JP4123787B2 - 車両運転支援装置および車両運転支援システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両運転支援装置および車両運転支援システムに係り、特に、自車両の存在を例えば通行人や他車両の運転者に知らせ、或いは、自車両の進路を自車両の運転者に実景で把握させるべく道路路面上に所定の光ビームを照射する車両運転支援装置および車両運転支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平5−238307号公報に開示される如く、道路路面上に他者が視認可能な光ビームを照射する車両運転支援装置が知られている。このように他者が視認可能な光ビームが車両走行中において道路路面上に照射されれば、他者は車両からのその光ビームによる道路路面表示を視認することができる。このため、その光ビームによる道路路面の表示を見た人は、車両自体を見ることができなくても、車両が近くに存在することを知ることが可能である。従って、上記従来の装置によれば、車両の存在を迅速に他者に知らせることができ、車両走行の安全性を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の装置の如く他者の視認可能な光ビームが道路路面上に照射される構成において、車両とその照射領域との間に通行人が存在する場合には、その光ビームが直接に例えば通行人や他車両の運転者の目に入るおそれがある。また、雨等で濡れた道路路面上に光ビームが照射されると、高レベルの反射光が通行人等の目に入るおそれがある。更に、道路路面上に光ビームが照射されても、その道路路面に映し出された表示が路面との関係で視認し難いものとなることがある。かかる事態が生じた場合には、通行人等は光ビームによる道路路面の表示を視認することが困難となり、その結果、車両の存在を認識し難くなってしまう。しかしながら、上記従来の装置では、上記した事態を考慮することなく光ビームが照射されるため、通行人等が車両からの光ビームによる道路路面表示を視認する際に眩惑することがあった。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、人を眩惑させることなく適切に光ビームを道路路面上に照射することが可能な車両運転支援装置および車両運転支援システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、車両と可視光ビームが照射されるべき道路路面との間に存在する障害物を検知する障害物検知手段記障害物検知手段により前記障害物が検知された場合に、前記ビーム照射手段により可視光ビームを照射するパターンを、前記所定のパターンから該障害物を避けたパターンに変更するパターン変更手段と、を備える車両運転支援装置により達成される。
【0006】
本発明において、車両と可視光ビームが照射されるべき道路路面との間に存在する障害物が検知された場合、該障害物を避けたパターンで道路路面上に可視光ビームが照射される。この場合には、可視光ビームが障害物に当たることなく、道路路面に可視光ビームによる表示が描写される。従って、本発明によれば、その障害物が人である場合に、その人を眩惑させない範囲で可視光ビームが照射されるので、適切に自車両の存在を他に認識させることができ、或いは、自車両の進路をその運転者に把握させることができる。
【0007】
上記の目的は、請求項2に記載する如く、道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、
前記ビーム照射手段は、所定の偏光特性を有する可視光ビームを照射する車両運転支援装置により達成される。
【0008】
本発明において、道路路面上に照射される可視光ビームは、所定の偏光特性を有する。雨等で濡れた道路路面では、入射する光が反射され易く、特に、境界面(すなわち、路面)に平行な成分が反射され易いという光学的特性がある。従って、上記した可視光ビームの偏光特性について光ビームの路面に平行な成分を少なくすることにより、反射光の強度が小さく抑えられ、可視光ビームの高レベルの反射光により人が眩惑されることが回避される。このため、本発明によれば、人を路面反射により眩惑させることなく適切に自車両の存在を他に認識させることができ、或いは、自車両の進路をその運転者に把握させることができる。
【0009】
上記の目的は、請求項3に記載する如く、道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面の明暗を検出する環境状態検出手段と、前記環境状態検出手段の検出結果に基づいて、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示が視認され易くなるように、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの光学特性を補正するビーム特性補正手段と、を備える車両運転支援装置により達成される。
【0010】
本発明において、可視光ビームが照射される道路路面の環境状態に基づいて、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示が視認され易くなるように、可視光ビームの光学特性が補正される。この場合には、人が視認し易いように道路路面に可視光ビームによる表示が描写される。従って、本発明によれば、人を眩惑させない範囲で適切かつ確実に自車両の存在を他に認識させることができ、或いは、自車両の進路をその運転者に把握させることができる。
【0011】
また、上記の目的は、請求項4に記載する如く、道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射された道路路面における、可視光ビームによる表示がなされている部分と該表示がなされていない部分とのコントラストを検出する環境状態検出手段と、前記環境状態検出手段の検出結果に基づいて、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示が視認され易くなるように、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの光学特性を補正するビーム特性補正手段と、を備える車両運転支援装置によっても達成される。
【0012】
また、請求項5に記載する如く、請求項3又は4記載の車両運転支援装置において、前記ビーム特性補正手段は、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの明度又は色相を補正することとすればよい。
【0013】
ところで、可視光ビームが道路路面上に照射されるべき所望のパターンと、実際に照射されているパターンとが整合しない場合には、所望のパターンが映し出されるべき道路路面と車両との間に存在する障害物に可視光ビームが照射されていると判断でき、或いは、他の車両やインフラが照射する可視光ビームのパターンが道路路面上に混在していると判断できる。この場合には、自車両の走行上注意すべき対象が存在していると判断できる。
【0014】
従って、請求項6に記載する如く、請求項1乃至5の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面を撮像する撮像手段と、前記所定のパターンと、前記撮像手段により撮像された結果として得られる可視光ビームによる道路路面の表示パターンとが不整合状態にある場合に、該不整合領域に自車両の走行上注意すべき対象が存在すると判定する要注意対象判定手段と、を備えることとすれば、装置側が自車両の走行上注意すべき対象の存在を判定できるので、車両の安全走行を確保することが可能となる。
【0015】
尚、上記した可視光ビームとは別の可視光又は非可視光の補助光ビームが道路路面上に所定のパターンで照射される構成においても、その補助光ビームが照射されるべき所望のパターンと、実際に照射されているパターンとが整合しない場合には、自車両の走行上注意すべき対象が存在していると判断できる。
【0016】
従って、請求項7に記載する如く、請求項1乃至5の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面上に該可視光ビームとは別の補助光ビームを所定の補助パターンで照射する補助ビーム照射手段と、前記補助ビーム照射手段により補助光ビームが照射される道路路面を撮像する撮像手段と、前記所定の補助パターンと、前記撮像手段により撮像された結果として得られる補助光ビームによる道路路面の表示パターンとが不整合状態にある場合に、該不整合領域に自車両の走行上注意すべき対象が存在すると判定する要注意対象判定手段と、を備えることとしても、装置側が自車両の走行上注意すべき対象の存在を判定できるので、車両の安全走行を確保することが可能となる。
【0017】
これらの場合、請求項8に記載する如く、請求項6又は7記載の車両運転支援装置において、前記要注意対象検出手段により車両の走行に支障をきたす障害物が検出された場合に、該障害物を回避する方向に車両の走行を制御する運転補助制御手段を備えることとすれば、自車両の走行上注意すべき対象が自車両の走行に支障をきたす障害物である場合に、運転者が車両操作することなく車両が回避走行するので、車両の安全走行を確実に確保することができる。
【0018】
ところで、運転者の運転集中度が高い場合には、回避操作を速やかに行うことが可能であるので、自車両が注意すべき道路路面の領域は小さくても十分であると共に、自車両の存在を他に知らせるべき領域も小さくてよい。一方、運転集中度が低下する場合には、回避操作が遅れる可能性があるので、その領域は大きい方が適切であると共に、自車両の存在を他に知らせるべき領域も大きい方がよく、その存在を早期に知らせる方がよい。
【0019】
従って、請求項9に記載する如く、請求項1乃至8の何れか一項記載の車両運転支援装置において、運転者の運転集中度を検出する集中度検出手段と、前記集中度検出手段により検出される運転集中度に応じて前記所定のパターンの領域を拡大・縮小するパターン変更手段と、を備えることとすれば、運転者の運転集中度に対応した適切な時期に自車両の存在を他に認識させることができる。
【0020】
また、請求項10に記載する如く、請求項7乃至9の何れか一項記載の車両運転支援装置において、運転者の運転集中度を検出する集中度検出手段と、前記集中度検出手段により検出される運転集中度に応じて前記所定の補助パターンの領域を拡大・縮小する補助パターン変更手段と、を備えることとすれば、運転者の運転集中度に対応した適切な領域を自車両が注意すべき道路路面として設定することができる。
【0021】
また、請求項11に記載する如く、請求項1乃至10の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記所定のパターンが格子形状であり、かつ、車速を検出する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出される車速に応じて前記所定のパターン又は前記所定の補助パターンの格子間隔を変更する格子間隔変更手段と、を備えることとすれば、車速に応じた格子間隔を有するパターンが道路路面上に映し出されるので、自車両の存在と共にその速度を他に知らせることができる。
【0022】
また、請求項12に記載する如く、請求項7乃至11の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記所定の補助パターンが格子形状であり、かつ、車速を検出する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出される車速に応じて前記所定の補助パターンの格子間隔を変更する補助格子間隔変更手段と、を備えることとすれば、自車両が注意すべき道路路面の領域を車速に対応した密度で監視することができる。
【0023】
更に、請求項13に記載する如く、請求項1乃至12の何れか一項記載の車両運転支援装置において、道路路面上に描かれた交通標示に対応して照射される所定周波数帯域の光ビームを検出することにより、自車両の走行上注意すべき交通標示が存在すると判定する要注意交通標示判定手段を備えることとすれば、道路路面上に描かれた交通標示に対応して所定周波数帯域の光ビームが照射されるインフラが設けられている場合に、装置側が自車両の走行上注意すべき交通標示の存在を判定できるので、車両の安全走行を確保することが可能となる。
【0024】
ところで、請求項14に記載する如く、請求項1乃至13の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記所定のパターンが、車両の運動状態に基づいて推定される車体外接線であることとすれば、例えば車両がスリップする場合にもその車両挙動に従ったパターンで可視光ビームによる表示がなされるので、自車両の存在と共にその車両挙動を他に知らせることができ、或いは、その車両挙動を運転者が確認することができる。
【0025】
また、請求項15に記載する如く、請求項1乃至13の何れか一項記載の車両運転支援装置において、前記所定のパターンが、車両の旋回可能な旋回限界線であることとすれば、車両挙動が実際にスリップ等を起こす状態でなくても、車両の旋回限界線に従ったパターンで可視光ビームによる表示がなされるので、運転者が安全に走行できる範囲を確認することができる。
【0026】
また、上記の目的は、請求項16に記載する如く、自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する車両と、車両外に設けられ、前記車両が照射する難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、該難視認性光ビームにより道路路面に形成されるパターンを易視認性の周波数帯域に変換して表示する変換器と、を備える車両運転支援システムにより達成される。
【0027】
本発明において、車両は、道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する。また、変換器は、車両からの難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、その難視認性光ビームにより道路路面に形成されるパターンを易視認性の帯域に変換して表示する。かかるシステムにおいては、車両が難視認性光ビームを照射することで、変換器の表示画面を介して通行人や他車の運転者等が車両の存在を知ることができ、自車両の運転者がその進路を把握することができる。従って、本発明においては、車両が視認性の高い光ビームを照射する必要はないので、人を眩惑させることなく適切に変換器を介して、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を自車両の運転者に把握させることができる。
【0028】
尚、本発明において、「難視認性光ビーム」とは、人が視認し難い周波数帯域を有する光ビーム自体のことであり、赤外線等の非可視光のもの、及び、可視光でも人が視認し難い部分を含む概念である。また、「易視認性の周波数帯域」とは、上記した難視認性のものよりも人が視認し易い周波数帯域のことである。
【0029】
更に、上記の目的は、請求項17に記載する如く、自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する車両と、前記車両が照射する難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、照射された難視認性光ビームを易視認性の周波数帯域に変換することにより発光する材料が路面上に配設された道路と、を備える車両運転支援システムにより達成される。
【0030】
本発明において、車両は、道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する。また、道路路面上には、車両からの難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、照射された難視認性光ビームを易視認性の周波数帯域に変換することにより発光する材料が配設されている。かかるシステムにおいては、車両が難視認性光ビームを照射することにより道路路面上の材料が発光するので、これにより、通行人や他車の運転者等が車両の存在を知ることができる。従って、本発明においては、車両が視認性の高い光ビームを照射する必要はないので、人を眩惑させることなく適切に自車両の存在を他に認識させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施例である車両運転支援装置20の構成図を示す。また、図2は、本実施例の車両運転支援装置20を構成する部品の、車両22における搭載位置を説明するための図を示す。図1に示す如く、本実施例の車両運転支援装置20は、4つのビーム照射機24を備えている。ビーム照射機24は、図2に示す如く車体前部の左右側部それぞれに設けられていると共に、車体後部の左右側部それぞれに設けられている。車体左前部のビーム照射機24は車両左前方の道路路面上へ向けて、車体右前部のビーム照射機24は車両右前方の道路路面上へ向けて、車体左後部のビーム照射機24は車両左後方の道路路面上へ向けて、また、車体右後部のビーム照射機24は車両右後方の道路路面上へ向けて、それそれ、後に詳述する規則に従って光ビームを照射する。
【0032】
各ビーム照射機24は、半導体レーザからなるビーム発生器26、ビーム整形レンズ28、及び、偏光整形器30を備えている。ビーム発生器26は、可視光領域である例えば0.55μmの波長を有する光ビームを発生する。以下、この光ビームを可視光ビームと称す。ビーム発生器26には、ビーム用電子制御ユニット(以下、ビームECUと称す)32が接続されている。ビーム発生器26は、ビームECU32からの指令信号に基づいて、発生する可視光ビームの明度,色相を変更することができるように構成されている。また、ビーム整形レンズ28は、ビーム発生器26で発生した可視光ビームを整形する機能を有している。偏光整形器30は、ビーム整形レンズ28から出力された可視光ビームを偏光させる機能を有している。
【0033】
図3は、本実施例の偏光整形器30の具体的構成図を示す。本実施例において偏光整形器30は、図3(A)に示す如く、ガラス板34により構成されている。ガラス板34は、そのガラス面の法線方向と光軸との角度がブリュースター角となるように配置されている。かかる構成においては、可視光ビームの入射面に垂直な成分(すなわち、境界面(道路路面)に平行な成分;横偏光成分)の一部はガラス板34で反射する一方、入射面に平行な成分(すなわち、境界面に垂直な成分;縦偏光成分)はガラス板34で反射することなく透過する。尚、偏光整形器30は、ガラス板34に代えて、図3(B)に示す如く、可視光ビームの横偏光成分を反射させかつ縦偏光成分を透過させる偏光子36により構成されることとしてもよい。
【0034】
図1に示す如く、各ビーム照射機24は、また、例えば超音波偏向器又はガルバノミラーにより構成されるスキャンアクチュエータ38を備えている。スキャンアクチュエータ38は、偏光整形器30で偏光された可視光ビームを走査する機能を有している。スキャンアクチュエータ38には、上記したビームECU32が接続されている。ビームECU32は、可視光ビームによって道路路面に線形状のパターンが表れるようにスキャンアクチュエータ38を駆動する。スキャンアクチュエータ38は、ビームECU32からの指令に従って、偏光整形器30で偏光された可視光ビームを走査する。ビーム照射機24から可視光ビームが車両周辺の道路路面上に照射されると、道路路面に可視光ビームによる表示(可視光表示)が人に視認可能な状態となって映し出されることとなる。
【0035】
車両運転支援装置20は、また、要注意対象検知装置40を備えている。要注意対象検知装置40は、上記した4つのビーム照射機24と、4つの補助ビーム照射機42と、4つの撮像装置44と、により構成されている。補助ビーム照射機42および撮像装置44は共に、車体前部のグリル中央および車体後部のバンパ中央並びに車体側部中央の左右それぞれのミラーステイに設けられている。車体前部の補助ビーム照射機42は車両前方の道路路面上へ向けて、車体後部の補助ビーム照射機42は車両後方の道路路面上へ向けて、車体左側部の補助ビーム照射機42は車両左側方の道路路面上へ向けて、また、車体右側部の補助ビーム照射機42は車両右側方の道路路面上へ向けて、それそれ、後に詳述する規則に従って光ビームを照射する。車体前部の撮像装置44は車両前方の道路路面を、車体後部の撮像装置44は車両後方の道路路面を、車体左側部の撮像装置44は車両左側方の道路路面を、また、車体右側部の撮像装置44は車両右側方の道路路面を、それぞれ撮像する。
【0036】
要注意対象検知装置40は、ビーム照射機24、補助ビーム照射機42、及び撮像装置44を用いて、ビーム照射機24により可視光ビームが照射される道路路面を含む領域内に存在する人や物体等の障害物を検知すると共に、その領域内に進入する他車両や後述のインフラ施設等による可視光又は非可視光のパターンを検知する。
【0037】
各補助ビーム照射機42は、赤外線領域である例えば1.0μm〜1.4μm程度の波長を有する光ビームを発生する半導体レーザからなるビーム発生器と、ビーム発生器で発生した光ビームを整形するビーム整形レンズと、ビーム整形レンズから出力された光ビームを走査するスキャンアクチュエータと、を備えている。以下、ビーム照射機42から照射される光ビームを非可視光ビームと称す。補助ビーム照射機42のスキャンアクチュエータには、上記したビームECU32が接続されている。ビームECU32は、非可視光ビームによって道路路面に格子状のパターンが形成されるようにスキャンアクチュエータを駆動する。このスキャンアクチュエータは、ビームECU32からの指令に従って、ビーム整形レンズで発生する非可視光ビームを走査する。各補助ビーム照射機42は、車両周囲の予め定められた分割領域内の道路路面上に向けて格子状のパターンで非可視光ビームを照射する。
【0038】
各撮像装置44は、対応する補助ビーム照射機42の照射領域として予め定められている分割領域の全道路路面を撮像するカメラ46と、対応の補助ビーム照射機42が照射する非可視光ビームの周波数帯域の成分をも通過させる周波数フィルタ48と、所定の広がり角度を有する広角レンズ50と、を備えている。各撮像装置44は、ビーム照射機24が照射する可視光ビームにより道路路面に映し出された表示を撮像すると共に、対応する補助ビーム照射機42が照射する非可視光ビームにより道路路面に形成されるパターンを可視光領域の周波数帯域に変換して撮像する。
【0039】
図4は、本実施例において、ビーム照射機24により可視光ビームが照射されるべき道路路面および補助ビーム照射機42により非可視光ビームが照射されるべき道路路面に、何ら障害物および他車両等による可視光又は非可視光ビームのパターンが存在しないものとした場合に、撮像装置44に撮像される画像を説明するための図を示す。尚、図4(A)にはビーム照射機24,42が照射するビームをその伝播方向と直交する方向から見た場合の側面視を、図4(B)にはビーム照射機24,42が照射するビームにより道路路面上に形成されるパターンを撮像装置44のカメラ視点で見た場合の鳥瞰視を、また、図4(C)にはビーム照射機24,42が照射するビームにより道路路面上に形成されるパターンを上方から見た場合の平面視を、それぞれ示す。また、図4(A)〜(C)においては、可視光ビームによるパターン(以下、可視光パターンと称す)を破線で、また、非可視光ビームによるパターン(以下、非可視光パターンと称す)を実線で、それぞれ示す。
【0040】
道路路面に何ら障害物や他車両等による可視光又は非可視光ビームのパターンが存在しないものとした場合には、図4(特に、(B)及び(C))に示す如く、可視光ビームおよび非可視光ビームにより道路路面に形成されるパターンがそれぞれ通常どおり線形状,格子形状となるので、撮像装置44による画像に映るそれらのパターンも、道路路面の線形状,格子形状に合致したものとなる。
【0041】
一方、車両22におけるビーム照射位置とビームが照射されるべき道路路面との間に障害物が存在する場合には、その障害物にビームが当たるため、可視光ビーム又は非可視光ビームにより道路路面に形成されるパターンが所望の形状とならない。この場合には、撮像装置44による画像に映るパターンも、道路路面における所望の線形状および所望の格子形状に合致したものとはならない。また、道路路面に自己の車両22によるビームのパターンと共に、他車両等による可視光又は非可視光ビームのパターンとが混在する場合には、自車両22のビームにより道路路面に形成されるパターンは所望の形状とは一致するが、他車両等のものも含めた全ビームにより道路路面に形成されるパターンは自車両22における所望の形状とは完全一致しない。この場合には、撮像装置44による画像に映るパターンも、道路路面における自車両22における所望の線形状および所望の格子形状に完全合致したものとはならない。
【0042】
図1に示す如く、各撮像装置44には、ビームECU32が接続されている。撮像装置44で撮像された画像は、ビームECU32に供給される。ビームECU32は、撮像装置44からの画像を処理することにより可視光ビームによるパターンおよび非可視光ビームによるパターンをそれぞれ抽出する。そして、撮像画像におけるそれらの抽出したパターンの位置が、可視光ビームおよび非可視光ビームが照射される道路路面に何ら障害物等が存在しないものとした場合に実現されるパターンの位置と略一致するか否かを判別する。
【0043】
その結果、両パターンの位置が一致しないと判別した場合にはその一致しない部分における位置に障害物が存在すると判定する。一方、両パターンの位置は一致するが、撮像画像に他のパターンがある場合には自車両22と他車両等とが相対的に近づいている状態にあると判定し、その撮像画像における他のパターンを他車両等の要注意対象として把握する。ビームECU32には、車室内の運転者に視認可能な位置に配設された表示ディスプレイ52、及び、車室内に向けて音声を出力する警報スピーカ54が接続されている。
【0044】
図5は、本実施例の表示ディスプレイ52の表示画面の一例を表した図を示す。本実施例において、表示ディスプレイ52には、車両22を上面から見たものとした場合の各補助ビーム照射機42および各撮像装置44の搭載位置並びにビーム照射機24の搭載位置と共に、各ビーム照射機24,42の照射領域および撮像装置44の撮像領域が模式的に表示される。尚、図5においては、各ビーム照射機24の照射領域が斜線で示されると共に、各撮像装置44の撮像領域がビーム照射機24の照射領域を含む点線で囲まれる領域であって、対応の補助ビーム照射機42の照射領域よりも僅かに広い領域である。
【0045】
ビームECU32は、撮像装置44からの画像に基づいてビームによるパターンの上記した不整合状態を検知した場合、表示ディスプレイ52にその不整合位置に対応する障害物の位置または他車両等によるパターンの位置を明示させると共に、警報スピーカ54に所定の領域内に障害物等が存在する旨の音声を出力させる。この場合、表示ディスプレイ52には障害物等の位置が模式的に表示されると共に、警報スピーカ54からは音声案内が発せられる。
【0046】
ビームECU32には、また、ブレーキECU60及びステアリングECU62が接続されている。ブレーキECU60は、車両22の制動力をブレーキアクチュエータを用いて制御する。また、ステアリングECU62は、車両22を操舵するうえで必要な操舵力を操舵アクチュエータを用いて制御する。ビームECU32は、撮像装置44からの画像に基づいて実パターンの位置と理想パターンの位置との不一致状態を判定した場合には、表示ディスプレイ52及び警報スピーカ54を駆動すると共に、車両22が障害物に衝突しないように制動させるべくブレーキECU60に制動力制御信号を供給し、或いは、車両22が障害物に衝突しないように操舵させるべくステアリングECU62に操舵力制御信号を供給する。この場合、ブレーキECU60又はステアリングECU62は、ビームECU32からの指令に従って、車両22が障害物に衝突しないように制動力又は操舵力を発生させる。
【0047】
ブレーキECU60は、車速センサ等を用いて車両22の車速を検出すると共に、ヨーレートセンサや前後加速度センサ,横加速度センサ等を用いて車両22の運動状態量を検出する。また、ステアリングECU62は、舵角センサ等を用いて車両22の舵角を検出すると共に、操舵トルクセンサ等を用いて車両22の操舵力を検出する。これらの検出信号はすべて、ビームECU32に供給されている。ビームECU32は、ブレーキECU60及びステアリングECU62からのセンサ信号に基づいて、車速、運動状態量、舵角、及び操舵力を検出する。
【0048】
ビームECU32には、更に、車室内の運転席正面上部に配設されたカメラ64が接続されている。カメラ64は、運転者の顔に指向されており、運転者の顔を撮像する。カメラ64で撮影された画面は、ビームECU32に供給されている。ビームECU32は、カメラ64からの画像に基づいて運転者の運転集中度を検出する。
【0049】
運転者が集中して運転している場合には、運転者が車両前方に顔を向けて運転する状態が継続する。一方、運転者が集中することなく運転している場合には、運転者が車両前方に顔を向けることなく運転する状態が頻発する。運転者が車両前方に顔を向けて運転する場合は、カメラ64からの画像に運転者の顔が左右対称に現れる。一方、運転者が車両前方に顔を向けることなく運転する場合は、カメラ64からの画像に運転者の顔が非対称となって現れる。従って、ビームECU32は、カメラ64からの画像について運転者の顔の部分を検出すべくエッジ処理を行い、そのエッジの分布状態に基づいて運転者が正面を向いているか或いは脇見をしているか否かを判別する。そして、運転者が正面を向く状態の継続時間に基づいて運転集中度を検出する。
【0050】
次に、本実施例の車両運転支援装置20のビーム照射機24が可視光ビームを照射すべき道路路面上の領域について説明する。
【0051】
本実施例において、ビームECU32は、まず、検出した車速、運動状態量、舵角、及び操舵力に基づいて車両22が走行すると推定される走行軌跡を算出し、その走行軌跡を走行した場合に車体が通過する部分と通過しない部分との左右それぞれの境界線、すなわち、車体最外部が接する線(以下、車体外接線と称す)を算出する。そして、両車体外接線を可視光ビームにより道路路面に映し出すべき線として割り当て、両車体外接線から車速や加速度,減速度に応じた分だけ抽出する。ビームECU32は、それぞれ抽出した部分が共に可視光パターンとして道路路面上に適当な位置に映し出されるように、左右2つのビーム照射機24のスキャンアクチュエータ38をそれぞれ駆動する。
【0052】
図6は、本実施例において、車両22がスリップする状況下で可視光ビームにより道路路面に映し出される可視光パターンを模式的に表した図を示す。車両22が直進する場合には、道路路面上に映し出される可視光ビームによる可視光パターンが、ほぼ車体側面に沿ったものとなる。また、車両22がスリップすることなく前進旋回する場合には、可視光パターンが、旋回内側については車体内側後部に沿ったものとなり、旋回外側については車体外側前部に沿ったものとなる。一方、車両22がスリップする場合には、可視光パターンが、図6に示す如く、車両22の運動状態に基づく車体外接線に沿ったものとなる。
【0053】
このように、本実施例によれば、車両22が走行すると予想される軌跡に従った可視光パターンを、人が視認可能な可視光領域で照射される可視光ビームにより道路路面に映し出すことができる。かかる表示がなされると、通行人や他車の運転者等は、目視ではその車両自体を見ることが不可能であっても、その道路路面の表示を視認することにより、車両が近くに存在することを知ることが可能となる。従って、本実施例の車両運転支援装置20によれば、道路路面への視認可能な表示により自車両の存在について他者に注意を喚起し、自車両の存在を他者に迅速に知らせることができると共に、自車両の進路を自車両の運転者に把握させることができる。これにより、車両22を走行させる際の安全性を向上させることが可能となっている。
【0054】
尚、この際、道路路面に映し出される可視光パターンは、車両22の運動状態から導き出される車両挙動に応じたもの、具体的には、車両22が走行すると推定される走行軌跡の車体外接線である。通行人や他車の運転者等は、車両が近くに存在することと共に更に、自車両の運転者も含めて、その車両が走行すると予想される領域を把握することができる。従って、本実施例においては、自車両の存在と共にその車両挙動を他者に知らせることができ、また、その車両挙動を運転者に確認させることができ、これにより、車両走行上の安全性を更に向上させることが可能となっている。
【0055】
図7は、本実施例において車体前部左右にそれぞれ設けられたビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンの位置および車両進行方向長さの設定手法を説明するための図を示す。図7(A)には車両22が停車している場合及び微低速で走行する場合を、図7(B)には車両22が高速で走行する場合及び加速・発進する場合を、それぞれ示している。
【0056】
車両22が停車している場合や微速走行する場合は、制動による停車距離が比較的短いので、車両22が存在することを前方遠方の人等に知らせなくても十分に安全走行が確保される。一方、車両22が高速走行する場合や加速・発進する場合は、制動による停車距離が比較的長いので、車両22の安全走行を確保するうえでは、その存在を前方遠方の人等に知らせることが必要となる。
【0057】
そこで、図7に示す如く、車両22が停止している場合及び微速走行する場合には、車両近傍に車両進行方向長さの短い可視光パターンが道路路面上に映し出されるように、車体前部のビーム照射機24から可視光ビームが照射される。一方、車両22が高速走行する場合及び加速・発進する場合には、車両遠方に車両進行方向長さの長い可視光パターンが映し出されるように可視光ビームが照射される。すなわち、本実施例において、車体前部のビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンは、その車両に対する前方位置およびその長さが車両22の前方への速度・加速度に応じて変更されるようになっている。従って、本実施例においては、車両22の前方への速度・加速度に応じた可視光パターンが車両前方の道路路面に映し出されるので、周囲の通行人や他車の運転者等にその車両22の速度・加速度状態をある程度把握させることができると共に、必要かつ十分に自車両の存在を他者に知らせることが可能となっている。
【0058】
図8は、本実施例において車体後部左右にそれぞれ設けられたビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンの位置および車両進行方向長さの設定手法を説明するための図を示す。図8(A)には車両22が前方に定速走行する場合を、図8(B)には車両22が減速する場合及び後退する場合を、それぞれ示している。
【0059】
車両22が定速走行する場合は、その車両22の走行が後続の車両の走行に影響を与えるものではないので、自車両22の走行状態を後続車両の運転者等に知らせることは不要である。一方、車両22が減速する場合や後退する場合は、その走行が後続の車両の走行に影響を与えるものであるので、自車両22の走行状態(すなわち、減速,後退)を後続車両の運転者等に速やかに知らせる必要がある。
【0060】
そこで、図8に示す如く、車両22が定速走行する場合には、車両近傍に車両進行方向長さの短い可視光パターンが道路路面上に映し出されるように、車体後部のビーム照射機24から可視光ビームが照射される。一方、車両22が減速する場合及び後退する場合には、比較的車両遠方に車両進行方向長さの中程度の可視光パターンが映し出されるように可視光ビームが照射される。すなわち、本実施例において、車体後部のビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンは、その車両に対する後方位置およびその長さが車両22の後方への源速度および後退の有無に応じて変更されるようになっている。従って、本実施例においては、車両22の後方への源速度及び後退の有無に応じた可視光パターンが車両後方に映し出されるので、周囲の通行人や他車の運転者等にその車両22の減速度状態・後退の有無を把握させることができ、特に、後続する車両の運転者に対して減速についての注意を喚起することができる。
【0061】
図9は、本実施例において、車両22が旋回する際にビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンの位置の設定手法を説明するための図を示す。図9に示す如く、車両22が旋回走行する場合には、車速、舵角、ヨーレート等の車両運動状態に基づいた車両22が走行すると予想される走行軌跡に沿って可視光パターンが道路路面上に映し出されるように、ビーム照射機24から可視光ビームが照射される。
【0062】
すなわち、本実施例において、ビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンは、車両運動状態に応じて位置変化する。従って、本実施例においては、車両22の運動状態に応じた可視光パターンが道路路面に映し出されるので、周囲の通行人や他車の運転者等、特に、交差点等における横断歩道の歩行者や、巻き込まれる可能性のある後続のバイク,自転車等の運転者にその車両22の予想走行軌跡を知らせることが可能となっている。このため、本実施例によれば、車両22が走行するうえでの安全性を向上させることができる。
【0063】
図10は、本実施例において、車両22が後退駐車する際に車体後部左右にそれぞれ設けられたビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンの位置の設定手法を説明するための図を示す。図10に示す如く、運転者がシフトレバーをパーキング位置に操作することにより車両22が後退駐車する場合には、車両22が走行すると予想される走行軌跡に沿って一定の長さを有する可視光パターンが車両後方の道路路面上に映し出されるように、車体後部のビーム照射機24から可視光ビームが照射される。
【0064】
すなわち、本実施例において、車両後部のビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンは、車両運動状態に応じて位置変化する。従って、本実施例においては、後退駐車時に車両運動状態に応じた可視光パターンが車両後方の道路路面に映し出されるので、周囲の人や他車の運転者等、特に、駐車スペース内にいる人にその車両22が後退することおよびその際の予想走行軌跡を知らせることができ、また、車両22の運転者にとっては道路路面に映し出された可視光パターンを実景で見ることができる。このため、本実施例によれば、駐車時における安全性を向上させることができると共に、駐車操作をアシストすることができる。
【0065】
また、運転者の運転集中度が高い場合は、車両22が走行上支障をきたす状況に陥ったとしても、運転者が速やかにその回避操作を行うことが可能であるので、車両運転支援装置20において監視すべき道路路面の領域は小さくても十分であり、また、自車両22の存在を通行人等に知らせるべき領域も小さくてよい。一方、運転者が脇見を頻繁に行いその運転集中度が低下する場合は、車両22が走行上支障をきたす状況に陥った際に運転者による回避操作が遅れる可能性があるので、車両運転支援装置20において監視すべき道路路面の領域は大きくする必要があると共に、自車両22の存在を他者に早期に知らせることが適切である。
【0066】
そこで、本実施例においては、検出された運転者の運転集中度の度合いに応じた車両進行方向長さを有する可視光パターンが道路路面上に映し出されるように、具体的には、運転集中度が比較的高い場合には長さの短い可視光パターンが、また、運転集中度が比較的低い場合には車両進行方向へ向けて長さの延長された可視光パターンが道路路面上に映し出されるように、ビーム照射機24から可視光ビームが照射される。すなわち、ビーム照射機24が照射する可視光ビームによる可視光パターンは、その車両進行方向長さが運転者の運転集中度に応じて拡大・縮小されるようになっている。
【0067】
従って、本実施例においては、運転者の運転集中度に応じた車両進行方向長さの可視光パターンが道路路面に映し出されるので、運転集中度が低い場合には車両22の存在を早期に他者に知らせることが可能となり、これにより、運転者の運転集中度に対応した適切な時期に自車両22の存在を他者に認識させることが可能となっている。
【0068】
また、この際、検出された運転者の運転集中度の度合いに応じた車両進行方向長さを有する非可視光パターンが道路路面上に形成されるように、具体的には、運転集中度が比較的高い場合には長さの短い非可視光パターンが、また、運転集中度が比較的低い場合には車両進行方向へ向けて長さの延長された非可視光パターンが道路路面上に形成されるように、補助ビーム照射機42から非可視光ビームが照射される。すなわち、補助ビーム照射機42が照射する非可視光ビームによる非可視光パターンは、その車両進行方向長さが運転者の運転集中度に応じて拡大・縮小されるようになっている。
【0069】
従って、本実施例においては、運転者の運転集中度に応じた車両進行方向長さの非可視光パターンが道路路面に形成されるので、運転集中度が低い場合には車両22から比較的遠方までの領域を自車両22が注意すべき要注意対象が存在するか否かの監視領域として設定することができ、これにより、運転者の運転集中度に対応した適切な領域を自車両22が注意すべき道路路面として適用することができる。
【0070】
更に、本実施例において、補助ビーム照射機42は、車両22の車速に応じた格子間隔を有する非可視光パターンが道路路面上に形成されるように、具体的には、車速が大きいほど格子間隔が大きく、車速が小さいほど格子間隔が小さい非可視光パターンが道路路面上に形成されるように非可視光ビームを照射する。すなわち、補助ビーム照射機42が照射する非可視光ビームによる非可視光パターンは、その格子間隔が車速に応じて変更されるようになっている。
【0071】
従って、本実施例においては、車速に応じた格子間隔を有する非可視光パターンが道路路面に形成されるので、車速が小さい場合には障害物等の要注意対象が存在するか否かについて自車両が注意すべき道路路面の領域内を高密度で監視することができ、これにより、自車両が注意すべき道路路面の領域を車速に対応した密度で監視することが可能となっている。
【0072】
次に、本実施例の車両運転支援装置20の動作について説明する。
【0073】
本実施例において、ビームECU32は、ビーム照射機24から可視光ビーム照射し、補助ビーム照射機42から非可視光ビームを照射する状況下、撮像装置44からの画像を処理することにより可視光ビームによるパターンおよび非可視光ビームによるパターンをそれぞれ抽出し、それらの抽出したパターンの位置がそれぞれ所望の位置と略一致するか否かを判別する。その結果、両パターンの位置が一致すると判別する場合には、車両22におけるビーム照射位置とそのビームが照射されるべき道路路面との間に障害物が存在していないと判断できるので、ブレーキECU60およびステアリングECU62に対してブレーキ指令およびステアリング指令を行わない。
【0074】
一方、ビームECU32は、抽出した両パターンの位置が所望のものと一致しないと判別する場合には、車両22におけるビーム照射位置とそのビームが照射されるべき道路路面との間に障害物が存在すると判断できるので、かかる不一致地点に障害物が存在するとして、表示ディスプレイ52および警報スピーカ54を駆動すると共に、車両22がその障害物に衝突しないように制動・操舵させるべく、ブレーキECU60に対して制動力制御信号,ステアリングECU62に対して操舵力制御信号を供給する。
【0075】
この場合、表示ディスプレイ52は障害物位置を模式的に表示し、警報スピーカ54はその旨の音声案内を行い、また、ブレーキECU60およびステアリングECU62はビームECU32からの指令に従って制動力又は操舵力を発生させる。従って、本実施例によれば、自車両22の走行上回避すべき障害物の存在を判定できるので、その旨の運転者への注意を喚起できると共に、車両22と障害物との衝突を運転者の車両操作によることなく回避することができる。これにより、車両の安全走行が確保されることとなる。
【0076】
また、ビームECU32は、抽出した両パターンの位置がその全体として所望のものに完全一致するか否かを判別する。その結果、両パターンの位置が一致する一方で完全一致しないと判別された場合には、道路路面に自己のビームによるパターンと他車両等のビームによるパターンとが混在していると判断できるので、自車両22に相対的に近づく他車両等が存在するとして、表示ディスプレイ52および警報スピーカ54を駆動する。
【0077】
この場合、表示ディスプレイ52は他車両等のビームによるパターンを視認性よく模式的に表示し、警報スピーカ54はその旨の音声案内を行う。従って、本実施例によれば、自車両22の走行上注意が必要な障害物が相対的に近づいていることを判定できるので、その旨の運転者への注意を喚起することができる。これにより、車両の安全走行が確保されることとなる。
【0078】
図11および図12は、本実施例におけるインフラ施設を説明するための図を示す。本実施例において、インフラ施設は、道路に沿って配設された多数のビーム照射機80を備えている。各ビーム照射機80は、上記した補助ビーム照射機42と同様に、赤外線領域である波長を有する非可視光ビームを発生する半導体レーザからなるビーム発生器を備えている。インフラ施設は、交差点を横切る歩行者のために道路路面上に白線で描かれた横断歩道82等の交通標示を有している。交差点に設けられたビーム照射機80は、図11に示す如く、道路路面上に向けて横断歩道82の外延を囲むようなパターンで非可視光ビームを照射する。
【0079】
また、道路に沿って設けられたビーム照射機80は、通常、道路の路肩に沿ったパターンで線が形成されるように非可視光ビームを照射する。インフラ施設は、道路脇に一定間隔で設けられた障害物検知センサ(図示せず)を有している。この障害物検知センサは、道路に駐車された車両等の障害物を検知するためのセンサである。インフラ施設が障害物検知センサを用いて道路に駐車車両等の障害物が存在することを検知した場合、道路に沿って設けられたビーム照射機80は、図12に示す如く、その障害物を避けたパターンで線が形成されるように非可視光ビームを照射する。
【0080】
インフラ施設によりこのように車両と同様にビームによるパターンが道路路面に形成される場合には、車両22の撮像装置44がインフラ施設側の照射する非可視光ビームの周波数帯域に感度を有すれば、車両22において撮像装置44による画像に基づいて、自車両22が横断歩道82や路肩等に近づいているのを判別することが可能となる。この場合には、運転者の操作によらずに、車両22のインフラ施設への接近状態に基づいて、表示ディスプレイ42や警報スピーカ54を用いて運転者にその旨の注意を喚起することが可能となり、また、ブレーキやステアリングによる車両走行制御を行うことが可能となる。
【0081】
このように、本実施例の車両運転支援装置20によれば、要注意対象検知装置40を用いて自車両22が走行するうえで注意すべき横断歩道等のインフラや人,他車両等の障害物の存在を判定することができると共に、その判定結果を用いて車両22の走行制御や運転者への注意喚起を行うことができる。このため、本実施例の車両運転支援装置20によれば、車両22が走行する際の安全性を向上させることが可能となっている。
【0082】
尚、インフラ施設側が照射する非可視光ビームの周波数帯域と、車両が照射する非可視光ビームの周波数帯域とを互いに異ならせることとしてもよい。かかる構成によれば、撮像画像に自車両によるパターン以外のパターンが混在する場合に、そのパターンがインフラ側のものであるのか或いは他車両のものであるのかを区別することができるので、車両制御を木目細かく行うことが可能となる。また、インフラ施設側が照射する非可視光ビームの周波数帯域を車両走行上の危険度に応じて異ならせることとしてもよい。この場合には、車両が通常時は通過する横断歩道等の交通標示と、車両の進入が禁止される路肩とを区別することができるので、車両制御を木目細かく行うことが可能となる。
【0083】
ところで、本実施例においては、0.55μmの波長を有する可視光ビームがビーム照射器24から道路路面上に照射されるが、かかる波長の可視光ビームが人の目に入ると、その人を眩惑させることとなり、自車両22の存在を適切に他者に認識させることが困難となると共に、その人にダメージを与えることとなる。従って、ビーム照射器24から照射される可視光ビームが人の目に入らないようにする必要がある。
【0084】
図13は、本実施例において、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが照射されるべき道路路面の位置との間に人90が進入していない場合と進入している場合とで、可視光ビームが照射される道路路面上の照射領域を比較した図を示す。尚、図13(A)には人90が進入していない場合を、図13(B)には人90が進入している場合を、それぞれ示す。また、図14は、本実施例において、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが照射されるべき道路路面の位置との間に人90が進入する場合に、可視光ビームが照射される道路路面上の照射領域を設定する手法を説明するための図を示す。
【0085】
尚、図14(A)にはビーム照射機24,42が照射するビームをその伝播方向と直交する方向から見た場合の側面視を、図14(B)にはビーム照射機24,42が照射するビームにより道路路面上に形成されるパターンを撮像装置44のカメラ視点で見た場合の鳥瞰視を、図14(C)にはビーム照射機24,42が照射するビームにより道路路面上に形成されるパターンを上方から見た場合の平面視を、また、図14(D)には本実施例において可視光ビームにより道路路面上に形成される可視光パターンを変更した後の状況を上方から見た場合の平面しを、それぞれ示す。また、図14(A)〜(D)においては、可視光ビームによる可視光パターンを破線で、また、非可視光ビームによる非可視光パターンを実線で、それぞれ示す。
【0086】
図13(A)に示す如く、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に人90が進入していない場合は、車両22のビーム照射器24から照射される可視光ビームによって道路路面に映し出されるパターン、および、補助ビーム照射器42から照射される非可視光ビームによって道路路面に形成されるパターンは共に通常どおり所望のパターンとなる。一方、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に人90が進入すると、その可視光ビームおよび非可視光ビームが図14(B)に示す如く人90に当たり、それ以上遠くへ伝播しないこととなるので、道路路面に形成されるパターンが図14(C)に示す如く所望のパターンと一致しない事態が生ずる。
【0087】
本実施例において、ビームECU32は、可視光ビームが照射されるべき道路路面上の位置(すなわち、可視光パターンの位置)を適宜特定してスキャンアクチュエータ38を駆動しているので、可視光ビームによる可視光パターンと非可視光ビームによる非可視光パターンとの位置関係を適宜把握している。そこで、本実施例においては、撮像装置44による画像が処理された結果としての非可視光ビームによる非可視光パターンが所望のパターンと一致しない状況下、その一致しない部分に、可視光ビームが照射されるべき可視光パターンの位置が含まれるか否かが判別される。そして、その部分に照射されるべき可視光パターンの位置が含まれると判別された場合、図13(B)および図14(D)に示す如く、その位置を避けることによりその位置までの可視光パターンが設定され、その可視光パターンが道路路面に映し出されるように可視光ビームが照射される。
【0088】
かかる構成においては、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に人が存在する場合に、可視光ビームがその人に当たることなく、道路路面に可視光ビームによる可視光パターンが映し出される。従って、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に存在する人の目に可視光ビームが入ることは回避されるため、その人に対して可視光ビームに起因する眩惑を与えることは防止される。
【0089】
尚、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に存在する人に可視光ビームが当たる場合は、その可視光ビーム自体のパターンが所望のパターンと一致しなくなる。そこで、本実施例においては、上記した非可視光ビームによる非可視光パターンの処理と共に、撮像装置44により画像が処理された結果として可視光ビームによる可視光パターンが所望のパターンと一致しない場合に、その一致しない部分を避けた可視光パターンが設定され、その可視光パターンが道路路面に映し出されるように可視光ビームが照射される。かかる構成においては、車両22のビーム照射位置と可視光ビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に存在する人に可視光ビームが当たらないようにパターン変更されるため、その人の目に可視光ビームが入ることは回避される。これにより、かかる手法においても、上記の非可視光ビームによる場合と同様の効果を得ることができる。
【0090】
図15は、上記の機能を実現すべく、本実施例においてビームECU32が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図15に示すルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図15に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0091】
ステップ100では、撮像装置44が撮像した画像を取り込む処理が実行される。ステップ102では、上記ステップ100で取り込んだ画像を処理することにより可視光ビームによる可視光パターンおよび非可視光ビームによる非可視光パターンをそれぞれ抽出する処理が実行される。
【0092】
ステップ104では、上記ステップ102で抽出されたパターンの位置が所望の位置と略一致するか否かを判別することによりパターンの乱れ箇所(=パターンが一致しない部分)を抽出する処理が実行され、車両22のビーム照射位置とビームが所望のパターンで照射されるべき道路路面の位置との間に人等の障害物が存在するか否かを判定する処理が実行される。
【0093】
ステップ106では、上記ステップ104でパターンの乱れ箇所が抽出され、その箇所が可視光ビームが照射されるべき所望の可視光パターンの位置である場合、可視光ビームによる可視光パターンをその位置を避けたパターンに変更する処理が実行される。本ステップ106の処理が実行されると、以後、スキャンアクチュエータ38の走査領域が変更されることによりビーム照射機24が障害物を避けたパターンで可視光ビームを照射し、道路路面に障害物を避けたパターンが映し出されることとなる。
【0094】
そして、ステップ108では、車両20から所定領域内に障害物が存在する旨を警報スピーカ54から音声案内すると共に、その障害物の位置を表示ディスプレイ52に表示する処理が実行される。本ステップ108の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0095】
上記図15に示すルーチンによれば、撮像装置44からの画像を処理した結果としての非可視光ビームによる非可視光パターンおよび可視光ビームによる可視光パターンの何れかが所望のパターンと一致しない状況下において、そのパターンの乱れ箇所が可視光ビームが照射されるべき所望の可視光パターンの位置である場合に、可視光ビームによる可視光パターンをその位置を避けたパターンに変更することができる。
【0096】
かかる構成によれば、そのパターンの乱れが人の存在に起因する場合、すなわち、人が可視光ビームの照射領域に存在する場合にも、可視光ビームをその人に当てない範囲で、可視光ビームによる可視光パターンを道路路面に映し出すことができる。この場合には、その人の目に可視光ビームが入ることが回避されると共に、通行人等が自車両の存在を知ることができ、自車両の運転者がその進路をに把握することができる。従って、本実施例の車両運転支援装置20によれば、可視光ビームの照射領域内に存在する障害物が人であっても、その人を眩惑させることなく、適切に自車両の存在を他者に認識させることができ、自車両の進路を自車両の運転者に把握させることができる。
【0097】
また、可視光ビームの照射領域内に人が存在しない場合であっても、雨等で濡れた道路路面上に可視光ビームが照射されると、その入射光が反射され易くなるので、高レベルの反射波が入射面上に存在する通行人や他車の運転者等の目に入るおそれがある。従って、かかる場合においても、可視光ビームの高レベルの反射波が人の目に入らないようにする必要がある。尚、可視光ビームの反射光には、入射面に垂直な(すなわち、路面に平行な)横偏光成分が多く含まれ、その横偏光成分が反射され易いという光学的特性がある。
【0098】
図16は、本実施例において、ビーム照射機24が照射する可視光ビームの状態を説明するための図を示す。尚、図16(A)には偏光整形器30を有しない対比装置の場合における可視光ビームの反射波の状態を、図16(B)には本実施例の場合における可視光ビームの反射波の状態を、それぞれ示す。
【0099】
本実施例において、ビーム照射機24は、上記の如く、ビーム整形レンズ28から出力された可視光ビームを偏光させる偏光整形器30を備えている。偏光整形器30は、そのガラス面の法線方向と光軸との角度がブリュースター角となるように配置されたガラス板34により構成される。かかる構成においては、可視光ビームの道路路面に平行な横偏光成分の一部がガラス板34で反射するので、図16に示す如く、可視光ビームの進行方向に伝播する横偏光成分が減衰される。
【0100】
上述の如く、可視光ビームの反射光には、道路路面に平行な横偏光成分が多く含まれるので、横偏光成分が減衰された可視光ビームが道路路面で反射しても、その反射波の強度は小さく抑えられる。このため、反射波が高レベルとなることはなく、高レベルの反射波が人の目に入ることに起因してその人が眩惑される事態の発生は抑制される。従って、本実施例においては、可視光ビームの進行方向に人が存在する場合にも、その人を眩惑させることなく適切に自車両22の存在を他者に知らせることができる。
【0101】
更に、道路路面上に可視光ビームが照射されているにもかかわらず、その道路路面に映し出された可視光パターンの表示が路面との色彩関係で視認し難いものとなることがある。かかる事態が生ずると、通行人等は可視光ビームによる道路路面の表示を視認することが困難となり、車両の存在が適切に他者に認識され難くなってしまう。従って、かかる場合には、そのパターン表示を視認し易いものとする必要がある。
【0102】
図17は、本実施例において、道路路面に映し出された視認し難い可視光パターンを視認し易いものとする手法を説明するための図を示す。尚、図17(A)には可視光パターンが映し出されている道路路面を撮像装置44が撮像した結果得られた画像を、図17(B)には図17(A)に示す撮像画像における点線部分について横軸を位置とし縦軸をコントラストとした図を、また、図17(C)には図17(A)に示す撮像画像における点線部分について本実施例においてコントラストの補正を施した結果得られた図を示す。
【0103】
本実施例において、ビームECU32は、可視光ビームが照射されるべき道路路面上の位置を特定してスキャンアクチュエータ38を駆動するので、撮像装置44からの画像における可視光パターンの位置を把握できる。そこで、ビームECU32は、撮像装置44からの画像に基づいて、その画像における可視光パターンの位置近傍のコントラスト、具体的には、その画像において可視光パターンが表示されている部分と表示されていない部分とのコントラストを検出する。尚、本実施例において、コントラストとは、撮像装置44の特性から求まる画像中の識別可否性を示す指標である。
【0104】
ビームECU32は、撮像装置44からの画像について可視光パターン近傍のコントラストが著しく現れている場合には、ビーム発生器26で発生させる可視光ビームの明度,色相を維持する一方、図17(B)に示す如くコントラストがほとんど現れていない場合には、ビーム発生器26に発生させる可視光ビームの明度,色相を、道路路面上のコントラストが著しくなるように変更させる(図17(C))。具体的には、道路路面が明るい場合には、道路路面が暗い場合に比して強度の大きな可視光ビームが照射されるように出力調整し、或いは、コントラストが著しくなるように発生させる可視光ビームの周波数を変更する。
【0105】
かかる構成によれば、可視光ビームが照射されている道路路面における可視光パターンの表示部分とその他の部分とが色彩関係で視認し難いものであると、そのコントラストが著しくなるように可視光ビームの光学的な特性が変更されるので、通行人等は車両22からの可視光ビームによる道路路面上の可視光パターン表示を視認し易くなる。
【0106】
図18は、上記の機能を実現すべく、本実施例においてビームECU32が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図18に示すルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図18に示すルーチンが起動されると、まずステップ150の処理が実行される。
【0107】
ステップ150では、撮像装置44からの画像における可視光パターンの位置近傍のコントラスト(=CMAX−CMIN)が所定の基準(=ΔC0)を上回るほど著しいものであるか否かが判別される。その結果、CMAX−CMIN≧ΔC0が成立する、すなわち、コントラストが著しいものであると判別された場合は、次にステップ152の処理が実行され、ビーム発生器26で発生させる可視光ビームの光学的特性を維持する処理が実行される。一方、CMAX−CMIN≧ΔC0が成立しない、すなわち、コントラストがほとんど現れていないと判別された場合は、次にステップ154の処理が実行される。
【0108】
ステップ154では、ビーム発生器26に対して、道路路面上のコントラストが著しくなるように可視光ビームの明度を調整すべき指令を行う処理が実行される。本ステップ154の処理が実行されると、ビーム発生器26が、発生させる可視光ビームの出力調整を行うことによりその明度を調整するので、道路路面上に照射される可視光ビームの明度が変更され、道路路面上のコントラストが著しいものへ変化する。
【0109】
ステップ156では、上記ステップ154で可視光ビームの明度が調整された後に、撮像装置44からの画像における可視光パターンの位置近傍のコントラストが所定の基準を上回るほど著しいものとなっているか否かが判別される。その結果、コントラストが著しいものとなっていると判別された場合は、次に上記ステップ152において発生させる可視光ビームの光学的特性を維持する処理が実行される。一方、コントラストが著しいものとなっていないと判別された場合は、次にステップ158の処理が実行される。
【0110】
ステップ158では、ビーム発生器26に対して、道路路面上のコントラストが著しくなるように可視光ビームの色相を調整すべき指令を行う処理が実行される。本ステップ158の処理が実行されると、ビーム発生器26が、発生させる可視光ビームの周波数調整を行うことによりその色相を調整するので、道路面上に照射される可視光ビームの色相が変更され、道路路面上のコントラストが著しいものへ変化する。本ステップ158の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0111】
上記図18に示すルーチンによれば、撮像装置44からの画像に基づいて検出された、可視光ビームが照射されている道路路面上のコントラストに応じて、発生させる可視光ビームの明度,色相を変更することができる。具体的には、道路路面上のコントラストがほとんど現れていない場合に、発生させる可視光ビームの明度,色相をコントラストが著しくなるように変更することができる。
【0112】
かかる変更がなされると、道路路面に映し出される可視光ビームによる可視光パターンが人にとって視認し易いものとなる。従って、本実施例によれば、可視光ビームが照射されている道路路面における可視光パターンの表示が人にとって視認し難いものとなっていても、照射される可視光ビームの光学的な特性が変更されるので、人を眩惑させない範囲で適切かつ確実に自車両22の存在を他者に認識させることが可能となる。
【0113】
尚、上記の第1実施例においては、ビーム照射機24が特許請求の範囲に記載した「ビーム照射手段」に、撮像装置44が特許請求の範囲に記載した「撮像手段」に、補助ビーム照射機42が特許請求の範囲に記載した「補助ビーム照射手段」に、所望の可視光パターンが特許請求の範囲に記載した「所定のパターン」に、所望の非可視光パターンが特許請求の範囲に記載した「所定の補助パターン」に、補助ビーム照射機42が照射する非可視光ビームが特許請求の範囲に記載した「補助光ビーム」に、それぞれ相当している。
【0114】
また、上記の第1実施例においては、ビームECU32が、撮像装置44による画像に基づいて車両22から所定領域内に存在する障害物を検出することにより特許請求の範囲に記載した「障害物検知手段」が、可視光ビームが照射された道路路面を撮像した撮像装置44による画像のコントラストを検出することにより特許請求の範囲に記載した「環境状態検出手段」が、上記図18に示すルーチン中ステップ154及び158の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「ビーム特性補正手段」が、撮像装置44による画像に基づいて車両22の走行上注意すべき対象を検出することにより特許請求の範囲に記載した「要注意対象判定手段」および「要注意交通標示判定手段」が、ブレーキECU60およびステアリングECU62に対して制動力制御信号および操舵力制御信号を供給することにより特許請求の範囲に記載した「運転補助制御手段」が、カメラ64からの画像に基づいて運転者の運転集中度を検出することにより特許請求の範囲に記載した「集中度検出手段」が、運転集中度に応じて可視光パターンの車両進行方向長さを変更することにより特許請求の範囲に記載した「パターン変更手段」が、運転集中度に応じて非可視光パターンの車両進行方向長さを変更することにより特許請求の範囲に記載した「補助パターン変更手段」が、ブレーキECU60の供給する車速信号を検出することにより特許請求の範囲に記載した「車速検出手段」が、車速に応じて非可視光パターンの格子間隔を変更することにより特許請求の範囲に記載した「補助格子間隔変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0115】
ところで、上記の第1実施例においては、ビーム照射機24による可視光ビームの照射により道路路面に映し出されるパターンを線形状に形成することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、格子形状や囲い込み形状等の形状とすることとしてもよい。また、このビーム照射機24によるパターンが格子形状である場合には、その格子間隔を車速に応じて変更することとしてもよい。かかる構成においては、ビーム照射機24により車速に応じた格子間隔を有する可視光パターンが道路路面に映し出されることとなるので、自車両の存在と共にその速度を他者に認識させることが可能となり、その結果、車両走行の安全性が向上することとなる。この場合、ビームECU32が車速に応じて可視光パターンの格子間隔を変更することにより特許請求の範囲に記載した「格子間隔変更手段」が実現される。
【0116】
また、上記の第1実施例においては、ビーム照射機24による可視光ビームの照射により道路路面に映し出されるパターンを、車両22の運動状態に基づいて車両22が走行すると推定される走行軌跡の車体外接線としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、そのパターンを、映し出す時点で車両22が左右に適切に旋回可能な領域の限界線とすることとしてもよい。かかる構成においては、その旋回限界線に従ったパターンで道路路面に可視光ビームによる表示がなされるので、自車両22の存在を他者に知らせることができると共に、自車両22が安定して旋回走行することができる領域を運転者に知らせることができ、その結果、車両走行の安全性が向上することとなる。
【0117】
また、上記の第1実施例においては、ビーム照射機24による可視光ビームの照射により道路路面に映し出される可視光パターンを、車両運動状態に応じて位置変化させることとしているが、その可視光パターンの位置を、左折時や右折時等に運転者が操作するターンシグナルスイッチに連動させて変化させることとしてもよいし、ナビゲーション装置の経路情報に基づいて予め定められた経路に従って変化させることとしてもよい。
【0118】
また、上記の第1実施例においては、可視光パターンの変更を、非可視光パターンが不一致状態にある場合または可視光パターンが不一致状態にある場合に行うこととしているが、非可視光パターンおよび可視光パターンが共に不一致状態にある場合にのみ行うこととしてもよいし、また、可視光パターンが不一致状態にある場合にのみ行うこととしてもよいし、或いは、非可視光パターンが不一致状態にある場合にのみ行うこととしてもよい。
【0119】
また、上記の第1実施例においては、運転者の運転集中度に応じて、ビーム照射機24による可視光パターンの車両進行方向長さ、及び、補助ビーム照射機42による非可視光パターンの車両進行方向長さを拡大・縮小することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転者の運転集中度に応じて、それらのパターンの車幅方向長さを拡大・縮小することとしてもよいし、或いは、車両進行方向長さおよび車幅方向長さの双方を拡大・縮小することとしてもよい。この際、道路路面上に形成されるパターンは、運転集中度が比較的高い場合には車幅方向長さが相対的に短くなり、運転集中度が比較的低い場合には車幅方向長さが相対的に長くなる。
【0120】
次に、上記図1と共に、図19を参照して、本発明の第2実施例について説明する。
【0121】
上記した第1実施例では、自車両の存在を他者に知らせ、自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に照射される光ビームが可視光領域の波長を有している。これに対して、本実施例においては、道路路面上に照射される光ビームが赤外線領域の波長を有する。すなわち、本実施例において、車両運転支援装置200は、上記図1に示す構成において、ビーム照射機24に代えて、ビーム照射機202を用いることにより実現される。
【0122】
図19は、本実施例の車両運転支援装置200の構成図を示す。尚、図19において、上記図1に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。図19に示す如く、車両運転支援装置200は、車体各部に設けられた4つのビーム照射機202を備えている。各ビーム照射機202は、赤外線領域である例えば1.0μm〜1.4μm程度の波長を有する光ビームを発生する半導体レーザからなるビーム発生器204と、ビーム発生器で発生した光ビームを整形するビーム整形レンズ28と、ビーム整形レンズから出力された光ビームを走査するスキャンアクチュエータ38と、を備えている。
【0123】
このスキャンアクチュエータは、ビームECU32からの指令に従って、ビーム整形レンズで発生する非可視光ビームを走査する。各ビーム照射機202は、上記したビーム照射機24と同様に、道路路面上に向けて線形状のパターンで非可視光ビームを照射する。ビーム照射機202から非可視光ビームが車両周辺の道路路面上に照射されると、道路路面に非可視光ビームによるパターンが形成されることとなる。
【0124】
本実施例の車両運転支援装置200は、ビーム照射機202が照射する非可視光ビームの周波数帯域の成分をも通過させる周波数フィルタ48を有する撮像装置44を備えている。撮像装置44は、ビーム照射機202が照射する非可視光ビームにより道路路面に形成されるパターンを可視光領域の周波数帯域に変換して撮像する。また、ビームECU32は、撮像装置44からの撮像画像中に自己のものでない他の非可視光パターンが存在する場合、自車両22に他車両等が相対的に近づいているとして、その他の非可視光パターンを他車両等の要注意対象として把握する。
【0125】
従って、本実施例のシステムによれば、車両運転支援装置200を搭載する車両22が複数存在する場合、それらの車両22が照射する非可視光ビームによるパターンを人が道路路面上で直接に認識できなくても、各車両22の車両運転支援装置200は、他の車両22からの非可視光ビームによるパターンを認識することができる。
【0126】
ビームECU32は、撮像装置44からの撮像画像中に存在する自己のものでない他の非可視光パターンを他車両等の要注意対象として把握した後、その非可視光パターンの位置を表示ディスプレイ52に表示させる。このため、本実施例のシステムにおいて、車両22の乗員は、目視では他の車両22およびその車両22が照射するビームによるパターンを見ることができなくても、車両運転支援装置200がその車両22が照射する非可視光ビームによるパターンを認識し、かつ、かかるパターンが表示された表示ディスプレイ52を見ることとすれば、その他の車両22が存在することを知ることができる。
【0127】
かかる構成において、車両22は自己の存在を他者(他の車両22の乗員)に知らせるために可視光領域の光ビームを照射する必要はなく、赤外線領域の光ビームを照射することとすれば十分である。赤外線領域の光ビームは、人の目にとって比較的安全である。従って、本実施例のシステムによれば、車両22による非可視光ビームが人の目に入る場合にも、その人を眩惑させることなく適切に車両の存在を他車の乗員に表示ディスプレイ52を介して認識させることができる。
【0128】
尚、上記の第2実施例においては、車両22が照射する非可視光ビームが特許請求の範囲に記載した「難視認性光ビーム」に、車両22の搭載する車両運転支援装置200が特許請求の範囲に記載した「変換器」に相当している。
【0129】
ところで、上記の第2実施例おいては、車両に搭載される車両運転支援装置200を、車両22が照射する非可視光ビームの有する周波数帯域に感度を有し、その非可視光ビームによるパターンを可視光領域の周波数帯域に変換して表示する変換器として用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、単にかかる機能を有する例えば赤外線用メガネや表示ディスプレイ付きカメラを変換器として用いることとしてもよい。
【0130】
次に、上記図19と共に、図20を参照して、本発明の第3実施例について説明する。
【0131】
上記した第2実施例では、撮像装置44及び表示ディスプレイ52を搭載する車両運転支援装置200を用いて、他車がその存在を知らせるべく照射する非可視光ビームによるパターンを可視光領域の周波数帯域に変換し、そのパターンを表示ディスプレイ52に表示することにより乗員にその他車の存在を認識させる。これに対して、本実施例においては、車両22の存在を、人を眩惑させることなくかつ表示ディスプレイ52等の表示媒体を介することなく人に直接に認識させることとしている。
【0132】
図20は、本実施例の車両安全システムを説明するための図を示す。図20に示す如く、本実施例のシステムは、車両運転支援装置200を搭載する車両22、及び、車両22が走行する道路300を備えている。道路300の路面上には、その全域に発光素子302が配設されている。具体的には、発光素子302が、道路舗装材としてのアスファルト材に混入されることにより、或いは、道路300の舗装過程でその道路表面に散布された後に圧着保持されることにより、道路300の路面上全域に配置される。発光素子302は、車両22が照射する赤外線領域の非可視光ビームを入射光として例えばその2倍の周波数(1/2倍の波長)を有する光高調波(可視光)を発生する非線形光学材料により構成されている。
【0133】
かかる構成において、車両22が走行中に車両運転支援装置200を用いて赤外線領域の非可視光ビームを道路路面上に向けて照射すると、道路300に配設された発光素子302は、入射した非可視光ビームを周波数(波長)変換して全域に向けて可視光を発生する。この場合、通行人や他車の運転者は、車両22が照射する非可視光ビームを見ることはできない一方、道路300で発光する可視光を見ることができるので、非可視光ビームを照射する車両22を実際に目視することができなくても、その車両22の存在を知ることができる。すなわち、本実施例のシステムによれば、車両22が照射する非可視光ビームを道路300側が視認可能な光に変換することで、車両22の存在を他者に認識させることが可能となる。
【0134】
かかる構成においては、車両22が自己の存在を他者に知らせるために可視光領域の光ビームを照射する必要がなく、赤外線領域の光ビームを照射することとすればよい。また、道路300で発光する可視光は、全域に向けて伝播するので、その光強度は小さく、人の目にとって安全なものである。従って、本実施例のシステムによれば、人を眩惑させることなく、また、何ら表示媒体を介することなく適切に車両の存在を他者に認識させることができる。
【0135】
尚、上記の第3実施例において、車両22が照射する非可視光ビームが特許請求の範囲に記載した「難視認性光ビーム」に、発光素子302が特許請求の範囲に記載した「材料」に、それぞれ相当している。
【0136】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明によれば、道路路面上に障害物を避けたパターンで可視光ビームを照射することで、その障害物が人である場合にその人を眩惑させることなく適切に、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を運転者に把握させることができる。
【0137】
請求項2記載の発明によれば、所定の偏光特性を有する可視光ビームを道路路面上に照射することで、人を路面反射により眩惑させることなく適切に、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を運転者に把握させることができる。
【0138】
請求項3乃至5記載の発明によれば、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示を視認し易くなることで、人を眩惑させない範囲で適切かつ確実に、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を運転者に把握させることができる。
【0139】
請求項6及び7記載の発明によれば、自車両の走行上注意すべき対象の存在を判定するので、車両の安全走行を確保することができる。
【0140】
請求項8記載の発明によれば、運転者が車両操作することなく車両が障害物を回避しつつ走行するので、車両の安全走行を確実に確保することができる。
【0141】
請求項9記載の発明によれば、運転者の運転集中度に対応した適切な時期に自車両の存在を他に認識させることができる。
【0142】
請求項10記載の発明によれば、運転者の運転集中度に対応した適切な領域を自車両が注意すべき道路路面として設定することができる。
【0143】
請求項11記載の発明によれば、車速に応じた格子間隔を有するパターンを道路路面上に映し出すので、自車両の存在と共にその速度を他に知らせることができる。
【0144】
請求項12記載の発明によれば、自車両が注意すべき道路路面の領域を車速に対応した密度で監視することができる。
【0145】
請求項13記載の発明によれば、自車両の走行上注意すべき交通標示の存在を判定するので、車両の安全走行を確保することができる。
【0146】
請求項14記載の発明によれば、車両挙動に従ったパターンを道路路面に映し出すので、自車両の存在と共にその車両挙動を他に認識させることができ、その車両挙動を自車両の運転者に把握させることができる。
【0147】
請求項15記載の発明によれば、車両の旋回限界線に従ったパターンを道路路面に映し出すので、自車両が安全に走行できる範囲を運転者に確認させることができる。
【0148】
請求項16記載の発明によれば、車両が視認性の高い光ビームを照射する必要はないので、人を眩惑させることなく適切に変換器を介して、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を自車両の運転者に把握させることができる。
【0149】
また、請求項17記載の発明によれば、車両が視認性の高い光ビームを照射する必要はないので、人を眩惑させることなく適切に、自車両の存在を他に認識させることができ、自車両の進路を運転者に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である車両運転支援装置の構成図である。
【図2】本実施例の車両運転支援装置を構成する部品の車両搭載位置を説明するための図である。
【図3】本実施例の車両運転支援装置が有する偏光整形器の具体的構成図である。
【図4】本実施例において道路路面に何ら障害物および他車両等による可視光又は非可視光ビームのパターンが存在しないものとした場合に実現される撮像装置による画像を説明するための図である。
【図5】本実施例の車両運転支援装置が有する表示ディスプレイの表示画面を表した図である。
【図6】本実施例において、車両がスリップする状況下で可視光ビームにより道路路面に映し出されるパターンを模式的に表した図である。
【図7】本実施例において車体前部のビーム照射機が照射する可視光ビームによるパターンの位置および長さの設定手法を説明するための図である。
【図8】本実施例において車体後部のビーム照射機が照射する可視光ビームによるパターンの位置および長さの設定手法を説明するための図である。
【図9】本実施例において、車両旋回時にビーム照射機が照射する可視光ビームによるパターンの位置の設定手法を説明するための図である。
【図10】本実施例において、後退駐車時に車体後部のビーム照射機が照射する可視光ビームによるパターンの位置の設定手法を説明するための図である。
【図11】本実施例におけるインフラ施設を説明するための図である。
【図12】本実施例におけるインフラ施設を説明するための図である。
【図13】本実施例において、車両のビーム照射位置と可視光ビームが照射されるべき道路路面の位置との間に人が進入していない場合と進入している場合とで、可視光ビームが照射される道路路面上の照射領域を比較した図である。
【図14】本実施例において、車両のビーム照射位置と可視光ビームが照射されるべき道路路面の位置との間に人が進入する場合に、可視光ビームが照射される道路路面上の照射領域を設定する手法を説明するための図である。
【図15】本実施例において、可視光ビームによるパターンを変更すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図16】本実施例において照射される可視光ビームの状態を説明するための図である。
【図17】本実施例において、道路路面に映し出された視認し難い可視光パターンを視認し易いものとする手法を説明するための図である。
【図18】本実施例において、撮像画像におけるコントラストを調整すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図19】本発明の第2実施例である車両運転支援装置の構成図である。
【図20】本発明の第3実施例である車両安全システムを説明するための図である。
【符号の説明】
20,200 車両運転支援装置
22 車両
24,202 ビーム照射機
26,204 ビーム発生器
30 偏光整形器
32 ビーム用電子制御ユニット(ビームECU)
38 スキャンアクチュエータ
40 要注意対象検知装置
42 補助ビーム照射機
44 撮像装置
46,64 カメラ
300 道路
302 発光素子

Claims (17)

  1. 自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、
    車両と可視光ビームが照射されるべき道路路面との間に存在する障害物を検知する障害物検知手段
    記障害物検知手段により前記障害物が検知された場合に、前記ビーム照射手段により可視光ビームを照射するパターンを、前記所定のパターンから該障害物を避けたパターンに変更するパターン変更手段と、
    を備えることを特徴とする車両運転支援装置。
  2. 道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、
    前記ビーム照射手段は、所定の偏光特性を有する可視光ビームを照射することを特徴とする車両運転支援装置。
  3. 道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、
    前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面の明暗を検出する環境状態検出手段と、
    前記環境状態検出手段の検出結果に基づいて、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示が視認され易くなるように、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの光学特性を補正するビーム特性補正手段と、
    を備えることを特徴とする車両運転支援装置。
  4. 道路路面上に所定のパターンで可視光ビームを照射するビーム照射手段を備える車両運転支援装置であって、
    前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射された道路路面における、可視光ビームによる表示がなされている部分と該表示がなされていない部分とのコントラストを検出する環境状態検出手段と、
    前記環境状態検出手段の検出結果に基づいて、可視光ビームにより道路路面に映し出される表示が視認され易くなるように、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの光学特性を補正するビーム特性補正手段と、
    を備えることを特徴とする車両運転支援装置。
  5. 前記ビーム特性補正手段は、前記ビーム照射手段により照射される可視光ビームの明度又は色相を補正することを特徴とする請求項3又は4記載の車両運転支援装置。
  6. 前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面を撮像する撮像手段と、
    前記所定のパターンと、前記撮像手段により撮像された結果として得られる可視光ビームによる道路路面の表示パターンとが不整合状態にある場合に、該不整合領域に自車両の走行上注意すべき対象が存在すると判定する要注意対象判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  7. 前記ビーム照射手段により可視光ビームが照射される道路路面上に該可視光ビームとは別の補助光ビームを所定の補助パターンで照射する補助ビーム照射手段と、
    前記補助ビーム照射手段により補助光ビームが照射される道路路面を撮像する撮像手段と、
    前記所定の補助パターンと、前記撮像手段により撮像された結果として得られる補助光ビームによる道路路面の表示パターンとが不整合状態にある場合に、該不整合領域に自車両の走行上注意すべき対象が存在すると判定する要注意対象判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  8. 前記要注意対象検出手段により車両の走行に支障をきたす障害物が検出された場合に、該障害物を回避する方向に車両の走行を制御する運転補助制御手段を備えることを特徴とする請求項6又は7記載の車両運転支援装置。
  9. 運転者の運転集中度を検出する集中度検出手段と、
    前記集中度検出手段により検出される運転集中度に応じて前記所定のパターンの領域を拡大・縮小するパターン変更手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  10. 運転者の運転集中度を検出する集中度検出手段と、
    前記集中度検出手段により検出される運転集中度に応じて前記所定の補助パターンの領域を拡大・縮小する補助パターン変更手段と、
    を備えることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  11. 前記所定のパターンが格子形状であり、かつ、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車速検出手段により検出される車速に応じて前記所定のパターンの格子間隔を変更する格子間隔変更手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  12. 前記所定の補助パターンが格子形状であり、かつ、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車速検出手段により検出される車速に応じて前記所定の補助パターンの格子間隔を変更する補助格子間隔変更手段と、
    を備えることを特徴とする請求項7乃至11の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  13. 道路路面上に描かれた交通標示に対応して照射される所定周波数帯域の光ビームを検出することにより、自車両の走行上注意すべき交通標示が存在すると判定する要注意交通標示判定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  14. 前記所定のパターンが、車両の運動状態に基づいて推定される車体外接線であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  15. 前記所定のパターンが、車両の旋回可能な旋回限界線であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項記載の車両運転支援装置。
  16. 自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する車両と、
    車両外に設けられ、前記車両が照射する難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、該難視認性光ビームにより道路路面に形成されるパターンを易視認性の周波数帯域に変換して表示する変換器と、
    を備えることを特徴とする車両運転支援システム。
  17. 自車両の存在を他者に知らせ或いは自車両の進路を自車両の運転者に把握させるべく道路路面上に所定のパターンで所定周波数帯域の難視認性光ビームを照射する車両と、
    前記車両が照射する難視認性光ビームの有する所定周波数帯域に感度を有し、照射された難視認性光ビームを易視認性の周波数帯域に変換することにより発光する材料が路面上に配設された道路と、
    を備えることを特徴とする車両運転支援システム。
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