JP4137183B2 - 薬物複合体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は医薬として有用な薬物複合体に関するものである。さらに具体的にいうと、本発明は、多糖誘導体であるカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールと抗腫瘍剤や抗炎症剤等の医薬化合物とをスペーサーを介して結合させた薬物複合体に関するものである。
背景技術
肺癌や消化器癌などの固形癌や白血病などの血液癌の治療に際して用いられる抗腫瘍剤は、静脈内投与や経口投与などの投与経路により全身的に投与された後、特定の腫瘍部位に移行して癌細胞の増殖を阻害ないし抑制することにより治療効果を発揮する。しかしながら、全身投与された抗腫瘍剤は、血中から肝臓・網内系臓器に速やかに取り込まれたり、あるいは速やかに尿中排泄されるために、血中濃度が低下して腫瘍部位への移行が十分でない場合がある。また、通常の抗腫瘍剤自体では腫瘍部位への移行選択性(腫瘍選択性)が低いために、抗腫瘍剤が全身の様々な細胞や組織に満遍なく分布してしまい、正常な細胞や組織に対しても細胞毒として作用するので、嘔吐、発熱、あるいは脱毛などの副作用を極めて高率に発生させるという問題がある。従って、抗腫瘍剤を効率的かつ選択的に腫瘍部位に移行させる手段の開発が求められている。
このような手段の一つとして、多糖高分子に抗腫瘍剤を結合させて、抗腫瘍剤の血中からの消失を遅延させ、かつ、癌組織への指向性を高める方法が提案されている。例えば、特公平7-84481号公報には、カルボキシメチル化されたマンノグルカン誘導体にシッフ塩基や酸アミド結合を介してダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、又はブレオマイシンなどを導入した薬物複合体が開示されている。この発明におけるマンノグルカン誘導体としては、カルボキシメチル化されたマンノグルカン・ポリアルコールも用いられている。しかしながら、マンノグルカン誘導体は枝分かれが多いので構造が複雑であり、医薬品の製造に適する均一な品質のものを入手することが困難であった。
また、国際公開WO94/19376号には、カルボキシル基を有する多糖のカルボキシル基にペプチド鎖(アミノ酸数1〜8)が結合されており、さらにこのペプチド鎖を介してドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、又はブレオマイシンなどを結合した薬物複合体が開示されている。カルボキシル基を有する多糖としては、本来的にその構造中にカルボキシル基を有する多糖(例えば、ヒアルロン酸等)のほか、本来的にその構造中にカルボキシル基を有しない多糖(例えば、プルラン、デキストラン、キチン等)の水酸基にカルボキシC1-4アルキル基を導入するか、あるいはマロン酸やコハク酸などの多塩基性酸をエステル結合させてカルボキシル基を導入した多糖類などが例示されている。この薬物複合体は、ドキソルビシンなどの薬剤と上記多糖部分とがスペーサーを介して結合していることを構造上の特徴としており、ドキソルビシンより優れた抗腫瘍効果が得られるとともに、毒性・副作用が軽減されている。
その他、ポリアルコール化多糖誘導体を薬物の送達キャリアーとして用いた薬物複合体に関する技術について、「多糖−ペプチド−ドキソルビシン複合体に関する研究・多糖キャリアーの血中安定性と抗腫瘍効果の関係」(第10回日本DDS学会講演要旨集,279,1994);「多糖−ペプチド−ドキソルビシン複合体に関する研究・体内動態と抗腫瘍効果」(第9回日本薬物動態学会年会講演要旨集,292,1994);第19回研究開発動向セミナー(医薬品機構主催)要旨集,D-9,1995;及び「多糖キャリアーによる腫瘍への薬物送達に関する研究」(第12回コロイド・界面技術シンポジウム,日本化学会,講演要旨集,51,1995)などの報告がある。
発明の開示
本発明の課題は、抗腫瘍剤や抗炎症剤などの有効成分を腫瘍部位などに対して部位選択的に移行させることができる薬物複合体を提供することにある。より具体的には、抗腫瘍剤や抗炎症剤などの医薬化合物を部分構造として含む薬物複合体であって、血中に長時間滞留することができ、かつ、腫瘍部位や炎症部位に対して部位選択的に該医薬化合物を送り込むことができる薬物複合体を提供することが本発明の課題である。また、本発明の別の課題は、上記の特徴を有する薬物複合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく国際公開WO94/19376号に開示された薬物複合体の改良を試みた結果、カルボキシル基を有する多糖類に替えて、デキストランをポリアルコール化したデキストラン誘導体をカルボキシC1-4アルキル化したものを多糖部分として用いると、投与後の医薬が長時間にわたって高濃度で維持されるとともに、腫瘍部位や炎症部位に対する部位選択性を大幅に改善できることを見い出した。また、このような化合物では抗腫瘍効果などの主薬効が顕著に増強されている一方、毒性は低減されていることを見いだした。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、1個のアミノ酸からなるスペーサー又はペプチド結合した2〜8個のアミノ酸からなるスペーサーを介してカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールと医薬化合物の残基とが結合していることを特徴とする薬物複合体を提供するものである。また本発明の別の態様により、上記の薬物複合体からなる医薬;及び上記の薬物複合体を有効成分として含む医薬組成物、例えばバイアルに充填された凍結乾燥品の形態の注射用若しくは点滴用の製剤などが提供される。さらに本発明の別の態様によれば、上記の薬物複合体の製造方法が提供される。
上記の発明の好ましい態様として、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールを構成するデキストランポリアルコールが、実質的に完全にポリアルコール化可能な条件下でデキストランを処理して得られたデキストランポリアルコールであることを特徴とする上記薬物複合体;カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールがカルボキシメチルデキストランポリアルコールである上記薬物複合体;医薬化合物が抗腫瘍剤又は抗炎症剤である上記薬物複合体;医薬化合物が濃度に依存した抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤(より高い濃度でより強い抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤:本明細書において濃度依存型の抗腫瘍剤という場合がある)である上記薬物複合体;医薬化合物が時間に依存した抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤(より長い作用時間でより強い抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤:本明細書において時間依存型の抗腫瘍剤という場合がある)である上記薬物複合体;並びに、抗腫瘍剤がドキソルビシン又は(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオンである上記薬物複合体が提供される。
また、同様に好ましい態様として、スペーサーが-X-Z-で表されるジペプチド(-X-Z-は疎水性アミノ酸(X)と親水性アミノ酸(Z)とがそれぞれN末端側及びC末端側となってペプチド結合して形成されるジペプチドのN末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基から、それぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)であるか、又は該ジペプチドを部分ペプチド配列として含むスペーサーである上記薬物複合体;疎水性アミノ酸がフェニルアラニンであり、親水性アミノ酸がグリシンである上記薬物複合体;スペーサーが(N末端)-Gly-Gly-Phe-Gly-である上記薬物複合体;並びに、抗腫瘍剤の残基の導入量が1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%、さらに好ましくは5〜6重量%の範囲である上記薬物複合体が提供される。
本発明の特に好ましい態様として、H2N-Gly-Gly-Phe-Gly-COOHで示されるペプチドのN末端がカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基に酸アミド結合しており、該ペプチドのC末端が(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオンの1-アミノ基と酸アミド結合した上記薬物複合体;(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン残基の導入量が2〜10重量%の範囲である上記薬物複合体;並びに、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールが、分子量5,000〜500,000の範囲、好ましくは50,000〜450,000の範囲、より好ましくは200,000〜400,000の範囲のカルボキシメチルデキストランポリアルコールであり、カルボキシメチル化度が構成糖残基あたり0.01〜2.0の範囲、好ましくは0.1〜1.0の範囲、より好ましくは0.3〜0.5の範囲である上記薬物複合体が提供される。
本発明の別の態様によれば、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールからなる薬物送達のキャリアーが提供される。この発明の好ましい態様では、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量が5,000〜500,000の範囲、好ましくは50,000〜450,000の範囲、より好ましくは200,000〜400,000の範囲であり、カルボキシC1-4アルキル化度が構成糖残基あたり0.01〜2.0の範囲、好ましくは0.1〜1.0の範囲、より好ましくは0.3〜0.5の範囲である。カルボキシメチルデキストランポリアルコールが最も好ましいキャリアーとして提供される。この発明の別の観点からは、医薬化合物の残基と結合したカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールを含む薬物複合体の製造のためのカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの使用が提供される。この発明の好ましい態様として、医薬化合物の残基とカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールとがスペーサーを介して結合した薬物複合体の製造のためのカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの使用;並びに1個のアミノ酸からなるスペーサー又はペプチド結合した2〜8個のアミノ酸からなるスペーサーを介してカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールと医薬化合物の残基とが結合していることを特徴とする薬物複合体の製造のためのカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の薬物複合体(例8で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第2図は、本発明の薬物複合体(例8で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第3図は、本発明の薬物複合体(例9で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第4図は、本発明の薬物複合体(例9で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第5図は、本発明の薬物複合体(例10で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第6図は、本発明の薬物複合体(例15で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第7図は、本発明の薬物複合体(例15で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第8図は、本発明の薬物複合体(例28で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第9図は、本発明の薬物複合体(例28で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第10図は、本発明の薬物複合体(例29で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第11図は、本発明の薬物複合体(例29で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第12図は、本発明の薬物複合体(例34で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第13図は、本発明の薬物複合体(例34で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第14図は、本発明の薬物複合体(例39で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第15図は、本発明の薬物複合体(例39で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第16図は、本発明の薬物複合体(例41で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第17図は、本発明の薬物複合体(例41で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第18図は、本発明の薬物複合体(例44で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第19図は、本発明の薬物複合体(例44で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第20図は、本発明の薬物複合体(例47で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第21図は、本発明の薬物複合体(例47で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第22図は、本発明の薬物複合体(例55で製造したもの)のGPCチャートを示す図である。
第23図は、本発明の薬物複合体(例55で製造したもの)の紫外線吸収スペクトルを示す図である。
第24図は、本発明の薬物複合体(例15で製造したもの)の体内動態を示す図である。図中の各点は3例の平均値を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明の薬物複合体は、1個のアミノ酸からなるスペーサー又はペプチド結合した2〜8個のアミノ酸からなるスペーサーを介してカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールと医薬化合物の残基とが結合していることを特徴としている。
本発明の薬物複合体に含まれる医薬化合物の残基は、例えば、抗腫瘍剤、抗炎症剤、抗菌剤などの医薬としてヒトを含む哺乳類の病気の治療及び/又は予防に用いられる医薬化合物に由来し、その部分構造により構成される。もっとも、該残基が由来する医薬化合物は上記のものに限定されることはない。また、医薬化合物としてはスペーサーとの結合に関与できる1又は2以上の反応性官能基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基など)を有するものであればいかなるものを用いてもよい。本明細書において医薬化合物という場合には、それ自体が医薬作用を有する化合物の主要構造をその部分構造として含み生体内で該化合物を再生することができるプロドラッグ化合物も含まれる。
より具体的には、本明細書において医薬化合物の残基とは、スペーサーと医薬化合物残基との結合が医薬化合物中の反応性官能基とスペーサー中の反応性官能基との反応(例えば脱水縮合など)により形成されたと仮定した場合において、結合後の化合物中に存在する医薬化合物に由来する部分構造を意味している。例えば、医薬化合物がD-NH2,D-COOH,D-COOR,D-OH,D-SH,D-CONH2,D-NH-COOR(Rは低級アルキル基等)で表される場合、医薬化合物の残基はそれぞれD-NH-(D-NH-CO-Qなど),D-CO-(D-CO-NH-Q,D-CO-O-Q,D-CO-S-Qなど),D-CO-(D-CO-NH-Q,D-CO-O-Q,D-CO-S-Qなど),D-O-(D-O-CO-Q,D-O-Qなど),D-S-(D-S-CO-Q,D-S-Qなど),D-CONH-(D-CO-NH-CO-Qなど),D-NH-CO-(D-NH-CO-O-Q,D-NH-CO-NH-Qなど)で表される(カッコ内はスペーサーと医薬化合物残基との結合を示し、Qはスペーサーから反応性官能基を除いた残りの部分構造を示す)。もっとも、スペーサーと医薬化合物残基との結合の種類は上記のものに限定されることはない。医薬化合物の残基は、スペーサーのN末端アミノ基又はC末端カルボキシル基のほか、スペーサーを構成するアミノ酸に存在する反応性官能基に結合していてもよい。
医薬化合物の残基としては、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキセート、白金系抗腫瘍剤(シスプラチン若しくはその誘導体)、タキソール若しくはその誘導体、カンプトテシン若しくはその誘導体(特開平6-87746号公報に記載された抗腫瘍剤、好ましくは請求項2に記載された(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン等)などの抗腫瘍剤の残基を好適に用いることができる。また、例えば、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸プレドニゾロンなどのステロイド系抗炎症剤、又はメフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナク、イブプロフェン、チノリジンなどの非ステロイド系抗炎症薬の残基も好適である。
医薬化合物の残基と結合するスペーサーとしては、1個のアミノ酸からなるスペーサー又はペプチド結合した2〜8個のアミノ酸からなるスペーサーを用いることができる。より具体的には、スペーサーは、1個のアミノ酸の残基(アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)、又はペプチド結合した2ないし8個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基(N末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)の形態を有している。
好ましいスペーサーは2〜6個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基である。スペーサーを構成するアミノ酸の種類は特に限定されないが、例えば、L-又はD-アミノ酸、好ましくはL-アミノ酸を用いることができ、α−アミノ酸のほか、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸などを用いてもよい。このようなα−アミノ酸以外のアミノ酸は、多糖誘導体に近接した位置に配置されることが好ましい。
スペーサーの結合方向は特に限定されないが、一般的には、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールのカルボキシル基にスペーサーのN末端を酸アミド結合によって結合し、医薬化合物のアミノ基にスペーサーのC末端を結合することができる。また、例えば、ペプチドスペーサーの構成単位としてリジン残基を含めておき、リジン残基のα−アミノ基及びε−アミノ基をそれぞれ他のアミノ酸のカルボキシル基と酸アミド結合させると、ペプチドスペーサーの両末端がN末端になるので、医薬化合物のカルボキシル基を結合することが可能になる。さらに、スペーサー中に1個又は2個以上のジアミン化合物またはジカルボン酸化合物の残基(例えばエチレンジアミンなどのジアミンの残基やコハク酸などのジカルボン酸の残基)を構成単位として含めておき、それぞれ両末端がN末端のスペーサー及び両末端がC末端のスペーサーを利用してもよい。
スペーサーのアミノ酸配列は特に限定されないが、例えば、スペーサーが-X-Z-で表されるジペプチドの残基(Xは疎水性アミノ酸の残基を示し、Zは親水性アミノ酸の残基を示し、-X-Z-は疎水性アミノ酸(X)と親水性アミノ酸(Z)とがそれぞれN末端側及びC末端側となってペプチド結合したジペプチドのN末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)であるか、又は該ジペプチドの残基を部分ペプチド配列として含むスペーサーを好適に用いることができる。疎水性アミノ酸としては、例えば、フェニルアラニン、チロシン、ロイシンなどを用いることができ、親水性アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニンなどを用いることができる。スペーサーがこのようなジペプチド残基の繰り返し配列(例えば-X-Z-X-Z-,X-Z-X-Z-X-Z-など)を有していてもよい。
このようなジペプチド構造を含むスペーサーを用いると、スペーサーがペプチダーゼが豊富であると考えられる腫瘍部位や炎症部位で加水分解され、当該部位において医薬化合物が高濃度に遊離する。上記ジペプチドを含むスペーサーと医薬化合物とが結合して形成される部分構造は本発明の薬物複合体の好ましい部分構造である。医薬化合物の残基として、例えば、濃度依存型の抗腫瘍剤(例えば、ドキソルビシン)などを用いる場合には、-X-Z-で示される上記のジペプチド残基からなるスペーサー又は該ジペプチド残基を部分ペプチド配列として含むスペーサーを用いることが特に好ましい。
また、医薬化合物の残基として、一定の濃度以上で作用時間の持続を必要とする時間依存型の抗腫瘍剤を用いる場合にも、上記のスペーサーを用いることによって高い抗腫瘍効果を達成できる場合があり、例えば、特開平6-87746号公報に記載された抗腫瘍剤、好ましくは請求項2に記載された抗腫瘍剤が挙げられる。一般的には、上記のスペーサーに限定されることなく、抗腫瘍剤の作用機作、体内動態や毒性発現の特徴、体内での抗腫瘍剤の遊離性などの観点から好ましいスペーサーを選択する必要がある。なお、一般的に、増殖の速い癌種に対しては、短時間に高濃度の医薬化合物を遊離することができる上記のスペーサーを選択することが好ましい。
スペーサーの具体例を以下の表に示すが、本発明の薬物複合体に用いられるスペーサーは以下のものに限定されることはなく、医薬化合物の至適な遊離速度を与えるように当業者が適宜選択可能であることはいうまでもない。表中、ペプチド配列は左側がN末端であり、C末端側に医薬化合物の残基が結合する。D-PheはD-フェニルアラニン残基を示し、その他のアミノ酸はL-アミノ酸を示す。なお、遊離速度の大小はドキソルビシンを結合した薬物複合体のWalker 256担癌ラットに対する薬効の発現の程度、またはWalker 256担癌ラットの腫瘍部位における遊離ドキソルビシン濃度によって判定したものである。これらのスペーサーのうち、ドキソルビシンに対しては(N末端)-Gly-Gly-Phe-Gly-等の短時間に高濃度の医薬化合物を遊離することができるスペーサーを用いることが好ましい。
Figure 0004137183
本発明の薬物複合体の多糖誘導体部分を構成するカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールのポリアルコール化度は特に限定されないが、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールを構成するデキストランポリアルコールが、実質的に完全にポリアルコール化可能な条件下においてデキストランを処理して得られたデキストランポリアルコールであることが好ましい。例えば、デキストランに大過剰の過ヨウ素酸ナトリウムと水素化ホウ素ナトリウムとを順次作用させてデキストランを実質的に完全にポリアルコール化したデキストランポリアルコールを本発明の薬物複合体の原料化合物として好適に用いることができる。もっとも、デキストランのポリアルコール化の方法は上記のものに限定されることはなく、当業者に利用可能なものであればいかなる方法を採用してもよい。
デキストランの種類は特に限定されず、α-D-1,6-結合を任意の割合で含んでいてもよい。例えば、α-D-1,6-結合の割合が85%以上、90%以上、又は95%以上のデキストランなどを用いることができる。デキストランの分子量は特に限定されないが、例えば10,000程度から2,000,000程度のもの、好ましくは50,000程度から800,000程度のものを用いることができる。カルボキシC1-4アルキル基を構成するC1-4アルキルとしては、直鎖又は分枝鎖のC1-4アルキル、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基などを用いることができるが、好ましくはメチル基を用いることができる。
カルボキシC1-4アルキル化は、例えば、デキストランポリアルコールの水酸基に対してクロル酢酸、ブロム酢酸、α−クロルプロピオン酸、α−メチル−α−クロルプロピオン酸、β−クロルプロピオン酸、α−メチル−β−クロルプロピオン酸、α−クロル酪酸、β−クロル酪酸、γ−クロル酪酸などのハロゲン化C1-4アルキルカルボン酸、好ましくはクロル酢酸を反応させて水酸基を部分的又は完全にカルボキシC1-4アルキル化することにより行うことができる。
例えば、デキストランポリアルコールを反応に関与しない不活性溶媒(例えば、水、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)に溶解し、塩基(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等)の存在下にハロゲン化C1-4アルキルカルボン酸またはその塩を添加し、氷冷下ないし100℃程度の温度範囲で数分ないし数日間反応させればよい。カルボキシC1-4アルキル基の導入の程度は、例えば、カルボキシC1-4アルキル化の反応温度や試薬として用いるハロゲン化C1-4アルキルカルボン酸及び塩基の量を適宜選択することにより容易に調節可能であり、そのような手段は当業者に周知である。デキストランポリアルコールの水酸基に対するカルボキシC1-4アルキル化の程度は特に限定されないが、例えば、構成糖残基あたり0.01〜2.0の範囲、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.3〜0.5の範囲である。カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量は、ゲルろ過法で測定した場合に5,000から500,000程度、好ましくは50,000〜450,000程度、より好ましくは200,000〜400,000程度である。
上記のカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールは、薬物送達のキャリアーとして有用である。医薬化合物とカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールとを結合させた薬物複合体は、例えば、腫瘍選択性などの優れた選択性を有しており、また高い血中濃度を長時間維持できるという特徴がある。
医薬化合物とカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールとの結合としては、例えば、エステル結合などで両者を直接結合させる方法、上記に説明したスペーサーなどの適宜のスペーサーを介して両者を結合させる方法などを採用することができる。
スペーサーを介して結合する薬物複合体に関しては、上記のようにして得られるカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基に対して、医薬化合物の残基と結合させたスペーサーを結合することにより本発明の薬物複合体を製造することができる。スペーサーとカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基との結合は、一般的には、スペーサーのN末端アミノ基とカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させることにより形成できる。もっとも、スペーサーとカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基との結合は上記のものに限定されることはなく、他の化学結合や1又は2以上のスペーサーを利用した結合であってもよい。例えば、スペーサーのC末端カルボキシル基とカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基とにより酸無水物を形成させてもよく、また、エチレンジアミン等のジアミン化合物をスペーサーとして用いてそれぞれのカルボキシル基をジアミンの各アミノ基に酸アミド結合させてもよい。
スペーサーのN末端アミノ基とカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させる場合には、ペプチド鎖の合成に用いる通常の脱水縮合剤、例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなN,N’-ジシクロアルキルカルボジイミド類、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAPC)等のカルボジイミド誘導体、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)のようなベンゾトリアゾール誘導体のほか、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(EEDQ)などを用いることができる。また、活性エステル法や酸ハライド法などにより反応を行ってもよい。
カルボキシメチルデキストランポリアルコールに導入する医薬化合物残基の量は特に限定されないが、医薬化合物残基の物理化学的性質、並びに本発明の薬物複合体の体内動態、薬効、及び毒性などの観点から適宜選択すべきである。一般的には、0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%、特に好ましくは5〜6重量%程度の範囲を選択することができる。カルボキシメチルデキストランポリアルコールに導入された医薬化合物残基の割合は、例えば、吸光度分析などにより容易に決定することが可能である。
本発明の薬物複合体の製造方法の一例として、特開平6-87746号公報の請求項2に記載された抗腫瘍剤である医薬化合物の残基を導入する場合について、製造方法を以下のスキームに示すが、本発明の薬物複合体及びその製造方法はこのスキームに示されたものに限定されることはない。下記スキームにおいて、医薬化合物残基の導入量は、例えば1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%程度である。また、下記スキーム中には、ポリアルコール類の構成単位のうち1個又は2個のカルボキシメチル基が導入された構成単位のみを例示的に記載したが、本発明の薬物複合体の多糖誘導体部分は上記構成単位の繰り返しによって構成されるものではないことを理解すべきである。
Figure 0004137183
本発明の薬物複合体
Figure 0004137183
上記の医薬化合物は、酸性水性媒体中(例えばpH3程度)ではラクトン環を形成した化合物(閉環体)に平衡が偏り、一方、塩基性水性媒体中(例えばpH10程度)ではラクトン環が開環した化合物(開環体)に平衡が偏ることが知られているが、このような閉環体及び開環体に対応する残基を導入した薬物複合体は同等の抗腫瘍効果を有しており、いずれも本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。なお、反応系中にラクトン環の開環した反応種が存在すると、ラクトン環に由来するカルボキシル基とスペーサー由来のアミノ基との間で縮合反応が進行して著しく反応収率が低下するだけでなく、目的とする均一な薬物複合体が得られない場合がある。このような副反応は反応種として選択的に閉環体を用いることによって回避することができる。
すなわち、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩をトリエチルアンモニウム塩に変換した後、非水系(水を含まない有機溶媒中)でカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基に対して、上記の医薬化合物の残基を結合させたスペーサーのN末端アミノ基を縮合させることにより、副反応を抑制することができ、効率的に目的物を製造することが可能になる。有機溶媒に溶解可能なカルボキシメチルデキストランポリアルコールの塩としては、例えば、トリエチルアンモニウム塩やトリメチルアンモニウム塩などのトリアルキルアンモニウム塩のほか、N-メチルピロリジン、N-メチルモルホリン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの有機塩基の塩を用いることが可能である。
有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
本発明の薬物複合体は、医薬化合物の残基の種類(例えば、抗腫瘍剤または抗炎症剤などの医薬化合物の残基)に応じて、所望の医薬活性を腫瘍部位や炎症部位などの局所において特異的に発現させることができ、かつ、医薬化合物自体の有する毒性を低減できるという特徴を有する。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の薬物複合体の多糖誘導体部分(例えばカルボキシメチルデキストランポリアルコール)は極めて優れた血中滞留性及び腫瘍・炎症部位への集積性を有するので薬物送達のキャリアーとして有用であり、本発明の薬物複合体は腫瘍選択性及び炎症部位選択性を有している。また、腫瘍部位や炎症部位ではプロテアーゼ(ペプチダーゼ)が発現されていると考えられるので、本発明の薬物複合体のスペーサーは容易に加水分解され、遊離した医薬化合物が薬効を発揮する。
本発明の薬物複合体を含む医薬は、通常、凍結乾燥品などの形態でバイアル等に充填することができ、用時溶解型の注射用または点滴用製剤等の非経口投与用製剤として臨床に提供されるが、本発明の医薬の製剤形態は上記態様に限定されることはない。上記製剤の製造には、例えば、溶解補助剤、pH調節剤、安定化剤など当業界で利用可能な製剤用添加物を用いることができる。本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、医薬化合物残基を構成する医薬化合物の投与量、本発明の薬物複合体中に導入された医薬化合物の残基の量、患者の状態や疾患の種類などを勘案して決定すべきである。例えば、特開平6-87746号公報の請求項2に記載された抗腫瘍剤の残基が約6重量%程度の割合で導入された本発明の薬物複合体を非経口投与する場合には、一般に一日あたり体表面積1m2につき約1〜500mg程度、好ましくは約10〜100mgの範囲で一回投与し、3〜4週毎に繰り返すことが好ましい。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中、「A-NH-」は、特開平6-87746号公報の請求項2に記載された医薬化合物(実施例中で「DX-8951」という場合がある)などのようにラクトン環を有する医薬化合物において、ラクトン環が閉環した医薬化合物をA-NH2で表した場合の医薬化合物残基を表し、その一例は、上記のスキーム中にA-NH-で示した基(ラクトン環を形成したもの)である。また、A’-NH-は、A-NH-で表される医薬化合物残基中のラクトン環が閉環型若しくは開環型のいずれか又はそれらの混合形態であることを示し、-DXRはドキソルビシン由来の残基を示し、-D51-7059は例55に示されるタキソール誘導体由来の残基を示す。
また、実施例中、特に言及しない場合には、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシメチル化度(構成糖残基あたりのカルボキシメチル基の置換度)は、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩を遊離酸型に変換した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解して0.1N塩酸で滴定することにより求めた。カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩の水溶液をBio-Rad AG50W-x 2(H+型)カラムに付して通過液を凍結乾燥して試料として用いた。この試料を所定過剰量の0.1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、フェノールフタレンを指示薬として0.1N塩酸で滴定した。試料の採取量をs(mg)、0.1N水酸化ナトリウム水溶液の所定過剰量をa(ml)、0.1N塩酸の滴定量をb(ml)とし、カルボキシメチル化度を13.4(a-b)/[s-5.8(a-b)]の式により求めた。また、薬物の導入量(重量%)は、薬物の特性吸収を利用した吸光度分析(362nm付近)から求めた。さらに、ゲル濾過法は次の条件に従って行った(カラム:TSK gel G4000 PWXL、溶離液:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min、カラム温度:40℃)。
例1:(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)
Figure 0004137183
Boc-Gly-Gly-Phe-Gly(600mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(160mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(280mg)を添加した。この溶液に特開平6-87746号公報の請求項2に記載された医薬化合物のメタンスルホン酸塩(600mg:上記公報の実施例50に記載された化合物)とトリエチルアミン(0.16m1)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)溶液を加えて、遮光下に室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0.5%酢酸を含むジクロロメタン:メタノール=10:1溶液)で精製して標記化合物(1.0g)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.40(d,1H,J=8.3Hz),8.10-8.17(m,2H),7.91-8.01(m,1H),7.78(d,1H,J=10.75Hz),7.32(s,1H),6.94-6.96(m,1H),6.50(s,1H),5.57(t,1H,J=4.5Hz),5.43(s,2H),5.23(s,2H),3.77(dd,2H,J=5.85Hz,J=8.80Hz),3.70(d,2H,J=4.40Hz),3.65(d,2H,J=5.35Hz),3.56(d,2H,J=5.85),3.15-3.25(m,2H),2.40(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.86(m,2H),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=7.35).
Mass(FAB);m/e 854(M+1)
例2:(Boc-Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)の合成
Boc-Gly-Gly-Gly-Phe(600mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(160mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(280mg)を添加した。この溶液にDX-8951のメタンスルホン酸塩(600mg)とトリエチルアミン(0.16ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)溶液を加えて、遮光下に室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0.5%酢酸を含むジクロロメタン:メタノール=10:1溶液)で精製して標記化合物(700mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.57(d,1H,J=7.8Hz),8.19(d,1H),8.05-8.07(m,2H),7.79(d,1H,J=11.2Hz),7.32(s,1H),7.10(d,2H,J=7.8Hz),6.93-7.03(m,4H),6.51(s,1H),5.52-5.55(m,1H),5.44(s,2H),5.18(d,1H,J=18.5Hz),4.84(d,1H,J=18.5Hz),4.57-4.59(m,1H),3.57-3.71(m,6H),3.15-3.25(m,2H),3.00-3.02(m,1H),2.80-2.90(m,1H),2.40(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.86(m,2H),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=7.35Hz).
Mass(FAB);m/e 854(M+1)
例3:(Boc-Gly-Gly-Gly-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)の合成
Boc-Gly-Gly-Gly-Gly(120mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(39mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(70mg)を添加した。この溶液にDX-8951のメタンスルホン酸塩(150mg)とトリエチルアミン(0.039ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)溶液を加えて、遮光下に室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=10:1溶液)で精製して標記化合物(100mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.40(d,1H,J=8.3Hz),8.10-8.17(m,2H),7.91-8.01(m,1H),7.78(d,1H,J=10.75Hz),7.32(s,1H),6.94-6.96(m,1H),6.50(s,1H),5.57(t,1H,J=4.5Hz),5.43(s,2H),5.23(s,2H),3.77(dd,2H,J=5.85Hz,J=8.80Hz),3.70(d,2H,J=4.40Hz),3.65(d,2H,J=5.35Hz),3.56(d,2H,J=5.85Hz),3.15-3.25(m,2H),2.40(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.86(m,2H),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=7.35Hz).
Mass(FAB);m/e 764(M+1)
例4:(Gly-Gly-Gly-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
Figure 0004137183
(Boc-Gly-Gly-Gly-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(79mg)をトリフルオロ酢酸(3ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(30ml)で共沸を2回、エタノール(30ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(80mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.59-8.61(m,1H),8.50(d,1H,J=8.3Hz),8.21-8.27(m,2H),7.91-8.01(br,3H),7.81(d,1H,J=11.2Hz),7.32(s,1H),6.50-6.52(br,1H),5.57-5.59(m,1H),5.43(s,2H),5.23(s,2H),3.80-3.82(m,3H),3.70-3.75(m,3H),3.15-3.25(m,2H),2.41(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.86-1.88(m,2H),0.88(t,3H,J=7.35Hz).
例5:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストランT2000(10g,ファルマシア社製,平均分子量2,000,000)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,1,000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(33.0g)の水溶液(1000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(7.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(14g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-30膜(ミリポア社製)を用いて限外濾過法による低分子画分の除去を行なった。高分子画分を凍結乾燥して、デキストランポリアルコールを得た。このデキストランポリアルコールをpH3.0で1時間処理した後、バイオマックス-50膜で低分子画分を除去し、次いで高分子画分をバイオマックス-100膜で除去し、凍結乾燥して精製デキストランポリアルコール(2.0g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過法、デキストラン標準)は、220Kであった。
この精製デキストランポリアルコール(1.8g)を、水酸化ナトリウム(10.5g)を水(45ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(15g)を加えて溶解させた後、室温で20時間反応させた。この反応液を酢酸でpHを8に調整した後、バイオマックス-10膜を用いて限外濾過法による低分子画分の除去を行なった。高分子画分を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(1.8g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、デキストラン標準)は330Kであり、カルボキシメチル化度は0.8であった。
上記のカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(300mg)を水に溶解し、Bio-Rad AG50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(1.5×8.6cm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(0.5ml)を加えた後、凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(380mg)を得た。カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(各300mg)を上記と同様にカラム処理して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(380mg,400mg)を得た。
例6:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩の合成
上記例5で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(0.15g)を、水酸化ナトリウム(1.05g)を水(4.5ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(1.5g)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。この反応液を酢酸でpHを8に調整し、90mlのメタノール中に滴下した後、3M塩化ナトリウム水溶液(0.15ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をメタノールで洗浄した後、水(5ml)に溶解し、3M塩化ナトリウム水溶液(0.15ml)を加えた。この水溶液をミリポアフィルター(0.45μm)で濾過し、濾液を35mlのエタノール中に滴下して、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をエタノールで洗浄した後、水に溶解し、透析膜(スペクトラポア1、カットオフ分子量6,000-8,000)を用いて、純水に対して透析した。透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後に凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(0.18g)を得た。この物質の糖残基あたりのカルボキシメチル化度(アルカリ滴定法)は1.2であった。
例7:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩の合成
例5で得た精製デキストランポリアルコール(0.2g)を、水酸化ナトリウム(0.84g)を水(6ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(1.2g)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。この反応液を酢酸でpHを8に調整し、120mlのメタノール中に滴下した後、3M塩化ナトリウム水溶液(0.2ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をメタノールで洗浄した後、水(5ml)に溶解し、3M塩化ナトリウム水溶液(0.2ml)を加えた。この水溶液をミリポアフィルター(0.45μm)で濾過し、濾液を35mlのエタノール中に滴下して、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をエタノールで洗浄した後、水に溶解し、透析膜(スペクトラポア1、カットオフ分子量6,000-8,000)を用いて、純水に対して透析した。透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(0.20g)を得た。この物質の糖残基あたりのカルボキシメチル化度(アルカリ滴定法)は0.4であった。
例8:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例5で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(380mg,カルボキシメチル化度0.8)をN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解した。この溶液に、(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(49mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、トリエチルアミン(0.017ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(380mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整した後、25mlのエタノール中に5mlずつ滴下した。この混合物に3M塩化ナトリウム水溶液(1ml)、ジエチルエーテル(5ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。
この沈澱を水に溶解し、透析膜(スペクトルポア1、カットオフ分子量6,000-8,000)を用いて純水に対して透析し、透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥した。得られた粗生成物を水(30ml)に溶解し、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整し、37℃で1時間処理した。この処理液を上記と同様に透析した後、透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過し、凍結乾燥して標記化合物を289mg得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー株式会社製TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.25mg/ml)をそれぞれ図1及び図2に示す。
本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ5.3%(W/W)であった。
例9:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(50mg)から例4と同様の方法により脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩を、例8と同様の方法に従って、例5で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(380mg)に導入して標記化合物(300mg)を合成した。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー株式会社製TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.19mg/ml)をそれぞれ図3及び図4に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ5.3%(W/W)であった。
例10:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
(Boc-Gly-Gly-Gly-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(41mg)から例4と同様の方法により脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Gly-Gly)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩を、例8と同様の方法に従って、例5で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(380mg)に導入して標記化合物(190mg)を合成した。本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.34mg/ml)を図5に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ5.3%(W/W)であった。
例11:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
マウス線維肉腫Meth A細胞1×106個をBALB/c系の雄マウス(7週齢)の右鼠蹊部皮下に移植してMeth A担癌マウスを作成した(1群7匹)。7日目に注射用蒸留水に溶解した例9の薬物複合体をMeth A担癌マウスの尾静脈内に4日毎に4回投与した。移植後21日目に腫瘍を摘出して重量を測定し、腫瘍増殖抑制率を次式:腫瘍増殖抑制率(%)=[1-(検体投与群の平均腫瘍重量/コントロール群の平均腫瘍重量)]×100により算出した。その結果、例9で得られた本発明の薬物複合体は、毒性(体重減少)を発現することなく、上記医薬化合物自体(スペーサー及び多糖誘導体なし)に比較して抗腫瘍効果が大幅に増強されていた。多糖誘導体自体(例5)及びスペーサーのみを導入した医薬化合物残基(例1の化合物から例4の方法に従って脱BOC化して得られたるH2N-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩)は無効であった。
Figure 0004137183
例12:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し(1群6匹)、7日目に例8及び例9の薬物複合体を単回投与した場合の抗腫瘍作用を比較した。その結果、抗腫瘍作用の程度は(多糖誘導体)-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’>(多糖誘導体)-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’>医薬化合物自体であった。スペーサーを介することなく医薬化合物残基を例5のカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基に直接結合した化合物(医薬化合物残基の導入量:6.2重量%)は無効であった。
Figure 0004137183
例13:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストランT500(10g,ファルマシア社製,分子量500K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,1000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(33g)の水溶液(1000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(7.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(14g)を加えて溶解した後、一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、8M水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整して溶液1を得た。別に、デキストランT500(10g,ファルマシア社製,分子量500K)について、上記の一連の操作を行い、溶液2を得た。さらに、デキストランT250(各10g,ファルマシア社製,分子量250K)について、上記の一連の操作を行い、溶液3と溶液4を得た。これらの溶液1〜4を合して、バイオマックス-50膜を用いて限外濾過法により、低分子画分の除去を行った。高分子画分を凍結乾燥して、デキストランポリアルコール(25g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、163Kであった。
このデキストランポリアルコール(11g)を、水酸化ナトリウム(46.2g)を水(330ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(66g)を加えて溶解させた後、室温で一晩反応させた。この反応液を酢酸でpHを9に調整した後、バイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(13g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は228Kであり、カルボキシメチル化度は0.4であった。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(600mg)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(直径44mm、長さ210mm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(0.93ml)を加えた後、凍結乾燥して標記化合物(690mg)を得た。
例14:(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
例1で得た(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(79mg)をトリフルオロ酢酸(3ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(30ml)で共沸を2回、エタノール(30ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(80mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.53(d,1H,J=8.3Hz),8.40-8.48(m,2H),8.28(d,1H,J=8.3Hz),7.95-8.07(br,3H),7.81(d,1H,J=10.2Hz),7.30-7.37(m,2H),7.15-7.30(m,5H),6.50-6.55(br,1H),5.50-5.57(m,1H),5.41(d,2H,J=7.82Hz),5.25(s,2H),4.55-4.62(m,1H),3.55-3.92(m,6H),3.15-3.25(br,2H),2.98-3.03(m,1H),2.73-2.82(m,1H),2.40(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.84-1.92(m,2H),0.88(t,3H,J=7.35Hz).
例15:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例13で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(400mg)をトリエチルアンモニウム塩(470mg)に変換し、N,N-ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解させた。この溶液に、例14で得た(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(62mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、トリエチルアミン(0.02ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(470mg)を順次加え、遮光して室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離により集めた。この沈澱を0.5M塩化ナトリウム水溶液に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した後、透析膜(スペクトルポア1、カットオフ分子量6000-8000)を用いて、純水に対して透析した。透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(600mg)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液、pH9.0、0.1mg/ml)をそれぞれ図6及び図7に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ5.8%(W/W)であった。
例16:(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
例2で得た(Boc-Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(79mg)をトリフルオロ酢酸(3ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(30ml)で共沸を2回、エタノール(30ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(80mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.62-8.66(m,2H),8.23(d,1H,J=8.3Hz),8.18-8.20(m,1H),7.98-8.10(br,2H),7.79(d,1H,J=10.7Hz),7.32(s,1H),7.09(d,2H,J=7.3Hz),6.93-7.03(m,4H),6.50-6.60(br,1H),5.52-5.55(m,1H),5.44(s,2H),5.18(d,1H,J=18.5Hz),4.80(d,1H,J=18.5Hz),4.57-4.59(m,1H),3.57-3.71(m,6H),3.15-3.25(m,2H),3.00-3.02(m,1H),2.80-2.90(m,1H),2.50(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.86-2.00(m,2H),0.88(t,3H,J=7.35Hz).
例17:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例13で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(1.0g)をトリエチルアンモニウム塩(1.2g)に変換し、N,N-ジメチルホルムアミド(90ml)に溶解させた。この溶液に、例16で得た(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(158mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(15ml)溶液、トリエチルアミン(0.05ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.2g)を順次加え、遮光して室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離により集めた。この沈澱を0.5M塩化ナトリウム水溶液に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した後、透析膜(スペクトルポア1、カットオフ分子量6000-8000)を用いて、純水に対して透析した。透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.4g)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ5.2%(W/W)であった。
例18:Boc-Gly-Phe-Leu-OHの合成
H-Gly-Phe-Leu-OH(3.0g)を50%ジオキサン水溶液(48ml)に加えて氷冷した。
この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(9.45ml)と(Boc)2O(2.27g)を含むジオキサン(24ml)溶液を加え、1晩撹拌した。反応液に1N塩酸(9.45ml)を加え、溶媒を溜去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=5:1溶液)で精製して標記化合物(2.5g)を得た。
例19:Boc-Gly-Phe-Leu-Gly-OBzlの合成
例18で得たBoc-Gly-Phe-Leu-OH(2.4g)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(656mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(50ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.17g)を添加し、2時間撹拌した。この溶液にH-Gly-OBzlのトシル酸塩(1.9g)とトリエチルアミン(0.79ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(40ml)溶液を加えて、室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=50:1溶液)で精製して標記化合物(2.0g)を得た。
1H-NMR(DNSO-d6)δ:8.20-8.30(m,1H),8.12(d,1H,J=8.3Hz),7.83(d,1H,J=8.3Hz),7.32-7.37(m,5H),6.89-6.95(m,1H),5.12(s,1H),4.52-4.59(br,1H),4.34(dd,1H,J=7.3Hz,J=15.1Hz),3.93(dd,1H,J=5.5Hz,J=17.2Hz),3.84(dd,1H,J=5.5Hz,J=17.2Hz),3.54(dd,1H,J=5.9Hz,J=16.7Hz),3.42(dd,J=5.9Hz,J=16.7Hz),3.00(dd,1H,J=4.4Hz,13.7Hz),2.78(dd,1H,J=8.8Hz,J=13.2Hz),1.50-1.65(m,1H),1.45(t,2H,J=7.3Hz),1.36(s,9H),0.86(d,3H,J=6.4Hz),0.82(d,3H,J=6.4Hz).
例20:Boc-Gly-Phe-Leu-Gly-OHの合成
例19で得たBoc-Gly-Phe-Leu-OBzl(1.7g)を酢酸エチル(30ml)とメタノール(30ml)の混合溶液に溶解させた後、5% Pd-C(1.5g)を加え、接触還元を行った。
反応液を濾過し、濾液を減圧乾固して、標記化合物(1.15g)を得た。
例21:(Boc-Gly-Phe-Leu-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例20で得たBoc-Gly-Phe-Leu-Gly-OH(200mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(58mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(104mg)を加えて溶解させた。この溶液にDX-8951のメタンスルホン酸塩(224mg)とトリエチルアミン(0.059ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液を加えて、遮光下に室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0.5%酢酸を含むジクロロメタン:メタノール=10:1溶液)で精製して標記化合物(200mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.35(d,1H,J=7.8Hz),8.08-8.18(m,2H),7.75-7.85(m,2H),7.32(s,1H),7.10(d,2H,J=6.8Hz),7.08-7.13(m,3H),6.85-6.95(br,1H),6.40-6.65(br,1H),5.52-5.55(m,1H),5.46(d,1H,J=18.5Hz),5.37(d,1H,J=18.5Hz),5.24(s,2H),4.44-4.52(m,1H),4.15-4.25(m,1H),3.68-3.72(m,2H),3.40-3.52(m,2H),3.15-3.25(br,2H),2.85-2.95(m,1H),2.65-2.75(m,1H),2.40(s,3H),2.05-2.25(m,1H),1.80-1.91(m,2H),1.50-1.65(m,1H),1.45(t,2H,J=7.3Hz),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=7.4),0.86(d,3H,J=6.4Hz),0.82(d,3H,J=6.4Hz).
例22:(Gly-Phe-Leu-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
例21で得た(Boc-Gly-Phe-Leu-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(97mg)をトリフルオロ酢酸(3ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(30ml)で共沸を2回、エタノール(30ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(95mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.57(d,1H,J=8.3Hz),8.47(d,1H,J=8.3Hz),8.32(d,1H,J=7.8Hz),8.17(t,1H,J=5.5Hz),7.81-7.91(br,3H),7.79(d,1H,J=10.7Hz),7.32(s,1H),7.21-7.23(m,5H),7.12-7.17(m,1H),6.45-6.55(br,1H),5.57(q,1H,J=4.4Hz),5.43(d,1H,J=16.1Hz),5.34(d,1H,J=16.1Hz),5.23(s,2H),4.67(dt,1H,J=4.0Hz,J=9.0Hz),4.31(dd,1H,J=8.5Hz,J=15.0Hz),4.0-4.4(br,1H),3.74-3.76(m,2H),3.56(dd,1H,J=6.0Hz,J=16.0Hz),3.41(dd,1H,J=6.0Hz,J=16.0Hz),3.17-3.19(br,2H),3.02(dd,1H,J=4.0Hz,J=14.0Hz),2.70(dd,1H,J=10.0Hz,J=14.0Hz),2.40(s,3H),2.05-2.15(m,1H),1.85(dt,2H,J=7.0Hz,J=14.0Hz),1.50-1.55(m,1H),1.45(t,2H,J=6.0Hz),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=7.4),0.85(d,3H,J=6.4Hz),0.80(d,3H,J=6.4Hz).
例23:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Phe-Leu-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例13で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(690mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(50ml)に溶解させた。この溶液に、例22で得た(Gly-Phe-Leu-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(95mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)溶液、トリエチルアミン(0.03ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(690mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した後、透析膜(スペクトルポア1、カットオフ分子量6000-8000)を用いて、純水に対して透析した。透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、濾液を凍結乾燥して標記化合物(600mg)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、4.8%(W/W)であった。
例24:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストランT500(50g,ファルマシア社製,分子量500K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,5000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(165.0g)の水溶液(5000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(35.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(70g)を加えて溶解した後、一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-50膜を用いて限外濾過法による低分子画分の除去を行なった。高分子画分を凍結乾燥して、デキストランポリアルコール(27.1g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、140Kであった。
このテキストランポリアルコール(5g)を、水酸化ナトリウム(21g)を水(150ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(30g)を加えて溶解させた後、室温で一晩反応させた。この反応液を酢酸でpHを8に調整した後、バイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(5.6g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は263Kであり、カルボキシメチル化度は0.4であった。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.0g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(直径44mm、長さ210mm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(4ml)を加えた後、凍結乾燥して標記化合物(2.2g)を得た。
例25:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリメチルアンモニウム塩の合成
例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(1.0g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、Me3N H+型)カラムにのせ、水で溶出した。この溶出液を凍結乾燥して標記化合物(950mg)を得た。
例26:(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)塩酸塩の合成
例14と同様の方法で(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(400mg)から得た(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-Aトリフルオロ酢酸塩を水-MeOH(1:4)に溶解して、Bio-Rad AG 1-X8(200-400メッシュ、Cl-型)カラム(1.5cm×8.6cm)にのせ、上記溶媒で溶出した。この溶出液を濃縮した後、凍結乾燥して標記化合物(310mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.53(d,1H,J=8.5Hz),8.46-8.48(m,1H),8.37-8.39(m,1H),7.95(d,1H,J=8.0Hz),7.80(s,3H),7.78(d,1H,J=11.1Hz),7.34(s,1H),7.14-7.24(m,5H),6.50(s,1H),5.56-5.60(m,1H),5.35-5.40(m,2H),5.24(s,2H),4.51-4.56(m,1H),3.86(dd,J=4.8,13.5Hz,1H),3.68-3.79(m,3H),3.54(s,2H),3.15-3.22(m,2H),3.01(dd,J=5.6,13.5Hz,1H),2.78(dd,J=9.6,3.5Hz,1H),2.41(s,3H),2.12-2.23(m,2H),1.81-1.89(m,2H),0.88(t,3H,J=7.2Hz).
Mass(FAB);m/e 753(M+1)
例27:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例25で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリメチルアンモニウム塩(0.1g)をN,N-ジメチルホルムアミド(6ml)に溶解させた。この溶液に、例26で得た(Gly-Gly-Phe-Gly)NH-A(A-NH2=DX-8951)の塩酸塩(24mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)溶液、トリエチルアミン(5μl)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(0.1g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(90mg)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ11%(W/W)であった。
例28:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例25で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリメチルアンモニウム塩(0.1g)をN,N-ジメチルホルムアミド(6ml)に溶解させた。この溶液に、例26で得た(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)の塩酸塩(36mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)溶液、トリエチルアミン(8μl)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(0.1g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH12とした。得られた水溶液をバイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(80mg)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液、pH9.0、36μg/ml)をそれぞれ図8及び図9に示す。本化合物の医薬化合物基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ15%(W/W)であった。
例29:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
デキストランT250(20g,EXTRASYNTHESE製,平均分子量250K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,2000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(66.0g)の水溶液(2000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(14.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(28g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により低分子画分を除去して、膜を通過しない残留溶液1を得た。別に、デキストランT250(50g,EXTRASYNTHESE製,平均分子量250K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,5000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(165g)の水溶液(5000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(35.0ml)を加え、一晩撹拌した。
反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(70g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により低分子画分を除去して、膜を通過しない残留溶液2を得た。残留溶液1と残留溶液2を合して、限外濾過法によりバイオマックス-50膜を通過する画分をバイオマックス-30膜を用いて低分子画分を除去し、凍結乾燥してデキストランポリアルコール(25.7g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、47Kであった。
このデキストランポリアルコール(5g)を、水酸化ナトリウム(35g)を水(150ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(50g)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。
この反応液を酢酸でpHを8に調整した後、バイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(7.2g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は127Kであり、カルボキシメチル化度は0.8であった。このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.2g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(直径44mm、長さ210mm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(4ml)を加えた後、凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(2.69g)を得た。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(2.67g)をN,N-ジメチルホルムアミド(200ml)に溶解した。この溶液に、例2と同様に合成した(Boc-Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(350mg)から例16と同様の方法で脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩とトリエチルアミン(0.116ml)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶かして得られる溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(2.67g)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶かして得られる溶液を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液に3M塩化ナトリウム水溶液(100ml)を加え、8mlずつを各30mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(1ml)、ジエチルエーテル(5ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をアセトンで洗浄した後、水に溶解し、3M塩化ナトリウム水溶液(10ml)を加えた後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整し、37℃で1時間処理した。この処理液をバイオマックス-10膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(2.30g)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.20mg/ml)をそれぞれ図10及び図11に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、5.8%(W/W)であった。
例30:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストランT10(20g,ファルマシア社製、平均分子量10K)の0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)溶液(2000ml)に、過ヨウ素酸ナトリウム(66.0g)の水溶液(2000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(14.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(28g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-5膜(ミリポア社製)を用いた限外濾過法により低分子画分を除去して、膜を通過しない残留溶液をバイオマックス-30膜を通過させた。得られた通過液を凍結乾燥して、デキストランポリアルコール(8.0g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、13Kであった。
このデキストランポリアルコール(3.7g)を、水酸化ナトリウム(25.9g)を水(111ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(37g)を加えて溶解させた後、室温で20時間反応させた。この反応液を酢酸でpH8に調整した後、バイオマックス-5膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(6.2g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、37Kであり、カルボキシメチル化度は0.9であった。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(6.0g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラムにのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(9.3ml)を加えた後、凍結乾燥して標記化合物(7.2g)を得た。
例31:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
例30で得たデキストランポリアルコール(3.9g)を、水酸化ナトリウム(16.3g)を水(117ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(23.4g)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。この反応液を酢酸でpH8に調整した後、バイオマックス-5膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(5.0g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、28Kであり、カルボキシメチル化度は0.5であった。このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(4.8g)を例30と同様にトリエチルアンモニウム塩に変換して、標記化合物(5.6g)を得た。
例32:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストラン4(20g、フナコシ社製、平均分子量4K-6K)の0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)溶液(2000ml)に、過ヨウ素酸ナトリウム(66.0g)の水溶液(2000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(14.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(28g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-3膜(ミリポア社製)を用いた限外濾過法により低分子画分を除去した。得られた通過液を凍結乾燥してデキストランポリアルコール(6.0g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、9Kであった。このデキストランポリアルコール(2.7g)を、水酸化ナトリウム(18.9g)を水(81ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(27g)を加えて溶解させた後、室温で20時間反応させた。この反応液を酢酸でpH8に調整した後、バイオマックス-5膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(4.2g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、20Kであり、カルボキシメチル化度は0.9であった。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(4.0g)を例30と同様にトリエチルアンモニウム塩に変換して、標記化合物(4.8g)を得た。
例33:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
例32で得たデキストランポリアルコール(2.7g)を、水酸化ナトリウム(11.3g)を水(81ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(16.2g)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。この反応液を酢酸でpH8に調整した後、バイオマックス-5膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.7g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、16Kであり、カルボキシメチル化度は0.5であった。このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.7g)を例30と同様にトリエチルアンモニウム塩に変換して、標記化合物(3.1g)を得た。
例34:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例30で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(1.5g)N,N-ジメチルホルムアミド(90ml)溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(0.07ml)と(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(210mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(40ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.5g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-3膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.3g)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液、pH9.0、65μg/ml)をそれぞれ図12及び図13に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ6.4%(W/W)であった。
例35:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例31で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(1.2g)をN,N-ジメチルホルムアミド(90ml)溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(0.056ml)と(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(168mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.2g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-3膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.0g)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、4.8%(W/W)であった。
例36:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例32で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(1.2g)をN,N-ジメチルホルムアミド(90ml)溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(0.056ml)と(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(168mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.2g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-3膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.0g)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、5.9%(W/W)であった。
例37:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例33で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(1.5g)をN,N-ジメチルホルムアミド(90ml)溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(0.07ml)と(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(210mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(40ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.5g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-3膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.3g)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、4.6%(W/W)であった。
例38:Boc-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A(A-NH 2 =DW-8286)の合成
Boc-Gly-Gly-Phe-Gly(42mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(12mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(2ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(22mg)を添加した。この溶液に下記式:
Figure 0004137183
で表される化合物[(1s,9s)-1-アミノ-5-クロロ-9-エチル-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン:DW-8286]の塩酸塩(50mg)とトリエチルアミン(0.01ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(6ml)溶液を加えて、遮光して、室温で16時間撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0.5%酢酸を含むジクロロメタン:メタノール=10:1溶液)で精製して標記化合物(27mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:8.10-8.20(br,1H),7.95-8.05(br,1H),7.70-7.80(br,2H),7.50-7.60(br,1H),7.40-7.50(br,1H),7.10-7.25(m,5H),7.05-7.15(br,1H),5.85-5.95(br,1H),5.50-5.60(br,1H),5.40-5.50(m,1H),5.25-5.35(m,1H),5.05-5.15(m,1H),4.90-5.00(m,1H),4.70-4.80(br,1H),4.10-4.25(br,2H),3.60-3.90(m,4H),3.10-3.40(m,3H),2.95-3.05(br,1H),2.15-2.30(br,1H),1.75-1.90(br,2H),1.39(s,9H),0.80-1.00(m,3H).
例39:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DW-8286)の合成
例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(175mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解させた。この溶液に、例38で得られた(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DW-8286)(27mg)から例4と同様の方法で脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩(29mg)とトリエチルアミン(9μl)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(175mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(135mg)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液、Ph9.0、99μg/ml)をそれぞれ図14及び図15に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量は、0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、6.1%(W/W)であった。
例40:(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DW-8089)の合成
Boc-Gly-Gly-Phe-Gly(163mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(45mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(79mg)を添加した。この溶液に下記の式:
Figure 0004137183
で表される化合物[(1s,9s)-1-アミノ-9-エチル-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン:DW-8089]のトシル酸塩(170mg)とトリエチルアミン(0.054ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(30ml)溶液を加えて、遮光下に室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:0.5%酢酸を含むジクロロメタン:メタノール=94:6溶液)で精製して標記化合物(100mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.51(d,1H,J=8.5Hz),8.41(t,1H,J=5.6Hz),8.29(s,1H),8.17(d,1H,J=8.0Hz),8.03(d,1H,J=8.0Hz),7.90(dd,1H,J=4.8,5.6Hz),7.79(t,1H,J=5.6Hz),7.53(d,1H,J=7.2Hz),7.36(s,1H),7.13-7.25(m,5H),6.94-6.95(m,1H),5.60-5.63(m,1H),5.36-5.47(m,2H),5.21-5.30(m,2H),4.42-4.47(m,1H),3.63-3.96(m,3H),3.51-3.59(m,3H),3.31-3.40(m,1H),3.09-3.21(m,1H),3.02(dd,1H,J=4.8,13.5Hz),2.76-2.81(m,1H),2.13-2.17(m,2H),1.85-1.90(m,2H),1.37(s,9H),0.89(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 822(M+1)
例41:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DW-8089)の合成
例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(1.6g)をN,N-ジメチルホルムアミド(60ml)に溶解させた。この溶液に、例40で得られた(Boc-Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DW-8089)(200mg)から例4と同様の方法で脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Phe-Gly)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩とトリエチルアミン(0.07ml)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶かして得られる溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(1.6g)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(25ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(2500rpm,8分)により集めた。この沈澱をエタノールで洗浄した後、水に溶解し、3M塩化ナトリウム水溶液(20ml)を加え、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整した。この溶液をバイオマックス-10膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(1.20g)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.26mg/ml)をそれぞれ図16及び図17に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、5.0%(W/W)であった。
例42:Trt-Gly-Gly-Phe-Gly-OHの合成
Trt-Gly-Gly-Phe-Gly-OBzl(670mg)、10%Pd-C(100mg)およびギ酸アンモニウム(200mg)をDMF(5ml)中に加え、3時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧乾固した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=8:1溶液)で精製して標記化合物(300mg)を得た。
1H-NMR(CD3OD)δ:7.16-7.45(m,20H),4.66(dd,1H,J=9.8,5.4Hz),3.93(d,1H,J=16.6Hz),3.80(d,1H,J=17.6Hz),3.78(d,1H,J=16.6Hz),3.68(d,1H,J=17.1Hz),3.23(dd,1H,J=14.2,5.4Hz),2.90(d,1H,J=13.7Hz),2.90(s,1H).
例43:3’-N-(Gly-Gly-Phe-Gly)-DXR塩酸塩の合成
Trt-Gly-Gly-Phe-Gly-OH(100mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(22mg)をDMF(4ml)に溶かし、氷冷下N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(40mg)を加え4℃で2時間撹拌した。この溶液にN-メチルモルホリン(0.019ml)とドキソルビシン(DXR)塩酸塩(92mg)を溶解したDMF(20ml)溶液を加えて、4℃で16時間撹拌した。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=20:1溶液)で精製した。
得られた化合物を75%酢酸1mlに溶解し、1時間撹拌した。水(20ml)を加えて析出した固体を濾過して除き、濾液を凍結乾燥して、得られた粉末を水(5ml)に溶かした。この溶液をAG-1X8(Cl-型)カラムに通し、水で溶出した後、ジクロロメタンで洗い、水層を凍結乾燥して、標記化合物(40mg)を得た。
1H-NMR(CD3OD)δ:7.95(d,1H,J=7.3Hz),7.82(t,1H,J=7.8Hz),7.54(d,1H,J=8.3Hz),7.16-7.26(m,5H),5.43(d,1H,J=3.4Hz),5.14(br,1H),4.72(s,2H),4.42(dd,1H,J=8.3,6.8Hz),4.30(q,1H,J=6.8Hz),4.14-4.18(m,1H),4.03(d,1H,J=16.6Hz),4.02(s,3H),3.86(d,1H,J=18.5Hz),3.83(d,1H,J=17.1Hz),3.75(d,1H,J=16.1Hz),3.73(d,1H,J=16.1Hz),3.62(br,1H),3.58(d,1H,J=16.6Hz),3.10-3.15(m,2H),3.00(d,1H,J=18.6Hz),2.94(dd,1H,J=14.2,8.8Hz),2.38(d,1H,J=14.2Hz),2.18(dd,1H,J=14.2,4.4Hz),1.94-2.00(m,1H),1.71(dd,1H,J=12.7,4.4Hz),1.28(d,3H,J=6.3Hz).
例44:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-DXRの合成
例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(1.5g)を例25と同様の方法でトリメチルアンモニウム塩(1.2g)に変換した後、この400mgをN,N-ジメチルホルムアミド(24ml)に溶解させた。この溶液に、3’-N-(Gly-Gly-Phe-Gly)-DXRの塩酸塩(76mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(24ml)溶液、トリエチルアミン(24μl)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(400mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。
この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.5ml)、ジエチルエーテル(20ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、バイオマックス-30膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(40mg)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.01Mトリス緩衝液、pH7.4、36μg/ml)をそれぞれ図18及び図19に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量は、PBS(pH7.4)中での480nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、6.0%(W/W)であった。
例45:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩の合成
デキストランT150(20g、ファルマシア社製、平均分子量150K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5、2000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(66.0g)の水溶液(2000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(14.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(28g)を加えて溶解した後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷して、酢酸でpH5.5に調整し、4℃で1時間撹拌した。氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-5膜(ミリポア社製)を用いた限外濾過法により、500mlまで濃縮して溶液1を得た。別に、デキストランT110(20g)について上記の一連の操作を行い、溶液2を得た。溶液1と溶液2を混合し、混合溶液のpHを3.0とし、40℃で4時間インキュベートした後、pHを7に調整して低分子化されたデキストランポリアルコールを含む溶液を得た。バイオマックス-30膜を通過させ、次いでバイオマックス-5膜を用いて脱塩した後、凍結乾燥してデキストランポリアルコール(4.6g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、17Kであった。
このデキストランポリアルコール(2.5g)を、水酸化ナトリウム(17.5g)を水(75ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(25g)を加えて溶解させた後、室温で20時間反応させた。この反応液を酢酸でpHを9に調整した後、バイオマックス-5膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、カルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(4.0g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は45Kであり、CM化度は0.9であった。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(3.7g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラムにのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(5.8ml)を加えた後、凍結乾燥して標記化合物(4.4g)を得た。
例46:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例45で得られたカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(4.4g)をN,N-ジメチルホルムアミド(300ml)に溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(0.19ml)と(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(580mg)を含むN,N-ジメチルホルムアミド(45ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(4.4g)を順次加え、遮光して室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整した後、5mlずつを各25mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(1ml)、ジエチルエーテル(5ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。
この沈澱を水に溶解し、透析膜(スペクトルポア1、カットオフ分子量6000-8000)を用いて、純水に対して透析し、透析内液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(3.4g)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1トリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、4.6%(W/W)であった。
例47:α−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Gly-Phe-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例45で得られたデキストランポリアルコール(2g)を、水酸化ナトリウム(14g)を水(60ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でα−ブロモプロピオン酸(19ml)を加えて溶解させた後、室温で18時間反応させた。この反応液を酢酸でpH8に調整した後、バイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、α−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.95g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、45Kであった。
糖残基あたりのα−メチルカルボキシメチル化度は、カルボキシメチルデキストランポリアルコールの場合に準じて以下の様に求めた。α−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩の水溶液をBio-Rad AG 50W-X2(H+型)カラムに付し、通過液を凍結乾燥して試料として用いた。この試料を所定過剰量の0.1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として0.1N塩酸で滴定した。試料の採取量をs mg、0.1N水酸化ナトリウム水溶液の所定過剰量をa(ml)、0.1N塩酸の滴定量をb(ml)とし、α−メチルカルボキシメチル化度を13.4(a-b)/[s-7.2(a-b)]の式により求めた。その結果α−メチルカルボキシメチル化度は0.8であった。
このα−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.2g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(直径44mm、長さ210mm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(4ml)を加えた後、凍結乾燥してα−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(2.69g)を得た。
このα−メチルカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(2.68g)をN,N-ジメチルホルムアミド(60ml)に溶解した。この溶液に、例2と同様に合成した(Boc-Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(350mg)から例16と同様の方法で脱Boc化して得られる(Gly-Gly-Gly-Phe)-NH-Aのトリフルオロ酢酸塩とトリエチルアミン(0.116ml)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶かして得られる溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(2.68g)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶かして得られる溶液を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液に3M塩化ナトリウム水溶液(40ml)を加え、6mlずつを各30mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(1ml)、ジエチルエーテル(5ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱をアセトンで洗浄した後、水に溶解し、3M塩化ナトリウム水溶液(10ml)を加え、0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調整し、37℃で1時間処理した。この処理液をバイオマックス-10膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(2.15g)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(0.1Mトリス緩衝液,pH9.0,0.21mg/ml)をそれぞれ図20および図21に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、5.9%(W/W)であった。
例48:(Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
Phe-Gly-OBzlのp-トルエンスルホン酸塩(3.06g)、Boc-Gly-OH(1.10g)、N-ヒドロキシスクシンイミド(941mg)、N-メチルモルフォリン(0.725ml)、N,N-ジメチルホルムアミド(40ml)の混合物を4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.56g)を加えた。室温で一晩撹拌しながら反応させた後、反応液を減圧乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=98:2溶液)で精製してBoc-Gly-Phe-Gly-OBzl(1.93g)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.52(dd,1H,J=5.6,6.4Hz),7.97(d,1H,J=8.8Hz),7.30-7.39(m,5H),7.15-7.26(m,5H),6.83(t,1H,J=5.6Hz),5.14(s,1H),4.52-4.57(m,1H),3.87-3.96(m,2H),3.57(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.43(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.01(dd,1H,J=4.8,14.3Hz),2.77(dd,1H,J=5.6,14.3Hz),1.37(s,9H).
得られたBoc-Gly-Phe-Gly-OBzl(1.78g)を酢酸エチル(60ml)に溶解し、5%-Pd-C(1.8g)存在下、24時間接触還元した。触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮し、Boc-Gly-Phe-Gly-OH(1.41g)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.35(t,1H,J=5.6Hz),7.94(d,1H,J=8.8Hz),7.15-7.26(m,5H),6.85(dd,1H,J=5.6,6.4Hz),4.52-4.58(m,1H),3.76(d,2H,J=5.6Hz),3.56(dd,1H,J=6.4,16.7Hz),3.43(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.03(dd,1H,J=5.0,13.5Hz),2.79(dd,1H,J=9.5,13.5Hz),1.37(s,9H).
上で得られたBoc-Gly-Phe-Gly-OH(500mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(161mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解した。この溶液にDX-8951のメタンスルホン酸塩(530mg)とトリエチルアミン(0.146ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を加えて、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(268mg)を加えて、遮光下に室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=96:4溶液)で精製して(Boc-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(100mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.39(d,1H,J=8.0Hz),8.34(t,1H,J=5.6Hz),7.98(d,1H,J=7.2Hz),7.78(d,1H,J=10.3Hz),7.33(s,1H),7.13-7.24(m,5H),6.80(dd,1H,J=5.6,6.4Hz),5.55-5.61(m,1H),5.44(d,1H,J=16.0Hz),5.41(d,1H,J=16.0Hz),5.25(s,2H),4.43-4.46(m,1H),3.69-3.79(m,2H),3.50(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.41(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.16-3.19(m,2H),2.98(dd,1H,J=4.8,14.3Hz),2.79(dd,1H,J=9.5,14.3Hz),2.41(s,3H),2.19-2.25(m,1H),2.10-2.15(m,1H),1.82-1.90(m,2H),1.35(s,9H),0.88(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 797(M+1)
得られた(Boc-Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(100mg)をトリフルオロ酢酸(3ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(30ml)で共沸を2回、エタノール(30ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(80mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.52-8.62(m,1H),7.94(s,3H),7.79(t,1H,J=11.1Hz),7.34(s,1H),7.15-7.27(m,5H),6.52(s,1H),5.57-5.61(m,1H),5.36-5.46(m,2H),5.24(s,2H),4.66-4.70(m,1H),3.69-3.81(m,2H),3.61-3.68(m,1H),3.40-3.47(m,1H),3.15-3.23(m,1H),3.01(dd,1H,J=4.0,13.5Hz),2.77(dd,1H,J=9.5,13.5Hz),2.12-2.23(m,2H),1.81-1.91(m,2H),0.89(t,3H,J=7.2Hz).
Mass(FAB);m/e 697(M+1)
例49:(Phe-Gly)-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
Boc-Phe-Gly(771mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(300mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解した。この溶液にDX-8951のメタンスルホン酸塩(1058mg)とトリエチルアミン(0.293ml)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を加えて、4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(494mg)を加えて、遮光下に室温で一晩撹拌しながら反応させた。
この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=98:2溶液)で精製して(Boc-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(1.20g)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.29(d,1H,J=8.0Hz),8.21(t,1H,J=4.8Hz),7.76(d,1H,J=10.3Hz),7.32(s,1H),7.13-7.25(m,5H),6.92(d,1H,J=7.2Hz),6.49(s,1H),5.56-5.61(m,1H),5.44(d,1H,J=15.9Hz),5.38(d,1H,J=15.9Hz),5.25(s,2H),4.08-4.12(m,1H),3.78(d,1H,J=4.8Hz),3.16-3.25(m,2H),2.99(dd,1H,J=4.0,13.5Hz),2.72(dd,1H,J=10.3,13.5Hz),2.40(s,3H),2.09-2.35(m,2H),1.80-1.91(m,2H),1.16(s,9H),0.88(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 741(M+1)
上で得られた(Boc-Phe-Gly)-NH-A(170mg)をトリフルオロ酢酸(4ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(10ml)で共沸を2回、エタノール(10ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(100mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.88(t,1H,J=4.8Hz),8.68(d,1H,J=8.7Hz),8.05-8.15(m,3H),7.79(d,1H,J=11.1Hz),7.26-7.36(m,5H),6.52(d,1H,J=7.2Hz),5.57-5.62(m,1H),5.43(d,1H,J=15.9Hz),5.38(d,1H,J=15.9Hz),5.19-5.28(m,1H),4.10-4.18(m,1H),3.93(dd,1H,J=4.8,16.7Hz),3.82(dd,1H,J=4.8,16.7Hz),3.17-3.24(m,2H),3.14(dd,1H,J=4.8,13.5Hz),2.95(dd,1H,J=8.0,13.5Hz),2.42(s,3H),2.14-2.25(m,2H),1.83-1.91(m,2H),0.89(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 640(M+1)
例50:Gly-NH-A(A-NH 2 =DX-8951)トリフルオロ酢酸塩の合成
DX-8951のメタンスルホン酸塩(530mg)とトリエチルアミン(0.28ml)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、4℃に冷却した後、Boc-GlyのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(327mg)を加えた。遮光下に室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=98:2溶液)で精製して(Boc-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)(500mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.38(d,1H,J=8.3Hz),7.77(d,1H,J=10.7Hz),7.31(s,1H),6.89-6.91(m,1H),6.49(s,1H),5.55-5.59(m,1H),5.45(d,1H,J=16.1Hz),5.38(d,1H,J=16.1Hz),5.27(d,1H,J=19.0Hz),5.18(d,1H,J=19.0Hz),3.50-3.62(m,2H),3.15-3.19(m,2H),2.41(s,3H),2.18-2.24(m,1H),2.08-2.12(m,1H),1.81-1.91(m,2H),1.31(s,9H),0.87(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 593(M+1)
上で得られた(Boc-Gly)-NH-A(100mg)をトリフルオロ酢酸(2ml)に溶かし、1時間放置した。溶媒を留去し、メタノール(10ml)で共沸を2回、エタノール(10ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、標記化合物(70mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.88(d,1H,J=8.8Hz),8.08(s,3H),7.81(d,1H,J=11.2Hz),7.34(s,1H),6.52(s,1H),5.63-5.67(m,1H),5.45(d,1H,J=16.7Hz),5.40(d,1H,J=16.7Hz),5.36(d,1H,J=19.1Hz),5.25(d,1H,J=19.1Hz),3.56(s,2H),3.11-3.19(m,2H),2.43(s,3H),2.23-2.28(m,1H),2.11-2.19(m,1H),1.81-1.91(m,2H),0.88(t,3H,J=8.0Hz).
Mass(FAB);m/e 493(M+1)
例51:カルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリメチルアンモニウム塩の合成
デキストランT500(50g,ファルマシア社製,分子量500K)を0.1M酢酸緩衝液(pH5.5,5000ml)に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム(165.0g)の水溶液(5000ml)を加えた。遮光しながら4℃で10日間撹拌した後、エチレングリコール(35.0ml)を加え、一晩撹拌した。反応液を8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7に調整した。水素化ホウ素ナトリウム(70g)を加えて溶解した後、一晩撹拌した。反応液を氷冷し、酢酸でpH5.5に調整して4℃で1時間撹拌した後、8M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.5に調整した。得られた水溶液をバイオマックス-50膜を用いて限外濾過法による脱塩を行なった。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥して、デキストランポリアルコール(20.2g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は、159Kであった。
このデキストランポリアルコール(7.5g)を、水酸化ナトリウム(31.5g)を水(225ml)に溶かして得られる水溶液に加え、室温で溶解させた。この溶液に氷冷下でモノクロル酢酸(45g)を加えて溶解させた後、室温で一晩反応させた。この反応液を酢酸でpHを8に調整した後、バイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液を凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(8.5g)を得た。この物質の分子量(ゲル濾過、プルラン標準)は274Kであり、カルボキシメチル化度は0.4であった。このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.0g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、H+型)カラム(直径44mm、長さ210mm)にのせ、水で溶出した。この溶出液にトリエチルアミン(4ml)を加えた後、凍結乾燥して標記化合物(2.2g)を得た。
例52:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例51で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(200mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(7ml)に溶解させた。この溶液に、例48で得た(Gly-Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(41mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、トリエチルアミン(0.014ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ4,2-ジヒドロキシキノリン(100mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.0ml)、ジエチルエーテル(25ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(190mg)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ4.5%(W/W)であった。
例53:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Phe-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのナトリウム塩(2.5g)を水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、Et3NH+型)カラムにのせ、水で溶出した。この溶出液を凍結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(2.5g)を得た。
このカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(200mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(12ml)に溶解させた。この溶液に、例49で得た(Phe-Gly)-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(42mg)とトリエチルアミン(0.016ml)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(200mg)を順次加え、遮光して室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液に水(300ml)を加え、限外濾過膜10K(フィルトロン社製)を用いて限外濾過した。膜を通過しない残留溶液を0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpH10とし、濾過膜(0.16μm、フィルトロン社製)を通過させた。通過した溶液をバイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩し、次いでミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(180mg)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ6.1%(W/W)であった。
例54:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-NH-A’(A-NH 2 =DX-8951)の合成
例51で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(370mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解させた。この溶液に、例50で得たGly-NH-A(A-NH2=DX-8951)のトリフルオロ酢酸塩(57mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)溶液、トリエチルアミン(0.027ml)、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(185mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の5mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。これに3M塩化ナトリウム水溶液(2.0ml)、ジエチルエーテル(25ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(3500rpm,8分)により集めた。この沈澱を0.5M食塩水に溶解し、氷冷下0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9とした。得られた水溶液をバイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(290mg)を得た。本化合物の医薬化合物残基の含量を0.1Mトリス緩衝液(pH9.0)中での362nmにおける吸光度に基づいて定量したところ0.5%(W/W)であった。
例55:カルボキシメチルデキストランポリアルコール-Gly-Gly-Phe-Gly-D51-7059の合成
Boc-Gly-Gly-Phe-Gly-OH(200mg)をトリフルオロ酢酸(4ml)に溶かし、1.5時間撹拌した。溶媒を留去し、メタノール(10ml)で共沸を2回、エタノール(10ml)で共沸を2回行った後、残渣をエーテルで洗浄して、Gly-Gly-Phe-Gly-OHのトリフルオロ酢酸塩(225mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.48(dd,1H,J=5.6,5.6Hz),8.59(dd,1H,J=5.6,6.4Hz),8.29(d,1H,J=4.8Hz),7.23-7.26(m,4H),7.16-7.20(m,1H),4.58(ddd,1H,J=4.8,4.8,10.4Hz),3.89(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.76-3.79(m,2H),3.67(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.56(s,2H).
上で得られたGly-Gly-Phe-Gly-OHのトリフルオロ酢酸塩(200mg)を、水(10ml)に溶解し、トリエチルアミンを加えてpH9.0に調整した後、9-フレオレニルメチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカルボネート(200mg)のアセトニトリル(5ml)溶液を加え、次いでトリエチルアミンを用いてpH8.0-8.5に維持しながら室温で4時間撹拌した。反応液に1.5N塩酸(50ml)を加え、析出した沈澱を濾取し、水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=4:1溶液)で精製してFmoc-Gly-Gly-Phe-Gly-OH(151mg)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.28-8.32(m,1H),8.08-8.12(m,1H),7.85-7.89(m,2H),7.68-7.72(m,2H),7.57-7.65(m,1H),7.38-7.43(m,2H),7.29-7.34(m,2H),7.20-7.25(m,4H),7.14-7.17(m,1H),4.45-4.52(m,1H),4.26-4.30(m,2H),4.19-4.24(m,1H),3.77(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.58-3.69(m,4H),3.42-3.52(m,1H),3.06(dd,1H,J=4.0,13.5Hz),2.78(dd,1H,J=4.0,13.5Hz).
上で得られたFmoc-Gly-Gly-Phe-Gly-OH(24mg)、下記の式:
Figure 0004137183
で表されるタキソール誘導体(D51-7059:9,10-O-(2-アミノエチリデン)-13-O-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-ヒドロキシ-3-フェニル]-プロパノイル-10-デアセチル-9-ジヒドロバカチンIII)(20mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(7mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(1ml)に溶解した。この溶液を4℃に冷却した後、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(9mg)を添加し、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を減圧乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=96:4溶液)で精製してFmoc-Gly-Gly-Phe-Gly-D51-7059(21mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:8.06(d,2H,J=8.1Hz),7.75(d,2H,J=8.1Hz),7.18-7.61(m,23H),7.62(dd,1H,J=7.2,8.0Hz),6.07(dd,1H,J=7.9,8.8Hz),5.98(d,1H,J=4.8Hz),5.63(d,1H,J=8.8Hz),5.00-5.40(m,4H),4.92(s,1H),4.60-4.69(m,2H),4.41(d,2H,J=6.4Hz),4.35(d,1H,J=8.0Hz),4.29(d,1H,J=8.0Hz),4.21(t,1H,J=7.5Hz),3.96-4.07(m,3H),3.73-3.86(m,4H),3.37-3.41(m,1H),3.19-3.23(m,1H),3.00(dd,1H,J=8.0,13.5Hz),2.85-2.89(m,3H),2.29(s,3H),2.05-2.40(m,4H),1.57(s,3H),1.56(s,3H),1.53(s,3H),1.40(s,9H),1.22(s,3H).
Mass(FAB);m/e 1413(M+Na)
上記で得られたFmoc-Gly-Gly-Phe-Gly-D51-7059(21mg)をジクロロメタン(1.8ml)に溶解させ、ピペラジン(0.2ml)を加えた後、室温で1時間反応させた。この反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール=94:6溶液)で精製してGly-Gly-Phe-Gly-D51-7059(16mg)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:8.10(d,2H,J=8.1Hz),7.89-7.94(m,1H),7.62(dd,1H,J=7.2,8.0Hz),7.45-7.50(m,2H),7.17-7.42(m,12H),7.10-7.16(m,1H),6.97(dd,1H,J=5.6,6.4Hz),6.08(dd,1H,J=8.0,8.7Hz),6.02(d,1H,J=4.8Hz),5.62(d,1H,J=11.1Hz),5.23-5.30(m,1H),5.23(d,1H,J=7.2Hz),5.10(s,1H),4.98-5.00(m,1H),4.60-4.63(m,1H),4.38(d,1H,J=8.8Hz),4.33(d,1H,J=8.8Hz),4.13(s,1H),4.04(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.93(dd,1H,J=5.6,16.7Hz),3.82(d,1H,J=7.2Hz),3.73-3.82(m,2H),3.43-3.49(m,1H),3.30-3.38(m,2H),3.24(dd,1H,J=6.4,14.3Hz),3.04(dd,1H,J=8.0,14.3Hz),2.89-3.07(m,3H),2.30(s,3H),2.01-2.50(m,4H),1.70(s,3H),1.62(s,3H),1.61(s,3H),1.40(s,9H),1.26(s,3H).
Mass(FAB);m/e 1169(M+1)
以上の方法で合成したGly-Gly-Phe-Gly-D51-7059(33mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.5ml)に溶解させた。この溶液に、例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(180mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(7ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(180mg)を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液の4mlずつを各10mlのエタノール中に滴下した。それぞれに3M塩化ナトリウム水溶液(2.0ml)、ジエチルエーテル(25ml)を加えて、析出した沈澱を遠心分離(2500rpm,8分)により集めた。この沈澱をエタノールで洗浄した後、水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、Na+型)カラム(直径15mm、長さ85mm)にのせ、水で溶出し、溶出液1を得た。別に、Gly-Gly-Phe-Gly-D51-7059(10mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.5ml)に溶解させた後、例24で得たカルボキシメチルデキストランポリアルコールのトリエチルアンモニウム塩(60mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキシキノリン(60mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.25ml)溶液を順次加え、室温で一晩撹拌しながら反応させた。この反応液を10mlのエタノール中に滴下した後、3M塩化ナトリウム水溶液(2.0ml)、ジエチルエーテル(25ml)を加え、析出した沈澱を遠心分離(2500rpm,8分)により集めた。この沈澱をエタノールで洗浄した後、水に溶解し、Bio-Rad AG 50W-X2(200-400メッシュ、Na+型)カラム(直径15mm、長さ85mm)にのせ、水で溶出し、溶出液2を得た。溶出液1と溶出液2を合した後、バイオマックス-50膜を用いた限外濾過法により脱塩した。膜を通過しない残留溶液をミリポアフィルター(0.22μm)で濾過した後、凍結乾燥して標記化合物(208mg)を得た。本化合物を0.1M塩化ナトリウム水溶液に溶解後、GPC(カラム:東ソー TSK Gel PW-4000XL、溶媒:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min)で分析した結果、及び本化合物の紫外線吸収スペクトル(メタノール:水=10:1溶液、1.69mg/ml)をそれぞれ図22および図23に示す。本化合物の医薬化合物残基の含量をメタノール:水=10:1溶液中での240nmにおける吸光度に基づいて定量したところ、5.3%(W/W)であった。
例56:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し(1群6匹)、例15の薬物複合体について、例12と同様の方法で単回投与した場合の抗腫瘍作用を調べた。その結果、例15の薬物複合体は例12の医薬化合物自体に比べて、顕著な抗腫瘍効果の増強と有効用量域の拡大を示した。
Figure 0004137183
例57:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
ヒト胃癌SC-6の腫瘍塊をヌードマウス(BALB/c-nu/nu,雄)の右鼠径部皮下に移植してSC-6担癌ヌードマウスを作成した(1群5匹)。移植後24日目に注射用蒸留水に溶解した例15の薬物複合体を静脈内に単回投与し、抗腫瘍作用を医薬化合物自体と比較した。その結果、例15の薬物複合体は医薬化合物自体に比べて、毒性死を示すことなく、高い抗腫効果を発揮した。
Figure 0004137183
例58:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例57と同様の方法によりヒト肺癌QG-90担癌ヌードマウスを作成した(1群5匹)。移植後16日目に注射用蒸留水に溶解した例15の薬物複合体を静脈内に単回投与し、抗腫瘍作用を医薬化合物自体と比較した。その結果、例15の薬物複合体は医薬化合物自体に比べて、顕著な抗腫瘍効果の増強と有効用量域の拡大を示した。
Figure 0004137183
例59:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し(1群6匹)、例12と同様の方法で例41の薬物複合体を単回投与した場合の抗腫瘍作用を医薬化合物自体と比較した。その結果、例41の薬物複合体は医薬化合物自体に比べて、顕著な抗腫瘍効果の増強と有効用量域の拡大を示した。
Figure 0004137183
例60:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し(1群6匹)、例12と同様の方法で例29、例46および例47の各薬物複合体をそれぞれ単回投与した場合の抗腫瘍作用を調べた。
その結果、何れの薬物複合体も高い抗腫瘍効果と広い有効用量域を示した。
Figure 0004137183
例61:本発明の薬物複合体の抗腫瘍作用
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し(1群6匹)、例44の薬物複合体について、例12と同様の方法で単回投与して抗腫瘍作用を医薬化合物自体(ドキソルビシン)と比較した。その結果、例44の薬物複合体は医薬化合物自体に比べて、顕著な抗腫瘍効果の増強と有効用量域の拡大を示した。
Figure 0004137183
例62:本発明の薬物複合体の体内動態
例11と同様の方法によりMeth A担癌マウスを作成し、例15の薬物複合体について、例12と同様の方法で単回投与(10mg/kg:医薬化合物換算量)して、薬物複合体の各組織内における濃度推移を調べた。その結果、例15の薬物複合体は著しく高い血中滞留性、腫瘍組織への高い移行性および肝臓と小腸に対する高い腫瘍選択性を示した。結果を図24に示す。
産業上の利用可能性
例えば抗腫瘍剤である医薬化合物の残基を導入した本発明の薬物複合体は、腫瘍部位選択性に優れており、高い抗腫瘍作用を発揮できるとともに、毒性の発現も軽減されているという特徴を有している。

Claims (27)

  1. 1個のアミノ酸からなるスペーサー又はペプチド結合した2〜8個のアミノ酸からなるスペーサーを介して完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールと医薬化合物の残基とが結合していることを特徴とする薬物複合体。
  2. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールを構成するデキストランポリアルコールが、完全にポリアルコール化可能な条件下でデキストランを処理して得られたデキストランポリアルコールであることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の薬物複合体。
  3. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールがカルボキシメチルデキストランポリアルコールである請求の範囲第1項または第2項に記載の薬物複合体。
  4. 医薬化合物が抗腫瘍剤又は抗炎症剤である請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の薬物複合体。
  5. 医薬化合物が濃度依存型の抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤である請求の範囲第4項に記載の薬物複合体。
  6. 医薬化合物が時間に依存した抗腫瘍作用を発現する抗腫瘍剤である請求の範囲第4項に記載の薬物複合体。
  7. 抗腫瘍剤がドキソルビシン又は(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオンである請求の範囲第4項に記載の薬物複合体。
  8. スペーサーが-X-Z-で表されるジペプチド(-X-Z-は疎水性アミノ酸(X)と親水性アミノ酸(Z)とがそれぞれN末端側及びC末端側となってペプチド結合して形成されるジペプチドのN末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基から、それぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を示す)であるか、又は該ジペプチドを部分ペプチド配列として含むスペーサーである請求の範囲第5項ないし7項のいずれか1項に記載の薬物複合体。
  9. 疎水性アミノ酸がフェニルアラニンであり、親水性アミノ酸がグリシンである請求の範囲第8項に記載の薬物複合体。
  10. スペーサーが(N末端)-Gly-Gly-Phe-Gly-である請求の範囲第9項に記載の薬物複合体。
  11. 抗腫瘍剤の残基の導入量が1〜15重量%の範囲である請求の範囲第5項ないし第10項のいずれか1項に記載の薬物複合体。
  12. 抗腫瘍剤の残基の導入量が3〜10重量%の範囲である請求の範囲第5項ないし第10項のいずれか1項に記載の薬物複合体。
  13. 抗腫瘍剤の残基の導入量が5〜6重量%の範囲である請求の範囲第5項ないし第10項のいずれか1項に記載の薬物複合体。
  14. H2N-Gly-Gly-Phe-Gly-COOHで示されるペプチドのN末端がカルボキシメチルデキストランポリアルコールのカルボキシル基に酸アミド結合しており、該ペプチドのC末端が(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオンの1-アミノ基と酸アミド結合した薬物複合体。
  15. 高い血中滞留性と高い腫瘍組織移行性を有する請求の範囲第14項に記載の薬物複合体。
  16. (1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン残基の導入量が2〜10重量%の範囲である請求の範囲第14項又は第15項に記載の薬物複合体。
  17. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールが分子量5,000ないし500,000の範囲のカルボキシメチルデキストランポリアルコールであり、カルボキシメチル化度が0.01〜2.0の範囲である請求の範囲第14項ないし第16項のいずれか一項に記載の薬物複合体。
  18. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールが分子量50,000〜450,000の範囲のカルボキシメチルデキストランポリアルコールであり、カルボキシメチル化度が0.1〜1.0の範囲である請求の範囲第14項ないし第16項のいずれか一項に記載の薬物複合体。
  19. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールが分子量200,000〜400,000の範囲のカルボキシメチルデキストランポリアルコールであり、カルボキシメチル化度が0.3〜0.5の範囲である請求の範囲第14項ないし第16項のいずれか一項に記載の薬物複合体。
  20. (1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン残基の導入量が5〜6重量%の範囲であり、カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量が約228,000であり、カルボキシメチル化度が0.4である請求の範囲第14項又は第15項に記載の薬物複合体。
  21. 医薬化合物を結合するための薬物送達のキャリアーであって、完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールからなる薬物送達のキャリアー。
  22. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量が5,000〜500,000の範囲であり、カルボキシC1-4アルキル化度が0.01〜2.0の範囲である請求の範囲第21項に記載の薬物送達のキャリアー。
  23. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量が50,000〜450,000の範囲であり、カルボキシC1-4アルキル化度が0.1〜1.0の範囲である請求の範囲第21項に記載の薬物送達のキャリアー。
  24. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの分子量が200,000〜400,000の範囲であり、カルボキシC1-4アルキル化度が0.3〜0.5の範囲である請求の範囲第21項に記載の薬物送達のキャリアー。
  25. カルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールがカルボキシメチルデキストランポリアルコールである請求の範囲第21項ないし第24項のいずれか1項に記載の薬物送達のキャリアー。
  26. 医薬化合物の残基と結合した完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールを含む薬物複合体の製造のための完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの使用。
  27. 医薬化合物の残基と完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールとがスペーサーを介して、又はスペーサーを介さずに結合した薬物複合体の製造のための完全にポリアルコール化されたカルボキシC1-4アルキルデキストランポリアルコールの使用。
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