JP4248033B2 - 難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、難燃性に優れるマレイミド変性スチレン系樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、耐熱性、難燃性、衝撃強度、機械的特性、外観性及び難燃剤等の分散性に優れる難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にABS等のスチレン系樹脂は優れた物性、外観性によりワープロ、パーソナルコンピュータ、プリンター、複写機等のOA機器、TV、VTR、オーディオ等の家電製品、電気・電子部品、自動車部品、雑貨等に広範囲に使用されているが、一般にOA機器、家電製品等の電気製品用途等に関しては、UL(米国)、CSA(カナダ)、電気用品取締法(日本)、IEC(国際電気標準会議)等の規格に定められた難燃性に適合することが一般に要求される。
また一方、これらOA、家電製品等の電気製品は、小型化、高集積化、高性能化が進み電源部分、IC基盤等の発熱部分近傍に使用される部品等に関し、高耐熱性樹脂組成物等の用途が拡大している。
そのような用途にはマレイミド変性耐熱性スチレン系樹脂に難燃性を付与した難燃性耐熱樹脂組成物を使用することができる。
【0003】
従来、難燃性耐熱樹脂組成物としては、マレイミド変性耐熱性樹脂及びデカブロモジフェニルエーテル、テトラブモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼンを難燃剤として含有する樹脂組成物(特開昭60−139744号公報)、同じく難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA系エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(特開平5−331350号公報、特開平6−157852号公報)が知られている。
【0004】
従来このような難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法としては、樹脂成分としてマレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体、スチレン系グラフト共重合体、スチレン系共重合体の3種またはマレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体と上記スチレン系グラフト共重合体及びスチレン系共重合体からなるスチレン系樹脂の何れかを用い、これらに難燃剤、必要に応じ難燃助剤等を添加した混合物を一度に溶融混練し製造する方法が一般的であった(特開昭60−139744号公報、特開平5−331350号公報、特開平6−157852号公報)。
【0005】
しかしながら、上記の製造方法では十分な衝撃強度が得られず、また押出機等による溶融混練の際のシリンダー設定温度を一般的なABS系樹脂等に比較して高くする必要があるため、溶融樹脂温度も高くなり系内の難燃剤が分解し、得られた樹脂組成物の難燃性が不十分となる場合があった。またその他の機械的特性、難燃剤等の分散性等も満足すべき水準にはなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術が有する欠点を解決し、耐熱性、難燃性、衝撃強度、機械的特性、外観性及び難燃剤等の分散性に優れる難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の樹脂組成物及びその製造方法につき検討を実施した結果、特定の原料を耐熱性マスターバッチ樹脂の成分として用いることにより、上記課題を解決し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体(A1)と難燃剤を含有する難燃性耐熱樹脂組成物の製造において、(A1)をマスターバッチ樹脂組成物に含有させる難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法である。
また本発明は、(A)(A1)、(A2)、(A3)を下記の組成比で合計100重量部、(B)難燃剤1〜50重量部及び(C)難燃助剤0〜10重量部を含有する難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法であって、(A1)をマスターバッチ樹脂組成物に含有して用いるものである。
(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体2〜60重量%
(A2)スチレン系グラフト共重合体0〜98重量%
(A3)スチレン系共重合体0〜98重量%
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体の工業的な主な製造法は以下の2種類があり、いずれの方法により得られた重合体も使用できる。また製造法は下記2方法に限定されるものではない。
(製法1)芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体及びこれらと共重合可能なビニル単量体を共重合する。
(製法2)芳香族ビニル単量体、不飽和ジカルボン酸無水物及びこれらと共重合可能なビニル単量体を共重合した後、これにアンモニア及び/または第一級アミンを反応させてイミド化反応を行い、ジカルボン酸無水物基をイミド基に変換する。
【0009】
製法1及び製法2において、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等のα−置換スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、トリブロムスチレン等の核置換スチレンが挙げられる。これらの中ではスチレンが好ましい。
【0010】
製法1における不飽和ジカルボン酸イミド誘導体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、及びN−アリールマレイミド等(ここで、アリール基としては、フェニル、メチルフェニル、t−ブチルフェニル、メトキシフェニル、クロルフェニル、ブロモフェニル、ジブロモフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)のN−置換マレイミド等のマレイミド誘導体が挙げられる。これらのマレイミド誘導体は2種類以上を混合して使用することも可能であり、N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0011】
また、製法2において、不飽和ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸が好ましい。
【0012】
製法1及び製法2において、共重合可能なビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。
また製法2では、イミド化反応の未転化残基として無水マレイン酸基を共重合体に含有させることも可能である。
【0013】
更に、製法2で用いる第一級アミンの例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、トルイジン、クロルアニリン、ブロムアニリン、メトキシアニリン、ナフチルアミン等の芳香族アミンが挙げられる。このうち特にアニリンが好ましい。これらの第一級アミンは単体または適当な溶媒に溶かした溶液として使用することも可能である。
【0014】
重合方法としては、製法1の場合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等が使用でき、製法2では、塊状−懸濁重合、溶液重合、塊状重合等が使用可能である。
【0015】
本発明の(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなる共重合体である。この組成範囲外ではその他の成分との相溶性、親和性が低下し衝撃強度等の低下を招く。(A1)の更に好ましい組成は、芳香族ビニル単量体単位45〜65重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位35〜55重量%、その他の共重合可能なビニル単量体単位0〜15重量%である。
【0016】
本発明で用いる(A2)スチレン系グラフト共重合体は、ゴム状物質の存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、必要に応じてその他の共重合可能なビニル単量体からなる単量体を共重合したグラフト共重合体である。
【0017】
ここで、ゴム状物質としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、シリコンゴム等が挙げられる。
【0018】
芳香族ビニル単量体としては、前記(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体の製造に使用される芳香族ビニル単量体が使用可能であり、スチレンが好ましい。
【0019】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
【0020】
その他の共重合可能なビニル単量体としては、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等不飽和カルボン酸アミド及び不飽和ジカルボン酸イミド誘導体を使用することができる。
【0021】
ゴム状物質へのグラフト率は10〜200%が好ましい。グラフト率は、(A2)スチレン系グラフト共重合体中に含まれるメチルエチルケトン不溶分の重量をXとし、ゴム成分の重量をYとした場合以下のような関係式によって求められる。
グラフト率(%)={(X−Y)/Y}×100
また、未グラフト共重合体の分子量は上記の操作におけるメチルエチルケトン可溶分中の共重合体の分子量をGPCで測定することにより得られる。
【0022】
(A2)スチレン系グラフト共重合体の製造法は以下の通りである。ゴム状物質30〜70重量部の存在下、芳香族ビニル単量体65〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜35重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物30〜70重量部をグラフト重合する。この組成範囲外では、その他の成分との相溶性・親和性が低下し衝撃強度等の特性が低下する。
(A2)のより好ましい組成範囲は以下の通りである。ゴム状物質40〜60重量部の存在下、芳香族ビニル単量体70〜75重量%、シアン化ビニル単量体25〜30重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体0〜10重量%からなる単量体混合物40〜60重量部をグラフト重合する。
【0023】
なお、一般的にグラフト重合において、与えられた単量体の全てがゴム状重合体にグラフトすることは困難なため、グラフト分子鎖以外の未グラフト共重合体が副産物として生成する。本発明においては未グラフト共重合体を分離・除去した真のグラフト共重合体の他、未グラフト共重合体を含有したグラフト重合生成物もグラフト共重合体として使用することができる。
【0024】
グラフト重合のプロセスとしては、特に制限はないが、例えば懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合、生成重合体の貧溶媒中での沈澱重合等が挙げられる。このうち衝撃強度に大きな影響を与えるグラフト重合体粒径の制御の容易さから乳化重合が好ましい。
【0025】
本発明で用いる(A3)スチレン系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位及びその他の共重合可能なビニル単量体単位からなる共重合体である。
【0026】
芳香族ビニル単量体としては、前記の(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体の製法で記述した芳香族ビニル単量体と同じ単量体が挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0027】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
【0028】
その他の共重合可能なビニル単量体としては、前記の(A2)スチレン系グラフト共重合体の製法で記述した、その他の共重合可能なビニル単量体と同じ単量体を使用することができる。
【0029】
(A3)スチレン系共重合体は、芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%からなる共重合体である。この組成範囲外では他成分との相溶性・親和性が低下し、衝撃強度等が損なわれる。
(A3)のより好ましい範囲は、芳香族ビニル単量体単位68〜78重量%、シアン化ビニル単量体単位22〜32重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体単位0〜10重量%である。
【0030】
(A3)スチレン系共重合体は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等通常実施される重合方法にて製造することができる。
【0031】
本発明で用いる(B)難燃剤としては、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールA系フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA系カーボネートオリゴマー、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロムフェノキシエタン等のハロゲン化合物、及びトリフェニルホスフェート、トリ(ヒドロキシフェニル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン系難燃剤を挙げることができる。
特にハロゲン系難燃剤が好ましく、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン、デカブロモジフェニルエタン、重量平均分子量が1万〜10万のテトラブロモビスフェノールA系フェノキシ樹脂が衝撃強度、耐熱性、流動性の点から特に好ましい。また複数の難燃剤を併用することも可能である。
【0032】
本発明で用いる(C)難燃助剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、ほう酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、硫化亜鉛等の亜鉛化合物、ほう酸バリウム、酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
【0033】
なお、本発明によって得られる樹脂組成物には、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、有機顔料、染料、着色剤、ヒンダードフェノール系、リン系等の酸化防止剤、樹脂の安定剤、難燃剤の安定剤、可塑剤、滑剤、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、マイカ等の充填剤、耐光剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等耐光安定剤、帯電防止剤等を必要に応じ添加することができる。また燃焼試験時のドリップ防止剤としてポリテトラフルオロエチレン、シリコンオイル、エポキシ基含有化合物、フェノール樹脂等を添加することもできる。
【0034】
本発明における難燃性耐熱樹脂組成物は、(A)(A1)、(A2)、(A3)を下記の組成比で合計100重量部、(B)難燃剤1〜50重量部及び(C)難燃助剤0〜10重量部を含有し、このうち(A1)をマスターバッチ樹脂組成物に含有して用いることを特徴とする。
(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体2〜60重量%
(A2)スチレン系グラフト共重合体0〜98重量%
(A3)スチレン系共重合体0〜98重量%
(A)の組成は、(A1)10〜45重量%、(A2)20〜50重量%、(A3)10〜60重量%がより好ましく、難燃性耐熱樹脂組成物の組成は、(A)の100重量部に対して(B)5〜30重量部、(C)1〜7重量部がより好ましい。
【0035】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂の組成は、(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体40〜75重量%、(A2)スチレン系グラフト共重合体0〜60重量%及び、(A3)スチレン系共重合体0〜60重量%であることが望ましい。この組成範囲外では、他成分との相溶性・親和性が低下し、衝撃強度等が損なわれる。耐熱性マスターバッチ樹脂の特に好ましい組成は、(A1)が40〜75重量%、(A2)が25〜50重量%、(A3)が0〜20重量%である。
【0036】
耐熱性マスターバッチ樹脂と(A2)スチレン系グラフト共重合体及び(A3)スチレン系共重合体との混合比率は、耐熱性マスターバッチ樹脂5〜80重量%、(A2)スチレン系グラフト共重合体と(A3)スチレン系共重合体の合計量20〜95重量%が好ましい。耐熱性マスターバッチ樹脂の比率が5重量%未満の場合には耐熱性が充分でなく、80重量%を超えると流動性の低下等を招く。
【0037】
本発明の難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法では、(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系樹脂等を耐熱性マスターバッチ樹脂として予め混練し、次いで(B)難燃剤等を混練するという2段階の混練を行うことによって、これらのすべてを一度に混練する従来技術に比較して、難燃剤の混練を低い溶融温度で行うことができるので、難燃剤の分解劣化を抑制し、難燃性の効果が十分に発現されるとともに、分散性、強度等の面でも優れた組成物を得ることができる。
【0038】
本発明の耐熱性マスターバッチ樹脂あるいは難燃性耐熱樹脂組成物を得る一般的製造方法としては、各原料を予備混合後、押出機等にて溶融混練し、ペレット化する方法が用いられる。
予備混合の装置としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、スリーハンズミキサー等を挙げることができる。
溶融混練の装置としては、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー等を挙げることができる。
なお、原料の一部ないしは全ては予備混合を行わず、定量供給装置等を用いて押出機等の溶融混練装置に直接供給することもできる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により具体的に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例に示された各組成は重量基準の値を表す。
【0040】
(1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体(A1)
マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体として表1の3種類、SMI−1、SMI−2、SMI−3を使用した。
【0041】
【表1】
Figure 0004248033
【0042】
(2)スチレン系グラフト共重合体(A2)
スチレン系グラフト共重合体として以下のものを使用し、GFとした。
組成:ブタジエン単量体単位50%、スチレン単量体単位38%、アクリロニトリル単量体単位12%。ゴム状物質としてブタジエンゴムとSBR(ブタジエン単量体単位:スチレン単量体単位=76:24)を8:2の重量比で併用した。
グラフト率55%、未グラフト共重合体の重量平均分子量95000。
(3)スチレン系共重合体(A3)
スチレン系共重合体として、表2の2種類、AS−1、AS−2を使用した。
【0043】
【表2】
Figure 0004248033
【0044】
(4)スチレン系グラフト共重合体とスチレン系共重合体からなる樹脂
スチレン系グラフト共重合体とスチレン系共重合体からなる樹脂として、市販のABS樹脂、(商品名デンカABS GR−3000:電気化学工業株式会社製)を使用し、ABSとした。
(5)難燃剤(B)
難燃剤としては以下の3種を使用し、FR−1、FR−2、FR−3とした。
FR−1:2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン(商品名SR245:第一工業製薬製)
FR−2:デカブロモジフェニルエタン(商品名SAYTEX8010:アルベマール社製)
FR−3:テトラブロモビスフェノールA系フェノキシ樹脂(重量平均分子量:60000以上、商品名YPB−43C:東都化成社製)
(6)難燃助剤(C)
難燃助剤として、三酸化アンチモンを使用した。
(7)その他の原料
その他、下記の原料を使用した。
安定剤:有機スズ系化合物(スズマレート)
分散剤:グリセリンのモノ−エステル、ジ−エステル混合物
シリコンオイル:25℃における粘度10000cStのシリコンオイル(商品名SH−200:東レダウコーニング社製)
無機顔料:酸化チタン
【0045】
実施例、比較例に示された各種測定は以下の方法により実施した。
1)重量平均分子量:
(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体、(A2)スチレン系グラフト共重合体中の未グラフト共重合体、(A3)スチレン系共重合体の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン標準物質の検量線に対する相当値として測定した。
2)アイゾット衝撃強度:
ASTM D−256に準拠し、幅1/4”のVノッチテストピースを使用し温度23℃で測定した。
3)落錘衝撃強度:
JIS K−7211に従い、90mm×90mm×2mmの射出成形角板を使用し、温度23℃、湿度50%RHの条件で50%破壊高さを測定した。錘重量は500g。
4)熱変形温度:
ASTM D−648に準拠し、幅1/4”のテストピースを使用し、18.6kgfの荷重下で測定した。
5)ビカット軟化点:
JIS K−6871に準拠し、5kgfの荷重下で測定した。
6)メルトフローレート:
ASTM D−1238に準拠し、温度220℃、10kgf荷重下で測定した。
7)燃焼性:
UL−94垂直燃焼性試験に準拠し、1/16”、1/12”、1/10”、1/8”各厚さのテストピースにつき、燃焼性を評価した。
【0046】
実施例1〜19
(1)耐熱性マスターバッチ樹脂の製造
下記の表3の配合で各原料をヘンシェルミキサーにて混合し、2軸押出機を用いて混練ペレット化を行い、耐熱性マスターバッチ樹脂MB−1〜MB−5を作成した。
【0047】
【表3】
Figure 0004248033
【0048】
2軸押出機(東芝機械社TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32)の運転条件は下記の通り。
シリンダー設定温度:280℃
スクリュー回転数: 200rpm
押出速度: 20kg/h
(2)難燃性耐熱樹脂組成物の製造
下記の表4〜7の配合で各原料をヘンシェルミキサーにて混合し、上記2軸押出機を用いて混練ペレット化を行い、難燃性耐熱樹脂組成物を作成した。
2軸押出機の運転条件は下記の通り。
シリンダー設定温度:210℃。
スクリュー回転数: 200rpm
押出速度: 25kg/h
得られた難燃性耐熱樹脂組成物の物性、難燃性、押出時の樹脂温度を併せて表4〜7に示す。
【0049】
【表4】
Figure 0004248033
【0050】
【表5】
Figure 0004248033
【0051】
【表6】
Figure 0004248033
【0052】
【表7】
Figure 0004248033
【0053】
比較例1〜10
表8、表9に示した配合にて比較例の樹脂組成物を作成した。得られた樹脂組成物の物性、難燃性、押出時の樹脂温度等の結果を表8、表9に併せて示す。
運転条件は、シリンダー設定温度が250℃である以外は、実施例1〜19と同様。
【0054】
【表8】
Figure 0004248033
【0055】
【表9】
Figure 0004248033
【0056】
組成が同じで、製造方法のみ異なる実施例2と比較例2、実施例18と比較例9を比較すると、本発明のマスターバッチを使用しない比較例2、9は、衝撃強度、燃焼性及びストランド外観が劣る。
組成がほぼ同じで、製造方法が異なる実施例1と比較例2、実施例3と比較例3、実施例5と比較例4、実施例17と比較例8及び実施例19と比較例10を比較すると、本発明のマスターバッチを使用しない比較例2、3、4、8及び10が、いずれも衝撃強度、燃焼性及びストランド外観が劣る。
組成が類似しており、製造方法の異なる実施例7と比較例5を比較すると、比較例5が衝撃強度、燃焼性及びストランド外観が劣る。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、押出温度の低下が可能となり難燃剤の分解を抑制でき、耐熱性、難燃性、衝撃強度、機械的特性、外観性、難燃剤及び難燃助剤の分散性に優れる難燃性耐熱樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた樹脂組成物は、OA機器、家電製品、電気・電子部品、雑貨等の広範な用途に適用することが可能である。

Claims (2)

  1. (A)(A1)芳香族ビニル単量体単位40〜70重量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体単位30〜60重量%及びその他の共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%からなるマレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体、(A2)スチレン系グラフト共重合体、(A3)芳香族ビニル単量体単位65〜80重量%、シアン化ビニル単量体単位20〜35重量%からなるスチレン系共重合体を下記の組成比で含有してなる組成物100重量部、(B)2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン、デカブロムジフェニルエタン、重量平均分子量1万〜10万のテトラブロモビスフェノールA系フェノキシ樹脂から選ばれた1種以上の難燃剤1〜50重量部及び(C)難燃助剤0〜10重量部を含有する難燃性耐熱樹脂組成物の製造において、(A1)マレイミド基含有単量体単位を含むスチレン系共重合体40〜75重量%ならびに、(A2)スチレン系グラフト共重合体0〜60重量%及び/または(A3)スチレン系共重合体0〜60重量%からなる組成物を耐熱性マスターバッチ樹脂(a1)とし、この(a1)5〜80重量と(a2)(A2)スチレン系グラフト共重合体及び/または(A3)スチレン系共重合体を合計で20〜95重量ならびに、(B)、(C)を混練してなることを特徴とする難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法。
    (A1)2〜60重量%
    (A2)0〜98重量%
    (A3)0〜98重量%
  2. (C)難燃助剤が酸化アンチモンであることを特徴とする請求項1記載の難燃性耐熱樹脂組成物の製造方法。
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