JP3414502B2 - 高温焼成対応貴金属粉末および導体ペースト - Google Patents

高温焼成対応貴金属粉末および導体ペースト

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JP3414502B2 JP15543494A JP15543494A JP3414502B2 JP 3414502 B2 JP3414502 B2 JP 3414502B2 JP 15543494 A JP15543494 A JP 15543494A JP 15543494 A JP15543494 A JP 15543494A JP 3414502 B2 JP3414502 B2 JP 3414502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子回路の厚膜導体及
びヒーターや電子部品の種々の電極等の導電材料として
利用することの出来る導電性粉末及びこれらを用いた導
電性ペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】貴金属厚膜導体用ペーストは、一般にH
IC回路の厚膜導体、積層セラミックコンデンサー用電
極、セラミックヒーター、その他種々の電子部品用とし
て用いられる。
【0003】前記導体ペーストは、導電性粉末と必要に
応じ無機添加剤(無機結合剤、及びフィラー等)、ガラ
スフリット等を有機ビヒクルに分散させてなる。このよ
うな導体ペーストに用いられる導体性粉末には、Ag、
Pd、Au、Ptそしてそれらの合金を用いる。
【0004】導体ペーストは、スクリーン印刷等の手法
によりセラミック基板およびセラミックグリーンシート
に印刷され、それぞれの導電性粉末の特性を損なわない
温度での焼成が行われ、導電膜としての諸特性を満足さ
せるものとなる。
【0005】近年、回路、部品の小型化の要求が高まり
特に電子部品のチップ化が発達してきた。そのため導体
ペーストには、面積を小さくし、かつ、厚膜を薄くして
も従来と同等の特性を有することが要求されるようにな
ってきた。
【0006】また、電子部品のチップ化等にともない低
温焼成セラミックの発達が進み、従来の導体ペーストの
焼成域より高い温度での焼成が必要となってきた。従来
の導体ペーストをそのまま使い、焼成温度を高温にする
と電極膜中のポアが多くなり、発泡や剥離、異常収縮、
電極の蒸発等の構造欠陥を生じる等の欠陥が生じた。
【0007】そこで、Agを使っていたものについては
Ag/Pd合金を用いるようにし、また、Pd、Pt等
については無機添加剤(焼結抑制剤アルミナ、ジルコニ
ア、シリカ等のセラミックス)の添加により、それぞれ
高温焼成化に対応していた。
【0008】その他にも高温焼成化に対応して貴金属粉
末の体積膨張を抑えるために各種試みがなされている。
例えば、特開昭63−216204号公報には、貴金属
粉末表面に珪素、アルミニウム、マンガン、コバルト、
ニッケル、亜鉛及び鉛の水酸化物を被覆した導電性粉末
及び当該導電性粉末とガラス粉末と有機ビヒクルとを主
成分とする導体ペーストなどについて記載されている。
【0009】また、特開平4−43504号公報には珪
素、アルミニウム、マグネシウム、コバルトの酸化物で
表面を被覆されたパラジウム粉末を有機ビヒクル中に分
散、混練してなる電極用ペーストについて記載されてい
る。
【0010】特開平4−206612号公報にはパラジ
ウム粉末と、珪素、アルミニウム、マグネシウム、鉛、
カルシウム、亜鉛等の金属アルコキシド及び金属キレー
ト化合物を有機ビヒクルに分散させてなる導体ペースト
に関し、前記金属アルコキシド及び金属キレート化合物
はパラジウム粉末表面に被覆して用いられることが好ま
しいと記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Agに代えて
Ag/Pdを用いることはコスト高になり、更に抵抗値
の増加ともなる。また、無機添加剤の使用においては抵
抗値増加、さらにハンダ付け性を悪くする等の問題があ
った。
【0012】また、特開昭63−216204号公報、
特開平4−43504号公報及び特開平4−20661
2号公報に記載の導体ペーストは、処理された貴金属粉
末の過焼結抑制効果は、未処理のものよりかは効果があ
るものの、未だ十分であるとは言えず、作製された電極
膜のポアの発生や剥離等の構造欠陥が生じるのを完全に
防止することはできないでいた。
【0013】そこで、本発明は過焼結抑制効果に秀で、
グリーンセラミックと厚膜導体ペーストとの同時焼成か
らなる、若しくは通常のセラミックに厚膜導体を形成し
て得られる、電子部品、ヒーター等の構造欠陥を防止す
るための新規な高温焼成対応貴金属粉末及び導体ペース
トを提供することを目的とする。また、前記本発明品の
提供により、できるだけ緻密な電極膜等を作製すること
を可能とし、電子部品の更なる小型化を企図し得ること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的に
従い鋭意研究を進めた結果、電子部品の上記構造欠陥
は、高温焼成では貴金属粉末の粒子の成長が激しく起る
ことと、セラミック基板との収縮率差が大きすぎること
とにより生じると考えた。そして、従来からの導体ペー
スト材料を用いても、上記欠陥が生じないようにするた
めに更に研究を重ねたところ、貴金属粉末の表面を他の
金属化合物で緊密に被覆することによって、これらの問
題が解決し得ることを見出し本発明を完成させた。
【0015】即ち、本発明は貴金属粉末の表面を金属と
有機酸との化合物(以下、「有機酸金属塩」という)で
被覆し、次に不活性雰囲気中で熱処理して得られる高温
焼成対応貴金属粉末を提供するものである。熱処理後に
得られる本発明の高温焼成対応貴金属粉末は、熱処理に
より有機化合物部分が除去せられ、金属の極微細粒子が
当該貴金属粉末表面上に析出し被覆していると推定され
る。
【0016】第一段階で被覆される有機酸金属塩を構成
する金属は、アルミニウム、カルシウム、チタン、イッ
トリウム、ジルコニウムから少なくとも一種以上選択さ
れることが好ましく、有機化合物部分は、ナフテン酸、
アビエチン酸、オクチル酸、エチルヘキサン酸から少な
くとも一種以上選択されることが好ましい。
【0017】前記有機酸金属塩の好ましい被覆量は、貴
金属粉末に対しその金属の酸化物換算で0.01〜5重
量%である。また、第一段階の有機酸金属塩による被覆
後の熱処理は350℃から700℃の範囲内で行われる
ことが好ましい。
【0018】更に、本発明は前述の高温焼成対応貴金属
粉末を有機ビヒクルに分散させてなる導体ペーストを提
供するものであり、高温焼成対応貴金属粉末がペースト
全重量に対して35〜85重量%配合されていることが
好ましい。
【0019】
【作用】本発明の導体ペーストは、ペーストの焼成過程
において、貴金属粉末の表面を他の金属化合物で被覆し
たことによって貴金属がむき出しの表面積を減少させ、
貴金属粉末と雰囲気中の酸素とが反応することを抑制す
る。従って、この高温焼成対応貴金属粉末を有機ビヒク
ル中に分散させると種々の構造欠陥の防止を可能にした
厚膜導体用ペーストを得ることが出来る。
【0020】即ち、本発明の高温焼成対応貴金属粉末を
用いて作製された回路、電極、ヒーター等は、焼成基の
高温による貴金属粒子の異常粒成長が抑制され、グリー
ンセラミックス(グリーンシート含)等の基板と本発明
の導体ペーストとの収縮が合うため発泡やシートからの
剥離、収縮電極の蒸発等の構造欠陥を防止できる。
【0021】本発明の如き優れた焼結抑制効果は、有機
酸金属塩で被覆した貴金属粉末を不活性雰囲気中で熱処
理することによってのみ獲得される特性であり、空気中
で熱処理を行った場合に得られる焼結抑制効果に比べて
格段に優れている。現時点では、この理由の詳細は不明
であるが、有機酸金属塩被覆貴金属粉末は、熱処理によ
り有機物質が除去され、析出した金属粒子によって被覆
されたものと考えられ、前記被覆粒子は空気中で熱処理
される場合に比べてはるかに微細であると推測される。
【0022】本願と同様にパラジウム粉末などの貴金属
粉末表面に他の金属化合物を被覆した技術を開示してい
る文献が、前述のようにいくつか存在するが、本願発明
はこれら公知文献とは下記の点で相違する。
【0023】まず、特開昭63−216204号公報で
は、貴金属粉末を被覆している金属水酸化物自身はペー
ストの焼成過程で融解したガラスと反応してガラスと共
に基板側へ徐々に焼失し(特開昭63ー216204号公報第3
頁上段右欄第2行〜第6行参照)、この金属水酸化物の
焼失に伴い、粒成長抑制効果も減退するので構造欠陥を
完全に防止することはできない。一方、本発明の導体ペ
ーストではペーストの焼成時においても高温焼成対応貴
金属粉末の被覆物質は焼失せず、貴金属粉末の異常粒成
長をほぼ完全に抑止し、構造欠陥が生じない。
【0024】更に、前記公報の金属水酸化物の被覆方法
は、上述の金属の可溶性塩から、pH調整により水酸化
物として貴金属粉末表面上に析出沈着させるものである
ため、均一に被覆することは難しい(同公報第3頁下段
左欄第3行〜第11行参照)。しかし、本発明の高温焼成
対応貴金属粉末は、溶媒を蒸発揮散させて有機酸金属塩
を被覆せしめることから出発するので、貴金属粉末表面
を一様に緊密に被覆させることができる。従って、これ
をペースト化したものを焼成してもポアの発生のない、
極めて緻密な相を得る。
【0025】特開平4−206612号公報は適用され
る貴金属粉末をパラジウム粉末に限定している。また、
ペースト中に金属アルコキシド及び金属キレート化合物
を分散させたものであり、コーティングした場合に比較
して、酸化抑制効果に劣る。また、金属アルコキシド及
び金属キレート化合物を用いて貴金属粉末上に金属を析
出被覆させること(特開平4ー206612号公報第4頁上段
記載の実施例6参照)も記載されている。
【0026】しかし、この方法における熱処理は、特に
ことわり書きがないことから空気中で行われていると考
えられ、この点において本発明と相違する。前述したよ
うに熱処理を空気中で行うか、不活性雰囲気中で行うか
は、焼結抑制効果に大いに影響し、空気中での熱処理で
は、焼結抑制効果に劣ったものであり、貴金属粒子の異
常粒成長を完全に防止しきれず、構造欠陥の発生を阻止
できない。又電極膜の緻密性にも不満が残る。
【0027】特開平4−43504号公報も適用される
貴金属粉末は、パラジウム粉末に限定されている。ま
た、金属酸化物の被覆方法は水にパラジウム粉末を分散
させた中に金属酸化物のコロイド溶液を添加して、パラ
ジウム粉末表面上にコロイド粒子を吸着被覆させたもの
である。
【0028】一方、本発明の被覆方法は、後で詳述して
いるように適当な溶剤に有機酸金属塩を溶解させ、これ
に貴金属粉末を分散させ、次に溶剤を蒸発除去させるこ
とにより貴金属粉末表面上を被覆させるものであり、前
記特開平4−43504号公報におけるコロイド粒子の
被覆に比べて、本発明の被覆粒子は緊密且つ微細である
と推定される。
【0029】従って、本発明の高温焼成対応貴金属粉末
は、ペースト焼成時には貴金属粉末粒子の周囲には極め
て多数の被覆物質が存在するため、貴金属粉末の異常粒
成長の抑制効果は大きい。
【0030】
【好適な実施態様】本発明の高温焼成対応貴金属粉末の
製造方法では周知の還元析出法、気相反応法及びガス還
元法等で製造されるAu,Ag,Pd,Pt又はこれら
の合金などの貴金属粉末を原料とする。この貴金属粉末
の好ましい粒子径は0.2〜2.0μmである。
【0031】本発明の高温焼成対応貴金属粉末は、その
第一段階で前記貴金属粉末の表面上に有機酸金属塩を被
覆させる。当該被覆は、前記貴金属粉末が、適当な有機
溶剤に溶かした所定量の有機酸金属塩の溶液中に分散さ
れることにより行われ、密閉されたフラスコ内で自動攪
拌しながら、溶剤を蒸発させる方法が望ましく、ロータ
リーエバポレーター等を用いた方法で行なうことが溶剤
等の処置の問題においても都合が良い。
【0032】有機酸金属塩とは、金属と有機酸との化合
物であり、有機酸にはカルボン酸が最も好ましい。例え
ば、アルミニウム、カルシウム、チタン、イットリウ
ム、ジルコニウムから選択される金属とナフテン酸、ア
ビエチン酸、オクチル酸、エチルヘキサン酸などの有機
酸との化合物などが挙げられる。上述の様に、前記有機
酸金属塩は、加水分解又は電離などを起こさないような
適当な溶剤、例えばトルエン、キシレンなどの有機溶剤
に溶解されて使用されるが、完全に溶解されずにゾル状
であっても良い。
【0033】有機酸金属塩は、貴金属粉末に対し酸化物
換算で0.01〜5重量%程度被覆されるのが好まし
い。より好ましい被覆量は、0.1〜5重量%であり、
特に好ましくは1〜5重量%であり、此の時には構造欠
陥は殆ど発生しない。
【0034】0.01%未満では効果が少なく、また、
焼結性にバラツキが生じる。逆に、5%を超えると、焼
結(過焼結)抑制効果が働き過ぎて焼成収縮が小さくな
り、基板との収縮率が合わず、剥離等の原因となる。更
に抵抗値が上昇し被覆効果が得られない。
【0035】こうして得られた有機酸金属塩を被覆した
貴金属粉末は、焼結抑制効果を十分に有するものであ
る。しかし、有機化合物を保持したままの粉末ではペー
スト化時にビヒクルとの相性が悪く、ゲル化等の変質を
きたす恐れがある。そこで、被覆し終えた粉末は更に不
活性雰囲気中で熱処理を行なうと、焼結抑制効果、ペー
スト化時の分散性及び印刷性といった全ての面で優れた
貴金属粉末が得られる。特に焼結抑制効果は著しく増強
される。ここで注目すべきは、上記効果は不活性雰囲気
中で熱処理を行った際にしか得られないということであ
る。
【0036】現時点では、本発明に係る不活性雰囲気中
での焼成後の貴金属粉末が有している構造の詳細につい
ては、高倍率の電子顕微鏡でも確認できず不明である。
しかし、およそ次のようであると推測される。有機酸金
属塩被覆貴金属粉末は、熱処理により有機物質が除去さ
れ、析出した金属粒子によって被覆されたものと考えら
れ、前記被覆粒子は空気中で熱処理される場合に比べて
極めて微細であると推測される。
【0037】不活性雰囲気とは、Ne、Arなどの希ガ
ス或いはN2などの不活性ガス中又は真空中(例えば1
-3〜10-1Torr程度)を指し、当該雰囲気中で、
350〜700℃の範囲で熱処理されることが好まし
い。特にAg、Au、Pdについては350〜500℃
の範囲で行われることが好ましい。
【0038】350℃以下では熱処理による効果が十分
に表われず、ペースト化時の分散性等に問題が残り、焼
結抑制効果にも劣ったものとなる。また、700℃以上
では貴金属粉末の粒子同士のネッキングが進行しペース
ト化には適さない。
【0039】熱処理時間は、熱処理温度に従い適宜調節
されるが、好ましくは1〜5時間程度である。スケジュ
ールとしては20〜30℃/分で昇温し、トップ温度で
15〜60分保持した後3〜30℃/分で降温してい
く。
【0040】従来の導体ペーストの製造方法と同様にし
て、本発明の高温焼成対応貴金属粉末を有機ビヒクル中
に分散させれば本発明の導体ペーストが得られる。この
導体ペーストは従来のものとは異なり、発泡やセラミッ
ク基板からの剥離、収縮さらに電極の蒸発等の欠陥が生
じない優れたものである。
【0041】ペースト中に配合される高温焼成対応貴金
属粉末は、通常の配合されている量で良く、好ましくは
30〜95重量%であり、より好ましくは35〜85重
量%、特に好ましくは45〜85重量%である。30重
量%未満では貴金属粉末が少なすぎるため導電性が悪
く、逆に95重量%を超えると、ペーストの流動性が失
われ印刷性、塗付性が悪化する。
【0042】有機ビヒクルについても通常導体ペースト
に使用されているものを選択すれば良く、バインダーに
はエチルセルロース等が挙げられ、溶剤にはターピネオ
ール、B.C.A.、B.C.等が挙げられる。また、
本発明の導体ペースト中には更にガラスフリットなどの
公知の添加剤を加えることができる。
【0043】
【実施例】以下、本発明について実施例を用いて更に説
明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。また、下記実施例において「%」とは特に明記
しない限り「重量%」を表わすこととする。
【0044】〔実施例1〕適当な容器に入れた表1に記
載の各金属のナフテン酸塩を、適当な有機溶剤(化合物
が加水分解等生じないもの)に溶かし、更に、所定量の
貴金属粉末を加え均一分散するようよく攪拌しながら、
有機溶剤を蒸発乾燥させた。尚、被覆量は貴金属粉末に
対して酸化物換算で1.0重量%となるようにした。
【0045】その後、金属の有機酸塩を被覆した貴金属
粉末を所定のセラミック容器に入れ、雰囲気置換できる
電気炉に入れ、Ar雰囲気置換した不活性な雰囲気で表
1に示す温度で熱処理を行ない、高温焼成対応貴金属粉
末を得た。
【0046】次に、これらの粉末を表2の記載の組成に
従って、ペースト材料を調合し3本ロールミルを用い混
練りを行ないペースト化した。
【0047】この導体ペーストをアルミナないし、ジル
コニア等のセラミック基板、グリーンシートにスクリー
ン印刷し電極及び回路を作製し、発泡、剥離、蒸発等の
構造欠陥について調べた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】結果は上記表1に示す通りであり、本発明
の高温焼成対応貴金属粉末を用いたペーストは、高温の
焼成においても発泡、剥離、蒸発等の不良は生じなかっ
た。
【0051】〔実施例2〕次に、被覆量を表3に示すよ
うに種々変更する他は、実施例1と同様の実験を行い、
作成された電極又は回路におけるポア、剥離等の構造欠
陥の発生率を調べた。結果は表3に示す通りであった。
【0052】
【表3】
【0053】0.01%未満では貴金属粉末に対する被
覆量が少なく、過焼結抑制効果が表われていない。逆
に、5%を超えるとペーストの焼成収縮特性に対する抑
制効果が大き過ぎて、セラミック部材の収縮率と合わな
くなり、却って剥離等の欠陥を生じた。より好ましい被
覆量は0.1%以上5%以下、特に好ましくは1%以上
5%以下であることがわかる。
【0054】〔実施例3〕ナフテン酸アルミニウムによ
る貴金属粉末への被覆後の熱処理温度域を表4に記載の
如く種々変更させて、得られた粉末の状態を調べた。な
お、熱処理スケジュールは、30℃/分で昇温し、表4
記載のトップ温度域で30分保持した。結果は表4に示
す通りであった。
【0055】
【表4】
【0056】貴金属粉末がAg,Au,Pd又はこれら
の合金からなる場合には、350〜500℃の範囲内で
熱処理が行われることが好ましく、Ptの場合には70
0℃までであっても良好であった。
【0057】〔実施例4〕銀及びプラチナについてナフ
テン酸アルミニウムを用いて高温焼成対応貴金属粉末を
それぞれ製造し、更に実施例1(表2)の組成に従い導
体ペースト作った。これらの導体ペーストを焼成し、各
温度における膨張収縮の変化をTMAを指標として調べ
た。更に、各焼成温度におけるペーストの薄膜の表面状
態を観察した。導体ぺ−ストの焼成は、銀ペーストは9
50℃、プラチナペーストは1500℃で行った。
【0058】結果は高温焼成対応銀及び高温焼成対応プ
ラチナのTMA(熱膨張収縮)の変化を図1及び図2に
示す。図3及び図4は焼成後の高温焼成対応銀及び高温
焼成対応プラチナを用いて製したペーストの表面状態を
表わした写真である。いずれも比較品として被覆処理を
施していない銀及びプラチナ粉末を用いた。
【0059】本発明の導体ペーストでは焼成時における
収縮が開始される温度を大幅に遅れらせることができ、
高温焼成に適している。更に本発明の導体ペーストを使
用した方は、比較品と比べて収縮蒸発によるポアの発生
がなく、緻密な電極膜が形成されており、優れているこ
とがわかる。
【0060】〔実施例5〕各貴金属粉末をナフテン酸金
属塩で被覆した後の粉末の熱処理を空気中とAr(不活
性気体)中で行い、両者の雰囲気の違いによる各貴金属
ペーストの構造欠陥の発生に関して調査した。ペースト
の組成は前記実施例1(表2)に同じである。実験方法
の詳細及び結果は表5にまとめて示す通りである。
【0061】
【表5】
【0062】被覆された貴金属粉末を不活性気体中で熱
処理を行った場合は、構造欠陥を生じない良好な製品を
得ることができる。従って、貴金属粉末を同様の方法で
他の金属化合物により被覆させても、その後の熱処理が
空気中で行った場合には十分な過焼結抑制効果は得られ
ず、不活性気体中で行った時のみ極めて優れた過焼結抑
制効果を発揮する。
【0063】
【発明の効果】本発明の高温焼成対応貴金属粉末は、高
温の焼成によっても酸化が起き難く、また異常粒成長も
起こし難い。また、有機ビヒクルへの分散性にも優れて
いる。従って、本発明の高温焼成対応貴金属粉末を用い
て製した導体ペーストは、印刷性に優れ、且つ焼成時に
おいて、セラミック基板等との収縮率差と合致するた
め、剥離やクラック等の構造欠陥のない優れた電子部品
を与える。更には、非常に緻密な電極膜を与える優れた
ものであり、電子部品の更なる小型化も可能にする。
【0064】従って、本発明の高温焼成対応貴金属粉末
及び導体ペーストは従来では防止できなかった構造欠陥
を解決できる画期的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様であるナフテン酸アルミニ
ウムにより銀を被覆してAr雰囲気中で熱処理して製せ
られた高温焼成対応銀粉末を有機ビヒクルに分散させた
導体ぺ−ストと、通常の未処理の銀粉末を有機ビヒクル
に分散させた導体ペーストを、それぞれ焼成した際の各
温度におけるTMA(熱膨張収縮)曲線を表わしたグラ
フである。
【図2】本発明の別の一実施態様であるナフテン酸アル
ミニウムによりプラチナを被覆してAr雰囲気中で熱処
理して製せられた高温焼成対応プラチナ粉末を有機ビヒ
クルに分散させた導体ぺ−ストと、通常の未処理のプラ
チナ粉末を有機ビヒクルに分散させた導体ペーストを、
それぞれ焼成した際の各温度におけるTMA(熱膨張収
縮)曲線を表わしたグラフである。
【図3】(a)は高温焼成対応銀粉末を有機ビヒクルに
分散させた導体ぺ−ストを焼成した際の組織の表面を表
わした写真であり、(b)は通常の未処理の銀粉末を有
機ビヒクルに分散させた導体ペーストを焼成した際の組
織の表面を表わした写真である。
【図4】(a)は高温焼成対応プラチナ粉末を有機ビヒ
クルに分散させた導体ぺ−ストを焼成した際の組織の表
面を表わした写真であり、(b)は通常の未処理の銀粉
末を有機ビヒクルに分散させた導体ペーストを焼成した
際の組織の表面を表わした写真である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−12910(JP,A) 特開 平4−206612(JP,A) 特開 平2−94413(JP,A) 特開 昭53−118795(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/00 H01B 1/22 B22F 1/02 H05K 1/09

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】貴金属粉末の表面を貴金属以外の金属と有
    機酸との化合物(以下、「有機酸金属塩」という)で被
    覆し、次に不活性雰囲気中で熱処理して得られることを
    特徴とする高温焼成対応貴金属粉末。
  2. 【請求項2】貴金属粉末の表面を有機酸金属塩で被覆
    し、次に不活性雰囲気中で熱処理することにより有機化
    合物部分を除去せしめ、貴金属以外の金属の極微細粒子
    を前記貴金属粉末表面上に析出させ被覆させたこと特徴
    とする高温焼成対応貴金属粉末。
  3. 【請求項3】前記有機酸金属塩を構成する金属が、アル
    ミニウム、カルシウム、チタン、イットリウム、ジルコ
    ニウムから少なくとも一種以上選択されることを特徴と
    する請求項1又は2記載の高温焼成対応貴金属粉末。
  4. 【請求項4】前記有機酸金属塩を構成する有機化合物部
    分が、ナフテン酸、アビエチン酸、オクチル酸、エチル
    ヘキサン酸から少なくとも一種以上選択されることを特
    徴とする請求項1から3の一に記載の高温焼成対応貴金
    属粉末。
  5. 【請求項5】前記有機酸金属塩の被覆量が貴金属粉末に
    対しその金属の酸化物換算で0.01〜5重量%である
    ことを特徴とする請求項1から4の一に記載の高温焼成
    対応貴金属粉末。
  6. 【請求項6】熱処理が350℃から700℃の範囲内で
    行われることを特徴とする請求項1から5の一に記載の
    高温焼成対応貴金属粉末。
  7. 【請求項7】貴金属粉末がAg、Au、Pd又はこれら
    の合金から選択された場合には、熱処理が350〜50
    0℃の範囲内で行われること特徴とする請求項6記載の
    高温焼成対応貴金属粉末。
  8. 【請求項8】請求項1から7の一に記載の高温焼成対応
    貴金属粉末が有機ビヒクルに分散されてなることを特徴
    とする導体ペースト。
  9. 【請求項9】高温焼成対応貴金属粉末がペースト全重量
    に対して35〜85重量%配合されていることを特徴と
    する請求項8記載の導体ペースト。
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