JP3966105B2 - 空気通路切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気通路切替装置に関するものであって、特にフィルム式のスライドドアにて空気通路を切り替えるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に、特開平12−43537号公報において、フィルム式のスライドドアにて空気通路を切り替える空気通路切替装置において、フィルム部材の自己シール性を向上させる構造を提案している。この従来技術の装置では、図12に示すように、略平板状のスライドドア27をケース12a内に複数の空気通路22、23に対向するようにして、空気通路開口面24に略平行に摺動可能に配置している。このスライドドア27は、図示しない開口部が形成されたドア基板28と、このドア基板28の両端に、空気通路開口面24側に移動可能に支持されたフィルム部材29とから形成される。
【0003】
そして、空気流がドア基板28の図示しない開口部を介してフィルム部材29の内面に吹きつけられ、風圧によってフィルム部材29が空気通路の周縁シール面22a、23aに圧接することで空気通路22、23をシールする。また、スライドドア27が空気通路開口面24に沿って摺動することにより、フィルム部材29が空気通路22、23を開閉して空気通路の切り替えを行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
スライドドア27は、ドア摺動方向Bに対する側面にガイドピン28bを持ち、このガイドピン28bが両側のケース12aに設けられたガイド溝31、32に嵌入されて摺動する。その構造ゆえ、一般的にケース12aを摺動方向Bと直行する摺動幅方向Cで二分割して、スライドドア27を図12中右側及び左側のケース12aR、12aLで挟み込む構造がとられる。
【0005】
また、ケース12aは一般的に樹脂の射出成型品でできており、一つのケース12aの内壁面に対向するガイド溝31、32を成形するのは非常に困難であることからも、内壁面にそれぞれ片側の溝を成形した二つのケース12aR、12aLを嵌合してケース12aが構成される。
【0006】
しかし、ケース12aR、12aLには射出成型で型抜きを容易とする為の抜き勾配がついているため、嵌合したケース12aを摺動幅方向Cの断面で視ると、図12に示すように中央のケース嵌合部が僅かに高くなった山型となっている。これに対してフィルム部材29は、可撓性があるとはいえこの山型となった空気通路開口面24に密着しきらず、頂点付近に断面略三角形の隙間が残ってフィルム部材29の自己シール性が不充分になるという問題があり、場合によっては周縁シール面22a、23aに別体シール部品を追加しなければならなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、フィルム式のスライドドアを用いる空気通路切替装置において、フィルム部材の自己シール性を良好に発揮できる構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。請求項1記載の発明では、空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、空気通路(22、23)をスライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で山型となっているものにおいて、スライドドア(27)には、周縁シール面(22a、23a)に圧着して空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、フィルム部材(29)は、摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の中心線と平行に1ヶ所もしくは複数ヶ所を周縁シール面(22a、23a)側に僅かな山折りとしたことを特徴とする。
【0009】
これは、フィルム部材(29)を折り曲げてケースの面変化に合わせることにより、特段のシール部品を用いなくとも、ケースの抜き勾配で山型となっている周縁シール面(22a、23a)に対してフィルム部材(29)が密着する形状となるため、フィルム部材(29)の自己シール性能が良好に発揮される。
【0010】
また、周縁シール面(22a、23a)の山型に対してフィルム部材(29)を僅かな山折りとして略合致した形状とすることにより、摺動方向(B)に対するスライドドア(27)の傾きやずれが修正される。これらは、周縁シール面(22a、23a)が単純な山型ではなく多角形の面変化となっていても、山折りを複数ヶ所設けてその面変化に合わせることにより、同様の効果が得られる。
【0011】
請求項2記載の発明では、空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、空気通路(22、23)をスライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で円弧形状となっているものにおいて、スライドドア(27)には、周縁シール面(22a、23a)に圧着して空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、フィルム部材(29)は、摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の中心線と平行に、周縁シール面(22a、23a)側に僅かに膨らむ円弧形状に曲げ成形したことを特徴とする。
【0012】
これは、抜き勾配のつく面が必ずしも平面とは限らないため、たとえ円弧形状であっても、その面変化に合った円弧形状に曲げ成形することにより、自己シール性能が良好に発揮される。
【0013】
請求項3記載の発明では、空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、空気通路(22、23)をスライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で山型もしくは円弧形状となっているものにおいて、スライドドア(27)には、周縁シール面(22a、23a)に圧着して空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、フィルム部材(29)は、摺動方向(B)の両端、且つ、摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の略中央もしくは複数ヶ所に、切り欠き(29e)を設けたことを特徴とする。
【0014】
これにより、フィルム部材(29)は両端に設けた切り欠き(29e)を結んだラインで折り曲がり易くなり、僅かな風圧でもケースの抜き勾配で山型となっている周縁シール面(22a、23a)に対してフィルム部材(29)が良好に密着して、フィルム部材(29)の自己シール性能が良好に発揮される。また、切り欠き(29e)を複数ヶ所設けることにより、フィルム部材(29)を複数の山折り形状や略円弧形状とすることもできる。
【0015】
請求項4記載の発明では、切り欠き(29e)の先端側形状は、摺動方向(B)の中央側に頂点を向けた略二等辺三角形であり、頂点を円弧状として二等辺を滑らかにつなげた形状であることを特徴とする。これにより、風圧で周縁シール面(22a、23a)に圧接されながらフィルム部材(29)がスライドしても、周縁シール面(22a、23a)に切り欠き(29e)が引っ掛かるような事態が防げるうえ、フィルム部材(29)に応力が掛かっても、切り欠き(29e)の頂点に応力集中することなく分散されて破れ難い形状となる。
【0016】
請求項5記載の発明では、フィルム部材(29)を、摺動方向(B)両端で対向し摺動幅方向(C)で対応する切り欠き(29e)同士を貫く中心線に沿って、周縁シール面(22a、23a)側に僅かな山折りとしたことを特徴とする。
【0017】
これにより、空気通路切替装置として構成した当初から、ケースの抜き勾配で山型となっている周縁シール面(22a、23a)に対してフィルム部材(29)が密着する形状となるため、フィルム部材(29)の自己シール性能が良好に発揮される。また、周縁シール面(22a、23a)の山型に僅かな山折りとしたフィルム部材(29)が倣うことにより、摺動方向(B)に対してスライドドア(27)が斜めに傾くことが防止できる。
【0018】
請求項6記載の発明では、ドア基板(28)にフィルム部材(29)を取り付けた時に、ドア基板(28)に設けた摺動用の直線状ギヤ(28d)が、切り欠き(29e)内に配置されることを特徴とする。これにより、ドア基板(28)を薄くできるうえ、空気通路切替装置として構成した時に駆動部も含めたスライドドア機構部全体を、薄く構成することができる。
【0019】
請求項7記載の発明では、ドア基板(28)にフィルム部材(29)を取り付けた時に、ドア基板(28)に設けた摺動用のケーブル係留部(28e)が、切り欠き(29e)内に配置されることを特徴とする。これによっても、ドア基板(28)を薄くできるうえ、空気通路切替装置として構成した時に駆動部も含めたスライドドア機構部全体を、薄く構成することができる。
請求項8記載の発明では、ドア基板(28)は、平坦な枠体形状であることを特徴とする。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
次に、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。図1〜6は本発明の第1実施形態を示すもので、本発明の空気通路切替装置を車両用空調装置の吹出モード切替部に組み込んだものである。ちなみに、本実施形態の車両用空調装置は、車室内が大きいワンボックス車等の後席側空間を空調する後席用空調装置に係るものである。
【0021】
図1において、10は後席用車両用空調装置を示し、この空調装置10の主体は車両後方部の床面近傍位置において車両外壁と車両内壁との間に設置される。そして車両用空調装置10は、大別して車両前後方向に並ぶように配置された送風ユニット11と、エアコンユニット12とからなる。
【0022】
送風ユニット11は、空調装置10内部に車室内後部の内気を吸引するためのものであって、本実施形態では車両用空調装置10は内気のみを吸い込むようになっている。そのため、送風ユニット11の車両幅方向(図1の紙面表裏方向)の両側には、それぞれ図示しない内気吸入口が形成されている。また、送風ユニット11には、遠心式電動送風機13が備えられており、この送風機13は、遠心ファン14と、ファン駆動用モータ14aとを有し、遠心ファン14はスクロールケーシング15内に配置されている。
【0023】
送風ユニット11のスクロールケーシング15の空気下流側には、車両前後方向に延びる流路を構成するダクト部16が形成されている。このダクト部16は、送風ユニット11から送風された送風空気を下方から上方へ向かって流れを変更させてエバポレータ17に導入するためのものである。このダクト部16により送風ユニット11の出口部がエアコンユニット12の入口部に接続される。
【0024】
エアコンユニット12は、送風ユニット11より車両後方側に配置されており、樹脂製ケース12aにより流路が下方から上方に延びるように形成されている。エアコンユニット12のケース12a内には、空調空気の冷却用熱交換器としてのエバポレータ17と、その空気下流側位置に空調空気の加熱用熱交換器としてのヒータコア18が配設されている。
【0025】
エバポレータ17及びヒータコア18は、エアコンユニット12内に、その通風面が略水平となるように車両上下方向に積層して配置されている。従って、上記送風機13から送風された送風空気は、上記ダクト部16によって車両前方から後方へ向かって流れた後、エアコンユニット12のケース12a内に導入される。そして、ケース12a内に導入された送風空気は、下方から上方に向かうように流れを変更して、上記エバポレータ17およびヒータコア18を通過する。
【0026】
エバポレータ17は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器と共に配管結合された周知の冷凍サイクルを構成するものであり、ケース12a内の空気を冷却除湿する。ヒータコア18は、自動車エンジンからの温水(冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、上記エバポレータ17にて冷却された冷風を加熱する。
【0027】
本実施形態では、ヒータコア18への温水量を調整する温水弁19をヒータコア18の温水回路に設け、この温水弁19の開度調整によりヒータコア18への温水量を調整することにより、車室内への吹出空気温度を調整する。また、エアコンユニット12のケース12a内には、エバポレータ17を通過した空気(冷風)がヒータコア18をバイパスして流れる冷風バイパス通路20が設けられており、この冷風バイパス通路20は、冷風バイパスドア21にて開閉される。
【0028】
エアコンユニット12のケース12aにおいて、ヒータコア18の下流側部位(車両上方部位)には、空気通路としてのフェイス用開口部22とフット用開口部23とが形成されている。フェイス用開口部22は、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の上半身に向けて送風するためのものであり、フェイス用ダクト25を介して車両天井部の図示しない後席用フェイス吹出口に連結されている。
【0029】
一方、フット用開口部23は、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の足元部に向けて送風するためのものであり、フット用ダクト26を介して後席乗員の足元部に位置する図示しない後席用フット吹出口に連結されている。これらフェイス用開口部22とフット用開口部23はスライドドア27にて開閉され、これにより、吹出モードとして周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモードが切り替え可能になっている。
【0030】
次に、このスライドドア27の駆動機構の具体例について説明する。スライドドア27は、図2に示すようにエアコンユニット12のケース12aに設けられたフェイス用開口部22およびフット用開口部23の空気通路開口面24に沿って図示の矢印B方向に摺動するものである。
【0031】
図3ないし図4に示すように、スライドドア27は、ドア基板28とこのドア基板28に支持されるフィルム部材29とを備えている。ドア基板28は、ポリプロピレン等の樹脂にて平坦な枠体形状により複数の開口部28aを形成している。そして、ドア基板28の上面部(開口面24側の面)に、フィルム部材29がドア基板開口部28aを覆うように取り付られ、ドア基板開口部28aによりケース12a内の風圧をフィルム部材29に加えることができる。
【0032】
そして、ドア基板28のドア摺動方向Bに直交する摺動幅方向Cの両側上面部に、周縁シール面22a、23aに対向して、スポンジ状の多孔質樹脂発泡材などの弾性部材30が接着等の手段で固着されている。この弾性部材30は、フィルム部材29のビビリ音や打音を防止するためのものである。
【0033】
フィルム部材29は、周縁シール面22a、23aに圧着するシール面29aと、ドア基板28に取り付ける取付面29bとから形成され、フィルム部材29の両端部に位置する取付面29bはシール面29aに対して略直角に曲げが施されている。フィルム部材29の取付面29bは、ドア基板28のドア摺動方向Bの両端に取り付けられ、このとき取付面29bは、ドア基板28の側面に略平行となる。
【0034】
シール面29aは、上記開口部22、23を閉塞するために、開口部22、23より大きい面積を有している。このフィルム部材29は、ある程度の可撓性があり、摩擦抵抗が小さく、通気性のない薄膜状の樹脂材料にて成形されている。具体的にフィルム部材29は、例えば、厚さ190μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。フィルム部材29の取付面29bには、フィルム部材29をドア基板28に取り付けるための複数の取付穴29cが設けられている。
【0035】
図3ないし図4に示すように取付穴29cは長穴形状になっており、長穴の長手方向はフィルム部材29をドア基板28に取り付けた際、空気流れ方向Aの平行方向を向くようにしてある。長穴の長手方向寸法は、フィルム部材29が風圧を受けて開口面24側に移動して、周縁シール面22a、23aを圧接できるようにするために、フィルム部材29の移動量より大きくなるよう設定してある。
【0036】
図3ないし図4に示すようにドア基板28の両端部には、取付穴29cと同数の取付ピン28cを一体に突出成形し、この取付ピン28cにフィルム部材29の取付面29bの取付穴29cを嵌合した後に、取付ピン28cの先端部を熱かしめすることにより、フィルム部材29をドア基板28に取り付けている。
【0037】
図3に示すように、熱かしめをする時に、取付ピン28c頭部の熱かしめ部はピン軸方向への変形量を僅少にすることにより、ドア基板28と取付ピン28c頭部の熱かしめ部との間にクリアランスを形成する。これにより、フィルム部材29がドア摺動方向Bに移動可能となり、フィルム部材29及びドア基板28の製造上の寸法バラツキを吸収することができる。
【0038】
即ち、フィルム部材29のドア摺動B方向長さがドア基板28に対して短い場合には、フィルム部材29の取付面29bがドア基板28に近接する位置で取り付けることができ、また、フィルム部材29のドア摺動B方向長さがドア基板28に対して長い場合には、フィルム部材29の取付面29bがドア基板28から離れた位置でドア基板28に取り付けることができるので、寸法バラツキを吸収できる。
【0039】
具体的には、ドア基板28と取付ピン28c頭部の熱かしめ部との間のクリアランスを3mmとした時、フィルム部材29の両端で、最大6mmのフィルム部材29等の寸法バラツキを吸収することが可能となる。また、ドア基板28のうち、ドア摺動幅方向Cの左右両端の側面に、それぞれ2箇所づつガイドピン28bが一体に突出成形されている。このガイドピン28bは、スライドドア27の矢印方向Bへの摺動を案内するものである。
【0040】
即ち、図5に示すようにエアコンユニット12のケース12aにおいて、フェイス用開口部22およびフット用開口部23よりも下方の内壁面に、ドア摺動方向Bと平行に延びる水平方向のガイド溝31、32が、左右両側のケース12aR、12aLのそれぞれに設けられ、このガイド溝31、32内にそれぞれガイドピン28bが摺動可能に嵌入されている。このため、スライドドア27はガイドピン28bとガイド溝31、32との嵌合部により摺動可能にケース12aに保持される。
【0041】
更に、ドア基板28の下面部(ヒータコア18側の面)には、ドア摺動方向Bと平行に延びる直線状ギヤ(ラック)28dがドア基板28と一体成形で設けられている。この直線状ギヤ28dは、図4に示すように、ドア基板28の中央部の下面部に形成されている。
【0042】
一方、図2に示すように、ケース12a内において、スライドドア27の直ぐ下方の部位で、フェイス用開口部22とフット用開口部23との中間部位に、回転軸33がドア摺動方向Bと直交する方向に配置されている。この回転軸33は樹脂製であり、ケース12aの壁面の軸受穴により回転自在に支持される。
【0043】
この回転軸33のうち、上記直線状ギヤ28dと対応する中間部位に円形連結ギヤ(ピニオン)34が樹脂により一体成形で設けてある。この連結ギヤ34はケース12a内に位置して直線状ギヤ28dと噛み合うものである。また、回転軸33の一端部はケース12aの外部へ突出し、この突出端部に円形の駆動側ギヤ35を配置している。この駆動側ギヤ35も樹脂により回転軸33と一体成形で設けてある。
【0044】
ドア駆動装置を構成するサーボモータ36は、図2に示すようにケース12aの上方側に配置され、その出力軸37に扇ギヤ38が連結されている。この扇ギヤ38は上記した駆動側ギヤ35に噛み合っている。これにより、サーボモータ36の回転が出力軸37、扇ギヤ38、駆動側ギヤ35を介して回転軸33に伝達される。更に、回転軸33の回転は、連結ギヤ34と直線状ギヤ28dとの噛み合いによりスライドドア27の直線運動に変換される。
【0045】
尚、本実施形態では、冷風バイパス通路20を開閉する冷風バイパスドア21の回転軸21aを、ドアレバー39と連結ロッド40を介して扇ギヤ38のロッド孔38aに連結して、扇ギヤ38の回転位置に連動して冷風バイパスドア21を回動操作するようになっている。
【0046】
次に、上記構成において作動を説明すると、サーボモータ36の出力軸37の回転方向および回転量を選択することにより、スライドドア27の矢印B方向への摺動位置を任意に設定でき、これにより、フェイス用開口部22とフット用開口部23とを開閉して、吹出口モードとして周知のフェイス、バイレベル、フットの各モードを所望に選択できる。
【0047】
次に、本実施形態によるスライドドア27での空気通路のシール構造における特徴点を説明する。図3ないし図4に示すように、フィルム部材29は、摺動方向Bの両端、且つ、摺動方向Bと直行する摺動幅方向Cの略中央に、切り欠き29eを設けている。
【0048】
これにより、フィルム部材29は両端に設けた切り欠き29eを結んだラインで折り曲がり易くなる。特に、本実施形態ではフィルム部材29の両端はシール面29aに対して略直角に曲げが施されているため、この曲げ部分に切り欠き29eを入れることにより摺動幅方向Cに折り曲がり易くなる。結果、特段のシール部品を用いなくとも、僅かな風圧でケースの抜き勾配で山型となっている周縁シール面22a、23aに対してフィルム部材29が良好に密着して、フィルム部材29の自己シール性能が良好に発揮される。
【0049】
また、この切り欠き29eの先端側形状は、摺動方向Bの中央側に頂点を向けた略二等辺三角形であり、頂点にRを付けて二等辺を滑らかにつなげた形状となっている。これにより、風圧で周縁シール面22a、23aに圧接されながらフィルム部材29がスライドしても、周縁シール面22a、23aに切り欠き29eが引っ掛かるような事態が防げるうえ、フィルム部材29に応力が掛かっても、切り欠き29eの頂点に応力集中することなく分散されて破れ難い形状となる。
【0050】
また、フィルム部材29は、その両端の切り欠き29eを貫く中心線に沿って、周縁シール面22a、23a側に僅かな山折りとしている。これにより、空気通路切替装置として構成した当初から、ケースの抜き勾配で山型となっている周縁シール面22a、23aに対してフィルム部材29が密着する形状となるため、フィルム部材29の自己シール性能が良好に発揮される。また、周縁シール面22a、23aの山型に対してフィルム部材29を僅かな山折りとして略合致した形状とすることにより、摺動方向Bに対するスライドドア27の傾きやずれが修正される。
【0051】
た、ドア基板28にフィルム部材29を取り付けた時に、ドア基板28に設けた摺動用のラック28dが、切り欠き29e内に配置されるようになっている。図10に従来のギヤ駆動式スライドドア27を示す。従来はスライドドア部の厚みにラック28dの厚みが加わっていた。これに対して、切り欠き29eを利用してラック28dを配置することにより、ドア基板28を薄くできるうえ、空気通路切替装置として構成した時に駆動部も含めたスライドドア機構部全体を、薄く構成することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図7に第2実施形態のスライドドア27を示す。第1実施形態とは、ギヤ駆動式に対して、ヒータコントロールケーブル駆動式であるという点のみ異なる。よって、ドア基板28にフィルム部材29を取り付けた時に、ドア基板28に設けた摺動用のケーブル係留部28eが、切り欠き29e内に配置されるようになっている。
【0053】
図11に従来のヒータコントロールケーブル駆動式スライドドア27を示す。従来はスライドドア部の厚みにケーブル係留部28eを突出させる部分の厚みが加わっていた。これに対して、切り欠き29eを利用してケーブル係留部28eを配置することにより、ドア基板28を薄くできるうえ、空気通路切替装置として構成した時に駆動部も含めたスライドドア機構部全体を、薄く構成することができる。
【0054】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態におけるスライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。第1実施形態とは、左右両側ケース12aR、12aL間に中仕切りともなる中間ケース12aSを構成している点が異なる。これにより、周縁シール面22a、23aは単純な山型ではなく多角形の面変化となるが、切り欠き29eおよび山折り部を複数ヶ所設けてその面変化に合わせることにより、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態におけるスライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。第1実施形態とは、左右両側ケース12aR、12aLに設けた抜き勾配が大きな曲率のR形状となっている点が異なる。抜き勾配のつく面は必ずしも平面とは限らないため、切り欠き(29e)を複数ヶ所設けてフィルム部材29を略R形状として合わせている。このように、抜き勾配のつく面がR形状であっても、その面変化に合ったR形状に曲げ成形することにより、自己シール性能が良好に発揮される。
【0056】
(他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。上記各実施形態では、フィルム部材29の摺動幅方向Cの略中央に山折りを設けているが、一般的に左右ケースの嵌合部が略中央に構成されるためであり、何らかの理由で左右ケースの嵌合部が摺動幅方向Cのどちらかに偏っている場合は、フィルム部材29の山折りもその嵌合部位置に対応した位置とするのが良い。
【0057】
また、ケース12aを左右ケース12aR、12aLで構成されるものとしたが、これに限らず空気通路開口面24が1つのケースで構成されていてケース嵌合部が無いものにおいても、周縁シール面22a、23aの略中央を僅かな山型に成形して、対応するフィルム部材29も山折りとすることにより、フィルム部材29をケースの山型に倣わせて、摺動方向Bに対してスライドドア27が斜めに傾くことを防止しても良い。
【0058】
また、フィルム部材29の両端はドア摺動方向Bと平行な方向でドア基板28に取り付けたが、これに限らずドア摺動方向Bと直交するドア摺動幅方向Cの両端に取り付けても良い。
【0059】
また、フィルム部材29において取付面29bのシール面29aに対する角度を略直角となるようにしたが、これに限らずフィルム部材29に風圧が掛かった時に、フィルム部材29が空気通路の開口面24側に移動して、周縁シール部22a、23aに圧接できる角度であればよい。また、ドア基板28の上面側には弾性部材30を配置したが、必ずしも弾性部材30を配置しなくても良い。
【0060】
また、スライドドア27は略四角形としたがこれに限らず、ドア摺動方向Bに平行な二辺が有れば、平行四辺形や台形等であっても良い。また、切り欠き29eの先端側形状は二等辺三角形に限らず、円形であっても良い。
【0061】
また、本発明によるスライドドア27を車両用空調装置の内外気切替ドア、或いは、ヒータコア18を通過する温風とヒータコア18の冷風バイパス通路20を通過する冷風との風量割合を調整するエアミックスドア等にも適用することができる。更に、車両用空調装置以外の用途の空気通路切替装置にも広く本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用する車両後席用空調装置の概略縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるスライドドアの単体斜視図である。
【図4】図3のフィルム部材をドア基板に組付ける状態を示す斜視図である。
【図5】スライドドアを組付ける前のケース上部の斜視図である。
【図6】図5のケースに本発明の第1実施形態におけるスライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるスライドドアの単体斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態におけるスライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態におけるスライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。
【図10】従来のラック駆動式スライドドアの単体斜視図である。
【図11】従来のヒータコントロールケーブル駆動式スライドドアの単体斜視図である。
【図12】図5のケースに従来のラック駆動式スライドドアを組み付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
22 フェイス用開口部(空気通路)
22a 周縁シール面
23 フット用開口部(空気通路)
23a 周縁シール面
27 スライドドア
28 ドア基板
28a 開口部
28d ラック(直線状ギヤ)
28e ケーブル係留部
29 フィルム部材
29e 切り欠き
A 空気の流れ方向
B スライドドアの摺動方向
C スライドドアの摺動幅方向
Claims (8)
- 空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、前記空気通路(22、23)を前記スライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で山型となっているものにおいて、
前記スライドドア(27)には、前記周縁シール面(22a、23a)に圧着して前記空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、
前記フィルム部材(29)は、前記摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の中心線と平行に1ヶ所もしくは複数ヶ所を前記周縁シール面(22a、23a)側に僅かな山折りとしたことを特徴とする空気通路切替装置。 - 空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、前記空気通路(22、23)を前記スライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で円弧形状となっているものにおいて、
前記スライドドア(27)には、前記周縁シール面(22a、23a)に圧着して前記空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、
前記フィルム部材(29)は、前記摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の中心線と平行に、前記周縁シール面(22a、23a)側に僅かに膨らむ円弧形状に曲げ成形したことを特徴とする空気通路切替装置。 - 空気通路(22、23)を流れる空気の流れ方向(A)の略直交方向を摺動方向(B)とするスライドドア(27)を備え、前記空気通路(22、23)を前記スライドドア(27)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22a、23a)が射出成型で型抜きを容易とするための抜き勾配で山型もしくは円弧形状となっているものにおいて、
前記スライドドア(27)には、前記周縁シール面(22a、23a)に圧着して前記空気通路(22、23)を閉塞する可撓性を有するフィルム部材(29)と、そのフィルム部材(29)に風圧を作用させる開口部(28a)を有するドア基板(28)とを備え、
前記フィルム部材(29)は、前記摺動方向(B)の両端、且つ、前記摺動方向(B)と直行する摺動幅方向(C)の略中央もしくは複数ヶ所に、切り欠き(29e)を設けたことを特徴とする空気通路切替装置。 - 前記切り欠き(29e)の先端側形状は、前記摺動方向(B)の中央側に頂点を向けた略二等辺三角形であり、前記頂点を円弧状として二等辺を滑らかにつなげた形状であることを特徴とする請求項3記載の空気通路切替装置。
- 前記フィルム部材(29)を、前記摺動方向(B)両端で対向し前記摺動幅方向(C)で対応する前記切り欠き(29e)同士を貫く中心線に沿って、前記周縁シール面(22a、23a)側に僅かな山折りとしたことを特徴とする請求項3記載の空気通路切替装置。
- 前記ドア基板(28)に前記フィルム部材(29)を取り付けた時に、前記ドア基板(28)に設けた摺動用の直線状ギヤ(28d)が、前記切り欠き(29e)内に配置されることを特徴とする請求項3記載の空気通路切替装置。
- 前記ドア基板(28)に前記フィルム部材(29)を取り付けた時に、前記ドア基板(28)に設けた摺動用のケーブル係留部(28e)が、前記切り欠き(29e)内に配置されることを特徴とする請求項3記載の空気通路切替装置。
- 前記ドア基板(28)は、平坦な枠体形状であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の空気通路切替装置。
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