JP2001335805A - 被覆金属粉末及びその製造方法、被覆金属粉末ペースト並びにセラミックス積層部品 - Google Patents

被覆金属粉末及びその製造方法、被覆金属粉末ペースト並びにセラミックス積層部品

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JP2001335805A JP2000149963A JP2000149963A JP2001335805A JP 2001335805 A JP2001335805 A JP 2001335805A JP 2000149963 A JP2000149963 A JP 2000149963A JP 2000149963 A JP2000149963 A JP 2000149963A JP 2001335805 A JP2001335805 A JP 2001335805A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層セラミックコンデンサに使用した場合ク
ラックやデラミネーションがなく、ショート不良率も極
めて低い被覆金属粉体を提供する。 【解決手段】 OH基を有する無機化合物で少なくとも
一部が被覆されている被覆金属粉末を開示する。金属粉
末は、好ましくはNi粒子又はAg−Pd粒子であり、
また、被覆する無機化合物は次式:ABO3-X/2(O
H)X (式中、AはMg,Ca,Sr,Baから選ば
れる1種又は2種以上の元素、BはTi,Zr,Hfか
ら選ばれる1種あるいは2種以上の元素を示す。またx
は式0<x<6を満足する数を表す。)で示される無機
化合物であり得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被覆金属粉末及び
その製造方法、被覆金属粉末ペースト並びにセラミック
ス積層電子部品に関する。電子部品としては内部導体を
有するもので、例えば、セラミックコンデンサ、共振
器、フィルタ、インダクタ、基板がある。
【0002】
【従来の技術】近年の電子関連機器の発達はめざまし
く、新製品の開発に対応して組み込まれる側の電子部品
に対しては小形化、高信頼性化および複合化を求める声
が大きくなっている。積層セラミックコンデンサーにお
いても、既存製品のレベルアップとして小形化、高容量
化が盛んに進められており、誘電体層の薄層化、多層化
が図られている。従来から高誘電率系積層セラミックコ
ンデンサーには、チタン酸バリウム系の誘電体に貴金属
であるPdが内部電極として用いられてきた。
【0003】しかしながら、高価な貴金属を用いている
ために、多層化による内部電極層数の増加はコストの増
大を招き、低価格化の要求に応えることが困難となって
いた。そこで内部電極をより安価な卑金属のNiが広く
使用されるようになった。一般にNi内部電極用のNi
ペーストは、電極形成成分としてのNi粉末と、セルロ
ーズ系樹脂やアクリル系樹脂などの樹脂、およびその溶
剤としてのトリメチルベンゼン、テルピネオールなどか
らなる有機バインダー成分とからなり、これらをスリー
ロールミルなどの機械的混練手段によって混練して混合
分散させることにより製造されている。
【0004】次に、上記したNiペーストを用いたセラ
ミックコンデンサーの製造について説明すると、先ずチ
タン酸バリウム(BaTiO3)などで代表される誘電
体粉末と、ポリビニルブチラールなどの有機バインダー
からなる誘電体グリーンシートに該Niペーストを所定
のパターンで印刷し、乾燥する。次にNiペーストが印
刷された誘電体グリーンシートを内部金属電極が交互に
重なるように積層し、熱圧着する。次いでこの積層体を
切断し、酸化性雰囲気中で500℃以下の温度で加熱し
て脱バインダーを行い、その後Ni内部電極が酸化しな
いように還元性雰囲気中で、約1300℃程度の温度に
加熱して内部電極および誘電体を焼結させる。その後焼
成チップの側面に内部電極と接続するように外部電極ペ
ーストを塗布して再焼成し、最後に外部電極上にNiめ
っきなどを施してセラミックコンデンサーは完成する。
【0005】上述したようにセラミックコンデンサーは
セラミック誘電体と、金属内部電極とを同時焼成するこ
とにより得られるが、その際に誘電体と電極の焼成によ
る収縮特性のマッチングを行うことが重要である。特に
酸化性雰囲気中の脱バインダー工程では、Ni粉末が酸
化し膨張するのに対して、誘電体グリーンシートはほと
んど寸法変化がない。したがって、Ni粉末の酸化膨張
が大きい程誘電体グリーンシートと電極層との間には大
きな応力が発生し、チップにクラックを生じたり、積層
構造が破壊したりする(以下、この現象をデラミネーシ
ョンという)という問題が発生する。
【0006】また還元性雰囲気での焼成工程では、Ni
粉末の還元反応による内部電極の収縮と高温での焼成収
縮とが起こり、このとき電極層の収縮挙動と誘電体の収
縮挙動が大幅に異なると、電極層と誘電体層との界面に
応力が発生して先の脱バインダー工程の場合と同様にク
ラックやデラミネーションが発生する。なお、一般にセ
ラミックコンデンサー製造に際し、常法で得られた純粋
なNi粉末を使用した内部電極を用いるときには、誘電
体シートの焼成による収縮が約1100℃で起こるのに
対し、内部電極の焼成による収縮はこれより低温側の7
00℃近辺から始まるといわれている。
【0007】これらの解決策として様々な改良がなされ
ている。例えば、表面の少なくとも1部に、LaとNi
を含む複合酸化物層を有するニッケル粉末(特開平10-3
24906号公報)、Ni100モルに対して、Al、C
o、CrまたはMnのうち少なくとも1種の元素を0.
01モル以上で1モル以下含有させてなるNi粉末(特
開平11-21644号公報)、表面の少なくとも一部に、式
で示される複合酸化物層を有するNi粉末。Axy
(x+2y)(但し、式中AはCa、Sr及びBaの1種又は
2種以上の元素、BはTi及びZrの1種又は2種の元
素を表す。xとyは次式を満足する数を表す。0.5≦
y/x≦4.5)(特開平11-124602号公報)等が提案
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のNi粉ではチタン酸バリウムなどの複合酸化物20〜
30%を混合して電極ペーストとして、焼結時の熱収縮
挙動をある程度コントロールする必要があった。積層コ
ンデンサーでは誘電体層の厚さが3μm以下、積層数が
数百層というものが製造されており、それにともなって
内部電極層1層の厚さが1μm以下となるため、Ni粉
は細かいもので0.2μmにまで超微粉化しなければな
らない。それにともなって、混合する複合酸化物も超微
粉化しなければならないが0.1μm以下の粒子になる
と、凝集した粉体となり易く、これをNi粉と混合して
もかえって電極層が厚くなってしまう問題があった。ま
た、複合酸化物が不均一に混合されるため、焼結の過程
で誘電体と収縮挙動の不一致が発生しデラミネーション
が起こってしまうことがあった。本発明者等は、上記問
題に鑑み鋭意検討した結果、ある種の複合酸化物で被覆
されたNi粒子は粒子それぞれが完全に複合酸化物層で
被覆されていることから、焼結の初期においてNi同士
の接触がないため、Ni粒子間の焼結速度を緩和し緻密
な内部電極層を形成させることができることを知見し、
本発明を完成させた。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、その
第1の局面において、金属粉末の表面の少なくとも一部
が無機化合物で被覆されている被覆金属粉末であって、
かつ該無機化合物は化合物中にOH基を有することを特
徴とする被覆金属粉末を提供するものである。ここで、
金属粉末は、Ni粒子又はAg−Pd粒子であり得るこ
とができ、また、被覆する無機化合物は次式: ABO
3-X/2(OH)X (式中、AはMg,Ca,Sr,Ba
から選ばれる1種又は2種以上の元素、BはTi,Z
r,Hfから選ばれる1種あるいは2種以上の元素を示
す。またxは式0<x<6を満足する数を表す。)で示
される無機化合物であり得る。
【0010】さらに又本発明はその第2の局面におい
て、金属粉末の水性懸濁体にA元素の化合物とB元素の
化合物とを添加して、金属粉末の表面に前記の無機化合
物を沈積被覆することを特徴とする被覆金属粉末の製造
方法を提供するものである。
【0011】さらに又本発明はその第3の局面におい
て、前記の被覆金属粉末と樹脂バインダーからなること
を特徴とする被覆金属粉末ペーストを提供するものであ
る。
【0012】さらに又本発明はその第4の局面におい
て、前記の被覆金属粉末を用いることを特徴とするセラ
ミックス積層電子部品を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の被覆金属粉末は、金属粉
末の表面に少なくとも一部無機化合物で被覆されている
被覆金属粉末であって、かつ該被覆している無機化合物
は化合物中にOH基を有することを特徴とするものであ
る。被覆している無機化合物としては、ABO
3-X /2(OH)X(式中、AはMg,Ca,Sr,Baか
ら選ばれる1種又は2種以上の元素、BはTi,Zr,
Hfから選ばれる1種あるいは2種以上の元素を示す。
またxは式0<x<6を満足する数を表す。)で示され
る化合物である。A、Bの好ましい組み合わせは、Ti
とBaである。係る被覆する無機化合物は、金属粉末の
水溶液中で表面に沈積するために、OH基を有する。係
るOH基は、例えば300℃以上に焼成するとOH基は
確認することができなくなるが、OH基の確認は赤外線
吸収スペクトル(IR)のピ−クの有無にて行うもので
ある。即ち、OH基を確認できないとは、赤外線吸収ス
ペクトル図上で吸収ピークがスペクトルベースに対して
ピークの存在が無いか、又はピークはあってもベースラ
インに対して僅かにブロードに盛り上がっている程度の
ものも含まれるものである。
【0014】金属粉末表面に被覆される無機化合物は、
ABO3-X/2(OH)X で示されるように複合酸化物
を沈積被覆するものであるが、この ABO3-X/2(O
H)Xのモル比は、A/B=0.5〜1.5、好ましく
は0.8〜1.2である。係る構造は、X線回折スペク
トルにより確認することができる。係る被覆無機化合物
層は、水溶液中で被覆されるものであるが、被覆時に結
晶化したもので擬似立方晶のペロブスカイト型構造を形
成し、化合物中に水酸基を含有している。被覆金属粉末
の核となるものは、Ni粒子又はAg−Pd粒子であ
る。好ましくはNi粒子であるが、何れにしてもセラミ
ックス積層電子部品用として工業的に入手できるもので
あれば特に制限されない。具体的には、平均粒子径0.
1〜0.5μmであり、BET比表面積が1〜4m2
g程度、純度として99.9%以上、形状は球形である
が、これらに限定されるものではない。
【0015】更に、本発明の被覆金属粉末は、 ABO
3-X/2(OH)X で示される複合酸化物が粒子表面に均
一に被覆されているものであり、その粒径は基本的には
原料であるNi粒子又はAg−Pd粒子の形状に依存
し、Ni粒子又はAg−Pd粒子の特性を利用すること
ができる。本発明の被覆程度は、SEM写真観察により
測定される平均粒径(X)とBET比表面積から計算さ
れる平均粒子径(Y)との粒径比(Z=X/Y)の割合
で表される。Ni粉において十分な酸化防止効果を得る
ためには、この割合が3以上、少なくとも2以上であ
る。
【0016】なお、電子顕微鏡写真から測定される粒子
径は、測定個数は多ければ多いほどよいが、写真での測
定上、粒子200個以上であればよい。係る電子顕微鏡
写真から測定される平均粒子径は、0.1〜1.0μm
であるが、測定される粒子の最大粒子径が平均粒子径の
4倍以下であることが好ましい。平均粒子径が、例えば
1μmであった場合は、最大粒子径は4μm以下であ
る。これは、最大粒子径が4以上の粒子が存在すると内
部電極層の厚みを越えてしまうことによる。
【0017】また、BET比表面積から導き出される粒
子径は次式(1)により計算される。 BET比表面積による粒子径=6/(密度×比表面積) (1)
【0018】本発明の製造方法は、金属粉末の水性懸濁
体にA元素の化合物とB元素の化合物とを添加して、金
属粉末の表面に ABO3-X/2(OH)X を沈積被覆す
ることである。使用するA元素の化合物は、A元素の酸
化物、水酸化物、アルコキシド等から選ばれる1種又は
2種以上である。具体的には、Mg,Ca,Sr,Ba
等の酸化物又は水酸化物、アルコキシドである。中でも
好ましくは水酸化バリウムである。また、他に使用する
B元素の化合物は、B元素の酸化物、水酸化物、アルコ
キシド等から選ばれる1種又は2種以上である。具体的
には、Ti,Zr,Hf等の酸化物又は水酸化物、アル
コキシドである。中でも好ましくはチタニウムアルコキ
シドである。ただし、A元素の化合物に水酸化物を使用
した場合か、又はアルカリとしてNaOH、KOH、L
iOHを用いた場合は、その他の原料は塩化物、硝酸
塩、酢酸塩でよい。
【0019】本発明の製法を更に具体的に説明すると、
金属粉末を懸濁液としておき、その溶液にA元素の化合
物およびB元素の化合物又はその溶液を連続的に添加し
て反応させるものである。反応温度は、特に限定されな
いが、通常20〜100℃程度である。また、反応時間
も特に限定されないが、通常0.5〜24時間程度であ
る。反応終了後、所定の方法で濾過後、洗浄、乾燥を
し、本発明の被覆金属粉末を得ることができる。本発明
の係る被覆金属粉末は、積層セラミックスコンデンサー
の製造工程の1つである、内部電極を形成する時に使用
するペーストを用いるスクリーン印刷に利用することが
できる。係るペーストは、本発明の被覆金属粉末を有機
バインダに分散させてスラリーにしたものである。使用
される有機バインダとしては、各種の樹脂を有機溶剤に
溶解した状態で使用する。代表的な有機バインダとして
は、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、
ロジンエステル、各種セルロース等である。また、有機
溶剤としては、アルコール系、炭化水素系、エーテル
系、エステル系がある。
【0020】その他の添加剤として、ワックス類、界面
活性剤、セラミックス粉末、有機ベントナイト等が使用
される。内部電極形成としては、スクリーン印刷法で行
うことができ、通常の方法、例えば印刷、乾燥、脱バイ
ンダ及び本焼成等の焼成工程を経て形成する公知の方法
により得ることができる。さらに、本発明の被覆金属粉
末ペーストは、セラミックス積層電子部品として使用す
ることができる。電子部品としては内部導体を有するも
ので、例えば、セラミックコンデンサ、共振器、フィル
タ、インダクタ、基板がある。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に説明する
が、これらに限定されるものではない。 (実施例1)平均粒径0.51μm、比表面積(1.2
7m2/g)のニッケル粉120g、水酸化バリウム50
gをイオン交換水1リットルに加えて、80℃でよく攪
拌する。続いてテトラブチルタイタネイト40gを30
分で添加し、8時間熟成した。このスラリーを分離後、
真空乾燥機にて120℃で乾燥し、粉砕した。この粉体
をXRD測定、IR測定、SEM撮影を行ったところ水
酸基を含有するチタン酸バリウムで全面が被覆されたニ
ッケル粉であることが確認された。図1はこの粉体のI
R測定チャートである。図1において、OH基は350
0cm-1のピークで確認できる。比表面積は12.81
2/g、密度は7.92g/ccであった。このニッ
ケル粉について熱重量分析(TG)及び 熱機械分析(TM
A)を行って大気中酸化特性および非酸化雰囲気中収縮
特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0022】また、以下の手順で積層セラミックコンデ
ンサを作製した。 (導電性ペーストの作製)まず、上記した被覆ニッケル粉
50重量%とビヒクル50重量%(エチルセルロース5
%とα−テルピネオール95%)をスリーロールミルに
より混合分散して導電性ペーストを作製した。
【0023】(セラミックグリーンシートの作製)チタン
酸バリウムを主成分とする誘電体粉末に有機溶剤を分散
媒として用い、有機系バインダ、可塑剤を添加して十分
に湿式混合し、スラリーを作製した。前記スラリーを使
用して、ドクターブレード法によりシート成型を行っ
て、誘電体セラミック用のグリーンシートを得て乾燥し
た。
【0024】(積層体の作製)得られたグリーンシート
の一面に導電性ペーストを複数個の内部電極パターンに
印刷し、乾燥後、複数のグリーンシートを積層して圧着
し、切断して積層体を作製した。
【0025】(焼結体の作製)この積層体を空気中にお
いて330℃で5時間加熱して脱バインダ処理を行った
後、H2/N2の体積比が2/100の還元ガス流中にお
いて1250℃で2時間焼成することにより焼結体を作
製した。
【0026】(再酸化、端子電極取付)次に、前記焼成
により欠乏した酸素を補うために、空気雰囲気において
800℃で4時間焼成して再酸化した後、焼結体の両端
部にCuペーストを塗布して焼き付けることにより、端
子電極を形成して、積層セラミックコンデンサとした。
積層セラミックコンデンサの内部電極はその厚みを1.
5μmとし、誘電体層の厚みを5μmとし、誘電体層の
積層数を50層とした。外形寸法は3.2mm×1.6
mm×1.2mmである。
【0027】上述のようにして得られた積層セラミック
コンデンサを、各試料100個ずつ樹脂で固めて研磨
し、倍率400倍の顕微鏡観察を行い、クラックやデラ
ミネーションの有無を検査した。さらに、この積層セラ
ミックコンデンサに直流10Vを印加し、30秒後の絶
縁抵抗が100MΩ以下のものを不良とした耐圧不良率
(ショート不良率)試験を行った。結果を表2及び表3に
示す。
【0028】(実施例2)平均粒径0.51μm、比表
面積(1.27m2/g)のニッケル粉120g、水酸化
バリウム25gをイオン交換水1リットルに加えて、8
0℃でよく攪拌する。続いてテトラブチルタイタネイト
20gを30分で添加し、8時間熟成した。このスラリ
ーを分離後、真空乾燥機にて120℃で乾燥し、粉砕し
た。この粉体をXRD測定、IR測定、SEM撮影を行
ったところチタン酸バリウムで全面が被覆されたニッケ
ル粉であることが確認された。比表面積は7.92m2
/g、密度は8.33g/ccであった。このニッケル粉
について熱重量分析(TG)及び 熱機械分析(TMA)を
行って大気中酸化特性および非酸化雰囲気中収縮特性を
評価した。また、実施例1と同様の方法にて積層セラミ
ックコンデンサを作製し、同様の試験を行った。それぞ
れの結果を表2及び表3に示す。
【0029】(実施例3)平均粒径0.51μm、比表
面積(1.27m2/g)のニッケル粉120g、水酸
化バリウム50gをイオン交換水1リットルに加えて、
80℃でよく攪拌する。続いてメタチタン酸(TiO
(OH)2)のスラリー(TiO2換算で408g/L)
23.0gを添加し、8時間熟成した。このスラリーを
分離後、真空乾燥機にて120℃で乾燥後、粉砕した。
この粉体をXRD測定、IR測定、SEM撮影を行った
ところチタン酸バリウムで全面が被覆されたニッケル粉
であることが確認された。比表面積は4.31m2
g、密度は7.98g/ccであった。このニッケル粉
を用いて大気中酸化特性および非酸化雰囲気中収縮特性
を評価した。また、実施例1と同様の方法にて積層セラ
ミックコンデンサを作製し、同様の試験を行った。それ
ぞれの結果を表2及び表3に示す。
【0030】(実施例4)平均粒径0.25μm、比表
面積(2.62m2/g)のニッケル粉120g、水酸
化バリウム50gをイオン交換水1リットルに加えて、
80℃でよく攪拌する。続いてテトラブチルタイタネイ
ト40gを30分で添加し、8時間熟成した。このスラ
リーを分離後、真空乾燥機にて120℃で乾燥後、粉砕
した。この粉体をXRD測定、IR測定、SEM撮影を
行ったところチタン酸バリウムで全面が被覆されたニッ
ケル粉であることが確認された。比表面積は15.64
2/g、密度は7.98g/ccであった。このニッ
ケル粉を用いて大気中酸化特性および非酸化雰囲気中収
縮特性を評価した。また、実施例1と同様の方法にて積
層セラミックコンデンサを作製し、同様の試験を行っ
た。それぞれの結果を表2及び表3に示す。
【0031】(実施例5)平均粒径0.51μm、比表
面積(1.27m2/g)のニッケル粉120g、水酸
化バリウム50gをイオン交換水1リットルに加えて、
80℃でよく攪拌する。続いてテトラブチルタイタネイ
ト40gを30分で添加し、8時間熟成した。このスラ
リーを分離後、真空乾燥機にて120℃で乾燥し、粉砕
した。この粉体をXRD測定、IR測定、SEM撮影を
行ったところ水酸基を含有するチタン酸バリウムで全面
が被覆されたニッケル粉であることが確認された。比表
面積は12.81m2/g、密度は7.92g/ccで
あった。このニッケル粉について熱重量分析(TG)及
び 熱機械分析(TMA)を行って大気中酸化特性およ
び非酸化雰囲気中収縮特性を評価した。また、実施例1
と同様の方法にて積層セラミックコンデンサを作製し、
同様の試験を行った。それぞれの結果を表2及び表3に
示す。
【0032】(比較例1)平均粒径0.51μm、比表
面積(1.27m2/g)のニッケル粉を用いて大気中
酸化特性および還元雰囲気中収縮特性を評価した。図2
はこの粉体のIR測定チャートである。図2において、
3500cm-1付近のOH基のピークは観察されない。
また、実施例1と同様の方法にて積層セラミックコンデ
ンサを作製し、同様の試験を行った。それぞれの結果を
表2及び表3に示す。
【0033】(比較例2) (チタン酸バリウムの製造方法)硫酸法二酸化チタン製造
における中間生成物である硫酸チタニル(TiOS
4)の加水分解により生成したチタン水和物またはメ
タチタン酸(TiO(OH)2)のスラリー(TiO2
算で408g/L)に対し水酸化バリウムを1.2倍モ
ル(Ba(OH)2・8H2O/TiO2=1.2)と
なるように添加して、メタチタン酸スラリーの4倍量の
水を加え攪拌しながら温度を95℃に保持し、2時間反
応を続行させた。次いで濾過装置により固液分離を行
い、得られたウェットケーキを洗浄装置に入れ、温度8
0℃の温水で過剰の水酸化バリウムを十分洗い流す。次
いで再び濾過を行い、得られた結晶粉末を105℃にて
乾燥した。
【0034】平均粒径0.51μm、比表面積(1.2
7m2/g)のニッケル粉120gと上述の方法で作製
した平均粒径0.1μmのチタン酸バリウム24gをイ
オン交換水1リットルに入れ、ホモミキサーで5分間混
合した。このスラリーを分離後、真空乾燥機にて120
℃で乾燥し、粉砕した。比表面積は2.84m2/g、
密度は7.97g/ccであった。このニッケル粉を用
いて大気中酸化特性および非酸化雰囲気中収縮特性を評
価した。また、実施例1と同様の方法にて積層セラミッ
クコンデンサを作製し、同様の試験を行った。それぞれ
の結果を表2及び表3に示す。
【0035】(比較例3)粒径0.25μm、比表面積
(2.62m2/g)のニッケル粉を用いて大気中酸化
特性および非酸化雰囲気中収縮特性を評価した。また、
実施例1と同様の方法にて積層セラミックコンデンサを
作製した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明の被覆金属粉末は上記のように構
成したので、表1、表2及び表3から判るように、大気
中酸化特性や非酸化雰囲気中収縮特性に優れ、これを使
用した積層セラミックコンデンサもクラックやデラミネ
ーションがなく、ショート不良率も極めて低く、各種電
子部品の製造に有利に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1により製造された被覆金属粉
末のIR測定チャートである。
【図2】比較例1のIR測定チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 361 H01G 1/01 Fターム(参考) 4K018 BA01 BA04 BB04 BC28 BD04 5E001 AC09 AH04 AJ03 AJ04 5E082 AA01 AB03 EE04 EE11 EE23 EE35 FF05 FG06 FG26 GG10 GG11 GG12 GG26 GG28 JJ03 JJ23 KK01 LL01 PP03 PP09 PP10 5G301 DA03 DA10 DA11 DA33 DD01 DE03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末の表面の少なくとも一部が無機
    化合物で被覆されている被覆金属粉末であって、かつ該
    無機化合物は化合物中にOH基を有することを特徴とす
    る被覆金属粉末。
  2. 【請求項2】 金属粉末は、Ni粒子又はAg−Pd粒
    子である請求項1に記載の被覆金属粉末。
  3. 【請求項3】 被覆する無機化合物は次式: ABO3-X/2(OH)X (式中、AはMg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種
    又は2種以上の元素、BはTi,Zr,Hfから選ばれ
    る1種あるいは2種以上の元素を示す。またxは式0<
    x<6を満足する数を表す。)で示される化合物であ
    る、請求項1又は2に記載の被覆金属粉末。
  4. 【請求項4】 被覆する無機化合物は、粒子の1次粒径
    が0.1μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記
    載の被覆金属粉末。
  5. 【請求項5】 被覆金属粉末のSEM写真測定により得
    られる平均粒子径(X)とBET比表面積から算出され
    る粒子径(Y)との粒径比(Z=X/Y)は2以上であ
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の被覆金属粉末。
  6. 【請求項6】 金属粉末に対する無機化合物の被覆量が
    0.1〜50wt%である、請求項1〜5のいずれかに記
    載の被覆金属粉末。
  7. 【請求項7】 金属粉末の水性懸濁体にA元素の化合物
    とB元素の化合物とを添加して、金属粉末の表面に、次
    式: ABO3-X/2(OH)X (式中、AはMg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種
    又は2種以上の元素、BはTi,Zr,Hfから選ばれ
    る1種あるいは2種以上の元素を示す。またxは式0<
    x<6を満足する数を表す。)で示される無機化合物を
    沈積被覆することを特徴とする被覆金属粉末の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 A元素の化合物及びB元素の化合物は、
    水酸化物又はアルコキシドである、請求項7に記載の被
    覆金属粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の被覆金
    属粉末と樹脂バインダーからなることを特徴とする被覆
    金属粉末ペースト。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載の被覆
    金属粉末を用いることを特徴とするセラミックス積層電
    子部品。
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