施形態に於ては、車輌の旋回
挙動が安定なときにはホイールシリンダがマスタシリン
ダに接続され、車輌の旋回挙動が不安定なときにはホイ
ールシリンダがアキュムレータ又はリザーバに接続され
ることにより左右前輪の制動力が制御されるようになっ
ているが、本発明は車輌の通常状態時にはホイールシリ
ンダがマスタシリンダに接続され、車輌の所定状態時に
はホイールシリンダが高圧源又はリザーバに接続される
ことにより制動力を制御する任意の制動力制御装置に適
用されてよいものである。
【0066】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0067】例えば図示の実施形態に於ては、左右前輪
のホイールシリンダ内の圧力は図6及び図7のルーチン
に従って推定されるようになっているが、各輪のホイー
ルシリンダ内の圧力が圧力センサにより検出され、これ
によりステップ50及び60が省略されてもよい。
【0068】
【0069】更に図示の実施形態に於いては、圧力Pm1
はマスタシリンダに対するホイールシリンダのパルス状
接続開始時点よりC2aが経過した時点のマスタシリンダ
圧として検出されるようになっているが、圧力Pm1はパ
ルス状接続開始時点より所定時間C2bが経過するまでの
間に於けるマスタシリンダ圧の最大値として検出されて
もよい。
【0070】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、車輌が所定状態より通常
状態になる際にはホイールシリンダ圧Pwとマスタシリ
ンダ圧Pmとの偏差が所定の範囲内になった段階に於い
てホイールシリンダがマスタシリンダに接続されるの
で、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との間の差
圧に起因してマスタシリンダ等に衝撃が発生することを
確実に防止することができ、特に車輌が所定状態より通
常状態になる際のホイールシリンダ圧Pw とマスタシリ
ンダ圧Pm との偏差が所定の範囲外であり且つPw <P
m であるときには、接続手段によってホイールシリンダ
が高圧源に接続されることによりホイールシリンダ圧が
増圧されるので、車輌が所定状態より通常状態になる際
のホイールシリンダ圧がマスタシリンダ圧よりも低くこ
れらの圧力の偏差が所定の範囲外であるときにも確実に
且つ比較的早く圧力の偏差を所定の範囲内に収めること
ができ、これによりホイールシリンダを確実に且つ比較
的早くマスタシリンダに接続することができる。
【0071】また請求項2の構成によれば、車輌が所定
状態より通常状態になる際のホイールシリンダ圧Pw と
マスタシリンダ圧Pm との偏差が所定の範囲外であり且
つPw <Pm であるときには第一の接続手段によってホ
イールシリンダが高圧源に接続されることによりホイー
ルシリンダ圧が増圧され、偏差が所定の範囲外であり且
つPw >Pm であるときには第一の接続手段によってホ
イールシリンダがリザーバに接続されることによりホイ
ールシリンダ圧が減圧され、偏差が所定の範囲内である
ときには第二の接続手段によりホイールシリンダがマス
タシリンダに接続され、第二の接続手段はホイールシリ
ンダ圧を保持する保持状態とホイールシリンダをマスタ
シリンダに接続する接続状態とに繰り返し切換わると共
に保持状態の時間的割合を漸次低減するので、車輌が所
定状態より通常状態になる際のホイールシリンダ圧とマ
スタシリンダ圧との偏差が所定の範囲外であるときにも
確実に且つ比較的早く圧力の偏差を所定の範囲内に収
め、これによりホイールシリンダが確実に且つ比較的早
くマスタシリンダに接続することができ、また圧力の偏
差が所定の範囲内になってもホイールシリンダとマスタ
シリンダとの接続度合が漸次大きくなるよう制御され、
これによりマスタシリンダ等に衝撃が発生することを確
実に防止することができる。
【0072】また請求項3の構成によれば、第一及び第
二の接続手段の作動状況に基づきホイールシリンダ圧が
推定されるので、各輪のホイールシリンダ圧を検出する
圧力センサ等を要することなくホイールシリンダ圧を求
めることができ、各輪毎にホイールシリンダ圧を検出す
る圧力センサが設けられる場合に比して制動力制御装置
の構造を簡略化しコストを低減することができる。
【0073】更に請求項4の構成によれば、第二の接続
手段によりホイールシリンダがマスタシリンダに瞬間的
に接続されたときのマスタシリンダ圧Pm の変動に基づ
きホイールシリンダ圧の推定値が補正されるので、かか
る補正が行われない場合に比してホイールシリンダ圧を
正確に求めることができ、これによりマスタシリンダ等
に衝撃が発生することを適確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制動力制御装置の一つの実施形態
の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図であ
る。
【図2】挙動制御装置として構成された実施形態に於け
る制動力制御ルーチンの一部を示すフローチャートであ
る。
【図3】挙動制御装置として構成された実施形態に於け
る制動力制御ルーチンの残りの部分を示すフローチャー
トである。
【図4】図3に示されたフローチャートの接続制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図5】スピンバリューSVの絶対値と目標スリップ率
Rsfo との間の関係を示すグラフである。
【図6】図示の実施形態に於けるホイールシリンダ内圧
力推定ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図示の実施形態に於けるホイールシリンダ内圧
力補正ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】デューティ比Dm の変化(A)及びホイールシ
リンダとマスタシリンダとの接続状態の変化(B)を示
すグラフである。
【図9】マスタシリンダ圧Pm 及びホイールシリンダ圧
Pwiと増減圧及びマスタシリンダへの漸次接続との関係
を示すグラフである。
【図10】パルス状接続とマスタシリンダ圧Pm0、Pm
1、Pm2の検出タイミングとの間の関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 18、20、26、28…ブレーキ油圧制御装置 34…オイルポンプ 38FL、38FR、38RL、38RR…ホイールシリンダ 40FL、40FR、40RL、40RR…制御弁 44FL、44FR、44RL、44RR…開閉弁 46FL、46FR、46RL、46RR…開閉弁 50…電気式制御装置 56…車速センサ 58…横加速度センサ 60…ヨーレートセンサ 62…操舵角センサ 64FL〜64RR…車輪速センサ 66、68…圧力センサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−112113(JP,A) 特開 平8−198075(JP,A) 特開 昭60−213550(JP,A) 特開 平4−243649(JP,A) 特開 平6−199213(JP,A) 特開 平6−156226(JP,A) 特開 平6−199213(JP,A) 実開 平5−54139(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/24 B60T 8/48 B60T 8/58

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌の通常状態時にはホイールシリンダが
    マスタシリンダに接続され、車輌の所定状態時には前記
    ホイールシリンダが高圧源又はリザーバに接続されるこ
    とにより制動力を制御する車輌の制動力制御装置に於い
    て、車輌が所定状態より通常状態になる際にはホイール
    シリンダ圧Pwとマスタシリンダ圧Pmとの偏差が所定の
    範囲内になった段階に於いて前記ホイールシリンダを前
    記マスタシリンダに接続する接続手段を有し、前記接続
    手段は前記偏差が所定の範囲外であり且つPw<Pm で
    あるときには前記ホイールシリンダを前記高圧源に接続
    して前記ホイールシリンダ圧を増圧するよう構成され
    いることを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. 【請求項2】車輌の通常状態時にはホイールシリンダが
    マスタシリンダに接続され、車輌の所定状態時には前記
    ホイールシリンダが高圧源又はリザーバに接続されるこ
    とにより制動力を制御する車輌の制動力制御装置に於い
    て、ホイールシリンダ圧Pwを検出する手段と、マスタ
    シリンダ圧Pm を検出する手段と、車輌が所定状態より
    通常状態になる際に前記ホイールシリンダ圧Pw と前記
    マスタシリンダ圧Pmとの偏差を求める偏差算出手段
    と、前記偏差が所定の範囲外であり且つPw <Pm であ
    るときには前記ホイールシリンダを前記高圧源に接続し
    て前記ホイールシリンダ圧を増圧し、前記偏差が所定の
    範囲外であり且つPw >Pm であるときには前記ホイー
    ルシリンダを前記リザーバに接続して前記ホイールシリ
    ンダ圧を減圧する第一の接続手段と、前記偏差が所定の
    範囲内であるときには前記ホイールシリンダを前記マス
    タシリンダに接続する第二の接続手段とを有し、前記第
    二の接続手段は前記ホイールシリンダ圧を保持する保持
    状態と前記ホイールシリンダを前記マスタシリンダに接
    続する接続状態とに繰り返し切換わると共に保持状態の
    時間的割合を漸次低減するよう構成されていることを特
    徴とする車輌の制動力制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の車輌の制動力制御装置に
    於て、前記ホイールシリンダ圧Pwを検出する手段は前
    記第一及び第二の接続手段の作動状況に基づき前記ホイ
    ールシリンダ圧を推定するよう構成されていることを特
    徴とする車輌の制動力制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3の車輌の制動力制御装置に於て、
    前記第二の接続手段を瞬間的に作動させる手段と、前記
    第二の接続手段が瞬間的に作動されたときの前記マスタ
    シリンダ圧Pm の変動に基づき前記推定された前記ホイ
    ールシリンダ圧を補正するよう構成されていることを特
    徴とする車輌の制動力制御装置。
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