JPH1159384A - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

車輌の制動力制御装置

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JPH1159384A
JPH1159384A JP9242213A JP24221397A JPH1159384A JP H1159384 A JPH1159384 A JP H1159384A JP 9242213 A JP9242213 A JP 9242213A JP 24221397 A JP24221397 A JP 24221397A JP H1159384 A JPH1159384 A JP H1159384A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋回内側前輪のABS制御の断続的繰返しと
挙動制御とが同時に行われる場合に車輌の減速度が過剰
になることを防止する。 【解決手段】 レギュレータ圧接続位置とアキュムレー
タ圧接続位置とを有する圧力源制御弁26、34と、前
輪のホイールシリンダ24FL、24FRとマスタシリンダ
14を接続する通常位置とホイールシリンダと圧力源と
を接続する制御位置とに切換わる切換え弁22FL、22
FRと、ホイールシリンダ内圧力を制御する増減圧制御弁
50、56とを有し、前輪の今回のABS制御の終了が
前回のABS制御の終了より所定の時間以内であり且つ
ストップランプスイッチ88がオン状態にあるときには
切換え弁を制御位置に維持するモードを有する。旋回内
側前輪が制御位置維持モードにあり且つ挙動制御を行う
ときには(S20、40)、旋回内側前輪のホイールシ
リンダ内圧力を緩増圧させる(S60)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
制動力制御装置に係り、更に詳細にはマスタシリンダ、
レギュレータ及び高圧源を液圧源としてホイールシリン
ダ内圧力を制御する制動力制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌に於いて、マスタシリン
ダを液圧源としてホイールシリンダ内圧力を制御する通
常制御と、マスタシリンダとホイールシリンダとの連通
を遮断しレギュレータ圧を液圧源としてホイールシリン
ダ内圧力を制御するアンチロックブレーキ(ABS)制
御と、マスタシリンダと制御対象車輪のホイールシリン
ダとの連通を遮断し高圧源を液圧源として制御対象車輪
のホイールシリンダ内圧力を制御することにより車輌の
挙動を安定化させる挙動制御とを行う制動力制御装置が
従来より知られている。
【0003】上述の三つの機能を備えた制動力制御装置
は、一般に、圧力源をレギュレータ圧に設定するレギュ
レータ圧接続位置と圧力源を高圧源に設定する高圧源接
続位置とを有する圧力源制御弁と、前輪のホイールシリ
ンダとマスタシリンダとを接続する通常位置と前輪のホ
イールシリンダと圧力源とを接続する制御位置とに切替
わる切換え弁と、各輪のホイールシリンダ内圧力を制御
する増減圧制御弁とを有し、ABS制御時には切換え弁
を制御位置に切換え且つ圧力源制御弁をレギュレータ圧
接続位置に切換えて制御対象車輪のホイールシリンダ内
圧力を制御し、挙動制御時には圧力源制御弁を高圧源接
続位置に切換えて旋回内側前輪を基準に制御対象車輪の
ホイールシリンダ内圧力を制御することによりスピン又
はドリフトアウトを抑制するヨーモーメントを車輌に与
える車輌の挙動制御を行う。
【0004】かかる制動力制御装置の一つとして、例え
ば本願出願人により平成7年8月31日に発行された
「クラウンマジェスタ新型解説書」の第2−64頁に記
載されている如く、前輪のABS制御終了時には今回の
ABS制御の終了が前回のABS制御の終了より所定の
時間以内であり且つブレーキペダルが踏み込まれた状態
にあるときには切換え弁を制御位置に維持するパワー圧
保持モード(PHモードと略称する)を有する制動力制
御装置も既に知られている。
【0005】従来の一般的な制動力制御装置に於いてA
BS制御が断続的に繰り返し行われると、マスタシリン
ダよりホイールシリンダへの作動流体の供給及びホイー
ルシリンダよりリザーバへの作動流体の排出が繰り返さ
れるので、マスタシリンダ内の作動流体が漸次減少する
ことに起因してブレーキペダルのボトミングが発生す
る。これに対し上述のPHモードを有する制動力制御装
置によれば、ABS制御が断続的に繰り返し行われて
も、作動流体はレギュレータより供給され、マスタシリ
ンダ内の作動流体が漸次減少することがないので、ブレ
ーキペダルのボトミングを確実に防止することができ
る。
【0006】尚ABS制御が断続的に繰り返し行われる
場合には、前輪の増減圧制御弁を閉弁させ、マスタシリ
ンダよりホイールシリンダへの作動流体の供給を阻止す
ることによってもブレーキペダルのボトミングを防止す
ることができるが、その場合には運転者によりブレーキ
ペダルが踏み込まれても前輪のホイールシリンダ内圧力
が上昇しないため、運転者の制動意思を反映させること
ができず、従ってこの点についても上述のPHモードは
好ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし上述のPHモー
ドを有する従来の制動力制御装置に於ては、旋回内側前
輪がPHモードにあるときには該車輪の増減圧制御弁は
増圧位置、即ち旋回内側前輪のホイールシリンダを圧力
源に接続する位置にあるため、旋回内側前輪以外の何れ
かの車輪を制御対象車輪とする挙動制御が行われている
状況に於いて旋回内側前輪がPHモードになる場合や、
旋回内側前輪がPHモードにある状況に於いて旋回内側
前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪とする挙動制御
が行われる場合には、旋回内側前輪のホイールシリンダ
に高圧源の作動流体が供給され、該ホイールシリンダ内
の圧力が急峻に上昇する。
【0008】しかるに挙動制御は一般に旋回内側前輪を
基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御す
ることにより行われるので、旋回内側前輪の制動圧の上
昇に対応して制御対象車輪の制動圧も上昇し、車輌の運
転者は旋回内側前輪がPHモードになる程度の緩制動を
意図しているにも拘らず、全体として各車輪のホイール
シリンダ内圧力がマスタシリンダ圧よりも高くなり、そ
の結果車輌の減速度が過剰に上昇してドライバビリティ
が悪化するという問題がある。
【0009】本発明は、PHモードを有する従来の制動
力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたも
のであり、本発明の主要な課題は、旋回内側前輪以外の
何れかの車輪を制御対象車輪とする挙動制御と旋回内側
前輪のPHモードによる制御とが同時に行われる場合に
旋回内側前輪の制動圧が急増することを防止することに
より、車輌の減速度が過剰に上昇することを防止するこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、上記請求項1の構成、即ち圧力源
をレギュレータ圧に設定するレギュレータ圧接続位置と
前記圧力源を高圧源に設定する高圧源接続位置とを有す
る圧力源制御弁と、前輪のホイールシリンダとマスタシ
リンダとを接続する通常位置と前輪のホイールシリンダ
と前記圧力源とを接続する制御位置とに切替わる切換え
弁と、各輪のホイールシリンダ内圧力を制御する増減圧
制御弁とを有し、ABS制御時には前記切換え弁を前記
制御位置に切換え且つ前記圧力源制御弁を前記レギュレ
ータ圧接続位置に切換えて制御対象車輪のホイールシリ
ンダ内圧力を制御し、挙動制御時には前記圧力源制御弁
を前記高圧源接続位置に切換えて旋回内側前輪を基準に
制御対象車輪のホイールシリンダ内圧力を制御すること
により車輌の挙動制御を行い、前輪のABS制御が終了
する場合であって今回のABS制御の終了が前回のAB
S制御の終了より所定の時間以内であり且つブレーキペ
ダルが踏み込まれた状態にあるときには前記切換え弁を
前記制御位置に維持する制御位置維持モードを有する車
輌の制動力制御装置にして、旋回内側前輪が前記制御位
置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外の何れかの車
輪を制御対象車輪として挙動制御を行うときには、旋回
内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増圧するよう旋
回内側前輪の増減圧制御弁を制御することを特徴とする
車輌の制動力制御装置によって達成される。
【0011】上述の請求項1の構成によれば、旋回内側
前輪が制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前輪以外
の何れかの車輪を制御対象とする挙動制御が行われると
きには、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力が緩増
圧されるので、挙動制御の基準にされる旋回内側前輪の
制動圧が急増することに起因して車輌の減速度が過剰に
上昇することが確実に防止される。
【0012】尚運転者によりブレーキペダルの踏み込み
量が低減されると、旋回内側前輪の制御位置維持モード
が解除されるので、旋回内側前輪のホイールシリンダ内
圧力の緩増圧も終了し、従って運転者の意思に反して必
要以上に長く旋回内側前輪の制動圧の緩増圧が継続する
ことはない。
【0013】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好まし
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、切換え
弁は左前輪及び右前輪の各々に設けられる(好ましい態
様1)。
【0014】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、増減圧制御弁はホイ
ールシリンダとマスタシリンダ又は圧力源とを接続する
増圧位置と、ホイールシリンダ内圧力の変動を阻止する
保持位置と、ホイールシリンダとリザーバとを接続する
減圧位置とを有し、旋回内側前輪のホイールシリンダ内
圧力の緩増圧はその増減圧制御弁が保持位置と増圧位置
との間に所定のデューティ比にて制御されることにより
行われるよう構成される(好ましい態様2)。
【0015】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記好ましい態様2の構成に於いて、増減圧制御弁
はホイールシリンダとマスタシリンダ又は圧力源との連
通を制御する増圧用開閉弁と、ホイールシリンダとリザ
ーバとの連通を制御する減圧用開閉弁とよりなるよう構
成される(好ましい態様3)。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】図1は本発明による制動力制御装置の一つ
の実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構
成図である。尚図1に於いては、電磁的に駆動される各
弁のソレノイドの図示は省略されている。
【0018】図1に於て、10は油圧式の制動装置を示
しており、制動装置10は運転者によるブレーキペダル
12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送す
るマスタシリンダ14と、マスタシリンダ内のオイル圧
力に対応する圧力(レギュレータ圧)にブレーキオイル
を増圧するハイドロブースタ16とを有している。マス
タシリンダ14には前輪用のブレーキ油圧制御導管18
の一端が接続され、ブレーキ油圧制御導管18の他端に
は左前輪用のブレーキ油圧制御導管20FL及び右前輪用
のブレーキ油圧制御導管20FRが接続されている。導管
20FL及び20FRの途中にはそれぞれ3ポート2位置切
換え型の電磁式の切換え弁22FL、22FRが設けられて
おり、これらの導管の他端にはそれぞれ左前輪及び右前
輪の制動力を制御するホイールシリンダ24FL及び24
FRが接続されている。
【0019】ハイドロブースタ16には途中に制御弁2
6を有するレギュレータ圧供給導管28の一端が接続さ
れており、導管28の他端には左後輪用のブレーキ油圧
制御導管30RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管3
0RRが接続されている。導管30RL及び30RRの他端に
はそれぞれ左後輪及び右後輪の制動力を制御するホイー
ルシリンダ24RL及び24RRが接続されている。制御弁
26近傍の導管28にはハイドロブースタ16より導管
30RL及び30RRへ向かうオイルの流れのみを許す逆止
バイパス導管32が接続されている。
【0020】レギュレータ圧供給導管28には途中に制
御弁34を有する高圧導管36の一端が接続されてお
り、高圧導管36の他端は図には示されていない原動機
により駆動されるオイルポンプ38に接続されている。
尚図示の実施形態に於いては、制御弁26は常開型の電
磁開閉弁であり、制御弁34は常閉型の電磁開閉弁であ
る。また制御弁26が開弁され閉弁されるときには、実
質的にこれと同時に制御弁34がそれぞれ閉弁され開弁
される。
【0021】オイルポンプ38はリザーバ40に貯容さ
れたブレーキオイルを汲み上げ高圧のオイルとして高圧
導管36へ供給する。高圧導管36はリリーフ導管42
によりハイドロブースタ16に接続されており、リリー
フ導管42はハイドロブースタ16内の圧力が過剰にな
ると開弁する図には示されていないリリーフ弁を有して
いる。また高圧導管36は途中にリリーフ弁44を有す
るリリーフ導管46によりリザーバ40に接続されてい
る。更に高圧導管36にはオイルポンプ38より吐出さ
れる高圧のオイルをアキュムレータ圧として蓄圧するア
キュムレータ48が接続されている。
【0022】導管20FL及び20FRの途中にはそれぞれ
常開型の電磁開閉弁(増圧弁)50FL及び50FRが設け
られている。リザーバ40に接続されたリターン導管5
2と導管20FL及び20FRとの間にはそれぞれ左前輪用
の接続導管54FL及び右前輪用の接続導管54FRが接続
されている。接続導管54FL及び54FRの途中にはそれ
ぞれ常閉型の電磁開閉弁(減圧弁)56FL及び56FRが
設けられている。電磁開閉弁50FL及び50FR近傍の導
管20FL及び20FRには、それぞれホイールシリンダ2
4FL及び24FRよりマスタシリンダ14の側へ向かうオ
イルの流れのみを許す逆止バイパス導管58FL及び58
FRが接続されている。
【0023】同様に導管30RL及び30RRの途中には常
開型の電磁開閉弁(増圧弁)50RL及び50RRが設けら
れている。リターン導管52と導管30RL及び30RRと
の間にはそれぞれ左後輪用の接続導管54RL及び右後輪
用の接続導管54RRが接続されている。接続導管54RL
及び54RRの途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁(減
圧弁)56RL及び56RRが設けられている。電磁開閉弁
50RL及び50RR近傍の導管30RL及び30RRには、そ
れぞれホイールシリンダ24RL及び24RRよりハイドロ
ブースタ16の側へ向かうオイルの流れのみを許す逆止
バイパス導管58RL及び58RRが接続されている。
【0024】図1に示されている如く、制御弁22FL及
び22FRはそれぞれブレーキ油圧制御導管20FL及び2
0FRの連通を許す第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管
20FL及び20FRの連通を遮断すると共に導管36F 、
36FL、36FRを経てレギュレータ圧供給導管28とホ
イールシリンダ24FL及び24FRとを連通接続する第二
の位置とに切り替わるようになっている。
【0025】特に図示の実施形態に於いては、切換え弁
22FL及び22FRは対応するソレノイドに駆動電流が通
電されていないときには、換言すれば通常時には第一の
位置に設定され、これによりホイールシリンダ24FL及
び24FRにはマスタシリンダ圧が供給される。同様に制
御弁26及び34も通常時には図1に示された第一の位
置にあり、ホイールシリンダ24RL及び24RRにはレギ
ュレータ圧が供給される。従って通常時には各輪のホイ
ールシリンダ内の圧力、即ち制動力はブレーキペダル1
2の踏力に応じて増減される。
【0026】また切換え弁22FL及び22FRが第二の位
置に切り換えられ、制御弁26及び34が第一の位置に
あり、各輪の開閉弁が図1に示された位置にあるときに
は、ホイールシリンダ24FL、24FR、24RL、24RR
にはレギュレータ圧が供給される。従ってこの場合にも
各輪の制動力は実質的にブレーキペダルの踏力に応じて
増減される。
【0027】これに対し切換え弁22FL、22FR及び制
御弁26、34が第二の位置に切り換えられ、各輪の開
閉弁が図1に示された位置にあるときには、ホイールシ
リンダ24FL、24FR、24RL、24RRにはアキュムレ
ータ圧が供給されるようになるので、各輪の制動力はブ
レーキペダルの踏力に関係なく各輪の開閉弁の開閉によ
り増減される。
【0028】特にホイールシリンダ内の圧力は開閉弁5
0FL、50FR、50RL、50RR及び開閉弁56FL、56
FR、56RL、56RRが図1に示された第一の位置にある
ときには増圧され(増圧モード)、開閉弁50FL、50
FR、50RL、50RRが第二の位置に切り換えられ且つ開
閉弁56FL、56FR、56RL、56RRが図1に示された
第一の位置にあるときには保持され(保持モード)、開
閉弁50FL、50FR、50RL、50RR及び開閉弁56F
L、56FR、56RL、56RRが第二の位置に切り換えら
れると減圧される(減圧モード)。
【0029】かくして制御弁26及び34は互いに共働
して制御元油圧としての圧力源をレギュレータ圧とアキ
ュムレータ圧との間に切り換える圧力源制御弁を構成し
ている。また開閉弁50FL〜50RR及び開弁56FL〜5
6RRはそれぞれ互いに共働して対応するホイールシリン
ダ内の圧力を増圧し保持し減圧する増減圧制御弁を構成
している。尚これらの開閉弁はそれぞれ上記増圧モー
ド、保持モード、減圧モードに対応する増圧位置、保持
位置、減圧位置を有する一つの切換え弁に置き換えられ
てもよい。
【0030】切換え弁22FL及び22FR、制御弁26及
び34、開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR及び開
閉弁56FL、56FR、56RL、56RRは、後に詳細に説
明する如く電気式制御装置70により制御される。電気
式制御装置70はマイクロコンピュータ72と駆動回路
74とよりなっており、マイクロコンピュータ72は図
1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット
(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ラン
ダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置と
を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接
続された一般的な構成のものであってよい。
【0031】マイクロコンピュータ72の入出力ポート
装置には車速センサ76より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ78より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ80より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ82より
操舵角θを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた
前後加速度センサ84より車体の前後加速度Gx を示す
信号、車輪速度センサ86FL〜86RRよりそれぞれ左右
前輪及び左右後輪の車輪速度(周速)Vwi( i=fl、f
r、rl、rr)を示す信号、ストップランプ(ST)スイ
ッチ88よりブレーキペダル12が踏み込まれているか
否かを示す信号が入力されるようになっている。尚横加
速度センサ78及びヨーレートセンサ80等は車輌の左
旋回方向を正として横加速度等を検出し、前後加速度セ
ンサ84は車輌の加速方向を正として前後加速度を検出
するようになっている。
【0032】またマイクロコンピュータ72のROMは
後述の如く種々の制御フロー及びマップを記憶してお
り、CPUは上述の種々のセンサにより検出されたパラ
メータに基づき後述の如く種々の演算を行い、車輌の旋
回挙動を判定すると共に、車輌がスピン状態又はドリフ
トアウト状態にあるときには旋回内側前輪の車輪速度を
基準車輪速度として旋回挙動を安定化させるための各車
輪の目標スリップ率を演算し、これにより電気式制御装
置70は各車輪の制動力を目標スリップ率に基づき制御
し車輌にスピン抑制方向又はドリフトアウト抑制方向の
ヨーモーメントを与えて挙動を安定化させる。
【0033】また電気式制御装置70は、各車輪の車輪
速度に基づきABS制御の基準車輪速度及び各車輪のス
リップ率を演算し、何れかの車輪のスリップ率が過大で
あるときには、当該車輪の制動圧を制御してスリップ率
を所定の範囲内に制御するABS制御を行う。
【0034】また電気式制御装置70は、前輪のABS
制御終了時には今回のABS制御の終了が前回のABS
制御の終了より所定の時間以内であり且つストップラン
プスイッチ88がオン状態にあるときには切換え弁22
FL又は22FRを第二の位置に維持するPHモードの制御
を行い、特に旋回内側前輪がPHモードにあり且つ旋回
内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪として挙動
制御を行うときには、旋回内側前輪のホイールシリンダ
24FL又は24FR内の圧力が緩増圧するよう旋回内側前
輪の開閉弁50FL又は50FRを制御する。
【0035】次に図2に示されたフローチャートを参照
して図示の実施形態に於ける制動力制御ルーチンについ
て説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制
御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉
成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0036】まずステップ10に於いては車速センサ7
6により検出された車速Vを示す信号等の読み込みが行
われ、ステップ20に於いては図3に示されたフローチ
ャートによるルーチンに従って車輌の挙動制御が必要で
あるか否かの判別が行われ、挙動制御が不要である旨の
判別が行われたときにはステップ10へ戻り、挙動制御
が必要である旨の判別が行われたときにはステップ40
へ進む。
【0037】ステップ40に於いては旋回内側前輪が図
5に示されたABS制御ルーチンに従ってPHモードに
て制御されているか否かの判別が行われ、否定判別が行
われたときにはステップ50に於いて旋回内側前輪の切
換え弁22FL又は22FLがオフに切り換えられ又はオフ
に維持され、肯定判別が行われたときにはステップ60
に於いて制御弁26及び34がオフに維持された状態に
て旋回内側前輪の制御弁(増圧弁)50FL又は50FRが
オンに切り換えられ又はオンに維持されると共に所定の
一定のデューティ比にて開弁され、これにより旋回内側
前輪のホイールシリンダ24FL又は24FR内の圧力が緩
増圧される。
【0038】ステップ70に於いては、図4に示された
フローチャートによる挙動制御ルーチンに従って必要な
挙動制御、即ちスピン抑制制御又はドリフトアウト抑制
制御が実行され、これにより車輌の不安定な挙動が安定
化される。
【0039】ステップ80に於いてはステップ40の場
合と同様、旋回内側前輪がPHモードにて制御されてい
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
ステップ90に於いて旋回内側前輪の切換え弁22FL又
は22FRがオフに切り換えられ又はオフに維持され、肯
定判別が行われたときにはステップ100に於いて旋回
内側前輪の切換え弁22FR又は22FRがオンに切り換え
られ又はオンに維持される。
【0040】尚この制動力制御ルーチンに於ける旋回内
側の判定は、例えばヨーレートセンサ80により検出さ
れるヨーレートγ又は横加速度センサ78により検出さ
れる横加速度Gy の符号により行われてよい。
【0041】図3に示されたフローチャートによる要挙
動制御判定ルーチンのステップ21に於いては、横加速
度Gy と車速V及びヨーレートγの積V*γとの偏差G
y −V*γとして横加速度の偏差、即ち車輌の横すべり
加速度Vydが演算され、横すべり加速度Vydが積分され
ることにより車体の横すべり速度Vy が演算され、更に
車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横すべ
り速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが
演算される。
【0042】ステップ22に於いてはK1 及びK2 をそ
れぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり
加速度Vydの線形和K1 *β+K2 *Vydとしてスピン
量SVが演算され、ステップ23に於いてはヨーレート
γの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状
態量SSが車輌の左旋回時にはSVとして、車輌の右旋
回時には−SVとして演算され、演算結果が負の値のと
きにはスピン状態量は0とされる。尚スピン量SVは車
体のスリップ角β及びその微分値βd の線形和として演
算されてもよい。
【0043】ステップ24に於いてはKh をスタビリテ
ィファクタとし、Hをホイールベースとし、Rg をステ
アリングギヤ比として下記の数1に従って目標ヨーレー
トγc が演算されると共に、Tを時定数としsをラプラ
ス演算子として下記の数2に従って基準ヨーレートγt
が演算される。尚目標ヨーレートγc は動的なヨーレー
トを考慮すべく車輌の横加速度Gy を加味して演算され
てもよい。
【0044】
【数1】γc =V*θ/(1+Kh *V2 )*H/Rg
【数2】γt =γc /(1+T*s)
【0045】ステップ25に於いては下記の数3に従っ
てドリフトバリューDVが演算される。尚ドリフトバリ
ューDVは下記の数4に従って演算されてもよい。
【0046】
【数3】DV=(γt −γ)
【数4】DV=H*(γt −γ)/V
【0047】ステップ26に於いてはヨーレートγの符
号に基づき車輌の旋回方向が判定され、ドリフトアウト
状態量DSが車輌の左旋回時にはDVとして、車輌の右
旋回時には−DVとして演算され、演算結果が負の値の
ときにはドリフトアウト状態量は0とされる。
【0048】ステップ27に於いてはスピン状態量SS
に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより旋
回外側前輪のスリップ率目標値Rssfoが演算され、ステ
ップ28に於いてはドリフトアウト状態量DSに基づき
図7に示されたグラフに対応するマップより車輌全体の
スリップ率目標値Rsallが演算される。
【0049】ステップ29に於いてはKsri を旋回内側
後輪の分配率として下記の数5に従って旋回外側前輪、
旋回内側前輪、旋回外側後輪、旋回内側後輪の目標スリ
ップ率Rsfo 、Rsfi 、Rsro 、Rsri が演算される。
【数5】Rsfo =Rssfo Rsfi =0 Rsro =(Rsall−Rssfo)*(100−Ksri )/1
00 Rsri =(Rsall−Rssfo)*Ksri /100
【0050】ステップ30に於いてはヨーレートγの符
号に基づき車輌の旋回方向が判定されることにより旋回
内外輪が特定され、その特定結果に基づき各輪の最終目
標スリップ率Rsi(i=fr、fl、rr、rl)が演算され
る。即ち最終目標スリップ率Rsiが車輌の左旋回の場合
及び右旋回の場合についてそれぞれ下記の数6及び数7
に従って求められる。
【0051】
【数6】Rsfr =Rsfo Rsfl =Rsfi Rsrr =Rsro Rsrl =Rsri
【数7】Rsfr =Rsfi Rsfl =Rsfo Rsrr =Rsri Rsrl =Rsro
【0052】ステップ31に於いては何れかの最終目標
スリップ率Rsiが正であるか否か(全てのRsiが0では
ないか否か)の判別、即ち挙動制御が必要であるか否か
の判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ
40へ進み、否定判別が行われたときにはステップ10
へ戻る。
【0053】図4に示されたフローチャートによる挙動
制御ルーチンのステップ71に於いては、旋回内側前輪
の車輪速度を基準車輪速度Vb として下記の数8に従っ
て当該車輪の目標車輪速度Vwti が演算される。
【数8】Vwti =Vb *(100−Rsi)/100
【0054】ステップ72に於いてはVwid を当該車輪
の車輪加速度(Vwiの微分値)とし、Ks を正の一定の
係数として下記の数9に従って当該車輪の目標スリップ
量SPi が演算され、ステップ73に於いては図8に示
されたグラフに対応するマップより当該車輪のデューテ
ィ比Driが演算される。
【数9】 SPi =Vwi −Vwti +Ks *(Vwid −Gx )
【0055】ステップ74に於いては切換え弁22FL、
22FR及び制御弁26、34が第二の位置に切換え設定
されて制御元油圧としてアキュムレータ圧が導入される
と共に、対応する車輪の開閉弁に対しデューティ比Dri
に対応する制御信号が出力されることにより、対応する
ホイールシリンダ24FR〜24RLに対するアキュームレ
ータ圧の給排が制御され、これにより各車輪の制動圧が
制御される。
【0056】この場合デューティ比Driが負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには上流側の開閉弁が
第二の位置に切換え設定され且つ下流側の開閉弁が第一
の位置に保持されることにより、対応するホイールシリ
ンダ内の圧力が保持され、デューティ比が正の基準値以
上のときには上流側及び下流側の開閉弁が図1に示され
た位置に制御されることにより、対応するホイールシリ
ンダへアキュームレータ圧が供給されることによって該
ホイールシリンダ内の圧力が増圧され、デューティ比が
負の基準値以下であるときには上流側及び下流側の開閉
弁が第二の位置に切換え設定されることにより、対応す
るホイールシリンダ内のブレーキオイルがリターン導管
52へ排出され、これにより該ホイールシリンダ内の圧
力が減圧される。
【0057】次に図5に示されたフローチャートを参照
して図示の実施形態に於けるABS制御ルーチンについ
て説明する。尚図5に示されたフローチャートによる制
御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉
成により開始され、所定の時間毎に例えば左前輪(i=
fl)、右前輪(i=fr)、左後輪(i=rl)、右後輪
(i=rr)の順に繰返し実行される。
【0058】まずステップ210に於いては車輪速度セ
ンサ86FL〜86RRにより検出された車輪速度Vwiを示
す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いて
は例えば推定車体速度Vs が演算され、推定車体速度V
s と当該車輪の車輪速度Vwiとの偏差Vs −Vwiが基準
値Vwo(正の定数)を越えているか否かの判別により、
当該車輪についてABS制御が必要であるか否かの判別
が行われ、否定判別が行われたときにはステップ240
へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ230に
於いて当該車輪についてABS制御が実行される。
【0059】尚この場合推定車体速度Vs は従来よりA
BS制御に於いて一般に採用されている演算方法により
演算されてよく、例えば四輪の車輪速度Vwiの平均値を
Vsbとして演算し、Vs(n-1)を1サイクル前の推定車体
速度とし、Vsa及びVsbをそれぞれ正の定数として、V
s(n-1)−Vsa、Vsb、Vs(n-1)+Vsbのうち中間値を選
択することにより演算されてよい。
【0060】またABS制御も当技術分野に於いてよく
知られているので、その詳細な説明を省略するが、AB
S制御に於いては例えば制御弁26及び34が第一の位
置に維持されて制御元油圧がレギュレータ圧に設定さ
れ、対応する開閉弁56FL〜56RRが予め設定されたデ
ューティ比にて開閉されることにより、対応するホイー
ルシリンダ26FL〜26RRの圧力が漸減される。
【0061】ステップ240に於いては当該車輪が前輪
であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたとき
にはステップ210へ戻り、肯定判別が行われたときに
はステップ250へ進む。ステップ250に於いてはフ
ラグFp が1であるか否かの判別、即ちPHモード中で
あるかの否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはそのままステップ280へ進み、否定判別が行われ
たときにはステップ260へ進む。
【0062】ステップ260に於いてはPHモードの開
始条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別
が行われたときにはそのままステップ280へ進み、肯
定判別が行われたときにはステップ270に於いてフラ
グFp が1にセットされた後ステップ280へ進む。
【0063】尚PHモードの開始条件が成立しているか
否かの判別は、例えば下記の三つの条件が全て満たされ
ているか否かの判別により行われてよい。 (A−1)ABS制御中よりABS非制御中に変化した
こと (A−2)ストップランプスイッチ88がオン状態にあ
ること (A−3)前回のABS制御の終了時点より例えば10
秒の如き所定の時間Ta 以内であること
【0064】ステップ280に於いてはPHモードの解
除条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別
が行われたときにはそのままステップ300へ進み、肯
定判別が行われたときにはステップ290に於いてフラ
グFp が0にリセットされた後ステップ300へ進む。
【0065】尚PHモードの解除条件が成立しているか
否かの判別は、下記の三つの条件の何れかが成立してい
るか否かの判別により行われてよい。 (B−1)ストップランプスイッチ88がオフであるこ
と (B−2)車速Vが基準値Vc (正の定数)以下である
こと (B−3)PHモードが所定の時間Tb (正の定数)以
上継続していること
【0066】ステップ300に於いてはフラグFp が1
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ310に於いて対応する制御弁22FL又は
22FRをオン状態に維持するPHモードが実行され、否
定判別が行われたときにはステップ320に於いてPH
モードが解除され又はPHモードが解除された状態に維
持される。
【0067】かくしてこの実施形態によれば、車輌の旋
回挙動が安定な状態にあり、何れの車輪も過剰なスリッ
プ状態にはなく、旋回内側前輪がPHモードの制御中で
もないときには、ステップ20及び80に於いて否定判
別が行われ、従ってこの場合にはステップ70(71〜
74)による挙動制御、ステップ230によるABS制
御及びステップ310による前輪のPHモードの制御は
実行されず、これにより各車輪の制動圧は運転者による
ブレーキペダル12に対する踏力に応じて制御される。
【0068】また車輌の旋回挙動が安定な状態にある状
況に於いて、運転者によりブレーキペダルの過剰な踏み
込み操作が行われたときには、ステップ31に於いて否
定判別が行われ、挙動制御は実行されないが、ステップ
220に於いて肯定判別が行われ、ステップ230に於
いてABS制御が行われ、これにより各車輪のスリップ
率が所定の範囲内になるよう制動圧が制御される。
【0069】これに対し、車輌の旋回挙動が不安定な状
態にあるが運転者によるブレーキペダルの過剰な踏み込
み操作が行われていないときには、ステップ220に於
いて否定判別が行われることにより、ステップ230の
ABS制御は実行されないが、ステップ31に於いて肯
定判別が行われ、ステップ40に於いて否定判別が行わ
れ、これによりステップ70に於いて挙動制御が実行さ
れることにより車輌の旋回挙動が安定化される。
【0070】即ち、ステップ21〜23に於いて車体の
スリップ角β等に基づいてスピン状態量SSが演算さ
れ、またステップ24〜26に於いて実ヨーレートγ等
に基づいてドリフトアウト状態量DSが演算され、ステ
ップ27〜31及びステップ71〜74に於いてスピン
状態量及びドリフトアウト状態量の両方に基づき各車輪
の制動力が制御され、これによりスピン状態及びドリフ
トアウト状態の何れの場合にもそれらの不安定な挙動が
低減される。
【0071】例えば車輌がスピン状態になると、旋回外
側前輪及び旋回外側後輪に制動力が与えられることによ
って車輌にスピン低減方向のヨーモーメントが与えら
れ、これによりスピン状態が低減される。また車輌がド
リフトアウト状態になると、左右後輪に大きさの異なる
制動力が与えられることによって車輌が減速されると共
に車輌に旋回補助方向のヨーモーメントが与えられ、こ
れによりドリフトアウト状態が低減される。
【0072】また前輪のABS制御が終了する場合であ
って、今回のABS制御の終了が前回のABS制御の終
了より所定の時間Ta 以内ではなく、或いはストップラ
ンプスイッチ88がオフ状態にあるときには、ブレーキ
ペダル12のボトミング発生の虞れが低いので、対応す
る切換え弁22FR又は22FLが第二の位置に維持される
PHモードの制御が行われることなく、ホイールシリン
ダ24FL又は24FRがマスタシリンダ14と接続され
る。
【0073】これに対し前輪のABS制御が終了する場
合であって、今回のABS制御の終了が前回のABS制
御の終了より所定の時間Ta 以内であり且つストップラ
ンプスイッチ88がオン状態にあるときには、対応する
切換え弁22FR又は22FLが第二の位置に維持されるP
Hモードの制御が行われ、これによりABS制御の断続
的な繰返しによりマスタシリンダ14内のオイルが漸次
減少することに起因するブレーキペダル12のボトミン
グの発生が確実に防止される。
【0074】また旋回内側前輪のPHモード中に車輌が
スピン状態又はドリフトアウト状態になると、或いは車
輌の挙動制御が行われている状況に於いて旋回内側前輪
のPHモードによる制御が開始されるときには、ステッ
プ20及び40に於いて肯定判別が行われ、ステップ6
0に於いて旋回内側前輪のホイールシリンダ24FL又は
24FR内の圧力が緩増圧され、その状態にてステップ7
0の挙動制御が実行され、これにより旋回内側前輪の制
動圧の急増に起因して車輌の減速度が過剰になることが
確実に防止される。
【0075】例えば図9に示されている如く、車輌の左
旋回中に於けるスピン又はドリフトアウトに対する挙動
制御が行われている状況に於いて旋回内側前輪である左
前輪がPHモードによる制御の状態になると、左前輪の
切換え弁22FLが第二の位置(オン位置)に維持され、
開閉弁50FLが開弁状態に維持される従来の制動力制御
装置に於いては、アキュムレータ圧が左前輪のホイール
シリンダ24FLへ供給されることにより、該ホイールシ
リンダ内の圧力が急増して左前輪の制動力が急増し、こ
れに伴い左前輪を基準輪として行われる挙動制御の制御
対象車輪の制動力も急増し、車輌の減速度が過剰に上昇
する。
【0076】これに対し図示の実施形態によれば、図1
0に示されている如く、車輌の挙動制御が行われている
状況に於いて旋回内側前輪である左前輪がPHモードに
よる制御の状態になると、左前輪の開閉弁50FLが閉弁
されると共に該開閉弁が一定のデューティ比にて開弁さ
れる。従って左前輪のホイールシリンダ24FL内の圧力
は急増することなく漸増し、これにより挙動制御の制御
対象車輪の制動力が急増すること及びこれに起因して車
輌の減速度が過剰に上昇することが確実に防止される。
【0077】尚前述の三つのPHモード解除条件の何れ
かが成立するとPHモードによる制御が解除されるの
で、旋回内側前輪のホイールシリンダ内の圧力の漸増も
終了し、従って運転者の意思に反して必要以上に長く旋
回内側前輪の制動圧が緩増圧されることもなく、また車
輌の挙動制御が悪影響を受けることもない。
【0078】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0079】例えば上述の実施形態に於いては、車輌の
スピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフ
トアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算
され、これらの状態量を低減するための各輪の目標スリ
ップ率が演算され、各輪のスリップ率が目標スリップ率
になるよう制動圧が制御されることにより車輌の挙動が
安定化されるようになっているが、本発明に於ける挙動
制御は車輌の挙動を安定化するために少なくとも旋回内
側前輪を基準に旋回内側前輪以外の何れかの車輪の制動
力が制御される限りの任意の態様にて実行されてよい。
【0080】また上述の実施形態に於いては、挙動制御
に於ける各輪の制動力は車輪速フィードバックにより制
御されるようになっているが、各輪の制動力はホイール
シリンダ内の圧力についての圧力フィードバックにより
制御されてもよい。
【0081】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明によれば、旋回内側前輪が制御位置維持モードにあり
且つ旋回内側前輪以外の何れかの車輪を制御対象とする
挙動制御が行われるときには、旋回内側前輪のホイール
シリンダ内圧力が緩増圧されるので、旋回内側前輪の制
動圧が急増することに起因して車輌の減速度が過剰に上
昇することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制動力制御装置の一つの実施形態
の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図であ
る。
【図2】実施形態の制動力制御ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図3】実施形態の要挙動制御判定ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図4】実施形態の挙動制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図5】実施形態のABS制御ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図6】スピン状態量SSと旋回外側前輪のスリップ率
目標値Rssfoとの間の関係を示すグラフである。
【図7】ドリフトアウト状態量DSと車輌全体のスリッ
プ率目標値Rsallとの間の関係を示すグラフである。
【図8】各輪の目標スリップ量SPi とデューティ比D
riとの間の関係を示すグラフである。
【図9】従来の制動力制御装置に於いて挙動制御中に旋
回内側前輪である左前輪のABS制御が開始される場合
の作動を示すタイムチャートである。
【図10】実施形態に於いて挙動制御中に旋回内側前輪
である左前輪のABS制御が開始される場合の作動を示
すタイムチャートである。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 16…ハイドロブースタ 22FL、22FR、26、34…制御弁 24FL、24FR、24RL、24RR…ホイールシリンダ 38…オイルポンプ 48…アキュムレータ 70…電気式制御装置 86FL〜86RR…車輪速センサ 88…ストップランプスイッチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧力源をレギュレータ圧に設定するレギュ
    レータ圧接続位置と前記圧力源を高圧源に設定する高圧
    源接続位置とを有する圧力源制御弁と、前輪のホイール
    シリンダとマスタシリンダとを接続する通常位置と前輪
    のホイールシリンダと前記圧力源とを接続する制御位置
    とに切替わる切換え弁と、各輪のホイールシリンダ内圧
    力を制御する増減圧制御弁とを有し、ABS制御時には
    前記切換え弁を前記制御位置に切換え且つ前記圧力源制
    御弁を前記レギュレータ圧接続位置に切換えて制御対象
    車輪のホイールシリンダ内圧力を制御し、挙動制御時に
    は前記圧力源制御弁を前記高圧源接続位置に切換えて旋
    回内側前輪を基準に制御対象車輪のホイールシリンダ内
    圧力を制御することにより車輌の挙動制御を行い、前輪
    のABS制御が終了する場合であって今回のABS制御
    の終了が前回のABS制御の終了より所定の時間以内で
    あり且つブレーキペダルが踏み込まれた状態にあるとき
    には前記切換え弁を前記制御位置に維持する制御位置維
    持モードを有する車輌の制動力制御装置にして、旋回内
    側前輪が前記制御位置維持モードにあり且つ旋回内側前
    輪以外の何れかの車輪を制御対象車輪として挙動制御を
    行うときには、旋回内側前輪のホイールシリンダ内圧力
    が緩増圧するよう旋回内側前輪の増減圧制御弁を制御す
    ることを特徴とする車輌の制動力制御装置。
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WO2017208671A1 (ja) 2016-05-30 2017-12-07 Jfeスチール株式会社 フェライト系ステンレス鋼板

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