JP3635886B2 - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細にはマスタシリンダ、レギュレータ及び高圧源を液圧源としてホイールシリンダ内圧力を制御する制動力制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に於いて、マスタシリンダを液圧源としてホイールシリンダ内圧力を制御する通常制御と、マスタシリンダとホイールシリンダとの連通を遮断しレギュレータ圧を液圧源としてホイールシリンダ内圧力を制御するアンチロックブレーキ(ABS)制御と、マスタシリンダと制御対象車輪のホイールシリンダとの連通を遮断し高圧源を液圧源として制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御することにより車輌の挙動を安定化させる挙動制御とを行う制動力制御装置が従来より知られている。
【0003】
上述の三つの機能を備えた制動力制御装置は、一般に、圧力源をレギュレータ圧に設定するレギュレータ圧接続位置と圧力源を高圧源に設定する高圧源接続位置とを有する圧力源制御弁と、前輪のホイールシリンダとマスタシリンダとを接続する通常位置と前輪のホイールシリンダと圧力源とを接続する制御位置とに切替わる切換え弁と、各輪のホイールシリンダ内圧力を制御する増減圧制御弁とを有し、ABS制御時には切換え弁を制御位置に切換え且つ圧力源制御弁をレギュレータ圧接続位置に切換えて制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御し、挙動制御時には切換え弁を制御位置に切換え且つ圧力源制御弁を高圧源接続位置に切換えて旋回内側前輪を基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御することによりスピン又はドリフトアウトを抑制するヨーモーメントを車輌に与える車輌の挙動制御を行う。
【0004】
かかる制動力制御装置の一つとして、例えば本願出願人により平成7年8月31日に発行された「クラウンマジェスタ新型解説書」の第2−64頁に記載されている如く、前輪のABS制御終了時には今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間以内であり且つブレーキペダルが踏み込まれた状態にあるときには切換え弁を制御位置に維持するパワー圧保持モード(PHモードと略称する)を有する制動力制御装置も既に知られている。
【0005】
従来の一般的な制動力制御装置に於いてABS制御が断続的に繰り返し行われると、マスタシリンダよりホイールシリンダへの作動流体の供給及びホイールシリンダよりリザーバへの作動流体の排出が繰り返されるので、マスタシリンダ内の作動流体が漸次減少することに起因してブレーキペダルのボトミングが発生する。これに対し上述のPHモードを有する制動力制御装置によれば、ABS制御が断続的に繰り返し行われても、作動流体はレギュレータより供給され、マスタシリンダ内の作動流体が漸次減少することがないので、ブレーキペダルのボトミングを確実に防止することができる。
【0006】
尚ABS制御が断続的に繰り返し行われる場合には、前輪の増減圧制御弁を閉弁させ、マスタシリンダよりホイールシリンダへの作動流体の供給を阻止することによってもブレーキペダルのボトミングを防止することができるが、その場合には運転者によりブレーキペダルが踏み込まれても前輪のホイールシリンダ内圧力が上昇しないため、運転者の制動意思を反映させることができず、従ってこの点についても上述のPHモードは好ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述のPHモードを有する従来の制動力制御装置に於ては、旋回内側前輪がPHモードにあるときには該車輪の増減圧制御弁は増圧位置、即ち旋回内側前輪のホイールシリンダを圧力源に接続する位置にあるため、旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪とする挙動制御が行われ圧力源制御弁が高圧源接続位置に設定されている状況に於いて旋回内側前輪がPHモードになる場合や、旋回内側前輪がPHモードにある状況に於いて旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪とする挙動制御が行われ圧力源制御弁が高圧源接続位置に設定される場合には、旋回内側前輪のホイールシリンダに高圧源の作動流体が供給され、該ホイールシリンダ内の圧力が急峻に上昇する。
【0008】
しかるに挙動制御は一般に旋回内側前輪を基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御することにより行われるので、旋回内側前輪の制動圧の上昇に対応して制御対象車輪の制動圧も上昇し、車輌の運転者は旋回内側前輪がPHモードになる程度の緩制動を意図しているにも拘らず、全体として各車輪のホイールシリンダ内圧力がマスタシリンダ圧よりも高くなり、その結果車輌の減速度が過剰に上昇してドライバビリティが悪化するという問題がある。
【0009】
本発明は、PHモードを有する従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪とする挙動制御と旋回内側前輪のPHモードによる制御とが同時に行われる場合に旋回内側前輪の制動圧が急増することを防止することにより、車輌の減速度が過剰に上昇することを防止することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の如き主要な課題は、本発明によれば、上記請求項1の構成、即ち圧力源をレギュレータ圧に設定するレギュレータ圧接続位置と前記圧力源を高圧源に設定する高圧源接続位置とを有する圧力源制御弁と、前輪のホイールシリンダとマスタシリンダとを接続する通常位置と前輪のホイールシリンダと前記圧力源とを接続する制御位置とに切替わる切換え弁と、各輪のホイールシリンダ内圧力を制御する増減圧制御弁とを有し、ABS制御時には前記切換え弁を前記制御位置に切換え且つ前記圧力源制御弁を前記レギュレータ圧接続位置に切換えて制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御し、挙動制御時には前記切換え弁を前記制御位置に切換え且つ前記圧力源制御弁を前記高圧源接続位置に切換えて旋回内側前輪を基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御することにより車輌の挙動制御を行い、前輪のABS制御が終了する場合であって今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間以内であり且つブレーキペダルが踏み込まれた状態にあるときには前記切換え弁を前記制御位置に維持する制御位置維持モードを有する車輌の制動力制御装置にして、旋回内側前輪が前記制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪として挙動制御を行うときには、前記圧力源制御弁を前記高圧源接続位置に設定し、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増圧するよう旋回内側前輪の増減圧制御弁を制御することを特徴とする車輌の制動力制御装置によって達成される。
【0011】
上述の請求項1の構成によれば、旋回内側前輪が制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象とする挙動制御が行われるときには、圧力源制御弁が高圧源接続位置に設定されるが、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増圧されるので、挙動制御の基準にされる旋回内側前輪の制動圧が急増することに起因して車輌の減速度が過剰に上昇することが確実に防止される。
【0012】
尚運転者によりブレーキペダルの踏み込み量が低減されると、旋回内側前輪の制御位置維持モードが解除されるので、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力の緩増圧も終了し、従って運転者の意思に反して必要以上に長く旋回内側前輪の制動圧の緩増圧が継続することはない。
【0013】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、切換え弁は左前輪及び右前輪の各々に設けられる(好ましい態様1)。
【0014】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、増減圧制御弁はホイールシリンダとマスタシリンダ又は圧力源とを接続する増圧位置と、ホイールシリンダ内圧力の変動を阻止する保持位置と、ホイールシリンダとリザーバとを接続する減圧位置とを有し、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力の緩増圧はその増減圧制御弁が保持位置と増圧位置との間に所定のデューティ比にて制御されることにより行われるよう構成される(好ましい態様2)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、増減圧制御弁はホイールシリンダとマスタシリンダ又は圧力源との連通を制御する増圧用開閉弁と、ホイールシリンダとリザーバとの連通を制御する減圧用開閉弁とよりなるよう構成される(好ましい態様3)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明による制動力制御装置の一つの実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。尚図1に於いては、電磁的に駆動される各弁のソレノイドの図示は省略されている。
【0018】
図1に於て、10は油圧式の制動装置を示しており、制動装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14と、マスタシリンダ内のオイル圧力に対応する圧力(レギュレータ圧)にブレーキオイルを増圧するハイドロブースタ16とを有している。マスタシリンダ14には前輪用のブレーキ油圧制御導管18の一端が接続され、ブレーキ油圧制御導管18の他端には左前輪用のブレーキ油圧制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20FRが接続されている。導管20FL及び20FRの途中にはそれぞれ3ポート2位置切換え型の電磁式の切換え弁22FL、22FRが設けられており、これらの導管の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ24FL及び24FRが接続されている。
【0019】
ハイドロブースタ16には途中に制御弁26を有するレギュレータ圧供給導管28の一端が接続されており、導管28の他端には左後輪用のブレーキ油圧制御導管30RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管30RRが接続されている。導管30RL及び30RRの他端にはそれぞれ左後輪及び右後輪の制動力を制御するホイールシリンダ24RL及び24RRが接続されている。制御弁26近傍の導管28にはハイドロブースタ16より導管30RL及び30RRへ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管32が接続されている。
【0020】
レギュレータ圧供給導管28には途中に制御弁34を有する高圧導管36の一端が接続されており、高圧導管36の他端は図には示されていない原動機により駆動されるオイルポンプ38に接続されている。尚図示の実施形態に於いては、制御弁26は常開型の電磁開閉弁であり、制御弁34は常閉型の電磁開閉弁である。また制御弁26が開弁され閉弁されるときには、実質的にこれと同時に制御弁34がそれぞれ閉弁され開弁される。
【0021】
オイルポンプ38はリザーバ40に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧のオイルとして高圧導管36へ供給する。高圧導管36はリリーフ導管42によりハイドロブースタ16に接続されており、リリーフ導管42はハイドロブースタ16内の圧力が過剰になると開弁する図には示されていないリリーフ弁を有している。また高圧導管36は途中にリリーフ弁44を有するリリーフ導管46によりリザーバ40に接続されている。更に高圧導管36にはオイルポンプ38より吐出される高圧のオイルをアキュムレータ圧として蓄圧するアキュムレータ48が接続されている。
【0022】
導管20FL及び20FRの途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(増圧弁)50FL及び50FRが設けられている。リザーバ40に接続されたリターン導管52と導管20FL及び20FRとの間にはそれぞれ左前輪用の接続導管54FL及び右前輪用の接続導管54FRが接続されている。接続導管54FL及び54FRの途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁(減圧弁)56FL及び56FRが設けられている。電磁開閉弁50FL及び50FR近傍の導管20FL及び20FRには、それぞれホイールシリンダ24FL及び24FRよりマスタシリンダ14の側へ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管58FL及び58FRが接続されている。
【0023】
同様に導管30RL及び30RRの途中には常開型の電磁開閉弁(増圧弁)50RL及び50RRが設けられている。リターン導管52と導管30RL及び30RRとの間にはそれぞれ左後輪用の接続導管54RL及び右後輪用の接続導管54RRが接続されている。接続導管54RL及び54RRの途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁(減圧弁)56RL及び56RRが設けられている。電磁開閉弁50RL及び50RR近傍の導管30RL及び30RRには、それぞれホイールシリンダ24RL及び24RRよりハイドロブースタ16の側へ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管58RL及び58RRが接続されている。
【0024】
図1に示されている如く、制御弁22FL及び22FRはそれぞれブレーキ油圧制御導管20FL及び20FRの連通を許す第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管20FL及び20FRの連通を遮断すると共に導管36F 、36FL、36FRを経てレギュレータ圧供給導管28とホイールシリンダ24FL及び24FRとを連通接続する第二の位置とに切り替わるようになっている。
【0025】
特に図示の実施形態に於いては、切換え弁22FL及び22FRは対応するソレノイドに駆動電流が通電されていないときには、換言すれば通常時には第一の位置に設定され、これによりホイールシリンダ24FL及び24FRにはマスタシリンダ圧が供給される。同様に制御弁26及び34も通常時には図1に示された第一の位置にあり、ホイールシリンダ24RL及び24RRにはレギュレータ圧が供給される。従って通常時には各輪のホイールシリンダ内の圧力、即ち制動力はブレーキペダル12の踏力に応じて増減される。
【0026】
また切換え弁22FL及び22FRが第二の位置に切り換えられ、制御弁26及び34が第一の位置にあり、各輪の開閉弁が図1に示された位置にあるときには、ホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RRにはレギュレータ圧が供給される。従ってこの場合にも各輪の制動力は実質的にブレーキペダルの踏力に応じて増減される。
【0027】
これに対し切換え弁22FL、22FR及び制御弁26、34が第二の位置に切り換えられ、各輪の開閉弁が図1に示された位置にあるときには、ホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RRにはアキュムレータ圧が供給されるようになるので、各輪の制動力はブレーキペダルの踏力に関係なく各輪の開閉弁の開閉により増減される。
【0028】
特にホイールシリンダ内の圧力は開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR及び開閉弁56FL、56FR、56RL、56RRが図1に示された第一の位置にあるときには増圧され(増圧モード)、開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRが第二の位置に切り換えられ且つ開閉弁56FL、56FR、56RL、56RRが図1に示された第一の位置にあるときには保持され(保持モード)、開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR及び開閉弁56FL、56FR、56RL、56RRが第二の位置に切り換えられると減圧される(減圧モード)。
【0029】
かくして制御弁26及び34は互いに共働して制御元油圧としての圧力源をレギュレータ圧とアキュムレータ圧との間に切り換える圧力源制御弁を構成している。また開閉弁50FL〜50RR及び開弁56FL〜56RRはそれぞれ互いに共働して対応するホイールシリンダ内の圧力を増圧し保持し減圧する増減圧制御弁を構成している。尚これらの開閉弁はそれぞれ上記増圧モード、保持モード、減圧モードに対応する増圧位置、保持位置、減圧位置を有する一つの切換え弁に置き換えられてもよい。
【0030】
切換え弁22FL及び22FR、制御弁26及び34、開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR及び開閉弁56FL、56FR、56RL、56RRは、後に詳細に説明する如く電気式制御装置70により制御される。電気式制御装置70はマイクロコンピュータ72と駆動回路74とよりなっており、マイクロコンピュータ72は図1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
【0031】
マイクロコンピュータ72の入出力ポート装置には車速センサ76より車速Vを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた横加速度センサ78より車体の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ80より車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ82より操舵角θを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた前後加速度センサ84より車体の前後加速度Gx を示す信号、車輪速度センサ86FL〜86RRよりそれぞれ左右前輪及び左右後輪の車輪速度(周速)Vwi( i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、ストップランプ(ST)スイッチ88よりブレーキペダル12が踏み込まれているか否かを示す信号が入力されるようになっている。尚横加速度センサ78及びヨーレートセンサ80等は車輌の左旋回方向を正として横加速度等を検出し、前後加速度センサ84は車輌の加速方向を正として前後加速度を検出するようになっている。
【0032】
またマイクロコンピュータ72のROMは後述の如く種々の制御フロー及びマップを記憶しており、CPUは上述の種々のセンサにより検出されたパラメータに基づき後述の如く種々の演算を行い、車輌の旋回挙動を判定すると共に、車輌がスピン状態又はドリフトアウト状態にあるときには旋回内側前輪の車輪速度を基準車輪速度として旋回挙動を安定化させるための各車輪の目標スリップ率を演算し、これにより電気式制御装置70は各車輪の制動力を目標スリップ率に基づき制御し車輌にスピン抑制方向又はドリフトアウト抑制方向のヨーモーメントを与えて挙動を安定化させる。
【0033】
また電気式制御装置70は、各車輪の車輪速度に基づきABS制御の基準車輪速度及び各車輪のスリップ率を演算し、何れかの車輪のスリップ率が過大であるときには、切換え弁22 FL 及び22 FR を第二の位置に設定し、制御弁26及び34を第一の位置に維持し、開閉弁50 FL 〜50 RR 及び56 FL 〜56 RR により当該車輪の制動圧を制御してスリップ率を所定の範囲内に制御するABS制御を行う。
【0034】
また電気式制御装置70は、前輪のABS制御終了時には今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間以内であり且つストップランプスイッチ88がオン状態にあるときには切換え弁22FL又は22FRを第二の位置に維持するPHモードの制御を行い、特に旋回内側前輪がPHモードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪として挙動制御を行うときには、制御弁26及び34を第二の位置に設定し、旋回内側前輪のホイールシリンダ24FL又は24FR内の圧力が緩増圧するよう旋回内側前輪の開閉弁50FL又は50FRを制御する。
【0035】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける制動力制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0036】
まずステップ10に於いては車速センサ76により検出された車速Vを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては図3に示されたフローチャートによるルーチンに従って車輌の挙動制御が必要であるか否かの判別が行われ、挙動制御が不要である旨の判別が行われたときにはステップ80へ進み、挙動制御が必要である旨の判別が行われたときにはステップ40へ進む。
【0037】
ステップ40に於いては旋回内側前輪が図5に示されたABS制御ルーチンに従ってPHモードにて制御されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ50に於いて旋回内側前輪の切換え弁22FL又は22FLがオフに切り換えられ又はオフに維持され、肯定判別が行われたときにはステップ60に於いて制御弁26及び34がオンに切り換えられ又はオンに維持された状態にて旋回内側前輪の制御弁(増圧弁)50FL又は50FRがオンに切り換えられ又はオンに維持されると共に所定の一定のデューティ比にて開弁され、これにより旋回内側前輪のホイールシリンダ24FL又は24FR内の圧力が緩増圧される。
【0038】
ステップ70に於いては、図4に示されたフローチャートによる挙動制御ルーチンに従って必要な挙動制御、即ちスピン抑制制御又はドリフトアウト抑制制御が実行され、これにより車輌の不安定な挙動が安定化される。
【0039】
ステップ80に於いてはステップ40の場合と同様、旋回内側前輪がPHモードにて制御されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ90に於いて旋回内側前輪の切換え弁22FL又は22FRがオフに切り換えられ又はオフに維持され、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いて旋回内側前輪の切換え弁22FR又は22FRがオンに切り換えられ又はオンに維持される。
【0040】
尚この制動力制御ルーチンに於ける旋回内側の判定は、例えばヨーレートセンサ80により検出されるヨーレートγ又は横加速度センサ78により検出される横加速度Gy の符号により行われてよい。
【0041】
図3に示されたフローチャートによる要挙動制御判定ルーチンのステップ21に於いては、横加速度Gy と車速V及びヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算され、横すべり加速度Vydが積分されることにより車体の横すべり速度Vy が演算され、更に車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横すべり速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが演算される。
【0042】
ステップ22に於いてはK1 及びK2 をそれぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり加速度Vydの線形和K1 *β+K2 *Vydとしてスピン量SVが演算され、ステップ23に於いてはヨーレートγの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状態量SSが車輌の左旋回時にはSVとして、車輌の右旋回時には−SVとして演算され、演算結果が負の値のときにはスピン状態量は0とされる。尚スピン量SVは車体のスリップ角β及びその微分値βd の線形和として演算されてもよい。
【0043】
ステップ24に於いてはKh をスタビリティファクタとし、Hをホイールベースとし、Rg をステアリングギヤ比として下記の数1に従って目標ヨーレートγc が演算されると共に、Tを時定数としsをラプラス演算子として下記の数2に従って基準ヨーレートγt が演算される。尚目標ヨーレートγc は動的なヨーレートを考慮すべく車輌の横加速度Gy を加味して演算されてもよい。
【0044】
【数1】
γc =V*θ/(1+Kh *V2 )*H/Rg
【数2】
γt =γc /(1+T*s)
【0045】
ステップ25に於いては下記の数3に従ってドリフトバリューDVが演算される。尚ドリフトバリューDVは下記の数4に従って演算されてもよい。
【0046】
【数3】
DV=(γt −γ)
【数4】
DV=H*(γt −γ)/V
【0047】
ステップ26に於いてはヨーレートγの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、ドリフトアウト状態量DSが車輌の左旋回時にはDVとして、車輌の右旋回時には−DVとして演算され、演算結果が負の値のときにはドリフトアウト状態量は0とされる。
【0048】
ステップ27に於いてはスピン状態量SSに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより旋回外側前輪のスリップ率目標値Rssfoが演算され、ステップ28に於いてはドリフトアウト状態量DSに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより車輌全体のスリップ率目標値Rsallが演算される。
【0049】
ステップ29に於いてはKsri を旋回内側後輪の分配率として下記の数5に従って旋回外側前輪、旋回内側前輪、旋回外側後輪、旋回内側後輪の目標スリップ率Rsfo 、Rsfi 、Rsro 、Rsri が演算される。
【数5】
Rsfo =Rssfo
Rsfi =0
Rsro =(Rsall−Rssfo)*(100−Ksri )/100
Rsri =(Rsall−Rssfo)*Ksri /100
【0050】
ステップ30に於いてはヨーレートγの符号に基づき車輌の旋回方向が判定されることにより旋回内外輪が特定され、その特定結果に基づき各輪の最終目標スリップ率Rsi(i=fr、fl、rr、rl)が演算される。即ち最終目標スリップ率Rsiが車輌の左旋回の場合及び右旋回の場合についてそれぞれ下記の数6及び数7に従って求められる。
【0051】
【数6】
Rsfr =Rsfo
Rsfl =Rsfi
Rsrr =Rsro
Rsrl =Rsri
【数7】
Rsfr =Rsfi
Rsfl =Rsfo
Rsrr =Rsri
Rsrl =Rsro
【0052】
ステップ31に於いては何れかの最終目標スリップ率Rsiが正であるか否か(全てのRsiが0ではないか否か)の判別、即ち挙動制御が必要であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ40へ進み、否定判別が行われたときにはステップ80へ進む
【0053】
図4に示されたフローチャートによる挙動制御ルーチンのステップ71に於いては、旋回内側前輪の車輪速度を基準車輪速度Vb として下記の数8に従って当該車輪の目標車輪速度Vwti が演算される。
【数8】
Vwti =Vb *(100−Rsi)/100
【0054】
ステップ72に於いてはVwid を当該車輪の車輪加速度(Vwiの微分値)とし、Ks を正の一定の係数として下記の数9に従って当該車輪の目標スリップ量SPi が演算され、ステップ73に於いては図8に示されたグラフに対応するマップより当該車輪のデューティ比Driが演算される。
【数9】
SPi =Vwi −Vwti +Ks *(Vwid −Gx )
【0055】
ステップ74に於いては切換え弁22FL、22FR及び制御弁26、34が第二の位置に切換え設定されて制御元油圧としてアキュムレータ圧が導入されると共に、対応する車輪の開閉弁に対しデューティ比Driに対応する制御信号が出力されることにより、対応するホイールシリンダ24FR〜24RLに対するアキュームレータ圧の給排が制御され、これにより各車輪の制動圧が制御される。
【0056】
この場合デューティ比Driが負の基準値と正の基準値との間の値であるときには上流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定され且つ下流側の開閉弁が第一の位置に保持されることにより、対応するホイールシリンダ内の圧力が保持され、デューティ比が正の基準値以上のときには上流側及び下流側の開閉弁が図1に示された位置に制御されることにより、対応するホイールシリンダへアキュームレータ圧が供給されることによって該ホイールシリンダ内の圧力が増圧され、デューティ比が負の基準値以下であるときには上流側及び下流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定されることにより、対応するホイールシリンダ内のブレーキオイルがリターン導管52へ排出され、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が減圧される。
【0057】
次に図5に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるABS制御ルーチンについて説明する。尚図5に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に例えば左前輪(i=fl)、右前輪(i=fr)、左後輪(i=rl)、右後輪(i=rr)の順に繰返し実行される。
【0058】
まずステップ210に於いては車輪速度センサ86FL〜86RRにより検出された車輪速度Vwiを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いては例えば推定車体速度Vs が演算され、推定車体速度Vs と当該車輪の車輪速度Vwiとの偏差Vs −Vwiが基準値Vwo(正の定数)を越えているか否かの判別により、当該車輪についてABS制御が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ240へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ230に於いて当該車輪についてABS制御が実行される。
【0059】
尚この場合推定車体速度Vs は従来よりABS制御に於いて一般に採用されている演算方法により演算されてよく、例えば四輪の車輪速度Vwiの平均値をVsbとして演算し、Vs(n-1)を1サイクル前の推定車体速度とし、Vsa及びVsbをそれぞれ正の定数として、Vs(n-1)−Vsa、Vsb、Vs(n-1)+Vsbのうち中間値を選択することにより演算されてよい。
【0060】
またABS制御も当技術分野に於いてよく知られているので、その詳細な説明を省略するが、ABS制御に於いては例えば制御弁26及び34が第一の位置に維持されて制御元油圧がレギュレータ圧に設定され、対応する開閉弁56FL〜56RRが予め設定されたデューティ比にて開閉されることにより、対応するホイールシリンダ26FL〜26RRの圧力が漸減される。
【0061】
ステップ240に於いては当該車輪が前輪であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ210へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ250へ進む。ステップ250に於いてはフラグFp が1であるか否かの判別、即ちPHモード中であるかの否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ280へ進み、否定判別が行われたときにはステップ260へ進む。
【0062】
ステップ260に於いてはPHモードの開始条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ280へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ270に於いてフラグFp が1にセットされた後ステップ280へ進む。
【0063】
尚PHモードの開始条件が成立しているか否かの判別は、例えば下記の三つの条件が全て満たされているか否かの判別により行われてよい。
(A−1)ABS制御中よりABS非制御中に変化したこと
(A−2)ストップランプスイッチ88がオン状態にあること
(A−3)前回のABS制御の終了時点より例えば10秒の如き所定の時間Ta 以内であること
【0064】
ステップ280に於いてはPHモードの解除条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ300へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ290に於いてフラグFp が0にリセットされた後ステップ300へ進む。
【0065】
尚PHモードの解除条件が成立しているか否かの判別は、下記の三つの条件の何れかが成立しているか否かの判別により行われてよい。
(B−1)ストップランプスイッチ88がオフであること
(B−2)車速Vが基準値Vc (正の定数)以下であること
(B−3)PHモードが所定の時間Tb (正の定数)以上継続していること
【0066】
ステップ300に於いてはフラグFp が1であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ310に於いて対応する制御弁22FL又は22FRをオン状態に維持するPHモードが実行され、否定判別が行われたときにはステップ320に於いてPHモードが解除され又はPHモードが解除された状態に維持される。
【0067】
かくしてこの実施形態によれば、車輌の旋回挙動が安定な状態にあり、何れの車輪も過剰なスリップ状態にはなく、旋回内側前輪がPHモードの制御中でもないときには、ステップ20及び80に於いて否定判別が行われ、従ってこの場合にはステップ70(71〜74)による挙動制御、ステップ230によるABS制御及びステップ310による前輪のPHモードの制御は実行されず、これにより各車輪の制動圧は運転者によるブレーキペダル12に対する踏力に応じて制御される。
【0068】
また車輌の旋回挙動が安定な状態にある状況に於いて、運転者によりブレーキペダルの過剰な踏み込み操作が行われたときには、ステップ31に於いて否定判別が行われ、挙動制御は実行されないが、ステップ220に於いて肯定判別が行われ、ステップ230に於いてABS制御が行われ、これにより各車輪のスリップ率が所定の範囲内になるよう制動圧が制御される。
【0069】
これに対し、車輌の旋回挙動が不安定な状態にあるが運転者によるブレーキペダルの過剰な踏み込み操作が行われていないときには、ステップ220に於いて否定判別が行われることにより、ステップ230のABS制御は実行されないが、ステップ31に於いて肯定判別が行われ、ステップ40に於いて否定判別が行われ、これによりステップ70に於いて挙動制御が実行されることにより車輌の旋回挙動が安定化される。
【0070】
即ち、ステップ21〜23に於いて車体のスリップ角β等に基づいてスピン状態量SSが演算され、またステップ24〜26に於いて実ヨーレートγ等に基づいてドリフトアウト状態量DSが演算され、ステップ27〜31及びステップ71〜74に於いてスピン状態量及びドリフトアウト状態量の両方に基づき各車輪の制動力が制御され、これによりスピン状態及びドリフトアウト状態の何れの場合にもそれらの不安定な挙動が低減される。
【0071】
例えば車輌がスピン状態になると、旋回外側前輪及び旋回外側後輪に制動力が与えられることによって車輌にスピン低減方向のヨーモーメントが与えられ、これによりスピン状態が低減される。また車輌がドリフトアウト状態になると、左右後輪に大きさの異なる制動力が与えられることによって車輌が減速されると共に車輌に旋回補助方向のヨーモーメントが与えられ、これによりドリフトアウト状態が低減される。
【0072】
また前輪のABS制御が終了する場合であって、今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間Ta 以内ではなく、或いはストップランプスイッチ88がオフ状態にあるときには、ブレーキペダル12のボトミング発生の虞れが低いので、対応する切換え弁22FR又は22FLが第二の位置に維持されるPHモードの制御が行われることなく、ホイールシリンダ24FL又は24FRがマスタシリンダ14と接続される。
【0073】
これに対し前輪のABS制御が終了する場合であって、今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間Ta 以内であり且つストップランプスイッチ88がオン状態にあるときには、対応する切換え弁22FR又は22FLが第二の位置に維持されるPHモードの制御が行われ、これによりABS制御の断続的な繰返しによりマスタシリンダ14内のオイルが漸次減少することに起因するブレーキペダル12のボトミングの発生が確実に防止される。
【0074】
また旋回内側前輪のPHモード中に車輌がスピン状態又はドリフトアウト状態になると、或いは車輌の挙動制御が行われている状況に於いて旋回内側前輪のPHモードによる制御が開始されるときには、ステップ20及び40に於いて肯定判別が行われ、ステップ60に於いて旋回内側前輪のホイールシリンダ24FL又は24FR内の圧力が緩増圧され、その状態にてステップ70の挙動制御が実行され、これにより旋回内側前輪の制動圧の急増に起因して車輌の減速度が過剰になることが確実に防止される。
【0075】
例えば図9に示されている如く、車輌の左旋回中に於けるスピン又はドリフトアウトに対する挙動制御が行われている状況に於いて旋回内側前輪である左前輪がPHモードによる制御の状態になると、左前輪の切換え弁22FLが第二の位置(オン位置)に維持され、開閉弁50FLが開弁状態に維持される従来の制動力制御装置に於いては、アキュムレータ圧が左前輪のホイールシリンダ24FLへ供給されることにより、該ホイールシリンダ内の圧力が急増して左前輪の制動力が急増し、これに伴い左前輪を基準輪として行われる挙動制御の制御対象車輪の制動力も急増し、車輌の減速度が過剰に上昇する。
【0076】
これに対し図示の実施形態によれば、図10に示されている如く、車輌の挙動制御が行われている状況に於いて旋回内側前輪である左前輪がPHモードによる制御の状態になると、左前輪の開閉弁50FLが閉弁されると共に該開閉弁が一定のデューティ比にて開弁される。従って左前輪のホイールシリンダ24FL内の圧力は急増することなく漸増し、これにより挙動制御の制御対象車輪の制動力が急増すること及びこれに起因して車輌の減速度が過剰に上昇することが確実に防止される。
【0077】
尚前述の三つのPHモード解除条件の何れかが成立するとPHモードによる制御が解除されるので、旋回内側前輪のホイールシリンダ内の圧力の漸増も終了し、従って運転者の意思に反して必要以上に長く旋回内側前輪の制動圧が緩増圧されることもなく、また車輌の挙動制御が悪影響を受けることもない。
【0078】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0079】
例えば上述の実施形態に於いては、車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算され、これらの状態量を低減するための各輪の目標スリップ率が演算され、各輪のスリップ率が目標スリップ率になるよう制動圧が制御されることにより車輌の挙動が安定化されるようになっているが、本発明に於ける挙動制御は車輌の挙動を安定化するために少なくとも旋回内側前輪を基準に旋回内側前輪以外の何れかの車輪の制動力が制御される限りの任意の態様にて実行されてよい。
【0080】
また上述の実施形態に於いては、挙動制御に於ける各輪の制動力は車輪速フィードバックにより制御されるようになっているが、各輪の制動力はホイールシリンダ内の圧力についての圧力フィードバックにより制御されてもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明によれば、旋回内側前輪が制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象とする挙動制御が行われるときには、圧力源制御弁が高圧源接続位置に設定されるが、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増圧されるので、旋回内側前輪の制動圧が急増することに起因して車輌の減速度が過剰に上昇することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制動力制御装置の一つの実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態の制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】実施形態の要挙動制御判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】実施形態の挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】実施形態のABS制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】スピン状態量SSと旋回外側前輪のスリップ率目標値Rssfoとの間の関係を示すグラフである。
【図7】ドリフトアウト状態量DSと車輌全体のスリップ率目標値Rsallとの間の関係を示すグラフである。
【図8】各輪の目標スリップ量SPi とデューティ比Driとの間の関係を示すグラフである。
【図9】従来の制動力制御装置に於いて挙動制御中に旋回内側前輪である左前輪のABS制御が開始される場合の作動を示すタイムチャートである。
【図10】実施形態に於いて挙動制御中に旋回内側前輪である左前輪のABS制御が開始される場合の作動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10…制動装置
14…マスタシリンダ
16…ハイドロブースタ
22FL、22FR、26、34…制御弁
24FL、24FR、24RL、24RR…ホイールシリンダ
38…オイルポンプ
48…アキュムレータ
70…電気式制御装置
86FL〜86RR…車輪速センサ
88…ストップランプスイッチ

Claims (1)

  1. 圧力源をレギュレータ圧に設定するレギュレータ圧接続位置と前記圧力源を高圧源に設定する高圧源接続位置とを有する圧力源制御弁と、前輪のホイールシリンダとマスタシリンダとを接続する通常位置と前輪のホイールシリンダと前記圧力源とを接続する制御位置とに切替わる切換え弁と、各輪のホイールシリンダ内圧力を制御する増減圧制御弁とを有し、ABS制御時には前記切換え弁を前記制御位置に切換え且つ前記圧力源制御弁を前記レギュレータ圧接続位置に切換えて制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御し、挙動制御時には前記切換え弁を前記制御位置に切換え且つ前記圧力源制御弁を前記高圧源接続位置に切換えて旋回内側前輪を基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御することにより車輌の挙動制御を行い、前輪のABS制御が終了する場合であって今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間以内であり且つブレーキペダルが踏み込まれた状態にあるときには前記切換え弁を前記制御位置に維持する制御位置維持モードを有する車輌の制動力制御装置にして、旋回内側前輪が前記制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪として挙動制御を行うときには、前記圧力源制御弁を前記高圧源接続位置に設定し、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増圧するよう旋回内側前輪の増減圧制御弁を制御することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
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