本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。本願では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
まず、図1を用いてトラクタ1について簡単に説明する。
図1に示すように、トラクタ1は、主に、フレーム2と、エンジン3と、トランスミッション4と、フロントアクスル5と、リヤアクスル6と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン7を備えている。キャビン7は、その内側が操縦室になっており、運転座席40のほか、アクセルペダル43やシフトレバー44などが配置されている(図3参照)。
フレーム2は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム2は、トランスミッション4やリヤアクスル6とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン3は、フレーム2によって支持される。
エンジン3は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン3は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。エンジン3は、操縦者がアクセルペダル43(図3参照)を操作すると、その操作に応じて運転状態が変更される。また、エンジン3には、排気浄化装置3aが備えられている。排気浄化装置3aは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション4は、エンジン3の回転動力をフロントアクスル5やリヤアクスル6に伝達する。トランスミッション4には、連結機構を介してエンジン3の回転動力が入力される。なお、トランスミッション4には、無段変速装置10が備えられている(図2参照)。無段変速装置10は、操縦者がシフトレバー44(図3参照)を操作すると、その操作に応じてトランスミッション4の作動状態を変更する。
フロントアクスル5は、エンジン3の回転動力をフロントタイヤ8に伝達する。フロントアクスル5には、トランスミッション4を介してエンジン3の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル5には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、操縦者がハンドル41(図3参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ8の舵角を変更する。
リヤアクスル6は、エンジン3の回転動力をリヤタイヤ9に伝達する。リヤアクスル6には、トランスミッション4を介してエンジン3の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル6には、PTO装置30が設けられている(図2参照)。PTO装置30は、操縦者がPTOスイッチ65(図7参照)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機械に回転動力を伝達する。
次に、図2を用いてトラクタ1の動力伝達系統について説明する。
図2に示すように、トラクタ1の動力伝達系統は、主に、エンジン3と、トランスミッション4と、フロントアクスル5と、リヤアクスル6と、で構成されている。
トランスミッション4は、無段変速装置10と、前後進切換装置15と、副変速装置23と、を備えている。
無段変速装置10は、入力シャフト11と出力シャフト12の回転速度の比を連続的に変更できる。入力シャフト11は、高圧の作動油を送り出す油圧ポンプ10Pに連結されている。出力シャフト12は、高圧の作動油を受けることによって回転する油圧モータ10Mに連結されている。なお、出力シャフト12には、前進駆動ギヤ13と後進駆動ギヤ14が取り付けられている。
無段変速装置10は、エンジン3の運転状態が変更されることにより、出力シャフト12の回転速度が変更されることとなる。詳細に説明すると、無段変速装置10は、エンジン3の運転状態が変更されて入力シャフト11の回転速度が変わることにより、出力シャフト12の回転速度が変更されることとなる。従って、トラクタ1は、アクセルペダル43の操作により、走行速度を自在に変えることができる。
前後進切換装置15は、前進用クラッチ16aと後進用クラッチ16bを互いに独立して作動できる。前進用クラッチ16aは、前進駆動ギヤ13に噛み合う前進従動ギヤ17を有している。前進用クラッチ16aは、作動することにより、出力シャフト12の回転動力をセンターシャフト19に伝達する。後進用クラッチ16bは、リバースギヤを介して後進駆動ギヤ14に噛み合う後進従動ギヤ18を有している。後進用クラッチ16bは、作動することにより、出力シャフト12の回転動力をセンターシャフト19に伝達する。なお、センターシャフト19には、超低速駆動ギヤ20と一速駆動ギヤ21と二速駆動ギヤ22とが取り付けられている。
副変速装置23は、超低速クラッチ24と一速クラッチ25と二速クラッチ26を互いに独立して作動できる。超低速クラッチ24は、作動することにより、センターシャフト19の回転動力をカウンタシャフト27に伝達する。一速クラッチ25は、作動することにより、センターシャフト19の回転動力をカウンタシャフト27に伝達する。二速クラッチ26は、作動することにより、センターシャフト19の回転動力をカウンタシャフト27に伝達する。なお、カウンタシャフト27には、フロントドライブギヤ28とリヤドライブギヤ29とが取り付けられている。
このような構造により、カウンタシャフト27の回転動力は、フロントアクスル5を介してフロントタイヤ8に伝達される。また、カウンタシャフト27の回転動力は、リヤアクスル6を介してフロントタイヤ8に伝達される。
以下では、トラクタ1が具備するPTO装置30について説明する。
トラクタ1は、作業機械に回転動力を入力するシャフト(以降「PTOシャフト39」とする)を備えている。また、トラクタ1は、PTOシャフト39を回転状態又は停止状態に切り替えるクラッチ(以降「PTOクラッチ31」とする)を備えている。ここでは、PTOシャフト39やPTOクラッチ31で構成されるPTO装置30について説明する。
PTOクラッチ31には、ベアリングを介して回転自在に支持されているセンターシャフト32が取り付けられている。センターシャフト32には、エンジン3の回転動力が伝達されるセンターギヤ33がベアリングを介して回転自在に支持されている。PTOクラッチ31は、その作動によりセンターシャフト32とセンターギヤ33とを連結する。すなわち、センターシャフト32には、センターギヤ33とPTOクラッチ31とを介してエンジン3の回転動力が伝達される。センターシャフト32には、ドライブシャフト34が連結され、エンジン3の回転動力が伝達される。
ドライブシャフト34は、ベアリングを介して回転自在に支持されている。ドライブシャフト34には、ドライブギヤ35が取り付けられている。ドライブギヤ35は、ドリブンギヤ38に噛み合っている。本PTO装置30においては、合計五つのドライブギヤ35を備えている。
ドリブンギヤ38は、電磁クラッチ37を介してドリブンシャフト36に取り付けられている。本PTO装置30においては、合計五つのドリブンギヤ38を備えている。ドリブンシャフト36は、ベアリングを介して回転自在に支持されている。電磁クラッチ37は、その動作によりドリブンギヤ38とドリブンシャフト36とを連結する。すなわち、ドリブンシャフト36には、ドリブンギヤ38と電磁クラッチ37とを介してドライブシャフト34からの回転動力が伝達される。電磁クラッチ37は、操縦室に設けられているPTOスイッチ65(図7参照)がON(入り)にされることで作動する。ドリブンシャフト36には、PTOシャフト39が連結され、ドライブシャフト34からの回転動力が伝達される。
このような構造により、PTO装置30は、PTOクラッチ31が作動し、かつPTOスイッチ65がON(入り)にされている状態では、エンジン3の回転動力がPTOシャフト39へ伝達される。
次に、図3を用いてトラクタ1の操縦室について説明する。
図3示すように、キャビン7は、その内部が操縦室になっている。キャビン7には、略中央に運転座席40が配置されている。そして、運転座席40の前側には、ハンドル41が配置され、その前側にインストルメントパネル42が配置される。さらに、運転座席40の周囲には、アクセルペダル43、シフトレバー44、ブレーキペダル45、クラッチペダル46、リバーサレバー47、キースイッチ48(図4参照)などの操作具やディスプレイ49が配置されている。
キャビン7(操縦室)は、操縦者が運転座席40に座った状態でハンドル41、アクセルペダル43、シフトレバー44、ハンドル41、ブレーキペダル45、クラッチペダル46、リバーサレバー47などを操作し、トラクタ1を操縦可能に構成されている。また、運転座席40の右前側には、操縦者が運転座席40に座った状態で視認および操作できる位置にディスプレイ49が配置されている。本実施形態において、ディスプレイ49は、その表示画面が運転座席40に対向するようにして運転座席40の右側に配置されている。
次に、図4から図7を用いてメーターパネル50について説明する。メーターパネル50は、トラクタ1の動作情報と、トラクタ1の各部の異常情報とのうち一部の情報を表示するものである。
図4に示すように、メーターパネル50は、運転座席40の前側のインストルメントパネル41に設けられている。メーターパネル50は、運転座席40に対向して配置され操縦者が運転座席40に座った状態で視認可能に配置されている。
図5に示すように、メーターパネル50は、第1表示部51、第2表示部58および第3表示部60とから構成されている。第1表示部51の中央には、半円状に形成された第2表示部58が重なるようにして配置されている。第2表示部58の中央には、半円状に形成された第3表示部60が重なるようにして配置されている。すなわち、メーターパネル50は、第1表示部51、第2表示部58および第3表示部60の順に積層されて構成されている。
図6に示すように、メーターパネル50は、燃料計52、水温計55、トラクタ用インジケータ53、作業機用インジケータ56、エンジン3の回転速度計59および表示装置61等が設けられている。メーターパネル50の第1表示部51には、針式の燃料計52、針式の水温計55およびトラクタ用インジケータ53、作業機用インジケータ56が設けられている。
メーターパネル50の第1表示部51の左側には、燃料計52が配置されている。燃料計52は、第1表示部51の中央部近傍で回転可能に支持されている。燃料計52の左側には、トラクタ1に関する情報を表示するトラクタ用インジケータ53と警告インジケータ54とが配置されている。また、第1表示部51の右側には、水温計55が配置されている。水温計55は、第1表示部51の中央部近傍で回転可能に支持されている。水温計55の右側には、作業機に関する情報を表示する作業機用インジケータ56と注意インジケータ57とが配置されている。燃料計52と水温計55との回転支持部分は、第2表示部58によって覆われている。つまり、第1表示部51は、燃料計52の針と水温計55の針とが第2表示部58の外縁に沿って動くように構成されている。
メーターパネル50の第2表示部58には、針式の回転速度計59が設けられている。回転速度計59は、第2表示部58の中央部で回転可能に支持されている。また、回転速度計59は、第2表示部58の円弧部分の目盛りを指すように構成されている。回転速度計59の回転支持部分は、第3表示部60によって覆われている。つまり、第2表示部58は、回転速度計59の針が第3表示部60の外縁に沿って動きながら第2表示部58の円弧部分の目盛りを指すように構成されている。
メーターパネル50の第3表示部60には、表示装置61が設けられている。表示装置61は、エンジン3の回転速度計59に囲まれるように配置されている。表示装置61は、液晶画面等から構成されている表示画面62が運転座席に対向するように配置されている。表示画面62は、トラクタ1の車速とエンジン3の回転速度、各種設定値、各種詳細情報や異常情報を表示する。表示装置61は、表示画面62に表示される内容が画面上段、画面中段および画面下段に分かれて表示されるように構成されている。
メーターパネル50には、燃料計52、トラクタ用インジケータ53、警告インジケータ54、水温計55、作業機用インジケータ56、注意インジケータ57、回転速度計59および表示装置61等を制御するメーターパネル制御装置64が設けられている。メーターパネル制御装置64は、外部から視認できない位置に設けられている。メーターパネル制御装置64は、燃料計52、トラクタ用インジケータ53、警告インジケータ54、水温計55、作業機用インジケータ56、注意インジケータ57、回転速度計59および表示装置61に接続され、燃料計52、トラクタ用インジケータ53、警告インジケータ54、水温計55、作業機用インジケータ56、注意インジケータ57、回転速度計59、および表示装置61を制御することができる。
制御装置63は、ハンドル41、アクセルペダル43、シフトレバー44、ブレーキペダル45、クラッチペダル46、リバーサレバー47、キースイッチ48、PTOスイッチ65などの操作具からの信号に基づいて、エンジン3、トランスミッション4等を制御し、ディスプレイ49やメーターパネル50に各種情報を表示させるものである。制御装置63は、エンジン3、トランスミッション4等の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納されている。制御装置63は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続されている構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
ここで、トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるように制御装置63を中心としてエンジン3、駆動系および各種操作装置等が有機的に接続された情報ネットワークであるコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)が構成されている。トラクタ1は、CANによって制御装置63がエンジン3やトランスミッション4等の状態を詳細に把握し、図示しないコントロールパネルやディスプレイ49からの入力に基づいてエンジン3やトランスミッション4等を統合的に制御する。
図7に示すように、制御装置63には、ハンドル41、アクセルペダル43、シフトレバー44、ブレーキペダル45、クラッチペダル46、リバーサレバー47、キースイッチ、PTOスイッチ65、連結解除レバー66などの操作具に電気的に接続され、各操作具からの信号を取得することができる。また、制御装置63は、メーターパネル制御装置64に接続され、CANによってエンジン3の回転速度、燃料残量、水温および作業車両の動作情報と作業車両の各部の異常情報とのうち一部の情報についての信号をメーターパネル制御装置64に送信することが可能である。
次に、図2、図4、図6から図14を用いて、本発明の一実施形態に係るトラクタ1のメーターパネル50の動作態様について説明する。
始めに、メーターパネル50における表示装置61に操作メッセージを表示する制御態様について説明する。操作メッセージとは、トラクタ1の状態に基づいて操縦者に所定の操作を実施するように促すメッセージである。
制御装置63は、図4に示すトラクタ1の電源スイッチであるキースイッチ48がONにされると、メーターパネル50に電力の供給を開始する。図7に示すように、制御装置63は、PTOスイッチ65がONであるか否か、およびリバーサレバー47がR位置であるか否かを判断し、その結果をメーターパネル制御装置64に送信する。
図8(a)に示すように、メーターパネル制御装置64は、制御装置63からPTOスイッチ65がONである信号を取得すると、表示装置61の画面下段にPTOスイッチ65をOFFにするように促す操作メッセージを表示したPTO制限画面62Aを表示させる。PTO制限画面62Aには、表示装置61の画面下段に表示させている操作メッセージに加えて、表示画面62の画面上段にリバーサレバー47がN位置である場合に「N」が表示され、画面中段にトラクタ1の車速とエンジン3の回転速度とが表示されている。つまり、PTO制限画面62Aには、所定の条件であるPTOスイッチ65がOFFである状態を満たしていない場合、リバーサレバー47(トランスミッション4の前後進切換装置15)の状態およびトラクタ1の車速とエンジン3の回転速度を表示している表示装置にPTOスイッチ65をOFFにする旨の情報を更に表示させる。
また、図8(b)に示すように、メーターパネル制御装置64は、リバーサレバー47がF位置もしくはR位置である信号を取得すると、表示装置61の画面下段にリバーサレバー47をN位置にするように促す操作メッセージを表示したリバーサ制限画面62Bを表示させる。PTO制限画面62Bには、表示装置61の画面下段に表示させている操作メッセージに加えて、表示画面62の画面上段を空白表示とし、画面中段にトラクタ1の車速とエンジン3の回転速度とが表示されている。つまり、リバーサ制限画面62Bには、所定の条件であるリバーサレバー47がN位置である状態を満たしていない場合、トラクタ1の車速とエンジン3の回転速度を表示している表示装置にリバーサレバー47をN位置にする旨の情報を更に表示させる。
メーターパネル制御装置64は、制御装置63からPTOスイッチ65がONからOFFに操作された旨の信号、またはリバーサレバー47がF位置もしくはR位置からN位置に操作された旨の信号を取得すると、表示装置61に状態表示画面62C・62D・62E・62Fのいずれか一つを表示させる(図9参照)。
図9に示すように、状態表示画面は、アワーメータ画面62C、設定値表示画面62D、平均燃費・運転可能時間画面62Eおよびメンテナンス設定画面62Fをいう。状態表示画面には、共通の表示として画面上段にリバーサレバー位置表示62aとしてリバーサレバー47がN位置である場合に「N」が表示され、画面中段にトラクタ1の速度表示62bとしてトラクタ1の車速とエンジン3の回転速度とが表示されている。状態表示画面の画面下段には、アワーメータ表示62c、設定値表示62d、平均燃費・運転可能時間表示62eおよびメンテナンス設定表示62fのうちいずれか一つが選択的に表示されている。
図9(a)に示すように、アワーメータ画面62Cは、トラクタ1の動作時間を表示する画面である。アワーメータ画面62Cは、表示装置61の画面下段にアワーメータ表示62cとしてエンジン3の負荷率、トラクタ1の累積動作時間であるアワーメータおよび任意に設定された時期からの累積動作時間であるトリップメータが表示される。
図9(b)に示すように、設定値表示画面62Dは、トラクタ1の最大エンジン回転速度を制限する画面である。設定値表示画面62Dは、表示装置61の画面下段に設定値表示62dとして主に作業機を使用する場合に適用するAモードと作業機を使用しない場合に適用するBモードとにおけるエンジン3の最大回転速度と最大車速がそれぞれ同時に表示される。設定値表示画面では、図示しない操作具からの信号により各モードの最大回転速度を変更することができる。同様にして設定値表示画面は、PTOシャフト39の最大回転速度をAモードとBモードとで制限する画面に切り替えることが可能である。PTOシャフト39の最大回転速度を制限する画面では、各モードのPTOシャフト39の最大回転速度を変更することで、一速から四速におけるPTOシャフト39の回転速度が表示される。
図9(c)に示すように、平均燃費・運転可能時間画面62Eは、トラクタ1の最大エンジン回転速度を制限する画面である。平均燃費・運転可能時間画面62Eは、表示装置61の画面下段に平均燃費・運転可能時間表示62eとしてエンジン3の負荷率、トラクタ1の平均燃費、および平均燃費において運転可能な時間または設定時間よりも運転可能であることを示す上向き矢印が表示される。
図9(d)に示すように、メンテナンス設定画面62Fは、トラクタ1の各種メンテナンスの時期を設定する画面である。メンテナンス設定画面は、表示装置61の画面下段にメンテナンス設定表示62fとしてメンテナンス設定モードである旨が表示される。メンテナンス設定画面は、エンジンオイル、ミッションオイル、フロントアクスルオイルやエンジンオイルエレメント等の定期的な交換が必要な消耗品の交換時期を表示および設定する画面である。メンテナンス設定画面62Fでは、消耗品を交換した際にその旨を図示しない操作具からの信号により入力することで交換時期をリセットすることができる。メーターパネル制御装置64は、消耗品(例えばエンジンオイル)の交換時期になるとキースイッチ48がONにされた際に表示装置61の画面下段にメンテナンスメッセージとして文字情報「エンジンオイル交換」とメンテナンスについてのシンボルマークとを表示する。
メーターパネル制御装置64は、キースイッチ48(図7参照)がONにされると、直近にキースイッチ48がOFFにされた時に表示していた状態表示画面の種類(以下、単に「前回表示画面」と記す)に基づいて表示すべき状態表示画面を決定する。具体的には、メーターパネル制御装置64は、前回表示画面が特定できない(記憶されていない)場合、アワーメータ画面62Cを表示し、前回表示画面がメンテナンス設定画面62Fでない場合、前回表示画面と同一の画面を表示する。また、メーターパネル制御装置64は、メンテナンス設定画面62Fであってエンジン3の回転速度が基準値以上の場合にアワーメータ画面62Cを表示し、前回表示画面がメンテナンス設定画面62Fであって回転速度が基準値未満の場合にメンテナンス設定画面62Fを表示する。メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチからの切り替え信号を受信すると状態表示画面を任意の状態表示画面に切り替え可能に構成されている。
また、図10に示すように、メーターパネル制御装置64は、トラクタ1による各種作業時において制御装置63から高速走行を行う副変速装置23の二速クラッチ26(図2参照)が接続されている信号を取得し、かつブレーキペダル45の連結解除レバー66(図7参照)がロックされていない旨の信号を取得すると、表示装置61の表示を図10(a)に示すアワーメータ画面62Cから図10(b)に示す連結解除レバー66のロックを促す操作メッセージを表示した連結解除制限画面62Gに切り替える。このように、メーターパネル制御装置64は、トラクタ1による各種作業中において、制御装置63から所定の条件に該当する信号(リバーサレバー47、PTOスイッチ65よび連結解除レバー66の他、シートベルトの装着状態、駐車ブレーキの状態等)を取得すると、表示装置61に対応する操作メッセージを表示する画面に切り替えるように構成されている。
以下では、図11を用いて、本発明に係るトラクタ1のメーターパネル50において、表示装置61の操作メッセージの表示および状態表示画面を表示する制御態様について具体的に説明する。なお、本実施形態において、制御装置63が操縦者によるキースイッチ48のON信号を取得したものとして説明する。
図11に示すように、ステップS110において、メーターパネル制御装置64は、制御装置63から電源が供給されると、表示装置61に始動画面を表示し、ステップをステップS120に移行させる。
ステップS120において、メーターパネル制御装置64は、制御装置63からPTOスイッチ65の操作位置、およびリバーサレバー47の操作位置についての信号を取得し、ステップをステップS130に移行させる。
ステップS130において、メーターパネル制御装置64は、取得したPTOスイッチ65の操作位置についての信号からPTOスイッチ65の操作位置がON位置か否か判断する。その結果、PTOスイッチ65の操作位置がON位置であると判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS140に移行させる。一方、PTOスイッチ65の操作位置がON位置でないと判定した場合、すなわち、PTOスイッチ65の操作位置がOFF位置であると判断した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS160に移行させる。
ステップS140において、メーターパネル制御装置64は、表示装置61にPTO制限画面62Aを表示し、ステップをステップS150に移行させる。
ステップS150において、メーターパネル制御装置64は、制御装置63からPTOスイッチ65の操作位置がOFF位置である信号を取得したか否か判断する。その結果、制御装置63からPTOスイッチ65の操作位置がOFF位置である信号を取得したと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS160に移行させる。一方、制御装置63からPTOスイッチ65の操作位置がOFF位置である信号を取得していないと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS140に移行させる。
ステップS160において、メーターパネル制御装置64は、取得したリバーサレバー47の操作位置についての信号からリバーサレバー47がF位置またはR位置であるか否か判断する。その結果、リバーサレバー47の操作位置がF位置またはR位置であると判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS170に移行させる。一方、リバーサレバー47の操作位置がF位置またはR位置でないと判定した場合、すなわち、リバーサレバー47の操作位置がN位置であると判断した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS190に移行させる。
ステップS170において、メーターパネル制御装置64は、表示装置61にリバーサ制限画面62Bを表示し、ステップをステップS180に移行させる。
ステップS180において、メーターパネル制御装置64は、制御装置63からリバーサレバー47の操作位置がN位置である信号を取得したか否か判断する。その結果、制御装置63から制御装置63からリバーサレバー47の操作位置がN位置である信号を取得したと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS200に移行させる。一方、制御装置63から制御装置63からリバーサレバー47の操作位置がN位置である信号を取得していないと判定した場合、すなわち、リバーサレバー47の操作位置がF位置またはR位置であるであると判断した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS170に移行させる。
ステップS200において、メーターパネル制御装置64は、状態表示画面制御Aを開始し、ステップをステップS210に移行させる(図11参照)。
図11に示すように、ステップS210において、メーターパネル制御装置64は、前回表示画面を記憶しているか否か判断する。その結果、前回表示画面を記憶していると判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS220に移行させる。一方、前回表示画面を記憶していないと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS240に移行させる。
ステップS220において、メーターパネル制御装置64は、前回表示画面がメンテナンス設定画面62Fか否か判断する。その結果、前回表示画面がメンテナンス設定画面62Fであったと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS230に移行させる。一方、前回表示画面がメンテナンス設定画面62Fでないと判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS440に移行させる。
ステップS230において、メーターパネル制御装置64は、直近にキースイッチ48がOFFにされた時のエンジン3の回転速度が基準値以上か否か判断する。その結果、直近にキースイッチ48がOFFにされた時のエンジン3の回転速度が基準値以上であると判定した場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS240に移行させる。一方、直近にキースイッチ48がOFFにされた時のエンジン3の回転速度が基準値以上でないと判定した場合、すなわち、直近にキースイッチ48がOFFにされた時のエンジン3の回転速度が基準値未満の場合、メーターパネル制御装置64はステップをステップS340に移行させる。
ステップS240において、メーターパネル制御装置64は、アワーメータ画面62Cを表示し、状態表示画面制御Aを終了するとともにステップを終了する。
ステップS340において、メーターパネル制御装置64は、メンテナンス設定画面62Fを表示し、状態表示画面制御Aを終了するとともにステップを終了する。
ステップS440において、メーターパネル制御装置64は、前回表示画面と同じ状態常時画面を表示し、状態表示画面制御Aを終了するとともにステップを終了する。
このように構成することで、トラクタ1が直近に停止した時の動作状態に関わらず所定の状態で始動される。一方、表示画面に直近に停止した時に表示していた状態表示画面に基づいて表示内容が決定される。これにより、トラクタ1の始動時の挙動を安定させ、操縦者の操作環境を向上させることができる。
次に、メーターパネル50における表示装置61に警告メッセージを表示する制御態様について説明する。警告メッセージとは、トラクタ1の状態に関して操縦者に注意を喚起したり、異常状態の発生による早急な対応を求めたりするメッセージである。メーターパネル50における警告メッセージの表示は、警告インジケータ54と注意インジケータ57と表示装置61とのうちすくなくとも一つ以上の表示がされる。
図6に示すように、警告インジケータ54は、メーターパネル50において表示装置61の右側に配置されている。警告インジケータ54は、「!」を三角形の枠で囲んだシンボルマークが赤色に点灯するように構成されている。注意インジケータ57は、メーターパネル50において表示装置61の左側に配置されている。注意インジケータ57は、「!」をひし形の枠で囲んだシンボルマークが黄色に点灯するように構成されている。
表示装置61による警告メッセージは、表示装置61の画面下段に警告の内容を示す文字情報と警告の内容に対応するシンボルマークとが表示される。表示装置61による警告メッセージは、警告の内容に対応するインジケータが合わせて点滅表示される。警告には、表示に関しての優先順位が設定されている。早急に対応が必要な異常状態についての警告は、優先順位が高く設定されている。つまり、表示装置61には、優先順位が高い警告の警告メッセージが優先的に表示される。従って、複数の異常状態が発生した場合、メーターパネル制御装置64は、優先順位の高い警告メッセージから表示装置61に表示させる。
メーターパネル制御装置64は、制御装置63から所定の警告信号を取得すると、警告インジケータ54と注意インジケータ57とのうち警告信号に対応するインジケータを点滅させるとともに、表示装置61に警告メッセージとして警告の内容を示す文字情報とシンボルマークとを表示させる。つまり、メーターパネル制御装置64は、所定の異常情報についての警告を表示装置61と、警告インジケータ54または注意インジケータ57のうち警告信号に対応するインジケータとの両方に表示させる。また、メーターパネル制御装置64は、始動時においても、制御装置63から所定の警告信号を取得すると、警告インジケータ54と注意インジケータ57とのうち警告信号に対応するインジケータを点滅させるとともに、表示装置61に警告メッセージとして警告の内容を示す文字情報とシンボルマークとを表示させる。
メーターパネル制御装置64は、図示しない表示切り替え手段である切り替えスイッチからの切り替え信号を受信すると表示装置61に表示させている警告メッセージを任意の状態表示画面に切り替える。一方、メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチからの切り替え信号を受信しても警告インジケータ54と注意インジケータ57との点滅による警告の表示を維持する。また、メーターパネル制御装置64は、始動時においても、制御装置63から所定の警告信号を取得すると、警告インジケータ54と注意インジケータ57とのうち警告信号に対応するインジケータを点滅させるとともに、表示装置61に警告メッセージとして警告の内容を示す文字情報とシンボルマークとを表示させる。
例えば、図13(a)に示すように、メーターパネル制御装置64は、制御装置63から燃料残量が少ない旨の信号を取得すると、メーターパネル50の注意インジケータ57を点滅させるとともに表示装置61の画面下段に燃料についてのシンボルマークと文字情報「燃料を給油」とからなる警告メッセージを表示した燃料注意画面62Hに切り替える。
図13(b)に示すように、メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチが操作されたことによる切り替え信号を受信すると、注意インジケータ57の点滅表示を維持しつつ、表示装置61に表示されている燃料注意画面62Hを任意の状態表示画面(本実施形態ではアワーメータ画面62C)に切り替える。また、メーターパネル制御装置64は、制御装置63から燃料残量が十分である旨の信号を取得するとメーターパネル50の注意インジケータ57を消灯させるとともに表示装置61に表示させている警告メッセージを所定の状態表示画面(例えば、アワーメータ画面62C)に切り替える。
また、メーターパネル制御装置64は、制御装置63から複数の警告信号を取得すると、警告信号に対応する警告インジケータ54と注意インジケータ57とを点滅させるとともに、表示装置61に優先順位の高い警告の内容を示す警告メッセージを表示させる。メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチからの切り替え信号を受信すると、表示装置61に表示させている警告メッセージを次に優先順位の高い警告の内容を示す警告メッセージに切り替える。このように、メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチからの切り替え信号を受信する度に、警告の優先順位に従って表示装置61に警告メッセージを相互に切り替えて表示させる。
例えば、図14(a)に示すように、メーターパネル制御装置64は、制御装置63から燃料残量が少ない旨の信号と燃料残量が少ない旨の信号よりも優先順位の高い充電系異常の信号とを取得すると、メーターパネル50の注意インジケータ57と警告インジケータ54とを点滅させるとともに表示装置61の画面下段に優先順位の高い充電系異常の警告メッセージを表示した充電警告画面62Iに切り替える。
図14(b)に示すように、メーターパネル制御装置64は、図示しない切り替えスイッチが操作されたことによる切り替え信号を受信すると、注意インジケータ57と警告インジケータ54との点滅表示を維持しつつ、表示装置61に表示させている充電警告画面62Iを燃料注意画面62Hに切り替える。メーターパネル制御装置64は、さらに切り替え信号を受信すると、注意インジケータ57と警告インジケータ54との点滅表示を維持しつつ、表示装置61に表示させている燃料注意画面62Hを充電警告画面62Iに切り替える。
メーターパネル制御装置64は、制御装置63から燃料残量が十分である旨の信号を取得した場合、メーターパネル50の注意インジケータ57を消灯させるとともに表示装置61に充電警告画面62Iを継続して表示させる。一方、メーターパネル制御装置64は、制御装置63からの充電系異常の信号が停止した場合、メーターパネル50の警告インジケータ54を消灯させるとともに表示装置61燃料注意画面62Hを表示させる。
このように構成することで、警告が注意インジケータ57と警告インジケータ54とのうち少なくとも一つが点滅表示するとともに表示装置61にメッセージが表示されるので視認性の高いインジケータにより異常状態の発生が明確に表示されるとともにメーターパネル50の略中央に配置されている表示装置61により異常状態の内容が具体的に表示される。また、警告の優先順位に従って異常状態が表示されるのでより重要な情報が他の情報に隠されることがない。さらに、操縦者の欲しい情報が操縦者の操作により選択的に表示装置61に表示される。これにより、操縦者に重要な情報の詳細な内容を確実に伝達することができる。