JP4077704B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマの作用で表面改質、成膜、エッチング、デスミア等の表面処理を行なうプラズマ処理装置に関し、特に、電極間でプラズマ化した処理ガスを、電極間の外に配された被処理体へ吹き出す所謂リモート式のプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、低圧条件下でグロー放電プラズマを発生させて半導体基板等の被処理体の表面改質や成膜等を行う減圧プラズマ処理装置が実用化されている。しかし、真空チャンバーやその内部を真空引きする大容量の排気装置等を要し、高価で、大面積基板等の処理には不向きであった。このため、大気圧近傍の圧力下で放電プラズマを発生させる常圧プラズマ処理装置が提案されている。
また、プラズマ処理装置を電極と被処理体との配置関係で見ると、被処理体を一対の電極どうし間の放電空間の内部に配置して処理を行なう所謂ダイレクト式(例えば特許文献1〜3参照)と、電極間の外に配置してこれへ向けて電極間からプラズマを吹き出し、処理を行なう所謂リモート式とに大別される(例えば特許文献4〜6照)。後者のリモート式では、一対の電極が、被処理体と直交するようにして配され、これら電極の被処理体とは逆側の縁どうしの間が、処理ガスの導入口(吹き込み口)となり、被処理体側の縁どうしの間が、プラズマ化された処理ガスの吹き出し口となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−2149号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平7−85997号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平11−236676号公報(第1頁、第9図)
【特許文献4】
特開平11−251304号公報(第1頁)
【特許文献5】
特開平11−260597号公報(第1頁)
【特許文献6】
特開平11−335868号公報(第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前者のダイレクト式では、被処理体が直接放電空間に置かれるためダメージを受けやすい。後者のリモート式では、被処理体が放電空間から離れており、放電に直接曝されることはない。しかしながら、特に常圧下ではプラズマの平均自由工程ひいては失活距離が短いため、被処理体を離し過ぎるとプラズマが届かず、所望の表面処理ができなくなる。一方、近付け過ぎると、電界印加電極と被処理体との間でアーク放電が発生し、例えば成膜処理ではスジ状模様が付く等の処理不良を招いてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リモート式のプラズマ処理装置において、被処理体にダメージを与えたり処理不良を招いたりすることなく、表面処理を確実かつ効率的に行なうことができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ厚さ方向に貫通する処理ガスの吹き出し口とを有する板状をなし、かつ、吹き出し口より少なくとも一方向側の被処理体対向面が、吹き出し口から遠ざかるにしたがって電界印加電極側へ傾いていることを特徴とする。これによって、電界印加電極と被処理体との間に接地電極が介在されることになるので、電界印加電極と被処理体との間でアーク放電が起きるのを防止でき、被処理体にダメージを与えるのを防止できる。併せて、接地電極ひいては電極間の放電空間(プラズマ化空間)を被処理体に十分(例えば2mm以下)に近付けることができる。これによって、減圧下は勿論、失活距離の短い常圧下であっても、プラズマ(活性種やイオンを含む)を被処理体に確実に到達させることができ、表面処理を確実かつ効率的に行なうことができる。
請求項2に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、かつ、前記吹き出し口より少なくとも一方向側の前記被処理体対向面が、吹き出し口から遠ざかるにしたがって電界印加電極側へ傾き、さらに、前記接地電極の前記一方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0006】
電界印加電極、接地電極、被処理体の順に略平行に配されるようにするとよい。接地電極と被処理体の間隔(ワーキングディスタンス)は、5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。5mm以下、更には2mm以下でも、上述したように、被処理体にダメージを与えることがなく、生成したプラズマを被処理体に有効に接触させることが出来る。
前記電界印加電極と接地電極が、互いに平行な長板状をなし、前記導入路の下流端が、一対をなして前記電極の幅方向の両側縁どうしの間にそれぞれ連なり、前記吹き出し口が、前記接地電極の略全長にわたってスリット状に形成されていてもよい。これによって、電極の長手方向の全長分の表面処理を一度に効率に行なうことができる。
【0007】
前記スリット状の吹き出し口が、接地電極の幅方向に並んで複数形成されていてもよい。これによって、より広い範囲にわたって一度に表面処理することができ、一層の効率化を図ることができる。
吹き出し口は、スリット状の他、複数の略円状または略四角状穴であってもよく、その他の形状であってもよい。吹き出し口用スリットは、直線状だけでなく、V字状、W字状、ギザギザ状、波形状等にしてもよい。
吹き出し口に、処理ガスの通過を妨げず、しかも導電性を有する網、多孔板等のガス通過許容部材が設けられていてもよい。これによって、吹き出し口においても処理ガスをプラズマ化でき、表面処理の一層の効率化を図ることができる。ガス通過許容部材の表面は固体誘電体層で被覆するのが望ましい。
接地電極全体を網状にしたり、多孔板状にしたりしてもよい。そうすると、プラズマを被処理体の広い範囲に作用させることができる。
【0008】
前記電界印加電極の接地電極対向面と、前記接地電極の電界印加電極対向面とが、前記吹き出し口に近付くにしたがって前記被処理体側へ傾くように断面V字状をなしていてもよい。これによって、全体をコンパクト化できるとともに、処理ガスの放電空間通過距離を長くして十分にプラズマ化させることができる。
【0009】
前記接地電極において、前記吹き出し口が前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ垂直に貫通されていてもよい。これによって、プラズマ流を被処理体に垂直に吹き付けることができる。
【0010】
請求項1、2に係る発明では、前記接地電極における吹き出し口より少なくとも一方向側の被処理体対向面が、吹き出し口から遠ざかるにしたがって電界印加電極側へ傾いていることによって、吹き出し口と被処理体との距離が極めて小さくても、被処理体へ吹き付け後の処理ガスや処理によって発生した副生成物等からなる排ガスを接地電極と被処理体との間からスムーズに排出することができる。
【0011】
前記接地電極の吹き出し口が、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ(厚さ方向に)斜めに貫通していてもよい。これによって、処理ガスを斜めに方向性を付けて吹き出すことができ、乱流化を防止でき、排ガスを接地電極と被処理体との間からスムーズに排出することができ、滞留を防止することができる。
【0012】
接地電極の外縁の近傍を吸引、排気する排気機構(排気設備、排気手段)を付設してもよい。これによって、接地電極と被処理体との間が狭くても、あるいは処理ガス量が少ない場合であっても、排ガスを一層スムーズに確実に排気でき、ひいては処理速度を一層高めることができる。また、処理ガスの流れを整えて乱流化を確実に防止でき、一層均一な表面処理を行なうことができる。排気機構は、既知の構造でよく、特に限定はないが、ファンや真空ポンプを用いて、処理ガスの導入量と連動して排気量を調整することのできる構成にするのが好ましい。
【0013】
請求項3に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記接地電極が、複数の導電性パイプ(筒状体)を互いに平行に並べてなり隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっており、1のパイプとその隣りのパイプとの内部空間の一端部どうしが連結管で連結されるとともに、前記1のパイプと反対隣りのパイプとの内部空間の他端部どうしが他の連結管で連結されていることを特徴とする。これによって、冷却通路付きの接地電極を簡易に構成することができる。また、冷却効率を高めることができる。導電性パイプは、真円筒状をなしていてもよく、楕円筒状をなしていてもよく、角筒状をなしていてもよい。楕円筒状または角筒状のパイプの場合、長軸、短軸のいずれを前記並び方向に揃えてもよい。
請求項4に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記接地電極が、長軸方向を前記電界印加電極との対向方向と直交する方向に向けた楕円形状の断面を有する複数の導電性パイプを互いに平行に前記長軸方向に並べてなり、隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記接地電極が、複数の導電性パイプを互いに平行に並べてなり、隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっており、さらに、前記接地電極の前記パイプの並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記電界印加電極には、前記導入路の下流端を構成する吹き込み口が、スリット状をなして複数並んで形成され、前記接地電極には、前記吹き出し口が、前記吹き込み口と同方向に延びるスリット状をなし、しかも吹き込み口と互い違いになるようにして複数並んで形成され、さらに、前記電界印加電極または接地電極には、前記吹き込み口と同方向に延びる冷却路が前記吹き込み口または吹き出し口を挟んで複数設けられ、1の冷却路とその隣りの冷却路との一端部どうしが連結管で連結されるとともに、前記1の冷却路と反対隣りの冷却路との他端部どうしが他の連結管で連結されていることを特徴とする。これによって、電極間空間内で処理ガスを分流させたり横方向に流したり合流させたりしながら十分にプラズマ化させて吹き出すことができる。
請求項7に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記電界印加電極には、前記導入路の下流端を構成する吹き込み口が、スリット状をなして複数並んで形成され、前記接地電極には、前記吹き出し口が、前記吹き込み口と同方向に延びるスリット状をなし、しかも吹き込み口と互い違いになるようにして複数並んで形成され、さらに、前記接地電極の前記吹き出し口の並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記電界印加電極の接地電極対向面には、接地電極へ向かって突出する断面三角形状の第1凸部が複数並んで形成され、これら第1凸部間の谷間に、前記導入路の下流端(処理ガスの電極間空間への吹き込み口)が開口されており、前記接地電極の電界印加電極対向面には、前記第1凸部間の谷間へ向かって突出する断面三角形状の第2凸部が複数並んで形成され、これら第2凸部間の谷間から前記吹き出し口が延びていることを特徴とする。これによって、電極間空間で放電を起き易くすることができ、処理ガスを一層十分にプラズマ化させて吹き出すことができる。
請求項9に係る発明は、電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、前記電界印加電極の接地電極対向面には、接地電極へ向かって突出する第1凸部が複数並んで形成され、これら第1凸部間の谷間に、前記導入路の下流端が開口されており、前記接地電極の電界印加電極対向面には、前記第1凸部間の谷間へ向かって突出する第2凸部が複数並んで形成され、これら第2凸部間の谷間から前記吹き出し口が延びており、さらに、前記接地電極の前記第2凸部の並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか1項において、被処理体を向くべき先端面が開口された容器状のヘッド本体を有するノズルヘッドを備え、前記ヘッド本体には、先端開口を塞ぐようにして前記接地電極が設けられる一方、基端部に処理ガスの入口ポートが設けられ、更に、前記電界印加電極が、ヘッド本体の内部を、前記入口ポートに連なる基端側の処理ガス導入室と先端側の電極間空間とに仕切るようにして収容され、前記導入室と前記電極間空間とが、前記電界印加電極を迂回又は貫通する連通路によって連ねられ、しかも、前記連通路が、電界印加電極の略全長域に及んでおり、前記入口ポートと導入室と連通路とが、前記導入路を構成していることを特徴とする。これによって、簡易かつコンパクトな構成で電極を保持、収容できる。また、導入室によって、処理ガスを整流し、電極間空間に均一に吹き込むことができる。導入室に、ファンやフィン、整流板(邪魔板)などを設け、処理ガスを一層確実に均一化させることにしてもよい。
【0017】
前記連通路は、前記「導入路の下流端」ないしは「吹き込み口」に相当する。特に、「電界印加電極を貫通する連通路」は、「電界印加電極に形成された吹き込み口」に相当する。
請求項11に係る発明は、請求項10において、前記連通路、前記電界印加電極の側縁に沿って設けられたスリット又は複数の孔部を含むことを特徴とする。これによって、処理ガスを電極間空間へ略均一に吹き込むことができる。
請求項12に係る発明は、請求項11において、前記入口ポートが、前記電界印加電極の中側部と対向するように配されており、前記連通路としての孔部が、前記電界印加電極の側縁の両端側のものほど大径又は短ピッチになっていることを特徴とする。これによって、処理ガスを電極間空間へ確実に均一に吹き込むことができる。
【0018】
前記電界印加電極が、例えば長板状をなし、その長手側縁(幅方向の両側縁)とヘッド本体の内面との間に隙間が形成されるようにしてもよい。これによって、前記隙間が、電界印加電極を迂回する連通路となる。更に、この隙間を塞ぐ閉塞部材をヘッド本体の内面と電界印加電極の側縁との間に架け渡し、この閉塞部材に前記孔部(連通路)を形成してもよい。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項10〜12のいずれか1項において、前記ノズルヘッドの導入室が、隔壁によって2つの室部分に仕切られ、これら室部分に互いに異なる種類の処理ガスの入口ポートが設けられ、前記連通路が、前記電界印加電極の両側に離れて2つ設けられ、一方の連通路が、一方の室部分に連なり、他方の連通路が、他方の室部分に連なっていることを特徴とする。これによって、2種類の処理ガスを電極間の空間で混合して吹き出すことができる。
【0020】
請求項14に係る発明は、請求項1〜9、13のいずれか1項において、前記電界印加電極には、前記吹き出し口へ向けて突出し、電極間空間を2つの空間部に仕切る整流突起が設けられており、これら空間に互いに異なる種類の処理ガスの導入路が連なっていることを特徴とする。これによって、2種類の処理ガスを電極間に導入し、吹き出し口の近くで混合して吹き出すことができる。
【0021】
被処理体又はその支持手段にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段を、更に備えることにしてもよい。これによって、プラズマを被処理体に確実に到達させて所望の表面処理を効率よく行なうことができる。特に、接地電極が、網状や多孔板状の場合は、効果的である。被処理体が導電体の場合には、それに直接バイアス電圧をかけるのが好ましい。被処理体が、誘電体、絶縁体の場合には、支持手段を導電体で構成し、この支持手段にバイアス電圧をかけることにする。電圧の大きさや正負等は、特に限定がなく、処理ガス、活性種、イオン、被処理体等の種類や、接地電極との間の距離等によって決定されるが、接地電極との間で放電がたたない程度が好ましく、0.1〜100kVが特に好ましい。また、電界印加電極と接地電極との間に印加される電圧より小さくするのが好ましい。周期的に正圧なったり負圧になったりするようにしてもよい。
なお、被処理体又は支持手段に代えて、接地電極にバイアス電圧を印加することにしてもよい。
【0022】
上記電極の材質としては、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等からなるものが挙げられる。印加電極の形状としては、プラズマ放電が安定にできれば、特に限定されないが、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の距離が一定となる構造であることが好ましい。また、電極の大きさは、被処理基板の大きさにもよるが、印加電極より接地電極が大きい方が安定した放電状態が得られやすい。
【0023】
電極端部を曲面化加工することにより、ストリーマーの発生を抑制することができる。曲面化加工を行う場合の曲率半径は、特に限定されないが、好ましくは0.5mm以上で電極板厚み未満が好ましい。0.5mm未満では、ストリーマーの発生の抑制効果が不十分である。
【0024】
上記電極の対向面の一方又は双方には、固体誘電体が設置される。この際、固体誘電体と設置される側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じやすい。上記固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。固体誘電体の材質としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。特に、25℃環境下における比誘電率が10以上のものである固体誘電体を用いれば、低電圧で高密度の放電プラズマを発生させることができ、処理効率が向上する。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが入手可能であり、本発明に使用できる。特に好ましくは比誘電率が10〜100の固体誘電体である。上記比誘電率が10以上である固体誘電体の具体例としては、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物を挙げることができる。
【0025】
電界印加電極及び接地電極に、冷却手段(冷却機構、冷却設備)を設けるのが好ましい。これにより、発熱によるアーク放電の発生を防止でき、連続使用や高出力条件でも安定的に処理を行うことができる。冷却手段としては、上記金属パイプのように、電極の内部に冷却用流体(冷媒)の通路を形成してもよく、電極の外表面に冷却管(冷却部)を当てがい、これに冷媒を通すことにしてもよく、電極どうしの対向面とは逆側の面に放冷フィンを形成してもよい。電極に冷媒通路を形成する場合は、電極の肉厚(冷媒通路の内周面から電極の外周面までの距離)を0.1〜40mmにするのが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
【0026】
上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、0.1〜10mmであることが好ましい。0.1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充分でないことがあり、一方、10mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させにくい。
【0027】
上記電界印加手段としては、高周波電界印加手段や、パルス電界印加手段等を用いることができる。中でもパルス電界印加手段が好ましい。特に、パルスの立上がり及び/又は立下がり時間が、10μs以下のものが好ましい。10μsを越えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立上がり時間及び立下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行なわれるが、40ns未満の立上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。より好ましくは50ns〜5μsである。なお、ここでいう立上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立下り時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。パルス電界の電界強度は、1〜1000kV/cmとなるようにするのが好ましく、15〜1000kV/cmがより好ましい。電界強度が1kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを越えるとアーク放電が発生しやすくなる。パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であると、プラズマ密度が低く、処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合のとり易さや取り扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。パルス電界における1つのパルスの継続時間は、200μs以下であることが好ましい。200μsを越えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス継続時間とは、ON、OFFの繰り返しからなるパルス電界における、1つのパルスの連続するON時間を言う。
【0028】
本発明で処理できる被処理体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属、シリコンウェハ−等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明の表面処理方法によれば、様々な形状を有する被処理体の処理に容易に対応することができる。
【0029】
本発明で用いる処理ガスとしては、電界を印加することによってプラズマを発生するガスであれば、特に限定されず、処理目的により種々のガスを使用できる。
処理ガスとして、CF4、C26、CClF3、SF6等のフッ素含有化合物ガスを用いることによって、撥水性表面を得ることができる。
処理ガスとして、O2、O3、水、空気等の酸素元素含有化合物、N2、NH3等の窒素元素含有化合物、SO2、SO3等の硫黄元素含有化合物を用いることによって、被処理体表面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸等の親水基を有する重合性モノマーを用いて、親水性重合膜を堆積させることもできる。
Si、Ti、Sn等の金属の金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラート等の処理ガスを用いることによって、SiO2、TiO2、SnO2等の金属酸化物薄膜を形成させることができる。
さらに、被処理体表面に電気的、光学的機能を与えたり、被処理体表面から有機物除去、レジスト除去、高分子フィルムの接着性向上、ガラス系基板・プリント配線基盤(FPC)の洗浄、成膜、金属除去、デスミア、アッシング、エッチング、デスカム、滅菌洗浄などに利用できる。
経済性及び安全性の観点から、上記処理ガス単独雰囲気よりも、以下に挙げるような希釈ガスによって希釈された雰囲気中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明のプラズマ処理装置は、どのような圧力下でも用いることができるが、常圧放電プラズマ処理に用いるとその効果を十分に発揮でき、特に、大気圧近傍下の圧力下で用いるとその効果が十分に発揮される。上記大気圧近傍の圧力下とは、1.333×104〜10.664×104Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置が簡便になる9.331×104〜10.397×104Paの範囲が好ましい。
【0031】
本発明によれば、プラズマ発生空間中に存在する気体の種類を問わずグロー放電プラズマを発生させることが可能である。公知の低圧条件下におけるプラズマ処理はもちろん、特定のガス雰囲気下の大気圧プラズマ処理においても、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であったが、本発明のグロープラズマ処理装置を用いた方法によれば、開放系、あるいは、気体の自由な流失を防ぐ程度の低気密系での処理が可能となる。
【0032】
本発明によれば、電極間において直接大気圧下で放電を生じせしめることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間隔等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置M1を示したものである。プラズマ処理装置M1は、金属導体からなる一対の電極20,30を備えている。これら電極20,30は、左右(図2において紙面と直交する方向)へ延びる長方形の水平な板状をなし、周縁間に介在された枠状のスペーサ(電極ホルダ)19によって互いに上下に対向するようにして配置されている。上側の電界印加電極20は、給電線2aを介してパルス電源2(電界印加手段)に接続され、下側の接地電極30は、接地線3aを介して接地されている。なお、これら電極20,30の少なくとも一方の対向面には、固体誘電体層が溶射等によって被膜されている。
【0034】
更に、プラズマ処理装置M1は、表面処理の目的に応じた処理ガスを貯えた処理ガス源1を備えている。この処理ガス源1から処理ガス導入管1a(導入路)が延び、2つに分岐し、それぞれ電極20,30の幅方向の両側縁(長手側縁)どうし間を介して、上記電極20,30間の空間10aに連なっている。なお、「導入路」の構成要素として、導入管1aからの処理ガスを、電極20,30の長手方向に均一化する均一化手段を設け、この均一化手段から電極間空間10a内に処理ガスを吹き込むことにするとよい。
【0035】
接地電極30の幅方向の中央部には、上面(電界印加電極との対向面)から下面(被処理体と対向すべき面)へ垂直に貫通する吹き出し口30a(処理ガス吹き出し用の開口)が形成されている。吹き出し口30aは、電極30の長手方向の略全長にわたって真直ぐに延びるスリット状をなしている。接地電極30の下方に、セットテーブル5(被処理体支持手段)が位置されている。このセットテーブル5の上面に基材W(被処理体)がセットされることにより、接地電極30の下面が基材Wと対向することになる。すなわち、接地電極30は、電界印加電極20との対向面(上面)と、その逆側の基材Wと対向すべき面(下面)と、電界印加電極対向面(上面)から被処理体対向面(下面)へ至る吹き出し口30aとを有している。これによって、接地電極30が、電界印加電極20と基材Wとの間に介在されることになる。
【0036】
なお、セットテーブル5は、図示しない移動手段によって前方(図2において右)へ移動されるようになっている。これによって、基材Wの上面が順次表面処理されるようになっている。勿論、セットテーブル5を固定し、電極20,30の側を移動手段で移動させることにしてもよい。
接地電極30は、後記の装置M4等(図7)と同様に、互いに別体になった2枚の細長い導体板31,32を吹き出し口30aとなる隙間を介して並べることによって構成してもよい。(勿論、後記の装置M4等においても、本装置M1と同様に、接地電極30を、一体物の導体板に吹き出し口30aとなるスリットを形成することによって構成してもよい。)
【0037】
上記構成のプラズマ処理装置M1では、処理ガス源1からの処理ガスが、管1aを通って電極20,30の両長手側縁どうしの間から電極間空間10a内に導入される。一方、パルス電源2から電界印加電極20にパルス電圧が供給され、電極20,30間にパルス電界が形成される。これにより、電極間空間10a内でグロー放電が起き、処理ガスがプラズマ化される。このプラズマ化された処理ガスが、吹き出し口30aから基材W側へ吹き出される。
ここで、電界印加電極20と基材Wの間には、接地電極30が介在されているので、電界印加電極20と基材Wとの間でアーク放電が発生するおそれが殆どない。したがって、基材Wにダメージを与えることなく、電極20,30ひいては吹き出し口30aと基材Wとの間の距離を極めて短くすることができ、例えば2mm以下にすることができる。これにより、上記吹き出し口30aからの処理ガスが失活しないうちに基材Wの表面に確実に到達させることができる。この結果、表面処理を確実かつ効率的に行なうことができる。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の実施形態と同様の構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を簡略化する。
図3及び図4は、本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置M2を示したものである。この装置M2では、接地電極30に吹き出し口30aが複数(例えば5つ)形成されている。これら吹き出し口30aは、接地電極30の長手方向の略全域にわたって真直ぐに延びるスリット状をなし、互いに電極30の幅方向に等ピッチで並べられている。電極間空間10aでプラズマ化された処理ガスは、これら吹き出し口30aの各々から吹き出され、基材Wに吹き付けられる。これによって、基材Wの広範囲にわたって一度に処理を行なうことができ、基材Wが大面積であっても短時間に処理を行なうことができる。
【0039】
図5及び図6は、本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置M3を示したものである。この装置M3では、電界印加電極20が、幅方向の両端部から中央部へ向かうにしたがって下へ傾く一対の第1、第2斜板部21,22を有して、断面V字状をなしている。接地電極30は、互いに別体になった一対の第1、第2接地導体板31,32からなり、第1接地導体板31が、電界印加電極20の第1斜板部21に平行に沿うように斜めに配され、第2接地導体板32が、第2斜板部22に平行に沿うように斜めに配されている。これら第1、第2接地導体板31,32の対向縁どうしの間に、吹き出し口30aが形成されている。したがって、電極20,30の対向面どうしが、吹き出し口30aに近付くにしたがって基材W側へ傾き、断面V字状をなしている。また、各接地導体板31,32すなわち接地電極30の吹き出し口30aを挟んで両側の下面(被処理体対向面)が、吹き出し口30aから離れるにしたがって上すなわち電界印加電極20の側へ傾いている。
【0040】
この装置M3によれば、電極20,30全体を幅方向にコンパクト化できるとともに、両側の導入管1aの下流端(電極20,30の幅方向の両縁どうしの間)から吹き出し口10aまでの距離を長くして、処理ガスの放電空間通過時間を十分長くすることができる。これにより、プラズマ密度を高めることができ、表面処理の一層の効率化を図ることができる。さらに、基材Wに吹き付けられた後の処理ガスや副生成物等からなる排ガスを、接地導体板31,32の下面と基材Wとの間の徐々に広がる空間を通して、滞留させることなくスムーズに排出することができる。
【0041】
図7及び図8は、本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置M4を示したものである。この装置M4では、電極20,30が共に水平をなしている。接地電極30は、2つの接地導体板31,32を水平にして、吹き出し口30aとなる隙間を介して並べることによって構成されている。
【0042】
電界印加電極20の下面の幅方向の中央部には、整流突起23が設けられている。整流突起23は、例えば誘電体で構成され、電界印加電極の長手方向に延びるとともに、逆三角形状の断面をなして真下の吹き出し口30aへ向けて突出している。なお、整流突起23は、電極20と同じ導電金属で構成してもよい。
【0043】
この整流突起23によって、電極間空間10aが、第1、第2の2つの空間部10a1,10a2に仕切られている。第1空間部10a1に、第1処理ガス導入管1a1が連なり、第2空間部10a2に、第2処理ガス導入管1a2が連なっている。これら処理ガス導入管1a1,1b2は、互いに別の種類の処理ガスを貯えた第1、第2処理ガス源1A,1Bに連なっている。例えば、成膜処理を目的とする場合、第1処理ガス導入管1a1には、膜の原料ガスを貯えた第1処理ガス源1Aが連ねられ、第2処理ガス導入管1a2には、前記原料ガスを反応させて膜化させるための励起ガスを貯えた第2処理ガス源1Bが連ねられている。例えば、アモルファスシリコン(a−Si)を成膜する場合、原料ガスは、シラン(SiH4)を用い、励起ガスは、水素(H2)を用いる。窒化シリコン(SiN)を成膜する場合、原料ガスは、シラン(SiH4)を用い、励起ガスは、窒素(N2)を用いる。酸化シリコン(SiO2)を成膜する場合、原料ガスは、TEOS又はTMOSを用い、励起ガスは、酸素(O2)を用いる。
【0044】
この装置M4によれば、2つの空間部10a1,10a2に互いに異なる処理ガスを導入して、別個にプラズマ化させた後、吹き出し口30aの直前で合流させて、吹き出すことができる。
【0045】
図9及び図10は、本発明の第5実施形態に係るプラズマ処理装置M5を示したものである。この装置M5では、接地電極30の吹き出し口30aに、金網33(金属製の網状物、ガス通過許容部材)が嵌め込まれている。金網33は、接地電極30と電気的に導通するとともに、その線材の外周全体に固体誘電体層が被膜されている。
【0046】
装置M5によれば、電界印加電極20と金網33との間でもグロー放電を起すことができる。これによって、吹き出し口30aの周りや内部でも処理ガスをプラズマ化させることができる。しかも、処理ガスは、金網33の網目を簡単に通り抜けることができる。これによって、プラズマを高密度に含む処理ガスを基材Wに吹き付けることができ、表面処理の一層の効率化を図ることができる。また、接地電極の一部としての金網33によって、基材Wにアークが落ちるのを確実に防止することができる。この装置M5は、吹き出し口30aを大きくとりたい場合に、特に有効な構成となる。
【0047】
なお、ガス通過許容部材は、処理ガスの通過を妨げることのない導電性部材であればよく、金網33の他、金属製の多孔板やパンチングメタルを用いてもよく、金属線材を複数本並べて吹き出し口30aの延び方向に架け渡すことによって構成してもよい。
【0048】
図11は、接地電極30の吹き出し口30aの変形例を示したものである。吹き出し口30aは、直線状に限られず、図11(a)に示すように、V字状ないしは「ヘ」字状に形成してもよく、図11(b)に示すように、W字状ないしはM字状に形成してもよく、図11(c)に示すように、のこぎり波状(ギザギザ状)に形成してもよく、図11(d)に示すように、正弦波状に形成してもよい。これらの異形吹き出し口30aは、接地電極30の全域に行き渡るように構成するのが容易である。
【0049】
図12〜図14は、本発明の第6実施形態を示したものである。
プラズマ処理装置M6は、ノズルヘッド10を備えている。ノズルヘッド10は、下面(先端面)が開口された直方体の容器状(箱状)のヘッド本体11と、このヘッド本体11に設けられた電極20,30とを有している。なお、ヘッド本体11の材質は、特に限定がないが、非導電性の材料が好ましい。例えば、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのプラスチック系材料やセラミックス、ガラスなどの無機系材料を用いることができる。
【0050】
図12及び図14に示すように、ヘッド本体11の下端開口には、これを塞ぐようにして2枚の接地導体板31,32からなる接地電極30が設けられている。接地電極30は、後記電界印加電極20より前後方向にも左右方向にも突出されている(図13参照)。
【0051】
図12及び図13に示すように、ヘッド本体11の天板(基端部)の中央部には、インレットポート11a(入口ポート)が形成されている。このインレットポート11aに処理ガス源1から延びるガス管1aが接続されている。
【0052】
ヘッド本体11の内部には、アクリル等の非導電性材料からなる長方形の支持フレーム13が設けられている。この支持フレーム13に電界印加電極20の周側縁が支持されている。これによって、ヘッド本体11の内部が、電界印加電極20より上側(基端側)の処理ガス導入室11bと、電極20より下側(先端側)の電極間空間10aとに区画されている。
【0053】
上記の支持構造によって、電界印加電極20の周側縁がヘッド本体11の内面から離間され、両者間に隙間11cが形成されている。この隙間11cの下端部を塞ぐようにして、前記支持フレーム13(閉塞部材)が電極20とヘッド本体11との間に架け渡されている。支持フレーム13には、円孔13a(孔部)が多数形成されている。これら円孔13aは、電極20の長手側縁に沿って等ピッチで並べられている。しかも、長手側縁の両端側の円孔13aが、中側の円孔13aより大径になっている。これら円孔13aを介して、隙間11cひいては導入室11bが、電極間空間10aと連通している。
隙間11cと円孔13aとによって、特許請求の範囲の「連通路」が構成されている。インレットポート11a、導入室11b、隙間11c、円孔13aは、特許請求の範囲の「導入路」の構成要素となっている。
なお、長手側縁の両端側の円孔13aを、中側のものより大径にするのに代えて、又はそれに加えて、隣り合うものどうし間のピッチを短くして密に配置することにしてもよい。
「連通路」として、複数の円孔13aに代えて、支持フレーム13に電極20の長手側縁に沿って延びるスリットを形成してもよい。
【0054】
更に、プラズマ処理装置M6には、電極の温度調節を行う電極冷却手段(電極冷却機構)が設けられている。詳述すると、図12及び図13に示すように、電界印加電極20の内部には、長手方向に沿って冷媒往路20u及び冷媒復路20vが形成されている。これら冷媒路20u,20vの例えば右端部どうしが連結管65Aによって連結されている。冷媒往路20uの左端(上流端)には、水等の冷媒(冷却用流体)の供給路61Aが接続され、冷媒復路20vの左端(下流端)から冷媒の排出路62Aが延びている。供給路61Aからの冷媒は、往路20u、連結管65A、復路20vを順次通り、排出路62Aから排出されるようになっている。
【0055】
同様にして、図12及び図14に示すように、接地電極30の接地導体板31,32には、それぞれ冷媒往路30u及び冷媒復路30vが形成されている。これら冷媒路30u,30vの右端部どうしは連結管65Bによって連結され、冷媒往路30uの左端(上流端)には、冷媒供給路61Bが接続され、冷媒復路30vの左端(下流端)から冷媒排出路62Bが延びている。各接地導体板31,32において、供給路61Bからの冷媒は、往路30u、連結管65B、復路30vを順次通り、排出路62Bから排出されるようになっている。
【0056】
更に、プラズマ処理装置M6には、排気手段(排気機構)が設けられている。詳述すると、図12及び図14に示すように、ヘッド本体11の前後両側の壁の外側面には、一対の排気ダクト40が設けられている。排気ダクト40は、ヘッド本体11の長手方向に沿って延びるとともに、下端面が、接地電極30の下端面と略面一になっている。この下端面の略全長にわたってスリット状の吸い込み口40aが設けられている。各排気ダクト40から吸引管4aがそれぞれ延びている。図14に示すように、これら吸引管4aは、互いに合流して、共通の真空ポンプ4に連なっている。
【0057】
プラズマ処理装置M6によれば、ガス源1の処理ガスが、ガス管1a及びインレットポート11aを経て、広い導入室11bに導入される。これによって、処理ガスを導入室11b内でなるべく均一化することができる。続いて、処理ガスは、隙間11c及び円孔13aを経て電極間空間10aへ導入される。円孔13aは、ポート11aから遠いものほど大径になっているので、空間10aの長手方向に確実に均一に導入することができる。ひいては、プラズマ化後の処理ガスを吹き出し口30aの長手方向に確実に均一に吹き出すことができる。
また、冷媒路20u,20v,30u,30vに冷媒を通すことにより、電極20,30を冷却することができる。これによって、アーク放電の発生を防止でき、連続使用や高出力条件でも安定的に処理を行うことができる。
さらに、電界印加電極20より接地電極30が広いので、電極20,30のエッジからアークが飛ぶのを防止することができる。
真空ポンプ4を駆動することにより、吹き付け後の処理ガスや副生成物からなる排ガスをノズルヘッド10と基材Wとの間からダクト40に吸い込んで速やかに排出することができる。更に、処理ガスの流れを整えて乱流化を確実に防止でき、一層均一な表面処理を行なうことができる。
【0058】
図15及び図16は、本発明の第7実施形態に係るプラズマ処理装置M7を示したものである。この装置M7は、前記プラズマ処理装置M6の電極冷却手段の変形例に係るものであり、電極20,30内に冷却路20u,20v,30u,30vが設けられておらず、それに代えて角筒形状の一対の冷却管63A,64A,64A,64Bが電極20,30に外付けされている。詳述すると、電界印加電極20の上面には、後側の長手側縁に沿って往路冷却管63Aが設けられ、前側の長手側縁に沿って復路冷却管64Aが設けられている。これら冷却管63A,64Aの例えば右端部どうしが連結管65Aによって連結されている。往路冷却管63Aの左端(上流端)には、冷媒供給路61Aが接続され、復路冷却管64Aの左端(下流端)から冷媒排出路62Aが延びている。供給路61Aからの冷媒は、往路冷却管63A、連結管65A、復路冷却管64Aを順次通り、排出路62Aから排出される。そして、冷却管63A,64Aの通過時に電界印加電極20を冷却する。
【0059】
同様にして、接地電極30の上面には、後側の長手側縁に沿って往路冷却管63Bが設けられ、前側の長手側縁に沿って復路冷却管64Bが設けられている。これら冷却管63B,64Bの右端部どうしが連結管65Bによって連結されている。往路冷却管63Bの左端(上流端)には、冷媒供給路61Bが接続され、復路冷却管64Bの左端(下流端)から冷媒排出路62Bが延びている。供給路61Bからの冷媒は、往路冷却管63B、連結管65B、復路冷却管64Bを順次通り、排出路62Bから排出される。そして、冷却管63B,64Bの通過時に接地電極30を冷却する。
なお、装置M7においては、電界印加電極20側の冷却管64A,64Aの側面は、電界印加電極20の長手側縁と面一になっており、隙間11cが、冷却管64A,64Aの厚さ分だけ長くなっている。
【0060】
図17は、本発明の第8実施形態に係るプラズマ処理装置M8を示したものである。この装置M8では、接地電極30の吹き出し口30aを挟んで前後2つの接地導体板32のうち、前側の接地導体板32の下面は、水平になる一方、後側の接地導体板31の下面は、吹き出し口30aから遠ざかるにしたがって上に傾く斜面になっている。排気ダクト40は、ヘッド本体11の後側の壁にのみ設けられ、前側の壁には設けられていない。
【0061】
装置M8によれば、基材Wへ吹き付け後の排ガスを、真空ポンプ4の吸い込みによって後方へのみ向かわせるとともに、接地導体板32と基材Wとの間の徐々に広がる空間を通してスムーズに排出することができ、滞留を確実に防止することができる。
【0062】
図18及び図19は、本発明の第9実施形態に係るプラズマ処理装置M9を示したものである。この装置M9では、一体物の接地電極30に左右に延びるスリット状の吹き出し口30aが前後に複数並んで設けられている。しかも、これら吹き出し口30aが、接地電極30の上面から下面へ向かうにしたがって後方へ斜設されている。排気ダクト40は、前記装置M8と同様にヘッド本体11の後側の壁にのみ設けられている。
【0063】
装置M9によれば、処理ガスを吹き出し口30aから後方へ向けて方向性を付けて吹き出すことができる。これによって、処理ガスが基材W上で乱流化したり滞留したりするのを防ぐことができ、スムーズに排出することがきる。
【0064】
なお、装置M9の接地電極30には、吹き出し口30aで区切られた断面平行四辺形状の長尺部35の各々に冷却路30wが形成されている。これら冷却路30wの全体が一筆書き状に連なるようにして、隣り合う冷却路30wの端部どうしが連結管65Bによって連結されている。そして、後端の冷却路30wに冷媒供給路61Bが接続され、前端の冷却路30wから冷媒排出路62Bが延びている。
【0065】
図20及び図21は、本発明の第10実施形態に係るプラズマ処理装置M10を示したものである。この装置M10では、接地電極30が、複数本の真円筒形状の金属パイプ36(導電性長尺部)で構成されている。これら金属パイプ36は、各々左右に延びるとともに前後に一定の間隔を隔てて並べられている。各パイプ36の両端部が、ヘッド本体11の左右の壁を貫通して支持されている。
【0066】
隣り合うパイプ36の間が、吹き出し口30aとなっている。パイプ36の内部空間は、冷媒が通されることにより冷却路30wとして提供されている。接地電極30全体の冷却路30wが連結管65Bを介して一筆書き状に連結されている。これら連結管65Bが導電体で構成されることにより、すべてのパイプ36が互いに導通されている。これにより、1本のパイプ36から1本の接地線3aを引き出すことにより、すべてのパイプ36が接地されている。
【0067】
この装置M10によれば、金属パイプ36を並べるだけで、吹き出し口30a及び冷却路30w付きの接地電極30を簡易に構成することができる。また、パイプ36の内周面(冷却路30bの周面)から外周面までの肉厚を薄くでき、冷却効率を高めることができる。
【0068】
図22は、本発明の第11実施形態に係るプラズマ処理装置M11を示したものである。この装置M11では、接地電極30として、断面真円形状の金属パイプ36に代えて楕円筒形状の金属パイプ36Aが用いられている。パイプ36Aの長軸は、前後に向けられ、短軸は、上下に向けられている。
【0069】
図23及び図24は、本発明の第12実施形態に係るプラズマ処理装置M12を示したものである。電界印加電極20に左右に延びるスリット状の吹き込み口20aが前後に2つ(複数)並んで形成されている。これら吹き込み口20aによって導入室11bと電極間空間10aとが連ねられている。
吹き込み口20aは、特許請求の範囲の「導入路の下流端」ないしは「連通路」を構成している。なお、装置M12には、第6実施形態と同様の隙間11c及び円孔13aからなる「連通路」も設けられている。
【0070】
また、装置M12では、接地電極30の吹き出し口30aが、上面から下面へ垂直に貫通している点で、第9実施形態(図18)と異なっている。
しかも、電界印加電極20の吹き込み口20aと、接地電極30の吹き出し口30aとが、前後にずれ、互い違いに配されている。
【0071】
この装置M12によれば、処理ガスを前後の円孔13aからだけでなく、吹き込み口20aからも電極間空間10aへ導入することができる。これによって、電極間空間10aへのガス供給の偏りをなくすことができる。そして、電極間空間10a内で処理ガスを分流させたり、横に流したり、合流させたりしながら、十分にプラズマ化させ、吹き出すことができる。
【0072】
なお、装置M12の電界印加電極20には、吹き込み20aで区切られた四角形断面の長尺部25の各々に冷却路20wが形成されている。これら冷却路20wの全体が一筆書き状に連なるようにして、隣り合う冷却路20wの端部どうしが連結管65Aによって連結されている。そして、後端の冷却路20wに冷媒供給路61Aが接続され、前端の冷却路20wから冷媒排出路62Aが延びている。接地電極30の冷却手段も、これと同様に(図19のように)構成されている。
【0073】
図25及び図26は、本発明の第13実施形態に係るプラズマ処理装置M13を示したものである。この装置M13では、電界印加電極20の下面に、断面逆三角形状をなして左右に延びる第1凸部20pが、複数、前後に並んで形成されている。隣り合う凸部20p間の谷間に、電極20上面からのスリット状吹き込み口20a(導入路の下流端)が開口されている。
【0074】
一方、接地電極30の上面には、断面三角形状をなして左右に延びる第2凸部30pが、複数、前後に並んで形成されている。隣り合う第2凸部30p間の谷間からスリット状吹き出し口30aが延び、接地電極30の下面に達している。
【0075】
接地電極30の第2凸部30pは、電界印加電極20の第1凸部20pと前後にずれ、第1凸部20p間のちょうど谷間に向かって突出されている。したがって、第12実施形態(図23)と同様に、吹き込み口20aと吹き出し口30aとが、前後にずれ、互い違いに配されている。
【0076】
この装置M13によれば、第12実施形態と同様の作用効果に加えて、処理ガスが、各吹き込み口20aから第1、第2凸部20p,30pの斜面間を通って吹き出し口30aへ斜めに流れ、スムーズに吹き出すことができる。また、空間10a内での放電の方向や強弱にバリエーションを付けることができる。
【0077】
なお、装置M13の電界印加電極20は、左右の端部がヘッド本体11の左右の壁に突き当てられて支持されている。支持フレーム13は設けられておらず、電界印加電極20の前後の側縁とヘッド本体11の前後の壁との間の隙間11cが、電極間空間10aに直接連なっている。
【0078】
図27は、本発明の第14実施形態に係るプラズマ処理装置M14を示したものである。この装置M14では、処理ガス導入室が、隔壁14によって2つの室部分11b1,11b2に仕切られている。後側の第1室部分11b1は、後側の隙間11c及び円孔13aを介して電極間空間10aに連なっている。前側の第2室部分11b2は、前側の隙間11c及び円孔13aを介して電極間空間10aに連なっている。
【0079】
ヘッド本体11の天板には、2つのインレットポート11a1,11a2(入口ポート)が設けられ、一方(後側)の第1インレットポート11a1が、第1室部分11b1に連なり、他方(前側)の第2インレットポート11a2が、第2室部分11b2に連なっている。また、装置M14は、第4実施形態(図8)と同様に、2つの処理ガス源1A,1Bを備え、第1処理ガス源1Aからの導入管1a1がインレットポート11a1に接続され、第2処理ガス源1Bからの導入管1a2がインレットポート11a2に接続されている。
【0080】
この装置M14によれば、第1処理ガス源1Aから例えば原料ガス等の第1処理ガスを、導入管1a1、インレットポート11a1、室部分11b1、後側の隙間11c及び円孔13aを順次経て、電極間空間10aに後側から導入するとともに、第2処理ガス源1Bから例えば励起ガス等の第2処理ガスを、導入管1a2、インレットポート11a2、室部分11b2、前側の隙間11c及び円孔13aを順次経て、電極間空間10aに前側から導入し、これら異種類の処理ガスを電極間空間10a内においてプラズマ化させながら合流させ、吹き出すことができる。
なお、本装置M14においては、第4実施形態(図8)の整流突起23を付加してもよい。
【0081】
図28及び図29は、本発明の第15実施形態に係るプラズマ処理装置M15を示したものである。この装置M15では、支持フレーム(枠)13に代えて、支持板13Xが、ヘッド本体11の内部を上下に仕切るようにして水平に設けられている。この支持板13Xの下面に電界印加電極20が例えばボルト締めで固定されている。電界印加電極20とヘッド本体11との間の隙間11cにおける導入室11bに面する上端開口は、支持板13Xで塞がれ、下端開口は、電極間空間10aに直接連なっている。支持板13Xにおける隙間11cの上端開口の閉塞部に、第6実施形態(図13)と同様の多数の円孔13aが左右長手方向に並んで形成されている。これら円孔13aを介して、導入室11bと隙間11cとが連なっている。
このように、装置M15においては、電界印加電極20を垂設状態で支持することにより、電界印加電極20からヘッド本体11の内面を伝ってアークが落ちるのを確実に防止することができる。
【0082】
また、装置M15では、接地電極30を構成する各接地導体板31,32の上面にヘッド本体11の下端縁が突き当てられ、互いに接合されている。図29に良く示されているように、接地電極30は、電界印加電極20は勿論、ヘッド本体11に対しても前後左右に延出されている。。特に、左右方向に大きく延出されている。(各接地導体板31,32の左右への延出部を、符号31e,32eで示す。)これによって、電極20,30のエッジからアークが飛ぶのを確実に防止することができる。吹き出し口30aの左右方向の両端開口は、粘土等の詰物39で埋められている。これによって、当該開口からの処理ガスの漏れを防止でき、ひいては、処理ガスの供給圧を高く設定することができる。また、前記接地電極30の左右への延出部31e,32eを装置M15の架台(図示せず)に連結することにより、ノズルヘッド10全体を架台に支持させることができる。更には、架台を接地することにすれば、接地電極30を直接接地しなくても済む。
【0083】
更に、図28に示すように、装置M15は、バイアス電圧印加電源70(バイアス電圧印加手段)を備えている。このバイアス電圧印加電源70から延びる給電線71の端子が、導電体からなる基材Wに当てられている。これによって、基材Wに例えば1〜100kVのバイアス電圧を印加することができる。このバイアス電圧の極性は、目的の活性種やイオンと逆(正に対しては負。負に対しては正。)にする。これによって、これら活性種やイオンを基材Wに確実に到達させることができ、表面処理の効率を一層向上させることができる。
【0084】
図30は、前記バイアス電圧の印加機構の変形例を示したものである。本例では、基材Wが非導電性材料で構成されている。一方、セットテーブル5に、導電性材料からなるセットフレーム73(被処理体の支持手段)が載設されている。セットフレーム73は、例えば四角形の板状をなし、上面に凹部73aが形成されている。この凹部73aに基材Wが嵌め込まれている。
【0085】
図30(b)に示すように、セットフレーム73に、バイアス電圧印加電源70からの給電線71が接続され、バイアス電圧が印加されるようになっている。これによって、非導電性材料からなる基材Wにおいても、前記第15実施形態の導電性基材Wと同様に、バイアス電圧印加による効果を得ることができる。
【0086】
【実施例】
本発明を実施例に基づいてさらに説明する。本発明が、これら実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0087】
[実施例1]
図1及び図2に示す装置M1を用い、放電プラズマ処理を行った。電界印加電極20として長さ150mm×幅100mm×厚さ10mmのSUS製電極を用い、接地電極30として長さ200mm×幅150mm×厚さ10mmで中央部に幅2mm×長さ140mmのスリット状吹き出し口30aを設けたSUS製電極を用いた。各電極20,30には固体誘電体としてアルミナを1mmの厚さに溶射し、2mmの間隔をおいて設置した。被処理体(基材W)として、金属の蒸着層の上にレジストを1μmの厚さに塗布した厚み3mmのガラス被処理体を用い、接地電極30との間隔(ワーキングディスタンス)を0.5mmとなるようにして、10mm/minの速度で搬送できるように設置した。電極間空間10a(放電空間)に両サイドから30slmの乾燥空気を導入し、電極間に電圧20kVPP、周波数10kHzのパルス電界を印加した。
その結果、放電状態は、均一で良好であった。被処理体との異常放電も発生せず、均一に処理できることを確認した。
【0088】
[実施例2]
実施例1と同じ装置M1を用い、吹き出し口30aから1mm離れた位置に、被処理体として、窒化珪素膜の被膜された100mm×100mm×厚さ50μmのウェハーを設置した。装置全体をチャンバーで密封し、油回転ポンプで1.333×102Paになるまで排気を行ない、続いて、アルゴンガスで10.13×104Paにした後、処理ガスとして、CH3Si(OCH330.2%、CH40.2%をアルゴンガスにより希釈した混合ガスを電極間空間10aに導入した。電極間に、パルス立ち上がり速度5μs、周波数10kHz、電圧20kVPPのパルス電界を印加し、95kPa下(大気圧下)で空間10aでプラズマ化しウェハー上に吹き付け成膜を行なった。
その結果、異常放電はなく、基板上にシロキサン系薄膜がむらなく均一に形成できたことを確認した。成膜速度は90nm/minであった。
【0089】
[実施例3]
図12及び図13に示す装置を用い、放電プラズマ処理を行った。電界印加電極20として、長さ250mm×幅100mm×厚さ30mmのSUS製電極を用い、内部に冷却路20u,20vを設けて水冷できるようにした。接地電極30として、長さ350mm×幅99mm×厚さ40mmの一対のSUS製長尺部31,32を用い、各長尺部31,32の内部に冷却路30u,30vを設けて水冷できるようにした。接地電極30の中央部(長尺部31,32間)に幅2mm×長さ140mmのスリット状吹き出し口30aを設けた。各電極20,30の端部は、R20mm加工を施し、各電極には固体誘電体としてアルミナを1mmの厚さに溶射した。電極間距離は、2mmに設定した。箱状のヘッド本体11として、350mm×200mm×200mm、厚さ5mmのガラス製容器を用い、電極接続部はシーリングした。被処理体として、厚さ0.04mmのポリイミドフィルムを用い、ワーキングディスタンスを1mmとなるようにし、300mm/minの速度で搬送できるように設置した。処理ガスとして、窒素ガスを用い、電極間に電圧20kVPP、周波数10kHzのパルス電界を印加した。真空ポンプ4の排気量は、50l/minとした。
その結果、放電状態は、均一で良好であった。ポリイミド表面の濡れ性がプラズマ処理により、5度以下となった。
【0090】
[実施例4]
図28及び図29に示す装置を用い、放電プラズマ処理を行った。電界印加電極20として、長さ250mm×幅100mm×厚さ30mmのSUS製電極を用い、内部に冷却路20u,20vを設けて水冷できるようにした。接地電極30として、長さ350mm×幅99mm×厚さ9mmの一対のSUS製導体板31,32を用い、各導体板31,32の内部に冷却路30u,30vを設けて水冷できるようにし、導体板31,32間に幅2mmのスリット状吹き出し口30aを設けた。導体板31,32の互いの対向面には、8mmのRを付けた。各電極には固体誘電体としてアルミナを1mmの厚さに溶射した。電極間距離は、2mmに設定した。ヘッド本体11として、350mm×200mm×200mm、厚さ5mmのガラス製容器を用い、電極接続部はシーリングした。処理ガスとして、Ar/O2を50slmで流した。電極間に電圧13kV、周波数20kHzのパルス電界を印加した。真空ポンプ4の排気量は、50l/minとした。被処理体として、ポリイミドフィルム(50μm厚)の上下両面を銅(12μm厚)で挟んだ積層体に、直径100μmのビアホールを形成したものを用いた。ワーキングディスタンスは1mmとし、300mm/minの速度で搬送した。更に、バイアス電圧印加電源70によって被処理体の銅からなる表面層に、+1kVのバイアス電圧を印加した。
その結果、放電状態は、均一で良好であった。そして、ビアホール底部のスミアを完全に取り除くことができた。しかも、処理速度が、バイアス電圧をかけない場合と比較して、約2倍にアップした。
【0091】
[実施例5]
実施例4と類似の装置に図30の変形例を適用したものを用い、放電プラズマ処理を行った。電界印加電極20として、長さ150mm×幅100mm×厚さ30mmのSUS製電極を用いた。接地電極30として、長さ350mm×幅150mm×厚さ40mmの一体物のSUS製導体板を用い、幅方向の中央部に幅2mm、長さ140mmのスリット状吹き出し口30aを形成した。各電極には固体誘電体としてアルミナを1mmの厚さに溶射した。電極間距離は、2mmに設定した。そして、先ず、電極間空間10a内へ両側から30slmの乾燥空気を流し、電圧13kV、周波数10kHzで放電をたて、セットフレーム73に500Vのバイアス電圧を印加した。その結果、放電状態は、均一で良好であった。
次に、セットフレーム73に被処理体として、窒化珪素薄膜の被膜されたウェハー(100mm×100mm×厚さ50μm)を設置した。ワーキングディスタンスは、1mmとした。装置全体をチャンバーで密封し、油回転ポンプで1.333×102Paになるまで排気を行ない、続いて、アルゴンガスで10.13×104Paにした後、処理ガス(成膜用の原料ガス)として、CH3Si(OCH330.2%、CH40.2%をアルゴンガスにより希釈した混合ガスを電極間空間10aに導入した。電極間に、周波数5kHz、電圧20kVの電界を印加し、セットフレーム73に前記と同じバイアス電圧をかけ、95kPa下で成膜を行なった。
その結果、異常放電はなく、基板上にシロキサン系薄膜がむらなく均一に形成できたことを確認した。成膜速度は200nm/minであった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の常圧プラズマ処理装置は、電界印加電極と被処理体との間に接地電極が介在されることになるので、電界印加電極と被処理体との間でアーク放電が起きるのを防止でき、被処理体にダメージを与えるのを防止できる。併せて、接地電極ひいては電極間の放電空間を被処理体に十分に近付けることができる。これによって、減圧下は勿論、失活距離の短い常圧下であっても、プラズマを被処理体に確実に到達させることができ、表面処理を確実かつ効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の模式的斜視図である。
【図2】図1の装置の側面断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の模式的斜視図である。
【図4】図3の装置の側面断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るプラズマ処理装置の模式的斜視図である。
【図6】図5の装置の側面断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るプラズマ処理装置の模式的斜視図である。
【図8】図7の装置の側面断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るプラズマ処理装置の模式的斜視図である。
【図10】図9の装置の側面断面図である。
【図11】接地電極の吹き出し口の変形例を示す底面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う平面断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線に沿う平面断面図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿う平面断面図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図18】本発明の第9実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線に沿う平面断面図である。
【図20】本発明の第10実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図21】図20のXXI−XXI線に沿う平面断面図である。
【図22】本発明の第11実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図23】本発明の第12実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線に沿う平面断面図である。
【図25】本発明の第13実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線に沿う平面断面図である。
【図27】本発明の第14実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図28】本発明の第15実施形態に係るプラズマ処理装置を模式的に示す側面断面図である。
【図29】図28のXXIX−XXIX線に沿う平面断面図である。
【図30】(a)前記第15実施形態の変形例に係るセットテーブルの平面図である。
(b)前記第15実施形態の変形例に係るセットテーブルの側面断面図である。
【符号の説明】
M1〜M15 プラズマ表面処理装置
W 基材(被処理物)
1,1A,1B 処理ガス源
1a,1a1,1a2 処理ガス導入管(導入路の構成要素)
2 パルス電源(電界印加手段)
10 ノズルヘッド
10a,10a1,10a2 電極間空間(放電空間)
11 ヘッド本体
11a,11a1,11a2 インレットポート(入口ポート)
11b 処理ガス導入室(導入路の構成要素)
11b1,11b2 室部分
11c 隙間(導入路の下流端の構成要素、連通路の構成要素)
13a 円孔(孔部、導入路の下流端の構成要素、連通路の構成要素)
14 隔壁
20 電界印加電極
20a 吹き込み口(導入路の下流端の構成要素、連通路の構成要素)
20p 第1凸部
21,22 電界印加電極の斜板部
23 整流突起
30 接地電極
30a 吹き出し口
30u,30v,30w 冷却路(冷却用流体の通路)
30p 第2凸部
31,32 接地電極の導体板
33 金網(ガス通過許容部材)
36,36A 金属パイプ(導電性パイプ)

Claims (14)

  1. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ厚さ方向に貫通する処理ガスの吹き出し口とを有する板状をなし、かつ、吹き出し口より少なくとも一方向側の被処理体対向面が、吹き出し口から遠ざかるにしたがって電界印加電極側へ傾いていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、かつ、前記吹き出し口より少なくとも一方向側の前記被処理体対向面が、吹き出し口から遠ざかるにしたがって電界印加電極側へ傾き、
    さらに、前記接地電極の前記一方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記接地電極が、複数の導電性パイプを互いに平行に並べてなり、隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっており、1のパイプとその隣りのパイプとの内部空間の一端部どうしが連結管で連結されるとともに、前記1のパイプと反対隣りのパイプとの内部空間の他端部どうしが他の連結管で連結されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記接地電極が、長軸方向を前記電界印加電極との対向方向と直交する方向に向けた楕円形状の断面を有する複数の導電性パイプを互いに平行に前記長軸方向に並べてなり、隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記接地電極が、複数の導電性パイプを互いに平行に並べてなり、隣り合うパイプどうしの間が前記吹き出し口となり、各パイプの内部空間が、冷却用流体の通路となっており、
    さらに、前記接地電極の前記パイプの並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記電界印加電極には、前記導入路の下流端を構成する吹き込み口が、スリット状をなして複数並んで形成され、
    前記接地電極には、前記吹き出し口が、前記吹き込み口と同方向に延びるスリット状をなし、しかも吹き込み口と互い違いになるようにして複数並んで形成され
    さらに、前記電界印加電極または接地電極には、前記吹き込み口と同方向に延びる冷却路が前記吹き込み口または吹き出し口を挟んで複数設けられ、1の冷却路とその隣りの冷却路との一端部どうしが連結管で連結されるとともに、前記1の冷却路と反対隣りの冷却路との他端部どうしが他の連結管で連結されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  7. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記電界印加電極には、前記導入路の下流端を構成する吹き込み口が、スリット状をなして複数並んで形成され、
    前記接地電極には、前記吹き出し口が、前記吹き込み口と同方向に延びるスリット状をなし、しかも吹き込み口と互い違いになるようにして複数並んで形成され、
    さらに、前記接地電極の前記吹き出し口の並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  8. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記電界印加電極の接地電極対向面には、接地電極へ向かって突出する断面三角形状の第1凸部が複数並んで形成され、これら第1凸部間の谷間に、前記導入路の下流端が開口されており、
    前記接地電極の電界印加電極対向面には、前記第1凸部間の谷間へ向かって突出する断面三角形状の第2凸部が複数並んで形成され、これら第2凸部間の谷間から前記吹き出し口が延びていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  9. 電界印加手段に接続された電界印加電極と、接地された接地電極とを備え、これら電極間に導入路を介して導入された処理ガスをプラズマ化し、電極間の外に配された被処理体へ吹き出すプラズマ処理装置であって、
    前記電界印加電極が、前記接地電極との対向面を有し、
    前記接地電極が、前記電界印加電極との対向面と、その逆側の被処理体と対向すべき面と、前記電界印加電極対向面から前記被処理体対向面へ至る処理ガスの吹き出し口とを有し、
    前記電界印加電極の接地電極対向面には、接地電極へ向かって突出する第1凸部が複数並んで形成され、これら第1凸部間の谷間に、前記導入路の下流端が開口されており、
    前記接地電極の電界印加電極対向面には、前記第1凸部間の谷間へ向かって突出する第2凸部が複数並んで形成され、これら第2凸部間の谷間から前記吹き出し口が延びており、
    さらに、前記接地電極の前記第2凸部の並び方向の側部には、ガスを前記吹き出しの方向とは逆方向に吸い込む排気ダクトが設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  10. 被処理体を向くべき先端面が開口された容器状のヘッド本体を有するノズルヘッドを備え、
    前記ヘッド本体には、先端開口を塞ぐようにして前記接地電極が設けられる一方、基端部に処理ガスの入口ポートが設けられ、更に、前記電界印加電極が、ヘッド本体の内部を、前記入口ポートに連なる基端側の処理ガス導入室と先端側の電極間空間とに仕切るようにして収容され、前記導入室と前記電極間空間とが、前記電界印加電極を迂回又は貫通する連通路によって連ねられ、しかも、前記連通路が、電界印加電極の略全長域に及んでおり、
    前記入口ポートと導入室と連通路とが、前記導入路を構成していること特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記連通路が、前記電界印加電極の側縁に沿って設けられたスリット又は複数の孔部を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記入口ポートが、前記電界印加電極の中側部と対向するように配されており、
    前記連通路としての孔部が、前記電界印加電極の側縁の両端側のものほど大径又は短ピッチになっていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記ノズルヘッドの導入室が、隔壁によって2つの室部分に仕切られ、これら室部分に互いに異なる種類の処理ガスの入口ポートが設けられ、前記連通路が、前記電界印加電極の両側に離れて2つ設けられ、一方の連通路が、一方の室部分に連なり、他方の連通路が、他方の室部分に連なっていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記電界印加電極には、前記吹き出し口へ向けて突出し、電極間空間を2つの空間部に仕切る整流突起が設けられており、これら空間に互いに異なる種類の処理ガスの導入路が連なっていることを特徴とする請求項1〜9、13のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
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