JP2006076386A - 車輌用操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転舵制御量の転舵方向が逆転する際の転舵制御量の急変及びこれに起因する異和感の発生を防止する。
【解決手段】目標転舵角Δδtが基準値α以上であるときには(S390)、フラグFrが1にセットされ(S400)、目標転舵角Δδtが基準値α以上になった時点より所定の継続時間Toが経過するまで又は目標転舵角Δδtが基準値α以上になるまでフラグFrが1に維持されることにより左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止され(S310〜380)、また目標転舵角Δδtが基準値−α以下であるときには(S410)、フラグFlが1にセットされ(S420)、目標転舵角Δδtが基準値α以上になった時点より所定の継続時間Toが経過するまで又は目標転舵角Δδtが基準値−α以下になるまで左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止される(S220〜290)。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輌用操舵制御装置に係り、更に詳細には操舵輪を転舵して車輌に付加されるヨーモーメントを制御する車輌用操舵制御装置に係る。
自動車等の車輌の操舵制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、車輌の目標ヨーレートと検出ヨーレートとの偏差に基づき補正操舵角を演算し、補正操舵角に基づき補正操舵装置を制御し前輪を操舵する操舵制御装置であって、補正操舵角の大きさが制限値を越えているときには補正操舵角の大きさを制限値に制限する操舵制御装置が従来より知られている。
かかる操舵制御装置によれば、不必要な補正操舵を防止しつつ必要な補正操舵を適切に行い、これにより操舵輪の横力の低下を効果的に防止して旋回時の車輌の安定性を向上させることができる。
特開2000−233762
一般に、補正操舵角、従って操舵輪の転舵制御量が急変すると、車輌の乗員が異和感、特に操舵反力の急変に起因する異和感を感じ易い。特にこの問題はレーンチェンジ時やスラローム走行時の如く車輌の旋回方向の逆転に伴って転舵制御量の転舵方向が逆転する場合に顕著である。
しかるに上記特許文献1に記載された操舵制御装置に於いては、補正操舵角の大きさが制限値以下の範囲内にて補正操舵角が急変することを防止することができず、操舵輪の転舵制御量の急変に起因する問題を解消する上で改善の余地がある。
本発明は、補正操舵角の大きさが制限値を越えているときには補正操舵角の大きさを制限値に制限するよう構成された従来の車輌用操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、操舵輪の転舵制御量の転舵方向が逆転する際の転舵制御量の変化を低減することにより、転舵制御量の転舵方向が逆転する際の転舵制御量の急変及びこれに起因する異和感の発生を防止することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、前記ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、車輌に一方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御を行ったときには、その後他方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御の転舵制御量を低減することを特徴とする車輌用操舵制御装置(請求項1の構成)、又は操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、前記ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記転舵制御量の切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率を演算し、切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率をそれぞれ切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値に基づいて制限する変化率制限手段を有し、前記切り増し変化制限値の大きさは前記切り戻し変化制限値の大きさよりも大きいことを特徴とする車輌用操舵制御装置(請求項3の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記転舵制御量の低減は所定の継続時間に亘り継続された後に解除されるよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記転舵制御量の切り戻し方向の変化率が前記切り戻し変化制限値を越えたときには所定の保持時間に亘り前記転舵制御量を保持し、しかる後前記切り戻し変化制限値以下の変化率にて前記転舵制御量を切り戻し方向に変化させるよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前記所定の保持時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3乃至5の構成に於いて、前記切り増し変化制限値及び前記切り戻し変化制限値の大きさは車速が高いときには車速が低いときに比して大きいよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項1の構成によれば、操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、車輌に一方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御が行われたときには、その後他方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御の転舵制御量が低減されるので、操舵輪の転舵制御量の転舵方向が逆転する際の転舵制御量の変化を低減し、これにより転舵制御量の転舵方向が逆転する際の転舵制御量の急変及びこれに起因する異和感の発生を防止することができる。
また上記請求項2の構成によれば、転舵制御量の低減は所定の継続時間に亘り継続された後に解除されるので、確実に所定の継続時間に亘り転舵制御量を低減することができると共に、所定の継続時間経過後に確実に転舵制御量の低減を解除することができる。
また一般に、車輌の旋回時には操舵輪にセルフアライニングトルクが作用するので、操舵輪の切り増し方向の転舵の変化率は大きくなり難いが、操舵輪の切り戻し方向の転舵の変化率は大きくなり易い。従って転舵制御量を低減するに際し転舵制御量の変化率を制限する場合には、転舵制御量の切り増し方向の変化率の制限は切り戻し方向に比して穏やかであり、転舵制御量の切り戻し方向の変化率の制限は切り増し方向に比して厳しいことが好ましい。
上記請求項3の構成によれば、操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、転舵制御量の切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率が演算され、切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率がそれぞれ切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値に基づいて制限され、切り増し変化制限値の大きさは切り戻し変化制限値の大きさよりも大きいので、操舵輪に作用するセルフアライニングトルクに起因して操舵輪の転舵量が切り増し方向には穏やかに変化することを許容しつつ、操舵輪の転舵量が切り戻し方向に急激に変化することを効果的に防止することができる。
また一般に、熟練の運転者は車輌の急旋回時にはカウンタステアを一定に維持した後カウンタステア量を漸次低下させる。上記請求項4の構成によれば、転舵制御量の切り戻し方向の変化率が切り戻し変化制限値を越えたときには所定の保持時間に亘り転舵制御量が保持され、しかる後切り戻し変化制限値以下の変化率にて転舵制御量が切り戻し方向に変化されるので、熟練の運転者が車輌の急旋回時にカウンタステアを一定に維持した後カウンタステア量を漸次低下させることと等価な制御を行うことができ、これにより車輌の乗員は熟練の運転者が操舵操作する場合と同様の乗車感を感じることができる。
また一般に、熟練の運転者が車輌の急旋回時にカウンタステアを一定に維持する時間は車速が高いほど短いので、所定の保持時間は車速が高いほど短いことが好ましい。上記請求項5の構成によれば、所定の保持時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いので、所定の保持時間が車速に拘らず一定である場合に比して、車輌の乗員が感じる乗車感を一層熟練の運転者が操舵操作する場合の乗車感に近づけることができる。
また一般に、車輌の挙動変化は車速が高いほど急激に生じ易いので、転舵制御量の変化は車速が高いほど速やかであることが好ましい。上記請求項6の構成によれば、切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値の大きさは車速が高いときには車速が低いときに比して大きいので、低車速域に於ける操舵輪の転舵角の急激な変化及びこれに起因する操舵反力の急激な変化を防止しつつ、車速が高く車輌の挙動変化が急激に生じ易いほど操舵輪の転舵角の変化速度を高くして車輌の挙動安定化を効果的に行わせることができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、制御手段は運転者により操舵操作される操舵操作手段と、操舵操作手段に入力された操舵操作力を操舵輪へ伝達して操舵輪を操舵する操舵機構と、運転者により操舵操作手段に与えられる操舵量に対する操舵輪の舵角変化量を変更する自動転舵装置とを有し、転舵制御量は自動転舵装置による操舵輪の舵角変化量であるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、転舵制御量を0に低減することにより他方の旋回方向のヨーモーメントの付加を禁止するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、転舵制御量の大きさが最大許容基準値を越えるときには転舵制御量の大きさを最大許容基準値に制限することにより転舵制御量を低減するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、他方の旋回方向のヨーモーメントの大きさに対する転舵制御量の大きさの比を低減することにより転舵制御量を低減するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、転舵制御量を演算する手段はヨーモーメントの大きさが不感帯基準値以下であるときには転舵制御量を0に演算し、不感帯基準値を大きくすることにより転舵制御量を低減するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、所定の継続時間は転舵制御量が一方の旋回方向に判定基準値以上になった時点よりの時間であるよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、所定の継続時間は転舵制御量が一方の旋回方向に判定基準値以上になった後判定基準値以下になった時点よりの時間であるよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、所定の継続時間は転舵制御量が一方の旋回方向に判定基準値以上になった後他方の旋回方向に判定基準値以上になった時点よりの時間であるよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は2の構成に於いて、転舵制御量の切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率を演算し、切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率をそれぞれ切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値に基づいて制限する変化率制限手段を有し、切り増し変化制限値の大きさは切り戻し変化制限値の大きさよりも大きいよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は好ましい態様9の構成に於いて、転舵制御量の切り戻し方向の変化率が切り戻し変化制限値を越えたときには切り戻し変化制限値以下の変化率にて転舵制御量を切り戻し方向に変化させるよう構成される(好ましい態様10)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様9の構成に於いて、転舵制御量の切り戻し方向の変化率が切り戻し変化制限値を越えたときには所定の保持時間に亘り転舵制御量を保持し、しかる後切り戻し変化制限値以下の変化率にて転舵制御量を切り戻し方向に変化させるよう構成される(好ましい態様11)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様11の構成に於いて、所定の保持時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いう構成される(好ましい態様12)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様9乃至12の構成に於いて、切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値の大きさは車速が高いときには車速が低いときに比して大きいよう構成される(好ましい態様13)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は自動転舵装置として機能する転舵角可変装置を備えたセミステアバイワイヤ式の後輪駆動車に適用された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の従動操舵輪としての左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の駆動輪としての左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型のパワーステアリング装置16によりラックバー18及びタイロッド20L及び20Rを介して転舵される。
ステアリングホイール14は第一のステアリングシャフトとしてのアッパステアリングシャフト22、転舵角可変装置24、第二のステアリングシャフトとしてのロアステアリングシャフト26、ユニバーサルジョイント28を介してパワーステアリング装置16のピニオンシャフト30に駆動接続されている。図示の実施例に於いては、転舵角可変装置24はハウジング24Aの側にてアッパステアリングシャフト22の下端に連結され、回転子24Bの側にてロアステアリングシャフト26の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機32を含んでいる。
かくして転舵角可変装置24はアッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転駆動することにより、挙動制御の目的で左右の前輪10FL及び10FRをステアリングホイール14に対し相対的に補助転舵駆動する自動転舵装置として機能し、電子制御装置34の転舵制御部により制御される。
尚アッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転駆動することができない異常が転舵角可変装置24に発生すると、図1には示されていないロック装置が作動し、アッパステアリングシャフト22に対するロアステアリングシャフト26の相対回転角度が変化しないよう、ハウジング24A及び回転子24Bの相対回転が機械的に阻止される。
またパワーステアリング装置16は油圧式パワーステアリング装置及び電動式パワーステアリング装置の何れであってもよいが、転舵角可変装置24による前輪の補助転舵駆動により発生されステアリングホイール14に伝達される反力トルクを低減する補助操舵トルクが発生されるよう、例えば電動機と、電動機の回転トルクをラックバー18の往復動方向の力に変換するボールねじ式の如き変換機構とを有するラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であることが好ましい。
各車輪の制動力は制動装置36の油圧回路38によりホイールシリンダ40FL、40FR、40RL、40RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)、即ち制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路38はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル42の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ44により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く電子制御装置34の制動力制御部により個別に制御される。
図示の実施例に於いては、アッパステアリングシャフト22には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ50が設けられており、転舵角可変装置24にはハウジング24A及び回転子24Bの相対回転角度をアッパステアリングシャフト22に対するロアステアリングシャフト26の相対回転角度θreとして検出する回転角度センサ52が設けられており、これらのセンサの出力は電子制御装置34の転舵制御部へ供給される。
また電子制御装置34には横加速度センサ54により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号、ヨーレートセンサ56により検出された車輌のヨーレートγを示す信号、車速センサ58により検出された車速Vを示す信号、圧力センサ60FL〜60RRにより検出された各車輪の制動圧Piを示す信号、圧力センサ62により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号等が入力される。
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置34は転舵角可変装置24を制御する転舵制御部と、各車輪の制動力を制御する制動力制御部と、車輌の挙動を制御する挙動制御部とよりなり、各制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ50、回転角度センサ52、横加速度センサ54、ヨーレートセンサ56はそれぞれ車輌の左旋回方向への操舵又は転舵又は旋回の場合を正として操舵角θ、相対回転角度θre、横加速度Gy、ヨーレートγを検出する。
電子制御装置34の挙動制御部は車輌の走行に伴い変化する操舵角θの如き運転操作量及び車輌の横加速度Gyの如き車輌状態量に基づき車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSを演算し、スピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtを演算する。
そして電子制御装置34の挙動制御部は目標ヨーモーメントMtを所定の比率にて左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMtsと各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbとに配分し、目標ヨーモーメントMtsに基づき左右前輪の目標転舵角Δδtを演算すると共に目標転舵角Δδtを示す信号を電子制御装置34の転舵制御部へ出力し、また目標減速度Gxbt、目標ヨーモーメントMtb、マスタシリンダ圧力Pmに基づき各車輪の目標制動圧Ptiを演算し、目標制動圧Ptiを示す信号を電子制御装置34の制動力制御部へ出力する。
電子制御装置34の制動力制御部は各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう油圧回路38を制御し、これにより目標減速度Gxbt及び目標ヨーモーメントMtbを達成する。
電子制御装置34の転舵制御部は左右前輪の目標転舵角Δδtに基づき転舵角可変装置24を制御し、左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtになるよう制御する。特に電子制御装置34の転舵制御部は目標転舵角Δδtの大きさが一方の旋回方向へ基準値α以上になったときには、その時点より所定の継続時間Toに亘り他方の旋回方向へ左右前輪を転舵することを禁止する。即ち電子制御装置34の転舵制御部は目標転舵角Δδtの大きさが一方の旋回方向へ基準値α以上になったときには、その時点より所定の継続時間Toに亘り他方の旋回方向への目標転舵角Δδtを0に設定し、これにより目標転舵角Δδtの急激な変化及びこれに起因する操舵反力の急変を防止する。
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施例に於いて電子制御装置34の挙動制御部により達成される左右前輪の舵角制御による車輌の挙動制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算され、ステップ30に於いてはスピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが当技術分野に於いて公知の要領にて演算される。
ステップ40に於いては後述の図3及び図4に示されたフローチャートによる舵角制御により転舵制御が禁止されているか否かの判別、即ちタイマのカウント値Tl又はTrが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進み、否定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
ステップ50に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbに対する目標ヨーモーメントMtの配分比Rbが標準値(0よりも大きく1よりも小さい正の定数)に設定される。
ステップ60に於いては目標ヨーモーメントMt及び配分比Rbに基づき下記の式1及び2に従って左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMts及び各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが演算される。
Mts=(1−Rb)Mt ……(1)
Mts=Rb・Mt ……(2)
ステップ70に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて目標ヨーモーメントMtsを達成するための左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されると共に、目標転舵角Δδtを示す信号が転舵制御部へ送信され、しかる後ステップ100へ進む。
ステップ80に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbに対する目標ヨーモーメントMtの配分比Rbが1に設定され、ステップ90に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが目標ヨーモーメントMtに設定された後ステップ100へ進む。
ステップ100に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて目標ヨーモーメントMtb及び車輌の目標減速度Gxbtを達成するための各車輪の目標制動力が演算されると共に、目標制動力に基づき各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ110に於いては目標制動圧Ptiを示す信号が制動力制御部へ送信され、制動力制御部により各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
次に図3及び図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於いて電子制御装置34の転舵制御部により達成される左右前輪の舵角制御ルーチンについて説明する。尚図3及び図4に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ210に於いては挙動制御部より送信される目標転舵角Δδtを示す信号が受信され、ステップ220に於いてはフラグFlが1であるか否かの判別、即ち左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ300へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ230へ進む。
ステップ230に於いてはタイマのカウント値Tlが正の値であるか否かの判別、即ち左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ250へ進み、否定判別が行われたときにはステップ240へ進む。
ステップ240に於いては目標転舵角Δδtが基準値−α(αは正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ410へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進む。
ステップ250に於いては目標転舵角Δδtが基準値−α以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ290へ進み、否定判別が行われたときにはステップ260に於いて図3及び図4に示されたフローチャートのサイクルタイムをΔTとしてタイマのカウント値TlがΔTインクリメントされた後ステップ270へ進む。
ステップ270に於いてはタイマのカウント値Tlが基準値To(正の定数)以上であるか否かの判別、即ち左右前輪の左旋回方向への転舵を禁止すべき所定の時間が経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ280に於いてフラグFlが0にリセットされ、ステップ290に於いてタイマのカウント値Tlが0にリセットされ、否定判別が行われたときにはステップ300へ進む。
ステップ300に於いてはフラグFrが1であるか否かの判別、即ち左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ430へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ320へ進む。
ステップ310に於いてはステップ300の場合と同様、フラグFrが1であるか否かの判別、即ち左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ390へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ320へ進む。
ステップ320に於いてはタイマのカウント値Trが正の値であるか否かの判別、即ち左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ340へ進み、否定判別が行われたときにはステップ330へ進む。
ステップ330に於いては目標転舵角Δδtが基準値α以下であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ430へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ350へ進む。
ステップ340に於いては目標転舵角Δδtが基準値α以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ380へ進み、否定判別が行われたときにはステップ350に於いてタイマのカウント値TrがΔTインクリメントされた後ステップ360へ進む。
ステップ360に於いてはタイマのカウント値Trが基準値To以上であるか否かの判別、即ち左右前輪の右旋回方向への転舵を禁止すべき所定の時間が経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ370に於いてフラグFrが0にリセットされ、ステップ380に於いてタイマのカウント値Trが0にリセットされ、否定判別が行われたときには一旦図3及び図4に示されたフローチャートによる制御が終了される。
ステップ390に於いては目標転舵角Δδtが基準値α以上であるか否かの判別、即ち左右前輪の左旋回方向への目標転舵量が基準値以上であり、その後の右旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ400に於いてフラグFrが1にセットされ、否定判別が行われたときにはステップ410へ進む。
ステップ410に於いては目標転舵角Δδtが基準値−α以下であるか否かの判別、即ち左右前輪の右旋回方向への目標転舵量が基準値以上であり、その後の左旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ420に於いてフラグFlが1にセットされ、否定判別が行われたときにはステップ430に於いて左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtなるよう左右前輪の舵角制御が実行される。
かくして図示の実施例1によれば、ステップ20に於いて車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算され、ステップ30に於いてスピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが演算される。
そしてステップ40に於いて舵角制御により転舵制御が禁止されているか否かの判別が行われ、転舵制御が禁止されているときにはステップ80及び90に於いて各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが目標ヨーモーメントMtに設定されるが、転舵制御が禁止されていないときにはステップ50及び60に於いて目標ヨーモーメントMtを達成するための左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMts及び各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが演算され、ステップ70に於いて目標ヨーモーメントMtsを達成するための左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されると共に、目標転舵角Δδtを示す信号が転舵制御部へ送信される。
更にステップ100に於いて目標ヨーモーメントMtb及び車輌の目標減速度Gxbtを達成するための各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、ステップ110に於いて目標制動圧Ptiを示す信号が制動力制御部へ送信され、制動力制御部により各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
また図示の実施例1によれば、図3及び図4に示されたフローチャートのステップ390に於いて目標転舵角Δδtが基準値α以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ400に於いてフラグFrが1にセットされることにより左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であると判定される。またステップ410に於いて目標転舵角Δδtが基準値−α以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ420に於いてフラグFlが1にセットされることにより左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止されるべき状況であると判定される。
そしてフラグFlが1であるときにはステップ220に於いて肯定判別が行われ、ステップ230〜290に於いて目標転舵角Δδtが基準値α以上になった時点より所定の継続時間Toが経過するまで又は目標転舵角Δδtが基準値−α以下になるまでフラグFlが1に維持されることにより左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止されるべきであるとの判定が継続される。
同様にフラグFrが1であるときにはステップ310に於いて肯定判別が行われ、ステップ320〜380に於いて目標転舵角Δδtが基準値α以上になった時点より所定の継続時間Toが経過するまで又は目標転舵角Δδtが基準値α以上になるまでフラグFrが1に維持されることにより左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止されるべきであるとの判定が継続される。
例えば図5は車輌がスラローム走行し左右前輪の目標転舵角Δδtの方向が繰り返し反転する場合に於ける実施例1の作動の一例を示すグラフである。
図示の如く、目標転舵角Δδtが時点t1に於いて基準値α以上になり、時点t2に於いて基準値α以下になり、時点t3に於いて基準値−α以下になり、時点t4に於いて基準値−α以上になり、時点t5に於いて基準値α以上になり、時点t6に於いて基準値α以下になり、時点t7に於いて基準値−α以下になり、時点t8に於いて基準値−α以上になり、その後0になったとする。
かかる状況に於いては、時点t1に於いてフラグFrが1になり、時点t2に於いてタイマTrのカウントアップが開始され、時点t5に於いてタイマTrのカウントアップが終了され、時点t6に於いてタイマTrのカウントアップが開始され、時点t9に於いてフラグFrが0にリセットされると共にタイマTrのカウントアップが終了され、これにより時点t2より時点t5までの間及び時点t6より時点t9までの間左右前輪の右旋回方向への転舵が禁止される。
また時点t3に於いてフラグFlが1になり、時点t4に於いてタイマTlのカウントアップが開始され、時点t7に於いてタイマTlのカウントアップが終了され、時点t8に於いてタイマTlのカウントアップが開始され、これにより時点t4より時点t7までの間及び時点t8より所定の継続時間Toが経過するまでの間左右前輪の左旋回方向への転舵が禁止される。
従って図示の実施例1によれば、例えば車輌がスラローム走行することにより左右前輪の目標転舵角Δδtの方向が繰り返し反転する場合には、2回目以降の転舵方向の反転を伴う左右前輪の転舵が禁止されるので、左右前輪の転舵方向が繰り返し逆転することを確実に防止し、操舵反力が繰り返し急変することに起因して乗員が異和感を感じる虞れを効果的に低減することができる。
特に図示の実施例1によれば、左右前輪の目標転舵角Δδtの方向が繰り返し反転する場合には左右前輪の転舵が禁止され、目標転舵角Δδtが0に低減されたここと等価な状態になるので、左右前輪の転舵が禁止されることなく目標転舵角Δδtが低減される場合に比して、転舵方向の逆転時に於ける操舵反力の変化量を確実に低減し、乗員が感じる異和感を効果的に低減することができる。
図5は自動転舵装置として機能する転舵角可変装置を備えたセミステアバイワイヤ式の後輪駆動車に適用された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例2に於ける左右前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図5に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
この実施例に於いては、ステップ430を除く他のステップは上述の実施例1の場合と同一の要領にて実行され、ステップ430は図5に示されたフローチャートに従って実行される。
まずステップ431に於いては目標転舵角Δδtの絶対値が増加する過程にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ435へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ432に於いて車速Vに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより切り増し変化制限値Diが演算される。
ステップ433に於いては今回の目標転舵角Δδtと前回の目標転舵角Δδtfとの偏差をDΔδtとして偏差DΔδtの絶対値が切り増し変化制限値Diよりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには一旦図3乃至図5に示されたルーチンによる制御が終了され、肯定判別が行われたときにはステップ434に於いて目標転舵角Δδtを切り増し変化制限値Di増加するよう漸増させつつ左右前輪の舵角が制御される。
ステップ435に於いては車速Vに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより切り戻し変化制限値Ddが演算され、ステップ436に於いては偏差DΔδtの絶対値が切り戻し変化制限値Ddよりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには一旦図3乃至図5に示されたルーチンによる制御が終了され、肯定判別が行われたときにはステップ437へ進む。
ステップ437に於いては車速Vに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより保持時間Thが演算され、ステップ438に於いては目標転舵角Δδtが保持時間Th変化することがないよう保持され、しかる後目標転舵角Δδtの1サイクル毎の減少量が切り戻し変化制限値Ddになるよう目標転舵角Δδtを漸減させつつ左右前輪の舵角制御が実行される。
かくして図示の実施例2によれば、上述の実施例1の場合と同様、左右前輪の転舵方向が繰り返し逆転することを確実に防止し、操舵反力が繰り返し急変することに起因して乗員が異和感を感じる虞れを効果的に低減することができるだけでなく、左右前輪の転舵が単発的に行われるような場合にも左右前輪の切り増し転舵及び切り戻し転舵の変化率を制限し、これにより左右前輪の転舵量が変化する際の操舵反力の変化率を低減することができ、特に左右前輪の切り戻し転舵の変化率の制限を切り増し転舵の変化率の制限よりも厳しくすることができるので、左右前輪に作用するセルフアライニングトルクに起因して左右前輪の転舵量が切り増し方向には穏やかに変化することを許容しつつ、左右前輪の転舵量が切り戻し方向に急激に変化することを効果的に防止することができる。
特に図示の実施例2によれば、左右前輪の切り戻し転舵の変化率DΔδtの大きさが切り戻し変化制限値Ddよりも大きいときには、ステップ436に於いて肯定判別が行われ、ステップ437及び438に於いて目標転舵角Δδtが保持時間Th変化することがないよう保持され、しかる後目標転舵角Δδtの1サイクル毎の減少量が切り戻し変化制限値Ddになるよう目標転舵角Δδtを漸減させつつ左右前輪の舵角制御が実行されるので、熟練の運転者が車輌の急旋回時にカウンタステアを一定に維持した後カウンタステア量を漸次低下させることと等価な制御を行うことができ、これにより車輌の乗員は熟練の運転者が操舵操作する場合と同様の乗車感を感じることができる。
また図示の実施例2によれば、左右前輪の切り増し転舵の変化制限値Di及び切り戻し転舵の変化制限値Ddは車速Vが高いほど大きくなるよう車速Vに応じて可変設定されるので、低車速域に於ける左右前輪の転舵角の急激な変化及びこれに起因する操舵反力の急激な変化を防止しつつ、車速Vが高く車輌の挙動変化が急激に生じ易いほど左右前輪の転舵角の変化速度を高くして車輌の挙動安定化を効果的に行わせることができる。
更に一般に、熟練の運転者が車輌の旋回時にカウンタステアを一定に維持する時間は車速Vが高いほど短い。図示の実施例2によれば、保持時間Thは車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されるので、保持時間Thが車速Vに拘らず一定である場合に比して、車輌の乗員が感じる乗車感を一層熟練の運転者が操舵操作する場合の乗車感に近づけることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、転舵角可変装置24はアッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転させることにより運転者の操舵操作に依存せずに左右の前輪10FL及び10FRを自動的に転舵するようになっているが、操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段はステアリングホイール14の如き操舵操作手段と操舵輪との間にて操舵力及び操舵反力の伝達が可能であると共に運転者の操舵操作とは独立に操舵輪を操舵し得る限り、例えばタイロッド20L及び20Rを伸縮させる型式の転舵角可変装置の如く当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが演算され、目標ヨーモーメントMtが所定の比率にて左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMtsと各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbとに配分され、目標ヨーモーメントMtsに基づき左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されるようになっているが、車輌の挙動を安定化させるための目標転舵角Δδtは当技術分野に於いて公知の任意の要領にて演算されてよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌の挙動を安定化させるために左右前輪が転舵されるようになっているが、車輌の挙動安定化が行われない通常時に車速Vに基づき所定の操舵特性を達成するためのステアリングギヤ比Rgが演算され、運転者の操舵操作量を示す操舵角θ及びステアリングギヤ比Rgに基づき暫定目標舵角δstが演算され、左右前輪の舵角が暫定目標舵角δstになるよう制御されるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、制駆動力の制御による挙動制御は各車輪の制動力が制御され車輌に所要のヨーモーメントが付与されることにより車輌の挙動を制御するようになっているが、制駆動力の制御による挙動制御は各車輪の制動力及び駆動力が制御されることにより行われるものであってもよく、また制駆動力の制御による挙動制御が省略されてもよい。
更に上述の各実施例に於いては、車輌はエンジンにより後輪が駆動される後輪駆動車であるが、本発明は前輪駆動車や四輪駆動車に適用されてもよく、また例えばホイールインモータ式の車輌の如く、駆動輪がそれぞれ対応する駆動装置により駆動される車輌に適用されてもよい。
自動転舵装置として機能する転舵角可変装置を備えたセミステアバイワイヤ式の後輪駆動車に適用された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。 実施例1に於ける左右前輪の舵角制御による車輌の挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1に於ける左右前輪の舵角制御ルーチンの一部を示すフローチャートである。 実施例1に於ける左右前輪の舵角制御ルーチンの残りの部分を示すフローチャートである。 車輌がスラローム走行し左右前輪の目標転舵角の方向が繰り返し反転する場合に於ける実施例1の作動の一例を示すグラフである。 実施例2に於ける左右前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 車速Vと変化率制限値Dd、Diとの間の関係を示すグラフである。 車速Vと保持時間Thとの間の関係を示すグラフである。
符号の説明
16 パワーステアリング装置
14 ステアリングホイール
24 転舵角可変装置
34 電子制御装置
36 制動装置
44 マスタシリンダ
50 操舵角センサ
52 回転角センサ
54 横加速度センサ
56 ヨーレートセンサ
58 車速センサ
60FL〜60RR 圧力センサ
62 圧力センサ

Claims (6)

  1. 操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、前記ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、車輌に一方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御を行ったときには、その後他方の旋回方向のヨーモーメントを付加する制御の転舵制御量を低減することを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  2. 前記転舵制御量の低減は所定の継続時間に亘り継続された後に解除されることを特徴とする請求項1に記載の車輌用操舵制御装置。
  3. 操舵輪の転舵により車輌に付加すべきヨーモーメントを演算する手段と、前記ヨーモーメントに基づき操舵輪の転舵制御量を演算する手段と、前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵して車輌にヨーモーメントを付加する制御手段とを有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記転舵制御量の切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率を演算し、切り増し方向の変化率及び切り戻し方向の変化率をそれぞれ切り増し変化制限値及び切り戻し変化制限値に基づいて制限する変化率制限手段を有し、前記切り増し変化制限値の大きさは前記切り戻し変化制限値の大きさよりも大きいことを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  4. 前記転舵制御量の切り戻し方向の変化率が前記切り戻し変化制限値を越えたときには所定の保持時間に亘り前記転舵制御量を保持し、しかる後前記切り戻し変化制限値以下の変化率にて前記転舵制御量を切り戻し方向に変化させることを特徴とする請求項3に記載の車輌用操舵制御装置。
  5. 前記所定の保持時間は車速が高いときには車速が低いときに比して短いことを特徴とする請求項4に記載の車輌用操舵制御装置。
  6. 前記切り増し変化制限値及び前記切り戻し変化制限値の大きさは車速が高いときには車速が低いときに比して大きいことを特徴とする請求項3乃至5に記載の車輌用操舵制御装置。
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