JP5578331B2 - 車両の走行軌跡制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の走行軌跡制御装置に係り、更に詳細には操舵輪の舵角が目標舵角になるよう制御することにより車両を目標軌跡(目標走行ライン)に沿って走行させる車両の走行軌跡制御装置に係る。
ステアリングホイールの如き操舵入力手段の操舵操作位置に対する操舵輪の舵角の関係を変更可能な舵角可変装置を備えた車両に於いて、操舵輪の舵角が目標舵角になるよう制御することにより車両の走行を制御する走行制御装置は既に知られている。走行制御装置の一つとして、車両を目標走行ラインに沿って走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、操舵輪の舵角を目標舵角に制御することにより車両を目標走行ラインに沿って走行させる走行軌跡制御装置が種々提案されている。
例えば下記の特許文献1には、操舵輪の舵角の制御が確実に且つ正確に行われるよう、舵角可変装置と操舵アシスト力発生装置との協調制御により操舵輪の舵角を目標舵角に制御するよう構成された走行軌跡制御装置が記載されている。
特開2011−31770号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
走行軌跡制御に於いては、走行軌跡制御による車両の走行車線維持性能を高くすべく目標軌跡に対する車両の追従性が高く設定されると、運転者の操舵操作が操舵輪の舵角に反映しにくくなるため、運転者の操舵のオーバーライド性が悪化する。即ち運転者が自らの意思に基づいて操舵操作しても、車両がそれに応じた動きをし難くいため、運転者が異和感を覚えたり、運転者の希望に則して車両を走行させることが困難になる。
逆に運転者の操舵のオーバーライド性を確保すべく、目標軌跡に対する車両の追従性が低く設定されると、走行軌跡制御による車両の走行車線維持性能が低下するため、車両を確実に目標軌跡に沿って走行させることが困難になる。
特に舵角可変装置と操舵アシスト力発生装置との協調制御により操舵輪の舵角が目標舵角に制御される場合には、操舵アシスト力も操舵輪の舵角を目標舵角にするよう制御される。従って上述の問題は、舵角可変装置と操舵アシスト力発生装置との協調制御により操舵輪の舵角が目標舵角に制御される場合に特に顕著である。
また運転者の運転技能が高い場合には、車両が適正に走行車線に沿って走行するよう運転者による操舵操作が行われるので、車両を走行車線に沿って走行させるために必要な操舵輪の舵角の制御量は小さくてよい。よって目標軌跡に対する車両の追従性は高く設定されなくてもよい。
これに対し運転者の運転技能が低い場合には、運転者の操舵操作は必ずしも車両が適正に走行車線に沿って走行するようには行われないので、車両を走行車線に沿って走行させるために必要な操舵輪の舵角の制御量は大きくなる。よって車両を目標軌跡に沿って走行させるために目標軌跡に対する車両の追従性が高く設定される必要がある。
しかるに従来の走行軌跡制御装置に於いては目標軌跡に対する車両の追従性が一定であるため、運転者の操舵のオーバーライド性の要求や運転者の運転技能の相違に起因する問題を解消することができない。
本発明は、車両を目標走行ラインに沿って走行させるための操舵輪の目標舵角が演算され、操舵輪の舵角が目標舵角に制御されることにより車両を目標走行ラインに沿って走行させる従来の走行軌跡制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものである。そして本発明の主要な課題は、運転者によって操舵のオーバーライド性の要求や運転技能が相違していても、運転者に違和感を覚えさせたりすることなく車両を目標軌跡に沿って走行させることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、目標軌跡に追従するよう車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、運転者の操舵操作の有無に関係なく前記目標舵角に基づいて舵角制御手段により操舵輪の舵角を制御することにより車両の走行軌跡制御を行う車両の走行軌跡制御装置に於いて、前記走行軌跡制御の実行中に運転者の運転技能及び軌跡変更意思の少なくとも一方を判定し、判定結果に基づいて前記走行軌跡制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を可変設定することを特徴とする車両の走行軌跡制御装置(請求項1の構成)によって達成される。
上記の構成によれば、運転者の操舵操作の有無に関係なく行われる走行軌跡制御の実行中に運転者の運転技能及び軌跡変更意思の少なくとも一方が判定され、判定結果に基づいて走行軌跡制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性が可変設定される。従って運転者の操舵操作の有無に関係なく行われる走行軌跡制御の実行中に判定された運転者の運転技能及び軌跡変更意思の少なくとも一方に応じて目標軌跡に対する車両の追従性を可変設定することができる。よって目標軌跡に対する車両の追従性が一定である従来の走行軌跡制御装置の場合に比して運転者の運転技能や軌跡変更意思の如何に拘わらず車両の走行軌跡を適正に行わせることができる。
また上記の構成によれば、本発明の走行軌跡制御装置は、運転者の操舵操作の有無に関係なく目標舵角に基づいて舵角制御手段により操舵輪の舵角を制御することにより車両の走行軌跡制御を行う車両に適用される。従って運転者の操舵操作の有無に関係なく行われる車両の走行軌跡制御の目標軌跡に対する車両の追従性を、運転者の操舵操作の有無に関係なく行われる走行軌跡制御の実行中に判定された運転者の運転技能及び軌跡変更意思の少なくとも一方に応じて可変設定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、運転者の運転技能が高いときには運転者の運転技能が低いときに比して前記車両の追従性を低く設定するよう構成される(請求項2の構成)。
上記の構成によれば、運転者の運転技能が高いときには運転者の運転技能が低いときに比して目標軌跡に対する車両の追従性が低く設定されるので、運転者の運転技能が高いときには運転者の操舵操作を操舵輪の舵角に反映させ易くすることができる。よって運転技能が低い運転者の操舵のオーバーライド性が過剰に高くなることを防止しつつ、運転技能が高い運転者の操舵のオーバーライド性を高くすることができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の変化率に基づいて運転者の運転技能を判定するよう構成される(請求項3の構成)。
一般に、運転者の運転技能が高い場合には運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータは車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータに近くなるので、それらの差分の変化率は小さい。これに対し運転者の運転技能が低い場合には運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータは車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータより乖離し易くなるので、これらの差分の変化率は大きくなり易い。
上記の構成によれば、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の変化率に基づいて運転者の運転技能を判定するので、運転者の運転技能の高低を確実に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、運転者の軌跡変更意思が強いときには運転者の軌跡変更意思が弱いときに比して前記車両の追従性を低く設定するよう構成される(請求項4の構成)。
上記の構成によれば、運転者の軌跡変更意思が強いときには運転者の軌跡変更意思が弱いときに比して車両の追従性が低く設定されるので、運転者の軌跡変更意思が強いときには運転者の操舵操作を操舵輪の舵角に反映させ易くすることができる。よって運転者の軌跡変更意思が弱い状況に於いて運転者の操舵のオーバーライド性が過剰に高くなることを防止しつつ、運転者の軌跡変更意思が強い状況に於いて運転者の操舵のオーバーライド性を高くすることができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の大きさが基準値以上である状況の継続時間に基づいて運転者の軌跡変更意思の有無を判定するよう構成される(請求項5の構成)。
一般に、運転者が車両の走行軌跡を変更しようとしているときには、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の大きさが大きくなると共にその継続時間が長くなる。
上記の構成によれば、上記二つのパラメータの差分の大きさが基準値以上である状況の継続時間に基づいて運転者の軌跡変更意思の有無が判定されるので、運転者の軌跡変更意思の有無を確実に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、運転者の軌跡変更意思があると判定した場合に於ける前記差分の大きさと継続時間との積に基づいて運転者の軌跡変更意思の強さを判定するよう構成される(請求項6の構成)。
一般に、運転者が車両の走行軌跡を変更しようと意思が強いほど、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の大きさが大きくなると共にその継続時間が長くなる。
上記の構成によれば、上記二つのパラメータの差分の大きさと継続時間との積に基づいて運転者の軌跡変更意思の強さが判定されるので、運転者の軌跡変更意思の強さを確実に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記走行軌跡制御装置は走行車線の情報に基づいて走行車線に対する車両の横方向位置、走行車線に対する車両のヨー角、走行車線の半径の少なくとも一つの軌跡制御パラメータを推定し、少なくとも一つ方の軌跡制御パラメータに基づいて操舵輪の目標舵角を演算し、前記走行パラメータは前記車両の横方向位置、前記車両のヨー角、操舵輪の舵角の少なくとも一つを含んでいるよう構成される(請求項7の構成)。
上記の構成によれば、車両の横方向位置、車両のヨー角、操舵輪の舵角の少なくとも一つについての実際の値と目標値との差分に基づいて運転者の軌跡変更意思の有無を判定したり運転者の軌跡変更意思の強さを判定したりすることができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記車両の横方向位置の差分の変化率に基づく第一の運転技能判定値と、前記車両のヨー角の差分の変化率に基づく第二の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定し、走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して前記第一の運転技能判定値の重みを大きくするよう構成される(請求項8の構成)。
上記の構成によれば、車両の横方向位置の差分の変化率に基づく第一の運転技能判定値と、車両のヨー角の差分の変化率に基づく第二の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定することができる。また走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して第一の運転技能判定値の重みが大きくされるので、走行車線の半径の大小に関係なく運転者の運転技能を適正に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記走行軌跡制御による影響が排除された目標走行パラメータを使用するよう構成される(請求項9の構成)。
上記の構成によれば、走行軌跡制御による影響が排除された目標走行パラメータが使用される。従って走行軌跡制御による影響を排除して運転者の軌跡変更意思の有無を正確に判定することができ、また走行軌跡制御による影響を排除して運転者の軌跡変更意思の強さを正確に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、車速が高いときには車速が低いときに比して前記車両の追従性を変化する際の変化率を小さくするよう構成される(請求項10の構成)。
上記の構成によれば、車速が低いときには目標軌跡に対する車両の追従性を速やかに変化させつつ、車速が高いときに車両の追従性が急激に変化することに起因して車両の走行安定性が悪化する虞れを効果的に低減することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記走行軌跡制御装置は前記走行軌跡制御を行う制御モードと前記走行軌跡制御を行わない非制御モードとに切替わることができ、前記非制御モードに於いても操舵輪の目標舵角を演算し、前記差分は操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との差分を含んでいるよう構成される(請求項11の構成)。
上記の構成によれば、非制御モードに於いても操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との差分に基づいて運転者の運転技能の高低を確実に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記非制御モードに於いては、前記舵角の差分の変化率に基づく第三の運転技能判定値と、前記操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との位相差に基づく第四の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定し、走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して前記第三の運転技能判定値の重みを大きくするよう構成される(請求項12の構成)。
上記の構成によれば、舵角の差分の変化率に基づく第三の運転技能判定値と、操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との位相差に基づく第四の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定することができる。また走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して第三の運転技能判定値の重みが大きくされるので、走行車線の半径の大小に関係なく運転者の運転技能を適正に判定することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記舵角制御手段は運転者の操舵操作に対する操舵輪の舵角の変化の応答性を変更可能であり、前記走行軌跡制御装置は前記非制御モードに於いては運転者の運転技能の判定結果に応じて前記舵角制御手段の応答性を可変設定するよう構成される(請求項13の構成)。
上記の構成によれば、非制御モードに於いては運転者の運転技能の判定結果に応じて舵角制御手段の応答性が可変設定されるので、運転者の運転技能に応じて運転者の操舵操作に対する操舵輪の舵角の変化の応答性を変更することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記制御モードから前記非制御モードへ切替わる際に前記車両の追従性に対応する前記舵角制御手段の応答性を記憶し、前記非制御モードにて車両の走行が継続されるときには記憶している応答性に基づいて前記舵角制御手段の応答性を制御するよう構成される(請求項14の構成)。
上記の構成によれば、制御モードから非制御モードへ切替わる際に車両の追従性に対応する舵角制御手段の応答性が記憶され、非制御モードにて車両の走行が継続されるときには記憶している応答性に基づいて舵角制御手段の応答性が制御される。従って制御モードから非制御モードへ切替わった後も切替わりの際の車両の追従性に対応する応答性にて舵角制御手段の応答性を制御することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、前記走行軌跡制御装置は前記非制御モードにて車両の走行が終了する際に前記舵角制御手段の応答性を記憶し、前記非制御モードにて車両の走行が開始する際には前記舵角制御手段の応答性を記憶している応答性に設定するよう構成される(請求項15の構成)。
上記の構成によれば、非制御モードにて車両の走行が終了する際に舵角制御手段の応答性が記憶され、非制御モードにて車両の走行が開始する際には舵角制御手段の応答性が記憶している応答性に設定される。従って車両の走行が再開される際に運転者が舵角制御手段の応答性に違和感を覚える虞れを低減することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の変化率の単位時間当たり又は単位走行距離当たりの積算値に基づいて運転者の運転技能を判定するよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、運転者の軌跡変更意思があると判定した場合に於ける前記差分の大きさと継続時間との積の単位時間当たり又は単位走行距離当たりの積算値に基づいて運転者の軌跡変更意思の強さを判定するよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、走行軌跡制御による影響が排除された目標走行パラメータは操舵輪の目標舵角に基づいて車両モデルを使用して演算されるよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、舵角制御手段は操舵アシスト力発生装置との協調制御により操舵輪の舵角を目標舵角に制御するよう構成される。
本発明による車両の走行軌跡制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。 第一の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 図2のステップ100にて実行されるLKA制御の目標操舵角θlkt演算ルーチンを示すフローチャートである。 図2のステップ400にて実行されるLKA制御時の運転者の運転技能指標値Iskill演算ルーチンを示すフローチャートである。 図2をステップ700にて実行される非LKA制御時の運転者の運転技能指標値Iskill演算ルーチン示すフローチャートである。 運転技能指標値Iskillに基づいてゲインKsrを演算するためのマップを示す図である。 運転技能指標値Iskillに基づいてゲインKsyを演算するためのマップを示す図である。 運転技能指標値Iskillに基づいてゲインKshを演算するためのマップを示す図である。 車速Vに基づいて補正係数Kvを演算するためのマップを示す図である。 車速V及び運転技能指標値Iskillに基づいて補正係数Kvskを演算するためのマップを示す図である。 車両の目標横加速度Gyts及び車速Vに基づいてLKA制御のための基本目標操舵角θlkatbを演算するためのマップを示す図である。 走行車線の半径Rsに基づいて補正係数Krを演算するためのマップを示す図である。 走行車線の半径Rsに基づいて補正係数Ksを演算するためのマップを示す図である。 走行車線の半径Rsに基づいて補正係数Kcを演算するためのマップを示す図である。 本発明による車両の走行軌跡制御装置の第二の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 図15のステップ100にて実行されるLKA制御の目標操舵角θlkt演算ルーチンを示すフローチャートである。 図15のステップ600にて実行される運転者が希望する軌跡変更のための目標横位置調整量ΔYdajt演算ルーチンを示すフローチャートである。 運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwill及び車速Vに基づいて運転者の希望に則して走行軌跡を変更するための車両の目標横位置調整量ΔYadjtを演算するためのマップを示す図である。 本発明による車両の走行軌跡制御装置の第三の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は本発明による車両の走行軌跡制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、走行軌跡制御装置10は車両12に搭載され、前輪用操舵制御装置14を有している。前輪用操舵制御装置14は運転者の操舵操作とは無関係に前輪の舵角を制御可能な舵角制御手段を構成している。また車両12には制動力制御装置16が搭載され、制動力制御装置16は運転者の制動操作とは無関係に各車輪の制動力を個別に制御可能である。
また図1に於いて、18FL及び18FRはそれぞれ車両12の操舵輪である左右の前輪を示し、18RL及び18RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪18FL及び18FRは運転者によるステアリングホイール20の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型のパワーステアリング装置22によりラックバー24及びタイロッド26L及び26Rを介して転舵される。
ステアリングホイール20はアッパステアリングシャフト28、舵角可変装置30、ロアステアリングシャフト32、ユニバーサルジョイント34を介してパワーステアリング装置22のピニオンシャフト36に駆動接続されている。図示の第一の実施形態に於いては、舵角可変装置30はハウジング30Aの側にてアッパステアリングシャフト28の下端に連結され、回転子30Bの側にてロアステアリングシャフト32の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機38を含んでいる。
かくして舵角可変装置30はアッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト32を回転駆動することにより、左右の前輪18FL及び18FRをステアリングホイール20に対し相対的に補助転舵駆動する。舵角可変装置30は電子制御装置40の操舵制御部により制御される。
パワーステアリング装置22はラック同軸型の電動式のパワーステアリング装置であり、電動機42と、電動機42の回転トルクをラックバー24の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構44とを有する。パワーステアリング装置22は電子制御装置40の操舵アシストトルク制御部によって制御され、ハウジング46に対し相対的にラックバー24を駆動する操舵アシストトルクを発生する。操舵アシストトルクは運転者の操舵負担を軽減し、また必要に応じて舵角可変装置30による左右前輪の転舵駆動を補助する。
かくして舵角可変装置30はパワーステアリング装置22と共働してステアリングホイール20に対する左右前輪の舵角の関係を変更すると共に、運転者の操舵操作とは無関係に前輪を操舵する前輪用操舵制御装置14の主要部を構成している。
尚パワーステアリング装置22及び舵角可変装置30の構造自体は本発明の要旨を構成するものではなく、これらの装置はそれぞれ上述の機能を果たすものである限り、当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
制動力制御装置16は制動装置50を含み、各車輪の制動力は制動装置50の油圧回路52によりホイールシリンダ54FL、54FR、54RL、54RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)、即ち制動圧が制御されることによって制御される。図1には示されていないが、油圧回路52はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル56の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ58により制御される。また各ホイールシリンダの制動圧は必要に応じて油圧回路52が電子制御装置40の制動力制御部によって制御されることにより個別に制御される。かくして制動装置50は運転者の制動操作とは無関係に各車輪の制動力を個別に制御可能であり、制動力制御装置16の主要な装置として機能する。
アッパステアリングシャフト28には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ62及び操舵トルクTsを検出する操舵トルクセンサ64が設けられており、操舵角θ及び操舵トルクTsを示す信号も電子制御装置40へ入力される。また電子制御装置40には回転角度センサ66により検出された舵角可変装置30の相対回転角度θre、即ちアッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト32の相対回転角度を示す信号が入力される。
図示の実施形態に於いては、車両12の車室の前部には車両12の前方を撮影するCCDカメラ68が設けられており、車両12の前方の画像情報を示す信号がCCDカメラ68より電子制御装置40へ入力される。電子制御装置40には車速センサ70により検出された車速Vを示す信号、横加速度センサ72により検出された車両の横加速度Gyを示す信号、及びヨーレートセンサ74により検出された車両のヨーレートγを示す信号が入力される。
車両12にはレーンキープアシスト制御(LKA制御)とも呼ばれる走行軌跡制御を行わせるか否かを選択するための選択スイッチ76が設けられており、選択スイッチ76の選択位置を示す信号も電子制御装置40に入力される。更に電子制御装置40には図1には示されていない圧力センサにより検出されたマスタシリンダ圧力Pm等を示す信号が入力される。
尚電子制御装置40の上述の各制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ62、操舵トルクセンサ64、回転角度センサ66はそれぞれ車両の左旋回方向への操舵又は転舵の場合を正として操舵角θ、操舵トルクTs、相対回転角度θreを検出する。
電子制御装置40の操舵制御部は選択スイッチ76がオンであるときには、CCDカメラ68により取得された車両12の前方の画像情報に基づいて図2に示されたフローチャートに従って走行軌跡制御を行う。即ち操舵制御部はCCDカメラ68により取得された車両12の前方の画像情報に基づいて走行車線を特定し、車両12を走行車線に沿って走行させるための左右前輪の目標舵角δtを演算する。そして操舵制御部は車両12を走行車線に沿って走行させるための左右前輪の目標舵角δtに対応する目標ピニオン角度φtを演算し、ピニオン36の角度が目標ピニオン角度φtになるよう舵角可変装置30を制御する。
尚電子制御装置40の操舵制御部は、走行車線に対する車両の横偏差、走行車線に対する車両のヨー角、走行車線の半径を推定し、推定されたパラメータに基づいて操舵輪の目標舵角を演算する。
また電子制御装置40の操舵制御部は走行軌跡制御を行っているときには、図4に示されたフローチャートに従って運転者の運転技能の判定を行い、その判定結果に応じて走行軌跡制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を可変設定する。
また電子制御装置40の操舵制御部は走行軌跡制御を行っていないときにも、図5に示されたフローチャートに従って運転者の運転技能の判定を行い、その判定結果に応じて走行軌跡制御を行わない状況に於けるステアリングギヤ比を可変設定する。
次に図2に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ50に於いては操舵角センサ62により検出された操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ100に於いては図3に示されたフローチャートに従ってLKA制御の目標操舵角θlktが演算される。
ステップ200に於いては選択スイッチ76がオンでありLKA制御が実行されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには制御はステップ800へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ400へ進む。
ステップ400に於いては図4に示されたフローチャートに従ってLKA制御時の運転者の運転技能の判定が行われることにより、運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillが演算される。
ステップ500に於いては運転技能指標値Iskillに基づいて図6乃至図8に示されたマップより次のサイクルのステップ100に於ける目標操舵角θlktの演算に使用されるゲインKsr、Ksy、Kshが演算され、EEPROMに記憶される。図6乃至図8に示されている如く、ゲインKsr、Ksy、Kshは運転技能指標値Iskillが小さいときには1に演算され、運転技能指標値Iskillが大きくなるにつれて正の範囲にて漸次小さくなるよう演算される。
ステップ550に於いては車速Vに基づいて図9に示されたマップより車速に基づく補正係数Kvが演算される。図9に示されている如く、補正係数Kvは車速Vが低い領域に於いては正の値であるが、車速Vが高くなるにつれて漸次減少し、車速Vが高い領域に於いては負の値になるよう演算される。
ステップ700に於いては目標操舵角θlktにて補正された操舵角(θ−θlkt)に基づいて下記の式1に従って前輪の目標舵角δtに対応するピニオン36の目標角度である目標ピニオン角度φtが演算される。
Φlkt=Kv(θ−θlkt) …(1)
またステップ700に於いては操舵入力が与えられた場合に舵角可変装置30が過剰に前輪を過剰に転舵し過ぎないようにするためのパラメータをφtとして、ピニオン角度φが最終の目標ピニオン角度φlkt+φtになるよう舵角可変装置30が制御され、これにより左右前輪の舵角δが目標ピニオン角度φlktに対応する目標舵角δtに制御される。
ステップ800に於いては図5に示されたフローチャートに従って非LKA制御時の運転者の運転技能の判定が行われることにより、運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillが演算される。
ステップ900に於いては車速V及び運転技能指標値Iskillに基づいて図10に示されたマップより車速及び運転技能指標値に基づく補正係数Kvskが演算される。図10に示されている如く、補正係数Kvskも車速Vが低い領域に於いては正の値であるが、車速Vが高くなるにつれて漸次減少し、車速Vが高い領域に於いては負の値になるよう演算される。また補正係数Kvskは運転技能指標値Iskillが大きいほど大きくなるよう演算される。
ステップ950に於いては操舵角θに基づいて下記の式2に従って前輪の目標舵角δtに対応するピニオン36の目標角度である目標ピニオン角度φntが演算される。
Φnt=Kvsk×θ …(2)
またステップ950に於いてはピニオン角度φが最終の目標ピニオン角度φnt+φtになるよう舵角可変装置30が制御され、これにより左右前輪の舵角δが目標ピニオン角度φntに対応する目標舵角δtに制御される。
次に図3に示されたフローチャートを参照して上記ステップ100にて実行されるLKA制御の目標操舵角θlkt演算ルーチンについて説明する。
まずステップ110に於いてはCCDカメラ68により取得された車両12の前方の撮像情報に基づいて走行車線の左右の白線が特定され、左右の白線の半径Rsl、Rsrが演算される。そして半径Rsl及びRsrの平均値として走行車線の半径Rsが演算される。
ステップ120に於いては走行車線の基準位置に対する車両の横位置Ys(走行車線の基準位置と車両の重心との車両横方向の距離)が演算される。尚基準位置は例えば左の白線、又は右の白線、又は左右の白線の中間であってよい。
ステップ130に於いては例えば車線の中央を通る仮想の線に対し車両の前後方向がなす角度が演算されることにより、走行車線に対する車両のヨー角ψsが演算される。
ステップ140に於いてはステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsと符号が同一で半径Rsの大きさが大きいほど大きい微小な値として車両の目標ヨー角ψstが演算される。
ステップ150に於いては前サイクルのステップ500に於いてEEPROMに記憶されたゲインKsr、Ksy、Kshを使用して下記の式3に従って車両を車線の中央に沿う目標軌跡に沿って走行させるための車両の目標横加速度Gytsが演算される。尚ゲインKsr、Ksy、Kshがまだ演算されていないときにはROMに記憶されたそれらのデフォルト値が使用される。また下記の式3のYstは走行車線の基準位置に対する車両の目標横位置、即ち走行車線の基準位置と目標横位置にある車両の重心との車両横方向の距離である。
Gyts=Ksr×Rs+Ksy(Yst−Ys)+Ksh(ψst−ψs) …(3)
ステップ170に於いては車両の目標横加速度Gyts及び車速Vに基づいて図11に示されたマップよりLKA制御のための基本目標操舵角θlktbが演算される。
ステップ180に於いてはステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsに基づいて図12に示されたマップより走行車線の半径に基づく補正係数Krが演算される。図12に示されている如く、補正係数Krは走行車線の半径Rsが大きいほど大きくなるよう0よりも大きく1よりも小さい値に演算される。
ステップ190に於いては下記の式4に従って補正係数Krと基本目標操舵角θlktbとの積としてLKA制御のための目標操舵角θlktが演算される。
θlkt=Kr×θlktb …(4)
次に図4に示されたフローチャートを参照して上記ステップ400にて実行されるLKA制御時の運転者の運転技能指標値Iskill演算ルーチンについて説明する。
まずステップ410に於いてはROMに記憶された車両モデルを使用して目標操舵角θlktに基づいて走行車線の基準位置に対する車両の推定横位置Yest及び走行車線に対する車両の推定ヨー角ψestが演算される。
ステップ420に於いては車両の横位置Ysと車両の推定横位置Yestとの偏差の微分値ΔYdが演算されると共に、該微分値の絶対値の単位時間又は単位走行距離に於ける積算値ΔYdiが演算される。
ステップ430に於いてはステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsに基づいて図13に示されたマップより走行車線の半径に基づく補正係数Ksが演算される。図13に示されている如く、補正係数Ksは走行車線の半径Rsが大きいほど大きくなるよう演算される。
ステップ440に於いては下記の式5に従って補正係数Ksと積算値ΔYdiとの積として車両の横位置偏差の微分値の補正後の積算値ΔYdiaが演算される。
ΔYdia=Ks×ΔYdi …(5)
ステップ450に於いては車両のヨー角ψsと車両の推定ヨー角ψestとの偏差の微分値Δψdが演算されると共に、該微分値の絶対値の単位時間又は単位走行距離に於ける積算値Δψdiが演算される。
ステップ460に於いてはステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsに基づいて図14に示されたマップより走行車線の半径に基づく補正係数Kcが演算される。図14に示されている如く、補正係数Kcは走行車線の半径Rsが大きいほど小さくなるよう演算される。
ステップ470に於いては下記の式6に従って補正係数Kcと積算値Δψdiとの積として車両のヨー角偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値Δψdiaが演算される。
Δψdia=Kc×Δψdi …(6)
ステップ480に於いては下記の式7に従って車両の横位置偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値ΔYdiaと車両のヨー角偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値Δψdiaとの和として運転者の運転技能指標値Iskillが演算される。
Iskill=ΔYdia+Δψdia …(7)
次に図5に示されたフローチャートを参照して上記ステップ700にて実行される非LKA制御時の運転者の運転技能指標値Iskill演算ルーチンについて説明する。
まずステップ720に於いては走行軌跡制御のための目標操舵角θlktと実際の操舵角θとの偏差の微分値Δθdが演算されると共に、該微分値の絶対値の単位時間又は単位走行距離に於ける積算値Δθdiが演算される。
ステップ730に於いてはステップ430の場合と同様にステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsに基づいて図13に示されたマップより走行車線の半径に基づく補正係数Ksが演算される。
ステップ740に於いては下記の式8に従って補正係数Ksと積算値Δθdiとの積として操舵角偏差の微分値の補正後の積算値Δθdiaが演算される。
Δθdia=Ks×Δθdi …(8)
ステップ750に於いては走行軌跡制御のための目標操舵角θlktと実際の操舵角θとの位相差Δθhが演算されると共に、該位相差の絶対値の単位時間又は単位走行距離に於ける積算値Δθhiが演算される。
ステップ760に於いてはステップ460の場合と同様にステップ110に於いて演算された走行車線の半径Rsに基づいて図14に示されたマップより走行車線の半径に基づく補正係数Kcが演算される。
ステップ770に於いては下記の式9に従って補正係数Kcと積算値Δθhiとの積として操舵角位相差の補正後の積算値Δθhiaが演算される。
Δθhia=Kc×Δθhi …(9)
ステップ780に於いては下記の式10に従って操舵角偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値Δθdiaと操舵角位相差の絶対値の補正後の積算値Δθhiaとの和として運転者の運転技能指標値Iskillが演算される。
Iskill=Δθdia+Δθhia …(10)
以上の説明より解る如く、ステップ100に於いてはLKA制御の目標操舵角θlktが演算され、選択スイッチ76がオンであるときには、ステップ200に於いて肯定判別が行われ、ステップ400乃至700によりLKA制御が実行される。
特にステップ400に於いて運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillが演算され、ステップ500に於いて運転技能指標値Iskillが大きくなるにつれて正の範囲にて漸次小さくなるようゲインKsr、Ksy、Kshが可変設定される。
従って第一の実施形態によれば、運転者の運転技能が高い場合にはLKA制御による前輪の舵角の制御量を小さくし、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を低下させることができる。よって運転者の操舵操作による前輪の舵角の変更がLKA制御による前輪の舵角の制御により阻害される虞れを低減することができ、これによりLKA制御が実行される場合にも、運転技能が高い運転者が主体的な車両の運転に不満を感じる虞れを低減することができる。
逆に運転者の運転技能が低い場合にはLKA制御による前輪の舵角の制御量を大きくし、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を高くすることができる。よって運転者の操舵操作が適切ではなくてもLKA制御によって車両を目標軌跡に沿って走行させる可能性を高くすることができ、これにより運転技能が低い運転者が車両を運転する場合にも、LKA制御によって車両を目標軌跡に沿って走行させることができる。
また第一の実施形態によれば、LKA制御中には運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillは図4に示されたフローチャートに従って演算され、運転技能指標値Iskillに応じてゲインKsr、Ksy、Kshが自動的に可変設定される。従って運転者がスイッチ等を操作することを必要とせずにLKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を自動的に修正することができる。
[第二の実施形態]
図15は本発明による車両の走行軌跡制御装置の第二の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図15に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。このことは後述の第三の実施形態についても同様である。
この第二の実施形態に於いては、ステップ100は図16に示されたフローチャートに従って実行される。尚図16に示されたフローチャートのステップ110乃至140及びステップ170乃至190はそれぞれ第一の実施形態に於ける対応するステップと同様に実行される。
図16と図3との比較より解る如く、ステップ550が完了するとステップ150ではなくステップ160が実行される。ステップ160に於いては前サイクルのステップ600に於いて演算された目標横位置調整量ΔYdajtを使用して上記式3に対応する下記の式11に従って車線の中央に沿う目標軌跡に沿って車両を走行させるための車両の目標横加速度Gytsが演算される。尚制御の開始時には目標横位置調整量ΔYdajtは0に設定される。またゲインKsr、Ksy、KshはROMに記憶されたそれらのデフォルト値である。
Gyts=Ksr×Rs+Ksy(Yst+ΔYdajt−Ys)+Ksh(ψst−ψs) …(11)
また第二の実施形態に於いては、第一の実施形態に於けるステップ400、500及び800は実行されず、ステップ550が完了するとステップ700に先立ってステップ600が実行される。ステップ600に於いては図17に示されたフローチャートに従って運転者の軌跡変更の意思の有無の判定が行われると共に、運転者が希望する軌跡変更のための目標横位置調整量ΔYdajtが演算される。
また運転技能指標値Iskillは演算されないので、ステップ900に於いては車速Vのみに基づいて図10に於いて二点鎖線にて示されたマップより車速に基づく補正係数Kvskが演算される。
次に図17に示されたフローチャートを参照して上記ステップ600にて実行される目標横位置調整量ΔYdajt演算ルーチンについて説明する。
まずステップ610に於いては運転者に軌跡変更の意思があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには図17に示されたフローチャートによる制御が一旦終了され、肯定判別が行われたときには制御はステップ620へ進む。この場合目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差θ−θlktの絶対値が基準値θwill(正の定数)以上である状況が基準継続時間Twill(正の定数)以上継続しているときに運転者に軌跡変更の意思があると判定されてよい。
ステップ620に於いては運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwillが演算される。例えば目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差θ−θlktの絶対値が基準値θwill以上である状況の継続時間をΔTとして、下記の式12に従って偏差θ−θlktの絶対値と継続時間ΔTとの積の積算値が指標値Iwillとして演算される。
Iwill=∫(|θ−θlkt|ΔT)dt …(12)
ステップ630に於いては運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwill及び車速Vに基づいて図18に示されたマップより運転者の希望に則して走行軌跡を変更するための車両の目標横位置調整量ΔYadjtが演算される。
ステップ640に於いては目標横位置調整量ΔYadjtの変化率が予め設定された値を越えないよう、また目標横位置調整量ΔYadjtの大きさが走行車線の幅による制限量を越えないよう、目標横位置調整量ΔYadjtに対しガード処理が行われる。
ステップ650に於いては次のサイクルのステップ160に於ける車両の目標横加速度Gytsの演算に備えて、ガード処理後の目標横位置調整量ΔYadjtがEEPROMに書き込まれることによって記憶される。
かくして第二の実施形態によれば、ステップ600に於いて運転者の軌跡変更の意思の有無の判定が行われると共に、運転者が希望する軌跡変更のための目標横位置調整量ΔYdajtが演算される。そしてステップ620及び630に於いてそれぞれ運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwill及び車速Vに基づいて運転者の希望に則して走行軌跡を変更するための車両の目標横位置調整量ΔYadjtが演算される。更にステップ160に於いて目標横位置調整量ΔYdajtを使用して車両を車線の中央に沿う目標軌跡に沿って走行させるための車両の目標横加速度Gytsが演算される。
ステップ600に於いて、目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差θ−θlktの絶対値が基準値θwill以上である状況が基準継続時間Twill以上継続しているときに運転者に軌跡変更の意思があると判定されてよい。この判定方法によれば、運転者に軌跡変更の意思がある場合には、そのことを確実に判定することができる。
また第二の実施形態によれば、運転者に軌跡変更の意思があるときには、その意思の強さに応じてLKA制御による車両の横位置の制御量を可変させ、これによりLKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を変化させることができる。
例えば運転者の軌跡変更の意思が強い場合にはLKA制御による車両の横位置の制御量を小さくし、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を低下させることができる。よって運転者の操舵操作による走行軌跡の変更がLKA制御による前輪の舵角の制御により阻害される虞れを低減することができ、これによりLKA制御が実行される場合にも、運転者が軌跡変更に関し不満を感じる虞れを低減することができる。
逆に運転者の軌跡変更の意思が弱い場合にはLKA制御による車両の横位置の制御量を大きくし、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を高くすることができる。よってLKA制御によって車両を目標軌跡に沿って走行させる可能性を高くすることができ、これによりLKA制御によって運転者が積極的に操舵操作しなくても車両を目標軌跡に沿って走行させることができる。
また第二の実施形態によれば、運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwillは図17に示されたフローチャートに従って演算され、指標値Iwillに応じて走行軌跡を変更するための車両の目標横位置調整量ΔYadjtが自動的に可変設定される。従って運転者がスイッチ等を操作することを必要とせずにLKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を自動的に修正することができる。
[第三の実施形態]
図19は第一及び第二の実施形態の組合せとして構成された本発明による車両の走行軌跡制御装置の第三の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。
この第三の実施形態に於いては、ステップ100は第二の実施形態と同様に図16に示されたフローチャートに従って実行される。しかしステップ160に於いては式11に於けるゲインKsr、Ksy、Kshは前サイクルのステップ500に於いて演算されEEPromに記憶されている値に設定される。
また第一の実施形態の場合と同様に400、500及び800も実行され、また第三の実施形態の場合と同様にステップ550が完了するとステップ700に先立ってステップ600が実行される。
従ってこの第三の実施形態によれば、上述の第一及び第二の実施形態の両方の作用効果が得られるので、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を運転者の運転技能及び目標軌跡変更の意思の強さの両者に応じて好ましく修正することができる。
尚上述の各実施形態の説明に於いては、LKA制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を変化させる際の変化率の大きさについては言及されておらず、この変化率は車速Vに関係なく一定であってもよい。しかしこの変化率は車速Vが高いときには車速Vが低いときに小さくなるよう、車速Vに応じて可変設定されてよい。この後者の構成によれば、車速Vが低い状況に於いて車両の追従性を遅れなく変化させると共に、車速Vが高い状況に於いて車両の追従性の変化に起因して車両の走行安定性が低下する虞れを低減することができる。
また制御モードから非制御モードへ切替わる際に車両の追従性に対応する操舵制御装置14(特に舵角可変装置30のステアリングギヤ比)の応答性が記憶されてよい。そして非制御モードにて車両の走行が継続されるときに記憶されている応答性に基づいて操舵制御装置14の応答性が制御されてよい。この構成によれば、制御モードから非制御モードへ切替わった後に非制御モードにて車両の走行が継続される状況に於いて、運転者が操舵操作に対する車両の追従性に違和感を覚える虞れを低減することができる。
また非制御モードにて車両の走行が終了する際に操舵制御装置14の応答性が記憶され、非制御モードにて車両の走行が開始する際に操舵制御装置14の応答性が記憶している応答性に設定されてよい。この構成によれば、車両の走行が終了する際に操舵制御装置14の応答性がリセットされ記憶されない場合に比して、車両の走行が開始する際に運転者が操舵操作に対する車両の追従性に違和感を覚える虞れを低減することができる。
特に上述の第一及び第三の実施形態によれば、図4に示されたフローチャートに従ってLKA制御時の運転者の運転技能の判定が行われることにより、運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillが演算される。そして運転技能指標値Iskillは車両の横位置偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値ΔYdiaと車両のヨー角偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値Δψdiaとの和として演算される。
一般に、運転者の運転技能が高いときには車両の横位置Ysと車両の推定横位置Yestとの偏差の微分値ΔYdの大きさは大きくならないが、運転者の運転技能が低いときには偏差の微分値ΔYdの大きさが大きくなり易い。同様に運転者の運転技能が高いときには車両のヨー角ψsと車両の推定ヨー角ψestとの偏差の微分値Δψdの大きさは大きくならないが、運転者の運転技能が低いときには偏差の微分値Δψdの大きさが大きくなり易い。
第一及び第三の実施形態によれば、積算値ΔYdia及び積算値Δψdiaの両方に基づいてLKA制御時の運転技能指標値Iskillが演算される。従って積算値ΔYdia及び積算値Δψdiaの一方のみに基づいて運転技能指標値Iskillが演算される場合に比してLKA制御時に運転者の運転技能を確実に判定することができる。
尚運転技能指標値Iskillは車両の横位置偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値ΔYdia又は車両のヨー角偏差の微分値の絶対値の補正後の積算値Δψdiaとして演算されてもよい。また運転技能指標値Iskillは目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差の絶対値の積算値を考慮して演算されてもよい。
また第一及び第三の実施形態によれば、積算値ΔYdia及び積算値Δψdiaの重み和に基づいて運転技能指標値Iskillが演算される。そして走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して第一の運転技能判定値としての積算値ΔYdiaの重みが大きくされる。よって走行車線の半径が大きいときには積算値ΔYdiaを重視して運転技能指標値Iskillを演算し、走行車線の半径が小さいときには積算値Δψdiaを重視して運転技能指標値Iskillを演算することができる。従って走行車線の半径の大小に関係なく積算値ΔYdia及び積算値Δψdiaの重みが一定である場合に比して、運転者の運転技能を適正に判定することができる。
また第一及び第三の実施形態によれば、ステップ410に於いて目標操舵角θlktに基づいて走行車線の基準位置に対する車両の推定横位置Yest及び走行車線に対する車両の推定ヨー角ψestが運転者の操舵操作の影響を受けない値として演算される。そしてステップ420乃至480に於いて車両の推定横位置Yest及び走行車線に対する車両の推定ヨー角ψestに基づいて運転者の運転技能指標値Iskillが演算される。従ってLKA制御によるふらつき等の影響を排除して運転者の運転技能を適正に判定することができる。
また上述の第一及び第三の実施形態によれば、図5に示されたフローチャートに従って非LKA制御時の運転者の運転技能の判定が行われることにより、運転者の運転技能を示す運転技能指標値Iskillが演算される。そして運転技能指標値Iskillは操舵角偏差の微分値の補正後の積算値Δθdiaと操舵角位相差の補正後の積算値Δθhiaとの和として演算される。
一般に、運転者の運転技能が高いときには走行軌跡制御のための目標操舵角θlkatと実際の操舵角θとの偏差の微分値Δθdの大きさは大きくならないが、運転者の運転技能が低いときには偏差の微分値Δθdの大きさが大きくなり易い。同様に運転者の運転技能が高いときには目標操舵角θlktと実際の操舵角θとの位相差Δθhの大きさは大きくならないが、運転者の運転技能が低いときには位相差Δθhの大きさが大きくなり易い。従って第一及び第三の実施形態によれば、非LKA制御時に運転者の運転技能を確実に判定することができる。
第一及び第三の実施形態によれば、積算値Δθdia及び積算値Δθhiaの両方に基づいて非LKA制御時の運転技能指標値Iskillが演算される。従って積算値Δθdia及び積算値Δθhiaの一方のみに基づいて運転技能指標値Iskillが演算される場合に比して非LKA制御時に運転者の運転技能を確実に判定することができる。
尚運転技能指標値Iskillは車操舵角偏差の微分値の補正後の積算値Δθdia又は操舵角位相差の補正後の積算値Δθhiaとして演算されてもよい。また運転技能指標値Iskillは目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差の絶対値の積算値を考慮して演算されてもよい。
また第一及び第三の実施形態によれば、積算値Δθdia及び積算値Δθhiaの重み和に基づいて運転技能指標値Iskillが演算される。そして走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して第三の運転技能判定値としての積算値Δθdiaの重みが大きくされる。よって走行車線の半径が大きいときには積算値Δθdiaを重視して運転技能指標値Iskillを演算し、走行車線の半径が小さいときには積算値Δθhiaを重視して運転技能指標値Iskillを演算することができる。従って走行車線の半径の大小に関係なく積算値積算値Δθdia及び積算値Δθhiaの重みが一定である場合に比して、運転者の運転技能を適正に判定することができる。
また上述の第一及び第三の実施形態によれば、非LKA制御時にはステップ900に於いて車速V及び運転技能指標値Iskillに基づいて補正係数Kvskが演算され、ステップ950に於いて補正係数Kvskと操舵角θとの積とし目標ピニオン角度φntが演算される。従って非LKA制御時には運転技能指標値Iskillが大きいときには運転技能指標値Iskillが小さいときに比してステアリングギヤ比を小さくすることができる。
よって運転者の運転技能が高い場合にはステアリングギヤ比を小さくし、運転者の操舵操作に対する前輪の舵角変化の応答性を高くし、運転者が不満を覚える虞れを低減することができる。逆に運転者の運転技能が低い場合にはステアリングギヤ比を大きくし、運転者の不適切な操舵操作に起因して前輪の舵角が不必要に変化することを抑制し、これにより非LKA制御時に於ける車両の走行安定性を向上させることができる。
尚上述の第二及び第三の実施形態に於いては、運転者の軌跡変更の意思の強さを示す指標値Iwillは目標操舵角θlktと操舵角θとの偏差θ−θlktの絶対値の積算値として演算される。しかし指標値Iwillは例えば車両の横位置偏差の絶対値の積算値として演算されてもよく、操舵角偏差の絶対値の積算値と車両の横位置偏差の絶対値の積算値との和として演算されてもよい。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施形態に於いては、走行車線の半径Rs、走行車線の基準位置に対する車両の横位置Ys、走行車線に対する車両のヨー角ψsに基づいて車両を目標軌跡に沿って走行させるための車両の目標横加速度Gytsが演算される。そして目標横加速度Gytsに基づいてLKA制御のための目標操舵角θlktが演算される。しかし走行車線の半径Rs、走行車線の基準位置に対する車両の横位置Ys、走行車線に対する車両のヨー角ψsの何れかが省略されてもよく、またLKA制御のための目標操舵角θlktは他の要領にて演算されてもよい。
また上述の第一及び第三の実施形態に於いては、ステップ500に於いて目標操舵角θlktの演算に使用されるゲインKsr、Ksy、Kshの全てが運転技能指標値Iskillに応じて可変設定されるようになっている。しかし運転技能指標値Iskillに応じて可変設定されるゲインはKsr、Ksy、Kshの何れか一つ又は二つであってもよい。
また上述の第一乃至第三の実施形態に於いては、非LKA制御時にも運転技能指標値Iskillが演算され、運転技能指標値Iskillに基づいて補正係数Kvskが演算されることにより、ステアリングギヤ比が運転技能指標値Iskillに応じて可変設定される。しかし非LKA制御時に於ける運転技能指標値Iskillの演算が省略され、ステアリングギヤ比は車速Vのみに応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
10…走行軌跡制御装置、14…前輪用操舵制御装置、20…ステアリングホイール、22…パワーステアリング装置、30…舵角可変装置、40…電子制御装置、50…制動装置、62…操舵角センサ、68…CCDカメラ、74…選択スイッチ

Claims (15)

  1. 目標軌跡に追従するよう車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、運転者の操舵操作の有無に関係なく前記目標舵角に基づいて舵角制御手段により操舵輪の舵角を制御することにより車両の走行軌跡制御を行う車両の走行軌跡制御装置に於いて、前記走行軌跡制御の実行中に運転者の運転技能及び軌跡変更意思の少なくとも一方を判定し、判定結果に基づいて前記走行軌跡制御に於ける目標軌跡に対する車両の追従性を可変設定することを特徴とする車両の走行軌跡制御装置。
  2. 運転者の運転技能が高いときには運転者の運転技能が低いときに比して前記車両の追従性を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  3. 運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の変化率に基づいて運転者の運転技能を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  4. 運転者の軌跡変更意思が強いときには運転者の軌跡変更意思が弱いときに比して前記車両の追従性を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  5. 運転者の運転操作を反映する実際の走行パラメータと車両を目標軌跡に追従させるための目標走行パラメータとの差分の大きさが基準値以上である状況の継続時間に基づいて運転者の軌跡変更意思の有無を判定することを特徴とする請求項1又は4に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  6. 運転者の軌跡変更意思があると判定した場合に於ける前記差分の大きさと継続時間との積に基づいて運転者の軌跡変更意思の強さを判定することを特徴とする請求項5に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  7. 前記走行軌跡制御装置は走行車線の情報に基づいて走行車線に対する車両の横方向位置、走行車線に対する車両のヨー角、走行車線の半径の少なくとも一つの軌跡制御パラメータを推定し、少なくとも一つ方の軌跡制御パラメータに基づいて操舵輪の目標舵角を演算し、前記走行パラメータは前記車両の横方向位置、前記車両のヨー角、操舵輪の舵角の少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項3又は5に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  8. 前記車両の横方向位置の差分の変化率に基づく第一の運転技能判定値と、前記車両のヨー角の差分の変化率に基づく第二の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定し、走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して前記第一の運転技能判定値の重みを大きくすることを特徴とする請求項3に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  9. 前記走行軌跡制御による影響が排除された目標走行パラメータを使用することを特徴とする請求項3に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  10. 車速が高いときには車速が低いときに比して前記車両の追従性を変化する際の変化率を小さくすることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一つに記載の車両の走行軌跡制御装置。
  11. 前記走行軌跡制御装置は前記走行軌跡制御を行う制御モードと前記走行軌跡制御を行わない非制御モードとに切替わることができ、前記非制御モードに於いても操舵輪の目標舵角を演算し、前記差分は操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との差分を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  12. 前記非制御モードに於いては、前記舵角の差分の変化率に基づく第三の運転技能判定値と、前記操舵輪の目標舵角と操舵輪の実際の舵角との位相差に基づく第四の運転技能判定値との重み和により運転者の運転技能を判定し、走行車線の半径が大きいときには走行車線の半径が小さいときに比して前記第三の運転技能判定値の重みを大きくすることを特徴とする請求項11に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  13. 前記舵角制御手段は運転者の操舵操作に対する操舵輪の舵角の変化の応答性を変更可能であり、前記走行軌跡制御装置は前記非制御モードに於いては運転者の運転技能の判定結果に応じて前記舵角制御手段の応答性を可変設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  14. 前記制御モードから前記非制御モードへ切替わる際に前記車両の追従性に対応する前記舵角制御手段の応答性を記憶し、前記非制御モードにて車両の走行が継続されるときには記憶している応答性に基づいて前記舵角制御手段の応答性を制御することを特徴とする請求項13に記載の車両の走行軌跡制御装置。
  15. 前記走行軌跡制御装置は前記非制御モードにて車両の走行が終了する際に前記舵角制御手段の応答性を記憶し、前記非制御モードにて車両の走行が開始する際には前記舵角制御手段の応答性を記憶している応答性に設定することを特徴とする請求項13に記載の車両の走行軌跡制御装置。
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