次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図、図2は同じく右側面図、図3は同じく正面図、図4は動力伝達系のスケルトン図、図5は油圧回路図、図6は運転室の概略斜視図、図7は操向丸ハンドル及び液晶表示装置を示す拡大平面図、図8は主変速レバーを示す図、図9は制御装置全体の機能ブロック図、図10はCANコントローラC1の機能ブロック図、図11はCANコントローラC2の機能ブロック図、図12はCANコントローラC3の機能ブロック図、図13はCANコントローラC4の機能ブロック図、図14はCANコントローラC5の機能ブロック図、図15は各モードの遷移図、図16は通常モードの遷移図、図17は初期モードの画像情報を示す画面の図、図18は非作業モードの画像情報を示す画面の図、図19は作業モードの画像情報を示す画面の図、図20は作業系異常情報のうち扱胴詰り情報を示す画面の図、図21はエンジン系異常情報のうちエンジン油圧異常情報を示す画面の図、図22はエラー標識が表示された通常モードの画面の図、図23はエラー表示モードの画像情報を示す画面の図、図24は環境設定モードの画像情報を示す図、図25は画面にメンテナンスモードにおける選択メニュー情報を示した状態の液晶表示装置の拡大平面図、図26はスイッチ設定モードの画像情報を示す画面の図、図27は(a)、(b)いずれもスイッチメニュー情報を示す画面の図、図28はスイッチの機能の設定変更を指示する画面の図、図29は4方向操作スイッチ設定の際の方向選択画面の図、図30は(a)、(b)いずれもスイッチ設定メニュー情報を示す画面の図、図31はスイッチ設定確認画面の図、図32はスイッチ設定記憶確認画面の図、図33はスイッチ設定登録情報呼び出しを指示する画面の図、図34はスイッチ設定情報メニューの画像情報を示す画面の図、図35スイッチ機能変更注意画面の図である。
作業車両の実施例としてコンバインについて説明する。コンバインの走行機体1は、左右一対の走行クローラ2・2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。図1に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には脱穀装置3が搭載されている。走行機体1の前部に配置した刈取前処理装置4は、走行機体1に対して、昇降フレーム14を介して昇降回動可能に支持されており、この昇降フレーム14と走行機体1との間に装着したアクチュエータとしての刈取部用油圧シリンダ9で昇降調節可能に構成されている。
刈取前処理装置4の下部にはバリカン式の刈刃装置5が配置されており、前部には六条分の穀稈引起装置6(図3参照)が配置されている。この穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフィードチェーン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置されており、穀稈引起装置6の下部前方には、走行機体1の進行方向に向かって突出する分草体10が取り付けられている。そして、走行機体1の右側前部には運転室11が配置されており、この運転室11の後方には穀粒タンク12が配置されている。
図4に示すように、運転室11の後方下部に備わるエンジン15からの動力の一部は、オーガクラッチ16を介して穀粒タンク12内の底スクリューコンベア17と排出オーガ28内の縦横スクリューコンベア18a・18bとに伝達される一方、エンジン15からの残りの動力は、動力分岐ミッション19を介して油圧ポンプ油圧モータ式走行駆動部24、脱穀装置3の扱胴13及び処理胴20、唐箕21、一番受樋のスクリューコンベア22a、二番受樋のスクリューコンベア22bやフィードチェーン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベア23、揺動選別機構40、排稈カッタ27等を回転駆動させるようになっている。
刈取前処理装置4への動力は、走行速度と同期するときには、走行駆動部24からの出力軸26を介して伝達され、同期しないときには、動力分岐ミッション19からの分岐動力がワンウェイクラッチ25を介して伝達されるようになっている。
図1及び図2に示すように、穀粒タンク12内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ28は、走行機体1の後端に配置した縦筒28aと、この縦筒28aの上端に上下回動可能に連設した横筒28bとからなり、縦筒28a内には縦スクリューコンベア18aが、横筒28b内には横スクリューコンベア18bがそれぞれ内装されている。
縦筒28aは、駆動モータ29とギア機構30とで縦軸回りに旋回可能に構成されており、横筒28bは、縦筒28aとの間に装架したオーガ用油圧シリンダ31とリンク機構32とで上下傾斜角度を変更可能に構成されている。
そして、駆動モータ29に設けたロータリエンコーダ等の旋回角センサ81により、縦筒28aの水平旋回角度、ひいては横筒28bの水平旋回位置を検出でき、オーガ用油圧シリンダ31またはリンク機構32の箇所に設けたポテンショメータ等の上下回動センサ82により、横筒28bの上下傾斜角度、ひいては横筒28b先端の排出部の位置を検出できるようになっている。
なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面に設けられたレスト台33等に横筒28bの中途部が載置されるようになっている。このレスト台33には、横筒28bが載置されたか否かを検出する接触センサ等のレスト検出器が取り付けられている。
左右各走行クローラ2は、トラックフレーム35の前後端に各々配置した駆動輪36及び従動輪37と、トラックフレーム35の下面中途部に複数個配置した転動輪38との外周に巻回してなり、左右各トラックフレーム35と走行機体1とは、走行部用油圧シリンダ39a(39b)(図5)と、トラックフレーム35の前後位置に設けた側面視L字状の前後レバーを同時に作動させるように連結した連結杆(図示せず)等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結されている。
左右の走行部用油圧シリンダ39a・39bは、互いに独立的に作動させることにより、左右各走行クローラ2を、走行機体1の左右に対して独立的に昇降させ得るようになっている。
したがって、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2から上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2に近付いて(下降し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相似的高さ(車高)は低くなる。
そして、左側の走行部用油圧シリンダ39aにおけるピストンロッドを突出させるか、または、右側の走行部用油圧シリンダ39bにおけるピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜するのである。
左右各走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドの突出量を検出して、走行機体1の左右各走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ等の車高センサ41a・41bは、前記連結杆に連設した連結ロッドやリンク機構(図示せず)を介して連動するように構成されている。走行機体1の左右の傾斜角度を検出するための振り子式(重力式)等の傾斜センサ43は、走行機体1の任意の位置、例えば運転室11内等に配置されている。
なお、図3に示すように、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出するための超音波センサ44a・44bは、発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けた状態で、刈取前処理装置4の左右両側における穀稈引起装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置されている。
超音波センサ44a・44bの設置高さと刈刃装置5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ44a・44bの検出値から所定の換算により、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを求めることができるようになっている。但し、対地高さを検出する手段は検知アームを突出して、該検知アームの角度を検出する構成としてもよく、限定するものではない。
また、昇降フレーム14の基端に取り付けた昇降ポジションセンサ45は、昇降フレーム14の回動角度を検出することにより、走行機体1と刈取前処理装置4との相対的高さを求めることができるようになっている。
図5に示すように、アクチュエータとしての油圧シリンダ9、31、39a、39bのための油圧回路は、油圧ポンプ46からの圧油を分流する分流弁47を介して分岐しており、この分流弁47の一方の吐出路からは、オーガ用油圧シリンダ31と左側の走行部用油圧シリンダ39aとに対する第1油圧回路48へ圧油を送給し、他方の吐出路からは、刈取部用油圧シリンダ9と右側の走行部用油圧シリンダ39bとに対する第2油圧回路49へ圧油を送給するように構成されている。
両油圧回路48・49には、それぞれの油圧シリンダ9、31、39a、39bに対する電磁制御弁50、51、52、53や逆止弁、リリーフ弁等が接続され、該電磁制御弁50、51、52、53は制御手段となるコントローラと接続されている。
次に、操縦部となる運転室11内に配置する操作部について、各種操作用のレバーやスイッチ類の構成を、図6及び図7を参照して説明する。運転座席56の前方のフロントコラムカバー体57から上向きに突出するハンドル軸(図示せず)には、走行機体1の操向操作手段となる操向丸ハンドル58が取り付けられている。
フロントコラムカバー体57の上端部位には、表示手段となる表示装置としての液晶表示装置60が、平面視で操向丸ハンドル58における略半円形状のハンドルホイル58aの内径側略中央に位置するように取り付けられている。
この液晶表示装置60は、フロントコラムカバー体57のみに固定されていて、操向丸ハンドル58には連結していない構成としているので、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60は動かないようになっている。また、液晶表示装置60の上面(画面)を操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aよりも下方に位置させているので、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60には接触しないようになっている。
また、操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aの左右対称位置には、内方側に膨出した左右の内膨らみ部55a・55bが形成されており、この左右の内膨らみ部55a・55bには、機体水平制御用や刈取昇降・扱深さ制御用などの4方向操作スイッチであるステアリング左スイッチ83及びステアリング右スイッチ84がそれぞれ設けられている。つまり、オペレータはハンドルホイル58aを握った状態で直進及び旋回操作いずれにおいても、このステアリング左スイッチ83及びステアリング右スイッチ84を操作することが可能となっているのである。
また、操向丸ハンドル58近傍の左右両側方には、操作パネル69・69が配設されており、この操作パネル69・69には選別調節ダイヤル136や刈取自動昇降スイッチ131等の入力機器となる各種スイッチ類が配置されている。
運転座席56の左方には、前後に長いサイドコラム61が配置されており、このサイドコラム61には変速や作業を切換える操作手段が配設され、車速を無段階変速させる変速操作手段となる主変速レバー65と、作業状態に応じて走行駆動部24の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー66とが左右に平行状に配置されており、これら各レバー65、66は前後回動可能に構成されている。
さらに、主変速レバー65の後方部位には、作業クラッチレバー68が前後回動可能に配置されている。作業クラッチレバー68は平面視逆L字状のガイド溝に沿って移動可能に構成されており、ガイド溝の後端左寄り位置に作業クラッチレバー68が位置するときには、刈取スイッチ134及び脱穀スイッチ135が切り作動して刈取クラッチ「切り」且つ脱穀クラッチ「切り」の状態となり、左右反対側となる後端右寄り位置では脱穀スイッチ135のみが入り作動して刈取クラッチ「切り」且つ脱穀クラッチ「入り」の状態となり、ガイド溝の前端である位置では脱穀スイッチ135とともに刈取スイッチ134が入り作動して刈取クラッチ「入り」且つ脱穀クラッチ「入り」の状態となるように構成されている。
また、図8に示すように、前記主変速レバー65は多機能レバーとなっており、そのパネル部65aにおいては、その同一平面上に、4方向操作スイッチであるAスイッチ201、及びBスイッチ202〜Gスイッチ207の複数の操作スイッチが配置されており、これらは、刈取前処理装置4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ137や、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ138、刈取前処理装置4の昇降動を手動操作するための刈取昇降スイッチ139、副変速スイッチ133等の複数の各種スイッチを配置して各種機能を割り当てる構成となっている。そして、グリップ93基部に形成する外膨らみ部94に左手の親指と反対側の手の平を当てて主に親指によりこれらAスイッチ201〜Gスイッチ207の操作を行うように構成している。
図6及び図7に示すように、液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できるモノクロのドットマトリクス形の表示手段としての液晶パネル60bと、これを収納するケース60aとにより構成されている。なお、液晶パネル60bはカラー型であってもよい。
このケース60aの表面の前後左右略中心に液晶パネル60bを配置し、該液晶パネル60bの近傍外周側には、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ(キースイッチ)142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70と、画面表示の切替え等のための入力手段となる左右各2つのスイッチ71、72、73、74が左右各2つずつ設けられている。これら各スイッチ71〜74は、スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチで、ノンロックタイプのものであり、それぞれに複数の役割を有する多機能スイッチとなっている。また、これら各スイッチ71〜74は本発明における入力手段に相当する。
ケース60a内であって液晶パネル60bの裏面側には、コンバインの各種モードのうち実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCANコントローラC5(詳細は後述する)が内装されている。
このような構成においてオペレータは、左手操作によって主変速レバー65を操作するとともにこの主変速レバー65のパネル部65aに配置されているAスイッチ201〜Gスイッチ207を操作することができ、また、右手操作によって操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aを操作しながらステアリング右スイッチ84を操作することができるのである。つまり、オペレータは左手操作及び右手操作を並行して行うことで、同時に複数の操作を行うことが可能となっているのである。この主変速レバー65のパネル部に設けられているAスイッチ201〜Gスイッチ207が左手操作スイッチに相当し、ステアリング右スイッチ84が右手操作スイッチに相当する。
そして、本発明においては、このように並行して操作を行うことが可能な左手操作スイッチであるAスイッチ201〜Gスイッチ207及び右手操作スイッチであるステアリング右スイッチ84(以下、各操作スイッチという)それぞれのスイッチが有する機能の設定(割り付け)を変更可能(カスタマイズ可能)とし、オペレータの利き手や好み、また使用頻度や作業対象に対応した設定を行うことを可能としている。
この各操作スイッチの機能の設定(割り付け)変更は、表示手段近傍に設ける入力手段の特定操作により、画面に操作方法が表示され、その表示に従って操作することにより可能としている。本実施例では、液晶表示装置60の液晶パネル60bの画面上に表示される指示に従って、入力手段を手動操作することによって行うものとし、後述するメンテナンスモードにおけるスイッチ設定モードにおいて行うこととしている。
次に、走行機体1の車速、姿勢及び車高、排出オーガ28の排出位置等コンバインの操作全般を制御するとともに、実行中のモード(コンバインの動作の状態)に対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するための制御手段の構成について説明する。
図9に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置75は、複数(本実施例では5つ)のCAN(Controller Area Network)コントローラC1・C2・C3・C4・C5と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス76とで構成されている。CANコントローラC1及びC5には、制御データの反射を抑制する終端抵抗としての抵抗器(図示せず)が内蔵されている。
各CANコントローラC1〜C5は、各種演算処理や制御を実行するCPU77、後述する各制御プログラムを記憶させる記憶手段としての電源を「切」としても記憶した内容が保持される不揮発性メモリであるEEPROM78、各種データ等を一時的に記憶させるRAM79、タイマ機能としてのクロック、各種入力系機器及び出力系機器に接続してデータを伝送する入出力インターフェイス(図示せず)等を備えている。
CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の各々には、それぞれに対応するアプリケーション制御プログラム(ソフト)S1・S2・S3・S4・S5を予め記憶(格納)させている(図9参照)。
各アプリケーション制御プログラムS1・S2・S3・S4・S5は例えば、アプリケーション制御プログラムS1は、脱穀装置3及び刈取前処理装置4の各種アクチュエータ(例えば刈り高さを調節するための刈取部用油圧シリンダ9や穂先の位置を検知して扱き深さを調節するための縦搬送装置を調節するシリンダ等)を作動させる制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS2は、刈取部用油圧シリンダ9及び走行機体1の左右の走行部用油圧シリンダ39a・39bを作動させて、刈取前処理装置4の刈高さ制御や走行機体1の姿勢及び車高制御を実行するための制御プログラムとする。
アプリケーション制御プログラムS3は、エンジン15の出力を制御するための制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS4は、排出オーガ28における駆動モータ29及びオーガ用油圧シリンダ31の作動を制御するための制御プログラムとする。
そして、アプリケーション制御プログラムS5は、各コントローラC1〜C5に接続された全ての入出力系機器の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する制御を司る制御プログラムとする。
また、EEPROM78には、CAN通信に必要な通信制御プログラムと、入出力系機器間で制御データ(情報)を伝送するための入出力用制御プログラムとについても予め格納しており、アプリケーション制御プログラムに対して入出力用制御プログラムがベースとなるように階層化している。
各CANコントローラC1〜C5は、目安として、入出力機器のハーネスの長さがなるべく短くなるように組み合わせてそれらを制御するようにしており、それぞれの配置箇所でコントローラボックス(図示せず)内に格納されている。
例えば、CANコントローラC1は、運転室11における床板の下面側に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC1の入力インターフェイスには、入力系機器として、昇降ポジションセンサ45、刈取前処理装置4において刈取穀稈を搬送しているか否かを検出する穀稈搬送センサ96、搬送中の刈取穀稈の長さを検出する穀稈長さセンサ97、扱深さセンサ98、オーガクラッチモータスイッチ99、超音波センサ44a・44b、車速センサ100、2番受樋スクリューコンベア回転センサ101、操向丸ハンドルリミットスイッチ102等がそれぞれ接続されている(図10参照)。
CANコントローラC1の出力インターフェイスには、出力系機器として、扱深さ制御モータにおけるリレーユニット等の制御回路部103、オーガクラッチモータにおけるリレーユニット等の制御回路部104、脱穀クラッチを駆動させるための電磁ソレノイド105等が接続されている(図10参照)。
CANコントローラC2は、刈取前処理装置4の上部でかつ運転室11に近い箇所に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC2の入力インターフェイスには、入力系機器として、燃料センサ106.傾斜センサ43、車高センサ41a・41b、選別装置の流穀板における籾流量センサ107、選別装置各部での籾の有無を検出する籾センサ108、排稈カッタ詰まりセンサ109、旋回角センサ81、横筒28bの先端部に設けられ排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ先端操作部110、上下回動角センサ82、オーガクラッチセンサ111、排出オーガ過負荷センサ112、搖動選別過負荷センサ113、扱胴回転センサ114、処理胴回転センサ115等がそれぞれ接続されている(図11参照)。
CANコントローラC2の出力インターフェイスには、出力系機器として、搖動選別駆動モータ116、FCクラッチ駆動回路部117、排出オーガ28の縦筒28aを水平旋回させるための駆動モータ29、排出オーガブレーキ118、オーガ用油圧シリンダ31に対する電磁制御弁51の電磁ソレノイド51a、走行機体1の左側の走行部用油圧シリンダ39aに対する電磁制御弁52の電磁ソレノイド52a、走行機体1の右側の走行部用油圧シリンダ39bに対する電磁制御弁53の電磁ソレノイド53a、刈取部用油圧シリンダ9に対する電磁制御弁50の電磁ソレノイド50a等がそれぞれ接続されている(図11参照)。
図1〜図3に示すように、CANコントローラC3は、運転室11における運転座席56の後部に設置されている。このCANコントローラC3の入力インターフェイスには、入力系機器として、エンジン回転数センサ119、エンジンオイル量センサ120、エンジン水温センサ121、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ122、エンジンスタータスイッチ123、排出オーガ28の水平旋回位置を予め記憶させるためのオーガセット位置ダイヤル124、運転室11に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125、刈取クラッチモータリミットスイッチ126等がそれぞれ接続されている(図12参照)。
CANコントローラC3の出力インターフェイスには、出力系機器として、エンジン15の回転数が所定の回転数となるように燃料噴射ポンプのラック位置を調節するための燃料噴射ポンプラックアクチュエータ127、エンジンスタータリレー128、警報ブザー129等が各々接続されている(図12参照)。
CANコントローラC4は、運転室11のサイドコラム61内に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC4の入力インターフェイスには、入力系機器として、アクセルレバー59の操作位置を検出するアクセルレバーセンサ59a、車高制御切替スイッチ63、傾斜設定器64、扱深さ自動制御スイッチ130、刈取自動昇降スイッチ131、刈取前処理装置4が所定の刈高さまで下降すると自動的に前記刈取前処理装置4へ動力伝達するための刈取オートクラッチスイッチ132、副変速レバー66、刈取スイッチ134、脱穀スイッチ135、選別装置における穀粒の選別状態を調節するための選別調節ダイヤル136、オートリフトスイッチ137、オートセットスイッチ138、刈取昇降スイッチ139、扱深さ調節スイッチ140、副変速スイッチ133、刈取前処理装置4の刈取速度を変えるための刈取変速スイッチ80、上述した車高制御を手動操作で行うときの、走行機体1の車高を手動で変更調節できる車高調節スイッチ62、走行機体1を後退動させるための後退スイッチ141、電源スイッチ142等がそれぞれ接続されている(図13参照)。
CANコントローラC4の出力インターフェイスには、出力系機器として、車高制御を自動操作に切り替えたときに点灯する車高制御切替スイッチランプ143、扱深さ制御を自動操作に切り替えたときに点灯する扱深さ自動制御スイッチランプ144等が接続されている(図13参照)。
ケース60a内に内装されたCANコントローラC5の入力インターフェイスには、液晶パネル60bの画面上のカーソルを画面上方向に移動させるためのカーソル上移動スイッチ71、画面下方向に移動させるためのカーソル下移動スイッチ72、液晶パネル60bの画面表示を切り替える操作等をするための第1及び第2切替スイッチ73、74等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
そして、CANコントローラC5の出力インターフェイスには、表示手段としての液晶パネル60b、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
次に、CANコントローラC5によるモードの切替え制御の態様について説明する。図15に示すように、コンバインのモード(動作の状態)は、初期モードM1、路上走行や各種作業をする通常モードM2、コンバイン各部の異常状態を報知する警報表示モードM3、検出エラー等の各種エラーの内容を報知するエラー表示モードM5及び自動走行制御等の設定を行うための環境設定モードM4の5つに大別され、各モード毎にそれぞれ制御手段によって処理される。
そして、通常モードM2には、路上走行等をする非作業モードM2aと刈取・脱穀作業をする作業モードM2bとがあり、非作業モードM2aからのみ移行できるメンテナンスモードM6も設定されている(図16参照)。
まず、電源スイッチ142を入り操作すると、初期モードM1が起動して、液晶パネル60bの画面に図17に示す初期画像情報が表示される。
次いで、CANコントローラC5のEEPROM78に予め設定された時間(本実施例では10秒)が経過するか、あるいは、エンジン15の回転数が予め設定された回転数(本実施例では240rpm)以上になると、自動的に通常モードM2のうち非作業モードM2aに移行して(図16参照)、液晶パネル60bの画面の表示が、前記初期画像情報からエンジン回転数や燃料の残量等の画像情報(非作業モードM2aに対応した画像データ)に遷移する(図18参照)。
この場合、液晶パネル60bの画面には、非作業モードM2aの画像情報として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計85、エンジン回転数を示す略L字状の回転数グラフ86、穀粒タンク12内のもみの量を知らせるタンクモニタ87、燃料の残量を知らせる燃料計88、副変速レバー66の設定状態を知らせる副変速モニタ89、刈取前処理装置4の速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ90、及びエンジン15の稼動時間を積算した値等を知らせる積算値モニタ91とが表示される。
初期モードM1の実行中に、脱穀装置3への動力伝達のための脱穀クラッチが入り状態、すなわち、脱穀スイッチ135が入り作動している場合は、警報表示モードM3に移行して、警報ブザー129を作動させるとともに、液晶パネル60bの画面に、扱胴詰まりの画像情報が切替え表示される(図20(a)参照)。これは、脱穀スイッチ135が入り状態のままで始動することを防止するためである。
図20(a)、(b)に示す両画像情報は、液晶パネル60bの画面上下方向に自動的にスクロールして表示される。この場合、脱穀スイッチ135が切り作動させると、警報ブザー129は作動停止するとともに非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面が、図19に示す画面に遷移する。
図16に示すように、通常モードM2のうち非作業モードM2aの実行中に脱穀スイッチ135を入り作動させると、作業モードM2bに移行して、図18の画像情報を示す画面の表示がエンジン負荷や燃料の残量等の画像情報(作業モードM2bに対応した画像データ)に遷移する(図19参照)。逆に、脱穀スイッチ135を切り作動させると、非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面に、非作業モードM2aの画像情報が切替え表示される。なお、作業モードM2bの画像情報は、非作業モードM2aの画像情報のうちエンジン回転数を示す回転数グラフ86の表示領域に、これに代えてエンジン負荷を示す負荷グラフ86´を表示する点が異なるだけであり、その他は非作業モードM2aの場合と同様である。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えば、各出力系外部機器において許容される制御範囲から外れた異常制御データを、CANコントローラC5が受信した場合、または、前記異常制御データをCANコントローラC5が受信しているときに、第1切替スイッチ73を押下した場合は、警報表示モードM3に移行して、図18または図19に示す画面が、前記異常制御データの発信元である各出力系外部機器の異常状態、例えば扱胴詰まりや油圧異常等を報知する画像情報を示す画面(図20(a)、(b)及び図21(a)、(b)参照)に遷移する。なお、各種異常データが発生した場合には、液晶表示装置60のケース60aに設けた作業ランプ70(図7参照)が点灯するようになっている。
異常制御データが複数発生している場合は、所定時間ずつ順送りで、各異常制御データに対応する出力系外部機器の異常状態についての画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する。
なお、図20(a)、(b)に示す両画像情報のみならず、図21(a)、(b)に示す両画像情報も、液晶パネル60bの画面上下方向に、自動的にスクロールして表示される。
そして、各出力系外部機器の異常状態を解除するか、または、油圧異常等のエンジン関係に異常が発生しているときに第1切替スイッチ73を一回押下すると、警報表示モードM3から通常モードM2に移行して、図20(a)、(b)または図21(a)、(b)に示す画面が、図18または図19に示す画面に遷移するのである。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えばセンサや設定器等の検出エラーや各種アクチュエータの作動エラー等の各種エラーが発生した場合には、液晶パネル60bの画面における副変速モニタ89の右側部位に、「エラー」の文字標識92が点滅表示される(図22参照)。このエラー標識92の点滅により、オペレータは、何らかのエラーが生じたことを、通常モードM2の画像情報を示した画面上で迅速に視認できる。
この状態で、第1切替スイッチ73を適宜時間(本実施例では5秒)以上押下すると、エラー表示モードM5に移行して、液晶パネル60bの画面の表示がこのとき発生したエラーの内容を示す画像情報に遷移する(図23(a)〜(d)参照)。
それから、もう一度第1切替スイッチ73を一回押下するか、または、前記エラーが解消されると、エラー表示モードM5から通常モードM2に戻って、液晶パネル60bの画面に、通常モードM2の画像情報が切替え表示される。
通常モードM2の実行中に第2切替スイッチ74を一回押下した場合は、環境設定モードM4に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、通常モードM2の画像情報から環境設定モードM4の画像情報に遷移する(図24参照)。もう一度、第2切替スイッチ74を押下すると、通常モードM2に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、環境設定モードM4の画像情報から通常モードM2の画像情報に戻る。本実施例では、環境設定モードM4を実行する頻度が少ないので、第1切替スイッチ73とは別に第2切替スイッチ74を設けて、不用意に環境設定モードM4を作動させることがないようになっている。
図16に示すように、コントローラは、非作業モードM2aの実行中に、通常では行わない特定の操作をすることによりメンテナンスモードM6に移行するように処理している。例えば、ケース60aに設けたカーソル下移動スイッチ72と第1切替スイッチ73とを同時に適宜時間(本実施例では5秒)以上入り作動させると、警報ブザー129の鳴動に伴ってメンテナンスモードM6に移行し、液晶パネル60bの画面に、メンテナンスモードM6における選択メニューの画像情報(以下、選択メニュー情報という)が切替え表示される(図25参照)。警報ブザー129は前記画面が切り替わった時点で鳴動停止する。但しこのメンテナンスモードに入る操作は限定するものではなく、いずれか二つまたは三つのスイッチを同時に所定時間以上押すような通常では行わない操作であればよい。
このメンテナンスモードM6では、各入出力系機器の故障診断(詳細は後述する)をするだけでなく、これら各機器の制御範囲を設定変更できるから、前述した複雑な手順を踏まないとメンテナンスモードM6へ移行しないようにして、いたずらや誤操作により設定変更されることを防止している。また、メンテナンスモードM6では、一旦電源スイッチ142を切り作動させない限り、他のモードM1〜M5への移行ができないように設定されている。
メンテナンスモードM6に入ると更に複数の設定項目の選択画面(選択メニュー)が表示される。本実施例では選択画面に次の四つのモードが表示される。各種センサやCANコントローラC1〜C5を交換した際に刈高さ位置等の各種設定を行う初期設定モード、入出力系機器の故障の有無を診断する故障診断モードとしてのチェッカーモード、過去のメンテナンス情報を消去するリセットしたり、各CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の記憶内容を書き替えたりするサービスマンモード、及び前記各操作スイッチの機能の設定を行うスイッチ設定モードの四つの態様がある。
選択メニュー情報を示した図25の画面には、「初期設定モード」、「チェッカーモード」、「サービスマンモード」、及び「スイッチ設定モード」の文字情報161〜164と、選択する文字情報を指し示すカーソル160とが表示されている。
また、この画面の四隅部位には、入力手段としての各スイッチ71、72、73、74の機能を示す操作指示標識165、166、167、168とが表示されるようになっている。
これら各操作指示標識165〜168は、その表示位置と対応した、各スイッチ71〜74を押下した際の作動内容を、文字や図形等で簡略化して表したものである。例えば、図25の画面で説明すると、画面左上隅部の操作指示標識165(上向き矢印)に対応したカーソル上移動スイッチ71を押下すると、カーソル160が画面の上方向に移動し、左下隅部の操作指示標識166(下向き矢印)に対応したカーソル160が画面の下方向に移動するのである。また、画面右下隅部の操作指示標識167は、液晶パネル60bに表示される画面によって「決定」や「はい」等の異なる表示となるが、この操作指示標識167に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、操作指示標識167に表示される文字情報に応じた処理が行われるように制御されている。同じく画面右上隅部の操作指示標識168も液晶パネル60bに表示される画面によって異なる表示となるが、この操作指示標識168に対応した第2切替スイッチ74を押下することで、操作指示標識168に表示される文字情報に応じた処理が行われるように制御されている。画面左上下隅部の操作指示標識165及び166と、カーソル上移動スイッチ71及びカーソル下移動スイッチとの関係も同様に対応している。つまり、各スイッチ71〜74は、各操作指示標識165〜168に対応した複数の役割を持つ多機能スイッチとなっているのである。
前記各文字情報161〜164は、カーソル160で指し示した状態では、反転表示される。そして、例えば図25に示すように、「スイッチ設定モード」の文字情報164を反転させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、スイッチ設定モードを選択(決定)したことになり、選択メニュー情報を示した画面の表示がスイッチ設定モードへと遷移する(図26参照)。
このスイッチ設定モードでは、各操作スイッチの機能の設定を行う「スイッチ設定」の文字情報170と、この「スイッチ設定」において設定されて登録された設定情報を、各設定情報ごとに消去、または一括して消去して各操作スイッチの設定を初期状態(出荷状態)に戻す「スイッチ設定リセット」の文字情報171とが表示される。
前記スイッチ設定モードの画面表示(図26参照)において、「スイッチ設定」の文字情報を反転させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、スイッチ設定を選択(決定)したことになり、液晶パネル60bの表示が、機能を設定するスイッチを選択する画面であるスイッチメニューの画像情報(以下、スイッチメニュー情報という)に遷移する(図27(a)、(b)参照)。
スイッチメニュー情報は、スイッチの機能の設定を変更可能なスイッチ、即ち本実施例では、右手操作スイッチであるステアリング右スイッチ84、及び左手操作スイッチである、主変速レバー65の各Aスイッチ201〜Gスイッチ207の8項目に分類されており、図27(a)、(b)に示すように、これら項目群は、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示されるようになっている(本実施例では二つに分けられている)。
前記画面(図27参照)における複数のメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューでのスイッチ操作と同様に、カーソル下移動スイッチ72を押下して、カーソル160を画面の下方向に移動させ、このカーソル160で指し示した「次(または1/2)の画面へ」の文字情報169を反転表示させた状態で、第1切替スイッチ73を押下することにより実行される。
前記各項目は、前記各操作スイッチに対する見出し(インデックス)であって、オペレータ等がその機能の設定を変更したいスイッチを探す手がかりとなっている。
それから、例えば前記スイッチメニュー情報を示す画面(図27参照)において、ステアリング右スイッチ84を示す「ステアリング右」の文字情報を反転表示させた状態で、第1切替スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面に、ステアリング右スイッチの機能の変更を行うか否かをオペレータに指示する指示画像が切替え表示される(図28参照)。
前記指示画像(図28参照)において、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、ステアリング右スイッチ84の設定を行うということになり、液晶パネル60bの画面に、スイッチ設定メニューの画像情報が切替え表示される(図30(a)、(b)参照)。なお、このステアリング右スイッチ84及び前記スイッチAは、4方向操作スイッチであるため、スイッチ設定メニュー情報の画像に遷移する前に、その設定を行うのがスイッチの前後(上下)方向かまたは左右方向かを選択する画像(図29参照)が表示される。(この際、図29に示すような選択画像を介すことなく、4方向操作スイッチの前後(上下)方向をまず設定し、その後に左右方向を設定するように予め順序を決めておき、それに従ってオペレータが設定していくようにしてもよい。この場合、前後(上下)方向及び左右方向の設定する順序は逆であってもよい。)つまり、ステアリング右スイッチ84及びスイッチA以外の各操作スイッチの機能を設定する場合は、図29に示す画面は表示されず、前記支持画像(図28参照)から直接スイッチ設定メニューの画面(図30参照)へと遷移することとなる。
一方、同指示画像(図28参照)において、画面右上隅部の操作指示標識168(「戻る」の文字)に対応した第2切替スイッチ74を押下すると、この指示画像の前の表示画面である前記スイッチメニュー情報(図27参照)へと遷移する。
前記スイッチ設定メニューの画像情報としては、各設定機能の文字情報181〜189、即ち「刈取フィット昇降」(181)、「刈高さ調節(フィットなし)」(182)、「フィットステアリング」(183)、「車高調節スイッチ」(184)、「副変速スイッチ」(185)、「刈取変速スイッチ」(186)、「こぎ深さ調節スイッチ」(187)、「オートリフトスイッチ」(188)、及び「オートセットスイッチ」(189)があり、これら文字情報181〜189の一覧は、前述したスイッチメニュー情報の場合と同様に、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数等に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示されるようになっている(本実施例では二つに分けている。図30参照)。
なお、前記画面(図30参照)における複数のメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューやスイッチメニューでのスイッチ操作と同様に実行される。前記文字情報181〜189の一覧は、本発明における設定変更可能な機能の一覧に相当するものである。
このスイッチ設定メニュー情報において、設定変更可能な機能の一覧に表示される各操作機能は、本実施例に限定されるものではないが、例えば、排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125等のような、オペレータが作業姿勢、即ち運転座席56に座った状態でその動作を確認できない操作機能は挙げられることはないように制御されている。つまり、オペレータが作業状態で容易にその動作を確認できる操作機能のみを、ステアリング右スイッチ84及び主変速レバー65のAスイッチ201〜Gスイッチ207に設定することができるようにしており、機能の設定を変更できる各操作スイッチを操作することによる機体各部の不用意な動作を防いで安全性を確保しているのである。
次いで、例えば図30(a)に示すように、「刈取フィット昇降」の文字情報181を反転表示させた状態で第1切替スイッチ73を押下すると、「刈取フィット昇降」を選択(決定)したことになり、ステアリング右スイッチの前後(上下)の機能を「刈取フィット昇降」に設定したこととなる。すると、液晶パネル60bの画面が、上述の選択画像(図29参照)に戻り、ここで「左右」の文字情報171を選択し、同様にしてスイッチ設定メニュー情報の画面(図30参照)にてステアリング右スイッチ84の「左右」の機能の設定を行う。
そして、ステアリング右スイッチ84の前後方向及び左右方向の機能の設定が決まったら(スイッチ設定メニュー画面において操作指示標識167(「決定」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下したら)、液晶パネル60bの画面がスイッチ設定確認画面(図31参照)に切替え表示される。このスイッチ設定確認画面においては、確認メッセージの文字情報190が表示され、設定を変更したスイッチの機能を示す文字情報191が表示される。ここで、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、ステアリング右スイッチ84の設定が決定されたこととなる。
一方、画面右上隅部の操作指示標識168(「戻る」の文字)に対応する第2切替スイッチを押下すると液晶パネル60bの画面が前記スイッチ設定メニューの画面(図30参照)に切替表示され、再度設定し直すことができる。また、画面左下隅部の操作指示標識166(「リセット」の文字)に対応するカーソル下移動スイッチ72を押下すると、ステアリング右スイッチ84の機能の設定が初期状態(出荷時の状態)に戻されることとなる。なお、ここで設定が初期状態に戻されるのは、現在設定している操作スイッチ(図30においてはステアリング右スイッチ84)だけでなく、設定変更可能な各操作スイッチ全てとしてもよい。
このようにして、前記スイッチ設定確認画面(図31参照)にて画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、ステアリング右スイッチ84の機能が設定され、液晶パネル60bがスイッチメニュー情報を表示する画面(図27参照)へと戻る。そしてこの画面において各スイッチに対応する文字情報を選択し、上述のステアリング右スイッチ84の設定の場合と同様のスイッチ操作によって、各スイッチの機能の設定を実行していくのである。
このように、右手操作スイッチであるステアリング右スイッチ84及び左手操作スイッチであるAスイッチ201〜Gスイッチ207に割り当てる機能を任意に設定可能とすることによって、作業車両を複数のオペレータが使用する場合、オペレータによる操作の得手不得手などの好みや右手操作・左手操作に応じた機能を任意に設定することができ、そのオペレータがもっとも能率よく作業できるようになるので、作業効率や作業精度の向上が図れる。また、作業対象の違いや使用頻度にも対応したスイッチの機能を設定することができるので、作業効率や作業精度の向上を図ることができる。さらに、あるスイッチが何らかの原因によって効かなくなったり破損したりして操作不能となった場合に、比較的使用頻度の高い機能を優先的に操作可能なスイッチに設定することによって、スイッチ破損時などのスイッチの代用が可能となる。
また、前記各操作スイッチに割り当てられる機能は、安全性の確保や操作上の問題から一定の制限がある。つまり、各操作スイッチについて、前記スイッチ設定メニュー画面(図30参照)に列挙される機能の全てから選択できるのではなく、各操作スイッチに対応する任意の複数の機能が予め設定されており、この各操作スイッチに対応する予め設定された複数の機能から選択することができるように制御されているのである。
そして、この各操作スイッチの割り当てを行う際、各操作スイッチについて割り当てることができない機能を、スイッチ設定メニュー画面(図30参照)において選択した場合、その旨、即ち現在設定しようとしているスイッチには、選択した機能を割り当てることが不可能であることを、液晶パネル60bに表示するように制御している。つまり、各操作スイッチに対して割り当て不可能な機能を設定しようとすると、設定不可能なことを注意する注意画面(図示略)が液晶パネル60bに表示されるように制御されているのである。なお、この注意画面が液晶パネル60bに表示される際、この表示と同時に、若しくは表示の代わりに警報ブザー129を鳴動させるように制御することもできる。このように制御することによって、機能の設定を変更できる各操作スイッチを操作することによる機体各部の不用意な動作を防いで安全性を確保しているのである。
このスイッチの設定変更として一例を挙げると、図8に示した、左手で操作することとなる主変速レバー65のパネル部65aのスイッチBを「刈取昇降スイッチ」、スイッチEを「フィットステアリング(微小旋回)」に設定し、また、図7に示した、右手で操作することとなるステアリング右スイッチ84の前後を「刈取フィット昇降」、左右を「こぎ深さ調節」に設定すれば、刈取作業中は左手操作(主変速レバー65)のみで刈取昇降及びフィットステアリングの操作が可能となり、刈取終了時には、左手操作(主変速レバー65)による刈取部の上昇と、右手操作(ステアリング右スイッチ84)によるこぎ深さの深こぎ側への操作を同時に行うことができ作業効率が向上するというような具合である。また、右手操作が得意なオペレータに対しては、作業中に操作する頻度の高い刈取昇降とこぎ深さ調節をステアリング右スイッチ84の前後と左右に設定することにより、より作業能率の向上を図ることが期待できる。
このような各操作スイッチの機能の設定変更を、普通型(汎用)コンバインに適用する場合、例えば、普通型コンバインの最前部に設けられる引き起し装置であるリールの昇降を行う「リール昇降スイッチ」を左手操作スイッチ(主変速レバー65)のスイッチBに、「刈取昇降スイッチ」を右手操作スイッチであるステアリング右スイッチ84の前後方向に設定すると、刈り終わり時に刈取昇降とリール昇降との同時操作が可能となり、作業効率が向上するという具合である。
このように制御されて設定されたステアリング右スイッチ84及びAスイッチ201〜Gスイッチ207の各操作スイッチの機能は記憶手段、即ちCANコントローラC4のEEPROM78に記憶させておくことが可能となっている。つまり、オペレータによって一旦設定された前記各操作スイッチの機能は、本機体を使用するオペレータ毎、または作業対象に対応した操作スイッチの機能の設定を保持することができるのである。なお、記憶可能な設定情報量は、記憶手段であるEEPROM78の容量によって決まる。
各操作スイッチの設定を行った後、前記スイッチメニュー情報を表示した画面(図27参照)において、画面右上隅部の操作指示標識168(「終了」の文字)に対応する第2切替スイッチ74を押下すると、各操作スイッチの設定が終了したということとなり、液晶パネル60bの画面表示がこの各操作スイッチの設定を記憶させるか否かの確認メッセージ192を表示した記憶確認画面へと遷移する(図32参照)。なお、この画面右上隅部の操作指示標識168(「終了」の文字)に対応する第2切替スイッチ74を押下した際、各操作スイッチの設定が不適切な場合、例えば、複数の操作スイッチに同一の機能が設定されて、スイッチに割り当てられてない機能が存在する等の場合、オペレータに注意を喚起する警告画面を表示するように制御することもできる。
前記記憶確認画面(図32参照)にて、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、設定された各操作スイッチの設定情報を、オペレータ毎に記憶管理するため、オペレータの氏名や登録番号、または作業内容などの識別情報を入力する画面(以下、識別情報入力画面という)が表示される(図示略)。一方、この記憶確認画面にて、画面右上隅部の操作指示標識168(「戻る」の文字)に対応する第2切替スイッチ74を押下すると、液晶パネル60bの画面の表示が前記メンテナンス選択メニュー情報(図25参照)に戻る。
そして、前記識別情報入力画面においてオペレータは、自分が設定した各操作スイッチの設定情報を自己の設定情報として登録するのである。このように、オペレータに対応した各操作スイッチの設定情報を記憶することを可能とすることにより、機体を使用するオペレータが多い場合、登録されてある自己の設定情報を呼び出すという簡単な操作によって、自分に合った各操作スイッチの設定を再現でき、オペレータが入れ替わる度に各操作スイッチの設定を行う必要がなくなり、時間短縮、作業効率の向上が図れるのである。
つまり、上述のような各オペレータに応じた登録情報が記憶されている場合、即ち、CANコントローラC4のEEPROM78にこの登録情報が存在する場合は、メンテナンス選択メニュー情報が表示された画面(図25参照)において、スイッチ設定モードに対応する文字情報164を選択(決定)した場合、この登録情報のうち何れかの登録情報を呼び出して設定を行うか否かをオペレータに指示する文字情報193が表示された画面が表示される(図33参照)。
ここで、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bが、登録されている設定情報を呼び出すための画面(以下、スイッチ設定情報メニューという)へと切替え表示される(図34参照)。このスイッチ設定情報メニューが表示されている画面においては、記憶されている各操作スイッチの設定が、その設定情報毎に表示される文字情報194が表示される。この文字情報194には、各設定情報のオペレータの名前や番号、または作業内容等が表示される。この画面において、カーソル160を文字情報194からオペレータが希望する各設定情報に対応する文字情報に合わせ、その文字情報を反転させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、各操作スイッチの機能は、その設定情報に基づいて設定されるのである。
この各操作スイッチの設定情報の呼び出しを行う際、オペレータは各操作スイッチの設定を記憶させた際に登録した氏名や登録番号、または作業内容を入力手段である各スイッチ71〜74を操作して入力することで、自己の設定情報または作業に応じた設定情報を簡単な操作によって呼び出すようにすることもできる。さらに、各操作スイッチの設定情報を各オペレータ毎に呼び出しを行う際、予め若しくは各操作スイッチの設定を記憶させる際、ユーザであるオペレータの指紋や虹彩、または網膜などの生体的特徴をCANコントローラC4のEEPROM78に記憶させておき、この生体的特徴に基づくデータを個人の識別情報として、ユーザ認識手段を用いて各操作スイッチの設定情報を呼び出すようにすることも可能である。つまり、図7に示すように、操作部の近傍にCANコントローラC4に接続されたユーザ認識手段としての画像センサ54を設け、この画像センサ54によってユーザの指紋や虹彩、または網膜などの生体的特徴を読み取り、この生体的特徴に基づくデータを予め登録されているデータと照合することで、ユーザ本人の認証を行うとともに、このユーザが登録した各操作スイッチの設定情報を呼び出すのである。つまり、制御手段としての制御装置75に、ユーザ認識手段である画像センサ54を接続し、この画像センサ54によって、または入力手段である各スイッチ71〜74を操作することによってユーザの認識を可能とし、このユーザの認識によって、ユーザが設定した各操作スイッチの機能が割り当てられるように制御しているのである。
このように、機体を使用する各オペレータ応じた各操作スイッチの設定情報を記憶させ、この設定情報を簡単な操作によって呼び出して各操作スイッチの設定を行うようにすることで、各操作スイッチの設定が他人によって変更されている場合でも、自分に応じた各操作スイッチの設定が簡単な操作によって呼び出せるので、オペレータが変わることによる意図しない操作が発生することもなくなり、安心して機体の操作を行うことができる。また、作業内容に応じた各操作スイッチの設定情報を記憶することによって、オペレータは作業内容に応じて各操作スイッチの設定を使い分けることが可能となり、作業内容に最適な操作環境で作業を行うことができるので、作業効率及び作業精度の向上を図ることが可能となる。
以上のように設定され、記憶された各操作スイッチの設定情報は、登録されている各操作スイッチの設定情報を消去することが可能となっている。つまり、前記スイッチ設定モードにおける画面表示(図26参照)において、「スイッチ設定リセット」の文字情報171を反転させて、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面がスイッチ設定リセットの画像情報へと遷移する。この画面において、現在登録されている全てのスイッチ設定情報を一括消去して初期状態(出荷状態)に戻すことができ、また、登録されている各設定情報を指定して消去することも可能となっている。なお、この際、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を一度押下すると、オペレータへの確認画面(図示せず)を介してから消去するように制御して、誤操作による登録されている設定情報の消去を防止している。
このように、各操作スイッチの設定情報を消去可能な機能(リセット機能)を備えることにより、簡単な操作によって各操作スイッチの設定情報を一括または各設定情報を選択して消去することができるので、中古機を再販する場合や新規オペレータが使用する場合に、容易に各操作スイッチの機能の設定を初期状態(出荷状態)に戻すことが可能となる。
また、オペレータが機体を使用する際にキースイッチ(電源スイッチ142)をONしたとき、即ち機体始動時に、各操作スイッチの設定が変更され、初期状態と異なった設定となっていると、液晶パネル60bには、この各操作スイッチの設定が変更されていることをオペレータに注意する画面(以下、スイッチ機能変更注意画面という)が表示される(図35参照)。このスイッチ機能変更注意画面においては、機能の設定が変更されている操作スイッチを表示する文字情報196と、確認メッセージを表示する文字情報197と、設定が変更されている操作スイッチの現在設定されている機能を示す文字情報198と、オペレータへの注意を喚起する警告マーク199とが表示される。
そして、オペレータは、スイッチ機能変更注意画面に表示されているスイッチが、同画面に表示されている機能の設定でよければ、画面右下隅部の操作指示標識167(「はい」の文字)に対応する第1切替スイッチ73を一度押下することで、スイッチの機能の設定は維持される。
一方、このスイッチ機能変更注意画面において表示されているスイッチの機能を、初期状態に戻したいときは、画面左下隅部の操作指示標識166(「リセット」の文字)に対応するカーソル下移動スイッチ72を一度押下すると、初期設定に戻すか否かをオペレータに確認する確認画面(図示せず)を介して、そのスイッチの設定を初期状態に戻すのである。なお、この確認画面においては、そのスイッチに設定されている機能のみを初期状態に戻す場合と、機能設定を変更可能なスイッチ全てを一括して初期状態に戻す場合を選択できるようになっている。そして、他に機能の設定が変更されているスイッチがあれば、スイッチ機能変更注意画面において操作指示標識167(「はい」の文字)または操作指示標識166(「リセット」の文字)を選択するたびに、そのスイッチに応じたスイッチ機能変更注意画面が順に表示されていく。なお、このスイッチ機能変更注意画面において、別に「スイッチ設定」などの文字情報を表示し、この画面から直接前記スイッチメニュー情報を示す画面(図27参照)へと遷移するように制御することもできる。
このように、オペレータが作業車両を使用しようとする際、各操作スイッチの設定が変更されている場合に、スイッチ機能変更設定画面を表示してオペレータに注意を促すことで、一台のコンバインを複数のオペレータが使用するような場合でも、各オペレータによってスイッチの機能の設定が変更されることによる他のオペレータの誤操作を防止することができ、作業の安全性を確保することができる。なお、このスイッチ機能変更設定注意画面が液晶パネル60bに表示されると同時に、ブザーやランプ等の警報を発する等してオペレータへの注意を喚起するようにすることで、オペレータへの注意をより確実なものとでき、誤操作などが防げより安全性を確保することができる。
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各種農作業車両、クレーン車等の特殊作業用車両または乗用車等の各種作業車両に対して、広く適用できることはいうまでもない。
また、本発明における通信バス(回線)はCAN(Controller Area Network)プロトコルのみならず、LAN(Local Area Network)プロトコルを用いてもよい。本発明は、前記したCAN通信環境のみならず、LAN通信環境の制御システムに対しても適用できるが、CAN通信プロトコルによるデータ通信の方が、各コントローラ間での制御データのやりとりが円滑で、かつ、その間の通信エラー状態の検出及びエラー処理をもスムーズに行える。なお、制御手段としてのコントローラは複数であってもよいし、単一のものであってもよい。
本発明における入力手段としては、前述した四つのスイッチ71〜74に限らず、液晶パネル60bの画面上に設けるタッチパネルであってもよい。この場合は、タッチパネルを、フレキシブル配線板を介してCANコントローラC5の入力インターフェイスに接続し、オペレータが前記タッチパネルの表面のうち操作指示標識165〜168に対応する箇所を指やペン等で押圧すると、前記タッチパネルがこの位置を検出して、この押圧位置情報をフレキシブル配線板を介してCANコントローラC5に伝送し、前記押圧位置に対応する操作指示標識165〜168の内容(例えばカーソルを画面の上方向に移動させる等)を実行するように構成すればよい。
さらに、本発明の表示装置は、液晶パネル60bを用いた液晶表示装置60に限らず、CRTディスプレイやELディスプレイ等であってもよい。