JP4079617B2 - 転写テープ及び転写具並びに転写テープの粘着層の切断方法 - Google Patents

転写テープ及び転写具並びに転写テープの粘着層の切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強固な粘着力を維持し、所定の位置で確実に切断することができる転写テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粘着性を有する塗剤を基材上に塗布して形成された粘着層を有する転写テープを用いた転写具は、基材上の粘着層を被転写体に転写し、被転写体と該被転写体に転写した粘着層を介して貼着体を貼着する。この種の転写具は、上記未だ使用していない転写テープを巻装した送出軸と、粘着層を転写した後の基材を巻き取る巻取軸と、該送出軸と巻取軸との転写テープの搬送経路の途中箇所に設けて外部に露出した転写部とを備える。
【0003】
上記構成の転写具は、転写部を被転写体に押しつけ、その状態で全体を移動させて被転写体に粘着層を転写し、所望の箇所で転写具(全体)を被転写体から離間させることで、転写部において基材上の粘着層が被転写体側と該転写テープ側との間で切断される。
【0004】
こうした転写具の動作において、使い勝手という観点から、近年では粘着層の切断容易性が重要視されている。すなわち、粘着層は、被転写体と貼着体とを貼着するから当然に粘着力を有する。しかしこの粘着力が高いと、所望の位置で粘着層を切断しようとしても容易に切断できず、被転写体側と基材側との間で糸を引いた状態になることがある(以下、この現象を「糸引き」という)。
【0005】
上記糸引きが生じると、例えば被転写体側に糸引きの終端を有する場合は、被転写体において糸引きの終端部が集合した団子状の塊が生じ、被転写体と貼着体との貼着状態に段が生じたり、隙間が生じたりして良好に貼着できない。一方、例えば基材側に糸引きの終端を有する場合も同様に、次に使用する際に、上記団子状の塊が被転写体に転写されてしまったり、ときには所望の位置から粘着層を転写開始することができない場合も生じる。さらには、転写具自体に粘着層が付着して走行に悪影響を及ぼす虞がある。
【0006】
そこで、上記した糸引きを生じないように、例えば特開2000−98233号では、基材において粘着層側で該基材の両幅方向に亘って突出した突部を転写テープの送り出し(巻き取り)方向に平行に複数設け、この突部により粘着層を部分的に薄膜化した塗膜転写テープが提案されている。また、特開2001−192625号では、粘着層を基材上に所定単位の大きさで切断した状態に配した感圧転写式粘着テープが提案されている。
【0007】
しかし、上記したものは、いずれも仮に糸引きが抑制されたとしても、予め決められた突部の位置で、あるいは所定単位の大きさでしか切断できず、したがって所望の位置(大きさ又は長さ)で粘着層を切断することができない。また、特別な基材を製造する手間や、基材上に所定単位毎に切断した塗剤を塗布するための設備等を要する点でコストが高くなるといった問題がある。
【0008】
容易で低コストにて、糸引きを抑制しつつ所望の位置で粘着層を容易に切断するために、従来、例えば特公平6−62920号では、接着剤の水性分散液中にアルギン酸を微細分散させることにより、粘着層の膜性を弱めて切断を容易にする接着剤転写テープが提案されている。また、例えば特開2001−240812号では、粘着層中にフィラーを含有させ、粘着層層の厚み/フィラー粒径=0.6〜8.0とし、かつ粘着層層の厚みを5〜200μmとした感圧転写粘着テープが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開2001−240812号などで提案されるフィラーを含有させたものは、フィラーが球状であったため、粘着層の膜を切断するという効果を確実に得ることができず、膜厚によっては切断効果を得ることができないといった問題があった。また、フィラーの量を増やす、もしく粘着層の厚みを厚くすることで切断は容易となるが、逆に粘着力が低下してしまうといった問題があった。
【0010】
また、特公平6−62920号で提案される接着剤転写テープは、粘着層の膜性は弱くなり切断は容易となるものの、アルギン酸の分散不良が原因で粘着力が極端に低下したり、不必要な位置で切断したりする可能性があったので、粘着層全体としての切断効果を確実に得ることができなかった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、強固な粘着力を維持し、所定の位置で確実に切断することができる転写テープを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、転写部を被転写体に押しつけた状態で全体を移動させることで、基材に塗布された粘着層が基材から被転写体上に転写されて貼着体を貼着する貼着層が形成され、転写部を被転写体から離間させることで粘着層を切断する転写具に用いられる転写テープにおいて、粘着層に、モース硬度が6以上の針状粒子を粘着層組成中に1.0〜3.0重量%含有した。このようにすることで、粘着力を阻害することなく所望の位置で容易に切断できる。また、本発明は、前記において選択的に、針状粒子の最大粒子径を5〜30μm、かつ粒子長さ30〜500μmとすると共に、尖塔状又は柱状で最大粒子径と粒子長さの比が1:3以上のものが粒子全体の90%以上を占めることで、前記効果をより一層顕著に得ることができる。さらに、上記した本発明の転写テープを備えた転写具、あるいは針状粒子を含有した転写テープの粘着層の切断方法においても、上記効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の理由に基づいてなされたものである。
すなわち、従来のフィラーは、その目的が粘着層の主成分同士の粘性(粘着層の膜性)を弱める(分断する)ことで全体としての粘着力を低下させ、これにより切断を容易とするものである。したがって従来のフィラーは球状とされていた(フィラーによる切断については着目されていない)ので、結果として切断が容易となると同時に粘着力が低くなっていた。
【0014】
本発明は、従来とは異なり、全体としての粘着力の低下させず、むしろ粘着層の主成分同士の粘性を高めて全体の粘着力を強化したときに、積極的に粘着層の膜を切断する改善を行った。その結果、粘着層に針状、具体的には柱状又は望ましくは尖塔状(端部が尖っている形状)の粒子を含有した。
【0015】
また、本願において針状粒子とは、上記したように尖塔状であることが望ましく、柱状であってもよいが、そのときは最大粒子径と粒子の長さの比が、1:3以上の棒状(球状ではない)である粒子が、全針状粒子中において90%以上の状態のものを意味することとする。
【0016】
その結果、次の作用が生じる。粘着力を高くすると、上記したように粘着成分同士の粘性が高いため切断しにくい膜が形成されるが針状粒子を含有させることで、基材に対する粘着層の塗布面以外の方向に力が加わり、粘着層の膜が薄くなった後、膜を針状粒子が突き破り、粘着層を切断することとなる。そして、切断された粘着層は、切断端部が針状粒子に引きつけられ、結果として糸を引くことなく完全に切断される。
【0017】
ちなみに針状粒子として粘着層に含有させて好適である材料は、例えばガラス、ケイカイ石、セピオライト、クリソタイル、針状ホウ酸アルミニウム、針状酸化チタン、針状チタン酸カリウムなどである。
【0018】
このようにすることで、粘着力を高くした粘着層は、基材から被転写体に良好に転写され、被転写体と貼着体との間で互いを強固に貼着する。そして、所望の位置で、被転写体に対する水平面以外の方向に転写テープを移動させることで、針状粒子が粘着層の膜を突き破り、粘着層を確実に切断する。
【0019】
また、本発明は、上記した針状粒子を含有することに加えて、モース硬度を6以上とした。モース硬度とは、物質の硬度を示す基準の一つであり、最も柔らかい鉱物から最も硬いダイヤモンドまで、10種類の基準を選定し、どの標準鉱物で初めて傷が付くかを調べて10段階での位置付けを決定する。また、俗称として引っ掻き硬度とも言われ、絶対的な硬度の数値を示しているのではなく、単に硬い順番を比較して順列を付けたものである。その標準鉱物とその硬度は、ダイアモンド:10、コランダム:9、トパーズ:8、クォーツ:7、フェルドスパー:6、アパタイト:5、フローライト:4、カルサイト:3、石膏:2、タルク:1である。
【0020】
ここで、本発明において、針状粒子のモース硬度を6以上とした理由は、モース硬度が6より軟らかいと、粘着層の主成分に針状粒子を含有させて、最終的な転写テープを製作する段階で、針状の形状が崩れやすいためである。そして、モース硬度が6以上の針状粒子を含有させることで、より容易に粘着層の膜を突き破ることができ、粘着層を容易に切断することができる。
【0021】
ちなみに例えばモース硬度が6以上である材料としては、ガラス、針状酸化チタン、針状ホウ酸アルミニウムである。これらを用いることで、転写テープの製作過程で針状形状が崩れることなく、上記効果をより確実に得ることができる。
【0022】
また、本発明は、上記構成において、針状粒子の最大粒子径を5〜30μm、かつ粒子長さ30〜500μmとした。この理由は、針状粒子の最大粒子径が5μmより小さく、かつ粒子長さが30μmより短いと、粘着層の切断容易性に寄与しない傾向が強くなり、また、針状粒子の最大粒子径が30μmより大きく、かつ粒子長さが500μmより長いと、グラビアコーターのスムーサー、キスコーターのメイヤバーに針状粒子が引っかかることによる塗工すじが生じて塗工性が悪化する傾向が強くなる。
【0023】
また、本発明は、上記構成において、粘着層組成中、針状粒子を1.0〜3.0重量%含有することとした。この理由は、針状粒子を1.0%より低くすると、切断容易性を安定して維持することができない場合が生じ、3.0%より高くすると、粘着力が低下する場合が生じるからである。
【0024】
なお、粘着層における針状粒子以外の配合成分としては、次の材料を用いればよい。粘着剤としては、例えばアクリル系、ゴム系、シリコン系などを使用する。さらに、必要に応じて粘着付与剤として例えばロジン系、テルペン系などを使用する。また、着色剤としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ブリリアントカーミン6B、パーマネントイエローH10G、レーキレッドなどの有機顔料を用いることで、色彩の鮮明性、堅牢性の点で良好となる。また、前記の他に、はじき防止剤、保存剤などを含有させてもよい。
【0025】
基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムや、グラシン紙などを使用する。また、場合により、基材の片面又は両面にシリコーン樹脂又はフッ素樹脂による離型処理を施してもよい。
【0026】
なお、基材の厚みは、5〜60μm、特に15〜55μmが好ましい。この理由は、5μmより薄くなると転写テープとして皺になったり折れ曲がりやすくなり、これに起因して走行不良を起こす可能性がある。一方、60μmより厚くなると転写具内の限られたスペースでの長尺化が困難になり、材料費のコストが増加すると共に、上記と逆に折れ曲がりにくくなり走行不良や転写不良を起こす可能性がある。
【0027】
さらに、粘着層の基材に対する塗布厚は、15〜30μmが好ましい。この理由は、15μmより薄いと粘着力が弱くなる場合が生じ、また、30μmより厚くなると切断容易性を安定して維持することができない場合が生じるからである。なお、粘着層は、基材に対してキスコーター、グラビアコーター、コンマコーターのいずれを方法によってでも塗工することができる。
【0028】
【実施例】
以下に、図1及び図2を参照して本発明の効果について説明する。以下において、実施例1〜11は針状粒子を含有した態様であり、各々の実施例の条件の対応は図1及び図2に示す。また、比較例は針状粒子を含有していない態様である。さらに、実施例1〜7及び比較例1,2の各々において針状粒子又は球状粒子は、1.0重量部として統一し、針状粒子を含有させるときは、上記で説明したように、尖塔状又は柱状で最大粒子径と粒子長さの比が1:3以上であるものが粒子全体の90%以上を占めるものを採用した。その他の条件については、図1及び図2に各々示す。
【0029】
実験に供した粘着塗剤は、次のように構成されている。
・針状又は球状粒子:1.0重量部(実施例1〜7及び比較例1,2)
・エマルジョン型アクリル系粘着剤:37.0重量部(固形分換算重量部)
・ロジン系粘着付与剤:4.5重量部(固形分換算重量部)
・フタロシアニンブルー着色剤:1.5重量部
・はじき防止剤:2.5重量部
・水:53.5重量部
なお、実施例8〜11については、上記配合より針状又は球状粒子の重量部のみ図2の通り変化させ、その他の成分については、上記配合と同じ重量部である。
【0030】
効果を確認するための実験について、以下に記す。
(塗工性)
転写テープを製作する際、両面を離型処理された25μmポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)に上記各例の粘着層をキスコーターによって各々の塗布厚となるように塗工して形成した。そのときの塗面の外観について評価した。
「5」外観上全く問題がない。
「4」外観上ほぼ問題がない。
「3」外観上若干の塗工すじがある(使用に際して問題がない)。
「2」外観上塗工すじが目立つ(使用に際して問題がない)。
「1」キスコーターのメイヤバーに針状又は球状粒子が引っかかることで生じた
と思われる塗工すじが顕著に生じ、使用上にも問題が生じた。
【0031】
(切断性:テストA)
上質紙(被転写体)に幅8.4mmの転写具を用いて粘着層を10cm転写した後に、そのまま転写具の操作移動方向に該転写具を移動させつつ被転写体に対して30°の角度で引き上げることにより切断する実験を各例につき10回行って、糸引きが生じた回数について評価した。
「5」糸引きが生じなかった。
「4」1〜2回、1mm未満の糸引きが生じた。
「3」3〜4回、1mm未満の糸引きが生じた。
「2」1〜3回、1mm以上の糸引きが生じた。
「1」4回以上、1mm以上の糸引きが生じた。
【0032】
(切断性:テストB)
上質紙(被転写体)に幅8.4mmの転写具を用いて粘着層を10cm転写した後に、そのまま転写具を被転写体に対して90°の角度で引き上げることにより切断する実験を各例につき10回行って、糸引きが生じた回数について評価した。
「5」糸引きが生じなかった。
「4」1〜2回、1mm未満の糸引きが生じた。
「3」3〜4回、1mm未満の糸引きが生じた。
「2」1〜3回、1mm以上の糸引きが生じた。
「1」4回以上、1mm以上の糸引きが生じた。
【0033】
(粘着力)
上質紙(被転写体)に幅8.4mmの転写具を用いて粘着層を転写し、その後同材質の上質紙を貼着体として貼着し、2kgのローラを2往復させて両者を貼着し、3分経過後、貼着体を剥離した。そのときの貼着体の貼着面の状態について評価した。
「5」全面が破れた。
「4」貼着面全体の70〜100%未満破れた
「3」貼着面全体の50〜70%未満破れた。
「2」貼着面全体の50%未満破れた。もしくは貼着面が毛羽立った。
「1」貼着前と変わらない。
【0034】
図1は、実施例1〜6と、比較例1,2について評価結果(切断性についてはテストAを示している。なお、総合評価は良好な順から◎○△×で示し、括弧内は上記した評価点の総計である。また、条件の対応欄において○は対応していることを、△は対応するが範囲中心値より上下限に近い値であることを、×は対応していないことを示す。
【0035】
図1における各例の結果とその要因について説明する。
・比較例1は、総合評価×(11)であった。この理由は、粒子の形状が球状であることにより、切断性テストAの評価が悪かったことに起因している。
・比較例2は、総合評価×(9)であった。この理由は、比較例1より粘着層の塗布厚を薄くしたことにより、比較例1より切断性テストAの評価は向上したものの、粘着力の評価が低下したことに起因している。
【0036】
・実施例1は、総合評価△(12)であった。この理由は、針状粒子のモース硬度が4.5のケイカイ石を用いていること、及び針状粒子の最大粒径と粒子長さ(以下、これを「粒子寸法」という)が下限を超えているために、切断性テストAの評価が低かったことに起因する。しかし針状粒子を用いていることで、比較例1,2よりは総合的に良い結果となった。
【0037】
・実施例2は、総合評価○(13)であり、実施例1より良い結果となった。この理由は、モース硬度が下限を超えているものの、粒子寸法が範囲内の下限値であったため、切断性テストAの評価が向上したことに起因する。また、針状粒子を用いていることで、比較例1,2よりは総合的に良い結果となった。
【0038】
・実施例3,4は、総合評価◎(14)であり、図1に示す各例中で最良の結果となった。この理由は、モース硬度が下限を超えているものの、粒子寸法が範囲内にあるため、切断性テストAの評価が向上したことに起因する。
【0039】
・実施例5は、総合評価○(13)であり、実施例3,4に較べると若干劣る結果となった。この理由は、粒子寸法が、範囲内の上限に近い値であったため、塗工性の評価が実施例3,4に較べて若干低下したことに起因する。また、針状粒子を用いていることで、比較例1,2よりは総合的に良い結果となった。
【0040】
・実施例6は、総合評価△(12)であり、実施例3,4に較べると若干劣る結果となった。この理由は、粒子寸法が、範囲内の上限を超えたため、塗工性の評価が実施例3,4に較べて低下したことに起因する。また、針状粒子を用いていることで、比較例1,2よりは総合的に良い結果となった。
【0041】
以上、図1に示す各例の全体のまとめとしては、実施例1〜6は、比較例1,2に較べて、総合的に良好な結果を得ることができた。そして、実施例1〜6においては、針状粒子の最大粒径が5〜30μm、粒子長さが30〜500μmとすれば総合評価が向上することが判明した。
【0042】
図2は、図1で最良の総合評価であった実施例4と、これに対して針状粒子の硬度を変えた実施例7〜11について、評価結果(切断性についてはテストB)と、条件の対応とを示している。なお、実施例8〜11は、針状粒子の量をそれぞれ0.3、0.5、1.4、1.7重量部に変えて含有割合を変動させている。総合評価は良好な順から◎○△×で示し、括弧内は上記した評価点の総計である。また、条件の対応欄において○は対応していることを、△は対応するが範囲中心値より上下限に近い値であることを、×は対応していないことを示す。
【0043】
図2における各例の結果とその要因について説明する。
・実施例4は、総合評価△(12)であった。この理由は、モース硬度が下限を超えているために、切断性テストBの評価が悪かったことに起因している。なお、以下、図2においては実施例4を基準として優劣の評価を記すが、全てにおいて図1に示した比較例1,2より良好な結果を得ることができた。
【0044】
・実施例7は、総合評価◎(15)で、図1及び図2の全ての例中最も良好な結果となった。この理由は、モース硬度の規定6以上を満たしているで切断性テストBの評価が実施例4に較べて向上したことに加え、本発明の全ての条件を満たしていることに起因する。
【0045】
・実施例8は、総合評価○(13)で、実施例7よりは劣るものの、実施例4よりは良好な結果を得ることができた。この理由は、粒子の含有割合が、下限を超えているために、切断性テストBの評価が低かったことに起因する。
【0046】
・実施例9は、総合評価◎(14)で、実施例7よりは若干劣るものの、実施例8よりは良好な結果を得ることができた。この理由は、粒子の含有割合が、範囲内の下限値であるために、切断性テストBの評価が実施例8より向上したことに起因する。
【0047】
・実施例10は、総合評価◎(14)で、実施例7よりは若干劣るものの、実施例9と同等の結果を得ることができた。この理由は、粒子の含有割合が範囲内の上限値であるために、切断性テストBの評価が実施例9より向上したが、実施例9に較べて粘着力が低下したことに起因する。
【0048】
・実施例11は、総合評価○(13)で、実施例7よりは劣るものの、実施例4に較べては良好な結果を得ることができた。この理由は、粒子の含有割合が、上限を超えているために、粘着力が低下したことに起因する。
【0049】
以上、図2に示す各例の全体のまとめとしては、本発明の全ての条件を満たした実施例7は、それ以外の各例に較べて、総合的に良好な結果を得ることができた。そして、実施例7以外の他の実施例においては、針状粒子のモース硬度を6以上とすることにより切断性が良好となり、また、特に実施例7,9,10と実施例8,11との比較では針状粒子の含有割合1.0〜3.0重量%とすることでより良好な結果を得ることができることが判明した。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転写テープは、未使用の基材及び基材に塗布された粘着層を巻装した送出軸と、粘着層を転写した後の基材を巻き取る巻取軸と、該送出軸と該巻取軸との基材搬送経路の途中箇所に設けられた転写部とを備え、転写部を被転写体に押しつけた状態で全体を移動させることで、基材に塗布された粘着層が基材から被転写体上に転写されて貼着体を貼着する貼着層が形成され、転写部を被転写体から離間させることで粘着層を切断する転写具に用いられる転写テープにおいて、粘着層に、モース硬度が6以上の針状粒子を粘着層組成中に1.0〜3.0重量%含有したので、高い粘着力を維持しつつも、所望の箇所で確実に、かつ糸引きを生じることなく粘着層を切断することができる。そして、仮に粘着力を高くしても、最大粒子径を5〜30μm、かつ粒子長さ30〜500μmで、尖塔状又は柱状で最大粒子径と粒子長さの比が1:3以上のものが粒子全体の90%以上を占める針状粒子を採用したりすることで上記した作用効果を得ることができると共に一層顕著にできる。また、本発明の転写テープを備えた転写具、あるいは針状粒子を含有した転写テープの粘着層の切断方法においても、上記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例の条件と各実験の評価及び総合評価を示す図である。
【図2】実施例の条件と各実験の評価及び総合評価を示す図である。

Claims (4)

  1. 未使用の基材及び該基材に塗布された粘着層を巻装した送出軸と、前記粘着層を転写した後の前記基材を巻き取る巻取軸と、前記送出軸と前記巻取軸との基材搬送経路の途中箇所に設けられた転写部とを備え、前記転写部を被転写体に押しつけた状態で全体を移動させることで、前記基材に塗布された前記粘着層が該基材から被転写体に転写されて貼着体を貼着する貼着層形成され、前記転写部を被転写体から離間させることで前記粘着層を切断する転写具に用いられる転写テープにおいて、前記粘着層に、モース硬度が6以上の針状粒子を前記粘着層組成中に1.0〜3.0重量%含有したことを特徴とする転写テープ。
  2. 針状粒子は、最大粒子径が5〜30μm、粒子長さが30〜50μm、尖塔状又は柱状で最大粒子径と粒子長さの比が1:3以上のものが粒子全体の90%以上を占めることを特徴とする請求項1記載の転写テープ。
  3. 未使用の基材及び該基材に塗布された粘着層を巻装した送出軸と、前記粘着層を転写した後の前記基材を巻き取る巻取軸と、前記送出軸と前記巻取軸との基材搬送経路の途中箇所に設けられた転写部とを備え、前記転写部を被転写体に押しつけた状態で全体を移動させることで、前記基材に塗布された前記粘着層が該基材から被転写体上に転写されて貼着体を貼着する貼着層が形成され、前記転写部を被転写体から離間させることで前記粘着層を切断する転写具において、請求項1又は2記載の転写テープを備えたことを特徴とする転写具。
  4. 基材に塗布された粘着層が被転写体上に転写されることで貼着体を貼着する貼着層が形成される転写テープにおいて、該被転写体に該貼着層を形成する際に、該基材上の粘着層を切断する方法であって、針状粒子を含有した粘着層を被転写体に接触させ、その状態で被転写体上で移動させて該被転写体上に貼着層を形成させ、前記基材を被転写体から離間させて針状粒子により前記粘着層を突き破って切断させることを特徴とする転写テープの粘着層の切断方法。
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