JP3675212B2 - 車輌の操舵制御装置 - Google Patents

車輌の操舵制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の操舵制御装置に係り、更に詳細には補正操舵、即ち運転者の操舵に対する介入操舵により車輌の旋回時の安定性を向上させる操舵制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の操舵制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平5−319289号公報に記載されている如く、車輌の状態量や運転者の操作量に基づき操舵輪のコーナリングフォース及びスリップ角を推定し、コーナリングフォースをスリップ角にて偏微分した値が負であるときにはスリップ角と予め設定された限界スリップ角との偏差を補正舵角として補正操舵するよう構成された操舵制御装置が従来より知られている。
【0003】
かかる操舵制御装置によれば、運転者により過大な操舵が行われることにより操舵輪のスリップ角が過大になり、コーナリングフォースをスリップ角にて偏微分した値が負になると、換言すれば過大な操舵に起因して操舵輪の横力が低下する虞れが高くなると、スリップ角と予め設定された限界スリップ角との偏差を補正舵角として補正操舵が行われることにより操舵輪の実舵角が低減されるので、過大な操舵に起因する操舵輪の横力の低下を防止し、これにより車輌の旋回性能を向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記公開公報に記載された先の提案にかかる操舵制御装置に於いては、コーナリングフォース及びスリップ角の何れも推定値であるため、コーナリングフォースをスリップ角にて偏微分した値はコーナリングフォース及びスリップ角を推定するための車輌の状態量や運転者の操作量を検出するセンサの検出誤差等の影響を受け易く、そのため過大な操舵に起因して操舵輪の横力が低下する虞れが高いか否かを正確に判定することができない場合があり、従って不必要な補正操舵が行われたり必要な補正操舵が行われなかったりするという問題がある。
【0005】
また車輌の実ヨーレートを検出すると共に、車輌の状態量に基づき車輌の目標ヨーレートを演算し、実ヨーレートと目標ヨーレートとの偏差に基づき補正操舵角を演算し、該補正操舵角に基づき補正操舵するよう構成された操舵制御装置も既に知られている。
【0006】
しかしこの操舵制御装置に於いては、操舵輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵によって操舵輪の実舵角が切り増し方向に増大されると、操舵輪のスリップ角が更に増大し、そのため操舵輪の横力が更に低下するため、旋回時の車輌の安定性が補正操舵により却って悪化される場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、コーナリングフォースをスリップ角にて偏微分した値が負であるときに補正操舵したり、ヨーレート偏差に基づき補正操舵するよう構成された従来の操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、補正操舵角を所定の範囲内に制限することにより、不必要な補正操舵を防止しつつ必要な補正操舵を適切に行い、これにより操舵輪の横力の低下を効果的に防止して旋回時の車輌の安定性を確実に向上させることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輌の状態量を検出する状態量検出手段と、検出された状態量に基づき車輌の旋回挙動を安定化させるための補正操舵角を演算する補正操舵角演算手段と、前記補正操舵角に基づき操舵輪を補正操舵する補正操舵手段とを有する車輌の操舵制御装置に於いて、前記操舵制御装置は前記補正操舵角を操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値との間の値に制限する補正操舵角制限手段を有することを特徴とする車輌の操舵制御装置によって達成される。
【0009】
上記請求項1の構成によれば、検出された車輌の状態量に基づき車輌の旋回挙動を安定化させるための補正操舵角が演算され、補正操舵角に基づき操舵輪が補正操舵されるので、操舵輪の実舵角が適正化されることによって旋回時の車輌の安定性が向上され、また補正操舵角は操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値との間の値に制限されるので、操舵輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合にも、操舵輪の実舵角が切り増し方向に増大され操舵輪のスリップ角が更に増大することに起因して操舵輪の横力が更に低下する虞れが効果的に低減される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記操舵切り増し側の制限値の大きさは前記操舵切り戻し側の制限値の大きさよりも小さいよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
上記請求項2の構成によれば、操舵切り増し側の制限値の大きさは操舵切り戻し側の制限値の大きさよりも小さいので、操舵輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合に補正操舵に起因して操舵輪の横力が更に低下することが確実に防止されると共に、操舵輪の実舵角を切り戻し方向に補正する補正操舵が確実に実行される。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記補正操舵角制限手段は車輌の旋回方向の切り替わりを検出する手段と、車輌の旋回方向の切り替わりが検出されたときには少なくとも前記操舵切り増し側の制限値を徐々に変化させる制限値徐変手段とを有するよう構成される(請求項3の構成)。
【0013】
上記請求項3の構成によれば、車輌の旋回方向が切り替わったときには制限値徐変手段により少なくとも操舵切り増し側の制限値が徐々に変化されるので、車輌の旋回方向が切り替わったときに操舵切り増し側の制限値が急激に変化し、補正操舵角が急激に変化することに起因して操舵輪の実舵角が急激に変化することが確実に防止される。
【0014】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、状態量検出手段は車輌の実ヨーレート及び車輌の目標ヨーレートを演算するための状態量を検出するよう構成される(好ましい態様1)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、補正操舵角演算手段は車輌の状態量に基づき車輌の目標ヨーレートを演算し、実ヨーレートと目標ヨーレートとの偏差に基づき補正操舵角を演算するよう構成される(好ましい態様2)。
【0016】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、補正操舵角制限手段は補正操舵角演算手段により演算された補正操舵角が操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値とにより設定される所定の範囲を超えるときには補正操舵角を対応する制限値に制限するよう構成される(好ましい態様3)。
【0017】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、補正操舵角制限手段は補正操舵角演算手段により演算された補正操舵角が操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値とにより設定される所定の範囲を超えるときには補正操舵角を対応する制限値に制限すると共に、制限値の変化を制限するよう構成される(好ましい態様4)。
【0018】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様4の構成に於いて、補正操舵角制限手段は制限値の変化を禁止することにより制限値の変化を制限するよう構成される(好ましい態様5)。
【0019】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車輌の旋回方向の切り替わりを検出する手段は車輌の実ヨーレートを検出する手段を含み、実ヨーレートの符号の変化に基づき旋回方向の切り替わりを検出するよう構成される(好ましい態様6)。
【0020】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、制限値徐変手段は車輌の旋回方向の切り替わりが検出されたときには操舵切り増し側の制限値が旋回方向の切り替わりが検出される前の操舵切り戻し側の制限値より変化する際の変化率を制限することにより操舵切り増し側の制限値を徐々に変化させるよう構成される(好ましい態様7)。
【0021】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、補正操舵角演算手段は少なくとも操舵角をパラメータとする互いに異なる車輌モデルに基づき車輌のヨーレートを推定する複数の推定手段と、該複数の推定手段により推定された複数のヨーレートのうちの最大値及び最小値に基づき異常判定範囲を設定し、状態量検出手段により検出された車輌の実ヨーレートが異常判定範囲内にあるか否かにより状態量検出手段が異常であるか否かを判定する手段とを有するよう構成される(好ましい態様8)。
【0022】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様8の構成に於いて、補正操舵角演算手段は車輌の実ヨーレートが異常判定範囲外にあるときには実ヨーレートを異常判定範囲内の値に補正して補正操舵角を演算するよう構成される(好ましい態様9)。
【0023】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様8の構成に於いて、複数の推定手段は少なくとも操舵角を入力パラメータとする互いに異なるオブザーバであるよう構成される(好ましい態様10)。
【0024】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様10の構成に於いて、複数の推定手段は車輌のヨーレート及び前後輪の横力を推定し、補正操舵角演算手段は推定された前後輪の横力に基づき車輌の横加速度を推定する手段と、車輌の実横加速度を検出する手段とを有し、車輌の実ヨーレートが異常判定範囲外にある状況が所定の時間以上継続するときには、推定された横加速度と実横加速度との偏差の大きさが最も小さいオブザーバにより推定されたヨーレートに基づき補正操舵角を演算するよう構成される(好ましい態様11)。
【0025】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、車輌は操舵トルクアシスト式の操舵装置を有し、操舵制御装置は操舵トルク検出手段と、検出された操舵トルクに応じてアシストトルクを演算する手段と、少なくとも補正操舵角に応じて補正トルクを演算する補正トルク演算手段と、補正トルクにて補正されたアシストトルクにて操舵装置の操舵トルクを制御する操舵トルク制御手段とを含むよう構成される(好ましい態様12)。
【0026】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様12の構成に於いて、補正トルク演算手段は補正操舵角に基づき第一の補正トルクを演算し、補正操舵角の変化率に基づき第二の補正トルクを演算し、第一の補正トルクと第二の補正トルクとの和として補正トルクを演算するよう構成される(好ましい態様13)。
【0027】
本発明の更に他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様12の構成に於いて、操舵制御装置は車輌の実ヨーレートを検出するヨーレート検出手段を含み、補正トルク演算手段は少なくとも操舵角に基づき車輌の目標ヨーレートを演算し、実ヨーレートと目標ヨーレートとの偏差を演算し、該偏差の絶対値と補正操舵角との積に基づき該積の大きさが大きいほど大きさが小さくなるよう第一の補正トルクを演算するよう構成される(好ましい態様14)。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0029】
図1は電動式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の操舵制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【0030】
図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の駆動輪である左右の後輪を示している。従動輪であり操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式の電動式パワーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び18R を介して操舵される。
【0031】
特に図示の実施形態に於いては、パワーステアリング装置16は操舵トルクアシスト式のパワーステアリング装置であり、ステアリングホイール14とパワーステアリング装置16のギヤボックスとを連結するアッパシャフト20とロアシャフト22との間には補正操舵装置24が介装されている。補正操舵装置24は例えばモータ及び歯車機構を含み、アッパシャフト20に対し相対的にロアシャフト22を回転させることにより補正操舵を行うようになっている。
【0032】
パワーステアリング装置16及び補正操舵装置24は後に詳細に説明する如く運転者の操舵負担を軽減するアシストトルクを発生すると共に旋回時の車輌の安定性を向上させるべく電気式制御装置26により制御される。またパワーステアリング装置16は補正操舵に起因する操舵反力の変動を是正すべく補正操舵が行われるときには補正操舵に応じて補正されたアシストトルクを発生するよう電気式制御装置26により制御される。
【0033】
図示の如く、電気式制御装置26にはアッパシャフト20に設けられた操舵角センサ28により検出された操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ30により検出された車輌の実ヨーレートγを示す信号、車速センサ32により検出された車速Vを示す信号、トルクセンサ34により検出された操舵トルクTsを示す信号、横加速度センサ36により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号が入力される。
【0034】
尚操舵角センサ28等は車輌の左旋回の場合の値を正として操舵角θ等を検出する。また図1には詳細に示されていないが、電気式制御装置26は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータと駆動回路とよりなるものであってよい。
【0035】
電気式制御装置26は、後述の如く図2に示されたフローチャートに従い、操舵角θ及び車速Vに基づき車輌の目標ヨーレートγtを演算し、ヨーレートセンサ30により検出された実ヨーレート(検出ヨーレート)γと目標ヨーレートγtとの偏差Δγtを演算し、ヨーレート偏差Δγtに基づき前輪の補正操舵角θaを演算し、補正操舵角θaに基づき補正操舵装置24を制御し、これにより前輪のスリップ角を最適化することによって旋回時の車輌の安定性を向上させる。
【0036】
また電気式制御装置26は、後述の如く図2に示されたフローチャートに従い、補正操舵角θaを左旋回方向の制限値θap(正の値)以下で右旋回方向の制限値θam(負の値)以上に制限し、また車輌の旋回方向が切り替わった際の制限値θap及びθamの変化率を制限し、更に補正操舵角θaが制限値θap又はθamにより制限されている状況に於いては制限値θap及びθamの変化を制限する。
【0037】
また電気式制御装置26は、後述の如く図3に示されたフローチャートに従い、操舵角θ及び車速Vを入力パラメータとするオブザーバ1〜3により車輌の推定ヨーレートγh1〜γh3を演算し、ヨーレートセンサ30により検出された検出ヨーレートγが推定ヨーレートγh1〜γh3により定まる所定の範囲内にないときには検出ヨーレートγを所定の範囲内の値に補正する。
【0038】
また電気式制御装置26は、後述の如く図3に示されたフローチャートに従い、
検出ヨーレートγが所定の範囲内にない状況が所定の時間以上継続したときには、オブザーバ1〜3により推定された前輪横力Ffj及び後輪横力Frjに基づき車輌の推定横加速度Gyhj(j=1、2、3)を演算し、横加速度センサ36により検出された横加速度Gyと推定横加速度Gyhjとの偏差ΔGyjを演算し、横加速度偏差ΔGyjの大きさが最も小さいオブザーバにより推定されたヨーレートγhjを検出ヨーレートγに設定する。
【0039】
また電気式制御装置26は、後述の如く図4に示されたルーチンに従い、トルクセンサ34により検出された操舵トルクTsに基づき基本アシストトルクTbを演算し、補正操舵角θaに基づき第一の補正トルクTa1を演算し、補正操舵角の微分値θadに基づき第二の補正トルクTa2を演算し、基本アシストトルクTbを第一の補正トルクTa1及び第二の補正トルクTa2にて補正した後のアシストトルクTasを演算し、アシストトルクTasに基づき電動式パワーステアリング装置16を制御することにより操舵トルクのアシスト制御を行う。
【0040】
次に図2及び図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける補正操舵制御について説明する。尚図2及び図3に示されたフローチャートによる補正操舵制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0041】
まずステップ10に於いては操舵角センサ28により検出された操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては図3に示されたフローチャートに従って後述の如くヨーレートセンサ30の異常判定処理が行われ、ヨーレートセンサ30が異常であるときには検出ヨーレートγが補正される。
【0042】
ステップ80に於いては操舵角θに基づき前輪の実舵角δが演算されると共に、Hを車輌のホイールベースとし、Khをスタビリティファクタとして下記の式1に従って車輌の目標ヨーレートγtが演算される。
γt=V・δ/(1+Kh・V2)H ……(1)
【0043】
ステップ90に於いては目標ヨーレートγtと検出ヨーレートγとの偏差Δγt(=γt−γ)が演算されると共に、ヨーレート偏差Δγtに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより前輪の補正操舵角θaが演算される。尚補正操舵角θaはヨーレート偏差Δγtに比例する値として演算されてもよい。
【0044】
ステップ100に於いては補正操舵角θaが左旋回方向の制限値θapを越えているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ120へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ110に於いて補正操舵角θaが制限値θapに設定された後ステップ170へ進む。
【0045】
ステップ120に於いては補正操舵角θaが右旋回方向の制限値θam未満であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ140へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いて補正操舵角θaが制限値θamに設定された後ステップ170へ進む。
【0046】
ステップ140に於いては検出ヨーレートγが正であるか否かの判別、即ち車輌が左旋回状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ150へ進む。
【0047】
ステップ150に於いてはmax{ }を{ }内の数値のうちの最大値として下記の式2及び3に従って制限値θap及びθamが徐々に変化するようこれらの制限値が演算され、ステップ160に於いてはmin{ }を{ }内の数値のうちの最小値として下記の式4及び5に従って制限値θap及びθamが徐々に変化するようこれらの制限値が演算され、ステップ150又は160が完了するとステップ170へ進む。
【0048】
θap=max(θi,θap−Δθd) ……(2)
θam=max(−θd,θam−Δθu) ……(3)
θap=min(θd,θap+Δθu) ……(4)
θam=min(−θi,θam+Δθd) ……(5)
【0049】
尚上記各式に於いて、θiは操舵輪である前輪の切り増し側の制限値であり、θdは前輪の切り戻し側の制限値であり、Δθuは制限値θap及びθamの大きさの増加率であり、Δθdは制限値θap及びθamの大きさの減少率である。またθi、θd、Δθu、Δθdは全て正の定数であり、特にθi<θd、Δθu>Δθdである(後述の図13参照)。
【0050】
ステップ170に於いては前輪の補正操舵角θaに基づき補正操舵装置24が制御され、これにより左右前輪10FL及び10FRが補正操舵角θaにて補正操舵され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0051】
図3に示された異常判定処理ルーチンのステップ25に於いては、操舵角θに基づき前輪の実舵角δが演算され、下記の式6〜式10及び図6、図7に於いて実線にて示されたグラフに対応するマップより前輪の推定スリップ角αf、後輪の推定スリップ角αr、前輪の横力Ff、後輪の横力Fr、車輌のスリップ角β、車輌のヨーレートγh、車輌の横速度Vyが推定され、推定された横力Ff及びFrがそれぞれオブザーバ1による推定横力Ff1及びFr1に設定されると共に、推定された車輌のヨーレートγhがオブザーバ1による推定ヨーレートγh1に設定される。
【0052】
αf=−β+δ−Lf・γh/Vx ……(6)
αr=−β+Lr・γh/Vx ……(7)
γd=(Lf・Ff−Lr・Ff)/Iz ……(8)
Vyd=(Ff+Fr)/m−Vx・γh ……(9)
β=Vy/Vx ……(10)
【0053】
尚上記各式に於いて、Lf及びLrはそれぞれ車輌の重心と前輪車軸及び後輪車軸との間の距離であり、Vxは車輌の前後速度(=車速V)であり、Izは車輌のヨー慣性モーメントであり、mは車輌の重量であり、γdは車輌のヨーレートγの微分値であり、Vydは車輌の横速度Vyの微分値である。また上記式8及び9は微分方程式であるので、差分により解が演算される。更に図6及び図7に示された各グラフは、例えば路面の摩擦係数等が互いに異なる車輌モデルに基づき設定される。
【0054】
ステップ30に於いては上記式6〜10及び図6、図7に於いて破線にて示されたグラフに対応するマップより前輪の推定スリップ角αf、後輪の推定スリップ角αr、車輌のスリップ角β、車輌のヨーレートγh、車輌の横速度Vyが推定され、推定された横力Ff及びFrがそれぞれオブザーバ2による推定横力Ff2及びFr2に設定されると共に、推定された車輌のヨーレートγhがオブザーバ2による推定ヨーレートγh2に設定される。
【0055】
ステップ35に於いては上記式6〜10及び図6、図7に於いて一点鎖線にて示されたグラフに対応するマップより前輪の推定スリップ角αf、後輪の推定スリップ角αr、車輌のスリップ角β、車輌のヨーレートγh、車輌の横速度Vyが推定され、推定された横力Ff及びFrがそれぞれオブザーバ3による推定横力Ff3及びFr3に設定されると共に、推定された車輌のヨーレートγhがオブザーバ3による推定ヨーレートγh3に設定される。
【0056】
ステップ40に於いてはオブザーバ1〜3により推定されたヨーレートγhjのうちの最大値及び最小値をそれぞれγhmax、γhminとし、γcを正の定数として、検出ヨーレートγがγhmax+γcを上限値としγhmin−γcを下限値とする所定の範囲内にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ45に於いてカウンタのカウント値Cyが0にリセットされた後ステップ80へ進み、否定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
【0057】
ステップ50に於いてはカウンタのカウント値Cyが1インクリメントされ、ステップ55に於いては検出ヨーレートγが上限値γhmax+γcを越えているときには検出ヨーレートγが該上限値に補正され、逆に検出ヨーレートγが下限値γhmin−γc未満であるときには検出ヨーレートγが該下限値に補正されることにより、検出ヨーレートγが所定の範囲内に補正される。
【0058】
ステップ60に於いてはカウンタのカウント値Cyが基準値Cyc(正の一定の整数)を越えているか否かの判別、即ち検出ヨーレートγが所定の範囲外である状況が所定の時間以上継続したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ80へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ65へ進む。
【0059】
ステップ65に於いてはステップ25〜35に於いて演算された前輪横力Ffj及び後輪横力Frjに基づき下記の式11に従って車輌の推定横加速度Gyhjが演算される。
Gyhj=(Ffj+Frj)/m ……(11)
【0060】
ステップ70に於いては下記の式12に従って横加速度センサ36により検出された車輌の横加速度Gyと推定横加速度Gyhjとの偏差として横加速度の偏差ΔGyjが演算される。
ΔGyj=Gy−Gyhj ……(12)
【0061】
ステップ75に於いては横加速度の偏差ΔGyjのうちその絶対値が最小である横加速度の偏差が特定され、その特定された横加速度の偏差に対応するオブザーバにより推定された最適のヨーレートγhjが検出ヨーレートγに設定され、しかる後ステップ80へ進む。
【0062】
次に図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける操舵トルクアシスト制御について説明する。尚図4に示されたフローチャートによるアシスト制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0063】
まずステップ210に於いては操舵角センサ28により検出された操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いてはトルクセンサ34により検出された操舵トルクTsに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより基本アシストトルクTbが演算される。
【0064】
ステップ230に於いては操舵角θに基づき前輪の実舵角δが演算されると共に、上記式1に従って車輌の目標ヨーレートγtが演算され、更に目標ヨーレートγtとヨーレートセンサ30により検出された車輌の実ヨーレートγとの偏差γ−γtとしてヨーレート偏差Δγtが演算される。
【0065】
ステップ240に於いてはヨーレート偏差Δγtの絶対値と図2のステップ90に於いて演算された補正操舵角θaとの積に基づき図9に示されたグラフに対応するマップより第一の補正トルクTa1が演算される。
【0066】
ステップ250に於いては前輪の補正操舵角θaの微分値θadが演算され、ステップ260に於いては補正操舵角の微分値θadに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより第二の補正トルクTa2が演算される。
【0067】
ステップ270に於いては下記の式13に従って第一の補正トルクTa1と第二の補正トルクTa2との和として補正トルクTaが演算される。
Ta=Ta1+Ta2 ……(13)
【0068】
ステップ280に於いては下記の式14に従ってステップ220に於いて演算された基本アシストトルクTbとステップ270に於いて演算された補正トルクTaとの和として補正後のアシストトルクTasが演算され、ステップ290に於いてはアシストトルクTasに基づき電動式パワーステアリング装置16が制御されることにより操舵トルクのアシスト制御が実行され、しかる後ステップ210へ戻る。
Tas=Tb+Ta ……(14)
【0069】
かくして上述の実施形態によれば、ステップ80に於いて車輌の目標ヨーレートγtが演算され、ステップ90に於いて検出ヨーレートγと目標ヨーレートγtとの偏差Δγtに基づき前輪の補正操舵角θaが演算され、ステップ170に於いて補正操舵角θaに基づき補正操舵装置24が制御されることにより左右前輪10FL及び10FRが補正操舵角θaにて補正操舵される。
【0070】
従って左右前輪10FL及び10FRの実舵角が補正操舵角θaにて補正され、これにより運転者による操舵量に過不足がある場合にも前輪の実舵角が最適化されるので、前輪の実舵角の過不足に起因する車輌の旋回挙動の悪化を確実に防止し、旋回時の車輌の安定性を向上させることができる。
【0071】
特に図示の実施形態によれば、ステップ100及び110に於いて補正操舵角θaが左旋回方向の制限値θapを越えているときには補正操舵角θaが制限値θapに設定され、ステップ120及び130に於いて補正操舵角θaが右旋回方向の制限値θam未満であるときには補正操舵角θaが制限値θamに設定されるので、補正操舵角θaの大きさが制限値を越えて過剰になることを防止し、これにより補正操舵が不必要に過剰に行われることを確実に防止することができる。
【0072】
また図示の実施形態によれば、補正操舵角θaが左旋回方向の制限値θapを越えているときには補正操舵角θaが制限値θapに設定され、補正操舵角θaが右旋回方向の制限値θam未満であるときには補正操舵角θaが制限値θamに設定されるだけでなく、制限値θap及びθamは一定に維持されるので、制限値θap、θamが変化し補正操舵角θaが変化することに起因して車輌の乗員が異和感を感じることを確実に防止することができる。
【0073】
また一般に、旋回時の車輌の安定性を確保するためには、前輪の実舵角δ及び車輌の実ヨーレートγが図11に於いてハッチングが施された領域にあることが好ましく、従って補正操舵による前輪の切り増しは切り戻しよりも制限されなければならない。
【0074】
図示の実施形態によれば、前述の如く前輪の切り増し側の制限値θiは前輪の切り戻し側の制限値θdよりも小さいので、補正操舵角θaが前輪の切り増し方向に大きい値に演算されることが確実に防止され、従って例えば前輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合にも、前輪の実舵角が切り増し方向に大きく増大され前輪のスリップ角が更に増大することに起因して前輪の横力が更に低下することを確実に防止することができる。
【0075】
また車輌の旋回方向が切り替わると制限値θap及びθamは基本的にθi及び−θdとの組合せとθd及び−θiとの組合せとの間に切り替わるので、ステップ150及び160の徐変演算が行われない場合には、図12に示されている如く車輌の旋回方向が切り替わると制限値θap及びθamが段差的に変化し、制限値θap及びθamの段差的変化に対応して補正操舵角θaが段差的に変化し、そのため車輌の実舵角δも段差的に変化することに起因して車輌の安定性が悪化すると共に車輌の乗員が異和感を感じる虞れがある。
【0076】
これに対し図示の実施形態によれば、ステップ150及び160の徐変演算により制限値θap及びθamの大きさの増加率及び減少率がそれぞれ増加率Δθu及び減少率Δθdに規制されるので、図13に示されている如く、制限値θap及びθamの大きさが段差的に変化することを確実に防止することができ、これにより補正操舵により却って車輌の安定性が悪化したり車輌の乗員が異和感を感じたりすることを確実に防止することができる。
【0077】
特に前述の如く減少率Δθdは増加率Δθuよりも小さく、従って制限値θap及びθamの大きさの減少変化は制限値θap及びθamの大きさの増大変化よりも穏やかであるので、補正操舵角θaの大きさが制限値θap又はθamにより規制されることによる減少変化も増大変化より穏やかであり、従って車輌の旋回方向が切り替わった直後に補正操舵により車輌の安定性が悪化されることを確実に防止することができる。
【0078】
また図示の実施形態によれば、ステップ25〜35に於いてそれぞれオブザーバ1〜3による車輌の推定ヨーレートγh1〜γh3が演算され、ステップ40に於いてヨーレートγh1〜γh3のうちの最大値γhmax及び最小値γhminに基づき、検出ヨーレートγが上限値γhmax+γcと下限値γhmin−γcとの間の所定の範囲内にあるか否かの判別が行われ、検出ヨーレートγが所定の範囲内にないときには補正操舵角θaの演算に供される検出ヨーレートγが上限値γhmax+γc又は下限値γhmin−γcに補正される。
【0079】
従ってヨーレートセンサ30に異常が生じ、検出ヨーレートγが異常な値になり、そのためヨーレート偏差Δγtに基づき演算される補正操舵角θaが異常な値になることに起因して不適切な補正操舵が行われることを確実に防止することができる。尚図14は操舵角θ、オブザーバ1〜3により推定されたヨーレートγh1〜γh3、これらの推定ヨーレートにより定まる上限値γhmax+γc及び下限値γhmin−γcの変化の一例を示している。
【0080】
また図示の実施形態によれば、検出ヨーレートγが所定の範囲内にない状況が所定の時間以上継続すると、ステップ60に於いて肯定判別が行われ、ステップ65に於いてオブザーバ1〜3により推定された前輪横力Ffj及び後輪横力Frjに基づき車輌の推定横加速度Gyhjが演算され、ステップ70に於いて車輌の実横加速度Gyと推定横加速度Gyhjとの偏差として横加速度の偏差ΔGyjが演算され、ステップ75に於いて横加速度の偏差ΔGyjのうちその絶対値が最小である横加速度の偏差が特定され、その特定された横加速度の偏差に対応するオブザーバにより推定された最適のヨーレートγhjが検出ヨーレートγに設定され、その検出ヨーレートγに基づき補正操舵角θaが演算される。
【0081】
従ってヨーレートセンサ30に瞬間的ではない異常が生じた場合にも、異常な検出ヨーレートγに基づき演算された異常な補正操舵角θaにて不適切な補正操舵が継続的に行われること及びこれに起因する車輌の旋回挙動の悪化を確実に防止することができる。
【0082】
また図示の実施形態によれば、ステップ220に於いて操舵トルクTsに基づき基本アシストトルクTbが演算され、ステップ230及び240に於いて車輌の目標ヨーレートγtと実ヨーレートγとの偏差Δγtが演算されると共に、ヨーレート偏差Δγtの絶対値と補正操舵角θaとの積に基づき第一の補正トルクTa1が演算され、ステップ250及び260に於いて補正操舵角の微分値θadに基づき第二の補正トルクTa2が演算され、ステップ270乃至290に於いて基本アシストトルクTbが第一の補正トルクTa1及び第二の補正トルクTa2にて補正された後のアシストトルクTasに基づき操舵トルクのアシスト制御が行われる。
【0083】
従って図示の実施形態によれば、左右の前輪が補正操舵角θaにて補正操舵されるだけでなく、この補正操舵に起因して運転者が感じる操舵反力が不自然に変動することを確実に防止することができ、これにより基本アシストトルクが第一及び第二の補正トルクにて補正されない場合に比して操舵フィーリングを向上させることができる。
【0084】
特に図示の実施形態によれば、前輪の補正操舵角θaの大きさが大きくなるほど第一の補正トルクTa1の大きさが小さくなるだけでなく、ヨーレート偏差Δγtの絶対値が大きくなるほど第一の補正トルクの大きさが減少するよう第一の補正トルクが演算されるので、ヨーレート偏差の大きさが過大になる車輌の限界走行時に確実に第一の補正トルクが低減され、これにより車輌の限界走行領域及びその近傍に於いて補正トルクが過剰になることを確実に防止することができる。
【0085】
また基本アシストトルクTbは第一の補正トルクTa1のみにより補正されるのではなく、第二の補正トルクTa2によっても補正され、第二の補正トルクTa2は前輪の補正操舵角θaの微分値θadの大きさが大きいほど大きい値になるよう演算されるので、補正操舵時に操舵装置内部の摩擦等により発生される操舵反力の変動分を確実に相殺することができる。
【0086】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0087】
例えば上述の実施形態に於いては、前輪の補正操舵角θaは車輌の目標ヨーレートγtと実ヨーレートγとの偏差Δγtに基づき演算されるようになっているが、前輪の補正操舵角θaはオブザーバにより推定された前輪のスリップ角αfに基づく制御量θa1と、ヨーレート偏差Δγtに基づく制御量θa2との線形和として演算され、これにより前輪の実舵角が前輪のスリップ角に基づくフィードバック制御及びヨーレート偏差に基づくフィードバック制御の両者により制御されるよう修正されてもよい。
【0088】
また上述の実施形態に於いては、車輌のヨーレートγを推定するためのオブザーバは三つであるが、オブザーバの数は必要に応じて三つ以外の任意の複数に設定されてもよい。
【0089】
また上述の実施形態に於いては、補正操舵に起因する操舵反力の変動を是正すべく、ステップ210〜290に従って操舵トルクアシスト制御が行われるようになっているが、補正操舵に起因する操舵反力の変動を是正するための操舵トルクアシスト制御は任意の態様にて行われてよく、また操舵トルクアシスト制御が省略されてもよい。
【0090】
また上述の実施形態に於いては、前輪のみが操舵輪であり、補正操舵は前輪についてのみ行われるようになっているが、本発明は四輪操舵装置を備えた車輌に適用されてもよく、その場合前輪及び後輪の両方について補正操舵が行われるよう構成されてもよく、また前輪及び後輪の一方についてのみ補正操舵が行われるよう構成されてもよい。
【0091】
更に上述の実施形態に於いては、前輪のステアリング装置はラック・アンド・ピニオン式の電動式パワーステアリング装置16であり、補正操舵装置24はアッパシャフト20に対し相対的にロアシャフト22を回転させることにより補正操舵を行うようになっているが、前輪のステアリング装置及び補正操舵装置は当技術分野に於いて公知の任意の構造のものであってよい。
【0092】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、請求項1の構成によれば、操舵輪の実舵角を適正化することによって旋回時の車輌の安定性を向上させることができるだけでなく、補正操舵角が操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値との間の値に制限されるので、操舵輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合にも、操舵輪の実舵角が切り増し方向に増大され操舵輪のスリップ角が更に増大することに起因して操舵輪の横力が更に低下する虞れを効果的に低減することができる。
【0093】
また請求項1の構成によれば、補正操舵角は状態量検出手段により検出された車輌の状態量に基づき演算されるので、例えば前述の特開平5−319289号公報に記載されている如く、推定されたコーナリングフォースを推定されたスリップ角にて偏微分した値が負であるか否かにより補正操舵の要否が判定される場合に比して、車輌の状態量や運転者の操作量を検出するセンサの検出誤差等の影響に基因して不必要な補正操舵が行われたり必要な補正操舵が行われなかったりする虞れを低減することができる。
【0094】
また請求項2の構成によれば、操舵切り増し側の制限値の大きさは操舵切り戻し側の制限値の大きさよりも小さいので、操舵輪のスリップ角が限界スリップ角を越えた状況に於いて補正操舵が行われる場合に補正操舵に起因して操舵輪の横力が更に低下することを確実に防止することができると共に、操舵輪の実舵角を切り戻し方向に補正する補正操舵を確実に実行することができる。
【0095】
また請求項3の構成によれば、車輌の旋回方向が切り替わったときには制限値徐変手段により少なくとも操舵切り増し側の制限値が徐々に変化されるので、車輌の旋回方向が切り替わったときに操舵切り増し側の制限値が急激に変化し補正操舵角が急激に変化することに起因して操舵輪の実舵角が急激に変化することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動式パワーステアリング装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の操舵制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける操舵制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図示の実施形態に於けるヨーレートセンサの異常判定処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図示の実施形態に於ける操舵トルクアシスト制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ヨーレート偏差Δγtと前輪の補正操舵角θaとの関係を示すグラフである。
【図6】前輪の推定スリップ角αfと前輪の横力Ffとの関係を示すグラフである。
【図7】後輪の推定スリップ角αrと後輪の横力Frとの関係を示すグラフである。
【図8】検出された操舵トルクTsと基本アシストトルクTbとの関係を示すグラフである。
【図9】ヨーレート偏差Δγtの絶対値及び前輪の補正操舵角θaの積と第一の補正トルクTa1との関係を示すグラフである。
【図10】前輪の補正操舵角θaの微分値θadと第二の補正トルクTa2との関係を示すグラフである。
【図11】旋回時の車輌の安定性を確保するために好ましい車輌の実舵角δと車輌の実ヨーレートγとの関係を示すグラフである。
【図12】制限値θap及びθamの徐変演算が行われない場合に於ける制限値θap及びθamの変化の一例を示すグラフである。
【図13】図示の実施形態に於ける制限値θap及びθamの変化の一例を示す図12と同様のグラフである。
【図14】操舵角θ、オブザーバ1〜3により推定されたヨーレートγh1〜γh3、これらの推定ヨーレートにより定まる上限値γhmax+γc及び下限値γhmin−γcの変化の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
16…電動式パワーステアリング装置
24…補正操舵装置
26…電気式制御装置
28…操舵角センサ
30…ヨーレートセンサ
32…車速センサ
34…トルクセンサ
36…横加速度センサ

Claims (3)

  1. 車輌の状態量を検出する状態量検出手段と、検出された状態量に基づき車輌の旋回挙動を安定化させるための補正操舵角を演算する補正操舵角演算手段と、前記補正操舵角に基づき操舵輪を補正操舵する補正操舵手段とを有する車輌の操舵制御装置に於いて、前記操舵制御装置は前記補正操舵角を操舵切り増し側の制限値と操舵切り戻し側の制限値との間の値に制限する補正操舵角制限手段を有することを特徴とする車輌の操舵制御装置。
  2. 前記操舵切り増し側の制限値の大きさは前記操舵切り戻し側の制限値の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車輌の操舵制御装置。
  3. 前記補正操舵角制限手段は車輌の旋回方向の切り替わりを検出する手段と、車輌の旋回方向の切り替わりが検出されたときには少なくとも前記操舵切り増し側の制限値を徐々に変化させる制限値徐変手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の車輌の操舵制御装置。
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