JP2003137818A - 悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組成物 - Google Patents

悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組成物

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JP2003137818A
JP2003137818A JP2002239094A JP2002239094A JP2003137818A JP 2003137818 A JP2003137818 A JP 2003137818A JP 2002239094 A JP2002239094 A JP 2002239094A JP 2002239094 A JP2002239094 A JP 2002239094A JP 2003137818 A JP2003137818 A JP 2003137818A
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glycyl
glycine
polysaccharide
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JP2002239094A
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Takayuki Kawaguchi
隆行 川口
Satoru Okuno
哲 奥野
Toshiro Yano
敏朗 矢野
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Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組成物
を提供するものである。 【解決手段】 カルボキシル基を有する多糖類と抗腫瘍
活性を有する薬物とが、アミノ酸もしくは2〜8個の同
一または異なるアミノ酸を含んでなるペプチドを介して
結合している多糖誘導体またはその塩を有効成分として
なる悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、悪性腫瘍の転移抑
制または再発予防用組成物に関する。さらに詳しくは、
本発明は、カルボキシル基を有する多糖類と、抗腫瘍活
性を有する薬物、例えば後記一般式(I)または(II)で
示されるカンプトテシン誘導体とが、アミノ酸もしくは
2〜8個の同一または異なるアミノ酸を含んでなるペプ
チドを介して結合している多糖類誘導体またはその塩を
有効成分とする悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】悪性腫瘍は先進諸国の主要な死因の一つ
であり、この死因は、遠隔転移や局所療法後の遠隔転移
を伴う再発に基づくものが多い。遠隔転移は、血行性転
移およびリンパ性転移によって生じ、リンパ節転移を有
する患者は、局所療法を実施後の再発リスクが高いこと
が知られている。再発部位としては脳、肺、肝、骨が主
要な転移再発部位である。特に患者数の多い大腸癌を中
心とする消化器系の腫瘍では肝転移が非常に多く、乳ガ
ン、肺癌についても肝臓への転移が生じ、さらに、リン
パ腫、リンパ性白血病などもリンパ系を中心に進展し、
剖検例では肝転移陽性率が高いと報告されている。
【0003】これら肝転移等の遠隔転移を含む再発抑制
および延命を目的として局所療法後の補助療法として化
学療法等が行われているが、毒性が強く、長期投与がで
きないこともあり、局所療法単独に比べ生存期間を延長
する報告はほとんどない。たとえば、消化器系癌である
進行胃癌の手術対象症例に対する術後化学療法の検討で
は様々な抗悪性腫瘍薬の臨床試験が実施されているが、
手術単独群に比較して生存率の延長を示すような治療法
は確立されていない。
【0004】このような現状から、リンパ節や遠隔転移
部位を指向した、副作用が少なく長期投与が可能な局所
療法後の再発抑制や延命効果を有する薬剤が求められて
いる。
【0005】一方、WO94/19376、WO97/
46260、WO97/38727、特開平10−72
467号及び特開平10−95802号には、多糖類と
抗腫瘍活性を有する薬物とがアミノ酸又はペプチドを介
して結合した多糖誘導体が開示されている。
【0006】しかしながら、これら公報には、多糖誘導
体が腫瘍部位へ集積し、腫瘍細胞に対し殺細胞効果を発
揮することにより癌の治療に用いられることが示されて
いるものの、悪性腫瘍の転移抑制又は再発予防について
は何ら述べていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、悪性腫瘍の
転移抑制または再発予防に有用な新規組成物を提供する
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々鋭意
検討した結果、カルボキシル基を有する多糖類と抗腫瘍
活性を有する薬物とがアミノ酸又はペプチドを介して結
合した多糖誘導体が、悪性腫瘍の転移抑制及び/又は再
発予防に優れた効果を発揮することを見出し、本発明を
完成した。
【0009】すなわち、本発明は、カルボキシル基を有
する多糖類と抗腫瘍活性を有する薬物とが、アミノ酸も
しくは2〜8個の同一または異なるアミノ酸を含んでな
るペプチドを介して結合している多糖誘導体またはその
塩を有効成分としてなる悪性腫瘍の転移抑制または再発
予防用組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるカルボキシル基を
有する多糖類としては、前記WO94/19376及び
WO97/46260に開示されている物質と同じもの
を含み、本来的にその構造中にカルボキシル基を有する
多糖類(例えば、ヒアルロン酸、ペクチン酸、アルギン
酸、コンドロイチン、ヘパリンなど)、本来的にカルボ
キシル基を有さない多糖類(例えば、プルラン、デキス
トラン、マンナン、キチン、マンノグルカン、キトサン
など)にカルボキシル基を導入したもの、及び本来的に
その構造中にカルボキシル基を有さない多糖類をポリア
ルコール化したのちにカルボキシル基を導入したもの
(即ち、カルボキシル基を有する多糖ポリアルコール)を
含むものである。
【0011】本来的にカルボキシル基を有さない多糖類
にカルボキシル基を導入したものとは、そのカルボキシ
ル基を有さない多糖類に、一部もしくは全部の水酸基の
水素原子がカルボキシ−C1-4アルキル基で置換されて
いるものを意味する。
【0012】また、本発明において、カルボキシル基を
有する多糖類には、本来的にはカルボキシル基を有さな
い多糖類を一旦還元剤で処理後、一部または全部の水酸
基の水素原子をカルボキシ−C1-4アルキル基で置換し
たものも含まれる。
【0013】さらに、カルボキシル基を有する多糖ポリ
アルコールは、WO97/46260に記載されている
方法により、例えば、本来的にカルボキシル基を有さな
い多糖類に過ヨウ素酸ナトリウムと水素化ホウ素ナトリ
ウムとを順次作用させて多糖ポリアルコールとし、これ
にハロゲン化C1-4アルキルカルボン酸を作用させて得
られるカルボキシ−C1-4アルキル多糖ポリアルコール
があげられる。上記多糖類(多糖ポリアルコールを含む)
の水酸基の水素原子と置換されるカルボキシ−C1-4
ルキル基のアルキル部分は直鎖または分枝鎖のいずれで
あってもよい。
【0014】カルボキシ−C1-4アルキル基の好ましい
例としては、カルボキシメチル基、1−カルボキシエチ
ル基、3−カルボキシプロピル基、1−メチル−3−カ
ルボキシプロピル基、2−メチル−3−カルボキシプロ
ピル基、4−カルボキシブチル基などがあげられ、特に
カルボキシメチル基が好ましい。
【0015】本発明においては、カルボキシル基を有す
る多糖類は、カルボキシ−C1-4アルキルデキストラン
又はカルボキシ−C1-4アルキルデキストランポリアル
コールが好ましく、特にカルボキシ−C1-4アルキルデ
キストランが好ましい。上記カルボキシ−C1-4アルキ
ル多糖ポリアルコールの製造工程における過ヨウ素酸ナ
トリウムでの酸化と引き続いた水素化ホウ素ナトリウム
での還元によるポリアルコール化度は特に限定されない
が、中間体多糖ポリアルコールが、実質的にほぼ完全に
ポリアルコール化可能な条件において多糖類を処理して
得られたものであることが好ましい。さらに、本発明に
おいては、カルボキシル基を有する多糖類が、カルボキ
シメチル化されたデキストランまたはカルボキシメチル
化されたデキストランポリアルコールが好ましく、とり
わけ、その平均分子量が20,000〜500,000、
とりわけ、50,000〜350,000[ゲル浸透クロ
マトグラフィー(CGP)法、新生化学実験講座第20巻
(東京化学同人、1991年11月5日)第7頁]の範囲
であるのが好ましい。
【0016】上記のカルボキシアルキル基を導入する場
合、その導入の程度は、糖残基一つあたりのカルボキシ
ル基の数(ペプチド鎖がさらにこれらに導入された基も
含む)として定義される「置換度」によって表すことが
できる。すなわち、
【式1】 と表すことができる。
【0017】なお、以下この置換度を、カルボキシアル
キル基がカルボキシメチル基である場合には「カルボキ
シメチル(CM)化度」ということがある。
【0018】多糖類がデキストランの場合、置換度は
0.3以上0.8以下であるのが好ましい。また、多糖類
がデキストランポリアルコールの場合、置換度は0.3
以上0.5以下であるのが好ましい。
【0019】本発明におけるアミノ酸もしくはペプチド
は、カルボキシル基を有する多糖類と抗腫瘍活性を有す
る薬物との間に介在するスペーサーの役割を果たすもの
であり、アミノ酸もしくは該ペプチドを構成するアミノ
酸としては、天然アミノ酸及び合成アミノ酸(D−アミ
ノ酸、L−アミノ酸、これらの混合物を含む)のいずれ
も含み、また中性アミノ酸、塩基性アミノ酸及び酸性ア
ミノ酸のいずれであってもよい。さらに、α―アミノ酸
に限らず、β―アミノ酸、γ―アミノ酸、ε―アミノ酸
等も含まれる。
【0020】具体例としては、グリシン、α―アラニ
ン、β―アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、リシン、シトルリン、アルギ
ニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリ
プトファン、プロリン、オキシプロリン、γ―アミノ酪
酸、ε―アミノカプロン酸等があげられる。
【0021】本発明におけるペプチドは、2〜8個、好
ましくは2〜5個の同一または異なるアミノ酸からなる
ペプチドがあげられる。具体的なペプチドの例として
は、例えば、グリシル−グリシル−L−もしくはD−フ
ェニルアラニル−グリシン、グリシル−グリシン、グリ
シル−グリシル−グリシン、グリシル−グリシル−グリ
シル−グリシン、グリシル−グリシル−グリシル−グリ
シル−グリシン、L−もしくはD−フェニルアラニル−
グリシン、L−もしくはD−チロシル−グリシン、L−
もしくはD−ロイシル−グリシン、L−もしくはD−フ
ェニルアラニル−シトルリンまたはL−もしくはD−バ
リル−シトルリンなどがあげられる(ここで、これらペ
プチドのN末端側が多糖類のカルボキシル基に導入され
る)。
【0022】これらペプチドのうち、グリシル−グリシ
ル−L−もしくはD−フェニルアラニル−グリシン、グ
リシル−グリシン、グリシル−グリシル−グリシン、グ
リシル−グリシル−グリシル−グリシン、グリシル−グ
リシル−グリシル−グリシル−グリシン、L−もしくは
D−フェニルアラニル−グリシンが好ましい。
【0023】本発明の有効成分における抗腫瘍活性を有
する薬物としては、具体的には、各種の抗腫瘍剤として
知られている化合物があげられるが、細胞毒性の薬剤(c
ytotoxic agent)でも細胞増殖抑制性の薬剤(cytostatic
agent)でも良い。細胞毒性の薬剤としてはカンプトテ
シン誘導体、タキサン誘導体が、細胞増殖抑制性の薬剤
としては血管新生阻害化合物、EGF受容体阻害化合物
が望ましい。より好ましくは細胞毒性の薬剤としてはカ
ンプトテシン誘導体、細胞増殖抑制性の薬剤としては血
管新生阻害化合物が望ましい。
【0024】カンプトテシン誘導体の具体例としては、
例えば、特開平10−72467号に記載の一般式[I]
【化3】
【0025】[式中、R1は置換または非置換低級アルキ
ル基、X1は式:−NHR2(R2は水素原子または低級ア
ルキル基を表す)で示される基、Alkは酸素原子が介
在していることもある炭素数1〜6個の直鎖または分枝
鎖アルキレン基を表す]で示される化合物があげられ
る。このうち、好ましい化合物としては、例えば、10
−(3'−アミノプロピルオキシ)−7−エチル−(20
S)−カンプトテシンが挙げられる。
【0026】他のカンプトテシン誘導体の具体例として
は、例えば、特開平10−95802号に記載の一般式
[II]
【化4】
【0027】[式中、R2〜R6は、隣接する2つが互い
に結合して低級アルキレン基を形成し、その低級アルキ
レン基のいずれかの炭素原子にアミノ基が置換してお
り、残りの3つが水素原子、低級アルキル基またはハロ
ゲン原子であることを表す]で示される化合物があげら
れる。このうち、好ましい化合物としては、例えば、
(1S,9S)−1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ
−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1
H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]イン
ドリジノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15
H)−ジオンなどがあげられる。
【0028】タキサン誘導体の具体例としては、タキソ
ール、タキソテール、13−[(2'R,3'R)−3'N−
t−ブチルオキシカルボニル−3'−シクロプロピル]−
10−デアセチル バッカチン IIIなどがあげられ
る。
【0029】本発明の有効成分において、多糖類と抗腫
瘍活性を有する薬物との結合割合は、多糖類の種類によ
って適宜選択されるが、多糖類がデキストラン又はデキ
ストランポリアルコールの場合には、抗腫瘍活性を有す
る薬物の含量は、有効成分の総重量に対して0.1〜2
0重量%が好ましく、2〜10重量%が特に好ましい。
【0030】本発明の有効成分のうち、好ましいものと
しては、カルボキシル基を有する多糖類の一部または全
部のカルボキシル基に、アミノ酸もしくは2〜8個の同
一または異なるアミノ酸を含んでなるペプチドが酸アミ
ド結合により導入されており、前記ペプチドのカルボキ
シル基との結合に関与していないアミノ基またはカルボ
キシル基の一部または全部が、抗腫瘍活性を有する薬物
のカルボキシル基、アミノ基または水酸基と、酸アミド
結合またはエステル結合している多糖誘導体又はその塩
があげられる。
【0031】特に好ましい有効成分としては、カルボキ
シル基を有する多糖類がカルボキシメチル化されたデキ
ストランであり、抗腫瘍活性を有する薬物が10−(3'
−アミノプロピルオキシ)−7−エチル−(20S)−カ
ンプトテシンであり、ペプチドがグリシル−グリシル−
グリシンである多糖誘導体又はその塩があげられ、その
うちとりわけ、カルボキシメチル化されたデキストラン
の平均分子量が60,000〜200,000であり、デ
キストランのカルボキシメチル化度が0.3以上0.8以
下である多糖誘導体又はその塩が好ましい。
【0032】また、他の好ましい有効成分としては、カ
ルボキシル基を有する多糖類がカルボキシ−C1-4アル
キルデキストランポリアルコールであり、抗腫瘍活性を
有する薬物が(1S,9S)−1−アミノ−9−エチル−
5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4
−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3',
4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−10,
13(9H,15H)−ジオンであり、ペプチドがグリシ
ル−グリシル−L−もしくはD−フェニルアラニル−グ
リシンである多糖誘導体又はその塩があげられ、そのう
ちとりわけ、カルボキシ−C1-4アルキルデキストラン
ポリアルコールの平均分子量が200,000〜400,
000であり、置換度が0.3以上0.5以下である多糖
誘導体又はその塩が好ましい。
【0033】本発明の有効成分である多糖誘導体又はそ
の塩は、WO94/19376、WO97/4626
0、WO97/38727、特開平10−72467号
及び特開平10−95802号に記載の方法に準じて製
造されうる。
【0034】本発明の組成物は、リンパ節や肝臓などの
癌転移部位へ高く集積し、適度な薬物遊離速度で活性型
化合物(薬物)を遊離し、しかもこれら薬物は正常組織に
は影響することがなく、しかも腫瘍細胞の増殖には抑制
的に作用するため、悪性腫瘍の転移抑制または再発予防
用組成物として有用である。特に、リンパ節転移抑制や
肝転移抑制に有用であり、とりわけ、リンパ節転移抑制
に有用である。また、リンパ節転移抑制のうち、腸(大
腸)からリンパ節への転移抑制又は肺からのリンパ節へ
の転移抑制に特に有用である。
【0035】加えて、本発明の組成物は、転移発症前の
みならず、転移発症後でも効果を奏する。このため、局
所療法(手術、放射線療法、温熱療法、凍結療法、レー
ザー灼熱療法)後の悪性腫瘍の転移抑制または再発予防
用組成物として有用である。さらに、長期反復投与にも
適しており、局所療法と併用することもできる。
【0036】本発明の組成物は、非経口的(例えば、静
脈注射)に投与するのが好ましく、通常、液剤(例えば、
溶液、懸濁液、エマルジョン)として用いられる。本発
明の組成物は、例えば、注射用蒸留水、生理的食塩水、
ブドウ糖水溶液を用いて注射剤や点滴注射剤とするのが
好ましい。
【0037】本発明の組成物は、投与方法、患者の年
齢、体重、状態等によっても異なるが、通常、1回当た
り、薬物に換算して、0.002〜50mg/kg、と
りわけ、0.01〜5mg/kgとなるような範囲で投
与するのが好ましい。
【0038】なお、本明細書において、低級アルキル基
及び低級アルキレン基としては、炭素数1〜6、より好
ましくは、炭素数1〜4のアルキル基及びアルキレン基
があげられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
【0039】
【実施例】以下に実験例、製造例を掲げて本発明をさら
に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するもの
ではない。
【0040】実験例 実験例1(M5076肝転移モデル) M5076細胞(マウス卵巣癌)100万個を、BDF1
雄性マウス(5週齢、1群8匹)に尾静脈より移植した。
検体(後記製造例1で得られた化合物(化合物A)及びイ
リノテカン(CPT−11))を生理食塩水に溶解し、下
記表1に示される各投与量を、4、8及び12日後に静
脈内投与し、腫瘍移植後120日間観察した。検体非投
与群(Control)には、生理食塩水を投与した。検体投与
群及び検体非投与群の生存日数を計測し、下式に従っ
て、生存延長率を算出した。結果は表1及び図1の通り
である。
【式2】
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかな通り、後記製造例1で得
られた化合物(化合物A)は、M5076肝転移モデルに
おいて優れた延命効果を示した。なお、イリノテカンは
悪性腫瘍の転移抑制又は再発予防薬としては知られてお
らず、単にカンプトテシン誘導体の一薬物として試験に
供した。
【0043】実験例2(HT−29転移モデル) HT−29細胞(ヒト大腸癌)の2mm2切片を、100
NCr nu/nu雌性マウス(5〜6週齢、1群10
匹)の盲腸に移植した。検体(後記製造例1で得られた化
合物(化合物A)、後記製造例4で得られた化合物(化合
物B)及びイリノテカン(CPT−11))を生理食塩水に
溶解し、下記表2に示される各投与量を、腫瘍移植後1
5、19、23及び25日後に静脈内投与した。一方、
検体非投与群(Control)には、生理食塩水を投与した。
腫瘍移植84日後に各臓器への転移の有無を確認した。
結果は下記表2の通りである。
【0044】
【表2】
【0045】実験例3(HT−29転移モデル) HT−29細胞(ヒト大腸癌)の2mm2切片を、100
NCr nu/nu雌性マウス(5〜6週齢、1群10
匹)の盲腸に移植した。腫瘍移植後49日後にリンパ節
への腫瘍転移が確認されたので、検体(後記製造例1で
得られた化合物(化合物A)及びイリノテカン(CPT−
11))を生理食塩水に溶解し、下記表3に示される各投
与量を、腫瘍移植後51、55、59及び63日後に静
脈内投与した。一方、検体非投与群(Control)には生理
食塩水を投与した。腫瘍移植84日後に各臓器への転移
の有無を確認した。結果は下記表3の通りである。
【0046】
【表3】
【0047】実験例4(H460転移モデル) 460細胞(ヒト非小細胞肺癌)の2mm2切片を、10
0NCr nu/nu雌性マウス(5〜6週齢、1群1
0匹)の左の肺に移植した。他の対照群における腫瘍移
植後14日目に転移が認められたので、検体(後記製造
例1で得られた化合物(化合物A)、後記製造例4で得ら
れた化合物(化合物B)及びイリノテカン(CPT−1
1))を生理食塩水に溶解し、下記表4に示される各投与
量を、腫瘍移植後14、18、22及び26日後に静脈
内投与した。一方、検体非投与群(Control)には、生理
食塩水を投与した。腫瘍移植36日後に各臓器への転移
の有無を確認した。結果は下記表4の通りである。
【0048】
【表4】
【0049】製造例 製造例1 CM−Dextran−7−エチル−10−[3'−(グ
リシル−グリシル−グリシルアミノ)プロピルオキシ]−
(20S)−カンプトテシンの製造:
【化5】 [CM−Dextranは、カルボキシメチルデキスト
ランを表す。以下、同様]
【0050】(1)10−(3'−アミノプロピルオキシ)
−7−エチル−(20S)−カンプトテシン塩酸塩500
mgをアセトニトリル25mlに溶解し、t−ブトキシ
カルボニル−グリシル−グリシル−グリシン345m
g、N−メチルモルホリン121mg、N−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール161mgおよび1−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
228mgを順次加え、一夜攪拌した。析出した生成物
を濾取した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
て精製して、淡黄色泡状粉末を得た。ノルマルプロパノ
ールから再結晶し、無色結晶の7−エチル−10−[3'
−(t−ブトキシカルボニル−グリシル−グリシル−グ
リシルアミノ)プロピルオキシ]−(20S)−カンプトテ
シンを663mg得た。融点:157−159℃
【0051】(2)7−エチル−10−[3'−(t−ブト
キシカルボニル−グリシル−グリシル−グリシルアミ
ノ)プロピルオキシ]−(20S)−カンプトテシン3.8
6gを精製水64mlに乳濁させ、6N塩酸水溶液32
mlを加え、室温にて攪拌しながら2時間反応後、溶媒
を濃縮し、ノルマルプロパノールを加え、粉末を析出さ
せる。粉末を濾取したのち、ノルマルプロパノール水よ
り再結晶すると、黄色結晶の7−エチル−10−[3'−
(グリシル−グリシル−グリシルアミノ)プロピルオキ
シ]−(20S)−カンプトテシン塩酸塩を2.56g得
た。
【0052】(3)CM−デキストラン・ナトリウム塩
(CM化度=0.44)50gを水2.5リットルに溶解
し、15℃にて攪拌しながら、0.2N塩酸水を用い
て、pH5.0とした後、7−エチル−10−[3'−(グ
リシル−グリシル−グリシルアミノ)プロピルオキシ]−
(20S)−カンプトテシン塩酸塩4.01gを加える。
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボ
ジイミド塩酸塩50gを加え、その間反応液のpHを
5.0−5.5に保つ(0.2N塩酸を使用)。15℃にて
攪拌しながら1時間反応後、精製水で全量10リットル
まで希釈し、pH4.0以上を維持しながら限外濾過モ
ジュール(旭化成、ACP−1010)を用いて低分子分
画を除去した後、pHを8に調整し(0.1N水酸化ナト
リウム水溶液を使用)、イオン交換樹脂MSC−1(Na t
ype, Dowex社製)に附す。目的物を含むフラクションを
濃縮後、フィルター濾過(0.45μm)し、攪拌しなが
らエタノール10リットルと混合し、40mlの3M食
塩水を攪拌下滴下して沈殿を生成した。沈殿を濾取して
集め、精製水2lリットルに溶解して、0.2N塩酸水
にてpH4.0とした後、pH4.0を保ちながら再度限
外濾過に附す。全量1.5リットルまで溶媒を濃縮後、
フィルター濾過(0.45μm)し、攪拌しながらエタノ
ール9リットルと混合し、35mlの3M食塩水を攪拌
下滴下して沈殿を生成した。沈殿を濾取して集め、エタ
ノール、アセトンの順に溶媒洗浄し、減圧乾燥して淡黄
色粉末状の目的物54.9gを得る。367.5nmにお
ける吸収により10−(3'−アミノプロピルオキシ)−
7−エチル−(20S)−カンプトテシン塩酸塩として求
めた含量は4.2%である。GPC(ゲル浸透カラムクロ
マトグラフィー)分析による分析の結果、求められる平
均分子量は121kDa、多分散度Mw/Mnは1.4
7である。
【0053】製造例2 CM−Dextran−13−[(2'R,3'S)−3'−
N−tert−ブトキシカルボニル−3'−フェニル−
2'−O−L−フェニルアラニル−グリシル−イソセリ
ニル]−10−デアシル バッカチン IIIの製造:
【化6】 [Bzは、ベンゾイル基を表す。以下、同様]
【0054】2008mgのCM−デキストラン(CM
化度0.47、平均分子量170kDa)を純水90ml
に攪拌溶解後、119mgの13−[(2'R,3'S)−
3'−N−tert−ブトキシカルボニル−3'−フェニ
ル−2'−O−L−フェニルアラニル−グリシル−イソ
セリニル]−10−デアシル バッカチン III メシレ
ートとジメチルホルムアミド90mlを加えさらに攪拌
溶解した。4.0gの2−エトキシ−1(2H)−キノリ
ンカルボン酸を攪拌しながら加え、一夜室温にて攪拌反
応した。反応液をエタノール720mlに攪拌しながら
加え、1.8mlの3M食塩水を攪拌下滴下して沈殿を
生成した。遠心分離後、沈殿物を水200mlに溶解
し、0.2規定水酸化ナトリウム溶液でpH7に調整
後、エタノール800mlに攪拌しながら加え、4ml
の3M食塩水を攪拌下滴下して沈殿を生成した。沈殿物
を遠心分離、沈殿を製造例1(3)と同様の方法で精製
し、600mg白色粉末状目的物を得た。 薬物含量:2.4%(UV法(λ=276nm))。
【0055】製造例3 CM−Dextran−2'−O−フェニルアラニル−
グリシル−タキソールの製造:
【化7】 1.294gのCM−デキストラン(CM化度0.47、
平均分子量170kDa)を純水70mlに攪拌溶解
後、77mgの2'−O−フェニルアラニル−グリシル
−タキソール メシレートとジメチルホルムアミド70
mlを加えさらに攪拌溶解した。2.59gの2−エト
キシ−1(2H)−キノリンカルボン酸を攪拌しながら加
え、一夜室温にて攪拌反応した。反応液をエタノール7
00mlに攪拌しながら加え、1.4mlの3M食塩水
を攪拌下滴下して沈殿を生成した。遠心分離後、沈殿物
を水240mlに溶解し、エタノール1200mlと攪
拌しながら混合し、4.8mlの3M食塩水を攪拌下滴
下して沈殿を生成した。同様の方法でさらに3回沈殿精
製を繰り返し、746mg白色粉末状目的物を得た。薬
物含量:4.8%(UV法(λ=273nm))。
【0056】製造例4 カルボキシメチルデキストランポリアルコール−(1S,
9S)−1−(グリシル−グリシル−L−フェニルアラニ
ル−グリシルアミノ)−9−エチル−5−フルオロ−2,
3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,1
2H−ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インドリジ
ノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15H)−ジ
オンの製造: (1)(1S,9S)−1−(t−ブトキシカルボニル−グリ
シル−グリシル−L−フェニルアラニル−グリシルアミ
ノ)−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9
−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[d
e]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]
キノリン−10,13(9H,15H)−ジオンの製造
【化8】 (1S,9S)−1−アミノ−9−エチル−5−フルオ
ロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−
1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]イ
ンドリジノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15
H)−ジオン塩酸塩(167mg;0.354mmol)、
t−ブトキシカルボニル−グリシル−グリシル−L−フ
ェニルアラニル−グリシン(463mg;1.06mmo
l)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・一水和物
(HOBT)(143mg;1.06mmol)のジメチル
ホルムアミド(DMF)溶液(10ml)に1−(3−ジメ
チルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(ED
C)塩酸塩(270mg;1.42mmol)、トリエチ
ルアミン(148μl;1.06mmol)及び4−ジメ
チルアミノピリジン(DMAP)(5mg;0.04mmo
l)を加えた。反応混合物を室温で15時間攪拌し、溶
媒を減圧留去した。残査をクロロホルムに溶解し、該溶
液を洗浄、乾燥後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;クロロホルム:
メタノール=50:1〜10:1)で精製して、標記化
合物(228mg、Y=75%)を淡黄色固体として得
た。 IR(Nujol);3290,1710,1655cm-1 ESI−MS;854(M+H)
【0057】(2)(1S,9S)−1−(グリシル−グリシ
ル−L−フェニルアラニル−グリシルアミノ)−9−エ
チル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキ
シ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ
[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−
10,13(9H,15H)−ジオンの製造:
【化9】 (1S,9S)−1−(t−ブトキシカルボニル−グリシル
−グリシル−L−フェニルアラニル−グリシルアミノ)
−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−
ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]
ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノ
リン−10,13(9H,15H)−ジオン(220mg;
0.258mmol)のジオキサン溶液(4ml)に氷浴中
攪拌下に4N塩化水素―ジオキサン溶液(6ml)を加え
た。混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物にジ
エチルエーテル(30ml)を加え、室温で1時間攪拌し
た。析出物を濾取し、乾燥して、標記化合物(176m
g,Y=86%)を黄色粉末として得た。 IR(Nujol); 3250, 1745, 1660, 1605, 1535 cm-1 ESI−MS;754(M+H)
【0058】(3)デキストランポリアルコール(PA-Dext
ran)の製造:3リットル三頚丸底フラスコに酢酸緩衝液
(0.1M,pH5.5)(1000ml)を加えた。デキス
トラン T−500TM(10.0g,Amersham Pharmacia
Biotech AB)を室温で少量づつ30分間かけて緩衝液に
加えた。攪拌を透明な液が得られるまで(約30分)行
い、その後水浴中で5℃(内温)まで冷却した。1リット
ルフラスコに、過ヨウ素酸ナトリウム(33.0g)及び
水(1000ml)を加え、室温で攪拌し、その後5℃に
冷却した。上記デキストラン溶液に5℃にて上記過ヨウ
素酸ナトリウム溶液を攪拌しながら加え、反応温度を5
日間5℃に保つと共に暗所に保存した。過剰の過ヨウ素
酸ナトリウムを除去するため、エチレングリコール(1
0ml)を加え、さらに5℃で2時間攪拌した。反応混
合物を3℃に冷却し、8M水酸化ナトリウム水溶液を6
℃以下となるように調節しながら滴下した(反応混合物
のpHが9以上)。反応混合物に水素化ホウ素ナトリウ
ム(14g)を攪拌しながら少量づつ加え、5℃で終夜攪
拌した。過剰の水素化ホウ素ナトリウムを除去するため
3〜6℃で酢酸を加えて反応混合物のpHを5.5以下
に調節し、さらに2時間攪拌した。反応混合物を8M水
酸化ナトリウム水溶液でpH7.8前後に調節した。反
応混合物を水に対して透析(SpectoraTM/Por 3 membran
e,Molecule weight cutoff <3500)した後、凍結
乾燥して、デキストランポリアルコール(8.34g)を
無定形粉末として得た。 (4)カルボキシメチルデキストランポリアルコール(C
M−PA−Dextran)の製造:500ml三頚丸
底フラスコに水(155ml)を加え、さらにデキストラ
ンポリアルコール(5.18g)を室温で攪拌しながら1
0分間かけて加えた。透明溶液が得られるまで攪拌(1
0〜30分間)した。水酸化ナトリウム(ペレット状、
97.0%、21.8g)を少量づつデキストランポリア
ルコール溶液に攪拌しながら加えた。その際、内温は、
氷浴を用いて30〜40℃に保った。反応フラスコを水
浴に浸して30℃で攪拌した。クロロ酢酸(31.1g)
を少量づつ反応混合物に攪拌しながら30〜40℃で加
えた。添加完了後、水浴中で30℃で攪拌を20時間続
けた。反応混合物を氷浴中に冷却し、攪拌しながら酢酸
を加えて中性とした(pHを9以下とする)。水(160
ml)を加え、溶液を水に対して透析(SpectoraTM/Por3
membrane, Molecule weight cutoff<3500)し、凍
結乾燥してカルボキシメチルデキストランポリアルコー
ル(6.53g)を無定形粉末として得た。 (5)カルボキシメチルデキストランポリアルコール−
(1S,9S)−1−(グリシル−グリシル−L−フェニル
アラニル−グリシルアミノ)−9−エチル−5−フルオ
ロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−
1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]イ
ンドリジノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15
H)−ジオンの製造:100ml丸底フラスコに水(40
ml)を加え、さらにカルボキシメチルデキストランポ
リアルコール(1.0g)を室温で攪拌しながら5分間か
けて加えた。攪拌を透明な溶液が得られるまで(30分
間)続けた。さらに、(1S,9S)−1−(グリシル−グ
リシル−L−フェニルアラニル−グリシルアミノ)−9
−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒド
ロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラ
ノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン
−10,13(9H,15H)−ジオンのジメチルホルムア
ミド溶液(100mg/10ml)を攪拌しながら加え、
ついでジメチルホルムアミド15mlを加え、さらに1
0分間攪拌した。2−エトキシ−1−エトキシカルボニ
ル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)のジメチルホ
ルムアミド溶液(1.0g/10ml)を室温で攪拌しな
がら滴下し、さらに18時間攪拌した。反応混合物を水
に対して透析(SpectoraTM/Por 3 membrane, Molecule w
eight cutoff <3500)し、さらに陽イオン交換カラム(Bi
oRad AGTM MP-50 カラム、Na type, 30 ml)を通して精
製した。主要な画分を水に対して透析(SpectoraTM/Por
3 membrane, Molecule weightcutoff <3500)し、凍結乾
燥して粗生成物を得た。粗生成物をアセトンで粉末化
後、濾取、乾燥して目的物(904mg)を淡黄色粉末と
して得た。
【0059】
【発明の効果】本発明の組成物は、リンパ節や肝臓など
の癌転移部位へ高く集積し、正常組織へ影響することな
く、腫瘍細胞の増殖を抑制する作用を有するため、悪性
腫瘍の転移抑制(特にリンパ節転移抑制または肝転移抑
制)または再発予防用組成物として有用である。さらに
本発明の組成物は、転移発症前のみならず、転移発症後
のいずれも効果を示し、従って、局所療法(手術、放射
線療法、温熱療法、凍結療法、レーザー灼熱療法)後の
悪性腫瘍の転移抑制または再発予防にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 M5076肝転移モデルにおける腫瘍移植後
の日数と生存匹数を示したものである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する多糖類と抗腫瘍
    活性を有する薬物とが、アミノ酸もしくは2〜8個の同
    一または異なるアミノ酸を含んでなるペプチドを介して
    結合している多糖誘導体またはその塩を有効成分として
    なる悪性腫瘍の転移抑制または再発予防用組成物。
  2. 【請求項2】 抗腫瘍活性を有する薬物が、一般式[I] 【化1】 [式中、R1は置換または非置換低級アルキル基、X1
    式:−NHR2(R2は水素原子または低級アルキル基を
    表す)で示される基、Alkは酸素原子が介在している
    こともある炭素数1〜6個の直鎖または分枝鎖アルキレ
    ン基を表す]又は、一般式[II] 【化2】 [式中、R2〜R6は、隣接する2つが互いに結合して低
    級アルキレン基を形成し、その低級アルキレン基のいず
    れかの炭素原子にアミノ基が置換しており、残りの3つ
    が水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子である
    ことを表す]で示されるカンプトテシン誘導体である請
    求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基を有する多糖類が、カル
    ボキシ−C1-4アルキルデキストランまたはカルボキシ
    −C1-4アルキルデキストランポリアルコールである請
    求項1または2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 カルボキシル基を有する多糖類が、カル
    ボキシ−C1-4アルキルデキストランである請求項1ま
    たは2記載の組成物。
  5. 【請求項5】 ペプチドが、グリシル−グリシル−L−
    もしくはD−フェニルアラニル−グリシン、グリシル−
    グリシン、グリシル−グリシル−グリシン、グリシル−
    グリシル−グリシル−グリシン、グリシル−グリシル−
    グリシル−グリシル−グリシン、L−もしくはD−フェ
    ニルアラニル−グリシン、L−もしくはD−チロシル−
    グリシン、L−もしくはD−ロイシル−グリシン、L−
    もしくはD−フェニルアラニル−シトルリンまたはL−
    もしくはD−バリル−シトルリンである請求項1、2、
    3または4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基を有する多糖類がカルボ
    キシメチル化されたデキストランであり、抗腫瘍活性を
    有する薬物が、10−(3'−アミノプロピルオキシ)−
    7−エチル−(20S)−カンプトテシンであり、ペプチ
    ドがグリシル−グリシル−グリシンである請求項1記載
    の組成物。
  7. 【請求項7】 カルボキシル基を有する多糖類がカルボ
    キシ−C1-4アルキルデキストランポリアルコールであ
    り、抗腫瘍活性を有する薬物が、(1S,9S)−1−ア
    ミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−
    9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[d
    e]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キ
    ノリン−10,13(9H,15H)−ジオンであり、ペプ
    チドがグリシル−グリシル−L−もしくはD−フェニル
    アラニル−グリシンである請求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】 悪性腫瘍の転移抑制用組成物である請求
    項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
  9. 【請求項9】 悪性腫瘍の再発予防用組成物である請求
    項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
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