JP4139634B2 - Led照明装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LED照明装置用の熱伝導配線基板と、その熱伝導配線基板に複数のLED素子が設けられたLED照明装置と、それらの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
LED素子は、省電力、長寿命、小型であることから、表示灯などの光源として利用されている。さらに、近年、半導体技術の発達により輝度の高いLED素子が比較的安価に製造されるようになったことから、蛍光ランプや白熱電球に替わる光源として検討されている。この際、一つのLED素子ではその光束が小さいため、基板上に複数のLED素子を格子状に配置して大きな照度を得る方式が多用されている。しかし、LED素子は発光時に発熱を伴うため、このような方式のLED照明装置では、複数のLED素子の発熱による過度な温度上昇がLED素子の輝度の低下、波長のずれ、短寿命化等を招く。そこで、放熱性の高い金属からなるベース基板上にLED素子のベアチップを実装して、熱を金属ベース基板に拡散する構造のLED照明装置が提案されている。このような構造のLED照明装置は、例えば、特開昭55−132083号公報、特開昭62−149180号公報等に開示されている。また、LED素子は側壁からも発光するため、複数のLED素子を用いる場合は、複数のLED素子の光が互いに干渉せず、かつ、光の方向をベース基板に垂直な方向に制御して効率を高める構造も求められる。そこで、上記の公報等では、反射板を取り付ける構造が提案されている。以下に、その構造の一例について、図14を参照しながら説明する。
【0003】
ベース基板111は、ベース金属112上に絶縁層113が設けられて構成されている。このベース基板111の絶縁層113上に配線パターン114が設けられている。LED素子116は、配線パターン114上に導電性接着剤115を用いて固定されており、LED素子116の下面側(ベース基板111に対向する面側)に配置された電極が導電性接着剤115を介して配線パターン114に電気的に接続されている。さらに、LED素子116の下面側の電極と接続されていない配線パターン114と、LED素子116の上面側に配置された電極とが、金属細線117を介して電気的に接続している。さらに、各LED素子116の周囲には、ベース基板111と一体化された反射板118が取り付けられている。図15に、反射板118の一例が示されている。
【0004】
また、例えば、実開昭64−13167号公報、特開平6−80841号公報、特開2000−353827号公報等には、図14に示した構造と異なる構造のLED照明装置が提案されている。その一例の構造について、図16を参照しながら以下に説明する。
【0005】
ベース基板121は、ベース金属122とベース金属122上に設けられた絶縁層123により構成されている。このベース基板121には、絶縁層123側からザグリ加工が施され、ベース金属122にまで渡る凹部が複数個形成されている。各凹部内には、LED素子126が収容されている。LED素子126は導電性接着剤125により凹部の底面に固定されており、LED素子126の下面側(ベース基板121に対向する面側)に配置されている電極がベース金属122と電気的に接続している。さらに、LED素子126の上面側に配置された電極は、金属細線127を介して、ベース基板121の絶縁層123上に設けられた配線パターン124と電気的に接続している。この構造例においては、凹部の壁面が光反射面として利用されている。また、この構造例では、ベース金属121は、電源128に電気的に接続されて、配線パターン124と共に複数のLED素子126の共通の配線パターンとして機能している。
【0006】
次に、LED素子116,126について説明する。LED素子116,126の電極構成としては、素子の上面および下面のうちの一方に正の電極を、他方に負の電極を形成した構成のものと、同一面から正負一対の電極が取り出された構成のものとの、二種類の構成が考えられる。なお、図14および図16に示したLED照明装置に用いられているのは、素子の上面および下面のうちの一方に正の電極を、他方に負の電極を形成した構成のLED素子である。図17(a)(b)に、例えばGaN系半導体を用いた青色LEDにおける、両者の比較的単純な電極構成の一例を示す。
【0007】
図17(a)の例は、導電性の素子基板131上にn型半導体層132および活性層133が順に積層され、その上下にオーム性の電極134aと134bとが形成されたMIS(metal-insulator-semiconductor)構造となっている。導電性の素子基板131としては例えばSiC基板、n型半導体層132としては例えばGaN、活性層133としては例えばInGaNが用いられる。図17(b)の例は、絶縁性の素子基板141に、n型半導体層142、活性層143、およびp型半導体層144が順に積層され、n型半導体層142の露出部分とp型半導体層144の表面にオーム性の電極145aと145bが形成された、p−n接合構造となっている。絶縁性の素子基板141としては例えば透光性も兼ね備えたサファイア基板、n型およびp型半導体層142,144としては例えばGaN、活性層143としては例えばInGaNが用いられる。p−n接合を有するLED素子は、MIS構造のLED素子よりも発光出力、発光効率が優れているため、近年、p−n接合のLED素子に対する要求が高まっている。また、LED素子を基板に実装するにあたり、MIS構造の電極構成の場合は、LED素子の下面の電極と基板とを導電性接着剤で接続し、上面の電極と配線パターンとを金属細線で接続するワイヤーボンディング実装が用いられる。このため、LED素子の周囲にワイヤーボンディング用のスペースを確保しなければならず、高密度実装には適さない電極構成であるといえる。これに対し、p−n接合の電極構成では、LED素子を配線パターン上にフェイスダウン状態で実装するフリップチップ実装が可能であり、これによって高密度実装が実現できるので、小型で照度の高いLED照明装置が得られることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数のLED素子を基板上に配置して大きな照度を得るLED照明装置においては、以下のような問題がある。
【0009】
まず、LED素子を実装した後に基板上に反射板を取り付ける構成(図14に示した構成)は、LED素子並びに金属細線と反射板とが接触しないようにアライメントが必要となるという問題である。特に、LED照明装置の小型化を図るために高密度実装を進めていくにつれ、アライメントはより困難となる。
【0010】
一方、金属ベース基板にザグリ加工を施して形成した凹部にLED素子を収容する構成(図16に示した構成)は、複数の凹部を個々に加工する必要があり、複雑かつ高コストであるという問題を有する。さらに、露出したベース金属を電極として用いる構成では、一方の電極を必ずワイヤーボンディング実装しなければならず、高密度実装は困難である。このようなベース基板を用いてフリップチップ実装を用いるためには、ベース金属が露出した凹部の底面および側面に絶縁層および配線層を新たに形成しなければならないが、これは複雑かつ高コストである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のLED照明装置の製造方法は、無機フィラーと、熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物を、シート状物に加工する第1の工程と、前記シート状物の少なくとも一主面に配線パターンと複数の凹部とを形成する第2の工程と、前記凹部内にLED素子を実装する第3の工程とを含み、前記第2の工程が、離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程と、前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含み、前記金型は、前記離型キャリアと接する面であって前記シート状物の所定の領域に対応する領域に凸部を有する形状を有し、前記離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程において、前記離型キャリアの一方の面の所定の領域に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2のLED照明装置の製造方法は、無機フィラーと、熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物を、シート状物に加工する第1の工程と、前記シート状物の少なくとも一主面に配線パターンと複数の凹部とを形成する第2の工程と、前記凹部内にLED素子を実装する第3の工程とを含み、前記第2の工程が、一方の面の所定の領域に凸部を有する離型キャリアを用意し、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面に配線パターンを形成する工程と、前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を、板状の金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含み、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面に配線パターンを形成する工程において、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面の所定の領域に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板は、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物とを含んだ絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一主面に設けられた配線パターンとを備え、前記絶縁層の前記一主面に複数の凹部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この熱伝導配線基板は、無機フィラーと樹脂組成物とを含む絶縁層をベース基板として用いているので、熱伝導率が高い。従って、LED素子を実装した場合に、LED素子の発光に伴い発生した熱を熱伝導配線基板に拡散させることができる。これにより、LED素子の温度上昇を抑えることができる。さらに、絶縁層に設けられた凹部内にLED素子を収容して実装すれば、凹部の壁面がLED素子の近傍に位置することになるため、輻射により伝達した熱の拡散効果も高くなり、LED素子の温度上昇を確実に抑えることができる。また、凹部の壁面は反射板と同様に機能するため、反射板を別途設ける必要がない。そのため、反射板の配置に伴うアライメントも不要である。さらに、ベース基板は絶縁層なので、コストを大幅に上げることなく凹部底面に配線層を形成することができる。このため、LED素子をフリップチップ実装することもでき、LED素子の周辺にワイヤーボンディング用のスペースを設けなくてもよい。このように、この熱伝導配線基板によれば、高密度実装が可能となり、LED照明装置の小型化を実現することができる。
【0017】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記絶縁層が、前記無機フィラーを70〜95重量%、前記樹脂組成物を5〜30重量%含むことが好ましい。絶縁層の熱伝導率をさらに良好なものとし、放熱性をより確実に向上させるためである。
【0018】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記絶縁層の熱伝導率が1〜10W/(m・K)であることが好ましい。これにより、放熱性が確実なものとなる。
【0019】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記無機フィラーが、Al23、MgO、BN、SiO2、SiC、Si34、およびAlNからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの材料からなる無機フィラーは熱伝導性に優れているので、熱伝導配線基板の熱伝達率の向上に有効だからである。
【0020】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。形成される絶縁層の電気絶縁性、機械的強度、および耐熱性が向上するからである。
【0021】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記凹部は底部に向かって狭くなる形状であることが好ましい。これにより、LED素子を凹部内に実装した場合に、LED素子から発した光は、凹部の内壁面で反射されて、照明光として利用できる方向としての基板上方に効率よく発射されるからである。
【0022】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記絶縁層が白色であることが好ましい。これにより、露出した絶縁層における光反射率が高いものとなり、LED素子から発せられた光の照明光への利用効率を高めることができるからである。
【0023】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記凹部の内面の少なくとも一部に、前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜が設けられていることが好ましい。光の利用効率をさらに向上させるためである。また、この高反射膜は耐酸化性の金属からなることが好ましい。経時変化や雰囲気による酸化を防いで、高反射膜の高い光反射性を維持するためである。また、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記金属がNiまたはAuを主成分とすることが好ましい。これらの材料はLED素子の実装性が高いため、高反射膜と、配線パターンの表面に実装性を改善するために設ける金属層とを、同一の材料にて形成できるからである。
【0024】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板においては、前記配線パターンが複数層設けられており、前記絶縁層には、相異なる層の配線パターンを互いに電気的に接続するビアが設けられている構成とすることができる。この構成によれば、実装面における配線パターンの占める割合を低減することができるので、LED素子の実装密度をより向上させることができる。なお、この場合、前記ビアは、前記絶縁層に形成された貫通孔に導電性樹脂組成物を充填してなることが好ましい。
【0025】
本発明のLED照明装置は、前記本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板と、前記熱伝導配線基板の凹部内に配置されて配線パターンと電気的に接続されたLED素子とを備えたことを特徴とする。
【0026】
このLED照明装置は本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板を用いているので、上述したように、高密度実装による装置の小型化が実現できる。さらに、LED素子から発光した光の進行方向は熱伝導配線基板の凹部の内壁により所定の方向に制御されるので、照明への利用効率が高くなり、同一サイズでの照度の向上が可能となる。
【0027】
本発明のLED照明装置においては、前記LED素子は、同一面から正負一対の電極が取り出された構造を有し、前記凹部底面に設けられた配線パターン上にフリップチップボンディングで実装されていることが好ましい。高密度に実装することができるからである。
【0028】
本発明のLED照明装置においては、少なくとも前記LED素子を被覆するように設けられ、前記LED素子から発せられた光を集光するレンズ部をさらに備えることが好ましい。これによりLED素子の発光を光学的に制御でき、LED照明装置の照度を向上させることができる。また、前記レンズ部は透明樹脂にて形成することができる。また、前記透明樹脂は、前記LED素子から発せられた光の波長を所定の波長に変換する蛍光物質を含んでいてもよい。これにより、赤色、緑色、青色の発光を合成することなく、単一の発光色のLED素子のみで白色発光を得ることが可能となるからである。また、前記レンズ部は凸の球面形状であることが好ましい。集光率を高めるためである。
【0029】
本発明のLED照明装置においては、前記熱伝導配線基板の凹部が設けられた面の対向面上に放熱板を設けることが好ましい。放熱性をさらに向上させるためである。
【0030】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法は、無機フィラーと、少なくとも熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物を、シート状物に加工する第1の工程と、前記シート状物の少なくとも一主面に配線パターンと複数の凹部とを形成する第2の工程とを含むことを特徴とする。これにより、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板を作製することができる。
【0031】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、前記第2の工程が、離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程と、前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含んでおり、前記金型は、前記離型キャリアと接する面であって前記シート状物の所定の領域に対応する領域に凸部を有する形状とすることができる。この方法によれば、複数の凹部の形成を一括して行うことができ、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板を容易に製造することができる。
【0032】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、前記第2の工程は、一方の面の所定の領域に凸部を有する離型キャリアを用意し、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面に配線パターンを形成する工程と、前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を、板状の金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含んでいてもよい。この方法によっても、複数の凹部の形成を一括して行うことができ、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板を容易に製造することができる。
【0033】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、前記第2の工程が、離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程と、前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を、板状の金型に挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧する工程と、前記積層物において前記離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層を加熱して軟化させてから、前記絶縁層の配線パターンが設けられている面の所定の領域を突起部を有する型を用いて押圧して凹部を形成する工程とを含んでいてもよい。この方法によれば、より微細な凹部の形成を行うことができる。
【0034】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、前記第2の工程は、さらに、配線パターンが設けられた絶縁層の凹部の内面の少なくとも一部に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成する工程を含むことが好ましい。光の利用効率がさらに向上した熱伝導配線基板を作製するためである。
【0035】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程において、前記離型キャリアの一方の面の所定の領域に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成することが好ましい。光の利用効率がさらに向上した熱伝導配線基板を容易に作製できるからである。
【0036】
本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法においては、前記第1の工程において、加工されたシート状物の所定の領域に貫通孔を形成し、前記貫通孔に導電性樹脂組成物を充填することが好ましい。これによりビアが作製できるので、凹部が形成された実装面と反対側の面にも配線パターンを設けることができる。このため、実装面における配線パターンの占める割合を低減することができるので、LED素子の高密度実装を実現できる。
【0037】
本発明のLED照明装置用の製造方法は、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板の製造方法にて形成された熱伝導配線基板の凹部内にLED素子を実装する工程を含むことを特徴とする。これにより、本発明のLED照明装置を作製することができる。
【0038】
本発明のLED照明装置においては、前記熱伝導配線基板の凹部が設けられた面の対向面上に、無機フィラーと、少なくとも熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物からなる未硬化のシート状物を介して放熱板を重ね合わせ、加熱しおよび厚み方向に加圧して全体を一体化する工程をさらに含むことが好ましい。これにより、放熱性がさらに向上したLED照明装置を作製することができる。
【0039】
本発明のLED照明装置においては、熱伝導配線基板の凹部内にLED素子を実装する工程の後、前記LED素子を覆うように前記凹部内に透明樹脂を充填して硬化させる工程をさらに含むことが好ましい。この透明樹脂によりレンズ部が形成されるので、集光率の高いLED照明装置を作製することができる。
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるLED照明装置の構成を示す断面図であり、図2(a)は図1に示したLED照明装置の凹部近傍の構成を示す断面図であり、図2(b)は図1に示したLED照明装置に用いられているLED素子16の構成を示す断面図である。なお、図2(a)には、LED照明装置の一つの凹部およびLED素子周辺のみの構成を示す。
【0042】
本実施の形態におけるLED照明装置は、絶縁層13の少なくとも一主要面に配線パターン14および複数の凹部を有する熱伝導配線基板11と、前記凹部にそれぞれ収容されて配線パターン14と電気的に接続されたLED素子16とを備え、前記凹部の内面の少なくとも一部(本実施の形態においては内側面)に絶縁層13よりも光反射率の高い高反射膜15が形成されている。また、表層の配線パターン14とビア18により電気的に接続された内層の配線パターン19を備えている。また、熱伝導配線基板11の凹部が設けられた面の対向面上(反対面上)に配置された放熱板12を備えている。さらに、透明樹脂が凹部に充填されて形成されたレンズ部17を備えている。さらに、配線パターン14上にはLED素子16の実装性を向上させるための金属層20が設けられており、高反射膜15と絶縁層13との間には高反射膜15の下地としての金属層21が設けられている。
【0043】
LED素子16は、バンプ22を介して配線パターン14にフリップチップ実装されている。フリップチップ実装としては、特に限定されないが、例えば、はんだや導電性接着剤を主成分とするバンプによる接続、LED素子16の電極上に形成した金属バンプとはんだや導電性接着剤による接続等を用いることができる。特に、配線パターン14の表面に形成された金属層20がAuを主成分とする金属からなる場合、LED素子16の電極上にAuを主成分とするバンプ(Auバンプ)を形成しておき、このAuバンプと配線パターン14上の金属層21とを、加熱・加圧または超音波印加により直接接合するフリップチップ実装を用いることができる。これは、はんだおよび導電性接着材の塗布時に発生しやすいLED素子16の露出した発光面の汚染を懸念する必要が無い点から、好ましい。
【0044】
LED素子16は、材料、構造、および発光色は特に限定されないが、ここではフリップリップ実装が可能な構成のLED素子を用いている。具体的には、図2(b)に示すような、同一面から正負一対の電極が取り出された構成のLED素子であり、絶縁性の素子基板161に、n型半導体層162、活性層163、およびp型半導体層164が順に積層され、n型半導体層162の露出部分とp型半導体層164の表面にオーム性の電極165aと165bが形成された、p−n接合構造となっている。
【0045】
なお、図1および図2(a)は、LED素子16の高密度実装に適するフリップチップ実装の好ましい構成例であるが、図3(a)(b)に示すように、同じ電極構成(図2(b)に示した電極構成)のLED素子16を用いてワイヤーボンディング実装することも当然可能である。図3(a)(b)では、絶縁層13の一主要面に配線パターン14および凹部が形成され、前記凹部に収容されたLED素子16の電極形成面と反対面の絶縁性の素子基板161が、接着剤23を介して配線パターン14に固定されており、正負それぞれの電極が配線パターン14に金属細線24で電気的に接続されている。
【0046】
また、以上で説明した本実施の形態のLED照明装置は、図2(b)に示すような同一面側に正負一対の電極が形成されたLED素子16を用いた構成例であるが、上面および下面にそれぞれ正または負の電極が形成されたLED素子も用いることができる。図4(a)(b)では、図4(c)に示すような、素子の上面および下面のうちの一方に正の電極を、他方に負の電極を形成した構成のLED素子31を用いた構成例が示されている。図4(c)に示すLED素子31は、導電性の素子基板311上にn型半導体層312および活性層313が順に積層され、その上下にオーム性の電極314aと314bとが形成されたMIS構造となっている。導電性の素子基板311としては例えばSiC基板、n型半導体層312としては例えばGaN、活性層313としては例えばInGaNが用いられる。
【0047】
図4(a)(b)に示すLED照明装置は、絶縁層13の一主要面に配線パターン14および凹部が形成され、前記凹部に収容されたLED素子31の一主要面の電極が、導電性接着剤32を介して配線パターン14に固定されており、反対面の電極が配線パターン14に金属細線33で電気的に接続されている。このようなワイヤーボンディング実装を用いた構成例では、金属細線33は特に限定されず、金属細線33と接合するLED素子31の電極ならびに配線パターン14との接合性を考慮して適宜選択される。例えば、AuやAlを用いることができる。
【0048】
なお、本実施の形態のLED照明装置においてLED素子16,31は凹部に完全に収容されている必要は無く、凹部の深さはLED素子16,31の厚み以下で、LED素子16,31の一部のみが凹部に収容される構成であっても構わない。
【0049】
以下に、絶縁層13、配線パターン14、高反射膜15、ビア18、放熱板12、およびレンズ部17についても、詳細に説明する。
【0050】
絶縁層13は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物に無機フィラーを分散させてなる層であり、絶縁性樹脂並びに無機フィラーの選択によって、熱伝導度、線熱膨張係数、誘電率等の調整が可能となる。また、絶縁層13の熱伝導率は1〜10W/(m・K)の範囲とすることが好ましく、これにより良好な放熱性を有する熱伝導配線基板11となる。また、絶縁層13は白色であることが好ましい。この場合、露出した絶縁層13における可視光の反射性を高くすることができ、光反射率の良好な高反射膜15が配置されていない領域に向かった光の照明光への利用効率も高めることができるからである。
【0051】
配線パターン14としては、導電性に優れ、かつ、回路形成が容易に行われる材料にて形成されていればよいため、特に限定されないが、金属箔であることが好ましい。金属箔には、例えばCu、Ni、Alおよびこれらのいずれかの金属を主成分とする合金が使用できるが、特にCuおよびCuを主成分とする合金が好ましい。Cuは電気伝導性に優れ、安価で回路パターン形成が容易に行えるからである。また、この金属箔は、樹脂組成物と接する片方の面が粗化されていることが好ましい。金属箔と樹脂組成物との接着強度が向上するからである。配線パターン14は転写にて形成されることが好ましい。このため、キャリア層に剥離層を介して配線パターン形状の金属箔が付着した転写パターン形成材を用いることが好ましい。これによりエッチング等による微細な配線パターンの作製が容易となり、さらに、キャリア層があるため取り扱いやすいからである。なお、本実施の形態におけるLED照明装置の図(図1〜図4)においては、配線パターン14が絶縁層13に埋設されている場合を示しているが、配線パターン14が絶縁層13に埋設されておらず表面に付着した状態であってもよい。
【0052】
光反射率の優れた高反射膜15は、凹部の内面の少なくとも一部に形成されており、これにより、LED素子16,31からの光を効率よく反射し、LED照明装置の照度を向上することができる。高反射膜15としては、その表面を鏡面に維持できるものが好ましく、特に光沢性を有する耐酸化性の金属膜であることが望ましい。例えば、めっき法、蒸着法、スパッタ法等により形成したNi、Au、Pt、Ag、Alなどを主成分とする金属膜が利用できる。これにより、経時変化や雰囲気による酸化を防止でき、高い光反射性を維持することができる。特に、NiまたはAuを主成分とする金属膜を利用した場合、これらの材料は、LED素子の実装性が高いため、配線パターン14の表面に実装性を改善するために形成する金属層20としても使用できる。従って、高反射膜15をNiまたはAuを主成分とする金属膜にて形成する場合は、同一の材料および同一の工程にて、高反射膜15と金属層20とを形成できるため、好ましい。
【0053】
ビア18は、絶縁層13の表層の配線パターン14と内層の配線パターン19の所定位置同士を電気的に接続するために形成されており、めっきや導電性樹脂組成物により形成される。
【0054】
放熱板12には、熱伝導性に優れたAlやCu等からなる金属板を使用することが好ましく、より好ましくは、放熱フィンを備えたものを使用することである。特に、Alは加工性に優れるため、放熱板12を複雑な形状に形成して表面積を大きくすることが可能であり、良好な放熱性を得ることができる。また、放熱板12の絶縁層13との接着面は、粗面化処理されていることが好ましい。これにより接着がより強固となるからである。粗面化処理方法としては、化学的処理方法および物理的処理方法のいずれも採用可能である。化学的処理方法としては、例えば、塩化鉄、塩化銅等の水溶液中に放熱板12を浸漬してエッチングする方法が挙げられる。また、物理的処理方法としては、例えば、Al23などの粉末を圧縮空気ととも放熱板12の表面に吹き付ける方法が挙げられる。
【0055】
レンズ部17は、LED素子16,31を覆うように透明樹脂を凹部に充填することで形成されており、光を集光するレンズとして機能する。このレンズ部17は、集光率を高めるため、凸である球面形状であることが好ましい。また、図1〜図4に示した構成例のように、LED素子16,31と配線パターン14との電気的接続手段であるバンプ22、導電性接着剤32、および金属細線24,33の周囲を覆うことが、より好ましい。これにより、接続部の信頼性を高めることができるからである。なお、本明細書における透明とは、必ずしも無色透明であることを意味するものではなく、LED素子からの光を透過するという意味である。なお、レンズ部17を構成する透明樹脂が蛍光物質を含み、通過したLED素子からの光の波長が変換される構成とすれば、赤色、緑色、青色の光を合成することなく、単一の発光色のLED素子のみで白色発光を得ることが可能となる。例えば、青色の光を白色に変換する蛍光物質としては、青色と補色関係にある蛍光染料・顔料や、YAG系蛍光体が利用できる。この透明樹脂の材料については、絶縁性および透光性が高ければ特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、低融点ガラス等が使用可能である。これらは、LED素子16,31を封止する際に必要な溶融温度がLED素子16,31の耐熱温度以下である点から好ましい。
【0056】
次に、熱伝導配線基板11の構成について、より詳細に説明する。図5(a)は、図1に示した熱伝導配線基板11の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A矢視断面図である。図5(a)(b)に示すように、絶縁層13の一主要面には配線パターン14および凹部が形成され、さらに、凹部の内面の少なくとも一部(本実施の形態においては内側面)に高反射膜15が形成されている。配線パターン14は、凹部の底面に形成されたLED素子実装用の電極と、それにつながる凹部の側壁および絶縁層13の主面に沿って形勢された引出し配線とで構成されている。高反射膜15が金属膜のように導電性を有している場合、図5(a)に示すように、配線パターン14に電気的に接触しないように配置されている。また、配線パターン14上には実装性を高めるための金属層20が設けられており、この金属層20は高反射膜15と同一材料・同一工程にて形成することが可能である。また、高反射膜15の下(高反射膜15と絶縁層13との間)には、高反射膜15の下地としての金属層21が設けられており、この金属層21は、配線パターン14と同一材料・同一工程にて形成することが可能である。
【0057】
以上に説明した本実施の形態のLED照明装置は、LED素子の発光に伴う発熱が熱伝導率の高い熱伝導配線基板に拡散し、LED素子の温度上昇を防止することができる。また、LED素子から発光した光の進行方向は、熱伝導配線基板に設けられた凹部の内壁により所望の方向に制御され、照明の利用効率を極めて高くすることができる。さらに、内壁に形成された光反射率の優れた高反射膜により、光の利用効率をさらに高めることができる。また、凹部は熱伝導配線基板自体に形成されているため、反射板およびそのアライメントが不要であり、LED素子と反射板との接触を懸念する必要がない。さらに、凹部の底面は絶縁層であるため配線層形成も可能であることから、LED素子をフリップチップ実装することもでき、この場合、LED素子の周囲にワイヤーボンディング用のスペースを設けなくても良い。このため、高密度実装による照明装置の小型化あるいは、同一サイズでの照度の向上が可能となる。
【0058】
次に、LED照明装置の製造方法について説明する。まずは、放熱金属板12を設けない構成のLED照明装置の製造方法について、図6(a)〜図6(f)を参照しながら説明する。
【0059】
まず、無機フィラーと少なくとも熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物との混合物である未硬化状態の絶縁材をシート状物(絶縁層13)に加工する。このシート状物の所定の位置に貫通孔を形成し、この貫通孔に熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂組成物を充填してビア18を作製する。一方、絶縁層13の凹部形成面側に設けられる配線パターン14および金属層21が予め形成された離型キャリア81aと、絶縁層13の凹部形成面と対向する面側に設けられる配線パターン19が予め形成された離型キャリア81bとを用意しておく。これらの離型キャリア81a、81bを、配線パターン14,19や金属層21が形成された面を絶縁層13側に向けて、絶縁層13の上下面にそれぞれ位置合わせして重ね合わせ、積層物を作製する(図6(a)参照)。
【0060】
次に、この積層物の上下面を金型82で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、絶縁層13中の熱硬化性樹脂を硬化させ、配線パターン14および金属層21を絶縁層13表面に埋設すると共に接着する。さらに、ビア18の導電性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂も同時に硬化させて、相対した配線パターン14の電気的接続を行う。この金型82は、積層物の凹部形成面と接する側の面の所定の領域に凸部を有している。従って、この凸部を有する金型82と接する離型キャリア81a、離型キャリア81aに形成された配線パターン14および金属層21、および未硬化の絶縁層13が、加圧されることにより、この凸部に沿うように厚み方向に変形する(図6(b)参照)。この工程により、底面に配線パターン14を備え、さらに側面に金属層21(後の工程にて形成する高反射膜15の下地となる)を備えた凹部を、絶縁層13の表面に形成することができる。
【0061】
次に、硬化した絶縁層13から離型キャリア81a,81bのみを剥離し、表面に配線パターン14および金属層21が形成され、さらに所定の領域に凹部が設けられた絶縁層13とする(図6(c)参照)。
【0062】
次に、反射面となる凹部の内側面に形成された金属層21上に、絶縁層13よりも反射率の高い高反射膜15を形成する(図6(d)参照)。この高反射膜15をAuやNiを主成分とする金属を用いて作製する場合は、配線パターン14上にも同材料を用いてめっきにより金属層20を形成する。これにより、反射面の表面には、経時変化や雰囲気による酸化を防止でき、かつ、高い光反射性を有する高反射膜15を形成すると共に、配線パターン14上にワイヤーボンディング実装およびフリップチップ実装に適した表面層を形成することができる。
【0063】
以上の工程により、熱伝導配線基板11が作製できる。
【0064】
次に、LED素子16を、熱伝導配線基板11の凹部の底面の配線パターン14上に実装する(図6(e)参照)。実装方式については、フリップチップ実装やワイヤーボンディング実装が使用できるが、図6(e)においてはフリップチップ実装した様子が示されている。
【0065】
最後に、透明樹脂をLED素子16を覆うように凹部に充填し、加熱することにより硬化させて、レンズ部17とする(図6(f)参照)。加熱時または加熱前に減圧下にさらすことは、透明樹脂中のボイド低減に効果があり、特にLED素子と配線パターンとの電気的接続部分の周囲にまで渡ってレンズ部17を形成することで、接続信頼性を高めることもできる。
【0066】
以上のような方法により、本実施の形態のLED照明装置が形成される。
【0067】
絶縁層13の形成に用いられる無機フィラーは、熱伝導性に優れるAl23、MgO、BN、SiO2、SiC、Si34およびAlNから選ばれた少なくとも1種類のフィラーを含むことが望ましい。さらに、無機フィラーの平均粒子径は、0.1〜100μmの範囲が適当であり、粒径がこの範囲から外れた場合、無機フィラーの充填性や熱伝導配線基板の放熱性が低下する。さらに、無機フィラーの粒径を7〜12μmの範囲とすると、より放熱性を向上させることができる。
【0068】
また、絶縁層13の形成に用いられる熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびイソシアネート樹脂から選ばれた少なくとも1種類を含むことが望ましい。これらの樹脂は、その硬化物が電気絶縁性、機械的強度、および耐熱性に優れるからである。
【0069】
無機フィラーと樹脂組成物との混合物における各成分の含有量は、樹脂組成物を5〜30重量%、好ましくは7〜15重量%、更に好ましくは7〜11重量%とし、無機フィラーを70〜95重量%、好ましくは85〜93重量%、更に好ましくは89〜93重量%とするのが適当である。無機フィラーの配合比率がこの範囲より多い場合には、混合物の流動性および接着性が低下し、金属箔との接着が困難になる。また、無機フィラーの配合比率がこの範囲より小さい場合、熱伝導配線基板の放熱性が不良になる。
【0070】
また、樹脂組成物は、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、着色剤、離型剤等の添加剤を含有していることが好ましい。各種添加剤を含有することにより、絶縁層13の特性の改善を図ることができるからである。例えば、カップリング剤によれば、無機フィラーおよび金属箔と樹脂組成物との接着性を改善することができる。また、分散剤は、無機フィラーの分散性を改善し、混合物内の組成ムラの低減に有効である。また、着色剤は、例えば、白色の着色剤であれば、絶縁層の光反射性の向上に有効である。
【0071】
シート状物への加工は、まず、無機フィラーと液状の熱硬化性樹脂を混合してペースト状混合物を作製するか、無機フィラーに溶剤で低粘度化した熱硬化性樹脂を混合して同様にペースト状混合物を作製する。次に、ペースト状混合物をドクターブレード法等によって一定厚みに成型し、熱処理することで、シート状物を得る。熱処理は、液状の熱硬化性樹脂を用いたものでは、粘着性があるため若干硬化を進め、未硬化状態で可撓性を維持しながら粘着性を除去するためである。また溶剤により樹脂を溶解させた混合物では、その溶剤を除去し、同様に未硬化の状態で可撓性を保持しながら粘着性を除去するためである。このようにして作製された未硬化状態のシート状物に貫通孔を形成する際には、レーザ加工法や金型による加工法、もしくはパンチング加工法を用いることができる。特にレーザ加工法では、炭酸ガスレーザやエキシマレーザが加速度の点で有効である。導電性樹脂組成物は、AuやAg、Cuの粉末を導電材料とし、これにシート状物に用いたものと同様の熱硬化性樹脂を混練したものが使用できる。特にCuは導電性が良好で、マイグレーションも少ないため有効である。また、熱硬化性樹脂も液状のエポキシ樹脂が耐熱性の面で安定である。
【0072】
また、放熱板12を設ける構成のLED照明装置の場合は、図7(a)〜図7(e)示す方法を用いて製造する。
【0073】
まず、上記に説明した図6(b)までの工程により得られる凹部が形成された積層物において凹部形成面と反対側の面に配置されている離型キャリア81bのみを除去したものと、未硬化の絶縁材をシート状に加工したシート状物(絶縁層13)と、放熱板12とを重ねて、金型82を用いて加熱し、および厚み方向に加圧して、凹部が形成された積層物に放熱板12を接着させる(図7(a)参照)。
【0074】
次に、積層物に放熱板12を接着させた状態のものから離型キャリア81aを剥離する(図7(b)参照)。
【0075】
次に、反射面となる凹部の内側面に形成された金属層21上に、めっきにより絶縁層13よりも反射率の高い高反射膜15を形成する。また、同時に配線パターン14上にも同材料を用いてめっきにより金属層20を形成する(図7(c)参照)。これにより、反射面の表面には、経時変化や雰囲気による酸化を防止でき、かつ、高い光反射性を有する高反射膜15を形成すると共に、配線パターン14上にワイヤーボンディング実装およびフリップチップ実装に適した表面層を形成することができる。
【0076】
以上の工程により、放熱板12が形成された熱伝導配線基板11を作製することができる。
【0077】
次に、放熱板12を設けないLED照明装置の場合と同様に、LED素子16を熱伝導配線基板11の凹部の底面の配線パターン14上に実装し(図7(d)参照)、その後、LED素子16を覆うように透明樹脂を凹部に充填し、加熱して、レンズ部17を形成する(図7(e)参照)。
【0078】
以上の方法により、本実施の形態における放熱板12を備えたLED照明装置が完成する。
【0079】
(実施の形態2)
図8(a)は、本発明の実施の形態2における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)のB−B矢視断面図である。なお、この実施の形態2の熱伝導配線基板において用いられる材料は、特に説明の無い限り、実施の形態1で述べたものと同じであり、同じ呼称の構成部材については同様の機能を有するものとする。
【0080】
本実施の形態の熱伝導配線基板は、絶縁層41の一主要面に配線パターン42および凹部が形成され、この凹部の内側壁に絶縁層41よりも光反射率の高い高反射膜43が形成されている。本実施の形態における配線パターン42は、凹部の底面に形成されたLED素子実装用の電極のみであり、ビア44により、絶縁層41の裏面の引き出し配線45と電気的接続されている。このような構成によれば、図5に示した熱伝導配線基板のような凹部の壁面に沿って形成された配線パターンが存在しないため、図8(a)に示すように、高反射膜43を凹部の内側壁の全面に渡って配置することができるため、光反射率をより向上させることができる。なお、46は高反射膜43の下地となる金属層である。
【0081】
また、本実施の形態の熱伝導配線基板は、実施の形態1で説明した製造方法を用いて作製することが可能であるため、ここではその説明を省略する。
【0082】
(実施の形態3)
図9(a)は、本発明の実施の形態3における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)のC−C矢視断面図である。なお、この実施の形態3の熱伝導配線基板において用いられる材料は、特に説明の無い限り、実施の形態1で述べたものと同じであり、同じ呼称の構成部材については同様の機能を有するものとする。
【0083】
本実施の形態の熱伝導配線基板は、絶縁層51の一主要面に配線パターン52および凹部が形成され、前記凹部の内側壁に絶縁層51よりも光反射率の高い高反射膜53が形成されている。高反射膜53は、配線パターン52と同材料にて形成された金属層を下地として形成されているのではなく、絶縁層51上に直接形成されている。このように、高反射膜53の下地は金属層に限定されず、絶縁層51上に直接形成することも可能である。また、図9(a)に示すように、高反射膜53は、凹部の内側壁面の円周方向のみならず、高さ方向においても、壁面の一部にのみ設けることができる。
【0084】
次に、本実施の形態の熱伝導配線基板の製造方法について、図10(a)〜図10(e)を参照しながら説明する。
【0085】
まず、予め配線パターン52が形成されている離型キャリア91上に、さらに、後の工程でLED素子を実装するための凹部の壁面に対応させて、絶縁層51よりも光反射率の高い高反射膜53を形成する。これは、めっき法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等により形成される。このように配線パターン52および高反射膜53が形成された離型キャリア91と、未硬化の絶縁材をシート状に加工したシート状物(絶縁層51)とを、位置合わせして重ね合わせる(図10(a)参照)。
【0086】
次に、これらを平板92で挟んだ状態で加熱および厚み方向に加圧し、絶縁層51中の熱硬化性樹脂を硬化させて、配線パターン52および高反射膜53を絶縁層51表面に埋設するとともに接着する。その後、配線パターン52および高反射膜53が埋設された状態で硬化した絶縁層51から、離型キャリア91を剥離する(図10(b)参照)。
【0087】
次に、配線パターン52上に、実装性を向上させるための金属層54を選択的にめっきする。この金属層54には、NiまたはAuを主成分とする金属を用いることが好ましい。
【0088】
次に、絶縁層51のガラス転移点以上の温度で加熱して絶縁層51を再度軟化させ、さらに、突起部を有する型93を用いて所定の領域を局所的に加圧することでその領域を厚み方向に変形させ、凹部を形成する(図10(d)参照)。このようにして所定の領域に凹部を形成することにより、凹部の内側面に高反射膜53を備えた熱伝導配線基板が完成する(図10(e)参照)。
【0089】
このような方法で形成された熱伝導配線基板を用い、LED素子を凹部の底面の配線パターン52上に実装し、さらに透明樹脂をLED素子を覆うように凹部に充填して加熱硬化させてレンズ部を形成することにより、LED照明装置を作製することができる。
【0090】
(実施の形態4)
図11(a)は、本発明の実施の形態4における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)のD−D矢視断面図である。なお、この実施の形態4の熱伝導配線基板において用いられる材料は、特に説明の無い限り、実施の形態1で述べたものと同じであり、同じ呼称の構成部材については同様の機能を有するものとする。
【0091】
本実施の形態の熱伝導配線基板は、絶縁層61の一主要面に配線パターン62および凹部が形成され、前記凹部の内側壁に絶縁層61よりも光反射率の高い高反射膜63が形成されている。また、配線パターン62上にはLED素子の実装性を高めるための金属層64が形成されており、高反射膜63の下地としての金属層65も形成されている。本実施の形態における凹部の形状は、実施の形態1〜3の熱伝導配線基板に設けられたテーパ形状と異なり、内壁面がアール形状に形成されている。この構成によれば、集光率を高くすることができるので、より好ましい。
【0092】
次に、本実施の形態の熱伝導配線基板の製造方法について、図12(a)〜図12(e)を参照しながら説明する。
【0093】
まず、一方の面に配線パターン62と金属層65とが形成され、さらに、前記一方の面と反対側の面の所定の領域に凸部102が設けられた離型キャリア101aを用意する(図12(a)参照)。凸部102は、熱伝導配線基板に形成する凹部の形状に対応した形状となっており、離型キャリア101aに、金属や、所定形状の開口部を持つメタルマスクを介して印刷した熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化物などが利用できる。
【0094】
次に、離型キャリア101aと、導電性樹脂組成物を充填したビア66が形成された未硬化の絶縁材をシート状に加工したシート状物(絶縁層61)と、別途に用意した配線パターン67を形成した離型キャリア101bとを位置合わせして、配線パターン62,67が形成された面を絶縁層61側に向けて重ね合わせる(図12(b)参照)。
【0095】
次に、この積層物を平板103で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧して、離型キャリア101aの凸部102が設けられた部分と、その部分に形成された配線パターン62および金属層65と、未硬化の絶縁層61とを、凸部102形状に厚み方向に変形させる。これにより、底面に配線パターン62、壁面に金属層65を備えた凹部が、絶縁層61の表面に形成される(図12(c)参照)。
【0096】
次に、硬化した絶縁層61から離型キャリア101a,101bを除去する(図12(d)参照)。
【0097】
次に、凹部が形成された面の配線パターン62と、凹部の側壁に設けられた金属層65との表面に、絶縁層61よりも反射率の高い金属層をめっきする。この金属層のうち、金属層65上に形成されたものは高反射膜63となり、配線パターン62上に形成されたものは実装性を向上させるための金属層64となる(図12(e)参照)。
【0098】
以上の方法で形成された熱伝導配線基板を用いて、LED素子を凹部の底面の配線パターン62上に実装し、さらに透明樹脂をLED素子を覆うように凹部に充填し、加熱硬化させてレンズ部を形成することにより、LED照明装置を作製することができる。
【0099】
なお、実施の形態1〜4における熱伝導配線基板おいては、凹部の内側壁の形状を斜面形状としているが、これに限定されるものではなく、例えば、階段形状など任意に取り得ることはいうまでもない。さらに、凹部の開口部の形状も、実施の形態1〜4においては円形としているが、これに限定されるものではない。図13(a)(b)は絶縁層71,73に形成された凹部72,74の形状を表しており、この図に示すように、例えば四角形や五角形など任意の形状とすることができる。
【0100】
以上、上記の各実施の形態は本発明を限定するものではなく、本発明に基づき、さらに他の実施の形態を取ってもよいことは言うまでもない。
【0101】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本実施例においては、実施の形態1で説明した熱伝導配線基板11、LED照明装置、およびそれらの製造方法の一例について説明する。
【0102】
本実施例のLED照明装置の作製に際し、まず、転写用の配線パターン形成材の作製方法、すなわち離型キャリア81a,81bに配線パターン14,19を形成する方法について説明する。
【0103】
離型キャリア81a,81bには金属箔を用いた。この金属箔には既存の回路基板用Cu箔が利用できる。一般的な回路基板用Cu箔は、まず銅塩原料をアルカリ性浴に溶解し、これに高電流密度となるように電流を通して回転ドラムにCuを電着させ、回転ドラム上に形成されたCuめっき層を連続に巻き取ることにより作製される。この時、めっき電流密度、ドラム回転速度などを制御することにより、任意の厚みの電解Cu箔を作製することができる。本実施例においては、厚み70μmの電解Cu箔(キャリアCu箔)を離型キャリア81a,81bとして準備した。
【0104】
次に、準備したキャリアCu箔の表面にクロムおよびクロム酸塩で構成された薄い剥離層を形成し、この剥離層上にCuめっきを施し、厚み12μmのCu層を作製した。
【0105】
次に、キャリアCu箔上に剥離層を介して形成されたCu層に対し、二塩化鉄水溶液を用いて公知のフォトリソグラフィ法により化学的エッチングを施し、所定の位置に配線パターン14および反射面形状のパターン(後の工程で形成する高反射膜15の下地となる金属層21)を形成した。また、同様の方法により、配線パターン19のみ形成したキャリアCu箔も別途作製した。
【0106】
このようにして、配線パターン14および金属層21を有するキャリアCu箔(離型キャリア81a)と、配線パターン19を有するキャリアCu泊(離型キャリア81b)を作製した。
【0107】
次に、本実施例に使用したシート状物(絶縁層13)の作製方法について述べる。
【0108】
まず、無機フィラーと液状の熱硬化性樹脂とを、撹拌混練機を用いて混合した。本実施例においては、無機フィラーとしてのAl23(AS−40:昭和電工(株)製、球状、平均粒径12μm)90重量%、熱硬化性樹脂としての液状エポキシ樹脂(EF−450:日本レック(株)製)9.7重量%、その他の組成としてのカップリング剤(チタネート系 46B:味の素(株)製)0.3重量%を用いた。さらに、粘度調整用としてメチルエチルケトンを加えた。また、混合は、所定量の無機フィラー(Al23)と熱硬化性樹脂(液状エポキシ樹脂)を容器に投入し、容器ごと撹拌混練機によって混合した。
【0109】
上記組成で秤量・混合されたペースト状の混合物を用いて、表面にシリコンによる離型処理を施された厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にドクターブレード法により造膜した。なお、このポリエチレンテレフタレートフィルムは離型フィルムとして機能するものである。
【0110】
次に、このように形成された上記混合物の膜を温度120℃で15分間放置し、乾燥させた。熱硬化性樹脂として用いた液状エポキシ樹脂は、硬化開始温度が130℃であるため、前記熱処理条件下では未硬化状態(Bステージ)であり、以降の工程で加熱により再度溶融させることができる。これにより、前記混合物から、厚み400μmの粘着性のない未硬化のシート状物が作製できた。
【0111】
次に、このようにして作製した未硬化のシート状物を所定の大きさにカットし、炭酸ガスレーザを用いてピッチが0.2mm〜2mmの等間隔の位置に直径0.15mmの貫通孔を形成した。この貫通孔に、ビアホール充填用の導電性樹脂組成物をスクリーン印刷法により充填し、ビア18を作製した。本実施例で用いたビアホール充填用の導電性樹脂組成物は、導電材料としての球形状のCu粒子85重量%と、樹脂組成としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828:油化シェルエポキシ(株)製)3重量%およびグルシジルエステル系エポキシ樹脂(YD−171:東都化成(株)製)9重量%と、硬化剤としてのアミンアダクト硬化剤(MY−24:味の素(株)製)3重量%とを、三本ロールにて混練して作製した。
【0112】
本実施例の熱伝導配線基板11の作製方法は、まず、上記のように作製した配線パターン14および反射面形状のパターン(金属層21)を有するキャリアCu箔(離型キャリア81a)と配線パターン19のみ有するキャリアCu箔(離型キャリア81b)とで、貫通孔に導電性樹脂組成物を充填した上記のシート状物を位置合わせして挟み、積層物を作製した。この時、キャリアCu箔上に形成された配線パターン14,19がシート状物側になるよう配置した。
【0113】
次に、この積層物を金型で挟んで、加熱プレスした。この際、配線パターンおよび反射面形状のパターンが形成されたキャリアCu箔に接する側の金型(積層物の凹部形成面に接する側の金型)82を、所定の領域に複数の凸部を備えた金型とした。この凸部の底面は円形であって断面形状は台形をなし、その高さは130μm、傾斜角度は45度であった。加熱プレスは、まず、プレス温度120℃、圧力9.8×105Paで5分間加熱および加圧した。これにより、シート状物中の熱硬化性樹脂が加熱により溶融軟化するため、凸部を備えた金型に接するキャリアCu箔と、キャリアCu箔上に形成された配線パターン14および反射面形状のパターンと、シート状物とが、加圧により凸部に沿うように厚み方向に変形した。これにより、底面に配線パターン14が形成され、さらに反射面形状のパターンにより内側面に金属層21(後の工程にて形成する高反射膜15の下地)が形成された凹部を備えた絶縁層13を形成できた。さらに加熱温度を上昇させ175℃で60分間保持した。これにより、シート状物中のエポキシ樹脂および導電性樹脂組成物中のエポキシ樹脂が硬化し、シート状物と配線パターンとの機械的に強固な接着が得られると共に、導電性樹脂組成物と配線パターンとの電気的および機械的な接着も得られた。
【0114】
次に、この硬化した積層物の凹部形成面の反対面に配置されているキャリアCu箔のみを剥離した。キャリアCu箔は剥離層を有し、その剥離層上に電解めっきにて配線層であるCu層が形成されているため、キャリアCu箔と剥離層だけを、硬化した積層物から剥離することができた。
【0115】
次に、キャリアCu箔を剥離した面に、未硬化のシート状物と、放熱板12としてのAl板とを重ねて、さらに金型を用いて加熱プレスし、Al板を凹部が形成された積層物に接着させた。放熱板12には厚み1.0mmのAl板を用意し、片面をサンドブラスト(研磨粉:Al23、昭和電工(株)製 モランダムA−40)で粗化処理した。この粗化処理面を接着面とした。
【0116】
次に、積層物に放熱板12を接着させた状態のものから、凹部形成面側に配置されているキャリアCu箔を剥離した。
【0117】
次に、反射面となる凹部の内側面に形成された金属層21上、および凹部形成面に形成された配線パターン14上に、厚み4μmのNiめっき、次いで厚み0.3μmのAuめっきを施した。金属層21上に形成されたこれらのめっき膜が高反射膜15となり、配線パターン14上に形成されたこれらのめっき膜はLED素子16を実装する際に適した表面層(金属層20)となる。
【0118】
以上のような方法で、本実施例の熱伝導配線基板11が作製された。
【0119】
次に、作製した熱伝導配線基板11において、各凹部底面のAuめっきされた配線パターン14上にLED素子16をフリップチップ実装した。LED素子16としては、同一面に正負一対の電極が形成されたLED素子を用い、フリップチップ実装した。実装方法は、Auバンプを介して超音波を印加して、LED素子の電極、金バンプ、配線パターンを接合した。金バンプは25μm径の金ワイヤを用いてボンディングした。
【0120】
次いで、透明なエポキシ樹脂をLED素子を覆うように凹部に充填した。これを、減圧下にさらしてボイドを除去した。次に、140℃で60分間保持してエポキシ樹脂を硬化させ、凸な球面形状のレンズ部17を形成した。
【0121】
以上の方法により、図1に示したものと同様な構造のLED照明装置を作製できた。
【0122】
本方法によって作製されたLED照明装置は、熱伝導配線基板によって放熱性が向上しているのでLED素子の温度上昇を抑制でき、LED素子一個あたりの発光強度が飽和する電流値が向上した。そのため、動作電流を増加して高効率に発光させた場合でも、LED素子の寿命の劣化、波長のずれはなかった。また、凹部壁面の反射面により、基板上方へ発射される光の光束が増加した。
【0123】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のLED照明装置用の熱伝導配線基板とそれを用いたLED照明装置、並びにそれらの製造方法によれば、高密度実装による照明装置の小型化、または、同一サイズでの照度の向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるLED照明装置の構成を示す断面図である。
【図2】 (a)は、図1に示したLED照明装置の凹部近傍の構成を示す断面図であり、(b)は、図1に示したLED照明装置に用いられているLED素子の構成を示す断面図である。
【図3】 (a)および(b)は、図2(b)に示したLED素子を他の実装方法にて実装した場合のLED照明装置の構成を示す断面図である。
【図4】 (a)および(b)は、図2(b)に示したものとは電極構成が異なるLED素子を用いた場合のLED照明装置の構成を示す断面図であり、(c)は、(a)および(b)にて用いられているLED素子の構成を示す断面図である。
【図5】 (a)は、本発明の実施の形態1における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
【図6】 (a)〜(f)は、本発明の実施の形態1におけるLED照明装置の製造方法において、各工程を示した断面図である。
【図7】 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態1におけるLED照明装置の別の製造方法において、各工程を示した断面図である。
【図8】 (a)は、本発明の実施の形態2における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。
【図9】 (a)は、本発明の実施の形態3における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のC−C矢視断面図である。
【図10】 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態3におけるLED照明装置の製造方法において、各工程を示した断面図である。
【図11】 (a)は、本発明の実施の形態4における熱伝導配線基板の一つの凹部近傍の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のD−D矢視断面図である。
【図12】 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態4におけるLED照明装置の製造方法において、各工程を示した断面図である。
【図13】 (a)および(b)は、熱伝導配線基板に設けられる凹部の形状の例を示した斜視図である。
【図14】 従来のLED照明装置の構成を示す断面図である。
【図15】 図14に示した従来のLED照明装置に用いられる反射板の形状の例を示した斜視図である。
【図16】 従来のLED照明装置の別の構成を示す断面図である。
【図17】 (a)および(b)は、LED素子の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 熱伝導配線基板
12 放熱板
13 絶縁層
14 配線パターン
15 高反射膜
16 LED素子
161 絶縁性の素子基板
162 n型半導体層
163 活性層
164 p型半導体層
165a,165b 電極
17 レンズ部
18 ビア
19 内層の配線パターン
20 金属層
21 金属層(高反射膜の下地)
22 バンプ
23 接着剤
24 金属細線
31 LED素子
311 導電性の素子基板
312 n型半導体層
313 活性層
314a,314b 電極
32 導電性接着剤
33 金属細線
41 絶縁層
42 配線パターン
43 高反射膜
44 ビア
45 引き出し配線
46 金属層(高反射膜の下地)
51 絶縁層
52 配線パターン
53 高反射膜
54 金属層
61 絶縁層
62 配線パターン
63 高反射膜
64 金属層
65 金属層(高反射膜の下地)
66 ビア
67 配線パターン
71,73 絶縁層
72,74 凹部
81a,81b 離型キャリア
82 金型
91 離型キャリア
92 平板(板状の金型)
93 突起部を有する型
101a,101b 離型キャリア
102 凸部
103 平板(板状の金型)

Claims (5)

  1. 無機フィラーと、熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物を、シート状物に加工する第1の工程と、
    前記シート状物の少なくとも一主面に配線パターンと複数の凹部とを形成する第2の工程と、
    前記凹部内にLED素子を実装する第3の工程とを含み、
    前記第2の工程が、
    離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程と、
    前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、
    前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、
    前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含み、
    前記金型は、前記離型キャリアと接する面であって前記シート状物の所定の領域に対応する領域に凸部を有する形状を有し、
    前記離型キャリアの一方の面に配線パターンを形成する工程において、前記離型キャリアの一方の面の所定の領域に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成することを特徴とするLED照明装置の製造方法。
  2. 無機フィラーと、熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物を、シート状物に加工する第1の工程と、
    前記シート状物の少なくとも一主面に配線パターンと複数の凹部とを形成する第2の工程と、
    前記凹部内にLED素子を実装する第3の工程とを含み、
    前記第2の工程が、
    一方の面の所定の領域に凸部を有する離型キャリアを用意し、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面に配線パターンを形成する工程と、
    前記離型キャリアの配線パターンが形成された面と前記シート状物の前記一主面とを対向させて、前記離型キャリアを前記シート状物に積層する工程と、
    前記離型キャリアと前記シート状物との積層物を、板状の金型で挟んだ状態で加熱しおよび厚み方向に加圧することにより、前記積層物の離型キャリアが配置されている面の所定の領域に凹部を形成する工程と、
    前記積層物において離型キャリアのみを剥離して、配線パターンが設けられた絶縁層を形成する工程とを含み、
    前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面に配線パターンを形成する工程において、前記離型キャリアの前記一方の面と対向する面の所定の領域に前記絶縁層よりも光反射率の高い高反射膜を形成することを特徴とするLED照明装置の製造方法。
  3. 前記第1の工程と前記第2の工程との間に、前記第1の工程において加工されたシート状物の所定の領域に貫通孔を形成し、前記貫通孔に導電性樹脂組成物を充填する工程をさらに含む請求項1または2に記載のLED照明装置の製造方法。
  4. 前記第2の工程と前記第3の工程との間に、記凹部が設けられた前記シート状物の凹部形成面と反対側の面上に、無機フィラーと、熱硬化性樹脂を含む未硬化の樹脂組成物との混合物からなる未硬化のシート状物を介して放熱板を重ね合わせ、加熱しおよび厚み方向に加圧して全体を一体化する工程をさらに含む請求項1または2に記載のLED照明装置の製造方法。
  5. 前記第3の工程の後、前記LED素子を覆うように前記凹部内に透明樹脂を充填して硬化させる工程をさらに含む請求項1または2に記載のLED照明装置の製造方法。
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