以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、コンバイン等に限定されるものではなく、各種農作業車両、具体的には、トラクタや田植機、運搬車、建設機械等の特殊作業用車両または乗用車等の各種作業車両全般に適応可能である。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図、図2は同じく右側面図、図3は同じく正面図、図4は動力伝達系のスケルトン図、図5は油圧回路図である。また、図6は運転室の概略斜視図、図7は操向丸ハンドルおよび液晶表示装置を示す拡大平面図である。また、図8は制御装置全体の機能ブロック図、図9はCANコントローラC1の機能ブロック図、図10はCANコントローラC2の機能ブロック図、図11はCANコントローラC3の機能ブロック図、図12はCANコントローラC4の機能ブロック図、図13はCANコントローラC5の機能ブロック図、図14はCANコントローラC6の機能ブロック図である。また、図15は各モードの遷移図、図16は通常モードの遷移図、図17は初期モードの画像情報を示す画面の図、図18は非作業モードの画像情報を示す画面の図、図19は作業モードの画像情報を示す画面の図、図20は作業系異常情報のうち扱胴詰り情報を示す画面の図、図21はエンジン系異常情報のうちエンジン油圧異常情報を示す画面の図、図22はエラー標識が表示された通常モードの画面の図、図23はエラー表示モードの画像情報を示す画面の図、図24は環境設定モードの画像情報を示す図である。また、図25は画面にメンテナンスモードにおける選択メニュー情報を示した状態の液晶表示装置の拡大平面図、図26はチェッカメニュー情報を示す画面の図、図27はエラー履歴情報を示す画面の図、図28は同じくエラー履歴情報を示す画面の図、図29は同じくエラー履歴情報を示す画面の図、図30はエラー履歴の消去確認を示す画面の図、図31は同じくチェッカメニュー情報を示す画面の図である。また、図32は出荷検査の確認を示す画面の図、図33はエラー履歴情報を示す画面の図、図34はパスワード入力の画面の図、図35は全エラー履歴情報を示す画面の図である。そして、図36は本発明の別実施例に係るトラクタの左側面図、図37は制御装置全体の機能ブロック図、図38はエラー履歴情報を示す画面の図である。
本実施例に係るコンバインの走行機体1は、左右一対の走行クローラ2・2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。図1に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には脱穀装置3が搭載されている。走行機体1の前部に配置した刈取前処理装置4は、走行機体1に対して、昇降フレーム14を介して昇降回動可能に支持されており、該昇降フレーム14と走行機体1との間に装着したアクチュエータとしての刈取部用油圧シリンダ9で昇降調節可能に構成されている。
刈取前処理装置4の下部にはバリカン式の刈刃装置5が配置されており、前部には六条分の穀稈引起装置6が配置されている(図3参照)。該穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフィードチェーン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置されており、穀稈引起装置6の下部前方には、走行機体の進行方向に向かって突出する分草体10が取り付けられている。そして、走行機体1の右側前部には運転室11が配置されており、該運転室11の後方には穀粒タンク12が配置されている。
図4に示すように、運転室11の後方下部に備わるエンジン15からの動力の一部は、オーガクラッチ16を介して、穀粒タンク12内の底スクリューコンベヤ17と排出オーガ28内の縦横スクリューコンベヤ18a・18bとに伝達される一方、エンジン15からの残りの動力は、動力分岐ミッション19を介して油圧ポンプ油圧モータ式走行駆動部24、脱穀装置3の扱胴13および処理胴20、唐箕21、一番受樋のスクリューコンベヤ22a、二番受樋のスクリューコンベヤ22bやフィードチェーン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベヤ23、搖動選別機構40、排わらカッタ27等を回転駆動させるようになっている。
刈取前処理装置4への動力は、走行速度と同期するときには、走行駆動部24からの出力軸26を介して伝達され、同期しないときには、動力分岐ミッション19からの分岐動力をワンウェイクラッチ25を介して伝達されるようになっている。
図1および図2に示すように、穀粒タンク12内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ28は、走行機体1の後端に配置した縦筒28aと、該縦筒28aの上端に上下回動可能に連設した横筒28bとからなり、縦筒28a内には縦スクリューコンベア18aが、横筒28b内には横スクリューコンベア18bがそれぞれ内装されている。
縦筒28aは、駆動モータ29とギア機構30とで縦軸回りに旋回可能に構成されており、横筒28bは、縦筒28aとの間に装架したオーガ用油圧シリンダ31とリンク機構32とで上下傾斜角度を変更可能に構成されている。
そして、駆動モータ29に設けたロータリエンコーダ等の旋回角センサ81により、縦筒28aの水平旋回角度、ひいては横筒28bの水平旋回位置を検出でき、オーガ用油圧シリンダ31またはリンク機構32の箇所に設けたポテンショメータ等の上下回動角センサ82により、横筒28bの上下傾斜角度、ひいては横筒28b先端の排出部の高さ位置を検出できるようになっている。
なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面に設けたレスト台33等に横筒28bの中途部が載置されるようになっている。該レスト台33には、横筒28bが載置されたか否かを検出する接触センサ等のレスト検出器34が取り付けられている。
左右各走行クローラ2は、トラックフレーム35の前後端に各々配置した駆動輪36および従動輪37と、トラックフレーム35の下面中途部に複数個配置した転動輪38との外周に巻回してなり、左右各トラックフレーム35と走行機体1とは、走行部用油圧シリンダ39a(39b)と、トラックフレーム35の前後位置に設けた側面視L字状の前後レバーを同時に作動させるように連結した連結杆(図示せず)等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結されている。
左右の走行部用油圧シリンダ39a・39bは、互いに独立的に作動させることにより、左右各走行クローラ2を、走行機体1の左右に対して独立的に昇降させ得るようになっている。
したがって、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2から上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両走行クローラ2・2に近付いて(下降し)、走行機体1の走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)は低くなる。
そして、左側の走行部用油圧シリンダ39aにおけるピストンロッドを突出させるか、または、右側の走行部用油圧シリンダ39bにおけるピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜する。
逆に、右側の走行部用油圧シリンダ39bにおけるピストンロッドを突出させるか、または、左側の走行部用油圧シリンダ39aにおけるピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は左下がりに傾斜するのである。
左右各走行部用油圧シリンダ39a・39bのピストンロッドの突出量を検出して、走行機体1の左右各走行クローラ2・2に対する相対的高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ等の車高センサ41a・41bは、前記連結杆に連設した連結ロッドやリンク機構(図示せず)を介して連動するように構成されている。走行機体1の左右の傾斜角度を検出するための振り子式(重力式)等の傾斜センサ43は、走行機体1の任意の位置、例えば運転室11内等に配置されている。
なお、図3に示すように、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出するための超音波センサ44a・44bは、発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けた状態で、刈取前処理装置4の左右両側における穀稈引起装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置されている。
超音波センサ44a・44bの設置高さと刈刃装置5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ44a・44bの検出値から所定の換算により刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを求めることができるようになっている。
また、昇降フレーム14の基端に取り付けた昇降ポジションセンサ45は、昇降フレーム14の回動角度を検出することにより、走行機体1と刈取前処理装置4との相対的高さを求めることができるようになっている。
図5に示すように、油圧シリンダ9・31・39a・39bのための油圧回路は、油圧ポンプ46からの圧油を分流する分流弁47を介して分岐しており、該分流弁47の一方の吐出路からは、オーガ用油圧シリンダ31と左側の走行部用油圧シリンダ39aとに対する第1油圧回路48ヘ圧油を送給し、他方の吐出路からは、刈取部用油圧シリンダ9と右側の走行部用油圧シリンダ39bとに対する第2油圧回路49へ圧油を送給するように構成されている。
両油圧回路48・49には、それぞれの油圧シリンダ9・31・39a・39bに対する電磁制御弁50・51・52・53や逆止弁、リリーフ弁等が接続され、それぞれコントローラにより制御されている。
次に、運転室11に備わる各種操作用のレバーやスイッチ類の構成を、図6および図7を参照して説明する。
運転座席56の前方のフロントコラムカバー体57から上向きに突出するハンドル軸(図示せず)には、走行機体1を操向操作する操向丸ハンドル58が取り付けられている。該操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aの左右対称位置には、内方側に膨出した左右の内膨らみ部55a・55bが形成されており、この左右の内膨らみ部55a・55bには、機体水平制御用や刈取昇降・扱深さ制御用などの4方向操作スイッチである左手操作スイッチ83および右手操作スイッチ84がそれぞれ設けられている。このような構成とすることで、オペレータはハンドルホイル58aを握った状態で直進および旋回操作いずれにおいても、該左手操作スイッチ83および右手操作スイッチ84を操作することが可能となっているのである。
フロントコラムカバー体57の上端部位には、液晶表示装置60が、平面視で操向丸ハンドル58における略半円形状のハンドルホイル58aの内径側に位置するように取り付けられている。
該液晶表示装置60は、フロントコラムカバー体57のみに固定され、操向丸ハンドル58には連結していないので、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60は動かないようになっている。また、液晶表示装置60の上面(画面)を操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aよりも下方に位置させているので、操向丸ハンドル58を回動させても、該操向丸ハンドル58が液晶表示装置60には接触しないようになっている。
また、前記操向丸ハンドル58近傍の左右両側方には、操作パネル69・69が配設されており、この操作パネル69・69には刈取自動昇降スイッチ131等の各種スイッチ類が配置されている。
運転座席56の左方には、前後に長いサイドコラム61が配置されており、このサイドコラム61には、車速を無段階変速させる主変速レバー65と、作業状態に応じて走行駆動部24の出力および回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー66とが左右に平行状に配置されており、これら各レバー65・66は前後回動可能に構成されている。
さらに、主変速レバー65の後方部位には、作業クラッチレバー68が前後回動可能に配置されている。作業クラッチレバー68は平面視逆L字状のガイド溝に沿って移動可能に構成されており、ガイド溝の後端左寄り位置に作業クラッチレバー68が位置するときには、刈取スイッチ134および脱穀スイッチ135が切り作動して、刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「切り」の状態となり、左右反対側となる後端右寄り位置では、脱穀スイッチ135のみが入り作動して、刈取クラッチ「切り」かつ脱穀クラッチ「入り」の状態となり、ガイド溝の前端である位置では、脱穀スイッチ135とともに刈取スイッチ134が入り作動して、刈取クラッチ「入り」かつ脱穀クラッチ「入り」の状態となるように構成されている。
主変速レバー65の握り部65aにおいては、その同一平面上に、刈取前処理装置4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ137や、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ138、刈取前処理装置4の昇降動を手動操作するための刈取昇降スイッチ139、副変速スイッチ136等の複数の各種スイッチ類が配置されている。
図6および図7に示すように、液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できるモノクロのドットマトリクス形の表示手段としての液晶パネル60bと、これを収納するケース60aとにより構成されている。なお、液晶パネル60bはカラー型であってもよい。
該ケース60aの表面のうち、液晶パネル60bの外周側には、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70と、画面表示の切替え等のための左右各2つのスイッチ71・72・73・74とが設けられている。これら各スイッチ71〜74は、スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチで、ノンロックタイプのものである。また、これら各スイッチ71〜74は本発明における入力手段に相当する。
ケース60a内であって液晶パネル60bの裏面側には、コンバインの各種モードのうち実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCANコントローラC6(詳細は後述する)が内装されている。
次に、走行機体1の車速、姿勢および車高、排出オーガ28の排出位置等コンバインの操作全般を制御するとともに、実行中のモード(コンバインの動作の状態)に対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するための制御手段の構成について説明する。
図8に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置75は、複数(本実施例では6つ)のCANコントローラC1・C2・C3・C4・C5・C6と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス76とで構成されている。CANコントローラC1〜C6には、制御データの反射を抑制する終端抵抗としての抵抗器(図示せず)が内蔵されている。
CANコントローラC1〜C6は、所定の動作や配設位置等を考慮してグループ化して、それぞれのグループ毎に並行制御するとともに、相互のコントローラ間では通信回線を用いて情報を交換し、或いは共有して、制御できるようにしているものであり、一つのCANコントローラにおいては、各種演算処理や制御を実行するCPU77、後述する各制御プログラムを記憶させ、電源を「切」としても記憶した情報が失われない不揮発性メモリとしてのEEPROM78、各種データ等を一時的に記憶させるRAM79、タイマ機能としてのクロック、各種入力系機器および出力系機器に接続してデータを伝送する入出力インターフェイス(図示せず)等を備えて構成される。
該CANコントローラC1〜C6のEEPROM78の各々には、それぞれに対応するアプリケーション制御プログラム(ソフト)S1・S2・S3・S4・S5・S6を予め記憶(格納)させている(図8参照)。
アプリケーション制御プログラムS1は、刈取前処理装置4の各種アクチュエータ(例えば刈取部用油圧シリンダ9等)を作動させる制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS2は、脱穀装置3および選別装置の各種各種アクチュエータを作動させる制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS3は、走行機体1の左右の走行部用油圧シリンダ39a、39bを作動させて、走行機体1の姿勢および車高制御を実行するための制御プログラムとする。
アプリケーション制御プログラムS4は、エンジン15の出力を制御するための制御プログラムとし、アプリケーション制御プログラムS5は、排出オーガ28における駆動モータ29およびオーガ用油圧シリンダ31の作動を制御するための制御プログラムとする。
そして、アプリケーション制御プログラムS6は、各コントローラC1〜C6に接続された全ての入出力系機器の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する制御を司る制御プログラムとする。
また、前記EEPROM78には、CAN通信に必要な通信制御プログラムと、入出力系機器間で制御データ(情報)を伝送するための入出力用制御プログラムとについても予め格納しており、アプリケーション制御プログラムに対して入出力用制御プログラムがベースとなるように階層化している。
CANコントローラC1の入力インターフェイスには、入力系機器として、昇降ポジションセンサ45、刈取前処理装置4において刈取穀稈を搬送しているか否かを検出する穀稈搬送センサ96、搬送中の刈取穀稈の長さを検出する穀稈長さセンサ97、扱深さセンサ98、扱深さ自動制御スイッチ130、刈取自動昇降スイッチ131、刈取前処理装置4が所定の刈高さまで下降すると自動的に前記刈取前処理装置4へ動力伝達するための刈取オートクラッチスイッチ132、刈取スイッチ134、刈取昇降レバー139、扱深さ調節レバー140等がそれぞれ接続されている(図9参照)。
CANコントローラC1の出力インターフェイスには、出力系機器として、刈取部用油圧シリンダ9に対する電磁制御弁50の電磁ソレノイド50a、扱深さ制御モータにおけるリレーユニット等の制御回路部103、扱深さ制御を自動操作に切り替えたときに点灯する扱深さ自動制御スイッチランプ144等がそれぞれ接続されている(図9参照)。
前記CANコントローラC2の入力インターフェイスには、入力系機器として、2番受樋スクリューコンベア回転センサ101、排藁カッタ詰まりセンサ109、選別装置の流穀板における籾流量センサ107、選別装置各部での籾の有無を検出する籾センサ108、搖動選別過負荷センサ113、扱胴回転センサ114、処理胴回転センサ115、刈取クラッチモータリミットスイッチ126、脱穀スイッチ135、選別装置における穀粒の選別状態を調節するための選別調節ダイヤル136等が接続されている(図10参照)。
CANコントローラC2の出力インターフェイスには、出力系機器として、脱穀クラッチを駆動させるための電磁ソレノイド105、搖動選別駆動モータ116等が接続されている(図10参照)。
前記CANコントローラC3の入力インターフェイスには、入力系機器として、傾斜センサ43、車高センサ41a、41b、超音波センサ44a、44b、車高調節スイッチ62、車高制御切替スイッチ63、傾斜設定器64等が接続されている(図11参照)。
CANコントローラC3の出力インターフェイスには、出力系機器として、走行機体1の左側の走行部用油圧シリンダ39aに対する電磁制御弁52の電磁ソレノイド52a、走行機体1の右側の走行部用油圧シリンダ39bに対する電磁制御弁53の電磁ソレノイド53a、車高制御を自動操作に切り替えたときに点灯する車高制御切替スイッチランプ143等が接続されている(図11参照)。
前記CANコントローラC4の入力インターフェイスには、入力系機器として、アクセルレバー59の操作位置を検出するアクセルレバーセンサ59a、副変速スイッチ66、車速センサ100、操向丸ハンドルリミットスイッチ102、燃料センサ106、エンジン回転数センサ119、エンジンオイル量センサ120、エンジン水温センサ121、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ122、エンジンスタータスイッチ123、走行機体1を後退動させるための後退スイッチ141、電源スイッチ142等がそれぞれ接続されている(図12参照)。
CANコントローラC4の出力インターフェイスには、出力系機器として、FCクラッチ駆動回路部117、エンジン15の回転数が所定の回転数となるように燃料噴射ポンプのラック位置を調節するための燃料噴射ポンプラックアクチュエータ127、エンジンスタータリレー128、警報ブザー129等が各々接続されている(図12参照)。
前記CANコントローラC5の入力インターフェイスには、入力系機器として、旋回角センサ81、上下回動角センサ82、オーガクラッチモータスイッチ99、横筒28bの先端部に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ先端操作部110、オーガクラッチセンサ111、排出オーガ過負荷センサ112、排出オーガ28の水平旋回位置を予め記憶させるためのオーガセット位置ダイヤル124、運転室11に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125、オートリフトスイッチ137、オートセットスイッチ138等がそれぞれ接続されている(図13参照)。
CANコントローラC5の出力インターフェイスには、出力系機器として、排出オーガ28の縦筒28aを水平旋回させるための駆動モータ29、オーガ用油圧シリンダ31に対する電磁制御弁51の電磁ソレノイド51a、オーガクラッチモータにおけるリレーユニット等の制御回路部104、排出オーガブレーキ118等が接続されている(図13参照)。
前記ケース60a内に内装された前記CANコントローラC6の入力インターフェイスには、液晶パネル60bの画面上のカーソルを画面上方向に移動させるための設定スイッチ71、画面下方向に移動させるための表示切替スイッチ72、液晶パネル60bの画面表示を切り替える操作等をするためのブザー停止スイッチ73および設定スイッチ74等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
そして、CANコントローラC6の出力インターフェイスには、表示手段としての液晶パネル60b、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70等がそれぞれ接続されている(図14参照)。
なお、本実施例においては、該CANコントローラC6におけるEEPROM78が、前記各入出力系機器のエラー履歴を記憶する記憶部とされ、さらに、該CANコントローラC6が、起動開始時等からの積算時間をカウントする測定手段とされ、前記エラー発生時の時間が該EEPROM78に記録するように制御されるものである。詳細は後述する。
このように、前記CANコントローラC1〜C5は、刈取・脱穀・選別・水平制御・エンジン・走行・オーガ・液晶パネルのそれぞれの出入力系機器が組み合わされて接続されている。そのため、後述するように、CANコントローラC1〜C5に記憶されるエラー履歴を、別々に、もしくは、一括して、容易に消去することができるのである。そして、本実施例に係るコンバインにおいて、該CANコントローラC1〜C5の配置は、特に限定されるものではなく、それぞれの配置箇所でコントローラボックス(図示せず)内に格納されている。なお、目安として、入出力系機器のハーネスの長さがなるべく短くなるように組み合わせてそれらを制御するようにしてもよい。また、トラクタにおいては、制御対象としては、エンジン、走行、耕深、水平制御、ドラフト制御等となる。
次に、CANコントローラC6によるモードの切替え制御の態様について説明する。
図15に示すように、コンバインのモード(動作の状態)は、初期モードM1、路上走行や各種作業をする通常モードM2、コンバイン各部の異常状態を報知する警報表示モードM3、検出エラー等の各種エラーの内容を報知するエラー表示モードM5および自動走行制御等の設定を行うための環境設定モードM4の5つに大別される。
そして、通常モードM2には、路上走行等をする非作業モードM2aと刈取・脱穀作業をする作業モードM2bとがあり、メンテナンスモードM6も設定されている(図16参照)。
まず、電源スイッチ142を入り操作すると、初期モードM1が起動して、液晶パネル60bの画面に図17に示す初期画像情報が表示される。
次いで、前記CANコントローラC6のEEPROM78に予め設定された時間(本実施例では10秒)が経過するか、あるいは、エンジン15の回転数が予め設定された回転数(本実施例では240rpm)以上になると、自動的に通常モードM2のうち非作業モードM2aに移行して(図16参照)、液晶パネル60bの画面の表示が、前記初期画像情報からエンジン回転数や燃料の残量等の画像情報(非作業モードM2aに対応した画像データ)に遷移する(図18参照)。
この場合、液晶パネル60bの画面には、非作業モードM2aの画像情報として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計85、エンジン回転数を示す略L字状の回転数グラフ86、穀粒タンク12内のもみの量を知らせるタンクモニタ87、燃料の残量を知らせる燃料計88、副変速スイッチ66の設定状態を知らせる副変速モニタ89、刈取前処理装置4の速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ90、およびエンジン15の稼動時間を積算した値等を知らせる積算値モニタ91とが表示される。
初期モードM1の実行中に、脱穀装置3への動力伝達のための脱穀クラッチが入り状態、すなわち、脱穀スイッチ135が入り作動している場合は、警報表示モードM3に移行して、警報ブザー129を作動させるとともに、液晶パネル60bの画面に、扱胴詰まりの画像情報が切替え表示される(図20(a)参照)。これは、脱穀スイッチ135が入り状態のままで始動することを防止するためである。
図20(a)(b)に示す両画像情報は、液晶パネル60bの画面上下方向に自動的にスクロールして表示される。この場合、脱穀スイッチ135が切り作動させると、警報ブザー129は作動停止するとともに非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面が図18に示す画面に遷移する。
図16に示すように、通常モードM2のうち非作業モードM2aの実行中に脱穀スイッチ135を入り作動させると、作業モードM2bに移行して、図18の画像情報を示す画面の表示がエンジン負荷や燃料の残量等の画像情報(作業モードM2bに対応した画像データ)に遷移する(図19参照)。逆に、脱穀スイッチ135を切り作動させると、非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面に、非作業モードM2aの画像情報が切替え表示される。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えば、各出力系外部機器において許容される制御範囲から外れた異常制御データを、CANコントローラC6が受信した場合、または、前記異常制御データをCANコントローラC6が受信しているときにブザー停止スイッチ73を押下した場合は、警報表示モードM3に移行して、図18に示す画面が、前記異常制御データの発信元である各出力系外部機器の異常状態、例えば扱胴詰まりや油圧異常等を報知する画像情報を示す画面(図20(a)(b)および図21(a)(b)参照)に遷移する。なお、各種異常データが発生した場合には、液晶表示装置60のケース60aに設けた作業ランプ70(図7参照)が点灯するようになっている。
異常制御データが複数発生している場合は、所定時間ずつ順送りで、各異常制御データに対応する出力系外部機器の異常状態についての画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する。
なお、図20(a)(b)に示す両画像情報のみならず、図21(a)(b)に示す両画像情報も、液晶パネル60bの画面上下方向に、自動的にスクロールして表示される。
そして、各出力系外部機器の異常状態を解除するか、または、油圧異常等のエンジン関係に異常が発生しているときにブザー停止スイッチ73を一回押下すると、警報表示モードM3から通常モードM2に移行して、図20(a)(b)または図21(a)(b)に示す画面が、図18に示す画面に遷移するのである。
図15に示すように、通常モードM2(非作業モードM2aまたは作業モードM2b)の実行中に、例えばセンサや設定器等の検出エラーや各種アクチュエータの作動エラー等の各種エラーが発生した場合には、液晶パネル60bの画面における副変速モニタ89の右側部位に、「エラー」の文字標識92が点滅表示される(図22参照)。該エラー標識92の点滅により、オペレータは、何らかのエラーが生じたことを、通常モードM2の画像情報を示した画面上で迅速に視認できる。
この状態で、ブザー停止スイッチ73を適宜時間(本実施例では5秒)以上押下すると、エラー表示モードM5に移行して、液晶パネル60bの画面の表示がこのとき発生したエラーの内容を示す画像情報に遷移する(図23(a)〜(d)参照)。
それから、もう一度ブザー停止スイッチ73を一回押下するか、または、前記エラーが解消されると、エラー表示モードM5から通常モードM2に戻って、液晶パネル60bの画面に、通常モードM2の画像情報が切替え表示される。
通常モードM2の実行中に設定スイッチ74を一回押下した場合は、環境設定モードM4に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、通常モードM2の画像情報から環境設定モードM4の画像情報に遷移する(図24参照)。もう一度、設定スイッチ74を押下すると、通常モードM2に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が、環境設定モードM4の画像情報から通常モードM2の画像情報に戻る。本実施例では、環境設定モードM4を実行する頻度が少ないので、ブザー停止スイッチ73とは別に設定スイッチ74を設けて、不用意に環境設定モードM4を作動させることがないようになっている。
次に、図16のモード間遷移図と図25〜図36の画面図とを参照して、メンテナンスモードM6の制御態様について説明する。
図15および図16に示すように、非作業モードM2aの実行中に、ケース60aに設けた表示切替スイッチ72とブザー停止スイッチ73とを同時に適宜時間(本実施例では5秒)以上入り作動させる、または、電源スイッチ142を入り操作した時点から、表示切替スイッチ72を適宜時間(本実施例では3秒)以上入り作動させると、警報ブザー129の鳴動に伴ってメンテナンスモードM6に移行し、液晶パネル60bの画面に、メンテナンスモードM6における選択メニューの画像情報(以下、選択メニュー情報という)が切替え表示される(図25参照)。警報ブザー129は前記画面が切り替わった時点で鳴動が停止する。
該メンテナンスモードM6では、各機器の制御範囲を設定変更できるため、前述した複雑な手順を踏まないとメンテナンスモードM6へ移行しないようにして、いたずらや誤操作により設定変更されることを防止している。また、メンテナンスモードM6では、一旦電源スイッチ142を切り作動させない限り、他のモードM1〜M5への移行ができないように設定されている。
該メンテナンスモードM6としては、各種センサやCANコントローラC1〜C5を交換した際に刈高さ位置等の各種設定を行う初期設定モード、入出力系機器の故障の有無を診断する故障診断モードとしてのチェッカモード、過去のメンテナンス情報を消去したり、各CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の記憶内容を書き替えたりするサービスマンモードの三つの態様がある。
選択メニュー情報を示した図25の画面には、「初期設定モード」、「チェッカモード」、および「サービスマンモード」の文字情報161〜163と、選択する文字情報を指し示すカーソル160とが表示されている。
また、この画面の四隅部位には、入力手段としての各スイッチ71、72、73、74の機能を示す操作指示標識165、166、167、168とが表示されるようになっている。
該各操作指示標識165〜168は、表示位置と対応した各スイッチ71〜74を押下した際の作動内容を、文字や図形等で簡略化して表したものである。例えば図25の画面で説明すると、画面左上隅部の操作指示標識165(上向き矢印)に対応した設定スイッチ71を押下すると、カーソル160が画面の上方向に移動し、左下隅部の操作指示標識166(下向き矢印)に対応した表示切替スイッチ72を押下すると、カーソル160が画面の下方向に移動するのである。なお、この場合は、設定スイッチ74を押下しても何も作動しないので、設定スイッチ74に対する操作指示標識168は表示されていない。そして、各文字情報161〜163は、カーソル160で指し示した状態では反転表示される。
ここで、本実施例におけるエラー履歴表示に関する作業車の制御装置について、以下に詳述する。まず、エラー履歴の記憶手段について、以下に説明する。
前記CANコントローラC1〜C5は、前述のように、「刈取」・「脱穀・選別」・「水平制御」・「エンジン・走行」・「オーガ」のそれぞれの出入力系機器を組み合わせて接続されている。該各CANコントローラC1〜C5において、接続される各機器に故障等が発生した場合には、かかるエラー情報がEEPROM78にそれぞれ記憶される。この種のエラー履歴は、CANコントローラの電源が切られても消去されないように、記憶部としてEEPROM78等の電気的に消去および書き込み可能な不揮発性メモリに記憶されるようにしている。
そして、本実施例に係る制御機構においては、故障等の発生と同時に、前記CANコントローラC6の測定手段によって、故障等の発生時における積算時間が各EEPROM78に記憶されるように制御される。
本実施例における「エラー履歴」とは、各入出力系機器の故障等を示すエラー内容と、かかるエラー発生時の積算時間とを含めたものをいう。また、本実施例における前記「積算時間」とは、制御プログラム起動時、または、直近のエラー履歴の消去時から、エラー発生時までの通算時間をいう。かかる積算時間は、前記CANコントローラC6において測定(演算・カウント)するだけでなく、各CANコントローラC1〜C5において、それぞれ別個にもしくは同時に測定し、各EEPROM78にそれぞれ記憶するようにしてもよい。また、積算時間の代わり、または同時に日付と時刻を表示するように構成することもできる。
次に、エラー履歴の表示手段に関する制御機構について、以下に説明する。
図25に示した選択メニュー情報を示す画面において、「チェッカモード」の文字情報162を反転表示させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識167(「決定」の文字)に対応したブザー停止スイッチ73を押下すると、チェッカモードを選択(決定)したことになり、選択メニュー情報を示した画面の表示がチェッカメニューの画像情報(以下、チェッカメニュー情報という)に遷移する(図26(a)〜(c)参照)。
チェッカメニュー情報は、主に扱深さ制御や車高水平制御等の制御方式に応じて十二項目に分類されており、図26(a)〜(c)に示すように、これら項目群は、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数等に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示されるようになっている(本実施例では三つに分けている)。
前記画面(図26参照)における複数のチェッカメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューでのスイッチ操作と同様に、表示切替スイッチ72を押下して、カーソル160を画面の下方向に移動させ、該カーソル160で指し示した「次(または1/3)の画面へ」の文字情報169を反転表示させた状態で、ブザー停止スイッチ73を押下することにより実行される。
前記各項目は、扱深さ制御や車高水平制御等の制御方式に応じてグループ化した入出力系機器に対する見出し(インデックス)であって、オペレータ等の点検者が、診断対象の機器の文字表示を探し出すための手がかりとなっている。
図26(c)に示すように、「エラー履歴表示」の文字情報170を反転表示させた状態で、ブザー停止スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面に、エラー履歴の画像情報(以下、エラー履歴情報という)が切替え表示され、「履歴モード」となる(図27参照)。
エラー履歴情報としては、まず、前記CANコントローラC1〜C5に対応して接続される各入出力系機器を総括した見出し(インデックス)として、文字情報171〜176が表示され、選択画面となってそのエラーが属する作業または位置を選択するようになっている。すなわち、「刈取」(171)、「脱穀・選別」(172)、「水平制御」(173)、「エンジン・走行」(174)、「オーガ」(175)、および、すべてのエラー履歴を一括して表示可能な「一括」(176)とがある。
かかる状態で、例えば、図27に示すように、「オーガ」の文字情報175を反転表示させた状態でブザー停止スイッチ73を押下すると、表示させるエラー履歴として、オーガ部位にかかるエラー履歴を選択したことになり、該オーガ部位におけるエラー履歴の一覧として各文字情報177〜187(選択画面)が表示される(図28(a)〜(c)参照)。すなわち、入力系機器として「旋回角センサ」(177)、「上下回動角センサ」(178)、「オーガクラッチモータスイッチ」(179)、「排出オーガ先端操作部」(180)、「オーガクラッチセンサ」(181)、「排出オーガ過負荷センサ」(182)、「オーガセット位置ダイヤル」(183)、「排出オーガ操作部」(184)、「オートリフトスイッチ」(185)、「オートセットスイッチ」(186)、および、出力系機器として、「駆動モータ」(187)等とがある。
該文字情報群171〜187の一覧は、前述したチェッカメニュー情報の場合と同様に、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数等に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示されるようになっている(本実施例では三つに分けている)。また、前記画面における複数のメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューやチェッカメニューでのスイッチ操作と同様に実行される。
本実施例に係る制御手段においては、オーガ部位のエラー履歴として、オーガ部位に関する前記文字情報177〜187すべてを表示するものではなく、エラーが発生したものを、上述のようにCANコントローラC1〜C5(例えば、「オーガ」に関してはCANコントローラC5)に順次記憶し、かかる記憶順に表示させるように制御される。そのため、オペレータ等において、液晶パネル60bに表示されるエラー履歴を、一見して容易に把握することができるのである。
次いで、図28(b)に示すように、「オーガセット位置ダイヤル」の文字情報183を反転表示させた状態でブザー停止スイッチ73を押下すると、入力系機器の一つであるオーガセット位置ダイヤル124を決定したことになり、液晶パネル60bの画面に、オーガセット位置ダイヤル124のエラー発生時における積算時間を示した画面に切替え表示される(図29参照)。この場合、液晶パネル60bの画面には、診断対象の機器名を示す文字情報191(図29では「オーガセット位置ダイヤル」)および積算時間を示す文字情報192(図29では「120時間」)が表示される。
また、前記画面(図29参照)には、操作指示標識165〜168のうちブザー停止スイッチ73に対する操作指示標識167だけが表示されており、ブザー停止スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面の表示がオーガ部におけるエラー履歴情報を示す画面に切替表示される(図28参照)。
以上のように制御すると、サービスマン等がかかるエラー履歴を見れば、容易に発生した故障内容と発生時間を確認することができる。そして、従来のように、故障内容やエラー履歴の一覧表示のみでは把握できなかった故障箇所を、容易に特定できる。すなわち、例えば、オペレータ等が、異常を感じた時間を覚えていれば、各CANコントローラC1〜C5に、多くのエラー履歴が残存していたとしても、上述のように積算時間から逆算することで、異常発生時間における故障箇所の判断を容易にすることができるのである。
また、前記液晶パネル60bの画面には、前記CANコントローラC1〜C5に対応して接続される各入出力系機器を総括した見出し(インデックス)として、文字情報171〜176が表示されるため、サービスマン等が、故障箇所の大まかな見当をした上で、エラー履歴を確認することができ、かかる故障箇所を容易に判断することができるようになっている。
さらに、エラー履歴情報を示す画面が表示されている状態で(図27参照)、「一括」の文字情報176を反転表示させて、ブザー停止スイッチ73を押下すると、すべてのエラー履歴を一度に切替表示させることができる。このようにエラー履歴を表示させることで、サービスマン等において、故障箇所の見当がつかない場合においても、全エラー履歴の積算時間を確認しながら、異常発生時の故障箇所を特定することができる。また、複数の部品や機器等がエラーに関わっている場合にもエラー発生時間が一致するので、修理にかかる手間や時間等を短縮することができる。
次に、エラー履歴の消去手段に関する制御機構について、以下に説明する。
エラー履歴の消去および復活は特定の操作を行うことにより可能としている。エラーとなる原因を解消した後、すなわち修理の後に、表示装置を「履歴モード」として、上述のように、前記液晶パネル60bにエラー履歴情報を示す画面が表示される状態において文字情報171〜176の何れか、本実施例では(図27参照)、「一括」の文字情報176を反転表示させた状態で、ブザー停止スイッチ73を所定時間以上押下すると、図30(a)に示すように、エラー履歴を一括消去するか否かの確認表示を示す画面に切替表示される。該確認表示を表示させることで、本実施例に係る消去手段によって直ちに一括消去せずに、サービスマン等に判断を促して再確認してから消去手段が実行されるため、誤作動によってエラー履歴が全消去されるのを防ぐことができる。
図30(a)の画像情報においては、全エラー履歴が一括して消去される旨の文字情報193が液晶パネル60bの略中央に表示され、下方両左右に、それぞれ「はい」(194)および「いいえ」(195)の文字情報が表示される。また、操作指示標識165〜168は、表示位置と対応した各スイッチ71〜74を押下した際の作動内容を、文字や図形等で簡略化して表したものであり、画面左上隅部の操作指示標識165(右向き矢印)に対応した設定スイッチ71を押下すると、カーソル160が画面の右方向に移動し、左下隅部の操作指示標識166(左向き矢印)に対応したカーソル移動スイッチ72を押下すると、カーソル160が画面の左方向に移動する。文字情報194および195は、カーソル160で指し示した状態では反転表示される。
そして、文字情報194、すなわち「はい」をカーソル160で指し示した状態で、ブザー停止スイッチ73を押下すると、前記CANコントローラC1〜C5のEEPROM78に記憶されたエラー履歴がすべて消去される。
ただし、後に同じ箇所にエラーが生じる可能性があるため、完全に消去すると過去の履歴がわからなくなるので、かかる復活を可能としている。また、前記消去の操作で、その時点までのエラー履歴を表示させないようにしておくだけで、記憶部からなくすものではなく、一旦消去されたエラー履歴は通常の操作では表示することはできないが、特定の操作をすることで復活できるようにしている。
このように制御することで、一回の操作で、CANコントローラC1〜C5のエラー履歴をすべて消去することができるため、消去し忘れることが少なくなる。また、全消去以後の故障に留意すればよいため、オペレータやサービスマン等にとって異常個所の確認が容易となる。
なお、該文字情報195、すなわち「いいえ」をカーソル160で指し示した状態でブザー停止スイッチ73を押下した場合、および、画面右上隅部の操作指示標識167に対応した設定スイッチ74を押下した場合には、液晶パネル60bは、前記エラー履歴情報を示す画面に切替表示される(図27参照)。
また、本実施例に係る制御機構においては、上述のように、CANコントローラC1〜C5のエラー履歴をすべて一括に消去するように制御するだけでなく、エラー履歴の消去方法を選択させる選択手段を具備して、消去するエラー履歴が記憶されるCANコントローラC1〜C5をサービスマン等において自在に指定することができるようにしている。
すなわち、前記液晶パネル60bに、エラー履歴情報を示す画面が表示される状態において(図27参照)、設定スイッチ71およびカーソル移動スイッチ72を押下して、カーソル160を、消去するCANコントローラC1〜C5に対応して接続される各入出力系機器を総括した見出しとしての文字情報171〜175のいずれかを指し示すように移動させる。ここで、サービスマン等は、消去するエラー履歴を自由に選択できるのである。そして、上述の一括消去と同様のスイッチ操作によって、すなわち、ブザー停止スイッチ73を一定時間押下すると、図30(b)に示すように、かかるエラー履歴を括消去するか否かの確認表示を示す画面に切替表示される(本実施例においては、「オーガ」を選択)。
図30(b)の画像情報においては、「オーガ」のエラー履歴が一括して消去される旨の文字情報196が液晶パネル60bの略中央に表示され、下方両左右に、それぞれ「はい」(194)および「いいえ」(195)の文字情報が表示される。そして、エラー履歴の消去手段が、前述のスイッチ操作と同様に実行される。
このように制御することで、従来のように、CANコントローラC1〜C5にコンピュータ等を接続してエラー履歴を消去する煩わしさがなく、特に、上記選択手段を具備することで、消去の必要なCANコントローラC1〜C5のエラー履歴のみを消去することができる。すなわち、故障等が頻繁に起こるCANコントローラを中心に、かかるエラー履歴を消去することができ、他のCANコントローラのエラー履歴は、消去せずに残しておくことができる。サービスマン等は、消去されなかったエラー履歴を、今後の故障予測や故障個所の特定の判断材料として活用することができる。
また、前記CANコントローラC1〜C5は、「刈取」・「脱穀・選別」・「水平制御」・「エンジン・走行」・「オーガ」のそれぞれの出入力系機器が組み合わされて接続されたものである。したがって、CANコントローラC1〜C5のエラー履歴を消去することは、すなわち、各出入力系機器のエラー履歴を消去することであるため、本実施例に係る選択手段により、エラー履歴情報を集約して管理することができるとともに、かかる消去手段を実行する制御機構を容易に構築することができる。
なお、本実施例におけるのエラー履歴の記憶手段は、CANコントローラC1〜C5のEEPROM78に記憶させるだけでなく、例えば、該各CANコントローラC1〜C5が相互にCAN通信バス76によって接続されていることから、各出入力系機器のエラー履歴を、相互のEEPROM78に記憶するようにしてもよい。
そうすると、上述の消去手段によって、一つのCANコントローラのEEPROM78からエラー履歴が消去された場合であっても、他のCANコントローラのEEPROM78に記憶された、消去されたEEPROM78に関するエラー履歴を、再度該EEPROM78に記憶するように制御するが可能となる。
このように制御することで、サービスマン等の操作ミスにより、必要なエラー履歴をEEPROM78から誤って消去してしまった場合でも、簡易かつ迅速に、消去前の状態にEEPROM78を復帰させることができる。
次に、エラー履歴の表示手段に関する第二実施例について、以下に説明する。
本実施例おいて、エラー履歴は、前記CANコントローラC1〜C5に接続されるEEPROM78に記憶される。かかるエラー履歴は、故障箇所等を断定する際に有用な判断材料となるものであるが、該コンバイン等の作業車両の組み立て工程において、発生するエラーも全てエラー履歴として記憶されてしまう。そのため、エラー履歴を一覧表示させた場合に、不要な(納品以前にのみ生じるようなエラー)エラー情報も同時に表示されていた。
本実施例における制御機構は、前記液晶パネル60bに表示する際には、一定のエラー履歴は通常では表示しないように制御するものである。なお、第二実施例において構成および作用が第一実施例と変わらないものは、第一実施例のものと同じ符号を付して、その説明を省略する。
前記液晶パネル60bは、前記「チェッカモード」において、オペレータ等による入力操作により、各出入力系機器のエラー履歴情報が表示されるように制御されている(図26等参照)。本実施例においては、作業車両各部で所定時間内(所定時間以前)に発生したエラー履歴を工程毎に選別し、工程毎にエラー履歴を表示手段に表示可能としており、かかる時間内のエラー履歴の一部を該液晶パネル60bに表示し、もしくは、全て表示しないように制御される。
ここで、前記「所定時間」とは、主に、本実施例に係る作業車両等が製造工場内での組み立て工程を経て出荷時または納品時の時間をいう。かかる組み立て工程においては、作業車両の本質的な故障、つまり、センサやアクチュエータの不良、位置関係等に基づいて発生するエラーと同時に、例えば、組み立て途中におけるセンサ未接続状態や取付位置のミス、調整不良等で発生するエラー等が混在している。そのため、「所定時間」におけるエラー履歴を選別することで、組み立て途中におけるセンサ未接続状態等で発生するエラー等の履歴を、液晶パネル60bに表示させないように制御するのである。
本実施例においては、前記CANコントローラC6に、経過時間もしくは積算時間の測定手段としてのアワーメータ等が具備されている。該アワーメータ等は、CANコントローラC6のEEPROM78に接続されており、該アワーメータにより記憶された時間が所定時間以内であれば、該EEPROM78に組み込まれたアプリケーション制御プログラムS6によって、かかる時間内に発生したエラーが選別される。なお、後述するように、出荷検査の終了時を「所定時間」の経過時としてもよい。
エラー履歴の選別例として、例えば、時間範囲や、組み立て工程で頻出するエラー等を予めEEPROM78に読み込ませておき、該当する入出力系機器に関するエラー履歴を、エラー履歴情報として液晶パネル60bに表示されないように制御する。
以上のように制御することで、組み立て工程等におけるエラーに基づくエラー履歴を表示することがなく、故障箇所の特定等の際に不要な判断材料がなくなる。また、従来のエラー履歴の表示手段と比べて、作業車両の操業に起因した故障等に基づくエラー履歴を表示することなり、エラー情報の正確性を担保し、同時に、ユーザーに不要な不信感を与えることがない。
なお、前記アワーメータの代わりに、前記CANコントローラC6におけるタイマや、EEPROM78自体を、組み立て開始時等からの積算時間の測定手段として用いてもよい。EEPROM78を用いる場合は、上述のように、該EEPROM78がエラー履歴表示に関する積算時間の測定手段をも兼用することになり効果的である。
また、作業車両の出荷時間を判断し、かかる出荷時間を基準にしたエラー履歴の表示手段に関する制御機構について、以下に説明する。
出荷工程を経た作業車両においては、出荷時間後のエラー履歴を追跡すれば、故障箇所等の特定を容易に行うことができる場合が多い。そこで、本実施例においては、出荷検査の終了を確認する確認手段を具備させて、エラー履歴の表示を制御するものである。かかる確認手段は、以下のように実行される。
図31に示すように、チェッカメニュー情報を示す画面において、「出荷検査終了」の文字情報198が表示される。そして、該文字情報198を反転表示させた状態で、ブザー停止スイッチ73を押下すると、「出荷検査終了」を選択したことになり、チェッカメニュー情報を示す画面の表示が確認表示を示す画面に遷移する(図32参照)。
図32に示すように、確認表示を示す画面においては、出荷検査が終了したことを確認する旨の文字情報199が液晶パネル60bの略中央に表示され、下方両左右に、それぞれ「はい」(194)および「いいえ」(195)の文字情報が表示される。そして、「はい」の文字情報(194)を反転表示させた状態で、前記ブザー停止スイッチ73が押下されると、該確認手段が実行されたことになる。
出荷検査終了を確認する確認手段が実効された場合には、該前記CANコントローラのEEPROM78に該終了時が記憶され、以後、かかる記憶時を基準として、エラー履歴の表示が制御される。つまり、エラー履歴情報を示す画面において(図28参照)、該記憶時以後に発生したエラーのみの履歴が表示されるのである。
すなわち、出荷検査時においては、組み立て工程を経て最終の動作確認が行われるものであり、出荷検査を終了するということは、作業車両等に故障がなかったということである。そうすると、出荷検査後のエラー履歴を表示させるように制御することで、故障等に直接関係するエラーだけを検索することができ、オペレータ等にとって、故障箇所の特定等が容易となる。
次に、パスワードによる入力手段を具備した、エラー履歴の表示手段に関する制御機構について、以下に説明する。
上述のように、本実施例におけるエラー履歴の表示手段においては、所定期間のエラー履歴を表示しないように制御するものであるが、一方で、サービスマン等において、例えば、根本的な故障等をより詳細に判断する場合に、組み立て工程等におけるエラー履歴を参考にする場合も考えられる。そこで、本実施例においては、さらに、組み立て工程等におけるすべてのエラー履歴を表示するための特定の操作、例えば、手動による入力手段を具備して、かかる入力操作がなされた場合においてのみ、すべてのエラー履歴を表示させるように制御するものである。
まず、すべてのエラー履歴を表示するための入力手段について、以下に説明する。
上記入力手段としては、オペレータ等による液晶表示装置60のパスワード入力操作によって実行するものである。具体的には、図33(a)(b)に示すように、エラー履歴情報を示す画面に、「全履歴表示」を表す文字情報200を表示するようにし、該文字情報200を反転表示させた状態で、ブザー停止スイッチ73を押下すると、「全履歴表示」を選択したことになり、エラー履歴情報を示す画面の表示が、図34に示す、パスワード入力を確認する画面に遷移する。
図34において、液晶パネル60bの略中央にオペレータにパスワードの入力を促す文字情報201が表示され、該文字情報201の下方に、パスワードの入力に必要な「1〜5」の数字を表した文字情報202が表示されている。そして、該文字情報202の下方に、入力されたパスワードを「*」で表した文字情報203が表示されている。本実施例におけるパスワードは、「1〜5」の数字を5桁組み合わせたものである。
オペレータ等において、設定スイッチ71を押下すると、文字情報202における反転した文字が右方向に移動し、カーソル移動スイッチ72を押下すると、文字情報202における反転した文字が画面の左方向に移動する。そして、該文字情報202が選択された状態では、反転表示される。
まず、該設定スイッチ71および表示切替スイッチ72を適宜押下して、文字情報202における所望の数字が反転表示されるように操作して選択する。そして、ブザー停止スイッチ73を押下して、かかる数字を決定する。該ブザー停止スイッチ73が押下されると同時に、文字情報203において、左端の「*」が一つ表示される。
次いで、順次所望の数字を選択・決定し、5桁のパスワード、すなわち、該文字情報203において、「*」が5つ表示されるようにする。なお、かかる入力操作の途中で、文字情報202において誤った数字を選択・決定した場合には、画面右下隅部の操作指示標識168に対応した設定スイッチ74を押下すると、文字情報203において、「*」の表示が右端から一つずつ消滅し、一つ前の入力操作の状態に復帰される。
このように、パスワードとして5桁の数字が誤り無く入力され、文字情報203において、5つの「*」が表示されると、パスワード入力を確認する画面から、図35に示すように、全エラー履歴情報を示す画面に遷移する。一方で、入力されたパスワードに誤りがある場合には、全エラー履歴情報を示す画面に遷移することなく、当該パスワード入力を確認する画面において、パスワード入力前の状態、すなわち、文字情報203が表示されない状態に遷移する(図34参照)。
そして、全エラー履歴情報を示す画面においては、前記CANコントローラC1〜C6のすべてのEEPROM78に記憶されているエラー履歴がすべて表示される。
以上のように制御することで、作業車両の組み立て工程等におけるすべてのエラー履歴を表示させることができるため、サービスマン等にとって、故障等の原因をより詳細に追跡することができる。また、パスワードの入力手段を具備するため、一般のオペレータにとって不要なエラー情報が誤って表示されることがなく、安心してエラー履歴情報を利用することができる。
なお、本実施例におけるパスワードは、CANコントローラC6に予め記憶された5桁の数字をランダムに組み合わせたものであるが、かかるパスワードの記憶手段や組み合わせは、これに限定するものではない。すなわち、該パスワードを、オペレータによって初期設定モードにて適宜変更可能にしてもよい。また、パスワードの組み合わせは、数字に以外に、例えば、英字やひらがな等を組み合わせるようにしてもよく、その桁数もオペレータの負担にならない程度で、当業者が容易に想到し得る範囲で適応することが可能である。
本発明における通信バス(回線)はCAN(Controller Area Network)プロトコルのみならず、LAN(Local Area Network)プロトコルを用いてもよい。本発明は、前記したCAN通信環境のみならず、LAN通信環境の制御システムに対しても適用できるが、CAN通信プロトコルによるデータ通信の方が、各コントローラ間での制御データのやりとりが円滑で、かつ、通信エラー状態の検出およびエラー処理をもスムーズに行える。なお、制御手段としてのコントローラは複数であってもよいし、単一のものであってもよい。
また、本発明における入力手段としては、前述した四つのスイッチ71〜74に限らず、液晶パネル60bの画面上に設けるタッチパネルであってもよい。この場合は、タッチパネルを、フレキシブル配線板を介してCANコントローラC5の入力インターフェイスに接続し、オペレータが前記タッチパネルの表面のうち操作指示標識165〜168に対応する箇所を指やペン等で押圧すると、前記タッチパネルがこの位置を検出して、この押圧位置情報がフレキシブル配線板を介してCANコントローラC5に伝送され、前記押圧位置に対応する操作指示標識165〜168の内容(例えばカーソルを画面の上方向に移動させる等)を実行するように構成すればよい。
さらに、本発明の表示装置は、液晶パネル60bを用いた液晶表示装置60に限らず、CRTディスプレイやELディスプレイ等であってもよい。
次に、別実施例に係るトラクタの走行機体301に関し、以下に説明する。
図36に示すように、トラクタの走行機体301の前後には前輪302・302および後輪303・303が支承され、前部のボンネット306内部にはエンジン305が配置され、該ボンネット306の後方にはステアリングハンドル310が配設されている。ステアリングハンドル310の後方には座席311が配設され、座席311の側部には主変速レバー、副変速レバー、PTO操作レバー等の操作レバー群が配設されている。これらステアリングハンドル310、座席311および操作レバー群等はキャビン312内の運転部に配置されている。
該座席311の近傍には、液晶表示装置360が設けられ、本実施例ではキャビン312内の前斜め上部に配置して前方視界を妨げない位置としている。該液晶表示装置360は、前記コンバインの走行機体1における液晶表示装置60に該当し、同様の作用を奏するものである。
該液晶表示装置360の近傍には、作業機340の自動制御と手動制御を切り替える自動/手動切換スイッチや、作業機340の負荷率を設定する負荷率設定器や、作業機340の耕深(本実施例においてはロータリ341の圃場への耕耘深さ)を設定するための耕深ダイヤル330等が設けられている。また、座席311側部には作業機340の昇降スイッチやポジションコントロールレバー、および該ポジションコントロールレバーの回動角を検知するポジションセンサ等が配設されている。なお、本実施例においては、かかるスイッチ等を配設することなく、該液晶表示装置360におけるスイッチ操作によって、かかる調整などが行えるように制御してもよい。
前記エンジン305の後部にクラッチハウジング307が配置され、該クラッチハウジング307の後部にミッションケース309が配設される。前記エンジン305からの駆動力が、該クラッチハウジング307等を介して前輪302・302および後輪303・303に伝達されて駆動されるのである。該クラッチハウジング307およびミッションケース309においては、例えば、車軸の回転数を検出する手段たる車軸回転数センサや、主変速レバー等の変速装置の変速位置を検出する手段となるトラニオン軸角度センサなどが配設されている。なお、本実施例に係る走行機体301を後輪駆動方式としても、専用のクラッチを介して前輪302・302への駆動力の伝達・遮断を切換可能な方式としても、常に前輪302・302に駆動力を伝達する方式としてもよく、限定されない。
前記エンジン305の駆動力は、ミッションケース309後端から突出したPTO軸315に伝達され、該PTO軸315から図示せぬユニバーサルジョイント等を介して、車両後端に作業機装着装置320を介して装着される作業機340が駆動される。該作業機340には、該作業機340のデプス制御時における耕深を検出する耕深位置センサが設けられている。また、リフトアーム321の長手方向と走行機体301の機体の前後方向とが成す角度検知するためのリフト回動角検出手段であるリフト角センサが、リフトアーム321根元部の回動支点に設けられ、作業機340の昇降用の油圧ポンプ等が配置され、作業機340のリヤカバー342近傍には、該リアカバー342の上下回動を検知する検知手段としてリヤカバーセンサが配設されている。該作業機340の左右側方への傾斜角は、走行機体301側に配設された作業機センサに基づいて検知される。また、走行機体301の前後方向の傾斜角は、傾斜角検出手段である本機センサにより検出可能とされている。
図37に示すように、本実施例における制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置375は、複数(本実施例では4つ)のCANコントローラC2・C3・C4・C6と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス376とで構成されている。なお、該CANコントローラC2等の構成の詳細は、上述の走行機体1に係る電子式制御装置75と同様である。
該CANコントローラC2に内蔵されるアプリケーション制御プログラムS2は、クラッチハウジング307やミッションケース309における各種アクチュエータ(例えば、トラニオン軸制御用シリンダなど)を作動させる制御プログラムとし、CANコントローラC3に内蔵されるアプリケーション制御プログラムS3は、作業機用油圧シリンダおよび走行機体301の左右の走行部用油圧シリンダを作動させて、作業機340の耕深制御や水平制御などを実行するための制御プログラムとする。
CANコントローラC4に内蔵されるアプリケーション制御プログラムS4は、エンジン305の出力を制御するための制御プログラムとする。そして、CANコントローラC6に内蔵されるアプリケーション制御プログラムS6は、CANコントローラC2・C3・C4・C6に接続された全ての入出力系機器の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネルの画面に表示する制御を司る制御プログラムとする。
また、CANコントローラC2は、トランスミッションケース309近傍に設置され、入力インターフェイスには、入力系機器として、前記車軸回転数センサやトラニオン軸角度センサの他に、アクセルレバーセンサ、副変速スイッチ、車速センサ100等がそれぞれ接続されている。一方、出力インターフェイスには、出力系機器として、FCクラッチ駆動回路部等がそれぞれ接続されている。
CANコントローラC3は、キャビン312の運転部近傍に設置され、入力インターフェイスには、入力系機器として、リフト角センサ、リヤカバーセンサ、ポジションセンサ、本機センサ、作業機センサ、距離センサ等がそれぞれ接続されている。一方、出力インターフェイスには、出力系機器として、スイングバルブや作業機昇降用電磁バルブ等がそれぞれ接続されている。
また、CANコントローラC4は、エンジン305近傍に設置され、入力インターフェイスには、入力系機器として、燃料センサ、エンジン回転数センサ、エンジンオイル量センサ、エンジン水温センサ、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ、エンジンスタータスイッチ等がそれぞれ接続されている。一方、出力インターフェイスには、出力系機器として、エ燃料噴射ポンプラックアクチュエータ、エンジンスタータリレー等がそれぞれ接続されている。
前記液晶表示装置360に内装された前記CANコントローラC6の入力インターフェイスには、設定スイッチや取消スイッチ等がそれぞれ接続されている。該CANコントローラC6の出力インターフェイスには、表示手段としての液晶パネル、トラクタ全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ等がそれぞれ接続されている。
該電子式制御装置375は、前記液晶表示装置360における液晶パネルにおいて、走行機体301のエラー履歴を表示するように制御される。図38は、かかる制御手段の一例として、エラー履歴およびエラー発生時の積算時間を表示する場合の、該液晶パネルのエラー履歴情報を示す画面である。まず、該液晶パネルにおいて、「履歴モード」の文字情報(380)を表示させ、液晶表示装置360に適宜配設される前記スイッチ等を押下すると、エラー履歴情報が切替え表示され、「履歴モード」となる。
エラー履歴情報としては、前記CANコントローラC2・C3・C4に対応して接続される各入出力系機器を総括した見出し(インデックス)として、文字情報381a〜381dが表示され、選択画面となってそのエラーが属する作業または位置を選択するようになっている。すなわち、「水平制御」(381a)、「E/G(エンジン)」(381b)、「T/M(トランスミッション)」(381c)、および、すべてのエラー履歴を一括して表示可能な「一括」(381d)とがある。
かかる状態で、例えば、「水平制御」の文字情報381aを反転表示させた状態でスイッチ等を押下すると、表示させるエラー履歴として、水平制御機構にかかるエラー履歴を選択したことになり、「水平制御履歴モード」の文字情報382が表示され、続いてスイッチ等を押下することによって、該水平制御機構におけるエラー履歴の一覧として各文字情報383が表示される。すなわち、「リフト角センサ異常」、「ポジションセンサ異常」、「リヤカバー異常」、「深さダイヤル異常」、「作業機昇降SW異常」、「上げ位置ダイヤル異常」、「作業機センサ異常」、「本機センサ異常」、「角速度センサ異常」等とがある。かかる文字情報383は、スイッチ等を押下することによって、順次液晶パネルに表示される。
次いで、「リフト角センサ異常」の文字情報383を表示させた状態でスイッチ等を押下すると、入力系機器の一つであるリフト角センサを決定したことになり、液晶パネルの画面に、リフト角センサのエラー発生時における積算時間を示した文字情報384(図38では「125時に発生」)が表示される。
本実施例においては、その他、エラー履歴を、制御手段またはエラー毎に別々に、または、一括して消去する選択手段や、かかるエラー履歴を、制御手段またはエラー毎に別々に、または、一括して消去可能、かつ、復活可能とする手段や、走行機体301各部で所定時間内に発生したエラー履歴を工程毎に選別し、工程毎にエラー履歴を表示手段に表示可能とする手段などに関しても、前記電子式制御装置75における制御手段と同様、もしくは当業者が容易に想到し得る範囲において、適応できるものである。