JP4091816B2 - カード式乗車券精算装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、路線バスなどの車両に設けられ、カード式乗車券による運賃の精算を行うカード式乗車券精算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカード式乗車券を用いたカード式乗車券精算装置を説明する。カード式乗車券には例えば、磁気カードまたはICカードが用いられる。
【0003】
乗車区間に関わらず定額の運賃、いわゆる均一運賃を採用している路線バスにおいては、乗車時に運賃を支払う方式が多い。この方式においてカード式乗車券を用いて運賃精算を行う場合、乗車時にカード式乗車券精算装置にカード式乗車券を挿入すると、カード式乗車券に記録されている金額データが読取られ、その金額データから運賃が減算処理され、残額が乗車した路線バスの路線系統番号、乗車地および乗車時刻とともにカード式乗車券に記録される。降車時には運賃精算を行わないため、カード式乗車券の読取りおよび書込みは行われない。
【0004】
ある路線バスから他の路線バスへ乗継ぐ場合、乗継運賃による運賃精算を行うことがある。均一運賃を採用している路線バスにおける乗継精算の例を以下に示す。
【0005】
乗車時、カード式乗車券精算装置にカード式乗車券が挿入されると、カード式乗車券に記録されている金額データ、前回乗車した路線の系統番号、前回の乗車地および前回の乗車時刻が読取られ、カード式乗車券から読取った前回の乗車時刻と今回の乗車時刻が所定時間内の場合、乗継ぎ有効と判断して乗継運賃がカード式乗車券の金額データから減算処理され、その残額が路線バスの路線系統番号、乗車地および乗車時刻とともにカード式乗車券に記録される。カード式乗車券から読取った前回の乗車時刻と今回の乗車時刻が所定時間外の場合、通常の乗車と判断され、通常の運賃が減算処理される。
【0006】
前回の乗車時刻と今回の乗車時刻が所定時間内か否かで乗継を判定する場合、長い区間乗車している乗客の場合、適切な乗継であるにも関わらず、所定時間外となることがある。乗継判定のための所定時間を長くすると、本来、乗継には該当しない乗客に対しても、乗継と判断してしまうという問題がある。乗車時に前回の降車時刻が確認できれば上記の問題は解決できるが、そのためには、降車時に降車時刻をカード式乗車券に記録する必要がある。しかし、乗車時に運賃を支払う方式の路線バスにおいては、降車時にカード式乗車券がカード式乗車券精算装置に挿入されないため、降車時刻をカード式乗車券に記録することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、乗車時に運賃を支払う方式(運賃先払い)の路線バスにおいて、降車時にカード式乗車券に降車データを記録することなく、適切な乗継判定ができるカード式乗車券精算装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のカード式乗車券精算装置は、均一運賃形態でかつ運賃先払いで運行されるバス車両のカード式乗車券精算装置であって、通常運賃と乗継運賃とを記憶している運賃記憶手段と、各運行系統の停留所コードの順序と各停留所間の所要時間とを記憶している運行情報記憶手段と、金額データ、乗車系統、乗車地および乗車時刻が記録されたカード式乗車券が挿入され、そのカード式乗車券の記録情報を読取る読取り手段と、上記運行情報記憶手段を参照して、上記読取り手段により読取られたカード式乗車券の乗車系統および乗車地と、現在地とから前回の乗車系統からの乗継が可能か判定する第1乗継判定手段と、上記第1乗継判定手段が乗継可能と判定した場合、上記運行情報記憶手段を参照して、上記読取り手段により読取られた乗車時刻から降車時刻を算出する手段と、上記算出した降車時刻と現在時刻が所定時間内の場合、乗継有効と判定する第2乗継判定手段と、上記第1または第2乗継判定手段が乗継無効と判定した場合、上記運賃記憶手段を参照して通常運賃を上記金額データから減算処理し、上記第1および第2乗継判定手段が乗継有効と判定した場合、上記運賃記憶手段を参照して乗継運賃をを上記金額データから減算処理する手段と、減算処理した残額を新たな金額データとして上記カード式乗車券に記録するとともに、現在地および現在時刻を乗車地および乗車時刻として上記カード式乗車券に記録する書込み手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明の実施例の全体の構成を図1に示す。カード式乗車券(以下、乗車券という)1は各種情報を記録し、またその記録を読出すことができるもので、例えば磁気カードまたはICカードが用いられる。以下、磁気式の乗車券を例に説明を行う。
【0015】
バスの乗車口の乗客用通路近くにカード式乗車券精算装置2が設けられる。
【0016】
カード式乗車券精算装置2には図示しない乗車券通路が形成され、カード式乗車券1をその通路の入口から出口に通過させることにより、通路内に設けられた読取りヘッド4および書込みヘッド5によって乗車券1の記録情報の読取りおよび書込みを行う。
【0017】
乗車券1がカード式乗車券精算装置2の入口に挿入され、これが図示しないカード検出器で検出されると(図2のステップS1),CPU3はモータ6を起動し(ステップS2),図示しない搬送ベルトによって乗車券1を搬送する。乗車券1は読取りヘッド4にて、使用可能金額、有効期間、前回の乗車系統番号、前回の乗車地、前回の乗車年月日時刻(以下、乗車時刻という)が読出され(ステップ3),それらがワークメモリ7に送信される。
【0018】
乗車券1の使用可能金額がない、または有効期間から外れている場合には、乗車券1は有効でないと判断され、モータ6に対し逆転指令が出され(ステップS5),乗車券1は返却される。この時、表示器11及びスピーカ12によって乗客にその内容を知らせることも行われる(ステップS6)。
【0019】
読出されたデータが有効だと判断されると(ステップS4),運行メモリ9を参照して、現在地が乗車券1から読取った前回の乗車系統からの乗継ぎが可能な停留所か判定する(ステップS7)。
【0020】
現在地が前回の乗車系統からの乗継が可能な停留所の場合、運行メモリ9を参照して、前回の乗車系統と現在地とに基づき前回の乗車系統における現在地に相当する停留所、つまり前回の降車地を算出する(ステップS8)。さらに、前回の乗車地と上記算出した前回の降車地との間の所要時間を運行メモリ9を参照して算出し、乗車券1から読取った前回の乗車時刻に、上記算出した所要時間と乗継待ち時間を追加して前回の降車時刻を算出する(ステップS9)。算出した前回の降車時刻と今回の乗車時刻が所定時間内の場合、乗継有効と判定し(ステップS10),運賃メモリ10を参照して乗継運賃を乗車券1から減算処理する(ステップS11)る。なお、上記乗継待ち時間については路線の運行状況に応じて設定されるものであり、例えば、30分程度とすることができる。
【0021】
現在地が前回の乗車系統からの乗継が許可されていない停留所の場合、または、前回の降車時刻と今回の乗車時刻が所定時間外の場合には、乗継無効と判断して、通常運賃を乗車券1から減算処理する(ステップS12)。
【0022】
減算処理後の使用可能金額は、書込みヘッ5により乗車券1に書込まれ(ステップS13),その金額が表示器11に表示された後(ステップS14),乗車券1がカード式乗車券精算装置2の出口へ送られ、乗客に返却される。なお、乗車券1がカード式乗車券精算装置2の出口へ送られると、モータ6は停止される。
【0023】
カード式乗車券精算装置2は、CPU3がプログラムメモリ8内のプログラムを実行する事により機能する。バスの運行に際し、運転者はこれから走るべき路線の系統番号を系統スイッチ13で設定する。CPU3は系統スイッチ13の設定に応じて、運行メモリ9及び運賃メモリ10よりその系統番号の運行データと必要な諸データとを読出し、ワークメモリ7に記憶し、必要に応じて諸データの読出しができる状態を作る。
【0024】
次に各部の詳細を図面により補足説明する。図3は運行路線の例を示し、系統110と系統120とが乗継ぎ停留所1aで交差し、系統120と系統130とが乗継ぎ停留所1bで交差し、系統130の起終点101は系統140との乗継ぎ停留所1cとなっている。各系統の丸印は停留所を示し、その3桁の数字はこの停留所のコードを示す。
【0025】
図4は運行メモリ9の記憶データ例を示すものである。運行メモリ9は各運行系統の停留所コードの順序と各停留所間の所要時間が記憶され、またその停留所に乗継ぎ可能な系統があればその系統コードを記憶している。
【0026】
図5は運賃メモリ10の記憶データ例を示すものである。大人の場合、通常運賃は¥180、乗継運賃が¥120となっており、小人の場合、それぞれ半額となっている。
【0027】
図6は乗車券1のデータフォーマット例を示すものである。乗車券1の磁気ストライプには図6Aに示すように記録情報の始めを示す「STX」、「会社コード(交通機関企業体コード)」、「乗車券固有番号」、「有効期間」、「券金額」、「乗車系統」、「乗車地」、「乗車時刻」、記録情報の終りを示す「ETX」がその順に書込まれており、カード式乗車券精算装置2内での乗車券1の移動により「STX」から順次その記録が読み出される。図6Aは、未使用の¥3000分の乗車券の例を示したものであり、会社コード:XXXQQ、固有番号:ABC123、有効期間:2002.12.31.金額:¥3000が書込まれている。なお、乗車系統、乗車地、乗車時刻については、未使用の乗車券のため、何も書込まれていない。
【0028】
上記乗車券1をカード式乗車券精算装置2を通した状態では、その乗車券1は図6Bに示すように、例えば乗車系統120が乗車系統欄に、乗車地の停留所コード002が乗車地欄に、乗車時刻13:00が乗車時刻欄に、更に通常運賃¥180を、乗車時の券金額¥3000から差し引いて精算された金額¥2820が券金額の欄にそれぞれ記録されたものとなる。
【0029】
図6Cは、図6Bに示した乗車券1を有する乗客が、同日の13時30分に乗車系統130、停留所コード104にて乗車した状態を示している。今回の乗車地が前回の乗車系統からの乗継が可能な停留場かつ乗継時間(前回の降車時刻から今回の乗車時刻までに要した時間)が30分以内のため、乗継乗車だとして乗継運賃¥120を乗車時の券金額¥2820から差し引いて精算された金額¥2700が券金額の欄にそれぞれ記録されたものとなる。
【0030】
上述では、乗継有効とされた場合、運賃メモリ10を参照して乗継運賃を減算処理すると説明したが、運賃メモリ10に通常運賃のみ記憶しておき、通常運賃から一定金額を差し引いた金額を乗継運賃として減算処理してもよい。
【発明の効果】
この発明によれば、乗車券から読取った前回の乗車系統および乗車地と、現在地とに基づき前回の降車地および降車時刻を算出できるため、降車時に、降車地および降車時刻を特定するために乗車券をカード式乗車券精算装置に挿入する必要がない。特に、乗車時のみ乗車券をカード式乗車券精算装置に挿入している均一運賃路線においては、従来通りの装置のまま乗継精算が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるカード式乗車券精算装置のブロック図。
【図2】カード式乗車券精算装置の動作を示す流れ図。
【図3】路線系統、停留所コードの例を示す図。
【図4】運行メモリの記憶例を示す。
【図5】運賃メモリの記憶例を示す図。
【図6】式乗車の記憶例を示す図。
Claims (1)
- 均一運賃形態でかつ運賃先払いで運行されるバス車両のカード式乗車券精算装置であって、
通常運賃と乗継運賃とを記憶している運賃記憶手段と、
各運行系統の停留所コードの順序と各停留所間の所要時間とを記憶している運行情報記憶手段と、
金額データ、乗車系統、乗車地および乗車時刻が記録されたカード式乗車券が挿入され、そのカード式乗車券の記録情報を読取る読取り手段と、
上記運行情報記憶手段を参照して、上記読取り手段により読取られたカード式乗車券の乗車系統および乗車地と、現在地とから前回の乗車系統からの乗継が可能か判定する第1乗継判定手段と、
上記第1乗継判定手段が乗継可能と判定した場合、上記運行情報記憶手段を参照して、上記読取り手段により読取られた乗車時刻から降車時刻を算出する手段と、
上記算出した降車時刻と現在時刻が所定時間内の場合、乗継有効と判定する第2乗継判定手段と、
上記第1または第2乗継判定手段が乗継無効と判定した場合、上記運賃記憶手段を参照して通常運賃を上記金額データから減算処理し、上記第1および第2乗継判定手段が乗継有効と判定した場合、上記運賃記憶手段を参照して乗継運賃をを上記金額データから減算処理する手段と、
減算処理した残額を新たな金額データとして上記カード式乗車券に記録するとともに、現在地および現在時刻を乗車地および乗車時刻として上記カード式乗車券に記録する書込み手段とを備えたことを特徴とするカード式乗車券精算装置。
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