JP4273615B2 - 空気通路切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気通路の開口部を摺動して開閉するスライドドアに関するものであって、車両用空調装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
図13は、車両用空調装置の空気通路開閉装置に用いた、従来のスライドドア26を示しており、このスライドドア26は、開口部22aを有するケース120に対して、図13の紙面垂直方向に摺動するように構成されている。そして、スライドドア26の両側面26mには、ドア摺動方向に対して垂直に延びるボス部26p及びガイドピン26jが設けられ、ケース120のうちスライドドア26の両側面26mに対向するケース内壁面120aには、ドア摺動方向と平行に延びるガイド溝27、28が設けられている。これにより、ガイド溝27、28内にそれぞれガイドピン26jが摺動可能に嵌入されて、スライドドア26はケース120に保持されている。
【0003】
そして、スライドドア26を小さい操作力で摺動させるために、ケース120の内壁面120aと、スライドドア26のボス部26pとの間には、摺動方向の直交方向Wに、隙間L(例えば0.25mm〜0.65mm)がそれぞれ設けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、スライドドア26が、ケース120との隙間Lにおいて、摺動方向の直交方向Wにガタついてしまうので、スライドドア26の両側面26mとケース120のガイド溝外縁部120aとが干渉しあい、ガタ異音が発生してしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、スライドドアが摺動方向と直交する方向にガタつくことによるガタ異音を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、空気通路(22、23)を形成し、空気通路(22、23)の開口部(22a、23a)を有するケース(120)と、
ケース(120)に摺動可能に保持されて、ケース(120)の開口部(22a、23a)を開閉するスライドドア(26)とを備え、
スライドドア(26)は、開口部(22a、23a)を閉塞するフィルム部材(26b)と、フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とから構成され、
ドア基板(26a)は、スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる両側面(26m)を有し、
ドア基板(26a)の両側面(26m)のうち少なくとも一方の側面(26m)と、ケース(120)の内壁面(120a)との間に、摺動方向(a)の直交方向(W)に弾性変形した状態で弾性部材(260)を配置し、
弾性部材(260)は、ドア基板(26a)と同一材質にてドア基板(26a)に一体成形されていることを特徴としている。
【0007】
これにより、スライドドア(26)は、弾性部材(260)の弾性変形力によって、摺動方向(a)の直交方向(W)に押圧されるので、スライドドア(26)が摺動方向(a)の直交方向(W)にガタつくことを防止でき、ガタ異音を防ぐことができる。
【0008】
また、請求項1に記載の発明では、スライドドア(26)のドア基板(26a)の成形時に、弾性部材(260)をドア基板(26a)の一部分として一体成形できるので、弾性部材(260)を新規に追加する場合に比べて部品点数を減少できる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の空気通路切替装置において、弾性部材(260)に、ケース(120)の内壁面(120a)との接触面積を小さくする形状からなる突出部(260b)を形成することを特徴としているので、弾性部材(260)とケース(120)との摺動抵抗を小さくでき、スライドドア26を摺動させる操作力を低減することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の空気通路切替装置において、スライドドア(26)の両側面(26m)のうち一方の側面(26m)において、弾性部材(260)を摺動方向(a)前後に所定間隔(L8)をあけて複数個配置することを特徴としているので、弾性部材(260)が1個の場合に比べて、スライドドア(26)が揺動してガタつくことをより確実に防止できる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、空気通路(22、23)を形成し、空気通路(22、23)の開口部(22a、23a)を有するケース(120)と、
ケース(120)に摺動可能に保持されて、ケース(120)の開口部(22a、23a)を開閉するスライドドア(26)とを備え、
スライドドア(26)は、開口部(22a、23a)を閉塞するフィルム部材(26b)と、フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とから構成され、
ドア基板(26a)は、スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる両側面(26m)を有し、
ドア基板(26a)の両側面(26m)のうち少なくとも一方の側面(26m)と、ケース(120)の内壁面(120a)との間に、摺動方向(a)の直交方向(W)に弾性変形した状態で弾性部材(260)を配置し、
弾性部材(260)は、フィルム部材(26b)と同一材質にてフィルム部材(26b)に一体成形された曲げ部(26f)で構成されていることを特徴としている。
これによると、請求項1と同様に、弾性部材(260)の弾性変形力によって、スライドドア(26)が摺動方向(a)の直交方向(W)にガタつくことを防止できる。
しかも、スライドドア(26)のフィルム部材(26b)の成形時に、弾性部材(260)をフィルム部材(26b)の一部分として一体成形できるので、弾性部材(260)を新規に追加する場合に比べて部品点数を減少できる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空気通路切替装置において、摺動方向(a)の直交方向(W)における、弾性部材(260)の弾性変形量(L4)を約2mm以下にすることを特徴としている。
【0014】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は本発明の空気通路開閉装置を図1〜図8に示す車両用空調装置に適用したものであり、本実施形態の車両用空調装置は、ワンボックス車等の車室内が大きい車両において後席側空間を空調する後席用空調装置に係るものである。
【0016】
先ず、図1において、10は車両の後席用空調装置を示し、この空調装置10の主体は車両後方部の床面近傍位置において車両外壁と車両内壁との間に設置される。車両用空調装置10は、大別して車両前後方向に並ぶように配置された送風ユニット11と、エアコンユニット12とからなる。
【0017】
送風ユニット11は、空調装置10内部に車室内後部の内気を吸引するためのものであって、本実施形態では車両用空調装置は内気のみを吸い込むようになっている。送風ユニット11は、車両幅方向(図1の紙面表裏方向)の両側にそれぞれ図示しない内気吸入口が形成されている。
【0018】
送風ユニット11には、遠心式電動送風機13が備えられている。この送風機13は、遠心ファン14と、ファン駆動用モータ14aとを有し、遠心ファン14はスクロールケーシング15内に回転可能に配置されている。
【0019】
送風ユニット11のスクロールケーシング15の空気下流側には、車両前後方向に延びる流路を構成するダクト部16が形成されている。このダクト部16は、送風ユニット11から送風された送風空気を下方から上方へ向かって流れを変更させてエバポレータ17に導入するためのものである。このダクト部16により送風ユニット11の出口部がエアコンユニット12の入口部に接続される。
【0020】
エアコンユニット12は、送風ユニット11より車両後方側に配置されており、樹脂製ケース(開口部形成部材)120により空気流路が下方から上方に延びるように形成されている。エアコンユニット12のケース120内には、空調空気の冷却用熱交換器をなすエバポレータ17と、エバポレータ17の空気下流側に位置する加熱用熱交換器であるヒータコア18が配設されている。エバポレータ17およびヒータコア18は、エアコンユニット12内に、その通風面が略水平となるように車両上下方向に積層して配置されている。
【0021】
従って、上記送風機13から送風された送風空気は、上記ダクト部16によって車両前方から後方へ向かって流れたのち、エアコンユニット12のケース120内に導入される。そして、ケース120内に導入された送風空気は、下方から上方に向かうように流れを変更して、上記エバポレータ17およびヒータコア18を通過する。
【0022】
エバポレータ17は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに配管結合された周知の冷凍サイクルを構成するものであり、ケース120内の空気から冷媒の蒸発潜熱を吸熱することにより空気を冷却除湿する。ヒータコア18は、自動車エンジンからの温水(冷却水)を熱源として、上記エバポレータ17にて冷却された冷風を加熱する。
【0023】
本実施形態では、ヒータコア18への温水量を調整する温水弁19をヒータコア18の温水回路に設け、この温水弁19の開度調整によりヒータコア18への温水量を調整することにより、車室内への吹出空気温度を調整する。
【0024】
また、エアコンユニット12のケース120内には、エバポレータ17を通過した空気(冷風)がヒータコア18をバイパスして流れる冷風バイパス通路20が設けられている。この冷風バイパス通路20は、冷風バイパスドア21にて開閉される。
【0025】
エアコンユニット12のケース120において、ヒータコア18の下流側部位(車両上方部位)には、フェイス用空気通路22を構成するフェイス用開口部22aと、フット用空気通路23を構成するフット用開口部23aとが形成され、フェイス用開口部22aは、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の上半身に向けて送風するためのものであり、フェイス用ダクト24を介して車両天井部の後席用フェイス吹出口(図示せず)に連結されている。
【0026】
一方、フット用開口部23aは、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の足元部に向けて送風するためのものであり、フット用ダクト25を介して後席乗員の足元部に位置する後席用フット吹出口(図示せず)に連結されている。
【0027】
これらフェイス用開口部22aとフット用開口部23aは、スライドドア26にて開閉され、これにより、吹出モードとして周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモードが切替可能になっている。
【0028】
次に、このスライドドア26の具体例について図2〜図5により説明する。スライドドア26は、エアコンユニット12のケース120に設けられたフェイス用開口部22aおよびフット用開口部23aの開口面に沿って図示の矢印a方向(すなわち、車両前後方向)に摺動するものである。
【0029】
図4、図5に示すように、スライドドア26は、ドア基板26aとこのドア基板26aに支持されるフィルム部材26bとを備えている。ドア基板26aは、ポリプロピレン等の樹脂にて田の字状の平坦な枠体形状(図5)に成形されている。そして、このドア基板26aの上面部(開口部22a、23a側の面)にはフィルム部材26bがドア基板26aの4つの開口部26cを覆うように取付られている。このフィルム部材26bは上記開口部22a、23aを閉塞するために上記開口部22a、23aより大きい面積を有している。
【0030】
このフィルム部材26bは、ある程度の可撓性があり、摩擦抵抗の小さい、通気性のない薄膜状の樹脂材料にて成形されている。具体的には、フィルム部材26bは、例えば、厚さ188μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。ドア基板26aは上記4つの開口部26cによりケース120内の風圧(図5、7の矢印b)をフィルム部材26bに加えることができる。
【0031】
次に、フィルム部材26bの具体的取付構造を説明すると、フィルム部材26bは図5に示すようにドア摺動方向aの両端部に曲げ部26fを有する形状に成形され、この曲げ部26fに複数の長穴状の取付穴26gを開けている。一方、ドア基板26aの両端部には、取付穴26gと同数の取付ピン26hを一体に突出成形し、この取付ピン26hにフィルム部材26bの曲げ部26fの取付穴26gを嵌合した後に取付ピン26hの先端部を熱かしめすることにより、フィルム部材26bをドア基板26aに取り付けている。なお、図4において、26iは取付ピン26hの先端部の熱かしめ後の拡大部である。
【0032】
また、ドア基板26aのうち、ドア摺動方向aと直交方向Wの左右両端の側面26mには、それぞれ2箇所づつ突出する円柱形状のボス部26pと、ボス部26pの端面から突出するガイドピン26jとが一体に成形されている。
【0033】
このガイドピン26jは、スライドドア26の矢印方向aへの摺動を案内するものである。すなわち、エアコンユニット12のケース120において、フェイス用開口部22aおよびフット用開口部23aよりも下方の内壁面に、ドア摺動方向aと平行に延びる水平方向のガイド溝27、28(図2、3)が左右両側に設けられ、このガイド溝27、28内にそれぞれガイドピン26jが摺動可能に嵌入されている。このため、スライドドア26はガイドピン26jとガイド溝27、28との嵌合部により摺動可能にケース120に保持される。
【0034】
さらに、ドア基板26aの下面部(ヒータコア18側の面)には、ドア摺動方向aと平行に延びる直線状ギヤ(ラック)26kがドア基板26aと一体成形で設けられている。この直線状ギヤ26kは、図5に示すように、ドア基板26aの下面部のうち、中央部の板面26dの下面部に形成されている。
【0035】
一方、図2に示すように、ケース120内において、スライドドア26の直ぐ下方の部位で、フェイス用開口部22aとフット用開口部23aとの中間部位に、回転軸29がドア摺動方向aと直交する方向に配置されている。この回転軸29は樹脂製であり、ケース120の壁面の軸受穴(図示せず)により回転自在に支持される。この回転軸29のうち、上記直線状ギヤ26kと対応する中間部位に円形連結ギヤ(ピニオン)30が樹脂により一体成形で設けてある。この連結ギヤ30はケース120内に位置して直線状ギヤ26kとかみ合うものである。
【0036】
また、回転軸29の一端部はケース120の外部へ突出し、この突出端部に円形の駆動側ギヤ31を配置している。この駆動側ギヤ31も樹脂により回転軸29と一体成形で設けてある。ドア駆動装置を構成するサーボモータ32は、図2に示すようにケース120の上方側に配置され、その出力軸33に扇ギヤ34が連結されている。この扇ギヤ34は上記した駆動側ギヤ31にかみ合っている。これにより、サーボモータ32の回転が出力軸33、扇ギヤ34、駆動側ギヤ31を介して回転軸29に伝達される。さらに、回転軸29の回転は、連結ギヤ30と直線状ギヤ26kとのかみ合いによりスライドドア26の直線運動に変換される。
【0037】
なお、本実施形態では、冷風バイパス通路20を開閉する冷風バイパスドア21の回転軸21aをリンク35、36を介して扇ギヤ34のピン部34aに連結して、扇ギヤ34の回転位置に連動して冷風バイパスドア21を回動操作するようになっている。
【0038】
エアコンユニット12のケース120のフェイス用開口部22aおよびフット用開口部23aは図3のように略長方形の形状であり、その中央部にはそれぞれ格子22b、23bが一体成形されている。この格子22b、23bはスライドドア26の摺動(移動)方向aと平行に延びて、開口部22a、23aの開口面を2つに仕切っている。
【0039】
そして、ドア基板26aの田の字状の枠体形状は、両開口部22a、23aの周縁シール面22c、23cおよび格子22b、23bの端面に対向してドア摺動方向aと平行に延びる板面26d(図5)を有し、この板面26dに弾性押圧部材26eが接着等の手段で固着されている。この弾性押圧部材26eは上記板面26dの幅より若干狭い幅寸法でもって延びる断面矩形状の細長形状のものである。
【0040】
そして、スライドドア26のケース120内への組付状態では、弾性押圧部材26eをその板厚t方向に弾性的に所定量圧縮させており、この弾性反力により、フィルム部材26bを両開口部22a、23aの周縁シール面22c、23cおよび格子22b、23bの端面に所定の力で常に押しつけている。
【0041】
フィルム部材26bは、空調装置作動時にはドア基板26aの開口部26cを通して加わる風圧(図5、7の矢印b)によって、開口部22aまたは23aの周縁シール面22c、23cおよび格子22b、23bの端面に圧着して、開口部22aまたは23aを確実に閉塞することができる。
【0042】
このように、フィルム部材26bがシール機能を果すので、弾性押圧部材26eはフィルム部材26bに接するだけでよく、ケース120側の面を直接摺動することがないので、特別に耐久性を高める必要もない。従って、弾性押圧部材26eは弾性材であれば、安価な材料を使用できる。具体的には、スポンジ状の多孔質樹脂発泡材を弾性押圧部材26eとして使用できる。
【0043】
そして、図5に示すように、ドア基板26aの両側面26mの一方には、ドア基板26aと一体に成形された弾性部材260が摺動方向aの前後に所定間隔L8(例えば67mm)をあけて2箇配置されている。すなわち、弾性部材260は、ケース120のうちガイド溝27を構成する部分の内壁面(開口部内面)120aと、ドア基板26aの側面26mとの間に配置され、内壁面120aと接触しながら、スライドドア26の摺動方向aと直交する方向W(車両幅(左右)方向)に弾性変形するようになっている。
【0044】
なお、ドア基板26aの両側面26mの他方の側面26mにおいては、ボス部26pの端面がケース120の内壁面120aと接触するようになっており、これにより、スライドドア26の他方の側面26mとケース120の内壁面120aとの接触面積を小さくし、摺動抵抗を小さくするようにしている。
【0045】
次に、本発明の要部である弾性部材260について詳述すると、図5のB部拡大図である図6に示すように、ドア基板26aの側面26mには抜穴26nが形成されている。
【0046】
そして、抜穴26nの内周面の一部分からは、抜穴26n内に向かって延びて、スライドドア26の摺動方向aの直交方向Wに弾性変形可能なたわみ部260aが形成され、このたわみ部260aは、弾性変形していない状態(スライドドア26をケース120に組付けていない状態)ではドア基板26aの側面26mと同一平面上に位置している。
【0047】
そして、たわみ部260aの先端には、ケース120の内壁面120aに向かって突出して当接する突出部260bが形成されている。そして、突出部260bの突出端は内壁面120aと線接触するように、断面三角形状(図8参照)に形成されており、この突出部260bは、たわみ部260aが弾性変形していない状態では、ドア基板26aの側面26mから内壁面120a側に長さL1だけ突出している。
【0048】
このように、たわみ部260aと突出部260bから構成される弾性部材260は、前述のようにポリプロピレン等の樹脂で成形されたドア基板26aと一体に成形されている。
【0049】
図7はスライドドア26をケース120に組付けた状態を示す、図3のA−A断面図である。そして、図8は図7のC矢視図であり、2点鎖線は弾性部材260が弾性変形していない状態を示している。ここで、ドア基板26aの両ボス部26pの端面間の長さをL2とし、両ガイド溝27、28を構成する内壁面120a間の長さをL3とすると、L2<L3<L2+L1の関係になるように、L1、L2、L3は設計されている。
【0050】
本実施形態の設計数値を述べると、L1=2mm、L2=136mm、L3=137mmに設計されており、これにより、図8に示すように、弾性部材260は弾性変形量L4=1mmだけ摺動方向aの直交方向Wに弾性変形している。また、たわみ部260aの外形寸法は、厚さL5=1.5mm、長さL6=18mm、幅L7=5mmとなるように設計されており、このような形状のたわみ部260aにおいては、2mm以下の弾性変形量L4によりスライドドア26を押しつける力で、十分ガタ異音を防止できる。
【0051】
よって、弾性変形量L4を極力小さくして、スライドドア26の摺動抵抗を小さくし、スライドドア26を駆動させるサーボモータ32の所要トルクを極力小さくするために、弾性変形量L4は約2mm以下に設計することが好ましい。
【0052】
次に、上記構成において作動を説明すると、サーボモータ32の出力軸33の回転方向および回転量を選択することにより、スライドドア26の矢印a方向への摺動位置を任意に設定でき、これにより、フェイス用開口部22aとフット用開口部23aとを開閉して、フェイス、バイレベル、フットの各モードを所望に選択できる。冷風バイパスドア21は例えば、フェイスモードの設定時にこれと連動して冷風バイパス通路20を開放する。また、バイレベルモード時にフェイス吹出温度をフット吹出温度より低温にするために、冷風バイパスドア21を所定開度開くようにしてもよい。
【0053】
次に、本実施形態の特徴を述べると、スライドドア26の両側面26mのうち一方の側面26mと、ケース120の内壁面120aとの間に、弾性部材260を弾性変形量L4だけスライドドア26の摺動方向aの直交方向Wに弾性変形させた状態で配置している。よって、弾性部材260の弾性力により、ドア基板26aの両側面26mのうち弾性部材260が配置されていない側の側面26mのボス部26pは、ケース120の内壁面120aに押しつけられる。よって、スライドドア26が、ケース120との間において、摺動方向aの直交方向Wにガタついてガタ異音を発生させることを防止できる。
【0054】
また、弾性部材260をドア基板26aと一体に形成するので、弾性部材120を別部品で構成した場合に比べて部品点数を減少できる。
【0055】
また、弾性部材260の突出部260bは、ケース120の内壁面120aと線接触するので、弾性部材260とケース120との摺動抵抗を小さくでき、スライドドア26を摺動させる操作力を低減することができる。
【0056】
また、ドア基板26aの両側面26mのうち一方の側面26mにおいて、弾性部材260を摺動方向aの前後に所定間隔L8をあけて2個配置するので、弾性部材260が1個の場合に比べて、スライドドア26が揺動してガタつくことを確実に防止できる。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態では、弾性部材260をドア基板26aと一体に形成しているが、本実施形態では、フィルム部材26bの曲げ部26fが弾性部材260を構成するようになっている。すなわち、図9に示すように、第1実施形態におけるドア基板26aの取付ピン26hを廃止して、フィルム部材26bの取付穴26gをガイドピン26jに挿入している。この挿入の際には、フィルム部材26bの曲げ部26fは弾性変形した状態で曲げられている。
【0058】
図10はスライドドア26をケース120に装着した状態を示す、図9のD矢視図であり、この図10に示すように、フィルム部材26bの曲げ部26fはスライドドア26の摺動方向aの直交方向Wに弾性変形しており、ケース120の内壁面120aに押圧されている。
【0059】
ところで、この押圧力を確保するために、フィルム部材26bの剛性を高める必要がある。本例では、厚さ188μmのPETフィルムを用いている。この厚さ188μmのPETフィルムの剛性を表す柔軟値は、JIS:L1096のループ圧縮法による測定値で、240g〜1930gの範囲とすることが好ましい。ちなみに、このループ圧縮法による柔軟値は、ループ状に曲げたフィルム部材26bのループ形状部を所定量押圧変形させるのに必要な荷重であり、この柔軟値が大きい程、剛性が高いことを示している。
【0060】
以上の構成により、スライドドア26が、ケース120との間において、摺動方向aの直交方向Wにガタついてガタ異音を発生させることを防止できる。
【0061】
また、第1実施形態におけるドア基板26aの取付ピン26hを廃止できるのでスライドドア26の構造を簡素化できる。
【0062】
また、フィルム部材26bに弾性部材120の機能を兼ねさせるので、弾性部材120を別部品で構成した場合に比べて部品点数を減少できる。
【0063】
(他の実施形態)
第1、第2実施形態では弾性部材260をスライドドア26側に設けたが、ケース120側に設けるようにしてもよい。
【0064】
また、第1実施形態では、ドア基板26aの両側面26mのうち、一方の側面26mのみに弾性部材260を設けたが、両側面26mに設けるようにしてもよい。
【0065】
また、第2実施形態では、ドア基板26aの両側面26mにフィルム部材26bの曲げ部26fを配置しているが、一方の側面26mのみに配置するようにしてもよく、この場合には、他方の側面26mにおいて、ガイドピン26jと側面26mの間に、第1実施形態と同様のボス部26pを形成して、このボス部26pが内壁面120aと接触するようにする。これにより、スライドドア26とケース120との摺動抵抗を小さくできる。
【0066】
また、第1実施形態では、弾性部材260の突出部260bは、ケース120の内壁面120aと線接触するように断面三角形状に形成されているが、突出部260bの突出端部を球面状に形成して、内壁面120aと点接触するようにしてもよい。
【0067】
また、第1、第2実施形態では、本発明を車両用空調装置の空気通路開閉装置に適用しているが、本実施形態では、本発明を空気通路開閉装置以外のスライドドア26の全てに適用できる。例えば、図11に示すように、建築物の壁(開口部形成部材)200に開口する出入口(開口部)200aを開閉する引き戸(スライドドア)26に適用し、引き戸26の摺動方向aと平行に延びる両側面26mのうち少なくとも一方の側面と、壁200の開口部内面200bとの間に、摺動方向aの直交方向Wに弾性変形した状態の弾性部材260を配置してもよい。
【0068】
また、図12に示すように、物入れ(開口部形成部材)300に開口する取出口(開口部)300aを開閉するスライド式蓋(スライドドア)26に適用して、スライド式蓋26の摺動方向aと平行に延びる両側面26mのうち少なくとも一方の側面と、物入れ300の開口部内面300bとの間に、摺動方向aの直交方向Wに弾性変形した状態の弾性部材260を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用する車両後席用空調装置の概略縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大正面図である。
【図3】図2に示すスライドドア駆動機構の分解斜視図である。
【図4】図3のスライドドア単体の拡大斜視図である。
【図5】図4のスライドドア単体の分解斜視図である。
【図6】図5のB部拡大図である。
【図7】第1実施形態の要部を示す断面図で、図3のA−A断面を示す。
【図8】図7のC矢視図である。
【図9】第2実施形態のスライドドア単体を示す、分解斜視図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】従来の空気通路開閉装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
22、23…空気通路、22a、23a…開口部、26…スライドドア、
26a…ドア基板、26b…フィルム部材、26m…スライドドア側面、
120…ケース、120a…ケース内壁面、260…弾性部材、
260a…たわみ部、260b…突出部、a…摺動方向、W…直交方向、
L4…弾性変形量。
Claims (5)
- 空気通路(22、23)を形成し、前記空気通路(22、23)の開口部(22a、23a)を有するケース(120)と、
前記ケース(120)に摺動可能に保持されて、前記開口部(22a、23a)を開閉するスライドドア(26)とを備え、
前記スライドドア(26)は、前記開口部(22a、23a)を閉塞するフィルム部材(26b)と、前記フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とから構成され、
前記ドア基板(26a)は、前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる両側面(26m)を有し、
前記ドア基板(26a)の前記両側面(26m)のうち少なくとも一方の側面(26m)と、前記ケース(120)の内壁面(120a)との間には、前記摺動方向(a)の直交方向(W)に弾性変形した状態で弾性部材(260)が配置され、
前記弾性部材(260)は、前記ドア基板(26a)と同一材質にて前記ドア基板(26a)に一体成形されていることを特徴とする空気通路切替装置。 - 前記弾性部材(260)には、前記ケース(120)の内壁面(120a)との接触面積を小さくする形状からなる突出部(260b)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気通路切替装置。
- 前記ドア基板(26a)の両側面(26m)のうち、前記一方の側面(26m)において、前記弾性部材(260)は、前記摺動方向(a)の前後に所定間隔(L8)をあけて複数個配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気通路切替装置。
- 空気通路(22、23)を形成し、前記空気通路(22、23)の開口部(22a、23a)を有するケース(120)と、
前記ケース(120)に摺動可能に保持されて、前記開口部(22a、23a)を開閉するスライドドア(26)とを備え、
前記スライドドア(26)は、前記開口部(22a、23a)を閉塞するフィルム部材(26b)と、前記フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とから構成され、
前記ドア基板(26a)は、前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる両側面(26m)を有し、
前記ドア基板(26a)の前記両側面(26m)のうち少なくとも一方の側面(26m)と、前記ケース(120)の内壁面(120a)との間には、前記摺動方向(a)の直交方向(W)に弾性変形した状態で弾性部材(260)が配置され、
前記弾性部材(260)は、前記フィルム部材(26b)と同一材質にて前記フィルム部材(26b)に一体成形された曲げ部(26f)で構成されていることを特徴とする空気通路切替装置。 - 前記摺動方向(a)の直交方向(W)における、前記弾性部材(260)の弾性変形量(L4)は約2mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空気通路切替装置。
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