次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図、図2は同じく右側面図である。
図3は同じく正面図、図4は動力伝達系のスケルトン図である。
図5は油圧回路図、図6は運転室の概略斜視図である。
図7は操向丸ハンドル及び液晶表示装置を示す拡大平面図、図8は主変速レバーを示す図である。
図9は制御装置全体の機能ブロック図、図10はCANコントローラC1の機能ブロック図である。
図11はCANコントローラC2の機能ブロック図、図12はCANコントローラC3の機能ブロック図である。
図13はCANコントローラC4の機能ブロック図、図14はCANコントローラC5の機能ブロック図である。
図15は各モードの遷移図、図16は通常モードの遷移図である。
図17は初期モードの画像情報を示す画面の図、図18は非作業モードの画像情報を示す画面の図である。
図19は作業モードの画像情報を示す画面の図、図20は作業系異常情報のうち扱胴詰り情報を示す画面の図である。
図21はエンジン系異常情報のうちエンジン油圧異常情報を示す画面の図、図22はエラー標識が表示された通常モードの画面の図である。
図23はエラー表示モードの画像情報を示す画面の図、図24は環境設定モードの画像情報を示す図である。
図25は画面にメンテナンスモードにおける選択メニュー情報を示した状態の液晶表示装置の拡大平面図、図26はメンテナンス指示画面の図である。
図27はメンテナンス確認画面の図、図28はスイッチ機能変更注意画面の図である。
図29は注意情報が表示された初期モードの画像情報を示す画面の図である。
図30は注意情報が表示された通常モードの画像情報を示す画面の図である。
図31は営農メニュー画面の図である。
作業車両の実施例としてコンバインについて説明する。コンバインの走行機体1は、左右一対の走行クローラ2・2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。図1に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には脱穀装置3が搭載されている。走行機体1の前部に配置した刈取前処理装置4は、走行機体1に対して、昇降フレーム14を介して昇降回動可能に支持されており、この昇降フレーム14と走行機体1との間に装着したアクチュエータとしての刈取部用油圧シリンダ9で昇降調節可能に構成されている。
刈取前処理装置4の下部にはバリカン式の刈刃装置5が配置されており、前部には六条分の穀稈引起装置6(図3参照)が配置されている。この穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフィードチェーン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置されており、穀稈引起装置6の下部前方には、走行機体1の進行方向に向かって突出する分草体10が取り付けられている。そして、走行機体1の右側前部には運転室11が配置されており、この運転室11の後方には穀粒タンク12が配置されている。
図4に示すように、運転室11の後方下部に備わるエンジン15からの動力の一部は、オーガクラッチ16を介して穀粒タンク12内の底スクリューコンベア17と排出オーガ28内の縦横スクリューコンベア18a・18bとに伝達される一方、エンジン15からの残りの動力は、動力分岐ミッション19を介して油圧ポンプ油圧モータ式走行駆動部24、脱穀装置3の扱胴13及び処理胴20、唐箕21、一番受樋のスクリューコンベア22a、二番受樋のスクリューコンベア22bやフィードチェーン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベア23、揺動選別機構40、排稈カッタ27等を回転駆動させるようになっている。
刈取前処理装置4への動力は、走行速度と同期するときには、走行駆動部24からの出力軸26を介して伝達され、同期しないときには、動力分岐ミッション19からの分岐動力がワンウェイクラッチ25を介して伝達されるようになっている。
図1及び図2に示すように、穀粒タンク12内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ28は、走行機体1の後端に配置した縦筒28aと、この縦筒28aの上端に上下回動可能に連設した横筒28bとからなり、縦筒28a内には縦スクリューコンベア18aが、横筒28b内には横スクリューコンベア18bがそれぞれ内装されている。
縦筒28aは、駆動モータ29とギア機構30とで縦軸回りに旋回可能に構成されており、横筒28bは、縦筒28aとの間に装架したオーガ用油圧シリンダ31とリンク機構32とで上下傾斜角度を変更可能に構成されている。
そして、駆動モータ29に設けたロータリエンコーダ等の旋回角センサ81により、縦筒28aの水平旋回角度、ひいては横筒28bの水平旋回位置を検出でき、オーガ用油圧シリンダ31またはリンク機構32の箇所に設けたポテンショメータ等の上下回動センサ82により、横筒28bの上下傾斜角度、ひいては横筒28b先端の排出部の位置を検出できるようになっている。
なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面に設けられたレスト台33等に横筒28bの中途部が載置されるようになっている。このレスト台33には、横筒28bが載置されたか否かを検出する接触センサ等のレスト検出器が取り付けられている。
左右各走行クローラ2は、トラックフレーム35の前後端に各々配置した駆動輪36及び従動輪37と、トラックフレーム35の下面中途部に複数個配置した転動輪38との外周に巻回してなり、左右各トラックフレーム35と走行機体1とは、走行部用油圧シリンダ39a(39b)(図5)と、トラックフレーム35の前後位置に設けた側面視L字状の前後レバーを同時に作動させるように連結した連結杆(図示せず)等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結されている。
左右の走行部用油圧シリンダ39a・39bは、互いに独立的に作動させることにより、左右各走行クローラ2を、走行機体1の左右に対して独立的に昇降させ得るようになっている。
したがって、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2から上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2に近付いて(下降し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相似的高さ(車高)は低くなる。
そして、左側の走行部用油圧シリンダ39aにおけるピストンロッドを突出させるか、または、右側の走行部用油圧シリンダ39bにおけるピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜するのである。
左右各走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドの突出量を検出して、走行機体1の左右各走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ等の車高センサ41a・41bは、前記連結杆に連設した連結ロッドやリンク機構(図示せず)を介して連動するように構成されている。走行機体1の左右の傾斜角度を検出するための振り子式(重力式)等の傾斜センサ43は、走行機体1の任意の位置、例えば運転室11内等に配置されている。
なお、図3に示すように、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出するための超音波センサ44a・44bは、発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けた状態で、刈取前処理装置4の左右両側における穀稈引起装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置されている。
超音波センサ44a・44bの設置高さと刈刃装置5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ44a・44bの検出値から所定の換算により刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを求めることができるようになっている。但し、対地高さを検出する手段は検知アームを突出して、該検知アームの角度を検出する構成としてもよく、限定するものではない。
また、昇降フレーム14の基端に取り付けた昇降ポジションセンサ45は、昇降フレーム14の回動角度を検出することにより、走行機体1と刈取前処理装置4との相対的高さを求めることができるようになっている。
図5に示すように、アクチュエータとしての油圧シリンダ9、31、39a、39bのための油圧回路は、油圧ポンプ46からの圧油を分流する分流弁47を介して分岐しており、この分流弁47の一方の吐出路からは、オーガ用油圧シリンダ31と左側の走行部用油圧シリンダ39aとに対する第1油圧回路48へ圧油を送給し、他方の吐出路からは、刈取部用油圧シリンダ9と右側の走行部用油圧シリンダ39bとに対する第2油圧回路49へ圧油を送給するように構成されている。
両油圧回路48・49には、それぞれの油圧シリンダ9、31、39a、39bに対する電磁制御弁50、51、52、53や逆止弁、リリーフ弁等が接続されている。該電磁制御弁は制御手段となるコントローラと接続されている。
次に、運転室11内に配置する操作部について、各種操作用のレバーやスイッチ類の構成を、図6及び図7を参照して説明する。運転座席56の前方のフロントコラムカバー体57から上向きに突出するハンドル軸(図示せず)には、走行機体1を操向操作する操向丸ハンドル58が取り付けられている。
フロントコラムカバー体57の上端部位には、表示手段としての液晶表示装置60が、平面視で操向丸ハンドル58における略半円形状のハンドルホイル58aの内径側略中央に位置するように取り付けられている。
この液晶表示装置60は、フロントコラムカバー体57のみに固定されていて、操向丸ハンドル58には連結していない構成としているので、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60は動かないようになっている。また、液晶表示装置60の上面(画面)を操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aよりも下方に位置させているので、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60には接触しないようになっている。
また、操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aの左右対称位置には、内方側に膨出した左右の内膨らみ部55a・55bが形成されており、この左右の内膨らみ部55a・55bには、機体水平制御用や刈取昇降・扱深さ制御用などの4方向操作スイッチであるステアリング左スイッチ83及びステアリング右スイッチ84がそれぞれ設けられている。つまり、オペレータはハンドルホイル58aを握った状態で直進及び旋回操作いずれにおいても、このステアリング左スイッチ83及びステアリング右スイッチ84を操作することが可能となっているのである。
また、操向丸ハンドル58近傍の左右両側方には、操作パネル69・69が配設されており、この操作パネル69・69には選別調節ダイヤル136や刈取自動昇降スイッチ131等の入力機器となる各種スイッチ類が配置されている。
運転座席56の左方には、前後に長いサイドコラム61が配置されており、このサイドコラム61には、車速を無段階変速させる主変速レバー65と、作業状態に応じて走行駆動部24の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー66とが左右に平行状に配置されており、これら各レバー65、66は前後回動可能に構成されている。
さらに、主変速レバー65の後方部位には、作業クラッチレバー68が前後回動可能に配置されている。作業クラッチレバー68は平面視逆L字状のガイド溝に沿って移動可能に構成されており、ガイド溝の後端左寄り位置に作業クラッチレバー68が位置するときには、刈取スイッチ134及び脱穀スイッチ135が切り作動して刈取クラッチ「切り」且つ脱穀クラッチ「切り」の状態となり、左右反対側となる後端右寄り位置では脱穀スイッチ135のみが入り作動して刈取クラッチ「切り」且つ脱穀クラッチ「入り」の状態となり、ガイド溝の前端である位置では脱穀スイッチ135とともに刈取スイッチ134が入り作動して刈取クラッチ「入り」且つ脱穀クラッチ「入り」の状態となるように構成されている。
また、図8に示すように、前記主変速レバー65は多機能レバーとなっており、そのパネル部65aにおいては、その同一平面上に、4方向操作スイッチであるAスイッチ201、及びBスイッチ202〜Gスイッチ207の複数の操作スイッチが配置されており、これらは、刈取前処理装置4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ137や、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ138、刈取前処理装置4の昇降動を手動操作するための刈取昇降スイッチ139、副変速スイッチ133等の複数の各種スイッチとなっている。そして、グリップ93基部に形成する外膨らみ部94に左手の親指と反対側の手の平を当てて主に親指によりこれらAスイッチ201〜Gスイッチ207の操作を行うように構成している。
図6及び図7に示すように、液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できるモノクロのドットマトリクス形の表示手段としての液晶パネル60bと、これを収納するケース60aとにより構成されている。なお、液晶パネル60bはカラー型であってもよい。
このケース60aの表面の前後左右略中心に液晶パネル60bを配置し、該液晶パネル60bの近傍外周側には、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70と、画面表示の切替え等のための入力手段となるスイッチ71・72・73・74が左右各2つずつ設けられている。これら各スイッチ71〜74は、スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチで、ノンロックタイプのものであり、それぞれに複数の役割を有する多機能スイッチとなっている。また、これら各スイッチ71〜74は本発明における入力手段に相当する。
ケース60a内であって液晶パネル60bの裏面側には、コンバインの各種モードのうち実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCANコントローラC5(詳細は後述する)が内装されている。
このような構成においてオペレータは、左手操作によって主変速レバー65を操作するとともにこの主変速レバー65のパネル部65aに配置されているAスイッチ201〜Gスイッチ207を操作することができ、また、右手操作によって操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aを操作しながらステアリング右スイッチ84を操作することができるのである。つまり、オペレータは左手操作及び右手操作を並行して行うことで、同時に複数の操作を行うことが可能となっているのである。
そして、このように並行して操作を行うことが可能なAスイッチ201〜Gスイッチ207及びステアリング右スイッチ84(以下、各操作スイッチという)それぞれのスイッチが有する機能の設定を変更可能(カスタマイズ可能)とし、オペレータの利き手や好み、また使用頻度や作業対象に対応した設定を行うことを可能としている。
この各操作スイッチの機能の設定変更は、液晶表示装置60の液晶パネル60bの画面上に表示される指示に従って、入力手段を手動操作することによって行うものとし、後述するメンテナンスモードにおけるスイッチ設定モードにおいて行うこととしている。なお、設定変更可能な操作スイッチは、前記各操作スイッチに限定されるものではない。
次に、走行機体1の車速、姿勢及び車高、排出オーガ28の排出位置等コンバインの操作全般を制御するとともに、実行中のモード(コンバインの動作の状態)に対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するための制御手段の構成について説明する。
図9に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置75は、複数(本実施例では5つ)のCAN(Controller Area Network)コントローラC1・C2・C3・C4・C5と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス76とで構成されている。CANコントローラC1及びC5には、制御データの反射を抑制する終端抵抗としての抵抗器(図示せず)が内蔵されている。
各CANコントローラC1〜C5は、各種演算処理や制御を実行するCPU77、後述する各制御プログラムを記憶させたり、エンジン15の稼動時間から作業車両の稼動時間や作業クラッチ「入」の稼動時間を積算記憶させたりする記憶手段としての不揮発性メモリであるEEPROM78、コンバインに備えられる各種装置に対応するメンテナンスの内容及びそれぞれのメンテナンスを実行すべきタイミングが記憶されているメンテナンス時期記憶手段やプログラム等を記憶する手段となるROM95、各種データ等を一時的に記憶させるRAM79、タイマ機能としてのクロック、各種入力系機器及び出力系機器に接続してデータを伝送する入出力インターフェイス(図示せず)等を備えている。なお、前記EEPROM78に記憶される情報は、チェックサム演算等の手法によって送受信される情報の誤りが検出できるようになっており、送受信される情報の妥当性が判断できる構成となっている。
CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の各々には、それぞれに対応するアプリケーション制御プログラム(ソフト)S1・S2・S3・S4・S5を予め記憶(格納)させている(図9参照)。
各アプリケーション制御プログラムS1・S2・S3・S4・S5は例えば、アプリケーション制御プログラムS1は、脱穀装置3及び刈取前処理装置4の各種アクチュエータ(例えば刈り高さを調節するための刈取部用油圧シリンダ9や穂先の位置を検知して扱き深さを調節するための縦搬送装置を調節するシリンダ等)を作動させる制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS2は、刈取部用油圧シリンダ9及び走行機体1の左右の走行部用油圧シリンダ39a・39bを作動させて、刈取前処理装置4の刈高さ制御や走行機体1の姿勢及び車高制御を実行するための制御プログラムとする。
アプリケーション制御プログラムS3は、エンジン15の出力を制御するための制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS4は、排出オーガ28における駆動モータ29及びオーガ用油圧シリンダ31の作動を制御するための制御プログラムとする。
そして、アプリケーション制御プログラムS5は、各コントローラC1〜C5に接続された全ての入出力系機器の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する制御を司る制御プログラムとする。
また、EEPROM78には、CAN通信に必要な通信制御プログラムと、入出力系機器間で制御データ(情報)を伝送するための入出力用制御プログラムとについても予め格納しており、アプリケーション制御プログラムに対して入出力用制御プログラムがベースとなるように階層化している。
各CANコントローラC1〜C5は、目安として、入出力機器のハーネスの長さがなるべく短くなるように組み合わせてそれらを制御するようにしており、それぞれの配置箇所でコントローラボックス(図示せず)内に格納されている。
例えば、CANコントローラC1は、運転室11における床板の下面側に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC1の入力インターフェイスには、入力系機器として、昇降ポジションセンサ45、刈取前処理装置4において刈取穀稈を搬送しているか否かを検出する穀稈搬送センサ96、搬送中の刈取穀稈の長さを検出する穀稈長さセンサ97、扱深さセンサ98、オーガクラッチモータスイッチ99、超音波センサ44a・44b、車速センサ100、2番受樋スクリューコンベア回転センサ101、操向丸ハンドルリミットスイッチ102等がそれぞれ接続されている(図10参照)。
CANコントローラC1の出力インターフェイスには、出力系機器として、扱深さ制御モータにおけるリレーユニット等の制御回路部103、オーガクラッチモータにおけるリレーユニット等の制御回路部104、脱穀クラッチを駆動させるための電磁ソレノイド105等が接続されている(図10参照)。
CANコントローラC2は、刈取前処理装置4の上部でかつ運転室11に近い箇所に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC2の入力インターフェイスには、入力系機器として、燃料センサ106.傾斜センサ43、車高センサ41a・41b、選別装置の流穀板における籾流量センサ107、選別装置各部での籾の有無を検出する籾センサ108、排稈カッタ詰まりセンサ109、旋回角センサ81、横筒28bの先端部に設けられ排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ先端操作部110、上下回動角センサ82、オーガクラッチセンサ111、排出オーガ過負荷センサ112、搖動選別過負荷センサ113、扱胴回転センサ114、処理胴回転センサ115等がそれぞれ接続されている(図11参照)。
CANコントローラC2の出力インターフェイスには、出力系機器として、搖動選別駆動モータ116、FCクラッチ駆動回路部117、排出オーガ28の縦筒28aを水平旋回させるための駆動モータ29、排出オーガブレーキ118、オーガ用油圧シリンダ31に対する電磁制御弁51の電磁ソレノイド51a、走行機体1の左側の走行部用油圧シリンダ39aに対する電磁制御弁52の電磁ソレノイド52a、走行機体1の右側の走行部用油圧シリンダ39bに対する電磁制御弁53の電磁ソレノイド53a、刈取部用油圧シリンダ9に対する電磁制御弁50の電磁ソレノイド50a等がそれぞれ接続されている(図11参照)。
図1〜図3に示すように、CANコントローラC3は、運転室11における運転座席56の後部に設置されている。このCANコントローラC3の入力インターフェイスには、入力系機器として、エンジン回転数センサ119、エンジンオイル量センサ120、エンジン水温センサ121、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ122、エンジンスタータスイッチ123、排出オーガ28の水平旋回位置を予め記憶させるためのオーガセット位置ダイヤル124、運転室11に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125、刈取クラッチモータリミットスイッチ126等がそれぞれ接続されている(図12参照)。
CANコントローラC3の出力インターフェイスには、出力系機器として、エンジン15の回転数が所定の回転数となるように燃料噴射ポンプのラック位置を調節するための燃料噴射ポンプラックアクチュエータ127、エンジンスタータリレー128、警報ブザー129等が各々接続されている(図12参照)。
CANコントローラC4は、運転室11のサイドコラム61内に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC4の入力インターフェイスには、入力系機器として、アクセルレバー59の操作位置を検出するアクセルレバーセンサ59a、車高制御切替スイッチ63、傾斜設定器64、扱深さ自動制御スイッチ130、刈取自動昇降スイッチ131、刈取前処理装置4が所定の刈高さまで下降すると自動的に前記刈取前処理装置4へ動力伝達するための刈取オートクラッチスイッチ132、副変速レバー66、刈取スイッチ134、脱穀スイッチ135、選別装置における穀粒の選別状態を調節するための選別調節ダイヤル136、オートリフトスイッチ137、オートセットスイッチ138、刈取昇降スイッチ139、扱深さ調節スイッチ140、副変速スイッチ133、刈取前処理装置4の刈取速度を変えるための刈取変速スイッチ80、上述した車高制御を手動操作で行うときの、走行機体1の車高を手動で変更調節できる車高調節スイッチ62、走行機体1を後退動させるための後退スイッチ141、電源スイッチ142等がそれぞれ接続されている(図13参照)。
CANコントローラC4の出力インターフェイスには、出力系機器として、車高制御を自動操作に切り替えたときに点灯する車高制御切替スイッチランプ143、扱深さ制御を自動操作に切り替えたときに点灯する扱深さ自動制御スイッチランプ144等が接続されている(図13参照)。
ケース60a内に内装されたCANコントローラC5の入力インターフェイスには、液晶パネル60bの画面上のカーソルを画面上方向に移動させるための第一設定スイッチ71、画面下方向に移動させるための表示切替スイッチ72、液晶パネル60bの画面表示を切り替える操作等をするためのブザー停止スイッチ73及び第二設定スイッチ74等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
そして、CANコントローラC5の出力インターフェイスには、表示手段としての液晶パネル60b、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
次に、CANコントローラC5によるモードの切替え制御の態様について説明する。図15に示すように、コンバインのモード(動作の状態)は、初期モードM1、路上走行や各種作業をする通常モードM2、コンバイン各部の異常状態を報知する警報表示モードM3、検出エラー等の各種エラーの内容を報知するエラー表示モードM5及び自動走行制御等の設定を行うための環境設定モードM4の5つに大別され、各モード毎にそれぞれ制御手段によって処理される。
そして、通常モードM2には、路上走行等をする非作業モードM2aと刈取・脱穀作業をする作業モードM2bとがあり、非作業モードM2aからのみ移行できるメンテナンスモードM6も設定されている(図16参照)。
まず、電源スイッチ142を入り操作すると、初期モードM1が起動して、液晶パネル60bの画面に図17に示す通常の初期画像情報が表示される。この通常の初期画像情報には、自社のキャラクター等の画像情報150と、自社のロゴマーク等の画像情報151を表示し、自社ブランドのアピールを行っている。
次いで、CANコントローラC5のEEPROM78に予め設定された時間(本実施例では10秒)が経過するか、あるいは、エンジン15の回転数が予め設定された回転数(本実施例では240rpm)以上になると、自動的に通常モードM2のうち非作業モードM2aに移行して(図16参照)、液晶パネル60bの画面の表示が、前記初期画像情報からエンジン回転数や燃料の残量等の画像情報(非作業モードM2aに対応した画像データ)に遷移する(図18参照)。
この場合、液晶パネル60bの画面には、非作業モードM2aの画像情報として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計85、エンジン回転数を示す略L字状の回転数グラフ86、穀粒タンク12内のもみの量を知らせるタンクモニタ87、燃料の残量を知らせる燃料計88、副変速レバー66の設定状態を知らせる副変速モニタ89、刈取前処理装置4の速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ90、及びエンジン15の稼動時間を積算した値等を知らせるアワーメータである積算値モニタ91とが表示される。なお、この積算値モニタ91の表示は、液晶パネル60b近傍に配置されている前記各スイッチ71〜74のいずれかを任意に操作(例えば、第一設定スイッチ71を適宜時間以上押下する等)することによって、作業時間の積算値モニタ91´(図30参照)に切り替わる。この作業時間とは、エンジン回転数が予め設定された回転数以上で、かつ、作業クラッチ(コンバインの場合刈取クラッチ)等の作業クラッチが入り状態である時間を積算したものであり、実質的に刈取作業などの作業を行った時間を表している。
初期モードM1の実行中に、脱穀装置3への動力伝達のための脱穀クラッチが入り状態、すなわち、脱穀スイッチ135が入り作動している場合は、警報表示モードM3に移行して、警報ブザー129を作動させるとともに、液晶パネル60bの画面に、扱胴詰まりの画像情報が切替え表示される(図20(a)参照)。これは、脱穀スイッチ135が入り状態のままで始動することを防止するためである。
図20(a)、(b)に示す両画像情報は、液晶パネル60bの画面上下方向に自動的にスクロールして表示される。この場合、脱穀スイッチ135が切り作動させると、警報ブザー129は作動停止するとともに非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面が図19に示す画面に遷移する。
図16に示すように、通常モードM2のうち非作業モードM2aの実行中に脱穀スイッチ135を入り作動させると、作業モードM2bに移行して、図18の画像情報を示す画面の表示がエンジン負荷や燃料の残量等の画像情報(作業モードM2bに対応した画像データ)に遷移する(図19参照)。逆に、脱穀スイッチ135を切り作動させると、非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面に、非作業モードM2aの画像情報が切替え表示される。なお、作業モードM2bの画像情報は、非作業モードM2aの画像情報のうちエンジン回転数を示す回転数グラフ86の表示領域に、これに代えてエンジン負荷を示す負荷グラフ86´を表示する点が異なるだけであり、その他は非作業モードM2aの場合と同様である。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えば、各出力系外部機器において許容される制御範囲から外れた異常制御データを、CANコントローラC5が受信した場合、または、前記異常制御データをCANコントローラC5が受信しているときにブザー停止スイッチ73を押下した場合は、警報表示モードM3に移行して、図18または図19に示す画面が、前記異常制御データの発信元である各出力系外部機器の異常状態、例えば扱胴詰まりや油圧異常等を報知する画像情報を示す画面(図20(a)、(b)及び図21(a)、(b)参照)に遷移する。なお、各種異常データが発生した場合には、液晶表示装置60のケース60aに設けた作業ランプ70(図7参照)が点灯するようになっている。
異常制御データが複数発生している場合は、所定時間ずつ順送りで、各異常制御データに対応する出力系外部機器の異常状態についての画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する。
なお、図20(a)、(b)に示す両画像情報のみならず、図21(a)、(b)に示す両画像情報も、液晶パネル60bの画面上下方向に、自動的にスクロールして表示される。
そして、各出力系外部機器の異常状態を解除するか、または、油圧異常等のエンジン関係に異常が発生しているときにブザー停止スイッチ73を一回押下すると、警報表示モードM3から通常モードM2に移行して、図20(a)、(b)または図21(a)、(b)に示す画面が、図18または図19に示す画面に遷移するのである。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えばセンサや設定器等の検出エラーや各種アクチュエータの作動エラー等の各種エラーが発生した場合には、液晶パネル60bの画面における副変速モニタ89の右側部位に、「エラー」の文字標識92が点滅表示される(図22参照)。このエラー標識92の点滅により、オペレータは、何らかのエラーが生じたことを、通常モードM2の画像情報を示した画面上で迅速に視認できる。
この状態で、ブザー停止スイッチ73を適宜時間(本実施例では5秒)以上押下すると、エラー表示モードM5に移行して、液晶パネル60bの画面の表示がこのとき発生したエラーの内容を示す画像情報に遷移する(図23(a)〜(d)参照)。
それから、もう一度ブザー停止スイッチ73を一回押下するか、または、前記エラーが解消されると、エラー表示モードM5から通常モードM2に戻って、液晶パネル60bの画面に、通常モードM2の画像情報が切替え表示される。
通常モードM2の実行中に第二設定スイッチ74を一回押下した場合は、環境設定モードM4に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、通常モードM2の画像情報から環境設定モードM4の画像情報に遷移する(図24参照)。もう一度、第二設定スイッチ74を押下すると、通常モードM2に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、環境設定モードM4の画像情報から通常モードM2の画像情報に戻る。本実施例では、環境設定モードM4を実行する頻度が少ないので、ブザー停止スイッチ73とは別に第二設定スイッチ74を設けて、不用意に環境設定モードM4を作動させることがないようになっている。
図16に示すように、コントローラは、非作業モードM2aの実行中に、通常では行わない特定の操作をすることによりメンテナンスモードM6に移行するように処理している。例えば、ケース60aに設けた表示切替スイッチ72とブザー停止スイッチ73とを同時に適宜時間(本実施例では5秒)以上入り作動させると、警報ブザー129の鳴動に伴ってメンテナンスモードM6に移行し、液晶パネル60bの画面に、メンテナンスモードM6における選択メニューの画像情報(以下、選択メニュー情報という)が切替え表示される(図25参照)。警報ブザー129は前記画面が切替わった時点で鳴動停止する。但しこのメンテナンスモードに入る操作は限定するものではなく、いずれか二つまたは三つのスイッチを同時に所定時間以上押すような通常では行わない操作であればよい。
このメンテナンスモードM6では、各入出力系機器の故障診断(詳細は後述する)をするだけでなく、これら各機器の制御範囲を設定変更できるから、前述した複雑な手順を踏まないとメンテナンスモードM6へ移行しないようにして、いたずらや誤操作により設定変更されることを防止している。また、メンテナンスモードM6では、一旦電源スイッチ142を切り作動させない限り、他のモードM1〜M5への移行ができないように設定されている。
メンテナンスモードM6に入ると更に複数の設定項目の選択画面(選択メニュー)が表示される。本実施例では選択画面に次の四つのモードが表示される。各種センサやCANコントローラC1〜C5を交換した際に刈高さ位置等の各種設定を行う初期設定モード、入出力系機器の故障の有無を診断する故障診断モードとしてのチェッカーモード、過去のメンテナンス情報を消去するリセットしたり、各CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の記憶内容を書き替えたりするサービスマンモード、及び前記各操作スイッチの機能の設定を行うスイッチ設定モードの四つの態様がある。
選択メニュー情報を示した図25の画面には、「初期設定モード」、「チェッカーモード」、「サービスマンモード」、及び「スイッチ設定モード」の文字情報161〜164と、選択する文字情報を指し示すカーソル160とが表示されている。
また、この画面の四隅部位には、入力手段としての各スイッチ71、72、73、74の機能を示す操作指示標識165、166、167、168とが表示されるようになっている。
このメンテナンスモードM6においては、オペレータによって、設定変更可能な操作スイッチの設定を変更したり、作業車両各部において実施されるメンテナンスの情報を、各CANコントローラC1〜C5に備えられている記憶手段に記憶させたりすることができるように制御されている。そして、本実施例においては、メンテナンス情報や警告・注意などの情報が各CANコントローラC1〜C5に存在する場合、作業車両の電源投入時、これらの情報を液晶表示装置60の液晶パネル60bに表示するように制御している。以下、この電源投入時において液晶パネル60bに表示される画像情報について説明する。
電源投入時、即ち電源スイッチ142が入り操作されると、液晶表示装置60のケース60aに内装されているCANコントローラC5のEEPROM78によって積算記憶される稼働時間情報が、通信バス76を介して各CANコントローラC1〜C4に送信され始める。この稼動時間情報を受信したCANコントローラC1〜C4は、受信する稼働時間情報が予め設定された一定時間(例えば、10分間)毎に、各CANコントローラに内蔵されているEEPROM78に、各メンテナンス項目に対応する稼動時間を積算記憶していく。
各CANコントローラC1〜C4は、メンテナンス項目(機器や部品等)毎に積算記憶されている稼働時間と、各CANコントローラC1〜C4のデータファイルとしてのROM95に予め記憶されているメンテナンス項目毎のメンテナンスを実行すべき間隔(以下、メンテナンス間隔という)とを比較する。この比較の結果、メンテナンス項目毎の稼動時間がROM95のメンテナンス間隔を超えた場合はメンテナンス時期に達したとして、そのメンテナンス項目を、次回電源投入時に液晶パネル60bに表示する情報(以下、電源投入時表示情報という)として、各CANコントローラC1〜C4におけるEEPROM78に記憶する。
そして、再度作業を開始する際の電源投入時、各CANコントローラC1〜C4のEEPROM78に前記電源投入時表示情報が記憶されている場合、この電源投入時表示情報が各CANコントローラC1〜C4から通信バス76を介してCANコントローラC5へと送信される。この電源投入時表示情報は、メンテナンス指示の画像情報や、各メンテナンス項目に対応した番号等の識別情報等である。
前記電源投入時表示情報を受信したCANコントローラC5は、この電源投入時表示情報をメンテナンス指示画面として液晶パネル60bに表示する(図26参照)。このメンテナンス指示画面(図26参照)においては、通常の初期画像情報(図17参照)において自社のロゴマーク等が表示される画像情報151の位置に、各メンテナンス項目に対応した識別情報によって識別されたメンテナンスを指示する文字情報152が表示される。
このように、電源投入時において、メンテナンスを実施すべき時期であることを表示手段である液晶パネル60bに表示するように制御することで、所定のメンテナンスを確実に実施することができる。つまり、メンテナンスの未実施を未然に防止することができるので、例えば、エンジンオイルの交換を忘れることでエンジンの耐久性や性能に影響を及ぼす等の所定のメンテナンスの未実施によって発生する不具合を防止することができる。
また、各CANコントローラC1〜C4の記憶手段であるEEPROM78に積算記憶される稼動時間のうち、作業クラッチが入り状態のときのみに劣化する装置のメンテナンス項目に対応するものについては、この作業クラッチが入り状態の時間を稼働時間として積算記憶するようにすることもできる。つまり、例えば扱胴13の扱ぎ歯や刈取前処理装置4の刈取装置5の刈刃や軸受やシールなどのように、各作業部が作業を行っている時間のみ劣化するような装置を有する箇所に対応するメンテナンス項目については、EEPROM78に積算記憶される稼動時間を、各作業部が作業を行っている時間とするのである。
具体的には、上述のように作業を行っている時間のみ劣化するような装置への駆動力の断接を行うクラッチ(以下、作業クラッチ)の「入」「切」を、各装置に対応する操作スイッチの「入」「切」を認識することで各CANコントローラC1〜C4が認識し、エンジン回転数が予め設定された回転数(例えば、1000rpm)以上で、かつ作業クラッチが入り状態である時間を稼働時間として積算記憶していくのである。
例えば、作業を行っている時間のみ劣化する装置として刈取装置5の場合、刈取作業状態、即ちエンジン回転数が予め設定された回転数以上で、作業クラッチである刈取クラッチが入り状態であることを、刈取スイッチ134の入り状態からCANコントローラC4が認識し、この刈取作業状態である時間を稼働時間としてEEPROM78に積算記憶していくのである。そして、この実質的に作業を行っている時間を稼動時間とし、各CANコントローラC1〜C4のROM95に予め記憶されているメンテナンス項目毎のメンテナンス間隔に対する比較対象とすることで、上述したような電源投入時表示情報を表示する制御を行うのである。
このように制御することによって、所定のメンテナンスを確実に実施することができるという効果に加え、各メンテナンス項目に対して、より実際の作業状態に即したメンテナンスを行うことが可能となる。
また、電源投入時、液晶パネル60bに前記メンテナンス指示画面(図26参照)が表示され、その後予め設定された一定時間が経過すると、液晶パネル60bの画面に、このメンテナンス指示画面で指示されたメンテナンスを実行したか否かを確認する画面(以下、メンテナンス確認画面という)が自動的に切替え表示される(図27参照)。
このメンテナンス確認画面(図27参照)においては、メンテナンスの内容を表示する文字情報170と、確認メッセージを表示する文字情報171と、オペレータへの注意を喚起する警告マーク172とが表示され、また、画面右下隅部及び右上隅部に、操作指示標識167及び168が表示される。
そして、オペレータは、メンテナンス確認画面に表示された所定のメンテナンスを実施した場合は、画面右下隅部の操作指示標識167(「交換した」の文字)に対応するブザー停止スイッチ73を押下することで、液晶パネル60bの画面が図18または図19に示す画面(以下、通常画面)に遷移する。つまり、オペレータがブザー停止スイッチ73を押下するという人為的な操作が行われることによって、液晶パネル60bに表示されているメンテナンス確認画面が消去され(非表示となり)、通常モードM2における通常画面に遷移するように制御されているのである。
この場合、メンテナンス確認画面において、画面右下隅部の操作指示標識167(「交換した」の文字)に対応するブザー停止スイッチ73が押下されると、メンテナンス確認画面に表示されたメンテナンスが実施されたということになり、このメンテナンスが実施されたという情報が通信バス76を介して各メンテナンス項目に対応するCANコントローラへ送信される。そしてこの情報を受信したCANコントローラは、その実施されたメンテナンス項目に対応するEEPROM78に積算記憶されている稼動時間が一旦消去(リセット)され、再びそのメンテナンス項目に対応する装置の稼動時間が積算記憶されていく状態になるとともに、液晶パネル60bの画面表示が通常画面に遷移するのである。
このように、メンテナンス確認画面の表示を消去して通常画面の表示へ遷移するのに、人為的操作を介することによって、メンテナンス確認画面に表示される情報をオペレータが認識する確実性が増し、このメンテナンス確認画面によるオペレータへの情報伝達がより確実なものとなる。また、実施されたメンテナンス項目に対応する稼働時間の積算を、そのメンテナンスが実施されると一旦消去し、再度積算するように制御することで、作業車両を長期間使用する場合でも継続して確実なメンテナンス作業の実施が可能となる。
一方、前記メンテナンス確認画面(図27参照)において、画面右上隅部の操作指示標識168(「後で」の文字)に対応する第二設定スイッチ74を押下すると、液晶パネル60bの画面表示からメンテナンス確認画面の表示が消去され、前記通常画面(図18、図19参照)へと遷移し、オペレータは必要に応じて作業を行うことができる。この操作指示標識168(「後で」の文字)を選択することによるメンテナンス確認画面の表示の消去は一時的なものであり、再度電源投入時にはこのメンテナンス確認画面が液晶パネル60bに表示されることとなっており、オペレータによるメンテナンスの未実施を防止している。
この場合、メンテナンス確認画面において、画面右上隅部の操作指示標識168(「後で」の文字)に対応するブザー停止スイッチ73が押下されると、メンテナンス確認画面に表示されたメンテナンスは未実施ということになり、このメンテナンスが未実施という情報が通信バス76を介して各メンテナンス項目に対応するCANコントローラへ送信される。そして、この情報を受信したCANコントローラは、この未実施のメンテナンス項目に対応するメンテナンス確認画面を、再度電源投入時に液晶パネル60bへ表示する情報として、EEPROM78に記憶するとともに、液晶パネル60bの画面表示が前記通常画面(図18、図19参照)に遷移するのである。
つまり、このメンテナンス確認画面においては、画面右下隅部の操作指示標識167(「交換した」の文字)または画面右上隅部の操作指示標識168(「後で」の文字)を選択することで、メンテナンス確認画面の表示情報の消去を、通常の消去または一時的な消去とオペレータによって選択可能に制御しているのである。即ち、ブザー停止スイッチ73と第二設定スイッチ74が選択手段に相当し、通常の消去が非表示、一時的な消去が表示に相当することになる。
このように、メンテナンス確認画面の表示情報を一時的に消去可能に制御することで、取り急ぎ作業を行う場合、実施すべきメンテナンスを確認後、そのメンテナンスの実施を一時的に保留して作業を行うことができる。また、一時的に消去したメンテナンス確認画面の表示情報は、再度電源投入時に表示されるように制御されているので、その場合のメンテナンスの実施し忘れを防止でき、メンテナンスが確実に実施されることとなる。
また、電源投入時において、作業車両の各種装置や操作スイッチ等の設定が、標準状態(初期状態)と異なっているときにも、その情報が液晶パネル60bに表示されるように制御されている。
例えば、上述のステアリング右スイッチ84や、主変速レバー65のパネル部65aに配置されているAスイッチ201〜Gスイッチ207等のような、その機能を設定変更可能な各操作スイッチの設定が変更され、初期状態と異なった設定となっている場合などである。
この各操作スイッチの設定が変更されている場合に生じる、オペレータの意思に反する操作としては次のような場合がある。例えば、4方向操作スイッチであるステアリング右スイッチ84は、標準状態における設定では、その前後方向が「刈取フィット昇降」、左右方向が「こぎ深さ調節」が割り当てられているが、設定変更によって前後方向を「刈取昇降」とした場合、「刈取昇降」は「刈取フィット昇降」に比べて動作速度が速い。また、同じく設定変更によって前後方向を「こぎ深さ調節」と設定した場合、オペレータが「刈取フィット昇降」のつもりでスイッチを操作した場合、縦搬送装置(穀稈搬送装置8)が動くこととなる。同様にして、ステアリング右スイッチ84の左右方向を、「フィットステアリング」と設定した場合、オペレータが「こぎ深さ調節」のつもりで操作すると、作業車両自体が向きを変えることとなる。
このようなオペレータの意思に反する操作を防止するため、液晶パネル60bには、この各操作スイッチの設定が変更されていることをオペレータに注意する画面(以下、スイッチ機能変更注意画面という)が表示される(図28参照)。このスイッチ機能変更注意画面においては、機能の設定が変更されている操作スイッチを表示する文字情報196と、確認メッセージを表示する文字情報197と、設定が変更されている操作スイッチの現在設定されている機能を示す文字情報198と、オペレータへの注意を喚起する警告マーク199とが表示され、また、画面右下隅部及び右上隅部に、操作指示標識167及び168が表示される。
そして、オペレータは、スイッチ機能変更注意画面に表示されているスイッチが、同画面に表示されている機能の設定でよければ、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応するブザー停止スイッチ73を一度押下することで、スイッチの機能の設定は維持される。
一方、このスイッチ機能変更注意画面において表示されているスイッチの機能を、初期状態(出荷時に設定された状態であり、標準状態とする)に戻したいときは、画面左下隅部の操作指示標識166(「リセット」の文字)に対応する表示切替スイッチ72を一度押下すると、初期設定に戻すか否かをオペレータに確認する確認画面(図示せず)を介して、そのスイッチの設定を初期状態に戻すのである。なお、この確認画面においては、そのスイッチに設定されている機能のみを初期状態に戻す場合と、機能設定を変更可能なスイッチ全てを一括して初期状態に戻す場合を前記スイッチ71〜74の選択手段で選択できるようになっている。
そして、他に機能の設定が変更されているスイッチがあれば、スイッチ機能変更注意画面において操作指示標識167(「はい」の文字)または操作指示標識166(「リセット」の文字)を選択するたびに、そのスイッチに応じたスイッチ機能変更注意画面が順に表示されていく。なお、このスイッチ機能変更注意画面において、別に「スイッチ設定」などの文字情報を表示し、この画面から直接スイッチの設定画面(図示せず)へと遷移するように制御することもできる。
このように、オペレータが作業車両を使用しようとする際、各種装置や各操作スイッチ等の設定が変更され標準状態と異なっている場合に、その情報を液晶パネル60bに表示してオペレータに注意を促すように制御することで、一台のコンバインを複数のオペレータが使用するような環境においても、あるオペレータによって作業車両の設定が変更されていることが他のオペレータに確実に伝わり、各オペレータによってスイッチの機能の設定が変更されることによる他のオペレータの意思に反する操作を防止することができ、作業の安全性を確保することができる。
また、電源投入時に、オペレータに対する警報や注意があれば、その情報を液晶パネル60bに表示するように制御されている。この警報や注意には重要度が割り付けられており、この重要度に応じて所定の条件が満たされると、表示画面が変更するように制御されている。例えば、前に作業車両を使用した際に、エアヒータを作動させた状態のまま電源を切ったときは、電源投入時、即ち電源スイッチ142が入り操作されると、初期画面として、注意画面が液晶パネル60bに表示される(図29参照)。
この注意画面(図29参照)においては、通常の初期画像情報(図17参照)において自社のロゴマーク等が表示される画像情報151の位置に、電源投入時の注意を示す文字情報153が表示される。そして、この注意画面が表示されている液晶パネル60bの表示は、以下に示すいずれかの条件が満たされると、自動的に通常モードM2における画像情報の表示へと遷移するように制御されている。
前記条件としては、注意画面において注意されている内容に応じた状態が解消された場合である。つまり図29に示す注意画面の注意内容であると、エアヒータの作動を停止させた場合である。この場合、液晶パネル60bの画面表示は通常画面(図18、19参照)へと遷移する。また、図29に示す注意画面が液晶パネル60bに表示された後、所定の時間が経過した場合である。この場合、注意画面において注意されている内容に応じた状態は解消されていないので、液晶パネル60bの表示画面は図18等に示す通常モードM2における画面表示に遷移するが、この通常モードM2における画面表示において、この注意内容を示す文字情報146が表示され、オペレータへの注意を保持している(図30参照)。なお、この液晶パネル60bの画面表示が切り替わるまでの所定の時間は、メンテナンスモードM6おいて設定可能となっている。また、オペレータによってエンジン15が始動された場合にも、前記注意画面の表示は同じく図30に示す通常モードM2の画面表示へと遷移するように制御されている。
つまり、電源投入時に液晶パネル60bに表示される通常の初期画面と異なる画面表示には重要度が割り付けられており、これらの画像情報のうち、前記注意画面(図29参照)のように比較的重要度の低い画面表示については、一定条件を満たせば自動的に消去され、また、前記メンテナンス確認画面(図27参照)や前記スイッチ機能変更注意画面(図28参照)等のような比較的重要度の高い画面表示については、これらの画面表示は自動的に消去されず、通常画面へと遷移しないように制御されているのである。
このように、電源投入時に液晶パネル60bに表示される画像情報のうち、前記注意画面のような比較的重要度の低い画像情報については、一定の条件が満たされると自動的に消去され、通常モードM2の画面表示へと遷移するように制御することで、比較的重要度の高い画像情報をオペレータの習慣で消去してしまうことを防止することができる。また、オペレータがエンジン15を始動した場合にも、その瞬間に注意画面が消去されるとともに液晶パネル60bの画面表示が通常モードM2の画面表示へと切替え表示されるので、エンジン始動時及び始動後に必要な情報をいち早くオペレータに提供することができる。さらに、電源投入時に液晶パネル60bに表示される画像情報のうち、比較的重要度の高い画面表示については、自動的に消去されないように制御することで、重要度の高い情報が確実にオペレータへ伝えられることとなる。
また、エンジン始動時において、オペレータに対する注意があれば、その情報を液晶パネル60bに表示するように制御することもできる。例えば、エンジン始動時に、脱穀クラッチやオーガクラッチ等の作業クラッチが入り状態となっていたり、セーフティペダルが踏まれていなかったりすると、これらの情報が表示されている注意画面を液晶パネル60bに表示し、オペレータにその原因を知らせるのである。このように制御することによって、エンジン始動時の安全性を向上することができる。
以上説明したような、メンテナンス指示画面(図26参照)やスイッチ機能変更注意画面(図28参照)等の、電源投入時に通常の初期画面と異なる画面表示や、エンジン始動時の注意画面などが液晶パネル60bに表示される際、この表示と同時に警告ブザー129を鳴動し、警報を発するように制御することができる。このように制御することによって、オペレータへの注意が喚起され、オペレータへの注意をより確実なものとすることができる。
また、メンテナンス指示画面(図26参照)やスイッチ機能変更注意画面(図28参照)等の、電源投入時に通常の初期画面と異なる画面表示や、エンジン始動時の注意画面などが液晶パネル60bに表示される際、これらが液晶パネル60bに表示されると同時に、またはこれらの表示の替わりに、音声案内をすることもできる。
この場合、各CANコントローラC1〜C4のEEPROM78に、各メンテナンス項目や各種注意内容に対応する音声パターン情報を予め記憶させておき、また、液晶表示装置60のケース60aに内装されているCANコントローラC5には、音声案内の出力インターフェイスとしてスピーカ145を接続する(図14参照)。
そして、前記電源投入時表示情報や各種注意画面の表示情報が各CANコントローラC1〜C4からCANコントローラC5へと送信される際、液晶パネル60bの表示とともに音声案内を行う場合は、各表示情報及びこの表示情報に対応した音声パターン情報を、液晶パネル60bの表示に替えて音声案内を行う場合は、各表示情報に対応した音声パターン情報のみを送信するように制御するのである。なお、液晶表示装置60とは独立した音声案内装置を別途設け、各CANコントローラと通信バス76によって接続する構成とすることもできる。
このように、電源投入時やエンジン始動時に、各種メンテナンス情報や注意画面などの表示情報を液晶パネル60bに表示すると同時に、またはこれらの表示に替えて音声案内を行うように制御することにより、オペレータが注意力の低下した高齢者などの場合でもオペレータに対しての注意の喚起をより確実なものとすることができる。
ところで、上述のような電源投入時やエンジン始動時に液晶パネル60bに表示される画像情報について、各画像情報を表示する時間や表示する項目について、設定を変更することが可能となっている。このような各種項目に対応する設定は、液晶パネル60bの画像表示に従って行うように制御しており、特に限定されるものではないが本実施例ではメンテナンスモードM6の「サービスマンモード」において行うこととしている。
具体的には、上述の比較的重要度の低い画像情報について、自動的に通常モードM2の画面表示に切替え表示されるまでの時間や、警報ブザー129の鳴動や音声案内の有無などである。なお、これら各種設定可能な内容の範囲については、重要度の高い表示項目については非表示にすることを制限するなど、安全性は確保できるように制御されている。
このように、電源投入時やエンジン始動時に液晶パネル60bに表示される画像情報について、各画像情報における表示時間及び表示項目などを設定変更可能に制御することにより、オペレータの好みや作業状況に応じたカスタマイズが可能となり、電源投入時から実際作業に移るまでの時間が不必要に長くなることを防止したり、オペレータが認識しているような電源投入時の不必要な注意画面などを省略したりすることができ、作業の開始を円滑なものとすることが可能となる。
また、本実施例のコンバインにおいては、電源投入時、液晶パネル60bに、最新の気象情報や過去(前回作業時まで)の作業情報等を、この場合の切替操作手段となる各スイッチ71〜74を用いて、または自動的に切り替えて表示可能となっている。その構成としては、図9に示すように、各CANコントローラC1〜C5等から構成される制御手段としての電子式制御装置75に、無線通信インターフェイス211を内蔵してインターネットへのアクセスを可能とし、GPS(全地球測位システム)衛星からの電波を受信するナビゲーション用GPS受信機210を接続する。また、前記GPS受信機210のアンテナ(図示せず)を、本発明に係るコンバインの走行機体1において、エンジン15や動力分岐ミッション19等の電波に対して影響を及ぼすことなく、かつ各作業装置の作動の妨げにならない位置に受信精度を良好に配置する。
このような構成において、電源投入時、液晶パネル60bに営農メニュー画面が表示される(図31参照)。この営農メニュー画面を示す画面(図31参照)においては、「気象情報」、「営農情報」及び「作業情報」の文字情報176〜178と、選択文字情報を指し示すカーソル160と、ブザー停止スイッチ73及び第二設定スイッチ74に対応する操作指示標識167及び168とが表示されている。
そして、この営農メニュー画面(図31参照)において、「気象情報」、「営農情報」及び「作業情報」の文字情報176〜178のうち、いずれかの文字情報を反転させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応したブザー停止スイッチ73を押下することで、その文字情報を選択(決定)したことになり、液晶パネル60bの表示が、各文字情報に対応した画面へと遷移する。
前記営農メニュー画面において、「気象情報」の文字情報176を選択すると、液晶パネル60bには、気象情報画面が表示される。この気象情報画面には、最新の全国の気象情報、週間の気象予報、各都道府県など特定地域の一日、或いは最新の天気・降水確率・予想気温・湿度・風力・霜などの気象情報が選択できるような文字情報が表示され、各文字情報を選択することによって各内容の気象情報が液晶パネル60bに表示される。なお、この場合、GPS受信機210によるコンバインの位置認識に基づき、この作業地域の気象情報を自動的に液晶パネル60bに表示するように制御することも可能である。これら気象情報の取得は、インターネットに接続通信されることによって行われる。
また、前記営農メニュー画面において、「営農情報」の文字情報177を選択すると、液晶パネル60bには、営農情報画面が表示される。この営農情報画面には、圃場の面積や栽培されている作物の種類、前年実績(収穫量・農薬や肥料の種類)などを記録している圃場経営情報や、特定の圃場内部の土壌分析データを記録した土壌地図などが選択できるような文字情報が表示され、各文字情報を選択することによって各内容の気象情報が液晶パネル60bに表示される。これら営農情報は、GPS受信機210によるコンバインの位置認識に基づき、各圃場に対応する情報がインターネットを介してまたは各CANコントローラのEEPROM78から送信されることによって取得される。
また、前記営農メニュー画面において、「作業情報」の文字情報178を選択すると、液晶パネル60bには、作業情報画面が表示される。この作業情報画面には、前回の作業内容、作業時間、収穫量及び走行軌跡などが選択できるような文字情報が表示され、各文字情報を選択することによって各内容の作業情報が表示される。これら作業情報は、各CANコントローラのEEPROM78に適宜記憶されていくことによって取得できる。
なお、前記営農メニュー画面における各項目について、作業車両の電源投入に同期して液晶パネル60bに表示させる画像情報を予め設定可能とすることができ、また、任意に選択した画像情報を自動的に切替表示されるように制御することもできる。この場合、上述の電源投入時に液晶パネル60bに表示されるメンテナンス指示画面などのメンテナンス情報や各種注意画面の表示のうち、重要度の高い画面表示が行われる場合は、これらが優先的に表示されるように制御して安全性を確保している。
このように、電源投入時に、気象情報などの各種情報が取得できる営農メニュー画面が液晶パネル60bに表示されるように制御することによって、オペレータが作業を開始す前に必要な情報や有用な情報を、作業開始時において液晶パネル60bの表示によって
取得できるので、作業を行う前にこれらの情報を予め取得する必要がなくなり、オペレータはスムーズに作業に入ることができる。
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各種農作業車両、クレーン車等の特殊作業用車両または乗用車等の各種作業車両に対して、広く適用できることはいうまでもない。
また、本発明における通信バス(回線)はCAN(Controller Area Network)プロトコルのみならず、LAN(Local Area Network)プロトコルを用いてもよい。本発明は、前記したCAN通信環境のみならず、LAN通信環境の制御システムに対しても適用できるが、CAN通信プロトコルによるデータ通信の方が、各コントローラ間での制御データのやりとりが円滑で、かつ、その間の通信エラー状態の検出及びエラー処理をもスムーズに行える。なお、制御手段としてのコントローラは複数であってもよいし、単一のものであってもよい。
本発明における入力手段としては、前述した四つのスイッチ71〜74に限らず、液晶パネル60bの画面上に設けるタッチパネルであってもよい。この場合は、タッチパネルを、フレキシブル配線板を介してCANコントローラC5の入力インターフェイスに接続し、オペレータが前記タッチパネルの表面のうち操作指示標識165〜168に対応する箇所を指やペン等で押圧すると、前記タッチパネルがこの位置を検出して、この押圧位置情報をフレキシブル配線板を介してCANコントローラC5に伝送し、前記押圧位置に対応する操作指示標識165〜168の内容(例えばカーソルを画面の上方向に移動させる等)を実行するように構成すればよい。
さらに、本発明の表示装置は、液晶パネル60bを用いた液晶表示装置60に限らず、CRTディスプレイやELディスプレイ等であってもよい。
以上のように、作業車両各部に設けたセンサや設定器等の入力系機器やアクチュエータや表示手段等の出力系機器の制御を実行するための制御手段を備え、前記作業車両各部を操作する操作手段の機能を設定変更可能とする作業車両において、前記制御手段は、電源投入時、前記操作手段の設定が標準状態と異なる設定となっている場合、前記表示手段に警告または注意を促す表示を行うように制御するので、一台の作業車両を複数のオペレータが使用するような環境においても、あるオペレータによって作業車両の設定が変更されていることが他のオペレータに確実に伝わり、各オペレータによってスイッチの機能の設定が変更されることによる他のオペレータの意思に反する操作を防止することができ、作業の安全性を確保することができる。
また、電源投入時、前記表示手段に通常の初期画面と異なる画面表示を行う際、表示と同時に警報を発するように制御するので、オペレータへの注意が喚起され、オペレータへの注意をより確実なものとすることができる。
また、電源投入時、前記表示手段に通常の初期画面と異なる画面表示を行う際、音声で案内するように制御するので、オペレータが注意力の低下した高齢者などの場合でもオペレータに対しての注意の喚起をより確実なものとすることができる。
また、電源投入時、前記表示手段に通常の初期画面と異なる画面表示を、非表示とする操作手段を設けたので、メンテナンス確認画面に表示される情報をオペレータが認識する確実性が増し、このメンテナンス確認画面によるオペレータへの情報伝達がより確実なものとなる。
また、前記表示手段に表示される通常の初期画面と異なる画面表示の表示と非表示との選択手段を設けたので、取り急ぎ作業を行う場合、実施すべきメンテナンスを確認後、そのメンテナンスの実施を一時的に保留して作業を行うことができる。また、一時的に消去したメンテナンス確認画面の表示情報は、再度電源投入時に表示されるように制御されているので、その場合のメンテナンスの実施し忘れを防止でき、メンテナンスが確実に実施されることとなる。
また、前記表示手段に表示される通常の初期画面と異なる画面表示に重要度を割り付け、重要度の低い画面表示は、予め設定された一定の条件を満たすと、通常画面表示に遷移するように制御するので、比較的重要度の高い画像情報をオペレータの習慣で消去してしまうことを防止することができる。また、エンジン始動時及び始動後に必要な情報をいち早くオペレータに提供することができる。
また、前記表示手段に表示される通常の初期画面と異なる画面表示の表示時間及び表示項目を設定変更可能に構成したので、電源投入時の画面表示を、オペレータの好みや作業状況に応じたカスタマイズすることが可能となり、電源投入時から実際作業に移るまでの時間が不必要に長くなることを防止したり、オペレータが認識しているような電源投入時の不必要な注意画面などを省略したりすることができ、作業の開始を円滑なものとすることが可能となる。
また、作業車両各部に設けたセンサや設定器等の入力系機器やアクチュエータや表示手段等の出力系機器の制御を実行するための制御手段を備える作業車両における制御装置において、前記表示手段に気象情報や作業情報を表示可能とし、各情報の表示を切替可能に構成したので、オペレータが作業を開始する前に必要な情報や有用な情報を、作業開始時において表示手段の表示によって取得できるので、作業を行う前にこれらの情報を予め取得する必要がなくなり、オペレータはスムーズに作業に入ることができる。