JP2529410B2 - 誘電体磁器組成物とそれを用いた積層セラミックコンデンサとその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物とそれを用いた積層セラミックコンデンサとその製造方法

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JP2529410B2 JP1248326A JP24832689A JP2529410B2 JP 2529410 B2 JP2529410 B2 JP 2529410B2 JP 1248326 A JP1248326 A JP 1248326A JP 24832689 A JP24832689 A JP 24832689A JP 2529410 B2 JP2529410 B2 JP 2529410B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、電子機器に用いられるセラミックコンデン
サ、特にニッケルからなる内部電極を有する積層セラミ
ックコンデンサ用の高誘電率な誘電体磁器組成物とそれ
を用いた積層セラミックコンデンサとその製造方法に関
するものである。
従来の技術 積層セラミックコンデンサは、電極と誘電体磁器組成
物とが層状に構成されているもので、セラミックス作製
技術によって一体化、固体化されるため、小型、大容量
のものが得られる。さらに電極が内蔵されるため、磁気
誘電成分が少く高周波用途にも優れた性能を示す。また
チップ型は、リード線がないため部品実装の際、直付け
が可能で電子機器の小型軽量化への要求にもマッチし、
今後増々発展が期待されている。
一方、コンデンサの材質における分類から、アルミ電
解,タンタル電解,紙,有機フィルムなどが上げられ、
積層セラミックコンデンサの容量範囲から、それらのす
べてと競合関係にある。従って、積層セラミックコンデ
ンサに対する今後の要求は、大容量化,小型化,低価格
化である。積層セラミックコンデンサの容量は一般的に
次の式で表わせる。
Eo:真空の誘電率 Es:誘電体材料の比誘電率 n:積層数 s:電極面積 d:一層当りの誘電体の厚さ 大容量化に向けては、上式よりも明らかな様に、誘電
体材料の高誘電率化、電極面積を大きくするための高積
層化、誘電体層の薄層化に対する取り組みがなされてい
る。
小型化に対しては、チップ形状が、3.2mm×1.6mmから
2.0mm×1.25mmや1.6mm×0.8mm、さらには、1.0mm×0.5m
mへという取り組みがなされている。次に低コスト化で
あるが、これが最も大きな要求である。なぜならば、大
容量化,小型化は、低コスト化と相反する要求ではな
く、大容量化,小型化と同時に取り組むべき課題だから
である。
従来の積層セラミックコンデンサは、BaTiO3を誘電体
材料の主成分とし、内部電極に貴金属Pdを用いている。
そのため、生産コストに占める内部電極材料コストの比
率が極めて高く、7割以上とも言われている。特に静電
容量の大きなものでは内部電極数が多くなるため、さら
にコスト高となり、積層セラミックコンデンサは容量効
率が高く、その他誘電的特性に優れかつ高信頼性にもか
かわらず価格面がその進展に大きな障害となっていた。
そしてこれらのコストダウンを目ざして各方面で種々
の検討がなされている。中でも、貴金属のうちでも比較
的コストの安いAgに着目し、Ag−Pdを内部電極材料とす
る方法が検討されている。
(例えば、特開昭49−19399号公報、K.S.Subbrao:(ジ
ェイ ピービィス シーベム ソリクルス)J Pbys.C
bem.Solicls,236,65(1962)) 一方、Agでもコストが高いとし、卑金属化を指向する
方向もある。つまり電極材料にNiを用いるというもので
ある。Niなどの卑金属を内部電極として使用すると、Ba
TiO3を主成分とする誘電体と卑金属内部電極とをニッケ
ルが酸化されない非酸化性雰囲気中で同時焼成しなけれ
ばならない。しかしこの場合、従来のBaTiO3または、そ
の固溶体からなる誘電体は容易に還元されてしまい絶縁
性を失い、その結果積層セラミックコンデンサとして実
用的な誘電体特性が得られなくなるという欠点を有して
いた。そこで、中性または還元性雰囲気で焼成しても還
元されない材料として、非還元性セラミック誘電体材料
の開発も行なわれている。
(例えば特開昭55−37568号公報、特開昭61−256968号
公報、特開昭60−109104号公報など。) 次に、Niを内部電極とする積層セラミックコンデンサ
の製造方法においては、一般に、表面に内部電極(Ni)
が塗布されたBaTiO3を主成分とする誘電体グリーンシー
トを複数枚積層した末焼結積層体を、内部電極のNiが酸
化されないような極めて酸素分圧の低い窒素雰囲気下で
焼結一体化することにより作製している。
発明が解決しようとする課題 本発明は、NiとNiOの平衡酸素分圧以下という極めて
低酸素分圧下の焼成においても半導体化せず、絶縁抵抗
の低下をまねかない高誘電率でかつ低誘電正接な、さら
には、信頼性とりわけ高温負荷、高温高湿負荷において
も劣化の少ない誘電体磁器組成物を提供するものであ
る。
そして、この誘電体磁器組成物を用いることにより、
高性能は、Niを内部電極とした積層セラミックコンデン
サを提供するものである。
次に、本発明は、従来のNiを内部電極とする積層セラ
ミックコンデンサの製造方法の課題点を解決する新しい
製造方法を提供するものである。それは従来の製造方法
においては、内部電極と誘電体材料を同時焼成するとき
に有機バインダの使用に困難を生ずる点にある。つまり
誘電体グリーンシートに用いられる有機バインダ、およ
び電極ペーストに含まれる同じく有機バインダが非酸化
性雰囲気下では完全に除去することが困難である。そし
て、完全に除去できなければ誘電体材料そのものも多孔
質のままで存在するといわれており、焼結が進行しない
ばかりか、分解後のカーボンのために黒ずんだものしか
得られない。そしてこの課題は、積層セラミックコンデ
ンサの大容量化に伴う積層数の増加や、低温焼成化に伴
う、誘電体粉の微粉化でシート中の有機成分含有率が増
加した場合、今以上に重要な課題となることが予想され
る。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために、本発明の誘電体磁器組成
物はチタン酸バリウムの構成元素のTiを2.5mol%以上、
20mol%以下の範囲になるようにZrで置換したチタン酸
バリウム系複合酸化物に、1mol%以上、5mol%以下の範
囲のMnO2と、さらにY2O3とYb2O3を同時に、かつその合
計が0.2mol%以上、2mol%以下になるように添加したこ
とを特徴とする。さらに、上記誘電体磁器組成物に、Dy
2O3,Tl2Oのうち少なくとも1種以上を0.1mol%以上、1m
ol%以下の範囲で添加した事を特徴とする。さらに、Ni
O,Co2O3のうち少なくとも1種以上を0.1mol%以上、2mo
l%以下の範囲で添加した事を特徴とする。チタン酸バ
リウム系複合酸化物の構成元素のBaを5mol%以下の範囲
でCa、Mg、Srのいずれか1種以上で置換するか、あるい
はBa、Ca、Mg、Srの和がTiとZrの和に対してmol比で0.9
8以上、1.03以下になる範囲でCaO、MgO、SrOのいずれか
1種以上を添加したことを特徴とするものである。
また、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法
は、上記の誘電体組成物と少なくとも有機バインダ、溶
剤、可塑剤からなるグリーンシート上に、ニッケルの酸
化物を主成分として少なくとも有機バインダと有機溶剤
とからなるビヒクルとともに混練したペーストを印刷し
パターン膜を形成する工程と、該印刷されたグリーンシ
ートを所望の枚数だけ加熱加圧することによって積層化
する工程と、この様に積層された積層体を所望の寸法に
切断する工程と、これを前記誘電体磁器組成物が終結し
始めない温度の空気中で加熱し、有機バインダを燃焼さ
せる工程と、これを還元雰囲気中で熱処理し、ニッケル
の酸化物を金属に還元せしむる工程と、これをニッケル
融点より低い温度の窒素雰囲気中で焼成し、誘電体磁器
組成物と金属とを緻密化する工程からなることを特徴と
するものである。
作用 本発明の誘電体磁器組成物は、MnO2を含んでいるた
め、チタン酸バリウムの低酸素分圧下での焼成による半
導体化を電荷補償により抑制する効果がある。これによ
って低酸素分圧下の焼成においても良好な絶縁抵抗を示
すこととなる。チタン酸バリウムの構成元素のTiの一部
をZrで置換する目的は、誘電体磁器組生物のキュリー点
(Tc)を低温側にシフトさせ、室温での誘電率を高くす
るためである。しかしながら、チタン酸バリウム系複合
酸化物にMnO2を添加しただけの誘電体磁器組成物では、
低酸素分圧下の焼成により良好な絶縁抵抗は得られるも
のの高誘電率を得ることは出来ない。そのため、Yb2O3
とY2O3を添加する。これらの酸化物は低酸素分圧下でも
非常に安定で還元されにくい。さらに焼成において、誘
電体の粒成長を促進する働きがあるため、誘電体の高誘
電率化に対しても効果がある。ここで重要な点は、Yb2O
3,Y2O3の一方だけを添加するのではなく、両方を添加す
ることである。Y2O3だけの添加は、誘電率を非常に高く
する上では有効であるが、ともすれば、誘電体の粒成長
を異常なまでに促進し(>10μm)、特性において安定
性を欠き、信頼性面においても高温負荷、高温高湿負荷
による劣化が起こりやすくなる。又、Yb2O3だけの添加
は、異常な粒成長を起こさず、低酸素分圧下の焼成にお
いても絶縁抵抗をMnO2だけの添加に比べさらに高める効
果がある。しかしながら、誘電率がMnO2だけを添加した
場合と比べてあまり高まらない。しかしながら、Yb2O3
とY2O3の両酸化物を添加する事により、それぞれの酸化
物の添加の長所をのばし、欠点をおぎない、極めて高い
誘電率でかつ信頼性の高い積層セラミックコンデンサの
作製が可能となる。又、Dy2O3,Tl2Oの添加は、誘電率を
ほとんど低下させる事なく、絶縁抵抗を向上させる効果
がある。又、NiO,Co2O3等の添加は、誘電正接(tanδ)
を下げ、かつ誘電体の焼結温度を下げるため、緻密な焼
結体を得る上で有効であり、積層セラミックコンデンサ
の機械的強度の向上に効果がある。さらに又、チタン酸
バリウム系複合酸化物の構成元素のBaの一部をCa,Mg,Sr
で置換するか、あるいは、CaO,MgO,SrOを添加する事
は、チタン酸バリウム系複合酸化物をABO3という式で示
した場合、Aサイトが化学量論比に比べて過剰となり、
低酸素分圧下の焼成において耐還元性向上に効果があ
る。
次に、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法
により、最大の課題であった有機バインダの除去を完全
に行なうことが可能となった。これによって、誘電体磁
器組成物のスラリー化において有機バインダ等を広い範
囲から選択する事が可能となる。又、内部電極ペースト
用有機バインダにおいても、飛散性を考慮することな
く、印刷性の面から有機バインダの選択が可能となり、
内部電極形成の点から非常に有利になる。さらに、内部
電極の出発原料をニッケルの酸化物にしたため、脱バイ
ンダ時には有機バインダの分解除去のみを、焼結時に
は、誘電体層と、Niに還元された電極層の緻密化のみを
考慮すればよく、従来のように、電極を酸化させずに有
機バインダを除去するというような微妙な雰囲気コント
ロールをしなくても信頼性の高い積層セラミックコンデ
ンサの作製が可能となる。
実施例 以下に本発明の一実施例を詳細に説明する。
実施例1 まず、チタン酸バリウム(BaTiO3),ジルコン酸バリ
ウム(BaZrO3)を仮焼法により合成した。BaTiO3は、試
薬のBaCO3とTiO2とをボールミル中で湿式混合した後、
吸引濾過、乾燥し、空気中1200℃で2時間仮焼し合成し
た。この後、ボールミル中で湿式粉砕したものを乾燥し
て用いた。一方、BaZrO3は試薬のBaCO3とZrO2とを用
い、BaTiO3合成と同様の手順で作製した。本実施例に用
いたBaTiO3とBaZrO3の各粉体の平均粒径はSEM観察によ
りそれぞれ約0.8μmであった。次にMnO2は試薬のMnO2
をボールミル中で湿式粉砕し、平均粒径を約1μmにし
たものを使用した。次にYb2O3,Y2O3は、純度99.9%の試
薬を用いた。この様にして準備したBaTiO3,BaZrO3,Mn
O2,Yb2O3,Y2O3を第1表に示した割合で混合したものを
無機成分とし、さらに、有機バインダとしてポリビニル
チラール樹脂、可塑剤としてDBP(ジブチルフタレー
ト)溶剤として、1.1.1.トリクロロエタン,酢酸nブチ
ルを加えボールミルにて混合し、スラリーを調整した。
なお、スラリー化の条件は、無機成分100gに対して、ポ
リヒニルブチラール樹脂10g、DBP5g、1.1.1.トリクロロ
エタン100g、酢酸nブチル70gとした。この様にして調
整したスラリーを真空脱泡の後ドクターブレード法によ
りフィルム状に造膜しグリーンシートを作製した。乾燥
後のグリーンシートの厚みは約40μmとなるようにし
た。次にこのグリーンシート上に平均粒径0.8μmの酸
化ニッケル(NiO)粉末からなるペーストを用いて所望
のパターンをスクリーン印刷した。ペースト作製のため
の条件は、溶剤としてのテレピン油に、有機バインダの
エチルセルロースを溶かしたものを用い、上記酸化ニッ
ケル粉末と三段ロールにて混練した。以上の様にして得
られた電極パターン形成剤グリーンシートを、内部電極
パターンが対向するように11枚重ね合わせ(すなわち、
有効層は10層)、熱圧着して一体化した。そしてさら
に、4mm×3mmの寸法に切断して末焼結積層体を準備し
た。この末焼結積層体の厚みは約1mmとなる様に有効層
の両側に各300μmの無効層を設けた。次に、この末焼
結積層体の脱バインダをまず行う。脱バインダ工程は、
700℃で2時間(昇降温100℃/h)空気中で熱処理するこ
とによって行なった。この工程は、グリーンシート内お
よび酸化ニッケルペースト内に含まれる有機バインダ成
分の除去を目的とする。脱バインダ後の素体を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、誘電体層の焼結の進行は見
られなかった。さらに組成分析でも素体中にカーボンの
存在は見られず、有機成分が充分に除去できたことが確
認された。次にこの脱バインダ済の素体の内部電極を還
元する。この工程は、250℃で2時間、水素100%の雰囲
気で行なった。この工程によって誘電体層の成分は還元
されず、内部電極の酸化ニッケルだけが金属ニッケルに
還元される。次に、還元済みの素体を焼成する。焼成は
1250℃で2時間(昇降温200℃/h)行なった。焼成雰囲
気は、キャリアガスとしてN2ガスを用い、500℃以上の
温度領域で電気炉内の酸素濃度が10-9atmになるように
グリーンガスの流量を制御して調節した。以上の様にし
て得られた焼結体の端面に、外部電極として市販の900
℃窒素雰囲気焼成用Cuペーストを塗布し、メッシュ型の
連続ベルト炉によって焼付け、特性測定用試料とした。
静電容量および誘電正接は、周波数1.0KHz、入力信号
レベル1.0Vrmsにて測定し、静電容量から比誘電率を算
出した。その後直流50Vを1分間印加し、その時の絶縁
抵抗を測定した。なお、誘電体層の厚みは約25μm・電
極層の厚みは3〜4μmであった。
上記の測定結果を第1表にあわせて示した。なお、測
定は20℃の恒温槽中で行なった。
第1表の試料No.14,No.15には比較例としてYb2O3,Y2O
3のどちらか一方だけを添加した時の初期特性を示し
た。第1表から明らかなように、本発明の誘電体磁器組
成物を用いて作製した積層セラミックコンデンサは、比
誘電率が高く、又、誘電正接が低く、さらに絶縁抵抗も
実用上充分に高い値を示している。比較例の特性と比べ
てもY2O3とYb2O3の両方を添加する事の効果が充分に認
められる。本実施例1に示した積層セラミックコンデン
サのキュリー点は、5℃〜15℃の間になるように誘電体
の組成を調整したが、シフターとして働くZr成分,MnO2
成分,さらに、Y2O3,Yb2O3の量を微妙に変化させる事に
よって第1表以外の組成においてもTcを望む温度にする
事が出来、優れた特性を有する積層セラミックコンデン
サの作製が可能である。又、試料No.5,10,11に示した様
に、Y2O3,Yb2O3の添加量が非常に少なくても充分な特性
を有する積層セラミックコンデンサの作製が可能であ
る。一方、Y2O3,Yb2O3の添加量の最大値は2mol%以下が
望ましく、その量を越えると焼結が得られなくなる。Zr
成分については、20mol%以下が望ましい。なぜなら
ば、これ以上の添加は他の成分をどの様に調整してもTc
を適当な位置にする事が不可能となり、又、焼成温度が
高くなり、内部電極の収縮が起こり、デラミネーション
発生の原因となる。又、Zr成分がまったく入れない場合
もTcを適当な温度にする事が出来ない。MnO2については
誘電体磁器組成物の耐還元性を得る上で1mol%〜5mol%
以下が適当である。
実施例2 本実施例2では、実施例1に示した誘電体磁器組成物
にDy2O3,Tl2Oを添加した時の実施例を示す。第2表に組
成と初期特性を示した。なお、Dy2O3,Tl2Oとしては99.9
%の試薬を用いた。積層セラミックコンデンサ作製の工
程は実施例1と同様な手順で行なった。
第1表と第2表を比較して明らかな様に、Dy2O3,Tl2O
の添加は、誘電率の高めるのに大きな効果が認められ
る。しかしながら絶縁抵抗に関しては低下は認められな
かった。試料No.27とNo.28は、比較例としてDy2O3,Tl2O
を過剰に添加した場合を示している。この結果からも、
Dy2O3,Tl2Oの過剰な添加は絶縁抵抗の低下をまねくた
め、添加量は0.05mol%以上1.0mol%以下が適当である
といえる。本実施例2においては、Dy2O3とTl2Oを単独
で添加した場合を示したが、Dy2O3とTl2Oの両方を添加
した場合でも、その合計量が0.05mol%以上1.0mol%以
下の範囲であれば、同様な効果が得られた。又、第2表
に示した誘電体組成以外においても実施例1ですでに言
及した様な範囲内でZr量,MnO2量,Y2O3量,Yb2O3量を変え
た種々の誘電体組成に対して、Dy2O3,Tl2O添加の効果が
認められた。
実施例3 本実施例3では、実施例1に示した誘電体磁器組成物
に、NiO,Co2O3を添加した時の実施例を示す。第3表に
組成と初期特性を示した。なお、NiO,Co2O3としては特
級試薬を用いた。純度は99%以上である。積層セラミッ
クコンデンサ作製の工程は実施例1と同様な手順で行な
った。
第1表と第3表の結果を比較して明らかな様に、NiO,
Co2O3の添加は、誘電率の低下をほとんどまねかずに、
誘電正接だけを下げるのに非常に効果がある。そしてそ
の添加範囲は0.1mol%以上、2.0mol%以下が適当であ
り、それ以下では効果がなく、2.0mol%以上より多い場
合は、第3表中に比較例として示した試料No.43,No.44
の結果からも明らかな様にtanδは下がるものの、比誘
電率、絶縁抵抗ともに低下する傾向にあり望ましくな
い。本実施例3においては、NiO,Co2O3の一方だけを添
加した例を示したが、NiOとCo2O3の添加量の和が0.1mol
%以上、2.0mol%以下の範囲であればtanδを下げる効
果がある事を確認した。又、本実施例3には、Dy2O3,Tl
2Oを添加しない誘電体にNiO,Co2O3を添加した場合を示
したが、実験の結果、Dy2O3,Tl2OとNiO,Co2O3を同時に
添加しても悪い相互作用は認められず、tanδを下げる
という効果が無くなるものはなかった。
実施例4 実施例1に示した誘電体磁器組成物のうちでBaの一部
をCa,Mg,Srで置換した場合の実験を行なった。その結
果、Ba成分全体を100とした場合、Ca,Mg,Srのそれぞれ
又は、混合したものが5以下の範囲では比誘電率を低下
させる事なく絶縁抵抗を向上させる効果が認められた、
過剰の添加は、焼結性を悪くし、比誘電率を著しく低下
させる結果となった。又、CaO,MgO,SrOを添加した場合
においても、CaO,MgO,SrOの添加量が5mol%以下の場
合、同様の効果が得られた。さらに、このことは、誘電
体磁器組成物中にDy2O3,Tl2O,NiO,Co2O3を含む場合にお
いてもそれぞれの添加物の効果を打消すものではなかっ
た。
以上、本実施例1〜4においては、誘電体磁器組成物
中のBaTiO3,BaZrO3を仮焼法により作製したが、これに
ついては、共沈法,アルコキシド法,水熱合成法によっ
て準備されたものであっても問題はなく、良好な結果が
得られる。
又、本実施例では、BaTiO3,BaZrO3は化学量論比にな
る様にAサイト(Ba,及び、BaとCa,Mg,Srの和)とBサ
イト(ZrとTiの和)のモル比すなわちA/B=1.00となる
様にしたが、A/B比が0.98以上1.03以下であれば同様に
良好な結果が得られる。しかし、A/B比が0.98より小さ
い場合は、絶縁抵抗が非常に低くなり、1.03を越えた場
合、焼結が得られないことになる。
また、本実施例では、脱バインダ,還元,焼成の各工
程条件を固定して行なったが、脱バインダ工程の条件
は、使用する有機バインダの種類に応じて最適に選択す
ればよく、還元工程においても、誘電体が還元されず電
極の酸化ニッケルのみが還元される条件であればよく、
雰囲気についても100%のH2雰囲気でなくても良い。さ
らに焼成工程の雰囲気についても、本実施例の条件に限
るものではなく、焼成時の保持温度(本実施例において
は1250℃)でNiとNiOの平衡酸素分圧以下の酸素濃度で
あれば良く、他の昇温,降温領域においては、Ni電極が
著しく酸化されないならば、NiとNiOの平衡酸素分圧以
上に酸素を含有した雰囲気であっても問題はない。
さらに、本実施例においては、積層セラミックコンデ
ンサを作製し、誘電体磁器組成物の特性を測定したが、
本発明の誘電体磁器組成物は、単板型のセラミックコン
デンサに使用できることはいうまでもない。さらに本発
明の製造方法を用いることにより、積層バリスタ,コン
デンサ内蔵の多層配線基板への応用も可能となる。
発明の効果 本発明の請求の範囲内の誘電体磁器組成物は、極めて
低い酸素分圧下の焼成においても高い比誘電率と、低い
誘電正接、さらに高い絶縁抵抗を示すため、Niを内部電
極とする積層セラミックコンデンサ作製において最適で
ある。
又、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法
は、脱バインダを空気中で行なうため、特別な有機バイ
ンダを必要とせず、完全なバインダ除去が行なえる。さ
らに、還元、焼成時の雰囲気コントロールが容易となる
ため、積層セラミックコンデンサの内部電極を卑金属化
する上で極めて効果的であり、加えて、積層セラミック
コンデンサ作製において、誘電体層の薄層化、高積層化
により大容量化を目指す場合に極めて優位性のある発明
である。
フロントページの続き (72)発明者 箱谷 靖彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 菊池 立郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−141205(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸バリウムの構成元素のTiを2.5mol
    %以上、20mol%以下の範囲になるようにZrで置換した
    チタン酸バリウム系複合酸化物に、1mol%以上、5mol%
    以下の範囲のMnO2と、さらにY2O3とYb2O3を同時に、か
    つその合計が0.2mol%以上、2mol以下になるように添加
    したことを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】Dy2O3、Tl2Oのうち少なくとも1種以上を
    0.05mol%以上、1mol%以下の範囲で添加したことを特
    徴とする請求項(1)記載の誘導体磁器組成物。
  3. 【請求項3】NiO、Co2O3のうち少なくとも1種以上を0.
    1mol%以上、2mol%以下の範囲で添加したことを特徴と
    する請求項(1)または(2)のいずれかに記載の誘電
    体磁器組成物。
  4. 【請求項4】チタン酸バリウム系複合酸化物の構成元素
    のBaを5mol%以下の範囲でCa、Mg、Srのいずれか1種以
    上で置換するか、あるいはBa、Ca、Mg、Srの和がTiとZr
    の和に対してmol比で0.98以上、1.03以下になる範囲でC
    aO、MgO、SrOのいずれか1種以上を添加したことを特徴
    とする請求項(1)(2)または(3)のいずれかに記
    載の誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】請求項(1)(2)(3)または(4)の
    いずれかに記載の誘電体磁器組成物からなるセラミック
    コンデンサ。
  6. 【請求項6】請求項(1)(2)(3)または(4)の
    いずれかに記載の誘電体磁器組成物からなる誘電体層
    と、Niを主成分とする内部電極層からなる積層セラミッ
    クコンデンサ。
  7. 【請求項7】請求項(1)(2)(3)または(4)の
    いずれかに記載の誘電体磁器組成物と少なくとも有機バ
    インダ、溶剤、可塑剤からなるスラリーより作製したグ
    リーンシート上に、ニッケルの酸化物を主成分として少
    なくとも有機バインダと有機溶剤とからなるビヒクルと
    ともに混練したペーストを印刷しパターン膜を形成する
    工程と、該印刷されたグリーンシートを所望の枚数だけ
    加熱加圧することによって積層化する工程と、この様に
    積層された積層体を所望の寸法に切断する工程と、これ
    を前記誘電体磁器組成物が焼結し始めない温度の空気中
    で加熱し、有機バインダを焼結させる工程と、これを還
    元雰囲気で熱処理し、ニッケルの酸化物を金属に還元せ
    しむる工程と、これをニッケルの融点より低い温度の窒
    素雰囲気中で焼成し、誘電体磁器組成物と金属とを緻密
    化する工程からなることを特徴とする積層セラミックコ
    ンデンサの製造方法。
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