JP2007529554A - 多価リガンド結合糖質ポリマーを用いた組成物、および該組成物による転移腫瘍の標的療法 - Google Patents

多価リガンド結合糖質ポリマーを用いた組成物、および該組成物による転移腫瘍の標的療法 Download PDF

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Abstract

【課題】多価リガンド・ポリサッカライドに結合した薬剤を含む組成物、および、ガンの予防および治療におけるその組成物の用法に関する。
【解決手段】一つの局面では、ポリサッカライドは、天然のポリマー、または半合成ポリマーであって、1種以上の抗ガン化学療法剤によって特異的に架橋結合されるポリマーの物理的および化学的処理によって獲得される。もう一つの局面は、ガン組織を含む病的組織に向けて、ポリサッカライドを化学療法剤と共に運ぶ効果的な搬送法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガンの予防および治療に向けられる。特に、本発明は、多価リガンド・ポリサッカライドに結合した薬剤を含む組成物に関する。
各種ガンにおいて、その発生頻度が、集団の加齢と共に増大することはよく認められている。例えば、前立腺ガンは、米国人男性においてもっとも高い頻度で診断されるガンであると同時に、男性のガン死亡の、第2の主要原因でもある。前立腺ガンと診断された患者の内ほぼ50%が、前立腺から転移した、あるいは将来転移すると予想される病態を抱える。前立腺ガンは骨格系に転移し、患者は、通常、骨に広範な転移性疾患を抱えて死亡する。それにも拘わらず、転移疾患を患う患者には、効果的な治癒性治療法は限られ、寛解的治療法にしても利用可能なものはほとんど無い。
腫瘍細胞転移の過程は、細胞が一次腫瘍を脱け出し、基底膜に侵入し、腫瘍細胞塞栓から血流を通じて移動し、標的器官の血管内皮と相互作用を持ち、血管外に逸出し、増殖して二次腫瘍コロニーを形成することが必要であることが知られている。
転移カスケード(連続的相互作用)の多くの段階が、細胞表面成分、例えば、ガラクトシド結合レクチン(ガレクチン)を含む糖質結合タンパクによって仲介される細胞相互作用を含むことが一般に認められている。例えば、B16メラノーマおよびuv-2237線維肉腫細胞を、同系マウスの尾静脈(i.v.)に注入する前に、インビトロで抗ガレクチンモノクロナール抗体によって処置すると、肺における腫瘍コロニーの発生は著明に抑制された。転移度が低く、ガレクチン-3の発現度の低いuv-2237-c115線維肉腫細胞にガレクチン-3 cDNAをトランスフェクトすると、そのトランスフェクト細胞では転移性表現型の増加が得られた。さらに、従来から、ヒト甲状腺乳頭状ガンにおけるガレクチン-3発現レベルと、ヒト結腸・直腸ガンおよび胃ガンの腫瘍段階の間には相関のあることが認められている。
単純な糖、例えば、メチル-α-D-ラクトシドおよびラクト-N-テトロースは、B16メラノーマ細胞の転移を抑制することが従来から明らかにされているが、一方、D-ガラクトースおよびアラビノガラクトースは、L-1肉腫細胞の肝臓転移を抑制した。
一般的な抗ガン剤の多くは、腫瘍部位に非特異的に搬送されるために細胞傷害性である。当然のことながら、毒性の低い抗ガン剤が求められている。本発明は、標的指向性搬送を促進する、望ましい治療薬を開示する。この標的指向性搬送は、上記抗ガン剤の治療効能を改善し、また一方で、有害な毒性を実質的に緩和する。
本発明は、ガンの予防および治療に向けられる。特に、本発明は、多価リガンド・ポリサッカライドに結合した薬剤を含む組成物、および、ガンの予防および治療におけるその組成物の用法に関する。
本発明の一つの実施態様は、天然ポリマーまたは半合成ポリマーであって、1種以上の抗ガン性化学療法剤によって特異的に架橋結合されたポリマーの物理的・化学的処理によって得られるポリサッカライドに関する。本発明の一つの局面は、ポリサッカライド化学療法組成物の、腫瘍を含む病的組織に向けた効果的搬送に向けられる。
本発明のもう一つの実施態様は、前述のポリサッカライドであって、そのバックボーンがさらにガラクツロン酸を含み、このポリサッカライドの反復単位に対してラムノースが接続されることを特徴とするポリサッカライドを含む。一つの局面では、このポリサッカライドはさらに1種以上の中性モノサッカライドを含む。
もう一つの実施態様は、負に荷電したポリサッカライドであって、少なくとも1本のリガンド側鎖が、バックボーンに対して、バックボーンのラムノース単位を介して接続する1種以上の中性サッカライドを含む、ポリサッカライドを提供する。
本発明のもう一つの実施態様は、前述のポリサッカライドであって、そのバックボーンはさらにマンノース単位およびカルボン酸モノサッカライドを含むことを特徴とするポリサッカライドを含む。
別の実施態様は、負に荷電したポリサッカライドであって、少なくとも1本のリガンド側鎖が、バックボーンに対して、バックボーンのマンノース単位を介して接続する1種以上の中性サッカライドを含み、かつ、抗ガン剤がカルボン酸単位に架橋結合されることを特徴とするポリサッカライドを提供する。
本発明のもう一つの実施態様は、前述のポリサッカライドであって、そのバックボーンがさらに、グルクロン酸とグルコサミンのコポリマー、すなわち、分子サイズが約2Kから約200K範囲の、部分的に脱アセチル化されたヒアルロン酸誘導体を含むことを特徴とするポリサッカライドを含む。
もう一つの実施態様は、ガラクトシル末端オリゴマーを有する少なくとも一つのリガンドであって、該オリゴマーは、バックボーンに対し、バックボーン中の1個以上のグルコサミン単位のアミノ基を介して接続される1種以上の中性サッカライドを含み、抗ガン剤が、カルボン酸単位に架橋結合されることを特徴とするリガンドを提供する。
本発明のもう一つの実施態様は、前述のポリサッカライドであって、そのバックボーンがさらに、グルコサミンとN-アセチルグルコサミンのポリマーを含み、リガンド単位は、アミノ基によって末端結合されたガラクトースまたはラムノースを有することを特徴とするポリサッカライドを含む。
別の実施態様は、正に荷電したポリサッカライドであって、少なくとも1本のリガンド側鎖が、バックボーンに対し、バックボーン中のアミノ基を介して接続される中性サッカライドを含むことを特徴とするポリサッカライドを提供する。
本発明はまた、ガンと診断された対象者を治療する方法であって、ポリサッカライドに結合した化学的架橋結合抗ガン剤の治療的有効量を、治療を必要とする対象者に投与する方法にも向けられる。この化学的架橋結合組成物は、受容可能な任意のルートを通じて投与することが可能である。
本発明のもう一つの実施態様は、外科手術後、放射線治療後、または、ガンに対して高い危険度を持つと診断された対象者に対するガン予防法であって、化学的架橋結合抗ガン剤と結合したポリサッカライドの治療的有効量を、予防を必要とする対象者に投与する方法である。
本発明のさらに別の実施態様は、対象者に対し転移を抑制する方法であって、結合ポリサッカライドに化学的に架橋結合された抗ガン剤の治療的有効量を、治療を必要とする対象者に投与する方法に向けられる。
本発明の他の実施態様は、ガン治療用製薬処方であって、結合ポリサッカライドに化学的に架橋結合された抗ガン剤の有効量を含み、ポリサッカライドは、複数のウロン酸サッカライドから形成されるバックボーンを持ち、ガラクトース末端を持つ約1から10個のモノサッカライドがバックボーンに接続され、合計平均分子量は、約2kDから約200kDの範囲にあることを特徴とする製薬処方を含む。
本発明について、他の目的や、新たな目的についてさらに理解を深めるために、付属の図面と詳細な説明に対する参照が求められる、また、発明の範囲は、付属の特許請求の範囲に指摘される。
本発明は、ガンの予防法および治療法に向けられる。特に、本発明は、多価リガンド・ポリサッカライドに結合した薬剤を含む組成物に関し、ガンの予防および治療におけるその組成物の用法に関する。一つの局面では、本発明は、1種以上の抗ガン剤によって特異的に架橋結合された天然のポリマーまたは半合成ポリマーを物理的・化学的に処理することによって得られるポリサッカライドに関する。本発明の一つの局面は、このポリサッカライドをこの化学療法剤と共に、ガン組織を含む疾病組織に向けて輸送する効果的搬送に向けられる。
本明細書で用いられる略語は下記の通りである。PS、ポリサッカライド。OS、オリゴサッカライド。EHS、Eaglebreth-Holm Swarm。DMEM、ダルベッコ改変イーグル最小必須培地。CMF-PBS、Ca2+-およびMg2+-無添加リン酸バッファー生食液、pH7.2。BSA、ウシ血清アルブミン。galUA、ガラクトピラノシルウロン酸、またガラクツロン酸とも呼ばれる。gal、ガラクトース。man、マンノース。glc、グルコース。all、アロース。alt、アルトロース。ido、イドース。tal、タロース。gulose、グロース。ara、アラビノース。rib、リボース。lyx、リキソース。xyl、キシロース。fru、フルクトース。psi、プシコース。sor、ソルボース。tag、タガトース。rha、ラムノース。fuc、フコース。quin、キノボース。および、2-d-rib、2-デオキシ-リボース。
本明細書で用いられる下記の用語は、文脈から別様に要求されない限り、下記に表示の意味を持つものとしなければならない。
「投与」とは、非経口的投与、例えば、静脈内、皮下、経皮、経粘膜、腹腔内、および筋肉内を含む非経口投与、または経口および局所投与を指す。
「対象者」とは、動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトのような動物を指す。
「ガンの治療」とは、ガンを発症させる危険度の高い対象者の予測的治療を始め、ガンを既に発症した対象者の治療も指す。「治療」という用語は、異常な細胞増殖、細胞集合、および、二次部位に対する細胞の分散(転移)の緩和または抑止に対して適用されてもよい。
「ガン」とは、任意の新生物障害、例えば、腎臓細胞ガン、カポージ肉腫、慢性白血病、乳ガン、肉腫、卵巣ガン、直腸ガン、咽喉ガン、メラノーマ、結腸ガン、膀胱ガン、肥満細胞腫、肺ガン、乳房腺ガン、咽頭扁平上皮ガン、および消化器または胃ガンを含む細胞障害を含む障害であるが、ただし上記に限定されない。
「抗ガン剤」とは、増殖する細胞の成長を効果的に妨げる薬品であって、例えば、細胞傷害性、抗代謝性、抗増殖性、抗血管形成性と表示される分子、抗腫瘍抗生物質、アルキル化剤、細胞分裂阻害剤、内分泌抗ホルモン剤、生物反応修飾剤、腫瘍特異的モノクロナール抗体、アポトーシス誘発剤、および、細胞生存率に作用するその他の分子を含む薬品を指す。
「脱重合」とは、ポリサッカライド・バックボーンの部分的なまたは完全な、加水分解性分解であって、例えば、ポリサッカライドを化学的または酵素的に処理して、元のポリサッカライドに比べてサイズが小さくなった断片とした場合に見られる分解を指す。
「有効用量(または量)」とは、対象者の症状を改善する(および/または、そのような症状の原因を抑制/除去する)、あるいは、ガンに罹っている対象者、またはガンに罹る危険度の高い対象者の寿命を改善する、薬剤の用量を指す。
「サッカライド」とは、任意の単純な糖質であって、例えば、オリゴサッカライドまたはポリサッカライドにおいて個別単位を形成するものを含む、モノサッカライド、モノサッカライド誘導体、モノサッカライド類縁体、糖類を含む糖質を指す。
「モノサッカライド」とは、ポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)またはポリヒドロキシ-ケトン(ケトース)、およびそれらの誘導体および類縁体を指す。
「オリゴサッカライド」とは、グリコシド結合によって結合された、最大約10から20のサッカライド単位を含む、モノサッカライドから成る直鎖または分枝鎖を指す。
「ポリサッカライド」とは、ヘミアセタール結合またはグリコシド結合によって互いに結合された、約10から約10,000以上のサッカライド単位から形成されるポリマーを指す。ポリサッカライドは、直鎖であってもよく、単一分枝鎖または複数分枝鎖であってもよく、各分枝はさらに二次分枝を持ってもよく、かつ、モノサッカライドは、ピラノース形(6-員環)またはフラノース形(5-員環)を持つ標準的D-またはL-環状糖、例えば、それぞれ、D-フルクトースおよびD-ガラクトースであってもよく、あるいは、モノサッカライドは、環状糖の誘導体、例えば、D-グルコサミンのようなアミノ糖、D-フコースまたはL-ラムノースのようなデオキシ糖、D-リボース-5-リン酸のような糖リン酸塩、D-ガラクツロン酸のような糖酸、または、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチルニューラミン酸(シアル酸)、またはN-スルファト-D-グルコサミンのような複数母体から誘導体形成された糖であってもよい。
「バックボーン」とは、ポリサッカライドの幹鎖、または、開始ポリサッカライドの幹鎖から派生した鎖であって、αまたはβグリコシド結合によって次々に連結されたサッカライド基を有する鎖を意味する。
「エステル化」とは、サッカライドのウロン酸基のカルボン酸位置においてメチルエステル、またはその他のエステル基が存在することを指す。
「実質的に脱エステル化された」とは、本出願の目的に合わせて、ポリサッカライドのバックボーンにおけるエステル化の程度が5%未満であることを意味する。
「サッカライドの二次鎖を実質的に欠く」とは、ポリサッカライド・バックボーンが、反復単位1個当たり約1-2個未満の二次鎖を有するが、三次鎖は持たないことを意味する。
「リガンド」とは、別の分子に結合する分子、特に、より大きな分子に特異的に結合する小型の分子、例えば、抗体に結合する抗原、受容体に結合するホルモンまたは神経伝達物質、酵素または受容体に結合する基質またはアロステリックエフェクターを指す。本出願の目的に合わせて、腫瘍細胞上の糖質受容体に特異的に結合する糖質が「リガンド」と定義される。
「多価リガンド結合性ポリサッカライド」とは、1個のポリマー当たり複数の結合部位を持つことを支持する、2個以上のリガンド構造を持つポリサッカライドである。腫瘍細胞には多価受容体部位があるために、この多価リガンド結合により、ポリサッカライドと腫瘍の間では、より強く、より特異的な相互作用が可能となる。
「架橋」とは、ある特異的介在因子(例えば、薬剤)を、搬送単位、例えば、ポリサッカライドポリマーに化学的に接続する2種以上の分子を組織構成する化学的構造である。架橋は、2から6個のアミノ酸から構成されるペプチド構造、例えば、グリシルペプチド、2-6個の糖質、例えば、オリゴ(α1-4)グリコシル単位を有するオリゴサッカライド、または、腫瘍細胞中で分解されるエステル結合またはその他の結合を有する任意の化学薬品を持っていてもよい。
「糖質受容体」とは、細胞外環境に暴露される細胞上の膜連結構造であって、糖質分子に対して特異的に結合する構造を指す。糖質受容体は、主に、腫瘍細胞と関連し、文献において糖質成分に対して高い親和度を有すると記載されているタンパク質(糖タンパクを含む)、特に、ガラクトースに対して高い特異的結合度を持つとされる「ガレクチン」を指す。
本発明によれば、本明細書に記述される組成物のポリサッカライド成分は、反復単位を含むサッカライドポリマー・バックボーンであって、各反復単位は、遊離酸であっても、アルキル化されてもよい、複数のカルボン酸を持つことが可能であり、各反復連結単位は、モノまたはオリゴサッカライド残基に付着させた少なくとも1個のリガンド、バックボーンに対しグリコシド結合を通じて付着される、リガンドオリゴサッカライドから成る、少なくとも1本の側鎖を含み、さらに、例えば、ガラクトース単位で終止する多数のリガンドを持つ複数のポリサッカライド誘導体を含むことを特徴とするサッカライドポリマー・バックボーンである。このポリサッカライドは、各反復単位が化学的に架橋された薬剤を持つ、そのような複数の反復単位を含むサッカライドポリマー・バックボーンを含む。
一つの局面では、ポリサッカライドの三次元構造は、各単位が少なくとも1個の糖質リガンドと1個の化学的に架橋された薬剤(または製剤)を含む単位構造を有する。ポリサッカライド組成物は、複数の上記単位を有し、合計分子量が、単一単位では約2kDから、1000単位では約200kDまでの範囲で、それぞれ抗ガン剤を結合させた複数単位を持つことが可能である。この組成物は水溶性であり、ガレクチン(糖質受容体)との相互作用を通じて転移ガンを標的とする。従って、抗ガン剤は、ガン細胞に向けて効果的に標的発射されるから、正常細胞に対する毒性作用はより少ない。
本発明の一つの実施態様では、多価リガンド・ポリサッカライドは、同じ製剤から成る複数単位を搬送する能力を有する。ある特定のポリサッカライドは、約1から約100個の化学的に架橋された薬剤を持つことができ、かつ、最大100個以上のリガンドを、ポリサッカライド・バックボーンに結合させることが可能であり、その際、各ポリサッカライドは、例えば、ガラクトース、ラムノース、マンノース、またはそれらの誘導体を含む末端サッカライドを有することを特徴とする。別のポリサッカライドは、フェルロイル基によって修飾されたサッカライドで終止する、少なくとも1本のサッカライド・リガンドの側鎖を持ってもよい。
本発明の別の実施態様では、多価リガンド・ポリサッカライドは、多様な作用方式を持つ複数の抗ガン剤を搬送する能力を有する。あるポリサッカライドは、最大100種以上の化学的に結合された薬剤を持つことが可能で、かつ、最大100個以上のリガンドを、ポリサッカライド・バックボーンに結合させることが可能であり、その際、各リガンドは、例えば、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、またはそれらの誘導体を含む末端サッカライドを有することを特徴とする。別のポリサッカライドは、フェルロイル基によって修飾されたサッカライドで終止する、少なくとも1本のサッカライド・リガンドの側鎖を持ってもよい。
本発明においては、ポリサッカライドの多数変種の使用が可能である。一つの局面では、本発明のポリサッカライドは、さらに複数のガラクツロン酸(要すれば随意に、中性モノサッカライドを含んでもよい)を含む。一つの局面では、ガラクツロン酸系ポリサッカライドの反復単位にラムノースが接続される。別の局面では、負に荷電したポリサッカライドが用いられるが、その際、少なくとも1本の側鎖は、バックボーンに対し、バックボーン中のラムノース単位を介して接続される1個以上の中性サッカライドを含む。ある特定の局面では、本発明のポリサッカライドは、マンノース単位および、1個以上のカルボン酸モノサッカライドを含む。別の局面では、負に荷電したポリサッカライドであって、薬剤がカルボン酸単位に結合されるバックボーンに対し、バックボーン中のマンノース単位を介して接続される1個以上の中性サッカライドを含む、少なくとも1本の側鎖を有するポリサッカライドに向けられる。
本発明のポリサッカライドは、グルクロン酸とグルコサミンのコポリマー、すなわち、分子サイズが約2Kから約200Kの範囲の、部分的に脱アセチル化されたヒアルロン酸誘導体を含んでもよい。
別の実施態様は、ガラクトシル末端オリゴマーを有する少なくとも1個のリガンドであって、前記オリゴマーは、バックボーンに対し、バックボーン中の1個以上のグルコサミン単位のアミノ基を介して接続され、かつ、薬剤がカルボン酸単位に架橋されることを特徴とするリガンドを提供する。
本発明の別の実施態様は、前述のポリサッカライドであって、ポリサッカライド・バックボーンがさらにグルコサミンとN-アセチルグルコサミンとのポリマーであって、リガンド単位が、アミノ基を介して末端結合されるガラクトースまたはラムノースを有することを特徴とするポリサッカライドを含む。
別の実施態様は、正に荷電したポリサッカライドであって、少なくとも1本のリガンド側鎖が、バックボーンに対し、バックボーン中のアミノ基を介して接続される中性サッカライドを含むことを特徴とする、ポリサッカライドを提供する。
本発明による別の実施態様は、ガンと診断された対象者を治療する過程であって、ポリサッカライドに結合された、化学的架橋結合薬剤の治療的有効量を、その治療を必要とする対象者に投与する過程を含む。
本発明の別の実施態様は、外科手術後、放射線治療後、または、ガンに対して高い危険度を持つと診断された対象者に対するガン予防法であって、化学的架橋結合薬剤と結合したポリサッカライドの治療的有効量を、予防を必要とする対象者に投与する方法である。
本発明のさらに別の実施態様は、対象者に対し転移を抑制する方法であって、結合ポリサッカライドに化学的に架橋結合された薬剤の治療的有効量を、治療を必要とする対象者に投与する方法である。
本発明の他の実施態様は、ガン治療用製薬処方であって、ポリサッカライドに化学的に架橋結合された薬剤の有効量を含み、ポリサッカライドは、複数のウロン酸サッカライドから形成されるバックボーンを持ち、ガラクトース末端を持つ約1から10個のモノサッカライドがバックボーンに接続され、合計平均分子量は、約2kDから約200kDの範囲にあることを特徴とする製薬処方を含む。
本発明の、薬剤に接合されたポリサッカライドを含む組成物は、いくつかの既知のルート、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、経口および局所ルートを含む既知のルートの中から任意に選ばれるルートを通じて等間隔で投与することが可能である、すなわち、約10から約2000mg/kgを2から24時間に渡って輸液する、および/または、約2.5から1000mg/kgを10から30分で注入することが可能である。
本発明の薬剤または製剤は、抗ガン剤を含むが、ただしそれに限定されない。そのような抗ガン剤としては、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、BCG、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロフォスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドクソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチン、フルダラビン、フルドロコーチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、レトロゾール、レウコボリン、レウプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、TNF-α、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
本発明の組成物は、単独で、または他の賦形剤と共に、経口または皮膚投与用に処方することが可能である。他の投与ルートとしては、腹腔内、頭蓋内、脳室内、脳内、膣内、子宮内、直腸内、または非経口(例えば、静脈内、脊髄内、皮下、または筋肉内)ルートが挙げられるが、ただしそれらに限定されない。さらに、本発明の組成物は、該組成物の持続的放出を可能とする生分解性ポリマーの中に組み込むことが可能であり、その場合、該ポリマーは、薬剤搬送が望まれる場所の近傍、例えば、腫瘍部位に、あるいは、その抗ガン剤がゆっくりと全身的に放出されるようなやり方で埋め込まれる。対象部位に対し、例えば、直接転移増殖体に、または、例えば、その腫瘍に向かう補給血管に(Brem et al., J. Neurosurg., (1991), vol. 74, pp.441-446を参照、なお、この文書の全体を本明細書に含める)カニューレを通じて高濃度の組成物を調節的に搬送するために、浸透圧駆動ミニポンプを使用することも可能である。
本組成物の有効用量および投与処方は、複数の変数、例えば、対象者の年齢、体重、既往歴、および、関連有りと予想される他の変数等、複数の変数の関数である。本発明の分子量に基づく用量および投与処方(すなわち、消化が可能な担体は無視する)、および、薬剤の相対的毒性は、対象者の体重1 kg当たり約10から約1000mgの連日投与を含んでもよい。本発明の組成物の用量は、治療の対象となる病状または病態、および、他の臨床的要因、例えば、体重、および、そのヒトまたは動物の状態、および化合物の投与ルートに依存する。特定の動物における本組成物の半減期に応じて、どちらか一方、または両方を、1日当たり数回から、1週当たり1回までの頻度で投与することがかのうである。本発明は、ヒトへの使用にも、獣医学的使用にも適用されることを理解しなければならない。本発明の方法は、単発投与ばかりでなく、同時にか、または、長期間に渡って行われる複数回投与も含む。
本発明の組成物処方は、経口、直腸内、眼科的(硝子体内または眼房内を含む)、鼻腔内、局所(頬内および舌下を含む)、子宮内、膣内、または非経口的(皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮内、頭蓋内、気管内、および、硬膜外腔内)投与に好適な処方を含む。これらの処方は、好都合となるように、単位剤形として提示されてもよいし、通例の製薬技術によって調合されてもよい。そのような技術としては、活性成分を、製薬担体(単数または複数)、すなわち賦形剤(単複)と付き合わせる工程が挙げられる。一般に、処方は、活性成分を、液性の担体、または細かく分割された固相の担体、またはその両方と、均一に、かつ密に付き合わせ、次に、要すれば製品の形を整えることによって調製される。
非経口的投与に好適な処方としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および、処方を意図される服用者の血液と等張にするための溶質を含むことが可能な、水性および非水性滅菌注射液、および、懸濁剤、および増粘剤を含むことが可能な、水性および非水性滅菌懸濁液を含む。処方は、単位用量、または複数用量の容器に納めて、例えば、密封アンプルおよびバイアルに納めて提示されてもよいし、また、使用の直前に、滅菌した液性担体、例えば、注射用水の添加を必要とするだけの凍結乾燥状態で保存されてもよい。前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から、即席の注射液および懸濁液を調製することも可能である。
一つの局面では、単位剤形処方は、投与成分の、1日当たりの用量または単位、1日当たりのサブ用量、または適当な分割用量である。本発明の処方は、成分、特に前述の成分の他にも、この分野で一般的で、協働作用を発揮する1種以上の薬剤を含んでもよいことを理解しなければならない。患者に二重の治療を施すために、要すれば随意に、抗ガン剤を、本発明の組成物の中に組み込んでもよいし、あるいは、他のやり方で本発明の組成物と併用してもよい。
経口処方用として適切な、消化可能な製薬担体としては、ゼラチンカプセルであって、本発明の組成物が乾燥形として封入されるカプセル、または、錠剤であって、ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微小結晶セルロース、プロピレングリコール、ステアリン酸亜鉛と二酸化チタン、およびその他の適当な結合剤および添加剤と混合される錠剤が挙げられる。組成物はまた、対象者によって服用された場合、味わいの好ましい組成物となるように、消化可能な担体として、蒸留水、芳香剤、および、ある種の糖分または甘味剤を用いた液体として処方されてもよい。
本明細書で用いる場合、小腸での持続放出基質は、下記の材料、通常はポリマーであって、酵素による、および/または、酸/塩基による加水分解によって、または、溶解によって分解が可能なポリマーから成る基質である。一旦生体内に導入されると、基質は酵素と体液の作用を受ける。この持続放出基質は、好ましくは、生物分解性材料、例えば、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリ無水ポリラクチド・コグリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、ポリサッカライド、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンのようなアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニールプロピレン、ポリビニールピロリドン、およびシリコンのような生物分解性材料から選ばれる。一つの局面では、生物分解性基質は、ポリラクチド、ポログリコリド、または、ポリラクチド・コグリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)の内のいずれか一つから成る基質である。
本発明の転移修飾性治療組成物は、固体、液体、または噴霧状であってもよく、既知の任意の投与ルートから投与されてもよい。固体の治療組成物の例としては、丸剤、クリーム、および埋め込み可能な用量単位が挙げられる。丸剤は経口的に投与されてもよく、治療クリームは局所的に塗布されてもよい。埋め込み可能な用量単位は、局所的に、例えば、腫瘍部位に投与してもよいし、あるいは、血管形成を治療的に修飾する組成物の全身的放出のために、例えば、皮下に埋め込んでもよい。液体組成物の例としては、皮下、静脈内、動脈内注入に適した処方、および、局所的および眼球内投与用の処方が挙げられる。噴霧処方の例としては、肺に対する投与用の吸引処方が挙げられる。
非経口投与に好適な処方としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および、処方を意図される服用者の血液と等張にするための溶質を含むことが可能な、水性および非水性滅菌注射液、および、懸濁剤、および増粘剤を含むことが可能な、水性および非水性滅菌懸濁液を含む。処方は、単位用量、または複数用量の容器に納めて、例えば、密封アンプルおよびバイアルに納めて提示されてもよいし、また、使用の直前に、滅菌した液性担体、例えば、注射用水の添加を必要とするだけの凍結乾燥状態で保存されてもよい。前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から、即席の注射液および懸濁液を調製することも可能である。
典型的な単位剤形処方は、投与成分の、1日当たりの用量または単位、1日当たりのサブ用量、または適当な分割用量である。本発明の処方は、成分、特に前述の成分の他にも、問題の処方とタイプに関してこの分野で通例として用いられる他の薬剤を含んでもよいことを理解しなければならない。患者に二重の治療を施すために、要すれば随意に、細胞傷害性薬剤を、血管新生抑制タンパク、または生物学的機能を有するその断片の中に組み込んでもよいし、あるいは、該タンパクまたはその断片と他のやり方で結合させてもよい。
従来技術でよく知られる、治療剤を投与するための他の処方も使用が可能である。
所望のサイズに縮小したガラクト-ラムノガラクツロン酸ポリサッカライドを、パクリタキセルに架橋結合する
天然ポリマーを物理・化学的に修飾することによって、抗ガン剤を、多価リガンド結合ポリサッカライドに対して化学的に架橋結合させることが可能である。処理前、ポリサッカライドは、通常、多数のサッカライド分枝、例えば、グルコース、アラビノース、ガラクトース等から成る分枝(これらの分枝は、中性モノサッカライド、例えば、ラムノースを介してバックボーンに接続される)を持ち、約40kDから約2000kDの範囲に渡る分子量を持つ。これらの分子はさらに、(ウロン酸残基の)僅かに10%から約90%もの範囲に渡ってエステル化することの可能なウロン酸サッカライド・バックボーンを含むことが可能である。この多数分枝自体も、サッカライドの多数分枝を有してもよく、またこの多数分枝も要すれば随意に中性サッカライドおよび中性サッカライド誘導体を含んでもよい。
天然のラムノガラクタンの物理・化学的処理のための手順、すなわち、酸性ポリサッカライド分子を特異的に脱重合し、分枝除去する、アルカリpHにおける時間依存性温度処理を含む処理手順を略述する。例えば、開始ポリサッカライドは、pH10.0において37℃で30分処理した。次に、これを室温まで下げた。この初期の冷却後、温度を4℃に下げ、pHを3.2に下げた。これは、得られたポリマーがより純粋な形で沈殿するのを助けるためである。沈殿を攪拌し、約55℃の上昇温度に1から24時間置くと、ポリマーバックボーンの加水分解が起こり、かつ、三次元構造の、全部とは言わないまでも、ほとんどが除去され、主に、約1から約10個の糖質から成り、大部分ガラクトース末端基を有する二次分枝のみが残された。
要すれば随意に行ってもよい修飾過程として、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムの存在下にアルカリ溶液中でポリサッカライドを加水分解させてもよい(米国特許第5,554,386号を参照、なお、この特許の全教示を引用することによって本明細書に含める)。化学的に架橋結合された薬剤を持つ多価リガンド・ポリサッカライドの分子量標的は、約2から約200kD、より詳細には約15-40kD、さらに詳細には約25kDの範囲にあって、1:5の抗ガン剤対ポリサッカライド比を持つ。
典型的には、製造工程は全て医薬品の製造管理・品質管理に関する基準の下に実行される。このことは、本明細書に開示される全ての実施例に適用される。糖質の全体量は、フェノール硫酸法によって定量した(Fidler et al., Cancer Res. (1973), vol. 41, pp. 3642-3956を参照、なお、この文書の教示全体を参照することにより本明細書に含める)。
パクリタキセルを、後述のように、末端アミンをEDC架橋を介しアルキル架橋を通じて付着させる。
得られたポリサッカライド薬剤製品を、70%エタノールで洗浄し、95%エタノールにより乾燥させた。その後、このパクリタキセル結合リガンド・ポリサッカライドを、最終濃度が5重量%となるように再び水に溶解した(Alberscheim et al., Carbohydrate Research (1967) vol. 5, pp. 340-346を参照、なお、この文書の教示全体を参照することにより本明細書に含める)。
本発明の実施態様に従って使用するために、この組成物をさらに希釈し、0.01-5%濃度が細胞に供給される。開始の生の材料と、所望のポリサッカライド薬剤組成物に応じて(分子量を含む)、反応条件をさらに調節、改変することが可能である。
(a)薬剤の後段結合
糖ペプチドを、市販のトリペプチドエステル(H-Gly-Gly-Gly-OEt、Bachem、H-3350,0250)と、ガラクト-ラムノガラクツラン(eRG)(60%エステル化、20kDa)と接合することによって調製し、その後、脱保護し、パクリタキセルと結合させた(2’-OH)。
Figure 2007529554
パクリタキセルは極めて高価で、毒性が高い。合成の最終段階でパクリタキセルを結合することは、コストを下げ、接合体の取り扱いをやり易くする。
トリグリシン、および類似のペプチドリンカーは、エチルエステルで、非キラル体(結合時にラセミ化が起こらない)として市販されているという利点を有する。この糖ペプチドの分析には、蒸発光散乱検出による液体クロマトグラフィーの利用が可能である。GlyPheGlyエステルのような別のトリペプチドは市販されていないかも知れず、企業内合成が必要になる可能性がある。
(b)薬剤の前段結合
DIC/DMAP/DMFを用いてパクリタキセルをBoc-Gly-Gly-Gly-OH(Bachem, A-4380.0005)に結合し、末端のアミノ基をTFA/DCMによって脱保護し、最後にEDC/DMFまたは水(可溶性に応じて)を用いてeRGと接合する過程が下記に具体的に記述される。
Figure 2007529554
この反応スキームでは、パクリタキセルは、トリペプチドリンカーを介してeRGだけに結合している。
パクリタキセル-トリペプチド接合体の特性解明と分離(HPLC、MSおよびNMR)は、糖ペプチド接合体の場合よりも容易である可能性がある。
タキソールに結合したBoc-アミノ酸の脱保護については文献の、例えば、米国特許第6,218,367号の手順がある。なお、この特許の全教示を参照することにより本明細書に含める。
サイズ調整ガラクト-ラムノガラクツロン酸ポリサッカライドを、ヒドラジノベンゾエート架橋を介して架橋結合する
ここに記載されるのは、天然のラムノガラクタンの、任意のサイズへの調節的縮小、および物理・化学的処理、すなわち、酸性ポリサッカライド分子を特異的に脱重合し、分枝除去する、アルカリpHにおける時間依存性温度処理を含む処理の例である。例えば、開始ポリサッカライドを、pH10.0に滴定されたpHにおいて37℃で30分処理し、次に、これを室温まで冷却した。さらに温度を4℃に下げ、pHを3.2に下げると、得られたポリマーのより純粋な形での沈殿が促進されるので好ましい。さらに活発に攪拌し、温度を上昇させて処理すると(約55℃で1から24時間)、ポリマーバックボーンの加水分解が起こり、かつ、三次元構造が除去され、約1から約10個の糖質から成り、大部分ガラクトース末端基を有する二次分枝のみが残された。
要すれば随意に行ってもよい改変過程として、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムの存在下にアルカリ溶液中で開始ポリサッカライドを加水分解させてもよい(米国特許第5,554,386号を参照)。化学的に架橋結合された薬剤を持つ多価リガンド・ポリサッカライドの分子量標的は、約2から約200kD、より詳細には約15-40kD、例えば約25kDの範囲にあって、1:5の抗ガン剤対ポリサッカライド比を持つ。
パクリタキセル結合リガンド・ポリサッカライド合成の例は下記に記載する通りである。
(a)ヒドラジノ安息香酸-パクリタキセルシステム
下記の文献を参考としており、引用することによりこれらを本明細書に含める。Bull. Chem. Soc. Jpn., 1981, 2219。DCC/Et3N/DCMを用いる、4-ヒドラジノ安息香酸とBoc-グルタミン酸a-ベンジルエステルとの結合は、中等度の収率をもたらすことが明らかにされている(エステルとアミノ脱保護後において24%収率)。
J. Org. Chem. 1979, 3752。4-ヒドラジノ安息香酸をN-ベンジル-グルタミン酸α-ベンジルエステル(エチルクロロフォルメート/トリエチルアミン)と結合させると、結合産物がかなりの収率(60%収率)で得られた。しかしながら、ポリサッカライドの遊離ヒドロキシ基は、エチルクロロフォルメートの使用と適合しない。
HydraLink (NovaBiochem)。生体接合のためのこの技術は、2-ヒドラジノピリジル基とベンズアルデヒドの反応に基づいており、安定なビス-芳香族ヒドラゾンを生成する。この化学過程はきわめて選択的であり、溶液において安定である。末端のアミノ基またはヒドロキシル基は、接合される二つの断片のそれぞれにとって必要である。
ヒドラジノ安息香酸リンカー方策
この方策は、RGを4-ヒドラジン安息香酸と反応させて、次に、パクリタキセル(2’-OH)と結合させることを含む。
Figure 2007529554
この反応では、パクリタキセルは、合成の最終工程で接合される。これは、コストを下げ、中間体の取り扱いをやり易くする。
試薬4-ヒドラジン安息香酸は安価で(Aldrich Chemicals)、保護を必要としない。
ヒドラジン安息香酸リンカー別手順
別方策としては、パクリタキセル(2’-OH)を、4-(Fmoc-ヒドラジノ)-安息香酸(Bachem、Q-2545.001)によってエステル化し、その後、脱保護し、e-RGと接合することが挙げられる。
Figure 2007529554
このスキームでは、パクリタキセルは、もっぱらヒドラジン安息香酸リンカーを通じてeRGに結合される。
サイズ調整ガラクト-ラムノガラクツロン酸ポリサッカライドをカンプトテシンに架橋結合する
下記に記載されるのは、天然のラムノガラクタンの、任意のサイズへの調節的縮小、および物理・化学的処理、すなわち、酸性ポリサッカライド分子を特異的に脱重合し、分枝除去する、アルカリpHにおける時間依存性温度処理を含む処理の例である。例えば、材料を、pH10.0において37℃で30分処理し、次に、これを室温まで冷却した。ポリマーが実質的に単離された形で沈殿されるのを促進するために、さらに温度を4℃に下げ、pHを3.2に下げた。この調製品を、温度を55℃に1から24時間上昇させて処理すると、ポリマーバックボーンの加水分解が起こり、かつ、三次元構造が除去され、事実上、約1から約10個の糖質から成り、大部分ガラクトース末端基を有する二次分枝のみが残された。
要すれば随意に行ってもよい改変過程として、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムの存在下にアルカリ溶液中で開始ポリサッカライドを加水分解させることが挙げられる(米国特許第5,554,386号を参照)。化学的に架橋結合された薬剤を持つ多価リガンド・ポリサッカライドの分子量標的は、約2から約200kD、より詳細には約15-40kD、例えば約25kDの範囲にあって、1:5の抗ガン剤対ポリサッカライド比を持つ。
カンプトテシン接合体を調製するために、20-S-カンプトテシンのポリ(L-グルタミン酸)(PG)接合体の類似の処理過程を用いた。BOP-Cl/DMAP/DMFを用いPGによってカンプトテシンの20-ヒドロキシル基を直接エステル化した場合、ヒドロキシル基の立体配位制限のために低い収率しか得られなかった。しかしながら、カンプトテシンをBoc-Gly-Gly-Glyによってアシル化し、その後脱保護した場合、より良い結果が得られた(DIC/DMAP/DMF、次にTFA/DCM)。最後に、ポリ(L-グルタミン酸)(3eq DMAP/DIC/DMF)との結合のためのTFA塩として細胞傷害性ペプチド接合体を用いた。(J. Med. Chem. (2003) 46, 190-193を参照、なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める)。
20-S-カンプトテシン+ペプチド+糖質の接合体
Boc-バリン-N-カルボキシアンヒドリド(市販されていない)およびDMAPを用いてバリン-20-O-カンプトテシンを調製し、その後、EDC/HOBt/DMFを用いて、バリン細胞傷害性接合体にアミノ酸を結合させた(米国特許第6,506,734および6,492,335号を参照、なお、これら特許の全教示を参照することにより本明細書に含める)。
20-S-カンプトテシン+PEG 40kD+20-S-カンプトテシンの接合体
DIC/DMAP/DCMを用いて、PEG-40D-ジカルボン酸を20-S-カンプトテシンに結合すると、モノおよびジエステルの混合物(1.35 eg/PEG)が得られた(米国特許第5,880,131号参照)。
同じ条件下でPEG-グリシンを20-S-カンプトテシンと結合すると、69%収率で対応するダイマーが得られた。
20-ブロモアセチル-カンプトテシンを、ブロム酢酸と反応させることによって調製した(67%収率)、また、PEG-ジカルボン酸と反応させてPEG分子当たり1.6 eqのカンプトテシンを得た(76%収率)。
カンプトテシンと類似の化学的性質を持つもう一つの接合体は、カルボキシル化ガラクトマンナンおよび/またはラムノガラクツロナンに接合される5-デオキシ-5-フルオロシチジンである。この接合体は、薬剤前駆体5-DFCRを生成することが可能で、この前駆体は、例えば、小腸または血中で5-フルオロウラシルに変換される。
Figure 2007529554
トリペプチドリンカー組成物
トリペプチドリンカー組成物を生産するのには、下記の処理過程を用いることが可能である。市販のトリペプチドエステル(例えば、Gly-Gly-Gly-OEt、Bachem, H-3350.0250)を、ガラクト-ラムノガラクツラン(eRG)(60%エステル化、20kDa)を接合することによって糖ペプチドを調製し、その後、脱保護し、カンプトテシン(20-OH)と結合させた(実施例1に記載したものと同じ方法)。
糖ペプチドeRG-Gly-Gly-Gly-Hに結合したカンプトテシンの場合、20-ヒドロキシル基の立体配位制限のために低い薬剤負荷しか得られなかった。これは、先ず、DIC/DMAP/DMF、次にTFA/DCMを用いてカンプトテシンをBoc-Gly-Gly-Gly(Bachem, A-4380.0005)に結合させることによって回避することが可能である。この後、EDCまたはDICを用いて接合体を調製する(実施例1の場合と同様の方法)。
サイズ調整ガラクト-ラムノガラクツロン酸ポリサッカライドをカンプトテシンに架橋結合する
下記に記載されるのは、天然のラムノガラクタンの、任意のサイズへの調節的縮小、および物理・化学的処理、すなわち、酸性ポリサッカライド分子を特異的に脱重合し、分枝除去する、アルカリpHにおける時間依存性温度処理を含む処理の例である。反応条件は、事実上pH10.0において37℃で30分の処理である。次に、室温に冷却し、さらに温度を4℃に下げ、pHを3.2に下げた。これは、ポリマーが実質的に単離された形で沈殿されるのを促進するためである。この調製品を、温度を約55℃に1から24時間上昇させて処理すると、ポリマーバックボーンの加水分解が起こり、かつ、三次元構造が除去され、約1から約10個の糖質から成り、大部分ガラクトース末端基を有する二次分枝のみが残された。
要すれば随意に行ってもよい改変過程として、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムの存在下にアルカリ溶液中でポリサッカライドを加水分解させることが挙げられる(米国特許第5,554,386号を参照)。化学的に架橋結合された薬剤を持つ多価リガンド・ポリサッカライドの分子量標的は、約2から約200kD、より詳細には約15-40kD、例えば約25kDの範囲にあって、1:5の抗ガン剤対ポリサッカライド比を持つ。
(10)-ヒドロキシカンプトテシン
Cancer Research (2000) 2988および米国特許第5,837,673号に開示される方法と同様にして(これらの文書の全教示を、参照することによって本明細書に含める)、10-ヒドロキシカンプトテシン誘導体の接合体を製造した。先ず、炭素10において3-アミノプロピルエーテルを用いて10-ヒドロキシカンプトテシンの合成を実行した。Bocを保護基として用いて、このアミノ基に、トリ、またはそれよりも大きいペプチドを付着した。リガンド・ポリサッカライドへの結合は、pH=7.0-6.5においてカルボン酸に対しEDC/水によって一工程で実行した。
サイズ調整ガラクト-ラムノガラクツロン酸ポリサッカライドをTNF-αに架橋結合する
下記に記載されるのは、天然のラムノガラクタンの、任意のサイズへの調節的縮小、および物理・化学的処理、すなわち、酸性ポリサッカライド分子を特異的に脱重合し、分枝除去する、アルカリpHにおける時間依存性温度処理を含む処理の例である。開始材料を、pH10.0において37℃で30分処理した。次に、これを室温まで冷却した。ポリマーの沈殿を促進するために、さらに温度を4℃に下げ、pHを3.2に下げた。次に、この調製品を、温度を約55℃に1から24時間上昇させて処理すると、ポリマーバックボーンの加水分解が起こり、かつ、三次元構造が除去され、約1から約10個の糖質から成り、大部分ガラクトース末端基を有する二次分枝のみが残された。
要すれば随意に行ってもよい改変過程として、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムの存在下にアルカリ溶液を用いてポリサッカライドを加水分解することが挙げられる(米国特許第5,554,386号を参照)。化学的に架橋結合された薬剤を持つ多価リガンド・ポリサッカライドの分子量標的は、約2から約200kD、より詳細には約15-40kD、例えば約25kDの範囲にあって、1:5の抗ガン剤対ポリサッカライド比を持つ。TNF-αへの結合は、任意の水溶性架橋リンカー、例えば、EDC (Pierce)によって実行される。
抗ガン剤を化学的架橋結合させた多価リガンド・ポリサッカライド投与の生物学的効力をインビトロおよびインビボ・アッセイによって証明する
抗ガン剤を化学的架橋結合(bDRUG)させた多価リガンド・ポリサッカライド(mLP)の効力を明らかにするために、本発明者達は、mLP-bDRUGの生物学的効力を証明するためにいくつかのインビトロおよびインビボ・アッセイを選んだ。転移の抑制は、通常培養中に凝集する細胞系統を用いて明らかにすることが可能である。mLP-bDRUGの存在下では、腫瘍細胞(例えば、結腸TH-29、メラノーマB16-F1)は分散したままで、ゆっくりした死亡が観察された。これらのアッセイには、B16-F1細胞、UV2237-10-3マウス線維肉腫細胞、HT1080ヒト線維肉腫細胞、およびA375ヒトメラノーマ細胞のような細胞系統を用いることが可能である。転移病巣の抑制および抹殺も転移アッセイによって証明することが可能である。このアッセイでは、その細胞表面においてガレクチン-3レベルの上昇を示す-これは、恐らく、腫瘍の内皮細胞接着に関連するものと思われる-MLL細胞が用いられる。
ガラクトシド結合レクチンは、脊椎動物の様々な組織および細胞に見られる。レクチンは、そのサイズに基づいて二つの大きなクラスに分けられる。約14kDと約30kDの分子量のものは、それぞれ、ガレクチン-1およびガレクチン-3と表される。ガレクチン-3は、広い範囲の分子群、すなわち、マウスの34kD(mL-34)およびヒトの31kD(hL-31)腫瘍関連ガラクトシド結合レクチン、35kD線維芽細胞糖質結合タンパク(CBP35)、IgE結合タンパク(cBP)、32kDマクロファージ非インテグリン・ラミニン結合タンパク(Mac-2)、および、ラット、マウス、およびヒト型の29kDガラクトシド結合レクチン(L-29)を代表する。分子クローニング実験から、これらのレクチンのポリペプチドは、同じアミノ酸配列を共有することが判明した。
ガレクチン-3は、活性化マクロファージによって高度に発現され、細胞を発ガン的に変形して転移細胞に変える。MLL細胞を含む多くの細胞は、その細胞表面にガレクチン-3を発現するが、この発現は、腫瘍細胞の転移過程に関与することが従来から指摘されている。このポリペプチドの発現の上昇は、基底から独立した増殖、同型凝集、および腫瘍細胞の肺コロニー形成に対する能力の増大と関連するが、これは、ガレクチン-3が、循環における腫瘍細胞の血栓形成を促進し、転移を増大させることを示唆する。腫瘍-内皮細胞接着が、転移過程において決定的に重要な事象であると考えられている。ガレクチンは、ポリ-N-アセチルラクトサミン配列を含むオリゴサッカライドに高い親和性をもって結合し、また、ラミニンの糖質側鎖にも特異的糖質依存性方式で結合する。ラミニンは、基底膜の、主要な非コラーゲン性成分であるが、これは、ポリ-N-アセチルラクトサミン配列を持つN-結合糖タンパクであり、細胞の接着、移動、増殖、分化、侵入、および転移に与る。
腫瘍細胞は、糖タンパクの糖質残基と、細胞表面のガレクチン-3を通じて相互作用を持つことが可能であり、これは、腫瘍細胞が、アガロース(D-ガラクトースとL-アンヒドロ-ガラクトースとのポリマー)のガラクトース残基と相互作用を持ち、それによって、この半固形培養液において細胞増殖に必要な最小限の支持体を獲得することを可能とする能力と相関する可能性がある。抗ガレクチン-3モノクロナール抗体は、アガロースにおける腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能である。さらに、正常なマウスの線維芽細胞に、マウスガレクチン-3 cDNAをトランスフェクトさせると、基底から独立した増殖が獲得された。ポリサッカライドに関して本明細書で報告されるインビボの結果も、ガレクチン-3を用いてヒト前立腺ガン組織について行われた、以前の報告実験と一致する(米国特許第5,895,784号、この特許の全教示を参照することにより本明細書に含める)。
(a)ポリサッカライドおよび抗ガン剤の腫瘍動物に対する投与
(i)インビトロ
化学的に架橋結合された抗ガン剤を有するポリサッカライド製剤を、従来技術においてガンに対して有効であることが既知な、その抗ガン剤の治療濃度において投与された。一つの例として、カンプトテシン-mLPが、1-10 mg/mL当量において、30から300 mg/m2/日の用量で投与された。腫瘍罹患動物で見られた結果から、例えば、前述のカンプトテシンは、60から600 mg/m2の用量において、1対5(モル/モル)の対ポリサッカライド比で化学的に結合することが示された。特に、結腸腫瘍罹患げっ歯類では、mLP-カンプトテシンによって、未結合薬剤に比べて、最大80%が毒性において改善を示すことが観察された。
(ii)インビトロ
パクリタキセル架橋結合-mLPの抗ガン効力を定量するためのアッセイを、標準型96ウェルプレートを用いて実施した。別様に言明しない限り、下記のアッセイは、前述のmLP-パクリタキセルを用いて行った。コントロールとしては、(i)ポリサッカライド単独、(ii)gal-、rha-、またはman-置換サッカライド、または、(iii)抗ガン剤単独が含まれた。ヒト結腸ガンHT-29における結果から、mLP架橋結合パクリタキセルは、mL当たりマイクログラムの濃度で活性を持ち、パクリタキセルの一般処方と等価であることが示された。
ラミニンおよびアシアロ糖タンパクの接着アッセイ
インビトロにおいて腫瘍細胞が同型凝集へ向かう性向と、インビボにおけるそれら腫瘍細胞の転移能力との間の相関を確かめるために、このアッセイを用いた。B16メラノーマ細胞集塊は、単一細胞に比べて、静注後により多くの肺コロニーを生産する。さらに、抗ガレクチン-3抗体は、アシアロフェツイン誘発による同型凝集を抑制することが示されている(Fidler, I.J. (1970) J. Natl. Cancer Inst., 45:77、なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める)。これは、細胞表面のガレクチン-3ポリペプチドが、糖タンパクの側鎖と相互作用を持った後に同型凝集の形成をもたらすことを示唆する。
本実施例に従って製造されたmLPパクリタキセルについて、その、細胞-細胞および細胞-基質相互作用に対する調節能力を、B16-F1マウスメラノーマ細胞接着アッセイによって調べた。このアッセイは、ラミニン塗布基質に対する細胞接着の変化、および、アシアロフェツイン誘発による同型凝集および細胞増殖の抑制を測定することを含む。
B16-F1細胞系統(肺転移の発生頻度低い)を、B16メラノーマ細胞の静注によって生成された肺転移ガンから得た(Lotan, R. et al., Int. J. Cancer, (1994), vol. 56, pp. 1-20、なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める)。試験した他の細胞系統としては、UV-2237-10-3マウス線維肉腫細胞、HT1080ヒト線維肉腫細胞、およびA375ヒトメラノーマ細胞がある。
細胞は、グルタミン、必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、および加熱によって不活性化した10%仔牛血清(FCS 10%)を添加した、ダルベッコ改変イーグル最小必須培地(DMEM)にてプラスチック上で単層培養した。細胞は、7%CO2、93%空気から成る加湿雰囲気中で37℃で維持した。再現性を確保するために、全ての実験は、ストックからの回収後6週以内の育成時間を持つ培養体について行った。
ラミニンに対する細胞接着
96-ウェルプレートの組織培養ウェルをあらかじめ、Ca2+およびMg2+無添加リン酸バッファー生食液、pH7.2(CMF-PBS)に溶解したEHSラミニンにてコートし(2mg/ウェル)、4℃で一晩置き、かつ、残余のタンパク結合部位は、CMF-PBSに溶解した1%ウシ血清アルブミン(BSA)により室温で2時間ブロックした。細胞は、CMF-PBSに溶解した0.02%EDTAにて収集し、血清無添加DMEMに懸濁した。DMEMに懸濁した合計5x104個の細胞を、下記の物質を添加して、または添加しないで各ウェルに加えた。すなわち、1)各種濃度のパクリタキセル-mLP、2)各種濃度のリガンド・ポリサッカライド、および3)各種濃度の一般処方のパクリタキセルである。37℃で2時間から4時間インキュベーション後、非接着細胞をCMF-PBSで洗い流し、接着細胞をメタノールで固定し写真撮影した。接着細胞の相対数を、Zollner, T. et al., Anti-cancer Research (1993), vol. 13, pp. 923-930の手順に従って定量した。なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める。手短に言うと、細胞をメチレンブルーにて染色し、その後でHCl-エタノールを添加し、染料を放出した。次に、光学的濁度(650 hm)をプレートリーダーで測定した。
MLP-bDRUGのレクチンに対する結合
レクチンに対する結合は、膜表面の変化、膜透過性の変化と相関する。当業者にはよく知られているように、組み換えガレクチン-3は、アシアロフェツイン・アフィニティーカラムによる単一工程精製を通じて細菌細胞から抽出することが可能である。例えば、ラクトースによって溶出された組み換えガレクチン-3は、使用前に、CMF-PBSに対して大規模に透析された。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)-接合ウサギ抗ラットIgG+IgM、および、2,2’-アジノ-ジ(3-エチルベンズチアゾリン・スルフォン酸)(ABTS)基質キットは、Zymed、南サンフランシスコ、カリフォルニア州から購入することが可能である。B16-F1マウスメラノーマ細胞は、前述のようにダルベッコ改変イーグル最小必須培地(DMEM)における培養体として育成した。
96-ウェルプレートの組織培養ウェルをあらかじめ、0.5%mLPと1%BSAを含むCMF-PBSにてコートし、一晩乾燥させた。50mMラクトースの存在下、または不在下に0.5%BSAおよび0.05%Tween-20を含むCMF-PBS(溶液A)に連続希釈した組み換えガレクチン-3を添加し、120分インキュベートし、その後、ウェルの液を排出し、0.1%BSAおよび0.05%Tween-20を含むCMF-PBS(溶液B)にて洗浄した。溶液Aに溶解したラット抗ガレクチン-3を添加して60分インキュベートし、その後、溶液Bで洗浄し、溶液Aに溶解したHRP-接合ウサギ抗ラットIgG+IgMと共に30分インキュベーションした。洗浄後、各ウェルにおける結合した接合体酵素の相対的量を、ABTSの添加によって確認した。加水分解の程度は、405hnで測定した。
半固形培地におけるコロニー形成
細胞を、CMF-PBSに溶解した0.02% EDTAでばらばらにし、下記の物質を添加した、または添加しない完全DMEMに1x103細胞/mLで懸濁した。すなわち、1) 多価リガンド・ポリサッカライドに結合した各種濃度の細胞傷害性薬剤、2)各種濃度の多価リガンド・ポリサッカライド、および3)細胞傷害性薬剤単独である。細胞を37℃で30分インキュベートし、あらかじめ45℃に加熱した、蒸留水-完全DMEM(1:4, v/v)に溶解した1%アガロース溶液と1:1(v/v)混合した。次に、この混合液の2mL分液を、6-cm直径の皿においてあらかじめ鋳型形成された1%アガロース層の上に静置した。細胞を、37℃で14日間インキュベートし、CMF-PBSに溶解した2.6%グルタールアルデヒドを添加して固定した後に、形成されたコロニー数を倒立位相差顕微鏡にて定量した。
ガレクチン-3異型凝集転移アッセイ
MAT-LyLu(MLL)サブ系統は、急速に増殖する、分化度の低い腺癌細胞系統である。細胞毒素結合リガンド・ポリサッカライドの存在下、または不在下における、Cr-標識MLL細胞の、ラット大動脈内皮(RAE)細胞の集密的単層に対する接着度を調べた。先ず、MLLおよびRAE細胞を、10%仔牛血清を添加したRPMI1640培養液にて育成した。RAE細胞を、組織培養ウェルにて集密となるまで育成した。合計2.4x106 MLL細胞を、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む血清無添加培養液2mLにおいて5 mCi Na5CrO4と共に37℃で30分インキュベートした。十分洗浄した後、ウェル当たり1x103 MLL細胞を、4回に渡ってRAE細胞単層に加えた。それぞれ独立に濃度を変えた、細胞毒素結合リガンド・ポリサッカライドと抗ガン剤との組み合わせの不在下、または存在下における、4℃90分でのMLL細胞付着を下記のように評価した。細胞は、冷却リン酸バッファー生食液で3回洗浄し、未結合細胞を除去し、次に、0.1 N NaOHに37℃で30分浸して可溶化した。この終了時点で各ウェルの放射能をβカウンターにて定量した。それぞれ独立に濃度を変えた、細胞毒素結合リガンド・ポリサッカライドと化学的に架橋結合された抗ガン剤の不在下、または存在下における、MLL細胞の、RAE細胞の集密単層に対する付着の時間経過を監視した。この監視結果に基づいて、MLL細胞のRAE細胞への付着に対する、細胞毒素結合リガンド・ポリサッカライド/抗ガン剤の抑制レベルを定量した。
別法として、RAE細胞に対するMLL細胞の接着を蛍光法によっても監視した。先ず、1x105 MLL細胞を0.1% FITCにおいて30分インキュベートし、細胞を蛍光標識した。十分な洗浄の後、細胞を、0.5% BSAにおいてRAE細胞単層に加えた。独立に変えられた各種濃度のmLP-bDRUGを30または60分加えた。次に、この培養体を洗浄して、非接着細胞を除去し、接着、または非接着レベルを蛍光測定に基づいて評価した。
mLP-bDRUGのガレクチン-3に対する結合について明らかにするために、固相酵素免疫測定法を用いて、組み換えガラクチン-3が、リガンド・ポリサッカライドに化学的に結合した固定細胞傷害性薬剤に用量依存的に結合できるかどうか、また、結合は、もし起こった場合、ラクトースによってブロックすることが可能であるかどうかを調べた。このアッセイによって得られた結果から、本発明に従って抗ガン剤と化学的に架橋結合された状態で投与されたmLP-bDRUGによる、同型凝集に対する抑制作用を評価すること、および、細胞表面ガレクチン-3分子を仲介してmLP-bDRUGの結合が起こるかどうかを確定することが可能となった。
mLP-bDRUGの効力を定量するためのインビボアッセイ
(a)インビボにおけるR3327-MLL細胞の転移の抑制
前立腺ガンに関するDunning (R3327)の、ラット前立腺ガンモデルを、Dunning, W., Natl. Cancer Inst. Mono., (1963), vol. 12, pp. 351-369の記載する通りに、雄性ラットに見られる自発性腺癌から作製した。なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める。この一次腫瘍からいくつかのサブ系統を作製した。これらサブ系統は、Isaacs, J. et al., Cancer Res., (1978), vol. 38, pp. 4353-4359に記載されるように、様々な分化および転移能力を持つ。なお、この文書の全教示を参照することにより本明細書に含める。1x106 MLL細胞をラットの大腿に注入すると、Isaacs, J等(さらに、The Prostate, (1986), vol. 9, pp. 261-281; Pienta, K., et al., The Prostate, (1992), vol. 20, pp. 233-241も参照されたい、なお、これらの文書の全教示を参照することにより本明細書に含める)によって記載されるように、圧倒的な一次腫瘍負荷によって約25日以内に動物の死に至る。一次MLL腫瘍は、腫瘍細胞接種後約12日に転移を始めるので、この時点の前に下肢を切断することによって一次腫瘍を除去すると動物は治癒される。もしも下肢切断が12日目以降に為されるならば、Isaacs, J., et al., The Prostate, (1986), vol. 9, pp. 261-281によって記載されるように、40日以内に肺およびリンパ節転移によって死亡する。
mLP-bDRUGを、飲用水から経口的に慢性的にラットに与え、上記腫瘍の自発性転移に対するその影響を調べた。0日目にラットの後肢に1x106 MLL細胞を注入した。4日目、一次腫瘍が約0.1cm3サイズに達した時点で、0.01%、0.1%、または1.0%(w:v)の、リガンド・ポリサッカライドに接合したパクリタクセルをラットの飲用水に連続的に加えた。14日目、ラットを麻酔し、後肢を切断することによって一次腫瘍を除去した。次に、ラットを30日目まで追跡し、その時点で全てのグループを屠殺し、病理解剖した。この期間、動物は、その飲用水において連続的に、細胞毒素結合リガンド・ポリサッカライド/抗ガン剤を摂取した。観察可能な毒性の有無についてコントロールと治療動物を監視した。
30日目、肺を取り出し、水で濯ぎ、一晩ブワン液にて固定した。肺転移に罹っていたラットの数を、コントロールの数と比較し、記録した。MLL腫瘍コロニーの数を、解剖用顕微鏡で数えて求めた。
コントロールと共同治療された動物は適当な体重増加を示し、リガンド・ポリサッカライドに対するパクリタキセル接合体で治療された動物では、抗ガン剤のみによって治療されたコントロール動物と比べて、余分な毒性は観察されなかった。肺転移に罹ったラットの数は、前述のタイプの多価リガンド・ポリサッカライドに架橋結合された薬剤を与えられた動物では減少していた。同じパターンの効果が、リンパ節病でも観察が可能であった。この例示の治療は、自発性のガン転移を予防するに際し、リガンドに結合させて非毒性とした細胞傷害性薬剤の経口投与による動物治療の改良法を示すように設計されたものである。
これまで本発明を各種の実施態様を参照しながら説明してきたけれども、本発明は、付属の特許請求項の精神および範囲内において、これ以外にも、他の、広範な実施態様を実現することが可能であることを理解しなければならない。
糖質-薬剤複合体、対、薬剤単独による細胞傷害性結果を示すグラフである。

Claims (15)

  1. ポリサッカライドおよび1種以上の化学療法剤を含む組成物であって、前記化学療法剤は、前記ポリサッカライドに化学的に結合していることを特徴とする前記組成物。
  2. 前記ポリサッカライドは、約10から約10,000のサッカライド単位を有することを特徴とする、請求項1の組成物。
  3. ポリッサカリドに結合する前記1種以上の化学療法剤は、約1から約100個の化学的に架橋結合された薬剤であることを特徴とする、請求項1の組成物。
  4. 前記サッカライド単位は、ヘミアセタールまたはグリコシド結合によって相互に結合されることを特徴とする、請求項2の組成物。
  5. 前記単位は、約2kDから約1000kDの範囲の分子量を持つことを特徴とする、請求項4の組成物。
  6. 前記サッカライド単位は、D-環状糖、L-環状糖、または、それらの誘導体から成るグループから選ばれる環状糖であることを特徴とする、請求項2の組成物。
  7. 前記環状糖は、ピラノースまたはフラノース糖のどちらかであることを特徴とする、請求項6の組成物。
  8. 前記環状糖は、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、フコース、ラムノース、リボース-5-リン酸、ガラクツロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチルニューラミン酸、またはN-スルファト-D-グルコサミンから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項6の組成物。
  9. 前記ポリサッカライドは、直鎖、単一分枝鎖、または複数分枝鎖のいずれか一つであって、各分枝は、さらに二次分枝を持つことが可能であることを特徴とする請求項1の組成物。
  10. 前記化学療法剤は抗ガン剤であることを特徴とする、請求項1の組成物。
  11. 前記抗ガン剤は、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、BCG、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カンポテシン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロフォスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドクソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチン、フルダラビン、フルドロコーチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、レトロゾール、レウコボリン、レウプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、TNF-α、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項9の組成物。
  12. 前記ポリサッカライドは、ガラクト-ラムノガラクツロン酸系ポリサッカライドであることを特徴とする、請求項1の組成物。
  13. ガンを患う対象者を治療する方法であって、ポリサッカライドおよび1種以上の化学療法剤を有する組成物の投与を含み、前記化学療法剤は、前記ポリサッカライドに化学的に結合することを特徴とする前記方法。
  14. 前記組成物は、経口、皮内、眼科的、舌下、頬内、筋肉内、静脈内、動脈内、鼻腔内、腹腔内、頭蓋内、脳室内、脳内、膣内、子宮内、直腸内、非経口的から成るグループから選ばれる方法を用いて前記個体に投与されることを特徴とする、請求項12の方法。
  15. 賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項13の方法。
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