JP4120331B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、読み取り対象となる原稿からその原稿上に描かれた画像を読み取る複写機、ファクシミリ、スキャナ等の画像読取装置に関し、特に自動原稿搬送装置によってシート状原稿を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置としては、原稿をプラテンガラス上に載置する一方、読取光学系を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る方式のものと、読取光学系を原稿読み取り位置に固定する一方、自動原稿搬送装置によってシート状原稿を移動させながら当該原稿上の画像を読み取る方式のものとが知られている。両者を比較すると、原稿画像の読取速度の高速化を図る上では、シート状原稿を移動させる後者の画像読取装置の方が、読取光学系を移動させる前者の画像読取装置よりも有利である。
【0003】
ところが、後者の画像読取装置の場合には、原稿に付着したゴミが原稿読み取り位置のコンタクトガラスを汚したり、あるいはコンタクトガラスに付着したりすると、読取光学系が原稿読み取り位置に固定であるために、その汚れやゴミを常時読み取ることになる。その結果、画像の読み取り結果に原稿の搬送方向(副走査方向)のすじ、即ちすじ状のノイズが発生することになる。
【0004】
このような原稿自動搬送方式の画像読取装置固有の問題を解消するために、従来、種々の技術が提案されている。例えば、複数の読取手段を用意して原稿画像を読み取り、これら複数の読取手段によって読み取った画像データを相互に比較して、その差が所定のスレッショールドレベル以上である場合にゴミ等の異物がいずれか一方の読取手段の光路上に存在するものと判断し、他方の読取手段で読み取った画像データを選択して出力する技術などである(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
これら従来技術では、例えば2つの読取手段にて読み取った画像データを比較してその比較結果が、所定のスレッショールドレベル以上の差がある場合にその画素の画像データを論理“1”とし、差がない場合は論理“0”とし、その比較結果を図49に示す主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開して主走査方向における中央の画素列を注目画素列とする。そして、図50に示すように、注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その画素列にすじ状のノイズが発生したと判定している。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−152008号公報
【特許文献2】
特開2002−158835号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術はいずれも、濃度の低いゴミ等の異物について確実に検出するのが難しく、その検出を確実に行うためにスレッショールドレベルを小さく設定して検知感度を上げると、特定の画像領域ではゴミが存在しないにも関わらずゴミと誤検知して、ノイズ除去を行う必要がない画像データに対してノイズ除去の補正を行うことになるため、逆に画像を劣化させてしまうという課題があった。
【0008】
また、例えば原稿の搬送速度に変動が生じることに起因して、同じ読み取り位置における複数の読取手段の画像データにズレが生じると、正常な画像データであるにも関わらずノイズ成分が存在する画像データと誤検知してしまう場合がある。このとき、原稿画像が主走査方向の縦線であれば誤検知の影響はほとんど無いが、図51(A)に示すように、副走査方向の横線の場合には、横線の画素列全てがすじと判定されてしまい、図51(B)に示すように、横線のエッジ部が凸凹になるように補正されてしまうため、横線が波打つような出力画像となり、画像の劣化が著しい。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に原稿の搬送速度に変動が生じた場合などでも誤検知を生じることなく、濃度の低いゴミ等の異物についても確実に検出して、それに起因して発生するすじ状のノイズを確実に除去可能な画像読取装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像読取装置は、原稿を読み取り位置に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される原稿の搬送方向に対応する副走査方向において所定の間隔だけ離間して設けられ、前記読み取り位置に搬送された原稿を当該原稿の搬送方向に直交する方向に対応する主走査方向に走査しつつ原稿画像の読み取り行う複数の読取手段と、前記複数の読取手段による読み取りによって得られた複数の画像データに基づいて、これら画像データ上のノイズ成分を検知する検知手段とを備え、前記検知手段が、前記比較手段の比較結果を主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開して、当該ウインドウの主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、当該注目画素列にノイズ成分が存在するか否かを判定する第一の判定手段と、前記比較手段の比較結果を主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開して、当該ウインドウの主走査方向における中央の画素列を除く領域の画素列にノイズ成分が存在するか否かを判定する第二の判定手段と、前記第一の判定手段により前記注目画素列の全ての画素にノイズ成分が存在すると判定し、かつ、前記第二の判定手段により前記中央の画素列を除く領域の画素列にノイズ成分が存在しない画素列が少なくとも1以上存在すると判定したとき、前記注目画素列をノイズ成分が存在する画素列と特定する特定手段とを有する構成となっている。
【0013】
上記構成の他の画像読取装置において、ノイズ検知手段が原稿の余白部分である原稿先端非画像領域でノイズ成分の検知を行うことで、当該先端非画像領域では原稿画像の濃度変化などの外乱の影響がほとんど無く、検知用基準レベルを小さく設定して検知感度を高くできるため、濃度の低いゴミ等の異物についても確実に検出できる。また、検知用基準レベルを小さくし、検知感度を高く設定してもゴミ等の異物に起因するノイズ成分が存在しない画素について、これをノイズ成分が存在する画素と誤検知することもないため、ノイズ除去の補正処理を確実に行える。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る白黒方式の画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図である。本実施形態に係る画像読取装置は、自動原稿搬送装置(Automatic Document Feeder;以下「ADF」と略記する)10を備えており、そのADF10によって読み取り対象となるシート状原稿(以下、単に「原稿」と記す)20を移動させながら、その原稿20上から画像を読み取る、いわゆるCVT(Constant Velocity Transfer)モードに対応可能な構成となっている。
【0016】
すなわち、CVTモードでは、ADF10の原稿載置台11に載置された原稿20が引き込みローラ12によって1枚ずつ搬送ローラ13まで搬送され、その搬送ローラ13によって搬送方向を変えて、コンタクトガラス14まで案内される。そして、原稿20はコンタクトガラス14上を当該コンタクトガラス14と平行に搬送される。このとき、後述するようにして、原稿20上の画像の読み取りが行われる。その後は、画像読み取りが終了した原稿20が搬出ローラ15によってADF10の排出トレイ16上に排出される。
【0017】
コンタクトガラスガラス14上では、そこを搬送される原稿20が露光ランプ31によって照射される。そして、その照射による反射光は、第一ミラー32、第二ミラー33および第三ミラー34にて光路変更された後、レンズ35によって縮小され、光電変換素子である例えばCCD(Charge Coupled Device)型ラインセンサ(以下、「CCDセンサ」と記す)36Aの撮像面上に結像される。
【0018】
これら露光ランプ31、第一ミラー32、第二ミラー33、第三ミラー34、レンズ35およびCCDセンサ36Aは、原稿20上の画像を、当該原稿の搬送方向に直交する方向に対応する主走査方向に走査しつつ読み取る読取光学系30を構成している。これにより、コンタクトガラス14上を搬送される原稿20上に描かれた画像は、CCDセンサ36Aによって画素単位で光電変換されることによってアナログ画像信号として出力されることになる。
【0019】
図2は、白黒用CCDセンサ36Aの概要の一例を示す構成図である。図2から明らかなように、CCDセンサ36Aは、例えば10μm×10μmフォトダイオード等の受光セル(画素)40がn個ずつ直線状に配列されてなる複数本、例えば2本の画素列(光電変換素子列)41,42により構成されている。これら画素列41,42は、副走査方向において所定の距離だけ離間して設けられ、コンタクトガラス14上に位置する原稿について、その搬送経路上に存在する下流側読み取り位置Aおよび上流側読み取り位置Bにおいて原稿画像を主走査方向に走査しつつ読み取る。
【0020】
図3は、CCDセンサ36Aの機能的な構成例を示すブロック図である。図3から明らかなように、画素列41に対してその一方側に画素40の配列方向に沿ってシフトゲート43Aが、さらにその外側に画素40の配列方向に沿ってシフトレジスタ44Aがそれぞれ配置されている。シフトゲート43Aは、シフトパルスSHが与えられることにより、画素列41の各画素(受光セル)40で光電変換され、かつ蓄積された電荷をシフトレジスタ44Aに一斉に移動させる。シフトレジスタ44Aは、互いに逆相の転送パルスφ1,φ2によって転送駆動され、画素列41から移された電荷を順次転送する。
【0021】
シフトレジスタ44Aによって転送された電荷は、最終転送ゲート47Aに対して最終転送パルスLHが印加されることにより、当該最終転送ゲート47Aを通して例えばフローティングディフュージョンからなる出力部48Aに順に転送され、ここで電気信号に変換されて下流側読み取り位置Aにおけるアナログ画像信号Aとして出力される。出力部48Aは、リセットパルスRSが印加されることにより、アナログ画像信号Aの出力後の電荷のリセットを行う。
【0022】
画素列42についても、画素列41と全く同様の構成を採るとともに、同様の読み取り動作を行う。すなわち、画素列42に対してその一方側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43Bが、さらにその外側に画素40の配列方向に沿ってシフトレジスタ44Bがそれぞれ配置されている。そして、シフトレジスタ44Bから最終転送ゲート47Bを通して出力部48Bに転送された電荷は、当該出力部48Bにおいて電気信号に変換されて上流側読み取り位置Bにおけるアナログ画像信号Bとして出力される。
【0023】
なお、ここでは一例として、画素列41,42の各一方側に1本のシフトレジスタ44A,44Bをそれぞれ配置して、画素列41,42の全画素の電荷をそれぞれ1系統で出力する構成の場合を例に挙げて説明したが、シフトレジスタを画素列41,42の両側にそれぞ配置し、画素列41,42の奇数画素と偶数画素の各電荷を振り分けて並列転送して2系統で出力する構成を採ることも可能である。この構成を採ることにより、1系統で読み出しを行う場合に比べて2倍の速度で電荷の読み出し(転送)が可能となるため、高速な読み取り動作を実現できることになる。
【0024】
画素列41,42は、副走査方向において例えば100μmの間隔を隔てて配置されている。この間隔は、読み取り画像の10ライン分の走査線に相当する間隔である。この間隔を原稿の搬送経路上の上流側読み取り位置Bおよび下流側読み取り位置Aの隔たりに換算すると、400dot/inchの解像度では、635μm(=10×25400÷400)の間隔、600dot/inchの解像度では、423μm(=10×25400÷600)の間隔となる。本実施形態では、10ライン分の間隔としているが、これは一例に過ぎず、この間隔については、検知の対象となるゴミの発生頻度に基づいて決定するのが望ましい。
【0025】
ここで、CCDセンサ36Aのライン間隔、即ち画素列41,42間の間隔を決定する具体例について図4を用いて説明する。図4には、ゴミのサイズに対するコンタクトガラス14上に付着するゴミの発生頻度およびトータル発生比率の関係の一例を示しており、横軸はゴミのサイズ、縦軸は発生頻度およびトータル発生比率をそれぞれ表している。
【0026】
発生するゴミのうちの95%を占める600μm以下のゴミによる影響を除去する場合には、読み取り位置の間隔は、600μmに所定の大きさが加えられた例えば635μmに設計すると良い。このような間隔を隔てた各読み取り位置における各原稿画像(各々1ライン分の線画像)は、図1に示す読取光学系30を経ることによってCCDセンサ36Aの撮像面上に結像され、画素列41,42によって光電変換される。
【0027】
下流側読み取り位置Aに対応した画素列41は、所定の主走査周期毎に、1ラインを構成するn画素それぞれの濃度を表すアナログ画像信号Aを出力する。つまり、1主走査周期毎に1ライン分の画像が読み取られるので、以下では、主走査周期のことをライン周期と称する場合がある。同様に、上流側の読み取り位置Bに対応した画素列42も、主走査周期毎にn画素それぞれの濃度を表すアナログ画像信号Bを出力する。
【0028】
上述したように、下流側読み取り位置Aおよび上流側読み取り位置Bそれぞれに対応した各画素列41,42の間隔100μmは、10ライン分の走査線に対応した間隔である。したがって、原稿の搬送速度に変動がなければ、下流側読み取り位置Aに対応するアナログ画像信号Aは、上流側読み取り位置Bに対応するアナログ画像信号Bよりも10ライン分だけ位相が遅れた画像信号となる。
【0029】
図5は、第1実施形態に係る白黒方式の画像読取装置における信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図5において、CCDセンサ36AはCCD駆動回路51によって駆動されることで、アナログ画像信号A,Bをそれぞれ出力する。CCD駆動回路51は、各種のタイミング信号やクロック信号、具体的には先述したシフトパルスSH、転送パルスφ1,φ2、最終転送パルスLHおよびリセットパルスRSなどを生成し、これら信号によってCCDセンサ36Aを駆動する。
【0031】
CCDセンサ36Aから出力されるアナログ画像信号A,Bは、サンプルホールド回路52A,52Bでサンプルホールドされ、増幅回路53A,53Bで増幅された後、A/D変換回路54A,54Bでデジタル化されてデジタル画像データ(以下、単に「画像データ」と称す)A,Bとして出力される。これら画像データA,Bは、シェーディング補正回路55A,55BでCCDセンサ36Aの感度バラツキや読取光学系30(図1参照)の光量分布特性に対応した補正処理が施される。
【0032】
シェーディング補正回路55Aを経たデジタル画像データAは直接すじ補正回路57に入力され、シェーディング補正回路55Bを経たデジタル画像データBは遅延回路56を経由してすじ補正回路57に入力される。遅延回路57は、画像データBを10ライン相当の遅延時間だけ遅延させ、画像データAと同相の画像データとして出力する(同時化する)。同時化された画像データA,Bは、すじ補正回路57に供給される。すじ補正回路57は、入力される画像データA,Bに対してすじの検出およびすじの除去の各処理を行って後段の画像処理回路58に渡す。
【0033】
後段の画像処理回路58は、すじの補正処理が施された各画像データA,Bに対して例えば色空間変換処理、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理等の画像処理を施す。CPU59は、この画像読取装置の各部を制御する手段である。具体的には、CPU59は、CCD駆動回路51によって行われるCCDセンサ36Aの駆動周期の設定、増幅回路53A,53Bの利得制御、シェーディング補正回路55A,55Bの制御、すじ補正回路57の定数制御等を行う。
【0034】
図6は、すじ補正回路57の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図6から明らかなように、本構成例に係るすじ補正回路57は、データ変換回路61A,61B、すじ検知回路62、すじ判定回路63およびすじ除去回路64を有する構成となっている。
【0035】
データ変換回路61A,61Bは、後述するようにして画像データA,Bをそれぞれデータ変換する。すじ検知回路62は、データ変換回路61Aから出力される画像データAとデータ変換回路61Bから出力される画像データBとを比較することにより、画像データA上のノイズ成分を検知して、後述するすじ検知データを出力する。
【0036】
すじ判定回路63は、画像データAに含まれる主走査方向の濃度変化点を検知し、その検知結果とすじ検知回路62からのすじ検知データに基づいてすじ判定データを出力する。すじ除去回路64は、すじ判定回路63からのすじ判定データに基づき、シェーディング補正回路55Aから出力される画像データAと遅延回路56から出力される画像データBとを用いて、ノイズ成分の存在しない画像データを生成し、後段画像処理回路58に出力する。
【0037】
以下、データ変換回路61A,61B、すじ検知回路62およびすじ除去回路64の詳細について順に説明する。
【0038】
先ず、データ変換回路61A,61Bについて説明する。データ変換回路61A,61Bは、例えば図7に示すようにRAMによって構成される。図7には、1つのデータ変換回路を構成するRAM65が代表的に示されている。このRAM65には、データ変換テーブルが記憶されている。そして、画像データA/Bは、RAM65のアドレスデータとして入力されることで、そのアドレスに書き込まれているデータが変換後の画像データとして出力される。したがって、RAM26に記憶されているデータ変換テーブルを書き換えることによって様々なデータ変換が可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では、データ変換回路61A,61Bとして、RAMを使用した場合を例に挙げているが、これに限られるものではなく、決まった変換関係でデータ変換が可能であれば、データ変換回路61A,61BとしてRAM以外の手段を用いても良い。
【0040】
図8は、データ変換テーブルの入力データと出力データの関係の一例を示す図である。RAM65には、図8に示すような非線形な関係を示すデータ変換テーブルが書き込まれている。
【0041】
入力データと出力データとの関係として、図8に示す入出力関係のデータ変換テーブルを用いることにより、入力データの値が小さい領域では入力データの変化量ΔDI1に対して出力データの変化量ΔDO1は大きくなり、入力データの値が大きい領域では入カデータの変化量ΔDI2に対して出力データの変化量ΔDO2は小さくなる。
【0042】
したがって、複数の画像データの差は、入力データの値が小さい領域では拡大され、入力データの値が大きい領域では縮小されることになる。画像データの値は、画像の濃度を表しているので、図8に示す関係のデータ変換により、濃度が高い画像領域では複数の画像データの差が抑制され、濃度が低い画像領域では複数の画像データの差が強調されることとなる。このような非線形な変換関係でデータ変換された画像データA,Bはすじ検知回路62に入力される。
【0043】
本発明では、すじ検知回路62の具体的な構成およびその検出動作を特徴としている。このすじ検知回路62について、以下、2つの実施例を挙げて具体的に説明する。
【0044】
(第1実施例)
図9は、第1実施例に係るすじ検知回路62Aの構成の一例を示すブロック図である。図9から明らかなように、本実施例に係るすじ検知回路62Aは、データ比較ブロック(比較手段)71および周辺参照ブロック72によって構成されている。
【0045】
データ比較ブロック71には、ライン周期(主走査周期)毎に、各々n画素分の画素の濃度を表す画像データAおよび画像データBが入力される。ここで、画像データBは、上流側読み取り位置Bにおいて読み取られた原稿画像に対応しているが、遅延回路56(図5参照)によって10ライン相当の遅延が施されることで、下流側読み取り位置Aにおいて読み取られた原稿画像に対応した画像データAと同時化されている。したがって、原稿の搬送速度の変動がなければ、データ比較ブロック71に入力される画像データAおよび画像データBは、各々原稿上の同一ラインに対応した読み取り画像を表しており、両者は本来一致すべきものである。
【0046】
しかしながら、下流側読み取り位置Aにゴミなどが付着すると、下流側読み取り位置Aに対応した画像データAのうちゴミの付着箇所に対応した画素の画像データがその影響を受け、画像データAが表す当該画素の濃度が、画像データBが表す当該画素の濃度よりも顕著に高くなると考えられる。そこで、このデータ比較ブロック71は、このような前提に基づき、画像データAが画像データBよりも顕著に高くなっている場合に、画像データAがゴミの影響を受けている可能性がある旨の比較結果を出力する。
【0047】
図10は、データ比較ブロック71の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図10から明らかなように、本例に係るデータ比較ブロック71は、比較回路711、減算回路712、比較回路713およびAND回路714を有する構成となっている。
【0048】
このデータ比較ブロック71において、比較回路711は、画像データAと画像データBとを比較し、前者が後者よりも大きい場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。減算回路712は、画像データAから画像データBを減算し、画像データAおよび画像データBの差A−Bを出力する。比較回路713は、減算回路712によって求められた差A−Bを、CPU59(図5参照)で設定される所定のスレッショールドレベルと比較し、差A−Bが当該スレッショールドレベルよりも高い場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。これにより、差A−Bが顕著であるか否かが判定されることとなる。
【0049】
AND回路714は、比較回路711,713の各出力信号の論理積をとり、比較結果として出力する。すなわち、AND回路714は、画像データAに対応した画素の濃度が画像データBに対応した画素の濃度よりも高く、かつ、両画素間に所定のスレッショールドレベル以上の顕著な濃度差がある場合に論理“1”の信号を比較結果として出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を比較結果として出力する。
【0050】
このデータ比較ブロック71に入力されて比較される画像データAおよび画像データBは、先述したデータ変換回路61A,61B(図6参照)で変換された画像データであるので、濃度が高い画像領域ではこれら画像データA,Bの差が抑制されており、濃度が低い画像領域ではこれら画像データA,Bの差が強調されている。このため、スレッショールドレベルが一定であっても、濃度が低い領域の方が、濃度が高い領域よりもゴミなどの検知感度が高い。一般に、ゴミなどの誤検知は、画像濃度が高いところで生じやすいので、画像濃度に応じた検知感度でゴミの検知を行う本実施例に係るすじ検知回路62Aによれば、すじ状のノイズを正確に検知することができる。
【0051】
なお、以下では便宜上、AND回路714の出力信号、即ちデータ比較ブロック71の比較結果をゴミ判定ビットと呼ぶこととする。
【0052】
ところで、先述した通り、データ比較ブロック71には、ライン周期毎に、各々1ライン(n画素)分の画像データAおよび画像データBが入力される。データ比較ブロック71では、1ラインを構成する各画素毎に上記処理が行われ、画像データAがゴミの影響を受けているか否かを各画素毎に表したゴミ判定ビットからなるnビットのシリアルデータがライン周期毎にAND回路714から出力される。
【0053】
さて、原稿の搬送速度が一定である場合には、ゴミ判定ビットが論理“1”となることを以て、読み取り画像上にすじが現れる旨の判定を行うことも可能である。しかしながら、実際には原稿の搬送速度には変動が生じるので、このゴミ判定ビットが論理“1”になったからと言って、直ちに読み取り画像上にすじが現れる旨の判定を行うことはできない。
【0054】
原稿の搬送速度の変動は、原稿がローラに当たるときやローラから離れるときに発生するものであるため、搬送速度の変動に基づく画像データAおよび画像データBの位相ずれは、2〜3ライン周期程度しか持続しないと考えられる。これに対して、ゴミの付着によるすじの発生は、短くても数10ライン周期以上は持続する。したがって、特定の画素に対応したゴミ判定ビットが5〜10ライン周期に亘って連続して論理“1”となった場合には、原稿の搬送速度の変動の影響ではなく、ゴミの付着に起因してそのような事態が起こっていると考えて良い。
【0055】
そこで、データ比較ブロック71の比較結果(ゴミ判定ビット)を、図11に示すように、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定することができる。
【0056】
ただし、原稿の搬送速度の変動に起因して、例えば副走査方向の横線でズレが生じた場合には、注目画素列の左右においても比較結果が論理“1”となる。そこで、注目画素列が全て論理“1”でかつ注目画素列を除く左右の領域に全て論理“0”となる存在した場合には、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、副走査方向の横線の誤検知を防止できると考えられる。
【0057】
図9における周辺参照ブロック72は、このような考えに基づき、データ比較ブロック71の後段に設けられている。この周辺参照ブロック72の具体的な構成の一例を図12に示す。ここでは、一例として、データ比較ブロック71の比較結果を、主走査方向11画素、副走査方向5ライン(N=11、M=5)のウインドウに展開する場合を例に挙げるものとする。
【0058】
図12から明らかなように、本例に係る周辺参照ブロック72は、主走査遅延回路721、着目画素列参照回路(第一の判定手段)722、左右領域参照回路(第二の判定手段)723,724およびAND回路(特定手段)725によって構成されている。主走査遅延回路721は、データ比較ブロック71の比較結果を主走査方向に0〜10(=N−1)画素分だけ遅延した信号を生成する。これにより、5画素遅延させた比較結果5が着目画素の結果となる。
【0059】
図13は、主走査遅延回路721の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図13から明らかなように、本例に係る主走査遅延回路721は、10個のフリップフロップ(FF)回路7211−1〜7211−10が縦続接続された構成となっている。この主走査遅延回路721において、1段目のFF回路7211−1の入力、即ちデータ比較ブロック71の比較結果がそのまま比較結果0となり、1段目のFF回路7211−1の出力が比較結果1となり、……、10段目のFF回路7211−10の出力が比較結果10となる。
【0060】
着目画素列参照回路722は、着目画素についての比較結果5を副走査方向に0〜4(=M−1)ライン分だけ遅延した信号を生成し、各遅延信号の論理積をとる。すなわち、副走査方向の5ライン全ての注目画素の比較結果が論理“1”のときに論理積の結果が論理“1”となり、この論理積結果が参照結果1として出力される。
【0061】
図14は、着目画素列参照回路722の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図14から明らかなように、本例に係る着目画素列参照回路722は、4個のラインメモリ7221〜7224およびAND回路7225により構成されている。ここで、ラインメモリ7221〜7224は各々、FIFO(First-In First-Out;先入れ先出し)メモリによって構成されている。これらラインメモリ7221〜7224は、図14に示すように、カスケード接続されており、主走査遅延回路721の比較結果(ゴミ判定ビット)5を順次シフトするシフトレジスタを構成している。
【0062】
また、ラインメモリ7221〜7224の各々は、nビットのシリアルデータを記憶するように構成されており、これらラインメモリに入力されたビットデータは1ライン周期後に当該ラインメモリから出力される。したがって、ある画素に対応したゴミ判定ビットが主走査遅延回路721から出力されているとき、ラインメモリ7221〜7224からは当該画素よりも各々1〜4ラインだけ前の各画素に対応した各ゴミ判定ビットが出力されることとなる。
【0063】
ラインメモリ7221〜7224で遅延されたゴミ判定ビットはそれぞれAND回路7225に入力される。AND回路7225は、副走査方向に0〜4ライン分だけ遅延されたゴミ判定ビットの論理積をとり、これらゴミ判定ビットが全て論理“1”である場合、即ち画素がゴミの影響を受けている旨の判定が主走査線上の共通位置で5ライン連続して行われた場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。
【0064】
着目画素列参照回路722が注目画素列を参照し、5ライン全ての画素のゴミ判定ビットが論理“1”であるか否かを判定するのに対して、左右領域参照回路723,724は、注目画素列を除く左右の領域を参照し、その領域に全ての論理が“0”となる列があるか否かを検出し、その検出結果を参照結果1,2として出力する。
【0065】
図15は、左右領域参照回路723,724の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、左右領域参照回路723,724は全く同じ構成を採ることから、ここでは、左右領域参照回路723を例に挙げて説明する。図15から明らかなように、本例に係る左右領域参照回路723は、主走査遅延回路721の比較結果0〜4に対応して設けられた5個の主走査参照回路7231〜7235およびOR回路7236によって構成されている。
【0066】
主走査参照回路7231〜7235は、比較結果0〜4を副走査方向に0〜4(M−1)ラインだけ遅延した信号を生成し、各遅延信号の否定論理積をとる。すなわち、副走査方向の全ての画素の比較結果(ゴミ判定ビット)が論理“0”のときに論理積結果が論理“1”となる。主走査参照回路7231〜7235の各論理積結果は、OR回路7236に入力される。OR回路7236は、主走査参照回路7231〜7235の各論理積結果の論理和をとる。すなわち、5つの主走査参照回路7231〜7235の各論理積結果のうち、いずれか一つでも論理“1”となったときに、OR回路7236は論理“1”の信号を出力する。このOR回路7236の論理和出力が参照結果0となる。
【0067】
左右領域参照回路724も左右領域参照回路723と全く同じ構成を採り、その出力が参照結果2となる。これら左右領域参照回路723,724の各参照結果0,2は、図12に示すように、着目画素列参照回路722の参照結果1と共に、AND回路725に与えられる。AND回路725は、これら参照結果0,1,2の論理積をとり、それらの全てが論理“1”のときに論理“1”の信号を出力し、この信号がすじ検知データとなる。
【0068】
図16は、主走査参照回路7231〜7235の具体的な構成の一例を示すブロック図である。5つの主走査参照回路7231〜7235は全く同じ構成を採ることから、ここでは、主走査参照回路7231を例に挙げて説明する。図16から明らかなように、本例に係る主走査参照回路7231は、4個のラインメモリ7241〜7244およびAND回路7245によって構成されている。ここで、ラインメモリ7241〜7244は各々、FIFOメモリによって構成されている。
【0069】
これらラインメモリ7241〜7244は、図16に示すように、カスケード接続されており、主走査遅延回路721の比較結果(ゴミ判定ビット)0を順次シフトするシフトレジスタを構成している。また、ラインメモリ7241〜7244の各々は、nビットのシリアルデータを記憶するように構成されており、これらラインメモリに入力されたビットデータは1ライン周期後に当該ラインメモリから出力される。したがって、ある画素に対応したゴミ判定ビットが主走査遅延回路721から出力されているとき、ラインメモリ7241〜7244からは当該画素よりも各々1〜4ラインだけ前の各画素に対応した各ゴミ判定ビットが出力されることとなる。
【0070】
ラインメモリ7241〜7244で遅延された信号はそれぞれNAND回路7245に入力される。NAND回路7245は、比較結果0を副走査方向に0〜4ライン分だけ遅延したゴミ判定ビットの否定論理積をとり、これらゴミ判定ビットが全て論理“0”である場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。
【0071】
上述したように、第1実施例に係るすじ検知回路62Aにおいては、画像データAと画像データBとの比較結果(ゴミ判定ビット)を、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、原稿の搬送速度の変動の影響を受けることなく、ゴミの付着に起因して副走査方向に沿って発生するすじ状のノイズを確実に検知することができる。
【0072】
しかも、注目画素列が全て論理“1”でかつ注目画素列を除く左右の領域に全て論理“0”となる画素列が存在した場合には、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、すじ状のノイズを確実に検知でき、特に原稿の搬送速度の変動に起因して副走査方向の横線でズレが生じた場合であっても、横線の画素列全てをすじ状のノイズと誤判定することがないため、副走査方向の横線の誤検知を防ぐことができる。
【0073】
また、本実施例に係るすじ検知回路62Aにおいて、データ比較ブロック71の比較結果(ゴミ判定ビット)のウインドウ(図11参照)における主走査方向の画素数Nを変更する手段を、着目画素列参照回路722および左右領域参照回路723,724に対して設け、当該手段によって画素数Nを適宜変更することにより、当該すじ検知回路62Aで検知するすじの主走査方向の幅を変えることができる。これにより、検出対象のノイズの幅を任意に設定可能となる。
【0074】
ところで、原稿には、画像領域の周囲、即ち原稿の端部に必ず余白部分が存在する。この余白部分では、当然のことながら画像が形成されていなく、濃度が一定であるため、すじの検知に際して、、外乱は皆無に等しいと考えられる。このような考えに基づいて為されたのが、以下に説明する第2実施例に係るすじ検知回路62Bである。
【0075】
(第2実施例)
図17は、第2実施例に係るすじ検知回路62Bの構成の一例を示すブロック図である。図17から明らかなように、本実施例に係るすじ検知回路62Bは、第1,第2領域信号生成回路73,74、画像領域すじ検知回路75、非画像領域すじ検知回路76およびスレッショールドレベル補正回路77を有する構成となっている。
【0076】
第1領域信号生成回路73は、ページ周期で与えられるページ同期信号およびライン周期で与えられるライン同期信号に基づいて、主走査領域信号および副走査領域信号を生成する。第2領域信号生成回路74は、第1領域信号生成回路73で生成される主走査領域信号および副走査領域信号に基づいて、画像領域信号および先端領域信号を生成する。
【0077】
図18に、原稿全体、原稿の画像領域および原稿先端領域(非画像領域)に対する主走査領域信号、副走査領域信号、画像領域信号および先端領域信号の各波形の関係を示す。また、図19に、主走査領域信号、副走査領域信号、画像領域信号および先端領域信号の各タイミング関係を示す。
【0078】
ここでは、一例として、原稿先端から原稿先端領域の開始位置および終了位置までの距離をそれぞれ5mm、15mmとする。この距離5mm、15mmは、600dot/inchの解像度では、118dot(=5.0÷25.4×600)、354dot(=15.0÷25.4×600)に相当する。また、原稿先端から画像領域の開始位置までの距離を20mmとすると、この距離20mmは472dot(=20.0÷25.4×600)に相当する。
【0079】
したがって、図19のタイミングチャートにおいて、主走査領域信号の周期をT0とすると、副走査領域信号の立ち上がりタイミングから先端領域信号の立ち上がりタイミングまでの時間T1は118T0となり、副走査領域信号の立ち上がりタイミングから先端領域信号の立ち下がりタイミングまでの時間T2は354T0となる。また、副走査領域信号の立ち上がりタイミングから画像領域信号の立ち上がりタイミングまでの時間T3は472T0となる。
【0080】
画像領域すじ検知回路75は、第2領域信号生成回路74から与えられる画像領域信号が高レベル(論理“1”)の期間、即ち画像領域において動作状態となり、データ変換回路61Aから出力される画像データAとデータ変換回路61Bから出力される画像データBとを比較することにより、画像データAに含まれるすじ状のノイズ成分を検知する。
【0081】
非画像領域すじ検知回路76は、第2領域信号生成回路74から与えられる先端領域信号が高レベルの期間、即ち原稿先端領域(非画像領域)において動作状態となり、データ変換回路61Aから出力される画像データAとデータ変換回路61Bから出力される画像データBとを比較することにより、画像データAに含まれるすじ状のノイズ成分を検知する。
【0082】
画像領域すじ検知回路75と非画像領域すじ検知回路76とは、動作上、画像領域においてすじ検知を行うか、原稿先端領域(非画像領域)においてすじ検知を行うかの違いがあるだけであり、回路構成としては、基本的に同じものを用いることができる。本実施例では、同じ回路構成のものを用いることとし、画像領域すじ検知回路75を代表してその具体的な構成について説明する。
【0083】
ただし、すじ検知の基準となるスレッショールドレベルとして、画像領域すじ検知回路75には、後述するように、CPU59(図5参照)で設定されるスレッショールドレベル1またはスレッショールドレベル2が与えられるのに対し、非画像領域すじ検知回路76には常時スレッショールドレベル1が与えられることになる。ここで、スレッショールドレベル1およびスレッショールドレベル2の大小関係は、スレッショールドレベル1<スレッショールドレベル2となっている。
【0084】
図20は、画像領域すじ検知回路75の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図20から明らかなように、本例に係る画像領域すじ検知回路75は、データ比較ブロック751および連続性検知ブロック752によって構成されている。
【0085】
データ比較ブロック751には、ライン周期(主走査周期)毎に、各々n画素分の画素の濃度を表す画像データAおよび画像データBが入力される。ここで、画像データBは、上流側読み取り位置Bにおいて読み取られた原稿画像に対応しているが、遅延回路56(図5参照)によって10ライン相当の遅延が施されることで、下流側読み取り位置Aにおいて読み取られた原稿画像に対応した画像データAと同時化されている。したがって、原稿の搬送速度の変動がなければ、データ比較ブロック751に入力される画像データAおよび画像データBは、各々原稿上の同一ラインに対応した読み取り画像を表しており、両者は本来一致すべきものである。
【0086】
しかしながら、下流側読み取り位置Aにゴミなどが付着すると、下流側読み取り位置Aに対応した画像データAのうちゴミの付着箇所に対応した画素の画像データがその影響を受け、画像データAが表す当該画素の濃度が、画像データBが表す当該画素の濃度よりも顕著に高くなると考えられる。そこで、このデータ比較ブロック751は、このような前提に基づき、画像データAが画像データBよりも顕著に高くなっている場合に、画像データAがゴミの影響を受けている可能性がある旨の比較結果を出力する。
【0087】
図20から明らかなように、データ比較ブロック751は、比較回路7511、減算回路7512、比較回路7513およびAND回路7514によって構成されている。比較回路7511は、画像データAと画像データBとを比較し、前者が後者よりも大きい場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。減算回路7512は、画像データAから画像データBを減算し、画像データAおよび画像データBの差A−Bを出力する。
【0088】
比較回路7513は、減算回路7512によって求められた差A−Bを、スレッショールドレベル1またはスレッショールドレベル2と比較し、差A−Bが当該スレッショールドレベルよりも高い場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。これにより、差A−Bが顕著であるか否かが判定されることとなる。なお、非画像領域すじ検知回路76の場合は、先述したように、比較基準レベルがスレッショールドレベル1に固定である。
【0089】
AND回路7514は、比較回路7511,7513の各出力信号の論理積をとり、その論理積結果を比較結果として出力する。すなわち、AND回路7514は、画像データAに対応した画素の濃度が画像データBに対応した画素の濃度よりも高く、かつ、両画素間にスレッショールドレベル1またはスレッショールドレベル2以上の顕著な濃度差がある場合に論理“1”の信号を比較結果として出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を比較結果として出力する。
【0090】
なお、以下では便宜上、AND回路7514の出力信号、即ちデータ比較ブロック751の比較結果をゴミ判定ビットと呼ぶこととする。
【0091】
ところで、先述した通り、データ比較ブロック751には、ライン周期毎に、各々1ライン(n画素)分の画像データAおよび画像データBが入力される。データ比較ブロック751では、1ラインを構成する各画素毎に上記の処理が行われ、画像データAがゴミの影響を受けているか否かを各画素毎に表したゴミ判定ビットからなるnビットのシリアルデータがライン周期毎にAND回路7514から出力される。
【0092】
さて、原稿の搬送速度が一定である場合には、ゴミ判定ビットが論理“1”となることを以て、読み取り画像上にすじが現れる旨の判定を行うことも可能である。しかしながら、実際には原稿の搬送速度には変動が生じるので、このゴミ判定ビットが論理“1”になったからと言って、直ちに読み取り画像上にすじが現れる旨の判定を行うことはできない。
【0093】
原稿の搬送速度の変動は、原稿がローラに当たるときやローラから離れるときに発生するものであるため、搬送速度の変動に基づく画像データAおよび画像データBの位相ずれは、2〜3ライン周期程度しか持続しないと考えられる。これに対して、ゴミの付着によるすじの発生は、短くても数10ライン周期以上は持続する。したがって、特定の画素に対応したゴミ判定ビットが5〜10ライン周期に亘って連続して論理“1”となった場合には、原稿の搬送速度の変動の影響ではなく、ゴミの付着に起因してそのような事態が起こっていると考えて良い。
【0094】
このような考えに基づき、連続性検知ブロック752は、データ比較ブロック751の比較結果(ゴミ判定ビット)を、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定してすじ検知データを出力する。
【0095】
本実施例では、一例として、データ比較ブロック831の比較結果を、主走査方向11画素、副走査方向5ライン(N=11、M=5)のウインドウに展開する場合を例に挙げるものとする。
【0096】
図20から明らかなように、連続性検知ブロック752は、4個のラインメモリ7521〜7524およびAND回路7525によって構成されている。ここで、ラインメモリ7521〜7524は各々FIFOメモリによって構成されている。これらラインメモリ7521〜7524は、図20に示すように、カスケード接続されており、データ比較ブロック751の比較結果(ゴミ判定ビット)を順次シフトするシフトレジスタを構成している。
【0097】
また、ラインメモリ7521〜7524の各々は、nビットのシリアルデータを記憶するように構成されており、これらラインメモリに入力されたビットデータは1ライン周期後に当該ラインメモリから出力される。したがって、ある画素に対応したゴミ判定ビットがデータ比較ブロック751から出力されているときに、ラインメモリ7521〜7524からは当該画素よりも各々1〜4ラインだけ前の各画素に対応した各ゴミ判定ビットが出力されることとなる。
【0098】
ラインメモリ7521〜7524で遅延されたゴミ判定ビットはそれぞれAND回路7525に入力される。AND回路7525は、副走査方向に0〜4ライン分だけ遅延されたゴミ判定ビットの論理積をとり、これらゴミ判定ビットが全て論理“1”である場合、即ち画素がゴミの影響を受けている旨の判定が主走査線上の共通位置で5ライン連続して行われた場合に論理“1”の信号を出力し、そうでない場合には論理“0”の信号を出力する。このAND回路7525の出力信号がすじ検知データである。
【0099】
再び図17において、スレッショールドレベル補正回路77は、非画像領域すじ検知回路76の検知結果に基づいて、画像領域すじ検知回路75のスレッショールドレベル(検知用基準レベル)を補正する。具体的には、非画像領域すじ検知回路76の検知結果が論理“1”のとき、即ち非画像領域すじ検知回路76がすじを検知したときはスレッショールドレベル1を与え、論理“0”のとき、即ち非画像領域すじ検知回路76がすじを検知しなかったときはスレッショールドレベル2を与える。
【0100】
ここで、先述したように、スレッショールドレベル1とスレッショールドレベル2とは、スレッショールドレベル1<スレッショールドレベル2の大小関係にある。したがって、上述したスレッショールドレベル補正回路77の機能は、画像領域でのすじの検知において、非画像領域ですじと検知された画素についてはスレッショールドレベルを小さく設定し、すじと検知されなかった画素のみスレッショールドレベルを大きく設定することである。スレッショールドレベルを大きく設定するということは、非画像領域ですじと検知されなかった画素に対し、画像領域ではすじを検知する感度を下げることを意味する。
【0101】
上述したように、第2実施例に係るすじ検知回路62Bにおいては、原稿の余白部分である原稿先端領域(非画像領域)において、画像データAと画像データBとの比較結果(ゴミ判定ビット)を、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、原稿の搬送速度の変動や原稿の濃度変化などの影響を受けることなく、すじを確実に検知することができる。
【0102】
特に、非画像領域では、原稿の濃度変化など外乱の影響がほとんど無く、スレッショールドレベル1を小さくして検知感度を高く設定できるため、濃度の低いゴミ等の異物についても確実に検出できる。また、スレッショールドレベル1を小さく設定して検知感度を高く設定しても、ゴミ等の異物に起因するノイズ成分が存在しない画素について、これをノイズ成分が存在する画素と誤検知することもないため、ノイズ除去の補正処理を確実に行うことができる。
【0103】
なお、本実施例に係るすじ検知回路62Bでは、画像領域すじ検知回路75と非画像領域すじ検知回路76とを併用する、即ち原稿先端領域(非画像領域)とそれ以降の画像領域の双方で同様にすじの検知を行う構成を採っているが、これに限られるものではなく、非画像領域すじ検知回路76のみを用いた構成でも、上述した如き作用効果を奏することができる。
【0104】
ただし、画像領域すじ検知回路75と非画像領域すじ検知回路76とを併用する構成を採った方が、すじの検知をより確実に行う上で有利であることは明らかである。しかも、画像領域の検知に対して原稿先端領域での検知結果を反映するようにし、原稿先端領域ですじと検知されなかった画素についてのみスレッショールドレベルを大きく設定して、すじを検知する感度を下げて画像領域でのすじの検知を行うことにより、原稿先端領域ですじと検知されなかった画素についてノイズ成分を含む画素と判定する誤検知を抑制できるため、画像領域での誤検知をより確実に防止することができる。
【0105】
さて、図6において、すじ検知回路62は、画像データAの値が画像データBの値に比べて所定値以上大きい場合にゴミが存在すると判定するが、原稿濃度が高く、画像データBに濃度の低いゴミが存在する場合でも、すじ検知回路62は画像データAにゴミがあると誤検知をしてしまう。また、濃度変化の小さいゴミを検知できるように、すじ検知回路62で使用するスレッショールドレベルを小さくすると、ゴミが発生していない場合でも誤検知が発生しやすくなる。
【0106】
このようなことから、図6のすじ補正回路57において、すじ検知回路62の後段には当該検知回路62によって検知されたすじの真偽を判定するすじ判定回路63が設けられている。
【0107】
図21は、すじ判定回路63の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図21から明らかなように、すじ判定回路63は、主走査エッジ検出ブロック631およびすじ検知マスクブロック632によって構成されている。
【0108】
画像データAがゴミの影響を受けている場合には、画像データAに基づいてそのゴミの真偽を判定することができるはずである。具体的には、画像データAのうちゴミの影響を受けた画素のデータと、その画素の周辺の画素のデータとを比較して顕著な差異の有無を判定することによってゴミの真偽を判定することができる。より簡便に判定する場合には、主走査方向における濃度の段差(エッジ)が検出されるか否かで判定することもできる。ここでは、このエッジを検出する方法を採用している。
【0109】
主走査エッジ検出ブロック631は、すじが検出された画素(すじ検知画素)と、その画素から走査線方向に2画素隔たった3画素の平均値との差分を画像データAに基づいて求め、その差分を所定のスレッショールドレベルと比較する。そして、差分がスレッショールドレベルよりも大きい場合は画像データAの主走査方向にエッジ有りと判定し、差分がそのスレッショールドレベルよりも小さい場合はエッジ無しと判定する。
【0110】
具体的には、主走査エッジ検出ブロック631は、遅延回路6311および比較回路6312によって構成されている。遅延回路6311は、画像データAを2画素分遅延するとともに、3画素の平均値を算出して出力する。比較回路6312は、遅延回路6311から出力された平均値と画像データAとの差分を求めてスレッショールドレベルと比較することにより、エッジの有り/無しの判定を行う。
【0111】
すじ検知マスクブロック632は、主走査エッジ検出ブロック631によるエッジの検出結果がエッジ有りという結果であるときはすじ検知データをそのまますじ判定データとして出力し、検出結果がエッジ無しという結果であるときはすじ検知データをマスクする。すなわち、すじ検知回路62からのすじ検知データが論理“1”であっても、検出結果がエッジ無しという結果であるときはすじ判定データを論理“0”として出力する。
【0112】
以上説明したように、すじ判定回路63は、画像データAのゴミ検知位置に主走査方向のエッジが無い場合には、すじ検知回路62による検知の結果、ゴミ有りと検知された場合であっても、すじ検知回路62が誤検知したとしてゴミ無しと訂正するものである。このすじ判定回路63を備えることで、すじ状のノイズの誤検知を訂正して正確な検知を行うことができる。
【0113】
すじ判定回路63から出力されるすじ判定データはすじ除去回路64に入力される。このすじ除去回路64は、すじ判定回路63から与えられるすじ判定データに基づいて、画像データからすじ状のノイズを除去する。
【0114】
図22は、すじ除去回路64の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図22から明らかなように、本例に係るすじ除去回路64は、選択回路641、遅延回路642,643および選択回路644によって構成されている。選択回路641は、すじ判定回路63から出力されるすじ判定データが、論理“0”である場合にはシェーディング補正回路55Aからの画像データAを選択し、論理“1”である場合には遅延回路56からの画像データBを選択してすじ除去画像データとして出力する。
【0115】
すなわち、すじ判定データが論理“0”であるときは画像データAがそのまま選択回路641から出力されるが、すじ判定データが論理“1”となり、画像データAを用いたのではすじが読み取り画像に現れることが判明したときには、画像データAの代わりに画像データBが選択回路641で選択されて出カされることになる。
【0116】
遅延回路642は、選択回路641からのすじ除去画像データを4ライン周期だけ遅延させて出力する。また、遅延回路643は、遅延回路56からの画像データBを4ライン周期だけ遅延させて出力する。選択回路644は、すじ判定回路63から与えられるすじ判定データが論理“0”である場合には遅延回路642からのすじ除去画像データを選択し、論理“1”である場合には遅延回路643からの画像データBを選択し、最終すじ除去画像データとして出力する。
【0117】
すなわち、すじ判定データが論理“1”であるときは、4ライン周期前に遡った画像データの切り換えも行う。このような4ライン周期前に遡った画像データの切り換えを行うのは、すじ判定データが論理“0”から論理“1”へ切り換わるタイミングが、読み取り画像にすじが現れるタイミングよりも4ライン周期だけ遅れるからである。
【0118】
なお、第1,第2実施例に係るすじ検知回路62A,62Bを用いたすじ補正回路57では、一例として、すじ検知回路62A,62Bで画像データAにゴミ等の異物に起因して発生するすじを検知するようにし、すじが検知されない場合には画像データAをそのまま出力し、画像データAにすじが検知された場合には画像データAに代えて画像データBを出力するようにしている。
【0119】
これに対して、すじ検知回路62A,62Bで画像データBにゴミ等の異物に起因して発生するすじを検知するようにし、すじが検知されない場合は画像データBをそのまま出力し、画像データBにすじが検知された場合には画像データBに代えて画像データAを出力するように構成することも可能であり、さらには両者を併用する構成を採ることも可能である。また、画像データAおよび画像データBの交換が可能な構成とすることも可能である。
【0120】
[第2実施形態]
図23は、本発明の第2実施形態に係るカラー方式の画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。本実施形態に係る画像読取装置もADF10を備え、そのADF10によって読み取り対象となる原稿20を移動させながら、その原稿20上から画像を読み取るCVTモードに対応可能な構成となっている。第1実施形態に係る白黒方式の画像読取装置との違いは、読取光学系30において、読取センサとしてカラー用CCDセンサ36Bを用いている点である。
【0121】
図24は、カラー用CCDセンサ36Bの概要の一例を示す構成図であり、図中、図2と同等部分には同一符号を付して示している。図24から明らかなように、CCDセンサ36Bは、フォトダイオードなどの受光セル(画素)40が直線状に配列されて成る複数本の画素列(光電変換素子列)によって構成されている。より具体的には、赤(以下、「R」と記す)、緑(以下、「G」と記す)、青(以下、「B」と記す)の各分光感度特性を持って互いに並置された3本の画素列41R,41G,41Bと、これら画素列41R,41G,41Bに対して画素の配列方向(主走査方向)に垂直な方向、即ち原稿搬送方向(副走査方向)において所定の間隔だけ離れた位置に設けられた例えばGの分光感度特性を持つ1本の画素列42Gとを有する構成となっている。
【0122】
3本の画素列41R,41G,41Bは第一の読取手段としての機能を持ち、読み取り対象となる原稿からカラー画像情報を読み取るためのものである。そのため、画素列41R,41G,41Bの各々は、例えば10μm×10μmのフォトダイオード等からなる受光セル40がn個直線状に配置された構成となっており、図の下側からR,G,Bの順に1ライン分(10μm)の間隔(ピッチ)で3列に配列されている。
【0123】
離れた1本の画素列42Gは第二の読取手段としての機能を持ち、読み取り対象となる原稿からGの画像情報を読み取るためのものである。そのため、画素列41R,41G,41Bと同様に、例えば10μm×10μmのフォトダイオード等からなる受光セル40がn個直線状に配置された構成となっており、3本の画素列41R,41G,41Bの中央に配置された画素列、即ち画素列41Gと同等のGの分光感度に対応している。また、離れた1本の画素列42Gは、画素列41Gとの間に例えば12ライン分(120μm)の間隔が存在するように、画素列41R,41G,41Bに対して原稿搬送方向(副走査方向)にオフセットして配置されている。
【0124】
なお、CCDセンサ36Bの撮像面上には原稿画像の読取光がレンズ35によって縮小されて結像されるので、読み取り解像度が600dpiの場合、CCDセンサ36Bにおける1ライン分(10μm)の間隔および12ライン分(120μm)の間隔は原稿搬送路上の読み取り位置ではそれぞれ60μmおよび720μmの間隔に相当する。
【0125】
これにより、画素列41R,41G,41B,42Gの各々は原稿上の副走査方向において離れた位置の4ライン分の画像を同時に読み取ってアナログ画像信号として出力することになる。つまり、3本の画素列41R,41G,41Bからは原稿上の1ライン毎に離れた画像の各画素のR,G,Bの濃度を表すアナログ画像信号が出力され、離れた1本の画素列42Gからは3本のうちの中央に位置する画素列41Gから12ライン離れた画像の各画素のGの濃度を表すアナログ画像信号が出力される。
【0126】
図25は、CCDセンサ36の機能的な構成例を示すブロック図である。図25から明らかなように、画素列41Bに対してその一方側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43Bが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44Bがそれぞれ配置されている。画素列41G,41Rについても同様に、その一方側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43G,43Rが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44G,44Rがそれぞれ配置されている。
【0127】
シフトゲート43B,43G,43Rは、シフトパルスSHが与えられることで、画素列41B,41G,41Rの各画素(受光セル)で光電変換され、かつ蓄積された電荷をシフトレジスタ44B,44G,44Rに一斉に移動させる。シフトレジスタ44B,44G,44Rは、互いに逆相の転送パルスφ1,φ2によって転送駆動され、画素列41B,41G,41Rから移された電荷を順次転送する。
【0128】
これら転送された電荷は、最終転送ゲート47B,47G,47Rに最終転送パルスLHが印加されることで、例えばフローティングディフュージョンからなる出力部48B,48G,48Rに転送され、ここで電気信号に変換されて出力信号VO1,VO2,VO3として導出される。出力部48B,48G,48Rは、リセットパルスRSが印加されることで、出力信号VO1,VO2,VO3の導出後の電荷のリセットを行う。
【0129】
一方、画素列42Gについては、その両側に画素の配列方向に沿ってシフトゲート43GO,43GEが、さらにその外側に画素の配列方向に沿ってシフトレジスタ44GO,44GEがそれぞれ配置されている。画素列42Gの電荷の読み出し(出力)の動作については、基本的に、画素列41B,41G,41Rの場合と同じである。ただし、以下の点で相違している。
【0130】
すなわち、シフトレジスタ44GO,44GEは、シフト段(転送段)の段数がシフトレジスタ44B,44G,44Rの段数の1/2となっている。また、画素列42Gからは奇数(ODD)画素と偶数(EVEN)画素との各電荷がシフトゲート43GO,43GEによってシフトレジスタ44GO,44GEにそれぞれに振り分けられて転送される。そして、シフトレジスタ44GO,44GEは、2相の転送パルスφ1,φ2によって奇数/偶数の2系統の電荷を並列に転送する。並列転送された2系統の電荷は、最終転送ゲート47GO,47GEに最終転送パルスLHが印加されることで、出力部48GO,48GEに転送され、ここで電気信号に変換されて出力信号VO4,VO5として導出される。
【0131】
このように、離れた1本のGの色成分に対応した画素列42Gについては、2本のシフトレジスタ44GO,44GEを両側に配置し、奇数画素と偶数画素の各電荷を振り分けて並列転送する構成を採ることで、他の3本の画素列41B,41G,41Rに比べて2倍の速度で読み出しが可能となる。これにより、この画素列42Gを用いて読み取りを行う場合には、高速な読み取りが可能となる。例えば、3本の画素列41B,41G,41Rを用いた読み取りモードをカラー読み取りモード、画素列42Gを用いた読み取りモードを白黒読み取りモードとして使用することで、白黒読み取りモードではカラー読み取りモードの2倍の速度で読み取りが可能となる。
【0132】
図26は、第2実施形態に係るカラー方式の画像読取装置における信号処理系の構成の一例を示すブロック図であり、図中、図5と同等部分には同一符号を付して示している。
【0133】
図26において、CCDセンサ36BはCCD駆動回路51によって駆動されることで、R,G,Bの各アナログ画像信号およびGについての奇数画素/偶数画素の各アナログ画像信号をそれぞれ出力する。CCD駆動回路51は、各種のタイミング信号やクロック信号、具体的には先述したシフトパルスSH、転送パルスφ1,φ2、最終転送パルスLHおよびリセットパルスRSなどを生成し、これら信号によってCCDセンサ36Bを駆動する。
【0134】
CCDセンサ36Bから出力される各アナログ画像信号は、サンプルホールド回路52R,52G,52B,52GO,52GEでサンプルホールドされ、増幅回路53R,53G,53B,53GO,53GEで増幅された後、A/D変換回路54R,54G,54B,54GO,54GEでデジタル画像データに変換される。この後、デジタル画像データは、シェーディング補正回路55R,55G,55B,55GO,55GEでCCDセンサ36の感度バラツキや読取光学系30(図23参照)の光量分布特性に対応した補正を施された後、Rの画像データを除いて遅延回路56G,56B,56GO,56GEに入力される。
【0135】
遅延回路56G,56B,56GO,56GEでは、R出力を除く3つの画像データを遅延させて、R出力の読み取り位置を基準として全ての画像データを時間的に合わせる(同時化する)処理が行われる。すなわち、遅延回路56G,56Bの各遅延量を1ライン、2ライン相当の時間、遅延回路56GO,56GEの各遅延量を共に13ライン相当の時間に設定することで、Rの画像データに対してG,Bの各画像データおよびGの2系統の各画像データを同時化することができる。
【0136】
同時化された各画像データは、すじ補正回路57に入力される。ただし、Gの2系統の各画像データ、即ち奇数画素の画像データと偶数画素の画像データについては、元の画素列42G(図25参照)における画素配列の順番になるように合成回路60で合成された後、すじ補正回路57に入力される。すじ補正回路57は、入力される各画像データに対してすじの検出およびすじの除去の各処理を行って後段の画像処理回路58に渡す。
【0137】
後段の画像処理回路58は、すじの補正処理が施された各画像データに対して例えば色空間変換処理、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理等の画像処理を施す。CPU59は、この画像読取装置の各部を制御する手段である。具体的には、CPU59は、CCD駆動回路51によって行われるCCDセンサ36Bの駆動周期の設定、増幅回路53R,53G,53B,53GO,53GEの利得制御、シェーディング補正回路55R,55G,55B,55GO,55GEの制御、すじ補正回路57の定数制御等を行う。
【0138】
ここで、すじ補正回路57において、コンタクトガラス上のゴミ等の付着に起因する画像上の副走査方向のすじを検知する原理について説明する。
【0139】
先ず、図23に示したコンタクトガラス14上において、第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bの光路の位置Aにゴミが付着したとすると、その箇所のゴミが画素列41R,41G,41によって画像として読み取られる。このとき、そのゴミに起因して3本の画素列41R,41G,41Bの読み取り画像には、原稿上にはない副走査方向に延びる縦すじが現れる。一方、これとは12ライン分離れて第二の読取手段として機能するGの画素列42Gの光路の位置Bにはゴミが存在しないため、原稿上の画像は当該画素列42Gによって正常に読み取られる。
【0140】
そこで、12ライン分離れた読み取り位置間における用紙の搬送に要する時間だけ、先行して読み取られる画素列42Gの読み取り結果を遅延させて、第一の読取手段のうちの第二の読取手段と同じ分光感度特性をもつ中央の画素列、即ち画素列41Gの読み取り結果と比較すると、ゴミが存在する箇所では双方の読み取り結果が不一致となる。
【0141】
したがって、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果とを比較することにより、第一の読取手段の光路上の付着ゴミや浮遊ゴミに起因して発生する縦すじを検知することができる。また、第二の読取手段の光路上の位置Bにゴミが付着し、第一の読取手段の光路上の位置Aにはゴミが存在しない場合にも同様に、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果とを比較することにより、第二の読取手段の光路上の付着ゴミや浮遊ゴミに起因して発生する縦すじを検知することができる。
【0142】
なお、本実施形態では、第一読取手段の中央の画素列41Gと第二の読取手段の画像列42Gとの間の間隔を12ライン相当としているが、これは一例に過ぎず、この間隔については、検知の対象となるゴミの大きさや発生頻度に基づいて決定するのが望ましい。
【0143】
次に、コンタクトガラス14上において、第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置する画素列、即ち41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した際に出力画像に現れるすじの検知について説明する。
【0144】
図27および図28は、コンタクトガラス14上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図である。図27および図28では、3本の画素列の読み取り位置が、図の下側からR,G,Bの分光感度に対応した画素列41R,41G,41Bの順となっていて、各々をRの読み取り位置、Gの読み取り位置、Bの読み取り位置とする。また、四角で示された枠は読み取る画素の位置を示し、そのうち太線で示された枠はゴミDが付着してすじが発生している画素位置を示している。
【0145】
図29は、3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを示すタイミングチャートである。図29のタイミングチャートにおいては、横軸が主走査方向(搬送方向と直交する方向)の画素位置を表し、縦軸が画像の濃度データを表している。
【0146】
図27に示す状態では、ゴミDはBの読み取り位置にのみ付着していて、GおよびRの読み取り位置には付着していない。この状態では、前述した第一の読取手段の読み取り結果と第二の読取手段の読み取り結果の比較、即ち画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ではすじを検出することはできない。したがって、他の手段にてすじを検知する必要がある。この状態では、次に説明する5つの現象が発生する。
【0147】
先ず第一として、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ですじは無いと判定される。第二として、ゴミDが付着した読み取り位置に対応した画素の画像データはその主走査方向に前後する画素の画像データに対して差があるため、図29に示すように、該当する画像データが変化する。第三として、Bの分光感度に対応する画素列41Bはゴミの付着がなくなるまで読み続けるため、第二で発生する変化は副走査方向に所定のライン数だけ連続して発生する。第四として、第二で発生する変化は3画素以下となる。
【0148】
ここで3画素以下としているのは、4画素以上のすじとなるゴミが付着した場合に、図28に示すように、Gの読み取り位置にまで付着するため、画素列41Gの読み取り結果と画素列42Gの読み取り結果の比較ですじが検知されるためである。したがって、この現象が発生するためには、3本の画素列41R,41G,41Bと離れて位置する画素列42Gの分光感度特性は、3本の画素列41R,41G,41Bのうち中央に位置する画素列、即ち画素列42Gの分光感度特性と同じであることが必要である。
【0149】
また、本実施形態では3画素としているが、対象となるゴミの形状や3本の画素列41R,41G,41Bの配列ピッチに応じて変える必要がある。第五として、Rの読み取り位置にはゴミDが付着していないため、Bの分光感度に対応する画素列41Bの読み取り画像データでは主走査方向に変化は生じない。
【0150】
以上説明した五つの現象が全て発生したときに、該当する画素の読み取り位置にゴミDが付着してすじが発生したと判定することで、コンタクトガラス14上の第一の読取手段として機能する3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置する画素列41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した場合に出力画像に現れるすじの検知を行うことができる。
【0151】
次に、副走査方向のすじが検知された画素に対してすじを除去する原理について説明する。
【0152】
先ず、第一の読取手段、即ち画素列41R,41G,41Bで検知されたすじの除去について説明する。図30は、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【0153】
図30のウインドウにおいて、(A)は3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを表し、(B)は離れた1本の画素列42G(Green2)の読み取り画像データを表し、(C)はすじを除去した後の3本の画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを表している。図30(A),(B),(C)において、各々の画素の読み取り位置は一致している。また、ウインドウの中心の画素を除去の対象となる着目画素Aとし、ゴミの付着によってすじが発生している画素は斜線で塗り潰して示している。
【0154】
図30(A),(B)に示すように、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データの着目画素Aを含めた主走査方向の中央3画素にはゴミの付着によってすじが発生しているが、画素列42Gの読み取り画像データにはすじは発生していない。このとき、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データのすじが発生していない画素と位置を同じくする画素列42Gの読み取り画像データの画素の領域(すじ外領域)の中で、画素列42Gの画像データの着目画素Bの濃度データに一番近いデータを持つ画素B′を算出し、それを置換対象画素とする。
【0155】
この置換対象画素B′と画素位置を同じくするR,G,Bの画像データの画素A′は、着目画素Aのすじがない状態での原稿の読み取り画像データと最も近い情報を持っていることになる。したがって、図30(C)に示すように、この画素A′を置換画素とし、すじが発生した着目画素Aを置換画素A′に置き換えることにより、第一の読取手段の出力に発生したすじを除去することができる。
【0156】
なお、本実施形態では、ウインドウを主走査13画素×副走査5画素としているが、これは一例に過ぎず、このウインドウについては、対象となるゴミの大きさなどによって決めるのが望ましい。
【0157】
続いて、第二の読取手段、即ち画素列42Gで検知されたすじの除去について説明する。図31は、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【0158】
図31のウインドウにおいて、(A)は3本の画素列41R,41G,41Bの中のGの読み取り画像データを表し、(B)は離れた1本の画素列42Gの読み取り画像データを表し、(C)はすじを除去した後の画素列42Gの読み取り画像データを表している。図31(A),(B),(C)において、各々の画素の読み取り位置は一致している。また、ウインドウの中心の画素を除去の対象となる着目画素Aとし、ゴミの付着によってすじが発生している画素は斜線で塗り潰している。
【0159】
図31(A),(B)に示すように、画素列42G(Green2)の読み取り画像データの着目画素を含めた主走査方向の中央3画素はゴミの付着によってすじが発生しているが、画素列41G(Green)の読み取り画像データにはすじは存在しない。このとき、画素列41G,42Gに対応する分光感度は共にGであるため、画素列42Gの読み取り画像データのすじが発生した画素と位置を同じくするGの画素の画像データはすじがない状態での原稿を読み取った画素列42Gの読み取り画像データと同等になる。
【0160】
したがって、図31(C)に示すように、画素列42Gの読み取り画像データのすじが発生した着目画素Bを、位置を同じくするGの画素Aの読み取り画像データで置き換えることにより、第二の読取手段の出力に発生したすじを除去することができる。
【0161】
ところで、本実施形態では、R,G,Bの各分光感度特性を持つ3本の画素列41R,41G,41Bと離れて位置する画素列を、Gの分光感度特性を持つ画素列42Gとしている。このGの色成分は、R,G,Bの色成分の中で最も分光特性の領域が広いものであることが知られている。したがって、すじの原因となるゴミの色成分に関係なくすじの検知を良好に行うことができ、また原稿画像に関係なくすじの除去における置換対象画素の算出も良好に行うことができる。
【0162】
また、Gの出力信号は信号レベルの大きな色成分として知られている。したがって、信号レベルに対してノイズレベルが小さいため、即ちSN比が良いため、すじの検出を精度良く行うことができ、またすじの除去における置換対象画素の算出も良好に行うことができる。
【0163】
次に、以上説明した原理に基づいてすじの検出およびすじの除去の各処理を行うすじ補正回路57の詳細について説明する。
【0164】
図32は、すじ補正回路57の構成の一例を示すブロック図である。図32から明らかなように、すじ補正回路57は、すじ検知回路66およびすじ除去回路67から構成されている。すじ検知回路66は、画像データからすじの発生を検知し、すじ発生の画素を特定するすじ検知信号を出力する。このすじ検知信号はすじ除去回路67に与えられる。すじ除去回路67は、すじ検知回路66から与えられるすじ検知信号と画像データに基づいてすじを除去し、すじの発生のない画像データを出力する。
【0165】
これらすじ検知回路66およびすじ除去回路67のうち、先ずすじ検知回路66の詳細について説明する。図33は、すじ検知回路66の構成の一例を示すブロック図である。
【0166】
図33から明らかなように、すじ検知回路66は、4つの凸画素検出回路81〜84、データ比較回路85、第一判定回路86および第二判定回路87を有する構成となっている。4つの凸画素検出回路81〜84は、画素列41R,41G,41Bおよび画素列42Gによる各読み取り画像データから、各画像データの主走査方向の変化を検出し、凸画素信号R,G,B,G2を出力する。データ比較回路85は、画素列41Gおよび画素列42Gの各画像データの濃度を比較し、その比較結果として比較信号A,Bを出力する。
【0167】
第一判定回路86は、凸画素検出回路81,82,83から出力される凸画素信号R,G,Bとデータ比較回路85から出力される比較信号Aとに基づいて、第一の読取手段、即ち画素列41R,41G,41Bで発生したすじを検知し、すじ検知信号R,G,Bを出力する。第二判定回路87は、凸画素検出回路84から出力される凸画素信号G2とデータ比較回路85から出力される比較信号Bとに基づいて、第二の読取手段、即ち画素列42Gで発生したすじを検知し、すじ検知信号G2を出力する。
【0168】
図34は、すじ検知回路66内における凸画素検出回路81,82,83の動作説明図である。凸画素検出回路81,82,83は、各画像データの主走査方向において先行する複数の画素の濃度の平均値に対して所定の濃度だけ大きく、かつ主走査方向において後続する画素データが先行する画素データの平均値付近となる、いわゆる主走査方向に見て凸状となる画素を検出する。
【0169】
図34では、主走査方向に連続する画素データの濃度と、検出結果である凸画素信号との関係を示しており、画素Dnを着目画素とし、また着目画素Dnに先行する複数の画素Dn−4〜Dn−1の濃度の平均値をFRAVEとする。その平均値FRAVEと着目画素Dnの濃度との比較および平均値FRAVEと主走査方向において着目画素Dnの後方となる画素の濃度との比較を行う。
【0170】
そして、着目画素Dnの濃度が平均値FRAVEよりも一定値α以上大きく、主走査方向において着目画素Dnの後方となる画素の中にFRAVE+βよりも濃度が小さい画素Dn+4が存在した場合に、着目画素Dnから画素Dn+4のひとつ前の画素Dn+3までを凸画素と判定し、凸画素信号を論理“1”として出力する。
【0171】
この着目画素Dnの後方でFRAVE+βと比較する画素の数を変更することで、検出する凸画素の幅を制限することができる。具体的には、設定した画素数未満の幅の凸画素しか検出されないことになる。例えば、比較する画素の数を3画素と設定した場合、図34では、着目画素Dnの後方の3画素Dn+1、Dn+2、Dn+3には濃度がFRAVE+β以下となる画素が存在しないため、凸画素としては検出されなくなる。この処理を画素列41R,41G,41Bおよび画素列42Gの各々に対して行い、それぞれの結果を凸画素信号R、凸画素信号G、凸画素信号B、凸画素信号G2とする。
【0172】
図35は、すじ検知回路66内におけるデータ比較回路85の構成の一例を示すブロック図である。図35から明らかなように、データ比較回路85は、4つの比較回路851〜854、2つの減算回路855,856および2つのAND回路857,858を有する構成となっている。
【0173】
比較回路871は、画素列41G(Green)の画像データ(以下、「画像データG」と記す)を比較入力A、画素列42G(Green2)の画像データ(以下、「画像データG2」と記す)を比較入力Bとして画素毎に濃度の大小の比較を行い、画素データGの方が大きい場合、即ちA>Bの場合に論理“1”の比較結果を出力する。比較回路752は、画像データG2を比較入力A、画像データGを比較入力Bとして画素毎に濃度の大小の比較を行い、画素データG2の方が大きい場合、即ちA>Bの場合に論理“1”の比較結果を出力する。
【0174】
減算回路855は、画像データGを入力A、画像データG2を入力Bとし、これら画像データG,G2の画素毎の濃度差(A−B)を出力する。減算回路856は、画像データG2を入力A、画像データGを入力Bとし、これら画像データG2,Gの画素毎の濃度差(A−B)を出力する。
【0175】
比較回路853は、減算回路855の減算出力を入力A、図26のCPU59で設定されるスレッショールドレベルAを入力Bとし、画像データGと画像データG2との濃度差がスレッショールドレベルAよりも大きい場合に論理“1”を出力する。比較回路854は、減算回路856の減算出力を入力A、CPU59で設定されるスレッショールドレベルBを入力Bとし、画像データG2と画像データGとの濃度差がスレッショールドレベルBよりも大きい場合に論理“1”を出力する。
【0176】
AND回路857は、比較回路851,853の各比較結果を2入力とし、それらの論理積をとることによって比較信号Aを出力する。AND回路858は、比較回路852,854の各比較結果を2入力とし、それらの論理積をとることによって比較信号Bを出力する。
【0177】
なお、上記構成のデータ比較回路85での処理においては、ゴミの付着に起因するすじの濃度が原稿画像よりも大きい(高い)場合を前提としているが、各回路の比較処理を反対の方向にする、具体的には比較回路851〜854における比較処理(A>B)を比較処理(B>A)にすることで、濃度が原稿画像よりも小さい(低い)すじの検出も可能である。
【0178】
図36は、すじ検知回路66内における第一判定回路86の構成の一例を示すブロック図である。図36から明らかなように、第一判定回路86は、論理回路861、3つの連続性検知回路862,863,864およびOR回路865を有する構成となっている。
【0179】
論理回路861は、凸画素信号R,G,Bおよび比較信号Aの論理に応じて論理信号R,G,Bを出力する。連続性検知回路862,863,864は、論理回路861から出力される論理信号R,G,Bの副走査方向における連続性を検知し、すじ検知信号R,G,Bを出力する。OR回路865は、連続性検知回路862,863,864から出力されるすじ検知信号Rとすじ検知信号Gとすじ検知信号Bとの論理和をとり、その論理和結果をすじ検知信号CLとする。
【0180】
図37に、論理回路861の論理テーブルを示す。論理回路861は、この論理テーブルにしたがって凸画素信号R,G,Bおよび比較信号Aの論理演算を行うことで論理信号R,G,Bを出力する。この論理演算を行う目的のひとつは、凸画素信号Rもしくは凸画素信号Bのみ論理“1”となるのを検知するため、即ち3本の画素列41R,41G,41Bのうちの両端に位置するRまたはBの画素列41R,41Bのどちらか一方の光路の位置にのみゴミが付着した場合に出力画像に現れるすじを検知するためである。
【0181】
もうひとつの目的は、比較信号Aと凸信号Gが共に論理“1”となるのを検知すること、即ちすじの検知を狙った読取手段とは違う側の読取手段にゴミの付着によるすじの発生によって誤った検知が行われるのを防ぐためである。例えば、第二の読取手段(画素列42G)にゴミの付着に起因する原稿に対して濃度が小さいすじが発生した場合に、第一の読取手段(画素列41R,41G,41B)の読み取り画像データは第二の読取手段の読み取りデータに対して濃度が大きくなり、第一の読取手段にゴミの付着に起因する原稿に対して濃度が大きいすじが発生した場合とデータ比較回路85の出力が同じ結果となってしまうのを防ぐためである。
【0182】
論理回路861で処理された論理信号R,G,Bは、連続性検出回路862,863,864に入力される。連続性検出回路862,863,864は、画像データに含まれるノイズや原稿の搬送速度の変動によって誤った検知が行われるのを防ぐために設けられている。画像データにノイズが含まれていた場合、その画素に対して、凸画素信号R,G,Bや比較信号Aの論理が“1”となる可能性がある。また、原稿の搬送速度が変動した場合、比較する画素、つまりは画素列41Gの画像データと画素列42Gの画像データの読み取り位置がずれてしまうため、比較信号Aの論理が“1”となる可能性がある。
【0183】
ただし、どちらの場合も、副走査方向には長くても数ライン程度までしか発生することは無い。これに対して、ゴミの付着によるすじは、短くても数10ライン以上に亘って主走査方向の同一画素に対して連続的に発生する。したがって、検知結果が副走査方向に所定のライン以上連続して続く場合はすじと判定することができる。
【0184】
なお、図36に示す第一判定回路86において、OR回路865で3つのすじ検知信号R,G,Bの論理和をとったものをすじ検知信号CLとして出力しているが、これはR,G,Bの画像データのいずれか一つについてでもすじの発生を検知したことを示すものである。
【0185】
図38は、すじ検知回路66内における第二判定回路87の構成の一例を示すブロック図である。図38から明らかなように、第二判定回路87は、AND回路871および連続性検知回路872によって構成されている。AND回路871は、比較信号Bと凸画素信号G2との論理積をとる。ここで論理積をとる目的は、第一判定回路86と同様に、すじの検知を狙った読取手段とは違う側の読取手段にゴミの付着によるすじの発生によって誤った検知が行われるのを防ぐためである。
【0186】
また、連続性検出回路872を設ける目的は、第一判定回路86内における連続性検出回路862,863,864と同様に、画像データに含まれるノイズや原稿の搬送速度の変動によって誤った検知が発生するのを防ぐためである。この連続性検出回路872の出力結果がすじ検知信号G2となる。
【0187】
次に、すじ除去回路67の詳細について説明する。図39は、すじ除去回路67の構成の一例を示すブロック図である。
【0188】
図39から明らかなように、すじ除去回路67は、画素位置算出回路91および第一,第二置換回路92,93を有する構成となっている。画素位置算出回路91は、画素列42Gの読み取り画像データに基づいて、置換する画素の画素位置を算出する。第一置換回路92は、画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データからすじを除去する。第二置換回路93は、画素列42Gの読み取り画像データからすじを除去する。
【0189】
図40〜図42は、画素位置算出回路91の動作を説明するために、各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図であり、ウインドウの中心の画素を着目画素とする。図40〜図42において、各画素には濃度を表すデータDxyおよび処理結果Zxyが示されており、添字xyはウインドウ内の画素位置を表し、上位の桁xが副走査方向の位置を、下位の桁yが主走査方向の桁をそれぞれ表している。例えば、着目画素の濃度データはD37となる。
【0190】
画素位置算出回路91では先ず、図40に示すように、各画素のデータDxyと着目画素のデータD37との差の絶対値を算出する。次に、その差の絶対値に図41に示した着目画素との距離を表す係数を加算し、その加算結果をZxyとする。したがって、Zxy=|Dxy−D37|+係数となる。この係数は着目画素との位置が離れるほど数値が大きくなっている。
【0191】
次に、図42に示すように、この加算結果Zxyに対して、すじ検知信号CLの論理が“1”である画素、即ちすじの発生が検知された画素については加算結果をデータの最大値Zmaxに置き換えてマスクする。ここで最大値に置き換えているのは、すじと検知された画素と着目画素との差を最大にすることにより、R,G,Bの読み取り画像データですじと検知された画素を算出しないようにするためである。
【0192】
最後に、図42に示すマスク処理結果のデータの中で最小値となる画素、即ちすじの発生が検知されていない画素の中で、着目画素の濃度データに一番近い濃度データをもつ画素を算出し、その画素の位置を示す画素位置データxyを出力する。
【0193】
図43は、すじ除去回路67内における第一置換回路92の構成の一例を示すブロック図である。図43から明らかなように、第一置換回路92は、第一選択回路921および第二選択回路922によって構成されている。第一選択回路921は、画素位置算出回路91で算出された画素位置データで示された画素のデータを選択する。第二選択回路922は、すじ検知信号R,G,Bに基づいて第一選択回路921の出力結果と入力画像データを選択して出力する。
【0194】
図44は、第一選択回路921の構成の一例を示すブロック図である。図44から明らかなように、第一選択回路921は、3つのウインドウ回路9211,9212,9213および3つの画素選択回路9214,9215,9216によって構成されている。ウインドウ回路9211,9212,9213は、画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウに展開する。画素選択回路9214,9215,9216は、画素位置算出回路91から出力される画素位置データで指示されたウインドウ内の画素のデータを選択して出力する。
【0195】
図45は、第二選択回路922の論理テーブルを示す図である。第二選択回路922は、すじ検知信号R,G,Bと図45に示す論理テーブルにしたがって、出力する画像データを選択して出力する。これにより、すじが除去された画素列41R,41G,41Bの各読み取り画像データが得られる。具体的には、すじ検知信号Gが論理“1”となる画素、即ち画素列41Gの読み取り画像データと画素列42Gの読み取り画像データとの比較によってすじの発生を検知した画素については、R,G,Bの全ての画像に対して画素位置算出回路91で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。
【0196】
すじ検知信号Rのみ論理“1”となる画素、即ち画素列41Rの読み取り画像データにのみすじの発生を検知した画素については、Rの画像のみ画素位置算出回路91で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。すじ検知信号Bのみ論理“1”となる画素、即ち画素列41Bの読み取り画像データにのみすじの発生を検知した画素については、Bの画像のみ画素位置算出回路91で算出されたすじの発生のない周囲画素のデータに置き換える。
【0197】
第二置換回路93は、すじ検知信号G2が論理“1”のとき、即ち画素列42Gの読み取り画像データですじと検知された画素については、読み取り画像データGを読み取り画像データG2として出力することですじを除去する。
【0198】
以上説明したすじ補正回路57の構成および動作については、第一の読み取り手段である画素列41R,41G,41Bの読み取り動作速度と、第二の読み取り手段である画素列42Gの読み取り動作速度とが等しいとした場合を前提としたものである。
【0199】
次に、画素列42Gの読み取りを、画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の速度で動作させる場合において、画素列42Gの読み取り画像データに発生するすじの検知およびその除去を行う他の構成例に係るすじ補正回路57′について説明する。
【0200】
図46は、他の構成例に係るすじ補正回路57′の構成を示すブロック図であり、図中、図32と同等部分には同一符号を付して示している。図46から明らかなように、本例に係るすじ補正回路57′は、すじ検知回路66およびすじ除去回路67に加えて、低解像度変換回路68および高解像度変換回路69を有する構成となっている。
【0201】
低解像度変換回路68は、画素列42G(Green2)の読み取り画像データの副走査方向の解像度を1/2に落としてすじ検知回路66に供給する。高解像度変換回路69は、画素列41G(Green)の読み取り画像データの副走査方向の解像度を2倍に上げてすじ除去回路67に供給する。すじ検知回路66およびすじ除去回路67については先の構成例と同じものである。
【0202】
次に、上記構成のすじ検知回路57′の動作について説明する。画素列42Gの読み取りを、画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の速度で動作させる場合、画素列41R,41G,41Bの読み取りの副走査方向の解像度は、画素列42Gの読み取りの副走査方向の解像度の1/2となる。したがって、画素列42Gの読み取り画像データについては、低解像度変換回路68で副走査方向の解像度を1/2に落とし、画素列41Gの読み取り画像データと解像度を等しくして当該画像データと共にすじ検知回路66に入力することになる。
【0203】
ここで、画素列41Gの読み取り画像データの解像度を上げるのではなく、画素列42Gの読み取り画像データの解像度を落としているのは次の理由による。すなわち、解像度を上げると画像データが劣化し、すじの検知精度が落ちるためである。したがって、画素列42Gの読み取り画像データの解像度を落として画素列41Gの読み取り画像データの解像度と同じにして比較することで、すじの検知を精度良く行うことができる。すじ検知回路66では、図32で説明したように、凸画素検出回路84、データ比較回路85および第二判定回路87の作用によってすじ検知信号G2が生成されて出力される。
【0204】
次に、画素列41Gの読み取り画像データは、高解像度変換回路69で副走査方向の解像度を2倍に上げられ、画素列42Gの読み取り画像データと解像度を等しくされて当該画像データおよびすじ検知信号G2と共にすじ除去回路67に入力される。すじ除去回路67では、図39で説明したように、第二置換回路92によって画素列42Gの読み取り画像データを、副走査方向の解像度を上げた画素列41Gの読み取り画像データに置換することですじの除去が行われる。
【0205】
上述したように、本実施形態に係るカラー方式画像読取装置では、R,G,Bの色成分について原稿画像の読み取りを行う画素列41R,41G,41Bと、これら画素列に対して副走査方向において所定の間隔だけ離間して設けられ、Gの色成分について原稿画像の読み取りを行う画素列42Gとを有するカラー用CCDセンサ36Bを用い、画素列41R,41G,41B,42Gの各読み取り画像データに基づいて、画素列41R,41G,41Bまたは画素列42Gの読み取り画像データ上のノイズ成分を検出しこれを除去することで、読取対象の原稿画像がカラー画像の場合であっても、ゴミなどの付着によって発生する読み取り画像のすじを精度良く検出しかつそれを除去することができる。
【0206】
なお、先述した2つの構成例に係るすじ補正回路、即ち第一構成例に係るすじ補正回路57および第二構成例に係るすじ補正回路57′については、カラー画像を読み取るモードと白黒画像を読み取るモードとを選択的にとり得るカラー/白黒方式画像読取装置において、以下のようにして切り換えて用いることで、いずれのモードの場合においても、すじの発生を検知してそれを除去する補正処理を確実に行うことができる。
【0207】
すなわち、図47に示すように、第一構成例に係るすじ補正回路57と第二構成例に係るすじ補正回路57′とを並置し、モード設定部94によって設定される動作モード(カラーモード/白黒モード)に応じていずれか一方を動作状態とする。なお、図47には、図面の簡略化のために、図26に示す信号処理系の要部の構成、即ちすじ補正回路57,57′および後段画像処理回路58のみを示している。
【0208】
そして、カラー画像を読み取るカラーモードでは、画素列41R,41G,41Bの読み取りと画素列42Gの読み取りの各動作速度を等しく設定して原稿画像を読み取り、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データをカラー画像として出力する一方、第一構成例に係るすじ補正回路57により、画素列41R,41G,41Bの読み取り画像データ上のすじを検知してその除去を行うようにすれば良い。
【0209】
一方、白黒画像を読み取る白黒モードでは、画素列42Gの読み取りの動作速度を画素列41R,41G,41Bの読み取りの2倍の動作速度に設定して原稿を読み取り、画素列42Gの読み取り画像データを白黒画像データとして出力する一方、第二構成例に係るすじ補正回路57′により、画素列42Gの読み取り画像データ上のすじを検知してその除去を行うようにすれば良い。
【0210】
以上説明したカラー方式画像読取装置またはカラー/白黒方式画像読取装置において、すじ検知回路66に対して、第1実施形態に係る白黒方式画像読取装置と同様に、先述した第1,第2実施例に係るすじ検知回路62A,62Bを適用することが可能である。このことについて、以下に具体的に説明する。
【0211】
先ず、すじ検知回路66に対して、第1実施例に係るすじ検知回路62Aを適用する場合には、図33に示す構成のすじ検知回路66と、図9に示す構成のすじ検知回路62Aとの対比において、データ比較回路85とデータ比較ブロック71とが対応している。これらは基本的に同じ構成となっている。そして、すじ検知回路66を構成する第一,第二判定回路86,87の具体的な構成例を示す図36および図38において、連続性検知回路862,863,864,872として、図9の周辺参照ブロック72を用いるようにすれば良い。
【0212】
このように、すじ検知回路66に対して、第1実施例に係るすじ検知回路62Aを適用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0213】
すなわち、カラー画像の読み取りにおいて、画像データAと画像データBとの比較結果を、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、原稿の搬送速度の変動の影響を受けることなく、ゴミの付着に起因して副走査方向に沿って発生するすじ状のノイズを確実に検知することができる。
【0214】
しかも、注目画素列が全て論理“1”でかつ注目画素列を除く左右の領域に全て論理“0”となる画素列が存在した場合には、その注目画素列にすじが発生したと判定することで、すじ状のノイズを確実に検知でき、特に原稿の搬送速度の変動に起因して副走査方向の横線でズレが生じた場合であっても、横線の画素列全てをすじ状のノイズと誤判定することがないため、副走査方向の横線の誤検知を防ぐことができる。
【0215】
次に、すじ検知回路66に対して、第2実施例に係るすじ検知回路62Bを適用する場合には、すじ検知回路62Bの具体的な構成例を示す図17において、画像領域すじ検知回路75および非画像領域すじ検知回路76として、図33に示す構成のすじ検知回路66をそのまま用いるようにすれば良い。ただし、この場合には、すじ検知回路66を構成する第一,第二判定回路86,87の具体的な構成例を示す図36および図38において、連続性検知回路862,863,864,872は、次のような回路構成を採ることになる。
【0216】
連続性検知回路862,863,864,872は全く同じ回路構成を採ることになるので、ここでは、連続性検知回路862を例に挙げたその具体的な回路構成について説明する。図48は、連続性検出回路862の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【0217】
図48から明らかなように、連続性検出回路862は、n個のラインメモリ8621−1〜8621−nおよびAND回路8622によって構成されている。ラインメモリ8621−1〜8621−nは、入力される論理信号Rを順に1ライン相当の時間だけ遅延させ、論理信号Rに対してそれぞれ1〜nライン相当の時間だけ遅れた信号として出力する。
【0218】
AND回路8622は、入力される論理信号Rとラインメモリ8621−1〜8621−nの各出力信号と入力とし、これらの論理が全て“1”の場合、即ち主走査方向における論理信号Rの同一画素がn+1ライン連続して論理“1”の場合に、その出力結果(連続検出結果)を論理“1”とする。そして、この連続性検出回路862の出力結果がすじ検知信号Rとなる。
【0219】
連続性検出回路863,864,872についても、連続性検出回路862の構成および動作と全く同じであり、これら連続性検出回路863,864,872の出力結果がそれぞれすじ検知信号G、すじ検知信号Bおよびすじ検知信号G2となる。
【0220】
このように、すじ検知回路66に対して、第2実施例に係るすじ検知回路62Bを適用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0221】
すなわち、カラー画像の読み取りにおいて、原稿の余白部分である原稿先端領域(非画像領域)において、画像データAと画像データBとの比較結果を、主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開するとともに、主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、この注目画素列の画素データが全て論理“1”となった場合に、その注目画素列にすじが発生したと判定することにより、原稿の搬送速度の変動や原稿の濃度変化などの影響を受けることなく、すじを確実に検知することができる。
【0222】
特に、非画像領域では、原稿の濃度変化など外乱の影響がほとんど無く、スレッショールドレベル1を小さくして検知感度を高く設定できるため、濃度の低いゴミ等の異物についても確実に検出できる。また、スレッショールドレベル1を小さく設定して検知感度を高く設定しても、ゴミ等の異物に起因するノイズ成分が存在しない画素について、これをノイズ成分が存在する画素と誤検知することもないため、ノイズ除去の補正処理を確実に行うことができる。
【0223】
しかも、画像領域の検知に対して原稿先端領域での検知結果を反映するようにし、原稿先端領域ですじと検知されなかった画素についてのみスレッショールドレベルを大きく設定して、すじを検知する感度を下げて画像領域でのすじの検知を行うことにより、原稿先端領域ですじと検知されなかった画素についてノイズ成分を含む画素と判定する誤検知を抑制できるため、画像領域での誤検知をより確実に防止することができる。
【0224】
ただし、原稿先端領域(非画像領域)とそれ以降の画像領域の双方で同様にすじの検知を行う構成に限られないことは、第1実施形態に係る白黒方式画像読取装置での説明において述べた通りである。
【0225】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の画像データを画素単位で比較して得られる比較結果に基づいて、注目画素にノイズ成分が存在するか否かを判定する際に、注目画素についての判定結果だけでなく、注目画素の周辺画素についての判定結果を参照することにより、原稿の搬送速度の変動の影響を受けることなく、ゴミの付着に起因して副走査方向に沿って発生するすじ状のノイズを確実に検知でき、特に原稿の搬送速度の変動に起因して副走査方向の横線でズレが生じた場合であっても、副走査方向の横線の誤検知を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る白黒方式の画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図である。
【図2】 白黒用CCDセンサの概要の一例を示す構成図である。
【図3】 白黒用CCDセンサの機能的な構成例を示すブロック図である。
【図4】 コンタクトガラス上に付着するゴミのサイズに対する発生頻度およびトータル発生比率の関係の一例を示す図である。
【図5】 第1実施形態に係る画像読取装置における信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】 第1実施形態に係る画像読取装置におけるすじ補正回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】 1つのデータ変換回路を構成するRAMを示す図である。
【図8】 データ変換テーブルの入力データと出力データの関係の一例を示す図である。
【図9】 第1実施例に係るすじ検知回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】 データ比較ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【図11】 データ比較ブロックの比較結果を展開するウインドウを示した図である。
【図12】 周辺参照ブロックの構成の一例を示すブロック図である。
【図13】 主走査遅延回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】 着目画素列参照回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】 左右領域参照回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図16】 主走査参照回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図17】 第2実施例に係るすじ検知回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図18】 原稿全体、原稿の画像領域および原稿先端領域(非画像領域)に対する主走査領域信号、副走査領域信号、画像領域信号および先端領域信号の各波形の関係を示す図である。
【図19】 主走査領域信号、副走査領域信号、画像領域信号および先端領域信号の各タイミング関係を示すタイミングチャートである。
【図20】 画像領域すじ検知回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図21】 第1実施形態に係る画像読取装置におけるすじ判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図22】 第1実施形態に係る画像読取装置におけるすじ除去回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図23】 本発明の第2実施形態に係るカラー方式の画像読取装置の要部の概略構成を示す側断面図である。
【図24】 カラー用CCDセンサの概要の一例を示す構成図である。
【図25】 カラー用CCDセンサの機能的な構成例を示すブロック図である。
【図26】 第2実施形態に係る画像読取装置における信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。
【図27】 コンタクトガラス上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図(その1)である。
【図28】 コンタクトガラス上の画素列の読み取り位置と付着したゴミとの位置関係を示す図(その2)である。
【図29】 3本の画素列の各読み取り画像データを示すタイミングチャートである。
【図30】 第一の読取手段で検知されたノイズを除去する場合に、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【図31】 第二の読取手段で検知されたノイズを除去する場合に、読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図である。
【図32】 第2実施形態に係る画像読取装置におけるすじ補正回路の構成の一例(第一構成例)を示すブロック図である。
【図33】 第2実施形態に係る画像読取装置におけるすじ検知回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図34】 凸画素検出回路の動作説明図である。
【図35】 データ比較回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図36】 第一判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図37】 論理回路の論理テーブルを示す図である。
【図38】 第二判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図39】 第2実施形態に係る画像読取装置におけるすじ除去回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図40】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その1)である。
【図41】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その2)である。
【図42】 画素位置算出回路の動作説明のために各読み取り画像データを主走査13画素×副走査5画素のウインドウで示した図(その3)である。
【図43】 第一置換回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図44】 第一選択回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図45】 第二選択回路の論理テーブルを表す図である。
【図46】 第2実施形態に係る画像読取装置におけるすじ補正回路の構成の他の例(第二構成例)を示すブロック図である。
【図47】 第2実施形態に係る画像読取装置における信号処理系の要部の構成の他の例を示すブロック図である。
【図48】 連続性検出回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図49】 主走査N画素×副走査Mラインのウインドウを示す図である。
【図50】 主走査N画素×副走査Mラインのウインドウにおける注目画素列を示す図である。
【図51】 従来技術の課題を説明するための図であり、(A)は副走査方向の横線を、(B)は誤検知による補正後の横線をそれぞれ示している。
【符号の説明】
10…原稿搬送装置(ADF)、30…読取光学系、36A…白黒用CCDセンサ、36B…カラー用CCDセンサ、41A,41B,41R,41G,41B,42G…画素列、51…CCD駆動回路、57,57′…すじ補正回路、62,62A,62B,66…すじ検知回路、62,67…すじ除去回路、71…データ比較ブロック、72…周辺参照ブロック、75…画像領域すじ検知回路、76…非画像領域すじ検知回路、77…スレッショールドレベル補正回路

Claims (4)

  1. 原稿を読み取り位置に搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される原稿の搬送方向に対応する副走査方向において所定の間隔だけ離間して設けられ、前記読み取り位置に搬送された原稿を当該原稿の搬送方向に直交する方向に対応する主走査方向に走査しつつ原稿画像の読み取り行う複数の読取手段と、
    前記複数の読取手段による読み取りによって得られた複数の画像データに基づいて、これら画像データ上のノイズ成分を検知する検知手段とを備え、
    前記検知手段は、
    前記複数の画像データを画素単位で比較する比較手段と、
    前記比較手段の比較結果を主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開して、当該ウインドウの主走査方向における中央の画素列を注目画素列とし、当該注目画素列にノイズ成分が存在するか否かを判定する第一の判定手段と、
    前記比較手段の比較結果を主走査方向N画素、副走査方向Mラインのウインドウに展開して、当該ウインドウの主走査方向における中央の画素列を除く領域の画素列にノイズ成分が存在するか否かを判定する第二の判定手段と、
    前記第一の判定手段により前記注目画素列の全ての画素にノイズ成分が存在すると判定し、かつ、前記第二の判定手段により前記中央の画素列を除く領域の画素列にノイズ成分が存在しない画素列が少なくとも1以上存在すると判定したとき、前記注目画素列をノイズ成分が存在する画素列と特定する特定手段とを有する
    ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記第一、第二の判定手段は、前記ウインドウの主走査方向の画素数Nを変更する手段を有する
    ことを特徴とする請求項記載の画像読取装置。
  3. 前記複数の読取手段は各々、白黒成分について原稿画像の読み取りを行う
    ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
  4. 前記複数の読取手段は、複数の色成分について原稿画像の読み取りを行う第一の読取手段と、前記第一の読取手段に対して副走査方向において所定の間隔だけ離間して設けられ、前記複数の色成分のうちのいずれか一つの色成分について原稿画像の読み取りを行う第二の読取手段とを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
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