JP4701498B2 - 空気通路切替装置および車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気通路の開口面に沿って摺動するスライドドアにより空気通路を切り替える空気通路切替装置、およびそれを用いた車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人においては、特開平8−258538号公報等において、この種のスライドドアにより車両用空調装置における空気通路の切替を行うものを既に提案している。この従来技術に基づいて本発明者らは、図10〜図13に示す空気通路切替装置を試作検討した。なお、図10、12は図3のA−A断面図であり、図11は図10のC−C断面図であり、図13は図3のB−B断面図である。
【0003】
この試作検討した装置では、スライドドア26に、概略平坦な形状のドア基板26aと、このドア基板26aに支持される樹脂製のフィルム部材26bとを設け、ドア基板26aに設けた開口部26c(図5参照)を通して矢印b方向からの空気流がフィルム部材26bの内面に吹きつけられ、この空気流の風圧がフィルム部材26bに作用する。
【0004】
この風圧によりフィルム部材26bがケース120の開口部22または23の周縁シール面22b、23b(図12、13)に圧着することにより、ケース側開口部22または23を閉塞し、また、スライドドア26を矢印a方向に摺動させて、フィルム部材26bがケース側開口部22または23から開離することにより、ケース側開口部22または23を開口させている。これにより、空気通路の切替を行うことができる。
【0005】
ところで、上記のごときフィルム式スライドドア26を実際に試作検討してみると、ケース側開口部22、23の開口面積が大きくなると、開口部22または23の閉塞状態において通路内の風圧によりフィルム部材26bが開口部22または23内に大きく湾曲して入り込むという現象が発生する。すると、開口部22、23の周縁シール面22b、23bとフィルム部材26bとの間に隙間が発生し、風洩れが発生したり、スライドドア26の移動時にフィルム部材26bの湾曲部が開口部22、23の周縁角部に食い込み、スライドドア26の操作力を増大させるという不具合を生じる。
【0006】
そこで、図3のごとくケース120側に開口部22、23の中間に、スライドドア26の摺動方向aに延びて開口面を2つに仕切る格子22a、23aを形成して、フィルム部材26bの湾曲を抑制することを検討したが、単に、格子22a、23aを形成しただけであると、フィルム部材26bが格子22a、23aに衝突して打音を発生する等の問題が生じる。
【0007】
このため、ドア基板26aとフィルム部材26bとの間に弾性部材26eを配置し、この弾性部材26eの弾性反力によりフィルム部材26bを開口部22、23の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面に常に押し付けるようにした構成を考えた。
【0008】
これによると、フィルム部材26bが開口部22、23内に大きく湾曲して入り込むという現象を格子22a、23aにより防止できるとともに、フィルム部材26bと格子22a、23aとの衝突による打音等の不具合を弾性部材26eにより防止できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記試作検討した装置の作動特性について実際の使用条件にて評価してみると、フィルム部材26bから耳障りな異音が発生することが新たに判明した。そこで、この異音の発生メカニズムについて詳細に実験検討したところ、次の理由であることが分かった。
【0010】
すなわち、開口部22、23を形成するケース120はその成形上の理由等から2分割して樹脂成形される。図3のDはケース120の分割面であり、図3の例では分割面Dを格子22a、23aの手前位置にて格子22a、23aに沿って設定している。従って、ケース120は、図3の左右の分割ケース体121、122を図示しない締結手段にて一体に結合することにより構成される。
【0011】
このような分割面Dを持つため、各分割ケース体121、122の断面形状(ドア摺動方向aと直交方向Wの断面形状)はコの字状となるので、樹脂成形後の材料の「ひけ」により各分割ケース体121、122の分割面D近傍の部位がケース内側へ倒れ込むという現象が生じる。
【0012】
図10はこの分割面D近傍の部位がケース内側へ倒れ込んだ状態におけるスライドドア26の組付状態を示している。このような組付状態が発生すると、開口部中央の分割面D近傍の部位では、格子22a、23aの端面とドア基板26aの上面との間隔L1が上記倒れ込み現象により開口部22、23のW方向の端部での間隔L2より小さくなる(L1<L2)。
【0013】
このため、開口部中央の分割面D近傍の部位ではフィルム部材26bが他の部位に比して強く押圧され、このことが原因となって、スライドドア26を繰り返し往復動させる間にフィルム部材26bに凹状の永久歪みが生じる。
【0014】
そして、フィルム部材26bのうち、格子22a、23aと開口部22、23のW方向の端部との中間部位(図10のC−C断面部位)では、弾性部材26eの弾性反力による押し付け力が直接作用しないので、フィルム部材26bが開口部22、23の周縁シール面22b、23bを通過するときに、上記凹状の永久歪み部分がフィルム部材26b自身の弾性反力によって跳ね上がり、いびつな変形を起こして異音(ポコ音)を生じる。
【0015】
図11(図10のC−C断面図)は、フィルム部材26bがケース120の中央格子123の周縁シール面22b、23bを通過する状態を示しており、この中央格子123の周縁シール面22b、23bを通過するとき、およびドア摺動方向aの端部の周縁シール面22b、23bを通過するときの双方において、上記ポコ音が生じる。
【0016】
そこで、本発明者らは図12に示すように、フィルム部材26bのうち、格子22a、23aと開口部22、23のW方向の端部との中間部位にも弾性部材26eを追加して、フィルム部材26bへの押し付け力を増加させるようにしたものを試作検討してみた。これによると、押し付け力の増加により上記凹状の永久歪み部分がいびつな変形を起こすことを防止して、上記ポコ音の発生を防止できることが分かった。
【0017】
しかし、その代わりに、フィルム部材26bの摩擦力アップに起因する異音(ビビリ音)が生じることが分かった。すなわち、送風空気中に塵埃を混入した環境下での所定の耐塵耐久試験(耐久試験条件はJIS D0207のF3条件にてドアを2万回往復作動)を行うと、フィルム部材26bの表面が面あれして、フィルム表面粗度が当初の0.29μmRZから試験後には0.61μmRZへと増大し、この表面粗度の増大と押し付け力の増加とが相まってフィルム部材26bの摩擦力をアップさせる。
【0018】
この結果、フィルム部材26bの表面がケース側の周縁シール面22b、23bとの間で微視的な滑り、付着による鋸歯状的摩擦変動、いわゆるスリップスティク現象(図13のX部参照)を起こして、フィルム部材26bがビビリ音を生じる。
【0019】
本発明は上記諸点に鑑みてなされたもので、フィルム式スライドドアを用いる空気通路切替装置において、フィルム部材による異音(ポコ音やビビリ音)の発生を防止することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、空気通路(22、23)に開口面を複数に仕切る格子(22a、23a)を形成するとともに、格子(22a、23a)をスライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に配置し、
スライドドア(26)には、フィルム部材(26b)と、フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)と、フィルム部材(26b)を空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面に弾性反力にて押圧する弾性手段(26e)を備え、
スライドドア(26)の摺動方向(a)と直交方向(W)において、空気通路(22、23)の中央部における格子(22a、23a)の端面とドア基板(26a)との間隔をL1とし、空気通路(22、23)の端部における周縁シール面(22b、23b)とドア基板(26a)との間隔をL2としたとき、L1>L2の関係に設定することを特徴とする。
【0021】
これにより、格子(22a、23a)の近傍部位でフィルム部材26bが過度に強く押圧されることがなくなるので、フィルム部材(26b)に凹状の永久歪みが生じることを回避でき、凹状の永久歪み部分のいびつな変形によるポコ音を防止できる。
【0022】
更に、上記のように、L1>L2の間隔設定によりポコ音の発生を防止できるから、前述の図12、13のように弾性部材(26e)を増加させて、フィルム部材(26b)への押し付け力を増加させる必要がない。この結果、フィルム部材(26b)と、周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面との間の摩擦力を低減できるので、この摩擦力アップに起因するフィルム部材(26b)のスリップスティク現象を防止して、フィルム部材(26b)のビビリ音を防止できる。また、摩擦力の低減によりドア操作力を低減することもできる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、間隔(L1)の最大値を弾性手段(26e)の組付時での弾性圧縮量が0以上となる範囲に設定することを特徴とする。
【0024】
このように間隔(L1)の最大値を弾性手段(26e)の組付時での弾性圧縮量が0以上となる範囲に制限することにより、風洩れ防止の効果を一層高めることができる(後述の図7の実験結果参照)。
【0025】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、弾性手段(26e)は、スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる細長形状からなり、細長形状の弾性手段(26e)を空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面に対応する位置のみに配置したことを特徴とする。
【0026】
これによると、前述の図12、13のようにスライドドア(26)の摺動方向(a)と直交方向(W)において、空気通路中央部の格子(22a、23a)と空気通路端部の周縁シール面(22b、23b)との中間部位(すなわち、通路開口面の途中部位)に、弾性部材(26e)を配置しないから、フィルム部材(26b)の摩擦力を低減でき、この結果、摩擦力アップに起因するフィルム部材(26b)のビビリ音を防止できる。同時に、摩擦力の低減によりドア操作力を低減できる。
【0027】
請求項4に記載の発明では、空気通路(22、23)に開口面を複数に仕切る格子(22a、23a)を形成するとともに、格子(22a、23a)をスライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に配置し、
スライドドア(26)には、フィルム部材(26b)と、フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)と、フィルム部材(26b)を空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面に弾性反力にて押圧する弾性手段(26e)を備え、
弾性手段(26e)は、スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる細長形状からなり、細長形状の弾性手段(26e)を空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面に対応する位置のみに周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)と同一方向に延びるように配置し、細長形状の弾性手段(26e)は、ドア基盤(26a)に固着されていることを特徴とする。
【0028】
これによると、上述の請求項3と同様に空気通路中央部の格子(22a、23a)と空気通路端部の周縁シール面(22b、23b)との中間部位に弾性部材(26e)を配置しないから、フィルム部材(26b)の摩擦力を低減でき、この結果、摩擦力アップに起因するフィルム部材(26b)のビビリ音を防止でき、同時に、摩擦力の低減によりドア操作力を低減できる。
【0029】
請求項5に記載の発明では、空気通路(22、23、230)の開口面に沿って摺動するスライドドア(26)を備え、空気通路(22、23、230)をスライドドア(26)により開閉する空気通路切替装置であって、空気通路(22、23、230)の周縁シール面(22b、23b、120f〜120i)に圧着して空気通路(22、23、230)を閉塞するフィルム部材(26b)と、フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とを、スライドドア(26)に備え、フィルム部材(26b)に風圧を作用させる開口部(26c)をドア基板(26a)に設け、さらに、フィルム部材(26b)のうち、ドア基板(26a)側の面に弾性部材(26e)を固着させ、フィルム部材(26b)に固着された弾性部材は、スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる形状であることを特徴とする。
【0030】
これによると、フィルム部材(26b)の剛性を弾性手段(26e)の固着により高めることができる。そのため、フィルム部材(26b)に凹状の歪みが生じても、凹状の歪み部分のいびつな変形(反転)をフィルム部材(26b)の剛性アップにより防止して、フィルム部材(26b)のポコ音を防止できる。
【0031】
また、フィルム部材(26b)の剛性向上によりフィルム部材(26b)が振動しにくくなって、フィルム部材(26b)のビビリ音も抑制できる。
【0032】
請求項6に記載の発明のように、請求項5においてスライドドア(26)は略平板状の形状として、空気通路(22、23、230)の開口面に沿って直線的に摺動する構成にできる。
【0035】
請求項7に記載の発明では、請求項5又は6において、スライドドア(26)の空気通路(22、23、230)内への組付時における弾性部材(26e)の弾性圧縮量を、0±1.5mmの範囲に設定したことを特徴とする。
【0036】
請求項5又は6おいて、フィルム部材(26b)の摺動摩擦力が過度に増加して、フィルム部材(26b)のビビリ音が生じやすくなる場合がある。しかし、請求項7に記載の発明では、弾性手段(26e)の組付時での弾性圧縮量を、+1.5mm以内に制限することにより、摺動摩擦力の増加を抑制してフィルム部材(26b)のビビリ音発生を抑制できる。また、弾性手段(26e)の組付時での弾性圧縮量を、−1.5mm以内に制限、すなわち、フィルム部材(26b)部の隙間を1.5mm以内に制限することにより、風洩れレベルを実用上支障のないレベルに抑えることができる。
【0037】
請求項8に記載の発明のように、請求項5において、スライドドア(26)は略半円筒状の形状であり、空気通路(22、23、230)の開口面に沿って回転運動する構成にできる。
【0038】
請求項9に記載の発明では、請求項8において、フィルム部材(26b)に弾性部材(26e)を固着した状態で、この両部材(26b、26e)を所定形状に打ち抜き、その後に、この両部材(26b、26e)を略半円筒状の形状に加熱曲げ成形することを特徴とする。
【0039】
これにより、略半円筒状のスライドドア(26)を製造するに際して、フィルム部材(26b)と弾性部材(26e)とを予め一体化し、その後、両部材を一体に打ち抜き、曲げ成形でき、能率良くスライドドア(26)を製造できる。
【0040】
請求項10に記載の発明では、請求項5、8、9のいずれか1つにおいて、スライドドア(26)はフィルム部材(26b)と弾性部材(26e)の両者を貫通し空気を通過させる連通口(26n、26p)を有しており、連通口(26n、26p)の周辺部のみに弾性部材(26e)を固着することを特徴とする。
【0041】
これにより、フィルム部材(26b)のうち、連通口(26n、26p)周辺の、剛性が低下する部分を、弾性部材(26e)の固着により補強して、剛性低下を回避できる。
【0042】
請求項11に記載の発明では、請求項10において、連通口(26n、26p)の縁部に段差部(26q)を一体成形したことを特徴とする。
【0043】
これにより、連通口(26n、26p)周辺部を段差部(26q)の一体成形により補強して、剛性低下を回避できる。
【0044】
請求項12に記載の発明では、請求項5、8ないし11のいずれか1つにおいて、スライドドア(26)の空気通路(22、23、230)内への組付状態において、弾性部材(26e)が弾性的に圧縮され、弾性部材(26e)の弾性反力によりフィルム部材(26b)が空気通路(22、23、230)の周縁シール面(22b、23b、120f〜120i)に押圧されるようになっていることを特徴とする。
【0045】
これにより、フィルム部材(26b)の振動をより確実に抑制して、ビビリ音の抑制効果を一層向上できる。
【0046】
請求項13に記載の発明では、請求項5、8ないし11のいずれか1つにおいて、スライドドア(26)の空気通路(22、23、230)内への組付状態において、弾性部材(26e)が弾性的に圧縮されない範囲に、弾性部材(26e)の板厚を設定することを特徴とする。
【0047】
これによると、弾性部材(26e)の弾性反力がフィルム部材(26b)に作用せず、このため、空気通路(22、23、230)の周縁シール面(22b、23b、120f〜120i)にフィルム部材(26b)が弾性反力によって強制的に押圧されない。その結果、フィルム部材(26b)の摺動摩擦力が減少して、スライドドア(26)の操作力を低減できる。
【0048】
請求項14に記載の発明では、請求項1ないし13のいずれか1つにおいて、フィルム部材(26b)に、フィルム母材層(50)と、フィルム母材層(50)のうち、周縁シール面(22b、23b)および格子(22a、23a)の端面と摺動する面に設けられた低摩擦材層(51)とを備えたことを特徴とする。
【0049】
これによると、摺動側の面に位置する低摩擦材層(51)によりフィルム部材(26b)の摩擦力を一層低減して、フィルム部材(26b)のビビリ音発生をより効果的に防止できる。
【0050】
請求項15に記載の発明では、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の空気通路切替装置を備え、スライドドア(26)により車室内へ向かって流れる空気の複数の空気通路(22、23)を開閉する車両用空調装置を特徴とする。
【0051】
スライドドア(26)の作動スペースは通常の回転式板ドアに比して大幅に縮小できるから、コンパクト化のニーズの強い車両用空調装置における空気通路切替装置として本発明は好適に実施できる。
【0052】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0053】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示すもので、本実施形態の車両用空調装置は、ワンボックス車等の車室内が大きい車両において後席側空間を空調する後席用空調装置に係るものである。
【0054】
先ず、図1において、10は車両の後席用空調装置を示し、この空調装置10の主体は車両後方部の床面近傍位置において車両外壁と車両内壁との間に設置される。車両用空調装置10は、大別して車両前後方向に並ぶように配置された送風ユニット11と、エアコンユニット12とからなる。
【0055】
送風ユニット11は、空調装置10内部に車室内後部の内気を吸引するためのものであって、本実施形態では車両用空調装置は内気のみを吸い込むようになっている。送風ユニット11は、車両幅方向(図1の紙面表裏方向)の両側にそれぞれ図示しない内気吸入口が形成されている。
【0056】
送風ユニット11には、遠心式電動送風機13が備えられている。この送風機13は、遠心ファン14と、ファン駆動用モータ14aとを有し、遠心ファン14はスクロールケーシング15内に回転可能に配置されている。
【0057】
送風ユニット11のスクロールケーシング15の空気下流側には、車両前後方向に延びる流路を構成するダクト部16が形成されている。このダクト部16は、送風ユニット11から送風された送風空気を下方から上方へ向かって流れを変更させてエバポレータ17に導入するためのものである。このダクト部16により送風ユニット11の出口部がエアコンユニット12の入口部に接続される。
【0058】
エアコンユニット12は、送風ユニット11より車両後方側に配置されており、樹脂製ケース120により空気流路が下方から上方に延びるように形成されている。エアコンユニット12のケース120内には、空調空気の冷却用熱交換器をなすエバポレータ17と、エバポレータ17の空気下流側に位置する加熱用熱交換器であるヒータコア18が配設されている。エバポレータ17およびヒータコア18は、エアコンユニット12内に、その通風面が略水平となるように車両上下方向に積層して配置されている。
【0059】
従って、上記送風機13から送風された送風空気は、上記ダクト部16によって車両前方から後方へ向かって流れたのち、エアコンユニット12のケース120内に導入される。そして、ケース120内に導入された送風空気は、下方から上方に向かうように流れを変更して、上記エバポレータ17およびヒータコア18を通過する。
【0060】
エバポレータ17は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに配管結合された周知の冷凍サイクルを構成するものであり、ケース120内の空気から冷媒の蒸発潜熱を吸熱することにより空気を冷却除湿する。ヒータコ18は、自動車エンジンからの温水(冷却水)を熱源として、上記エバポレータ17にて冷却された冷風を加熱する。
【0061】
本実施形態では、ヒータコア18への温水量を調整する温水弁19をヒータコア18の温水回路に設け、この温水弁19の開度調整によりヒータコア18への温水量を調整することにより、車室内への吹出空気温度を調整する。
【0062】
また、エアコンユニット12のケース120内には、エバポレータ17を通過した空気(冷風)がヒータコア18をバイパスして流れる冷風バイパス通路20が設けられている。この冷風バイパス通路20は、冷風バイパスドア21にて開閉される。
【0063】
エアコンユニット12のケース120において、ヒータコア18の下流側部位(車両上方部位)には、フェイス用開口部22とフット用開口部23とが形成されている。フェイス用開口部22は、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の上半身に向けて送風するためのものであり、フェイス用ダクト24を介して車両天井部の後席用フェイス吹出口(図示せず)に連結されている。
【0064】
一方、フット用開口部23は、ヒータコア18で温度調整された空調風を後席側乗員の足元部に向けて送風するためのものであり、フット用ダクト25を介して後席乗員の足元部に位置する後席用フット吹出口(図示せず)に連結されている。
【0065】
これらフェイス用開口部22とフット用開口部23は、本発明の空気通路を構成するもので、スライドドア26にて開閉され、これにより、吹出モードとして周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモードが切替可能になっている。
【0066】
次に、このスライドドア26の具体例について図2〜図5により説明する。スライドドア26の全体形状は矩形状の略平板状であり、スライドドア26は、エアコンユニット12のケース120に設けられたフェイス用開口部22およびフット用開口部23の空気通路開口面に沿って図示の矢印a方向(すなわち、車両前後方向)に直線的に摺動するものである。なお、図3のWは車両幅(左右)方向である。
【0067】
図4、図5に示すように、スライドドア26は、ドア基板26aとこのドア基板26aに支持されるフィルム部材26bとを備えている。ドア基板26aは、ポリプロピレン等の樹脂にて田の字状の平坦な枠体形状(図5)に成形されている。そして、このドア基板26aの上面部(開口部22、23側の面)にはフィルム部材26bがドア基板26aの4つの開口部26cを覆うように取付られている。このフィルム部材26bは上記開口部22、23を閉塞するために上記開口部22、23より大きい面積を有している。
【0068】
このフィルム部材26bは、ある程度の可撓性があり、摩擦抵抗の小さい、通気性のない薄膜状の樹脂材料にて成形されている。具体的には、フィルム部材26bは、例えば、厚さ188μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。ドア基板26aは上記4つの開口部26cによりケース120内の風圧をフィルム部材26bに加えることができる。
【0069】
次に、フィルム部材26bの具体的取付構造を説明すると、フィルム部材26bは図5に示すようにドア摺動方向aの両端部に曲げ部26fを有する形状に成形され、この曲げ部26fに複数の長穴状の取付穴26gを開けている。一方、ドア基板26aの両端部には、取付穴26gと同数の取付ピン26hを一体に突出成形し、この取付ピン26hにフィルム部材26bの曲げ部26fの取付穴26gを嵌合した後に取付ピン26hの先端部を熱かしめすることにより、フィルム部材26bをドア基板26aに取り付けている。なお、図4において、26iは取付ピン26hの先端部の熱かしめ後の拡大部である。
【0070】
また、ドア基板26aのうち、ドア摺動方向aと直交方向Wの左右両端の側面に、それぞれ2箇所づつガイドピン26jが一体に突出成形されている。このガイドピン26jは、スライドドア26の矢印方向aへの摺動を案内するものである。すなわち、エアコンユニット12のケース120において、フェイス用開口部22およびフット用開口部23よりも下方の内壁面に、ドア摺動方向aと平行に延びる水平方向のガイド溝27、28(図2、3)が左右両側に設けられ、このガイド溝27、28内にそれぞれガイドピン26jが摺動可能に嵌入されている。このため、スライドドア26はガイドピン26jとガイド溝27、28との嵌合部により摺動可能にケース120に保持される。
【0071】
さらに、ドア基板26aの下面部(ヒータコア18側の面)には、ドア摺動方向aと平行に延びる直線状ギヤ(ラック)26kがドア基板26aと一体成形で設けられている。この直線状ギヤ26kは、図5に示すように、ドア基板26aの下面部のうち、中央部の板面26dの下面部に形成されている。
【0072】
一方、図2に示すように、ケース120内において、スライドドア26の直ぐ下方の部位で、フェイス用開口部22とフット用開口部23との中間部位に、回転軸29がドア摺動方向aと直交する方向に配置されている。この回転軸29は樹脂製であり、ケース120の壁面の軸受穴(図示せず)により回転自在に支持される。この回転軸29のうち、上記直線状ギヤ26kと対応する中間部位に円形連結ギヤ(ピニオン)30が樹脂により一体成形で設けてある。この連結ギヤ30はケース120内に位置して直線状ギヤ26kとかみ合うものである。
【0073】
また、回転軸29の一端部はケース120の外部へ突出し、この突出端部に円形の駆動側ギヤ31を配置している。この駆動側ギヤ31も樹脂により回転軸29と一体成形で設けてある。ドア駆動装置を構成するサーボモータ32は、図2に示すようにケース120の上方側に配置され、その出力軸33に扇ギヤ34が連結されている。この扇ギヤ34は上記した駆動側ギヤ31にかみ合っている。これにより、サーボモータ32の回転が出力軸33、扇ギヤ34、駆動側ギヤ31を介して回転軸29に伝達される。さらに、回転軸29の回転は、連結ギヤ30と直線状ギヤ26kとのかみ合いによりスライドドア26の直線運動に変換される。
【0074】
なお、本実施形態では、冷風バイパス通路20を開閉する冷風バイパスドア21の回転軸21aをリンク35、36を介して扇ギヤ34のピン部34aに連結して、扇ギヤ34の回転位置に連動して冷風バイパスドア21を回動操作するようになっている。
【0075】
エアコンユニット12のケース120のフェイス用開口部22およびフット用開口部23は図3のように略長方形の形状であり、その中央部にはそれぞれ格子22a、23aが一体成形されている。この格子22a、23aはスライドドア26の摺動(移動)方向aと平行に延びて、開口部22、23の開口面を2つに仕切っている。
【0076】
そして、ドア基板26aの田の字状の枠体形状は、両開口部22、23の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面に対向してドア摺動方向aと平行に延びる板面26d(図5)を有し、この板面26dに弾性部材26eが接着等の手段で固着されている。この弾性部材26eは上記板面26dの幅より若干狭い幅寸法でもって延びる断面矩形状の細長形状のものである。
【0077】
弾性部材26eの自由状態での板厚t(図5)は、スライドドア26がケース120内に組付られた状態におけるドア基板26aとケース120側の格子22a、23aおよび周縁シール面22b、23bとの間隔L1,L2(図6)より所定量大きく設定してある。これにより、スライドドア26のケース120内への組付状態では、弾性部材26eをその板厚t方向に弾性的に所定量圧縮することができる。
【0078】
その結果、弾性部材26eの弾性反力にてフィルム部材26bを両開口部22、23の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面に所定の力で常に押しつけることができる。
【0079】
フィルム部材26bは、空調装置作動時にはドア基板26aの開口部26cを通して加わる風圧によって、開口部22または23の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面に圧着して、開口部22または23を確実に閉塞することができる。
【0080】
このように、フィルム部材26bがシール機能を果すので、弾性部材26eはフィルム部材26bに接するだけでよく、ケース120側の面を直接摺動することがないので、特別に耐久性を高める必要もない。従って、弾性部材26eは弾性材であれば、安価な材料を使用できる。具体的には、スポンジ状の多孔質樹脂発泡材を弾性部材26eとして使用できる。
【0081】
ところで、開口部22、23を形成するケース120は、前述のように格子22a、23aの手前位置にて格子22a、23aに沿って設定した分割面D(図3)により2分割された左右の分割ケース体121、122により構成されるものである。
【0082】
そして、各分割ケース体121、122の断面形状(図3のW方向の断面形状)はコの字状となるので、樹脂成形後の材料の「ひけ」により各分割ケース体121、122の分割面D近傍の部位がケース内側へ倒れ込むという現象が生じる。そこで、本実施形態では、この点を考慮して、各分割ケース体121、122の成形に際して、各分割ケース体121、122のコの字状断面形状が90°より若干量外側に広がるように成形金型を設計することにより、樹脂成形後の材料の「ひけ」が生じても、図6に示す間隔L1,L2がL1>L2の関係を維持するようにしてある。
【0083】
すなわち、図6は図3のA−A断面図であり、ドア摺動方向aと直交方向Wにおいて間隔L1は開口部22、23の中央部に位置する格子22a、23aの端面とドア基板26aの上面との間隔であり、間隔L2は開口部22、23のW方向の端部における周縁シール面22b、23bとドア基板26aの上面との間隔であり、本実施形態では、L1>L2となるように各分割ケース体121、122のコの字状断面形状を成形している。
【0084】
具体的設計例として、3本の弾性部材26eの自由状態での板厚t=5mmとし、そして、W方向の中央部の間隔L1の部位に位置する弾性部材26eの組付時の弾性圧縮量(潰し代)が0.6mm〜1.0mmとなり、W方向の端部における周縁シール面22b、23bの部位に位置する弾性部材26eの組付時の弾性圧縮量(潰し量)が1.1mm〜1.5mmとなるように、L1、L2を4mm以内の所定範囲に設定する。
【0085】
次に、上記構成において作動を説明すると、サーボモータ32の出力軸33の回転方向および回転量を選択することにより、スライドドア26の矢印a方向への摺動位置を任意に設定でき、これにより、フェイス用開口部22とフット用開口部23とを開閉して、フェイス、バイレベル、フットの各モードを所望に選択できる。冷風バイパスドア21は例えば、フェイスモードの設定時にこれと連動して冷風バイパス通路20を開放する。また、バイレベルモード時にフェイス吹出温度をフット吹出温度より低温にするために、冷風バイパスドア21を所定開度開くようにしてもよい。
【0086】
ところで、本実施形態によると、スライドドア26による空気通路の切替作用において次の利点を有している。
【0087】
▲1▼開口部22、23に、スライドドア26の摺動方向aと平行に延びて開口面を仕切る格子22a、23aを配置して、この格子22a、23aによりフィルム部材26bの中央部の膨出変形を制限することができる。
【0088】
▲2▼開口部22、23の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面に対してフィルム部材26bを弾性部材26eの弾性反力により常時、押圧しているから、通風開始時等にフィルム部材26bが周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aに衝突するという現象がなくなる。
【0089】
▲3▼更に、上記に加えて、ドア摺動方向aと直交方向Wにおいて、開口部22、23の中央部に位置する格子22a、23aの端面とドア基板26aの上面との間隔L1を、開口部22、23のW方向の端部における周縁シール面22b、23bとドア基板26aの上面との間隔L2より大きくなる(L1>L2)ようにしているから、格子22a、23aの近傍部位(分割面Dの近傍部位)でフィルム部材26bが過度に強く押圧されることがなくなる。
【0090】
このため、フィルム部材26bに凹状の永久歪みが生じることを回避でき、凹状の永久歪み部分のいびつな変形によるポコ音を防止できる。
【0091】
なお、本発明者らの検討によると、W方向中央部の間隔L1とW方向端部の間隔L2は、L1=L2の関係でもフィルム部材26bの過度な押圧変形を回避してポコ音を防止できることを確認している。従って、間隔L1、L2はL1≧L2の関係に設定すればよい。
【0092】
▲4▼上記のように、L1≧L2の間隔設定によりポコ音の発生を防止できるから、前述の図11のようにポコ音防止のために弾性部材26eを3本から5本に増加させて、フィルム部材26bへの押し付け力を増加させる必要がない。この結果、フィルム部材26bとケース内壁面との間の摩擦力を低減できるので、この摩擦力アップに起因するフィルム部材26bのスリップスティク現象を防止して、フィルム部材26bのビビリ音を防止できる。
【0093】
より具体的に述べると、図6のように開口部中央部の格子22a、23aの部位と開口部W方向の端部における周縁シール面22b、23bの部位のみに対応して弾性部材26eを3本配置する場合は、前記弾性圧縮量(潰し代)の設定によりフィルム部材26bとケース内壁面との間の面圧の平均値を略1.5g/cm2に抑えることができ、ビビリ音を防止できる。
【0094】
これに反し、前述の図12のように弾性部材26eを3本から5本に増加させた場合はフィルム部材26bとケース内壁面との間の面圧の平均値が略4.5g/cm2に上昇し、これにより、フィルム部材26bの摩擦力アップによるビビリ音が生じる。
【0095】
次に、図7は自由状態での板厚t=5mmの弾性部材26eを用いる場合に、W方向の中央部に位置する弾性部材26eの組付時の潰し代、および同部材26eの組付時の厚さ寸法と、風洩れ量との関係を示すもので、本発明者らの実験に基づいて作成したものである。ここで、弾性部材26eの組付時とは、スライドドア26をケース120内に組み付けた状態を言う。
【0096】
図7の(1)はフットモード時にフェイス開口部22側への風洩れ量を示し、(2)はフェイスモード時にフット開口部23側への風洩れ量を示す。
【0097】
実験条件として、フットモード時の送風機13の駆動用モータ14aの印加電圧を最高電圧(12V)として、送風機13を最高速度(Hi)で作動させており、同様に、フェイスモード時でも送風機13の駆動用モータ14aの印加電圧を最高電圧(13.5V)として、送風機13を最高速度(Hi)で作動させている。
【0098】
なお、図3では図示の簡素化のためにフェイス開口部22とフット開口部23の開口面積を同程度に示しているが、実際はフェイス吹出風量の増加のために、フェイス開口部22の開口面積はフット開口部23の開口面積より30%程度大きく設計される。このため、フットモード時におけるフェイス開口部22側への風洩れ量(1)がフェイスモード時におけるフット開口部23側への風洩れ量(2)を上回ることになる。
【0099】
そして、図7の特性から理解されように、W方向の中央部に位置する弾性部材26eの組付時の潰し代を0以上とすることにより、フットモード時の風洩れ量(1)をフェイスモード時の風洩れ量(2)の最大値Q1以内の微少量に抑制できる。このことから、W方向中央部の間隔L1の最大値は、弾性部材潰し代=0以上となる範囲に制限することが風洩れ量抑制のためにも好ましいことが分かる。
【0100】
なお、フィルム部材26bが周縁シール面22b、23bに風圧により圧着することにより、基本的にシール機能を果たすことができるため、W方向の中央部に位置する弾性部材26eの組付時の潰し代がマイナスとなる領域(弾性部材26eとフィルム部材26b間に隙間が生じる領域)でも、風洩れ量は目標洩れ量Q0より十分小さい値に抑えることができる。
【0101】
(第2実施形態)
第1実施形態ではフィルム部材26bを、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム単体により構成する場合について説明したが、第2実施形態では図8に示すようにフィルム部材26bをフィルム母材層50と低摩擦材層51の2層構造で構成している。
【0102】
すなわち、フィルム母材層50のうち、ケース120側の周縁シール面22b、23bおよび格子22a、23aの端面と摺動する面に低摩擦材層51を一体に設けたものである。
【0103】
ここで、フィルム母材層50は第1実施形態のフィルム部材26bと同程度(188μm程度)の厚さを有し、その具体的材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等が好適である。
【0104】
また、低摩擦材層51の厚さは1.2μm程度で、その材質としては、フィルム母材層50より低摩擦係数を有し、かつ、摺動摩擦熱に耐える耐熱性を有する樹脂が好適であり、具体的にはシリコン樹脂、フッ素樹脂等がよい。
【0105】
第2実施形態によると、フィルム部材26bの摺動側の面に低摩擦材層51を設けることにより、フィルム部材26bとケース内壁面との間の摩擦力を低減して、フィルム部材26bのビビリ音発生をより効果的に防止できる。
【0106】
(第3実施形態)
図9は第3実施形態を示すもので、車室内前部の計器盤部に配置される前席用空調装置12は、車室内への吹出空気温度の制御方式として、ヒータコア18を通過する温風と、ヒータコア18の冷風バイパス通路20′を通過する冷風との風量割合を調整するエアミックス方式を採用している。そして、このエアミックス方式のドア手段としてスライドドア26を用いている。
【0107】
このスライドドア26の具体的構成および駆動機構は第1実施形態と同じでよいので、説明を省略する。なお、図9において、38はセンターフェイス開口部、39はサイドフェイス開口部、40はデフロスタ開口部、41はフット開口部であり、42はセンターフェイス開口部38への通路と、デフロスタ開口部40およびフット開口部41への通路とを開閉する第1モードドアである。43はデフロスタ開口部40への通路とフット開口部41への通路とを開閉する第2モードドアである。
【0108】
(第4実施形態)
図14は第4実施形態を示すもので、第1実施形態ではドア基板26aの板面26dに断面矩形状の細長形状からなる弾性部材26eを接着等の手段で固着しているが、第4実施形態ではこの弾性部材26eをドア基板26aでなくフィルム部材26bの内側面に接着等の手段で固着するようしたものである。
【0109】
このように弾性部材26eをドア基板26aでなくフィルム部材26b側に固着すると、フィルム部材26b単独の剛性に弾性部材26eの剛性および接着材の剛性が加わるので、弾性部材26eを含むフィルム部材26b全体としての剛性が高くなる。
【0110】
そのため、フィルム部材26bに凹状の歪み部分がたとえ発生しても、凹状の歪み部分が反転することをフィルム部材26b全体の剛性アップにより防止できる。これにより、凹状の歪み部分の反転による異音(ポコ音)の発生を防止できる。
【0111】
なお、前述の第1実施形態では、W方向中央部の間隔L1とW方向端部の間隔L2を、L1≧L2の関係に設定することによりポコ音の発生を防止しているが、第4実施形態によると、上記のように凹状の歪み部分の反転をフィルム部材26b全体の剛性アップにより防止して異音(ポコ音)の発生を防止できるから、L1≧L2の間隔設定は必ずしも必要でない。従って、第4実施形態によると、間隔L1、間隔L2を規定するためにケース120の成形精度を高める必要がなく、ケース120の成形コストを低減できる利点もある。
【0112】
(第5実施形態)
図15は第5実施形態を示すもので、第4実施形態の変形であり、フィルム部材26b側に固着する弾性部材26eの形状を、フィルム部材26bの矩形形状に対応した矩形の板形状にして、弾性部材26eをフィルム部材26bの内側面に接着等の手段で全面的に固着するようしたものである。
【0113】
このように矩形の板形状からなる弾性部材26eをフィルム部材26b側に全面的に固着するため、第4実施形態よりもフィルム部材26b全体の剛性が一層高くなって、異音(ポコ音)の防止効果を一層高めることができる。
【0114】
そのため、第5実施形態では弾性部材26eの厚さを第4実施形態よりも薄くできる。例えば、第4実施形態では弾性部材26eの自由状態での板厚t=5mmとし、第5実施形態では弾性部材26eの自由状態での板厚t=4mmにしてもよい。
【0115】
なお、上記第4、第5実施形態では、弾性部材26eをフィルム部材26bの内側面に接着等の手段で固着してフィルム部材26bの剛性を高めているので、この剛性アップに伴ってフィルム部材26bとケース120との間の摺動摩擦力が大きくなって、スリップスティク現象に起因するフィルム部材26bのビビリ音が生じ易くなる。
【0116】
そこで、上記第4、第5実施形態では、弾性部材26eの組付時での弾性圧縮量(潰し代)を0mm付近、具体的には0±1.5mmの範囲に規定する。すなわち、弾性圧縮量(潰し代)を+1.5mm以内に制限することにより、フィルム部材26bとケース120との間の摺動摩擦力の増大を制限してフィルム部材26bのビビリ音発生を抑制することができる。
【0117】
なお、弾性圧縮量(潰し代)がマイナス側となることは前述のように弾性部材26eとドア基板26aとの間に隙間が生じることであるが、図7から理解されるように弾性圧縮量(潰し代)が−1.5mm以内であれば、風洩れ量を実用上支障のない微小レベルに抑制できる。
【0118】
(第6実施形態)
図16〜図17は第6実施形態であり、上記第4、第5実施形態と同様に、弾性部材26eをドア基板26aでなくフィルム部材26bの内側面に接着等の手段で固着するようしたものである。
【0119】
但し、上記第4、第5実施形態では、スライドドア26の全体形状を平坦な板状とし、スライドドア26を空気通路の開口面に沿って直線的に摺動(往復動)させる構成としているが、第6実施形態では、スライドドア26を半円筒状の形状にして回転運動させるようになっている。従って、第6実施形態によるスライドドア26は、回転式(ロータリ式)ドアと言うことができる。
【0120】
図16は第6実施形態による空気通路切替装置を示すもので、車両用前席側空調装置における吹出モード切替装置に適用した例を示している。図16の吹出モード切替装置は車両の上下前後方向に対して図示の矢印方向でもって搭載される。図示しない送風機により送風され、図示しないヒータコア部で温度調整された空調風が矢印bのように車両下方側から上方のスライドドア26に向かって流れる。
【0121】
ここで、スライドドア26は、図16の紙面垂直方向(車両左右方向)に延びる半円筒状の形状に成形された樹脂製ドア基板26aと、この半円筒状のドア基板26aの外周側において同じく半円筒状の形状に曲げられたフィルム部材26bとを備えている。ドア基板26aの円周方向の両端部には図16の紙面垂直方向に所定間隔で多数の取付ピン26hが一体に設けてあり、この取付ピン26hによりフィルム部材26bの円周方向の両端部の取付穴部を嵌合保持することにより、フィルム部材26bをドア基板26aに組み付けるようになっている。
【0122】
ドア基板26aにはその円周方向において複数に分割した開口部26cを設け、この開口部26cを通して空調風bの風圧がフィルム部材26bに作用するようにしてある。
【0123】
スライドドア26のドア基板26aには、その軸方向(図16の紙面垂直方向)の両端部に一体に回転軸26mを設け、この回転軸26mによりスライドドア26を車両用空調装置の樹脂製ケース120内に回転可能に配置されている。従って、外部から回転操作力を回転軸26mに加えることにより、スライドドア26が図16の矢印c方向(車両前後方向)に回転する。
【0124】
一方、ケース120において、図16の左上部分(車両後方側の上部)には、複数個、本例では3個の吹出開口部22、23、230がスライドドア26の回転領域の外周側に設けられている。ケース120の壁部120a〜120eにより開口部22、23、230は区画形成され、このケース側の壁部120a〜120eの先端に、フィルム部材26bが当たる開口部周縁シール面120f〜120iが形成される。この周縁シール面120f〜120iは、スライドドア26の回転中心を中心とする所定の曲率半径上に位置している。
【0125】
スライドドア26の回転方向cの中間に位置する吹出開口部22は乗員の上半身に向かって空気を吹き出すフェイス開口部であり、スライドドア26の回転方向cにおいて、最も車両後方側に位置する吹出開口部23は乗員の下半身に向けて空気を吹き出すフット開口部である。スライドドア26の回転方向cにおいて、最も車両前方側に位置する吹出開口部230は車両のフロントガラス内面に向かって空調風を吹き出すデフロスタ開口部である。
【0126】
図17はドア基板26aへの組付前におけるフィルム部材26b単体の斜視図であり、第5実施形態(図15)と同様に、矩形状のフィルム部材26bの一面側に、矩形の板形状からなる弾性部材26eを接着等により予め全面的に貼り付けておく。その後に、フィルム部材26bと弾性部材26eの両者の外形を所定の大きさに打ち抜き加工すると同時に、連通口26n、26pを打ち抜き加工する。連通口26n、26pは両部材26b、26eを貫通する空気通過口である。
【0127】
ここで、フィルム部材26bは上述の各実施形態と同様に、厚さ188μm程度のPETフィルムであり、また、弾性部材26eも上述の各実施形態と同様に多孔質樹脂発泡材、より具体的には例えば、エーテル系樹脂発泡材を用いることができる。
【0128】
図17の平板状のフィルム部材26bと弾性部材26eは、上記打ち抜き加工をした後に、所定温度に加熱して、半円筒状のドア基板26aの外周面に沿った半円筒状の形状に加熱曲げ成形される。ここで、両部材26b、26eは、弾性部材26eが内側に位置するように、かつ、図17の長辺方向が半円筒状の円周方向となるようにして、曲げ成形される。この加熱曲げ成形による半円筒状の形状は常温に温度低下した後もフィルム部材26bの物性により維持される。
【0129】
その後、半円筒状のフィルム部材26bと弾性部材26eをドア基板26aの外周面に組み付けて、スライドドア26単体としての組付を行う。具体的には、図17のフィルム部材長辺方向において、連通口26n側の端部をドア基板26aの図16左側の取付ピン26hに取り付け、連通口26p側の端部をドア基板26aの図16右側の取付ピン26hに取り付ける。
【0130】
その後、スライドドア26を図16のように回転軸26mによりケース120内に回転可能に組み込む。このケース内へのスライドドア組付状態では、弾性部材26eが弾性的に圧縮され、その弾性反発力によりフィルム部材26bが開口部周縁シール面120f〜120iに当たるように、弾性部材26eの板厚を設定してある。弾性部材26eの板厚は例えば、4〜5mm程度の範囲である。
【0131】
次に、第6実施形態の作動を説明すると、図16ではフィルム部材26bの連通口26nがフェイス開口部22とラップする位置にスライドドア26が回転している。この状態では、フット開口部23とデフロスタ開口部230がフィルム部材26bの板面により閉塞され、フェイス開口部22のみが開口するので、スライドドア26内側の空調風bがフェイス開口部22に流入し、フェイスモードとなる。なお、フィルム部材26bの連通口26pはこのとき周縁シール面120i側のケース壁面により閉塞されている。
【0132】
スライドドア26を図16の矢印c方向に回転操作することにより、上記フェイスモードの他に、フット開口部23あるいはデフロスタ開口部230の開口状態を選択して、フットモード、デフロスタモード等の吹出モードを選択できる。
【0133】
ところで、フィルム式のスライドドア26の回転作動に伴って発生する異音としては、フィルム部材26bの振動によるビビリ音と、フィルム部材26bの剛性不足による変形で発生する反転音(ポコ音)がある。
【0134】
前者のビビリ音についてより具体的に説明すると、空調作動時に空調風bがスライドドア26に向かって通風されているときは、フィルム部材26bの外周面とケース側の周縁シール面120f〜120hとの間の微小な隙間に空気が流れる。フィルム部材26bの剛性が低いと、この微小隙間での空気流れが原因となって、フィルム部材26bが振動してケース側の周縁シール面120f〜120hと断続的に接触してビビリ音を発生する。
【0135】
なお、ケース側の周縁シール面のうち、シール面120iは、フィルム部材26bの剛性の高い部分、すなわち、連通口26n、26pが形成されていない図17の右端部側が接触するので、フィルム部材26bの振動によるビビリ音が発生しにくい。
【0136】
また、後者の反転音(ポコ音)は主に、「発明が解決しようとする課題」の欄で既述したケース120側の分割面の内側への倒れ込み現象に起因するもので、ケース120側分割面の倒れ込みにより周縁シール面120f〜120hがフィルム部材26bを内側方向へ変形させ、そして、この変形部がスライドドア26の回転により周縁シール面120f〜120hを通過するときに元の形状へ反転し、反転音(ポコ音)を発生する。
【0137】
なお、本第6実施形態においては、スライドドア26の軸方向中央部(図16紙面垂直方向の中央部)にケース120側の分割ケース体の分割面(図3の分割面Dに相当)が設定されている。従って、ケース120の倒れ込みは、スライドドア26の軸方向中央部に向かって生じる。
【0138】
本第6実施形態によると、上記ビビリ音および反転音(ポコ音)をともに良好に防止できる。
【0139】
すなわち、フィルム式のスライドドア26のケース120内への組付状態において、弾性部材26eが弾性的に圧縮され、その弾性反発力によりフィルム部材26bが常時、ケース側の開口部周縁シール面120f〜120iに当たるようになっていること、および弾性部材26eがフィルム部材26bに固着されることによりフィルム部材26bの剛性が増大して、フィルム部材26bが振動しにくくなっていることから、フィルム部材26bの振動が抑制され、ビビリ音の発生を防止できる。
【0140】
また、弾性部材26eの固着によりフィルム部材26bの剛性が増大するため、ケース120の倒れ込みによるフィルム部材26bの変形が生じにくい。また、フィルム部材26bが変形しても、剛性増大によりフィルム部材26bの変形量が少なくなるとともに、フィルム部材26bの変形部の反転速度が遅くなるので、反転音(ポコ音)の周波数が低下し、反転音が非常に聞こえにくくなる。以上の理由から、反転音についても良好に防止できる。
【0141】
(第6実施形態の変形例)
なお、上記した第6実施形態では、弾性部材26eの弾性反発力によりフィルム部材26bを常時、ケース側の開口部周縁シール面120f〜120iに当てるようにしているので、フィルム部材26bとシール面120f〜120iとの間の摩擦力により、スライドドア26の操作力が増大する。
【0142】
そこで、スライドドア26のケース120内への組付状態において、弾性部材26eが弾性的に圧縮されないレベルまで弾性部材26eの板厚を減少して、フィルム部材26bが弾性反力により常時にケース側の開口部周縁シール面120f〜120iに当たらない構成としてもよい。
【0143】
このようにすれば、フィルム部材26bとシール面120f〜120iとの間の摩擦力を低減でき、スライドドア26の操作力を低減できる。なお、本例における弾性部材26eの板厚の具体例としては、例えば、2mm以上4mm未満の範囲である。
【0144】
上記のようにフィルム部材26bが弾性反力により常時にケース側の開口部周縁シール面120f〜120iに当たらない構成であっても、第6実施形態によると、弾性部材26eの固着によりフィルム部材26bの剛性を増大できるので、フィルム部材26bの振動を抑制できる。この結果、弾性部材26eをフィルム部材26bに固着しない場合に比較して、ビビリ音の発生を実用上、支障のない低レベルに抑制できることを本発明者らは実験的に確認している。
【0145】
従って、ドア操作力の低減効果を考慮すると、上記変形例の方が実用上有利である。
【0146】
(第7実施形態)
上記第6実施形態では、フィルム部材26bの全面に弾性部材26eを貼り付けているが、第7実施形態では、フィルム部材26bの特定領域のみに弾性部材26eを貼り付けている。
【0147】
図18、図19は第7実施形態であり、フィルム部材26bのうち、連通口26n、26pの周辺範囲のみに弾性部材26eを貼り付けている。図18の例では、連通口26n、26pの周辺範囲においてドア軸方向の全長にわたって、矩形状の弾性部材26eを貼り付けている。
【0148】
図19の他の例では、連通口26nの外形状(六角形)に沿った形状で弾性部材26eを貼り付けるとともに、2つの連通口26pの間に、矩形状の弾性部材26eを貼り付けている。
【0149】
フィルム部材26bにおいて、連通口26n、26pの周辺部分は開口により剛性が低下するので、ビビリ音や反転音(ポコ音)が発生しやすいのであるが、第7実施形態によると、連通口26n、26pの周辺部分の剛性を弾性部材26eの固着により増大させ、ビビリ音や反転音(ポコ音)の発生を抑制できる。
【0150】
(第8実施形態)
図20は第8実施形態であり、フィルム部材26bの連通口26n、26pの縁部の形状を工夫することにより剛性を増大させるものである。
【0151】
フィルム部材26bの連通口26n、26pの縁部に、弾性部材26e側(ドア基板26a側)へ凹んだ段差部26qを一体成形している。この段差部26qは、フィルム部材26bを半円筒状に加熱成形するときに同時に成形できる。
【0152】
第8実施形態によると、連通口26n、26pの縁部に段差部26qを成形することによりフィルム部材26b自身の剛性を向上できるので、弾性部材26eの固着による剛性の向上と相俟って、ビビリ音や反転音(ポコ音)の抑制効果を一層向上できる。
【0153】
(他の実施形態)
なお、前述の第1〜第4実施形態では、開口部22、23に格子22a,23aをドア摺動方向aと平行に1箇所のみ配置しているが、開口部22、23の開口面積が大きくなった場合は、格子22a,23aをドア摺動方向aと平行に2箇所以上配置してもよい。この場合も、格子22a,23aおよび周縁シール面22b、23bに対応する位置のみに弾性部材26eを配置することが好ましい。
【0154】
また、本発明によるスライドドアを車両用空調装置の内外気切替ドア等にも適用することができ、さらには、車両用空調装置以外の用途の空気通路切替装置にも広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用する車両後席用空調装置の概略縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大正面図である。
【図3】図2に示すスライドドア駆動機構の分解斜視図である。
【図4】図3のスライドドア単体の拡大斜視図である。
【図5】図4のスライドドア単体の分解斜視図である。
【図6】第1実施形態の要部を示す断面図で、図3のA−A断面を示す。
【図7】第1実施形態の弾性部材の潰し代と風洩れ量との関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態によるフィルム部材の一部断面図である。
【図9】第3実施形態による車両前席用空調装置の概略縦断面図である。
【図10】本発明者らが試作検討した空気通路切替装置の要部断面図で、図3のA−A断面を示す。
【図11】図10のC−C断面図である。
【図12】本発明者らが試作検討した別の空気通路切替装置の要部断面図で、図3のA−A断面を示す。
【図13】スライドドアによるビビリ音の発生メカニズムの説明図で、図3のB−B断面を示す。
【図14】第4実施形態によるスライドドアの分解斜視図である。
【図15】第5実施形態によるスライドドアの分解斜視図である。
【図16】第6実施形態によるスライドドア(ロータリドア)を含む空気通路切替装置の断面図である。
【図17】第6実施形態によるスライドドアのフィルム部材と弾性部材の曲げ成形前の状態を示す斜視図である。
【図18】第7実施形態によるスライドドアのフィルム部材と弾性部材の曲げ成形前の状態の一例を示す斜視図である。
【図19】第7実施形態によるスライドドアのフィルム部材と弾性部材の曲げ成形前の状態の他の例を示す斜視図である。
【図20】(a)は第8実施形態によるスライドドアのフィルム部材単体の斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
22…フェイス開口部、23…フット開口部、22a、23a…格子、22b、23b…周縁シール面、26…スライドドア、26a…ドア基板、26b…フィルム部材、26e…弾性部材。
Claims (15)
- 空気通路(22、23)の開口面に沿って摺動するスライドドア(26)を備え、前記空気通路(22、23)を前記スライドドア(26)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23)に開口面を複数に仕切る格子(22a、23a)を形成するとともに、
前記格子(22a、23a)を前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に配置し、
前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に圧着して前記空気通路(22、23)を閉塞するフィルム部材(26b)と、前記フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とを、前記スライドドア(26)に備え、
前記フィルム部材(26b)に風圧を作用させる開口部(26c)を前記ドア基板(26a)に設け、
さらに、前記フィルム部材(26b)を前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に弾性反力にて押圧する弾性手段(26e)を前記スライドドア(26)に設け、
前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と直交方向(W)において、前記空気通路(22、23)の中央部における前記格子(22a、23a)の端面と前記ドア基板(26a)との間隔をL1とし、前記空気通路(22、23)の端部における前記周縁シール面(22b、23b)と前記ドア基板(26a)との間隔をL2としたとき、
L1>L2の関係に設定することを特徴とする空気通路切替装置。 - 前記間隔(L1)の最大値を前記弾性手段(26e)の組付時での弾性圧縮量が0以上となる範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の空気通路切替装置。
- 前記弾性手段(26e)は、前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる細長形状からなり、
前記細長形状の弾性手段(26e)を前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に対応する位置のみに配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気通路切替装置。 - 空気通路(22、23)の開口面に沿って摺動するスライドドア(26)を備え、前記空気通路(22、23)を前記スライドドア(26)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23)に開口面を複数に仕切る格子(22a、23a)を形成するとともに、
前記格子(22a、23a)を前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に配置し、
前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に圧着して前記空気通路(22、23)を閉塞するフィルム部材(26b)と、前記フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とを、前記スライドドア(26)に備え、
前記フィルム部材(26b)に風圧を作用させる開口部(26c)を前記ドア基板(26a)に設け、
さらに、前記フィルム部材(26b)を前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に弾性反力にて押圧する弾性手段(26e)を前記スライドドア(26)に設け、
前記弾性手段(26e)は、前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる細長形状からなり、
前記細長形状の弾性手段(26e)を前記空気通路(22、23)の周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面に対応する位置のみに前記周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)と同一方向に延びるように配置し、
前記細長形状の弾性手段(26e)は、前記ドア基盤(26a)に固着されていることを特徴とする空気通路切替装置。 - 空気通路(22、23、230)の開口面に沿って摺動するスライドドア(26)を備え、前記空気通路(22、23、230)を前記スライドドア(26)により開閉する空気通路切替装置であって、
前記空気通路(22、23、230)の周縁シール面(22b、23b、120f〜120i)に圧着して前記空気通路(22、23、230)を閉塞するフィルム部材(26b)と、前記フィルム部材(26b)を支持するドア基板(26a)とを、前記スライドドア(26)に備え、
前記フィルム部材(26b)に風圧を作用させる開口部(26c)を前記ドア基板(26a)に設け、
さらに、前記フィルム部材(26b)のうち、前記ドア基板(26a)側の面に弾性部材(26e)を固着させ、
前記フィルム部材(26b)に固着された弾性部材は、前記スライドドア(26)の摺動方向(a)と平行に延びる形状であることを特徴とする空気通路切替装置。 - 前記スライドドア(26)は、略平板状の形状であり、前記空気通路(22、23、230)の開口面に沿って直線的に摺動することを特徴とする請求項5に記載の空気通路切替装置。
- 前記スライドドア(26)の前記空気通路(22、23、230)内への組付時における前記弾性部材(26e)の弾性圧縮量を、0±1.5mmの範囲に設定したことを特徴とする請求項5又は6に記載の空気通路切替装置。
- 前記スライドドア(26)は、略半円筒状の形状であり、前記空気通路(22、23、230)の開口面に沿って回転運動することを特徴とする請求項5に記載の空気通路切替装置。
- 前記フィルム部材(26b)に前記弾性部材(26e)を固着した状態で、前記両部材(26b、26e)を所定形状に打ち抜き、その後に、前記両部材(26b、26e)を略半円筒状の形状に加熱曲げ成形することを特徴とする請求項8に記載の空気通路切替装置。
- 前記スライドドア(26)は前記両部材(26b、26e)を貫通し空気を通過させる連通口(26n、26p)を有しており、前記連通口(26n、26p)の周辺部のみに前記弾性部材(26e)を固着することを特徴とする請求項5、8、9のいずれか1つに記載の空気通路切替装置。
- 前記連通口(26n、26p)の縁部に段差部(26q)を一体成形したことを特徴とする請求項10に記載の空気通路切替装置。
- 前記スライドドア(26)の前記空気通路(22、23、230)内への組付状態において、前記弾性部材(26e)が弾性的に圧縮され、前記弾性部材(26e)の弾性反力により前記フィルム部材(26b)が前記空気通路(22、23、230)の周縁シール面(22b、23b、120f〜120i)に押圧されるようになっていることを特徴とする請求項5、8ないし11のいずれか1つに記載の空気通路切替装置。
- 前記スライドドア(26)の前記空気通路(22、23、230)内への組付状態において、前記弾性部材(26e)が弾性的に圧縮されない範囲に、前記弾性部材(26e)の板厚を設定することを特徴とする請求項5、8ないし11のいずれか1つに記載の空気通路切替装置。
- 前記フィルム部材(26b)に、フィルム母材層(50)と、前記フィルム母材層(50)のうち、前記周縁シール面(22b、23b)および前記格子(22a、23a)の端面と摺動する面に設けられた低摩擦材層(51)とを備えたことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の空気通路切替装置。
- 請求項1ないし14のいずれか1つに記載の空気通路切替装置を備え、前記スライドドア(26)により車室内へ向かって流れる空気の複数の空気通路(22、23、230)を開閉することを特徴とする車両用空調装置。
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