JP4089429B2 - 空気通路開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性を有した膜状部材を往復動させて空気通路の連通面積を変化させる空気通路開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図9、図10に示すように、可撓性を有した膜状部材221を直線状の経路内で往復動させて、空気通路15a、16の連通面積を変化させる空気通路開閉装置が知られている。この膜状部材221の全域に膜状部材221の往復動方向と垂直な方向に延びる補強部221cを形成し、膜状部材221を補強している。これにより、空気通路15a、16の空気流れ上流側の空気圧によって膜状部材221が変形することを抑制している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−79819号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者等による試作検討中の空気通路の入り口周縁部には曲線形状のシール面35が形成されている。しかし、上記従来技術の膜状部材221を本発明者等の試作検討中の空気通路に適用すると、膜状部材221の剛性が高すぎるため、図11の膜状部材221移動方向の断面図に示すように、シール面35と膜状部材221との間に隙間40が生じて風漏れが発生するという問題があった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、可撓性を有する膜状部材により空気通路を開閉し、空気通路入り口周縁部のシール面が曲線状の空気通路開閉装置において、作動方向と垂直な方向の剛性を維持しつつ、膜状部材とシール面とのシール性を確保することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、空気通路(15a、16、19〜21)を形成するケース(11)と、ケース(11)内に移動可能に配置されたスライドドア(14、22)とを備え、スライドドア(14、22)は、可撓性を有する膜状部材(141b、221)と空気流通用の開口部(142、222)とを有し、スライドドア(14、22)の移動により開口部(142、222)と空気通路(15a、16、19〜21)との連通面積が変化して空気通路(15a、16、19〜21)を開閉し、空気通路(15a、16、19〜21)の周縁部には、空気通路(15a、16、19〜21)が閉じられたときに膜状部材(141b、221)が風圧により圧接するシール面(29、35)が、スライドドア(14、22)の移動方向において曲線形状に形成され、膜状部材(141b、221)のうちシール面(29、35)に圧接する範囲を除く部位であって、前記範囲の内側の部位には、膜状部材(141b、221)の剛性を高める剛性増加手段(141c、141f、221c)が、スライドドア(14、22)の移動方向と垂直な方向に延びる形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによると、シール面(29、35)と膜状部材(141b、221)とが圧接する部分には剛性増加手段(141c、141f、221c)を設けないので、シール面(29、35)に膜状部材(141b、221)が密着する。このため、シール面(29、35)と膜状部材(141b、221)とのシール性を高めることができる。一方、剛性増加手段(141c、141f、221c)は膜状部材(141b、221)のうちシール面(29、35)に圧接する範囲を除く部位に形成される。このため、風上側から風を受けて膜状部材(141b、221)が変形することを抑制できる。したがって、膜状部材(141b、221)のシール性を確保しつつ、スライドドア(14、22)の作動方向と垂直な方向の剛性を高めることができる。なお、膜状部材(141b、221)のうちシール面(29、35)に圧接する範囲を除く部位とは、シール面(29、35)と膜状部材(141b、221)とが重なる部位を少し含んだ範囲でも良い。つまり、シール面(29、35)と剛性増加手段(141c、141f、221c)とが少し重なるように配置されていても良い。このような範囲であっても、膜状部材(141b、221)の幅方向の端部に膜状部材(141b、221)のみからなる領域が備えられているので、シール性を確保できる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、剛性増加手段(141c、141f、221c)は膜状部材(141b、221)の厚みよりも厚い形状の補強部(141c、221c)により構成されること特徴とする。
【0009】
これにより、膜状部材(141b、221)のうちスライドドア(14、22)の移動方向と垂直な方向の剛性を高めることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1において、剛性増加手段(141c、141f、221c)は膜状部材(141b、221)を曲げて形成する折曲部(141f)であることを特徴とする。
【0011】
これによると、膜状部材(141b、221)の剛性を高めるための部材を加える必要がないので、材料コストを削減できる。
【0012】
請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、剛性増加手段(141c、141f、221c)を所定の間隔で配置すれば、スライドドア(14、22)の移動方向に適度な柔軟性を持たせることができる。このためスライドドア(14、22)の移動経路が曲折した経路であっても操作力の増大を抑制できる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の一実施形態を適用した車両用空調装置における室内ユニット部のうち、熱交換器部を収容している空調ユニット10を示す。この空調ユニット10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側において、車両左右(幅)方向の略中央部に配置される。図1の上下前後の矢印は車両搭載状態における方向を示す。車両用空調装置の室内ユニット部は、上記略中央部の空調ユニット10と、計器盤内側において助手席側にオフセット配置される図示しない送風機ユニットとに大別される。
【0015】
送風機ユニットは、外気(車室外空気)または内気(車室内空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱に導入された空気を送風する送風機とを備えている。この送風機ユニットの送風空気は、空調ユニット10のケース11内のうち、最下部の空気流入空間12に流入するようになっている。
【0016】
ケース11は、ポリプロピレンのような弾性を有し、機械的強度も高い樹脂にて成形されている。ケース11は、成形上の型抜きの都合、ケース内への空調機器の組付上の理由等から具体的には複数の分割ケース体に分割して成形した後に、この複数の分割ケース体を一体に締結する構成になっている。
【0017】
空調ユニット10のケース11内において空気流入空間12の上方には冷房用熱交換器をなす蒸発器13が小さな傾斜角度でもって略水平方向に配置されている。従って、送風機ユニットの送風空気は空気流入空間12に流入した後、この空間12から蒸発器13を下方から上方へと通過する。蒸発器13は周知のように車両空調用冷凍サイクルの膨張弁等の減圧装置により減圧された低圧冷媒が流入し、この低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発するようになっている。
【0018】
そして、蒸発器13の上方(空気流れ下流側)には膜状部材141b、141bからなるエアミックス用スライドドア14が配置され、さらに、このエアミックス用スライドドア14の上方(空気流れ下流側)に温水式ヒータコア15が配置されている。このヒータコア15は周知のように車両エンジンの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器である。
【0019】
このヒータコア15も略水平方向に配置されているが、ヒータコア15はケース11内の通路断面積より小さくして、ケース11内のうち車両前方側に偏って配置してある。これにより、ヒータコア15の車両後方側(乗員座席寄りの部位)に、ヒータコア15をバイパスして空気が流れるバイパス通路16を形成している。
【0020】
エアミックス用スライドドア14は、蒸発器13とヒータコア15との間にて車両前後方向aに移動(往復動)して、ヒータコア15の通風路(温風通路)15aを通過する温風とバイパス通路16を通過する冷風との風量割合を調整するものであって、この冷温風の風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を調整することができる。従って、エアミックス用スライドドア14により車室内への吹出空気の温度調整手段が構成される。
【0021】
ヒータコア15を通過した温風は温風ガイド壁17により車両後方側へガイドされて空気混合部18に向かう。この空気混合部18にてバイパス通路16からの冷風とヒータコア15通過後の温風が混合して所望温度となる。
【0022】
ケース11の上面部(空気下流端部)には、車両後方側から車両前方側へ向かって、複数の吹出開口部、すなわち、フェイス開口部19、デフロスタ開口部20、およびフット開口部21が順次開口している。フェイス開口部19は空気混合部18からの空調空気を乗員の上半身に向けて吹き出すためのもので、デフロスタ開口部20は空気混合部18からの空調空気を車両フロントガラス内面に向けて吹き出すためのもので、フット開口部21は空気混合部18からの空調空気を乗員の足元部に向けて空調空気を吹き出すためのものである。これらの複数の吹出開口部19、20、21は、1枚の膜状部材221からなる吹出モード用スライドドア22が車両前後方向bに移動(往復動)して開閉される。これらの複数の吹出開口部の入り口(風上側)の部位にはシール面35が形成されており、膜状部材221の面が圧接するようになっている。
【0023】
ところで、上記したエアミックス用スライドドア14および吹出モード用スライドドア22はいずれも図1に示すようにケース11内の曲折した経路を往復動するので、この曲折した経路に沿って変形し得るように可撓性を有する膜状部材(樹脂製フィルム材)141b、221を用いて構成されている。この膜状部材141b、221の具体的材質としては可撓性を有し、かつ、摩擦抵抗が小さい樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが好適である。
【0024】
なお、膜状部材141b、221の板厚は例えば、100〜250μm程度の微小寸法である。このような範囲にフィルムの板厚を設定することにより、スライドドア14、22の送り出しに必要な剛性を確保しつつ、往復動経路の曲げ部ではその曲げ形状に沿ってフィルムが容易に変形して、曲げ力による著しい操作力の増大を抑制する。
【0025】
次に、エアミックス用スライドドア14について詳述する。図2はエアミックス用スライドドア14単体の具体的構成を例示するものであり、ドア14の移動方向aの中央部領域に空気が流通可能な矩形状の枠体からなる支持部材143を配置し、この支持部材143のドア移動方向aへの前後両側の端部にそれぞれ膜状部材141bを結合している。
【0026】
支持部材143はポリプロピレン等の樹脂成形品からなる剛体であり、ドア移動方向aと直交方向に延びる枠部143a、143bが所定間隔で平行に配置され、この枠部143a、143bの長手方向の両端部付近をドア移動方向aに延びる枠部143c、143dにより結合している。従って、これらの枠部143a〜143dにより矩形状の枠体を構成している。
【0027】
また、2本の枠部143a、143bの長手方向の中間部位にはドア移動方向aに延びる2本の補強リブ143e、143fを配置している。これらの枠部143a〜143dおよび補強リブ143e、143fは樹脂により一体成形されている。
【0028】
上記枠部143a〜143dの内側は空気が流通可能な開口部142であり、この開口部142は補強リブ143e、143fにより3つの部分に分割形成されている。
【0029】
ドア移動方向aと直交方向に延びる枠部143a、143bにおいて長手方向の両端部に円柱状のガイドピン148を形成している。このガイドピン148は図1に示すケース側の右側ガイド部27、28および図示しない左側ガイド部内に摺動可能に嵌合する。
【0030】
また、枠部143a、143bにはその長手方向に沿って複数(図2の例では6個)の係止ピン143gが所定間隔にて一体成形されている。この係止ピン143gは枠部143a、143bにおいて開口部142に面する部位に配置されている。そして、この係止ピン143gは図2のA−A断面図である図3に示すように、円柱状の軸部143hを有し、この軸部143hの先端部に茸状に拡大された拡大頭部143iを一体成形した形状である。なお、図3に示すように支持部材143の枠部143aに弾性部材143jの支持面143kを一体に成形し、この支持面143k上に弾性部材143jを接着等により固定している。この弾性部材143jは自身の弾性反力により膜状部材141bをケース11側のシール面に押圧して、膜状部材141bのシール効果を向上させるものである。そして、この弾性部材143jと接触しない膜状部材141bの風上側の部位に補強部141cが形成されている。なお、図3では枠部143a側の構成のみを示しているが、他の枠部143b側においても同様に、支持面143kおよび弾性部材143jを設けている。
【0031】
また、膜状部材141bの端部付近には図4に示すように長穴形状の係止穴部141dを形成している。この係止穴部141dの長穴形状の長軸方向は、膜状部材141bの展開状態においてドア移動方向aに向いている。また、この係止穴部141dから長穴形状の左右両側(短軸方向)へ延びるスリット141eが形成してある。
【0032】
係止穴部141dの長穴形状の長軸方向の径寸法は係止ピン143gの拡大頭部143iの径寸法より大きくしてあるが、係止穴部141dの長穴形状の短軸方向の径寸法は係止ピン143gの拡大頭部143iの径寸法より小さく、かつ、係止ピン143gの軸部143hの径寸法と同等以上に設計してある。
【0033】
ここで、係止穴部141dの長穴形状の長軸方向の径寸法は係止ピン143gの軸部143hの径寸法より大きいので、膜状部材141bは係止穴部141dの長穴形状の長軸方向、すなわち、ドア移動方向aに対してある程度移動可能な状態で支持部材143に結合されている。
【0034】
一方、空調ユニット10のケース11において、ヒータコア15の通風路(温風通路)15aおよびバイパス通路16よりも下方の内壁面の右側に、ドア移動方向aと平行に延びる水平方向の右側ガイド部27、28(図1、図5参照)が設けられ、この右側ガイド部27、28内にガイドピン148を摺動可能に嵌入する。同様に、この右側ガイド部27、28の反対側(運転席側)においても図示しない左側ガイド部が設けられており、ガイドピン148を摺動可能に嵌入するようになっている。これにより、膜状部材141bと支持部材143とを含むスライドドア14全体はガイドピン148と右側ガイド部27、28および図示しない左側ガイド部との嵌合部により車両前後方向aに摺動可能にケース11の左右両側の内壁面に保持される。なお、図5は図1のB−B断面に相当する断面図である。但し、図1のB−B断面位置には膜状部材141bおよび補強部141cが位置しており、スライドドア14の支持部材143およびガイドピン148は位置していない。また、空気通路15a側には格子34を設けており、膜状部材141bが空気圧により変形することを抑制している。
【0035】
図1に示すように、ケース11内において、スライドドア14の直ぐ下方の部位で、ヒータコア15の通風路15aとバイパス通路16との中間部位(ケース11内部の車両前後方向の中間部位)にドア駆動軸25がドア移動方向aと直交する方向(車両左右方向)に配置されている。この駆動軸25の軸方向の両端部はケース11の壁面の軸受け穴(図示せず)により回転自在に支持されている。この駆動軸25のうち、上記円弧形状ギヤ149a、149bと対応する部位(軸方向の両側部位)にそれぞれ円形駆動ギヤ(ピニオン)26を樹脂により一体成形で設けて、この駆動ギヤ26を円弧形状ギヤ149a、149bとかみ合わせるようになっている。
【0036】
また、駆動軸25の軸方向の一端部はケース11の外部へ突出し、この駆動軸25の突出端部をドア駆動装置を構成するサーボモータ(図示せず)の出力軸に適宜の連結機構を介して連結している。これにより、サーボモータの回転が駆動軸25に伝達され、さらに、駆動軸25の回転は、駆動ギヤ26と円弧形状ギヤ149a、149bとのかみ合いによりスライドドア14の往復動運動に変換される。
【0037】
図1の配置レイアウトから理解されるように、ケース11の曲折した経路をスライドドア14の往復動運動に伴って、膜状部材141bは車両前後方向に移動する。そして、膜状部材141bの幅方向(図1の紙面垂直方向)の右側部の右側ガイド部27、28および図示しない左側ガイド部の溝空間内に摺動自在に挿入して、膜部分141bの移動をガイドするようになっている。両ガイド部のうち風下側のガイド部、例えば、右側ガイド部27、28のうち上側のガイド部28の風上側の壁面は温風通路15aおよび冷風通路16の入り口周縁部のシール面29と共通の役割を果たしている。
【0038】
一方、スライドドア14がケース11内に組付られた状態(図6)においては、支持部材143が風上側に位置し、そして、膜状部材141bが風下側に位置する。膜状部材141bは支持部材143に対してドア移動方向aで係止され、空気流れ方向X(図6)には拘束されていないので、膜状部材141bが風圧を受けると、風下側に移動して、膜状部材141bの面がケース11に形成されたシール面29に圧接するようになっている。つまり、膜状部材141bは支持部材143とケース側のシール面29との間で微小寸法だけ変位可能に保持されている。なお、このシール面29の具体的な位置は、右上側ガイド部28の風上側の壁面を含む範囲29aである。なお、図6は右側ガイド部27、28の代表例として、バイパス通路16の車両右側部分のみを図示しているが、右側ガイド部27、28はバイパス通路16の車両左側部分、温風通路の開口部15aの車両左側部分および車両右側部分においても同一構成となっている。
【0039】
次に、吹出モード用スライドドア22の具体例を図7により説明する。なお、図7は吹出モード用スライドドア22の風上側の平面図である。
【0040】
吹出モード用スライドドア22の膜状部材221にも移動方向bの中央部に空気流通用の開口部222が複数に分割して開口している。膜状部材221において中央部の開口部周辺部221aの前後両側に空気流通用開口部のない膜部分221bを形成している。そして、開口部周辺部221aの剛性増加手段として、膜状部材221と別体の補強膜状部材223を膜状部材221に一体に貼り付けて固定(接着)している。
【0041】
この補強膜状部材223には膜状部材221の開口部222と同一形状の開口部224が開けてあるので、この両開口部222、224を通過して空気が流通する。
【0042】
膜状部材221の開口部周辺部221aおよび補強膜状部材223の幅方向の両端部近傍には、この両部材を貫通するギヤかみ合い用の穴部225、226が開けてある。一方、ケース11の上面部に位置するフェイス開口部19とデフロスタ開口部20との中間部位で、かつ、吹出モード用スライドドア22の上方部に駆動軸30がドア移動方向bと直交する方向(車両左右方向)に配置されている。
【0043】
この駆動軸30の軸方向の両端部は、ケース11の壁面の軸受け穴(図示せず)により回転自在に支持されている。この駆動軸30のうち、上記穴部225、226と対応する部位(軸方向の両側部位)にそれぞれ駆動ギヤ31を樹脂により一体成形で設けている。この駆動ギヤ30の歯が膜状部材221の穴部225、226にかみ合うようになっている。
【0044】
また、駆動軸30の軸方向の一端部はケース11の外部へ突出し、この駆動軸30の突出端部をドア駆動装置を構成するサーボモータ(図示せず)の出力軸に適宜の連結機構を介して連結している。これにより、サーボモータの回転が駆動軸30に伝達され、さらに、駆動軸30の回転は、駆動ギヤ31と穴部225、226とのかみ合いによりスライドドア22の往復動運動に変換される。
【0045】
膜状部材221、223をケース11内の曲折した経路に沿って往復動させるために、ケース11の内壁面にガイド部32、33を一体成形等により設けている。このガイド部32、33の溝空間内に膜状部材221、223の幅方向の両端部を挿入してガイドするようにしてある。ガイド部32、33は、駆動軸30の配置部位を除いて、スライドドア22(膜状部材221)の往復動経路の全長にわたって形成してある。
【0046】
一方、前述した両スライドドア14,22の膜状部材141b、221が風圧により変形することを抑制し、かつ、シール性を向上させるため、膜状部材141b、221に補強部141c、221cを配置している。
【0047】
膜状部材141b、221の車両上下方向において下面側(風上側)にはシール面29、35を除く全域に両スライドドア14、22の移動方向と略垂直な方向に延びる形状で、かつ、矩形状の補強部141c、221cが所定間隔にて配置される。
【0048】
補強部141c、221cは膜状部材141b、221の板厚と同等、或いは、膜状部材141b、221よりも大きい板厚(例えば、0.1〜10mm程度)にして、膜状部材141b、221の風圧による変形を抑制している。すなわち、補強部141c、221cのない膜状部材141b、221の部位よりも補強部141c、221cのある部位の剛性を増加させるようになっている。また、両スライドドア14,22の移動方向における補強部141c、221cの幅は補強部141c、221cの板厚よりも大きい幅(例えば、1〜50mm程度)にしている。なお、補強部141c、221cの具体的材質としては、機械的強度、膜状部材141b、221との接着性等を考慮して選択するが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂が好適である。また、補強部141c、221cを所定間隔(例えば、1〜50mm程度 )で配置するのは膜状部材141b、221の可撓性が損なわれないようにするためである。
【0049】
なお、両スライドドア14、22の補強部141c、221cは膜状部材141b、221と別体のものを接着剤などの接着手段により膜状部材141b、221に一体に固定してもよい。また、膜状部材141b、221成形時に補強部141c、221cと膜状部材141b、221とを一体にしてもよい。
【0050】
次に、第1実施形態による車両用空調装置の作動を説明すると、エアミックス用スライドドア14が車両前後方向aに往復動することにより、スライドドア14の膜状部材141bの開口部142とヒータコア15の通風路15aおよびバイパス通路16との開口面積が変化して、冷風バイパス通路16からの冷風とヒータコア15を通過した温風とを所定の風量割合で混合して所望の吹出温度を得ることができる。
【0051】
また、最大冷房状態では、エアミックス用スライドドア14の膜状部材141bのうち、開口部のない膜部分141bがヒータコア15の通風路15aを全閉し、スライドドア14の膜状部材141bの開口部142がバイパス通路16を全開する。また、最大暖房状態では、エアミックス用スライドドア14の膜状部材141bの開口部142がヒータコア15の通風路15aを全開し、スライドドア14の膜状部材141bのうち、開口部のない膜部分141bがバイパス通路16を全閉する。
【0052】
一方、吹出モード用スライドドア22においても、膜状部材221が車両前後方向bに往復動することにより、フェイス開口部19、デフロスタ開口部20、およびフット開口部21を切替開閉し、これにより、周知の複数の吹出モード、すなわち、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモード等を切り替えることができる。
【0053】
ところで、図1に示すように、ケース11内において、エアミックス用、吹出モード用の両スライドドア14、22の移動方向(車両前後方向)a、bの1箇所のみに駆動軸25、30を配置し、この駆動軸25、30の駆動ギヤ26、31から伝達される駆動力により両スライドドア14、22が往復動する。その結果、スライドドア14の膜状部材141bおよびスライドドア22の膜状部材221の移動方向a、bの両端部は巻き取り機構に連結されず、自由端となっている。
【0054】
このような駆動方式であるため、両スライドドア14、22の膜状部材141b、221のうち、駆動軸25、30よりも移動方向a、bの後方側部位では駆動軸25、30からの引っ張り力が作用し、移動方向a、bの前方側部位では駆動軸25、30からの押し出し力が作用して膜状部材141b、221が移動することになる。
【0055】
それ故、右側ガイド部27、28および図示しない左側ガイド部またはガイド部32、33に沿って膜状部材141b、221が押し出し力で移動(前進)するために、膜状部材141b、221は所定の剛性を持つ必要がある。
【0056】
また、膜状部材141b、221はケース11の空気通路15a、16、19〜21の周縁部に形成されたシール面29、35と圧接されてシール性を確保している。このとき、膜状部材141b、221の裏面(風上側)にはスライドドア14、22の移動方向と垂直な方向に補強部141c、221cが設けられ、スライドドア14、22の移動方向と平行に配置された格子34により支持される。これにより、風圧による風下側への応力が格子34と補強部141c、221cに分散される。
【0057】
さらに、スライドドア14、22の移動方向のシール面29、35の形状が曲線形状であっても、シール面29、35と膜状部材141b、221とが隙間なく圧接される。以上により、シール面29、35からの空気漏れを抑制できる。したがって、膜状部材141b、221のシール性を確保しつつ、作動方向と垂直な方向の剛性を高めることができる。
【0058】
また、膜状部材141b、221と別体の補強部141c、221cをシール面29、35と接する膜状部材141b、221の反対の面に備えるスライドドア14、22の移動方向において空気通路の周縁部と補強部141c、221cが接触しないため、操作力が大きくなることを未然に防ぐことができる。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第1実施形態において、補強部141c、221cを剛体により製造し、膜状部材141b、221に配置したが、膜状部材141b、221の空気通路のシール面29、35と重なる範囲を除く内面にスライドドア14、22と垂直な方向に延びる形状で折曲部141fを配置してもよい。図8はエアミックス用スライドドア14の膜状部材141bに折曲部141fを配置した膜状部材141bを示す斜視図である。このようにすると、スライドドア14、22と垂直な方向の剛性を高めることができる。このため、新規に材料を追加する必要がないので材料コストを削減できる。なお、この膜状部材141b、221の折曲部141fは(例えば、R0.5〜10mm程度)である。なお、膜状部材141b、221の折曲部141fの頂点はスライドドア14、22の移動方向の曲線形状の凸となる方向と同じ方向になるように成型する。または、膜状部材141b、221の風上側に凸となる円弧形状(例えば、Ω字状、U字状等)により折曲部141fを成型してもよい。
【0060】
(他の実施形態)
▲1▼本発明の第2実施形態において、スライドドア14、22の移動方向と垂直な方向に延びる形状で折曲部141fを形成したが、折曲部141fを略垂直な方向に延びる円弧形状となるように配置してもよい。
【0061】
▲2▼本発明の第2実施形態において、スライドドア14、22の移動方向と垂直な方向に延びる形状で折曲部141f、221fを形成したが、折曲部141fを略垂直な方向に延びる形状で移動方向に交点を持つくの字状となるように形成してもよい。また、前記くの字状と移動方向において対象となる形状で折曲部141fを配置してもよい。
【0062】
▲3▼本発明の第2実施形態において、スライドドア14、22の移動方向と垂直な方向に延びる折曲部141fを形成したが、折曲部141fを略垂直な方向に所定の形状のエンボスを配置して形成してもよい。
【0063】
▲4▼本発明の第2実施形態において、スライドドア14、22の移動方向と垂直な方向に延びる折曲部141fを形成したが、折曲部141fを略垂直な方向に延びる形状でかつ、蛇行させて配置してもよい。
【0064】
▲5▼本発明の第1、第2実施形態において、ギヤ駆動式のスライドドア14、22について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、膜状部材141b、221の移動方向の両端部に巻き取り機構を設け、膜状部材141b、221を直接巻き取る、巻き取り式のスライドドアにおいても本発明の第1、第2実施形態適用してもよい。
【0065】
▲6▼本発明の第1実施形態において、補強部141c、221cを膜状部材141b、221のうちシール面29、35と膜状部材141b、221とが圧接される範囲を除く部位に配置した。本実施形態では補強部141c、221cを膜状部材141b、221のうちシール面29、35と膜状部材141b、221とが圧接される範囲の一部分も含めた内側の部位に配置してもよい。
【0066】
▲7▼本発明の第2実施形態において、折曲部141fを膜状部材141b、221のうちシール面29、35と膜状部材141b、221とが圧接される範囲を除く部位に配置した。本実施形態では折曲部141fを膜状部材141b、221のうちシール面29、35と膜状部材141b、221とが圧接される範囲の一部分も含めた内側の部位に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す空調ユニット部の断面図である。
【図2】第1実施形態のエアミックス用スライドドア単体の斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3のB矢視図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】図1のC−C断面図である。
【図7】第1実施形態の吹出モード用スライドドア単体の平面図である。
【図8】第2実施形態のエアミックス用スライドドア単体の斜視図である。
【図9】従来技術における空調ユニット部の断面図である。
【図10】従来技術における膜状部材の平面図である。
【図11】従来技術の膜状部材の移動方向における断面図である。
【符号の説明】
11…ケース、14…エアミックス用スライドドア、
22…吹出モード用スライドドア、15a…ヒータコア通風路(空気通路)、
16…バイパス通路(空気通路)、19〜21…吹出開口部(空気通路)、
29、35…シール面、141b、221…膜状部材、
141c、221c…補強部、141f…折曲部、
142、222…開口部、143…支持部材、223…補強膜状部材。
Claims (4)
- 空気通路(15a、16、19〜21)を形成するケース(11)と、
前記ケース(11)内に移動可能に配置されたスライドドア(14、22)とを備え、
前記スライドドア(14、22)は、可撓性を有する膜状部材(141b、221)と空気流通用の開口部(142、222)とを有し、
前記スライドドア(14、22)の移動により前記開口部(142、222)と前記空気通路(15a、16、19〜21)との連通面積が変化して前記空気通路(15a、16、19〜21)を開閉し、
前記空気通路(15a、16、19〜21)の周縁部には、前記空気通路(15a、16、19〜21)が閉じられたときに前記膜状部材(141b、221)が風圧により圧接するシール面(29、35)が、前記スライドドア(14、22)の移動方向において曲線形状に形成され、
前記膜状部材(141b、221)のうち前記シール面(29、35)に圧接する範囲を除く部位であって、前記範囲の内側の部位には、前記膜状部材(141b、221)の剛性を高める剛性増加手段(141c、141f、221c)が、前記スライドドア(14、22)の移動方向と垂直な方向に延びる形状に形成されていることを特徴とする空気通路開閉装置。 - 前記剛性増加手段(141c、141f、221c)は前記膜状部材(141b、221)の厚みよりも厚い形状の補強部(141c、221c)により構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気通路開閉装置。
- 前記剛性増加手段(141c、141f、221c)は前記膜状部材(141b、221)を曲げて形成する折曲部(141f)であることを特徴とする請求項1に記載の空気通路開閉装置。
- 前記剛性増加手段(141c、141f、221c)を所定の間隔で配置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空気通路開閉装置。
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