JP4142208B2 - 移動農機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインまたは耕耘トラクタまたは圃場管理車などの移動農機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、走行変速レバーの操作によって走行速度を無段階に変更自在なベルトまたは油圧無段変速機構を介して左右走行クローラに駆動力を伝えて任意の車速で移動させると共に、操向ハンドルによって操向用の無段変速機構を操作して差動機構を制御し、左右走行クローラの駆動速度の差を無段階に変化させ、走行進路を変更させる技術がある。しかし乍ら、操向ハンドルの操向操作だけでは直進時と旋回時とで車速が略一定に保たれ、旋回半径が小さいスピンターン動作などを行うときに走行変速レバーにより減速操作を行う必要があり、圃場枕地で方向転換するときに操向ハンドル操作と走行変速レバー操作の両方を行う必要がある。そこで、操向ハンドル操作と連動させて車速を自動的に減速させ、かつ直進走行に戻すハンドル操作と連動させて元の車速に自動的に増速させることにより、操向ハンドル操作だけでスピンターン動作などを適正車速に減速させて行え、面倒な走行変速操作を省けるが、スピンターンが不要な作業のときに減速によって作業能率が低下する不具合があると共に、湿田作業のときに減速によって走行性能が低下する不具合がある。また、操向ハンドル操作量に対する車速の減速比を小さくすると、路上または乾田などで機敏な旋回動作を得られず、特に乾田作業での方向転換(スピンターン)性能が低下する不具合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、走行変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、圃場表面泥土層が乾いている乾田走行に適している乾田モードと、圃場表面泥土層が軟弱な湿田走行に適している湿田モードとに分けて走行変速と操向の各制御を関連させて行わせるように構成し、旋回内側の走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン旋回走行と、操向ハンドル(19)の最大操作量で旋回内側の走行クローラ(2)の回転方向を旋回外側の走行クローラ(2)と同一方向に維持する非スピンターン旋回走行を、選択切換自在として、前記湿田モードで非スピンターン旋回走行に選択切換することができるようにし、走行変速レバー(73)操作量によって決定される車速を操向ハンドル(19)操作量に比例させて減速させると共に、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更自在とした移動農機であって、車速を操向ハンドル(19)角度によって減速させる減速時と減速させない不減速時とを切換選択するもので、不減速時に非スピンターン旋回走行を選択可能としたことを特徴とする移動農機を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は左右一対の走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は丸形操向ハンドル(19)及び運転席(20)などを備える運転台、(21)は運転席(20)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0005】
さらに、図3に示す如く、前記走行クローラ(2)を駆動するミッションケース(22)は、1対の第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)を備えて走行主変速用の油圧式無段変速機構を形成する変速部材(25)と、1対の第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)を備えて旋回用の油圧式無段変速機構を形成する操向部材(28)とを備え、前記エンジン(21)の出力軸(21a)に第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)の入力軸(29a)(29b)を伝達ベルト(30a)(30b)によって連結させ、前記各油圧ポンプ(23)(26)を駆動するように構成している。
【0006】
また、前記第1油圧モータ(24)の出力軸(31)に、副変速機構(32)及び差動機構(33)を介して左右走行クローラ(2)の各駆動輪(34)を連動連結させるもので、前記差動機構(33)は左右対称の1対の遊星ギヤ機構(35)(35)を有し、各遊星ギヤ機構(35)は1つのサンギヤ(36)と、該サンギヤ(36)の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ(37)と、これらプラネタリギヤ(37)に噛合うリングギヤ(38)などで形成している。
【0007】
前記プラネタリギヤ(37)はサンギヤ軸(39)と同軸線上とのキャリヤ軸(40)のキャリヤ(41)にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ(36)(36)を挾んで左右のキャリヤ(41)を対向配置させると共に、前記リングギヤ(38)は各プラネタリギヤ(37)に噛み合う内歯(38a)を有してサンギヤ軸(39)とは同一軸芯上に配置させ、キャリヤ軸(40)に回転自在に軸支させ、キャリヤ軸(40)を延設して車軸を形成して駆動輪(34)を軸支させている。
【0008】
また、走行用の油圧式無段変速部材(25)は、第1油圧ポンプ(23)の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ(24)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第1油圧モータ(24)の回転出力を出力軸(31)の伝達ギヤ(42)より各ギヤ(43)(44)(45)及び副変速機構(32)を介して、サンギヤ軸(39)に固定したセンタギヤ(46)に伝達してサンギヤ(36)を回転するように構成している。前記副変速機構(32)は、前記ギヤ(44)を有する副変速軸(47)と、前記ギヤ(45)を介してセンタギヤ(46)に噛合うギヤ(48)を有する駐車ブレーキ軸(49)とを備え、副変速軸(47)とブレーキ軸(49)間に各1対の低速用ギヤ(50)(51)・中速用ギヤ(52)(53)・高速用ギヤ(54)(48)を設けて、低中速スライダ(55)及び高速スライダ(56)のスライド操作によって副変速の低速・中速・高速の切換を行うように構成している。なお低速・中速間及び中速・高速間には中立を有する。また前記ブレーキ軸(49)に駐車ブレーキ(57)を設けると共に、刈取部(8)に回転力を伝達する刈取PTO軸(58)にギヤ(59)(60)及び一方向クラッチ(61)を介して副変速軸(47)を連結させ、刈取部(8)を車速同調速度で駆動している。
【0009】
上記のように、前記センタギヤ(46)を介しサンギヤ軸(39)に伝達された第1油圧モータ(24)からの駆動力を、左右の遊星ギヤ機構(35)を介して左右キャリヤ軸(40)に伝達させると共に、左右キャリヤ軸(40)に伝達された回転を左右の駆動輪(34)にそれぞれ伝え、左右走行クローラ(2)を駆動するように構成している。
【0010】
さらに、旋回用の油圧式無段変速機構で形成する操向部材(28)は、第2油圧ポンプ(26)の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ(27)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、操向出力ブレーキ(62)を有するブレーキ軸(63)と、操向出力クラッチ(64)を有するクラッチ軸(65)と、前記の左右リングギヤ(38)の外歯(38b)に常時噛合させる左右入力ギヤ(66)(67)を設け、第2油圧モータ(27)の出力軸(68)に前記ブレーキ軸(63)及び操向出力クラッチ(64)を介してクラッチ軸(65)を連結させ、クラッチ軸(65)に正転ギヤ(69)を介して右入力ギヤ(67)を連結させ、またクラッチ軸(65)に正転ギヤ(69)及び逆転ギヤ(70)を介して左入力ギヤ(66)を連結させている。そして、副変速スライダ(55)(56)の中立によって前記ブレーキ(62)を入にしかつクラッチ(64)を切にする一方、前記中立以外の副変速出力時にブレーキ(62)を切にしかつクラッチ(64)を入にし、右側のリングギヤ(38)の外歯(38b)に正転ギヤ(69)を介してモータ(27)回転力を伝え、また左側のリングギヤ(38)の外歯(38b)に正転ギヤ(69)及び逆転ギヤ(70)を介してモータ(27)回転を伝え、第2油圧モータ(27)を正転(逆転)時、左右同一回転数で、左リングギヤ(38)を逆転(正転)させ、かつ右リングギヤ(38)を正転(逆転)とさせるように構成している。
【0011】
而して、旋回用の第2油圧モータ(27)を停止させて左右リングギヤ(38)を静止固定させた状態で、走行用の第1油圧モータ(24)を駆動すると、第1油圧モータ(24)からの回転出力はセンタギヤ(46)から左右のサンギヤ(36)に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構(35)のプラネタリギヤ(37)・キャリヤ(41)を介して左右の走行クローラ(2)が左右同一回転方向で同一回転数によって駆動され、機体の前後方向直進走行が行われる。一方、走行用の第1油圧モータ(24)を停止させて左右のサンギヤ(36)を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧モータ(27)を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構(35)が正或いは逆回転、また右側の遊星ギヤ機構(35)が逆或いは正回転し、左右走行クローラ(2)を逆方向に駆動し、機体を左或いは右に旋回させる。また、走行用の第1油圧モータ(24)を駆動させながら、旋回用の第2油圧モータ(27)を駆動することにより、機体が左右に旋回して進路が修正されるもので、機体の旋回半径は第2油圧モータ(27)の出力回転数によって決定される。
【0012】
さらに、図2、図4乃至図13に示す如く、前記運転台(18)の前部上面にステアリングコラム(71)を立設固定させ、ステアリングコラム(71)上面上方側に操向ハンドル(19)を縦軸回りに回転自在に取付けると共に、運転台(18)左側にサイドコラム(72)を設け、サイドコラム(72)下方にミッション(22)を配設させ、主変速レバー(73)、副変速レバー(74)、刈取クラッチレバー(75)、脱穀クラッチレバー(76)を前記サイドコラム(72)に取付ける。また、前記ステアリングコラム(71)は、アルミニウム合金鋳物を成形加工して形成し、左右に分割自在な2つ割れ構造で複数のボルト(77)で締結して箱形に形成している。
【0013】
また、前記ステアリングコラム(71)上部にチルト台(78)を一体形成し、チルト台(78)に支点ボルト(79)を介してチルトブラケット(80)を回転自在に軸支させ、チルトレバー(81)によってチルトブラケット(80)を角度調節自在に固定させる。前記チルトブラケット(80)に軸ケース(82)下部を一体固定させ、コラム(71)上面に固定させる上面カバー(83)上方に軸ケース(82)を延設させ、軸ケース(82)内部に上ハンドル軸(84)を回転自在に軸支させ、上ハンドル軸(84)上端に操向ハンドル(19)を固定させ、チルトレバー(81)操作により支点ボルト(79)回りにハンドル(19)を前後方向に移動調節して一定位置に支持させ、ハンドル(19)取付け位置を前後方向に調節して作業者が操作し易い位置に固定させる。
【0014】
また、前記上ハンドル軸(84)の下端部に自在継手(85)を介して下ハンドル軸(86)上端側を連結させ、下ハンドル軸(86)をステアリングコラム(71)上部に回転自在に軸支させると共に、ステアリングコラム(71)上部に操向入力軸(87)上端部を回転自在に軸支させ、下ハンドル軸(86)のギヤ(88)と操向入力軸(87)のセクタギヤ(89)を噛合させて各軸(86)(87)を連結させ、ステアリングコラム(71)内部の略中央で上下方向に操向入力軸(87)を延設させる。
【0015】
さらに、前記ステアリングコラム(71)の左側面で上下幅略中間に軸受部材(90)を着脱自在に固定させ、変速入力軸(91)の一端部を軸受部材(90)にベアリング(92)を介して回転自在に片持ち支持させ、変速入力軸(91)を左右方向に略水平に軸支させると共に、操向入力軸(87)下端に自在継手(93)を介して入力支点軸(94)上端側を連結させ、入力支点軸(94)に操向入力部材(95)を固定させ、変速入力軸(91)に操向入力部材(95)を回転自在に取付けると共に、操向入力部材(95)に入力連結体(96)を着脱自在に固定させ、連係ボルト(97)によって前記操向入力部材(95)と入力連結体(96)を連結させ、また変速入力軸(91)にベアリング(95a)を介して操向入力部材(95)を回転自在に軸支させ、操向入力部材(95)を操向入力軸(87)回りに回転自在に支持させる。また、前記操向入力軸(87)の正逆転によって操向入力部材(95)を略垂直な入力軸(87)芯線回りに正逆転させると共に、前記変速入力軸(91)の正逆転によって略水平な左右方向の入力軸(91)芯線回りに入力支点軸(94)及び操向入力部材(95)を前後方向に傾動させるもので、垂直方向の操向入力軸(87)芯線と左右水平方向の変速入力軸(91)芯線とが直角交叉する交点に自在継手(93)を取付け、操向ハンドル(19)の操向入力軸(87)正逆転操作により操向入力軸(87)芯線回りに操向入力部材(95)と入力連結体(96)を正逆転させる。
【0016】
さらに、前記ステアリングコラム(71)の下部前側に主変速軸(99)を回転自在に軸支させ、左右方向に略水平に横架させる主変速軸(99)の左側端をステアリングコラム(71)の左側外方に突設させると共に、サイドコラム(72)下方の機台(3)に回転自在に設ける中介軸(100)に、リンク(101)(102)並びに長さ調節ターンバックル(103)付きロッド(104)を介して主変速軸(99)を連結させる。また、図4の如く、レバー支点軸(105)を介して機台(3)に回転自在に支点板(106)を取付け、支点板(106)に筒軸(107)を介して主変速レバー(73)基部を左右方向に揺動自在に取付けると共に、支点板(106)にリンク(108)(109)を介して中介軸(100)を連結させ、主変速レバー(73)をレバー支点軸(105)回りに前後方向に揺動させる変速操作によって主変速軸(99)を正逆転させる。また、ロッド形主変速部材(110)及び上連結板(111)及び下リンク(112)を介して変速入力軸(91)に主変速軸(99)を連結させ、主変速レバー(73)の主変速軸(99)正逆転操作により前記操向入力部材(95)を変速入力軸(91)芯線回りに前後に傾動させる。
【0017】
さらに、筒軸形の操向出力軸(113)を前記主変速軸(99)に回転自在に取付け、リンク形操向出力部材(114)を操向出力軸(113)に固定させると共に、ロッド形操向結合部材(115)の上端部を前記入力連結体(96)に自在継手形操向入力連結部(116)を介して連結させ、球関継手形操向出力連結部(117)を介して操向結合部材(115)の下端部を操向出力部材(114)に連結させ、走行進路を変更させる操向機構(118)を構成している。
【0018】
さらに、前記操向出力軸(113)の上方で該軸(113)と略平行に変速出力軸(119)をステアリングコラム(71)内部に回転自在に軸支させ、リンク形変速出力部材(120)を変速出力軸(119)に固定させると共に、ロッド形変速結合部材(121)の上端部を前記入力連結体(96)に自在継手形変速入力連結部(122)を介して連結させ、球関継手形変速出力連結部(123)を介して変速結合部材(121)の下端部を変速出力部材(120)に連結させ、走行速度の変更並びに前後進の切換を行う変速機構(124)を構成している。
【0019】
さらに、互に回転自在な二重軸構造の内側の操向操作軸(125)並びに外側の変速操作軸(126)をステアリングコラム(71)の下部後側で左右幅中央の軸受部(127)に回転自在に取付けるもので、長さ調節自在な球関継手軸(128)及び変速リンク(129)(130)を介して前記変速出力軸(119)に変速操作軸(126)上端部を連結させると共に、長さ調節自在な球関継手軸(131)及び操向リンク(132)(133)を介して前記操向出力軸(113)に操向操作軸(125)上端部を連結させる。
【0020】
また、前記各操作軸(125)(126)は同一軸芯上に略垂直にステアリングコラム(71)底部に立設させ、各操作軸(125)(126)上端部をステアリングコラム(71)内部に延設させて各出力軸(113)(119)に連結させると共に、ステアリングコラム(71)底面下方に各操作軸(125)(126)下端部を突設させ、前記運転台(20)の作業者搭乗ステップ(134)下面側に各操作軸(125)(126)下端側を延設させるもので、前記変速部材(25)の出力制御軸(135)に車速制御アーム(136)を固定させ、ターンバックル(137)付き長さ調節自在車速ロッド(138)及び車速リンク(139)を介して前記変速操作軸(126)下端部に車速制御アーム(136)を連結させ、出力制御軸(135)の正逆転操作により第1油圧ポンプ(23)斜板角調節を行って第1油圧モータ(24)の回転数制御及び正逆転切換を行い、走行速度(車速)の無段階変更並びに前後進の切換を行う。また、前記操向部材(28)の出力制御軸(140)に操向制御アーム(141)を固定させ、ターンバックル(142)付き長さ調節自在旋回ロッド(143)及び旋回リンク(144)を介して操向操作軸(125)下端部に操向制御アーム(141)を連結させ、出力制御軸(140)の正逆転操作により第2油圧ポンプ(26)斜板角調節を行って第2油圧モータ(27)の回転数制御及び正逆転切換を行い、操向角度(旋回半径)の無段階変更並びに左右旋回方向の切替を行う。
【0021】
さらに、前記ステアリングコラム(71)の右側外面にアクセルレバー(145)を前後方向回転自在に設け、エンジン(21)にアクセルレバー(145)を連結させるアクセルワイヤ(146)をステアリングコラム(71)前面内側に沿わせて下方から延出させ、アクセルレバー(145)によってエンジン(21)回転数を手動調節すると共に、前記ステアリングコラム(71)後面にメンテナンス窓(147)を開設させ、着脱自在な蓋(148)によってメンテナンス窓(147)を閉鎖している。
【0022】
上記から明らかなように、変速機構(124)動作量に比例させて操向機構(118)操向量を変化させるもので、高速側走行変速によって操向量を自動的に拡大させ、かつ低速側走行変速によって操向量を自動的に縮少させ、操向ハンドル(19)の一定量の操作によって走行速度に関係なく左右走行クローラ(2)の旋回半径を略一定に維持させ、農作業走行速度の変更並びに作物列などに機体を沿わせる進路修正などを行わせると共に、逆円錐形の変速機構(124)並びに操向機構(118)を形成し、操向操作によって操向入力軸(87)を回転させて操向入力部材(95)を作動させ、例えば旋回させ乍ら走行速度を減速させる動作を行わせ、変速操作によって変速入力軸(91)を回転させて操向入力部材(95)を作動させ、走行変速による旋回半径の拡大縮少並びに走行変速中立による旋回出力の中止などの操作を行わせる。
【0023】
また、操向入力部材(95)と操向結合部材(115)を連結させる操向入力連結部(116)を変速入力軸(91)芯線上に配設させ、変速入力部材(96)と変速結合部材(121)を連結させる変速入力連結部(122)を、変速入力軸(91)芯線と交叉する直線(A)上に配設させ、操向入力軸(87)及び変速入力軸(91)を中心とする操向入力部材(95)の相対的な運動を容易に設定でき、設計及び組立及び構造の簡略化並びに動作の信頼性向上などを図れると共に、変速入力軸(91)芯線と操向入力軸(87)芯線が交叉する軸芯交点(B)を中心とする円周(C)上に、変速入力連結部(122)並びに操向入力連結部(116)を配設させ、操向入力部材(95)などの構造の簡略化及びコンパクト化などを図るもので、変速出力部材(120)と変速結合部材(121)を連結させる変速出力連結部(123)と、操向出力部材(114)と操向結合部材(115)を連結させる操向出力連結部(117)を、操向入力軸(87)芯線上に配設させ、前進時と後進時の変速切換による逆ハンドル現像を防止し、変速出力部材(120)及び操向出力部材(114)の設計及び組立及び構造の簡略化並びに動作の信頼性向上などを図ると共に、変速入力軸(91)と操向入力軸(87)の軸芯交点(B)に対する変速出力連結部(123)の距離と、操向出力連結部(117)の距離を異ならせ、変速出力連結部(123)と操向出力連結部(117)を同一直線(D)上で離間させることによって各連結部(117)(123)の干渉防止並びに移動範囲の設定などを容易に行え、変速結合部材(121)及び操向結合部材(115)を狭少場所に設置できるように構成している。
【0024】
また、変速入力連結部(116)と、操向入力連結部(122)を、変速入力軸(91)と操向入力軸(87)の軸芯交点(B)を中心とする円周(C)上で約90度離間させ、変速入力軸(91)の回転によって操向入力連結部(116)を一定位置に維持させかつ変速入力連結部(122)の変位量を最大にして走行変速を行わせると共に、前記各入力連結部(116)(122)を移動させる平面上に変速入力軸(91)を配置させる構造で各連結部(116)(122)の移動量を容易に確保し、コンパクトで機能的に操向入力部材(95)を配置させるもので、操向入力軸(87)回りに約90度の範囲内で変速入力連結部(122)及び操向入力連結部(116)を移動させ、前後進切換による逆ハンドル現像の防止並びに各入力連結部(116)(122)の移動量の確保と共に、操向入力軸(87)を回転させる操向角度に応じて変速入力連結部(122)を減速方向に移動させる動作と、旋回内側の走行クローラ(2)を中心に方向転換させるスピンターン動作を容易に行わせ、コンパクトな構造で機能的に構成している。また、前記スピンターン動作は、操向部材(28)の出力により差動機構(33)を介して左右走行クローラ(2)の一方を正転させかつもう一方を逆転させ、左右走行クローラ(2)の前後及び左右中心点回りに旋回させる動作であり、前後進走行と旋回とが同時に行われて前後進出力である変速部材(25)の回転と旋回出力である操向部材(28)の回転の割合により旋回半径が決定される。さらに、変速出力軸(119)及び操向出力軸(113)を変速入力軸(91)と略平行に設け、前記各出力軸(113)(119)を複数に分割自在なケースを形成するコラム(71)に高精度で軸支させると共に、変速入力軸(91)並びに前記各出力軸(113)(119)を左右方向に延設させることによって機体前後方向の連結構造を容易に得られ、主変速レバー(73)と変速入力軸(91)の連結、並びに変速部材(25)及び操向部材(28)と前記出力軸(113)(119)との連結を容易に行え、操作構造の簡略化並びに取扱い性向上などを図れるように構成している。
【0025】
さらに、図14に示す如く、前記連係ボルト(97)を遊嵌挿通させる位相調節長孔(149)を入力連結体(96)に開設させると共に、操向入力軸(87)芯線を中心とする同一円周上に前記長孔(149)を形成し、変速入力軸(91)をボルト形基準設定部材(98)と中立設定孔(150)の係合によって走行変速中立位置に固定させた状態で、操向入力部材(95)だけを回転させ、変速入力軸(91)に対して左右に回転させて操向入力部材(95)の相対位置を修正するもので、操向ハンドル(19)操作によって決定される旋回中立位置と走行速度の中立位置を設定する。また、変速入力軸(91)を基準位置に固定させる基準設定部材(98)を係脱自在に設け、図14に示すボルト止め体(98a)を外し、図15のように基準設定部材(98)先端を中立設定孔(150)に係入させ、走行変速の中立位置並びに操向直進位置を中立設定孔(150)と基準設定部材(98)の係合によって確定し、図8及び図11に示すジョイントナット(121a)(115a)の螺出入操作により、変速結合部材(121)または操向結合部材(115)などの連結長さを伸縮させる組立時の調整などを行い、組立作業性の向上などを図るように構成している。
【0026】
さらに、図16乃至図18に示す如く、前記ギヤ(88)は、270度の外周範囲に複数の歯(151)を形成し、90度の外周範囲を円弧(152)に形成し、操向ハンドル(19)の全回転角度を270度とし、左操向回転または右操向回転の角度を135度に設定し、操向ハンドル(19)回転操作を片手で作業者が容易に行えるように形成する。また、前記セクタギヤ(89)は、130度の外周範囲に複数の歯(153)を形成し、230度の外周範囲を円弧カム(154)に形成し、前記ギヤ(88)の歯(151)とセクタギヤ(89)の歯(153)を噛合せ、各ギヤ(88)(89)の最大正逆転時、前記円弧(152)両端のストッパ(155)と前記円弧カム(154)両端のストッパ(156)を当接させ、操向ハンドル(19)の回転を規制すると共に、操向入力軸(87)芯線回りに操向入力部材(95)及び入力連結体(96)を65度の範囲で正転または逆転させ、操向入力部材(95)が回転移動する平面上に変速入力軸(91)及び主変速部材(110)上端部を配置させる空間を確保し、変速入力軸(91)芯線上に操向入力連結部(116)を設ける構造、並びに同一円周上で前記各入力連結部(116)(122)を90度離間させる構造を容易に得られ、構造のコンパクト化、設計組立の簡略化などを図れるように構成している。
【0027】
また、前記セクタギヤ(89)の円弧カム(154)中央に直進ノッチ(157)を形成すると共に、前記ステアリングコラム(71)上面壁にデテント軸(158)を回転自在に軸支させ、デテント軸(158)下端部にデテントアーム(159)を固定させ、デテントアーム(159)にローラ軸(160)を介してデテントローラ(161)を回転自在に軸支させ、前記円弧カム(154)にデテントローラ(161)を当接させ、直進ノッチ(157)に係脱自在にデテントローラ(161)を係合させ、操向ハンドル(19)を直進位置に支持させる。また、前記デテント軸(158)上端側にデテントレバー(162)を固定させ、デテント軸(158)に巻装させる中立バネ(163)の一端をデテントレバー(162)に係止させ、ステアリングコラム(71)の受板(164)に中立バネ(163)の他端を当接させ、円弧カム(154)及び直進ノッチ(157)にデテントローラ(161)を中立バネ(163)によって弾圧当接させている。また、操向ハンドル(19)の直進位置をオンオフ切換によって電気的に検出するマイクロスイッチ型直進センサ(165)をデテントレバー(162)に取付けている。
【0028】
さらに、図12、図13に示す如く、前記旋回ロッド(143)中間部に伸縮ダンパ(166)を設けるもので、一方のロッド(143)端部に固定させるバネケース(167)と、他方のロッド(143)端部に摺動自在に係止させるバネ座(168)(169)と、バネ座(168)(169)を介して圧縮状態にロッド(143)に巻装させる圧縮バネ(170)を、前記ダンパ(166)に備え、操向ハンドル(19)の操向操作による押し方向と引き方向の双方向で前記ロッド(143)に一定以上の押引力が作用したとき、即ち、操向ハンドル(19)の切角116度(85パーセント)操作により、操向制御アーム(141)が最高出力位置に移動したとき、前記バネ(170)が圧縮してロッド(143)を伸縮させ、第2油圧ポンプ(26)を最高出力維持した状態で操向ハンドル(19)をさらに旋回方向に回転操作させ、操向ハンドル(19)を切角116度から切角135度まで操作するように構成している。
【0029】
さらに、図12、図19、図20に示す如く、前記車速制御アーム(136)にピン(171)を固定させ、前記ピン(171)を摺動自在に貫挿させる長孔(172)を前記車速ロッド(138)端部に形成し、車速ロッド(138)を車速制御アーム(136)に長孔(172)及びピン(171)を介して連結させると共に、車速制御アーム(136)と同軸上にデテントカム(173)を固定させ、前記カム(173)にデテントローラ(174)をバネ(175)によって弾圧させ、前記カム(173)とローラ(174)によって車速制御アーム(136)を中立位置に自動的に復動させ、前記アーム(136)の中立支持によって第1油圧モータ(24)を停止維持し、かつ前記アーム(136)が中立で主変速レバー(73)が中立操作位置のときに前記長孔(172)の長手方向の略中央にピン(171)を位置させ、前記ロッド(138)の押引による前後進変速の両方に略等しいストロークがピン(171)に対して形成され、前後進変速の両方で前記アーム(136)が略対称(正逆転)動作を行うように構成している。
【0030】
そして、図20に示すように、中立位置(O)の主変速レバー(73)を変速操作して不感帯ゾーン(P)を移動させて変速開始位置(Q)に移動させることにより、車速ロッド(138)の押引によって長孔(172)の長手方向端部にピン(171)が当接し、主変速レバー(73)と車速制御アーム(136)が連結させると共に、主変速レバー(73)をさらに変速操作して変速ゾーン(R)を移動させて変速部材(25)の最高出力位置(S)までの間に傾倒支持させることにより、中立位置(T)の車速制御アーム(136)を最高出力位置(S)までの変速ゾーン(R)に主変速レバー(73)操作量に比例させて移動させ、変速部材(25)の第1油圧モータ(24)を無段階に変速出力させ、左右走行クローラ(2)を等速度で同一方向に駆動して前後進させるように構成している。
【0031】
さらに、図14、図21、図22に示す如く、前記軸受部(90)に切欠(176)を設けて凹部(177)を形成し、操向ハンドル(19)を左旋回最大切角(135度)操作したとき、変速入力連結部(122)及び変速結合部材(121)を前記凹部(177)に入り込ませ、前記連結部(122)が軸受部(90)に当接する構造に比べ、操向ハンドル(19)を左右旋回操作したときの最大車速減速率を大きく形成するもので、操向ハンドル(19)の直進位置(U)を中心に、連係ボルト(97)が位相調節孔(149)縁に当接するまでの間に定速ゾーン(V)が形成され、操向ハンドル(19)の切角15度以内の操向操作によって機体中心速度を略一定に保って進路を修正する。また、操向ハンドル(19)をさらに操向操作して旋回ゾーン(W)を移動させて操向部材(28)の最高出力位置(X)までの操向ハンドル(19)切角116殿間で回転させることにより、操向ハンドル(19)回転角度に比例して操向制御アーム(141)を最高出力位置(X)までの間で移動させ、操向部材(28)の第2油圧モータ(27)を無段階に変速出力させ、左右走行クローラ(2)の速度差を無段階に変更させると共に、操向ハンドル(19)回転角度に比例して車速ロッド(138)及び車速制御アーム(136)を変速中立方向に復動させ、左右走行クローラ(2)の走行速度を無段階に減速させ、操向ハンドル(19)切角を大きくすることにより、旋回半径が小さくなり、走行速度が遅くなり、左右旋回動作が行われる。また、切角116度の操向ハンドル(19)をさらに操向操作してスピンターンゾーン(Y)内を切角135度の最大操向位置(Z)までの間に回転させることにより、ダンパ(166)の伸縮吸収動作によって旋回ロッド(143)(連結長さ)を伸縮させ、操向制御アーム(141)を最高出力位置(X)に維持した状態で、車速ロッド(138)及び車速制御アーム(136)をさらに変速中立方向に復動させ、左右走行クローラ(2)の左右幅中間に形成される旋回中心回りに方向転換するスピンターン動作が行われるように構成している。
【0032】
また、図19、図20、図22のように、車速ロッド(138)と車速制御アーム(136)を長孔(172)によって連結させ、主変速レバー(73)の変速操作ストローク(L)を実変速ストロークよりも大きく形成すると共に、変速入力連結部(122)の左旋回方向に設ける軸受部(90)に凹部(177)を形成して前記連結部(122)を凹部(177)に出入させ、主変速レバー(73)最大出力操作時に操向ハンドル(19)最大切角(135度)で車速減速率を25パーセントに設定し、前記変速機構(124)によって減速率を40パーセントまで下げたのに対し、さらに減速率を上げて25パーセントまで減速させ、スピンターン動作を行わせ、圃場枕地で機体を約180度方向転換させて次の未刈り穀稈刈取り工程に移動させるように構成している。なお、図22のように、主変速レバー(73)最大出力時、操向ハンドル(19)の切角116度でダンパ(166)が作動して操向部材(28)が最高出力維持されると、操向ハンドル(19)の切角116度乃至135度の範囲で左右走行クローラ(2)の減速率が略等しく保たれるもので、操向ハンドル(19)の切角116度の位置で左右走行クローラ(2)速度差が最大となり、操向ハンドル(19)の切角116度乃至135度の範囲で、左右走行クローラ(2)の速度差が略一定に維持され、走行速度がハンドル(19)切角に比例して減速される。
【0033】
また、操向ハンドル(19)による車速制御アーム(136)の減速動作量を多くして減速率を大きく形成し、スピンターン動作に必要な減速率を容易に得られて圃場枕地での方向転換機能の向上などを図るもので、車速制御アーム(136)と車速ロッド(138)を長孔(172)とピン(171)によって連結させ、長孔(172)及びピン(171)の大きさによって車速ロッド(138)の操作量または車速制御アーム(136)の減速動作量などを容易に決定でき、変速部材(25)及び操向部材(28)の出力特性並びに操向ハンドル(19)の減速制御動作などの考慮を容易に行え、車速ロッド(138)取付け構造の簡略化、並びに組立作業など取扱い性向上、並びに製造コストの低減などを図れるように構成している。
【0034】
さらに、前記主変速レバー(73)の不感帯ゾーン(P)の操作によって前記入力部材(95)(96)を変速入力軸(91)回りに中立位置(P)から変速開始位置(Q)に移行させ、操向ハンドル(19)の直進位置を中心とする定速ゾーン(V)でのハンドル(19)切角に対する操向制御アーム(141)の動作比を大きくし、主変速レバー(73)を変速ゾーン(R)に移行させて微速走行させたとき、操向ハンドル(19)の定速ゾーン(V)での操作で、操向制御アーム(141)の動作量を多くし、操向部材(28)の第2油圧ポンプ(26)の回転変化率をハンドル(19)切角変化に対して大きくし、第2油圧ポンプ(26)の微速出力での旋回動作時間を短縮し、前記モータ(27)微速出力域で旋回動作が行われるのを阻止し、主変速レバー(73)微速走行状態での操向ハンドル(19)による旋回動作が第2油圧ポンプ(26)出力を一定以上大きくして行われるように構成している。このように、第2油圧ポンプ(26)の微速回転出力での旋回動作を防ぐことにより、第2油圧ポンプ(26)が微速出力域で低効率であっても、第2油圧ポンプ(26)の出力を一定以上確保して旋回動作を行わせることができる。また、主変速レバー(73)の変速操作により、操向ハンドル(19)による操向部材(28)の制御が一定以上の旋回力を確保して開始されるように設定した後、走行変速動作を遅れて開始させ、微速移動時の操向部材(28)の旋回力不足を防止し得、操向部材(28)など製造コストの低減並びに左右走行クローラ(2)の旋回性能向上などを図るもので、主変速レバー(73)の操作により、変速入力軸(91)芯線回りに操向及び変速入力部材(95)(96)を一定角度回転させた後、各入力部材(95)(96)が変速部材(25)に連結されて変速部材(25)を作動させ、変速操作によって各入力部材(95)(96)を操向動作状態に移動させた後で変速部材(25)から出力させて走行クローラ(2)を駆動するから、走行出力が小さい微速移動時でも、操向ハンドル(19)の操向操作による操向部材(28)の制御量を多くして必要な旋回力を確保し、微速移動時の旋回性能の向上などを図れるように構成している。
【0035】
そして、前記主変速レバー(73)が中立のとき、操向ハンドル(19)の正転(逆転)操作により、操向入力軸(87)芯線回りに前記各入力部材(95)(96)及び各結合部材(115)(121)が円錐軌跡上で移動し、前記各出力部材(114)(120)及び各出力軸(113)(119)が停止した状態が維持される。また、主変速レバー(73)を前方(後方)に倒す前進(後進)操作により、前記各入力部材(95)(96)が変速入力軸(91)芯線回りに前方(後方)に傾き、操向入力連結部(116)が一定位置に停止した状態を維持し乍ら、変速入力連結部(122)を上方(下方)に移動させ、変速出力部材(120)の上方(下方)揺動によって変速出力軸(119)を正転(逆転)させ、変速部材(23)の第1油圧ポンプ(23)の斜板角切換によって第1油圧モータ(24)を正転(逆転)させ、第1油圧モータ(24)の出力軸(31)の正転(逆転)によって左右走行クローラ(2)を前進(後進)駆動する。また、主変速レバー(73)の倒し角に比例して出力軸(31)の回転数が変化し、走行クローラ(2)の前進(後進)速度が無段階に変速される。
【0036】
さらに、主変速レバー(73)を前方(後方)に倒して前進(後進)操作を行っている状態下で、操向ハンドル(19)を左方向(右方向)に回転させることにより、変速入力軸(91)芯線回りに操向入力部材(95)が前方(後方)に傾いた姿勢で操向入力軸(87)芯線回りに正転(逆転)し、操向入力連結部(116)が下方(上方)に移動し、操向出力部材(114)の下方(上方)揺動によって操向出力軸(113)を正転(逆転)させ、操向部材(28)の第2油圧ポンプ(26)の斜板角切換によって第2油圧モータ(27)を正転(逆転)させ、第2油圧モータ(27)の出力軸(68)の正転(逆転)により、左走行クローラ(2)を減速(増速)させ、かつ右走行クローラ(2)を増速(減速)させ、左方向(右方向)に機体を旋回させて左方向(右方向)に進路を修正する。また、前記の進路修正動作と同時に、操向ハンドル(19)の左方向(右方向)回転により、変速入力軸(91)芯線回りに変速入力部材(96)が前方(後方)に傾いた状態で操向入力軸(87)芯線回りに正転(逆転)し、変速入力連結部(122)が下方(上方)に移動し、変速出力部材(120)の下方(上方)揺動によって変速出力軸(119)を逆転(正転)させ、変速部材(25)を中立方向に戻す制御を行って出力軸(31)の回転数を低下させ、走行速度(車速)を減速させる。このように、走行移動中の操向ハンドル(19)の左右操向操作により、操向ハンドル(19)の回転角度に比例して、進路を修正する旋回半径(角度)と、走行速度の減速量が変化し、操向ハンドル(19)を大きく回転させることによって左右走行クローラ(2)の速度差を大きくして旋回半径を小さくすると同時に、走行速度の減速量が多くなって車速が遅くなると共に、前進時と後進時とでは、操向ハンドル(19)の回転に対して旋回入力連結部(116)の動きを逆方向にし、前後進の何れにおいても操向ハンドル(19)の回動操作方向と機体の旋回方向とを一致させ、回転操作する丸形の操向ハンドル(19)の回転操作によって例えばトラクタまたは田植機など四輪自動車と同様の運転感覚で進路修正及び方向転換などを行う。
【0037】
さらに、図22は機体の左右旋回時における操向ハンドル(19)の切れ角と左右走行クローラ(2)の速度の関係を示すもので、ハンドル(19)の切れ角が大となる程左右走行クローラ(2)の速度差は大となると共に、左右走行クローラ(2)の平均速度となる機体中心速度も副変速レバー(74)の走行速度(高速・標準・低速)状態に応じて減速される。直進位置の操向ハンドル(19)を左方向(右方向)に約15度回転させる刈取り進路修正範囲では、操向入力部材(95)の回転に対して変速入力連結部(122)が略接線方向に移動し、変速出力部材(120)が直進と略同一位置に維持されると共に、操向部材(28)の第2油圧ポンプ(26)によって第2油圧モータ(27)を正転(逆転)させる操向出力によって左方向(右方向)に旋回させ、未刈り穀稈(作物)列の湾曲に合せる進路修正を行う。このとき、旋回内側の走行クローラ(2)の減速量と、旋回外側の走行クローラ(2)の増速量が略等しくなり、機体中心速度が直進と略同一速度に保たれる。また、操向ハンドル(19)を直進位置から15度以上回転させると、操向入力部材(95)の回転によって変速結合部材(121)が押引動作され、変速出力部材(120)が左旋回及び右旋回のいずれでも減速動作し、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)の走行変速出力を減速させ、左右走行クローラ(2)(2)を同一方向に回転駆動させて前進(または後進)させ、左右走行クローラ(2)(2)の走行速度差により左方向(右方向)に旋回するブレーキターン動作を行わせ、未刈り穀稈(作物)列から外れたときに元の列に戻したり隣の列に移動させる進路修正を行う。さらに、操向ハンドル(19)を約116度回転させると、ダンパ(166)が作動して旋回出力が最高出力維持され、135度の切角範囲で機体中心速度が直進時の約4分の1に減速され、旋回内側の走行クローラ(2)が逆転駆動され、左右走行クローラ(2)の間の旋回中心回りに機体が旋回するスピンターン動作が行われ、左右走行クローラ(2)の左右幅だけ旋回方向にずらせて機体を180度方向転換させるもので、ハンドル切角0度からハンドル切角135度の範囲で操向ハンドル(19)を回転させて左または右方向の旋回操作を行い、直進位置を中心とした左右15度のハンドル(19)回転範囲で未刈り穀稈(作物)列に沿って移動する条合せ進路修正を、直進時の走行速度を維持し乍ら行うと共に、左右116度乃至135度のハンドル(19)回転により、旋回部材(28)を最高出力維持し乍ら、圃場枕地で機体を方向転換させて次作業工程に移動させるスピンターン動作を、直進時の約4分の1の走行速度(減速率25パーセント)に自動的に減速して行う。
【0038】
さらに、副変速を標準(秒速1.5メートル)速度に保ち、操向ハンドル(19)を90度回転させたとき、主変速レバー(68)操作により主変速出力を高速及び3分の2及び3分の1に変更しても、機体の旋回半径が略一定に保たれた状態で、旋回速度(機体中心速度)だけを変化させる。また、直進位置を基準として連係ボルト(97)と位相調節孔(149)の設定範囲で第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)を直進状態に維持させ、農作業中に作物列または畦などに機体を沿わせる操向操作を行っても走行速度が不均一に変化するのを防止し、略同一走行速度を保ち乍ら農作業中の進路修正を行え、作業者の運転感覚と機体の走行動作とを略一致させて適正な操向操作を行える。また、主変速レバー(73)の変速基準値を切換える副変速レバー(74)副変速操作の低速及び標準及び高速切換に比例させて旋回半径を小径乃至大径に変化させ、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)と走行クローラ(2)間の減速比並びに第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)と走行クローラ(2)間の減速比の設定、或いはスピンターン動作に必要な小半径旋回に必要な走行駆動力の確保などを図ると共に、同一副変速操作位置で主変速レバー(73)を操作することによって旋回半径を略一定に保った状態で旋回時の走行速度を変化させる。
【0039】
さらに、図11、図23、図24に示す如く、前記変速出力軸(119)に筒形の減速出力軸(178)と直結出力軸(179)を回転自在に軸支させ、減速出力軸(178)に変速出力部材(120)を固定させ、また変速出力軸(119)にボス(180)を介して変速リンク(129)を固定させると共に、前記主変速軸(99)にボス(181)を介して直結入力リンク(182)を固定させ、前記直結出力軸(179)に直結出力リンク(183)を固定させ、入力リンク(182)の軸(184)に設けるローラ(185)を出力リンク(183)の長孔(186)に摺動自在に嵌入させ、各リンク(182)(183)を介して主変速軸(99)に直結出力軸(179)を連結させ、各軸(99)(179)を連動回転させる。
【0040】
また、前記変速出力軸(119)の中空にクラッチ軸(187)を出入自在に挿入させ、変速出力軸(119)に係止させるクラッチピン(188)をクラッチ軸(187)挿入端部に固定させると共に、前記クラッチピン(188)を係脱自在に係止させるノッチ(189)(190)を前記減速出力軸(178)及び直結出力軸(179)に夫々形成し、クラッチ軸(187)出入操作によりクラッチピン(188)及びノッチ(189)(190)を介して減速出力軸(178)または直結出力軸(179)のいずれか一方を変速出力軸(119)に択一的に連結させる。また、バネ(191)によって位置決めボール(192)を係脱自在に係入させる位置決め溝(193)(194)を前記クラッチ軸(187)に設け、前記ボール(192)と各溝(193)(194)のいずれかの係止によって各出力軸(178)(179)の各ノッチ(189)(190)のいずれかにクラッチピン(188)を係合維持させると共に、前記ステアリングコラム(71)の外側でステップ(134)上の作業者が操作可能にフィーリングレバー(195)を取付け、該レバー(195)を前記クラッチ軸(187)に連結させ、前記レバー(195)操作によってクラッチ軸(187)を切換え、変速出力部材(120)からの変速入力と出力リンク(183)からの変速入力のいずれかによって変速リンク(129)を作動させ、操向ハンドル(19)の操作量に比例させて車速を減速させる変速入力と、主変速レバー(73)の操作量に基づく変速入力のいずれかにより、変速部材(25)を変速制御する。
【0041】
上記から明らかなように、主変速レバー(73)からの変速操作出力を主変速軸(99)で2つに分け、一方の出力をハンドル(19)角度に応じた車速減速出力として出力部材(120)から変速出力軸(119)上の減速出力軸(178)を介して変速リンク(129)に伝え、もう一方の出力を出力リンク(183)から変速出力軸(119)上の直結出力軸(179)を介して変速リンク(129)に伝え、前記の2つの変速出力を変速出力軸(119)上で選択していずれか一方によって第1油圧ポンプ(23)を変速制御するもので、走行変速レバーである主変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、操向ハンドル(19)の操作量に比例させて車速を減速させる協動系路である減速出力軸(178)を介して主変速レバー(73)に変速部材(25)を連結させると共に、前記減速出力軸(178)と別の第三系路である直結出力軸(179)で主変速レバー(73)に変速部材(25)を連結させ、前記減速出力軸(178)と直結出力軸(179)を使い分けることによって変速部材(25)の制御構造を組み換えることなく旋回性能及び走行性能を変更し、鈍感な旋回フィーリングまたは機敏な旋回フィーリングなど旋回特性を選択するように構成している。
【0042】
また、減速出力軸(178)からの減速入力と別の直結出力軸(179)からの変速操作入力を選択するフィーリング切換部材であるフィーリングレバー(195)を設け、減速出力軸(178)を用いた変速制御と直結出力軸(179)を用いた変速制御の切換をフィーリングレバー(195)の操作によって行い、操舵機能の向上並びに取扱い操作の簡略化などを図ると共に、減速出力軸(178)からの減速入力と別の直結出力軸(179)からの変速操作入力を同一軸芯上で選択していずれかの入力によって変速部材(25)を制御し、主変速レバー(73)及び操向ハンドル(19)及び変速部材(25)の間の連結機構の簡略化及びコンパクト化を行い、組立及び調整など作業性の向上を図るように構成している。
【0043】
さらに、図25、図26、図27に示す如く、主変速レバー(73)手動操作によって切換える電動変速モータ(196)を設け、前記主変速レバー(73)を操作して変速モータ(196)を作動させて第1油圧ポンプ(23)の斜板角度を変更させ、第1油圧モータ(24)の出力軸(31)の回転数を無段階に変化させたり、逆転させる前後進切換動作を行わせ、主変速レバー(73)の操作量に比例させて第1油圧モータ(24)の回転数を変更させると共に、前記操向ハンドル(19)手動操作によって切換える電動操向モータ(197)と、操向ハンドル(19)の直進操作並びに副変速機構(32)中立切換によって作動させる直進バルブ(198)と、該バルブ(198)に接続させる操向クラッチシリンダ(199)を設け、前記操向ハンドル(19)を操作して操向モータ(197)を作動させて第2油圧ポンプ(26)の斜板角度を変更させ、第2油圧モータ(27)の出力回転数を無段階に変化させたり、逆転させる左右操向動作を行わせ、走行方向を左右に変更して圃場枕地で方向転換したり進路を修正するもので、操向ハンドル(19)の操作量に比例させて操向モータ(27)の回転数を変更させると共に、前記操向ハンドル(19)の直進操作並びに副変速機構(32)の中立操作によって直進バルブ(198)が自動的に切換わり、操向クラッチシリンダ(199)を作動させて操向出力クラッチ(62)を切にして第2油圧モータ(27)の出力を中止し、操向駆動を中止させるように構成している。
【0044】
また、前記操向入力軸(87)に操向出力アーム(220)の一端を固定させ、操向ハンドル(19)を直進位置に戻す左右一対の直進バネ(221)(221)と、前記バネ(221)に抗して操向ハンドル(19)の回転速度を遅くする戻り抵抗アブソーバ(222)を、前記出力アーム(220)に連結させ、操向ハンドル(19)を左右に回転させる手動操作を行ったとき、ハンドル(19)から作業者が手を離すことにより、ハンドル(19)を緩やかに直進位置に自動的に戻し、作業者によるハンドル(19)直進戻し操作を省くと共に、スライドポテンショメータ型操向角度センサ(223)を前記出力アーム(220)に連結させ、操向ハンドル(19)の操向操作量を操向角度センサ(223)によって検出させると共に、前記主変速レバー(73)の変速操作位置及び中立位置及び前後進切換動作を検出するポテンショメータ型主変速センサ(224)と、前記副変速レバー(74)の変速操作位置及び中立位置を検出するポテンショメータ型副変速センサ(225)と、運転席(20)の作業者が切換えるステアリングコラム(71)上面の撮形手元操作部材(226)の操作によって操向ハンドル(19)の切れ角増大に対する車速の減速比を変更させるボリューム形旋回フィーリング設定器(227)と、前記直進センサ(165)を、マイクロコンピュータで形成する変速操向コントローラ(228)に入力接続させる。
【0045】
さらに、前記変速モータ(196)を正転または逆転させる増速及び減速回路(229)(230)を前記コントローラ(228)に接続させ、主変速レバー(73)操作量(操作角度)に対して変速モータ(196)による第1油圧ポンプ(23)の斜板角を略正比例させて変化させ、主変速レバー(73)の傾き操作に応じた車速を得ると共に、前記操向モータ(197)を正転または逆転させる左右旋回回路(231)(232)を前記コントローラ(228)に接続させ、操向ハンドル(19)の操向操作量(左右回転角度)に対して操向モータ(197)による第2油圧ポンプ(26)の斜板を略正比例させて変化させ、また図28の旋回出力線図に示す如く、主変速レバー(73)の前進操作時と後進操作時とでは、操向ハンドル(19)の左右回転に対して左右旋回出力を逆にし、前進時と後進時とで逆ハンドルになるのを防ぎ、四輪自動車と同じ操向動作を行わせて前後進させる。また、主変速レバー(73)が中立のときは、第2油圧ポンプ(26)の斜板角を零に保ち、第2油圧モータ(27)の出力を停止維持し、主変速中立状態下でのハンドル(19)操作による旋回動作を阻止すると共に、操向ハンドル(19)切れ角に応じて大きくなる第2油圧ポンプ(26)の斜板角の絶対値を主変速レバー(73)操作角度の絶対値と比例するように制御し、操向ハンドル(19)切れ角が一定のときに車速を変化させても旋回半径を一定に保ち、四輪自動車と同じ操向動作で旋回させる。また、直進バルブ(234)を切換えて操向クラッチシリンダ(199)を作動させる直進回路(233)を前記コントローラ(228)に接続させ、副変速中立またはハンドル(19)直進によって操向出力を自動的に停止させる。
【0046】
さらに、図29、図30の車速出力線図に示す如く、操向ハンドル(19)の切れ角の増大に伴い、主変速レバー(73)変速位置で決定される車速を減速させるもので、主変速レバー(73)を一定位置に保ち乍らハンドル(19)切れ角に比例させて減速させ、ハンドル(19)を直進に戻すだけでレバー(73)速度に自動的に戻ると共に、ハンドル(19)最大切り角でスピンターン速度に減速され、またハンドル(19)の直進を中心とする不感帯(約15度の回転角度)でレバー(73)速度を保たせ、収穫作業中に未刈り穀稈列に沿わせる条合せ(進路修正)のための操向操作を行っても、走行速度が減速されたり増速されて収穫作業途中に走行速度が不均一に変化するのを防ぎ、作業者の運転感覚とコンバインの走行動作との間にずれが生じることなく適正な操向操作を行わせると共に、手元操作部材(226)を用いた作業者の手動切換により、図30のように、鋭敏な旋回、通常間旋回、滑らかな旋回となるように減速比を変化させる制御を前記部材(226)の手動によって行わせ、作業内容、圃場条件、作物状況などに適応させた旋回性能を得る。
【0047】
さらに、図31の旋回出力線図に示す如く、前記主変速レバー(73)の操作角度を検出する主変速センサ(224)入力に対し、操向角度センサ(223)に基づきコントローラ(228)から出力される操向モータ(197)制御出力を二次曲線形に変化させ、容積効率が低い第2油圧ポンプ(26)の斜板の小さいときに車速が遅くても操向ハンドル(19)を少し切るだけで斜板を大きく変化させ、第2油圧ポンプ(26)及び油圧モータ(27)の特性を電気的に補正して遅い車速であっても敏感に操向モータ(197)により第2油圧ポンプ(26)を旋回制御し、主変速レバー(73)の変速全域で操向ハンドル(19)の切れ角に対して走行クローラ(2)の旋回半径を略同一に保つもので、主変速レバー(73)が高速のときよりも低速のときの操向ハンドル(19)操作量に対する第2油圧ポンプ(26)制御量の割合を大きくし、第2油圧ポンプ(26)出力が低効率になる低速域で車速が遅いときであっても操向ハンドル(19)の少量操作によって適正な旋回動作を行わせ、操向ハンドル(19)の操作量と走行クローラ(2)の旋回半径を一致させる操向操作性及び操向機能の向上を図ると共に、主変速レバー(73)の中立を主変速センサ(224)によって検出して第2油圧ポンプ(26)を中立に維持させ、停止時の走行クローラ(2)の旋回動作を阻止し乍ら低速域の旋回性能を向上させ、操向ハンドル(19)の操作性向上並びに運転操作の簡略化などを図る。
【0048】
さらに、図32の旋回出力線図に示す如く、操向ハンドル(19)の切れ角を検出する操向角度センサ(223)入力に対し、直進位置を基準にしてハンドル(19)切れ角が小さい(約0〜10度の範囲)ときにコントローラ(228)から出力させる操向モータ(197)制御出力を大きく変化させ、ハンドル(19)切れ角が大きい(約10〜70度の範囲)ときにコントローラ(228)から出力させる操向モータ(197)制御出力を小さく変化させ、第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)の特性を電気的に補正して小さい切れ角のときにハンドル(19)操作に対して操向モータ(197)制御を敏感にし、低効率となる低出力域での第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)による走行クローラ(2)旋回を機敏に行わせるもので、操向ハンドル(19)の切れ角度が小さいときに操向制御出力の変化を大きくし、畦または作物列に走行進路を一致させる条合せ等の微少進路修正を行わせ、農作業中の直進走行時の操向性能の向上などを図るもので、直進作業時の進路修正を適正に行い、また操向ハンドル(19)の誤操作による過剰進路修正を防止し、高速走行での方向転換などを安定良く行わせると共に、操向ハンドル(19)の操作量に対して第2油圧ポンプ(26)の制御出力を非直線的に変化させ、第2油圧ポンプ(26)の特性または農作業内容などに適応させた操向動作を設定し、操向機能並びに取扱い操作性の向上などを図る。
【0049】
上記から明らかなように、走行変速レバーである主変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、主変速レバー(73)操作量によって決定される車速を操向ハンドル(19)操作量に比例させて減速させると共に、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更自在とし、操向ハンドル(19)操作量に対して車速の減速量を少なくし、滑らかな旋回フィーリングとなって湿田走行性能を向上させ、スピンターンが不要な作業での作業能率の向上並びに湿田作業での走行性能の向上などを行うもので、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更させる手元操作部材(226)を設け、運転作業者または作業内容または湿田作業に適した操向動作を容易に得られ、動力損失の低減並びに操舵機能の向上などを図るように構成している。
【0050】
また、主変速レバー(73)の操作量を検出して変速部材(25)を出力制御する変速アクチュエータである変速モータ(196)を設け、主変速レバー(73)及び変速部材(25)の取付け及び制御構造の簡略化並びに保守及び調整など取扱い操作性の向上などを行うと共に、操向ハンドル(19)の操作量を検出して操向部材(28)を出力制御する操向アクチュエータである操向モータ(197)を設け、操向ハンドル(19)及び操向部材(28)の取付け及び制御構造の簡略化並びに保守及び調整など取扱い操作性の向上などを行うように構成している。
【0051】
そして、図33のフローチャートに示す如く、主変速センサ(224)、副変速センサ(225)、操向角度センサ(223)、フィーリング設定器(227)、直進センサ(165)からコントローラ(228)に入力させる。また、副変速レバー(74)が中立のときに旋回出力切制御を行って操向出力クラッチ(62)を切にして第2油圧モータ(27)を中止させると共に、主変速レバー(73)が中立のときに旋回出力切制御を行う一方、操向ハンドル(19)が直進位置のとき、操向出力クラッチ(62)切制御によって第2油圧モータ(27)の出力を中止させる。また、副変速が中速または低速で、主変速が中立以外で、操向ハンドル(19)が直進以外に操作されることにより、主変速センサ(224)入力と操向角度センサ(223)入力によって主変速減速量及び操舵量及び操向方向が演算されて決定され、主変速及び操向制御によって変速モータ(196)及び操向モータ(197)を作動させ、左右走行クローラ(2)(2)の駆動速度を変更して条合せ進路修正並びに圃場枕地でのスピンターンによる方向転換などを行い、連続的に穀稈を刈取って脱穀する収穫作業を行うもので、操向ハンドル(19)操作角度に応じて減速される車速の最終速度を手元操作部材(226)のフィーリング設定器(227)操作によって無段階に変更させ、例えば路上走行または乾田作業において、ハンドル(19)操作量に対して車速減速量を大きくすると、敏感な旋回が可能になり、また車速減速量を減らすことによって滑らかな旋回フィーリングになると共に、湿田作業またはスピンターンが不要なときに車速減速量を減らすと、湿田走行性能が向上し、またハンドル(19)を大きく操作してもスピンターンによる急旋回が防止される。
【0052】
このように、走行変速レバーである主変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、圃場表面泥土層が乾いている乾田走行に適している乾田モードと、圃場表面泥土層が軟弱な湿田走行に適している湿田モードとに分けて走行変速と操向の各制御を関連させて行わせるもので、路上または乾田などでの旋回を機敏に行わせ、また湿田または泥土面などでの旋回性能を向上させると共に、操向ハンドル(19)操作量に対して車速の減速量を少なくし、滑らかな旋回フィーリングとなって湿田走行性能を向上させ、スピンターンが不要な作業での作業能率の向上並びに湿田作業での走行性能の向上などを行い、旋回特性の切換によって操舵機能の向上並びに取扱い操作性の向上などを図る。
【0053】
さらに、図34に示す如く、車速を操向ハンドル(19)角度によって減速させる減速時と減速させない不減速時とを、フィーリングレバー(195)または手元操作部材(226)によって切換選択するもので、操向ハンドル(19)最大角度で旋回内側の走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン旋回走行と、操向ハンドル(19)の最大操作量で旋回内側の走行クローラ(2)の回転方向を外側走行クローラ(2)と同一方向に維持する非スピンターン旋回走行を、選択切換自在とし、スピンターン旋回走行の選択によって路上または乾田などでの旋回を機敏に行わせ、また非スピンターン旋回走行の選択によって湿田または泥土面などでの旋回性能を向上させ、旋回特性の切換によって操舵機能の向上並びに取扱い操作性の向上などを図るように構成している。
【0054】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、走行変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、圃場表面泥土層が乾いている乾田走行に適している乾田モードと、圃場表面泥土層が軟弱な湿田走行に適している湿田モードとに分けて走行変速と操向の各制御を関連させて行わせるように構成し、旋回内側の走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン旋回走行と、操向ハンドル(19)の最大操作量で旋回内側の走行クローラ(2)の回転方向を旋回外側の走行クローラ(2)と同一方向に維持する非スピンターン旋回走行を、選択切換自在として、前記湿田モードで非スピンターン旋回走行に選択切換することができるようにしたもので、路上または乾田などでの旋回を機敏に行わせることができ、また湿田または泥土面などでの旋回性能を向上させることができると共に、操向ハンドル(19)操作量に対して車速の減速量を少なくすることができ、滑らかな旋回フィーリングとなって湿田走行性能を向上させることができ、スピンターンが不要な作業での作業能率の向上並びに湿田作業での走行性能の向上などを容易に行うことができ、旋回特性の切換によって操舵機能の向上並びに取扱い操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0055】
そして、旋回内側の走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン旋回走行と、操向ハンドル(19)の最大操作量で旋回内側の走行クローラ(2)の回転方向を外側走行クローラ(2)と同一方向に維持する非スピンターン旋回走行を、選択切換自在としたもので、スピンターン旋回走行の選択によって路上または乾田などでの旋回を機敏に行わせることができ、また非スピンターン旋回走行の選択によって湿田または泥土面などでの旋回性能を向上させることができ、旋回特性の切換によって操舵機能の向上並びに取扱い操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0056】
また、走行変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、走行変速レバー(73)操作量によって決定される車速を操向ハンドル(19)操作量に比例させて減速させると共に、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更自在としたもので、操向ハンドル(19)操作量に対して車速の減速量を少なくすることにより、滑らかな旋回フィーリングとなって湿田走行性能を向上させることができ、スピンターンが不要な作業での作業能率の向上並びに湿田作業での走行性能の向上などを容易に行うことができるものである。
【0057】
また、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更させる手元操作部材(226)を設けたもので、運転作業者または作業内容または湿田作業に適した操向動作を容易に得ることができ、動力損失の低減並びに操舵機能の向上などを容易に図ることができるものである。
【0058】
また、走行変速レバー(73)の操作量を検出して変速部材(25)を出力制御する変速アクチュエータ(196)を設けたもので、走行変速レバー(73)及び変速部材(25)の取付け及び制御構造の簡略化並びに保守及び調整など取扱い操作性の向上などを容易に行うことができるものである。
【0059】
また、操向ハンドル(19)の操作量を検出して操向部材(28)を出力制御する操向アクチュエータ(197)を設けたもので、操向ハンドル(19)及び操向部材(28)の取付け及び制御構造の簡略化並びに保守及び調整など取扱い操作性の向上などを容易に行うことができるものである。
【0060】
また、車速を操向ハンドル(19)角度によって減速させる減速時と減速させない不減速時とを切換選択するもので、不減速時に非スピンターン旋回走行を選択可能としたことにより、不減速時に非スピンターン旋回走行の選択によって湿田または泥土面などでの旋回性能を向上させて、旋回特性の切換によって操舵機能の向上並びに取扱い操作性の向上などを図ることができるものである。
特に、湿田モードで非スピンターン旋回走行に選択切換することができるようにしているため、湿田での走行性能が向上し、またハンドル(19)を大きく操作してもスピンターンによる急旋回が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバインの全体平面図。
【図3】ミッション駆動系の説明図。
【図4】走行変速及び操向操作部の説明斜視図。
【図5】同部の作動説明図。
【図6】ステアリングコラムの側面図。
【図7】同上部拡大側面図。
【図8】同下部拡大側面図。
【図9】ステアリングコラムの正面図。
【図10】同上部拡大正面図。
【図11】同下部拡大正面図。
【図12】図4の平面説明図。
【図13】同拡大図。
【図14】ステアリングコラム横断面図。
【図15】設定操作説明図。
【図16】ステアリングコラム上部の部分平面図。
【図17】同部分図。
【図18】図16の作動説明図。
【図19】変速部材作動説明図。
【図20】主変速動作説明図。
【図21】操向動作説明図。
【図22】主変速と操向ハンドル操作を示す線図。
【図23】走行変速出力切換部の正面説明図。
【図24】同部の部分説明図。
【図25】変速及び操向駆動説明図。
【図26】操向ハンドル部の平面説明図。
【図27】変速及び操向制御回路図。
【図28】操向ハンドルと旋回出力を示す線図。
【図29】操向ハンドルと変速出力を示す線図。
【図30】操向ハンドルと変速出力を示す線図。
【図31】主変速レバーと旋回出力を示す線図。
【図32】操向ハンドルと旋回出力を示す線図。
【図33】図7の変速操向制御フローチャート。
【図34】走行クローラ旋回出力線図。
【符号の説明】
(2) 走行クローラ
(19) 操向ハンドル
(25) 変速部材
(28) 操向部材
(73) 主変速レバー(走行変速レバー)
(196) 変速モータ(変速アクチュエータ)
(197) 操向モータ(操向アクチュエータ)
(226) 手元操作部材
Claims (1)
- 走行変速レバー(73)の操作によって走行速度を無段階に変更自在な変速部材(25)を介して左右走行クローラ(2)に駆動力を伝えると共に、操向ハンドル(19)によって操向部材(28)を操作して左右走行クローラ(2)の駆動速度の差を無段階に変化させる移動農機において、圃場表面泥土層が乾いている乾田走行に適している乾田モードと、圃場表面泥土層が軟弱な湿田走行に適している湿田モードとに分けて走行変速と操向の各制御を関連させて行わせるように構成し、
旋回内側の走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン旋回走行と、操向ハンドル(19)の最大操作量で旋回内側の走行クローラ(2)の回転方向を旋回外側の走行クローラ(2)と同一方向に維持する非スピンターン旋回走行を、選択切換自在として、前記湿田モードで非スピンターン旋回走行に選択切換することができるようにし、
走行変速レバー(73)操作量によって決定される車速を操向ハンドル(19)操作量に比例させて減速させると共に、操向ハンドル(19)操作量に対する車速の減速比を変更自在とした移動農機であって、
車速を操向ハンドル(19)角度によって減速させる減速時と減速させない不減速時とを切換選択するもので、不減速時に非スピンターン旋回走行を選択可能としたことを特徴とする移動農機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16630199A JP4142208B2 (ja) | 1998-12-16 | 1999-06-14 | 移動農機 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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