JP3767060B2 - 空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調ケース内に暖房用熱交換器を収容した空調装置に関するもので、特に、暖房用熱交換器へ流す空気量をスライド式ドアにて調整するようにした空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、特願平7−235505号や、特願平8−143287号の特許出願において、上記スライド式ドアを備える空調装置を提案している。
この空調装置は、図6に示すように、空調ケース3内に、ヒータコア22と、このヒータコア22をバイパスして空気が流れるバイパス空気路(図示省略)とを、空気流れに垂直な方向(図6において紙面に垂直な方向)に併設し、ヒータコア22へ空気を流す第1空気通路開口部36a、および、バイパス空気路へ空気を流す第2空気通路開口部(図示せず)を、ヒータコア22の空気上流側に形成したものである。そして、第1空気通路開口部36a、第2空気通路開口部に沿って摺動可能なスライド式ドア30により、これらの開口面積を調整し、このスライド式ドア30を摺動可能に支持するガイドレール37が、空調ケース3の内壁面に設けてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そして、上述のような空調装置において、空調ケース3のうちガイドレール37を含むケース部31を、左側ケース部31aおよび右側ケース部31bに分割可能とし、ガイドレール37にスライド式ドア30を挟み込ませつつ、左側ケース部31aと右側ケース部31bとを組付けることにより、空調ケース3内にスライド式ドア30を組付けることを、本発明者らは考案した。
【0004】
ところが、空調ケース3内にスライド式ドア30を組付けるとき、ガイドレール37にスライド式ドア30を配置させる作業と、左側上ケース部31aと右側上ケース部31bとを組付ける作業とを重複して行なう必要があり、この組付作業が複雑であることがわかった。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、空調ケース内にスライド式ドアを組付ける組付作業を単純化することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、請求項1ないし5に記載の発明では、空調ケース(3)内の所定部位へ空気を流す空気通路開口部(36a、36b)に沿って移動するスライド式ドア(30)を摺動可能に支持するガイドレール(37)の端部に、スライド式ドア(30)を挿入可能な挿入部(370)を設け、空調ケース(3)のうち挿入部(370)に対応する部位に、スライド式ドア(30)を挿入可能な挿入口(310a)を形成し、この挿入口(310a)および挿入部(370)を経て、スライド式ドア(30)をガイドレール(37)内に配置した後、挿入口(310a)を覆う蓋部材(320)を設けたことを特徴としている。
【0006】
このような構成によれば、挿入口(310a)および挿入部(370)を経て、スライド式ドア(30)をガイドレール(37)内に配置するだけで、空調ケース(3)内にスライド式ドア(30)を組付けることができ、本発明者らが考案した上述の空調装置に比べて、空調ケース(3)内にスライド式ドア(30)を組付ける組付作業を単純化できる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明では、空調ケース(3)は、スライド式ドア(30)近傍の分割面(A)において、スライド式ドア(30)を含む第1ケース部(31)と、第2ケース部(32)とに分割可能で、第1ケース部(32)に挿入口(310a)を形成するとともに、第2ケース部(32)に一体に開閉部材(320)を設け、第1ケース部(31)と第2ケース部(32)とを組付けることにより、挿入口(310a)が蓋部材(320)にて覆われるので、空調装置の組付作業をより単純化できる。
【0008】
また、請求項4に記載の発明では、空調ケース(3)は、空気流れに平行に延びる分割面において2つのケース部(31a、31b)に分割可能であり、この2つのケース部(31a、31b)の間に、加熱用熱交換器(22)が挟持されることを特徴としている。
このように、2つのケース部(31a、31b)の間に加熱用熱交換器(22)を配置させつつ、2つのケース部(31a、31b)を組付けるような空調装置において、本発明のように、スライド式ドア(30)を単独で組付けることにより、この空調装置の組付作業を単純化できる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明では、スライド式ドア(30)が空気通路開口部(36a、36b)に対向するときに、スライド式ドア(30)に設けた弾性部材(30b)の先端全周を開口部形成部材(36)に密着させて、空気通路開口部(36a、36b)のシール性の向上を図った空調装置において、スライド式ドア(30)の挿入時に、開口部形成部材(36)において弾性部材(30b)の先端が当接する部位に、弾性部材(30b)の先端を滑らかに通過させるように傾斜する傾斜面(360)を形成したことを特徴としている。
【0010】
これによれば、スライド式ドア(30)の挿入時において、弾性部材(30b)の先端が不均一に撓むことを抑制でき、空気通路開口部(36a、36b)のシール性の低下を抑制できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
図1において、100は、自動車用空調装置のうち、車室内計器盤の下方部に設置される空調ユニットで、1は、この空調ユニット100に空気を導入する送風機ユニットで、車室内計器盤の下方部で、助手席側前方(本実施形態では右ハンドル車に適用するため、車両幅方向の左側)に配設されている。
【0012】
この送風機ユニット1は周知のごとく、車室内または車室外の空気を切替導入する内外気切替箱11と、この内外気切替箱11を通して導入された空気を送風する遠心多翼送風機(送風手段)14とから構成されている。内外気切替箱11には外気導入口(空気吸込部)12と内気導入口(空気吸込部)13が開口している。送風機14は、遠心式多翼ファン(送風ファン)15と、このファン15を駆動するモータ16と、ファン15を収容するスクロールケーシング17とを備えている。
【0013】
3は樹脂製(例えば、ポリプロピレン)の空調ケースで、車室内計器盤の下方部において車室内左右方向の略中央部に配置されている。この空調ケース3の一端は、送風機ユニット1のスクロールケーシング17に連通する連通口(図示省略)が備えられている。この空調ケース3内の空気最上流側(送風機ユニット1の空気下流側)には、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ21が配設され、このエバポレータ21の空気下流側には、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア22が配設されている。これらエバポレータ21およびヒータコア22は、空気流れに略垂直となるように配置されている。
【0014】
上記エバポレータ21は図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに周知の冷凍サイクルを構成する冷却用熱交換器であり、空調ケース3内の空気を除湿冷却する。上記圧縮機は自動車のエンジンにより電磁クラッチ(図示せず)を介して駆動される。また、上記ヒータコア22は自動車エンジンの冷却水を熱源とする加熱用熱交換器であり、上記エバポレータ21にて冷却された冷風を再加熱する。ここで、ヒータコア22にエンジン冷却水を入出させる温水配管22aは、空調ケース3に設けた貫通穴(図示せず)を貫通して、エンジンルーム側へ取り出される。
【0015】
そして、ヒータコア22の車室内上方部(空気下流側)に吹出モード切替部23が配置してある。この吹出モード切替部23は車室内への吹出モードを切り替えるためのもので、車室内の乗員頭部に向けて空気を吹き出すセンターフェイス(上方)吹出口(図示せず)に連通するセンターフェイス用空気吹出部25、および、サイドフェイス吹出口(図示せず)に連通するサイドフェイス用空気吹出部26と、車室内の乗員足元に向けて空気を吹き出すフット(足元)吹出口(図示せず)に連通するフット用空気吹出部27と、窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口(図示せず)に連通するデフロスタ用空気吹出部28とを有する。
【0016】
この吹出モード切替部23の内部には、図2に示すように板ドア(モード切替用ドア)45、46が回動可能に設置されている。具体的には、板ドア45、46の回動軸45a、46aが、ケース3に形成した回動軸支持凹部(図示せず)に回動可能に嵌合されている。この回動軸45a、46aは、空気流れ方向に略垂直に配置されている。そして、ドア45はセンターフェイス用空気吹出部25と、デフロスタ用空気吹出部28およびフット用空気吹出部27に通じる通路とを開閉する。また、ドア46はデフロスタ用空気吹出部28とフット用空気吹出部27とを開閉する。なお、サイドフェイス用空気吹出部26は常時開口しており、上記サイドフェイス吹出口近傍に、乗員の手動操作にて開閉されるグリル(図示せず)が設けられている。
【0017】
そして、ヒータコア22上流側の直前位置のケース3内側には、空気流れ方向に対して垂直に(直交するように)、枠状の開口部形成部材36が一体成形されている。開口部形成部材36には、ヒータコア22へ空気を流す第1空気通路開口部36a、ヒータコア22をバイパスして空気を流す第2空気通路開口部36bが形成されている。これにより、ヒータコア22を通過する加熱用空気通路7と、ヒータコア22をバイパスするバイパス空気通路34とが形成される。
【0018】
また、開口部形成部材36の空気上流側の直前位置には、ヒータコア22とバイパス空気通路34を通過する空気の風量割合を調整するエアミックスドア30が備えられている。このエアミックスドア30は、ヒータコア22への加熱用空気通路7とバイパス空気通路34を通過する空気の流れ方向と略垂直方向に(換言すれば、開口部形成部材36に沿って)移動するスライド式ドアとして構成されている。このエアミックスドア30を前記空気流れ方向と略垂直方向に移動させるための駆動機構35が、ヒータコア22とエバポレータ21との間の空間に配置されている。
【0019】
以下、エアミックスドア30、およびその駆動機構35の具体的構成について説明する。
まず、エアミックスドア30は、図3に示すように、ポリプロピレンからなる平板状の基板30aと、この基板30aの外周縁部に口の字状に突出して一体成形されたシール用の弾性部材30bとを有している。この弾性部材30bはポリプロピレン系のエラストマゴムにて成形されており、この弾性部材30bの先端側は、この弾性部材30bの外側へ向かう形状に予め成形されている。
【0020】
また、基板30aにおいて弾性部材30bとは反対側の面に、駆動機構35としての樹脂製(例えば、ポリプロピレン)の第1リンク部材30cが一体に設けてある。この第1リンク部材30cには、ガイド溝300c、アイドル溝302c、および、切欠溝303cが形成されている。これら溝300c、302c、303cの形状等については後で詳しく説明する。
【0021】
また、図1および図2に示すように、空調ケース3の右側側面には、第2リンク部材38が回動可能に支持してある。具体的には、第2リンク部材38の一端に一体に軸部38aが設けてあり、この軸部38aが、空調ケース3の右側側面に設けた貫通穴(図示せず)に回動可能に支持されている。
また、第2リンク部材38の他端は、上記第1リンク部材30cの上記溝300c、302c、303c内に、係合ピン38bを介して摺動可能に係止されている。また、第2リンク部材38の軸部38aには、断面D字状の軸部38cが一体に設けてあり、この軸部38cに、レバー42の一端がD字嵌合されている。
【0022】
また、レバー42の他端には、操作ピン42aが一体に設けられており、この操作ピン42aに、操作機構Sからの操作力が伝達される。なお、操作機構Sとしては、手動操作機構のケーブルや、サーボモータのようなアクチュエータを用いた電動操作機構等が挙げられる。
そして、第1リンク部材30cのガイド溝300cは、上下方向にI字状に延びる長尺形状である。また、ガイド溝300cの下端部301cから、係合ピン38bの移動経路R(図2参照)に沿って延びるアイドル溝302c、および、アイドル兼切欠溝303cが、第1リンク部材30cに形成されている。アイドル兼切欠溝303cは、換言すれば、第1リンク部材30cの外周端部の所定部位から前記ガイド溝300cにかけて切り欠いた切欠形状である。
【0023】
そして、ガイド溝300c内を係合ピン38bが移動するときは、エアミックスドア30が駆動され、第1空気通路開口部36aと第2空気通路開口部36bとの間を移動する。そして、ガイド溝300cの下端部301c(図3参照)に係合ピン38bが位置するとき、エアミックスドア30が第1空気通路開口部36a、または、第2空気通路開口部36bに対向するようになっている。
【0024】
また、アイドル溝302cやアイドル兼切欠溝303c内を係合ピン38bが移動するときは、エアミックスドア30は駆動されない(移動しない)。なお、係合ピン38bが、アイドル溝302cやアイドル兼切欠溝303cの所定部位までしか移動しないように、具体的には、係合ピン38bが図2に示す両位置の間の範囲のみ移動するように、操作機構Sの操作量(例えば、サーボモータの回転量等)が設定されている。
【0025】
このように、アイドル溝302cやアイドル兼切欠溝303cを設けることにより、スライド式ドア30の移動に必要な操作機構Sの操作量(つまり、ガイド溝300cの範囲内における係合ピン38bの移動に必要な操作機構Sの操作量)よりも所定量多めに、操作機構Sの操作量を設定することができ、スライド式ドア30を確実に、第1、第2空気通路開口部36a、36bに対向させることができる。
【0026】
また、基板30aの側面のうち、空気流れ方向と略垂直方向に延びる両側面(図1中手前側の側面および奥側の側面)には、ガイドピン30e(図1中奥側の側面のものは図示せず)が2本ずつ、十分な間隔を持つように、両端付近に一体成形されている。
そして、空調ケース3の内壁面のうち、ヒータコア22上流側の直前位置には、エアミックスドア30のガイドピン30eを摺動可能に支持するガイドレール37が、空気流れ方向と略垂直方向に延びるように一体成形されている。そして、ガイドレール37内を、エアミックスドア30のガイドピン30eが摺動(移動)することにより、エアミックスドア30が空気流れ方向と略垂直方向に移動できるようになっている。
【0027】
このガイドレール37は、図1および3に示すように、空調ケース3の内壁面から突出する一対の長尺形状の突起からなり、この突起は互いに平行に配置されている。これにより、ガイドレール37の両端部は、ガイドレール37の内外が連通しており、この両端部に、スライド式ドア30を挿入可能な挿入部370が形成される。
【0028】
また、ガイドレール37のうち、第1、第2空気通路開口部36a、36bの外周縁部に対応する部位では、空気通路開口部36a、36b側に持ち上がった形状となっている。これにより、エアミックスドア30が空気通路開口部36a、36bに対向する位置にきたときには、弾性部材30bの先端の全周が空気通路開口部36a、36bの外周縁部に密着し、それ以外のとき(エアミックスドア30が第1空気通路開口部36aと第2空気通路開口部36bとの間を移動するとき)は、弾性部材30bの先端の全周が、開口部形成部材36と所定距離(例えば15mm)隔てて移動する。
【0029】
以上の構成において、操作ピン42aに操作機構Sからの所定の操作力が伝達されることにより、第2リンク部材38の軸部38aが回動し、この回動に伴って第2リンク部材38が回動する。さらに、この回動に伴って第2リンク部材38の係合ピン38bが、図2中一点鎖線で示す円弧経路Rに沿って移動する。そして、上述のように、係合ピン38bがガイド溝30c内を移動するときは、エアミックスドア30全体が、ガイドレール37に沿って、図2中左右方向に移動し、係合ピン38bがアイドル溝302cおよびアイドル兼切欠溝303c内を移動するときは、エアミックスドア30は移動しない。
【0030】
ここで、図1および図2に示すように、空調ケース3は、ガイドレール37の近傍において、空気流れに略垂直に延びる(略水平方向に延びる)分割面Aにより、ガイドレール37を含む上ケース部(第1ケース部)31と、第2リンク部材38等を含む下ケース部(第2ケース部)32とに分割される。また、上ケース部31は、空気流れに略平行に延びる(略上下方向に延びる)分割面Bにより、2つのケース部(具体的には、左側上ケース部31aと右側上ケース部31bと)に分割される。
【0031】
なお、図2ないし4に示すように、上ケース部31において、ガイドレール37の一端部(図2中左側の端部、車両後方側の端部)に対応する部位に、エアミックスドア30を挿入可能な挿入口310aが形成されるように、分割面Aが設けられている。これにより、下ケース部32のうち車両後方側を向く側面の分割端部には、挿入口310aを覆う蓋部材320が一体形成される。さらに、後述するエアミックスドア30の挿入時に、開口部形成部材36において弾性部材30bの先端が当接する部分に、この先端を滑らかに通過させるように傾斜する傾斜面360が一体に設けられている。
【0032】
なお、分割面Aにおいて空調ケース3を分割しているため、この空調装置において、板ドア45、46、ヒータコア22、エアミックスドア30等を組付けらた状態の上ケース部31は、左ハンドル車と共用できる。
次に、上記構成において本実施形態の組付方法を説明する。
まず、図4において、板ドア45、46の回動軸45a、46a、および、ヒータコア22の配管22aを、両上ケース部31a、31bに形成した上記凹部や穴に嵌合させつつ、左側上ケース部31aと右側上ケース部31bとを、図示しない締結手段にて締めつけ固定して、上ケース31を組付ける。これにより、板ドア45、46、および、ヒータコア22が、左側上ケース部31aと右側上ケース部31bとの間に挟持される。
【0033】
次に、図3において、エアミックスドア30を矢印C方向へ移動させ、空調ケース3(具体的には上ケース部31)の挿入口310a、および、ガイドレール37の挿入部370を経て、ガイドレール37内に配置する。このとき、図3中二点鎖線で示すように、換言すれば、エアミックスドア30が、第2空気通路開口部36bに対向するように(さらに換言すれば、エアミックスドア30の摺動範囲の端部位置に)、エアミックスドア30を配置する。
【0034】
次に、図5に示すように、上ケース31と下ケース32とを図示しない締結手段にて締めつけ固定して、空調ケース3を組付ける。これにより、上ケース部31の挿入口310aが、下ケース部32の蓋部材320にて覆われる。
次に、レバー42を矢印D方向に回動させることにより、第2リンク部材38を矢印E方向に回動させて、第2リンク部材38の係合ピン38bを、アイドル兼切欠溝303cの切欠開口部304cからアイドル兼切欠溝303c内へ挿入する。このとき、図5中一点鎖線で示すように、換言すれば、係合ピン38bの移動範囲の端部位置に係合ピン38bが配置されるように、係合ピン38bを配置する。そして、この配置状態において、レバー42の操作ピン42aと上記操作機構Sを連結する。
【0035】
これにより、係合ピン38bの移動経路が、図2に示す両位置の間に規制されるため、上述のように組付けた後において、係合ピン38bがアイドル溝303cから外れることはない。
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
図1において内外気切替箱11から流入した空気は送風機ユニット14によってエバポレータ21側へ流入する。そして、送風空気はエバポレータ21で除湿・冷却された後、さらに上方へ流れ、ヒータコア22へ導入され、ここで加熱される。
【0036】
そして、図2において、空調温度制御手段としてのエアミックスドア30によりヒータコア22への送風空気量と、バイパス空気流路34への送風空気量とを調節して、所望の吹出空気温度を得るようになっている。所望温度まで再加熱された空調空気は、上ケース部31の吹出モード切替部23の板ドア45、46によって所定の吹出口へ分配される。
【0037】
以下に、本発明の要部であるエアミックスドア30の作動を説明する。
まず、マックスクール(最小冷房状態)時においては、エアミックスドア30が最も右側位置に操作されて、第1空気通路開口部36a(つまり、加熱用空気通路7)を全閉し、第2空気通路開口部36b(つまり、バイパス空気流路34)を全開する。この結果、第1空気通路開口部36aがエアミックスドア30の弾性部材30bにてシールされるため、送風空気はすべてバイパス空気流路34のみを流れる。
【0038】
また、中間温度制御状態(1/2エアミックス状態)においては、エアミックスドア30が中間位置に操作されて、送風空気は、加熱用通路7と、バイパス空気流路34側とに2分されて流れて、その後、混合されて所定温度となって上記の各用空気吹出部に流れる。
また、マックスホット(最大暖房状態)時においては、エアミックスドア30が最も左側位置に操作されて、第2空気通路開口部36bがエアミックスドア30の弾性部材30bにてシールされるため、送風空気はすべて加熱用通路7のみを流れる。
【0039】
以下に、本実施形態の奏する効果を述べる。
まず、上ケース部31の挿入口310a、および、ガイドレール37の挿入部370を経て、エアミックスドア30をガイドレール37内に配置するだけで、上ケース部31内にエアミックスドア30を組付けることができ、この組付作業を単純化できる。
【0040】
また、上ケース部31と下ケース部32とを組付けることにより、挿入口310aが蓋部材320にて覆われるので、空調装置の組付作業をより単純化できる。
なお、2つのケース部31a、31bの間にヒータコア22を配置させつつ、2つのケース部31a、31bを組付けるような空調装置において、本実施形態のように、エアミックスドア30を単独で組付けることにより、この空調装置の組付作業を単純化できる。
【0041】
また、開口部形成部材36において弾性部材30bの先端が当接する部位に、弾性部材30bの先端を滑らかに通過させるように傾斜する傾斜面360を形成してあるので、エアミックスドア30の挿入時において、弾性部材30bの先端が不均一に撓むことを抑制でき、弾性部材30bによる空気通路開口部36a、36bのシール性の低下を抑制できる。
【0042】
また、係合ピン38bをガイド溝300cに係合させるとき、組付作業者により第2リンク部材38を回動させて、係合ピン38bを、切欠溝303cからガイド溝300c内に挿入させるだけでよいので、本発明者らが考案した空調装置に比べて、係合ピン38bをガイド溝300cに組付ける組付作業を単純化できる。
【0043】
また、係合ピン38bの移動範囲の端部位置をアイドル兼切欠溝303c内としているので、アイドル兼切欠溝303cは、係合ピン38bのアイドル溝と、係合ピン38b挿入用の切欠溝とを兼ねている。
また、本実施形態では、開口部形成部材36のシールが不要な中間温度制御状態(1/2エアミックス状態)時には、弾性部材30bは開口部形成部材36とクリアランスを保って、スライド式エアミックスドア30の駆動操作力を低く抑え(具体的には、弾性部材30bと開口部形成部材36との間の摩擦力がなくなり)、開口部形成部材36のシールが必要な最大冷房状態時および最小冷房状態時には、弾性部材30bが開口部形成部材36に密着してシール性を確保することができる。
【0044】
また、弾性部材30bの先端側が、外側へ向かう形状に予め成形されているため、エアミックスドア30を、第1、第2空気通路開口部36a、36bに対向するように移動させるとき、弾性部材30bの先端側の内壁面全周が第1、第2空気通路開口部36a、36bの外周縁部全周にわたって一様に密着する。
このため、第1、第2空気通路開口部36a、36bのシール性を高めることができる。また、第1、第2空気通路開口部36a、36bの外周縁部に弾性部材30bが密着した状態では、弾性部材30bを上記外周縁部にさらに密着させるように、送風空気の風圧がかかるため、シール性をさらに向上できる。
【0045】
また、スライド式エアミックスドア30の弾性部材30bが、スライド式エアミックスドア30の基板30aおよび空調ケース3と同じポリプロピレン系であるエラストマゴムからなるため、ポリプロピレンからなる空調ケース3を再利用する際、空調ケース3、スライド式ドア30および弾性部材30bを同時に溶かすことができる。つまり、弾性部材30bをスライド式ドア30から取り外す必要がないため、空調ケース3の再利用が容易となる。
【0046】
(他の実施形態)
上記実施形態では、上ケース部31に挿入口310aを設け、下ケース部32に蓋部材320を一体に設けていたが、例えば、上ケース部31と下ケース部32の分割面Aを従来のようにし、上ケース部31に脱着可能な蓋部材を設けてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、挿入口310aを車両後方側に配置したが、挿入口310aの配置場所は適宜変更してもよい。
また、上記実施形態では、駆動機構35として、リンク部材30c、38を使用していたが、ギヤを使用してもよい。
また、上記実施形態では、エバポレータ21とヒータコア22とを水平に配置した空調装置に本発明を適用したが、他の種々のレイアウトの空調装置に本発明を適用してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ヒータコア22の上流に設けられるエアミックスドア30をスライド式ドアとして、本発明を適用したが、空調装置において、このエアミックスドア30以外のドア(例えば、モード切替用ドア45、46や内気、外気導入口12、13を開閉する内外気切替用ドア)をスライド式ドアとして、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の空調装置の正面図である。
【図2】本実施形態の空調装置の側面図である。
【図3】本実施形態におけるエアミックスドアの組付方法を説明する図である。
【図4】本実施形態における上ケース部の分解図である。
【図5】本実施形態におけるリンク部材の組付方法を説明する空調装置の側面図である。
【図6】本発明者らが考案した空調装置の部分的な正面図である。
【符号の説明】
3…空調ケース、36a、36b…空気通路開口部、310a…挿入口、
30…エアミックスドア(スライド式ドア)、37…ガイドレール、
370…挿入部、320…蓋部材。
Claims (5)
- 一端に空気吸込部を備え、他端に空気吹出部(25、26、27、28)を備える空調ケース(3)と、
前記空調ケース(3)内の一端から他端にかけて空気を送風する送風手段(14)と、
前記空調ケース(3)内に設けられ、前記空調ケース(3)内の所定部位へ空気を流す空気通路開口部(36a、36b)と、
前記空気通路開口部(36a、36b)に沿って摺動可能で、前記空気通路開口部(36a、36b)の開口面積を調整するスライド式ドア(30)と、
前記空調ケース(3)の内壁面に設けられ、前記スライド式ドア(30)を摺動可能に支持するとともに、前記スライド式ドア(30)を挿入可能な挿入部(370)を端部に有するガイドレール(37)とを備え、
前記空調ケース(3)のうち前記挿入部(370)に対応する部位に、前記スライド式ドア(30)を挿入可能な挿入口(310a)を形成し、
前記空調ケース(3)の前記挿入口(310a)、および、前記ガイドレール(37)の前記挿入部(370)を経て、前記スライド式ドア(30)を前記ガイドレール(37)内に配置した後、前記挿入口(310a)を覆う蓋部材(320)を備えることを特徴とする空調装置。 - 前記空調ケース(3)内を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器(22)を前記空調ケース(3)内に設け、
前記加熱用熱交換器(22)をバイパスして空気が流れるバイパス空気路(34)を、前記加熱用熱交換器(22)の側方に設け、
前記空気通路開口部は、前記加熱用熱交換器(22)へ空気を流す第1空気通路開口部(36a)と、前記バイパス空気路(34)へ空気を流す第2空気通路開口部(36b)とからなることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。 - 前記空調ケース(3)は、前記スライド式ドア(30)近傍の分割面(A)において、前記スライド式ドア(30)を含む第1ケース部(31)と、第2ケース部(32)とに分割可能であり、
前記第1ケース部(31)に前記挿入口(310a)を形成するとともに、前記第2ケース部(32)に前記蓋部材(320)を一体に設け、
前記第1ケース部(31)と前記第2ケース部(32)とを組付けることにより、前記挿入口(310a)が前記蓋部材(320)にて覆われることを特徴とする請求項1または2に記載の空調装置。 - 前記空調ケース(3)は、空気流れに平行に延びる分割面(B)において2つのケース部(31a、31b)に分割可能であり、
これら2つのケース部(31a、31b)の間に、前記加熱用熱交換器(22)が挟持されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調装置。 - 前記空気通路開口部(36a、36b)の外周部全周に対応して繋がった形状の弾性部材(30b)を、前記スライド式ドア(30)に設け、
前記スライド式ドア(30)が前記空気通路開口部(36a、36b)に対向するとき、前記弾性部材(30b)の先端の全周が、前記空気通路開口部(36a、36b)を形成する枠状の開口部形成部材(36)に密着し、
前記スライド式ドア(30)の挿入時に、前記開口部形成部材(36)において前記弾性部材(30b)の先端が当接する部位に、前記弾性部材(30b)の先端を滑らかに通過させるように傾斜する傾斜面(360)を形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の空調装置。
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