JP4100729B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性熱可塑性樹脂組成物に関り、詳しくは、ハロゲン系難燃剤を使用することなく芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合することにより米国UL規格94V−2に適合する難燃性を有し、しかも、耐熱性、流動性が共に良好で物性のバランスに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
HIPS(高耐衝撃性ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂などのスチレン系樹脂は、成形性、寸法安定性、耐衝撃性、剛性に優れているため、電気機器部品、自動車部品、建材等の構成材料として広く利用されている。これらのスチレン系樹脂には、その用途から、難燃性が要求されている。
【0003】
従来、スチレン系樹脂に難燃性を付与するために、難燃剤としてデカブロモジフェニルエステル等のハロゲン含有化合物を、また、難燃助剤としてアンチモン化合物を配合する技術がある。しかし、ハロゲン含有化合物は、燃焼時に分解して、人体に有害なガスを発生することから、環境上問題があった。
【0004】
これに対して、難燃剤としては、芳香族リン酸エステルを用いた難燃化樹脂組成物として、従来、次のようなものが提案されている。
【0005】
(1) ABS樹脂に対してトリフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル及びポリテトラフルオロエチレンを配合した難燃性樹脂組成物(特公昭62−58629号公報)。
【0006】
(2) トリクレジルホスフェート及び/又はトリフェニルホスフェートとテトラブロムビスフェノールAとをポリスチレン系樹脂に添加した自己消火性に優れた樹脂組成物(特公昭51−37106号公報)。
【0007】
(3) トリクレジルホスフェート及び/又はトリフェニルホスフェートと単官能フェノール類により末端閉鎖された2,2−(4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロムジフェニル)プロパンのカーボネートオリゴマーをポリスチレン系樹脂に添加した自己消火性の樹脂組成物(特公昭57−20974号公報)。
【0008】
(4) ゴム含量、ゴムとしてのポリブタジエンの立体規則性、ゴム粒子径及び樹脂の還元粘度等を特定したゴム変性スチレン系樹脂に有機ホスフェート化合物を配合してなる米国UL規格94V−2に適合する難燃性スチレン系樹脂組成物(特開平8−120152号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の難燃性樹脂組成物には、成形材料としての流動性と、各種機器の構成材料用途に必要な耐熱性とが共に良好なものがない。
【0010】
特に、(1)の組成物では、不滴下性にするために、相当量のポリテトラフルオロエチレン樹脂の添加を必要とするが、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の配合は、スチレン系樹脂の優れた成形性、寸法安定性を損なうこととなるため、好ましくない。
【0011】
また、(2)の組成物では、テトラブロムビスフェノールAを添加するため、ハロゲンの分解で環境問題が生ずると共に耐熱性が低下する。
【0012】
(3)の組成物では、前記カーボネートオリゴマーを添加するため、燃焼時にハロゲンが発生し環境に悪影響を与えると共に流動性が低下する。
【0013】
更に、(4)の組成物では、原料の一成分として用いられる芳香族モノビニル系単量体として、スチレン及びスチレンと共重合可能な他のビニル系単量体の混合物が挙げられているが、他のビニル系単量体の割合は、スチレンを含むビニル系単量体に対して、通常40重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下とあり、また、実施例では、HIPSについての効果しか示されておらず、ABS樹脂に対する効果は十分でないことが予想される。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合することにより米国UL規格94V−2に適合する難燃性を有し、しかも、耐熱性、流動性等が共に良好で物性のバランスに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
重量平均粒子径1800〜3000Åのジエン系ゴム40〜65重量部に、芳香族ビニル化合物70〜76重量%とシアン化ビニル化合物24〜30重量%とを含むビニル単量体混合物35〜60重量部を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A)15〜35重量部と、
芳香族ビニル化合物70〜75重量%とシアン化ビニル化合物25〜30重量%とを含むビニル単量体混合物を重合してなるビニル共重合体(B)59〜75重量部と、
芳香族ビニル化合物75〜78重量%及びシアン化ビニル化合物22〜25重量%を含むビニル単量体混合物を重合してなるビニル共重合体(C)15〜20重量部と
を含む共重合体混合物100重量部に、芳香族リン酸エステル系難燃剤を6〜20重量部配合してなることを特徴とする。
【0016】
上記グラフト共重合体(A)にビニル共重合体(B)と(C)を所定割合含む共重合体混合物に所定量の芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合することにより、米国UL規格94V−2に適合する優れた難燃性を有し、しかも、耐熱性、流動性等の物性バランスに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
本発明に係るグラフト共重合体(A)としては、具体的にはABS(ポリブタジエン−スチレン−アクリロニトリル)樹脂、AES(エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム−スチレン−アクリロトリル)樹脂、AAS(アクリルゴム−スチレン−アクリロニトリル)樹脂が挙げられ、それらのゴム成分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等の1種又は2種以上を用いることができる。なお、EPDMに含有されるジオレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン、リモネン等が挙げられる。
【0019】
グラフト共重合体(A)の芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
なお、このジエン系ゴムは、そのゲル含量が80重量%以上、特に95重量%以上であることが、耐衝撃性,成形外観の面で好適である。
【0021】
本発明に係るグラフト共重合体(A)の製造においては、上記の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物の他に、これらと共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。この共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタアクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート(なお、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類等を挙げることができ、これらの単量体の1種又は2種以上を使用することができる。
【0022】
グラフト共重合体(A)において、ジエン系ゴムの含有量が40重量部よりも少ないと、得られる熱可塑性樹脂組成物が耐衝撃性が劣るものとなり、65重量部を超えると、他の共重合体との相溶性が低下するので好ましくない。
【0023】
また、グラフト共重合体(A)におけるビニル単量体混合物は、芳香族ビニル化合物70〜76重量%とシアン化ビニル化合物24〜30重量%とからなるものであるが、この芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の割合が上記範囲をはずれると、得られる樹脂組成物が成形加工性、耐衝撃性及び耐熱性の少なくともいずれかに劣るものとなり、物性のバランスに優れる樹脂組成物を得ることができない。
【0024】
本発明において、グラフト共重合体(A)は、重量平均粒子径の異なるジエン系ゴムを用いたグラフト共重合体の混合物であることが好ましく、例えば、重量平均粒子径1600〜2500Å、特に1950〜2050Åのジエン系ゴムにビニル単量体混合物を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A−1)と、重量平均粒子径2600〜3000Å、特に2850〜2950Åのジエン系ゴムにビニル単量体混合物を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A−2)との混合物であることが好ましい。この場合、グラフト共重合体(A−1)とグラフト共重合体(A−2)との混合割合は、グラフト共重合体(A−1):グラフト共重合体(A−2)=70〜30:30〜70(重量比)であることが好ましい。
【0025】
本発明において、ビニル共重合体(B),(C)を構成する芳香族ビニル化合物,シアン化ビニル化合物としては、各々前述のグラフト共重合体(A)の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物として例示したものが挙げられ、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
【0026】
ビニル共重合体(B)は芳香族ビニル化合物70〜75重量%とシアン化ビニル化合物25〜30重量%とを懸濁重合してなり、好ましくは、数平均分子量Mnが5.5×104 〜6.6×104 で、分子量分布比Mw(重量平均分子量)/Mnが2.2〜2.4のものである。
【0027】
ビニル共重合体(C)は芳香族ビニル化合物75重量%を超え78重量%以下とシアン化ビニル化合物22重量%以上25重量%未満とを懸濁重合してなり、好ましくは、数平均分子量Mnが2.8×104 〜3.2×104 で、分子量分布比Mw/Mnが2.0〜2.2のものである。
【0028】
ビニル共重合体(B),(C)の芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の含有量が上記範囲をはずれた場合、または、ビニル共重合体(B),(C)の分子量及び分子量分布が上記範囲をはずれた場合には、得られる樹脂組成物が成形加工性、耐衝撃性及び耐熱性の少なくともいずれかに劣るものとなり、これらの物性バランスに優れる樹脂組成物を得ることができない場合がある。
【0029】
本発明に係る共重合体混合物は、グラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B),(C)を下記割合で混合してなる。
【0030】
グラフト共重合体(A):15〜35重量部
ビニル共重合体(B):59〜75重量部
ビニル共重合体(C):15〜20重量部
グラフト共重合体(A)の含有量が15重量部よりも少ないと、得られる樹脂組成物が耐衝撃性に劣るものとなり、35重量部を超えると、耐熱性に劣るものとなる。
【0031】
ビニル共重合体(B)の含有量が59重量部未満では得られる樹脂組成物が流動性,燃焼性に劣るものとなり、75重量部を超えると耐衝撃性に劣るものとなる。
【0032】
また、分子量が比較的小さいビニル共重合体(C)を15〜20重量部の範囲で混合することにより、得られる樹脂組成物の耐熱性を確保した上で、成形加工性と耐衝撃性を改善することができる。
【0033】
なお、本発明において、共重合体混合物は、ゴム成分9〜13重量%、芳香族ビニル成分64〜67重量%及びシアン化ビニル成分21〜24重量%を含むことが好ましく、このような成分配合とすることにより、耐熱性、耐衝撃性のバランスのとれた難燃性熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0034】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、このような共重合体混合物100重量部に対して芳香族リン酸エステル系難燃剤を6〜20重量部、好ましくは10〜15重量部配合してなるものである。この芳香族リン酸エステル系難燃剤の配合量が6重量部未満では十分な難燃性を得ることができず、20重量部を超えると耐熱性が悪くなる。
【0035】
本発明で使用される芳香族リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)フェニルホスフェート、モノ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)4−第三ブチルフェニルホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)4−メチルフェニルホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)3−メチルフェニルホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)4−イソピルフェニルホスフェート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)2−イソピルフェニルホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、ビスフェノール−Aビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等、或いはこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、特に、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート及びトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートからなる群から選ばれる1種以上のホスフェート系化合物が好適である。
【0036】
このような有機ホスフェート化合物は公知の方法によって製造することができる。例えば、適当なフェノール及び/又は多価フェノールをホスホリル化剤と反応させることで製造することができる。ホスホリル化剤としては、例えばオキシ塩化リン又は五塩化リンが挙げられる。ホスホリル化反応は、塩化アルミニウム若しくは塩化マグネシウムのような触媒の存在下又はピリジンのような有機塩基の存在下で行うことができる。ホスフェートはまたフェノール及び/又は多価フェノールとナトリウム塩とホスホリル化剤と反応させるか或いは相当するリン酸エステルを公知の方法によって酸化させることによって製造することもできる。
【0037】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて滑剤を添加して樹脂組成物の流動性を高め、燃焼時における滴下性を高めることができる。このような滑剤としては、ポリオレフィン系滑剤、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、アルコール系滑剤、脂肪酸系滑剤、ポリシロキサン系滑剤、芳香族化合物オリゴマー、流動パラフィン等或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、更に上記の諸成分の他に、その物性を損なわない範囲において、樹脂組成物の製造時(混合時)、成形時に慣用の他の添加剤、例えば顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤等を配合することができる。
【0039】
このような本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法には特に制限はなく、通常行われている方法及び装置を使用して製造することができる。一般的に使用されている方法としては溶融混合法があり、その装置の例としては押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。この製造は回分式又は連続式のいずれでも良く、また、各成分の混合順序にも特に制限はなく、全ての成分が十分均一に混合されれば良い。
【0040】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えないかぎり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
製造例1:グラフト共重合体(A−1)の製造
蒸留水200重量部に、ゲル含有率98重量%、重量平均粒子径1950〜2050Åのジエン系ゴム40重量部と、スチレン74重量%及びアクリロニトリル26重量%のビニル単量体混合物60重量部と、不均化ロジン酸カリウム1重量部、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第1鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部、t−ドデシルメルカプタン0.08重量部及びクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部とを仕込み、60℃から反応を開始し、途中で75℃まで昇温し、2時間後乳化グラフト重合を停止してグラフト共重合体(A−1)を得た。なお、単量体転化率は96重量%であった。
【0042】
製造例2:グラフト共重合体(A−2)の製造
蒸留水200重量部に、ジエン系ゴムとしてゲル含有率98重量%、重量平均粒子径2850〜2950Åのジエン系ゴム65重量部とビニル単量体混合物としてスチレン72重量%及びアクリロニトリル28重量%のビニル単量体混合物35重量部とを仕込んだこと以外は、製造例1と同条件で乳化グラフト重合を行ってグラフト共重合体(A−2)を得た。なお、単量体転化率は95重量%であった。
【0043】
製造例3:ビニル共重合体(C)の製造
蒸留水120重量部にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.003重量部とスチレン77.0重量%及びアクリロニトリル23.0重量%のビニル単量体混合物100重量部と、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、過酸化ベンゾイル0.15重量部及びリン酸カルシウム0.5重量部とを添加して、110℃で10時間懸濁重合し、ビニル共重合体(C)を得た。
【0044】
【0045】
製造例4:ビニル共重合体(B)の製造
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を0.03重量部とし、ビニル単量体混合物としてスチレン75.0重量部及びアクリロニトリル25.0重量%のビニル単量体混合物を用いたこと以外は製造例3と同条件で懸濁重合を行いビニル共重合体(B)を得た。
【0046】
ビニル共重合体(C)の数平均分子量Mnは31,000、重量平均分子量Mwは67,000で、分子量分布比Mw/Mnは2.1であった。また、単量体転化率は92重量%であった。
ビニル共重合体(B)の数平均分子量Mnは66,000、重量平均分子量Mwは151,000で、分子量分布比Mw/Mnは2.3であった。また、単量体転化率は92重量%であった。
【0047】
実施例1〜5、比較例1〜6
上記製造例で得た各重合体と芳香族リン酸エステル難燃剤としてトリフェニルホスフェートを表1,2に示す割合で配合し、ヘンシェルミキサーで混合した後、押出機で混練ペレット化した。
【0048】
得られたペレットを200℃で射出成形して試験片を得、この試験片について下記の方法で諸物性と難燃性の評価を行い、結果を表1,2に示した。
【0049】
(1)アイゾット衝撃強度(Kg・cm/cm):ASTM D 256に従って、厚み1/8インチ、ノッチ付きで測定した。
【0050】
(2)難燃性:UL94規格の試験方法に従って、厚み1/8インチ及び1/16インチで各々試験を実施し、下記UL−94V−2に適合するか否かで評価した。
【0051】
UL−94V−2
接炎を中止した後の各回の有炎燃焼時間(秒):30秒以下
試験片5個への合計10回の接炎による有炎燃焼時間(秒):250秒以下
有炎滴下物による脱脂綿の着火:あり
(3)片持梁耐熱性(SAG)の標準試験(宇部サイコン(株)法)
図1に示す如く、厚さ3.2mm、長さ130.0mm、幅13mmの長尺の試験片1の一端を治具2に固定し(固定部分の長さ30.0mm)、他端非固定で70℃,75℃,80℃の各恒温槽に入れて2時間保持した後の試験片1Aの変形量xmmを測定する。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物によれば、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、芳香族リン酸エステル系難燃剤を配合することにより米国UL規格94V−2に適合する難燃性を有し、しかも、耐熱性、流動性等が共に良好で物性のバランスに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 SAG試験方法を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 試験片
2 治具
Claims (5)
- 重量平均粒子径1800〜3000Åのジエン系ゴム40〜65重量部に、芳香族ビニル化合物70〜76重量%とシアン化ビニル化合物24〜30重量%とを含むビニル単量体混合物35〜60重量部を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A)15〜35重量部と、
芳香族ビニル化合物70〜75重量%とシアン化ビニル化合物25〜30重量%とを含むビニル単量体混合物を重合してなるビニル共重合体(B)59〜75重量部と、
芳香族ビニル化合物75重量%を超え78重量%以下及びシアン化ビニル化合物22重量%以上25重量%未満を含むビニル単量体混合物を重合してなるビニル共重合体(C)15〜20重量部と
を含む共重合体混合物100重量部に、芳香族リン酸エステル系難燃剤を6〜20重量部配合してなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1において、共重合体混合物がゴム成分9〜13重量%、芳香族ビニル成分64〜67重量%及びシアン化ビニル成分21〜24重量%を含むことを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1又は2において、グラフト共重合体(A)は、重量平均粒子径1950〜2050Åのジエン系ゴムにビニル単量体混合物を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A−1)と、重量平均粒子径2850〜2950Åのジエン系ゴムにビニル単量体混合物を乳化グラフト重合してなるグラフト共重合体(A−2)との混合物であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、ビニル共重合体(B)が数平均分子量Mn5.5×104 〜10.0×104 であり、分子量分布比Mw/Mnが2.2〜2.4であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、ビニル共重合体(C)が数平均分子量Mn2.8×104 〜3.2×104 であり、分子量分布比Mw/Mnが2.0〜2.2であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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JPH10120853A (ja) | 1998-05-12 |
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