JP2008068669A - 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置 - Google Patents

運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008068669A
JP2008068669A JP2006246986A JP2006246986A JP2008068669A JP 2008068669 A JP2008068669 A JP 2008068669A JP 2006246986 A JP2006246986 A JP 2006246986A JP 2006246986 A JP2006246986 A JP 2006246986A JP 2008068669 A JP2008068669 A JP 2008068669A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
driver
behavior
driving
yaw rate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006246986A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyonari Kaminuma
研也 上沼
Keijiro Iwao
桂二郎 巖
Tatsuo Sakai
辰男 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006246986A priority Critical patent/JP2008068669A/ja
Publication of JP2008068669A publication Critical patent/JP2008068669A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】運転環境や運転者の運転意図に影響を受けることなく、的確に運転者の運転特性を評価することを課題とする。
【解決手段】撮像装置2で撮像された運転者の頭部ヨーレートを検出する顔向き検出装置3と、車両1の車体ヨーレートを検出するヨーレートセンサ4と、顔向き検出装置3で検出された頭部ヨーレートと、ヨーレートセンサ4で検出された車体ヨーレートとの時系列データを比較して、頭部ヨーレートと車体ヨーレートとの間の位相進みTと相関係数φを演算する演算装置6と、演算装置6で得られた位相進みTと相関係数φとに基づいて、運転者の運転特性を判定評価する判定装置8とを備えて構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転者の運転特性を判定評価する運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置に関する。
従来、運転者の運転のアシストを行うことを目的として、例えば車線逸脱を防止するためにステアリングに操舵トルクを付与する車線維持支援システムや、4輪に掛かるブレーキ力を制御することにより車体の横滑りを防止する横滑り防止システムなどの運転支援システムが提案されている。
しかしながら、運転者が上述したような運転支援システムのアシストを必要としない場面においても支援制御が介入してしまう場合があり、運転者によっては運転支援システムの介入が煩わしいと感じる場合があった。
そこで、このような問題を解決するための一つの手段として、車両の操舵角と車両ヨーレートとの相関関係を求め、求められた相関関係に基づいて運転者の運転技量を評価し、評価された運転技量に基づいて、運転支援システムが介入するタイミングを調整する技術が提案されている。このような技術としては、例えば以下に示す特許文献に記載されている運転技量検出装置及び車両運動制御装置が知られている。
特許第3269296号
しかしながら、上記運転技量検出装置及び車両運動制御装置に開示された技術では、車両の操舵角と車両ヨーレートの相関関係に基づいて運転者の運転技量を判定評価している。この判定評価に使用している操舵角と車両ヨーレートとは、車両を線形モデルで表現できる通常走行領域においてはほぼ完全な相関関係を有する。このため、車両が線形モデルで記述できなくなるような限界走行領域、例えば過度のオーバステアに対応するためにカウンタステア操作を行うような走行状態では、操舵角と車両ヨーレートとの関係を用いて運転者の運転技量を的確に判定評価することは可能である。しかし、車両を線形モデルで表現できる通常走行領域においては、操舵角と車両ヨーレートとは完全な相関関係となっているので、このような相関関係のある2つのパラメータを用いて運転者の運転技量を的確に判定評価することは極めて困難であった。
したがって、運転環境等によっては運転者の運転技量を精度よく判定評価できないおそれがあり、運転支援の介入タイミングを最適化することが困難になるといった不具合を招いていた。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転環境や運転者の運転意向に影響を受けることなく、的確に運転者の運転特性を評価できる運転特性判定装置及び運転特性判定方法を提供することにある。
また、他の目的とするところは、運転支援の介入タイミングを最適化して、運転の快適性、安全性を向上した車両制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、車両を運転する運転者の運転者挙動を検出する運転者挙動検出手段と、前記運転者が運転する前記車両の車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、前記運転者挙動検出手段によって検出された運転者挙動と、前記車両挙動検出手段によって検出された車両挙動との時系列データを比較演算する演算手段と、前記演算手段の比較演算結果に基づいて、前記運転者の運転特性を判定評価する判定手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、相互に独立した運転者挙動と車両挙動とに基づいて、運転者の運転特性を判定評価するようにしたので、運転環境や運転者の運転意図に影響されることなく運転者の運転特性を的確に判定評価することができる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1に係る運転特性判定装置の構成を示す図である。図1に示す実施例1の運転特性判定装置は、車両の挙動とこの車両を運転する運転者の頭部挙動とに基づいて、運転者の運転特性を判定して評価する装置である。この装置は、運転特性が判定評価される運転者が運転する車両1に搭載された、撮像装置2、顔向き検出装置3、ヨーレートセンサ4、ナビゲーション装置5、演算装置6、記憶装置7及び判定装置8を備えて構成されている。
撮像装置2は、例えばCCDカメラ等で構成されて車両1の運転席前方に設けられ、運転者の少なくとも頭部を含む画像を撮像し、得られた画像情報を顔向き検出装置3に与える。
顔向き検出装置3は、撮像装置2から与えられた画像情報に基づいて、運転者の頭部のヨー方向の姿勢角として頭部ヨー姿勢角αを検出する。この頭部ヨー姿勢角αは例えば特許文献の特開2005−196567に記載されている技術を用いて検出する。顔向き検出装置3は、検出した頭部ヨー姿勢角αを頭部ヨーレートとして演算装置6に与える。
ヨーレートセンサ4は、車両1の車両挙動情報として車両1の車体ヨーレートxを検出し、検出した車体ヨーレートxを演算装置6に与える。
ナビゲーション装置5は、自車両の位置を測位するGPS(全地球測位システム)を含み、車両1の走行にかかわる情報として少なくとも車両1が走行する道路を含む周囲の地図情報と、GPSで測位された車両1の自車両位置情報を演算装置6に与える。
演算装置6は、顔向き検出装置3で検出された運転者の頭部ヨー姿勢角αと、ヨーレートセンサ4で検出された車体ヨーレートxと、ナビゲーション装置5から与えられた地図情報ならびに自車両位置情報とに基づいて、運転特性を判定評価する際の指標となる位相進みTと相関係数φを演算する。位相進みTと相関係数φについては後に詳説するが、相関係数φの演算を簡単にするために、頭部ヨーレートの頭部ヨー姿勢角αと車体ヨーレートxのサンプリングレートは同一とすることが好ましい。
記憶装置7は、演算装置6で得られた位相進みTと相関係数φを入力し、この位相進みTならびに相関係数φを記憶し、記憶した位相進みTならびに相関係数φを判定装置8に与える。
判定装置8は、後述する手順にしたがって位相進みTならびに相関係数φに基づいて運転者の運転特性を判定評価する。
なお、車体ヨーレートは、車両1に設けられたヨーレートセンサ4で検出しているが、直接ヨーレートを検出する以外にも例えば操舵角と車両1の速度(車速)を検出し、検出した操舵角と車速とに基づいて車体ヨーレートを推定する手法を採用してもよい。この場合には、ヨーレートセンサ4に代えて操舵角センサと車速センサを車両1に設けるようにすればよい。
また、演算装置6では、車体ヨーレートの実測値(または推定値)に基づいて演算を行っているが、車体ヨーレートは操舵角とほぼ比例関係にあるため、車体ヨーレートに代えて操舵角を演算に用いてもほぼ同様の結果が得られる。
なお、上記顔向き検出装置3、演算装置6、記憶装置7及び判定装置8は、プログラムに基づいて各種動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPU、記憶装置、入出力装置等の資源を備え、プログラムに基づいてこれらの資源の協働作用により所望の機能を達成する例えばマイクロコンピュータにより実現される。
次に、運転特性の判定の手順を説明する前に、先ず頭部挙動(頭部ヨーレート)と車両挙動(車体ヨーレート)との相関関係について説明し、次いで先に触れた判定評価の指標となる位相進みTと相関係数φについて説明する。
まず、図2に示すような評価コースで車両を走行させ、頭部挙動と車両挙動の双方を測定した。具体的な測定項目は、(1)車体ヨーレート、(2)頭部ヨーレート、(3)操舵角の3項目であり、これらの測定結果の一例を図3に示す。図3において、横軸が時間[s]、縦軸が操舵角[deg]またはヨーレート[deg/s]を示し、時間0[s]の時点では車両は図2のスタート地点に停車している状態であり、このスタート地点から車両を発進させ、コーナ1〜コーナ6を順次通過した後、約80[s]後にゴール地点で再度停車した場合のデータである。
車体ヨーレートと頭部ヨーレートは、同形式のジャイロセンサを用いて測定した。特に頭部ヨーレートについては被験者(運転者)に帽子を着用してもらい、その帽子にセンサを装着して測定したものである。ここで、頭部ヨーレートの波形が0[s]および80[s]付近(図中の囲み部分)で乱れているのは、発車時および停車時のミラーやスピードメータの確認に伴うものである。
頭部ヨーレートは、被験者(運転者)の頭部に位置するジャイロセンサによって測定されているが、当該被験者(運転者)は車両に着座している状態であるため、基本的には車体ヨーレートと頭部ヨーレートはほぼ相似な波形を示す。なお、仮に運転者の頭部を座席シートのヘッドレストに拘束して運転した場合には、車体ヨーレートと頭部ヨーレートは全く同一の波形となる。しかし、実際には頭部の姿勢は車体に対して拘束されておらず、頭部ヨーレートと車体ヨーレートの波形には図3に示すように差が生じる。
ここで、このような差が生じる要因を、図4を参照して一般的な運転行動における直進状態からコーナに進入する際の運転者の動きを例に挙げて説明する。図4は走行路における車両の位置と被験者(運転者)の頭部を正面ならびに上部からみた挙動との関係を示す図である。図4において、A地点では車両1は直進状態とし、この位置からコーナに近づき、B地点を通ってC地点に至ったときに運転者が操舵を開始するものとする。このような走行において、A地点とC地点の間のB地点では運転者は来るべきコーナに備えて、コーナ内側を向くと同時に横G(横方向への加速度)に備えるためにロール方向に頭部を傾けるといった運転行動をとる。この現象は測定をするまでもなく直感的に理解される。
先に説明した図3に示す頭部ヨーレートと車体ヨーレートの波形の差は、上記図4に示す運転行動が現れているものであり、実際に頭部ヨーレートの波形は、車体ヨーレートに対してやや位相が進んでいる。この位相ずれは、頭部ヨーレート波形と車体ヨーレート波形の相互相関関数を計算することにより求めることができる。
実際の測定においては、頭部ヨーレートおよび車体ヨーレートの測定データは、時間的に離散データとなる。一般的に離散データの相互相関関数は、次式で表わすことができる。
Figure 2008068669
上式(1)において、xは車体ヨーレート、yは頭部ヨーレートであり、x[k]およびy[k]は、それぞれ車体ヨーレート、頭部ヨーレートのk番目のデータを表している。また、上式(1)において、Nは対象とする離散データの総サンプリング数であり、τはデータのずらし量である。
サンプリングレートをS[s]とすれば、上式(1)は、頭部ヨーレートの波形を時間S×τ[s]だけずらした場合の、頭部ヨーレートと車体ヨーレートのデータの積の総和を表す。ずらし量τを±Nの範囲で変えながら上式(1)を計算することで、ずらし量τの関数として相互相関関数φxy[τ]を求めることができる。
この相互相関関数φxy[τ]が最大値となるずらし量τの値が車体ヨーレートに対する頭部ヨーレートの位相進みであり、実時間で表したときの位相進みをT[s]とすれば、T=S×τである。
さらに説明のために、この相互相関関数φxy[τ]の最大値を車体ヨーレートおよび頭部ヨーレートの波形の自己相関関数φxx[τ]およびφyy[τ]で除して正規化した値を相関係数φとおく。このような相関係数φは、頭部ヨーレートと車体ヨーレートの波形の相似性を表しているものと捉えて差し支えない。
このような頭部ヨーレートと車体ヨーレートとの相互相関関数を求めた例を以下に示す。この例は、複数の被験者および複数の車両を用いて先の図2に示す評価用のコースを走行した際の、コーナ部分を走行したときのデータであり、先の図3に示すデータでは15[s]〜75[s]の区間である。
この測定例では、運転技量を例えば初心者、中級者、上級者の3ランクに区分し、被験者(運転者)を事前実験によりこの3つのランクに選別した。また、車両については高級車(車両A)と比較的廉価な小型車(車両B)の2種を用いた。したがって、被験者と車両との組み合わせにより計6パターンの測定を行った。この6パターンについて各10回、図2に示すコースを走行して測定したデータに基づいて各測定波形の相互相関関数を算出し、位相進みT[s]と相関係数φを求めた。その結果を図5および図6に示す。
図5は車両Aでの測定結果を示し、図6は車両Bでの測定結果を示ており、双方の図ともに図(a)は運転技量と相関係数φとの関係を示す、図(b)は運転技量と位相進みTとの関係を示している。また、両図ともに棒グラフで示す部分は10回の測定の平均値を表し、棒グラフに併せて示すエラーバーは±σ(標準偏差)で、値のばらつきを表している。
図5ならびに図6を参照すると、いずれの測定結果においても、相関係数φは、初心者<中級者<上級者の関係となる。また、位相進みTに関しては、以下のような関係となる。
高級車(車両A):上級者<中級者<初心者
小型車(車両B):上級者<初心者<中級者
これらの関係を横軸に位相進みT、縦軸に相関係数φをとってプロットしたものを図7に示す。図7において、プロットされた各点は、各試行(パターン)において算出された位相進みT、相関係数φを表しており、例えば「上級者(A)」は、上級者が車両A(高級車)で走行した場合の測定結果の分布を表している。なお図7においては、既に図5および図6に示す測定結果の他に、参考値として上級者が小型車を用いてグリップ限界に近い車速(横加速度0.7G程度)の走行を行った場合の測定結果を併せて示している。
図7に示す位相進みTと相関係数φとの関係から以下のような傾向が読み取れる。
(1)上級者では位相進みTはほぼ一定であり、車両や走行条件に応じて相関係数φが異なる。
(2)中級者では位相進みTは、車両A<車両B、相関係数φは車両A>車両Bといった傾向がある。
(3)初心者では位相進みTは、車両B<車両A、相関係数φは車両A≒車両Bといった傾向がある。
これらのことから最終的に得られる傾向について、先ず位相進みTについて考察する。ここで、車両A(高級車)は、中級者が普段乗っている車両であり、車両B(小型車)は、初心者が普段乗っている車両であることが判明している。また、本実験の被験者のうち、上級者とは、自動車メーカにおいて日常的に様々な車両での運転を経験している、いわゆるテストドライバであることも判明している。
これらの事実と図7に示す傾向とから、位相進みTは運転に対する慣れや経験値と相関が高いことがわかる。したがって、上級者のテストドライバは様々な車両の運転経験を持つため、どのような種類の車両、ならびにどのような走行条件であっても位相進みTが0.25〜0.5[s]程度の範囲に収束するものと考えられる。一方、中級者や初心者では位相進みTは、慣れている車<慣れていない車の関係となっている。
次に、相関係数φについて考察する。まず、図7において上級者の分布に着目すると、相関係数φでは、車両A(高級車)>車両B(小型車)>車両Bの限界走行の順となっている。これは、一般論ではあるが、このような曲線路においては、小型車よりも高級車の方が運転が容易であることによるものと考えられる。また、小型車の測定結果に限ってみると、明らかに運転負荷が高くなっている限界走行において、相関係数φが小さくなっていることがわかる。以上のことから、相関係数φの大小は運転の負荷と相関が高いものと考えられる。
さらに、中級者のデータ分布についても同様の結果となっている。初心者のデータ分布では相関係数φに関しては車両A≒車両Bとなっているが、初心者が車両Bにかなり慣れていることを考慮すれば、上級者と中級者に見られた傾向を覆す結果ではない。これらのことから、相関係数φは運転負荷と相関が高いことがわかる。
これらの考察結果から、図7に示す位相進みTと相関係数φとの関係性において、以下の式で表される点が理想的であると考えることができる。
(数2)
(T,φ)≒(0.25, 1.0) …(2)
上式(2)に示す関係は、運転者と車両とがわずかな時間ずれを伴い一体となって走行していることを表している。位相進みTに関して、上級者はほぼこの理想値に収束しており、T=0.25[s]という値は、人間が知覚してから行動に移る際の時定数と考えると妥当な数値である。
以上説明したように、本発明は運転者の頭部挙動と車両挙動との相関関係に着目することで、通常走行領域において運転技量の絶対評価を行う技術を提供することができる。絶対評価は上記式(2)に示すような理想的な状態を定義することで可能となる。
次に、前述した背景技術の欄で挙げた特許文献に記載された従来技術に対する本発明の優位点について説明する。
前述した従来技術と本発明とは、運転特性を評価する際に相関係数を用いている点で類似しているが、従来技術では通常の走行領域において従属関係にある、操舵と車両挙動の相関関係を用いている。このため、車両運動が線形近似できない領域でのみ評価が可能であった。これに対して、本発明では互いに独立な頭部挙動と車両挙動との相関関係を用いているので、通常走行領域であっても運転特性の判定評価が可能であり、この点において本発明は先に説明した従来技術に対して優位であり、有利な効果を得ることができ進歩性があるものと言える。
次に、図8を参照して、上述した運転者の頭部挙動と車両挙動との相関関係に基づいて先の図1に示す演算装置6において実行される演算処理の手順について説明する。
図8において、先ず顔向き検出装置3から入力された頭部ヨー姿勢角αを微分して頭部ヨー角速度dαを算出する(ステップS81)。算出された頭部ヨー角速度dαは対車体角速度であるので、続いてこの頭部ヨー角速度dαとヨーレートセンサ4から入力された車体ヨーレートxとの差分を演算して対地の頭部ヨーレートyを算出する(ステップS82)。
このようにして得られた運転者の頭部ヨーレートyと車体ヨーレートxとはいずれも離散かつ時系列データとして記憶装置7に一時蓄積する。記憶装置7の容量が一杯となった場合には時間的に古いデータを順次消去し、新しいデータを記憶させる。この車体ヨーレートxおよび頭部ヨーレートyの記憶処理は、後述する相互相関関数を演算しているか否かに関わらず常にバックグラウンドで処理をし続ける。
また、記憶装置7に車体ヨーレートxと頭部ヨーレートyとを転送して記憶させる際に、運転中における運転者のミラー確認などに伴うデータを判定から除外するために、ローパスフィルタ61を挿入してもよい。ローパスフィルタ61を介する(乗じる)場合には、車体ヨーレートxと頭部ヨーレートyとの両信号に同じ位相遅れなどの特性を持つフィルタを同時にかける必要がある。これは、両信号の位相関係を変化させないために必要な条件である。
例えば図3に示すような測定結果を観察することによって、ある特定の車両について実験的に求めたローパスフィルタのカットオフ周波数の目安としては、例えば0.5Hz程度である。しかし、この特性に関しては例えば座席位置とミラーの位置関係などでも変化するため、カットオフ周波数は本発明を適用しようとする車両で試行実験を行った後に決定することが望ましい。
なお、このローパスフィルタ61は必須ではなく、後述するステップS84で示す抽出処理を実行する際に、車体ヨーレートxと頭部ヨーレートyとの測定結果の差分が予め設定された値よりも大きくなっている区間を除外する処理を行うことで、ローパスフィルタ61を設置する必要はなくなる。
次に、ナビゲーション装置5から入力される地図情報および自車両位置情報から、車両が曲線路を走行しているか否かを判定する(ステップS83)。判定の結果、車両が曲線路を走行していない場合は、この判定処理を継続して行ない、曲線路であると判定されるまでこれ以降の処理を待機させておく。
一方、判定の結果、車両が曲線路を走行していると判定された場合には、記憶装置7に蓄積されている時系列データから、少なくとも1つのコーナ区間を含むように車体ヨーレートxならびに頭部ヨーレートyを抽出する(ステップS84)。
引き続いて、抽出した車体ヨーレートxならびに頭部ヨーレートyを先に説明したの式(1)に代入して相互相関関数φxy[τ]を演算する(ステップS85)。この演算によって得られた相互相関関数φxy[τ]から位相進みTと、相互相関関数の最大値として得られる相関係数φを算出する(ステップS86)。その後、得られた位相進みTと相関係数φを記憶装置7に蓄積する。
なお、上記処理手順において、ステップS83に示す処理では、車両が曲線路を走行していると判定するためにナビゲーション装置5から入力される地図情報および自車両位置情報を用いたが、これ以外にも例えば操舵角や横Gを検出して車両が曲線路を走行していることを検出する旋回状態検出手段を設け、この旋回状態検出手段で車両が曲線路を走行していることを検出することも可能である。
次に、図9を参照して、上述のようにして得られた位相進みTと相関係数φとに基づいて先の図1に示す判定装置8において実行される判定評価処理について説明する。
判定装置8は、記憶装置7に蓄積された位相進みTと相関係数φを入力する。ここでは、例えば10回分の算出結果(T1〜T10、φ1〜φ10)を入力すこととする。その後、図9に示すように、横軸を位相進みT、縦軸を相関係数φにとって各算出結果(P1〜P10)をプロットする。さらに、図9に示すように、位相進みTをTが小さい値から大きくなるにしたがって上級、中級、初級(初心)といったランクに分け、さらに相関係数φをφが小さい値から大きくなるにしたがって負荷大、負荷中、負荷小といったランクに分けることで、位相進みTと相関係数φとの関数の座標系を9領域に分割する。
このように分割された座標系において、算出結果のプロット点P1〜P10がどの領域に主に属するかを判定し、その判定結果が運転負荷と運転技量の判定結果となる。図9に示す例では、プロット点P1〜P10の分布から運転技量が中級程度、運転負荷が中程度であると判定し、この判定結果を記憶装置7に記憶する。
なお、この記憶装置7に記憶された判定結果は、車両に搭載された車両制御装置、例えば車線維持支援システムなどに対しても利用可能となる。また、ここでは、10回分の算出結果を用いる例を示したが、もちろんこれ以外の複数回の算出結果を用いて判定を行っても構わない。
上記判定評価の手法は、運転技量をリアルタイムに判定評価する手法であったが、リアルタイムに判定評価する必要のない場合も想定されるので、図10を参照して、リアルタイム処理ではない所謂バッチ処理で運転特性を判定評価する手法について説明する。
この手法は、車両の制御を目的としない場合に適用することができ、例えばドライビングスクールのような環境で適用可能である。このような環境では、図10に示すように運転者に例えば帽子またはヘルメット100を着用させ、その帽子またはヘルメット100上に頭部挙動を測定するヨーレートセンサ101を装着すればよい。そして、車体の挙動を測定するヨーレートセンサ4と頭部の挙動を測定するヨーレートセンサ101で測定された測定結果を記憶装置102に直接記憶する。記憶された測定結果は図3に示すようになるので、このようにして収集された測定結果を走行終了後に上述したと同様にして処理すれば、運転技量や運転負荷を判定評価することが可能となる。
上記実施例では、相互相関関数の演算によって運転者挙動と車両挙動の相関関係を求める方法であるが、この他に運転者挙動と車両挙動の相関関係を求める方法として、例えば双方の挙動データを時間領域ではなく、周波数領域にいったん変換して各パワースペクトルを求めた後に、振幅二乗コヒーレンス関数を演算する方法を採用してもよい。
このような方法を採用する場合には、コヒーレンスが大きいほど運転者挙動と車両挙動が周波数領域でほぼ相似な挙動を示していることになるので、これを先に示した相互相関関数の大小に変えて、運転者の運転負荷を判別するようにすればよい。このとき、先に示したように、運転者挙動と車両挙動の位相進みTは0.25[s]程度までの領域に収束している。このため、周波数領域において測定結果を比較する場合には、1/0.25=4Hz程度以上の高周波部分に関しては分析から除外してよい。ただし、実際には離散的データで処理が行われることを考慮して、サンプリング定理から10Hz程度以下のデータについて処理を行う必要がある。
また、複素コヒーレンス関数を用いてある特定区間の測定結果波形の位相差を算出し、運転者挙動と車両挙動との間の位相ずれを求めて運転者の運転技量を判定評価するようにしてもよい。
さらに、ナビゲーション装置5から道路の線形を取得でき、道路線形が周期性を持つと判断できる場合には、運転者挙動および車両挙動のそれぞれのデータの自己相関関数を算出し、その自己相関関数同士を比較して運転者挙動と車両挙動の相似性を判別するようにしてもよい。
上記のような表現のほかにも、運転者挙動を入力、車両挙動を出力とみなした伝達関数を同定し、その伝達関数の特性から運転者挙動と車両挙動との位相差を判定する方法であっても、本発明の運転者挙動と車両挙動との相関関係を求めるということに含まれる。
以上説明したように、この実施例1においては、従来のように舵角と車両ヨーレートのように従属した関係から運転特性を評価するのではなく、互いに独立な関係にある頭部挙動を表す頭部ヨーレートと車両挙動を表す車体ヨーレートとに基づいて、運転特性を判定評価することで、周囲の運転環境や、例えばある時はゆっくり走りたい、ある時はやや急いで走りたいなどの運転者の運転意図に影響されず運転特性を的確に判定評価することができる。また、運転特性を判定評価するにあたって、頭部ヨーレートと車体ヨーレートとの間の位相進みTならびに相関係数φという判定評価パラメータを採用することで、定量的に運転特性を判定評価することが可能となる。
運転席の前方に取り付けられたCCDカメラ等の撮像装置2で運転者の挙動を検出することで、運転中に運転特性をリアルタイムに判定評価することが可能となる。
車両1が曲線路を走行している場合にのみ運転特性の判定評価を行うことで、位相進みTならびに相関係数φを演算する処理の負担が軽減され、かつ判定精度を向上させることができる。また、位相進みTと相関係数φとの複数回の演算結果に基づいて判定評価することで、判定精度を向上させることができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。この実施例2の特徴とするところは、頭部ヨーレートの位相進みTを先の実施例1で説明した方法に比べて簡易な方法で求めるようにしたことにあり、他は先の実施例1と同様である。
図11は図3に示すような頭部ヨーレートと車体ヨーレートの測定結果のうち、一部分を拡大して示したものである。図11において、それぞれの測定結果の波形が、予め設定した特定のヨーレート値に達した時刻を検出し、その時刻での両測定結果の差分を求めることによって位相進みTを簡潔に算出することが可能である。図11では、ヨーレート値が例えば「0」となる時刻に着目し、頭部ヨーレート波形が0をクロスする時刻Thと、車体ヨーレート波形が0をクロスする時刻Tvのそれぞれの時刻を求める例について示している。
このようにして位相進みTを求める際の演算装置6での処理手順は、図12に示すようになる。すなわち、図12においてステップS81〜ステップS84に示す処理は先の図8に示す同ステップと同様な処理であり、ステップS84で車体ヨーレートxならびに頭部ヨーレートyを抽出した後、先の図11に示すようにヨーレート値が「0」をクロスする時刻Tv,Thをそれぞれ検出する(ステップS121)。続いて検出した時刻TvとThの差を演算し、演算結果として位相ずれTを得る(ステップS122)。
この演算結果は記憶装置7に一時記憶され、先の図9に示すと同様の方法で判定装置8で判定処理が行われる。ただし、この例では位相進みTのみが求まるため、運転技量(上級〜初心)のみが判定評価されることになる。
このような実施例2では、先の実施例1で得られる効果に加えて、容易に位相進みTを算出することが可能となる。
次に、図13を参照して本発明の実施例3について説明する。この実施例3の特徴とするところは、頭部ヨーレートの測定結果と車体ヨーレートの測定結果との時系列波形の差分を演算し、その演算結果に基づいて運転特性を判定評価するようにしたことにあり、他は先の実施例1と同様である。
図13(a)は、車体ヨーレートxの時系列データと完全に相似な頭部ヨーレートy1、x2、x3の波形を示している。頭部ヨーレートy3は、車体ヨーレートxに対して位相進みはなく、頭部ヨーレートy2、y1となるにしたがって位相進みTが大きい状態を表している。このような頭部ヨーレートy1、y2、y3と車体ヨーレートxとの差分(y1−x)、(y2−x)、(y3−x)をそれぞれ時系列に表すと、図13(b)に示すような時系列波形が得られる。すなわち、位相進みTが大きいほど、頭部ヨーレートy1〜y3と車体ヨーレートxとの差分が大きな値となることがわかる。
一方、図13(c)には、車体ヨーレートxに対して位相進みTは同等であるが相似性が異なる頭部ヨーレートy4、y5の波形例を示している。このような波形に対して、頭部ヨーレートy4、y5の波形と車体ヨーレートxの波形との差分(y4−x)、(y5−x)は、図13(d)に示すような時系列波形として得られる。この時系列波形のある区間での時間積分値を比較すると、以下の式で示すような傾向となる。
Figure 2008068669
上式(3)から明らかなように、頭部ヨーレートyと車体ヨーレートxとの相似性が高いほど、両ヨーレートの差分の積分値が大きくなる。
このような傾向を利用して、頭部ヨーレートyと車体ヨーレートxとの差分を演算し、差分の時系列波形の定常値(直流成分)の大小で位相進みTを代表させ、定常値からの変動分(交流成分)の積分値の大小で相関係数φを代表させることができる。これにより、先の実施例1で説明した図8および図9に示す演算処理を行わずともほぼ同様の判定評価が可能となる。
このような実施例3を実施するためには、先の図8におけるステップS85で示す処理において、相互相関関数を演算することに代えて頭部ヨーレートと車体ヨーレートの波形の差分を演算し、ステップS86で示す処理においては、相互相関関数に基づいて位相進みTと相関係数φを算出することに代えて、ステップS85で得られた差分の定常値と変動分の積分値を演算するようにすればよい。さらに、図9に示す位相進みTと相関係数φとの関係性に代えて、横軸を差分の時系列波形の定常値(直流成分)に、縦軸を定常値からの変動分(交流成分)に置き換えて得られる両者の相関関係に基づいて、同様に判定評価するようにすればよい。
このような実施例3においては、位相進みTならびに相関係数φと略同等のパラメータを容易に算出することが可能となり、運転特性を実施例1と概ね同等に判定評価することが可能となる。
なお、運転者挙動と車両挙動との差分を求めるにあたり、上記実施例3で示したようなヨーレート同士の比較ではなく、ヨー角とヨーレートのように次元が異なる挙動を表すパラメータを比較する場合には、運転者挙動と車両挙動の双方の最大値がほぼ等しくなるように両パラメータを無次元化および正規化した後差分を求める必要がある。
ここまでに示した実施例1〜3においては、運転者挙動として頭部ヨーレート、車両挙動として車体ヨーレートをそれぞれ用いて両者を比較する例について説明したが、これ以外の運転者挙動と車両挙動の組み合わせとして、例えば頭部ヨー姿勢角と車体ヨー角との関係、運転者が注視している方向を表す例えば視線方向と車体ヨー角との関係、あるいは運転者が注視している方向を表す例えば視線のヨー角変化と車体ヨーレートとの関係においても、前述したのと同様に運転者挙動が車両挙動よりもやや時間的に先行し、かつ運転者挙動と車両挙動との時系列波形は概ね同じ波形を示すため、これらの関係を用いて運転者挙動と車両挙動との比較を行って運転特性を判別評価することも可能である。
次に、本発明の実施例4について説明する。この実施例4は、上述した運転特性の判定評価手法を車両制御に適用した際の実施例である。図14は上述した手法で判定評価された運転特性に基づいて車両の走行を制御する車両制御装置として、例えば車線維持支援システム(LDP:Lane Departure Prevention)の一構成例を示す図である。
ここで、車線維持支援システムの構成を説明する前に、先ず車両の走行中に車線を維持する基本的な制御手法について説明する。この制御手法としては、例えば図15に示すように前方注視点の横変位Dを求め、その後例えば図16に示すような前方注視点の横変位Dと制御トルクTと関係性に基づいて、横変位Dに応じてステアリングに制御トルクTを付与するものが従来より知られている。
このような制御手法において、図15に示すように前方注視点153の横変位Dは、図15に示すように、制御対象となる車両151の車線中央152に対するヨー角βと、車両151の車線中央152に対する横変位dに基づいて、以下の式で求められる。
(数4)
D=d+Lβ …(4)
上式(4)において、Lは前方注視点153までの距離である。この前方注視点153を制御目標値として用いることで、車両151のヨー角βと横変位Dとを同時に0とすることができる。
上式(4)に基づいて前方注視点153の横変位Dが演算された後、得られた横変位Dを0とするように車両を制御する制御トルクTをステアリングに付与するが、このとき横変位Dが小さい領域ではステアリングに制御トルクTを付与しないのが一般的である。すなわち、図16に示すように、横変位Dと制御トルクTとの関係において不感帯が設けられている。
このように不感帯を設けることにより、運転者の操作とステアリングの制御トルクが干渉することがなくなり、車線の逸脱が小さい内は運転者の意図を阻害することのない運転が可能になる一方、車線逸脱の可能性が高まったときにのみステアリング制御を行って車線逸脱を防止することが可能となる。このとき、運転者の意図をできるだけ阻害しないようにするためには不感帯が大きいほうが好ましく、逆に車線逸脱を防止する観点のみからすれば不感帯は小さいほうが望ましく、両者の間にはいわゆるトレードオフの関係が存在する。
これまでは、このトレードオフの関係を初心者から上級者まで万人に受け入れられるレベルで決定する必要があった。しかし本来は初心者に対しては車線維持を積極的に支援すべく不感帯を小さくする一方、上級者に対しては車線逸脱の可能性は低いため、不感帯を大きくして運転者の意思を最大限に反映させた制御とするのが自然な考え方である。すなわち、運転技量に応じて支援の程度を調整することがより進化した運転支援の方法であると考えられる。
次に、図14に戻って、このような支援を実現するための構成を説明する。図14において、車線維持支援システムは、第1の撮像装置141、第2の撮像装置142、駆動モータ143、横変位演算装置144、ヨーレートセンサ145、運転特性判定装置146ならびにトルク演算装置147を備えて構成されている。
第1の撮像装置141は、例えばCCDカメラで構成されて運転者の前方に設けられ、運転者の上体を撮像する。撮像で得られた画像は運転特性判定装置146に与えられる。
第2の撮像装置142は、例えばCCDカメラで構成されて車両前方に向けて設けられ、車両前方の車線を含む画像を撮像する。撮像で得られた画像は横変位演算装置144に与えられる。
駆動モータ143は、ステアリングコラムシャフトと並列に設置され、トルク演算装置147から与えられる制御トルクTに基づいてステアリングコラムシャフトを回転駆動し、車両の進行方向を調整制御する。
横変位演算装置144は、第2の撮像装置142で撮像された画像から得られた情報に基づいて上述したようにして前方注視点の横変位Dを演算する。
ヨーレートセンサ145は、車両の車両挙動情報として車両の車体ヨーレートを検出し、検出した車体ヨーレートを運転特性判定装置146に与える。
運転特性判定装置146は、先の実施例1〜3で説明した運転特性判定装置で構成され、第1の撮像装置141で撮像された画像から得られた運転者挙動とヨーレートセンサ145で得られた車両挙動とに基づいて運転者の運転技量を判定評価し、その結果を初心者または上級者のいずれかの運転技量としてトルク演算装置147に与える。
トルク演算装置147は、図16に示すような横変位Dと制御トルクTとの特性マップを図14に示すように初心者用と上級者用の2つの運転技量に対応して備えている。初心者用の特性マップは図14に示すように先に説明した不感帯が大きく設定されているのに対して、上級者用の特性マップでは不感帯は小さく設定されている。このような特性マップは、予め実験やシミュレーション等の机上検討により求めて記憶装置等に記憶させて用意する。トルク演算装置147は、横変位演算装置144から与えられる横変位Dと運転特性判定装置146から与えられる運転技量とに基づいて、上記特性マップを参照して駆動モータ143で発生する制御トルクTを演算し、モータ指令値として駆動モータ143に与える。
このような構成において、第1の撮像装置141の撮像画像から得られた運転者挙動とヨーレートセンサ145で得られた車両挙動とに基づいて運転者の運転技量が初心者または上級者であるかが運転特性判定装置146で判定評価される。これと並行して第2の撮像装置142で撮像された画像に基づいて横変位演算装置144で前方注視点の横変位Dが演算される。
その後、運転特性判定装置146で判定評価された運転者の運転技量、すなわち初心者または上級者の技量に対応した特性マップを参照して横変位Dに基づいて制御トルクTが演算される。その後、得られた制御トルクTが駆動モータ143で発生され、駆動モータ143でステアリングコラムシャフトが回転駆動されることで横変位Dが0となるように車両の進行方向が調整制御されて、車線の逸脱が回避される。
なお、上記実施例4では、車両制御装置として車線維持支援システムを一例に挙げて運転特性判定装置を車両制御に適用する実施例を説明したが、これ以外にも例えば横滑り防止システムなどの車両制御装置に適用することも可能である。
横滑り防止システムに適用した場合には、車体目標ヨーレートと車体実ヨーレートとの乖離が閾値を超えた場合にブレーキ制御が介入するが、この判断閾値を初心者〜上級者の判定結果に応じて可変とすればよい。具体的には、初心者と判定された場合には閾値を低くし、すなわち目標ヨーレートと実ヨーレートの差が小さくても制御を介入させ、積極的に車両制御を行う一方、上級者と判定された場合には逆に閾値を高く設定するようにすることが好ましい。
このように、上記実施例4においては、運転者の運転特性の判定評価結果、すなわち初心者もしくは上級者といった判定評価結果に応じて、車線を維持する際にステアリングに作用する駆動トルク特性の不感帯幅を可変に設定することが可能となる。これにより、運転支援の介入タイミングが最適化されて車両制御と運転者との干渉が少なくなり、快適性と安全性とを両立させた運転が可能となる。
本発明の実施例1に係る運転特性判定装置の構成を示す図である。 頭部挙動と車両挙動との相関関係のデータを取得する際の車両の走行コースを示す図である。 図2に示すコースを走行した際に取得されたデータの一例を示す図である。 カーブに進入走行する際の運転者の挙動を示す図である 高級車を運転する際の運転技量と相関係数ならびに位相進みとの関係を示す図である。 小型車を運転する際の運転技量と相関係数ならびに位相進みとの関係を示す図である。 運転技量に対する位相進みと相関係数との関係を示す図である。 実施例1に係る演算装置の処理手順を示す図である。 判定装置の処理内容を説明するための図である。 バッジ処理で判定処理を行う実施例に係る運転特性判定装置の構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る位相進みの他の算出方法を説明する際の頭部挙動と車体挙動のデータの一例を示す図である。 実施例2に係る演算装置の処理手順を示す図である。 本発明の実施例3に係る位相進みの他の算出方法を説明する際の頭部挙動と車体挙動の時間変化の一例を示す図である。 本発明の実施例4に係る車両制御装置の構成を示す図である。 実施例4に係る車両制御装置における基本動作を説明するための図である。 横変位と制御トルクとの関係を示す図である。
符号の説明
1,151…車両
2…撮像装置
3…検出装置
4,101,145…ヨーレートセンサ
5…ナビゲーション装置
6…演算装置
7,102…記憶装置
8…判定装置
61…ローパスフィルタ
100…ヘルメット
141…第1の撮像装置
142…第2の撮像装置
143…駆動モータ
144…横変位演算装置
146…運転特性判定装置
147…トルク演算装置
152…車線中央
153…前方注視点

Claims (12)

  1. 車両を運転する運転者の運転者挙動を検出する運転者挙動検出手段と、
    前記運転者が運転する前記車両の車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
    前記運転者挙動検出手段によって検出された運転者挙動と、前記車両挙動検出手段によって検出された車両挙動との時系列データを比較演算する演算手段と、
    前記演算手段の比較演算結果に基づいて、前記運転者の運転特性を判定評価する判定手段と
    を有することを特徴とする運転特性判定装置。
  2. 前記演算手段は、前記運転者挙動と前記車両挙動との時系列データ間の位相ずれならびに相似性に基づいて、前記時系列データを比較演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転特性判定装置。
  3. 前記演算手段は、前記運転者挙動と前記車両挙動との時系列データ間の位相ずれならびに相似性を表す相関係数に基づいて、前記時系列データを比較演算する
    ことを特徴とする請求項2に記載の運転特性判定装置。
  4. 前記演算手段は、前記運転者挙動と前記車両挙動とのそれぞれの時系列データに対して、予め設定されたしきい値を超える時刻を算出し、算出されたそれぞれの時刻の差分を算出し、算出した差分に基づいて前記時系列データを比較演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転特性判定装置。
  5. 前記演算手段は、前記運転者挙動と前記車両挙動との時系列データを正規化し、正規化したそれぞれの時系列データの差分を算出し、算出した差分に基づいて前記時系列データを比較演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転特性判定装置。
  6. 前記運転者挙動検出手段は、運転者挙動として運転者の頭部ヨーレートを検出し、
    前記車両挙動検出手段は、車両挙動として車体ヨーレートもしくは操舵角を検出する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転特性判定装置。
  7. 前記運転者挙動検出手段は、運転者挙動として運転者が注視している方向を検出し、
    前記車両挙動検出手段は、車両挙動として車体ヨーレートもしくは操舵角を検出する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転特性判定装置。
  8. 前記車両が走行している道路形状及び自車両位置を検出する車両ナビゲーション手段を有し、
    前記車両ナビゲーション手段が前記車両が曲線路を走行していると検出したときに、前記判定手段が運転特性を判定評価する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の運転特性判定装置。
  9. 前記車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を有し、
    前記旋回状態検出手段が前記車両が曲線路を走行していると検出したときに、前記判定手段が運転特性を判定評価する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の運転特性判定装置。
  10. 前記演算手段が演算した演算結果を記憶する記憶手段を有し、
    前記判定手段は、前記記憶手段に記憶された複数回の演算結果に基づいて運転特性を判定評価する
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の運転特性判定装置。
  11. 運転者挙動検出手段が、車両を運転する運転者の運転者挙動を検出する第1のステップと、
    車両挙動検出手段が、前記運転者が運転する前記車両の車両挙動を検出する第2のステップと、
    演算手段が、前記第1のステップで検出された運転者挙動と、前記第2のステップで検出された車両挙動との時系列データを比較演算する第3のステップと、
    前記第3のステップの比較演算結果に基づいて、判定手段が前記運転者の運転特性を評価判定する第4のステップと
    を有することを特徴とする運転特性判定方法。
  12. 車両の走行を制御する車両制御装置であって、
    前記請求項1〜10のいずれか1項に記載の運転特性判定装置と、
    前記運転特性判定装置の判定結果に基づいて、車両の制御特性を可変する制御特性可変手段と
    を有することを特徴とする車両制御装置。
JP2006246986A 2006-09-12 2006-09-12 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置 Pending JP2008068669A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006246986A JP2008068669A (ja) 2006-09-12 2006-09-12 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006246986A JP2008068669A (ja) 2006-09-12 2006-09-12 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008068669A true JP2008068669A (ja) 2008-03-27

Family

ID=39290663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006246986A Pending JP2008068669A (ja) 2006-09-12 2006-09-12 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008068669A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009277141A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Nissan Motor Co Ltd 運転誘導装置および運転誘導方法
WO2013099919A1 (ja) * 2011-12-26 2013-07-04 トヨタ自動車株式会社 車両の走行軌跡制御装置
KR101360566B1 (ko) 2012-11-22 2014-02-10 현대자동차주식회사 운전 패턴 분석 장치
WO2019044638A1 (ja) * 2017-08-30 2019-03-07 日立オートモティブシステムズ株式会社 運転支援装置、運転支援方法および運転支援システム
JP2019053553A (ja) * 2017-09-15 2019-04-04 トヨタ自動車株式会社 遠隔運転システム
WO2019124125A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 いすゞ自動車株式会社 操舵制御装置及び操舵制御方法
JP2020163892A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 株式会社アドヴィックス 走行制御装置

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009277141A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Nissan Motor Co Ltd 運転誘導装置および運転誘導方法
WO2013099919A1 (ja) * 2011-12-26 2013-07-04 トヨタ自動車株式会社 車両の走行軌跡制御装置
JP2013132923A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Toyota Motor Corp 車両の走行軌跡制御装置
CN103998324A (zh) * 2011-12-26 2014-08-20 丰田自动车株式会社 车辆的行驶轨迹控制装置
US9527525B2 (en) 2011-12-26 2016-12-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Travel trajectory control device for a vehicle
KR101360566B1 (ko) 2012-11-22 2014-02-10 현대자동차주식회사 운전 패턴 분석 장치
US11597381B2 (en) 2017-08-30 2023-03-07 Hitachi Astemo, Ltd. Driving assist apparatus, driving assist method, and driving assist system
WO2019044638A1 (ja) * 2017-08-30 2019-03-07 日立オートモティブシステムズ株式会社 運転支援装置、運転支援方法および運転支援システム
JP2019043196A (ja) * 2017-08-30 2019-03-22 日立オートモティブシステムズ株式会社 運転支援装置、運転支援方法および運転支援システム
JP2019053553A (ja) * 2017-09-15 2019-04-04 トヨタ自動車株式会社 遠隔運転システム
JP2019108064A (ja) * 2017-12-20 2019-07-04 いすゞ自動車株式会社 操舵制御装置及び操舵制御方法
JP7003630B2 (ja) 2017-12-20 2022-01-20 いすゞ自動車株式会社 操舵制御装置及び操舵制御方法
WO2019124125A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 いすゞ自動車株式会社 操舵制御装置及び操舵制御方法
US11932307B2 (en) 2017-12-20 2024-03-19 Isuzu Motors Limited Steering control device and steering control method
JP2020163892A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 株式会社アドヴィックス 走行制御装置
JP7274907B2 (ja) 2019-03-28 2023-05-17 株式会社アドヴィックス 走行制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4803490B2 (ja) 運転者状態推定装置及び運転支援装置
CN103112452B (zh) 基于车道保持辅助系统用图像传感器的电动转向侧风补偿方法
CN102407849B (zh) 基于移动对象的目标轨迹来支持移动对象的驾驶的设备
CN102975716B (zh) 用于在自动化车道对中过程中的速度自适应转向超驰检测的系统和方法
JP2008068669A (ja) 運転特性判定装置、運転特性判定方法及び車両制御装置
JP4735676B2 (ja) 走行支援装置
JP7068770B2 (ja) ライダーの能力を分析するための方法、システム、及び、車両
JP6600446B2 (ja) 車両制御装置、及びプログラム
CN105501288B (zh) 转向助力控制装置和转向助力控制方法
JP7015161B2 (ja) リーン型乗物の走行情報蓄積方法、走行情報処理プログラム及び走行情報蓄積装置
JP7073880B2 (ja) 進路決定装置
JP2012507780A (ja) 道路データを決定するための方法及びシステム
JP2009073462A (ja) 運転状態判定装置及び運転支援装置
CN107933563A (zh) 用于确定地面与车辆轮胎之间摩擦的方法和系统
US10293852B2 (en) Understeer and oversteer detector for a motor vehicle
JP2009294753A (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP2009018765A (ja) ドライバ特性検出装置
JP5023869B2 (ja) 車両用運転操作支援装置、および車両用運転操作支援方法
JP2015524364A (ja) 自動車の走行方向を検知するための方法
JP4961880B2 (ja) 車両用経路算出装置および車両用経路算出方法
JP5040134B2 (ja) 車両制御装置及び方法
JP5003705B2 (ja) 開閉眼状態判定装置、前横向き状態判定装置、及びプログラム
US11772679B2 (en) Steer control logic for emergency handling of autonomous vehicles
JPH0840295A (ja) 車両挙動感覚制御装置
CN106103228B (zh) 一种车辆控制系统