JPH11152057A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

Info

Publication number
JPH11152057A
JPH11152057A JP10249730A JP24973098A JPH11152057A JP H11152057 A JPH11152057 A JP H11152057A JP 10249730 A JP10249730 A JP 10249730A JP 24973098 A JP24973098 A JP 24973098A JP H11152057 A JPH11152057 A JP H11152057A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
correction amount
steering
angle difference
oversteer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10249730A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3469098B2 (ja
Inventor
Shigenori Takimoto
繁規 滝本
Yasuo Shimizu
康夫 清水
Shigeru Yamawaki
茂 山脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP24973098A priority Critical patent/JP3469098B2/ja
Priority to US09/153,395 priority patent/US6091214A/en
Priority to DE19842439A priority patent/DE19842439B4/de
Publication of JPH11152057A publication Critical patent/JPH11152057A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3469098B2 publication Critical patent/JP3469098B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits
    • B62D6/008Control of feed-back to the steering input member, e.g. simulating road feel in steer-by-wire applications

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出が難しい路面摩擦係数に基づいて基準横
加速度を設定することなく、摩擦係数をパラメータとし
た横加速度Gが非線形領域であっても、アンダステア、
オーバステアおよびカウンタ過大等の車両挙動の限界領
域でもドライバが正確に感知し、ドライバが好む最適の
操舵ができる電動パワーステアリング装置を提供する。 【解決手段】 選択手段31、第1方向判定手段32、
アンダステア補正量出力手段33、オーバステア補正量
出力手段34、乗算手段35、乗算手段36、減算補正
手段を構成する減算手段37、加算補正手段を構成する
加算手段38、角差変化量演算手段39、角差変化係数
発生手段40、選択手段51、第2方向反転手段52、
カウンタステア補正量出力手段53、第3方向判定手段
54、選択手段55、加算手段56、加算手段57を有
する補正手段50を備えた電動パワーステアリング装置
1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電動機の動力をス
テアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力の軽減
を図る電動パワーステアリング装置に係り、特に路面反
力の変化をドライバに知らせて適切な操舵を行わせる電
動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電動パワーステアリング装置にお
いて、制御手段、電動機駆動手段、電動機を備え、ドラ
イバがハンドルを操作することによって発生する操舵ト
ルクに対応して制御手段で電動機を駆動するための目標
トルク信号を発生し、この目標トルク信号に基づいて電
動機の駆動を制御する電動機制御信号をブリッジ回路で
構成された電動機駆動手段に供給し、電動機駆動手段を
介して電動機をPWM(Pulse Width Modulation)駆動
し、電動機が発生する補助トルクをステアリング系に付
加するよう構成されたものは知られている。
【0003】制御手段は、電動機に流れる電動機電流を
速やかに目標トルク信号に対応した電流と等しくするた
め、電動機電流に対応した信号を目標トルク信号にフィ
ードバック(負帰還)させ、電動機の駆動が制御される
よう構成されている。
【0004】また、車速センサで検出した車速信号で目
標トルク信号を補正し、車速が増加するにつれて目標ト
ルク信号を減少させ、低車速時には充分大きな補助トル
クをステアリング系に付加し、高車速時には小さな補助
トルクをステアリング系に付加することより、低車速時
のドライバの操舵力の軽減と高車速時の車両挙動の安定
性が実現されている。
【0005】また、従来の電動パワーステアリング装置
は、車両の横すべりが大きい時には、操舵トルクに対す
る補助トルクを少なくすることにより、路面からの路面
反力を大きくして路面情報をハンドルを介してドライバ
に確実に伝達するものが特開平5−58318号公報に
開示されている。
【0006】特開平5−58318号公報に開示されて
いる従来の電動パワーステアリング装置は、車速セン
サ、操舵角センサ、横加速度センサを備え、車速センサ
が検出した車速Vと操舵角センサが検出した操舵角θと
から、車両が外乱を受けない場合に車両に発生すると予
測される基準横加速度GOを決定し、横加速度センサが
検出した実際に車両に加わる実横加速度Gactと基準横
加速度GOの差の絶対値|Gact−GO|が所定値gより
大きいか否かの判定を行い、大きい場合(|Gact−GO
|>g)には車両の横すべりが大きいと見なして、予め
設定された低μ路用のアシスト特性マップが選択され、
小さな場合(|Gact−GO|<g)には車両の横すべり
が小さいと見なして、予め設定された高μ路用のアシス
ト特性マップが選択され、操舵力に応じたアシスト量が
制御されるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動パワーステ
アリング装置は、ドライバの操舵力に対応した補助トル
クをステアリング系に付加する構成のため、車両挙動に
よって発生する微妙な路面反力の変化が抑制されてしま
い、ドライバがハンドルを介して車両挙動を情報(イン
フォメーション)として正確に感じ取れない傾向にあ
る。
【0008】この傾向は、操舵力の軽減による路面反力
の低減化傾向とステアリングギヤ比のクイック(小舵
角)化傾向とによって近年顕著になっている。
【0009】このような低路面反力の操舵フィーリング
に対し、路面反力を正確に感じ取って車両挙動に対して
正確なハンドル操作を行うことが、車両挙動の限界領域
や緊急時の操作においてドライバに望まれている。
【0010】例えば、車両挙動の限界領域で車両がスピ
ンしそうになった時に、いち早くドライバが車両挙動を
把握して最適なハンドル操作をする必要がある。
【0011】ドライバが車両挙動を把握するには、車両
挙動に伴う路面反力の変化を感知することが最も身近で
有効な方法である。
【0012】特開平5−58318号公報に開示されて
いる従来の電動パワーステアリング装置は、実際に車両
に加わる実横加速度Gactと車両が外乱を受けない場合
の基準横加速度GOの差に基づいて高μ路用、または低
μ路用のアシスト特性マップが選択される構成である
が、基準横加速度GOが路面摩擦係数μにより異なるた
め基準横加速度GOの設定が難しい。
【0013】路面摩擦係数μに対応した基準横加速度G
Oを設定するために、摩擦係数(μ)センサを車両に搭
載すればよいが、摩擦係数(μ)センサを用いても摩擦
係数(μ)を正確に検出することは難しい。例えば、操
舵角θに対して摩擦係数(μ)をパラメータとした横加
速度Gは、操舵角θが所定の範囲までは線形特性である
が、操舵角θが所定の範囲を超えると非線形特性になっ
てしまい、基準横加速度GOが設定できない課題があ
る。
【0014】また、特開平5−58318号公報に開示
されている従来の電動パワーステアリング装置は、実横
加速度Gactと基準横加速度GOの差の絶対値|Gact−
GO|に基づいて車両の横滑りを判定するするため、車
両の横滑りが大きいか小さいかは判定できるが、車両の
横滑りがオーバステアによるものかアンダステアによる
ものかの判定ができず、ハンドルを介してドライバに車
両挙動を反力として正確に伝えることができない課題が
ある。
【0015】この発明はこのような課題を解決するため
なされたもので、その目的は路面状態に対応した車両挙
動のオーバステア状態またはアンダステア状態を検出
し、オーバステア状態またはアンダステア状態に対応し
た操舵補助力をステアリング系に作用させることによっ
てドライバに路面情報(反力)を伝え、ドライバの意志
による最適なハンドル操作をすることができる電動パワ
ーステアリング装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手
段に、前輪滑り角と後輪滑り角との差を推定する滑り角
差推定手段と、この滑り角差推定手段からの角差信号に
基づいて目標トルク信号を補正する補正手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0017】この発明に係る電動パワーステアリング装
置は、制御手段に、前輪滑り角と後輪滑り角との差を推
定する滑り角差推定手段と、この滑り角差推定手段から
の角差信号に基づいて目標トルク信号を補正する補正手
段とを備えたので、車両挙動を角差信号から推定し、角
差信号に対応した補正量で目標トルク信号を補正するこ
とができるので、路面反力の変化の影響を含めてステア
リング系に補助トルクを付加する電動機の駆動を制御す
ることができる。
【0018】また、この発明に係る滑り角差推定手段
は、前輪の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切
れ角信号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度
センサが検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラ
メータに基づいて角差を演算することを特徴とする。
【0019】この発明に係る滑り角差推定手段は、前輪
の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切れ角信
号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度センサ
が検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラメータ
に基づいて角差を演算するので、実際に角差を検出する
センサを用いることなく、既存の車載センサを用いて角
差を算出することができる。
【0020】さらに、この発明に係る補正手段は、アン
ダステア補正量を出力するアンダステア補正量出力手段
と、オーバステア補正量を出力するオーバステア補正量
出力手段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方
向とヨー角速度信号の方向の一致/不一致を判定する第
1方向判定手段と、この第1方向判定手段からの判定信
号が方向一致の場合にはオーバステア補正量出力手段を
選択し、方向不一致の場合にはアンダステア補正量出力
手段を選択する選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量を出力するアンダステア補正量出力手段と、オー
バステア補正量を出力するオーバステア補正量出力手段
と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向とヨー
角速度信号の方向の一致/不一致を判定する第1方向判
定手段と、この第1方向判定手段からの判定信号が方向
一致の場合にはオーバステア補正量出力手段を選択し、
方向不一致の場合にはアンダステア補正量出力手段を選
択する選択手段とを備えたので、判定信号が検出する方
向によって車両挙動がオーバステア領域かアンダステア
領域かを判定し、ドライバにオーバステア領域かアンダ
ステア領域かを反力としてハンドルを介して伝えるとと
もに、ステアリング系に作用する補助トルクを車両挙動
に対応して補正をすることができる。
【0022】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応
した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算
補正手段と、オーバステア補正量出力手段からのオーバ
ステア補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号
を減算補正する減算補正手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0023】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減
算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手
段と、オーバステア補正量出力手段からのオーバステア
補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を減算
補正する減算補正手段とを備えたので、アンダステア領
域では目標トルク信号からアンダステア補正量を減算補
正して補助トルクを減少させてハンドルを介してドライ
バに反力を大きく伝達し、オーバステア領域では目標ト
ルク信号にオーバステア補正量を減算補正させてハンド
ルを介してドライバに反力を大きく伝達することができ
る。また、オーバステア補正量およびアンダステア補正
量をそれぞれ独自に設定することにより、オーバステア
状態およびアンダステア状態のそれぞれに応じた最適な
補正を行うことができる。
【0024】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の変化量を演算する角差変化量演算手段と、この角
差変量演算手段からの角差変化信号に対応した角差変化
係数を出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変
化係数でアンダステア補正量およびオーバステア補正量
を補正することを特徴とする。
【0025】この発明に係る補正手段は、角差信号の変
化量を演算する角差変化量演算手段と、この角差変量演
算手段からの角差変化信号に対応した角差変化係数を出
力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変化係数で
アンダステア補正量およびオーバステア補正量を補正す
るので、アンダステアまたはオーバステアの車両挙動が
急激に変化しても、ハンドルを介してドライバに速やか
に車両挙動、すなわち反力の変化を伝達することができ
る。
【0026】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア補正量を出力するアンダステア補正量出力手段
と、カウンタステア補正量を出力するカウンタステア補
正量出力手段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号
の方向とヨー角速度センサが検出するヨー角速度信号の
方向の一致/不一致を判定する第1方向判定手段と、滑
り角差推定手段が検出する角差信号の方向と操舵トルク
センサが検出する操舵トルク信号の方向の一致/不一致
を判定する第2方向判定手段と、第1方向判定手段およ
び第2方向判定手段の判定結果が共に方向不一致の場合
にはアンダステア補正量出力手段を選択し、第1方向判
定手段の判定結果が方向不一致で、かつ第2方向判定手
段の判定結果が方向一致の場合にはカウンタステア補正
量出力手段を選択する選択手段とを備えたことを特徴と
する。
【0027】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量を出力するアンダステア補正量出力手段と、カウ
ンタステア補正量を出力するカウンタステア補正量出力
手段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向と
ヨー角速度センサが検出するヨー角速度信号の方向の一
致/不一致を判定する第1方向判定手段と、滑り角差推
定手段が検出する角差信号の方向と操舵トルクセンサが
検出する操舵トルク信号の方向の一致/不一致を判定す
る第2方向判定手段と、第1方向判定手段および第2方
向判定手段の判定結果が共に方向不一致の場合にはアン
ダステア補正量出力手段を選択し、第1方向判定手段の
判定結果が方向不一致で、かつ第2方向判定手段の判定
結果が方向一致の場合にはカウンタステア補正量出力手
段を選択する選択手段とを備えたので、角差信号、ヨー
角速度信号および操舵トルク信号の方向を判定すること
によって車両挙動がアンダステア状態かカウンタ過大状
態かを判断するとともに、アンダステア状態またはカウ
ンタ過大状態に対応した補正量を出力することができ
る。
【0028】さらに、この発明に係る補正手段は、アン
ダステア補正量出力手段からのアンダステア補正量に対
応した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減
算補正手段と、角差信号の微分値の方向と操舵トルク信
号の方向の一致/不一致を判定する第3方向判定手段
と、この第3方向判定手段の判定結果が不一致の場合に
はオーバステア補正量出力手段もしくはカウンタステア
補正量出力手段からのオーバステア補正量もしくはカウ
ンタステア補正量に対応した加算補正信号で目標トルク
信号を加算補正し、判定結果が一致の場合にはオーバス
テア補正量出力手段もしくはカウンタステア補正量出力
手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタステア
補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を減算
補正する加減算補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減
算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手
段と、角差信号の微分値の方向と操舵トルク信号の方向
の一致/不一致を判定する第3方向判定手段と、この第
3方向判定手段の判定結果が不一致の場合にはオーバス
テア補正量出力手段もしくはカウンタステア補正量出力
手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタステア
補正量に対応した加算補正信号で目標トルク信号を加算
補正し、判定結果が一致の場合にはオーバステア補正量
出力手段もしくはカウンタステア補正量出力手段からの
オーバステア補正量もしくはカウンタステア補正量に対
応した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する加
減算補正手段とを備えたので、角差信号の微分値の方向
と操舵トルク信号の方向を判定することによってオーバ
ステア補正量もしくはカウンタステア補正量を目標トル
ク信号に加算したり、目標トルク信号からオーバステア
補正量もしくはカウンタステア補正量を減算したりする
ことによってドライバにカウンタ操作量が大き過ぎると
か小さ過ぎるとかを反力で伝えることができる。
【0030】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の変化量を演算する角差変化量演算手段と、この角
差変化量演算手段からの角差変化信号に対応した角差変
化係数を出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差
変化係数でアンダステア補正量、オーバステア補正量お
よびカウンタステア補正量を補正することを特徴とす
る。
【0031】この発明に係る補正手段は、角差信号の変
化量を演算する角差変化量演算手段と、この角差変化量
演算手段からの角差変化信号に対応した角差変化係数を
出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変化係数
でアンダステア補正量、オーバステア補正量およびカウ
ンタステア補正量を補正するので、アンダステア、オー
バステアまたはカウンタステアの車両挙動が急激に変化
しても、ハンドルを介してドライバに速やかに反力の変
化として伝達することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、アンダス
テア、オーバステアおよびカウンタ過大の車両挙動に対
応した反力をハンドルを介してドライバに正確に伝え、
それぞれの車両挙動に応じたドライバの好みのステアリ
ング操作を補助するものである。
【0033】図1はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の全体構成図である。図1において電動パワー
ステアリング装置1は、ステアリングホイール2、ステ
アリング軸3、ハイポイドギア4、ピニオン5aおよび
ラック軸5bなどからなるラック&ピニオン機構5、タ
イロッド6、操向車輪の前輪7、補助トルクをステアリ
ング系に作用する電動機8、制御手段13、電動機駆動
手段14、電動機電流検出手段15を備える。
【0034】また、電動パワーステアリング装置1は、
車両に作用するヨー角速度を検出し、ヨー角速度に対応
した電気信号に変換されたヨー角速度信号Yを検出する
ヨー角速度センサ9、前輪の切れ角を検出し、前輪の切
れ角に対応した電気信号に変換された切れ角信号δを出
力する切れ角センサ10、車速を検出し、車速に対応し
た電気信号に変換された車速信号Vを出力する車速セン
サ11、ステアリングホイール2に作用する操舵トルク
を検出し、操舵トルクに対応した電気信号に変換された
操舵トルク信号Tを出力する操舵トルクセンサ12を備
える。なお、切れ角信号δはステアリング軸の操舵角か
ら算出してもよい。
【0035】ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、操舵ト
ルク信号Tは、それぞれ大きさと方向を有し、制御手段
13に供給される。なお、ヨー角速度信号Y、切れ角信
号δ、車速信号Vおよび操舵トルク信号Tの方向は、時
計回り方向を正(プラス)とし、反時計回り方向を負
(マイナス)とする。
【0036】ステアリングホイール2を操舵すると、ス
テアリング軸3に加えられる手動操舵トルクは、ラック
&ピニオン機構5を介してピニオン5aの回転力がラッ
ク軸5bの軸方向の直線運動に変換され、タイロッド6
を介して前輪7の操向を変化させる。
【0037】手動の操舵トルクをアシストするため、操
舵トルク信号Tに対応して電動機8が駆動されると電動
機トルクがハイポイドギア4を介して倍力された補助ト
ルク(アシストトルク)に変換されてステアリング軸3
に作用し、ドライバの操舵力を軽減する。
【0038】制御手段13は、マイクロプロセッサを基
本に各種演算手段、処理手段、判定手段、スイッチ手
段、信号発生手段、メモリ等で構成し、操舵トルク信号
Tに対応した目標トルク信号(IMS)を発生し、この目
標トルク信号(IMS)と電動機電流検出手段15が検出
した電動機電流IMに対応した電動機トルク信号IMFと
の差(負帰還)に応じた電動機制御信号VO(例えば、
オン信号、オフ信号およびPWM信号の混成信号)を発
生し、この差が速やかに0となるように電動機駆動手段
14の駆動を制御する。
【0039】また、制御手段13は、前後輪滑り角差推
定手段、補正手段を備え、ヨー角速度信号Y、切れ角信
号δ、車速信号Vおよび車両の寸法パラメータ(ホイー
ルベース)に基づいて前輪の滑り角と後輪の滑り角の差
(角差信号)を演算で推定し、この差(角差信号)の大
きさに基づいてアンダステア領域、オーバステア領域お
よびカウンタ過大領域の補正量を決定し、この補正量で
目標トルク信号(IMS)を補正する。
【0040】さらに、制御手段13は、前輪の滑り角と
後輪の滑り角の差(角差信号)の方向(P)、ヨー角速
度信号Yの方向(N)および操舵トルク信号Tの方向
(S)を比較することにより、車両の状態(車両挙動)
がアンダステア領域、オーバステア領域またはカウンタ
過大領域のいずれであるかを判定する。
【0041】電動機駆動手段14は、例えば4個のパワ
ーFET(電界効果トランジスタ)、絶縁ゲート・バイ
ポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子
からなるブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VOに
基づいてPWM(パルス幅変調)の電動機電圧VMを出
力し、電動機8を正回転または反回転にPWM駆動す
る。
【0042】電動機電流検出手段15は、電動機8と直
列に接続された抵抗器またはホール素子等で電動機電流
IMを電圧に変換して検出し、電動機電流IMに対応した
電動機トルク信号IMFを制御手段13にフィードバック
(負帰還)する。
【0043】図2は本発明に係る電動パワーステアリン
グ装置の基本要部ブロック構成図である。図2におい
て、電動パワーステアリング装置1の制御手段13は、
目標トルク信号設定手段21、補正手段17、差演算手
段22、駆動制御手段23、滑り角差推定手段16を備
える。
【0044】目標トルク信号設定手段21は、ROM等
のメモリを備え、予め実験値または設計値に基づいて設
定した車速Vをパラメータにした操舵トルク信号データ
Tと目標トルク信号データIMOの対応データを記憶して
おき、操舵トルクセンサ12が検出した操舵トルク信号
Tおよび車速センサ11が検出した車速信号Vに基づい
て対応する目標トルク信号データIMOを読み出し、目標
トルク信号IMOを補正手段17に供給する。
【0045】補正手段17は、ROM等のメモリ、ソフ
ト制御の比較機能、切替機能、演算機能を備え、滑り角
差に応じた補正量(アンダステア補正量、オーバステア
補正量、カウンタステア補正量)を記憶しておき、滑り
角差推定手段16で演算した前輪滑り角(βf)と後輪
滑り角(βr)との差(βf−βr)を推定した角差信号
βfrに基づいて対応する補正量を発生し、目標トルク信
号IMOを補正量で補正した目標トルク信号IMHを差演算
手段22に供給する。
【0046】前輪滑り角(βf)と後輪滑り角(βr)と
の差が所定値以内の場合には、車両挙動が安定した通常
走行時なので、補正手段17からの補正量も0となって
補正手段17から出力される目標トルク信号IMHは目標
トルク信号IMOと等しく(IMH=IMO)なる。
【0047】一方、前輪滑り角(βf)と後輪滑り角
(βr)との差が所定値を超える場合には、車両挙動が
不安定なので、補正手段17からの補正量で目標トルク
信号IMOを補正し、補正手段17から出力される目標ト
ルク信号IMHは車両挙動に応じて目標トルク信号IMOに
対して減算(IMH<IMO)したり、加算(IMH>IMO)
したりする。
【0048】差演算手段22は、減算器または減算機能
を備え、補正手段17から供給される目標トルク信号I
MHと、電動機電流検出手段15から供給される電動機ト
ルク信号IMFとの差ΔI(=IMH−IMF)を演算し、差
信号ΔI(=IMH−IMF)を駆動制御手段23に供給す
る。
【0049】駆動制御手段23は、PIDコントロー
ラ、電動機制御信号発生手段等を備え、差演算手段22
から供給される差信号ΔIに比例(P)、積分(I)お
よび微分(D)制御を施した後、これら比例・積分・微
分(PID)制御を施した信号を混合した混合信号に基
づいてハンドルの右操舵または左操舵に対応したPWM
の電動機制御信号VOを発生し、電動機制御信号VOを電
動機駆動手段14に供給する。
【0050】滑り角差推定手段16は、メモリ、演算手
段等を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、前輪の切
れ角に対応する切れ角信号δおよびメモリに予め設定し
た車両の寸法パラメータ(例えば、ホイールベースL)
に基づいて車両挙動を前輪滑り角(βf)と後輪滑り角
(βr)との差βfr(=βf−βr)を演算することによ
って推定し、この差βfrを角差信号βfrとして補正手段
17に提供する。
【0051】このように、制御手段13は、前輪滑り角
(βf)と後輪滑り角(βr)との差βfr(=βf−βr)
を推定する滑り角差推定手段16と、この滑り角差推定
手段16からの角差信号βfrに基づいて目標トルク信号
IMOを補正する補正手段17とを備えたので、車両挙動
を角差信号βfrから推定し、角差信号βfrに対応した補
正量で目標トルク信号IMOを補正し、反力の変化の影響
を含めてステアリング系に補助トルクを付加する電動機
の駆動を制御することができる。
【0052】図3はこの発明に係る制御手段の一実施の
形態要部ブロック構成図である。図3において、制御手
段13は、目標トルク信号設定手段21、車速係数発生
手段18、車速係数発生手段19、乗算手段24、滑り
角差推定手段16、補正手段17、差演算手段22を備
える。
【0053】目標トルク信号設定手段21は、ROM等
のメモリに予め図8に示す操舵トルク信号Tと目標トル
ク信号IMSの特性データを記憶しておき、操舵トルクセ
ンサ12から操舵トルク信号Tが供給されると、対応す
る目標トルク信号IMSを読み出して乗算手段24に提供
する。
【0054】車速係数発生手段18は、ROM等のメモ
リを備え、予め図9に示す車速信号Vと車速係数KTの
特性データを記憶しておき、車速センサ11から車速信
号Vが供給されると、対応する車速係数KTを読み出し
て乗算手段24に提供する。
【0055】乗算手段24は、ソフト制御の乗算機能を
備え、目標トルク信号設定手段21から提供される目標
トルク信号IMSと車速係数発生手段18から提供される
車速係数KTとを乗算処理し、車速Vに応動した目標ト
ルク信号IMOを補正手段17の減算手段37に供給す
る。
【0056】車速係数KTは、図9に示すように車速信
号Vの増加に対して減少する特性を有するので、図8に
示す目標トルク信号IMOを車速信号Vの増加に対して減
少補正した目標トルク信号IMOとして生成する。
【0057】車速係数発生手段19は、ROM等のメモ
リを備え、予め図10に示す車速信号Vと車速係数KR
の特性データを記憶しておき、車速センサ11から車速
信号Vが供給されると、対応する車速係数KRを読み出
して補正手段17の乗算手段35および乗算手段36に
提供する。
【0058】滑り角差推定手段16は、メモリ、演算機
能を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、切れ角信号
δおよびメモリに予め設定した車両の寸法パラメータL
(例えば、ホイールベース)に基づいて数1から前輪滑
り角(βf)と後輪滑り角(βr)との差βfr(=βf−
βr)を演算し、角差信号βfrを補正手段17の選択手
段31、第1方向判定手段32および角差変化量演算手
段39に供給する。
【0059】
【数1】βfr=Y*L/V−δ
【0060】なお、前輪滑り角(βf)および後輪滑り
角(βr)は、タイヤの向きを基準としてタイヤの進行
方向への角度を表わすので、時計回り方向へハンドルを
切った場合、前輪タイヤの向きに対してタイヤの進行方
向は反時計回り方向となり、時計回り方向を正(プラ
ス)とすると前輪滑り角(βf)の方向は負(マイナ
ス)となる。同様に、後輪滑り角(βr)も負(マイナ
ス)となり、角差信号βfrの方向(符号)は後輪滑り角
(βr)の絶対値|βr|が前輪滑り角(βf)の絶対値
|βf|以上(|βr|≧|βf|)となるまでは、負
(マイナス)で表わす。
【0061】また、第1方向判定手段32に供給するヨ
ー角速度信号Yに代えて横加速度Gで代用してもよい。
【0062】このように、滑り角差推定手段16は、前
輪の切れ角を検出する切れ角センサ10が検出する切れ
角信号δ、車速センサ11が検出する車速信号V、ヨー
角速度センサ9が検出するヨー角速度信号Yおよび車両
の寸法パラメータLに基づいて角差βfrを演算するの
で、実際に角差を検出することなく、既存の車載センサ
を用いて角差βfrを算出することができる。
【0063】補正手段17は、選択手段31、第1方向
判定手段32、アンダステア補正量出力手段33、オー
バステア補正量出力手段34、乗算手段35、乗算手段
36、減算補正手段を構成する減算手段37、減算手段
41、角差変化量演算手段39、角差変化係数発生手段
40を備える。
【0064】選択手段31は、ソフト制御のスイッチ機
能を備え、第1方向判定手段32から供給される判定信
号HOに基づいてスイッチを切り替え、滑り角差推定手
段16から供給される角差信号βfrをアンダステア補正
量出力手段33、またはオーバステア補正量出力手段3
4に供給する。
【0065】第1方向判定手段32は、符号比較機能を
備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号β
frの方向信号Pと、ヨー角速度センサ9から供給される
ヨー角速度信号Yの方向信号Nに基づいて、方向信号P
と方向信号Nが一致(符号が同一)する場合には、例え
ばHレベルの判定信号HOを選択手段31に供給し、方
向信号Pと方向信号Nが異なる(符号が異なる)場合に
は、例えばLレベルの判定信号HOを選択手段31に供
給する。
【0066】角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信
号Yの方向信号Nとが異なる(不一致)場合、例えばヨ
ー角速度Yが時計回り方向であって、前輪の反時計回り
方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(β
r)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの
方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信号P
がマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア領域
と判定して選択手段31はアンダステア補正量出力手段
33を選択する。
【0067】一方、角差信号βfrの方向信号Pとヨー角
速度信号Yの方向信号Nとが同じ(一致)場合、例えば
ヨー角速度Yが時計回り方向であって、後輪の反時計回
り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角
(βf)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号
Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信
号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオーバステア領
域と判定して選択手段31はオーバステア補正量出力手
段34を選択する。
【0068】車両挙動の強いアンダステア領域とは、現
在の操舵状態からこれ以上ハンドルを切込んでも車両が
これ以上曲らない状態であり、ドライバに反力を強く感
じさせてハンドルを戻した方が良いことを知らせる操舵
領域である。
【0069】なお、弱いアンダステア領域では路面反力
の補正は不要であるので、図11に示すように角差信号
βfrに対するアンダステア補正量DAの不感帯領域を大
きく設定している。
【0070】一方、車両の強いオーバステア領域とは、
そのままでは車両がスピンする虞のある状態であり、ド
ライバに反力を強く感じさせてカウンタステアを行い易
くしている。
【0071】アンダステア補正量出力手段33は、RO
M等のメモリを備え、予め図11に示す角差信号の絶対
値|βfr|とアンダステア補正量DAとの特性データを
記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給さ
れると、対応するアンダステア補正量DAを読み出し、
アンダステア補正量信号DAを乗算手段35に供給す
る。
【0072】オーバステア補正量出力手段34は、RO
M等のメモリを備え、予め図12に示す角差信号の絶対
値|βfr|とオーバステア補正量DOとの特性データを
記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給さ
れると、対応するオーバステア補正量DOを読み出し、
オーバステア補正量信号DOを乗算手段36に供給す
る。
【0073】このように、補正手段17は、アンダステ
ア補正量DAを出力するアンダステア補正量出力手段3
3と、オーバステア補正量DOを出力するオーバステア
補正量出力手段34と、滑り角差推定手段16が検出す
る角差信号βfrの方向Pとヨー角速度信号Yの方向Nの
一致/不一致を判定する第1方向判定手段32と、この
第1方向判定手段32からの判定信号HOが方向不一致
の場合にはアンダステア補正量出力手段33を選択し、
方向一致の場合にはオーバステア補正量出力手段34を
選択する選択手段31とを備えたので、判定信号HOが
検出する方向によって車両挙動がアンダステア領域かオ
ーバステア領域かを判定し、車両挙動に対応した目標ト
ルク信号IMSを補正をすることができる。そして、アン
ダステア補正量、オーバステア補正量は、図11、図1
2に示すように不感帯をそれぞれ独自に設定しているの
で、アンダステア状態またはオーバステア状態に応じた
最適な補正を行うことができる。
【0074】乗算手段35は、ソフト制御の乗算機能を
備え、車速係数KR、アンダステア補正量信号DAおよび
角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としての
アンダステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)を減
算手段37に供給する。
【0075】アンダステア補正量信号IDAは、図11示
すアンダステア補正量DAを図10に示す車速係数KRで
補正するので、低車速領域ではアンダステア補正量DA
を0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではア
ンダステア補正量DAの特性と同じに設定することがで
きる。
【0076】乗算手段36は、ソフト制御の乗算機能を
備え、車速係数KR、オーバステア補正量信号DOおよび
角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としての
オーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を減
算手段41に供給する。
【0077】オーバステア補正量信号IDOは、図12に
示すオーバステア補正量DOを図10示す車速係数KRで
補正するので、低車速領域ではオーバステア補正量DO
を0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではオ
ーバステア補正量DOの特性と同じに設定することがで
きる。なお、オーバステア補正量DOは、アンダステア
補正量DAに比べ、不感帯を狭く傾きも小さく設定す
る。
【0078】減算手段37は、ソフト制御の減算機能を
備え、アンダステア領域で動作する減算補正手段を構成
し、乗算手段24から供給される目標トルク信号IMOと
乗算手段35から供給される減算補正信号であるアンダ
ステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)の差(=IM
O−IDA)を演算し、新たな目標トルク信号IMA(=IM
O−IDA)を減算手段41を介し、目標トルク信号IMH
として差演算手段22に供給する。なお、アンダステア
補正量信号IDAが出力されている場合には、オーバステ
ア補正量信号IDOは出力されない(IDO=0)ため、目
標トルク信号IMHは目標トルク信号IMA等しく(IMH=
IMA)なる。
【0079】減算手段41は、ソフト制御の減算機能を
備え、オーバステア領域で動作する減算補正手段を構成
し、乗算手段24から供給される目標トルク信号IMOと
乗算手段36から供給される減算補正信号であるオーバ
ステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)の差(=IM
O−IDO)を演算し、新たな目標トルク信号IMHとして
差演算手段22に供給する。
【0080】このように、補正手段17は、アンダステ
ア補正量出力手段33からのアンダステア補正量DAに
対応した減算補正信号IDAで目標トルク信号IMOを減算
補正する減算補正手段37と、オーバステア補正量出力
手段34からのオーバステア補正量DOに対応した減算
補正信号IDOで目標トルク信号IMOを減算補正する減算
補正手段41とを備えたので、ハンドルを介してドライ
バにアンダステア領域では目標トルク信号IMOから減算
補正信号IDAを減算補正して補助トルクを減少させて反
力を大きく伝達し、オーバステア領域では目標トルク信
号IMOから減算補正信号IDOを減算補正させて反力を大
きく伝達することができる。
【0081】角差変化量演算手段39は、微分演算機能
を備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号
βfrに微分演算を施し、角差変化量信号DV(=dβfr
/dt)を角差変化係数発生手段40に供給する。
【0082】角差変化係数発生手段40は、ROM等の
メモリを備え、予め図14に示す角差変化量DVと角差
変化係数KVの特性データを記憶しておき、角差変化量
信号DVが供給されると、対応した角差変化係数KVを読
み出して乗算手段35および乗算手段36に供給する。
【0083】角差変化量DVは、角差信号βfrの変化を
表し、したがって車両挙動の時間的な変化を表わすの
で、車両挙動の急激な変化に対応したアンダステア補正
量信号IDA(=KR*KV*DA)またはオーバステア補
正量信号IDO(=KR*KV*DO)を発生することがで
きる。
【0084】このように、補正手段17は、角差信号β
frの変化量DVを演算する角差変化量演算手段39と、
この角差変量演算手段39からの角差変化信号DVに対
応した角差変化係数KVを出力する角差変化係数発生手
段40とを備え、角差変化係数KVでアンダステア補正
量DAおよびオーバステア補正量DOを補正するので、車
両挙動が急激な変化をしても、ハンドルを介してドライ
バに反力の急な変化を伝達することができる。
【0085】図4はこの発明に係る補正手段の別実施の
形態要部ブロック構成図である。なお、本発明はアンダ
ステア状態、オーバステア状態に加え、カウンタ過大状
態も判定して各車両挙動に対応した補正をするものであ
る。
【0086】図4において、補正手段50は、図3に示
す選択手段31、第1方向判定手段図32、アンダステ
ア補正量出力手段33、オーバステア補正量出力手段3
4、乗算手段35、乗算手段36、加減算補正手段を構
成する減算手段37および加算手段38、角差変化量演
算手段39、角差変化係数発生手段40に加え、選択手
段51、第2方向判定手段52、カウンタステア補正量
出力手段53、第3方向判定手段54、選択手段55、
加算手段56、加算手段57を備える。
【0087】選択手段31、第1方向判定手段32、ア
ンダステア補正量出力手段33、オーバステア補正量出
力手段34、乗算手段35、乗算手段36、減算補正手
段を構成する減算手段37、角差変化量演算手段39、
角差変化係数発生手段40は、既に図3で説明したので
詳しい説明を省略し、必要に応じて説明に入れる。
【0088】選択手段51は、ソフト制御のスイッチ機
能を備え、第2方向判定手段52から供給される判定信
号HO2に基づいてスイッチを切り替え、選択手段31か
ら供給される角差信号βfrをアンダステア補正量出力手
段33、またはカウンタステア補正量出力手段53に供
給する。
【0089】第2方向判定手段52は、符号比較機能を
備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号β
frの方向信号Pと、操舵トルクセンサ12から供給され
る操舵トルク信号Tの方向信号Sに基づいて、方向信号
Pと方向信号Sが一致(符号が同一)する場合には、例
えばHレベルの判定信号HO2を選択手段51に供給し、
方向信号Pと方向信号Sが異なる(符号が異なる)場合
には、例えばLレベルの判定信号HO2を選択手段51に
供給する。
【0090】角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信
号Tの方向信号Sとが異なる(不一致)場合、例えば操
舵トルク信号Tが時計回り方向であって、前輪の反時計
回り方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角
(βr)よりも大きいような場合には、操舵トルク信号
Tの方向信号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向信
号Pがマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア
領域と判定して選択手段51はアンダステア補正量出力
手段33を選択する(破線表示)。
【0091】一方、角差信号βfrの方向信号Pと操舵ト
ルク信号Tの方向信号Sとが同じ(一致)場合、例えば
操舵トルク信号Tが時計回り方向であって、後輪の反時
計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り
角(βf)よりも大きいような場合には、操舵トルク信
号Tの方向信号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向
信号Pがプラス(+)となり、車両挙動のカウンタ過大
領域と判定して選択手段51はカウンタステア補正量出
力手段53を選択する(実線表示)。
【0092】ただし、第1方向判定手段32と選択手段
31は、図3で説明したと同様に、例えばヨー角速度Y
が時計回り方向であって、前輪の反時計回り方向滑り角
(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(βr)よりも大
きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向信号Nが
プラス(+)で角差信号βfrの方向信号Pがマイナス
(−)となり、選択手段31は選択手段51を選択(破
線表示)し、選択手段51は上述した第2方向判定手段
52の判定結果によってアンダステア補正量出力手段3
3またはカウンタステア補正量出力手段53を選択す
る。
【0093】また、第1方向判定手段32と選択手段3
1は、図3で説明したと同様に、角差信号βfrの方向信
号Pとヨー角速度信号Yの方向信号Nとが同じ(一致)
場合、例えばヨー角速度Yが時計回り方向であって、後
輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り
方向滑り角(βf)よりも大きいような場合には、ヨー
角速度信号Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号β
frの方向信号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオー
バステア領域と判定して選択手段31はオーバステア補
正量出力手段34を選択する(実線表示)。
【0094】カウンタステア補正量出力手段53は、R
OM等のメモリを備え、予め図13に示す角差信号の絶
対値|βfr|とカウンタステア補正量DCとの特性デー
タを記憶しておき、選択手段51から角差信号βfrが供
給されると、対応するカウンタステア補正量DCを読み
出し、カウンタステア補正量信号DCを加算手段57を
介して選択手段55に供給する。
【0095】このように、補正手段50は、第1方向判
定手段32で角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信
号Yの方向信号Nとが不一致と判定し、かつ第2方向判
定手段52で角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信
号Tの方向信号Sとが不一致と判定した場合には、車両
挙動がアンダステア状態あると判定してアンダステア補
正量出力手段33を選択する。
【0096】また、補正手段50は、第1方向判定手段
32で角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの
方向信号Nとが不一致と判定し、かつ第2方向判定手段
52で角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信号Tの
方向信号Sとが一致と判定した場合には、車両挙動がカ
ウンタ過大状態と判定してカウンタステア補正量出力手
段53を選択する。
【0097】第3方向判定手段54は、符号比較機能を
備え、角差変化量演算手段39から供給される角差変化
量信号DV(=dβfr/dt)の方向信号Dと操舵トル
ク信号Tの方向信号Sとに基づいて、方向信号Dと方向
信号Sが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレ
ベルの判定信号HO3を選択手段55に供給し、方向信号
Dと方向信号Sが異なる(符号が異なる)場合には、例
えばLレベルの判定信号HO3を選択手段55に供給す
る。なお、角差変化量信号DVの方向信号Dは、角差信
号βfrが正(+)で、かつ絶対値|βfr|が増加する時
は正(+)とし、絶対値|βfr|が減少する時は負
(−)とする。また、角差変化量信号DVの方向信号D
は、角差信号βfrが負(−)で、かつ絶対値|βfr|が
増加するする時は正(+)とし、絶対値|βfr|が減少
する時は負(−)とする。
【0098】角差変化量信号DV(=dβfr/dt)の
方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが不一致
(符号が異なる)となる場合には、選択手段55が乗算
手段36を選択(実線表示)し、カウンタステア補正量
DCもしくはオーバステア補正量DOを乗算手段36に供
給する。
【0099】一方、角差変化量信号DV(=dβfr/d
t)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが
一致(符号が同一)する場合には、選択手段55が加算
手段56を選択(破線表示)し、カウンタステア補正量
DCもしくはオーバステア補正量DOを加算手段56に供
給する。
【0100】加算手段56に供給されたカウンタステア
補正量DCは、乗算手段35で車速係数KRおよび角差変
化係数KVが乗算され、減算補正信号であるカウンタス
テア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)が減算手段37
に供給される。
【0101】また、乗算手段36に供給されたカウンタ
ステア補正量DCもしくはオーバステア補正量DOは、車
速係数KRおよび角差変化係数KVが乗算され、加算補正
信号であるカウンタステア補正量信号IDC(=KR*KV
*DC)もしくはオーバステア補正量信号IDO(=KR*
KV*DO)が加算手段である加算手段38に供給され
る。
【0102】以上のことから、角差変化量信号DV(=
dβfr/dt)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向
信号Sとが一致(符号が同じ)となり、オーバステア状
態が収束方向に向かう場合には、これ以上のカウンタス
テアを必要としないため、目標トルク信号IMOからカウ
ンタステア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)もしくは
オーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を減算
補正して目標トルク信号IMH(=IMO−IDC,IMO−I
DO)を出力し、ドライバにハンドルを介して大きな反力
を伝える。
【0103】また、角差変化量信号DV(=dβfr/d
t)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが
不一致(符号が異なる)し、オーバステア状態が発散方
向に向かう場合には、目標トルク信号IMOにカウンタス
テア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)もしくはオーバ
ステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を加算補正し
て目標トルク信号IMH(=IMO+IDC,IMO+IDO)を
出力し、ドライバにハンドルを介して小さな反力を伝
え、カウンタステアを促す。
【0104】また、アンダステア状態およびオーバステ
ア状態については、図3で説明した内容と同一なので説
明を省略する。
【0105】なお、加算手段56を用いてアンダステア
補正量信号DAとカウンタステア補正量信号IDCを加算
し、乗算手段36で車速係数KRおよび角差変化係数KV
を乗算するよう構成したが、加算手段56に代えてカウ
ンタステア補正量信号IDCと車速係数KRおよび角差変
化係数KVを乗算する乗算手段を設けてカウンタステア
補正量信号IDC(=KR*KV*DC)を形成するととも
に、目標トルク信号IMOからカウンタステア補正量信号
IDCを減算補正する減算手段を設けて目標トルク信号I
MH(=IMO−IDC)を出力するよう構成してもよい。
【0106】このように、この発明に係る補正手段50
は、角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの方
向信号Nの一致/不一致を判定する第1方向判定手段3
2と、角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信号Tの
方向信号Sの一致/不一致を判定する第2方向判定手段
52と、第1方向判定手段32および第2方向判定手段
52の判定結果が共に方向不一致の場合にはアンダステ
ア補正量出力手段33を選択し、第1方向判定手段32
の判定結果が方向不一致で、かつ第2方向判定手段52
の判定結果が方向一致の場合にはカウンタステア補正量
出力手段53を選択する選択手段31,51とを備えた
ので、角差信号βfr、ヨー角速度信号Yおよび操舵トル
ク信号Tの方向を判定することによって車両挙動がアン
ダステア状態かカウンタ過大状態かを判断するととも
に、アンダステア状態またはカウンタ過大状態に対応し
た補正量DA,DCを出力することができる。
【0107】また、この発明に係る補正手段50は、角
差信号βfrの微分値DVの方向信号Dと操舵トルク信号
Tの方向信号Sの一致/不一致を判定する第3方向判定
手段54と、この第3方向判定手段54の判定結果が不
一致の場合にはオーバステア補正量出力手段34もしく
はカウンタステア補正量出力手段53からのオーバステ
ア補正量DOもしくはカウンタステア補正量DCに対応し
た加算補正信号(オーバステア補正量信号IDOもしくは
カウンタステア補正量信号IDC)で目標トルク信号IMO
を加算補正し、判定結果が一致の場合にはオーバステア
補正量出力手段34もしくはカウンタステア補正量出力
手段53からのオーバステア補正量DOもしくはカウン
タステア補正量DCに対応した減算補正信号(オーバス
テア補正量信号IDOもしくはカウンタステア補正量信号
IDC)で目標トルク信号IMOを減算補正する加減算補正
手段37,38とを備えたので、角差信号βfrの微分値
DVの方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sを判
定することによってオーバステア補正量DOもしくはカ
ウンタステア補正量DCを目標トルク信号IMOに加算し
たり、目標トルク信号IMOからオーバステア補正量DO
もしくはカウンタステア補正量DCを減算したりするこ
とによってドライバにカウンタ操作が大き過ぎるとか小
さ過ぎるとかを反力で伝えることができる。
【0108】さらに、この発明に係る補正手段50は、
角差信号βfrの変化量DVを演算する角差変化量演算手
段39と、この角差変化量演算手段39からの角差変化
信号DVに対応した角差変化係数KVを出力する角差変化
係数発生手段40とを備え、角差変化係数KVでアンダ
ステア補正量DA、オーバステア補正量DOおよびカウン
タステア補正量DCを補正するので、アンダステアまた
はオーバステアの車両挙動が急激に変化しても、ハンド
ルを介してドライバに速やかに反力の変化として伝達す
ることができる。
【0109】図5は図4に対応した補正手段の動作フロ
ー図である。ステップS1では第1方向判定手段32が
角差信号の方向Pとヨー角速度信号の方向Nの一致/不
一致の判定を行い、一致の場合にはステップS2に移行
して選択手段31がオーバステア補正量DOを選択した
後にステップS6に移行し、不一致の場合にはステップ
S3に移行して第2方向判定手段52が角差信号の方向
Pと操舵トルクの方向Sの一致/不一致の判定を行う。
【0110】ステップS3で方向が一致の場合にはステ
ップS4に移行して選択手段51がカウンタステア補正
量DCを選択した後、ステップS6に移行する。一方、
ステップS3で方向が不一致の場合にはステップS5に
移行して選択手段51がアンダステア補正量DAを選択
した後、ステップS9に移行する。
【0111】ステップS6では第3方向判定手段54が
角差信号の微分値の方向Dと操舵トルク信号の方向Sの
一致/不一致の判定を行い、不一致の場合には選択手段
55の選択によりステップS7に移行し、一致の場合に
は選択手段55の選択によりステップS9に移行する。
【0112】ステップS7ではオーバステア補正量DO
またはカウンタステア補正量DCに車速係数KRと角差変
化係数KVを乗算処理して補正量IDOまたは補正量IDC
を発生した後、ステップS8に移行して目標トルク信号
IMOに補正量IDOまたは補正量IDCを加算補正する。
【0113】ステップS9ではアンダステア補正量D
A、オーバステア補正量DOまたはカウンタステア補正量
DCに車速係数KRと角差変化係数KVを乗算処理して補
正量IDA、補正量IDOまたは補正量IDCを発生した後、
ステップS10に移行して目標トルク信号IMOから補正
量IDA、補正量IDCまたは補正量IDCを減算補正する。
【0114】図6は図4の補正手段を備えた電動パワー
ステアリング装置を搭載した車両の実舵角θ−前後輪滑
り角差βfrのリサージュ図である。図6において、実舵
角θ座標は紙面右方向が操舵角θが時計回り方向(+)
とし、前後輪滑り角差βfr座標は前輪滑り角βfが後輪
滑り角βrよりも大きい時をマイナス(−)として表わ
す。
【0115】実舵角θ座標と前後輪滑り角差βfr座標の
交点が実舵角θおよび前後輪滑り角差βfrが共に0で走
行中の車両は直進状態にある。この状態から実舵角θを
時計回り方向に(+方向)増加させるに従い、前後輪滑
り角差βfrはマイナス(−)方向に増加して車両は直進
状態を保つ。
【0116】この状態(座標第4象限)では、実舵角θ
の増加に対して前輪滑り角βfが後輪滑り角βrより増加
する傾向にあり、前輪の滑りが大きいアンダステア領域
を形成する。なお、アンダステア領域は、前後輪滑り角
差βfrが0近傍では弱アンダステア領域と称し、前後輪
滑り角差βfrが大きくなる範囲をアンダステア過大領域
と称する。
【0117】また、実舵角θおよび前後輪滑り角差βfr
が共に0の状態から操舵角θを増加させても前後輪滑り
角差βfrが0近傍にある状態をニュートラルステア領域
と称する。
【0118】ニュートラルステア領域から前後輪滑り角
差βfrがプラス(+)に移行(後輪滑り角βrが前輪滑
り角βfよりも大きく後輪が滑る状態)すると、オーバ
ステア領域(座標第1象限)に入り、オーバステアが継
続して後輪滑り角βrが大きくなると車両はスピンする
ことになる。
【0119】車両のスピンを回避するため、ハンドルを
反時計回り方向に操作して実舵角θを反時計回り方向に
(−方向)に増加させ、後輪の滑りを抑えて後輪滑り角
βr小さくコントロールすることによって座標第2象限
で車両を直進状態に復帰させることができる。この領域
(座標第2象限)をカウンタステア領域と称する。
【0120】ただし、カウンタステアを過大にすると、
車両は直進ラインを外れて半径から遠ざかってしまう問
題を生じる。さらに、初めのカウンタステアを大きくす
ると車両を直進ラインに乗せるために、ハンドルの時計
回り方向および反時計回り方向を何度も繰り返さなけれ
ばならず、車両挙動がぎくしゃくとしたものになる。
【0121】図4で説明した補正手段50を適用するこ
とにより、車両のアンダステア状態、オーバステア状態
およびカウンタ過大状態をドライバにハンドルを介して
路面反力として伝えることにより、ドライバは図6で説
明した車両挙動(ドリフト走行時)の制御を大幅に改善
することができる。
【0122】図7はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置を搭載した車両でのドリフト走行説明図であ
る。図7において、半径Rのカーブをドリフト走行して
車両の進路を変更する際の動作を説明する。
【0123】車両が直進している状態()からハンド
ルを右(時計回り方向)に操作すると、前輪滑り角βf
が後輪滑り角βrよりも大きくなってアンダステア状態
(および)となる。さらに、ハンドルを右(時計回
り方向)に操作すると、後輪滑り角βrが前輪滑り角βf
よりも大きくなって車両はオーバステア状態()に入
る。
【0124】オーバステア状態が継続して後輪滑り角β
rが前輪滑り角βfよりも更に大きくなると、車両はスピ
ンしてしまうので、補助トルクを小さくしてドライバに
大きな反力を伝える。
【0125】ドライバは、ハンドルを介して補助トルク
が小さく、かつ大きな反力を感知し、ハンドルを左(反
時計方向)に操作すると、車両はカウンタステア状態
()になって補助トルクを小さくしてドライバに大き
な路面反力を伝える。
【0126】この時、ドライバが必要以上の反時計方向
のハンドル操作を行うと、前輪滑り角βfが後輪滑り角
βrよりも大きくなり、かつ操舵トルクの方向が反時計
方向であるため、補助トルクが大きく路面反力が小さな
カウンタステア過大状態となってこのままハンドル操作
を続けると車両はコーナから外側に向かって進行してし
まう。
【0127】この状態を回避するため、ドライバが時計
方向にハンドルを操作すると、後輪滑り角βrが前輪滑
り角βfよりも大きくなって車両はカウンタステア過大
状態から再度オーバステア状態なる。
【0128】このように、最初に大きなカウンタステア
過大状態に入ると、リカバリが難しく車両挙動(ドリフ
ト走行)が不安定になる。
【0129】従って、カウンタステアは前輪滑り角βf
を徐々に後輪滑り角βrに近付け、最終的に等しくなる
ようにハンドル操作(〜)をし、車両を直進状態
()にしてコーナを抜けるようにする。
【0130】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明に係る電動
パワーステアリング装置は、制御手段に、前輪滑り角と
後輪滑り角との差を推定する滑り角差推定手段と、この
滑り角差推定手段からの角差信号に基づいて目標トルク
信号を補正する補正手段とを備え、車両挙動を角差信号
から推定し、角差信号に対応した補正量で目標トルク信
号を補正し、路面反力の変化の影響を含めてステアリン
グ系に補助トルクを付加する電動機の駆動を制御するの
で、車両の通常走行時にはドライバに軽快な操舵フィー
リングを与え、車両挙動が不安定なアンダステア領域や
オーバステア領域ではドライバに路面反力を伝達して車
両挙動に対して最適なハンドル操作をさせることができ
る。
【0131】また、この発明に係る滑り角差推定手段
は、前輪の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切
れ角信号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度
センサが検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラ
メータに基づいて角差を演算し、実際に角差を検出する
ことなく、既存の車載センサを用いて角差を算出するこ
とができ、また演算に微分処理回路を含んでいないの
で、ノイズが混入することなく、正確な滑り角差を推定
することができる。
【0132】さらに、この発明に係る補正手段は、判定
信号が検出する方向によって車両挙動がアンダステア領
域かオーバステア領域かを判定し、車両挙動に対応した
補正をするので、ドライバはアンダステアにあるかオー
バステアにあるかによって車両挙動を正確に認識するこ
とができる。
【0133】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア領域では目標トルク信号を減算補正して補助トル
クを減少させて反力を大きく伝達し、オーバステア領域
では目標トルク信号を減算補正して反力を小さく伝達す
ることができ、またその特性を別々に設定できるので、
ドライバは車両挙動を感知し、ドライバの意志で車両挙
動に対応した最適なハンドル操作を実行することができ
る。
【0134】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
変化係数でアンダステア補正量およびオーバステア補正
量を補正するので、車両挙動の急激な変化に対しても応
答性の速い的確な操舵を実現することができる。
【0135】また、この発明に係る補正手段は、角差信
号、ヨー角速度信号および操舵トルク信号の方向を判定
することによって車両挙動がアンダステア状態かカウン
タ過大状態かを判断するとともに、アンダステア状態ま
たはカウンタ過大状態に対応した補正量を出力すること
ができるので、ドリフト走行のような車両挙動の限界領
域であってもドライバの能力を最適に発揮させることが
できる。
【0136】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の微分値の方向と操舵トルク信号の方向を判定する
ことによってオーバステア補正量もしくはカウンタステ
ア補正量を目標トルク信号に加算したり、目標トルク信
号から減算したりすることによってドライバにカウンタ
操作量が大き過ぎるとか小さ過ぎるとかを反力で伝える
ことができるので、ドリフト走行のような車両挙動の限
界領域であってもドライバの能力を限界まで発揮させる
ことができる。
【0137】また、この発明に係る補正手段は、角差変
化係数でアンダステア補正量、オーバステア補正量およ
びカウンタステア補正量を補正するので、アンダステ
ア、オーバステアまたはカウンタステアの車両挙動が急
激に変化しても、ハンドルを介してドライバに速やかに
反力の変化として伝達することができるので、ドリフト
走行等の車両挙動の限界領域であっても速やかに対応す
ることができる。
【0138】よって、検出が難しい路面摩擦係数に基づ
いて基準横加速度を設定することなく、摩擦係数をパラ
メータとした横加速度Gが非線形領域であっても、アン
ダステア、オーバステアおよびカウンタ過大等の車両挙
動の限界領域でもドライバが正確に感知し、ドライバが
好む最適の操舵ができる電動パワーステアリング装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の
全体構成図
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の基
本要部ブロック構成図
【図3】この発明に係る制御手段の一実施の形態要部ブ
ロック構成図
【図4】この発明に係る補正手段の別実施の形態要部ブ
ロック構成図
【図5】図4の補正手段に対応した動作フロー図
【図6】図4の補正手段を備えた電動パワーステアリン
グ装置を搭載した車両の実舵角θ−前後輪滑り角差βfr
のリサージュ図
【図7】この発明に係る電動パワーステアリング装置を
搭載した車両でのドリフト走行説明図
【図8】操舵トルク信号T−目標トルク信号IMS特性図
【図9】車速信号V−車速係数KT特性図
【図10】車速信号V−車速係数KR特性図
【図11】角差信号βfr−アンダステア補正量DA特性
【図12】角差信号βfr−オーバステア補正量DO特性
【図13】角差信号βfr−カウンタステア補正量DC特
性図
【図14】角差変化量DV−角差変化係数KVの特性図
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングホ
イール、9…ヨー角速度センサ、10…切れ角センサ、
11…車速センサ、12…操舵トルクセンサ、13…制
御手段、16…滑り角差推定手段、17…補正手段、1
8…車速係数発生手段、19…車速係数発生手段、21
…目標トルク信号設定手段、31,51,55…選択手
段、32…方向判定手段、33…アンダステア補正量出
力手段、34…オーバステア補正量出力手段、35…乗
算手段、36…乗算手段、37,41…減算手段、3
8,56,57…加算手段、39…角差変化量演算手
段、40…角差変化係数発生手段、52…第2方向反転
手段、53…カウンタステア補正量出力手段、54…第
3方向判定手段。
【手続補正書】
【提出日】平成10年10月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電動パワーステアリング装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電動機の動力をス
テアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力の軽減
を図る電動パワーステアリング装置に係り、特に路面反
力の変化をドライバに知らせて適切な操舵を行わせる電
動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電動パワーステアリング装置にお
いて、制御手段、電動機駆動手段、電動機を備え、ドラ
イバがハンドルを操作することによって発生する操舵ト
ルクに対応して制御手段で電動機を駆動するための目標
トルク信号を発生し、この目標トルク信号に基づいて電
動機の駆動を制御する電動機制御信号をブリッジ回路で
構成された電動機駆動手段に供給し、電動機駆動手段を
介して電動機をPWM(Pulse Width Modulation)駆動
し、電動機が発生する補助トルクをステアリング系に付
加するよう構成されたものは知られている。
【0003】制御手段は、電動機に流れる電動機電流を
速やかに目標トルク信号に対応した電流と等しくするた
め、電動機電流に対応した信号を目標トルク信号にフィ
ードバック(負帰還)させ、電動機の駆動が制御される
よう構成されている。
【0004】また、車速センサで検出した車速信号で目
標トルク信号を補正し、車速が増加するにつれて目標ト
ルク信号を減少させ、低車速時には充分大きな補助トル
クをステアリング系に付加し、高車速時には小さな補助
トルクをステアリング系に付加することより、低車速時
のドライバの操舵力の軽減と高車速時の車両挙動の安定
性が実現されている。
【0005】また、従来の電動パワーステアリング装置
は、車両の横すべりが大きい時には、操舵トルクに対す
る補助トルクを少なくすることにより、路面からの路面
反力を大きくして路面情報をハンドルを介してドライバ
に確実に伝達するものが特開平5−58318号公報に
開示されている。
【0006】特開平5−58318号公報に開示されて
いる従来の電動パワーステアリング装置は、車速セン
サ、操舵角センサ、横加速度センサを備え、車速センサ
が検出した車速Vと操舵角センサが検出した操舵角θと
から、車両が外乱を受けない場合に車両に発生すると予
測される基準横加速度GOを決定し、横加速度センサが
検出した実際に車両に加わる実横加速度Gactと基準横
加速度GOの差の絶対値|Gact−GO|が所定値gより
大きいか否かの判定を行い、大きい場合(|Gact−GO
|>g)には車両の横すべりが大きいと見なして、予め
設定された低μ路用のアシスト特性マップが選択され、
小さな場合(|Gact−GO|<g)には車両の横すべり
が小さいと見なして、予め設定された高μ路用のアシス
ト特性マップが選択され、操舵力に応じたアシスト量が
制御されるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動パワーステ
アリング装置は、ドライバの操舵力に対応した補助トル
クをステアリング系に付加する構成のため、車両挙動に
よって発生する微妙な路面反力の変化が抑制されてしま
い、ドライバがハンドルを介して車両挙動を情報(イン
フォメーション)として正確に感じ取れない傾向にあ
る。
【0008】この傾向は、操舵力の軽減による路面反力
の低減化傾向とステアリングギヤ比のクイック(小舵
角)化傾向とによって近年顕著になっている。
【0009】このような低路面反力の操舵フィーリング
に対し、路面反力を正確に感じ取って車両挙動に対して
正確なハンドル操作を行うことが、車両挙動の限界領域
や緊急時の操作においてドライバに望まれている。
【0010】例えば、車両挙動の限界領域で車両がスピ
ンしそうになった時に、いち早くドライバが車両挙動を
把握して最適なハンドル操作をする必要がある。
【0011】ドライバが車両挙動を把握するには、車両
挙動に伴う路面反力の変化を感知することが最も身近で
有効な方法である。
【0012】特開平5−58318号公報に開示されて
いる従来の電動パワーステアリング装置は、実際に車両
に加わる実横加速度Gactと車両が外乱を受けない場合
の基準横加速度GOの差に基づいて高μ路用、または低
μ路用のアシスト特性マップが選択される構成である
が、基準横加速度GOが路面摩擦係数μにより異なるた
め基準横加速度GOの設定が難しい。
【0013】路面摩擦係数μに対応した基準横加速度G
Oを設定するために、摩擦係数(μ)センサを車両に搭
載すればよいが、摩擦係数(μ)センサを用いても摩擦
係数(μ)を正確に検出することは難しい。例えば、操
舵角θに対して摩擦係数(μ)をパラメータとした横加
速度Gは、操舵角θが所定の範囲までは線形特性である
が、操舵角θが所定の範囲を超えると非線形特性になっ
てしまい、基準横加速度GOが設定できない課題があ
る。
【0014】また、特開平5−58318号公報に開示
されている従来の電動パワーステアリング装置は、実横
加速度Gactと基準横加速度GOの差の絶対値|Gact−
GO|に基づいて車両の横滑りを判定するするため、車
両の横滑りが大きいか小さいかは判定できるが、車両の
横滑りがオーバステアによるものかアンダステアによる
ものかの判定ができず、ハンドルを介してドライバに車
両挙動を反力として正確に伝えることができない課題が
ある。
【0015】この発明はこのような課題を解決するため
なされたもので、その目的は路面状態に対応した車両挙
動のオーバステア状態またはアンダステア状態を検出
し、オーバステア状態またはアンダステア状態に対応し
た操舵補助力をステアリング系に作用させることによっ
てドライバに路面情報(反力)を伝え、ドライバの意志
による最適なハンドル操作をすることができる電動パワ
ーステアリング装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手
段に、前輪滑り角と後輪滑り角との差を推定する滑り角
差推定手段と、この滑り角差推定手段からの角差信号に
基づいて目標トルク信号を補正する補正手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0017】この発明に係る電動パワーステアリング装
置は、制御手段に、前輪滑り角と後輪滑り角との差を推
定する滑り角差推定手段と、この滑り角差推定手段から
の角差信号に基づいて目標トルク信号を補正する補正手
段とを備えたので、車両挙動を角差信号から推定し、角
差信号に対応した補正量で目標トルク信号を補正するこ
とができるので、路面反力の変化の影響を含めてステア
リング系に補助トルクを付加する電動機の駆動を制御す
ることができる。
【0018】また、この発明に係る滑り角差推定手段
は、前輪の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切
れ角信号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度
センサが検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラ
メータに基づいて角差を演算することを特徴とする。
【0019】この発明に係る滑り角差推定手段は、前輪
の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切れ角信
号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度センサ
が検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラメータ
に基づいて角差を演算するので、実際に角差を検出する
センサを用いることなく、既存の車載センサを用いて角
差を算出することができる。
【0020】さらに、この発明に係る補正手段は、アン
ダステア補正量を出力するアンダステア補正量出力手段
と、オーバステア補正量を出力するオーバステア補正量
出力手段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方
向とヨー角速度信号の方向の一致/不一致を判定する第
1方向判定手段と、この第1方向判定手段からの判定信
号が方向一致の場合にはオーバステア補正量出力手段を
選択し、方向不一致の場合にはアンダステア補正量出力
手段を選択する選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量を出力するアンダステア補正量出力手段と、オー
バステア補正量を出力するオーバステア補正量出力手段
と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向とヨー
角速度信号の方向の一致/不一致を判定する第1方向判
定手段と、この第1方向判定手段からの判定信号が方向
一致の場合にはオーバステア補正量出力手段を選択し、
方向不一致の場合にはアンダステア補正量出力手段を選
択する選択手段とを備えたので、判定信号が検出する方
向によって車両挙動がオーバステア領域かアンダステア
領域かを判定し、ドライバにオーバステア領域かアンダ
ステア領域かを反力としてハンドルを介して伝えるとと
もに、ステアリング系に作用する補助トルクを車両挙動
に対応して補正をすることができる。
【0022】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応
した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算
補正手段と、オーバステア補正量出力手段からのオーバ
ステア補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号
を減算補正する減算補正手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0023】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減
算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手
段と、オーバステア補正量出力手段からのオーバステア
補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を減算
補正する減算補正手段とを備えたので、アンダステア領
域では目標トルク信号からアンダステア補正量を減算補
正して補助トルクを減少させてハンドルを介してドライ
バに反力を大きく伝達し、オーバステア領域では目標ト
ルク信号にオーバステア補正量を減算補正させてハンド
ルを介してドライバに反力を大きく伝達することができ
る。また、オーバステア補正量およびアンダステア補正
量をそれぞれ独自に設定することにより、オーバステア
状態およびアンダステア状態のそれぞれに応じた最適な
補正を行うことができる。
【0024】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の変化量を演算する角差変化量演算手段と、この角
差変量演算手段からの角差変化信号に対応した角差変化
係数を出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変
化係数でアンダステア補正量およびオーバステア補正量
を補正することを特徴とする。
【0025】この発明に係る補正手段は、角差信号の変
化量を演算する角差変化量演算手段と、この角差変量演
算手段からの角差変化信号に対応した角差変化係数を出
力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変化係数で
アンダステア補正量およびオーバステア補正量を補正す
るので、アンダステアまたはオーバステアの車両挙動が
急激に変化しても、ハンドルを介してドライバに速やか
に車両挙動、すなわち反力の変化を伝達することができ
る。
【0026】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア補正量を出力するアンダステア補正量出力手段
と、オーバステア補正量を出力するオーバステア補正量
出力手段と、カウンタステア補正量を出力するカウンタ
ステア補正量出力手段と、滑り角差推定手段が検出する
角差信号の方向とヨー角速度センサが検出するヨー角速
度信号の方向の一致/不一致を判定する第1方向判定手
段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向と操
舵トルクセンサが検出する操舵トルク信号の方向の一致
/不一致を判定する第2方向判定手段と、第1方向判定
手段の結果が方向一致の場合はオーバステア補正量出力
手段を選択し、第1方向判定手段および第2方向判定手
段の判定結果が共に方向不一致の場合にはアンダステア
補正量出力手段を選択し、第1方向判定手段の判定結果
が方向不一致で、かつ第2方向判定手段の判定結果が方
向一致の場合にはカウンタステア補正量出力手段を選択
する選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量を出力するアンダステア補正量出力手段と、オー
バステア補正量を出力するオーバステア補正量出力手段
と、カウンタステア補正量を出力するカウンタステア補
正量出力手段と、滑り角差推定手段が検出する角差信号
の方向とヨー角速度センサが検出するヨー角速度信号の
方向の一致/不一致を判定する第1方向判定手段と、滑
り角差推定手段が検出する角差信号の方向と操舵トルク
センサが検出する操舵トルク信号の方向の一致/不一致
を判定する第2方向判定手段と、第1方向判定手段の結
果が方向一致の場合はオーバステア補正量出力手段を選
択し、第1方向判定手段および第2方向判定手段の判定
結果が共に方向不一致の場合にはアンダステア補正量出
力手段を選択し、第1方向判定手段の判定結果が方向不
一致で、かつ第2方向判定手段の判定結果が方向一致の
場合にはカウンタステア補正量出力手段を選択する選択
手段とを備えたので、角差信号、ヨー角速度信号および
操舵トルク信号の方向を判定することによって車両挙動
がアンダステア状態かカウンタ過大状態かを判断すると
ともに、アンダステア状態またはカウンタ過大状態に対
応した補正量を出力することができる。
【0028】さらに、この発明に係る補正手段は、アン
ダステア補正量出力手段からのアンダステア補正量に対
応した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減
算補正手段と、角差信号の微分値の方向と操舵トルク信
号の方向の一致/不一致を判定する第3方向判定手段
と、この第3方向判定手段の判定結果が不一致の場合に
はオーバステア補正量出力手段もしくはカウンタステア
補正量出力手段からのオーバステア補正量もしくはカウ
ンタステア補正量に対応した加算補正信号で目標トルク
信号を加算補正し、判定結果が一致の場合にはオーバス
テア補正量出力手段もしくはカウンタステア補正量出力
手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタステア
補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を減算
補正する加減算補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】この発明に係る補正手段は、アンダステア
補正量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減
算補正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手
段と、角差信号の微分値の方向と操舵トルク信号の方向
の一致/不一致を判定する第3方向判定手段と、この第
3方向判定手段の判定結果が不一致の場合にはオーバス
テア補正量出力手段もしくはカウンタステア補正量出力
手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタステア
補正量に対応した加算補正信号で目標トルク信号を加算
補正し、判定結果が一致の場合にはオーバステア補正量
出力手段もしくはカウンタステア補正量出力手段からの
オーバステア補正量もしくはカウンタステア補正量に対
応した減算補正信号で目標トルク信号を減算補正する加
減算補正手段とを備えたので、角差信号の微分値の方向
と操舵トルク信号の方向を判定することによってオーバ
ステア補正量もしくはカウンタステア補正量を目標トル
ク信号に加算したり、目標トルク信号からオーバステア
補正量もしくはカウンタステア補正量を減算したりする
ことによってドライバにカウンタ操作量が大き過ぎると
か小さ過ぎるとかを反力で伝えることができる。
【0030】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の変化量を演算する角差変化量演算手段と、この角
差変化量演算手段からの角差変化信号に対応した角差変
化係数を出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差
変化係数でアンダステア補正量、オーバステア補正量お
よびカウンタステア補正量を補正することを特徴とす
る。
【0031】この発明に係る補正手段は、角差信号の変
化量を演算する角差変化量演算手段と、この角差変化量
演算手段からの角差変化信号に対応した角差変化係数を
出力する角差変化係数発生手段とを備え、角差変化係数
でアンダステア補正量、オーバステア補正量およびカウ
ンタステア補正量を補正するので、アンダステア、オー
バステアまたはカウンタステアの車両挙動が急激に変化
しても、ハンドルを介してドライバに速やかに反力の変
化として伝達することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、アンダス
テア、オーバステアおよびカウンタ過大の車両挙動に対
応した反力をハンドルを介してドライバに正確に伝え、
それぞれの車両挙動に応じたドライバの好みのステアリ
ング操作を補助するものである。
【0033】図1はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の全体構成図である。図1において電動パワー
ステアリング装置1は、ステアリングホイール2、ステ
アリング軸3、ハイポイドギア4、ピニオン5aおよび
ラック軸5bなどからなるラック&ピニオン機構5、タ
イロッド6、操向車輪の前輪7、補助トルクをステアリ
ング系に作用する電動機8、制御手段13、電動機駆動
手段14、電動機電流検出手段15を備える。
【0034】また、電動パワーステアリング装置1は、
車両に作用するヨー角速度を検出し、ヨー角速度に対応
した電気信号に変換されたヨー角速度信号Yを検出する
ヨー角速度センサ9、前輪の切れ角を検出し、前輪の切
れ角に対応した電気信号に変換された切れ角信号δを出
力する切れ角センサ10、車速を検出し、車速に対応し
た電気信号に変換された車速信号Vを出力する車速セン
サ11、ステアリングホイール2に作用する操舵トルク
を検出し、操舵トルクに対応した電気信号に変換された
操舵トルク信号Tを出力する操舵トルクセンサ12を備
える。なお、切れ角信号δはステアリング軸の操舵角か
ら算出してもよい。
【0035】ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、操舵ト
ルク信号Tは、それぞれ大きさと方向を有し、制御手段
13に供給される。なお、ヨー角速度信号Y、切れ角信
号δ、車速信号Vおよび操舵トルク信号Tの方向は、時
計回り方向を正(プラス)とし、反時計回り方向を負
(マイナス)とする。
【0036】ステアリングホイール2を操舵すると、ス
テアリング軸3に加えられる手動操舵トルクは、ラック
&ピニオン機構5を介してピニオン5aの回転力がラッ
ク軸5bの軸方向の直線運動に変換され、タイロッド6
を介して前輪7の操向を変化させる。
【0037】手動の操舵トルクをアシストするため、操
舵トルク信号Tに対応して電動機8が駆動されると電動
機トルクがハイポイドギア4を介して倍力された補助ト
ルク(アシストトルク)に変換されてステアリング軸3
に作用し、ドライバの操舵力を軽減する。
【0038】制御手段13は、マイクロプロセッサを基
本に各種演算手段、処理手段、判定手段、スイッチ手
段、信号発生手段、メモリ等で構成し、操舵トルク信号
Tに対応した目標トルク信号(IMS)を発生し、この目
標トルク信号(IMS)と電動機電流検出手段15が検出
した電動機電流IMに対応した電動機トルク信号IMFと
の差(負帰還)に応じた電動機制御信号VO(例えば、
オン信号、オフ信号およびPWM信号の混成信号)を発
生し、この差が速やかに0となるように電動機駆動手段
14の駆動を制御する。
【0039】また、制御手段13は、前後輪滑り角差推
定手段、補正手段を備え、ヨー角速度信号Y、切れ角信
号δ、車速信号Vおよび車両の寸法パラメータ(ホイー
ルベース)に基づいて前輪の滑り角と後輪の滑り角の差
(角差信号)を演算で推定し、この差(角差信号)の大
きさに基づいてアンダステア領域、オーバステア領域お
よびカウンタ過大領域の補正量を決定し、この補正量で
目標トルク信号(IMS)を補正する。
【0040】さらに、制御手段13は、前輪の滑り角と
後輪の滑り角の差(角差信号)の方向(P)、ヨー角速
度信号Yの方向(N)および操舵トルク信号Tの方向
(S)を比較することにより、車両の状態(車両挙動)
がアンダステア領域、オーバステア領域またはカウンタ
過大領域のいずれであるかを判定する。
【0041】電動機駆動手段14は、例えば4個のパワ
ーFET(電界効果トランジスタ)、絶縁ゲート・バイ
ポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子
からなるブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VOに
基づいてPWM(パルス幅変調)の電動機電圧VMを出
力し、電動機8を正回転または反回転にPWM駆動す
る。
【0042】電動機電流検出手段15は、電動機8と直
列に接続された抵抗器またはホール素子等で電動機電流
IMを電圧に変換して検出し、電動機電流IMに対応した
電動機トルク信号IMFを制御手段13にフィードバック
(負帰還)する。
【0043】図2は本発明に係る電動パワーステアリン
グ装置の基本要部ブロック構成図である。図2におい
て、電動パワーステアリング装置1の制御手段13は、
目標トルク信号設定手段21、補正手段17、差演算手
段22、駆動制御手段23、滑り角差推定手段16を備
える。
【0044】目標トルク信号設定手段21は、ROM等
のメモリを備え、予め実験値または設計値に基づいて設
定した車速Vをパラメータにした操舵トルク信号データ
Tと目標トルク信号データIMOの対応データを記憶して
おき、操舵トルクセンサ12が検出した操舵トルク信号
Tおよび車速センサ11が検出した車速信号Vに基づい
て対応する目標トルク信号データIMOを読み出し、目標
トルク信号IMOを補正手段17に供給する。
【0045】補正手段17は、ROM等のメモリ、ソフ
ト制御の比較機能、切替機能、演算機能を備え、滑り角
差に応じた補正量(アンダステア補正量、オーバステア
補正量、カウンタステア補正量)を記憶しておき、滑り
角差推定手段16で演算した前輪滑り角(βf)と後輪
滑り角(βr)との差(βf−βr)を推定した角差信号
βfrに基づいて対応する補正量を発生し、目標トルク信
号IMOを補正量で補正した目標トルク信号IMHを差演算
手段22に供給する。
【0046】前輪滑り角(βf)と後輪滑り角(βr)と
の差が所定値以内の場合には、車両挙動が安定した通常
走行時なので、補正手段17からの補正量も0となって
補正手段17から出力される目標トルク信号IMHは目標
トルク信号IMOと等しく(IMH=IMO)なる。
【0047】一方、前輪滑り角(βf)と後輪滑り角
(βr)との差が所定値を超える場合には、車両挙動が
不安定なので、補正手段17からの補正量で目標トルク
信号IMOを補正し、補正手段17から出力される目標ト
ルク信号IMHは車両挙動に応じて目標トルク信号IMOに
対して減算(IMH<IMO)したり、加算(IMH>IMO)
したりする。
【0048】差演算手段22は、減算器または減算機能
を備え、補正手段17から供給される目標トルク信号I
MHと、電動機電流検出手段15から供給される電動機ト
ルク信号IMFとの差ΔI(=IMH−IMF)を演算し、差
信号ΔI(=IMH−IMF)を駆動制御手段23に供給す
る。
【0049】駆動制御手段23は、PIDコントロー
ラ、電動機制御信号発生手段等を備え、差演算手段22
から供給される差信号ΔIに比例(P)、積分(I)お
よび微分(D)制御を施した後、これら比例・積分・微
分(PID)制御を施した信号を混合した混合信号に基
づいてハンドルの右操舵または左操舵に対応したPWM
の電動機制御信号VOを発生し、電動機制御信号VOを電
動機駆動手段14に供給する。
【0050】滑り角差推定手段16は、メモリ、演算手
段等を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、前輪の切
れ角に対応する切れ角信号δおよびメモリに予め設定し
た車両の寸法パラメータ(例えば、ホイールベースL)
に基づいて車両挙動を前輪滑り角(βf)と後輪滑り角
(βr)との差βfr(=βf−βr)を演算することによ
って推定し、この差βfrを角差信号βfrとして補正手段
17に提供する。
【0051】このように、制御手段13は、前輪滑り角
(βf)と後輪滑り角(βr)との差βfr(=βf−βr)
を推定する滑り角差推定手段16と、この滑り角差推定
手段16からの角差信号βfrに基づいて目標トルク信号
IMOを補正する補正手段17とを備えたので、車両挙動
を角差信号βfrから推定し、角差信号βfrに対応した補
正量で目標トルク信号IMOを補正し、反力の変化の影響
を含めてステアリング系に補助トルクを付加する電動機
の駆動を制御することができる。
【0052】図3はこの発明に係る制御手段の一実施の
形態要部ブロック構成図である。図3において、制御手
段13は、目標トルク信号設定手段21、車速係数発生
手段18、車速係数発生手段19、乗算手段24、滑り
角差推定手段16、補正手段17、差演算手段22を備
える。
【0053】目標トルク信号設定手段21は、ROM等
のメモリに予め図8に示す操舵トルク信号Tと目標トル
ク信号IMSの特性データを記憶しておき、操舵トルクセ
ンサ12から操舵トルク信号Tが供給されると、対応す
る目標トルク信号IMSを読み出して乗算手段24に提供
する。
【0054】車速係数発生手段18は、ROM等のメモ
リを備え、予め図9に示す車速信号Vと車速係数KTの
特性データを記憶しておき、車速センサ11から車速信
号Vが供給されると、対応する車速係数KTを読み出し
て乗算手段24に提供する。
【0055】乗算手段24は、ソフト制御の乗算機能を
備え、目標トルク信号設定手段21から提供される目標
トルク信号IMSと車速係数発生手段18から提供される
車速係数KTとを乗算処理し、車速Vに応動した目標ト
ルク信号IMOを補正手段17の減算手段37に供給す
る。
【0056】車速係数KTは、図9に示すように車速信
号Vの増加に対して減少する特性を有するので、図8に
示す目標トルク信号IMOを車速信号Vの増加に対して減
少補正した目標トルク信号IMOとして生成する。
【0057】車速係数発生手段19は、ROM等のメモ
リを備え、予め図10に示す車速信号Vと車速係数KR
の特性データを記憶しておき、車速センサ11から車速
信号Vが供給されると、対応する車速係数KRを読み出
して補正手段17の乗算手段35および乗算手段36に
提供する。
【0058】滑り角差推定手段16は、メモリ、演算機
能を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、切れ角信号
δおよびメモリに予め設定した車両の寸法パラメータL
(例えば、ホイールベース)に基づいて数1から前輪滑
り角(βf)と後輪滑り角(βr)との差βfr(=βf−
βr)を演算し、角差信号βfrを補正手段17の選択手
段31、第1方向判定手段32および角差変化量演算手
段39に供給する。
【0059】
【数1】βfr=Y*L/V−δ
【0060】なお、前輪滑り角(βf)および後輪滑り
角(βr)は、タイヤの向きを基準としてタイヤの進行
方向への角度を表わすので、時計回り方向へハンドルを
切った場合、前輪タイヤの向きに対してタイヤの進行方
向は反時計回り方向となり、時計回り方向を正(プラ
ス)とすると前輪滑り角(βf)の方向は負(マイナ
ス)となる。同様に、後輪滑り角(βr)も負(マイナ
ス)となり、角差信号βfrの方向(符号)は後輪滑り角
(βr)の絶対値|βr|が前輪滑り角(βf)の絶対値
|βf|以上(|βr|≧|βf|)となるまでは、負
(マイナス)で表わす。
【0061】また、第1方向判定手段32に供給するヨ
ー角速度信号Yに代えて横加速度Gで代用してもよい。
【0062】このように、滑り角差推定手段16は、前
輪の切れ角を検出する切れ角センサ10が検出する切れ
角信号δ、車速センサ11が検出する車速信号V、ヨー
角速度センサ9が検出するヨー角速度信号Yおよび車両
の寸法パラメータLに基づいて角差βfrを演算するの
で、実際に角差を検出することなく、既存の車載センサ
を用いて角差βfrを算出することができる。
【0063】補正手段17は、選択手段31、第1方向
判定手段32、アンダステア補正量出力手段33、オー
バステア補正量出力手段34、乗算手段35、乗算手段
36、減算補正手段を構成する減算手段37、減算手段
41、角差変化量演算手段39、角差変化係数発生手段
40を備える。
【0064】選択手段31は、ソフト制御のスイッチ機
能を備え、第1方向判定手段32から供給される判定信
号HOに基づいてスイッチを切り替え、滑り角差推定手
段16から供給される角差信号βfrをアンダステア補正
量出力手段33、またはオーバステア補正量出力手段3
4に供給する。
【0065】第1方向判定手段32は、符号比較機能を
備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号β
frの方向信号Pと、ヨー角速度センサ9から供給される
ヨー角速度信号Yの方向信号Nに基づいて、方向信号P
と方向信号Nが一致(符号が同一)する場合には、例え
ばHレベルの判定信号HOを選択手段31に供給し、方
向信号Pと方向信号Nが異なる(符号が異なる)場合に
は、例えばLレベルの判定信号HOを選択手段31に供
給する。
【0066】角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信
号Yの方向信号Nとが異なる(不一致)場合、例えばヨ
ー角速度Yが時計回り方向であって、前輪の反時計回り
方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(β
r)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの
方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信号P
がマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア領域
と判定して選択手段31はアンダステア補正量出力手段
33を選択する。
【0067】一方、角差信号βfrの方向信号Pとヨー角
速度信号Yの方向信号Nとが同じ(一致)場合、例えば
ヨー角速度Yが時計回り方向であって、後輪の反時計回
り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角
(βf)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号
Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信
号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオーバステア領
域と判定して選択手段31はオーバステア補正量出力手
段34を選択する。
【0068】車両挙動の強いアンダステア領域とは、現
在の操舵状態からこれ以上ハンドルを切込んでも車両が
これ以上曲らない状態であり、ドライバに反力を強く感
じさせてハンドルを戻した方が良いことを知らせる操舵
領域である。
【0069】なお、弱いアンダステア領域では路面反力
の補正は不要であるので、図11に示すように角差信号
βfrに対するアンダステア補正量DAの不感帯領域を大
きく設定している。
【0070】一方、車両の強いオーバステア領域とは、
そのままでは車両がスピンする虞のある状態であり、ド
ライバに反力を強く感じさせてカウンタステアを行い易
くしている。
【0071】アンダステア補正量出力手段33は、RO
M等のメモリを備え、予め図11に示す角差信号の絶対
値|βfr|とアンダステア補正量DAとの特性データを
記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給さ
れると、対応するアンダステア補正量DAを読み出し、
アンダステア補正量信号DAを乗算手段35に供給す
る。
【0072】オーバステア補正量出力手段34は、RO
M等のメモリを備え、予め図12に示す角差信号の絶対
値|βfr|とオーバステア補正量DOとの特性データを
記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給さ
れると、対応するオーバステア補正量DOを読み出し、
オーバステア補正量信号DOを乗算手段36に供給す
る。
【0073】このように、補正手段17は、アンダステ
ア補正量DAを出力するアンダステア補正量出力手段3
3と、オーバステア補正量DOを出力するオーバステア
補正量出力手段34と、滑り角差推定手段16が検出す
る角差信号βfrの方向Pとヨー角速度信号Yの方向Nの
一致/不一致を判定する第1方向判定手段32と、この
第1方向判定手段32からの判定信号HOが方向不一致
の場合にはアンダステア補正量出力手段33を選択し、
方向一致の場合にはオーバステア補正量出力手段34を
選択する選択手段31とを備えたので、判定信号HOが
検出する方向によって車両挙動がアンダステア領域かオ
ーバステア領域かを判定し、車両挙動に対応した目標ト
ルク信号IMSを補正をすることができる。そして、アン
ダステア補正量、オーバステア補正量は、図11、図1
2に示すように不感帯をそれぞれ独自に設定しているの
で、アンダステア状態またはオーバステア状態に応じた
最適な補正を行うことができる。
【0074】乗算手段35は、ソフト制御の乗算機能を
備え、車速係数KR、アンダステア補正量信号DAおよび
角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としての
アンダステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)を減
算手段37に供給する。
【0075】アンダステア補正量信号IDAは、図11示
すアンダステア補正量DAを図10に示す車速係数KRで
補正するので、低車速領域ではアンダステア補正量DA
を0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではア
ンダステア補正量DAの特性と同じに設定することがで
きる。
【0076】乗算手段36は、ソフト制御の乗算機能を
備え、車速係数KR、オーバステア補正量信号DOおよび
角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としての
オーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を減
算手段41に供給する。
【0077】オーバステア補正量信号IDOは、図12に
示すオーバステア補正量DOを図10示す車速係数KRで
補正するので、低車速領域ではオーバステア補正量DO
を0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではオ
ーバステア補正量DOの特性と同じに設定することがで
きる。なお、オーバステア補正量DOは、アンダステア
補正量DAに比べ、不感帯を狭く傾きも小さく設定す
る。
【0078】減算手段37は、ソフト制御の減算機能を
備え、アンダステア領域で動作する減算補正手段を構成
し、乗算手段24から供給される目標トルク信号IMOと
乗算手段35から供給される減算補正信号であるアンダ
ステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)の差(=IM
O−IDA)を演算し、新たな目標トルク信号IMA(=IM
O−IDA)を減算手段41を介し、目標トルク信号IMH
として差演算手段22に供給する。なお、アンダステア
補正量信号IDAが出力されている場合には、オーバステ
ア補正量信号IDOは出力されない(IDO=0)ため、目
標トルク信号IMHは目標トルク信号IMA等しく(IMH=
IMA)なる。
【0079】減算手段41は、ソフト制御の減算機能を
備え、オーバステア領域で動作する減算補正手段を構成
し、乗算手段24から供給される目標トルク信号IMOと
乗算手段36から供給される減算補正信号であるオーバ
ステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)の差(=IM
O−IDO)を演算し、新たな目標トルク信号IMHとして
差演算手段22に供給する。
【0080】このように、補正手段17は、アンダステ
ア補正量出力手段33からのアンダステア補正量DAに
対応した減算補正信号IDAで目標トルク信号IMOを減算
補正する減算補正手段37と、オーバステア補正量出力
手段34からのオーバステア補正量DOに対応した減算
補正信号IDOで目標トルク信号IMOを減算補正する減算
補正手段41とを備えたので、ハンドルを介してドライ
バにアンダステア領域では目標トルク信号IMOから減算
補正信号IDAを減算補正して補助トルクを減少させて反
力を大きく伝達し、オーバステア領域では目標トルク信
号IMOから減算補正信号IDOを減算補正させて反力を大
きく伝達することができる。
【0081】角差変化量演算手段39は、微分演算機能
を備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号
βfrに微分演算を施し、角差変化量信号DV(=dβfr
/dt)を角差変化係数発生手段40に供給する。
【0082】角差変化係数発生手段40は、ROM等の
メモリを備え、予め図14に示す角差変化量DVと角差
変化係数KVの特性データを記憶しておき、角差変化量
信号DVが供給されると、対応した角差変化係数KVを読
み出して乗算手段35および乗算手段36に供給する。
【0083】角差変化量DVは、角差信号βfrの変化を
表し、したがって車両挙動の時間的な変化を表わすの
で、車両挙動の急激な変化に対応したアンダステア補正
量信号IDA(=KR*KV*DA)またはオーバステア補
正量信号IDO(=KR*KV*DO)を発生することがで
きる。
【0084】このように、補正手段17は、角差信号β
frの変化量DVを演算する角差変化量演算手段39と、
この角差変量演算手段39からの角差変化信号DVに対
応した角差変化係数KVを出力する角差変化係数発生手
段40とを備え、角差変化係数KVでアンダステア補正
量DAおよびオーバステア補正量DOを補正するので、車
両挙動が急激な変化をしても、ハンドルを介してドライ
バに反力の急な変化を伝達することができる。
【0085】図4はこの発明に係る補正手段の別実施の
形態要部ブロック構成図である。なお、本発明はアンダ
ステア状態、オーバステア状態に加え、カウンタ過大状
態も判定して各車両挙動に対応した補正をするものであ
る。
【0086】図4において、補正手段50は、図3に示
す選択手段31、第1方向判定手段図32、アンダステ
ア補正量出力手段33、オーバステア補正量出力手段3
4、乗算手段35、乗算手段36、加減算補正手段を構
成する減算手段37および加算手段38、角差変化量演
算手段39、角差変化係数発生手段40に加え、選択手
段51、第2方向判定手段52、カウンタステア補正量
出力手段53、第3方向判定手段54、選択手段55、
加算手段56、加算手段57を備える。
【0087】選択手段31、第1方向判定手段32、ア
ンダステア補正量出力手段33、オーバステア補正量出
力手段34、乗算手段35、乗算手段36、減算補正手
段を構成する減算手段37、角差変化量演算手段39、
角差変化係数発生手段40は、既に図3で説明したので
詳しい説明を省略し、必要に応じて説明に入れる。
【0088】選択手段51は、ソフト制御のスイッチ機
能を備え、第2方向判定手段52から供給される判定信
号HO2に基づいてスイッチを切り替え、選択手段31か
ら供給される角差信号βfrをアンダステア補正量出力手
段33、またはカウンタステア補正量出力手段53に供
給する。
【0089】第2方向判定手段52は、符号比較機能を
備え、滑り角差推定手段16から供給される角差信号β
frの方向信号Pと、操舵トルクセンサ12から供給され
る操舵トルク信号Tの方向信号Sに基づいて、方向信号
Pと方向信号Sが一致(符号が同一)する場合には、例
えばHレベルの判定信号HO2を選択手段51に供給し、
方向信号Pと方向信号Sが異なる(符号が異なる)場合
には、例えばLレベルの判定信号HO2を選択手段51に
供給する。
【0090】角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信
号Tの方向信号Sとが異なる(不一致)場合、例えば操
舵トルク信号Tが時計回り方向であって、前輪の反時計
回り方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角
(βr)よりも大きいような場合には、操舵トルク信号
Tの方向信号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向信
号Pがマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア
領域と判定して選択手段51はアンダステア補正量出力
手段33を選択する(破線表示)。
【0091】一方、角差信号βfrの方向信号Pと操舵ト
ルク信号Tの方向信号Sとが同じ(一致)場合、例えば
操舵トルク信号Tが時計回り方向であって、後輪の反時
計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り
角(βf)よりも大きいような場合には、操舵トルク信
号Tの方向信号Sがプラス(+)で角差信号βfrの方向
信号Pがプラス(+)となり、車両挙動のカウンタ過大
領域と判定して選択手段51はカウンタステア補正量出
力手段53を選択する(実線表示)。
【0092】ただし、第1方向判定手段32と選択手段
31は、図3で説明したと同様に、例えばヨー角速度Y
が時計回り方向であって、前輪の反時計回り方向滑り角
(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(βr)よりも大
きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向信号Nが
プラス(+)で角差信号βfrの方向信号Pがマイナス
(−)となり、選択手段31は選択手段51を選択(破
線表示)し、選択手段51は上述した第2方向判定手段
52の判定結果によってアンダステア補正量出力手段3
3またはカウンタステア補正量出力手段53を選択す
る。
【0093】また、第1方向判定手段32と選択手段3
1は、図3で説明したと同様に、角差信号βfrの方向信
号Pとヨー角速度信号Yの方向信号Nとが同じ(一致)
場合、例えばヨー角速度Yが時計回り方向であって、後
輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り
方向滑り角(βf)よりも大きいような場合には、ヨー
角速度信号Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号β
frの方向信号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオー
バステア領域と判定して選択手段31はオーバステア補
正量出力手段34を選択する(実線表示)。
【0094】カウンタステア補正量出力手段53は、R
OM等のメモリを備え、予め図13に示す角差信号の絶
対値|βfr|とカウンタステア補正量DCとの特性デー
タを記憶しておき、選択手段51から角差信号βfrが供
給されると、対応するカウンタステア補正量DCを読み
出し、カウンタステア補正量信号DCを加算手段57を
介して選択手段55に供給する。
【0095】このように、補正手段50は、第1方向判
定手段32で角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信
号Yの方向信号Nとが不一致と判定し、かつ第2方向判
定手段52で角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信
号Tの方向信号Sとが不一致と判定した場合には、車両
挙動がアンダステア状態あると判定してアンダステア補
正量出力手段33を選択する。
【0096】また、補正手段50は、第1方向判定手段
32で角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの
方向信号Nとが不一致と判定し、かつ第2方向判定手段
52で角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信号Tの
方向信号Sとが一致と判定した場合には、車両挙動がカ
ウンタ過大状態と判定してカウンタステア補正量出力手
段53を選択する。
【0097】第3方向判定手段54は、符号比較機能を
備え、角差変化量演算手段39から供給される角差変化
量信号DV(=dβfr/dt)の方向信号Dと操舵トル
ク信号Tの方向信号Sとに基づいて、方向信号Dと方向
信号Sが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレ
ベルの判定信号HO3を選択手段55に供給し、方向信号
Dと方向信号Sが異なる(符号が異なる)場合には、例
えばLレベルの判定信号HO3を選択手段55に供給す
る。なお、角差変化量信号DVの方向信号Dは、角差信
号βfrが正(+)で、かつ絶対値|βfr|が増加する時
は正(+)とし、絶対値|βfr|が減少する時は負
(−)とする。また、角差変化量信号DVの方向信号D
は、角差信号βfrが負(−)で、かつ絶対値|βfr|が
増加する時負(−)とし、絶対値|βfr|が減少する
時は正(+)とする。
【0098】角差変化量信号DV(=dβfr/dt)の
方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが不一致
(符号が異なる)となる場合には、選択手段55が乗算
手段36を選択(実線表示)し、カウンタステア補正量
DCもしくはオーバステア補正量DOを乗算手段36に供
給する。
【0099】一方、角差変化量信号DV(=dβfr/d
t)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが
一致(符号が同一)する場合には、選択手段55が加算
手段56を選択(破線表示)し、カウンタステア補正量
DCもしくはオーバステア補正量DOを加算手段56に供
給する。
【0100】加算手段56に供給されたカウンタステア
補正量DCは、乗算手段35で車速係数KRおよび角差変
化係数KVが乗算され、減算補正信号であるカウンタス
テア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)が減算手段37
に供給される。
【0101】また、乗算手段36に供給されたカウンタ
ステア補正量DCもしくはオーバステア補正量DOは、車
速係数KRおよび角差変化係数KVが乗算され、加算補正
信号であるカウンタステア補正量信号IDC(=KR*KV
*DC)もしくはオーバステア補正量信号IDO(=KR*
KV*DO)が加算手段である加算手段38に供給され
る。
【0102】以上のことから、角差変化量信号DV(=
dβfr/dt)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向
信号Sとが一致(符号が同じ)となり、オーバステア状
態が収束方向に向かう場合には、これ以上のカウンタス
テアを必要としないため、目標トルク信号IMOからカウ
ンタステア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)もしくは
オーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を減算
補正して目標トルク信号IMH(=IMO−IDC,IMO−I
DO)を出力し、ドライバにハンドルを介して大きな反力
を伝える。
【0103】また、角差変化量信号DV(=dβfr/d
t)の方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sとが
不一致(符号が異なる)し、オーバステア状態が発散方
向に向かう場合には、目標トルク信号IMOにカウンタス
テア補正量信号IDC(=KR*KV*DC)もしくはオーバ
ステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を加算補正し
て目標トルク信号IMH(=IMO+IDC,IMO+IDO)を
出力し、ドライバにハンドルを介して小さな反力を伝
え、カウンタステアを促す。
【0104】また、アンダステア状態およびオーバステ
ア状態については、図3で説明した内容と同一なので説
明を省略する。
【0105】なお、加算手段56を用いてアンダステア
補正量信号DAとカウンタステア補正量信号IDCを加算
し、乗算手段36で車速係数KRおよび角差変化係数KV
を乗算するよう構成したが、加算手段56に代えてカウ
ンタステア補正量信号IDCと車速係数KRおよび角差変
化係数KVを乗算する乗算手段を設けてカウンタステア
補正量信号IDC(=KR*KV*DC)を形成するととも
に、目標トルク信号IMOからカウンタステア補正量信号
IDCを減算補正する減算手段を設けて目標トルク信号I
MH(=IMO−IDC)を出力するよう構成してもよい。
【0106】このように、この発明に係る補正手段50
は、角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの方
向信号Nの一致/不一致を判定する第1方向判定手段3
2と、角差信号βfrの方向信号Pと操舵トルク信号Tの
方向信号Sの一致/不一致を判定する第2方向判定手段
52と、第1方向判定手段32および第2方向判定手段
52の判定結果が共に方向不一致の場合にはアンダステ
ア補正量出力手段33を選択し、第1方向判定手段32
の判定結果が方向不一致で、かつ第2方向判定手段52
の判定結果が方向一致の場合にはカウンタステア補正量
出力手段53を選択する選択手段31,51とを備えた
ので、角差信号βfr、ヨー角速度信号Yおよび操舵トル
ク信号Tの方向を判定することによって車両挙動がアン
ダステア状態かカウンタ過大状態かを判断するととも
に、アンダステア状態またはカウンタ過大状態に対応し
た補正量DA,DCを出力することができる。
【0107】また、この発明に係る補正手段50は、角
差信号βfrの微分値DVの方向信号Dと操舵トルク信号
Tの方向信号Sの一致/不一致を判定する第3方向判定
手段54と、この第3方向判定手段54の判定結果が不
一致の場合にはオーバステア補正量出力手段34もしく
はカウンタステア補正量出力手段53からのオーバステ
ア補正量DOもしくはカウンタステア補正量DCに対応し
た加算補正信号(オーバステア補正量信号IDOもしくは
カウンタステア補正量信号IDC)で目標トルク信号IMO
を加算補正し、判定結果が一致の場合にはオーバステア
補正量出力手段34もしくはカウンタステア補正量出力
手段53からのオーバステア補正量DOもしくはカウン
タステア補正量DCに対応した減算補正信号(オーバス
テア補正量信号IDOもしくはカウンタステア補正量信号
IDC)で目標トルク信号IMOを減算補正する加減算補正
手段37,38とを備えたので、角差信号βfrの微分値
DVの方向信号Dと操舵トルク信号Tの方向信号Sを判
定することによってオーバステア補正量DOもしくはカ
ウンタステア補正量DCを目標トルク信号IMOに加算し
たり、目標トルク信号IMOからオーバステア補正量DO
もしくはカウンタステア補正量DCを減算したりするこ
とによってドライバにカウンタ操作が大き過ぎるとか小
さ過ぎるとかを反力で伝えることができる。
【0108】さらに、この発明に係る補正手段50は、
角差信号βfrの変化量DVを演算する角差変化量演算手
段39と、この角差変化量演算手段39からの角差変化
信号DVに対応した角差変化係数KVを出力する角差変化
係数発生手段40とを備え、角差変化係数KVでアンダ
ステア補正量DA、オーバステア補正量DOおよびカウン
タステア補正量DCを補正するので、アンダステアまた
はオーバステアの車両挙動が急激に変化しても、ハンド
ルを介してドライバに速やかに反力の変化として伝達す
ることができる。
【0109】図5は図4に対応した補正手段の動作フロ
ー図である。ステップS1では第1方向判定手段32が
角差信号の方向Pとヨー角速度信号の方向Nの一致/不
一致の判定を行い、一致の場合にはステップS2に移行
して選択手段31がオーバステア補正量DOを選択した
後にステップS6に移行し、不一致の場合にはステップ
S3に移行して第2方向判定手段52が角差信号の方向
Pと操舵トルクの方向Sの一致/不一致の判定を行う。
【0110】ステップS3で方向が一致の場合にはステ
ップS4に移行して選択手段51がカウンタステア補正
量DCを選択した後、ステップS6に移行する。一方、
ステップS3で方向が不一致の場合にはステップS5に
移行して選択手段51がアンダステア補正量DAを選択
した後、ステップS9に移行する。
【0111】ステップS6では第3方向判定手段54が
角差信号の微分値の方向Dと操舵トルク信号の方向Sの
一致/不一致の判定を行い、不一致の場合には選択手段
55の選択によりステップS7に移行し、一致の場合に
は選択手段55の選択によりステップS9に移行する。
【0112】ステップS7ではオーバステア補正量DO
またはカウンタステア補正量DCに車速係数KRと角差変
化係数KVを乗算処理して補正量IDOまたは補正量IDC
を発生した後、ステップS8に移行して目標トルク信号
IMOに補正量IDOまたは補正量IDCを加算補正する。
【0113】ステップS9ではアンダステア補正量D
A、オーバステア補正量DOまたはカウンタステア補正量
DCに車速係数KRと角差変化係数KVを乗算処理して補
正量IDA、補正量IDOまたは補正量IDCを発生した後、
ステップS10に移行して目標トルク信号IMOから補正
量IDA、補正量IDCまたは補正量IDCを減算補正する。
【0114】図6は図4の補正手段を備えた電動パワー
ステアリング装置を搭載した車両の実舵角θ−前後輪滑
り角差βfrのリサージュ図である。図6において、実舵
角θ座標は紙面右方向が操舵角θが時計回り方向(+)
とし、前後輪滑り角差βfr座標は前輪滑り角βfが後輪
滑り角βrよりも大きい時をマイナス(−)として表わ
す。
【0115】実舵角θ座標と前後輪滑り角差βfr座標の
交点が実舵角θおよび前後輪滑り角差βfrが共に0で走
行中の車両は直進状態にある。この状態から実舵角θを
時計回り方向に(+方向)増加させるに従い、前後輪滑
り角差βfrはマイナス(−)方向に増加して車両は直進
状態を保つ。
【0116】この状態(座標第4象限)では、実舵角θ
の増加に対して前輪滑り角βfが後輪滑り角βrより増加
する傾向にあり、前輪の滑りが大きいアンダステア領域
を形成する。なお、アンダステア領域は、前後輪滑り角
差βfrが0近傍では弱アンダステア領域と称し、前後輪
滑り角差βfrが大きくなる範囲をアンダステア過大領域
と称する。
【0117】また、実舵角θおよび前後輪滑り角差βfr
が共に0の状態から操舵角θを増加させても前後輪滑り
角差βfrが0近傍にある状態をニュートラルステア領域
と称する。
【0118】ニュートラルステア領域から前後輪滑り角
差βfrがプラス(+)に移行(後輪滑り角βrが前輪滑
り角βfよりも大きく後輪が滑る状態)すると、オーバ
ステア領域(座標第1象限)に入り、オーバステアが継
続して後輪滑り角βrが大きくなると車両はスピンする
ことになる。
【0119】車両のスピンを回避するため、ハンドルを
反時計回り方向に操作して実舵角θを反時計回り方向に
(−方向)に増加させ、後輪の滑りを抑えて後輪滑り角
βr小さくコントロールすることによって座標第2象限
で車両を直進状態に復帰させることができる。この領域
(座標第2象限)をカウンタステア領域と称する。
【0120】ただし、カウンタステアを過大にすると、
車両は直進ラインを外れて半径から遠ざかってしまう問
題を生じる。さらに、初めのカウンタステアを大きくす
ると車両を直進ラインに乗せるために、ハンドルの時計
回り方向および反時計回り方向を何度も繰り返さなけれ
ばならず、車両挙動がぎくしゃくとしたものになる。
【0121】図4で説明した補正手段50を適用するこ
とにより、車両のアンダステア状態、オーバステア状態
およびカウンタ過大状態をドライバにハンドルを介して
路面反力として伝えることにより、ドライバは図6で説
明した車両挙動(ドリフト走行時)の制御を大幅に改善
することができる。
【0122】図7はこの発明に係る電動パワーステアリ
ング装置を搭載した車両でのドリフト走行説明図であ
る。図7において、半径Rのカーブをドリフト走行して
車両の進路を変更する際の動作を説明する。
【0123】車両が直進している状態()からハンド
ルを右(時計回り方向)に操作すると、前輪滑り角βf
が後輪滑り角βrよりも大きくなってアンダステア状態
(および)となる。さらに、ハンドルを右(時計回
り方向)に操作すると、後輪滑り角βrが前輪滑り角βf
よりも大きくなって車両はオーバステア状態()に入
る。
【0124】オーバステア状態が継続して後輪滑り角β
rが前輪滑り角βfよりも更に大きくなると、車両はスピ
ンしてしまうので、補助トルクを小さくしてドライバに
大きな反力を伝える。
【0125】ドライバは、ハンドルを介して補助トルク
が小さく、かつ大きな反力を感知し、ハンドルを左(反
時計方向)に操作すると、車両はカウンタステア状態
()になって補助トルクを小さくしてドライバに大き
な路面反力を伝える。
【0126】この時、ドライバが必要以上の反時計方向
のハンドル操作を行うと、前輪滑り角βfが後輪滑り角
βrよりも大きくなり、かつ操舵トルクの方向が反時計
方向であるため、補助トルクが大きく路面反力が小さな
カウンタステア過大状態となってこのままハンドル操作
を続けると車両はコーナから外側に向かって進行してし
まう。
【0127】この状態を回避するため、ドライバが時計
方向にハンドルを操作すると、後輪滑り角βrが前輪滑
り角βfよりも大きくなって車両はカウンタステア過大
状態から再度オーバステア状態なる。
【0128】このように、最初に大きなカウンタステア
過大状態に入ると、リカバリが難しく車両挙動(ドリフ
ト走行)が不安定になる。
【0129】従って、カウンタステアは前輪滑り角βf
を徐々に後輪滑り角βrに近付け、最終的に等しくなる
ようにハンドル操作(〜)をし、車両を直進状態
()にしてコーナを抜けるようにする。
【0130】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明に係る電動
パワーステアリング装置は、制御手段に、前輪滑り角と
後輪滑り角との差を推定する滑り角差推定手段と、この
滑り角差推定手段からの角差信号に基づいて目標トルク
信号を補正する補正手段とを備え、車両挙動を角差信号
から推定し、角差信号に対応した補正量で目標トルク信
号を補正し、路面反力の変化の影響を含めてステアリン
グ系に補助トルクを付加する電動機の駆動を制御するの
で、車両の通常走行時にはドライバに軽快な操舵フィー
リングを与え、車両挙動が不安定なアンダステア領域や
オーバステア領域ではドライバに路面反力を伝達して車
両挙動に対して最適なハンドル操作をさせることができ
る。
【0131】また、この発明に係る滑り角差推定手段
は、前輪の切れ角を検出する切れ角センサが検出する切
れ角信号、車速センサが検出する車速信号、ヨー角速度
センサが検出するヨー角速度信号および車両の寸法パラ
メータに基づいて角差を演算し、実際に角差を検出する
ことなく、既存の車載センサを用いて角差を算出するこ
とができ、また演算に微分処理回路を含んでいないの
で、ノイズが混入することなく、正確な滑り角差を推定
することができる。
【0132】さらに、この発明に係る補正手段は、判定
信号が検出する方向によって車両挙動がアンダステア領
域かオーバステア領域かを判定し、車両挙動に対応した
補正をするので、ドライバはアンダステアにあるかオー
バステアにあるかによって車両挙動を正確に認識するこ
とができる。
【0133】また、この発明に係る補正手段は、アンダ
ステア領域では目標トルク信号を減算補正して補助トル
クを減少させて反力を大きく伝達し、オーバステア領域
では目標トルク信号を減算補正して反力を小さく伝達す
ることができ、またその特性を別々に設定できるので、
ドライバは車両挙動を感知し、ドライバの意志で車両挙
動に対応した最適なハンドル操作を実行することができ
る。
【0134】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
変化係数でアンダステア補正量およびオーバステア補正
量を補正するので、車両挙動の急激な変化に対しても応
答性の速い的確な操舵を実現することができる。
【0135】また、この発明に係る補正手段は、角差信
号、ヨー角速度信号および操舵トルク信号の方向を判定
することによって車両挙動がアンダステア状態かオーバ
ステアかカウンタ過大状態かを判断するとともに、アン
ダステア状態、オーバステア状態またはカウンタ過大状
態に対応した補正量を出力することができるので、ドリ
フト走行のような車両挙動の限界領域であってもドライ
バの能力を最適に発揮させることができる。
【0136】さらに、この発明に係る補正手段は、角差
信号の微分値の方向と操舵トルク信号の方向を判定する
ことによってオーバステア補正量もしくはカウンタステ
ア補正量を目標トルク信号に加算したり、目標トルク信
号から減算したりすることによってドライバにカウンタ
操作量が大き過ぎるとか小さ過ぎるとかを反力で伝える
ことができるので、ドリフト走行のような車両挙動の限
界領域であってもドライバの能力を限界まで発揮させる
ことができる。
【0137】また、この発明に係る補正手段は、角差変
化係数でアンダステア補正量、オーバステア補正量およ
びカウンタステア補正量を補正するので、アンダステ
ア、オーバステアまたはカウンタステアの車両挙動が急
激に変化しても、ハンドルを介してドライバに速やかに
反力の変化として伝達することができるので、ドリフト
走行等の車両挙動の限界領域であっても速やかに対応す
ることができる。
【0138】よって、検出が難しい路面摩擦係数に基づ
いて基準横加速度を設定することなく、摩擦係数をパラ
メータとした横加速度Gが非線形領域であっても、アン
ダステア、オーバステアおよびカウンタ過大等の車両挙
動の限界領域でもドライバが正確に感知し、ドライバが
好む最適の操舵ができる電動パワーステアリング装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の
全体構成図
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の基
本要部ブロック構成図
【図3】この発明に係る制御手段の一実施の形態要部ブ
ロック構成図
【図4】この発明に係る補正手段の別実施の形態要部ブ
ロック構成図
【図5】図4の補正手段に対応した動作フロー図
【図6】図4の補正手段を備えた電動パワーステアリン
グ装置を搭載した車両の実舵角θ−前後輪滑り角差βfr
のリサージュ図
【図7】この発明に係る電動パワーステアリング装置を
搭載した車両でのドリフト走行説明図
【図8】操舵トルク信号T−目標トルク信号IMS特性図
【図9】車速信号V−車速係数KT特性図
【図10】車速信号V−車速係数KR特性図
【図11】角差信号βfr−アンダステア補正量DA特性
【図12】角差信号βfr−オーバステア補正量DO特性
【図13】角差信号βfr−カウンタステア補正量DC特
性図
【図14】角差変化量DV−角差変化係数KVの特性図
【符号の説明】 1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングホ
イール、9…ヨー角速度センサ、10…切れ角センサ、
11…車速センサ、12…操舵トルクセンサ、13…制
御手段、16…滑り角差推定手段、17…補正手段、1
8…車速係数発生手段、19…車速係数発生手段、21
…目標トルク信号設定手段、31,51,55…選択手
段、32…方向判定手段、33…アンダステア補正量出
力手段、34…オーバステア補正量出力手段、35…乗
算手段、36…乗算手段、37,41…減算手段、3
8,56,57…加算手段、39…角差変化量演算手
段、40…角差変化係数発生手段、52…第2方向反転
手段、53…カウンタステア補正量出力手段、54…第
3方向判定手段。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 137:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリング系の操舵トルクを検出する
    操舵トルクセンサと、ステアリング系に補助トルクを付
    加する電動機と、少なくとも前記操舵トルクセンサから
    の操舵トルク信号に基づいて目標トルク信号を設定する
    目標トルク信号設定手段を有する制御手段と、を備え、
    目標トルク信号に基づいて前記電動機の駆動を制御する
    電動パワーステアリング装置において、 前記制御手段は、前輪滑り角と後輪滑り角との差を推定
    する滑り角差推定手段と、この滑り角差推定手段からの
    角差信号に基づいて目標トルク信号を補正する補正手段
    と、を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング
    装置。
  2. 【請求項2】 前記滑り角差推定手段は、前輪の切れ角
    を検出する切れ角センサが検出する切れ角信号、車速セ
    ンサが検出する車速信号、ヨー角速度センサが検出する
    ヨー角速度信号および車両の寸法パラメータに基づいて
    角差を演算することを特徴とする請求項1記載の電動パ
    ワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、アンダステア補正量を
    出力するアンダステア補正量出力手段と、オーバステア
    補正量を出力するオーバステア補正量出力手段と、前記
    滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向とヨー角速
    度信号の方向の一致/不一致を判定する第1方向判定手
    段と、この第1方向判定手段からの判定信号が方向一致
    の場合には前記オーバステア補正量出力手段を選択し、
    方向不一致の場合には前記アンダステア補正量出力手段
    を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする請求
    項1記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 前記補正手段は、前記アンダステア補正
    量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減算補
    正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手段
    と、前記オーバステア補正量出力手段からのオーバステ
    ア補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を減
    算補正する減算補正手段と、を備えたことを特徴とする
    請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】 前記補正手段は、角差信号の変化量を演
    算する角差変化量演算手段と、この角差変化量演算手段
    からの角差変化信号に対応した角差変化係数を出力する
    角差変化係数発生手段と、を備え、角差変化係数でアン
    ダステア補正量およびオーバステア補正量を補正するこ
    とを特徴とする請求項3または請求項4記載の電動パワ
    ーステアリング装置。
  6. 【請求項6】 前記補正手段は、アンダステア補正量を
    出力する前記アンダステア補正量出力手段と、カウンタ
    ステア補正量を出力するカウンタステア補正量出力手段
    と、前記滑り角差推定手段が検出する角差信号の方向と
    前記ヨー角速度センサが検出するヨー角速度信号の方向
    の一致/不一致を判定する第1方向判定手段と、前記滑
    り角差推定手段が検出する角差信号の方向と前記操舵ト
    ルクセンサが検出する操舵トルク信号の方向の一致/不
    一致を判定する第2方向判定手段と、前記第1方向判定
    手段および前記第2方向判定手段の判定結果が共に方向
    不一致の場合には前記アンダステア補正量出力手段を選
    択し、前記第1方向判定手段の判定結果が方向不一致
    で、かつ前記第2方向判定手段の判定結果が方向一致の
    場合には前記カウンタステア補正量出力手段を選択する
    選択手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の
    電動パワーステアリング装置。
  7. 【請求項7】 前記補正手段は、前記アンダステア補正
    量出力手段からのアンダステア補正量に対応した減算補
    正信号で目標トルク信号を減算補正する減算補正手段
    と、角差信号の微分値の方向と操舵トルク信号の方向の
    一致/不一致を判定する第3方向判定手段と、この第3
    方向判定手段の判定結果が不一致の場合には前記オーバ
    ステア補正量出力手段もしくは前記カウンタステア補正
    量出力手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタ
    ステア補正量に対応した加算補正信号で目標トルク信号
    を加算補正し、判定結果が一致の場合には前記オーバス
    テア補正量出力手段もしくは前記カウンタステア補正量
    出力手段からのオーバステア補正量もしくはカウンタス
    テア補正量に対応した減算補正信号で目標トルク信号を
    減算補正する加減算補正手段と、を備えたことを特徴と
    する請求項6記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 【請求項8】 前記補正手段は、角差信号の変化量を演
    算する角差変化量演算手段と、この角差変化量演算手段
    からの角差変化信号に対応した角差変化係数を出力する
    角差変化係数発生手段と、を備え、角差変化係数でアン
    ダステア補正量、オーバステア補正量およびカウンタス
    テア補正量を補正することを特徴とする請求項6または
    請求項7記載の電動パワーステアリング装置。
JP24973098A 1997-09-16 1998-09-03 電動パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP3469098B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24973098A JP3469098B2 (ja) 1997-09-16 1998-09-03 電動パワーステアリング装置
US09/153,395 US6091214A (en) 1997-09-16 1998-09-15 Electric power steering apparatus
DE19842439A DE19842439B4 (de) 1997-09-16 1998-09-16 Elektrische Servolenkvorrichtung

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25119997 1997-09-16
JP9-251199 1997-09-16
JP24973098A JP3469098B2 (ja) 1997-09-16 1998-09-03 電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11152057A true JPH11152057A (ja) 1999-06-08
JP3469098B2 JP3469098B2 (ja) 2003-11-25

Family

ID=26539446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24973098A Expired - Fee Related JP3469098B2 (ja) 1997-09-16 1998-09-03 電動パワーステアリング装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US6091214A (ja)
JP (1) JP3469098B2 (ja)
DE (1) DE19842439B4 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6405113B1 (en) 1999-12-03 2002-06-11 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Vehicle behavior control apparatus
KR20020052259A (ko) * 2000-12-26 2002-07-04 이계안 편심 모먼트 억제 장치
JP2006076386A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Toyota Motor Corp 車輌用操舵制御装置
JP2006315634A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP2007269140A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP2007331702A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP2007331703A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Jtekt Corp 車両用操舵装置
US7315773B2 (en) 2003-04-02 2008-01-01 Jtekt Corporation Vehicle motion control method and vehicle motion control apparatus
JP2008254651A (ja) * 2007-04-06 2008-10-23 Mitsubishi Motors Corp 車両の操舵制御装置
JP2009143371A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3344463B2 (ja) * 1998-04-27 2002-11-11 トヨタ自動車株式会社 車両用操舵制御装置
JP3497746B2 (ja) 1998-10-26 2004-02-16 本田技研工業株式会社 電動パワーステアリング装置
JP2000198456A (ja) * 1998-12-28 2000-07-18 Honda Motor Co Ltd 電動パワ―ステアリング装置
JP3752882B2 (ja) * 1999-04-01 2006-03-08 豊田工機株式会社 電動パワーステアリング制御装置
JP3625391B2 (ja) * 1999-04-07 2005-03-02 三菱電機株式会社 車両のステアリング角度制御装置
GB9919277D0 (en) * 1999-08-17 1999-10-20 Trw Lucas Varity Electric Method and apparatus for controlling an electric power assisted steering system using an adaptive blending torque filter
JP2003534180A (ja) * 1999-12-29 2003-11-18 デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 電動式パワーステアリングシステムを組み込んだ自動車の安定性を改良するための方法及びシステム
US6293366B1 (en) * 2000-02-16 2001-09-25 Ford Global Technologies, Inc. Vehicle electric power assist steering system and method using angle based torque estimation
US6564897B2 (en) 2000-02-29 2003-05-20 Crown Equipment Corporation Synchronized/variable force feedback power steering
JP3236004B1 (ja) * 2000-10-31 2001-12-04 富士重工業株式会社 車両の路面摩擦係数推定装置
GB2372020A (en) * 2001-02-07 2002-08-14 Lucas Industries Ltd Haptic controller for electrically-assisted power steering in road vehicles
US6637543B2 (en) * 2001-02-14 2003-10-28 Delphi Technologies, Inc. Oversteer control for a motor vehicle
JP2005517572A (ja) 2002-02-14 2005-06-16 コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト ドライビングスタビリティを制御する方法
JP4193113B2 (ja) * 2003-02-27 2008-12-10 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP3960266B2 (ja) * 2003-05-28 2007-08-15 トヨタ自動車株式会社 車輌用操舵制御装置
JP2006036143A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Showa Corp 電動パワーステアリング装置
US7565946B2 (en) * 2005-10-11 2009-07-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle counting counter-steer operation by driver in oversteer suppress control
DE102007020169A1 (de) * 2006-04-27 2007-10-31 Continental Teves Ag & Co. Ohg Verfahren und Vorrichtung zum Ermitteln eines optimalen Lenkwinkels in Untersteuersituationen eines Fahrzeugs
EP1920994B1 (en) * 2006-11-08 2010-05-26 Ford Global Technologies, LLC Roll stability control and roll-over mitigation by steering actuation
JP2008222115A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Honda Motor Co Ltd 電動パワーステアリング装置
FR2919254B1 (fr) * 2007-07-23 2009-12-25 Jtekt Europe Sas Systeme de direction assistee de vehicule automobile
US8280591B2 (en) * 2007-09-11 2012-10-02 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Method for monitoring the vehicle handling of a two track vehicle
DE102007055773A1 (de) * 2007-12-12 2009-06-18 Zf Lenksysteme Gmbh Verfahren für den Betrieb einer elektrischen Hilfskraftlenkung
MX2008014783A (es) * 2008-02-05 2009-08-27 Krueger Int Inc Armazon para silla con soporte hueco ergonomico integral.
US20090200099A1 (en) * 2008-02-11 2009-08-13 Ray Tat-Lung Wong Electric power steering control system
JP4550910B2 (ja) * 2008-03-04 2010-09-22 三菱電機株式会社 車両挙動検出装置
JP4603596B2 (ja) * 2008-05-16 2010-12-22 本田技研工業株式会社 車体流れ抑制装置
JP5430505B2 (ja) * 2010-06-25 2014-03-05 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
DE112013006493T5 (de) * 2013-01-23 2015-11-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fahrzeugsteuereinrichtung
CN104175861B (zh) * 2014-08-25 2016-08-24 安徽工程大学 一种全轮驱动全轮转向电动叉车底盘驱动系统及控制方法
DE102021200733A1 (de) 2021-01-27 2022-07-28 Thyssenkrupp Ag Fahrzeug mit einer Einrichtung zur Stabilisierung des Fahrzeugs im Falle des Übersteuerns, sowie Verfahren zur Stabilisierung eines Fahrzeugs im Falle des Übersteuerns
DE102021201141A1 (de) * 2021-02-08 2022-08-11 Continental Automotive Gmbh Regelungseinrichtung und Verfahren zur Lenkwinkelregelung eines Fahrzeugs

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3707312A (en) * 1971-01-22 1972-12-26 Trw Inc Four wheel skid control system with dynamic proportioning
US3687242A (en) * 1971-03-08 1972-08-29 Gen Motors Corp Anti-lock brake system with wheel speed comparator
FR2558130B1 (fr) * 1984-01-13 1987-07-17 Honda Motor Co Ltd Systeme de direction pour vehicules dont les roues arriere sont dirigees en association avec les roues avant
JPH0615340B2 (ja) * 1985-12-27 1994-03-02 日産自動車株式会社 操舵反力制御装置
US4751978A (en) * 1987-03-16 1988-06-21 Trw Inc. Electric assist steering system with alternator power source
JPH0558318A (ja) * 1991-09-05 1993-03-09 Toyota Motor Corp パワーステアリング装置
US5528497A (en) * 1992-09-16 1996-06-18 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Vehicle steering control system
US5991675A (en) * 1993-06-02 1999-11-23 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Vehicle control system based on estimation of the driving skill of a vehicle operator
JP3229074B2 (ja) * 1993-06-04 2001-11-12 本田技研工業株式会社 車両用操舵装置
US5473231A (en) * 1994-05-11 1995-12-05 Trw Inc. Method and apparatus for controlling an electric assist steering system using an adaptive torque filter
US5475289A (en) * 1994-11-04 1995-12-12 Trw Inc. Method and apparatus for controlling an electric assist steering system using two-dimensional interpolation for current commands
JP3189610B2 (ja) * 1995-02-20 2001-07-16 トヨタ自動車株式会社 車両挙動制御装置
JP3525969B2 (ja) * 1995-12-01 2004-05-10 本田技研工業株式会社 電動パワーステアリング装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6405113B1 (en) 1999-12-03 2002-06-11 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Vehicle behavior control apparatus
KR20020052259A (ko) * 2000-12-26 2002-07-04 이계안 편심 모먼트 억제 장치
US7315773B2 (en) 2003-04-02 2008-01-01 Jtekt Corporation Vehicle motion control method and vehicle motion control apparatus
JP4501605B2 (ja) * 2004-09-08 2010-07-14 トヨタ自動車株式会社 車輌用操舵制御装置
JP2006076386A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Toyota Motor Corp 車輌用操舵制御装置
JP2006315634A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP4661342B2 (ja) * 2005-05-16 2011-03-30 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置
JP2007269140A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP2007331703A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP2007331702A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP4730223B2 (ja) * 2006-06-19 2011-07-20 株式会社ジェイテクト 車両用操舵装置
JP2008254651A (ja) * 2007-04-06 2008-10-23 Mitsubishi Motors Corp 車両の操舵制御装置
JP2009143371A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置

Also Published As

Publication number Publication date
DE19842439A1 (de) 1999-03-18
DE19842439B4 (de) 2006-08-31
JP3469098B2 (ja) 2003-11-25
US6091214A (en) 2000-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3469098B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3497746B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
US6405113B1 (en) Vehicle behavior control apparatus
JP5819358B2 (ja) 車両用操舵装置
US8655550B2 (en) Electric power steering system and method for controlling the same
EP3552924B1 (en) Four-wheel steering system
JP2002046640A (ja) 車両の操舵支援装置
JP2017202772A (ja) 運転支援方法及び運転支援装置
US5541841A (en) Vehicle speed responsive power steering system with means for assisting steered state
JP3647285B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3630278B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6662189B2 (ja) 運転支援方法及び運転支援装置
JPH06263050A (ja) パワーステアリング装置
JPH01247281A (ja) 前後輪操舵車両の操舵制御装置
JP5244031B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2003226255A (ja) 車両の運転制御装置
JP3630280B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3630281B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3603991B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3180695B2 (ja) 後輪操舵制御装置
JP4008588B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP3166388B2 (ja) 操舵力制御装置
JPH11245836A (ja) 車両用操舵装置
JP2532113B2 (ja) 前後輪操舵車両の操舵制御装置
JP2009279994A (ja) 車体流れ抑制装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070905

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080905

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080905

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090905

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100905

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100905

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130905

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140905

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees