JP4107029B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、読み取り対象となる原稿からその原稿上に描かれた画像を読み取る複写機、ファクシミリ、スキャナー等の画像読取装置に関し、特に自動原稿搬送装置によってシート状原稿を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置としては、原稿をプラテンガラス上に載置する一方、読取光学系を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る方式のものと、読取光学系を原稿読み取り位置に固定する一方、自動原稿搬送装置によってシート状原稿を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る方式のものとが知られている。両者を比較すると、原稿画像の読取速度の高速化を図る上では、シート状原稿を移動させる後者の画像読取装置の方が、読取光学系を移動させる前者の画像読取装置よりも有利である。
【0003】
ところが、後者の画像読取装置の場合には、原稿に付着したゴミが原稿読み取り位置のコンタクトガラスを汚したり、あるいはコンタクトガラスに付着したりすると、読取光学系が原稿読み取り位置に固定であるために、その汚れやゴミを常時読み取ることになる。その結果、画像の読み取り結果にすじ状のノイズが発生することになる。
【0004】
このような原稿自動搬送方式の画像読取装置固有の問題を解消するために、従来、種々の技術が提案されている。例えば、光電変換素子を原稿搬送方向に複数個配列し、原稿上の同一位置に対するこれら光電変換素子での読み取り結果を比較し、双方の読み取り結果に差異がある場合にはノイズ成分として検出し、そのノイズ成分を除去する技術(例えば、特許文献1参照)や、ノイズ成分を検出した場合に、各光電変換素子のうちの一方の読み取り結果を用いることで、そのノイズ成分の除去を行う技術(例えば、特許文献2参照)などである。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−139844号公報
【特許文献2】
特開2000−152008号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術はいずれも、白黒画像の読み取りに対応したものであり、その技術をそのままカラー画像の読み取りに適用しようとすると、赤(R)、緑(G)、青(B)の各分光感度特性を有する3本の光電変換素子をそれぞれ少なくとも2本ずつ、計6本以上の光電変換素子を原稿の搬送方向に配設した構成を採らなければならない。そのため、光電変換素子による消費電力が増大するとともに、当該素子からの発熱量も増大する。
【0007】
また、光電変換素子の出力信号に対してアナログ処理やシェーディング補正等の処理を行う画像処理回路についても、光電変換素子数に対応して少なくとも6系統分用意する必要がある。したがって、回路規模や消費電力が増大するとともに、大幅なコストアップを招いてしまうことになる。
【0008】
そこで、本発明は、原稿自動搬送方式にてカラー画像を読み取る場合であっても、回路規模や消費電力、光電変換素子からの発熱量を増大させることなく、カラー画像の読み取り結果へのゴミなどの異物による影響を排除可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像読取装置は、原稿を読み取り位置に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって前記読み取り位置に搬送された原稿を当該原稿の搬送方向に直交する方向に対応する主走査方向に走査しつつ複数の色成分について原稿画像の読み取りを行う第一の読取手段と、前記第一の読取手段に対して原稿の搬送方向に対応する副走査方向において所定の間隔だけ離れて設けられ、前記搬送手段によって前記読み取り位置に搬送された原稿を主走査方向に走査しつつ前記複数の色成分のうちいずれか一つの色成分について原稿画像の読み取りを行う第二の読取手段と、前記第一の読取手段と前記第二の読取手段との読み取りによって得られた複数の画像データに基づいて、前記第一の読取手段または前記第二の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出するノイズ検出手段とを備え、さらに前記ノイズ検出手段の検出結果に基づいて前記第一の読取手段または前記第二の読取手段によって読み取られた画像データからノイズ成分を除去するノイズ除去手段を備え、前記ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と同じ色成分の画像データと前記第二の読取手段によって読み取られた画像データとの比較結果と、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と異なる色成分の画像データの変化とから、前記第一の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する構成となっている。
【0010】
上記構成の画像読取装置において、読み取り対象の原稿は、搬送手段によって読み取り位置に搬送される。この読み取り位置において、第一の読取手段は原稿を主走査方向に走査しつつ複数の色成分について画像の読み取りを行う一方、第二の読取手段は複数色のうちいずれか一つの色成分について画像の読み取りを行う。そして、ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と同じ色成分の画像データと前記第二の読取手段によって読み取られた画像データとの比較結果と、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と異なる色成分の画像データの変化とから、前記第一の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する。さらに、ノイズ除去手段は、その検出結果に基づいて第一の読取手段または第二の読取手段によって読み取られた画像データからノイズ成分の除去を行う。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図である。本実施形態に係る画像読取装置は、自動原稿搬送装置(Automatic Document Feeder;以下「ADF」と略記する)10を備えており、そのADF10によって読み取り対象となるシート状原稿(以下、単に「原稿」と記す)20を移動させながら、その原稿20上から画像を読み取る、いわゆるCVT(Constant Velocity Transfer)モードに対応可能な構成となっている。
【0013】
すなわち、CVTモードでは、ADF10の原稿載置台11に載置された原稿20が引き込みローラ12によって1枚ずつ搬送ローラ13まで搬送され、その搬送ローラ13によって搬送方向を変えて、コンタクトガラス14まで案内される。そして、原稿20はコンタクトガラス14上を当該コンタクトガラス14と平行に搬送される。このとき、後述するようにして、原稿20上の画像の読み取りが行われる。その後は、画像読み取りが終了した原稿20が搬出ローラ15によってADF10の排出トレイ16上に排出される。
【0014】
コンタクトガラスガラス14上では、そこを搬送される原稿20が露光ランプ31によって照射される。そして、その照射による反射光は第一ミラー32、第二ミラー33および第三ミラー34にて光路変更された後、レンズ35によって縮小され、光電変換素子である例えばCCD(Charge Coupled Device)型ラインセンサ(以下、「CCDセンサ」と記す)36の撮像面上に結像される。
【0015】
これら露光ランプ31、第一ミラー32、第二ミラー33、第三ミラー34、レンズ35およびCCDセンサ36は、原稿20上の画像を読み取る読取光学系30を構成している。これにより、コンタクトガラス14上を搬送される原稿20上に描かれた画像は、CCDセンサ36によって画素単位で読み取られ、光電変換されることによってアナログ画像信号として出力されることになる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る画像読取装置に用いられるCCDセンサ36の概要の一例を示す構成図である。
【0017】
図2から明らかなように、CCDセンサ36は、フォトダイオードなどの受光セル(画素)40が直線状に配列されて成る複数本の光電変換素子列(画素列)によって構成されている。より具体的には、赤(以下、「R」と記す)、緑(以下、「G」と記す)、青(以下、「B」と記す)の各分光感度特性を持って互いに並置された3本の画素列41R,41G,41Bと、これら画素列41R,41G,41Bに対して画素の配列方向(主走査方向)に垂直な方向、即ち原稿搬送方向(副走査方向)において所定の間隔だけ離れた位置に設けられた例えばGの分光感度特性を持つ1本の画素列42Gとを有する構成となっている。
【0018】
3本の画素列41R,41G,41Bは第一の読取手段としての機能を持ち、読み取り対象となる原稿からカラー画像情報を読み取るためのものである。そのため、画素列41R,41G,41Bの各々は、例えば10μm×10μmのフォトダイオード等からなる受光セル40がn個直線状に配置された構成となっており、図の下側からR,G,Bの順に1ライン分(10μm)の間隔(ピッチ)で3列に配列されている。
【0019】
離れた1本の画素列42Gは第二の読取手段としての機能を持ち、読み取り対象となる原稿からGの画像情報を読み取るためのものである。そのため、画素列41R,41G,41Bと同様に、例えば10μm×10μmのフォトダイオード等からなる受光セル40がn個直線状に配置された構成となっており、3本の画素列41R,41G,41Bの中央に配置された画素列、即ち画素列41Gと同等のGの分光感度に対応している。また、離れた1本の画素列42Gは、画素列41Gとの間に例えば12ライン分(120μm)の間隔が存在するように、画素列41R,41G,41Bに対して原稿搬送方向(副走査方向)にオフセットして配置されている。
【0020】
なお、CCDセンサ36の撮像面上には原稿画像の読取光がレンズ35によって縮小されて結像されるので、読み取り解像度が600dpiの場合、CCDセンサ36における1ライン分(10μm)の間隔および12ライン分(120μm)の間隔は原稿搬送路上の読み取り位置ではそれぞれ60μmおよび720μmの間隔に相当する。
【0021】
これにより、画素列41R,41G,41B,42Gの各々は原稿上の副走査方向において離れた位置の4ライン分の画像を同時に読み取ってアナログ画像信号として出力することになる。つまり、3本の画素列41R,41G,41Bからは原稿上の1ライン毎に離れた画像の各画素のR,G,Bの濃度を表すアナログ画像信号が出力され、離れた1本の画素列42Gからは3本のうちの中央に位置する画素列41Gから12ライン離れた画像の各画素のGの濃度を表すアナログ画像信号が出力される。
【0022】
図3は、CCDセンサ36の機能的な構成を示すブロック図である。図3から明らかなように、画素列41Bに対してその一方側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43Bが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44Bがそれぞれ配置されている。画素列41G,41Rについても同様に、その一方側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43G,43Rが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44G,44Rがそれぞれ配置されている。
【0023】
シフトゲート43B,43G,43Rは、シフトパルスSHが与えられることで、画素列41B,41G,41Rの各画素(受光セル)で光電変換され、かつ蓄積された電荷をシフトレジスタ44B,44G,44Rに一斉に移動させる。シフトレジスタ44B,44G,44Rは、互いに逆相の転送パルスφ1,φ2によって転送駆動され、画素列41B,41G,41Rから移された電荷を順次転送する。
【0024】
これら転送された電荷は、最終転送ゲート47B,47G,47Rに最終転送パルスLHが印加されることで、例えばフローティングディフュージョンからなる出力部48B,48G,48Rに転送され、ここで電気信号に変換されて出力信号VO1,VO2,VO3として導出される。出力部48B,48G,48Rは、リセットパルスRSが印加されることで、出力信号VO1,VO2,VO3の導出後の電荷のリセットを行う。
【0025】
一方、画素列42Gについては、その両側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43GO,43GEが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44GO,44GEがそれぞれ配置されている。画素列42Gの電荷の読み出し(出力)の動作については、基本的に、画素列41B,41G,41Rの場合と同じである。ただし、以下の点で相違している。
【0026】
すなわち、シフトレジスタ44GO,44GEは、シフト段(転送段)の段数がシフトレジスタ44B,44G,44Rの段数の1/2となっている。また、画素列42Gからは奇数(ODD)画素と偶数(EVEN)画素との各電荷がシフトゲート43GO,43GEによってシフトレジスタ44GO,44GEにそれぞれに振り分けられて転送される。そして、シフトレジスタ44GO,44GEは、2相の転送パルスφ1,φ2によって奇数/偶数の2系統の電荷を並列に転送する。並列転送された2系統の電荷は、最終転送ゲート47GO,47GEに最終転送パルスLHが印加されることで、出力部48GO,48GEに転送され、ここで電気信号に変換されて出力信号VO4,VO5として導出される。
【0027】
このように、離れた1本のGの色成分に対応した画素列42Gについては、2本のシフトレジスタ44GO,44GEを両側に配置し、奇数画素と偶数画素の各電荷を振り分けて並列転送する構成を採ることで、他の3本の画素列41B,41G,41Rに比べて2倍の速度で読み出しが可能となる。これにより、この画素列42Gを用いて読み取りを行う場合には、高速な読み取りが可能となる。例えば、3本の画素列41B,41G,41Rを用いた読み取りモードをカラー読み取りモード、画素列42Gを用いた読み取りモードを白黒読み取りモードとして使用することで、白黒読み取りモードではカラー読み取りモードの2倍の速度で読み取りが可能となる。
【0028】
図4は、本実施形態に係る画像読取装置において、上記構成のCCDセンサ36を用いた場合の信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
図4において、CCDセンサ36はCCD駆動回路51によって駆動されることで、R,G,Bの各アナログ画像信号およびGについての奇数画素/偶数画素の各アナログ画像信号をそれぞれ出力する。CCD駆動回路51は、各種のタイミング信号やクロック信号、具体的には先述したシフトパルスSH、転送パルスφ1,φ2、最終転送パルスLHおよびリセットパルスRSなどを生成し、これら信号によってCCDセンサ36を駆動する。
【0030】
CCDセンサ36から出力される各アナログ画像信号は、サンプルホールド回路52R,52G,52B,52GO,52GEでサンプルホールドされ、増幅回路53R,53G,53B,53GO,53GEで増幅された後、A/D変換回路54R,54G,54B,54GO,54GEでデジタル画像データに変換される。この後、デジタル画像データは、シェーディング補正回路55R,55G,55B,55GO,55GEでCCDセンサ36の感度バラツキや読取光学系30(図1参照)の光量分布特性に対応した補正を施された後、Rの画像データを除いて遅延回路56G,56B,56GO,56GEに入力される。
【0031】
遅延回路56G,56B,56GO,56GEでは、R出力を除く3つの画像データを遅延させて、R出力の読み取り位置を基準として全ての画像データを時間的に合わせる(同時化する)処理が行われる。すなわち、遅延回路56G,56Bの各遅延量を1ライン、2ライン相当の時間、遅延回路56GO,56GEの各遅延量を共に13ライン相当の時間に設定することで、Rの画像データに対してG,Bの各画像データおよびGの2系統の各画像データを同時化することができる。
【0032】
同時化された各画像データは、すじ補正回路58に入力される。ただし、Gの2系統の各画像データ、即ち奇数画素の画像データと偶数画素の画像データについては、元の画素列42G(図3参照)における画素配列の順番になるように合成回路57で合成された後、すじ補正回路58に入力される。すじ補正回路58は、入力される各画像データに対してすじの検出およびすじの除去の各処理を行って後段の画像処理回路59に渡す。
【0033】
後段の画像処理回路59は、すじの補正処理が施された各画像データに対して例えば色空間変換処理、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理等の画像処理を施す。CPU60は、この画像読取装置の各部を制御する手段である。具体的には、CPU60は、CCD駆動回路51によって行われるCCDセンサ36の駆動周期の設定、増幅回路53R,53G,53B,53GO,53GEの利得制御、シェーディング補正回路55R,55G,55B,55GO,55GEの制御、すじ補正回路58の定数制御等を行う。
【0034】
ここで、本発明の特徴部分であるすじ補正回路58において、コンタクトガラス上のゴミ等の付着に起因する画像上の副走査方向のすじを検知する原理について説明する。
【0035】
先ず、図1に示したコンタクトガラス14上において、第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bの光路の位置Aにゴミが付着したとすると、その箇所のゴミが画素列41R,41G,41によって画像として読み取られる。このとき、そのゴミに起因して3本の画素列41R,41G,41Bの読取画像には、原稿上にはない副走査方向に延びる縦すじが現れる。一方、これとは12ライン分離れて第二の読取手段として機能するGの画素列42Gの光路の位置Bにはゴミが存在しないため、原稿上の画像は当該画素列42Gによって正常に読み取られる。
【0036】
そこで、12ライン分離れた読み取り位置間における用紙の搬送に要する時間だけ、先行して読み取られる画素列42Gの読み取り結果を遅延させて、第一の読取手段のうちの第二の読取手段と同じ分光感度特性をもつ中央の画素列、即ち画素列41Gの読み取り結果と比較すると、ゴミが存在する箇所では双方の読み取り結果が不一致となる。
【0037】
したがって、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果とを比較することにより、第一の読取手段の光路上の付着ゴミや浮遊ゴミに起因して発生する縦すじを検知することができる。また、第二の読取手段の光路上の位置Bにゴミが付着し、第一の読取手段の光路上の位置Aにはゴミが存在しない場合にも同様に、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果とを比較することで、第二の読取手段の光路上の付着ゴミや浮遊ゴミに起因して発生する縦すじを検知することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第一読取手段の中央の画素列41Gと第二の読取手段の画像列42Gとの間の間隔を12ライン相当としているが、これは一例に過ぎず、この間隔については、検知の対象となるゴミの大きさや発生頻度に基づいて決定することが望ましい。
【0039】
次に、コンタクトガラス14上において、第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置する画素列、即ち41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した際に出力画像に現れるすじの検知について説明する。
【0040】
図5および図6は、コンタクトガラス14上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図である。図5および図6では、3本の画素列の読み取り位置が、図の下側からR,G,Bの分光感度に対応した画素列41R,41G,41Bの順となっていて、各々をRの読み取り位置、Gの読み取り位置、Bの読み取り位置とする。また、四角で示された枠は読み取る画素の位置を示し、そのうち太線で示された枠はゴミDが付着してすじが発生している画素位置を示している。
【0041】
図7は、3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを示すタイミングチャートである。図7のタイミングチャートにおいては、横軸が主走査方向(搬送方向と直交する方向)の画素位置を表し、縦軸が画像の濃度データを表している。
【0042】
図5に示す状態では、ゴミDはBの読み取り位置にのみ付着していて、GおよびRの読み取り位置には付着していない。この状態では、前述した第一の読取手段の読み取り結果と第二の読取手段の読み取り結果の比較、即ち画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ではすじを検出することはできない。したがって、他の手段にてすじを検知する必要がある。この状態では、次に説明する5つの現象が発生する。
【0043】
先ず第一として、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ですじは無いと判定される。第二として、ゴミDが付着した読み取り位置に対応した画素の画像データはその主走査方向に前後する画素の画像データに対して差があるため、図7に示すように、該当する画像データが変化する。第三として、Bの分光感度に対応する画素列41Bはゴミの付着がなくなるまで読み続けるため、第二で発生する変化は副走査方向に所定のライン数だけ連続して発生する。第四として、第二で発生する変化は3画素以下となる。
【0044】
ここで3画素以下としているのは、4画素以上のすじとなるゴミが付着した場合、図6に示すように、Gの読み取り位置にまで付着するため、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ですじが検知されるためである。したがって、この現象が発生するためには、3本の画素列41R,41G,41Bと離れて位置する画素列42Gの分光感度特性は、3本の画素列41R,41G,41Bのうち中央に位置する画素列、即ち画素列42Gの分光感度特性と同じであることが必要である。
【0045】
また、本実施形態では3画素としているが、対象となるゴミの形状や3本の画素列41R,41G,41Bの配列ピッチに応じて変える必要がある。第五として、Rの読み取り位置にはゴミDが付着していないため、Bの分光感度に対応する画素列41Bの読み取り画像データでは主走査方向に変化は生じない。
【0046】
以上説明した五つの現象が全て発生したときに、該当する画素の読み取り位置にゴミDが付着してすじが発生したと判定することで、コンタクトガラス14上の第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置する画素列41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した場合に出力画像に現れるすじの検知を行うことができる。
【0047】
次に、副走査方向のすじが検知された画素に対してすじを除去する原理について説明する。
【0048】
先ず、第一の読取手段、即ち画素列41R,41G,41Bで検知されたすじの除去について説明する。図8は、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【0049】
図8に示すウインドウにおいて、(A)は3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを表し、(B)は離れた1本の画素列42G(Green2)の読み取り画像データを表し、(C)はすじを除去した後の3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを表している。図8(A),(B),(C)において、各々の画素の読み取り位置は一致している。また、ウインドウの中心の画素を除去の対象となる着目画素Aとし、ゴミの付着によってすじが発生している画素は斜線で塗り潰して示している。
【0050】
図8(A),(B)に示すように、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データの着目画素Aを含めた主走査方向の中央3画素にはゴミの付着によってすじが発生しているが、画素列42Gの読み取り画像データにはすじは発生していない。このとき、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データのすじが発生していない画素と位置を同じくする画素列42Gの読み取り画像データの画素の領域(すじ外領域)の中で、画素列42Gの画像データの着目画素Bの濃度データに一番近いデータを持つ画素B′を算出し、それを置換対象画素とする。
【0051】
この置換対象画素B′と画素位置を同じくするR,G,Bの画像データの画素A′は、着目画素Aのすじがない状態での原稿の読み取り画像データと最も近い情報を持っていることになる。したがって、図8(C)に示すように、この画素A′を置換画素とし、すじが発生した着目画素Aを置換画素A′に置き換えることにより、第一の読取手段の出力に発生したすじを除去することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、ウインドウを主走査13画素×副走査5画素としているが、これは一例に過ぎず、このウインドウについては、対象となるゴミの大きさなどによって決めることが望ましい。
【0053】
続いて、第二の読取手段、即ち画素列42Gで検知されたすじの除去について説明する。図9は、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【0054】
図9のウインドウにおいて、(A)は3本の画素列41R,41G,41Bの中のGの読み取り画像データを表し、(B)は離れた1本の画素列42Gの読み取り画像データを表し、(C)はすじを除去した後の画素列42Gの読み取り画像データを表している。図9(A),(B),(C)において、各々の画素の読み取り位置は一致している。また、ウインドウの中心の画素を除去の対象となる着目画素Aとし、ゴミの付着によってすじが発生している画素は斜線で塗り潰している。
【0055】
図9(A),(B)に示すように、画素列42G(Green2)の読み取り画像データの着目画素を含めた主走査方向の中央3画素はゴミの付着によってすじが発生しているが、画素列41G(Green)の読み取り画像データにはすじは存在しない。このとき、画素列41G,42Gに対応する分光感度は共にGであるため、画素列42Gの読み取り画像データのすじが発生した画素と位置を同じくするGの画素の画像データはすじがない状態での原稿を読み取った画素列42Gの読み取り画像データと同等になる。
【0056】
したがって、図9(C)に示すように、画素列42Gの読み取り画像データのすじが発生した着目画素Bを、位置を同じくするGの画素Aの読み取り画像データで置き換えることにより、第二の読取手段の出力に発生したすじを除去することができる。
【0057】
ところで、本実施形態では、R,G,Bの各分光感度特性を持つ3本の画素列41R,41G,41Bと離れて位置する画素列を、Gの分光感度特性を持つ画素列42Gとしている。このGの色成分は、R,G,Bの色成分の中で最も分光特性の領域が広いものであることが知られている。したがって、すじの原因となるゴミの色成分に関係なくすじの検知を良好に行うことができ、また原稿画像に関係なくすじの除去における置換対象画素の算出も良好に行うことができる。
【0058】
また、Gの出力信号は信号レベルの大きな色成分として知られている。したがって、信号レベルに対してノイズレベルが小さいため、即ちSN比が良いため、すじの検出を精度良く行うことができ、またすじの除去における置換対象画素の算出も良好に行うことができる。
【0059】
次に、以上説明した原理に基づいてすじの検出およびすじの除去の各処理を行うすじ補正回路58の詳細について説明する。
【0060】
図10は、すじ補正回路58の構成の一例を示すブロック図である。図10から明らかなように、すじ補正回路58は、すじ検知回路61およびすじ除去回路62から構成されている。すじ検知回路61は、画像データからすじの発生を検知し、すじ発生の画素を特定するすじ検知信号を出力する。このすじ検知信号はすじ除去回路62に与えられる。すじ除去回路62は、すじ検知回路61から与えられるすじ検知信号と画像データに基づいてすじを除去し、すじの発生のない画像データを出力する。
【0061】
これらすじ検知回路61およびすじ除去回路62のうち、先ずすじ検知回路61の詳細について説明する。図11は、すじ検知回路61の構成の一例を示すブロック図である。
【0062】
図11から明らかなように、すじ検知回路61は、4つの凸画素検出回路71〜74、データ比較回路75、第一判定回路76および第二判定回路77を有する構成となっている。4つの凸画素検出回路71〜74は、画素列41R,41G,41Bおよび画素列42Gによる各読み取り画像データから、各画像データの主走査方向の変化を検出し、凸画素信号R,G,B,G2を出力する。データ比較回路75は、画素列41Gおよび画素列42Gの各画像データの濃度を比較し、その比較結果として比較信号A,Bを出力する。
【0063】
第一判定回路76は、凸画素検出回路71,72,73から出力される凸画素信号R,G,Bとデータ比較回路75から出力される比較信号Aとに基づいて、第一の読取手段、即ち画素列41R,41G,41Bで発生したすじを検知し、すじ検知信号R,G,Bを出力する。第二判定回路77は、凸画素検出回路74から出力される凸画素信号G2とデータ比較回路75から出力される比較信号Bとに基づいて、第二の読取手段、即ち画素列42Gで発生したすじを検知し、すじ検知信号G2を出力する。
【0064】
図12は、すじ検知回路61内における凸画素検出回路71,72,73の動作説明図である。凸画素検出回路71,72,73は、各画像データの主走査方向において先行する複数の画素の濃度の平均値に対して所定の濃度だけ大きく、かつ主走査方向において後続する画素データが先行する画素データの平均値付近となる、いわゆる主走査方向に見て凸状となる画素を検出する。
【0065】
図12では、主走査方向に連続する画素データの濃度と、検出結果である凸画素信号との関係を示しており、画素Dnを着目画素とし、また着目画素Dnに先行する複数の画素Dn−4〜Dn−1の濃度の平均値をFRAVEとする。その平均値FRAVEと着目画素Dnの濃度との比較および平均値FRAVEと主走査方向において着目画素Dnの後方となる画素の濃度との比較を行う。
【0066】
そして、着目画素Dnの濃度が平均値FRAVEよりも一定値α以上大きく、主走査方向において着目画素Dnの後方となる画素の中にFRAVE+βよりも濃度が小さい画素Dn+4が存在した場合に、着目画素Dnから画素Dn+4のひとつ前の画素Dn+3までを凸画素と判定し、凸画素信号を論理“1”として出力する。
【0067】
この着目画素Dnの後方でFRAVE+βと比較する画素の数を変更することで、検出する凸画素の幅を制限することができる。具体的には、設定した画素数未満の幅の凸画素しか検出されないことになる。例えば、比較する画素の数を3画素と設定した場合、図12では、着目画素Dnの後方の3画素Dn+1、Dn+2、Dn+3には濃度がFRAVE+β以下となる画素が存在しないため、凸画素としては検出されなくなる。この処理を画素列41R,41G,41Bおよび画素列42Gの各々に対して行い、それぞれの結果を凸画素信号R、凸画素信号G、凸画素信号B、凸画素信号G2とする。
【0068】
図13は、すじ検知回路61内におけるデータ比較回路75の構成の一例を示すブロック図である。図13から明らかなように、データ比較回路75は、4つの比較回路751〜754、2つの減算回路755,756および2つのAND回路757,758を有する構成となっている。
【0069】
比較回路571は、画素列41G(Green)の画像データ(以下、「画像データG」と記す)を比較入力A、画素列42G(Green2)の画像データ(以下、「画像データG2」と記す)を比較入力Bとして画素毎に濃度の大小の比較を行い、画素データGの方が大きい場合、即ちA>Bの場合に論理“1”の比較結果を出力する。比較回路752は、画像データG2を比較入力A、画像データGを比較入力Bとして画素毎に濃度の大小の比較を行い、画素データG2の方が大きい場合、即ちA>Bの場合に論理“1”の比較結果を出力する。
【0070】
減算回路755は、画像データGを入力A、画像データG2を入力Bとし、これら画像データG,G2の画素毎の濃度差(A−B)を出力する。減算回路756は、画像データG2を入力A、画像データGを入力Bとし、これら画像データG2,Gの画素毎の濃度差(A−B)を出力する。
【0071】
比較回路753は、減算回路755の減算出力を入力A、図4のCPU60で設定されるスレッショールドレベルAを入力Bとし、画像データGと画像データG2との濃度差がスレッショールドレベルAよりも大きい場合に論理“1”を出力する。比較回路754は、減算回路756の減算出力を入力A、CPU60で設定されるスレッショールドレベルBを入力Bとし、画像データG2と画像データGとの濃度差がスレッショールドレベルBよりも大きい場合に論理“1”を出力する。
【0072】
AND回路757は、比較回路751,753の各比較結果を2入力とし、それらの論理積をとることによって比較信号Aを出力する。AND回路758は、比較回路752,754の各比較結果を2入力とし、それらの論理積をとることによって比較信号Bを出力する。
【0073】
なお、上記構成のデータ比較回路75での処理においては、ゴミの付着に起因するすじの濃度が原稿画像よりも大きい場合を前提としているが、各回路の比較処理を反対の方向にする、具体的には比較回路751〜754における比較処理(A>B)を比較処理(B>A)にすることで、濃度が原稿画像よりも小さいすじの検出も可能である。
【0074】
図14は、すじ検知回路61内における第一判定回路76の構成の一例を示すブロック図である。図14から明らかなように、第一判定回路76は、論理回路761、3つの連続性検知回路762,763,764およびOR回路765を有する構成となっている。
【0075】
論理回路761は、凸画素信号R,G,Bおよび比較信号Aの論理に応じて論理信号R,G,Bを出力する。連続性検知回路762,763,764は、論理回路761から出力される論理信号R,G,Bの副走査方向における連続性を検知し、すじ検知信号R,G,Bを出力する。OR回路765は、連続性検知回路762,763,764から出力されるすじ検知信号Rとすじ検知信号Gとすじ検知信号Bとの論理和をとり、その論理和結果をすじ検知信号CLとする。
【0076】
図15に、論理回路761の論理テーブルを示す。論理回路761は、この論理テーブルにしたがって凸画素信号R,G,Bおよび比較信号Aの論理演算を行うことで論理信号R,G,Bを出力する。この論理演算を行う目的のひとつは、凸画素信号Rもしくは凸画素信号Bのみ論理“1”となるのを検知するため、即ち3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置するRまたはBの画素列41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した場合に出力画像に現れるすじを検知するためである。
【0077】
もうひとつの目的は、比較信号Aと凸信号Gが共に論理“1”となるのを検知すること、即ちすじの検知を狙った読取手段とは違う側の読取手段にゴミの付着によるすじの発生によって誤った検知が行われるのを防ぐためである。例えば、第二の読取手段(画素列42G)にゴミの付着に起因する原稿に対して濃度が小さいすじが発生した場合に、第一の読取手段(画素列41R,41G,41B)の読み取り画像データは第二の読取手段の読み取りデータに対して濃度が大きくなり、第一の読取手段にゴミの付着に起因する原稿に対して濃度が大きいすじが発生した場合とデータ比較回路75の出力が同じ結果となってしまうのを防ぐためである。
【0078】
論理回路761で処理された論理信号R,G,Bは、連続性検出回路762,763,764に入力される。連続性検出回路762,763,764は、画像データに含まれるノイズや原稿の搬送速度の変動によって誤った検知が行われるのを防ぐために設けられている。画像データにノイズが含まれていた場合、その画素に対して、凸画素信号R,G,Bや比較信号Aの論理が“1”となる可能性がある。また、原稿の搬送速度が変動した場合、比較する画素、つまりは画素列41Gの画像データと画素列42Gの画像データの読み取り位置がずれてしまうため、比較信号Aの論理が“1”となる可能性がある。
【0079】
ただし、どちらの場合も、副走査方向には長くても数ライン程度までしか発生することは無い。これに対して、ゴミの付着によるすじは、短くても数10ライン以上に亘って主走査方向の同一画素に対して連続的に発生する。したがって、検知結果が副走査方向に所定のライン以上連続して続く場合はすじと判定することができる。
【0080】
図16は、第一判定回路76内における連続性検出回路762,763,764の構成の一例を示すブロック図である。連続性検出回路762,763,764は全く同じ構成を採ることになることから、ここでは、連続性検出回路762の構成を例に挙げて説明するものとする。
【0081】
図16から明らかなように、連続性検出回路762は、n個のラインメモリ7621−1〜7621−nおよびAND回路7622によって構成されている。ラインメモリ7621−1〜7621−nは、入力される論理信号Rを順に1ライン相当の時間だけ遅延させ、論理信号Rに対してそれぞれ1〜nライン相当の時間だけ遅れた信号として出力する。
【0082】
AND回路7622は、入力される論理信号Rとラインメモリ7621−1〜7621−nの各出力信号と入力とし、これらの論理が全て“1”の場合、即ち主走査方向における論理信号Rの同一画素がn+1ライン連続して論理“1”の場合に、その出力結果(連続検出結果)を論理“1”とする。そして、この連続性検出回路762の出力結果がすじ検知信号Rとなる。
【0083】
連続性検出回路763,764についても、連続性検出回路762の構成および動作と全く同じであり、これら連続性検出回路763,764の出力結果がそれぞれすじ検知信号Gおよびすじ検知信号Bとなる。
【0084】
なお、図14に示す第一判定回路76において、OR回路765で3つのすじ検知信号R,G,Bの論理和をとったものをすじ検知信号CLとして出力しているが、これはR,G,Bの画像データのいずれか一つについてでもすじの発生を検知したことを示すものである。
【0085】
図17は、すじ検知回路61内における第二判定回路77の構成の一例を示すブロック図である。図17から明らかなように、第二判定回路77は、AND回路771および連続性検知回路772によって構成されている。AND回路771は、比較信号Bと凸画素信号G2との論理積をとる。ここで論理積をとる目的は、第一判定回路76と同様に、すじの検知を狙った読取手段とは違う側の読取手段にゴミの付着によるすじの発生によって誤った検知が行われるのを防ぐためである。
【0086】
また、連続性検出回路772を設ける目的は、第一判定回路76内における連続性検出回路762,763,764と同様に、画像データに含まれるノイズや原稿の搬送速度の変動によって誤った検知が発生するのを防ぐためである。連続性検出回路772の構成についても、図16に示した連続性検出回路762と同じである。この連続性検出回路772の出力結果がすじ検知信号G2となる。
【0087】
次に、すじ除去回路62の詳細について説明する。図18は、すじ除去回路62の構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
図18から明らかなように、すじ除去回路62は、画素位置算出回路81および第一,第二置換回路82,83を有する構成となっている。画素位置算出回路81は、画素列42Gの読み取り画像データに基づいて、置換する画素の画素位置を算出する。第一置換回路82は、画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データからすじを除去する。第二置換回路83は、画素列42Gの読み取り画像データからすじを除去する。
【0089】
図19〜図21は、画素位置算出回路81の動作を説明するために、各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図であり、ウインドウの中心の画素を着目画素とする。図19〜図21において、各画素には濃度を表すデータDxyおよび処理結果Zxyが示されており、添字xyはウインドウ内の画素位置を表し、上位の桁xが副走査方向の位置を、下位の桁yが主走査方向の桁をそれぞれ表している。例えば、着目画素の濃度データはD37となる。
【0090】
画素位置算出回路81では先ず、図19に示すように、各画素のデータDxyと着目画素のデータD37との差の絶対値を算出する。次に、その差の絶対値に図20に示した着目画素との距離を表す係数を加算し、その加算結果をZxyとする。したがって、Zxy=|Dxy−D37|+係数となる。この係数は着目画素との位置が離れるほど数値が大きくなっている。
【0091】
次に、図21に示すように、この加算結果Zxyに対して、すじ検知信号CLの論理が“1”である画素、即ちすじの発生が検知された画素については加算結果をデータの最大値Zmaxに置き換えてマスクする。ここで最大値に置き換えているのは、すじと検知された画素と着目画素との差を最大にすることにより、R,G,Bの読み取り画像データですじと検知された画素を算出しないようにするためである。
【0092】
最後に、図21に示すマスク処理結果のデータの中で最小値となる画素、即ちすじの発生が検知されていない画素の中で、着目画素の濃度データに一番近い濃度データをもつ画素を算出し、その画素の位置を示す画素位置データxyを出力する。
【0093】
図22は、すじ除去回路62内における第一置換回路82の構成の一例を示すブロック図である。図22から明らかなように、第一置換回路82は、第一選択回路821および第二選択回路822によって構成されている。第一選択回路821は、画素位置算出回路81で算出された画素位置データで示された画素のデータを選択する。第二選択回路822は、すじ検知信号R,G,Bに基づいて第一選択回路821の出力結果と入力画像データを選択して出力する。
【0094】
図23は、第一選択回路821の構成の一例を示すブロック図である。図23から明らかなように、第一選択回路821は、3つのウインドウ回路8211,8212,8213および3つの画素選択回路8214,8215,8216によって構成されている。ウインドウ回路8211,8212,8213は、画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウに展開する。画素選択回路8214,8215,8216は、画素位置算出回路81から出力される画素位置データで指示されたウインドウ内の画素のデータを選択して出力する。
【0095】
図24は、第二選択回路822の論理テーブルを示す図である。第二選択回路822は、すじ検知信号R,G,Bと図24に示す論理テーブルにしたがって、出力する画像データを選択して出力する。これにより、すじが除去された画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データが得られる。具体的には、すじ検知信号Gが論理“1”となる画素、即ち画素列41Gの読み取り画像データと画素列42Gの読み取り画像データとの比較によってすじの発生を検知した画素については、R,G,Bの全ての画像に対して画素位置算出回路81で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。
【0096】
すじ検知信号Rのみ論理“1”となる画素、即ち画素列41Rの読み取り画像データにのみすじの発生を検知した画素については、Rの画像のみ画素位置算出回路81で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。すじ検知信号Bのみ論理“1”となる画素、即ち画素列41Bの読み取り画像データにのみすじの発生を検知した画素については、Bの画像のみ画素位置算出回路81で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。
【0097】
第二置換回路83は、すじ検知信号G2が論理“1”のとき、即ち画素列42Gの読み取り画像データですじと検知された画素については、読み取り画像データGを読み取り画像データG2として出力することですじを除去する。
【0098】
以上説明したすじ補正回路58の構成および動作については、第一の読み取り手段である画素列41R,41G,41Bの読み取り動作速度と、第二の読み取り手段である画素列42Gの読み取り動作速度とが等しいとした場合を前提としたものである。
【0099】
次に、画素列42Gの読み取りを、画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の速度で動作させる場合において、画素列42Gの読み取り画像データに発生するすじの検知およびその除去を行う他の例に係るすじ補正回路58′について説明する。
【0100】
図25は、他の例に係るすじ補正回路58′の構成を示すブロック図であり、図中、図10と同等部分には同一符号を付して示している。図25から明らかなように、本例に係るすじ補正回路58′は、すじ検知回路61およびすじ除去回路62に加えて、低解像度変換回路63および高解像度変換回路64を有する構成となっている。
【0101】
低解像度変換回路63は、画素列42G(Green2)の読み取り画像データの副走査方向の解像度を1/2に落としてすじ検知回路61に供給する。高解像度変換回路64は、画素列41G(Green)の読み取り画像データの副走査方向の解像度を2倍に上げてすじ除去回路62に供給する。すじ検知回路61およびすじ除去回路62については先の構成例と同じものである。
【0102】
次に、上記構成のすじ検知回路58′の動作について説明する。画素列42Gの読み取りを、画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の速度で動作させる場合、画素列41R,41G,41Bの読み取りの副走査方向の解像度は、画素列42Gの読み取りの副走査方向の解像度の1/2となる。したがって、画素列42Gの読み取り画像データについては、低解像度変換回路63で副走査方向の解像度を1/2に落とし、画素列41Gの読み取り画像データと解像度を等しくして当該画像データと共にすじ検知回路61に入力することになる。
【0103】
ここで、画素列41Gの読み取り画像データの解像度を上げるのではなく、画素列42Gの読み取り画像データの解像度を落としているのは次の理由による。すなわち、解像度を上げると画像データが劣化し、すじの検知精度が落ちるためである。したがって、画素列42Gの読み取り画像データの解像度を落として画素列41Gの読み取り画像データの解像度と同じにして比較することで、すじの検知を精度良く行うことができる。すじ検知回路61では、図11で説明したように、凸画素検出回路74、データ比較回路75および第二判定回路77の作用によってすじ検知信号G2が生成されて出力される。
【0104】
次に、画素列41Gの読み取り画像データは、高解像度変換回路64で副走査方向の解像度を2倍に上げられ、画素列42Gの読み取り画像データと解像度を等しくされて当該画像データおよびすじ検知信号G2と共にすじ除去回路62に入力される。すじ除去回路62では、図18で説明したように、第二置換回路82によって画素列42Gの読み取り画像データを、副走査方向の解像度を上げた画素列41Gの読み取り画像データに置換することですじの除去が行われる。
【0105】
以上説明した2つの構成例に係るすじ補正回路、即ち第一構成例に係るすじ補正回路58および第二構成例に係るすじ補正回路58′については、カラー画像を読み取るモードと白黒画像を読み取るモードとを選択的にとり得る画像読取装置において、以下のようにして切り換えて用いることで、いずれのモードの場合においても、すじの発生を検知してそれを除去する補正処理を確実に行うことができる。
【0106】
すなわち、図26に示すように、第一構成例に係るすじ補正回路58と第二構成例に係るすじ補正回路58′とを並置し、モード設定部91によって設定される動作モード(カラーモード/白黒モード)に応じていずれか一方を動作状態とする。なお、図26には、図面の簡略化のために、図4に示す信号処理系の要部の構成、即ちすじ補正回路58,58′および後段画像処理回路59のみを示している。
【0107】
そして、カラー画像を読み取るカラーモードでは、画素列41R,41G,41Bの読み取りと画素列42Gの読み取りの各動作速度を等しく設定して原稿画像を読み取り、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データをカラー画像として出力する一方、第一構成例に係るすじ補正回路58により、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データ上のすじを検知してその除去を行うようにすれば良い。
【0108】
一方、白黒画像を読み取る白黒モードでは、画素列42Gの読み取りの動作速度を画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の動作速度に設定して原稿を読み取り、画素列42Gの読み取り画像データを白黒画像データとして出力する一方、第二構成例に係るすじ補正回路58′により、画素列42Gの読み取り画像データ上のすじを検知してその除去を行うようにすれば良い。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自動原稿搬送装置(ADF)によってシート状原稿を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る画像読取装置において、カラー画像に対応する場合であっても、回路規模や消費電力、光電変換素子からの発熱量を増大させることなく、ゴミなどの付着によって発生する読み取り画像のすじを精度良く検出しかつそれを除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図である。
【図2】 本実施形態に係る画像読取装置に用いられるCCDセンサの概要の一例を示す構成図である。
【図3】 CCDセンサの機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】 本実施形態に係る画像読取装置における信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】 コンタクトガラス上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図(その1)である。
【図6】 コンタクトガラス上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図(その2)である。
【図7】 3本の画素列の各読み取り画像データを示すタイミングチャートである。
【図8】 第一の読取手段で検知されたノイズを除去する場合に、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【図9】 第二の読取手段で検知されたノイズを除去する場合に、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【図10】 すじ補正回路の構成の一例(第一構成例)を示すブロック図である。
【図11】 すじ検知回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図12】 凸画素検出回路の動作説明図である。
【図13】 データ比較回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】 第一判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】 論理回路の論理テーブルを示す図である。
【図16】 連続性検出回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図17】 第二判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図18】 すじ除去回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図19】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その1)である。
【図20】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その2)である。
【図21】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その3)である。
【図22】 第一置換回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図23】 第一選択回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図24】 第二選択回路の論理テーブルを表す図である。
【図25】 すじ補正回路の構成の他の例(第二構成例)を示すブロック図である。
【図26】 信号処理系の要部の構成の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…原稿搬送装置(ADF)、20…シート状原稿、30…読取光学系、36…CCDセンサ、41R,41G,41B,42G…画素列、51…CCD駆動回路、58,58′…すじ補正回路、61…すじ検知回路、62…すじ除去回路

Claims (16)

  1. 原稿を読み取り位置に搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって前記読み取り位置に搬送された原稿を当該原稿の搬送方向に直交する方向に対応する主走査方向に走査しつつ複数の色成分について原稿画像の読み取りを行う第一の読取手段と、
    前記第一の読取手段に対して原稿の搬送方向に対応する副走査方向において所定の間隔だけ離れて設けられ、前記搬送手段によって前記読み取り位置に搬送された原稿を主走査方向に走査しつつ前記複数の色成分のうちいずれか一つの色成分について原稿画像の読み取りを行う第二の読取手段と、
    前記第一の読取手段と前記第二の読取手段との読み取りによって得られた複数の画像データに基づいて、前記第一の読取手段または前記第二の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出するノイズ検出手段とを備え
    前記ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と同じ色成分の画像データと前記第二の読取手段によって読み取られた画像データとの比較結果と、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と異なる色成分の画像データの変化とから、前記第一の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する
    ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する第一のノイズ検出手段と、前記第二の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する第二のノイズ検出手段とを有し、カラー画像を読み取るモードでは前記第一のノイズ検出手段による検出動作を行い、白黒画像を読み取るモードでは前記第二のノイズ検出手段による検出動作を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
  3. 前記ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と同じ色成分の画像データと前記第二の読取手段によって読み取られた画像データとの比較結果と、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と異なる色成分の画像データの変化とから、複数の色成分の画像データのうちノイズ成分が発生した色成分を特定する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
  4. 前記ノイズ検出手段は、前記第一の読取手段によって読み取られた複数の色成分の画像データのうち前記第二の読取手段と同じ色成分の画像データと前記第二の読取手段で読み取られた画像データとの比較結果から、前記第二の読取手段によって読み取られた画像データ上のノイズ成分を検出する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
  5. 前記第二の読取手段は、複数の色成分の中で最も分光感度特性の領域が広い色成分について画像の読み取りを行う
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の画像読取装置。
  6. 前記第二の読取手段は、複数の色成分の中で最も出力信号の信号レベルが大きい色成分について画像の読み取りを行う
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の画像読取装置。
  7. 前記第二の読取手段は、複数の色成分が赤、緑および青である場合において、そのうちの緑の色成分について画像の読み取りを行う
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の画像読取装置。
  8. 前記第一の読取手段は、複数の色成分にそれぞれ対応して副走査方向に配列された複数本の読取手段からなり、
    前記第二の読取手段は、前記複数本の読取手段のうち中央に位置する読取手段の色成分について画像の読み取りを行う
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の画像読取装置。
  9. 前記ノイズ検出手段の検出結果に基づいて前記第一の読取手段または前記第二の読取手段によって読み取られた画像データからノイズ成分を除去するノイズ除去手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の画像読取装置。
  10. 前記ノイズ除去手段は、前記ノイズ検出手段がノイズ検出した前記第一の読取手段によって読み取られた画像データを近傍の周囲画素データに置き換える
    ことを特徴とする請求項記載の画像読取装置。
  11. 前記ノイズ除去手段は、前記ノイズ検出手段がノイズ検出した前記第二の読取手段によって読み取られた画像データを前記第一の読取手段によって読み取られた画像データに置き換える
    ことを特徴とする請求項記載の画像読取装置。
  12. 前記ノイズ除去手段は、前記ノイズ検出手段がノイズ検出した前記第一の読取手段によって読み取られた画像データを近傍の周囲画素データに置き換える第一のノイズ除去手段と、前記ノイズ検出手段がノイズ検出した前記第二の読取手段によって読み取られた画像データを前記第一の読取手段によって読み取られた画像データに置き換える第二のノイズ除去手段とを有し、カラー画像を読み取るモードでは前記第一のノイズ除去手段による除去動作を行い、白黒画像を読み取るモードでは前記第二のノイズ除去手段による除去動作を行う
    ことを特徴とする請求項記載の画像読取装置。
  13. 前記ノイズ除去手段は、前記近傍の周囲画素データを前記第二の読取手段によって読み取られた画像データに基づいて特定する
    ことを特徴とする請求項10または12記載の画像読取装置。
  14. 前記ノイズ除去手段は、前記近傍の周囲画素データを前記第二の読取手段によって読み取られた画像データと前記ノイズ検出手段によってノイズ検出された画素との位置関係に基づいて特定する
    ことを特徴とする請求項10または12記載の画像読取装置。
  15. 前記ノイズ除去手段は、複数の色成分の画像データのうち前記ノイズ検出手段によって画素ノイズと検出された色成分の画像データ上のノイズ画素データのみ近傍の周囲画素データに置き換える
    ことを特徴とする請求項10または12記載の画像読取装置。
  16. 前記ノイズ除去手段は、複数の色成分の画像データのうち前記ノイズ検出手段によってノイズ検出された色成分により、全ての色成分の画素データを近傍の周囲画素データに置き換えるか、前記ノイズ検出手段によってノイズ検出された色成分の画素データのみ近傍の周囲画素データに置き換えるかを選択する
    ことを特徴とする請求項10または12記載の画像読取装置。
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