以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。なお、後述する他の実施形態を含む以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
車両用空調装置の通風系は、大別して、不図示の送風機ユニットと、図1に示す空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内のインストルメントパネル下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されている。これに対し、空調ユニット10は車室内のインストルメントパネル下方部のうち、車両左右方向DR3の略中央部に配置されている。
なお、図1は、図示が簡略化された模式図であるので、図1では、後述の図2以降の図と比較すると各構成要素の図示形状が若干異なっている場合がある。また、図1の各矢印DR1、DR2および図2の矢印DR3は、空調ユニット10が車両に搭載された車両搭載状態での向きを示す。すなわち、図1の両端矢印DR1は車両前後方向DR1を示し、両端矢印DR2は車両上下方向DR2を示し、図2の両端矢印DR3は車両左右方向DR3(すなわち、車両幅方向DR3)を示している。これらの各方向DR1、DR2、DR3は互いに交差する方向であり、厳密に言えば、互いに直交する方向である。
図示を省略しているが、送風機ユニットは、内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機とから構成されている。内外気切替箱には、車室外の空気である外気を導入する外気導入口と、車室内の空気である内気を導入する内気導入口とが形成されている。これらの両導入口は内外気切替ドアにより開閉される。その内外気切替ドアは、例えば電動アクチュエータによって駆動されるようになっている。送風機ユニットは、内気導入口または外気導入口から吸い込んだ空気を空調ユニット10へ供給する。
空調ユニット10は、送風機ユニットからの空気を温度調節し、その温度調節した空気である空調風を車室内へ吹き出す。図1に示すように、空調ユニット10は、空調ケース11、蒸発器12、ヒータコア13、電気ヒータ16、第1スライドドアとしてのフェイスドア28、第2スライドドアとしての上側エアミックスドア18、上側ギヤ付シャフト19、第3スライドドアとしての下側エアミックスドア20、下側ギヤ付シャフト21、デフロスタドア26、連通口ドア27、フェイスドア用ギヤ付シャフト29、カバー部材40、上側クッション材42、下側クッション材44、および不図示のフットドアなどを備えている。その蒸発器12、ヒータコア13、電気ヒータ16、フェイスドア28、上側エアミックスドア18、上側ギヤ付シャフト19、下側エアミックスドア20、デフロスタドア26、連通口ドア27、カバー部材40、上側クッション材42、下側クッション材44、およびフットドアは、空調ケース11内に収容されている。
空調ケース11は空調ユニット10の外殻として構成され、空調ケース11内には、空気が流れるケース内空気通路が形成されている。このケース内空気通路は、空調ケース11内に形成された空気通路全体のことであり、ケース内空気通路には、後述する複数の空気通路11a、11d、11e、11g、11h、14、15、24、25、50、52が含まれる。
空調ケース11は、例えばポリプロピレンのような樹脂の成形品からなる。具体的に、空調ケース11は複数のケース部材111、112を有している。そして、空調ケース11は、その複数のケース部材111、112が相互に一体に固定されることにより構成されている。
詳細には、その複数のケース部材111、112は、第1ケース部材111、および、その第1ケース部材111に対し車両前後方向DR1の後方側に配置された第2ケース部材112である。この複数のケース部材111、112は、上記の蒸発器12およびヒータコア13などの機器を収納した後に、金属バネクリップおよびネジ等の締結部材により一体に結合されている。
図1では、二点鎖線で表された境界線SPcが第1ケース部材111と第2ケース部材112との間の境目になっている。従って、空調ケース11のうち、境界線SPcに対する車両前方側が第1ケース部材111であり、境界線SPcに対する車両後方側が第2ケース部材112である。
例えば、第1ケース部材111には、後述する入口通風路11a等が形成されている。一方、第2ケース部材112は、後述する仕切り板113、上側エアミックスドア18用のガイド壁301、302、およびフェイスドア28用のドアガイド部32等を含んで構成されている。そして、第2ケース部材112には、後述する複数のガイド溝11b、11c、32a、複数の空気混合空間11g、11h、デフロスタ空気通路24、およびフェイス空気通路25等が形成されている。
空調ケース11内のうち最も車両前方側の部位には、送風機ユニットからの空気が流入する入口通風路11aが形成されている。蒸発器12は、その入口通風路11aに対し空気流れ下流側に配置されている。言い換えれば、空調ケース11のケース内空気通路のうち蒸発器12が配置された蒸発器配置空間11eは、入口通風路11aに対する空気流れ下流側に配置されている。
蒸発器12は、空調ケース11内において、ほぼ車両上下方向DR2に延びるように配置されている。そして、蒸発器12は、入口通風路11aに対し車両後方側に配置されている。従って、蒸発器12を通過する空気は、車両前方側から車両後方側へと流れる。なお、図示しないが、蒸発器12の車両幅方向DR3の幅寸法は、空調ケース11内側の幅寸法と略同等に設計されている。
蒸発器12は、冷凍サイクルの冷媒と蒸発器12を通過する空気との熱交換によりその空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器12は、蒸発器12の上端部分に配置された上側ヘッダタンク121と、蒸発器12の下端部分に配置された下側ヘッダタンク122と、その上側ヘッダタンク121と下側ヘッダタンク122との間に設けられた熱交換用のコア部123とを有している。このコア部123は、蒸発器12を通過する空気と冷凍サイクルの冷媒とを熱交換させる部分であり、冷媒が内部に流通する複数の偏平チューブと、その複数の偏平チューブに接合された複数のコルゲートフィンとから構成されている。その複数の偏平チューブは上側ヘッダタンク121と下側ヘッダタンク122とにそれぞれ接続されており、その上側ヘッダタンク121と下側ヘッダタンク122は複数の偏平チューブに対し冷媒の分配または集合を行う。
空調ケース11はその空調ケース11内に仕切り板113を有している。その仕切り板113は、蒸発器12に対する空気流れ下流側の空気通路を車両上下方向DR2に分割している。これにより、空調ケース11内において、仕切り板113に対する車両上方側には上側空気通路14が形成され、仕切り板113に対する車両下方側には下側空気通路15が形成されている。すなわち、蒸発器配置空間11eは、上側空気通路14と下側空気通路15とのそれぞれに対し空気流れ上流側に配置されている。
この上側空気通路14および下側空気通路15は並列に設けられ、上側空気通路14の上流端および下側空気通路15の上流端はそれぞれ蒸発器12に向かって開放されている。そのため、蒸発器12から流出した空気は上側空気通路14と下側空気通路15とのそれぞれに流入する。
ヒータコア13は、蒸発器12との間に間隔を開けて、その蒸発器12に対する空気流れ下流側(別言すれば、車両後方側)に配置されている。なお、図示しないが、ヒータコア13の車両幅方向DR3の幅寸法は、空調ケース11内側の幅寸法と略同等に設計されている。
ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を加熱する加熱用熱交換器である。詳細には、ヒータコア13は熱交換用のコア部131を含んで構成されており、そのコア部131を通過する空気が加熱される。そのヒータコア13のコア部131は、例えば、高温の熱媒体としてのエンジン冷却水が内部に流通する複数の偏平チューブと、これに接合された複数のコルゲートフィンとから構成されている。
ヒータコア13のコア部131は、仕切り板113に設けられた貫通孔を貫通するように配置されている。そして、そのコア部131のうちの上部が上側空気通路14に位置付けられ、下部が下側空気通路15に位置付けられている。
これにより、コア部131のうちの上部は、上側空気通路14を矢印F5のように流れる空気を加熱し、コア部131のうちの下部は、下側空気通路15を矢印F6のように流れる空気を加熱する。
電気ヒータ16は、高温になるほど電気抵抗値が大きくなる正の抵抗温度特性を有し所定温度を超えると電気抵抗値が急増する電気抵抗体で構成されている。すなわち、電気ヒータ16は例えばPTCヒータである。
電気ヒータ16は、下側空気通路15に配置されている。そして、電気ヒータ16は、ヒータコア13に対し空気流れ下流側に配置されている。従って、電気ヒータ16は、通電されることにより、下側空気通路15でヒータコア13のコア部131を通過した空気を加熱する。
上側空気通路14のうちヒータコア13に対する上方部位には、上側エアミックスドア18に開閉される上側ドア開閉口141が形成されている。すなわち、上側ドア開閉口141は上側空気通路14の一部として設けられ、上側エアミックスドア18は、その上側ドア開閉口141を開閉する開閉ドアとして機能する。そして、その上側ドア開閉口141が開いている場合、その上側ドア開閉口141には、矢印F3のようにヒータコア13をバイパスして冷風である空気が流れる。
下側空気通路15のうちヒータコア13に対する下方部位には、下側エアミックスドア20に開閉される下側ドア開閉口151が形成されている。下側ドア開閉口151は下側空気通路15の一部として設けられている。そして、その下側ドア開閉口151が開いている場合、その下側ドア開閉口151には、矢印F4のようにヒータコア13をバイパスして冷風である空気が流れる。
空調ケース11内においてヒータコア13と蒸発器12との間の部位には、温度調整装置をなす上側および下側エアミックスドア18、20が配置されている。上側エアミックスドア18は、矢印F5のようにヒータコア13のコア部131の上部で加熱される温風と、矢印F3のように上側ドア開閉口141を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整する。
ヒータコア13のコア部131の上部からの温風F5と上側ドア開閉口141からの冷風F3は、第1空気混合空間11gにおいて混合して所望温度の空気となる。この第1空気混合空間11gは、空調ケース11内に形成されたケース内空気通路に含まれる。そして、第1空気混合空間11gは、上側空気通路14に対する空気流れ下流側、すなわち、上側ドア開閉口141とヒータコア13のうち上側空気通路14に配置された部分とのそれぞれに対する空気流れ下流側に配置されている。
下側エアミックスドア20は、矢印F6のようにヒータコア13のコア部131の下部で加熱される温風と、矢印F4のように下側ドア開閉口151を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整する。
ヒータコア13のコア部131の下部からの温風F6と下側ドア開閉口151からの冷風F4は第2空気混合空間11hにおいて混合して所望温度の空気となる。この第2空気混合空間11hは、空調ケース11内に形成されたケース内空気通路に含まれる。そして、第2空気混合空間11hは、下側空気通路15に対する空気流れ下流側、すなわち、下側ドア開閉口151とヒータコア13のうち下側空気通路15に配置された部分とのそれぞれに対する空気流れ下流側に配置されている。
上側エアミックスドア18と下側エアミックスドア20とフェイスドア28は、互いに別の独立したドアとして空調ケース11内に設けられている。上側エアミックスドア18と下側エアミックスドア20はそれぞれ、ヒータコア13の前面に対して略平行にスライド移動する板状のスライドドアである。
図1〜図3に示すように、上側エアミックスドア18は、空調ケース11内に設けられている。そして、上側エアミックスドア18は、図3に示すように、板状のドア本体部181と一対のラック182とを有している。その一対のラック182は、ドア本体部181の片側の面、具体的には、ドア本体部181の空気流れ上流側の面に設けられている。
図1〜図3に示すように、上側エアミックスドア18の一対のラック182は、上側ギヤ付シャフト19が有する一対のピニオン191と噛み合う。そのため、不図示の電動アクチュエータで回転駆動される上側ギヤ付シャフト19の回転に伴って、第2スライドドアとしての上側エアミックスドア18は、所定の第2ドア移動方向Dbへスライド移動する。
なお、図2では見易く図示するために、蒸発器12および上側ギヤ付シャフト19の図示が省略されている。また、図2では、図1とは異なり、上側エアミックスドア18は、スライド移動の上側の移動端に位置した状態、すなわち、上側ドア開閉口141を全閉にした状態で図示されている。上側エアミックスドア18のスライド移動において、その上側の移動端とは、言い換えれば、第2ドア移動方向Dbの一方側の移動端である。
上側エアミックスドア18のドア本体部181は、上側ドア開閉口141を覆う部分であり、一対の被ガイド部183を有している。その一対の被ガイド部183は、上側エアミックスドア18のうち車両幅方向DR3の両端それぞれに配置されている。詳細には、その一対の被ガイド部183は、車両幅方向DR3において、一対のラック182の両外側に配置されている。一対の被ガイド部183は、空調ケース11に形成され第2ドア移動方向Dbへ延びるガイド溝11bに嵌め入れられている。これにより、上側エアミックスドア18は第2ドア移動方向Dbへスライド移動するようにガイドされる。ガイド溝11bに嵌め入れられる被ガイド部183が車両幅方向DR3に並んで一対を成すので、これと同様に、ガイド溝11bも車両幅方向DR3に並んで一対を成す。
具体的に、その空調ケース11の各ガイド溝11bは、空調ケース11が有する2枚のガイド壁301、302の間に形成されている。その2枚のガイド壁301、302は、上側エアミックスドア18の被ガイド部183を挟んで並んでいる。この配置により、その2枚のガイド壁301、302は、第2ドア移動方向Dbに沿った上側エアミックスドア18のスライド移動をガイドする。
詳細には、その2枚のガイド壁301、302は、上側エアミックスドア18の一面側に配置された一面側ガイド壁301と、上側エアミックスドア18の他面側に配置された他面側ガイド壁302とである。その上側エアミックスドア18の一面側は、本実施形態では上側エアミックスドア18の空気流れ下流側であり、上側エアミックスドア18の他面側は、その上側エアミックスドア18の一面側の反対側すなわち空気流れ上流側である。
一面側ガイド壁301のうち他面側ガイド壁302に対向する対向面と、他面側ガイド壁302のうち一面側ガイド壁301に対向する対向面とが、上側エアミックスドア18用のガイド溝11bの溝側面となっている。そして、その一面側ガイド壁301と他面側ガイド壁302とにより形成されたガイド溝11bの溝側面には、上側エアミックスドア18のうちの摺動部としての被ガイド部183が摺動する。
また、図3に示すように被ガイド部183が車両幅方向DR3に並んで一対を成すように配置されているので、その被ガイド部183が摺動する2枚のガイド壁301、302も、車両幅方向DR3に並んで一対を成すように配置されている。その車両幅方向DR3に並んで一対を成す一面側ガイド壁301の相互間には、上側ドア開閉口141が形成されている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、上側エアミックスドア18は、空調ケース11内において車両幅方向DR3に2つ並んで設けられている。そして、その2つの上側エアミックスドア18は、例えば車両幅方向DR3において、互いに対称形状となっている。
図1に示すように、下側エアミックスドア20は、上側エアミックスドア18と同様の構造である。すなわち、下側エアミックスドア20は、板状のドア本体部201と、下側ギヤ付シャフト21が有する一対のピニオン211と噛み合う一対のラック202とを有している。そして、第3スライドドアとしての下側エアミックスドア20は、所定の第3ドア移動方向Dcへスライド移動する。また、下側エアミックスドア20のドア本体部201のうち車両幅方向DR3の両端部はそれぞれ、空調ケース11に形成され第3ドア移動方向Dcへ延びるガイド溝11cに嵌め入れられている。これにより、下側エアミックスドア20は第3ドア移動方向Dcへスライド移動するようにガイドされる。その下側エアミックスドア20用のガイド溝11cも、上記の上側エアミックスドア18用のガイド溝11bと同様に、車両幅方向DR3に並んで一対を成す。
なお、第2ドア移動方向Dbと第3ドア移動方向Dcはそれぞれ、車両幅方向DR3に交差する方向(厳密に言えば、直交する方向)である。従って、上側エアミックスドア18に沿った向きの1つである上側エアミックスドア18のドア幅方向、および、下側エアミックスドア20に沿った向きの1つである下側エアミックスドア20のドア幅方向は何れも車両幅方向DR3となっている。すなわち、エアミックスドア18、20の各ドア幅方向は、図1では紙面の法線方向である。
また、上側ギヤ付シャフト19および下側ギヤ付シャフト21はそれぞれ、車両幅方向DR3へ延びて、空調ケース11に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、下側エアミックスドア20も上記の上側エアミックスドア18と同様に、空調ケース11内において車両幅方向DR3に2つ並んで設けられている。
図1に示すように、空調ケース11の上面部分には、デフロスタ吹出口241とフェイス吹出口251とが形成されている。このデフロスタ吹出口241には不図示のデフロスタダクトが接続されており、デフロスタ吹出口241は、そのデフロスタダクトを介して、車両前面窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出す。
また、デフロスタ吹出口241は、デフロスタ空気通路24の空気流れ下流端として形成された開口端である。そのデフロスタ空気通路24は、空調ケース11内に形成されたケース内空気通路に含まれ、第1空気混合空間11gに対し空気流れ下流側に配置されている。
また、デフロスタ空気通路24内には、不図示の電動アクチュエータによって動作させられる回動ドアとしてのデフロスタドア26が設けられている。このデフロスタドア26は、その回動動作によってデフロスタ吹出口241を開閉する。
フェイス吹出口251はデフロスタ吹出口241に対し車両後方側に設けられている。このフェイス吹出口251には不図示のフェイスダクトが接続されており、フェイス吹出口251は、そのフェイスダクトを介して、車室内前席に着座した乗員の頭部ないし胸部に向けて空気を吹き出す。
また、フェイス吹出口251は、フェイス空気通路25の空気流れ下流端として形成された開口端である。そのフェイス空気通路25は、空調ケース11内に形成されたケース内空気通路に含まれ、第1空気混合空間11gに対し空気流れ下流側に配置されている。
空調ケース11の車両後方側かつ下方側の部分には、第2空気混合空間11hに連通する不図示のフット吹出口が形成されており、そのフット吹出口は不図示のフットドアによって開閉される。このフット吹出口には不図示のフットダクトが接続されており、フット吹出口は、そのフットダクトを介して、車室内前席に着座した乗員の足元部分に向けて空気を吹き出す。
空調ケース11内において第1空気混合空間11gと第2空気混合空間11hとの間には、混合空間連通口11dが形成されている。この混合空間連通口11dは、上記ケース内空気通路のうち第1空気混合空間11gと第2空気混合空間11hとを連通させる空気通路である。そして、混合空間連通口11dは、不図示の電動アクチュエータで駆動される回動ドアとしての連通口ドア27によって開閉される。
図1および図4に示すように、フェイスドア28は、空調ケース11内で所定の第1ドア移動方向Daへスライド移動するスライドドアである。そして、フェイスドア28は、その第1ドア移動方向Daへスライド移動することにより、上流側空気通路50と下流側空気通路52との間を開閉する。
その上流側空気通路50は、ケース内空気通路のうちフェイスドア28に対し空気流れ上流側に設けられた空気通路であり、下流側空気通路52は、ケース内空気通路のうちフェイスドア28に対し空気流れ下流側に設けられた空気通路である。従って、下流側空気通路52は、上流側空気通路50に対し空気流れ下流側に設けられている。例えば、上流側空気通路50には、入口通風路11a、混合空間連通口11d、蒸発器配置空間11e、第1空気混合空間11g、第2空気混合空間11h、上側空気通路14、および下側空気通路15が含まれる。また、下流側空気通路52には、第1の空気通路としてのデフロスタ空気通路24と、第2の空気通路としてのフェイス空気通路25とが含まれる。
また、フェイスドア28の第1ドア移動方向Daは、本実施形態では、デフロスタ空気通路24の空気流れ上流端とフェイス空気通路25の空気流れ上流端とに沿った方向になっている。フェイスドア28は、デフロスタ空気通路24とフェイス空気通路25とをそれぞれ開閉するが、詳細には、デフロスタ空気通路24を開くほどフェイス空気通路25を閉じるようにスライド移動する。
本実施形態では、フェイスドア28は、上側エアミックスドア18とおおよそ同様の構造を有するスライドドアである。従って、フェイスドア28は全体として第1ドア移動方向Daに沿った板状を成している。そして、フェイスドア28は、板状のドア本体部281とラック282とを有している。
フェイスドア28のドア本体部281は、デフロスタ空気通路24の空気流れ上流端とフェイス空気通路25の空気流れ上流端とを覆う部分である。フェイスドア28のラック282は、ドア本体部281の片側の面、具体的には、ドア本体部281の空気流れ上流側の面に2つ設けられている。そして、その2つのラック282は、車両幅方向DR3に一致するフェイスドア28のドア幅方向に並んで一対を成すように配置されている。
このフェイスドア28のドア幅方向は、板状のフェイスドア28に沿った向きの1つであり、図1では紙面の法線方向である。従って、フェイスドア28のドア幅方向は、第1ドア移動方向Daに交差する方向(厳密に言えば、直交する方向)である。
フェイスドア28の一対のラック282は、フェイスドア用ギヤ付シャフト29が有する一対のピニオン291と噛み合う。そのため、不図示の電動アクチュエータで回転駆動されるフェイスドア用ギヤ付シャフト29の回転に伴って、第1スライドドアとしてのフェイスドア28は、第1ドア移動方向Daへスライド移動する。なお、図4では、ヒータコア13、上側ギヤ付シャフト19、デフロスタドア26、およびフェイスドア用ギヤ付シャフト29の図示が省略されている。また、図4では、上述の図2と同様に、上側エアミックスドア18は、スライド移動の上側の移動端に位置した状態で図示されている。
また、フェイスドア用ギヤ付シャフト29は、上述したギヤ付シャフト19、21と同様に、車両幅方向DR3へ延びて、空調ケース11に回転可能に支持されている。
図1および図4に示すように、空調ケース11は、フェイスドア28が挿入されてそのフェイスドア28の移動をガイドするドアガイド部32を有している。そのフェイスドア28用のドアガイド部32は、第1ドア移動方向Daの一方側に一端部321を有し、第1ドア移動方向Daの他方側に他端部322を有している。
そのドアガイド部32の一端部321には、フェイスドア28が第1ドア移動方向Daの一方側からドアガイド部32へ挿入される際の挿入口321aが形成されている。例えば空調ユニット10の組立工程等においてフェイスドア28はその挿入口321aからドアガイド部32へ挿入される。
そのドアガイド部32の挿入口321aは、上流側空気通路50のうち上側空気通路14に対して開口している。そして、その挿入口321aは、蒸発器12に対向する向きを向いて開口している。すなわち、蒸発器12は、上流側空気通路50のうち挿入口321aよりも空気流れ上流側に配置された熱交換器である。また、その挿入口321aと上側ドア開閉口141との位置関係では、その上側ドア開閉口141は、上流側空気通路50のうち挿入口321aよりも空気流れ下流側に設けられている。更に言えば、その挿入口321aは、上側エアミックスドア18よりも空気流れ上流側で上流側空気通路50に対して開口している。
具体的に、ドアガイド部32は、車両幅方向DR3の両端部分にガイド溝32aがそれぞれ形成されている。そのガイド溝32aは車両幅方向DR3に相対向して一対を成し、ドアガイド部32の一端部321から他端部322まで第1ドア移動方向Daに沿って延びている。
そして、フェイスドア28のドア本体部281は、車両幅方向DR3におけるフェイスドア28の両端部として一対の被ガイド部を有している。例えば、このフェイスドア28の一対の被ガイド部の配置は、図3に示す上側エアミックスドア18の一対の被ガイド部183と同様の配置である。フェイスドア28の一対の被ガイド部は、フェイスドア28用の一対のガイド溝32aにそれぞれ嵌め入れられている。
これにより、フェイスドア28は第1ドア移動方向Daへスライド移動するようにガイドされる。そのフェイスドア28の一対の被ガイド部は、例えば上側エアミックスドア18と同様に、車両幅方向DR3において、一対のラック282の両外側に配置されている。
また、ドアガイド部32の一対のガイド溝32aはそれぞれ、第1ドア移動方向Daの一方側に一端を有する。そして、上記したドアガイド部32の挿入口321aは、その一対のガイド溝32aのそれぞれの一端と、車両幅方向DR3に並んだその一端同士の間を占める領域とから構成されている。
なお、本実施形態では、上述した上側エアミックスドア18と同様に、フェイスドア28は、空調ケース11内において車両幅方向DR3に2つ並んで設けられている。従って、フェイスドア28用のドアガイド部32はフェイスドア28毎に設けられるので、車両幅方向DR3に2つ並んで設けられている。
図1および図4に示すように、カバー部材40は空調ケース11に固定され、ドアガイド部32の挿入口321aに蓋をしている。詳細には、そのカバー部材40は、空調ケース11とは別の部材として構成され、空調ケース11のうち第2ケース部材112に固定されている。
具体的に、カバー部材40は、挿入口321aに蓋をしているカバー本体としての蓋部401と、その蓋部401から延設された複数の延設部402とを有している。その蓋部401は、図5〜図8に示すように、第1ドア移動方向Daに厚みを有する板状を成し、車両幅方向DR3に延びるように形成されている。そして、図1および図4に示すように、その蓋部401は例えばドアガイド部32の一端部321側に溝または突起を有し、カバー部材40のうち蓋部401が空調ケース11に対し例えば圧入により固定されている。
図2、図5〜図8に示すように、複数の延設部402は、蓋部401からほぼ車両下方側へ延び、車両幅方向DR3に相互間隔を空けて配置されている。この延設部402は、上側エアミックスドア18を押圧するドア押え部として設けられている。
図1および図4に示すように、カバー部材40は、蒸発器12とドアガイド部32の挿入口321aとの間でその挿入口321aに蓋をしている。詳細には、カバー部材40の蓋部401は蒸発器12の上側ヘッダタンク121とドアガイド部32の一端部321との間に挟まれている。
また、その蓋部401は、蒸発器12を支持するための支持部401aを、ドアガイド部32の一端部321側とは反対側に有している。その支持部401aは、図5および図7に示すように、車両幅方向DR3を厚み方向として車両幅方向DR3に並んだ複数の支持リブから構成されている。
また、図1および図4に示すように、その支持部401aと蒸発器12の上側ヘッダタンク121との間には、上側ヘッダタンク121の表面に貼り付けられ発泡ウレタン等からなる上側クッション材42が介在し、その上側クッション材42は弾性圧縮させられている。そのため、カバー部材40の蓋部401は、上側ヘッダタンク121によってドアガイド部32の一端部321側へ押圧されている。別言すれば、カバー部材40は、ドアガイド部32の一端部321と蒸発器12との間に配置され、その蒸発器12によってドアガイド部32の一端部321へ押し付けられている。
また、図1に示すように、蒸発器12の下側ヘッダタンク122の表面にも、上側クッション材42と同様の発泡ウレタン等からなる下側クッション材44が貼り付けられている。また、第1ケース部材111は、蒸発器12を支持するための第1ケース側支持部111aと第2ケース側支持部111bと第3ケース側支持部111cとを有している。その第1ケース側支持部111aと第2ケース側支持部111bと第3ケース側支持部111cはそれぞれ、カバー部材40の支持部401aと同様に、車両幅方向DR3を厚み方向として車両幅方向DR3に並んだ複数の支持リブから構成されている。
このような構成から、蒸発器12は、第1ケース部材111とカバー部材40とによって空調ケース11内に支持されている。詳細に言えば、上側クッション材42が、第1ケース側支持部111aと蒸発器12の上側ヘッダタンク121との間、および、カバー部材40の支持部401aとその上側ヘッダタンク121との間にそれぞれ介在し、弾性圧縮させられている。それと共に、下側クッション材44が、第2ケース側支持部111bと蒸発器12の下側ヘッダタンク122との間、および、第3ケース側支持部111cとその下側ヘッダタンク122との間にそれぞれ介在し、弾性圧縮させられている。
これにより、蒸発器12は、上側ヘッダタンク121では第1ケース側支持部111aとカバー部材40の支持部401aとに支持され、下側ヘッダタンク122では第2ケース側支持部111bと第3ケース側支持部111cとに支持されている。そして、第2ケース部材112はカバー部材40を介して蒸発器12を間接的に支持している。すなわち、空調ケース11は、第1ケース部材111と第2ケース部材112とによって蒸発器12を空調ケース11内に保持する構造を備えている。
ここで、図1および図4に示すようにドアガイド部32の挿入口321aは上側ドア開閉口141よりも空気流れ上流側で開口している。そのため、仮にカバー部材40が無く挿入口321aが開放されたままであったとすれば、挿入口321aには空気が自由に流入する。そして、その挿入口321aに流入した空気は、その上側ドア開閉口141を迂回して上側ドア開閉口141よりも空気流れ下流側へと流れる。例えば、その挿入口321aに流入した空気は、デフロスタ空気通路24、フェイス空気通路25、および第1空気混合空間11gの何れか又は各々へと流れる。
これに対し、本実施形態ではカバー部材40は、挿入口321aに蓋をすることにより、その挿入口321aを介し上側ドア開閉口141を迂回する空気流れを妨げる。例えば、図2に挿入口321aが表れていないことから判るように、カバー部材40は、ドアガイド部32の挿入口321aの全体を第1ドア移動方向Daの一方側から覆っている。別言すれば、カバー部材40は、ドアガイド部32の一端部321を挿入口321aよりも広い面積で覆っている。
図2および図4に示すように、カバー部材40と上側エアミックスドア18との位置関係に着目すると、上側エアミックスドア18はカバー部材40の直下に配置されている。そして、上側エアミックスドア18は、第2ドア移動方向Dbの一方側へスライド移動するほど、上側ドア開閉口141の開度を小さくすると共にカバー部材40の蓋部401に近づく。
図2および図4に示された上側エアミックスドア18は、その上側エアミックスドア18のスライド移動における第2ドア移動方向Dbの一方側の移動端(言い換えれば、ストローク端)に位置している。その図2および図4に示すように、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18がその一方側の移動端に位置する場合には、上側エアミックスドア18の他面側から上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する。このとき延設部402は弾性変形しているので、その弾性変形により上側エアミックスドア18に対する付勢力を発揮する。
更に、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18が第2ドア移動方向Dbの他方側へ上記一方側の移動端から所定距離DS移動するまでの間でも、その上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する。
例えば図3および図4に示すように、上側エアミックスドア18のドア本体部181は、車両幅方向DR3を厚み方向とした当接リブ184を、カバー部材40の延設部402が当接する部位に有している。そのため、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する場合には、その当接リブ184の端縁に当接しつつ付勢する。そして、その付勢された状態で上側エアミックスドア18がスライド移動すると、そのスライド移動に伴って当接リブ184はカバー部材40の延設部402に対して摺動する。
また、図2および図4に示すように、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18を他面側から付勢するときには、車両幅方向DR3に並んだ一対の一面側ガイド壁301の相互間にて上側エアミックスドア18に当接する。詳細に言えば、車両幅方向DR3における上記一対の一面側ガイド壁301の相互間には、図2に示すように上側エアミックスドア18の一対のラック182が配置されている。そして、その一対のラック182は車両幅方向DR3に並んでおり、カバー部材40の延設部402は、その一対のラック182の相互間にて上側エアミックスドア18に当接する。
本実施形態では、図2および図5に示すように、カバー部材40の延設部402は合計4つ設けられており、上側エアミックスドア18は上述したように合計2つ設けられている。従って、上側エアミックスドア18毎に、2つの延設部402がその上側エアミックスドア18を付勢する。
上述したように、本実施形態によれば、図1、図2、および図4に示すように、空調ケース11内に固定されたカバー部材40はドアガイド部32の挿入口321aに蓋をしているので、その挿入口321aを介した空気の流通を防止することが可能である。
具体的には、そのカバー部材40は、挿入口321aに蓋をすることにより、その挿入口321aを介し上側ドア開閉口141を迂回する空気流れを妨げる。従って、その上側ドア開閉口141を迂回する空気流れが不必要に生じることを防止することが可能である。そのため、上側ドア開閉口141の開閉により得られる作用効果、例えばデフロスタ吹出口241またはフェイス吹出口251から吹き出される空調風の温度を調節するという作用効果を適切に得ることが可能である。
ところで、空調ユニット10の組立工程において、フェイスドア用ギヤ付シャフト29は、それを回転させるための電動アクチュエータ等を含むサーボモジュールが組み付けられる前であれば自由に回転する。そのため、そのサーボモジュールの組付け前にフェイスドア28が第1ドア移動方向Daの一方側を下方側に向けた姿勢になった場合に、フェイスドア28はその自重によって挿入口321aから抜けて脱落し得る。
これに対し、本実施形態によれば、上記のようにカバー部材40は挿入口321aに蓋をするので、空調ユニット10の組立工程でフェイスドア28が自重によってドアガイド部32から抜け出そうとしても、それをカバー部材40によって止めることが可能である。要するに、その組立工程でフェイスドア28が脱落することを防止することが可能である。
また、本実施形態によれば、空調ユニット10は、上流側空気通路50のうちドアガイド部32の挿入口321aよりも空気流れ上流側に配置された熱交換器として蒸発器12を備えている。そして、カバー部材40は、その蒸発器12と挿入口321aとの間でその挿入口321aに蓋をしている。従って、空調ケース11に固定されたカバー部材40が空調ケース11から脱落することを、蒸発器12を利用して防止することが可能である。要するに、蒸発器12によってカバー部材40を、挿入口321aに蓋をした状態に保持することが可能である。
また、本実施形態によれば、カバー部材40は、ドアガイド部32の一端部321と蒸発器12との間に配置され、その蒸発器12によってドアガイド部32の一端部321へ押し付けられている。従って、例えばカバー部材40がドアガイド部32の一端部321へ押し付けられていない場合と比較して、カバー部材40が空調ケース11から脱落することを防止する機能を高く得ることが可能である。
また、本実施形態によれば、空調ケース11は、第1ケース部材111と第2ケース部材112とを有し、その第1ケース部材111と第2ケース部材112とが一体に固定されることにより構成されている。ドアガイド部32は、空調ケース11のうち第2ケース部材112に含まれ、カバー部材40は、その第2ケース部材112に固定されている。そして、蒸発器12は、第1ケース部材111とカバー部材40とによって空調ケース11内に支持されている。従って、第2ケース部材112は、カバー部材40を介して間接的に蒸発器12を支持することができる。
例えば、一般的に空調ユニット10には、形状の異なる様々な蒸発器12が採用される場合が多い。そのような場合には、蒸発器12が偏って保持されないように、蒸発器12に対する保持形状を蒸発器12の種類に応じて最適な形状に変更する必要がある。その蒸発器12に対する保持形状とは、図1で言えば、ケース側支持部111a、111b、111cおよびカバー部材40の支持部401aの形状である。
このように様々な蒸発器12が採用される場合において、本実施形態の空調ユニット10では、第1ケース部材111とカバー部材40との一方または両方を交換すれば第2ケース部材112を交換することなく、様々な蒸発器12に対応することが可能である。要するに、第2ケース部材112を共通部品として様々な蒸発器12に対応できる空調ユニット10を成立させることが可能である。
また、本実施形態によれば、空調ユニット10は、第2スライドドアとして板状の上側エアミックスドア18を備え、その上側エアミックスドア18は、空調ケース11内で所定の第2ドア移動方向Dbへスライド移動する。カバー部材40は、ドアガイド部32の挿入口321aに蓋をしている蓋部401と、その蓋部401から延設された延設部402とを有している。上側エアミックスドア18は、第2ドア移動方向Dbの一方側へスライド移動するほど、上側ドア開閉口141の開度を小さくすると共にカバー部材40の蓋部401に近づく。そして、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18のスライド移動における第2ドア移動方向Dbの一方側の移動端に上側エアミックスドア18が位置する場合に、その上側エアミックスドア18の他面側から上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する。
ここで、上側エアミックスドア18が上記一方側の移動端に位置する場合には、上側ドア開閉口141がその上側エアミックスドア18によって閉じられているので、その上側エアミックスドア18は風圧を受け振動を生じることがある。これに対し、カバー部材40の延設部402は上記のように上側エアミックスドア18を付勢するので、空気流れに起因した上側エアミックスドア18の振動を抑制することが可能である。
また、本実施形態によれば、カバー部材40の延設部402は、第2ドア移動方向Dbの一方側とは反対側の他方側へ上記一方側の移動端から上側エアミックスドア18が所定距離DS移動するまでの間でも、上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する。
ここで、上記した上側エアミックスドア18の振動は、上側エアミックスドア18が第2ドア移動方向Dbの一方側の移動端に位置する場合だけでなく、上側エアミックスドア18が上側ドア開閉口141を僅かに開いた場合にも生じることがある。これに対し、カバー部材40の延設部402は、上記のように上側エアミックスドア18が所定距離DS移動するまでの間でもその上側エアミックスドア18を付勢するので、空気流れに起因した上側エアミックスドア18の振動を一層十分に抑制することが可能である。
また、本実施形態によれば、上側エアミックスドア18のスライド移動をガイドする一面側ガイド壁301は複数設けられ、車両幅方向DR3に一致する上側エアミックスドア18のドア幅方向に並んで一対を成すものである。その一対の一面側ガイド壁301にはそれぞれ、上側エアミックスドア18のうちの摺動部としての被ガイド部183が摺動する。そして、カバー部材40の延設部402は、上側エアミックスドア18を上記他面側から付勢するときには、車両幅方向DR3における一対の一面側ガイド壁301の相互間にて第2スライドドアに対し当接する。
従って、上側エアミックスドア18のうち一面側ガイド壁301に支持されず延設部402が無ければ振動しやすい箇所を、その延設部402で押圧することが可能である。そのため、空気流れに起因して上側エアミックスドア18の振動が生じる場合に、その振動の腹の振幅をカバー部材40の延設部402で効果的に小さくすることが可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の実施形態では、図2に示すように、上側エアミックスドア18毎に、カバー部材40が有する2つの延設部402がその上側エアミックスドア18を付勢するが、その延設部402の個数に限定はない。
(2)上述の実施形態では、図1および図4に示すように、ドアガイド部32の挿入口321aは、蒸発器12に対し空気流れ下流側に配置されているが、これは一例である。例えば、その挿入口321aが蒸発器12に対し空気流れ上流側に配置されるように、ドアガイド部32が形成されていても差し支えない。
(3)上述の実施形態では、図2および図4に示すように、上側エアミックスドア18を押圧するドア押え部としての延設部402は、カバー部材40のうちの一部として設けられているが、これは一例である。例えば、その延設部402は、空調ケース11のうちの一部として設けられていてもよいし、カバー部材40および空調ケース11とは別の部品として構成されていてもよい。更に言えば、その別の部品としての延設部402は、カバー部材40または空調ケース11に取り付けられるアタッチメントとして構成されていてもよい。また、延設部402は図2および図4では板状を成しているが、その延設部402の形状に限定はない。
例えば、ドア押え部としての延設部402は、カバー部材40の一部分ではなく、図9および図10に示すように、空調ケース11から延設されるように形成されていてもよい。図9および図10に示す変形例では、延設部402は、空調ケース11と一体成形されている。
また、その変形例では、空調ユニット10は、その延設部402を第1のドア押え部として有していることに加え、第2のドア押え部114を有している。そして、上側エアミックスドア18は、上側に設けられた当接リブ184(図3参照)と同様の一対の当接リブ184を、上側だけでなく図9に示すように下側にも有している。図9および図10に示すように、第2のドア押え部114は、第1のドア押え部402と同様に、空調ケース11から延設されるように形成されており、上側エアミックスドア18が有する下側の当接リブ184にて上側エアミックスドア18を押える。そして、第2のドア押え部114は、第2ドア移動方向Dbにおいて第1のドア押え部402側とは反対側に設けられている。この変形例では、第1のドア押え部402と第2のドア押え部114とのうちの一方が無い構成も想定できる。
更に、上述の実施形態では、図4に示すように、第2ドア移動方向Dbの一方側が上側で他方側が下側とされているが、これとは逆に、上記変形例では図11に示すように、第2ドア移動方向Dbの一方側が下側で他方側が上側と解することも可能である。
そのように解した場合、図9〜図11に示すように、上側エアミックスドア18は、第2ドア移動方向Dbの一方側(具体的には、下側)へスライド移動するほど、上側空気通路14に含まれる第2のドア開閉口142の開度を小さくする。その第2のドア開閉口142は、第1のドア開閉口としての上側ドア開閉口141に対し下側に配置され、ヒータコア13が配置された空気通路の入口となっている。そして、第2のドア押え部114は、上側エアミックスドア18が第2ドア移動方向Dbの一方側の移動端に位置する場合には、上側エアミックスドア18の他面側から上側エアミックスドア18を一面側ガイド壁301へ押し付けるように付勢する。
なお、図9〜図11では、一面側ガイド壁301は、車両幅方向DR3に並んで一対を成し上側エアミックスドア18の被ガイド部183(図3参照)が摺動する部分に加え、第2のドア開閉口142の下側で上側エアミックスドア18をガイドする下側ガイド部分301aを有している。また、第2のドア押え部114は、上述した第1のドア押え部402と同様に空調ケース11とは別の部品として構成されていてもよい。また、見易く図示するために、図9では、蒸発器12および上側ギヤ付シャフト19の図示が省略されている。そして、図10および図11では、ヒータコア13、上側ギヤ付シャフト19、フェイスドア28、およびフェイスドア用ギヤ付シャフト29の図示が省略されている。また、図9および図10では、上側エアミックスドア18は、スライド移動の上側の移動端に位置した状態で図示され、図11では、上側エアミックスドア18は、スライド移動の下側の移動端に位置した状態で図示されている。
(4)なお、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、空調ケースは、スライドドアが挿入されてスライドドアの移動をガイドするドアガイド部を有する。そのドアガイド部は、ドア移動方向の一方側に一端部を有し、その一端部には、スライドドアがドアガイド部へ挿入される際の挿入口が形成されている。空調ケース内に収容されその空調ケースに固定されたカバー部材は、その挿入口に蓋をしている。
また、第2の観点によれば、空調ユニットは、上流側空気通路のうち挿入口よりも空気流れ上流側に配置された熱交換器を備える。そして、カバー部材は、その熱交換器と挿入口との間でその挿入口に蓋をしている。従って、空調ケースに固定されたカバー部材が空調ケースから脱落することを、熱交換器を利用して防止することが可能である。要するに、熱交換器によってカバー部材を、挿入口に蓋をした状態に保持することが可能である。
また、第3の観点によれば、カバー部材は、ドアガイド部の一端部と熱交換器との間に配置され、その熱交換器によってドアガイド部の一端部へ押し付けられている。従って、例えばカバー部材がドアガイド部の一端部へ押し付けられていない場合と比較して、カバー部材が空調ケースから脱落することを防止する機能を高く得ることが可能である。
また、第4の観点によれば、空調ケースは、第1ケース部材と第2ケース部材とを有し、その第1ケース部材と第2ケース部材とが一体に固定されることにより構成されている。ドアガイド部は、空調ケースのうち第2ケース部材に含まれ、カバー部材は、空調ケースのうち第2ケース部材に固定される。そして、熱交換器は、第1ケース部材とカバー部材とによって空調ケース内に支持されている。従って、第2ケース部材は、カバー部材を介して間接的に熱交換器を支持することができる。そのため、形状の異なる様々な熱交換器が採用される場合において、第1ケース部材とカバー部材との一方または両方を交換すれば第2ケース部材を交換することなく、そのように様々な熱交換器に対応することが可能である。要するに、第2ケース部材を共通部品として様々な熱交換器に対応できる空調ユニットを提供することが可能である。
また、第5の観点によれば、空調ユニットは、上流側空気通路のうち挿入口よりも空気流れ下流側に設けられたドア開閉口を開閉する開閉ドアを備える。そして、カバー部材は、挿入口に蓋をすることにより、その挿入口を介しドア開閉口を迂回する空気流れを妨げる。従って、ドア開閉口を迂回する空気流れが不必要に生じることを防止することが可能である。そのため、ドア開閉口の開閉により得られる作用効果、例えば空調風の温度を調節する作用効果を適切に得ることが可能である。
また、第6の観点によれば、空調ユニットは、空調ケース内で所定の第2ドア移動方向へスライド移動する板状の第2スライドドアを備える。カバー部材は、挿入口に蓋をしている蓋部と、その蓋部から延設されたドア押え部とを有する。第2スライドドアは、第2ドア移動方向の一方側へスライド移動するほど、ケース内空気通路に含まれるドア開閉口の開度を小さくすると共にカバー部材の蓋部に近づく。そして、ドア押え部は、第2スライドドアのスライド移動における第2ドア移動方向の一方側の移動端に第2スライドドアが位置する場合に、その第2スライドドアの他面側から第2スライドドアを一面側ガイド壁へ押し付けるように付勢する。
ここで、第2スライドドアが第2ドア移動方向の一方側の移動端に位置する場合には、ドア開閉口がその第2スライドドアによって閉じられているので、その第2スライドドアは風圧を受け振動を生じることがある。これに対し、ドア押え部は上記第6の観点のように第2スライドドアを付勢するので、空気流れに起因した第2スライドドアの振動を抑制することが可能である。
また、第7の観点によれば、空調ユニットは、空調ケース内で所定の第2ドア移動方向へスライド移動する板状の第2スライドドアと、空調ケース内に設けられたドア押え部とを備える。第2スライドドアは、第2ドア移動方向の一方側へスライド移動するほど、ケース内空気通路に含まれるドア開閉口の開度を小さくする。そして、ドア押え部は、第2スライドドアのスライド移動における第2ドア移動方向の一方側の移動端に第2スライドドアが位置する場合に、その第2スライドドアの一面側とは反対側の他面側から第2スライドドアを一面側ガイド壁へ押し付けるように付勢する。従って、上記第6の観点と同様に、空気流れに起因した第2スライドドアの振動を抑制することが可能である。
また、第8の観点によれば、ドア押え部は、第2ドア移動方向の一方側とは反対側の他方側へ上記一方側の移動端から第2スライドドアが所定距離移動するまでの間でも、第2スライドドアを一面側ガイド壁へ押し付けるように付勢する。
ここで、上記した第2スライドドアの振動は、第2スライドドアが第2ドア移動方向の一方側の移動端に位置する場合だけでなく、第2スライドドアがドア開閉口を僅かに開いた場合にも生じることがある。これに対し、ドア押え部は上記第8の観点のように第2スライドドアを付勢するので、空気流れに起因した第2スライドドアの振動を一層十分に抑制することが可能である。
また、第9の観点によれば、一面側ガイド壁は複数設けられドア幅方向に並んで一対を成すものであり、その一対の一面側ガイド壁にはそれぞれ、第2スライドドアのうちの摺動部が摺動する。そして、ドア押え部は、第2スライドドアを上記他面側から付勢するときには、ドア幅方向における一対の一面側ガイド壁の相互間にて第2スライドドアに対し当接する。従って、空気流れに起因して第2スライドドアの振動が生じる場合に、その振動の腹の振幅をドア押え部で効果的に小さくすることが可能である。