JP4076107B2 - 複合ニッケル微粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として用いるのに適した特性を有しており、特に脱バインダー時の金属ニッケルの酸化防止性及び拡散防止性に優れており、また熱収縮特性に優れており、従って大型の積層セラミックコンデンサの製造においてデラミネーション、クラックの発生を防止でき、またセラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損なうこと無しで製造することを可能とする複合ニッケル微粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体と内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものであり、このような積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する際には、内部電極材料である金属微粉末をペースト化し、該ペーストを用いてセラミック基材上に印刷し、該印刷した基材を複数枚重ねて加熱圧着して一体化した後、還元性雰囲気中で加熱焼成を行うのが一般的である。この内部電極材料として、従来は白金、パラジウムが使用されていたが、近時にはこれら白金、パラジウム等の貴金属の代わりにニッケル等の卑金属を用いる技術が開発され、進歩してきている。
【0003】
しかしながら、金属ニッケル微粉末を用いた場合には、その粒径にもよるが400〜500℃近傍より急激な熱収縮を引き起す傾向がある。従って、内部電極材料として金属ニッケル微粒子を用いる場合には、セラミック基材と金属ニッケル微粉末との熱収縮特性の相違に起因して、焼成の際にデラミネーションやクラック等の欠陥が発生し易く、このことが問題視されている。
【0004】
本発明者等はかかる問題を克服する手段として、金属ニッケル微粉末中にマグネシウム及び/又はカルシウムを特定の範囲内の量で含有させて金属ニッケル微粉末の熱収縮特性を改善する技術を既に出願している(特願平9−342793号)。この技術によれば、従来の金属ニッケル微粉末で生じる400〜500℃近傍からの急激な熱収縮が防止され、急激な熱収縮開始温度を600〜700℃近傍の高温側にシフトさせることができる。
【0005】
しかし、積層セラミックコンデンサを作製する際の焼成温度は、セラミック誘電体の構成成分に依存して変化するが、チタン酸バリウム系セラミック誘電体では通常1200〜1400℃程度であるから、焼成の際のデラミネーションやクラックを抑制するためには、内部電極材料の熱収縮開始温度をさらに高温側にシフトさせることが望ましい。
【0006】
更に、セラミック基材と金属とを接触させた状態で焼成すると、一般的には、金属は酸化され、その金属酸化物はセラミック基材と比較して拡散係数が大きいため、固相粒界において拡散係数の大きな金属酸化物相から拡散係数の小さいセラミック相への拡散が進み易い。
【0007】
即ち、従来の金属ニッケル微粉末を含有するペーストを用いた場合には、脱バインダー時に微粉末中の金属ニッケルの一部が酸化され、生成した酸化ニッケルがセラミック誘電体中に拡散するために、生成すべき内部電極の一部が消失して内部電極に欠損が生じ且つフェライトの生成によりセラミック誘電体層の一部がその機能を失う傾向があり、従ってセラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損うこと無しで製造することは極めて困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような理由により、積層セラミックコンデンサの製造に用いるペースト用のニッケル微粉末については、焼成中にニッケル微粉末中の金属ニッケルが酸化されてセラミック基材中に拡散する現象を抑制できると共に、セラミック基材の熱収縮曲線に近づけるために急激な熱収縮開始温度をより高温側へシフトさせることが重要視される。
【0009】
本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として用いるのに適した特性を有しており、特に脱バインダー時のニッケルの酸化防止性及び拡散防止性に優れており、またセラミック基材の熱収縮曲線に近い熱収縮特性を有しており、従って大型の積層セラミックコンデンサの製造においてデラミネーション、クラックの発生を防止でき、またセラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損なうこと無しで製造することを可能とする複合ニッケル微粉末の製造方法を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属ニッケル微粒子表面に特定の金属元素の酸化物及び/又は複合酸化物を固着させることにより上記の特性を有する複合ニッケル微粉末が得られること、並びにそのような複合ニッケル微粉末が半乾式担持法によって製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
即ち、本発明の複合ニッケル微粉末の製造方法は、原子番号が12〜56及び82の範囲内で周期表の2〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物の超微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を懸濁させた懸濁液と、金属ニッケル微粒子又は表面を酸化処理した金属ニッケル微粒子とを混合しながら加熱し、該懸濁液の媒体を除去して、該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を付着させ、該超微粒子の付着しているニッケル微粒子を相互に又は他物体と衝突させて該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を固着させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末においては、金属ニッケル微粒子表面に、原子番号が12〜56及び82の範囲内で周期表の2〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着しているので、本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末はセラミック基材の熱収縮曲線に近い熱収縮特性を有しており、従って大型の積層セラミックコンデンサの製造においてデラミネーション、クラックの発生を防止することができる。また、脱バインダー時の金属ニッケルの酸化防止性及び拡散防止性を有しているので、セラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損なうこと無しで製造することが可能である。
【0016】
本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末を含有するペーストを用い、脱バインダー時に微粉末中の金属ニッケルの酸化を充分に防止し、セラミック誘電体中への拡散を防止して、即ち、生成すべき内部電極の一部が消失して内部電極に欠損が生じたり、セラミック誘電体層の一部がその機能を失ったりすることを防止して、セラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損うこと無しで製造する場合には、好ましくは原子番号12〜56及び82の範囲内で周期表の2〜7族及び13〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着している複合ニッケル微粉末を用い、より好ましくは原子番号12〜56及び82の範囲内で周期表の2族、3族、4族、7族、13族及び14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着している複合ニッケル微粉末を用いる。
【0017】
更に、周期表の2族に属する金属元素、Y、Zr、Al又はSiの酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着している複合ニッケル微粉末及を用いることが好ましい。
また、上記の複合酸化物として後記の複合酸化物を含めて種々のものが使用可能である。
【0018】
本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として用いる場合には、積層セラミックコンデンサのセラミック誘電体の組成に応じて、ニッケル微粒子表面に、上記のような酸化物及び複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種、及びランタノイド元素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を固着させたものであっても良い。
【0019】
本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として用いる場合には、金属ニッケル微粒子表面に、一般式
Bam 1-m Tin 1-n 3
(式中、XはSr、Ca、Mg又はPbであり、ZはZr、Y、Sn又はGeであり、mは0〜1の範囲内の値であり、nは0〜1の範囲内の値である。)
で示される複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が固着していることが好ましく、それらの複合酸化物は1種を単独で用いて固着させても、2種以上を併用して固着させてもよく、あるいはそれらの複合酸化物を主成分とし、添加成分として上記の種々の酸化物、ランタノイド元素の酸化物、酸化ビスマス、酸化タンタル等の少なくとも1種を用いて固着させてもよい。
【0020】
上記の酸化物及び複合酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2 3 、Ga2 3 、Y2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Cr2 3 、MnO2 、Mn3 4 、Nb2 5 、BaTiO3 、CaTiO3 、SrTiO3 、BaZrO3 、CaZrO3 、SrZrO3 、(Mg,Ca)TiO3 、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O3 、PbTiO3 、Pb(Zr,Ti)O3 、(Pb,Ca)TiO3 、MgAl2 4 、BaTi4 9 等を挙げることができ、それらは混合物として用いることも出来る。更にこれらの酸化物及び/又は複合酸化物はNb、W、La、Y、Mo等の金属の酸化物でドープされていてもよい。
上記のランタノイド元素の酸化物としては、Nd2 3 、Sm2 3 、Dy2 3 、Er2 3 、Ho2 3 等を挙げることができる。
【0021】
本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末においては、該複合ニッケル微粉末を積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するペーストとして用いる場合にはニッケル微粒子の粒径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0022】
また、これらの酸化物及び複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の合計固着量はニッケル微粉末の重量に対して好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。合計固着量が0.05重量%未満の場合には、酸化物及び/又は複合酸化物の固着によって達成される効果が不十分となる傾向があり、逆に10重量%を越える場合には、そのような複合ニッケル微粉末を積層セラミックコンデンサの内部電極材料として使用したときに、コンデンサの誘電特性に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0023】
本発明の複合ニッケル微粉末の製造方法で用いるニッケル微粒子又は表面を酸化処理したニッケル微粒子は、ニッケル塩蒸気の気相水素還元法のような乾式法でも、ニッケル塩を含む水溶液を特定の条件下、還元剤で還元析出させるような湿式法でも製造することができる。本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末を積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するペーストとして用いる場合には、その製造に用いるニッケル微粒子の粒径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0024】
本発明の複合ニッケル微粉末の製造方法は金属酸化物又は複合酸化物の超微粒子の水性懸濁液を金属ニッケル微粒子に担持させて乾燥する半乾式担持法によって製造することができる。本発明の複合ニッケル微粉末の製造方法においては、原料となるニッケル微粒子は乾式法及び湿式法の何れによって得られたものも使用できる。また、所望によりニッケル微粒子の表面を湿式法で適当な酸化剤で軽く酸化する。
【0032】
半乾式担持法に従って実施する場合の本発明の複合ニッケル微粉末の製造方法においては、原子番号が12〜56及び82の範囲内で周期表の2〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物の超微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を懸濁させた懸濁液と、金属ニッケル微粒子又は表面を酸化処理した金属ニッケル微粒子とを混合しながら加熱し、該懸濁液の媒体を除去して、該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を付着させ、該超微粒子の付着しているニッケル微粒子を相互に又は他物体と衝突させて該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を固着させることができる。
【0033】
上記の半乾式担持法で用いる金属ニッケル微粒子又は表面を酸化処理した金属ニッケル微粒子は、本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末を積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するためのペーストとして用いる場合には、粒径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。また、酸化物、複合酸化物の超微粒子は、粒径が小さいほど少量で均一に固着させることができるので、粒径が0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが最も好ましい。また、超微粒子を懸濁させる媒体は特には限定されず、一般的には水、酸性水溶液、塩基性水溶液、アルコール、有機溶媒等を用いることができる。この製造方法においては所定固形分濃度の懸濁液を調製して用いても、或いは、市販品のシリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、チタン酸バリウムゾル等を用い、必要に応じて希釈などを行って濃度を調整して用いてもよい。該超微粒子の付着しているニッケル微粒子を相互に又は他物体と衝突させて該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を固着させるために、オングミル、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、コートマイザー、ディスパーコート、ジェットマイザー等の装置を用いることができる。
【0034】
以下に、実施例、比較例及び製造例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる事例に限定されるものではない。
比較例1
固形1級水酸化ナトリウム244gを純水に溶解し、総量が430mlとなるように純水で調整して水酸化ナトリウム水溶液を得た。一方、硫酸ニッケル(NiSO4 ・6H2 O品位22.2重量%品)448gを純水に溶解し(より早く完全に溶解するように温水を用いた)、総量が1000mlとなるように純水で調整して硫酸ニッケル水溶液を得た。得られた硫酸ニッケル水溶液を、上記水酸化ナトリウム水溶液に20ml/minの添加速度で50分間連続添加した。このようにして得られた水酸化物含有スラリーを60℃に昇温した後、ヒドラジン1水和物420gを一括添加して水酸化物を還元した。得られたニッケル微粒子を純水を用いて洗浄し、洗浄液のpHが10以下になるまで洗浄を続け、その後常法に従って濾過、乾燥を実施してニッケル微粉末を得た。得られたニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径、1次粒子の平均粒径)は0.2μmであり、その表面には微細な凹凸が存在していた。
【0035】
比較例2
比較例1の方法において、60℃に昇温した水酸化物含有スラリーを還元するために添加するヒドラジン1水和物420gを一括添加ではなく20分間にわたって添加したこと以外は比較例1と全く同様にしてニッケル微粉末を得た。得られたニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径)は0.5μmであり、その表面には微細な凹凸が存在していた。
【0036】
比較例3
比較例1で得た表面に微細な凹凸を有するニッケル微粒子からなるニッケル微粉末をハイブリタイザー(奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで5分間循環させて処理した。処理後のニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径)は0.2μmであり、その表面は滑らかになっていた。
【0037】
比較例4
比較例2で得た表面に微細な凹凸を有するニッケル微粒子からなるニッケル微粉末をハイブリタイザー(奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで5分間循環させて処理した。処理後のニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径)は0.5μmであり、その表面は滑らかになっていた。
【0038】
製造例1
比較例1で製造したニッケル微粉末100gを純水1リットル中に加え、攪拌してスラリー化した。30分間攪拌した後、過酸化水素水100gを一括添加した。反応が終了して泡が出なくなった時点で攪拌を停止し、濾過し、乾燥して、表面を酸化処理したニッケル微粉末を得た。得られたニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径)は0.2μmであった。
【0039】
製造例2
比較例2で製造したニッケル微粉末100gを純水1リットル中に加え、攪拌してスラリー化した。30分間攪拌した後、過酸化水素水100gを一括添加した。反応が終了して泡が出なくなった時点で攪拌を停止し、濾過し、乾燥して、表面を酸化処理したニッケル微粉末を得た。得られたニッケル微粒子のSEM観察による平均粒径(フェレ径)は0.5μmであった。
【0059】
実施例
シリカゾル(日産化学社製、スノーテックスO、平均1次粒径約10nm)を水で1/20に希釈した溶液(シリカ含有量10g/l)2.5リットルに、比較例2で製造したニッケル微粉末500gを入れ、加熱しながら良く攪拌した。水分は徐々に気化し、最後に乾燥粉体が得られた。これをハイブリタイザー(奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで5分間循環させて、ニッケル微粒子表面にシリカ超微粒子が固着された複合ニッケル微粉末を得た。
【0060】
得られた該複合ニッケル微粉末においては、SEM観察の結果、表面にシリカ超微粒子が均一に固着されていること、及び粒径はほとんど変化していないことが確認され、また球状ニッケル微粉末の重量基準で5重量%のシリカが固着していた。得られた該複合ニッケル微粉末においてはシリカ超微粒子が固着されているので、水中に投入して攪拌してもシリカ超微粒子が剥離・浮遊することはなかった。
【0061】
実施例
ウルトラディスパーサ(三井鉱山製)の容器を熱蒸気により加熱しながら該容器に、比較例2で製造したニッケル微粉末500gを入れて良く攪拌し、これに上部からアルミナゾル(日産化学製、アルミナゾル520、粒径10〜20nm)125gを滴下し、ニッケル微粒子の表面にアルミナ超微粒子が付着しているニッケル微粒子を得た。更にこれをハイブリタイザー(奈良機械製作所製)に投入し、8000rpmで5分間循環させて、ニッケル微粒子表面にアルミナ超微粒子が固着された複合ニッケル微粉末を得た。得られた該複合ニッケル粉末においては、SEM観察により超微粒子の固着が確認され、また球状ニッケル微粉末の重量基準で5重量%のアルミナが固着していた。
【0062】
上記の実施例1〜2で得られた複合ニッケル微粉末、及び比較例3〜4で得られた表面が滑らかになっているが酸化物又は複合酸化物が固着していないニッケル微粉末を熱機械分析装置(セイコー電子工業製TMA/SS6000)を用いて窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分で熱収縮率を測定した。それらの結果は第1表に示す通りであった。また、比較例1〜2で得られた表面が滑らかになっておらず酸化物又は複合酸化物が固着していないニッケル微粉末を熱機械分析装置(理学電機社製TAS−100)を用いて窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分で熱収縮率を測定した。それらの結果は第1表に示す通りであった。
【0063】
【表1】
Figure 0004076107
【0064】
第1表のデータから明らかなように、実施例1〜2の本発明の製造方法で得られる複合ニッケル微粉末は、比較例1〜4のニッケル微粉末と比較して、高温での熱収縮率が極めて小さくなっている。
【0069】
【発明の効果】
上記のように本発明の製造方法により、耐酸化性に優れており、セラミック基材中に拡散しにくい形態になっており、また急激な熱収縮開始温度が700℃以上にシフトし、ほとんどの場合に900℃以上にシフトしており、積層コンデンサの内部電極形成用途に極めて好適である複合ニッケル微粉末が得られる。即ち、脱バインダー時のニッケルの酸化防止性及び拡散防止性に優れており、またセラミック基材の熱収縮曲線に近い熱収縮特性を有しており、従って大型の積層セラミックコンデンサの製造においてデラミネーション、クラックの発生を防止でき、またセラミック誘電体及び内部電極の厚みの薄い小型多層の積層セラミックコンデンサを誘電特性、電気特性を損なうこと無しで製造することがを可能となる。

Claims (2)

  1. 原子番号が12〜56及び82の範囲内で周期表の2〜14族に属する金属元素の少なくとも1種を含む酸化物及び複合酸化物の粒径が0.5μm以下の超微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を懸濁させた懸濁液と、粒径が5μm以下の金属ニッケル微粒子又は表面を酸化処理した粒径が5μm以下の金属ニッケル微粒子とを混合しながら加熱し、該懸濁液の媒体を除去して、該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を付着させ、該超微粒子の付着しているニッケル微粒子を相互に又は他物体と衝突させて該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を固着させることを特徴とする粒径が5μm以下の複合ニッケル微粉末の製造方法。
  2. オングミル、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、コートマイザー、ディスパーコート、ジェットマイザーのいずれかの装置を用いて、超微粒子の付着しているニッケル微粒子を相互に又は他物体と衝突させて該ニッケル微粒子の表面に該超微粒子を固着させることを特徴とする請求項1記載の複合ニッケル微粉末の製造方法。
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