JP2006196421A - 被覆導体粉末および導体ペースト - Google Patents

被覆導体粉末および導体ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】 耐半田性に一層優れた導体ペーストおよびこれを構成するための被覆導体粉末を提供する。
【解決手段】 銀粒子が焼結抑制作用を有する第1金属成分および焼結促進作用を有する第2金属成分の両者を含む被膜で覆われていることから、その第1金属成分によって銀粒子相互の反応性が低下させられる一方、第2金属成分によって銀粒子相互の反応性が高められる。そのため、このような被覆銀粉末を用いて形成された導体膜は、その耐半田性が第1金属成分によって高められると共に、その第1金属成分の添加に伴う被覆銀粉末の焼結性の低下が第2金属成分によって緩和される。したがって、銀粉末の焼結性を十分に高く保ちつつ、被膜を厚くすることが可能となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、銀または銀合金を導体成分とする導体ペーストおよびその導体ペーストを構成するための導体粉末の改良に関するものである。
例えば、チップコンデンサ等の電子部品の端子や表層部分の電極、或いは回路基板の導体配線等を形成するに際して、安価で導電性の高い銀または銀合金を導体成分とする導体ペーストが用いられている。これら電極や導体配線には部品や端子等が半田付けされるが、その際、半田内に銀が吸収される所謂「半田くわれ」が生じる問題がある。そのため、一般に、導体ペーストから形成された導体にニッケル鍍金等を施すことにより、耐半田性(すなわち半田耐熱性)の低い銀等から成る導体膜を保護することが行われている。なお、上記銀合金は、例えばAg-Pt、Ag-Pd等の銀を主成分とする導体である。
これに対して、焼結性を抑制する金属成分を含む被覆材料で銀または銀合金から成る導体粒子(これらを合わせて本願においては「銀を主体とする導体粒子」または単に「導体粒子」という。)を被覆することが行われている(例えば特許文献1〜3等を参照。)。このような被覆導体粉末を用いて形成された導体膜によれば、耐半田性が高められるので、ニッケル鍍金等が無用になって製造コストが低下する利点がある。上記金属成分は、例えば、Mg、Zr、Ti、Ni、Al、Y、Ca、およびZn等であり、例えば、有機化合物と金属との化合物、例えば炭素−金属結合を有する有機金属化合物(organometallic compound)等の形態や、酸化物ゾルの形態で被覆される。
また、耐半田性を考慮したものではないが、同様に銀を主体とする導体粒子の焼結を抑制するRh、Pt、Rt、B、Co、Mo、Zr、Ir、Mg、Ca等を有機化合物との化合物の形態で導体ペースト中に添加することにより、導体膜の剥離や破断等を抑制することも行われている(例えば特許文献4,5等を参照。)。導体粒子の被覆および導体ペースト中への添加の何れにおいても、過焼結延いては異常粒成長が抑制されると共に、導体膜内において焼結抑制成分が導体粒子の粒界に存在することによって導体成分の表面積が減じられることにより、反応性が低下して耐半田性が高められるものと考えられる。
特開2001−189602号公報 特開2002−298651号公報 特開2003−081683号公報 特開平07−176209号公報 特開2003−188302号公報
ところで、近年、鉛による環境汚染を抑制する目的で、電子部品等の製造工程においてもSn-Ag-CuやSn-Ag-Bi等の無鉛半田が用いられるようになっている。これら無鉛半田は、従来から一般的に用いられてきたPb-Sn半田に比較して、融点が例えば20〜50(℃)程度高い特性を有する。例えば、融点が最も低い共晶組成のPb37%-Sn63%の半田が183(℃)程度であるのに対し、無鉛半田の融点は例えば200〜230(℃)程度になる。そのため、高温且つ長時間で加熱して半田付けをする必要があることから、上記従来の被覆導体粉末を用いた導体ペーストや、Rh等を添加した導体ペーストでも耐熱性が不十分であった。例えば、無鉛半田で半田付けするための260(℃)×20秒程度の加熱では半田くわれが発生するのである。
しかも、耐半田性は導体膜が薄くなるほど低下する。そのため、電子部品や回路基板等の小型化・高密度化、或いは製造コスト低減等のために導体膜を薄くしようとする場合には、その耐半田性が一層問題となっていた。前記従来の導体ペーストは、例えば10(μm)未満の膜厚になると、鉛半田であっても耐半田性が不足していた。
すなわち、半田温度が高くなるほど、半田付け時間が長くなるほど、或いは膜厚が薄くなるほど、半田くわれが生じ易くなるため、従来の導体ペーストでは、近年の種々の要求に応えることが困難になっていたのである。これに対して、被覆導体粉末においては被覆量(すなわち導体粒子を覆う焼結抑制成分の量)を多くし、導体ペーストに焼結抑制成分を添加する場合においてはその添加量を多くすることにより、導体膜内で粒界に存在する焼結抑制成分の量を多くすることが考えられる。これらによれば、導体膜内で粒界に存在する焼結抑制成分の量が多くなって導体成分の露出面積が一層減じられるはずであるが、焼結性が著しく低下して導体膜の緻密性が損なわれるので、却って耐半田性が低下するのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、耐半田性に一層優れた導体ペーストおよびこれを構成するための被覆導体粉末を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の被覆導体粉末の要旨とするところは、銀の焼結を抑制する第1金属成分と、銀の焼結を促進する第2金属成分とを含む被覆材料から成る被膜で銀を主体とする導体粒子が被覆されたことにある。
また、第2発明の導体ペーストの要旨とするところは、前記第1発明の被覆導体粉末が所定のビヒクルに分散されたことにある。
また、第3発明の導体ペーストの要旨とするところは、銀を主体とする導体粒子が導体成分として所定のビヒクルに分散され且つ銀の焼結を抑制する第1金属成分および銀の焼結を促進する第2金属成分を有機化合物と金属との化合物の形態で含むことにある。
前記第1発明によれば、銀を主体とする導体粒子が焼結抑制作用を有する第1金属成分および焼結促進作用を有する第2金属成分の両者を含む被膜で覆われていることから、その第1金属成分によって導体粒子相互の反応性が低下させられる一方、第2金属成分によって導体粒子相互の反応性が高められる。そのため、このような被覆導体粉末を用いて形成された導体膜は、その耐半田性が第1金属成分によって高められると共に、その第1金属成分の添加に伴う被覆導体粉末の焼結性の低下が第2金属成分によって緩和される。したがって、導体粉末の焼結性を十分に高く保ちつつ、被膜を厚くすることが可能となる。すなわち、第1金属成分および第2金属成分を併用して被膜に適度な焼結抑制作用を与えることにより、導体粒子の焼結性を必要以上に低下させることなく被膜を厚くして、従来に比較して耐半田性が一層高く無鉛半田に対しても十分に強い被覆導体粉末が得られる。
また、前記第2発明によれば、上記のような被覆導体粉末が導体成分として含まれることから、第2発明の導体ペーストを用いて形成された導体膜は、その耐半田性が第1金属成分によって高められると共に、その第1金属成分の添加に伴う被覆導体粉末の焼結性の低下が第2金属成分によって緩和される。すなわち、第1金属成分および第2金属成分の併用により適度な焼結抑制作用が得られるので、従来に比較して耐半田性が一層高く無鉛半田に対しても十分に強い導体ペーストが得られる。
また、前記第3発明によれば、ビヒクル中に銀を主体とする導体粒子に加えてその焼結抑制作用を有する第1金属成分および焼結促進作用を有する第2金属成分が有機化合物と金属との化合物(例えば有機金属化合物)の形態で含まれることから、その第1金属成分によって導体粒子相互の反応性が低下させられる一方、第2金属成分によって導体粒子相互の反応性が高められる。そのため、このような導体ペーストを用いて形成された導体膜は、その耐半田性が第1金属成分によって高められると共に、その第1金属成分の添加に伴う導体粉末の焼結性の低下が第2金属成分によって緩和される。すなわち、第1金属成分および第2金属成分を併用して適度な焼結抑制作用を生じさせることにより、導体粒子の焼結性を必要以上に低下させることなく第1金属成分量を多くして、従来に比較して耐半田性が一層高く無鉛半田に対しても十分に強い導体ペーストが得られる。しかも、有機化合物と金属との化合物は金属や金属酸化物に比較してビヒクル中で良好な分散性を示すことから、ペーストの均一性が高められる利点もある。
なお、「銀を主体とする導電粒子」とは、銀のみから成る銀粉末の他、Ag-Pt合金、Ag-Pd合金等の銀合金から成るものを含む趣旨である。但し、導体粒子は可及的に高い導電性を有することが好ましく、例えば比抵抗が1×103(Ω・cm)以下のものが好ましい。したがって、銀単体で構成することが最も好ましいが、銀合金も好適に用いられる。銀合金の場合には、1.8〜5.0×10-6(Ω・cm)の範囲内の比抵抗となる組成のものが好ましい。また、導体粒子の粒径は特に限定されないが、印刷性や表面性状の面からは平均粒径が6.0(μm)以下のものを用いることが好ましい。また、平均粒径が小さくなるほど分散性が低下するので、導体粒子の平均粒径は、一層好適には0.3〜5.0(μm)の範囲内である。また、粒度分布は狭いことが望ましい。このような特性を備えたものであれば、導体粒子は従来から公知の任意の製造方法、例えば、還元析出法、気相反応法、ガス還元法等で製造したものを用い得る。
例えば、銀粉末の場合には、球状であれば5(μm)以下が好ましく、2(μm)以下が一層好適である。また、フレーク状であれば10(μm)以下が好ましく、6(μm)以下が一層好適である。
また、前記第1金属成分および第2金属成分は、それぞれ一種の金属元素で構成されてもよいが、何れも二種以上の金属元素で構成されてもよい。
また、前記第2発明および第3発明における「ビヒクル」は、導体粉末を分散させる媒質を意味するものであって、特に限定されないが、一般に、有機バインダーおよび有機溶剤等から構成される。有機バインダーとしては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、有機溶剤としては、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ブチルカルビトール、ターピネオール等が挙げられる。
なお、前記特許文献4においては、B,Moが焼結抑制成分として挙げられている。しかしながら、本発明においては、B,Moは焼結促進成分として機能する。すなわち、これらB,Moは、前記のAl,Zr等の焼結抑制成分に比較すると十分に融点が低いので、これらと併用する場合には焼結促進成分として働くのであり、前記特許文献4は、このような作用を見出していないものと考えられる。
ここで、前記第1発明乃至前記第3発明において、好適には、前記第1金属成分は、Al、Zr、Ti、Y、Ca、Mg、Zn、Ce、Co、Si、Ni、Mn、Nb、Ba、Sr、W、およびGeのうちの少なくとも一種であり、前記第2金属成分は、Bi、Mo、B、Cu、およびSbのうちの少なくとも一種である。これらの成分は、導体粉末の導電性を損なうことなくその焼結性を調節するものとして好適である。上記の中でも、第1金属成分としては、Ti、Zr、Mg、Al、Niが特に好ましく、第2金属成分としては、Bi、Mo、Cuが特に好ましい。
また、前記第1発明および第2発明において、好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した値で99.5:0.5乃至0.5:99.5の範囲内の重量比で前記被膜中に含まれるものである。また、前記第2発明において、好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した値で99.5:0.5乃至0.5:99.5の範囲内の重量比で含まれるものである。このようにすれば、融点の比較的高い半田に対しても耐半田性の一層高い被覆導体粉末および導体ペーストが得られる。上記比率は、所望とする耐半田性に応じて適宜定められるものであるが、上記比率よりも第1金属成分の割合が少なくなると、焼結抑制作用が弱くなるので、焼結が過度に進み延いては結晶粒径が比較的大きくなる。著しく少ない場合には、異常粒成長も生じ易くなる。また、上記比率よりも第1金属成分の割合が多くなると、焼結抑制作用が強くなるので焼結性が低下し延いては緻密性が低下する。そのため、何れの場合にも、例えば280(℃)で半田付けが行われるような融点が比較的高い半田に対して十分な耐半田性を得ることが困難になる。ここで「酸化物換算した値」とは、被覆導体粉末または導体ペーストを酸化雰囲気で焼成することにより、上記第1金属成分および第2金属成分を酸化物とした場合におけるそれぞれの質量を意味するものである。
一層好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分の比率は、酸化物換算した値で75:25乃至25:75の範囲内である。このようにすれば、第1金属成分の焼結抑制作用と、第2金属成分の焼結促進作用とが共に適度に現れることから、耐半田性が一層高められる。
また、前記第1発明および第2発明において、好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した合計量が前記導体粒子100重量部に対して0.01乃至4重量部の範囲内の割合で前記被膜中に含まれるものである。また、前記第2発明において、好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した合計量が前記導体粒子100重量部に対して0.01乃至4重量部の範囲内の割合で含まれるものである。このようにすれば、半田濡れ性が良く、且つ耐半田性の高い被覆導体粉末および導体ペーストが得られる。上記合計量は、所望とする焼結性、半田濡れ性、および耐半田性等に応じて適宜定められるものであるが、多くなるほど焼結性および半田濡れ性が低下する傾向があって、4重量部を超えると低下が顕著となるので、使用条件が著しく限定される。また、合計量が少なくなるほど被膜を設ける効果が弱くなるので、得られる耐半田性が低くなる。ここで「酸化物換算した合計量」とは、被覆導体粉末または導体ペーストを酸化雰囲気で焼成することにより、上記第1金属成分および第2金属成分を酸化物とした場合におけるそれらの合計質量を意味するものである。
一層好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分の酸化物換算した合計量は、前記導体粒子100重量部に対して0.05〜1重量部の範囲内の割合である。このようにすれば、耐熱性および濡れ性に一層優れた被覆導体粉末または導体ペーストが得られる。
また、前記第1発明および第2発明において、好適には、前記第1金属成分および前記第2金属成分は有機化合物との化合物の形態で前記導体粒子に被覆されるものである。このようにすれば、溶剤中に分散させ或いは溶解させた状態で導体粉末に塗布して被覆することが容易になる。すなわち、これら第1金属成分および第2金属成分は、単体で被膜中に含まれていてもよいが、金属間化合物、酸化物、或いは有機化合物との化合物等の種々の形態で含まれていても良く、更に、例えば、アルミナゾルやジルコニアゾル等の酸化物ゾルの形態で含まれていてもよいが、有機化合物との化合物の形態が最も好ましい。
上記有機化合物との化合物は、被覆導体粉末においては導体粒子を被覆可能なもの、被膜以外の形態で導体ペースト中に含まれる場合においてはビヒクル中に好適に分散可能なものであって、導体膜の形成後すなわち焼成後に導体粒子の表面に金属被膜または金属酸化物被膜を形成するものであれば特に限定されないが、例えば、有機酸金属塩、金属アルコキシド、キレート化合物が好適である。また、金属と有機化合物との化合物は、例えば炭素−金属結合を有する有機金属化合物(例えばレジネート)が好適に用いられる。
上記有機酸金属塩としては、各種脂肪酸(例えばナフテン酸、オクチル酸、エチルヘキサン酸)、アビエチン酸、ナフトエ酸等の有機酸との化合物すなわちカルボン酸塩が挙げられる。これらの有機酸金属塩によって被覆された被覆導体粉末或いはこれらの有機酸金属塩を含む導体ペーストから生成した導体膜は、特に高い耐半田性や接着強度を有する。有機酸金属塩の形態で好適に用いられるものは、第1金属成分のうちAl,Zr,Ti,Y,Ca,Mg等、第2金属成分のうちBi,Mo,Cu,B等であり、例えば、ナフテン酸チタン、酢酸マグネシウム、酢酸ビスマス、ナフテン酸モリブデン等の化合物が好適に用いられる。
また、上記金属アルコキシドの例としては、前記第1金属成分については、テトラプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)等のチタン(IV)アルコキシド、アルミニウムエトキシド(Al(OC2H5)3)、アルミニウムt-ブトキシド(Al(OC(CH3)3)3)、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムエチルアセトアセテート、アセトアルコキシアルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムアルコキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムブトキシド等のジルコニウムアルコキシド等が挙げられる。前記第2金属成分については、トリエトキシビスマス(Bi(OC2H5)3)、トリ-i-プロポキシビスマス(Bi(O-i-C3H7)3)等のビスマスアルコキシド、ペンタエトキシモリブデン(Mo(OC2H5)5)等のモリブデンアルコキシドが挙げられる。また、第1金属成分については、Zn、Mg、Ca等を中心金属原子(イオン)とし、第2金属成分については、Cuを中心金属原子とする種々の多核アルコラート錯体も用いられ得る。
また、上記キレート化合物の例としては、エチレンジアミン錯体、エチレンジアミンテトラアセタト錯体、或いはキレート樹脂等が挙げられる。エチレンジアミン錯体の中心金属原子は、第1金属成分については、Zn、Mg、Ca等が好適であり、第2金属成分については、Cuが好適である。また、キレート樹脂を構成する金属は、第1金属成分については、Ti、Zn、Mg等が好適であり、第2金属成分については、Cuが好適である。
また、前記被膜は、前記導体粒子の各々を完全に被覆するものであってもよいが、その表面を一部を露出させて不完全に覆うものであっても差し支えない。すなわち、被膜は導体粒子を完全に覆う連続膜、部分的に露出させて覆う連続膜、部分的に覆う島状の膜の何れであってもよい。導体粒子の表面が部分的に露出していても、被膜による反応性制御効果は十分に得られる。なお、被膜中の金属成分は、粒子として含まれていてもよいが、可及的に微細であることが好ましい。
また、前記導体ペーストは、前記被覆導体粉末および前記ビヒクルに加えて、導体膜の導電性、半田濡れ性、耐半田性、接着強度等を著しく損なわない範囲で、種々の無機添加剤を含んでもよい。無機添加剤としては、例えば、金属酸化物、ガラス粉末、その他のフィラー等が挙げられる。例えば、ガラス粉末や金属酸化物は、セラミックス等に導体膜を形成するに際してその接着強度を向上させる無機結合剤として用いられ得る。
上記ガラス粉末は、例えば酸化物ガラスが特に好ましく、また、導体膜の焼成温度よりも十分に低い例えば800(℃)以下の軟化点を有するものが好ましい。このようなガラス粉末としては、例えば、鉛系、亜鉛系、硼珪酸系ガラスが挙げられる。例えば、ZnO-SiO2系ガラス、ZnO-B2O3-SiO2系ガラス、Bi2O3-SiO2系ガラス及びBi2O3-B2O3-SiO2系ガラスのうちから選ばれる一種または二種以上が好ましい。また、ガラス粉末は、比表面積が0.5〜50(m2/g)、平均粒径が2(μm)以下のものが好ましく、1(μm)程度またはそれ以下のものが特に好適である。ガラス粉末の添加量は、例えば0.5(wt%)以下が好ましく、一層好適には0.25(wt%)以下である。なお、本発明の被覆導体粉末および導体ペーストの焼成温度は、導体粒子の種類や添加される場合には無機添加剤の種類や添加量等にもよるが、例えば、800〜900(℃)程度である。
また、上記金属酸化物としては、酸化銅、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン等が挙げられる。これらのうち、酸化銅、酸化ビスマスが特に好適である。特に酸化ビスマスは、導体粉末の焼結を促進するとともに、導体ペーストが塗布されるセラミックスとの濡れ性を高める利点がある。また、酸化銅は導体膜とセラミックスとの密着性を向上させ得る。また、金属酸化物は、例えば平均粒径が1〜5(μm)の範囲が好ましく、比表面積が0.5〜100(m2/g)の範囲が好ましい。このような大きさのものであれば、ペーストの充填率や分散性が好適に高められる。金属酸化物の添加量は、例えば5(wt%)以下が好ましく、一層好適には2.0(wt%)以下である。
また、前記導体ペーストは、例えば、60〜95(wt%)の範囲内の割合で前記被覆導体粉末または導体粉末を含むものである。これらの含有量は、一層好適には、70〜90(wt%)の範囲内である。また、前記ビヒクルの含有量は1〜40(wt%)の範囲が好ましく、1〜20(wt%)の範囲が一層好ましい。但し、含有率は用途に応じて所望の膜厚や導電性が得られるように定められるものであり、上記範囲に限定されない。
また、前記導体ペーストは、前記ビヒクルの他にカップリング剤、感光性樹脂、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、或いは重合禁止剤等を含んでいても良い。カップリング剤としては、例えばシリコン系やチタネート系のものが挙げられる。
また、第1発明の被覆導体粉末は、前記導体粒子の表面に前記第1金属成分および前記第2金属成分を含む被膜が形成されていれば足りることから、その製造方法は公知の種々の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば以下のようにして製造される。
すなわち、例えば、トルエン、キシレン、各種アルコール等の有機溶剤に、第1金属成分および第2金属成分と有機化合物との化合物や、第1金属成分および第2金属成分の酸化物ゾルを溶解し或いは分散して、これに導体粉末を分散させて懸濁液とした後、所定時間静置しまたは攪拌する。上記化合物は、第1金属成分および第2金属成分を共に含む単一の化合物であっても良く、それぞれを含む2以上の化合物の混合物であっても良い。
また、第2発明の導体ペーストは、導体粉末と共に前記第1金属成分および前記第2金属成分の化合物等を用い、或いは、上記のような被覆導体粉末を用いる他は、従来の導体ペーストと同様な方法で調製される。例えば、導体粉末と第1金属成分および第2金属成分を含む化合物等、或いは被覆導体粉末を、添加される場合には前述したような各種の添加成分と共にビヒクル中に混合し、例えば三本ロールミル等を用いて混練することにより、導体ペーストが得られる。
また、本発明の被覆導体粉末および導体ペーストは、特に用途を限定されないが、例えば、積層型を含むチップコンデンサ等の電子部品の外部電極や表層電極、ハイブリッドICやマルチチップモジュール等を含む回路基板の配線導体や電極等の形成に好適に用いられる。これらの用途においては、導体ペーストを用いて形成した導体膜に部品やリード線等が半田付けされることから、良好な半田濡れ性および高い耐半田性が有効に活かされる。すなわち、機械的強度および電気的特性に優れた接合が得られる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
先ず、被覆銀粉末の製造方法について説明する。例えば、一般的な湿式法により調製された平均粒径が1〜2(μm)程度の球状の銀粉末を用意した。一方、例えば、銀に対する焼結抑制作用を有する金属、例えばTiの有機化合物として、テトラプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)を用意すると共に、銀に対する焼結促進作用を有する金属、例えばBiの有機化合物として、トリ-i-プロポキシビスマス(Bi(O-i-C3H7)3)を用意した。これら2種の有機化合物を、例えば酸化物換算でTiO2とBi2O3が1:1程度の重量比でメタノール等の有機溶剤に添加し、例えば濃度が5〜100(g/l)程度のコーティング用溶液を調製した。
次いで、上記のコーティング溶液中に前記銀粉末を適当量懸濁させ、適宜撹拌しつつ、例えば1〜3時間程度だけ懸濁状態を維持した。その後、例えば60〜110(℃)程度の温度で通風乾燥した。これにより、Tiが酸化チタン(TiO2)換算で、Biが酸化ビスマス(Bi2O3)換算で、それぞれAg粉末の0.5(wt%)程度の量で含まれる被膜によって表面がほぼ均等に被覆された被覆銀粉末を得た。前記有機化合物の混合比は、焼成後にこのような被覆量が得られるように、予め判っているそれぞれの酸化物換算含有量に基づいて定める。
続いて、このようにして得られた被覆銀粉末をを使用して導体ペーストを調製した。すなわち、最終的なペースト濃度(重量比)が例えば被覆銀粉末が86.5(wt%)、無機添加剤が0.3(wt%)、およびビヒクルが残部すなわち13.2(wt%)となるように、これらを秤量し、三本ロールミルを用いて混練して、導体ペーストを得た。
上記無機添加剤は、例えば、酸化ビスマス0.2(wt%)、酸化銅0.1(wt%)である。また、ビヒクルは例えばエチルセルロースをターピネオールで溶解したものを用いた。
次いで、上記の導体ペーストを用いて、例えばアルミナ基板の上に回路パターンを形成した。導体ペーストは、例えば厚膜スクリーン印刷法によって塗布し、塗膜厚みは例えば10〜30(μm)程度の範囲内とした。これを例えば遠赤外線乾燥機を用いて、例えば100(℃)にて15分間の乾燥処理を施し、溶剤を除去した。すなわち、乾燥膜とした。
次いで、アルミナ基板を電気炉に投入し、例えば炉入口から出口まで60分間で送るスケジュールで850(℃)程度の温度で10〜20分間程度保持し、これに焼成処理を施した。これにより、乾燥膜から有機成分が焼失させられると共に、被覆銀粉末および無機添加剤が焼結させられ、導体膜が形成される。このようにして得られた導体膜は、滑らかな焼成後表面を備え、良好な半田濡れ性と、高い耐半田性とを有し、例えば融点が220(℃)程度の無鉛半田も好適に用い得るものであった。
下記の表1は、アルミナ等のセラミック基板に10(μm)厚みで形成した上記導体ペーストの特性を評価した結果を、被膜の構成が相違する他の実施例および本発明の範囲外の比較例と共にまとめたものである。表1のうち実施例2が前記導体ペーストに対応する。
表1において、「第1金属成分;量」、「第2金属成分;量」は、それぞれ、銀粉末に設けた被膜中に含まれる第1金属成分および第2金属成分の種類および被覆量である。種類は焼成後に形成される(或いは形成されると考えられる)酸化物で示し、被覆量はそれぞれを酸化物換算した質量を銀粉末を100重量部とした割合(重量部)で表した。
また、「半田濡れ性」は、形成された導体膜の表面にロジンフラックスを塗布した後、230±5(℃)の半田(例えば千住金属工業(株)製M705;組成はSn-3.0Ag-0.5Cu)に5秒間浸漬して試験した。試験後、外観を観察して、導体膜の表面の90(%)以上が濡れたものを良好(◎)とし、80(%)未満のものを不良(×)、これらの中間を○とした。
また、「耐半田性」は、260±5(℃)で10秒間(「260(℃)-10s」と表示)、260±5(℃)で20秒間(「260(℃)-20s」と表示)、および280±5(℃)で10秒間(「280(℃)-10s」と表示)の各半田温度および浸漬時間で、その他は上記半田濡れ性試験と同様にして試験を行った。試験後、外観を観察して、半田浸漬前後の導体膜の面積から導体膜の残存率(百分率)を算出し、その値を掲載した。一般に、導体膜の90(%)以上が残存していれば優れた耐半田性を有していると評価でき、80〜90(%)残存していれば、実用上十分な耐半田性を有していると言える。80(%)未満の残存率では、耐半田性が不十分で、実用に供し得ない。
上記の表1に示されるように、銀粉末に被膜を設けていない比較例1では、260(℃)-10sでも残存率が75(%)程度で耐半田性が不十分である。図1〜図4に、この比較例1の半田濡れ性試験後、260(℃)-10s耐半田性試験後、260(℃)-20s耐半田性試験後、280(℃)-10s耐半田性試験後のそれぞれの外観写真を示す。これらの写真に示されるように、比較例1は良好な半田濡れ性を示すものの、その際にも細幅のパターンではハンダくわれが認められる(図1)。また、それよりも高温の耐半田性試験では、最も緩やかな条件(図2)でも著しい半田くわれが生じ、260(℃)-20sでは太幅のパターンも断線し(図3)、280(℃)ではパターンが殆ど消失するに至った(図4)。なお、これらの写真に示されるパターンの線幅は、例えば、上下方向に伸びるもののうち左端に位置する最も細いものが100(μm)程度、中央に位置するものが150(μm)程度、右端に位置するものが200(μm)程度である。
また、焼結抑制効果を有する第1金属成分のみを含む被膜が設けられている比較例2〜4、および焼結促進効果を有する第2金属成分のみを含む比較例5では、260(℃)では10秒間で90〜93(%)程度、20秒間で82〜88(%)程度の十分な耐半田性を示すものの、280(℃)では70〜75(%)程度で耐半田性が不十分になる。すなわち、従来の鉛半田に対しては十分な耐熱性を有するものの、半田付け温度が高くなる無鉛半田では利用できない。図5〜図8に比較例3について上記図1〜図4のそれぞれに対応する外観写真を、図9〜図12に比較例5について上記図1〜図4のそれぞれに対応する外観写真を、それぞれ示す。
例えば、第1金属成分のみを含む被膜が設けられた比較例3では、半田濡れ性は良好であり(図5)、260(℃)-10sでは半田くわれがごく僅かに認められるに留まるものの(図6)、260(℃)-20sでは半田くわれが明らかに認められ(図7)、280(℃)-10sでは細幅パターンが消失すると共に、太幅パターンも半田くわれが顕著である(図8)。また、第2金属成分のみを含む被膜が設けられた比較例5でも、半田濡れ性は良好であるものの(図9)、260(℃)-20sでは半田くわれが明らかであり(図11)、280(℃)-10sでは細幅パターンが略消失すると共に、中幅パターンも半田くわれが顕著である(図12)。
これらに対して、実施例1〜14に示されるように、焼結抑制作用を有する第1金属成分と、焼結促進作用を有する第2金属成分とを共に含む被膜が設けられた被覆銀粉末を用いて形成した導体膜は、半田濡れ性が良好であり、280(℃)における耐半田性も82〜93(%)程度と良好な結果となった。例えば、実施例2について前記図1〜図4に対応する外観写真を図13〜図16に示すように、良好な半田濡れ性を有すると共に(図13)、何れの温度および時間においても高い耐半田性を示した(図14〜図16)。
なお、実施例1〜4は、何れもTi、Biを含むものであって、これらの含有量の比を酸化物換算で1:1の一定値とする一方、合計量を0.01〜4重量部の範囲で変化させたものである。また、実施例5〜8は、合計量を1重量部の一定値とする一方、含有量の比を0.995:0.005〜0.005:0.995の範囲で変化させたものである。また、実施例9〜14は、第1金属成分または第2金属成分を他の金属に置換えて、合計量を1重量部、含有量を1:1の何れも一定値としたものである。
また、比較例6は、第1金属成分および第2金属成分の合計量を0.005重量部比較例7は、その合計量を5重量部としたものであるが、前者では280(℃)における耐半田性が75(%)程度でやや不十分であり、後者では十分な耐半田性を示すものの半田濡れ性が不十分である。すなわち、本実施例によれば、これら2つの成分を併用することにより、焼結抑制作用を制御し延いては耐半田性を高めることができるが、0.005重量部では被覆量が少ないことから耐半田性が余り高くならず、5重量部では被覆量が多くなることから濡れ性の低下が顕著になる。したがって、このような添加量であっても一応の効果を得ることができるが、従来に比較すると改善の程度が小さく、或いは、弊害が生じてくるので、合計量は、実施例1〜4に示されるように0.01〜4重量部の範囲が好ましい。
また、比較例8は、第1金属成分と第2金属成分との比を0.999:0.001としたものであり、比較例9は、その比を0.001:0.999としたものであるが、前者では焼結不足傾向が認められ、後者では過焼結傾向が認められた。そのため、何れも280(℃)における耐半田性が77〜78(%)程度と不十分になった。したがって、これらの比でも一応の効果は認められるものの、高い効果を得るためには、実施例5〜8に示されるように0.995:0.005〜0.005〜0.995の範囲が好ましい。
また、実施例9〜14に示されるように、TiおよびBiに代えて他の金属元素の組合せとした場合にも、これらと同様な効果が得られることが判る。
なお、比較例2〜4では、第1金属成分が0.25重量部含まれているが、これらでは導体膜の焼結性が若干ではあるが低下する傾向が認められた。これは、焼結抑制効果を有する第1金属成分のみを含む被膜を設けた場合には、第1金属成分の量が増加するほど焼結性は低下するから、0.25重量部では被覆量が過剰であることを示している。すなわち、本実施例のように、第1金属成分および第2金属成分を共に含む場合には、例えば実施例4に示されるように合計で4重量部もの被覆量とすることができるが、第1金属成分のみを添加した場合には、少なくとも0.25重量部以上の多い被覆量とすることが困難であることが判る。
上述したように、本実施例によれば、銀粒子が焼結抑制作用を有する第1金属成分および焼結促進作用を有する第2金属成分の両者を含む被膜で覆われていることから、その第1金属成分によって銀粒子相互の反応性が低下させられる一方、第2金属成分によって銀粒子相互の反応性が高められる。そのため、このような被覆銀粉末を用いて形成された導体膜は、その耐半田性が第1金属成分によって高められると共に、その第1金属成分の添加に伴う被覆銀粉末の焼結性の低下が第2金属成分によって緩和される。したがって、銀粉末の焼結性を十分に高く保ちつつ、被膜を厚くすることが可能となる。
また、特に、第1金属成分と第2金属成分の割合を99.5:0.05〜0.05:99.5とした場合や、それらの合計被覆量を銀粉末100重量部に対して0.01〜4重量部とした場合には、一層高い効果を得ることができる。また、上記表1の結果によれば、280(℃)において残存率90(%)以上の優れた耐熱性が得られるのは、第1金属成分および第2金属成分が共に0.25重量部以上で、合計が1重量部以上、4重量部以下の場合であることが判る。但し、Biに代えてCuを用いた実施例10では耐熱性が若干低下する結果が得られており、BiおよびMoよりも添加量を多くすることが好ましいと考えられる。
下記の表2は、本発明の他の実施例であって、前記第1金属成分および前記第2金属成分を共に含む被膜を銀粉末に設けることに代えて、導体ペースト中にそれら第1金属成分および第2金属成分の一方または両方を添加した場合の試験結果を示したものである。なお、被膜が設けられていない銀粉末を用い或いは一方の成分のみを含む被膜が設けられている銀粉末を用いると共に、ペースト調製に際して第1金属成分の有機金属化合物および第2金属成分の有機金属化合物のうち被膜中に含まれていないものを添加した他は、前記実施例すなわち前記表1に示されるものと同様にして評価を行った。比較例10は、ペースト中に第1金属成分の有機金属化合物および第2金属成分の有機金属化合物を共に添加したが、その添加量が不足するものである。また、比較例11は、ペースト中に酸化物粉末の形態で第1金属成分および第2金属成分を添加したものである。
上記の表2に示されるように、被膜を設けることに代えて導体ペースト中に前記2成分の両方或いは一方を有機化合物と金属との化合物(例えば有機金属化合物)の形態で添加することによって、焼結抑制および焼結促進の2成分を含むペーストを調製しても、それら相反する作用を有する2成分を併用する効果が得られ、耐半田性が高められる。
但し、耐半田性の欄に掲載した各数値から明らかなように、このような添加方法の場合には、2成分を共に含む被膜を設けた場合に比較して、同一添加量における耐半田性が低くなる。すなわち、同程度の耐半田性を得るためには、2成分の合計量を両者を含む被膜を設ける場合に比較して多くする必要がある。例えば、残存率80(%)以上の十分な耐半田性を得るためには、2成分の合計量が0.01重量部では不足し、260(℃)-10sでも84(%)程度、280(℃)-10sでは70(%)程度の残存率に留まる。合計で1重量部以上の添加量にすれば、280(℃)-10sでも80(%)以上の十分な耐半田性が得られる。また、残存率90(%)以上の優れた耐半田性を得るためには、2成分の合計量を2重量部以上にすることが好ましい。良好な半田濡れ性が得られる添加量の上限は合計で4重量部以下であるから、第1金属成分および第2金属成分をペースト中に添加する態様では、好ましい範囲は1〜4重量部であり、一層好ましくは2〜4重量部である。
但し、第1金属成分および第2金属成分の一方を被膜の形態で添加する場合には、両方をペースト中に添加する場合に比較して耐半田性が高くなる傾向にある。すなわち、表2には示していないが、1重量部よりも少ない合計添加量でも280(℃)-10sで80(%)以上の残存率が得られることは、表2に示されるデータから明らかである。
なお、ペースト中に添加する場合に有機化合物と金属との化合物以外の形態で添加することも考えられる。しかしながら、比較例11に示されるように酸化物粉末で添加した場合には、260(℃)-10sでも83(%)程度、280(℃)-10sでは60(%)程度の残存率に留まった。すなわち、第1金属成分および第2金属成分の一方のみを添加した前記表1に示される比較例2〜5よりも劣る結果となり、第1金属成分および第2金属成分を併用する効果は認められなかった。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
銀粉末に被膜を設けていない比較例における半田濡れ性試験後の外観を示す写真である。 図1の比較例の260(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図1の比較例の260(℃)-20sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図1の比較例の280(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 銀粉末に第1金属成分のみを含む被膜を設けた他の比較例における半田濡れ性試験後の外観を示す写真である。 図5の比較例の260(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図5の比較例の260(℃)-20sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図5の比較例の280(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 銀粉末に第2金属成分のみを含む被膜を設けた更に他の比較例における半田濡れ性試験後の外観を示す写真である。 図9の比較例の260(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図9の比較例の260(℃)-20sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図9の比較例の280(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 銀粉末に第1金属成分および第2金属成分を共に含む被膜を設けた本発明の一実施例における半田濡れ性試験後の外観を示す写真である。 図13の比較例の260(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図13の比較例の260(℃)-20sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。 図13の比較例の280(℃)-10sの耐半田性試験後の外観を示す写真である。

Claims (8)

  1. 銀の焼結を抑制する第1金属成分と、銀の焼結を促進する第2金属成分とを含む被覆材料から成る被膜で銀を主体とする導体粒子が被覆されたことを特徴とする被覆導体粉末。
  2. 前記第1金属成分は、Al、Zr、Ti、Y、Ca、Mg、Zn、Ce、Co、Si、Ni、Mn、Nb、Ba、Sr、W、およびGeのうちの少なくとも一種であり、前記第2金属成分は、Bi、Mo、B、Cu、およびSbのうちの少なくとも一種である請求項1の被覆導体粉末。
  3. 前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した合計量が前記導体粒子100重量部に対して0.01乃至4重量部の範囲内の割合で前記被膜中に含まれるものである請求項1または請求項2の被覆導体粉末。
  4. 前記第1金属成分および前記第2金属成分は有機化合物との化合物の形態で前記導体粒子に被覆されるものである請求項1乃至請求項3の何れかの被覆導体粉末。
  5. 前記請求項1乃至請求項4の何れかの被覆導体粉末が所定のビヒクルに分散されたことを特徴とする導体ペースト。
  6. 銀を主体とする導体粒子が導体成分として所定のビヒクルに分散され且つ銀の焼結を抑制する第1金属成分および銀の焼結を促進する第2金属成分を有機化合物と金属との化合物の形態で含むことを特徴とする導体ペースト。
  7. 前記第1金属成分は、Al、Zr、Ti、Y、Ca、Mg、Zn、Ce、Co、Si、Ni、Mn、Nb、Ba、Sr、W、およびGeのうちの少なくとも一種であり、前記第2金属成分は、Bi、Mo、B、Cu、およびSbのうちの少なくとも一種である請求項6の導体ペースト。
  8. 前記第1金属成分および前記第2金属成分は酸化物換算した合計量が前記導体粒子100重量部に対して0.01乃至4重量部の範囲内の割合で含まれるものである請求項6または請求項7の導体ペースト。
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