JP4605627B2 - カード式乗車券精算装置およびカード式乗車券精算方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、路線バスなどの車両に設けられ、カード式乗車券による運賃の精算を行うカード式乗車券精算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカード式乗車券を用いたカード式乗車券精算装置を説明する。(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−208665号公報
【0004】
乗車時に乗車用カード処理装置にカード式乗車券が挿入されると、カード式乗車券に記録されているカードの固有番号と金額データが読取られ、降車用カード処理装置のメモリ内にカードの固有番号と対応させて乗車地が記憶される。
【0005】
降車時に降車用カード処理装置にカード式乗車券が挿入されると、カード式乗車券に記録されているカードの固有番号と金額データが読取られ、降車地である現在地とメモリ内に記憶されているカードの固有番号に対応する乗車地とから乗車運賃が算出され、その乗車運賃がカード式乗車券に記録されている金額データから減算処理され、その残額が新たな金額データとして乗車系統、降車地および降車日時とともにカード式乗車券に記録される。
【0006】
朝夕のラッシュ時間帯において、特定の停留所、例えば、鉄道や他のバス路線との乗継ぎ停留所など、多数の乗客がある停留所の場合、当該停留所での乗車処理に時間を要するため停車時間が長くなるという問題がある。特に、磁気カード式乗車券では乗車用カード処理装置にカード式乗車券を挿入する必要があるため、乗車処理に要する時間が長くなり、定刻通りのバスの運行ができないという問題があった。
乗車時間を短縮するため、乗車時にカード式乗車券を乗車用カード処理装置に挿入せずに乗車を許可するケースもある。その場合、降車用カード処理装置で乗車地を判定できないため、乗客の申告に基づき、乗務員のマニュアル操作による運賃精算を行う必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、乗車時の処理に要する時間を短縮することができるカード式運賃精算装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のカード式乗車券精算装置は、
固有番号と使用可能金額の情報を記憶したカード式乗車券を精算するカード式乗車券精算処理装置において、
乗車口の近傍に設けられ、乗車時に、上記カード式乗車券の固有番号を読取り、その読取った固有番号を中央処理装置に送信する乗車用カード処理装置と、
降車口の近傍に設けられ、上記カード式乗車券の固有番号及び使用可能金額を読取り、その読取った固有番号及び使用可能金額を上記中央処理装置に送信し、その中央処理装置から送信される精算後の使用可能金額を上記カード式乗車券に書込む降車用カード処理装置と、
各停留所間の運賃情報を記憶している運賃記憶手段と、各運行系統の系統情報と各運行系統における乗車利用客が最も多い停留所を特定停留所データとして記憶している運行情報記憶手段と、上記乗車用カード処理装置から送信される固有番号を現在地と組して記憶するデータ記憶メモリとを有し、上記降車用カード処理装置から送信される固有番号から上記データ記憶メモリの記憶を参照して該当する個別番号が記憶されているか否かを確認し、それに基づいてそのカード式乗車券の乗車地を判定する中央処理装置であって、
a)該当する個別番号が上記データ記憶メモリに記憶されている場合、その個別番号と組みして記憶されている乗車地をそのカード式乗車券の乗車地と判定する一方、
b)上記降車用カード処理装置から送信される固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、上記運行情報記憶手段に記憶されている特定停留所データに基づく停留所を上記固有番号の乗車地と判定し、
上記a)又はb)のように判定した乗車地と現在地とから算出される運賃を上記降車用カード処理装置から送信される使用可能金額から差し引き、その差し引かれた精算後の使用可能金額を上記降車用カード処理装置に送信する中央処理装置と、よりなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のカード式乗車券精算方法は、
固有番号と使用可能金額の情報を記憶したカード式乗車券を精算するカード式乗車券精算方法において、
各運行系統における乗車利用客が最も多い停留所を特定停留所として運行メモリに記憶するステップと、
乗車時に、上記カード式乗車券の固有番号を読取り、その読取った固有番号を現在地と組してデータ記憶メモリに記憶するステップと、
降車時に、上記カード式乗車券の固有番号及び使用可能金額を読取り、上記データ記憶メモリを参照して、上記読取った固有番号から、該当する個別番号が記憶されているか否かを確認し、それに基づいてそのカード式乗車券の乗車地を判定するステップと、
降車時に、該当する個別番号が上記データ記憶メモリ記憶されている場合、その個別番号と組みして記憶されている乗車地をそのカード式乗車券の乗車地と判定する一方、上記読取ったカード式乗車券の固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、上記運行メモリに記憶されている特定停留所を上記固有番号の乗車地と判定するステップと、
上記判定した乗車地と現在地とから運賃を算出し、その運賃を降車時に読取った使用可能金額から差し引き、その差し引かれた精算後の使用可能金額を上記カード式乗車券に書込むステップと、よりなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のカード式乗車券精算方法は、請求項2に記載のカード式乗車券精算方法において、降車時に、上記読取ったカード式乗車券の固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、現在地が上記運行メモリに記憶されている上記特定停留所を通過したか否かを判断するステップと、上記現在地が上記特定停留所を通過している場合、上記特定停留所を上記固有番号の乗車地と判定するステップと、よりなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下この発明のカード式乗車券精算装置の実施例を図面を使用して詳細に説明する。
この発明の実施例の全体の構成を図1に示す。カード式乗車券1は各種情報を記録し、またその記録を読出すことができるもので、例えば、磁気カードが用いられる。
【0013】
バスの乗車口500及び降車口700の通路近くに乗車用カード処理装置5,降車用カード処理装置7がそれぞれ設けられる。乗車用カード処理装置5は読取り専用のカード処理装置であり、降車用カード処理装置7は、読取りおよび書込みが可能なカード処理装置である。
上記カード処理装置5,7の総合管理を行う中央処理装置80及び運転手が操作する入力操作部9が運転席近くに設けられる。
【0014】
乗車用カード処理装置5には乗車券通路501が形成され、カード式乗車券1をその通路501の入口502から出口503に通過させることにより、カード式乗車券1の記録情報の読取りを行う。カード式乗車券1を入口502に挿入するとモータ504が起動され、モータ504によってカード搬送機構505が駆動され、自動的にカード式乗車券1が出口503に移動される。
【0015】
カード式乗車券1が入口502に挿入されると、カード挿入検出器506が検出し(図2のステップS1),制御部510が動作を開始し、制御部510はモータ504を起動し(ステップS2),挿入されたカード式乗車券1を搬送する。カード式乗車券1はその搬送途中で読取りヘッド507にて、この例では使用可能金額、有効期間、カード式乗車券固有番号等の諸データが読出され(ステップS3)、その読出されたデータが有効であると判断されると(ステップS4),読取ったカード式乗車券1の固有番号は中央処理装置80に送信され(ステップS5),中央処理装置80のデータ記録メモリ807に現在地と組とされて記憶される。その後、カード式乗車券1は出口503に送られ、モータ504は停止され(ステップS6),カード式乗車券1に記憶されている使用可能金額が表示され(ステップS7),乗客に返却される。
もし読出されたデータから使用可能金額がない場合、有効期間が外れている場合等有効でないと判断されると、モータ504に対し逆転指令が出され(ステップS8),カード式乗車券1は返却される。この時、表示器511及びスピーカ512によって乗客にその内容を知らせることも行われる(ステップS9)。
【0016】
降車口700側に設置される降車用カード処理装置7の電気的ならびに機械的構成は、乗車用カード処理装置5に、書込みヘッド708とデータの書替えが正常に行われたかをチェックする読取りヘッド709とが付加されたものになる。
降車用カード処理装置7でのカード式乗車券1の処理は図3に示すように、降車時点でカード式乗車券1が入口702に挿入され、これがカード検出器706で検出されると(ステップS10),モータ704が起動され(ステップS11),カード式乗車券1の固有番号及び使用可能金額が読取りヘッド707にて読取られ(ステップS12),それらが中央処理装置80に送信される(ステップS13)。
カード式乗車券1のデータが有効、無効の判定がされ(ステップS14),有効の場合、中央処理装置80から送信される金額データ、乗車系統、降車地および降車日時等の降車処理データを受信し(ステップS15),書込みヘッド708を介してカード式乗車券1に書き込まれる(ステップS16)。
カード式乗車券1が降車用カード処理装置7の出口703へ送られるとモータ704は停止され(ステップS17),乗客に対して表示器711によって残高金額等が知らされる(ステップS18)。
カード式乗車券1のデータが無効の場合、モータ704に対し逆転指令が出され(ステップS19),カード式乗車券1は返却されるとともに、表示器711及びスピーカ712によって乗客にその内容を知らせる(ステップS20)。
【0017】
中央処理装置80は、各運行系統毎に乗車時の乗車処理を不要とした停留所(以後、見なし停留所と記す。)を予め記憶している。
また、中央処理装置80は、図4に示すごとく、乗車用カード処理装置5からカード式乗車券1の固有番号が送信される都度(ステップS21),データ記憶メモリ807に現在地と組として記憶される(ステップS22)。
【0018】
中央処理装置80では、降車用カード処理装置7から送信される固有番号を受信する(ステップS23)と、データ記録メモリ807の記憶を参照して該当する個別番号が記憶されているか確認する(ステップS24)。
該当する個別番号が記憶されている場合、個別番号と組みして記憶されている乗車地データをそのカード式乗車券1の乗車地と判定し(ステップS25),判定した乗車地と現在地とに基づき、運賃メモリ806を参照して乗車運賃Prを算出する(ステップS26)。算出した乗車運賃Prを降車用カード処理装置7から送信された使用可能金額から差し引いて運賃精算を行い(ステップS27),精算後の使用可能金額、乗車系統、降車地および降車日時等の降車処理データを降車用処理装置7に送信する(ステップS28)。
該当する個別番号がデータ記憶メモリ807に記憶されていない場合、現在地が既に見なし停留所を通過しているかチェックする(ステップS29)。
既に見なし停留所を通過している場合、そのカード式乗車券1は見なし停留所から乗車したものと判定する(ステップS30)。まだ見なし停留所を通過していない場合、始発停留所から乗車したものと判定する(ステップS31)。
【0019】
次に図1における中央処理装置80と入力操作部9との構成、作用を説明する。中央処理装置80はカード処理装置5,7のそれぞれを管理するものであり、カード処理装置5,7と必要データの送受信を行うためのインタフェースユニット(以下、I/Oと称する)801,802と、有効期間の管理を行うための時計回路803と、入力操作部9とのデータ送受用I/O804と、運行系統毎の停留所データおよび運行系統毎の見なし停留所等を記憶した運行メモリ805と、運賃精算に必要な運賃メモリ806と、乗車地ごとにカード式乗車券1の固有番号を分類記憶し、また必要に応じて乗客の利用乗車区間、路線収入、運行時間等の乗降データを記憶するためのデータ記録メモリ807と、データ記録メモリ807内の収集データを外部から取り出す出力端子、及び運行メモリ805,運賃メモリ806の情報書替えのためのデータ入力用端子とするデータ入出力用I/O808と、各構成部を制御するマイクロコンピュータ809とがデータバス810にて互いに接続されて構成されている。
【0020】
入力操作部9は運行系統を指示するための系統スイッチ901と、運行開始時にそのことを中央処理装置80にセットするための起動スイッチ902と、停留所に停車した(到着した)ことを知るためのドア開信号904の入力部と、停留所を判定するための距離信号あるいは運転者の操作による停留所信号905の入力部と、主としてカード処理装置5,7の動作を監視するモニタ903などで構成される。
【0021】
バスの運行に際しては、運転者はこれから走るべき路線の系統番号を系統スイッチ901で設定し、起動スイッチ902を押す。これによりI/O804を介してマイクロコンピュータ809に運行系統が指示されるため、マイクロコンピュータ809は運行メモリ805及び運賃メモリ806よりその系統の運行データ、見なし停留所データ、運賃データとを読出し、マイクロコンピュータ809内に持つ一次記憶メモリのRAMに記憶し、必要に応じて諸データの読出しができる状態を作る。
【0022】
図5は運行メモリ805の記憶データ例を示す。運行メモリ805は各運行系統の停留所コードの順序とその運賃区間と各停留所間の所要時間と、乗車時のカード処理なしで乗車を許可する見なし停留所が識別可能に記録されている。
なお、上記見なし停留所は乗車処理時間の短縮の効果が最も得られるよう、乗車利用客の最も多い停留所が予め選定されている。
【0023】
図6は運賃メモリ806の記憶データ例として120系統の運賃表(大人)を示す。例えばコード002の停留所で乗り、コード015の停留所で降りた人は運賃が140円である。
【0024】
上述では、中央処理装置80はカード処理装置5,7とは別に設置されているが、中央処理装置80を、例えば降車用カード処理装置7に組み込んでもよい。また、カード式乗車券としては磁気カードに限らず、半導体メモリを用いたICカードでもよい。
【0025】
【発明の効果】
この発明によれば、降車時に乗車地を判定する際、カード式乗車券の固有番号に該当する乗車地が中央処理装置に記憶されていない場合、見なし停留所(特定停留所)から乗車したものと判定するようにしたため、見なし停留所(特定停留所)では、乗車時のカード処理を不要にすることができる。また、従来、降車時に乗車地データが判定できない場合、乗務員によるマニュアル精算をしなければならなかったが、乗車時にカード処理をしていない場合においても乗車地を判定できるため、運賃精算の際、乗務員の手を煩わせることがない。したがって、乗車および降車処理に要する時間の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるカード式乗車券精算装置の一実施例を示すブロック図。
【図2】乗車用カード処理装置の動作を示す流れ図。
【図3】降車用カード処理装置の動作を示す流れ図。
【図4】中央処理装置の動作を示す流れ図。
【図5】路線系統、停留所コード、区間コードの例を示す図。
【図6】運賃メモリの記憶例を示す図。
Claims (3)
- 固有番号と使用可能金額の情報を記憶したカード式乗車券を精算するカード式乗車券精算処理装置において、
乗車口の近傍に設けられ、乗車時に、上記カード式乗車券の固有番号を読取り、その読取った固有番号を中央処理装置に送信する乗車用カード処理装置と、
降車口の近傍に設けられ、上記カード式乗車券の固有番号及び使用可能金額を読取り、その読取った固有番号及び使用可能金額を上記中央処理装置に送信し、その中央処理装置から送信される精算後の使用可能金額を上記カード式乗車券に書込む降車用カード処理装置と、
各停留所間の運賃情報を記憶している運賃記憶手段と、各運行系統の系統情報と各運行系統における乗車利用客が最も多い停留所を特定停留所データとして記憶している運行情報記憶手段と、上記乗車用カード処理装置から送信される固有番号を現在地と組して記憶するデータ記憶メモリとを有し、上記降車用カード処理装置から送信される固有番号から上記データ記憶メモリの記憶を参照して該当する個別番号が記憶されているか否かを確認し、それに基づいてそのカード式乗車券の乗車地を判定する中央処理装置であって、
a)該当する個別番号が上記データ記憶メモリに記憶されている場合、その個別番号と組みして記憶されている乗車地をそのカード式乗車券の乗車地と判定する一方、
b)上記降車用カード処理装置から送信される固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、上記運行情報記憶手段に記憶されている特定停留所データに基づく停留所を上記固有番号の乗車地と判定し、
上記a)又はb)のように判定した乗車地と現在地とから算出される運賃を上記降車用カード処理装置から送信される使用可能金額から差し引き、その差し引かれた精算後の使用可能金額を上記降車用カード処理装置に送信する中央処理装置と、
よりなることを特徴とするカード式乗車券精算装置。 - 固有番号と使用可能金額の情報を記憶したカード式乗車券を精算するカード式乗車券精算方法において、
各運行系統における乗車利用客が最も多い停留所を特定停留所として運行メモリに記憶するステップと、
乗車時に、上記カード式乗車券の固有番号を読取り、その読取った固有番号を現在地と組してデータ記憶メモリに記憶するステップと、
降車時に、上記カード式乗車券の固有番号及び使用可能金額を読取り、上記データ記憶メモリを参照して、上記読取った固有番号から、該当する個別番号が記憶されているか否かを確認し、それに基づいてそのカード式乗車券の乗車地を判定するステップと、
降車時に、該当する個別番号が上記データ記憶メモリ記憶されている場合、その個別番号と組みして記憶されている乗車地をそのカード式乗車券の乗車地と判定する一方、上記読取ったカード式乗車券の固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、上記運行メモリに記憶されている特定停留所を上記固有番号の乗車地と判定するステップと、
上記判定した乗車地と現在地とから運賃を算出し、その運賃を降車時に読取った使用可能金額から差し引き、その差し引かれた精算後の使用可能金額を上記カード式乗車券に書込むステップと、
よりなることを特徴とするカード式乗車券精算方法。 - 請求項2に記載のカード式乗車券精算方法において、
降車時に、上記読取ったカード式乗車券の固有番号が上記データ記憶メモリに記憶されていない場合、現在地が上記運行メモリに記憶されている上記特定停留所を通過したか否かを判断するステップと、
上記現在地が上記特定停留所を通過している場合、上記特定停留所を上記固有番号の乗車地と判定するステップと、
よりなることを特徴とするカード式乗車券精算方法。
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