JP4148950B2 - 受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アレーアンテナを用いた無線通信装置の受信装置におけるパス検出及び到来方向推定技術に関する。
DS-CDMA 方式の移動通信システムの基地局においては、移動機からの電波が建物などの反射により複数の遅延時間の異なる経路を経て到来するので、それらをかき集めて合成するRAKE受信が採用されている。RAKE受信を行なう受信装置には、RAKEの各フィンガに与える逆拡散符号の位相、すなわち、パスタイミングを決定するためのパスサーチを行なうサーチャが設けられる。サーチャにおいては、所定の符号との相関をとるマッチドフィルタによる相関処理が行なわれ、その出力を積算して遅延プロファイルを得、遅延プロファイル中のピークを検出することでパスタイミングを得ている。
上記のような基地局の無線通信装置にアレーアンテナを導入して、移動機の方向に応じてアンテナの指向性(ビームフォーマにより形成されたビームの方向)を適応的に変更できるようにすれば、より多くの移動機を収容できるようになることが期待される。その場合に、移動機の送信パワーはさらに低く制御されるようになることから、サーチャにおけるパス検出の精度を一層向上させる必要がある。
下記特許文献1には、アレーアンテナを構成する複数のアンテナで受信された信号のそれぞれについての相関処理の結果を電力値に変換した後に単に合計したものから遅延プロファイルを得ることが記載されている。特許文献1にはさらに、複数の相関処理結果からアンテナ間相関を算出し、これを積算したものを受信部のビームフォーマの初期値とすることにより、ビームフォーマに与えるウェイトをサーチャによる同期がとれた後直ちに収束させて受信を開始できるようにすることが記載されている。
特開2002-84216号公報
前記特許文献1では、到来位相の異なる複数の電波から得られた相関処理結果を単に電力合成して遅延プロファイルを得ているので、パス検出と精度の向上に限界があるという問題がある。
本発明の目的は、アレーアンテナが採用された受信装置のパス検出の精度を向上することにある。
本発明によれば、複数のフィンガから成ってRAKE受信を行なう受信部と受信部の各フィンガに与えるパスタイミングを検出するサーチャとを具備する受信装置であって、受信部の各フィンガはそれぞれアレーアンテナを構成する複数のアンテナからの受信信号からビームフォーミングを行なう第1のビームフォーマを具備し、サーチャは、複数のアンテナからの受信信号のそれぞれについて相関処理を行なう複数の相関処理部と、複数の相関処理部の出力に基いて、到来方向を推定する到来方向演算部と、到来方向演算部の推定結果に従って複数の相関処理部の出力に対してビームフォーミングを行なう第2のビームフォーマと、第2のビームフォーマの出力に基いてパスタイミングの検出を行なうパス検出部とを具備する受信装置が提供される。
到来方向演算部の推定結果は第1のビームフォーマにおいて用いることができる。
到来方向演算部の推定結果は送信装置に具備される第3のビームフォーマにおいても用いることができる。
前述の受信装置は、複数の相関処理部の後段かつ第2のビームフォーマの前段に設けられた遅延回路をさらに具備することが好ましい。
また前述の受信装置は、第2のビームフォーマの後段かつパス検出部の前段に設けられ、第1の平均化時定数で第2のビームフォーマの出力を平均化する第1の平均化部をさらに具備し、到来方向推定部は、複数の相関処理部の出力を入力として到来方向推定の演算を行なう演算部と、演算部の出力を第1の平均化時定数とは異なる第2の平均化時定数で平均化する第2の平均化部を含むことも好ましい。
図1に本発明の一実施例に係る受信機の構成を示す。
アレーアンテナ10の各アンテナで受信された無線周波の信号は、図示しない周波数変換部及び直交復調部でI相およびQ相からなるベースバンド信号に変換された後、図示しないA/D変換器により標本化、量子化されて複素数のディジタルベースバンド信号に変換され、パスタイミングを検出するサーチャ12と、アダプティブアレー受信を行う受信信号処理部14に入力される。
本発明のサーチャ12は、アレーアンテナ10の全てのアンテナの信号を入力し、アンテナ毎に設けられた相関処理部16で拡散符号との相関をとる。各アンテナの相関処理後の信号は、ビームフォーマ18により信号の到来方向にビームを形成し、電力変換(20)、時間平均化(22)を行って遅延プロファイル24を生成することで、ビームフォーミングの利得を有するパス検出を行う(26)。またサーチャ12側のビームフォーマ18に適用するウェイトは、サーチャ12内でアンテナ毎の相関処理後の信号を用いて、到来方向(DOA )を推定し(28)、ウェイトに変換する(30)ことで得ている。サーチャ12で推定した、パスタイミングの情報は、アレーアンテナ受信信号処理部14でフィンガ割当31、逆拡散処理32に用いられ、DOA 情報は、ビームフォーマ33のウェイト更新部34のDOA 情報としてまたはその初期値として使用できる。サーチャ12で得られたDOA 情報を初期値として使用することで、サーチャ12で同期が得られたら直ちに受信信号処理部14における受信処理を開始することができる。サーチャで得られたDOA 情報を、図示しない送信部に設けられるビームフォーマのためのDOA 情報として用いることも可能である。
これにより、アレーアンテナを用いた無線通信システムにおいて、アンテナ1素子当りの受信信号が小さくなった場合でも、高感度で安定したパス検出を行うことで、高品質な受信特性を実現する。同時に到来方向推定を行うことも可能である。またアレーアンテナによりビーム形成を行う際に問題となるビーム外から到来する信号についても、パス検出することが可能である。
図1を参照して説明したサーチャ12における処理を実施する具体的な構成を図2のブロック図に示す。
図1の相関処理16は図2のマッチドフィルタ40および同相加算部42で実施される。アレーアンテナで受信された信号は、アンテナ毎にマッチドフィルタ40で拡散コードとの相関演算を行ない、同相加算部42においてシンボル位相について同相で加算する。同相加算後の各アンテナの信号は、ビームフォーミング(18)される。ビームフォーミング後の信号に複素共役を乗算することによって電力に変換し、時間平均化することで電力遅延プロファイルを生成し(44)、しきい値判定に基づく有効パスの検出を行う(26)。
次にDOA 推定の方法について説明する。アンテナ毎の同相加算された信号は、アンテナ間の受信位相差を推定することでDOA を推定できる。特にアレーアンテナが等間隔直線アレー配置の際は、図2に詳細を示したDOA 推定演算部45のように隣合うアンテナ間を複素乗算し(46)(ただし基準側は*で示すように複素共役を使用)、等間隔であることから全ての出力を複素加算し(48)、時間平均化(50)することにより、アンテナ間相関を求めることでDOA 推定を行う。ここで、時間平均化を行って得られた、DOA 推定を行うために必要なプロファイルをDOA プロファイルと呼ぶことにする。DOA 推定値からウェイトに変換し(図1:30)、遅延プロファイル生成のためのビームフォーミングのウェイトとして用いている。また、DOA 検出部52において、検出したパスのタイミングにおけるDOA プロファイルの値を参照することにより、パスごとにDOA 情報を得ることができる。
図3はサーチャにおける処理の他の例を示す。図2の例では、最初のDOA 推定を行って初めてビームフォーマのウェイトを設定するまでの間、ビームフォーミングによるプロファイル生成を行うことができない。連続的に送信されて来る信号をパスサーチする場合には、さほど問題とならないが、短い単一バーストで構成される間欠信号をサーチする場合には、ウェイトを推定できたときには既に信号が終わっていてビームフォーミングを行うことができない場合があり、アレーアンテナの効果を得てパス検出または信号検出をすることができない。そこで図3に示した例では、ビームフォーマ18の前に遅延回路60を設けておき、DOA を推定してウェイトが求まるまで信号を遅延させることにより、常にビームフォーミングを行ってパス検出を行うことができ、間欠信号の受信も可能としたものである。
さらに、プロファイル生成部44における遅延プロファイルの平均化時間とDOA プロファイル生成部50(図2)におけるDOA 推定の平均化時間を異なったものにすることが望ましい。これは、遅延プロファイルの平均化時間とDOA 推定の平均化時間が同じで両者が同期してしまうと、両プロファイルの起源は雑音を含む同一の信号であるため、雑音に対してもビームフォーミングを行なう結果となり、ビームフォーミングを行っても雑音抑圧効果が減ってしまうからである。図4aおよび図4bに移動平均の時、図5aおよび図5bに指数平均の時の平均化時間を示す。これらの図には遅延プロファイルの平均化時間よりもDOA 推定の平均化時間を長くした場合について示されているが、逆に遅延プロファイルの平均時間のほうを長くしても良い。遅延プロファイルとDOA 推定の平均化時間を異なったもの、あるいは異なった時刻にすることで、雑音の時刻でのウェイトに相関が出るのを抑えることができる。
発明の効果
本発明のサーチャは、アレーアンテナを用いてビーム形成を行って遅延プロファイルを生成しパス検出を行うため、高精度なパスサーチ動作と到来方向推定が可能である。
以上のことは、CDMA移動通信システムにアレーアンテナを適用した際、パスサーチ特性の劣化及び形成したビームの不完全性による送信電力の増加を抑えることができる。従って、他ユーザからの干渉量によりシステム容量が制限されるCDMA方式において、アレーアンテナ適用時に特性劣化を招くことなく、システム容量の増加が可能である。
本発明の一実施例に係る受信機の構成を示す図; 図1のサーチャ12における処理の一例を示す図; 図1のサーチャ12における処理の他の例を示す図;および 遅延プロファイル平均化時間とDOA プロファイル平均化時間の関係を示す図である。 遅延プロファイル平均化時間とDOA プロファイル平均化時間の関係を示す図である。 遅延プロファイル平均化時間とDOA プロファイル平均化時間の関係を示す図である。 遅延プロファイル平均化時間とDOA プロファイル平均化時間の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 複数のフィンガから成ってRAKE受信を行なう受信部と受信部の各フィンガに与えるパスタイミングを検出するサーチャとを具備する受信装置であって、受信部の各フィンガはそれぞれアレーアンテナを構成する複数のアンテナからの受信信号からビームフォーミングを行なう第1のビームフォーマを具備し、サーチャは、
    複数のアンテナからの受信信号のそれぞれについて相関処理を行なう複数の相関処理部と、
    複数の相関処理部の出力に基いて、到来方向を推定する到来方向演算部と、
    到来方向演算部の推定結果に従って複数の相関処理部の出力に対してビームフォーミングを行なう第2のビームフォーマと、
    第2のビームフォーマの出力に基いてパスタイミングの検出を行なうパス検出部と
    複数の相関処理部の後段かつ第2のビームフォーマの前段に設けられた遅延回路とを具備する受信装置。
  2. 到来方向演算部の推定結果が第1のビームフォーマにおいて用いられる請求項1記載の受信装置。
  3. 到来方向演算部の推定結果が、送信装置に具備される第3のビームフォーマにおいて用いられる請求項1または2記載の受信装置。
  4. 第2のビームフォーマの後段かつパス検出部の前段に設けられ、第1の平均化時定数で第2のビームフォーマの出力を平均化する第1の平均化部をさらに具備し、
    到来方向推定部は、複数の相関処理部の出力を入力として到来方向推定の演算を行なう演算部と、演算部の出力を第1の平均化時定数とは異なる第2の平均化時定数で平均化する第2の平均化部を含む請求項1〜のいずれか1項記載の受信装置。
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